説明

導電性特徴をスクリーン印刷するための方法および組成物

本開示は、基板上に導電性特徴をスクリーン印刷する方法であって、導電性特徴は、金属異方性ナノ構造と、そのための塗膜溶液とを含む。本発明によると、導電性特徴が基板上に形成され、導電性特徴が金属異方性ナノ構造を含み、導電性特徴が、基板上に金属異方性ナノ構造を含有する塗膜溶液をスクリーン印刷することによって形成される。本発明による導電性特徴をスクリーン印刷するための塗膜溶液は、好ましくは、増粘剤と、金属異方性ナノ構造とを含む。さらに、塗膜溶液は、溶剤と基剤とを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/031,528号(2008年2月26日出願)の米国特許法第119条第(e)項の優先権の利益を主張し、この出願の開示は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(1.発明の分野)
本開示は、基板上における導電性特徴の形成に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術)
透過性導体とは、高透過率表面または基板上に塗膜される、薄い導電性膜を指す。透過性導体は、表面導電率を有しつつ、適度な光透過性を維持するように製造され得る。そのような表面導電透過性導体は、フラット液晶ディスプレイ、タッチパネル、エレクトロルミネセント素子、および薄膜光電池内の透過性電極として、帯電防止層として、ならびに電磁波遮蔽層として、広く使用されている。
【0004】
現在、インジウムスズ酸化物(ITO)等の真空蒸着金属酸化物は、ガラスおよびポリマー膜等の誘電表面に、光学的透過性および導電性を提供するための業界標準材料である。しかしながら、金属酸化物膜は、曲げまたは他の物理的応力を受ける際に、脆弱かつ損傷しやすい。また、高導電率レベルを達成するために、高蒸着温度および/または高焼鈍温度を必要とする。また、プラスチックおよび有機基板、例えば、ポリカーボネート等、湿気を吸収しやすい基板への金属酸化物膜の接着に関する問題が生じる場合がある。したがって、可撓性基板上における金属酸化物膜の塗布は、大幅に制限される。加えて、真空蒸着は、コストがかかるプロセスであって、特殊機器を必要とする。さらに、真空蒸着のプロセスは、パターンおよび回路を形成することにはつながらない。これは、典型的には、フォトリソグラフィ等の高価なパターニングプロセスの必要性をもたらす。
【0005】
また、導電性ポリマーは、光学的透過性電導体として使用されている。しかしながら、概して、金属酸化物膜と比較して、より低い導電率値およびより高い光吸収率(特に、可視波長において)を有し、化学的および長期的安定性の欠如を被る。
【0006】
近年、導電性ナノ構造を使用して形成される透過性導体が開発され、上述の種類の透過性導体に優るいくつかの利点を提供する。特に、導電性ナノ構造を使用して形成される透過性導体は、比較的に可撓性であって、湿潤塗膜プロセスを使用して加工可能であって、望ましい電気的および光学的性質を呈し得る。そのような透過性導体は、例えば、米国特許出願第11/766,552号、同第11/504,822号、同第11/871,767号、および同第11/871,721号に開示されており、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。加えて、いくつかの上述の素子用途は、比較的に大きな連続的な導電性面積を有する透過導電性シートを使用することが可能であるが、また、これらの用途の多くは、小規模な面積、パターン、トレース、ライン、または他のそのような特徴のみが導電性である層を必要とする。ナノ構造ベースの透過性導体をパターニングするための方法が開発されているが、そのようなパターニングプロセスは、製造上の非効率性をもたらす場合がある。故に、導電性パターンまたは特徴を有する、ナノ構造ベースの導電性膜の生成を可能にする必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、導電性特徴が基板上に形成され、導電性特徴が、金属異方性ナノ構造を含み、導電性特徴が、基板上に金属異方性ナノ構造を含有する塗膜溶液をスクリーン印刷することによって形成される。本発明による導電性特徴をスクリーン印刷するための塗膜溶液は、好ましくは、増粘剤と、金属異方性ナノ構造とを含む。さらに、塗膜溶液は、溶剤と、基剤とを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明による、浸透閾値を上回る異方性ナノ構造を含む、導電性特徴の図面である。
【図2】図2は、浸透閾値を下回る異方性ナノ構造を含む、特徴の図面である。
【図3】図3は、一実施形態による、TFTバックプレーンのスイッチング素子の断面図である。
【図4】図4は、本発明による、ナノ構造に基づく透過性電極を備えるディスプレイ素子を示す。
【図5】図5は、一実施形態による、上部ゲート型TFTに基づくLCDの断面図を示す。
【図6】図6は、一実施形態による、PDPの断面図を示す。
【図7】図7は、一実施形態による、ホモ接合太陽電池構造を示す。
【図8】図8は、別の実施形態による、ヘテロ接合太陽電池構造を示す。
【図9】図9は、別の実施形態による、多接合太陽電池構造を示す。
【図10】図10は、本発明による圧力による後処理を導電性特徴に適用した結果を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によると、透過導電性の層および特徴は、導電性ナノ構造を含む塗膜溶液のスクリーン印刷によって、基板上に形成可能である。スクリーン印刷は、網目またはスクリーンを使用して、概して、インクがスクリーンを通って基板へと通過することを遮断する1つ以上の特徴を含む、ステンシルを支持する基板に塗膜溶液を塗布する方法である。インクは、ローラ、スキージ、または他のスクリーンの表面を横断するような素子によって、スクリーンを通して送出される。
【0010】
ステンシルの特徴に正確に整合する基板上の鋭利な特徴を生成するためのスクリーン印刷プロセスの場合、塗膜溶液は、比較的に高粘度を有していなければならない。特に、好ましくは、塗膜溶液が200cP超、より好ましくは、約900cP超の粘度を有する場合である。しかしながら、後述のように、導電性である基板上に形成される特徴の場合、その中の導電性ナノ構造は、導電ネットワークを形成することが可能であるように、適度に分散していなければならない。そのような適度な分散は、効果的にスクリーン印刷することに対して十分な高粘度の塗膜溶液中において達成することは困難であり得る。本発明によると、金属異方性ナノ構造を有する塗膜溶液を使用して、基板上に透過導電性特徴をスクリーン印刷する。
【0011】
(導電性ナノ構造)
本発明による塗膜溶液は、好ましくは、導電性ナノ構造を含む。本明細書で使用されるように、「ナノ構造」とは、概して、ナノサイズの構造を指し、その少なくとも1つの寸法は、500nm未満、より好ましくは、250nm、100nm、または25nm未満である。好ましくは、本発明による塗膜溶液中において使用されるナノ構造は、異方性に成形される、すなわち、1に等しくないアスペクト比(長さと直径との比)を有する。透過導電性特徴を生成する際の等方性ナノ構造の使用は、所望のレベルの導電率を達成するために、比較的高い重量パーセント(すなわち、表面装填レベル)のそのようなナノ構造が必要とされる場合があるために、困難であり得る。そのような高装填レベルは、ヘイズ(例えば、概して、高ヘイズをもたらす)および透過性(例えば、概して、低い透過性をもたらす)等の光学的性質に容認不可能な程度の影響を及ぼし得る。しかしながら、スクリーン印刷用途における異方性ナノ構造の使用は、ナノ構造の長さが、好適な粘性塗膜溶液中のナノ構造の分散を困難にし得るので、挑戦的であり得る。本発明によるスクリーン印刷の塗膜溶液および方法は、有利には、これらの困難点を克服する。
【0012】
