説明

実装構造体

【課題】低温接合を実現する実装構造体を提供する。
【解決手段】基板に、融点が200℃以下の半田または融点が200℃以下の半田を導電性粒子として含んだ導電性接着剤によって、複数の半導体素子が隣接して実装され、隣接して実装された前記半導体素子の間の前記基板に、融点が200℃以下の半田または融点が200℃以下の半田を導電性粒子として含んだ導電性接着剤によって、前記半導体素子を除く電子部品が実装され、複数の前記半導体素子と前記基板の間と、前記電子部品と前記基板との間と、複数の前記半導体素子と前記電子部品との間を、封止樹脂によって一体に封止したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に、半導体素子と前記半導体素子を除く電子部品が実装された実装構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子と前記半導体素子を除く電子部品を実装するための接合材料には、鉛を含有したSn−Pb系半田材料、特に63Sn−37Pb共晶組成(Sn63重量%及びPb37重量%の組成)を有するSn−Pb共晶半田材料が一般的に用いられている。
【0003】
図4(a)(b)に、接合材料に半田材料を用いた実装構造体を示す。
図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のA−AA断面図であって、図4(b)では一部が拡大して図示されている。BGA(Ball Grid Array)/LGA(Land Grid Array)などの半導体パッケージ2や半導体パッケージ以外のチップ部品3は、半田5によって基板1に実装されている。
【0004】
半導体パッケージ2a,2bは、接合部が微細になってくると、温度サイクル試験や落下試験でクラックを生じやすくなるため、基板1との間を封止樹脂4により封止し補強する封止構造をとっていた。しかし、チップ部品3が封止樹脂4により封止されることは無かった。
【0005】
また近年、半導体パッケージ2a,2bが薄型化されているため、パッケージ2の基板1への実装に関して、半田付け部の機械的強度向上や熱衝撃強度等の信頼性特性向上への要求が高まっている。
【0006】
接合材料も、環境問題への対応から鉛を含まない半田材料、いわゆる鉛フリー半田材料への移行が図られている。2種の金属を主成分とする鉛フリー半田の例には、共晶型合金材料である材料として、Sn−Ag系半田がある(特許文献1、特許文献2)。
【0007】
しかしながら、Sn−Ag系半田の融点は、Sn−Pb系半田の融点(約183℃)と比べて30〜40℃程度高く、それに伴って、半田付け温度もSn−Pb系半田を用いる場合よりも高くなる。
【0008】
そのため、Sn−Ag系半田を用いた場合には、チップ部品3を基板1に実装する際の実装温度がチップ部品3の耐熱温度よりも高い温度になる事態が生じることがあり、そのような場合にはチップ部品3を損傷させてしまう問題点を有している。このような場合には、実装温度よりも耐熱温度の低いチップ部品3の温度が耐熱温度を超えないようにチップ部品3に保護治具を装着して半田付け作業を実施したり、耐熱温度の低いチップ部品3を後付けで半田付するなどの、煩雑な半田付処理を強いられているのが現状である。
【0009】
また、エレクトロニクス製品の小型・薄型化の要求に対応して、基板1も薄型化してきている。そのため、実装温度が高くなると、基板1に反りが発生して、基板1と半導体パッケージ2a,2bとの接合品質の劣化、基板1とチップ部品3との接合品質の劣化という問題点を有している。
【0010】
そこで、チップ部品3の熱損傷を軽減又は防止するために、このような半田に代わる材料として、硬化温度が鉛フリー半田の融点より比較的低い導電性接着剤や低温の融点を持つSn−Bi系の半田が注目されるようになっている(特許文献3)。
【特許文献1】特許第3027441号公報
【特許文献2】米国特許第5520752号
【特許文献3】特開平10−163605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記のように、低温半田や導電性接着剤を用いてチップ部品3を基板1に実装する場合には、耐熱温度の低いチップ部品3を有する実装構造体であっても、前記保護治具を装着したり、後付けの半田付処理が要らなくなる反面、その接続の強度がSn−Ag系半田に比べて低く、実用化がなかなか進んでいないのが現状である。
【0012】
