説明

実装体の製造方法および実装装置

【課題】接続信頼性の高い実装体を製造する。
【解決手段】基板の電極および電子部品の電極の少なくとも一方の表面に半田が設けられており、基板、絶縁性接着層、および電子部品をこの順で積層させる積層段階と、基板に対して電子部品を押圧することにより、絶縁性接着層を貫通させて電子部品の電極と基板の電極とを接触させる押圧段階と、絶縁性接着層を第1の温度に加熱することにより、絶縁性接着層を熱硬化させる熱硬化段階と、半田を第2の温度に加熱することにより、基板の電極と電子部品の電極との間に、半田を含む金属結合層を形成する金属結合段階とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装体の製造方法および実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板の小型化、高集積化に伴い、バンプを有する電子部品を基板に実装することが行われている。電子部品は、半田または熱硬化性樹脂により基板に固着される(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
特許文献1 特開平9−260421号公報
特許文献2 特許第2823012号明細書
特許文献3 特許第3921459号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半田により電子部品を基板に実装する場合には、溶融した半田が電子部品と基板との間に広がり、電子部品の電極同士を電気的に接続してしまう場合がある。一方、熱硬化性樹脂により電子部品を基板に実装する場合には、半田により電子部品を基板に実装する場合と比較して、電子部品の電極と基板の電極との間の固着力が弱い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、基板の電極および電子部品の電極の少なくとも一方の表面に半田が設けられており、基板、絶縁性接着層、および電子部品をこの順で積層させる積層段階と、基板に対して電子部品を押圧することにより、電子部品の電極と基板の電極とを接触させる押圧段階と、絶縁性接着層を第1の温度に加熱することにより、絶縁性接着層を熱硬化させる熱硬化段階と、半田を第2の温度に加熱することにより、基板の電極と電子部品の電極との間に、半田を含む金属結合層を形成する金属結合段階とを備える実装体の製造方法が提供される。
【0005】
上記の製造方法において、押圧段階は、ヘッドに保持されている弾性体で、電子部品を基板に対して押圧する段階を有してよい。上記の製造方法において、押圧段階は、弾性体で、複数の電子部品を基板に対して同時に押圧する段階を有してよい。上記の製造方法において、基板の電極および電子部品の電極の少なくとも一方に、半田をプリコートする段階をさらに備えてよい。
【0006】
本発明の第2の態様においては、基板の電極および電子部品の電極の少なくとも一方の表面に半田が設けられており、基板、絶縁性接着層、および電子部品がこの順で積層された後、基板に対して電子部品を押圧することにより、絶縁性接着層を貫通させて電子部品の電極と基板の電極とを接触させる押圧部と、絶縁性接着層を第1の温度に加熱することにより、絶縁性接着層を熱硬化させた後、半田を第2の温度に加熱することにより、基板の電極と電子部品の電極との間に、半田を含む金属結合層を形成させる加熱制御部とを備える実装装置が提供される。
【0007】
上記の実装装置において、押圧部は、弾性体を有し、弾性体で電子部品を基板に対して押圧してよい。上記の実装装置において、押圧部は、弾性体で複数の電子部品を基板に対して同時に押圧してよい。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実装体100の断面図の一例を概略的に示す。
【図2】実装体100の製造方法のフローチャートの一例を示す。
【図3】基板110、接着フィルム320、電子部品140および電子部品160を積層する工程における断面図の一例を概略的に示す。
【図4】接着フィルム320を熱硬化させる工程における断面図の一例を概略的に示す。
【図5】実装装置510の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。なお、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合がある。また、説明の都合上、図面相互間においても互いの寸法の関係又は比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0012】
図1は、実装体100の断面図の一例を概略的に示す。実装体100は、基板110と、絶縁層120と、電子部品140と、電子部品160とを備えてよい。基板110としては、プリント配線板、多層配線基板、フレキシブル基板、ガラス基板などを例示できる。絶縁層120は、絶縁性を有する。絶縁層120は、基板110と、電子部品140および電子部品160とを接着してよい。絶縁層120は、例えば、熱硬化性樹脂を硬化させて得られる。
【0013】