ナノ構造は、中実または中空であり得る。中実の異方性ナノ構造は、例えば、ナノワイヤを含む。中空の異方性ナノ構造は、例えば、ナノチューブを含む。典型的には、異方性ナノ構造は、直径5乃至500nm、より好ましくは、10乃至100nm、より好ましくは、30乃至90nmと、長さ100nm乃至10μm、より好ましくは、500nm乃至1μmを有する。
【0013】
ナノ構造は、任意の導電性材料から形成することが可能である。最も典型的には、導電性材料は金属である。半導性または非導電性ナノ構造は、容認可能な導電率を達成するために、比較的高い割合のそのような材料が使用される必要がある場合があるため、概して、本明細書に開示される基板上に透過導電性特徴を生成するための方法および装置との併用性能が良くない。そして、そのような比較的大きい量は、生成される特徴の光学特性に悪影響を及ぼす場合がある。金属材料は、好ましくは、純金属、金属合金、または2種類以上の金属を備える二元金属材料であり得る。好適な金属は、銀、金、銅、ニッケル、金めっき銀、白金、およびパラジウムを含むが、それらに限定されない。また、金属の大気酸化によって生じる少量の酸化物も存在する場合があると考えられる。
【0014】
導電性の異方性ナノ構造は、好ましくは、本発明による塗膜溶液中の主要な導電性媒体として使用され得る。好ましい種類の異方性金属ナノ構造は、金属ナノワイヤを含む。金属ナノワイヤは、金属、金属合金、またはめっき金属から形成されるナノワイヤである。好適な金属ナノワイヤは、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、ニッケルナノワイヤ、金めっき銀ナノワイヤ、白金ナノワイヤ、およびパラジウムナノワイヤを含むが、それらに限定されない。同時係属中の同一出願人に所有される米国特許出願第11/766,552号、同第11/504,822号、同第11/871,767号、および同第11/871,721号は、金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)を調製する方法を記載しており、その記載は、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0015】
主要な導電性媒体中で使用される別の好ましい種類の異方性金属ナノ構造は、金属ナノチューブを含む。2008年4月18日出願の同時係属中の同一出願人に所有される米国特許出願第12/106,244号は、金属ナノチューブ(例えば、金ナノチューブ)を調製する方法を記載しており、その記載は、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0016】
種々の実施形態では、導電性ナノワイヤは、長さ約5−100μmおよび直径5−100nm(すなわち、横断面)である。ある実施形態では、ナノワイヤは、長さ約5−30μmおよび直径20−80nmである。好ましい実施形態では、ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)は、長さ約20μmおよび直径50nmである。好適なナノチューブは、ナノワイヤの場合に記載のものと類似する寸法を有する。ナノチューブの場合、直径とは、ナノチューブの外径を指す。
【0017】
(導電性特徴)
基板上に形成される導電性特徴では、異方性ナノ構造は、浸透プロセスを介して、導電ネットワークを形成する。浸透導電性は、導電路が相互接続する異方性ナノ構造を介して形成されると、確立され得る。電気的浸透の閾値に到達し、導電性となるために十分なナノ構造が存在しなければならない。したがって、電気的浸透閾値は、ナノ構造の装填密度または濃度と相関する値であって、それを上回ると、長期的な接続性が達成され得る。典型的には、装填密度とは、面積当たりのナノ構造の数を指し、「数/μm」によって表され得る。
【0018】
同時係属中の米国特許出願第11/504,822号に記載されるように、異方性ナノ構造のアスペクト比が高い程、浸透導電率を達成するためには、より少ないナノ構造が必要とされる。ナノワイヤまたはナノチューブ等の異方性ナノ構造の場合、電気的浸透閾値あるいは装填密度は、ナノワイヤもしくはナノチューブの長さ(長さの2乗)に逆相関する。同時係属中の同一出願人に所有される米国特許出願第11/871,053号(参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)は、異方性ナノ構造の大きさ/形状と、浸透閾値における表面装填密度との間における、理論的ならびに経験的関係を詳細に記載している。
【0019】
図1は、基板(図示せず)の表面上の導電性特徴5を図式的に示しており、導電ネットワークは、電気的浸透閾値以上の導電異方性ナノ構造20によって形成される。導電路は、相互接続するナノ構造20によって形成される(例えば、経路は、ナノ構造の連結を通してネットワークの一端から他端までトレース可能である)。したがって、電流は、異方性ナノ構造ネットワークをわたって伝えられることが可能である。
【0020】
本明細書で使用されるように、「導電ネットワーク」または「ネットワーク」とは、電気的浸透閾値を上回る導電性ナノ構造によって形成される、相互接続しているネットワークを指す。典型的には、導電ネットワークは、10オーム/スクエア(また、「Ω/□」とも称される)以下の表面抵抗率を有する。好ましくは、表面抵抗率は、10Ω/□、3,000Ω/□、1,000Ω/□、または100Ω/□以下である。典型的には、金属ナノワイヤまたはナノチューブによって形成される導電ネットワークの表面抵抗率は、10Ω/□乃至1000Ω/□、100Ω/□乃至750Ω/□、50Ω/□乃至200Ω/□、100Ω/□乃至500Ω/□、100Ω/□乃至250Ω/□、10Ω/□乃至200Ω/□、10Ω/□乃至50Ω/□、または1Ω/□乃至10Ω/□の範囲である。そのような抵抗範囲は、導電性特徴の対向端に接触する2点抵抗プローブによって得られるようなものであり、結果として得られた抵抗を、特徴を構成するスクエア数によって除すことによって得られる。例えば、長さ100μmおよび幅1μmの特徴は、100スクエアから構成されるであろう。
【0021】
また、図1に示されるように、異方性ナノ構造は、ワイヤ間空間30を画定する。浸透閾値以上では、ワイヤ間空間のサイズ(また、「網目サイズ」とも称される)は、ネットワークの導電率と相関する。典型的には、より小さい網目サイズは、より密に分布するナノ構造を意味し、言い換えると、より高い導電率に相当する。
【0022】
また、網目サイズは、ナノ構造表面装填レベルの指標としても使用され得る。例えば、所与の長さの異方性ナノ構造の場合、表面装填が少ない程、より大きな網目サイズをもたらすであろう。網目サイズがある閾値を上回ると、ナノ構造は離間し過ぎており、浸透はもはや不可能となり、事実上、ワイヤ間空間が絶縁体となり得る。図2は、特徴5’を示しており、ナノ構造20’は、完全なネットワークを形成するには不十分な密度状態にある。ワイヤ間空間30’は、絶縁状態となる。換言すると、図1と比較して、低密度のナノ構造のため、網目サイズが拡張し、ナノ構造間の導電性がこわされる。
【0023】
(塗膜溶液)
上述のように、導電性である表面特徴を生成するためには、特徴内に浸透ネットワークを形成するように、異方性ナノ構造装填レベルが十分であることが重要である。故に、塗膜溶液中の異方性ナノ構造の量および分散は、導電性表面特徴を生成することを可能にするために重要である。さらに、塗膜溶液は、基板上に鮮明なラインの正確な特徴を生成するために十分に高い粘度でなければならない。
【0024】