本発明は、接合材料として低温半田や導電性接着剤を使用して半田付処理を簡単にできるとともに、接合品質を改善できる実装構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実装構造体は、基板に、融点が200℃以下の半田または融点が200℃以下の半田を導電性粒子として含んだ導電性ペーストによって、複数の半導体素子が隣接して実装され、隣接して実装された前記半導体素子の間の前記基板に、融点が200℃以下の半田または融点が200℃以下の半田を導電性粒子として含んだ導電性ペーストによって、前記半導体素子を除く電子部品が実装され、複数の前記半導体素子と前記基板の間と、前記電子部品と前記基板との間と、複数の前記半導体素子と前記電子部品との間を、封止樹脂によって一体に封止したことを特徴とする。
【0014】
また、隣接する半導体素子間が40mm以下であることを特徴とする。
また、前記半田の組成がBi,Inから選ばれる少なくとも1種の金属を含み,残部がSnであることを特徴とする。
【0015】
また、前記半田の組成が,50〜70重量%のBi、10〜25重量%のInから選ばれる少なくとも1種の金属及び残部のSnを含んでなることを特徴とする。
また、前記半田の組成は、Cu、Ge及びNiの群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に含んでなることを特徴とする。
【0016】
また、前記半田の組成は、0.1〜1.0重量%のCu、0.001〜0.1重量%Ge及び0.001〜0.1重量%Niの群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に含んでなることを特徴とする。
【0017】
また、前記基板の厚さが,0.5mm以下であることを特徴とする。
また、前記基板に隣接して実装された前記半導体素子の中間位置に前記電子部品が実装されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の実装構造体は、基板に、導電性接着剤によって、複数の半導体素子が隣接して実装され、隣接して実装された前記半導体素子の間の前記基板に、導電性接着剤によって、前記半導体素子を除く電子部品が実装され、複数の前記半導体素子と前記基板の間と、前記電子部品と前記基板との間と、複数の前記半導体素子と前記電子部品との間を、封止樹脂によって一体に封止したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実装構造体は、電子部品3とパッケージ2を一体樹脂封止することで、半田成分として比較的低融点の合金を用いることができる。代表的な鉛フリー半田であるSn−Ag−Cu半田と同様な使い方ができる。
【0020】
この構成によると、前記電子部品と前記基板との間を、封止樹脂によって封止したため、接合材料として低温半田または導電性接着剤を使用した場合の前記電子部品の接合品質の低下を防止できるともに、前記封止は、複数の半導体素子と基板の間と、前記電子部品と前記基板との間と、複数の半導体素子と前記電子部品との間を、封止樹脂でによって一体に封止しているたため、前記基板として0.5mm以下の薄いものを使用した場合であっても、前記一体に封止した封止樹脂によって、前記基板が反らないように補強することができ、接合材料として低温半田を使用した場合の接合品質の向上に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の各実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1(a)(b)は本発明の実施の形態1を示す。
【0022】
図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−AA断面図であって、図1(b)では一部が拡大して図示されている。
基板1の上には、半導体素子としての半導体パッケージ2a,2bと、半導体素子を除く電子部品としてのチップ部品3が実装されている。チップ部品3は隣接して配置された半導体パッケージ2a,2bの2つの間で、半導体パッケージ2a,2bの幅に入るように実装されている。これら半導体パッケージ2a,2bの2つと、チップ部品3の5つを封止するように、封止樹脂4が設けられている。半導体パッケージ2a,2bとチップ部品3は、半田5で基板1に実装されている。ここでは、チップ部品3が半導体パッケージ2a,2bの中間位置に実装されている。
【0023】
