説明

封筒フラップ封緘検査装置

【課題】未封緘の封筒を高い信頼性で検出でき、環境問題がなく、封筒を損傷せず、生産性の高い封筒フラップ封緘検査装置を提供する。
【解決手段】フラップ先端辺の方向に対して直角方向に封筒を搬送する搬送手段と、封筒の搬送位置を検出する搬送検出手段と、搬送位置を入力しフラップ先端辺の近傍において開となるゲートを生成するゲート生成手段と、搬送経路の上方から封筒表面の変位を所定のサンプリング周期で検出し変位データを出力する変位センサと、ゲートが開となっている間の変位データを記憶する記憶手段と、記憶した変位データに対して差分演算を行い差分変位データを生成する差分演算手段と、差分変位データのすべてが所定値内であるときに封緘状態を良と判定し、それ以外は不良と判定する良否判定手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封筒に中身を封入封緘する技術分野に属する。特に、封筒フラップで封緘した封筒の封緘状態を検査する封筒フラップ封緘検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
封入封緘機や手作業によりダイレクトメール等の封筒に中身を封入し封入口を糊付けして封緘する工程において、機械の不具合、オペレータの作業ミス、等により未封緘のままの封筒が発生し適正に封緘された封筒と混在することがある。未封緘の封筒は重欠陥の不良品であるから混在する中から未封緘の封筒を検出して封緘し直し、適正に封緘された封筒とする必要性がある。未封緘の封筒を検出する従来の方法としては、たとえば、封筒のフラップに封緘のための水糊の乾燥塗膜が形成されているものに対しては、その水糊の乾燥塗膜に対して接着性を活性化するための水が塗布されているか否かを検出することによって未封緘の封筒を検出する方法が知られている(特許文献1)。また、封筒のフラップに強風を吹き付けて、封緘されていない部位を浮き上がらせ撮像することで未封緘の封筒を検出する方法が知られている(特許文献2)。また、封筒の封緘部を内側にして円弧状に屈曲させて糊付不良部のフラップを浮き上がらせ、その高さをセンサーによって検査する方法が知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2007−298458
【特許文献2】特開2004−53302
【特許文献3】特開2007−62795
【0003】
しかしながら、フラップに水が塗布されているか否かを検出する方法においては、水が塗布されていても未封緘であることもあり得るため信頼性の問題があった。また、強風によりフラップを浮き上がらせる方法においては、その強風に起因して、騒音の発生、塵埃の飛散、等の環境上の問題があった。また、屈曲によりフラップを浮き上がらせる方法においては、その屈曲により封筒に無理な力が作用して封筒を損傷する恐れがあった。特に、封筒が薄手の用紙でできていて中身の量が多いときには損傷する確率が高いという問題があった。また、これら従来においては、封筒を長辺の方向に搬送して検査することが行われている。これは、封筒の長辺の側にフラップが付いている封筒が多いことから、封筒の長辺の方向に搬送することによって、(1)フラップ全体に活性化の水を塗布することができ、(2)フラップ全体に強風を吹きつけることができ、(3)フラップ全体をセンサが走査することができるからである。しかし、封筒を長辺の方向に搬送することは、短辺の方向に搬送する場合と比較して搬送効率(単位時間における搬送数量)が悪く、結果として生産性を高くできないという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、未封緘の封筒を高い信頼性で検出することができ、騒音・塵埃等の環境上の問題がなく、封筒を損傷する恐れがなく、生産性を高くすることができる封筒フラップ封緘検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る封筒フラップ封緘検査装置は、封筒を封緘したときのフラップ先端辺の方向に対して直角方向に封筒を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送経路の上方から封筒表面の変位を所定のサンプリング周期で検出し変位データを出力する変位センサと、前記搬送手段によって搬送される封筒の搬送位置を検出する搬送検出手段と、前記搬送位置を入力して前記フラップ先端辺の近傍が前記変位センサの検出位置となる間において開となるゲートを生成するゲート生成手段と、前記ゲートが開となっている間に前記変位センサが出力する変位データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段が記憶する変位データに対して差分演算を行い差分変位データを生成する差分演算手段と、前記差分変位データのすべてが所定値内であるときに封緘状態を良と判定し、それ以外は不良と判定する良否判定手段とを具備するようにしたものである。