一実施形態による塗膜溶液は、好ましくは、増粘剤と、金属異方性ナノ構造とを含む。特に、本実施形態による塗膜溶液は、99.0乃至99.9重量%の増粘剤と、0.1乃至1.0重量%の金属異方性ナノ構造とを含み得る。好適な異方性ナノ構造は、上述の通りである。増粘剤は、例えば、Dupont(登録商標) 3517、Toyobo Vylonal(登録商標)、およびBorchi(登録商標) PW 25を含み得る。また、これらおよび他のポリエステルならびにポリウレタンが、本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、増粘剤として使用されることも考えられる。本発明による塗膜溶液の別の実施形態は、99乃至999の重量比の増粘剤の金属ナノ構造に対する比率を有し得る。そのような実施形態では、増粘剤は、例えば、Dupont(登録商標) 3517、Toyobo Vylonal(登録商標)、およびBorchi(登録商標) PW 25であってもよく、金属ナノ構造は、例えば、銀ナノワイヤおよび/または金ナノチューブ、あるいは本明細書に開示される任意の他の金属異方性ナノ構造であってもよい。
【0025】
別の実施形態による塗膜溶液は、好ましくは、増粘剤と、金属異方性ナノ構造と、溶剤と、基剤とを含む。特に、本実施形態による塗膜溶液は、例えば、Polymer Innovations(登録商標) WB40B−63またはWB40B−64等の0.1乃至8重量%の増粘剤と、例えば、水酸化アンモニウムまたは任意の他の基剤等の0.01乃至0.2重量%の基剤と、0.5乃至1重量%の金属異方性ナノ構造と、例えば、水またはアルコール等の任意の他の溶剤等の90.8乃至99.4重量%の溶剤とを含み得る。Polymer Innovations(登録商標) WB40B−63またはWB40B−64のいずれの場合も、溶液は、基剤と中和されると濃厚化する。したがって、これらの増粘剤のうちのいずれかを使用する際に、好ましくは、基剤の添加に先立って、ナノ構造が添加および分散される。本発明による塗膜溶液の別の実施形態は、0.1乃至16の増粘剤と金属ナノ構造との重量比と、0.01乃至0.4の基剤の金属ナノ構造に対する重量比と、90.8乃至198.8の溶剤の金属ナノ構造に対する重量比とを有し得る。そのような実施形態では、増粘剤は、例えば、Polymer Innovations(登録商標) WB40B−63またはWB40B−64(また、本明細書に開示される任意の他の実施形態において、増粘剤として使用されてもよい)であってもよく、基剤は、例えば、水酸化アンモニウムまたは任意の他の基剤であってもよく、溶剤は、例えば、水またはアルコール等の任意の他の溶剤であってもよく、金属ナノ構造は、例えば、銀ナノワイヤおよび/または金ナノチューブ、あるいは本明細書に開示される任意の他の金属異方性ナノ構造であってもよい。
【0026】
別の実施形態では、本発明による塗膜溶液は、好ましくは、増粘剤と、金属異方性ナノ構造と、溶剤とを含む。特に、本実施形態による塗膜溶液は、例えば、エチルセルロース(例えば、Dow(登録商標)製のEthocel(登録商標)100、200、300)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Sigma Aldrich Cat#423173およびMethocel(登録商標)311)(そのうちのいずれかは、本明細書に開示される任意の他の実施形態において、増粘剤として使用されてもよい)等の1乃至10重量%の増粘剤と、0.1%乃至1重量%の金属異方性ナノ構造と、例えば、水、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル、ベンジルアルコール、およびジアセトンアルコール等の89乃至98.9重量%の溶剤とを含み得る。セルロース材料のいずれかを増粘剤として使用する際に、溶液中に溶解されると、材料は、粘度を増す。したがって、セルロース増粘剤を使用する際に、水中に増粘剤を溶解することに先立って、ナノ構造中に混合することが好ましい。本発明による塗膜溶液の別の実施形態は、1乃至100の増粘剤と金属ナノ構造との重量比と、89乃至989の溶剤の金属ナノ構造に対する重量比とを有し得る。そのような実施形態では、増粘剤は、例えば、エチルセルロース(例えば、Dow(登録商標)製のEthocel(登録商標)100、200、300)、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Sigma Aldrich Cat#423173およびMethocel(登録商標)311)であってもよく、溶剤は、例えば、水、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル、ベンジルアルコール、およびジアセトンアルコールであってもよく、金属ナノ構造は、例えば、銀ナノワイヤおよび/または金ナノチューブ、あるいは本明細書に開示される任意の他の金属異方性ナノ構造であってもよい。
【0027】
(基板)
本明細書で使用されるように、「基板」、すなわち、「選択基板」とは、導電性特徴が塗膜される材料を指す。基板は、剛性または可撓性であり得る。基板は、透明または不透過性であり得る。好適な剛性基板は、例えば、ガラス、ポリカーボネート、アクリル等を含む。好適な可撓性基板は、ポリエステル(例えば、テレフタル酸ポリエチレン(PET)、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、ポリオレフィン(例えば、線状、分岐、および環状ポリオレフィン)、ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリアクリル酸等)、セルロースエステル基(例えば、三酢酸セルロース、酢酸セルロース)、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、シリコーン等のポリスルホン、ならびに他の従来のポリマー膜を含むが、それらに限定されない。好適な基板の付加的実施例は、例えば、米国特許第6,975,067号に見出され得る。
【0028】
(後処理)
場合によっては、本明細書に記載されるように、基板上に特徴をスクリーン印刷後、印刷された特徴は、その意図される使用に十分な導電率でなくてもよい。したがって、本発明によると、いくつかのスクリーン印刷後処理が、特徴および基板上で行なわれ得る。
【0029】
印刷された特徴の導電率を増加させるために見出された印刷後処理の1つは、特徴を乾燥させた後に、印刷された特徴をアルコールによって洗浄することである。第2のそのような印刷後処理は、基板上に特徴を焼成することである。一実施形態では、焼成後処理は、例えば、熱板上に基板および特徴を載置することによって、行なわれ得る。また、基板および特徴は、オーブンまたは焼成のために他の加熱環境内に載置され得る。
【0030】
加えて、アルゴンまたは他の不活性ガス雰囲気への印刷された特徴の曝露は、特徴の導電率を増加させ得ることが見出されている。例えば、アルゴンまたは酸素プラズマによる印刷された特徴の表面処理は、特徴の導電率を増加させ得る。例示的実施例として、ArまたはNプラズマ処理は、以下の動作パラメータ:300W、90秒(または、45秒)、ArまたはNガス流:12sccm、圧力〜300mTorrを使用して、March PX250システム内で行なわれ得る。また、他の周知の表面処理、例えば、コロナ放電またはUV/オゾン処理が、使用されてもよい。例えば、Enercon製のシステムが、コロナ処理の場合に使用され得る。
【0031】
後処理の一部として、印刷された特徴は、さらに圧力処理され得る。一実施形態では、特徴が印刷される基板は、ラミネータのローラを通して送出され、圧力がその表面に印加される。また、単一のローラも使用可能であることを理解されたい。
【0032】
有利なことに、本明細書に記載される方法によって加工される導電性特徴への圧力の印加は、特徴の導電率を増加させ得る。特に、圧力は、1つ以上のローラ(例えば、円筒形バー)の使用によって、本明細書に記載される方法によって加工される導電性特徴の一方または両方の表面に印加され得、それの一方または両方が、導電性層の幅寸法より大きい長さ寸法を有し得るが、そうである必要はない。単一のローラが使用される場合、基板は、剛性表面上に載置され、周知の方法を使用して、単一のローラがその露出表面を横断して転動される間に、圧力がローラに印加され得る。
