説明

導電性インキおよび導電性被膜

【課題】従来の導電ペーストは基材上に形成した塗膜を200℃で数十分間加熱する必要があり、導電層を紙基材上や、PETなどの汎用プラチックフィルム基材上に形成することは困難であった。また印刷法により形成した導電回路は基材との密着性が劣り、クラックが入りやすいという欠点があった。本発明の目的は、低温短時間での加熱により導電性が発現し、かつ下地との密着性が良好な導電性被膜を低コストで形成できる導電性インキを提供することである。
【解決手段】本発明は、保護物質(A)によって被覆された導電性物質(B)と、1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)とを含む導電性インキに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性インキおよび該導電性インキを用いて得られる導電性被膜に関し、更に詳細には短時間での導電性被膜形成能および下地との密着性に優れた導電性インキおよびそれを用いた導電性被膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PDPディスプレイなどの電磁波シールド、プリント配線板の導電回路またはRFID用のアンテナ回路などに用いられる導電回路の形成は、エッチング法で行われていたが、前工程でフォトリソグラフが必要であり、またエッチング液などの廃液処理が必要であるため、製造コストが高いこと、および環境問題から、エッチング法を使用しない方法が求められていた。そこで導電回路や導電層の形成を、金属の真空蒸着、化学蒸着、イオンスパッタリング等による乾式法や、導電金属を用いた導電ペーストを用いて印刷し、さらに高温で加熱することで導電性を発現する印刷法で行う試みがされてきた。
【0003】
しかし前記乾式法では導電層の厚さが確保できず導電回路に必要な導電性が不足していた。また前記印刷法は、導電層の厚さを確保できるため乾式法より導電性は良好であったが、その導電性は導電回路に必要なレベルにまで達していなかった(特許文献1、2参照)。
【0004】
そこで最近、通常の導電ペーストに替えて、導電金属の粒子径が小さいいわゆるナノ粒子を用いることで、導電ペーストを超える導電性を発現する導電層の形成が可能になったことが報告されている。しかし導電性の発現のためには、基材上に形成した塗膜を200℃で数十分間加熱する必要があり、導電層を紙基材上や、PETなどの汎用プラチックフィルム基材上に形成することは困難であった。また印刷法により形成した導電回路は基材との密着性が劣り、クラックが入りやすいという欠点があった(特許文献3、4参照)。
【特許文献1】特開2000−260224号公報
【特許文献2】特開2003−16836号公報
【特許文献3】特開2004−273205号公報
【特許文献4】特開2005−81501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低温短時間での加熱により導電性が発現し、かつ下地との密着性が良好な導電性被膜を低コストで形成できる導電性インキを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、保護物質(A)によって被覆された導電性物質(B)と、1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)とを含む導電性インキに関する。
【0007】
また本発明は、保護物質(A)が、カルボキシル基、スルホ基およびリン酸基からなる群から選択される1種以上の官能基を含む上記の導電性インキに関する。
【0008】
また本発明は、保護物質(A)が、カルボン酸であることを特徴とする上記いずれかの導電性インキに関する。
【0009】
また本発明は、導電性物質(B)が、平均粒子径0.001〜10μm の導電性微粒子である上記いずれかの導電性インキに関する。
【0010】
また本発明は、導電性物質(B)が、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウムおよび鉄からなる群から選択される1種以上の金属であることを特徴とする上記いずれかの導電性インキに関する。
【0011】
また本発明は、導電性物質(B)が、銀であることを特徴とする上記いずれかの導電性インキに関する。
【0012】
また本発明は、上記いずれかの導電性インキから形成される導電層(D)と、保護物質(A)に対するイオン交換能を有する物質(E)を含むイオン交換層(F)と、の積層によって、導電層(D)から形成されることを特徴とする導電性被膜に関する。
【0013】
また本発明は、上記いずれかの導電性インキと、保護物質(A)に対するイオン交換能を有する物質(E)とを含む組成物から形成されることを特徴とする導電性被膜に関する。
【0014】
また本発明は、基材上に、上記導電性被膜が設けられてなる導電性積層体に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、低温短時間での加熱により導電性が発現し、かつ下地との密着性が良好な導電性被膜を、低コストで形成できる導電性インキを提供することができた。
【0016】
したがって本発明の導電性インキを用いて得られる導電性被膜は、低温で形成することができるため、紙、汎用プラスチックフィルム、または布等の基材を用いること可能となった。
したがって、本発明の導電性インキは、例えば非接触型ICメディアのアンテナ回路や、プリント基板の導電回路、印刷エレクトロニクス用導電材料、タッチパネルおよび太陽電池等の各種電極材、電磁波シールド用メッシュ形成、電磁波シールド用導電性薄膜、静電気帯電防止膜、非導電性物への導電性付与膜、例えば導電布等に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を更に詳しく説明する。しかし、本発明は本発明の技術的思想を逸脱しない限り、以下の説明あるいは実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
まず本発明の保護物質(A)によって被覆された導電物質(B)と、1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)を含む導電性インキについて詳細に説明する。
【0019】
本発明で用いられる導電性物質(B)とは、得られる導電性被膜に導電性を付与するためのものである。このような導電性物質(B)としては、代表的なものとして導電性の金属物質が挙げられる。このような金属物質としては、導電性の金属単体、例えば、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、鉄、コバルト、タングステン、チタン、インジウム、イリジウム、ロジウム、アモルファス銅等の金属;これら金属の合金、例えば銀−銅合金など;これら金属の金属複合体、例えば銀−銅複合体など;金属を更に他の導電性金属で被覆したもの、例えば、銀めっき銅などが挙げられる。導電性物質(B)としては、なかでも、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、鉄が好ましく、金、銀、銅、ニッケルがより好ましく、導電性や低コストの点から銀が更に好ましい。その他の導電性物質(B)としては、例えば、上記金属物質で被覆した無機物粉末、酸化銀、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物等の金属酸化物、カーボンブラック、グラファイト、金属錯体、有機導電性微粒子等を用いることもできる。導電性物質(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の導電性物質を組み合わせて用いる場合、これら複数の物質は、混合物、混融物、分散物、被覆物など任意の形態であってよい。
【0020】
また、本発明で用いられる導電性物質(B)は、例えば平均粒子径が0.001〜10μmである導電性微粒子が、好ましく用いられる。
また、本発明で用いられる導電性物質(B)は、導電性インキ100重量部中、通常0.01〜99重量部用いることが好ましく、0.1〜95重量部がさらに好ましい。
【0021】
導電性物質(B)の製造方法として、例えば、ガス中蒸発法等の気相法、液相中で超音波、紫外線や還元剤を用いて金属化合物を還元する液相法(特開平11−80647号公報および特開昭61−276907号公報を参照)、あるいは溶融法、電解法等が挙げられる。これらの製造方法により得られる導電性物質(B−1)は、平均粒子径0.001〜0.1μmであることが好ましい。前記製造方法は、製造コスト、工数を考慮すると、金属化合物を液相中で熱、超音波、紫外線や還元剤を用いて還元する液相法によって得る方法が好ましい。
【0022】
また導電性物質(B)の他の製造方法として、例えば、湿式法、アトマイズ法、電解法等が挙げられる。これらの製造方法により得られる導電性物質(B−2)の形状は、例えば、フレーク状、鱗片状、板状、球状、略球状、凝集球状、樹枝状、箔状等種々の形状がある。前記導電性物質(B−2)は通常、平均粒子径が0.1μm以上のものが得られるが、導電性物質(B−2)の分散安定性、印刷性といった観点から平均粒子径が0.1〜10μmのものを用いることが好ましい。
【0023】
本発明において導電性物質(B)は、前記導電性物質(B−1)を用いることが好ましいが、導電性インキが使用される印刷方法や、得られる導電性被膜の使用態様・導電性のレベルよっては適宜前記導電性物質(B−2)を併用することも好ましい。
なお、本発明における導電性物質(B−1)の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)により測定された値であり、導電性物質(B−2)の平均粒子径は、動的光散乱法を利用した粒子径分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラック)により測定された値である。
【0024】
本発明の導電性物質(B)は、保護物質(A)によって被覆されているものが用いられる。本発明で使用される保護物質について説明する。
【0025】
保護物質(A)は、導電性物質(B)の凝集を防ぎ、導電性インキ中での導電性物質(B)の分散安定性を高めるために用いられているものである。このような保護物質(A)として、例えば導電性物質(B)に対する親和性基を分子中に1個以上有する化合物が挙げられる。