また本発明の請求項2に係る封筒フラップ封緘検査装置は、請求項1に係る封筒フラップ封緘検査装置において、前記変位センサは前記封筒表面にレーザ光線を投光して形成されたスポットの位置から三角測定の原理で変位を検出するレーザ変位センサであるようにしたものである。
また本発明の請求項3に係る封筒フラップ封緘検査装置は、請求項1または2に係る封筒フラップ封緘検査装置において、前記変位センサは前記搬送経路において前記フラップ先端辺の方向に複数個が配置されその各々が前記封筒表面の複数個所の変位を検出し、前記記憶手段は前記変位センサの各々が出力する変位データを記憶し、前記差分演算手段は前記変位データの各々に対して差分変位データを生成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係る封筒フラップ封緘検査装置によれば、搬送手段により封筒を封緘したときのフラップ先端辺の方向に対して直角方向に封筒が搬送され、変位センサにより搬送手段の搬送経路の上方から封筒表面の変位が所定のサンプリング周期で検出され変位データが出力され、搬送検出手段により搬送手段によって搬送される封筒の搬送位置が検出され、ゲート生成手段により搬送位置が入力されてフラップ先端辺の近傍が変位センサの検出位置となる間において開となるゲートが生成され、記憶手段によりゲートが開となっている間に変位センサが出力する変位データが記憶され、差分演算手段により記憶手段が記憶する変位データに対して差分演算が行われ差分変位データが生成され、良否判定手段により差分変位データのすべてが所定値内であるときに封緘状態が良と判定され、それ以外は不良と判定される。すなわち、ゲートが開のときの差分変位データに基づいて検査が行われ、騒音・塵埃等を発生する部分がなく、封筒を損傷させるような外力が作用せず、フラップ先端辺の方向に対して直角方向に封筒が搬送される。したがって、未封緘の封筒を高い信頼性で検出することができ、騒音・塵埃等の環境上の問題がなく、封筒を損傷する恐れがなく、生産性を高くすることができる封筒フラップ封緘検査装置が提供される。
また本発明の請求項2に係る封筒フラップ封緘検査装置によれば、請求項1に係る封筒フラップ封緘検査装置において、変位センサは封筒表面にレーザ光線を投光して形成されたスポットの位置から三角測定の原理で変位を検出するレーザ変位センサである。したがって、高速度、高精度かつ非接触で変位を検出することができ、高い検査性能を得ることができる。
また本発明の請求項3に係る封筒フラップ封緘検査装置によれば、請求項1または2に係る封筒フラップ封緘検査装置において、変位センサは搬送経路においてフラップ先端辺の方向に複数個が配置されその各々によって封筒表面の複数個所の変位が検出され、記憶手段により変位センサの各々が出力する変位データが記憶され、差分演算手段により変位データの各々に対して差分変位データが生成される。したがって、フラップ先端辺の方向の複数個所を検査対象部位として未封緘の封筒の検出を行うことができ、未封緘の封筒の見逃しを皆無とする高い信頼性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明の封筒フラップ封緘検査装置における構成の一例を図1〜図3に示す。図1は本発明の封筒フラップ封緘検査装置において封緘状態を検出する部分の上面図、図2はその部分の側面図である。また、図3はその検出により得られたデータを処理する部分のブロック図である。図1〜図3において、1a,1b,・・・は変位センサ、2は搬送検出手段、2aは光電センサ、2bはロータリーエンコーダ、2cはローラ、3はゲート生成手段、4は記憶手段、5は差分演算手段、6は良否判定手段、10は搬送手段、10aは搬送ベルト、100a,100bは封筒である。
【0008】
封筒100a、100bは、図2に示す一例においては、搬送ベルト10aに載せられており、搬送ベルト10aが走行することによって封筒100a、100bが搬送される。封筒100a、100bの搬送方向は、図1、図2において、搬送方向と記された矢印で示す方向(左側から右側に向かう方向)である。図1、図2においては、2つの封筒100a、100bだけが図示されているが、実際は、所定の間隔をおいて検査数量(生産数量)の封筒がその方向に搬送される。