電子部品140および電子部品160は、それぞれ、バンプ142およびバンプ162を有してよい。バンプ142およびバンプ162は、それぞれ、基板110の電極パッド114および電極パッド116と電気的に接続される。電子部品140および電子部品160としては、IC、LSI、抵抗器、他の基板などを例示できる。バンプ142およびバンプ162は、電子部品の電極の一例であってよい。電極パッド114および電極パッド116は、基板の電極の一例であってよい。
【0014】
金属結合層154は、バンプ142と電極パッド114とを結合してよい。金属結合層154は、バンプ142と電極パッド114とを電気的に接続してよい。金属結合層154は、バンプ142および電極パッド114より融点の低い金属を含んでよい。金属結合層154は、バンプ142および電極パッド114より融点の低い金属と、バンプ142および電極パッド114の少なくとも一方との合金を含んでもよい。
【0015】
金属結合層156は、バンプ162と電極パッド116とを結合してよい。金属結合層156は、バンプ162と電極パッド116とを電気的に接続してよい。金属結合層156は、バンプ162および電極パッド116より融点の低い金属を含んでよい。金属結合層156は、バンプ162および電極パッド116より融点の低い金属と、バンプ162および電極パッド116の少なくとも一方との合金を含んでもよい。
【0016】
図2は、実装体100の製造方法のフローチャートの一例を示す。本実施形態においては、S202において、基板110と、電子部品140および電子部品160とを準備する。本実施形態では、基板110の電極パッド116の表面に半田をプリコートする。また、電子部品140のバンプ142の表面に半田をプリコートする。
【0017】
S204において、基板110と電子部品140および電子部品160とを位置合わせして、基板110の上に、電子部品140および電子部品160を配置する。基板110と電子部品140および電子部品160との間には、接着層が配される。接着層は、基板110と電子部品140および電子部品160とを接着する。S204は、積層段階の一例であってよい。
【0018】
接着層は、基板110と電子部品140および電子部品160とが電気的に接続されたときに、絶縁性を有することが好ましい。接着層は、熱硬化することで、絶縁層120を形成してよい。接着層は、バンプ142の表面にプリコートされた半田が電極パッド114との間で金属結合層154を形成する温度、または、電極パッド116の表面にプリコートされた半田がバンプ162との間で金属結合層156を形成する温度よりも低い温度で熱硬化することが好ましい。
【0019】
接着層は、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の少なくとも一方を含んでよい。接着層は、膜形成樹脂、液状硬化成分および硬化剤を含んでよい。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂を例示できる。材料の入手の容易さおよび接続信頼性の観点からフェノキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0020】
液状硬化成分としては、液状エポキシ樹脂、アクリレートを例示できる。接続信頼性および硬化物の安定性の観点から2以上の官能基を有することが好ましい。硬化剤としては、液状硬化成分が液状エポキシ樹脂の場合は、イミダゾール、アミン類、スルホニウム塩、オニウム塩を例示できる。液状硬化成分がアクリレートの場合には、硬化剤として有機過酸化物を例示できる。
【0021】
接着層は、各種ゴム成分、柔軟剤、各種フィラー類等の添加剤を含んでよい。接着層は、ペースト状の接着剤であってもよく、シート状の接着フィルムであってもよい。接着層は、NCF(Non Conductive Film)であってよい。
【0022】
接着層の配置方法は特に限定されないが、基板110の上に接着層を配置した後、基板110の上に電子部品140および電子部品160を配置してよい。また、電子部品140および電子部品160のバンプ側の面に接着層を貼り付けた後、基板110の上に電子部品140および電子部品160を配置してもよい。これにより、基板110と、接着層と、電子部品140および電子部品160とがこの順に積層されたワークを準備することができる。
【0023】
S206において、S204で準備したワークを押圧して、基板110に対して、電子部品140および電子部品160を押圧する。これにより、半田がプリコートされたバンプ142が接着層を貫通して、半田がプリコートされたバンプ142と、電極パッド114とが接触する。また、バンプ162が接着層を貫通して、バンプ162と、半田がプリコートされた電極パッド116とが接触する。S206は、押圧段階の一例であってよい。
【0024】