【0026】
導電性物質(B)に対する親和性基としては、導電性物質(B)の種類によっても異なるが、一般的には、アミノ基、四級アンモニウム、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、チオール基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等の極性基が挙げられる。本発明において保護物質(A)が有する官能基としては、カルボキシル基、スルホ基およびリン酸基からなる群から選択される1種以上の官能基を有することが好ましい。
【0027】
導電性物質(B)に対する親和性基を分子中に1個以上有するものとしては、例えば、顔料分散剤、界面活性剤、カップリング剤等の分散剤が挙げられる。本発明においては、保護物質(A)は分散剤を含むものが好ましく、さらには分散剤がカルボン酸であることが好ましい。カルボン酸を含んだ保護物質(A)によって被覆された導電性物質(B)を用いると、低温かつ短時間での加熱により良好な導電性を示す導電性被膜の形成が可能となり好ましい。なお、本発明で「分散剤を含む」あるいは「カルボン酸を含む」とは、分散剤あるいはカルボン酸が単独で用いられる場合と、分散剤あるいはカルボン酸と他の保護剤とが併用される場合との両者を含むものである。以下、保護物質(A)として用いることができる顔料分散剤、界面活性剤、カップリング剤、カルボン酸等の分散剤について具体的に説明する。
【0028】
前記顔料分散剤は、上述した親和性基を化合物中に1個以上有するものが好ましく、特に限定されるものではない。具体的には、顔料親和性基、例えば、アミノ基、四級アンモニウム、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、チオール基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等の極性基を有する樹脂および化合物が挙げられる。樹脂および化合物としては、例えば、ポリエーテル類、ポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ゼラチン、ギルソナイト、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0029】
前記界面活性剤としては、陰イオン系、非イオン系、両性イオン系、陽イオン系のものあるが、これらのいずれのものをも用いることができる。
【0030】
陰イオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩、アルファオレインスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、メチルタウリン酸塩等が挙げられる。
【0031】
非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸モノグリセリド等が挙げられる。
【0032】
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アミノ酸、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
【0033】
陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、N‐メチルビスヒドロキシエチルアミン脂肪酸エステル塩酸塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム等が挙げられる。
【0034】
また、これらとは分類形態が異なるものとして、フッ素系界面活性剤、アリル系反応性界面活性剤等の反応性界面活性剤、カチオン性セルロース誘導体、ポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等の高分子界面活性剤が挙げられる。本発明ではこのような界面活性剤も含め、保護物質(A)として用いることができる。
これらの界面活性剤は、1種類を単独で、また2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0035】
前記カップリング剤としては、一般に、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等を使用することができる。
【0036】
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p‐スチリルトリメトキシシラン‐3‐メタクリロキシプロピル、メチルジメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐トリエトキシシリル-N(1,3‐ジメチル-ブチリデン)、プロピルアミンN‐フェニル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(ビニルベンジル)‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3‐ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3‐クロロプロピルトリメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる
また、チタネート系カップリング剤としては、例えば、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート等が挙げられる。
【0037】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムオキサイドイソプロポキサイドトリマー、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
【0038】
ジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネート、ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。
これらのカップリング剤は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】
前記カルボン酸は、カルボキシル基を有する化合物を使用することができ、例えば、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、芳香族カルボン酸などを挙げることができる。
【0040】
飽和カルボン酸としては、例えば、直鎖飽和カルボン酸として、プロピオン酸、酪酸、吉草酸(別名:ペンタン酸)、カプロン酸(別名:ヘキサン酸)、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等が挙げられ、分岐飽和カルボン酸としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2‐エチルヘキサン酸、2‐エチルイソヘキサン酸、2‐プロピルヘプタン酸、2‐ブチルオクタン酸、2‐イソブチルイソオクタン酸、2‐ペンチルノナン酸、2‐イソペンチルノナン酸、2‐ヘキシルデカン酸、2‐ヘキシルイソデカン酸、2‐ブチルドデカン酸、2‐イソブチルドデカン酸、2‐ヘプチルウンデカン酸、2‐イソヘプチルウンデカン酸、2‐イソペプチルイソウンデカン酸、2‐ドデシルヘキサン酸、2‐イソドデシルヘキサン酸、2‐オクチルドデカン酸、2‐イソオクチルドデカン酸、2‐オクチルイソドデカン酸、2‐ノニルトリデカン酸、2‐イソノニルイソトリデカン酸、2‐デシルドデカン酸、2‐イソデシルドデカン酸、2‐デシルイソドデカン酸、2‐デシルテトラデカン酸、2‐オクチルヘキサデカン酸、2‐イソオクチルヘキサデカン酸、2‐ウンデシルペンタデカン酸、2‐イソウンデシルペンタデカン酸、2‐ドデシルヘプタデカン酸、2‐イソドデシルイソヘプタデカン酸、2‐デシルオクタデカン酸、2‐デシルイソオクタデカン酸、2‐トリデシルヘプタデカン酸、2‐イソトリデシルイソヘプタデカン酸、2‐テトラデシルオクタデカン酸、2‐イソテトラデシルオクタデカン酸、2‐ヘキサデシルヘキサデカン酸、2‐ヘキサデシルテトラデカン酸、2‐ヘキサデシルイソヘキサデカン酸、2‐イソヘキサデシルイソヘキサデカン酸、2‐ペンタデシルノナデカン酸、2‐イソペンタデシルイソノナデカン酸、2‐テトラデシルベヘン酸、2‐イソテトラデシルベヘン酸、2‐テトラデシルイソベヘン酸、2‐イソテトラデシルイソベヘン酸、イソヘプタン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸等が挙げられ、三級カルボン酸としては、例えば、ピバリン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸などが挙げられる。中でも、安定性や低温分解性を考慮するとカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が好ましい。
【0041】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸等が挙げられる。
【0042】
ジカルボン酸、としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げられる。
【0043】
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、サリチル酸、クマル酸等が挙げられる。
【0044】
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
【0045】
これらのカルボン酸は、炭素数3〜22のものが好ましく用いられる。また、1種類を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において保護物質(A)は、1種、または2種以上を併用して用いても良い。
【0046】