複数の半導体パッケージ2a,2bと基板1の間と、チップ部品3と基板1との間と、複数の半導体パッケージ2a,2bとチップ部品3との間が、封止樹脂4によって一体に封止されていることが、図1(b)から分かる。
【0024】
封止樹脂4は、半田付が完了した後に図1(b)に示す塗布ポイントPの位置に、デイスペンサー(図示せず)によって液体状の封止樹脂を滴下することで形成される。具体的には、滴下された封止樹脂は、チップ部品3の側面からの流れて、半導体パッケージ2a,2bの下部へもスムーズに流れ込む。
【0025】
塗布ポイントPを半導体パッケージ2a,2bの間の位置にして封止樹脂4を供給しているので、半導体パッケージ2a,2bと基板1との間に均等に封止樹脂4を流れ込ますことができ、別々の塗布ポイントから半導体パッケージ2a,2bに封止樹脂4を供給する場合に比べて、簡単で、短時間で、より良い形状、均質な形状で樹脂形成できる。
【0026】
なお、別々の塗布ポイント、例えば2点となると、形状が悪く、かつ、不良が多くなり、隣接の部品への影響や、樹脂量のコストアップ、基板1の反りに悪い影響がある。
実装に使用した半田5の組成を下記の表1に示す。残部はBal.として表記した。
【0027】
実施例1〜13としてそれぞれ対応する組成を示す。半田の融点を測定した値も示す。融点は、示差熱分析装置を用いて測定した。
【0028】
【表1】

また、温度サイクル試験は、以下のようにして実施した。
【0029】
図1(a)(b)に示すような配置で、表1で示す半田材料を用い、0.5mm厚さのFR−4のガラスエポキシの基板1に(大きさ10mm角、厚み1mm)の半導体パッケージ2a,2bを10mmの間隔で実装し、その間にサイズが1005のチップ部品3を5個並ぶように実装した。従来の配置では、図4(a)(b)に示したように、半導体パッケージ2a,2bチップ部品3は別々の異なる領域に配置されていた。
【0030】
その後、温度サイクル試験を−40℃〜125℃(各30分)で実施し、接合部のクラックの発生サイクル数で比較した。ここで使用した封止材料4は、ナミックス株式会社製のアンダーフィル材の品番1572(粘度:0.65Pa・s,弾性率:3.0Gpa)を用いている。
【0031】
表1から判るように、SnにBi及びInを添加することにより、従来のSn−Ag−Cuよりも融点が低下している。また、従来の半田に比べて、封止をしなかった場合の温度サイクル特性は劣化している。SnにBi及びInを添加した半田を用いて実装した部品を封止樹脂4によって封止すると、従来のSn−Ag−Cu半田よりも良好な温度サイクル性が得られる。特に、従来では封止することがなかったチップ部品3を封止樹脂4で封止することにより、温度サイクル特性が向上している。
【0032】
このように、Sn−Bi系の低温半田によって実装した実装構造体では、チップ部品3を含む実装部品全体を封止していなかったため、機械的強度が比較的低く、実用化には、強度向上が課題であった。これに対して融点が200℃以下の低温半田でも、半導体パッケージ2a,2bと共にチップ部品3を封止樹脂4によって一体に封止することにより、基板1の全体の信頼性が向上し、従来のSn−Ag−Cu半田を接合材料として実装した実装構造体と同等以上の信頼性が得られる。
【0033】
このように温度サイクル性が向上するのは、基板1の部品実装部全体を封止樹脂4によって封止することにより、接合部を補強するとともに、封止によって基板1の反りを抑制し、融点が200℃以下の低温半田の信頼性を向上させることが可能になった。封止樹脂4が全体にない場合に比較して、封止樹脂4により一体に封止することによって、チップ部品3、半導体パッケージ2a,2bと基板1との熱膨張の差を緩和することもできる。
【0034】
なお、ここでは、チップ部品3としてサイズ1005の抵抗器を用いたが、隣接するBGA/LGAなどの半導体パッケージ2a,2b間に配置される部品は、隣接する半導体パッケージ2a,2b間に配置することができれば、どのようなチップ部品でもよい。
【0035】
封止樹脂4が、半導体パッケージ2a,2bおよびチップ部品3を一体して封止することで接合が確実になる。半導体パッケージ2a,2bとチップ部品3の配置は、封止樹脂4が広がりやすい配置がよい。封止樹脂4は、半導体パッケージ2a,2bの上面、チップ部品3の上部まで達する必要はなく、側面、底面まで封止すればよい。つまり、半導体パッケージ2a,2bの上面には存在せず、封止が半導体パッケージ2a,2bの周囲部および基板1との接合部のみ、かつ、チップ部品3の周囲および基板1との接合部のみであればよく、封止樹脂4の量を少なくでき、コストを抑えることもできる。