【0033】
一実施形態では、50乃至10,000psiが、1つ以上のローラによって、透過性導体に印加されてもよい。また、100乃至1000psi、200乃至800psi、300乃至500psi、または最大3000psiが印加されてもよいと考えられる。好ましくは、必ずしもではないが、圧力は、後述の任意の基質または被膜材料の塗布に先立って、導電性特徴に印加される。
【0034】
「ニップ」または「ピンチ」ローラは、2つ以上のローラが使用され、導電シートに圧力を印加する場合に使用されてもよい。ニップまたはピンチローラは、当技術分野において十分理解されており、例えば、3M Technical Bulletin 「Lamination Techniques for Converters of Laminating Adhesives」(2004年3月)に論じられており、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。印刷された特徴への圧力の印加は、単一回または複数回行なわれてもよい。例えば、積層によって、圧力が複数回印加される場合、積層は、シートの被転動表面と平行な軸に対して、毎回同一方向に、または異なる方向に、行なわれ得る。
【0035】
(基質または被膜)
基板上への導電性特徴の蒸着後、ある実施形態では、導電性特徴の上部に被膜または基質を蒸着することが好ましい場合がある。被膜または基質とは、導電性ナノ構造が分散あるいは埋め込まれている中実状態の材料を指す。異方性ナノ構造の一部は、被膜または基質材料から突出し、導電ネットワークへのアクセスを可能にし得る。被膜または基質は、ナノ構造のための宿主として作用し得る。被膜または基質は、浸食および摩耗等の有害環境要因から金属ナノ構造を保護し得る。特に、基質は、微量の酸、酸素、硫黄等の湿潤環境において、浸食要素の浸透を大幅に低減し得る。加えて、被膜または基質は、好ましい物理的および機械的特性を導電性特徴にもたらす。例えば、基板への接着を提供可能である。さらに、金属酸化物膜と異なり、異方性ナノ構造が埋め込まれるポリマーまたは有機基質は、頑強かつ可撓性である。
【0036】
さらに、導電性層の光学特性は、適切な基質材料を選択することによって、調整することが可能である。例えば、反射損および望ましくないグレアは、望ましい屈折率、組成、および厚さの基質を使用することによって、効果的に軽減され得る。
【0037】
典型的には、基質は、光学的透明材料である。材料は、材料の光透過率が可視領域の少なくとも80%(400nm−700nm)である場合、「光学的に透明」または「光学的に透過性」であると考えられる。特別の定めのない限り、本明細書に記載される透過性導体内の全層(基板および異方性ナノ構造層を含む)が、好ましくは、光学的に透明である。基質の光学的透明度は、典型的には、屈折率(RI)、厚さ、厚さ全体のRIの一貫性、表面(界面を含む)反射、ならびにヘイズ(表面粗度および/または埋入粒子によって生じる散乱損失)を含むが、それらに限定されない、多数の要因によって決定される。
【0038】
ある実施形態では、基質は、厚さ約10nm乃至5μm、約20nm乃至1μm、または約50nm乃至200nmである。他の実施形態では、基質は、約1.3乃至2.5、または約1.35乃至1.8の屈折率を有する。ある実施形態では、基質は、ポリマーであって、それは、またポリマー基質とも称される。光学的に透明なポリマーは、当技術分野において周知である。好適なポリマー基質の実施例は、ポリメタクリル酸(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリル酸、およびポリアクリロニトリル等のポリアクリル、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、テレフタル酸ポリエチレン(PET)、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、フェノールまたはクレゾールホルムアルデヒド(ノボラックs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリサルフォン、ポリフェニレン、およびポリフェニルエーテル等の高芳香族性を伴うポリマー、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、および環状オレフィン)、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)、セルロース誘導体、シリコーンおよび他のシリコン含有ポリマー(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、およびフッ素ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、またはポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロオレフィンおよび炭化水素オレフィンのコポリマー(例えば、Lumiflon(登録商標))、ならびにアモルファスフルオロカーボンポリマーあるいはコポリマー(例えば、Asahi Glass Co.製のCYTOP(登録商標)またはDu Pont製のTeflon(登録商標)AF)を含むが、それらに限定されない。
【0039】
他の実施形態では、本明細書に記載されるポリマー基質は、部分的重合または部分的硬化ポリマーを備える。完全重合または完全硬化の基質と比較して、部分的硬化基質は、より低い架橋結合および/または重合度ならびに低分子量を有する。したがって、部分的重合基質は、ある条件下においてエッチング可能であって、パターニングは、従来のフォトリソグラフィを使用して可能である。適切な重合条件下において、部分的硬化基質は、さらに硬化されてもよく、さらなる架橋結合および重合が行なわれ、部分的硬化基質よりも高分子量の基質を提供する。部分的硬化基質は、エッチングされ、続いて、さらなる硬化ステップが続き、パターン化され、完全硬化透過導電性特徴を提供可能である。好適な部分的硬化ポリマーの実施例は、部分的硬化アクリレート、シリコーンエポキシ、シロキサン、ノボラック、エポキシ、ウレタン、シルセスキオキサン、またはポリイミドを含むが、それらに限定されない。
【0040】
さらなる実施形態では、基質は、無機材料である。例えば、シリカ、ムライト、アルミナ、SiC、MgO−Al−SiO、Al2O−SiO、MgO−Al−SiO−LiO、またはそれらの混合物に基づくゾルゲル基質が、使用可能である。ある実施形態では、基質自体が、導電性である。例えば、基質は、導電性ポリマーであり得る。導電性ポリマーは、当技術分野において周知であって、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン、ポリチオフェン、およびポリジアセチレンを含むが、それらに限定されない。
【0041】
(電気および光学特性)
導電性ナノ構造を有する方法および塗膜溶液を使用して生成される透過導電性特徴は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%(空気を基準として使用)の光透過率を有し得る。ヘイズは、光散乱指数である。これは、透過の際に入射光から分離し、散乱される光の量の割合を指す(すなわち、透過ヘイズ)。主として媒体の特性である光の透過と異なり、ヘイズは、多くの場合、生産に関係し、典型的には表面粗度および媒体中の埋込み粒子または組成の不均一性によって生じる。種々の実施形態では、透過性導電特徴のヘイズは、10%以下、8%以下、5%以下、3%以下、または1%以下である。
【0042】
本明細書に論じられるように、本発明による導電性特徴は、電気的浸透閾値を上回るナノ構造の相互接続ネットワークを含む。典型的には、本発明による導電性特徴は、10オーム/スクエア(また、「Ω/□」とも称される)以下の抵抗率を有する。好ましくは、抵抗率は、10Ω/□、3,000Ω/□、1,000Ω/□、または100Ω/□以下である。典型的には、抵抗率は、10Ω/□乃至1000Ω/□、100Ω/□乃至750Ω/□、50Ω/□乃至200Ω/□、100Ω/□乃至500Ω/□、100Ω/□乃至250Ω/□、10Ω/□乃至200Ω/□、10Ω/□乃至50Ω/□、または1Ω/□乃至10Ω/□の範囲である。