上記保護物質(A)は、導電性物質(B)100重量部に対して0.1〜2000 重量部を用いることが好ましく、0.1〜100重量部がより好ましい。添加量が0.1重量部未満の場合、導電性物質(B)が凝集する恐れがある。また、2000重量部を超える場合、導電性物質(B)の安定化に寄与しない余剰の保護物質(A)の存在が、導電性インキから形成した導電性被膜の導電性や、その他の物性に悪影響を与える恐れがある。
【0047】
保護物質(A)を導電性物質(B)に被覆する方法としては、
(1)導電性物質(B)と保護物質(A)との混合物を乾式法、または湿式法で混合して導電性物質(B)を保護物質(A)により被覆する方法。
(2)保護物質(A)を含む溶液中に、導電性物質(B)を投入し混合することで、導電性物質(B)を保護物質(A)により被覆する方法。
(3)カルボン酸金属塩などの、還元により保護物質(A)と導電性物質(B)とに分離する機能を有する金属塩を、還元剤などを用いて還元することにより、保護物質(A)で被覆された導電性物質(B)を得る方法。
などを挙げることができる。これら方法は適宜選択することができる。
【0048】
また、本発明では、液体媒体中、下記式(1)で示されるカルボジヒドラジド、またはヒドラジド基を分子中に2つ以上有する多塩基ポリヒドラジドを用いて、例えばカルボン酸金属塩のような金属塩等の金属化合物を還元することによって得られた導電性物質(B)を用いることが好ましい。
前記方法は、還元反応が比較的低温かつ迅速に進行するため、反応後の導電性物質(B)の凝集が抑えられ、平均粒子径が小さく、かつ粒子径分布が狭い導電性物質(B)を得ることができる。この方法で得られた導電性物質(B)は流動性や安定性に優れているため、これを含む導電性インキは、低温かつ短時間の加熱により導電性の良好な導電性被膜を形成することができる。
【0049】
前記製造方法を具体的に説明すると、例えば、金属化合物としてカルボン酸の金属塩を用い、これをトルエンなどの水と相分離する非水系溶剤に溶解し、この溶液に下記式(1)で示されるカルボジヒドラジドまたは、ヒドラジド基を分子中に2つ以上有する多塩基ポリヒドラジドの水溶液を滴下して前記カルボン酸金属塩を還元し、反応後の非水系微粒子分散体から水相を分離、除去し、その後非水系溶剤相を、水を用いて洗浄することにより、不純物の分離された脂肪酸[保護物質(A)]で被覆された導電性物質(B)が製造される。
式(1)
【0050】
【化1】



前記ヒドラジド基を分子中に2つ以上有する多塩基ポリヒドラジドとしては、例えば、二塩基酸ジヒドラジド、三塩基酸トリヒドラジド、四塩基酸テトラヒドラジド等が挙げられる。
【0051】
二塩基酸ジヒドラジドとしては、例えば、シュウ酸ヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、タルタロジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、ヘキサデカン酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0052】
三塩基酸トリヒドラジドとしては、例えば、クエン酸トリヒドラジド、トリメリット酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド等があげられる。
【0053】
四塩基酸テトラヒドラジドとしては、例えば、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等があげられる。
【0054】
上記以外の多塩基酸ポリヒドラジドとしては、ポリアクリル酸ポリヒドラジド等が挙げられる。これらの多塩基酸ポリヒドラジドは、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
さらに、本発明の導電性インキが含む1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)(以下、単に「化合物(C)」とも表記する)について説明する。導電性インキは化合物(C)を含むことによって、導電性インキから形成した導電性被膜の導電性が大きく向上する。具体的には、従来の導電性インキから形成した導電性被膜の体積抵抗値は10-5Ω・cm台かそれ以上であるのに対して、本発明の導電性インキから形成した導電性被膜は、化合物(C)を含むことにより体積抵抗値10-6Ω・cm台を達成しているため高い導電性を示す。さらに本発明の導電性インキから形成した導電性被膜は、下地との密着性が大きく向上している。これは従来に無い顕著な効果である。なお体積抵抗値と、下地との密着性の測定方法は、実施例で説明する。
【0056】
前記導電性被膜の厚さは、0.01〜50μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。上記範囲を外れた場合は所望の導電性が得られない、または低コストが実現できない恐れがある。
【0057】
1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)は、具体的には、例えば炭素数10〜18の一価アルコール、多価アルコール、グリコールエーテル、アルカノールアミン等が挙げられる。
【0058】
炭素数10〜18の一価アルコールとして、例えば
直鎖状の飽和アルキル基を有する一価アルコールとしては、1−デカノール、2−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、2−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール等が挙げられる。
また分岐状の飽和アルキル基を有する一価アルコールとしては、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−ヘプチルウンデカノール、イソミリスチルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどが挙げられる。また、ジシクロヘキシルメタノール、トリシクロデカンモノメチロール、水添加ロジンアルコール、ジヒドロターピネオールなどの環状アルコールも用いられる。
【0059】
不飽和二重結合を分子内に有するアルキル基を持つ1価アルコールとしては、不飽和二重結合を1つ有するアルケン基、不飽和二重結合を2つ有するアルカジエン基、不飽和二重結合を3つ有するアルカトリエン基、さらに不飽和二重結合を分子内に4つ以上有するアルカポリエン基を有する1価アルコールであり、オレイルアルコール、リノリルアルコール、11−ヘキサデセン−1−オール、7−テトラデセン−1−オール、9−テトラデセン−1−オール、11−テトラデセン−1−オール、7−ドデセン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、9−デセン−1−オール、シトロネロール、ドデカジエン−1−オール、フィトール、ゲラニオール、ロジノール、リナノール、ターピネオールC、α−ターピネオール、L−α−ターピネオールなどの直鎖状、分岐状または環状の不飽和アルキル基含有1価アルコールを挙げることが出来る。これら1価アルコールは単独または複数を任意の量比で組み合わせて使用することが可能である。
【0060】
炭素数10〜18の多価アルコールとして、
例えば、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレン二価アルコール、トリメチロールオクタン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールセルロース等の多価アルコール等が挙げられる。
【0061】
炭素数10〜18のグリコールエーテルとして、例えば、
ジプロピレングリコールn‐ブチルエーテル、トリエチレングリコール モノn‐ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。
【0062】
本発明においては、導電性被膜の導電性および下地との密着性の点から、炭素数10〜18の一価アルコールまたは多価アルコールを用いることが好ましく、分岐状の飽和アルキル基を有する一価アルコール、環状アルコールを用いることがより好ましい。また本発明では、化合物(C)を1種または2種以上もちいることもできる。
【0063】
これら、1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)は、導電性インキ100重量部中、通常0.01〜99重量部用いることが好ましく、0.1〜95重量部用いる事がより好ましい。
【0064】
本発明の導電性インキには、前記1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)に加えて、液状媒体を含むことが出来、使用できる液状媒体としては特に限定されず、印刷・塗布方法、基材の種類、粘度、表面張力、乾燥温度、保護物質(A)の溶解性等に応じて自由に選択することができる。
【0065】
本発明の導電性インキで用いられる液状媒体としては、1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)以外のものを用いることができる。具体的には、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、グリコールエーテル類の酢酸エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、水等が挙げられる。以下、これら各溶剤について、更に詳細に説明する。
【0066】
上記エステル系溶剤としては、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n‐ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec‐ブチル、酢酸(イソ)アミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、酢酸3‐メトキシブチル、酢酸sec‐ヘキシル、酢酸2‐エチルブチル、酢酸2‐エチルヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、γ‐ブチロラクトン、ジヒドロターピネオールアセテート等が挙げられる。
【0067】