【0036】
なお、半導体素子としてBGA/LGAなどの半導体パッケージ2a,2bを用いたが、パッケージされていないベア状態の半導体素子でも同じである。
また、半導体素子を除く電子部品として、抵抗器のチップ部品3を例に挙げて説明したが、コンデンサやコイルなどでもよい。
【0037】
半田組成と接合特性は、この実施の形態では、Sn及びBi及びInを基本組成とする200℃以下の融点をもつ半田材料を用いた実装構造体であったが、Sn及びBi及びInを基本組成とする導電性粒子をフラックスに混合した100℃以下の低融点を有する半田ペーストであっても同様である。
【0038】
この実施形態に関して、半田組成は、Bi,Inから選ばれる少なくとも1種の金属を含み、残部がSnである合金組成とする。Bi及びInは、合金の低融点化を目的に配合している。
【0039】
半田組成中のBiの含有量は、50〜70重量%の範囲が好ましく、伸びが極端に大きく、低融点と高信頼性が両立できる。より好ましくは52重量%以上、更に好ましくは55重量%以上であって、より好ましくは57重量%以下、更に好ましくは60重量%以下の範囲がより好適である。半田組成中のBi含有量を50〜75重量%にしたのは、Biの含有量が50重量%より少ないと低融点化の効果が十分に得られず、70重量%を超える場合は、伸びが低下するためである。
【0040】
半田成分中のInの含有量は、10〜25重量%の範囲が好ましく、伸びが極端に大きくなり、低融点と高信頼性が両立できる。より好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上であって、より好ましくは23重量%以下の範囲がより好適である。金属成分中のInの含有量を10〜25重量%にしたのは、Inの含有量が10重量%より少ないと低融点化の効果が十分に得られず、25重量%を超える場合には伸びが低下するためである。
【0041】
この実施の形態の半田成分は、上記の基本組成に加えて、Cu、Ge及びNiの群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に含むことができる。Cu、Ge、Niとは、合金の機械的特性向上を目的に添加している。
【0042】
半田成分中のCuの含有量は、0.1〜1.0重量%の範囲が好ましく、0.5〜0.7重量%のCu含有量がより好適である。導電性フィラー成分中のCu含有量を0.1〜1.0重量%としたのは、0.1重量%よりも少量であれば、その機械的特性に対する効果は得られないためであり、1.0重量%を超えると合金がより脆くなる傾向を示して機械的特性に関して逆効果となるためである。
【0043】
半田成分中のGeの含有量は、0.001〜0.1重量%の範囲が好ましく、0.001〜0.01重量%のGe含有量がより好適である。金属フィラー成分中のGe含有量を0.001〜0.1重量%としたのは、0.001重量%よりも少量であれば、機械的特性に対する効果は得られず、0.1重量%を超えると合金の融点が急激に上昇するためである。
【0044】
半田成分へのNiの添加は、Snの酸化抑制を目的としている。半田成分中のNiの含有量は、0.001〜0.1重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、更により好ましくは0.05重量%以上であって、0.1重量%以下の範囲が好適である。半田成分中のNi含有量を0.001〜0.1重量%としたのは、0.001重量%よりも少量であれば、Sn酸化抑制の効果は得られず、0.1重量%を超えると強固なNi酸化膜が形成されて融点が上昇し、Sn酸化抑制の効果は得られないためである。
【0045】
以上のSn−Ag系の半田より低い実装温度を達成することができる半田材料を含む接合部をもつ実装構造をとるとき、図1(a)(b)に示すように、基板1の上の接合部をすべて封止することにより補強する構造をとる。これにより、低融点の接合部においても、信頼性の高い実装構造を得ることができる。
【0046】
また、別の配置の実施の形態を図2(a)(b)と図3に示す。
図2(a)が半導体素子が1つの場合の平面図、図2(b)がそのA−AAの断面図である。半導体素子としての半導体パッケージ2とチップ部品3が長方形になるように配置されている。その中央に封止樹脂4を塗布する位置を設定する。図1(a)(b)と同様に、均等に封止樹脂4が行きわたる。
【0047】