【0043】
上述のように、導電性特徴は、単一の特徴を形成する場合、基板上に塗膜溶液の複数の被膜を層化することによって、基板上に形成され得る。そのような複数の層化は、概して、特徴の抵抗率を低減させるが、また、ヘイズを増加させ、特徴の透過率を低下させ得る。
【0044】
(用途)
本明細書に開示されるスクリーン印刷方法および装置を使用して生成される透過導電性特徴を有する基板は、現在、金属酸化物膜等の透過性導体を利用する任意の素子を含む、種々の素子内の電極として使用可能である。好適な素子の実施例は、LCD等のフラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、着色フラットパネルディスプレイ用カラーフィルタ、タッチスクリーン、電磁遮蔽、機能ガラス(例えば、電界変色性窓用)、ELランプおよび光電池を含む光電子素子等を含む。加えて、本明細書の透過導電性特徴は、可撓性ディスプレイおよびタッチスクリーン等の可撓性素子内で使用可能である。
【0045】
((a)液晶ディスプレイ)
LCDは、外部電場により光の透過率を制御することによって、画像を表示するフラットパネルディスプレイである。典型的には、LCDは、液晶セルのマトリクス(すなわち、「ピクセル」)と、ピクセルを駆動するための駆動回路とを含む。各液晶セルは、共通電極に対して、液晶セルに電場を印加するためのピクセル電極を備える。ピクセル電極の各々が、薄膜トランジスタ(TFT)にともに接続される場合、スイッチング素子として機能し、すなわち、ピクセル電極は、TFTを介して印加されるデータ信号に従って、液晶セルを駆動する。
【0046】
TFT LCDパネルは、その間に介在している液晶セルを伴う、2つの基板を備える。ピクセル電極は、各液晶セルのための下方基板上に提供されるが、共通電極は、上方対向基板の表面全体に一体的に形成される。したがって、下方基板(また、TFTアレイ基板またはTFTバックプレーンとも称される)は、対応するピクセル電極に接続される、薄膜トランジスタのアレイを備える。上方対向基板は、カラーフィルタ(その組み合わせは、カラーフィルタ基板と称される場合もある)上に塗膜され得る、共通電極を備える。
【0047】
従来、ピクセル電極は、十分な光を透過させるために、高透過性ITO膜から成る。上述のように、ITO膜は、加工にコストがかかり、可撓性基板上で使用される場合、亀裂を受けやすい場合がある。本明細書に記載される異方性ナノ構造ベースの透過性導体特徴は、TFTピクセル電極の加工に代替方法をもたらす。
【0048】
概して、本明細書に記載される薄膜トランジスタは、当技術分野において任意の周知の方法に従って、加工可能である。ナノワイヤベースのピクセル電極は、異方性ナノ構造透過導電性塗膜によって、TFTバックプレーンの特徴をインクジェットすることによって、形成可能である。
【0049】
本明細書に開示されるナノ構造ベースの透過導電性特徴は、LCD技術において現在使用されているあらゆるTFT構成と互換性がある。一般に、薄膜トランジスタは、底部ゲート型と上部ゲート型の2つの広義のカテゴリに分類される。底部ゲートTFTでは、ゲート電極は、活性層下に配置されるが、上部ゲート型TFTでは、ゲート電極は、活性層上に配置される。底部ゲート薄膜トランジスタは、典型的には、上部ゲート型薄膜トランジスタと比較して、優れた信頼性を有する。これらの構造的構成は、例えば、Modern Liquid Crystal Process Technologies’99(Press Journal,1998,pp.53 to 59)およびFlat Panel Display 1999(Nikkei BP,1998,pp.132 to 139)により詳細に記載されている。さらに、活性面積を形成する材料の種類に応じて、薄膜トランジスタは、また、非晶形シリコン、多結晶シリコン、および有機半導体に基づき得る。
【0050】
図3は、一実施形態による、TFTバックプレーンのスイッチング素子の断面図を示す。示されるように、スイッチング素子394は、底部ゲート薄膜トランジスタ396と、ナノ構造ベースのピクセル電極398とを備える。薄膜トランジスタは、基板402上に形成される、ゲート電極400を含む。ゲート電極は、フォトリソグラフィによって画定される、金属層(例えば、Mo−Al−Cd)であり得る。ゲート絶縁層406は、ゲート電極400上にある。薄膜トランジスタ396は、絶縁層410と、第1の半導体層414(例えば、アモルファスシリコン)と、第2の半導体層418(例えば、n+ドープアモルファスシリコン)とをさらに含み、すべて、島状の構造を形成するように画定される。ソース電極422およびドレイン電極426は、チャネル430を画定し、第1の半導体層414(すなわち、活性層)の一部を露出させる。さらなる保護層434は、島構造、ソース、およびドレイン電極を被覆する一方、接触正孔438を露出させる。保護層434は、例えば、シリコン窒化物層である。ナノ構造ベースの透過導電性特徴442は、ピクセル電極398を形成するパターンで薄膜トランジスタ396上に塗膜される。TFTバックプレーンの他の部分では、同一ナノ構造ベースの透過性導体特徴442は、また、信号線範囲446を画定するようにパターン化され得る。さらなる実施形態では、上述のスイッチング素子は、液晶ディスプレイ(LCD)素子内に組み込まれ得る。
【0051】
図4は、TFTバックプレーン501と、カラーフィルタ基板502とを備える、LCD素子500を図式的に示す。バックライト504は、偏光子508およびガラス基板512を通して、光を投影させる。複数の第1の透過性導体細片520は、底部ガラス基板512と第1の整合層522(例えば、ポリイミド層)との間に配置される。各透過性導体細片520は、データライン524と交互する。スペーサ530は、第1の整合層522と第2の整合層532との間に提供され、整合層は、その間に液晶536を挟着する。複数の第2の透過性導体細片540は、第2の整合層532上に配置され、第2の透過性導体細片540は、第1の透過性導体細片520から直角に向く。第2の透過性導体細片540は、不動態化層544と、着色基質のカラーフィルタ548と、上部ガラス基板550と、偏光子554とによって、さらに塗膜される。有利なことに、透過性導体細片520および540は、それぞれ、底部ガラス基板および整合層上にスクリーン印刷された本明細書に開示される透過導電性特徴を使用して、形成可能である。従来採用されていた金属酸化物細片(ITO)と異なり、コストのかかる蒸着またはエッチングプロセスが必要ない。
【0052】
図5は、別の実施形態による、上部ゲート型TFTに基づくLCDの断面図を示す。示されるように、LCD542は、TFT基板544と、カラーフィルタ基板546とを有し、液晶層548が、それらの間に介在している。上述のように、TFT基板544では、薄膜トランジスタ550およびピクセル電極552は、底部透過性基板554上に基質構成として配列される。共通電圧が供給され得る共通電極556およびカラーフィルタ558は、上部透過性基板560上に配置される。ピクセル電極552と共通電極556との間に印加される電圧は、それらの間に液晶548を伴って、互いに対向し、液晶セル(ピクセル)を駆動する。
【0053】