S206において、弾性体で、電子部品140および電子部品160を基板110に対して押圧してよい。弾性体としては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴムなどのエラストマーを例示できる。これにより、電子部品140および電子部品160の位置ずれを防止できる。また、高さの異なる複数の種類の電子部品を基板に実装する場合であっても、電子部品を弾性体で押圧することで、全ての電子部品を基板に対して押圧することができる。これにより、複数の電子部品を同時に押圧することができ、タクトタイムを短縮することができる。
【0025】
S208において、基板110と電子部品140および電子部品160との間に配された接着層を加熱して、接着層を熱硬化させる。S208は、熱硬化段階の一例であってよい。S208において、接着層は、接着層が熱硬化して、基板110と電子部品140および電子部品160とが接着される温度に加熱される。S208において、接着層は、バンプ142の表面にプリコートされた半田が電極パッド114との間で金属結合層154を形成する温度、または、電極パッド116の表面にプリコートされた半田がバンプ162との間で金属結合層156を形成する温度よりも低い温度に維持される。
【0026】
なお、本実施形態において、S206においてワークを押圧して、S208においてワークを加熱して接着層を熱硬化させる場合について説明した。しかし、押圧段階および熱硬化段階はこれに限定されない。例えば、押圧段階と熱硬化段階とが同一の工程で実施されてもよい。この場合、ワークを押圧しながらワークを加熱してもよく、ワークを加熱しながらワークを押圧してもよい。
【0027】
S210において、ワークを加熱して、電極パッド114とバンプ142の間に金属結合層154を形成する。また、電極パッド116とバンプ162との間に金属結合層156を形成する。S210は、金属結合段階の一例であってよい。
【0028】
S210において金属結合層154および金属結合層156を形成するときの温度は、S208において接着層を熱硬化させるときの温度とは異なる。S210において金属結合層154および金属結合層156を形成するときの温度は、S208において接着層を熱硬化させるときの温度より高くてよい。例えば、S208において接着層を熱硬化させるときの温度が100℃〜180℃であり、S210において金属結合層154および金属結合層156を形成するときの温度が200℃〜265℃であってよい。
【0029】
S210においては、バンプ142の表面にプリコートされた半田を溶融させることで、金属結合層154を形成してよい。また、バンプ142の表面にプリコートされた半田と電極パッド114とを融合させて合金を形成させることで、金属結合層154を形成してもよい。同様に、電極パッド116の表面にプリコートされた半田を溶融させることで、金属結合層156を形成してよい。また、電極パッド116の表面にプリコートされた半田とバンプ162とを融合させて合金を形成させることで、金属結合層156を形成してもよい。
【0030】
S206、S208およびS210の工程は、同一の装置を用いて実施されてもよい。また、S206およびS208の工程は、同一の装置を用いて実施され、S210の工程は、S206およびS208を実施する装置とは異なる装置を用いて実施されてもよい。
【0031】
本実施形態によれば、基板110と電子部品140および電子部品160との間に金属結合層154および金属結合層156を形成することができる。これにより、基板110と電子部品140および電子部品160との接続信頼性を向上することができる。
【0032】
本実施形態によれば、接着層を熱硬化させた後で、金属結合層154および金属結合層156を形成する。これにより、基板110と電子部品140または電子部品160との間の空隙に半田が広がることを抑制することができる。その結果、意図しない電極同士が電気的に接続されることを抑制することができる。
【0033】
本実施形態によれば、金属結合層154および金属結合層156を形成する工程において、基板110と電子部品140および電子部品160とを押圧しなくてよい。これにより、弾性体に用いられる天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴムなどのエラストマーの劣化を抑制することができる。
【0034】
本実施形態によれば、金属結合層154および金属結合層156が形成されたときには、基板110と電子部品140および電子部品160との間に絶縁層120が形成されている。これにより、金属結合層154および金属結合層156を形成した後、基板110と電子部品140および電子部品160との間にアンダーフィルを充填する工程が不要になる。
【0035】
図3は、基板110、接着フィルム320、電子部品140および電子部品160を積層する工程における断面図の一例を概略的に示す。図3は、ワーク300の断面図の一例を概略的に示す。ワーク300は、基板110と、接着フィルム320と、電子部品140および電子部品160とを有する。基板110と、接着フィルム320と、電子部品140および電子部品160とは、この順に積層される。
【0036】
バンプ142は、バンプ142の表面にプリコート層342を有する。プリコート層342は、バンプ142および電極パッド114よりも融点の低い金属であってよい。プリコート層342としては、半田または防錆処理が施された半田を例示できる。プリコート層342は、リフローにより形成してよい。