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルn‐ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセトニルアセトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2‐(1‐シクロヘキセニル)シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0068】
エーテル系溶剤としては、例えば、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、ジブチルエーテル、メチル‐t‐ブチルエーテル、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル、環状エーテル系溶剤として、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
【0069】
グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ‐n‐プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ‐n‐プロピルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類の酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のジアルキルエーテル類が挙げられる。
【0070】
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ノルマルパラフィン系溶剤として、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン、n‐オクタン、n‐ノナン、n‐デカン、n‐ドデカン、イソパラフィン系溶剤としては、イソヘキサン、2,2,3‐トリメチルペンタン、イソオクタン、2,2,5‐トリメチルヘキサン、シクロパラフィン系溶剤としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロプロペン、シクロプロペン、シクロブテン、メチルシクロプロペン、テトラヒドロナフタリン、デカヒドロナフタリン、テレピン油、p‐ペンタジエン、リモネン等が挙げられる。
【0071】
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ナフタレン、テトラリン、ソルベントナフサ、芳香族混合炭化水素等が挙げられる。
【0072】
また、その他の液状媒体として、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、フルフラールが挙げられる。
上記液状媒体は、単独または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0073】
また上記液体媒体は、導電性インキ100重量部中、通常0.01〜99重量部用いることが好ましく、0.1〜95重量部用いることがより好ましい。
【0074】
本発明の導電性インキは、さらに樹脂および/またはモノマーを含むことができる。前記樹脂および/またはモノマーとは、導電性被膜の強度、導電性インキの印刷適性、導電性被膜と下地との密着性向上の観点から適宜使用することができる。
【0075】
前記樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ゼラチン、ギルソナイト、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0076】
前記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物等のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が挙げられる。これらエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、単官能であっても、多官能であってもよい。なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」という場合、アクリル酸およびメタクリル酸を含む意味で使用される。また「(メタ)アクリレート」という場合にも、同様に、アクリレートとメタクリレートを含む意味で用いられる。その他(メタ)アクリロイルなどでも、同様である。
【0077】
(メタ)アクリレート化合物のうち、単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイロキシエチルサクシネート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
【0078】
また、多官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ぺンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ステアリルアクリレート、テトラメチルピペジリルメタクリレート、ロジン変性アクリレート等が挙げられる。
【0079】
ビニルエーテル化合物のうち、単官能のビニルエーテル化合物として、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。また、多官能のビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル、ビスフェノールAジエトキシジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル等が挙げられる。
【0080】
さらに、上記化合物以外のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、例えば、N−ビニルアセトアミド、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、2−メタリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルホルムアミド等が挙げられる。
【0081】
前記樹脂および/またはモノマーは、活性エネルギー線、例えば紫外線の照射によって硬化させることもできる。樹脂および/またはモノマーを、紫外線を照射して硬化する場合、光重合開始剤、重合禁止剤、光重合促進剤、光増感剤を含むことができる。
【0082】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、ビスイミダゾール系、アクリジン系、カルバゾール−フェノン系、トリアジン系、オキシム系等の光重合開始剤を使用することができる。光重合開始剤は、モノマー100重量部に対して、1〜20重量部の量で用いることができる。
【0083】
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、2,6−t−ブチル−p−クレゾ−ル、2,3−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、アンスラキノン、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。
【0084】
前記樹脂および/またはモノマーは、保護物質(A)によって被覆された導電性物質(B)の導電性を阻害しない範囲で用いればよく、導電性インキの100重量部のうち、好ましくは0.01〜99重量部、更に好ましくは0.1〜95重量部を用いることができる。
【0085】
本発明の導電性インキは使用する印刷方法によって粘度や不揮発分を調整することができる。この場合は公知の添加剤等を含むこともできる。
【0086】
本発明の導電性インキの製造は、各種原料を混合し、例えば、ボールミル、アトライター、サンドミル、ジェットミル、3本ロールミル、ペイントシェーカー等を用いて分散するか、または、例えば、ミキサー、ディソルバーを用いて撹拌、混合すればよい。
【0087】
本発明の導電性被膜について説明する。
保護物質(A)に対してイオン交換能を有する物質(E)を含むイオン交換層(F)における、イオン交換能を有する物質(E)は、有機材料、無機材料を使用することができる。なお、イオン交換とは、固体または液体中に存在するイオンが、それと接する外部溶液中にある同符号のイオンと交換する現象を意味するが、本発明におけるイオン交換は、導電層(D)とイオン交換層(F)との間でおこなわれる、固層間、液層間もしくは固層−液層間での反応である。
【0088】
ここに、導電層(D)とは、本発明の導電性インキを印刷ないしは塗布してなる層であり、イオン交換に供される前の状態のものをいう。また、導電層(D)は、乾燥状態であてもよく、溶剤等を含有して湿潤状態にあってもよい。
【0089】
イオン交換能を有する有機材料としては、分子中にイオン交換可能なイオン性基を有する樹脂および化合物が挙げられる。イオン性基として、陰イオン交換基と陽イオン交換基が挙げられるが、本発明においては、陰イオン交換基が好ましく用いられる。陰イオン交換基としては、例えば、ホスホニウム基、スルホニウム基、アミノ基、四級アンモニウム基が挙げられる。
【0090】
これらのイオン性基を有する樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アリルアミン重合樹脂、ジアリルアミン重合樹脂等が挙げられる。更に、ジシアンジアミジンやジシアンジアミドの重合樹脂等や、樹脂を直接カチオン変性したカチオン変性樹脂や、例えばアリルアミン重合樹脂を架橋させた樹脂ビーズ等も挙げられる。
【0091】
イオン性基を有する化合物として、四級アンモニウム塩、または四級アンモニウム塩を有するカチオン性化合物が挙げられる。
【0092】
四級アンモニウム塩として、例えば、N−メチルピペリジンメチオジド、キノリンメチオジド等の環状第4アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルピリジニウム、高級アミンのハロゲン酸塩等が挙げられる。
【0093】
また、四級アンモニウム塩の酸基としては、例えば、F-、Cl-、Br-、I-、ClO4-、ClO3-、SO42-、NO3-、CrO4-、CO32-、PO43-、HPO42-、H2PO4-、OH-等いずれの酸基も用いることができる。
【0094】