図1、図2において、封筒100aは封緘状態が不良の封筒を示している。一方、封筒100bは封緘状態が良好の封筒を示している。図1に示す封筒100aにおける破線の部分は、良好な封筒におけるフラップの先端を示している。封筒100aにおける実際のフラップの先端はその破線の部分から外れている。その実際のフラップの先端は、図2に示すように、封筒100aの本体部分に接着しておらず、離れ、開き、浮き上がった状態となっている。
【0009】
搬送ベルト10aは搬送手段10の搬送ベルトであり、搬送手段10は、たとえば、ベルトコンベヤである。搬送手段10は、本発明の封筒フラップ封緘検査装置において封緘状態を検査する構成部分の1つである。封緘検査は、通常は、インライン検査として行われるから、搬送手段10は封緘した封筒を搬送する封緘装置の搬送部分に一致する。
なお、搬送手段10における搬送ベルト10aを真空吸引ベルトとすることができる。真空吸引ベルトとすることにより、封筒100a、100bは搬送ベルト10aに真空吸引された状態で搬送され、搬送にともなう位置の変動(特に上下位置の変動が重要)を大幅に軽減することができる。その結果、変位センサ1a,1b,・・・が封筒表面の変位を検出する精度が向上し検査の信頼性が高まる。真空吸引ベルトとしては周知のものを使用することができる。
【0010】
変位センサ1a,1b,・・・は、搬送手段10の搬送経路の上方から封筒表面の変位(上下位置)を所定のサンプリング周期で検出し変位データを出力するセンサである。所定のサンプリング周期とは、目的とする封緘状態の検査を達成可能なサンプリング周期であり、搬送手段10の搬送速度と関係し、たとえば封筒100a、100bが1mm搬送される間に2回(好ましくは5回)以上の変位の検出を行うサンプリング周期である。変位センサ1a,1b,・・・としては、封筒表面にレーザ光線を投光して形成されたスポットの位置から三角測定の原理で変位を検出するレーザ変位センサ(たとえば、株式会社キーエンスのCMOSレーザセンサ(GV−H45)等)を使用することができる。レーザ変位センサは応答性が速く、レーザ光のスポット径が小さいことから、高速度、高精度かつ非接触で変位を検出することができる利点がある。たとえば、分解能が0.01μm、スポット径12μm、測定速度50000回/secの変位センサも知られている。
【0011】
変位センサ1a,1b,・・・は、図1〜図3に示す一例においては、搬送手段10の搬送経路においてフラップ先端辺の方向に複数個が配置され、その各々が封筒表面の複数個所の変位を検出する構成となっている。図1においては、変位センサ1a,1b,・・・の各々を通過し搬送方向に延長する一点鎖線が示されている。この一点鎖線は搬送手段10による移送が行われたときの、変位センサ1a,1b,・・・の検出位置の軌跡、すなわちレーザ変位センサであればレーザ光線のスポットの軌跡を示している。
この、検出位置の軌跡から明らかなように、複数個の変位センサが配置されることによって、フラップ先端辺の方向の複数個所を検査対象部位として未封緘の封筒の検出を行うことができる。したがって、未封緘の封筒の見逃しを皆無とする高い信頼性が得られる。
なお、変位センサとしては、上述したレーザ変位センサだけでなく、静電容量式変位センサ、LED式変位センサ、接触式変位センサ、等を使用することもできる。
【0012】
搬送検出手段2は、図1、図2に示す一例においては、光電センサ2aとロータリーエンコーダ2b、ローラ2cとから構成され、図3においては搬送検出手段2として示されている。搬送検出手段2は、搬送手段10によって搬送される封筒100a、100bの搬送位置を検出する。ここでは搬送位置の検出を示す信号として、搬送検出手段2は搬送ベルト10aに載置された封筒100a、100bが移送経路の特定位置を通過したことを示す通過信号と、搬送ベルト10aの走行信号を出力する。通過信号と走行信号は搬送位置を一義的に決めることができる信号である。
光電センサ2aは、図1、図2に示すように、封筒100a、100bの搬送経路に設置されており封筒100a、100bが特定位置を通過したときに、信号レベルがOFFからONとなる通過信号を出力する。光電センサ2aは投光部と受光部を有し、その光路を封筒100a、100bの端辺が通過することによる受光量の変化から通過を検出する。光電センサ2aとしては周知の光電センサを使用することができる。
