説明

定量供給装置、スラリー製造装置、粉体付着防止方法

【課題】石灰石を定量的に供給する装置において、石灰石が湿気を吸収して装置内に付着してしまうことを防止する。
【解決手段】定量供給装置11は、装置内部より石灰石が排出されるシュート28より外部に向かって流れるように、乾燥空気を送り込むエアー供給手段29を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石灰石と水とを混合することにより石灰石スラリーを製造するスラリー製造装置及びスラリー製造装置に定量的に石灰石を供給する定量供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発電所では排ガスに含まれる硫化物を除去するため、脱硫装置が設けられている。この脱硫装置では、排ガスに石灰石を含む石灰石スラリーを接触させることにより脱硫を行っている(例えば、特許文献1参照)。石灰石スラリーは、フィーダと呼ばれる粉体の定量供給装置の排出口より定量的に石灰石をスラリー製造装置に供給し、供給された石灰石と水とをスラリー製造装置内で混合することにより製造される。
【特許文献1】特開2001−190928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように石灰石スラリーの製造には水が使用されるため、その水による湿気が定量供給装置の排出口側より当該定量供給装置内に入りこみ、石灰石が定量供給装置の排出口付近に付着して、つまりを生じてしまうことがある。このような場合には、装置を停止して装置内の清掃を行わなければならないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、石灰石スラリーを製造するため石灰石を定量的に供給する装置において、石灰石が湿気を吸収して装置内に付着するのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の定量供給装置は、吸湿性の粉体を定量的に供給する定量供給装置であって、装置内部から前記粉体が排出される排出口を通って外部に向かって流れるように、乾燥空気を送り込むエアー供給手段を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の定量供給装置は、上方より吸湿性の粉体が投入され、下方に排出口を備えた円筒状の粉体容器と、上面に複数の仕切板が取り付けられ、前記粉体容器の下面に回転可能に設置されたターンテーブルと、を備え、前記粉体容器に投入された粉体が前記ターンテーブルの隣接する前記仕切板と前記粉体容器の内壁とで形成される各空間に収容され、前記ターンテーブルが回転することにより、前記各空間に収容された粉体を順次前記排出口より排出する定量供給装置であって、前記粉体容器の内部から前記排出口を通って外部に向かって流れるように乾燥空気を送り出すエアー供給手段を備えることを特徴とする。
上記の定量供給装置において、前記粉体は石灰石であってもよい。
【0007】
また、本発明のスラリー製造装置は、上記の定量供給装置と、前記定量供給装置により供給された石灰石に水を供給する水供給装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の定量供給装置における粉体付着防止方法は、上方より吸湿性の粉体が投入され、下方に排出口を備えた円筒状の粉体容器と、上面に複数の仕切板が取り付けられ、前記粉体容器の下面に回転可能に設置されたターンテーブルと、を備え、前記粉体容器に投入された粉体が前記ターンテーブルの隣接する前記仕切板と前記粉体容器の内壁とで形成される各空間に収容され、前記ターンテーブルが回転することにより、前記各空間に収容された粉体を順次前記排出口より排出する定量供給装置において、前記粉体が装置内部に吸着するのを防止する方法であって、前記粉体容器の内部から前記排出口を通って外部に向かって流れるように乾燥空気を送り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排出口を通って外部に向かって乾燥空気を送り出すため、湿気を帯びた外部空気が装置内部に流れ込むことを防止できるとともに、装置内部の湿気を帯びた粉体を乾燥させることができる。これにより、粉体が装置内部に付着するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の石灰石の定量供給装置の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本実施形態の石灰石の定量供給装置11の組み込まれたスラリー製造装置1の構成を示す図である。同図に示すように、スラリー製造装置1は、サイロ本体10と、サイロ本体10の下方に設けられた定量供給装置11と、定量供給装置11より排出された石灰石を運ぶエアースライドコンベア12と、水を供給する水供給装置13と、バグフィルター15と、石灰石スラリーを製造する石灰石スラリー槽14とを備える。