イオン交換能を有する無機材料としては、例えば、活性炭や、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、ZnO/ZrO2、MgO/TiO2、CaO/P25、SiO2/CaO/MgO、SiO2/Al23、SiO2/SrO、SiO2/BaO、ZnO/SiO2、TiO2/ZrO2、Al23/TiO2、SiO2/ZrO2、Al23+ZrO2、SiO2/TiO2、MoO3/SiO2、MoO3/Al23、Al23/MgO等の複合酸化物、Na/MgO、K/MgO、Na/Al23等の金属蒸着金属酸化物、KNH2/Al23、EuNH/K−Y等のイミン担持金属酸化物、KF/Al23、LiCO3/SiO2等のアルカリ金属塩類等が挙げられる。その他、例えばシリカ、コロイダルシリカ、チタニア上に、例えば酸化アルミニウム等で被覆して、表面の電荷をカチオン化したものなども使用することができる。
【0095】
また、上記イオン交換能を有する無機材料は粒子状であるものが多く、その平均粒子径は0.001〜20μmのものが好ましい。平均粒子径が20μmを超えると、導電性発現効果の低下や、塗液の安定性、物性等が低下する恐れがある。
上記イオン交換能を有する物質は、有機材料と無機材料とを1種類または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0096】
本発明において、導電層(D)中の導電性物質(B)は保護物質(A)で被覆されることで安定的に分散しているが、導電性物質(B)が前記イオン交換能を有する物質(E)と接触し、さらに熱をトリガーとすることで、保護物質(A)が導電性物質(B)の表面から剥離したり、あるいは保護物質(A)が、例えば、F-、Cl-、Br-、I-、ClO4-、ClO3-、SO42-、NO3-、CrO4-、CO32-、PO43-、HPO42-、H2PO4-、OH-等のイオンに交換されることにより、活性エネルギーの高い導電性物質(B)の表面が露出する。これにより導電性物質(B)は、分散安定性を失い凝集して、導電性物質(B)同士が融着するため、導電性に非常に優れる導電性被膜が形成される。
【0097】
導電層(D)の形成は、印刷により行うことが好ましい。例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、スプレーコート、スピンコート、ダイコート、リップコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、バーコート等のなどを用いることができる。また印刷形態もべた塗りあってもよいし、配線回路などのパターン印刷であってもよい。
【0098】
次にイオン交換層(F)の形成に用いる塗液(以下、イオン交換層形成用塗液という)について説明する。
【0099】
前記イオン交換層形成用塗液には、イオン交換能を有する物質(E)の他に、さらに液状媒体、微粒子、イオン交換能を有する樹脂以外の樹脂、モノマー、光重合開始剤および重合禁止剤などを、印刷方法や硬化等の方法により適宜選択して用いることができる。
【0100】
前記液状媒体は、導電性インキの説明の欄で挙げたものと同様のものを用いることができる。
【0101】
前記微粒子については、イオン交換層(F)が微粒子を含むことによって、(1)イオン交換能を有する物質(E)をイオン交換層(F)中に均一に分散させることが可能になること、(2)導電層(D)とイオン交換層(F)との接触面積が増大し、ひいてはそれぞれに含まれる導電性物質(B)とイオン交換能を有する物質(E)とのイオン交換の効率が向上すること、がある。
【0102】
前記微粒子の平均粒子径は、0.001〜20μmであることが好ましい。平均粒子径が20μmを超える微粒子を用いると、導電性が低下する恐れが生じる。前記微粒子は、イオン交換層形成用塗液100重量部中、通常1〜99重量部、好ましくは5〜95重量部用いることができる。
【0103】
前記微粒子としては、有機微粒子やイオン交換能を有さない無機微粒子が挙げられる。
【0104】
有機微粒子としては、例えば、デンプン等の天然物、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン系、スチレン/アクリル系、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6−12等のナイロン系、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、4フッ化エチレン等のオレフィン系、ポリエステル系、フェノール系、ベンゾグアナミン系が挙げられる。
【0105】
イオン交換能を有さない無機微粒子としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄(II)、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉛、リン酸マグネシウム、塩化アルミニウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、リトポン、等が挙げられる。これらの無機微粒子のなかでも、非晶質シリカ、コロイダルシリカが好ましい。
これらの微粒子は、1種または2種以上を用いることができる。
【0106】
前記樹脂とモノマーは、導電性インキの説明の欄で挙げたものと同様のものを用いることができる。樹脂および/またはモノマーを、紫外線を照射して硬化する場合は、イオン交換層形成用塗液がモノマーと光重合開始剤とを含むことができる。
【0107】
なお前記樹脂とモノマーとの合計量は、イオン交換層形成用塗液100重量部中、通常0.01〜99重量部、好ましくは0.1〜95重量部となるように添加して用いることが好ましい
前記イオン交換層形成用塗液は、必要に応じて消泡剤、レベリング剤、滑剤、分散剤などを含むことができる。
【0108】
前記イオン交換層形成用塗液の製造は、前記の原料を配合した上で、例えば、ボールミル、アトライター、サンドミル、ジェットミル、3本ロールミル、ペイントシェーカー等を用いて分散するか、または、例えば、ミキサー、ディソルバーを用いて撹拌、混合することによりすることができる。
【0109】
イオン交換層形成用塗液の印刷方法としては、前記導電層の形成方法で示したものと同じ方法を使用することができる、具体的には、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などを用いることが好ましい。
イオン交換層(F)の厚さは、特に限定されないが、0.01〜200μmが好ましく、0.05〜100μmがより好ましい。
【0110】
本発明の導電性被膜の具体的な製造方法について説明する。導電性被膜は、保護物質(A)で被覆された導電性物質(B)と、イオン交換能を有する物質(E)とを接触させることができる態様で形成できれば良い。特に限定されるものではないが、以下に好ましい態様を例示する。
(1)基材上に、イオン交換層(F)と、導電層(D)と、を順次積層し、導電層(D)を導電性被膜とする方法。
(2)基材上に、導電層(D)と、イオン交換層(F)と、を順次積層し、導電層(D)を導電性被膜とする方法。
(3)基材上に、予め導電性インキと、保護物質(A)に対してイオン交換能を有する物質(E)と、を含む塗液から導電性被膜を形成する方法。
【0111】
なお導電性被膜の導電性の発現は、保護物質(A)で被覆された導電性物質(B)とイオン交換能を有する物質(E)が接触することが重要であるため、上記(1)〜(3)の方法には限定されない。
なお(1)および(2)の方法おいて、イオン交換層(F)および導電層(D)の形成は、いわゆるウエット・オン・ウエットで塗工したのちに乾燥や硬化がされる場合も含まれる。
本発明においては、上記(1)〜(3)いずれの方法を用いても、低温かつ短時間の加熱で導電性被膜の所望の導電性を得ることができる。
【0112】
導電性被膜を形成する基材としては、紙、プラスチック、ガラス、布等を使用することができる。基材はフィルム状、シート状または板材であってもよい。また、基材上に予め他の層が形成されたものを基材として使用してもよい。紙基材としては、例えば、コート紙、非コート紙の他、合成紙、ポリエチレンコート紙、含浸紙、耐水加工紙、絶縁加工紙、伸縮加工紙等の各種加工紙が使用できる。これらの中では、導電性被膜として安定した導電性を得る観点からは、コート紙、加工紙が好ましい。コート紙の場合は、平滑度の高いものほど導電性被膜の体積抵抗値のばらつきがなく安定しているため好ましい。
【0113】
プラスチック基材としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ナイロン、ポリイミド、ポリカーボネート等の通常使用されるプラスチックを使用することができる。
【0114】
ガラス基材としては、一般にプリント基板用ガラスとして使用されているものは、いずれも使用することができる。例えば、ソーダライムガラス、マイクロシートガラス、無アルカリガラス、耐熱ガラス、バイコールガラス、石英ガラス等が挙げられる。
【0115】
布基材の原料としては、例えば、綿、麻等の植物繊維、絹、羊毛等の動物繊維、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン等の化学繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ等の再生繊維が挙げられる。また、布の構造体としては、例えば、織物、ニット、不織布等いずれのものも用いることができる。
【0116】
上記基材は、導電性被膜との密着性を高めるため、コロナ放電処理やプラズマ処理などの乾式処理や、ポリウレタン、ポリイソシアネート、有機チタネート、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン等の樹脂コーティング剤を塗布する湿式処理によるアンカー処理をすることも好ましい。これにより例えばプリント配線回路の導電回路を印刷により形成するときに、微細な回路幅での印刷をすることができる。
【0117】
本発明の導電性被膜の製造において、導電層(D)とイオン交換層(F)の形成は、印刷により行うことが好ましい。印刷方法としては、前記導電層の形成方法で示したものと同じ方法を使用することができる。