底部透過性基板554上のピクセルの各々に対して配置される薄膜トランジスタ550は、上部ゲート型TFTであって、そのゲート電極562は、活性層564上に位置する。TFTの活性層564は、当技術分野において周知の方法に従って、底部基板554上にパターン化される。ゲート絶縁層566は、活性層564上にあり、それを被覆する。ゲート電極562に対向する活性層564の一部は、チャネル領域564cである。不純物ドープを伴うドレイン領域564dおよびソース領域564sは、チャネル領域564cの両側に配置される。活性層564のドレイン領域564dは、また、ゲート電極562を被覆する層間絶縁層568内に形成される接触正孔を通して、ドレイン電極566としても機能するデータラインに接続される。また、絶縁層570は、データラインおよびドレイン電極566を被覆するように配置される。ピクセル電極552を形成するナノ構造ベースの透過導電性特徴は、絶縁層570上に配置される。ピクセル電極552は、接触正孔を介して、活性層564のソース領域564sに接続される。第1の整合層572は、ピクセル電極上に配置されてもよい。図13は、各ピクセルに対して配置され得る、蓄積容量要素574をさらに示す。蓄積容量要素は、TFTが選択されない場合、液晶容量に印加されるべき表示コンテンツに対応する電荷を維持する。したがって、ピクセル電極552の電圧変化が維持され、あるシーケンスの間、表示コンテンツを不変状態にすることが可能である。また、示されるように、活性層564のソース領域564sは、蓄積容量要素574の第1の電極576としても機能する。蓄積容量要素574の第2の電極578は、ゲート電極562とともに、かつ同一層内に同時に形成可能である。また、ゲート絶縁層566は、第1の電極576と第2の電極578との間の誘電体としても作用する。ゲート電極566(すなわち、ゲートライン)と第2の電極578(すなわち、蓄積容量ライン)とは、平行に配列される。それらは、ピクセル電極552から直角に配向され、ピクセルのマトリクスを画定する。
【0054】
底部ゲートおよび上部ゲート型TFT構成の両方に対して、活性層は、任意の容認可能な半導体材料であり得ることを理解されたい。典型的には、アモルファスシリコンは、蒸着およびパターニングステップの容易性および経済性のため、広く使用されている。また、多結晶シリコンも使用可能である。多結晶シリコンは、アモルファスシリコンよりも優れた電流駆動能力を有するため、スイッチング素子内で使用される場合、優れた性能を提供する。多結晶シリコンの低温蒸着が可能であって、多結晶シリコンベースのTFT製造の代替方法として報告されており、例えば、米国特許第7,052,940号を参照されたい。加えて、また、有機半導体材料も使用可能である。ある実施形態では、有機π共役化合物は、有機TFTの活性層を形成する、有機半導体材料として使用され得る。π共役化合物は、当技術分野において周知であって、ポリピロール、ポリチオフェン(任意に、C60によってドープされてもよい)、ポリピレン、ポリアセチレン、およびポリベンゾチオフェン等を含むが、それらに限定されない。有機TFTの好適な有機半導体材料のさらなる実施例は、例えば、米国特許第7,018,872号に記載されている。
【0055】
本明細書に論じられるように、TFTバックプレーンは、カラーフィルタ基板に対向して、LCD内に配置される(例えば、図24および25参照)。カラーフィルタ基板は、典型的には、透過性基板と、黒色基質(すなわち、光遮蔽層)と、着色ピクセルのアレイとを備える。典型的には、着色ピクセルは、あるパターンにおいて、透過性基板上に配列される。黒色基質は、各着色ピクセルの周囲にグリッドを形成する。ある実施形態では、各着色ピクセルは、色と関連付けられる。他の実施形態では、各着色ピクセルは、より小さい色素範囲(サブピクセルと称される)にさらに分割され、各サブピクセルは、色と関連付けられ得る。典型的には、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)等の原色が使用される。例えば、RGBの3色の反復アレイは、種々の色のカラー画像を生成可能である。着色ピクセルまたはサブピクセルは、原色に限定されず、また、白色、黄色、シアン等の他の色も使用可能である。
【0056】
LCDのモードに応じて、共通電極と単位カラーフィルタとの相対的位置は、TN(ねじれネマチック)モードにおけるものとIPS(面内スイッチング)モードにおけるものとは異なり得る。
【0057】
((b)プラズマディスプレイパネル)
プラズマディスプレイパネルは、プラズマ放電によって発生される紫外線光によって蛍光材料(例えば、蛍光体)を励起させることによって、可視光を放出する。プラズマディスプレイパネルは、2つの絶縁基板(例えば、ガラス板)を採用し、各絶縁基板は、電極およびその上に形成されるバリアリブを有し、個々のセル(ピクセル)を画定する。これらのセルは、1つ以上の不活性ガス(例えば、Xe、Ne、またはKr)で充填され、電場下、イオン化され、プラズマを生成し得る。より具体的には、アドレス電極は、後面ガラス板に沿って、セルの背面に形成される。透過性ディスプレイ電極は、バス電極とともに、正面ガラス板上のセルの正面に搭載される。アドレス電極および透過性ディスプレイ電極は、互いに直交し、セルにおいて交差する。動作時、制御回路は、電極を充電し、正面と背面板との間に電圧差を生じさせ、不活性ガスをイオン化し、プラズマを形成する。
【0058】
金属酸化物透過性導体(例えば、ITO)は、従来、上方ガラス板上の透過性ディスプレイ電極として使用され、プラズマ発生可視光を通過させる。ナノ構造ベースの透過性トレースは、PDP内のディスプレイ電極の好適な電極材料である。それらは、必要な特徴サイズ(例えば、100−300μm)において、本明細書に開示されるようにスクリーン印刷され得る。
【0059】
図6は、一実施形態による、PDPの断面図を示す。PDP606は、下方透過性基板608と、下方透過性基板608上に形成される下方絶縁層610と、下方絶縁層608上に形成されるアドレス電極612と、アドレス電極612および下方絶縁層610上に形成される下方誘電層614と、放電セル618を画定する絶縁壁616と、絶縁壁616上に配置される黒色基質層620と、黒色基質層620および絶縁壁616の両側と、下方絶縁層608上とに形成される蛍光層622と、上方透過性基板624と、上方透過性基板624上に形成され、アドレス電極612に対して直角に配置されるディスプレイ電極626と、ディスプレイ電極626の一部上に形成されるバス電極628と、バス電極628、ディスプレイ電極626、および上方透過性基板624上に形成される上方誘電層630と、上方誘電層630上に形成される保護層(例えば、MgO)632とを含む。ディスプレイ電極は、本明細書に記載される方法に従って蒸着される導電性ナノ構造トレースによって形成され得る。
【0060】
ナノ構造ベースの透過導電性特徴は、光が容認可能な効率性を伴って透過し、ディスプレイパネル上に画像を生成可能なように、透過性電極が、ディスプレイパネル上に配置される、PDPの任意の他の構成にも好適であることを理解されたい。
【0061】
((c)光電池)
太陽放射は、約0.4eV乃至4eVの光子範囲で使用可能なエネルギーを提供する。光起電(PV)セル等の光電子素子は、本範囲にある光子エネルギーを採集し、電力に変換する。光電池は、本質的に、照明下の半導体接合部である。光は、半導体接合部(すなわち、ダイオード)によって吸収され、電子−正孔対は、接合部の両側、すなわち、n型エミッタおよびp型ベース上に生成される。次いで、これらの電荷担体(ベースからの電子およびエミッタからの正孔)は、接合部に拡散し、電場によって掃引され、したがって、素子全体に電流を生成する。半導体接合部は、単一材料(例えば、結晶シリコン)をドープし、p型およびn型側を形成することによって、ホモ接合セル内に形成され得る。PN構造またはP−i−N構造のいずれかが、使用され得る。
【0062】
ヘテロ接合は、2つの異なる半導体を接触させることによって、形成可能である。典型的には、2つの半導体は、異なるバンドギャップを有する。より高いバンドギャップを伴う1つは、その透過性のために選択され、上部層または窓層として配置される。より低いバンドギャップを伴う1つは、底部層を形成し、光吸収材料として機能する。窓層は、ほぼあらゆる入射光を底部層に到達させ、直ちに光を吸収させる。
【0063】