ロータリーエンコーダ2bは搬送ベルト10aの走行に同期して回転する軸に設置されており、その回転を検出して走行信号を出力する。走行信号は軸の1回転を等分割(たとえば2000に等分割)した所定の回転角の各々に対してONとOFFが入れ替わる信号である。図1、図2に示す一例においては、ロータリーエンコーダ2bはその回転軸がローラ2cの回転軸に結合しており、両者は一体で回転する。ローラ2cは、図2に示すように、その周面が搬送ベルト10aに接触しており搬送ベルト10aが走行することにより滑ることなく連れて回転する。
【0013】
ゲート生成手段3は、移送検出手段2が出力する搬送位置、すなわち通過信号と走行信号を入力してフラップ先端辺の近傍が変位センサの検出位置となる間において開となるゲートを生成する。ゲート生成手段3は通過信号を入力する度に、その通過した封筒に対するゲートを生成する演算を行う。たとえば、封筒100aの通過による通過信号を入力すると封筒100aのゲートを生成する演算を行い、次に、封筒100bの通過による通過信号を入力すると封筒100bのゲートを生成する演算を並行して行う。ゲート生成手段3が行う演算は、通過信号を入力した後の走行信号を計数する演算と、その計数値を所定の開設定値、所定の閉設定値と比較する演算と、その計数値が所定の開設定値から所定の閉設定値までの間においてゲートを開とし、それ以外の間においてゲートを閉とする演算である。ゲート生成手段3はマイクロコンピュータ、PLC(Programable Logic Controller)等のデータ処理装置のソフトウェアとハードウェアによって実現することができる。その場合には、ゲートは開または閉を示すフラッグである。勿論、論理素子を使用したデジタル信号のゲート、その他のゲートとする構成とすることもできる。
【0014】
所定の開設定値と所定の閉設定値はフラップ先端辺の近傍が変位センサの検出位置となる間において開となるように決定される。ゲートを開閉する設定値と変位センサ1a,1b,・・・による封筒100a、100bの表面の検出位置との関係の一例を図4に示す。図4における鎖線は設定値と検出位置との関係すなわち設定値を検出位置に対応させて示す鎖線である。また、図4における矢印は鎖線を境界として矢印で示された内側の領域がゲートを開とする領域であることを示す矢印である。
このようにゲートを設定することにより、封緘状態の検査に関係した部分だけを抽出することが可能となり検査の信頼性を高めることができる。たとえば、封筒には、図4(A)に示すような窓部分を有しない通常の封筒だけでなく、図4(B)に示すような窓部分を有する窓付封筒が存在する。この窓部分は何もない部分に比較して大きい凹凸が存在するが、ゲートを設定することにより、この部分を封緘状態の検査に無関係の部分として除外することができる。
【0015】
記憶手段4はゲートが開となっている間に変位センサ1a,1b,・・・が出力する変位データを記憶する。変位データはデジタルデータであって、変位センサ1a,1b,・・・により所定のサンプリング周期で出力が行われる。記憶手段4はゲートが開となっている間に出力される変位データのすべてを記憶する。図2(B)、図5(A)には変位データを模式的に示したグラフが示されている。図2(B)に示すグラフは図2(A)に示す封筒フラップ封緘検査装置の側面図と搬送方向の位置において対応関係を有している。その位置において変位センサ1cが検出した変位が示されている。図2(B)、図5(A)に示すグラフにおいて「a」、「d」、「g」の部分は搬送ベルト10aの表面の変位データを示す。「b」の部分は封筒100aのフラップ部分の表面の変位データを示す。「c」の部分は封筒100aの本体部分の表面の変位データを示す。「e」の部分は封筒100bのフラップ部分の表面の変位データを示す。「f」の部分は封筒100bの本体部分の表面の変位データを示す。
【0016】
差分演算手段5は記憶手段4が記憶する変位データに対して差分演算を行い差分変位データを生成する。出力される順番に変位データに番号を付して、変位データ(1)、変位データ(2)、・・・、変位データ(n)、・・・とする。差分変位データは次の数1によって演算することができる。

(数1)
差分変位データ(n)=変位データ(n+1)−変位データ(n)