また印刷形態もべた塗りであってもよいし、配線回路などのパターン印刷であってもよい。
【0118】
本発明の導電性被膜の製造において、導電層(D)とイオン交換層(F)の形成が、印刷で行われた後は、加熱乾燥、遠赤外線乾燥等の方法で溶剤を乾燥させることができる。また、加熱装置としては、ホットプレートや熱風乾燥オーブンを用いることができ、真空乾燥も可能である。
【0119】
本発明の導電性被膜の製造時に、前記乾燥方法に加えて、加熱加圧処理を施すことも出来る。加熱加圧処理は、プレスロール機、プレス機、ラミネーター等で行うことができる。
【0120】
導電性被膜の厚さは、特に限定されないが、0.01〜50μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。上記範囲を外れた場合は所望の導電性が得られない、または低コストが実現できない恐れがある。
【0121】
また、さらに導電性被膜の形成後に、その表面保護を目的として、オーバープリントワニス、各種コーティング剤を塗工したり、紙、プラスチックフィルム等をオーバーラミネートすることも好ましい。これらの各種ワニスやコーティング剤としては、従来印刷分野で用いられているものを利用すればよい。これらワニスやコーティング剤は通常の熱乾燥型、活性エネルギー線硬化型のいずれも使用できる。
【0122】
従来導電性インキで形成した導電層が、10-6Ω・cm台の体積抵抗値を得るためには、200℃以上で数十分以上加熱する必要があった。そのため、基材として紙や、PETなどの汎用プラスチックを用いると、基材に及ぼす劣化や収縮等のダメージが大きく、導電性が良好な導電層を形成することは困難だった。
しかし、本発明の導電性被膜は、基材にダメージを与えない150℃以下の加熱でありながら10-6Ω・cm台の極めて良好な体積抵抗値を示し、優れた導電性を実現することができる。
【0123】
本発明の導電性被膜が好ましく適用される用途としては、例えば、非接触型ICメディアのアンテナ回路や、プリント基板の導電回路、印刷エレクトロニクス用導電材料、タッチパネルや太陽電池等の各種電極材、電磁波シールド用メッシュ形成、電磁波シールド用導電性薄膜、静電気帯電防止膜、非導電性物への導電性付与膜、例えば導電布等が挙げられる。
【実施例】
【0124】
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表す。
【0125】
[導電性物質合成例1]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付け、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながらトルエン200部およびペンタン酸銀20.9部を仕込み、さらに分散剤としてジエチルアミノエタノール1.8部(金属1molに対し0.2molの割合)を添加し溶解させた。さらに20%コハク酸ジヒドラジド(以降SUDHと略記する)水溶液73.1部(金属1molに対しヒドラジド基2molの割合)を滴下すると溶液が淡黄色から濃茶色に変化した。更に反応を促進させるために40℃に昇温し、そのままの温度で4時間反応した。反応終了後、溶液を静置すると、上層と下層に分離した。下層の水層を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去した。そこで油層に蒸留水を加え、洗浄・分離を数回繰り返した。その後、減圧蒸留によって溶液からトルエンを除き、導電性物質(A−1)の粉末を得た。なお平均粒子径は5±1nmであり、導電性物質中の銀濃度は82%であった。
【0126】
[導電性物質合成例2]
合成例1のペンタン酸銀をヘキサン酸銀22.3部に変更した以外は、合成例1と同様にして導電性物質(A−2)を得た。なお平均粒子径は7±2nmであり、導電性物質中の銀濃度は83%であった。
【0127】
[導電性物質合成例3]
合成例1のペンタン酸銀をオレイン酸銀38.9部に変更した以外は、合成例1と同様にして導電性物質(A−3)を得た。なお平均粒子径は7±2nmであり、導電性物質中の銀濃度は73%であった。
【0128】
[導電性物質合成例4]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付け、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながらトルエン200部およびペンタン酸銀20.9部を仕込み、さらに分散剤としてジエチルアミノエタノール1.8部(金属1molに対し0.2molの割合)とリン酸基を有するリン酸エステル系界面活性剤(楠本化成株式会社製「ディスパロンPW36」、不揮発分50%)2.2部(金属に対し10重量%の割合)を添加し、さらに20重量%濃度になるようにトルエンで希釈し溶解した。その後、さらに20%SUDH水溶液73.1部(金属1molに対しヒドラジド基2molの割合)を添加すると溶液が淡黄色から濃茶色に変化した。更に反応を促進させるために40℃に昇温し、そのままの温度で4時間反応した。反応終了後、溶液を静置すると、上層と下層に分離した。下層の水層を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去した。油層に蒸留水を加え、洗浄・分離を数回繰り返した。その後、減圧蒸留によって溶液からトルエンを除き、導電性物質(A−4)の粉末を得た。なお平均粒子径は6±2nmであり、導電性物質中の銀濃度は80%であった。
【0129】
[導電性物質合成例5]
合成例4のペンタン酸銀をプロピオン酸銀18.1部に、ディスパロンPW36をドデシルベンゼンスルホン酸1.1部に変更した以外は、合成例4と同様にして導電性物質(A−5)の粉末を得た。なお平均粒子径は6±2nmであり、導電性物質中の銀濃度は81%であった。
【0130】
[導電性物質合成例6]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付け、窒素ガスを導入しながら1M硝酸銀水溶液を100部仕込み攪拌しながら、予めアミノ基を有する顔料分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース32000」、重量平均分子量約50000)1.9部を、トルエン10.8部中に溶解させておいた溶液を滴下した。室温で30分攪拌した後、ジメチルアミノエタノール38.1部を滴下し、そのまま室温で一晩攪拌し反応した。反応終了後、溶液を静置すると、上層と下層に分離した。下層の水層を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去した。油層に蒸留水を加え、洗浄・分離を数回繰り返した。その後、減圧蒸留によって溶液からトルエンを除き、導電性物質(A−6)の粉末を得た。なお平均粒子径は25±10nmであり、導電性物質中の銀濃度は50%であった。
【0131】
[導電性物質合成例7]
合成例1のペンタン酸銀をペンタン酸銅16.5部に、還元剤を20%SUDH水溶液146.2部(金属1molに対しヒドラジド基4molの割合)に変更した以外は合成例1と同様にして導電性物質(A−7)の粉末を得た。なお平均粒子径は7±2nmであり、銅濃度は75%であった。
【0132】
[導電性物質合成例8]
合成例1のペンタン酸銀をペンタン酸金29.8部に、還元剤を20%SUDH水溶液146.2部(金属1molに対しヒドラジド基4molの割合)に変更した以外は合成例1と同様にして導電性物質(A−8)の粉末を得た。なお平均粒子径は5±2nmであり、金濃度は70%であった。
【0133】
[導電性物質合成例9]
粉末銀フィラー(平均粒径3.0μm)20.0部と、ステアリン酸2.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート18.0部を乳鉢で混合し、導電性物質(A−9)のペーストを得た。なお平均粒子径は3±2μmであり、銀濃度は50%であった。
【0134】
導電性物質について、表1に示す。
【0135】
【表1】

【0136】
[イオン交換層形成用塗液製造例1]
陰イオン交換能を有する物質として、カチオン変性アクリル系共重合体溶液(明成化学工業株式会社製「パルセットJK−510」、不揮発分20%)15部、イオン交換能を有さない物質としてコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックスO」、固形分20%)60部、液状媒体(水/イソプロピルアルコール=1/1)25部を混合し、ディソルバーを用いて20分間撹拌してイオン交換層形成用塗液(E−1)を得た。
【0137】
[イオン交換層形成用塗液製造例2]
イオン交換能を有さない樹脂としてポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製「ポバールPVA−117」)7.5部、陰イオン交換能を有する物質として塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(花王株式会社製「コータミン24P」)2.5部、液状媒体(水/イソプロピルアルコール=1/1)90部を混合し、ディソルバーを用いて60分間撹拌してイオン交換層形成用塗液(E−2)を得た。
【0138】
[イオン交換層形成用塗液製造例3]
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックスO」、固形分20%)60部と、アミノ基を有するシランカップリング剤(N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン)1.2部を混合し、ディソルバーを用いて60分間撹拌してイオン交換能を有する表面処理コロイダルシリカを得た。
前記表面処理コロイダルシリカ61.2部と、イオン交換能を有さない樹脂としてポリアセタール樹脂溶液(積水化学工業株式会社製「エスレックKW−1」、固形分20%)15部、液状媒体(水/ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート=4/6)23.8部を混合し、ディソルバーを用いて20分間撹拌してイオン交換層形成用塗液(E−3)を得た。
【0139】
イオン交換層形成用塗液について、表2に示す。
【0140】
【表2】

【0141】
[実施例1]
イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機で全面ベタ印刷して75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−1)24.4部、イソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)30.2部とステアリルアルコール45.4部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。
得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、インクジェット法により幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.3μmの導電性被膜を得た。
【0142】
[実施例2]
イオン交換層形成用塗液(E−2)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機で全面ベタ印刷して75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−2)24.1部と、イソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)30.4部とジヒドロターピネオール(日本テルペン株式会社製)45.5部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、小型グラビア印刷機により幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電性被膜を得た。
【0143】
[実施例3]
イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機で塗工し、75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−3)27.4部、イソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)29.0部とジプロピレングリコールn‐ブチルエーテル43.6部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、ディスペンサー法により幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚1.0μmの導電性被膜を得た。
【0144】
[実施例4]
イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン200H」、厚さ50μm)上に、小型グラビア印刷機で塗工し、75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−3)27.4部、イソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)29.0部とポリエチレングリコール(数平均分子量750)43.6部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、インクジェット法により幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.3μmの導電性被膜を得た。
【0145】
[実施例5]
イオン交換層形成用塗液(E−3)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機で塗工し、75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚4μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−4)25.0部、イソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)30部とイソテトラデカノール45部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、小型グラビア印刷機で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電性被膜を得た。
【0146】
[実施例6]
イオン交換層形成用塗液(E−2)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、インクジェット法で塗工し、75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚3μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−5)24.7部、イソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)30.1部とトリプロピレングリコールn−ブチルエーテル45.2部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電性被膜を得た。
【0147】
[実施例7]
イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機で塗工し、75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−6)40部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)24部とトリメチロールオクタン36部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電性被膜を得た。
【0148】
[実施例8]
イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機で塗工し、75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−7)26.7部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)29.3部とテトラデカノール44部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電性被膜を得た。
【0149】
[実施例9]
イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機で塗工し、75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−8)28.6部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)28.6部とステアリルアルコール42.9部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電性被膜を得た。
【0150】
[実施例10]
イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機で塗工し、75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質合成例9に示される導電性物質(A−9)ペースト40部とα‐ターピネオール60部を乳鉢で混合して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上にスクリーン印刷法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚2μmの導電性被膜を得た。
【0151】
[実施例11]
導電性物質(A−1)24.4部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)30.2部とα‐ターピネオール45.4部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電層を得た。
次に、イオン交換層形成用塗液(E−3)を用いて、導電層上にインクジェット法で印刷し、熱風乾燥オーブンで75℃−5分間乾燥させて、膜厚5μmのイオン交換層を形成し、導電性被膜を得た。
【0152】
[実施例12]
導電性物質(A−4)25部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)30部とオレイルアルコール45部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電層を得た。
次に、イオン交換層形成用(E−1)を用いて、導電層上にディスペンサー法で印刷し、熱風乾燥オーブンで75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を形成し、導電性被膜を得た。
【0153】
[実施例13]
導電性物質(A−5)24.7部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)30.1部とミリスチルアルコール45.2部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電層を得た。
次に、イオン交換層形成用塗液(E−3)を用いて、導電層上にインクジェット法で印刷し、熱風乾燥オーブンで75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を形成し、導電性被膜を得た。
【0154】
[実施例14]
導電性物質(A−6)40部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)24部と1,2‐デカンジオール36部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電層を得た。
次に、イオン交換層形成用塗液(E−2)を用いて、導電層上にディスペンサー法で印刷し、熱風乾燥オーブンで75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を形成し、導電性被膜を得た。
【0155】
[実施例15]