多接合セルは、太陽のスペクトルの大部分を補足するように開発されている。本構成では、個々のヘテロ接合セルは、太陽光が、最初に、最大バンドギャップを有する材料上に当たるように堆積される。次いで、第1のセル内に吸収されない光子は、残りの太陽放射のより高いエネルギー部分を吸収する一方、より低いエネルギー光子に対しては透過性のままである、第2のセルに透過される。これらの選択的吸収プロセスは、最小バンドギャップを有する最終セルまで続く。
【0064】
励起子PVセルでは、pドープおよびnドープ領域の代わりに、異なるバンドギャップの材料が、1つの半導体から別の半導体への電荷移動を介して、電荷を分割および励起するために使用される。電荷分離後、電荷は、電荷収集のための接触電極間の仕事関数の差異によって生じる蓄積電位のために掃引される。例えば、有機光電池は、このように作用し、一方の半導体は、ポリチオフェンであって、他方は、C60であり得る。ポリチオフェンは、光を吸収し、励起が生じる。電子は、ポリチオフェンからC60(電子のより低いエネルギー状態)に遷移する。正孔は、電子同様に、バッキーボール間のホッピングによって収集されるまで、ポリチオフェン骨格に沿って移動する。
【0065】
オーム金属−半導体接点は、太陽電池のn型側およびp型側の両方に提供される。また、多接合セルにおいて、それらは、2つの隣接するセル間に介在している。n型側に生成されるか、または接合部によって「収集され」、n型側に掃引された電子は、ワイヤを通って進行し、負荷に電力を供給し、p型半導体−金属接点に到達するまで、ワイヤを通過し続け得る。透過性導体(例えば、ITO)は、窓層を通って、その下の活性光吸収材料へと光を通過させるとともに、光吸収材料から光生成電荷担体を運搬するオーム接点としての役割を果たすので、太陽電池のための接触材料として望ましい。
【0066】
図7は、ホモ接合太陽電池664を示す。太陽電池644は、上部接点668と、底部接点670と、その間に介在している半導体ダイオード672とを含む。半導体ダイオードは、例えば、上部のpドープシリコンと、底部のNドープシリコンとを伴う、PN構造であり得る。シリコンは、典型的には、結晶シリコンである。より経済的代替例として、多結晶シリコンが、当技術分野において周知の方法に従って使用可能である。また、半導体ダイオードは、アモルファスシリコンから形成可能であって、その場合、P−i−N構造が好ましい。
【0067】
上部接点は、典型的には光学的に透明であって、光入射表面、すなわち、光が最初に太陽電池内に侵入する表面を備える。任意に、基板674は、底部接点670下に存在し得る。また、任意に、バスバー676が形成されて上部接点を覆い得る。バスバー676は、本明細書に記載されるように、ナノ構造ベースの透過導電性ラインをスクリーン印刷することによって、形成されることが可能である。
【0068】
図8は、別の実施形態による、ヘテロ接合太陽電池を示す。示されるように、ヘテロ接合太陽電池680は、上部接点682と、底部接点684と、その間に介在している半導体ヘテロ接合層686とを含む。
【0069】
ある実施形態では、半導体ヘテロ接合層686は、三層構造(例えば、N−i−P)を備える。したがって、ドープ上部半導体層686a、非ドープ中間半導体層686bと、ドープ底部半導体層686cとを備えてもよい。ある実施形態では、第1の半導体層686aは、第3の半導体層686cより高いバンドギャップを有する。
【0070】
第1、第2、および第3の半導体層は、薄膜層として蒸着され得る。好適な半導体材料は、有機半導体材料(本明細書に論じられるように)、テルル化カドミウム(CdTe)、銅インジウムガリウムセレン化物(CIGS)、銅インジウムセレン化物(CIS)等を含むが、それらに限定されない。例えば、典型的なCdTeセルでは、上部層は、p型硫化カドミウム(CdS)であって、中間層は、真性CdTeであって、および底部層は、n型テルル化亜鉛(ZnTe)である。また、半導体ヘテロ接合層686は、NP構造中に上部半導体層686aおよび底部半導体層686cのみを含むことも可能である。
【0071】
薄膜半導体層に基づくヘテロ接合セルは、シリコンベースの太陽電池と比較して、材料コストを節約する。しかしながら、薄膜半導体層の劣った性能のため、そのような素子は、エネルギー変換において、多結晶シリコンベースのセルより低効率である。したがって、一実施形態では、多接合セルが、図9に関連して記載される。示されるように、多接合セル690は、上部から底部まで連続的に、上部接点692と、第1のセル694と、トンネル層696と、第2のセル698と、底部接点700とを含み、上部接点692および底部接点700は、本明細書に開示されるように、導電性ナノ構造ベースの透過性膜から成る。簡潔にするため、多接合セル690は、2つのセルのみを含むように示される。しかしながら、付加的セルが同様に加工され得ることを理解されたい。
【0072】
第1のセル692および第2のセル698は両方とも、図29Bに示される単一の接合太陽電池680と類似の三層構造とを有する。第1のセルは、衝突光により近接し、したがって、第2のセルよりも大きなバンドギャップを有するように選択されるべきである。そうすることによって、第1のセルは、第2のセル698によって吸収され得るより低いエネルギー光子に対して透過性となる。
【0073】
第1のセルと第2のセルとは、セル間の電子の流動を可能にするトンネル層696によって分離される。トンネル層696は、反対にドープされた半導体層を備える、PNダイオードであり得る。
【0074】
上部接点692および底部接点700は、ナノワイヤベースの透過性導体膜である。それらは、本明細書に記載される方法によって調製され得る。太陽電池690は、当業者に認識されるように、基板、バスバー、反射防止膜等の付加的層を含み得る。さらに、本明細書に開示されるナノ構造ベースの透過性膜は、任意の太陽電池構成における1つ以上の接点として好適であることを理解されたい。
【実施例】
【0075】
(実施例1)
(銀ナノワイヤの合成)
銀ナノワイヤは、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)の存在下において、エチレングリコール中で溶解された硝酸銀の還元によって合成した。本方法は、例えば、Y.Sun、B.Gates、B.Mayers、& Y.Xia、「Crystalline silver nanowires by soft solution processing」、Nanolett、(2002)、2(2)165−168に記載されている。一様な銀ナノワイヤは、遠心分離または他の周知の方法によって、選択的に分離可能である。
【0076】
代替として、一様な銀ナノワイヤは、上述の反応混合物への好適なイオン添加剤(例えば、塩化テトラブチルアンモニウム)の添加によって、直接合成可能である。したがって、生成された銀ナノワイヤは、サイズ選択の分離ステップを伴わずに、直接使用可能である。本合成は、本願の譲受人であるCambrios Technologies Corporationの名前に基づく米国仮出願第60/815,627号により詳細に記載されており、その出願は、本明細書に全体として組み込まれる。
【0077】
(実施例2)
(スクリーン印刷導電性塗膜溶液;電気特性)
次いで、本明細書に記載されるように調製し、沈殿および溶剤交換を介して精製した銀ナノワイヤを1週間、水中に沈殿させた。ナノワイヤは、約11.5μm乃至15.5μmの長さ、および約35nm乃至45nmの直径を有していた。水を他へ移し、沈殿ナノワイヤを完全に乾燥させた。次いで、PGMEをナノワイヤに添加し、混合した。次いで、ナノワイヤをさらに1週間沈殿させ、PGMEを他へ移した。次いで、得られたナノワイヤの一部を、2つの異なる増粘剤(Dupont(登録商標) 3617およびBorchi(登録商標)PW 25)に別々に添加し、混合した(各溶液は、約99重量%の増粘剤および約1重量%のナノワイヤを有していた)。また、約1%乃至10重量%のEthocel(登録商標) 300と、各々別個に、約89%乃至98%のPGME、乳酸エチル、ベンジルアルコール、およびジアセトンアルコールを使用して、さらに4つの塗膜溶液を調製し、それぞれ、約1重量%のナノワイヤと混合した。