【0037】
バンプ142および電極パッド114は、金、銀、銅、ニッケルおよび半田からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含んでよい。バンプ142または電極パッド114が半田を含む場合には、プリコート層342はバンプ142または電極パッド114に含まれる半田よりも融点の低い半田を用いてよい。
【0038】
電極パッド116は、電極パッド116の表面にプリコート層316を有する。プリコート層316は、バンプ162および電極パッド116よりも融点の低い金属であってよい。プリコート層316としては、半田または防錆処理が施された半田を例示できる。プリコート層342は、リフローにより形成してよい。
【0039】
バンプ162および電極パッド116は、金、銀、銅、ニッケルおよび半田からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含んでよい。バンプ162または電極パッド116が半田を含む場合には、プリコート層316はバンプ162または電極パッド116に含まれる半田よりも融点の低い半田を用いてよい。
【0040】
接着フィルム320は、熱硬化性樹脂を含み、プリコート層342およびプリコート層316が金属結合層154および金属結合層156を形成する温度よりも低い温度で熱硬化する。接着フィルム320は、絶縁性接着層およびS204に関連して説明した接着層の一例であってよい。
【0041】
図4は、接着フィルム320を熱硬化させる工程における断面図の一例を概略的に示す。図4に示すとおり、ワーク300が押圧されることで、バンプ142が接着フィルム320を貫通して、バンプ142の表面に形成されたプリコート層342と、電極パッド114とが接触する。また、バンプ162が接着フィルム320を貫通して、バンプ162と電極パッド116の表面に形成されたプリコート層316とが接触する。
【0042】
これにより、プリコート層342およびプリコート層316の表面に酸化膜が形成されている場合であっても、酸化膜を物理的に破壊することができる。その結果、プリコート層316およびプリコート層342を加熱することで、フラックスがなくても、金属結合層154および金属結合層156を形成することができる。
【0043】
電子部品140および電子部品160が基板110に対して押圧された状態で、ワーク300が加熱されることで、接着フィルム320が熱硬化して、絶縁層120が形成される。これにより、意図しない電極同士が電気的に接続されることを抑制することができる。
【0044】
図4に示すとおり、プリコート層342およびプリコート層316は、まだ、金属結合層154および金属結合層156を形成していない。接着フィルム320は、プリコート層342およびプリコート層316が金属結合層154および金属結合層156を形成する温度よりも低い温度で熱硬化する。よって、金属結合層154および金属結合層156を形成する前に、接着フィルム320を熱硬化することができる。
【0045】
この後、例えば、ワーク300を加熱して、プリコート層342およびプリコート層316を溶融させることで、金属結合層154および金属結合層156を形成することができる。以上により、実装体100を製造することができる。
【0046】
図5は、実装装置510の一例を概略的に示す。実装装置510は、ステージ520と、ヘッド530と、駆動部540と、制御部550とを備えてよい。図5は、ステージ520とヘッド530との間にワーク300を保持した状態における実装装置510の一例を概略的に示す。
【0047】
ステージ520は、ワーク300を保持する。ステージ520はワーク300を加熱してよい。ステージ520は、加熱部522を有してよい。加熱部522は、制御部550の指示に基づいて、ステージ520を加熱してよい。
【0048】
ヘッド530は、ステージ520との間にワーク300を挟む。ヘッド530は、ヘッド本体532と、押圧部材534と、保持部材536とを有してよい。ヘッド530および押圧部材534は、押圧部の一例であってよい。ヘッド本体532は、押圧部材534をステージ520に向かって押圧する。ヘッド本体532は、鉄、ステンレス鋼などの剛性の大きな金属であってよい。
【0049】
押圧部材534は、ヘッド本体532とステージ520との間に配される。押圧部材534は、ワーク300をステージ520に向かって押圧する。これにより、電子部品140が基板110に対して押圧され、プリコート層342が形成されたバンプ142が、接着フィルム320を貫通する。電子部品160が基板110に対して押圧され、バンプ162が、接着フィルム320を貫通する。その結果、バンプ142のプリコート層342と電極パッド114とが接触する。バンプ162と電極パッド116のプリコート層316とが接触する。
【0050】