変位データと差分変位データを模式的に示したグラフを図5に示す。図5(A)に示す変位データのグラフと、図5(B)に示す差分変位データとは時刻軸方向の位置において対応関係を有している。図5(B)に示すグラフにおいて「ab」は図5(A)における「a」と「b」との間の差分変位データを示している。同様に、「bb1」と「bb2」は「b」と「b」との間の差分変位データを示し、「bc」は「b」と「c」との間の差分変位データを示し、「cd」は「c」と「d」との間の差分変位データを示し、「de」は「d」と「e」との間の差分変位データを示し、「ef」は「e」と「f」との間の差分変位データを示し、「fg」は「f」と「g」との間の差分変位データを示す。
【0017】
良否判定手段6は差分演算手段5によって演算された差分変位データのすべてが所定値内であるときに封緘状態を良と判定し、それ以外は不良と判定する。図5(B)には鎖線で閾値が示されている。この閾値は所定値内と所定値外を区分する境界値である。境界値である閾値をいずれの区分とするかは多くにおいて実質的な影響がなく任意である。この場合には、差分変位データのすべてが閾値以上または閾値より大きいときには所定値内であるとして封緘状態を良と判定する。また、それ以外、すなわち差分変位データの内に1つでも閾値より小さいまたは閾値以下のときには所定値外であるとして封緘状態を不良と判定する。
なお、上述した記憶手段4、差分演算手段5、良否判定手段6はマイクロコンピュータ、PLC等のデータ処理装置のソフトウェアとハードウェアによって実現することができる。
【0018】
以上、構成について説明した。次に、本発明の封筒フラップ封緘検査装置における動作について説明する。本発明の封筒フラップ封緘検査装置における動作をフロー図として図6に示す。
まず、図6のステップS1(移送検出)において、移送手段10は封筒を封緘したときのフラップ先端辺の方向に対して直角方向に封筒100a、100b、・・・を搬送する。封筒100a、100b、・・・は、図1、図2に示すように搬送が行われる。
次に、ステップS2(変位検出)において、変位センサ1a,1b,・・・は搬送経路の上方から封筒表面の変位を所定のサンプリング周期で検出し変位データを出力する。変位データとして、図2(B)、図5(A)に示すような変位データが得られる。図2(B)、図5(A)においては連続的なデータとして示されているが、実際は、時刻軸方向、変位軸方向のいずれの値も離散的なデジタルデータである。
【0019】
次に、ステップS3(搬送検出)において、搬送手段10によって搬送される封筒の搬送位置を検出する。搬送手段10は搬送位置を示す信号として光電センサ2aが出力する通過信号とロータリーエンコーダ2bが出力する走行信号を出力する。
次に、ステップS4(ゲート生成)において、ゲート生成手段は移送検出手段2が出力する通過信号と走行信号を入力してフラップ先端辺の近傍が変位センサの検出位置となる間において開となるゲートを生成する。すなわち、ゲートは図4に示す封筒の位置に対応するように開かれる。また、ゲートは図5(A)に示す変位データの時刻に対応するように開かれる。図5(A)においてゲート1は封筒100aに対するゲートであり、ゲート2は封筒100bに対するゲートである。
【0020】
次に、ステップS5(記憶)において、記憶手段4はゲートが開となっている間に変位センサ1a,1b,・・・が出力する変位データのすべてを記憶する。記憶手段4は、図3に示すように、変位センサ1a,1b,・・・が出力する変位データを入力するとともに、ゲート生成手段3が出力するゲートを入力する。
次に、ステップS6(差分演算)において、差分演算手段5は記憶手段4が記憶する変位データに対して差分演算を行い差分変位データを生成する。差分変位データとして図5(B)に示すような差分変位データが得られる。変位データが立ち上がる箇所においては差分変位データは正の値を示す。また、変位データが変化しない箇所においては差分変位データは0(ゼロ)の値を示す。また、変位データが立ち下がる箇所においては差分変位データは負の値を示す。図5(B)は模式的なグラフであるからサンプリング密度が粗く示されている。たとえば、「ab」と「bc」の間に「bb1」と「bb2」の2つだけが示されているがが実際は「bbn」におけるnの数は大きい。また、差分変位データが0(ゼロ)の値か、それに近い値の差分データは図示されていない。
【0021】