【0011】
サイロ本体10は、石灰石を貯蔵するための容器であり、上方に設けられた投入口より石灰石が投入される。そして、サイロ本体10は、この投入口より投入された石灰石を一時的に貯蔵し、下方の排出口より定量供給装置11に投入する。
定量供給装置11は、サイロ本体10より投入された石灰石を定量的にエアースライドコンベア12に排出する。
【0012】
定量供給装置11より排出された石灰石はエアースライドコンベア12により運ばれ石灰石スラリー槽14に供給される。
水供給装置13は、定量供給装置11より供給される石灰石の量に合わせて、石灰石スラリー槽14に水を供給する。
石灰石スラリー槽14は、供給された石灰石及び水を混合することにより石灰石スラリーを製造し、貯蔵する。
バグフィルター15は、飛散した石灰石の粉塵を捕集し、空気を清浄化する。
【0013】
図2は本実施形態の定量供給装置11の構成を示し、(A)は鉛直方向断面図、(B)は(A)におけるA−A´断面図である。同図に示すように、定量供給装置11は、上部円筒部20と、下部円筒部21と、ターンテーブル22と、シュート28と、軸部材25と、上部撹拌体23と、下部撹拌体24と、インペラ27と、すりきり板26と、エアー供給部29とを備える。なお、石灰石は、サイロ本体10から上部円筒部20の内部に投入されることになる。
図2(A)に示すように、上部円筒部20及び下部円筒部21は、中心軸が一致するように上下方向に接続された径の異なる円筒状の部材であり、上部円筒部20と下部円筒部21とは接合面に設けられた開口部31により連通している。
【0014】
軸部材25は、上部円筒部20及び下部円筒部21の中心に上端が上部円筒部20内に到達するように設けられており、不図示の駆動機構により回転駆動される。軸部材25には、ターンテーブル22、上部撹拌体23、及び下部撹拌体24が取り付けられており、軸部材25が回転駆動することにより、ターンテーブル22、上部撹拌体23、及び下部撹拌体24が回転する。
ターンテーブル22には、円筒状のしきい板33と、しきい板33の周囲に放射状に等間隔に複数のインペラ27が取り付けられている。インペラ27の先端面は下部円筒部21の内面とわずかなクリアランスを隔てて対向しており、これにより、しきい板33、隣接するインペラ27及び下部円筒部21の内面により複数の空間32が形成されている。
【0015】
上部撹拌体23は、軸部材25の上部円筒部20内にあたる位置に取り付けられており、軸部材25が回転することにより上部円筒部20内の石灰石を撹拌する。これにより、上部円筒部20内の石灰石はほぐされて、開口部31より下部円筒部21内へ落とし込まれる。
下部撹拌体24は、軸部材25のシュート28上方に設けられた覆い部材30と干渉しない位置に取り付けられており、軸部材25が回転することにより下部円筒部21内の石灰石を撹拌し、下部円筒部21内の石灰石を隣接するしきい板33、隣接するインペラ27及び下部円筒部21の内面により区切られた空間に落とし込む。
【0016】
すりきり板26は、その下部がターンテーブル22のインペラ27の上面と略等しい高さとなるように、下部円筒部21の側面より中心に向かって延びるように取り付けられている。インペラ27間の空間に石灰石が投入された状態で、すりきり板26の下方を通過することにより、すりきり板26の下面高さよりも上方の石灰石が除去され、各インペラ27間の石灰石の量が略等しくなる。
エアー供給部29は装置外部に設けられ、シュート28の上方より下部内筒部21内に乾燥空気を供給する。シュート28の上方には、覆い部材30が取り付けられており、エアー供給部29より供給された乾燥空気は覆い部材30により風向きが変えられ、図中矢印で示すように、シュート28を通り外部に向かって流れ出る。
このように、エアー供給部29よりシュート28を通って外部に向かって乾燥空気が吹き込むため、外部の湿気を含んだ空気が装置内部に流れ込むことを防止できる。また、同時に、石灰石がシュートを通る際に、石灰石に乾燥空気があたることにより石灰石を乾燥させることができる。
【0017】
以下、スラリー製造装置1により、石灰石スラリーを製造する工程を説明する。
まず、サイロ本体10に投入された石灰石が、サイロ本体10下方の排出口より定量供給装置11の上部円筒部20に投入される。
上部円筒部20内に投入された石灰石は、上部撹拌体23によりほぐされて、下部円筒部21内に投入される。
【0018】
下部円筒部21に投入された石灰石は、下部撹拌体24が回転することにより、インペラ27及び下部円筒部21内面により形成された空間に収容される。そして、ターンテーブル22が回転し、すりきり板26の下方を通る際に、インペラ27により形成された空間よりも上方に溢れ出ている石灰石が除去される。これにより、インペラ27により区切られた各空間内に残存する石灰石の量が略等しくなる。