押圧部材534は、ヘッド本体532より弾性の大きな材料であってよい。押圧部材534は、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴムなどのエラストマーであってよい。これにより、複数の電子部品を基板に対して同時に押圧することができる。押圧部材534は、弾性体の一例であってよい。保持部材536は、ヘッド本体532のステージ520と対向する側の面に、押圧部材534を保持する。保持部材536は、押圧部材534の周縁部を保持してよい。
【0051】
駆動部540は、制御部550の指示に基づいて、ヘッド530をステージ520に向かって移動させる。これにより、ヘッド530が、押圧部材534で、電子部品140および電子部品160を基板110に対して押圧する。また、駆動部540は、制御部550の指示に基づいて、ヘッド530をステージ520から離隔させる。駆動部540としては、エアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータを例示できる。
【0052】
なお、本実施形態において、駆動部540がヘッド530をステージ520に向かって移動させる場合について説明したが、駆動部540はこれに限定されない。駆動部540は、ステージ520をヘッド530に向かって移動させてよい。
【0053】
制御部550は、加熱部522を制御して、ステージ520を加熱してよい。制御部550は、駆動部540を制御して、ヘッド530を昇降させてよい。制御部550は、加熱制御部の一例であってよい。
【0054】
制御部550は、駆動部540を制御して、ヘッド530をステージ520に向かって移動させて、ワーク300を押圧してよい。このとき、制御部550は、ワーク300を加熱して、接着フィルム320を熱硬化させてよい。
【0055】
制御部550は、ワーク300の温度が所定の温度範囲に収まるように、加熱部522を制御してよい。このとき、制御部550は、接着フィルム320の温度が接着フィルム320の熱硬化温度よりも高くなるように、加熱部522を制御してよい。また、制御部550は、プリコート層342およびプリコート層316の温度が、金属結合層154および金属結合層156が形成される温度より低くなるように、加熱部522を制御してよい。
【0056】
制御部550は、接着フィルム320が熱硬化して絶縁層120が形成されると、駆動部540を制御して、ヘッド530を上昇させる。これにより、押圧部材534がステージ520から離間する。
【0057】
制御部550は、押圧部材534とステージ520とを離間させた後、接着フィルム320が熱硬化して絶縁層120が形成されたワーク300を加熱して、電極パッド114とバンプ142との間に金属結合層154を形成してよい。また、電極パッド116とバンプ162との間に金属結合層156を形成してよい。
【0058】
制御部550は、金属結合層154および金属結合層156を形成する工程と、接着フィルム320を熱硬化させる工程とで、ステージ520の温度が異なるように、加熱部522を制御してよい。制御部550は、ワーク300の温度が所定の温度範囲に収まるように、加熱部522を制御してよい。このとき、制御部550は、プリコート層342およびプリコート層316の温度が、金属結合層154および金属結合層156が形成される温度より高くなるように、加熱部522を制御してよい。
【0059】
これにより、実装装置510は、実装体100を製造することができる。また、押圧部材534がステージ520から離間した状態で、金属結合層154および金属結合層156を形成することができる。その結果、押圧部材534の劣化を抑制することができる。
【0060】
なお、本実施形態において、実装装置510が、接着フィルム320を熱硬化する工程と、金属結合層154および金属結合層156を形成する工程とを実施する場合について説明した。しかし、実装装置510は、これに限定されない。例えば、実装装置510が、接着フィルム320を熱硬化する工程を実施して、実装装置510とは異なる装置が、金属結合層154および金属結合層156を形成する工程を実施してもよい。金属結合層154および金属結合層156を形成する工程を実施する装置としては、リフロー装置を例示できる。
【実施例】
【0061】
バンプのピッチが85μmであるICを、評価用素子(TEG)として用意した。ICの大きさは6.3mm×6.3mmであった。ICは、3個用意した。評価用素子のバンプは、20μmのCu電極の表面に、リフローにより15μmのSn−2.5Agをプリコートして作製した。IC1個あたり272個のバンプを作製した。電極パッドのピッチが85μmである回路基板を、評価用素子(TEG)として用意した。評価用素子の電極パッドは、Ni電極の表面にAuをめっきして作製した。回路基板の大きさは38mm×38mmであった。NCF(Non Conductive Film)の一例として、B14−4(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社)を用意した。
【0062】
B14−4を7mm×7mmの大きさに切断して、3枚のNCFを用意した。3枚のNCFを回路基板の電極パッドが形成された面に貼り付けた。ICと回路基板とを位置合わせして、3枚のNCFのそれぞれの上にICを配置した。回路基板と3個のICとを押圧しながら加熱して、回路基板に3個のICを仮圧着した。仮圧着の条件は、温度が100℃、圧力が3kgfに設定した。圧着時間は、1秒間に設定した。