次に、ステップS7(良否判定)において、良否判定手段6は差分演算手段5によって演算された差分変位データのすべてが所定値内であるときに封緘状態を良と判定し、それ以外は不良と判定する。図5(B)に示す一例においては、封筒100aに対して、ゲート1が開かれ、ゲートが開かれている間の変位データに対応する差分変位データとして「bb2」と「bc」と0(ゼロ)が存在する。そして、その内の「bc」が鎖線で示す所定の閾値よりも小さい。したがって良否判定手段6は封筒100aの封緘状態は不良であると判定する。さらに、封緘検査のステップが繰り返されて(ステップS8参照)再びステップS7が実行されると、封筒100bに対して、ゲート2が開かれ、ゲートが開かれている間の変位データに対応する差分変位データとして0(ゼロ)と「ef」が存在する。そして、そのすべてが鎖線で示す所定の閾値よりも大きい。したがって良否判定手段6は封筒100bの封緘状態は良好であると判定する。
次に、ステップS8(終了?)において、封緘検査を終了するか否かを判定する。終了しない(継続する)場合には、ステップS1に戻って上述した以降のステップを繰り返す。終了の割込み等の入力があるときには終了とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の封筒フラップ封緘検査装置において封緘状態を検出する部分の上面図である。
【図2】本発明の封筒フラップ封緘検査装置において封緘状態を検出する部分の側面図である。
【図3】本発明の封筒フラップ封緘検査装置において封緘状態の検出により得られたデータを処理する部分のブロック図である。
【図4】ゲートを開閉する設定値と変位センサによる封筒の表面の検出位置との関係の一例を示す図である。
【図5】変位データと差分変位データをグラフとして模式的に示した図である。
【図6】本発明の封筒フラップ封緘検査装置における動作をフロー図として示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1a,1b,・・・ 変位センサ
2 搬送検出手段
2a 光電センサ
2b ロータリーエンコーダ
2c ローラ
3 ゲート生成手段
4 記憶手段
5 差分演算手段
6 良否判定手段
10 搬送手段
10a 搬送ベルト
100a,100b 封筒である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒を封緘したときのフラップ先端辺の方向に対して直角方向に封筒を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送経路の上方から封筒表面の変位を所定のサンプリング周期で検出し変位データを出力する変位センサと、
前記搬送手段によって搬送される封筒の搬送位置を検出する搬送検出手段と、
前記搬送位置を入力して前記フラップ先端辺の近傍が前記変位センサの検出位置となる間において開となるゲートを生成するゲート生成手段と
前記ゲートが開となっている間に前記変位センサが出力する変位データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶する変位データに対して差分演算を行い差分変位データを生成する差分演算手段と、
前記差分変位データのすべてが所定値内であるときに封緘状態を良と判定し、それ以外は不良と判定する良否判定手段と、
を具備することを特徴とする封筒フラップ封緘検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の封筒フラップ封緘検査装置において、前記変位センサは前記封筒表面にレーザ光線を投光して形成されたスポットの位置から三角測定の原理で変位を検出するレーザ変位センサであることを特徴とする封筒フラップ封緘検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の封筒フラップ封緘検査装置において、前記変位センサは前記搬送経路において前記フラップ先端辺の方向に複数個が配置されその各々が前記封筒表面の複数個所の変位を検出し、前記記憶手段は前記変位センサの各々が出力する変位データを記憶し、前記差分演算手段は前記変位データの各々に対して差分変位データを生成することを特徴とする封筒フラップ封緘検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−6385(P2010−6385A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164984(P2008−164984)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】