図3は2つの半導体パッケージ2a,2bがある場合で、図1(a)との違いは、パッケージ2の配置する向きである。全体として、正方形状になるように配置されている。図1(a)では、長細い長方形である。図3では正方形に近い。半導体パッケージ2a,2bとチップ部品3との全体の領域として、縦と横の辺が同じ長さになるように配置するのがよい。少なくとも、その比が、1:5以上、好ましくは1:1である。
【0048】
図2(a)(b)と図3とも、塗布ポイントPに対して同心円となるように、チップ部品3、半導体パッケージ2,半導体パッケージ2a,2bの配置をとるとよい。これによって封止樹脂4が、全体へ行きわたり、かつ、全体のバランスがよくなり、基板1の反りも低減できる。
【0049】
(実施の形態2)
本発明の第2の形態においては、図1(a)(b)の実施の形態において、その基板1の厚みの変化をさせて、温度サイクル寿命試験をした。温度サイクル寿命試験は、実施の形態1と同じである。その結果を、下記の表2に示す。この表2では、基板1の厚さが0.25〜0.80mmまで変更した場合の温度サイクル特性を示している。
【0050】
【表2】

基板1が厚い場合には、温度変化しても基板1自体がしっかりしているため反りなどが少ないが、基板1の厚さが0.5mm以下の薄い実装構造体では、温度変化によって基板1に反りが発生し、融点が200℃以下の低温半田で実装しただけでは、接合品質が悪いため、封止樹脂4による全体の封止がない場合には、接合不良が発生して寿命が短い。これに対して、基板1の厚さが0.5mm以下の薄い実装構造体において、上記のように全体を封止樹脂4によって封止した本発明の実装構造体の場合には、融点が200℃以下の低温半田で同じように実装していても、基板1の厚さが0.65mm,0.8mmと厚い場合と同じように接合不良が少なくなって寿命が長くなって、基板1の厚さが0.5mm以下では、特に基板1の厚さが0.45mm以下である実装構造体において有効であることが分かる。融点が180℃以下の低温半田を使用した場合でも有効である。
【0051】
(実施の形態3)
実施の形態3は、図1(a)(b)における半導体パッケージ2a,2bの間の距離についての実施例である。
【0052】
図1(a)(b)において、実施の形態2で用いた接合材料としてSn−Bi半田組成を用い、基板1上の部品搭載領域について、複数のBGA/LGAの半導体パッケージ2a,2bの間にそのチップ部品3が搭載されている。この場合に、塗布ポイントPを隣接する半導体パッケージ2a,2b間の基板1にチップ部品3を実装し、半導体パッケージ2a,2bとチップ部品3とに一括して封止樹脂4を塗布する場合に、その半導体パッケージ2a,2b間の距離を変更した結果を、下記の表3に示す。
【0053】
【表3】

表3から、隣接する半導体パッケージ2a,2bの間隔が40mm以下であれば、安定性して封止樹脂4を塗布が可能である。しかし、それを超えた距離に半導体パッケージ2a,2bを配置すれば、封止樹脂4が必要でない部分に流れ出したり、または、十分に広がらないため安定して塗布できない。
【0054】
なお、ここで使用した封止樹脂4は、ナミックス株式会社製のアンダーフィル材の品番1572(粘度:0.65Pa・s,弾性率:3.0Gpa)を用いているが、粘度が2Pa・s以下であれば、他の封止樹脂4でも同様である。
【0055】
図3においても同様の結果である。半導体パッケージ2a,2b間が40mm以下がよい。30mmならさらによい。図2(a)(b)においても電子部品3とパッケージ2の間が30mm以下がよい。
【0056】
表3の“○”印は、すべての部品に封止樹脂4が浸透するものを示す。“△”は、半導体パッケージ2a,2bに形成されたフィレットの形状が十分できない場合を示す。“×”は、封止樹脂4が浸透しない部品が多く見られることを示す。つまり、半導体パッケージの一部に封止樹脂4が行きわたらないことを示す。
【0057】
また、封止を必要とする部品が封止樹脂4の塗布ポイントPからの同心円の内側の領域に配置した実装構造体の場合、塗布ポイントPからの同心円の半径が30mm以内の領域に封止を必要とする部品が配置されていれば、封止樹脂4を同時に塗布可能である。しかし、30mmを超えた部品レイアウトでは、同時に部品を安定して封止できない。BGA/LGAタイプの半導体パッケージ2a,2bが搭載される場合、塗布ポイントPにその他部品が搭載され、半導体パッケージ2a,2bと同時に塗布可能な部品レイアウトをもつ実装構造体となる。
【0058】