導電性物質(A−7)26.7部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)29.3部とテトラデカノール44部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電層を得た。
次に、イオン交換層形成用塗液(E−3)を用いて、導電層上にインクジェット法で印刷し、熱風乾燥オーブンで75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を形成し、導電性被膜を得た。
【0156】
[実施例16]
導電性物質(A−8)28.6部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)28.6部とステアリルアルコール42.9部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、インクジェット法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電層を得た。
次に、イオン交換層形成用塗液(E−3)を用いて、導電層上にインクジェット法で印刷し、熱風乾燥オーブンで75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を形成し、導電性被膜を得た。
【0157】
[実施例17]
導電性物質(A−9)ペースト40部とα‐ターピネオール60部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、スクリーン印刷法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚2μmの導電層を得た。
次に、イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、導電層上に、小型グラビア印刷機で印刷し、熱風乾燥オーブンで75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を形成し、導電性被膜を得た。
【0158】
[比較例1]
導電性物質(A−1)24部、イソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)76部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機により幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させることにより、膜厚0.5μmの導電層を形成した。
【0159】
[比較例2]
イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、小型グラビア印刷機で全面ベタ印刷して75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を得た。
一方、導電性物質(A−1)24部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)76部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、上記イオン交換層上に、ディスペンサー法により幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電層を形成し、導電性被膜を得た。
【0160】
[比較例3]
導電性物質(A−1)24部とイソパラフィン溶剤(エクソン石油化学株式会社製「アイソパーL」)76部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、ディスペンサー法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚0.5μmの導電層を得た。
次に、イオン交換層形成用塗液(E−2)を用いて、導電層上に、ディスペンサー法で印刷し、熱風乾燥オーブンで75℃−5分間乾燥させることにより、塗膜厚さ5μmのイオン交換層を形成し、導電性被膜を得た。
【0161】
[比較例4]
導電性物質(A−9)ペースト40部とジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、スクリーン印刷法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚5μmの導電層を形成した。
【0162】
[比較例5]
導電性物質(A−9)ペースト40部とジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部を混合し、ディソルバーを用いて30分間撹拌して銀濃度20%の導電性インキを得た。得られた導電性インキを用いて、ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「エステルE5100」、厚さ100μm)上に、スクリーン印刷法で幅3mmの導電回路パターンを印刷し、熱風乾燥オーブンで150℃−10分間乾燥させて、膜厚2μmの導電層を得た。
次に、イオン交換層形成用塗液(E−1)を用いて、導電層上に、小型グラビア印刷機で印刷し、熱風乾燥オーブンで75℃−5分間乾燥させることにより、膜厚5μmのイオン交換層を形成し、導電性被膜を得た。
【0163】
なお実施例、比較例で得られた導電性積層体の層構成は、以下の2パターンである。
(1)基材/イオン交換層/導電性被膜
(2)基材/導電性被膜/イオン交換層
【0164】
[体積抵抗値]
導電性被膜として(比較例1および4においては導電層として)形成された幅3mmの導電回路パターンを、30mm間隔で4箇所はさみ、その抵抗値を四探針抵抗測定器(三和電気計器株式会社製「DR−1000CU型」)で測定した。導電回路パターンの膜厚を膜厚計(株式会社仙台ニコン製「MH−15M型」)で測定し、得られた抵抗値と膜厚から体積抵抗値を算出した。
なお、導電性積層体の製造で基材、導電性被膜(導電層)、イオン交換層の順に積層した〔層構成(2)に相当〕導電性被膜は、一部分イオン交換層を剥離し、導電性被膜を露出させて抵抗値、膜厚を測定して体積抵抗値を算出した。
【0165】
[下地密着性]
基材上もしくはイオン交換層上に形成した導電性被膜に、セロハンテープを貼り付け、セロハンテープを急激に引き剥がした。その時の導電性被膜の剥離の程度を、下記評価基準により評価した。なお、導電性積層体の製造で基材、導電性被膜(導電層)、イオン交換層の順に積層した〔層構成(2)に相当〕導電性被膜は、一部分イオン交換層を剥離し、導電性被膜を露出させて下地密着性の評価を行った。
○:導電性被膜の剥離面積10%未満。
△:導電性被膜の剥離面積10%以上50%未満。
×:導電性被膜の剥離面積50%以上。
上記の物性評価について、評価結果を表3に示す。
【0166】
【表3】

【0167】
表3の結果より明らかなように、実施例1〜17は比較例1〜5と比較して、導電性インキから形成してなる導電層と、イオン交換能を有する物質(E)を含むイオン交換層とを接触させることにより、低温かつ短時間の加熱にもかかわらず10-6Ω・cm台という体積抵抗値を有する導電性被膜を形成することができ、優れた導電性を実現できた。またさらに下地への密着性に優れる導電性被膜ができた。従って本発明により低コストで導電回路や導電膜として使用できる導電性インキおよび導電性被膜を製造することが可能となった。
本発明の導電性被膜は、非接触型ICメディアのアンテナ回路や、プリント基板の導電回路、印刷エレクトロニクス用導電材料、タッチパネル用電極、太陽電池電極等の各種電極材、電磁波シールド用メッシュ形成、電磁波シールド用導電性薄膜、静電気帯電防止膜、非導電性物への導電性付与膜、例えば導電布等に使用できる。また、本発明の導電性被膜は、膜の平滑性や色の均一性といった外観面および被膜強度の面でも優れており、ディスプレイの反射板等、鏡面性を必要とする用途にも使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護物質(A)によって被覆された導電性物質(B)と、1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)とを含む導電性インキ。
【請求項2】
保護物質(A)が、カルボキシル基、スルホ基およびリン酸基からなる群から選択される1種以上の官能基を含む化合物であることを特徴とする請求項1記載の導電性インキ。
【請求項3】
保護物質(A)が、カルボン酸であることを特徴とする請求項1または2記載の導電性インキ。
【請求項4】
導電性物質(B)が、平均粒子径0.001〜10μm の導電性微粒子である請求項1〜3いずれかに記載の導電性インキ。
【請求項5】
導電性物質(B)が、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウムおよび鉄からなる群から選択される1種以上の金属であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の導電性インキ。
【請求項6】
導電性物質(B)が、銀であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の導電性インキ。
【請求項7】
1〜4個の水酸基を有する炭素数10〜18の化合物(C)が、炭素数10〜18の一価アルコール、多価アルコール、または、グリコールエーテルである請求項1〜6いずれかに記載の導電性インキ。
【請求項8】
請求項1〜7いずれかに記載の導電性インキから形成される導電層(D)と、保護物質(A)に対するイオン交換能を有する物質(E)を含むイオン交換層(F)と、の積層によって、導電層(D)から形成されることを特徴とする導電性被膜。
【請求項9】
請求項1〜7いずれかに記載の導電性インキと、保護物質(A)に対するイオン交換能を有する物質(E)とを含む組成物から形成されることを特徴とする導電性被膜。
【請求項10】
基材上に、請求項8または9記載の導電性被膜が設けられてなる導電性積層体。

【公開番号】特開2010−123355(P2010−123355A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295015(P2008−295015)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】