【0063】
仮圧着後の回路基板を押圧しながら加熱して、回路基板に3個のICを本圧着した。本圧着の条件は、温度が180℃、圧力が2MPaに設定した。圧着時間は、20秒に設定した。本圧着によりB14−4を熱硬化させた。本圧着後の回路基板をピーク温度が265℃の条件でリフローして、Sn−2.5Agを溶融させた。リフローの時間は、300秒に設定した。以上の工程により、回路基板に3個のICを実装した。
【0064】
実装されたICのバンプと、回路基板の電極パッドとの導通試験を実施した。導通試験は、IC1個当り40個のバンプについて実施した。導通試験は、4端子方法で実施した。3個のICのすべてにおいて、接続不良は発生しなかった。
【0065】
接続信頼性を確認する目的で、吸湿リフロー試験、プレッシャクッカ試験(PCT)および温度サイクル試験(TCT)を実施した。各試験後、IC1個当り40個のバンプについて、導通試験を実施した。導通試験は、4端子方法で実施した。
【0066】
吸湿リフロー試験は、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)のLevel2aの条件で実施した。吸湿リフロー試験の結果、接続不良は発生しなかった。
【0067】
プレッシャクッカ試験は、圧力が0.23Mpa、温度が130℃、湿度が85%RHの条件で実施した。プレッシャクッカ試験は200時間まで試験したが、接続不良は発生しなかった。
【0068】
温度サイクル試験は、−55℃の低温条件と、125℃の高温条件とを15分間隔で繰り返し実施した。温度サイクル試験は1000サイクルまで試験したが、接続不良は発生しなかった。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0070】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0071】
100 実装体
110 基板
114 電極パッド
116 電極パッド
120 絶縁層
140 電子部品
142 バンプ
154 金属結合層
156 金属結合層
160 電子部品
162 バンプ
300 ワーク
320 接着フィルム
342 プリコート層
316 プリコート層
510 実装装置
520 ステージ
522 加熱部
530 ヘッド
532 ヘッド本体
534 押圧部材
536 保持部材
540 駆動部
550 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の電極および電子部品の電極の少なくとも一方の表面に半田が設けられており、前記基板、絶縁性接着層、および前記電子部品をこの順で積層させる積層段階と、
前記基板に対して前記電子部品を押圧することにより、前記電子部品の前記電極と前記基板の前記電極とを接触させる押圧段階と、
前記絶縁性接着層を第1の温度に加熱することにより、前記絶縁性接着層を熱硬化させる熱硬化段階と、
前記半田を第2の温度に加熱することにより、前記基板の前記電極と前記電子部品の前記電極との間に、前記半田を含む金属結合層を形成する金属結合段階と
を備える実装体の製造方法。
【請求項2】
前記押圧段階は、ヘッドに保持されている弾性体で、前記電子部品を前記基板に対して押圧する段階を有する
請求項1に記載の実装体の製造方法。
【請求項3】
前記押圧段階は、前記弾性体で、複数の前記電子部品を前記基板に対して同時に押圧する段階を有する
請求項2に記載の実装体の製造方法。
【請求項4】
前記基板の前記電極および前記電子部品の前記電極の少なくとも一方に、半田をプリコートする段階をさらに備える
請求項1から3のいずれかに記載の実装体の製造方法。
【請求項5】
基板の電極および電子部品の電極の少なくとも一方の表面に半田が設けられており、前記基板、絶縁性接着層、および前記電子部品がこの順で積層された後、前記基板に対して前記電子部品を押圧することにより、前記絶縁性接着層を貫通させて前記電子部品の前記電極と前記基板の前記電極とを接触させる押圧部と、
前記絶縁性接着層を第1の温度に加熱することにより、前記絶縁性接着層を熱硬化させた後、前記半田を第2の温度に加熱することにより、前記基板の前記電極と前記電子部品の前記電極との間に、前記半田を含む金属結合層を形成させる加熱制御部と
を備える実装装置。
【請求項6】
前記押圧部は、弾性体を有し、前記弾性体で前記電子部品を前記基板に対して押圧する請求項5に記載の実装装置。
【請求項7】
前記押圧部は、前記弾性体で複数の前記電子部品を前記基板に対して同時に押圧する請求項6に記載の実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−151259(P2011−151259A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12275(P2010−12275)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】