【0019】
次に、ターンテーブル22が回転してシュート28近傍まで運ばれた石灰石は、エアー供給部29によりシュート28を通り下方に向かって吹き込む乾燥空気によりシュート28を通って、エアースライドコンベア12に排出される。
このように、エアー供給部29よりシュート28を通って外部に向かって乾燥空気が吹き込むため、外部の湿気を含んだ空気が装置内部に流れ込むことを防止できる。また、石灰石が乾燥空気があたることにより乾燥するため、定量供給装置11内に付着することを防止できる。
【0020】
定量供給装置11より排出された石灰石は、エアースライドコンベア12により石灰石スラリー槽14に供給される。そして、水供給装置13により水が供給され、水と石灰石が混ざりあうことにより石灰石スラリーを製造することができる。
【0021】
本実施形態の定量供給装置11によれば、エアー供給部29によりシュート28に排出方向に向かって乾燥空気が送り込まれるため、シュート28から内部へ湿気が流れ込むことを防止できるとともに、石灰石を乾燥させることができる。これにより、石灰石が湿気を含み、装置内部に付着したり、つまりを生じたりすることを防止できる。
【0022】
なお、本実施形態では、石灰石スラリーを製造するため、石灰石を定量的に供給する場合を例として説明したがこれに限らず、定量供給装置により粉体を定量供給する際に、シュートより湿気を含んだ空気が流れ込み、粉体が湿気を吸収して装置に付着する虞があるような場合であれば、本発明の定量供給装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態の石灰石の定量供給装置の組み込まれたスラリー製造装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の定量供給装置の構成を示し、(A)は鉛直方向断面図、(B)は(A)におけるA−A´断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 スラリー製造装置
10 サイロ本体
11 定量供給装置
12 エアースライドコンベア
13 水供給装置
14 スラリー槽
15 バグフィルター
20 上部円筒部
21 下部円筒部
22 ターンテーブル
23 上部撹拌体
24 下部撹拌体
25 軸部材
26 すりきり板
27 インペラ
28 シュート
29 エアー供給部
30 覆い部材
31 開口部
32 空間
33 しきい板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿性の粉体を排出口から定量的に排出する定量供給装置であって、
当該定量供給装置の内部から前記排出口を通って外部に向かって流れるように乾燥空気を送り込むエアー供給手段を備えることを特徴とする定量供給装置。
【請求項2】
上方より吸湿性の粉体が投入され、下方に排出口を備えた円筒状の粉体容器と、
上面に複数の仕切板が取り付けられ、前記粉体容器の下面に回転可能に設置されたターンテーブルと、を備え、
前記粉体容器に投入された粉体が前記ターンテーブルの隣接する前記仕切板と前記粉体容器の内壁とで形成される各空間に収容され、前記ターンテーブルが回転することにより、前記各空間に収容された粉体を順次前記排出口より排出する定量供給装置であって、
前記粉体容器の内部から前記排出口を通って外部に向かって流れるように乾燥空気を送り出すエアー供給手段を備えることを特徴とする定量供給装置。
【請求項3】
前記粉体は石灰石であることを特徴とする請求項1又は2記載の定量供給装置。
【請求項4】
請求項3記載の定量供給装置と、
前記定量供給装置により供給された石灰石に水を供給する水供給装置と、
を備えることを特徴とするスラリー製造装置。
【請求項5】
上方より吸湿性の粉体が投入され、下方に排出口を備えた円筒状の粉体容器と、上面に複数の仕切板が取り付けられ、前記粉体容器の下面に回転可能に設置されたターンテーブルと、を備え、前記粉体容器に投入された粉体が前記ターンテーブルの隣接する前記仕切板と前記粉体容器の内壁とで形成される各空間に収容され、前記ターンテーブルが回転することにより、前記各空間に収容された粉体を順次前記排出口より排出する定量供給装置において、前記粉体が装置内部に吸着するのを防止する方法であって、
前記粉体容器の内部から前記排出口を通って外部に向かって流れるように乾燥空気を送り出すことを特徴とする定量供給装置における粉体付着防止方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−290045(P2008−290045A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140541(P2007−140541)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】