複数のBGA/LGAタイプの半導体パッケージ2a,2bが、搭載されている場合、隣接する半導体パッケージ2a,2bの間隔が20mm以下であれば、隣接する半導体パッケージ2a,2bおよびその間にレイアウトされた部品に安定して封止樹脂4を塗布することが可能である。しかし20mmを超えると半導体パッケージ2a,2bへの封止樹脂4の浸透性が十分ではない。
【0059】
なお、実施の形態では、低温半田で実装する場合を例に挙げて説明したが、融点が200℃以下の半田を導電性粒子として含んだ導電性ペーストによって実装した実装構造体の場合も同じ効果を期待できる。
【0060】
また、樹脂と金,銀などの導電性フィラーからなる硬化温度が200℃以下の導電性接着剤によって実装した実装構造体の場合も同じ効果を期待できる。
上記の各実施の形態では、封止樹脂4で半導体素子としての半導体パッケージ2a,2bの全体と、それ以外の電子部品としてのチップ部品3の全体を覆うことはしなかった。側面を封止するのみで十分強度が保てた。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、CCD素子、フォログラム素子、チップ部品等の電子部品の接続用及びそれらを接合する基板の配線形成に用いることができる。その結果、これらの素子、部品及び/又は基板を内蔵する製品、例えば、DVD、携帯電話、ポータブルAV機器、ノートPC、デジタルカメラ、メモリーカード等に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実装構造体の平面図と断面図
【図2】本発明の別の実装構造体の平面図と断面図
【図3】本発明の更に別の実装構造体の平面図
【図4】従来の実装構造体の平面図と断面図
【符号の説明】
【0063】
1 基板
2a,2b 半導体パッケージ(半導体素子)
3 チップ部品(半導体素子を除く電子部品)
4 封止樹脂
5 半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に、融点が200℃以下の半田または融点が200℃以下の半田を導電性粒子として含んだ導電性ペーストによって、複数の半導体素子が隣接して実装され、
隣接して実装された前記半導体素子の間の前記基板に、融点が200℃以下の半田または融点が200℃以下の半田を導電性粒子として含んだ導電性ペーストによって、前記半導体素子を除く電子部品が実装され、
複数の前記半導体素子と前記基板の間と、前記電子部品と前記基板との間と、複数の前記半導体素子と前記電子部品との間を、封止樹脂によって一体に封止した実装構造体。
【請求項2】
隣接する半導体素子間が40mm以下である請求項1記載の実装構造体。
【請求項3】
前記半田の組成がBi,Inから選ばれる少なくとも1種の金属を含み,残部がSnである請求項1記載の実装構造体。
【請求項4】
前記半田の組成が,50〜70重量%のBi、10〜25重量%のInから選ばれる少なくとも1種の金属及び残部のSnを含んでなる請求項3記載の実装構造体。
【請求項5】
前記半田の組成は、Cu、Ge及びNiの群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に含んでなる請求項4記載の実装構造体。
【請求項6】
前記半田の組成は、0.1〜1.0重量%のCu、0.001〜0.1重量%Ge及び0.001〜0.1重量%Niの群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に含んでなる請求項4記載の実装構造体。
【請求項7】
前記基板の厚さが,0.5mm以下である請求項1記載の実装構造体。
【請求項8】
前記基板に隣接して実装された前記半導体素子の中間位置に前記電子部品が実装されている請求項1記載の実装構造体。
【請求項9】
基板に、導電性接着剤によって、複数の半導体素子が隣接して実装され、
隣接して実装された前記半導体素子の間の前記基板に、導電性接着剤によって、前記半導体素子を除く電子部品が実装され、
複数の前記半導体素子と前記基板の間と、前記電子部品と前記基板との間と、複数の前記半導体素子と前記電子部品との間を、封止樹脂によって一体に封止した実装構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−135479(P2009−135479A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282666(P2008−282666)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】