【0078】
塗膜溶液を各々、AMI−Presco MSP−485スクリーンプリンタを使用して、透過性PET基板上にスクリーン印刷した。基板とスクリーンとの間の空隙を、0.010インチ乃至0.035インチに設定した。デュロメータ90スキージを250の網目ステンレス鋼のスクリーンと併用した。印刷されたパターンは、幅約0.6cmおよび長さ5.6cmのバスバーであった。乳剤厚は、0.0005インチであった。次いで、バスバー特徴を乾燥させた。次いで、各バスバーの抵抗を、Keithly(登録商標) Instruments製の二点オーム計を使用して測定し、各特徴を1分間、アルコールで洗浄し、再度、抵抗を測定した。最後に、各バスバーを最大5分間、120℃で加熱し、再度、アルコールで洗浄し、抵抗を測定した。得られた抵抗測定値を以下の表1に示す。
【0079】
【表1】

Ethocel(登録商標) 300およびBorchi PW 25の抵抗測定値の範囲は、バスバーの両端に沿って異なる点で得られた測定値の結果である。抵抗測定値は、第1のアルコール洗浄後、約10%減少し、焼成および第2のアルコール洗浄後、さらに約10%減少した。示されるように、基板上の導電性特徴は、導電異方性ナノ構造を含有する塗膜溶液をスクリーン印刷することによって生成することが可能である。
【0080】
(実施例3)
(スクリーン印刷導電性塗膜溶液;電気および光学特性)
本明細書に記載されるように調製し、沈殿および溶剤交換を介して精製した銀ナノワイヤを1週間、水中に沈殿させた。ナノワイヤは、約11.5μm乃至15.5μmの長さ、および約35nm乃至45nmの直径を有していた。水を他へ移した。次いで、得られたナノワイヤの一部を異なる重量パーセント(以下の表2および表3に示されるように)のPolymer Innovations(登録商標) WB40B−63(表2)およびWB40B−64(表3)に別々に添加し、0.7重量%の銀ナノワイヤ、以下に示される重量パーセントの増粘剤、残留溶液水を有する溶液を生成した。各混合物は、スクリーン印刷され、透過性PET上に約3×4インチの矩形の導電性特徴を生成した。次いで、各特徴の抵抗率、透過性、およびヘイズを測定した。抵抗率は、Delcom抵抗測定装置および四点接触抵抗測定プローブの両方を使用して測定した。各混合物の抵抗率測定値の結果を以下の表2および表3に示す。
【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

示されるように、増粘剤WB40B−63(表2)または増粘剤WB40B−64(表3)のいずれの場合も、特徴の抵抗は、約0.5%の増粘剤使用後に比較的に非常に高くなる。
【0083】
加えて、1.25%のWB40B−63増粘剤を使用して印刷した特徴を、Pepetools Model PEPE 189.00ラミネータに6回通過させた。各積層後、抵抗を測定した。加えて、ラミネータを6回通過後、特徴をアルゴン雰囲気に曝露させ、再度、抵抗を測定した。積層およびアルゴン処理の結果を図10に示す。抵抗率は、縦軸に示され、ラミネータ通過回数は横軸に示される。「アルゴン」と標識されたバーは、アルゴン処理後の抵抗測定値である。最終バーは、対照バーであって、積層またはアルゴン処置がされていない。示されるように、積層は、6回の積層後、少なくとも10,000kΩ乃至約1kΩ、特徴の抵抗を低減させた。加えて、アルゴン処理は、1kΩを下回るまでさらに抵抗を低減させた。
【0084】
本明細書に参照される、および/または出願データシートに列挙される、上述の米国特許、米国特許出願刊行物、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物はすべて参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0085】
上述から、本発明の具体的実施形態が、例示のために本明細書に記載されたが、種々の修正が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく成されてもよいことが理解されるであろう。故に、本発明は、添付の請求項による場合を除いて限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷のための塗膜組成物であって、
増粘剤と、
金属異方性ナノ構造と
を含む、塗膜組成物。
【請求項2】
異方性ナノ構造に対する増粘剤の比率は、99乃至999である、請求項1に記載の塗膜組成物。
【請求項3】
前記増粘剤は、Dupont(登録商標) 3517、Toyobo Vylonal(登録商標)、およびBorchi(登録商標) PW 25のうちの1つである、請求項2に記載の塗膜組成物。
【請求項4】
溶剤をさらに含む、請求項1に記載の塗膜組成物。
【請求項5】
増粘剤の異方性ナノ構造に対する比率は、1乃至100であり、
溶剤の異方性ナノ構造に対する比率は、89乃至989である、
請求項4に記載の塗膜組成物。
【請求項6】
前記増粘剤は、エチルセルロース、ヒドロプロピルセルロース、およびヒドロキシルプロピルセルロースのうちの1つであって、前記溶剤は、水、PGME、乳酸エチル、ベンジルアルコール、およびジアセトンアルコールのうちの1つである、請求項5に記載の塗膜組成物。
【請求項7】
基剤をさらに含む、請求項1に記載の塗膜組成物。
【請求項8】
増粘剤の異方性ナノ構造に対する比率は、0.1乃至16であり、
溶剤の異方性ナノ構造に対する比率は、90.8乃至198.8であり、
基剤の異方性ナノ構造に対する比率は、0.01乃至0.4である、
請求項7に記載の塗膜組成物。
【請求項9】
前記増粘剤は、Polymer Innovations(登録商標) WB40B−63およびWB40B−64のうちの1つである、請求項8に記載の塗膜組成物。
【請求項10】
前記金属異方性ナノ構造は、金属ナノワイヤおよび金属ナノチューブのうちの1つである、請求項1に記載の塗膜組成物。
【請求項11】
前記金属異方性ナノ構造は、銀ナノワイヤおよび金ナノチューブのうちの1つである、請求項1に記載の塗膜組成物。
【請求項12】
基板上に形成される導電性特徴であって、
該導電性特徴は、金属異方性ナノ構造を含み、
該導電性特徴は、該金属異方性ナノ構造を含有する塗膜溶液を該基板上にスクリーン印刷することによって形成される、導電性特徴。
【請求項13】
請求項12に記載の導電性特徴を含む、液晶ディスプレイ。
【請求項14】
請求項13に記載の導電性特徴を有する、プラズマディスプレイパネル。
【請求項15】
請求項12に記載の導電性特徴を有する、光電池。
【請求項16】
85%超の光透過性を有する、請求項12に記載の導電性特徴。
【請求項17】
3%未満の光学ヘイズを有する、請求項12に記載の導電性特徴。
【請求項18】
200オーム/スクエア未満の抵抗率を有する、請求項12に記載の導電性特徴。
【請求項19】
前記導電性特徴を覆う基質層を有する、請求項12に記載の導電性特徴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−515510(P2011−515510A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548706(P2010−548706)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/001175
【国際公開番号】WO2009/108306
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(510230746)カンブリオス テクノロジーズ コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】