説明

導電材料の充填方法、および多層基板の製造方法

【課題】多層基板を構成する樹脂フィルムに導電材料を適切に充填して、多層基板の層間接続部に熱分解ガスや気泡が残存することを抑制する。
【解決手段】導電材料2として、金属粉末および室温で固化すると共に加熱によって溶融する室温固体溶剤を含む第1導電ペースト21、並びに、金属粉末および室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を含む第2導電ペースト22を用意する。次に、ビアホール101、102内に第2導電ペースト22を刷り込んで充填した後、ビアホール101、102内に加熱されて室温固体溶剤が溶融した第1導電ペースト21を刷り込んで充填する。そして、ビアホール101、102内に充填された第1導電ペースト21を室温まで冷却して固化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層基板に用いられる樹脂フィルムに形成されたビアホール内に導電材料を充填する導電材料の充填方法、およびビアホール内に導電材料が充填された樹脂フィルムを積層して構成される多層基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、配線パターンが形成された複数の樹脂フィルムを積層して積層体を構成し、当該積層体を加熱・圧縮することにより多層基板を形成している。この多層基板では、各樹脂フィルムに形成された配線パターン同士の電気的な接続を行うために、各樹脂フィルムにビアホールを形成し、当該ビアホールに金属粉末を溶剤で練ってペースト状にした導電材料である導電ペーストを充填した後、各樹脂フィルムを積層した状態で導電ペーストに含まれる金属粉末を焼結させる手法が採用されている。
【0003】
多層基板用素材に用いられる導電ペーストとしては、例えば、銀や錫の金属粉末とテレピネオール等の高粘度溶剤から構成される擬粘性流体が用いられているが、当該導電ペーストを樹脂フィルムに形成されたビアホール内に適切に充填することが難しいといった課題がある。
【0004】
例えば、ビアホール内に導電ペーストを充填する際に、導電ペーストに含まれる溶剤が揮発することによって、樹脂フィルムのビア表面にすり鉢状の凹みができてしまうことがある。また、ビアホール内に導電ペーストを充填した後、樹脂フィルムの表面に残存する導電ペーストを除去(ワイプ除去)する際に、樹脂フィルムのビア表面の導電ペーストが余分に拭き取られてしまうことがある。
【0005】
そこで、導電ペーストとして、金属粉末と、金属粉末の焼結温度より低い温度で融解すると共に、室温で固体状態である低融点室温固体樹脂(例えば、パラフィン)との混合物(室温で固体状態の混合物)を採用するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1では、樹脂フィルムのビアホール内に導電ペーストを充填する際に、加熱されて融解した導電ペーストをビアホール内に充填し、その後、ビアホール内に充填された導電ペーストを室温まで冷却して固体状態に戻すようにしている。
【0007】
これにより、導電ペーストを充填する際に、導電ペーストに含まれる溶剤の揮発によってビア表面にすり鉢状の凹みができてしまうことを抑制すると共に、導電ペーストの充填後のワイプ除去においてビア表面の導電ペーストが余分に拭き取られるといった不具合も抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−123760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1では、ビアホールに導電ペーストが充填された各樹脂フィルムを積層して、真空プレス機等によって加熱・圧縮することで、各樹脂フィルムを一括貼り合わせている。この際に、導電ペーストにおける低融点室温固体樹脂を熱分解や揮発させて、導電ペースト内に含まれる熱分解ガスや気泡を排出するようにしている。
【0010】
しかし、特許文献1にて用いられる低融点室温固体樹脂は、従来までの導電ペーストに含まれる溶剤に比べて高い温度で熱分解または揮発するため、各樹脂フィルムを貼り合わせる際に、導電ペーストに含まれる熱分解ガスや気泡の抜けが悪いといった問題がある。この結果、特許文献1では、多層基板における層間接続部に熱分解ガスや気泡が残存し、熱衝撃等の耐久信頼性が劣るといった不具合が生ずる虞がある。このような傾向は、特に、ビア構造として、ビアホールに底面が存在する有底ビア構造や、ビアホールの穴径に対して厚み寸法(深さ)が大きい貫通ビア構造を採用した場合に顕著となることが分かっている。
【0011】
本発明は上記点に鑑みて、多層基板を構成する樹脂フィルムに導電材料を適切に充填して、多層基板の層間接続部に熱分解ガスや気泡が残存することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の樹脂フィルム(100)を積層した積層体を一括して加熱・圧縮して構成される多層基板(1)の製造時において、樹脂フィルム(100)に形成されたビアホール(101、102)内に導電材料(2)を充填する導電材料の充填方法であって、導電材料(2)として、金属粉末および室温で固化すると共に加熱によって溶融する室温固体溶剤を含む第1の導電材料(21)、並びに、金属粉末および室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を含む第2の導電材料(22)を用意する準備工程と、ビアホール(101、102)内に第2の導電材料(22)を刷り込んで充填する第1充填工程と、第2の導電材料(22)が充填された前記ビアホール(101、102)内に加熱されて室温固体溶剤が溶融した第1の導電材料(21)を刷り込んで充填する第2充填工程と、第2充填工程の完了後に、ビアホール(101、102)内に充填された第1の導電材料(21)を室温まで冷却して固化させる冷却工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
これによると、樹脂フィルム(100)におけるビアホール(101、102)の開口側の表面(ビア表面)は、第1の導電材料(21)が充填された後、第1の導電材料(21)が固化するので、導電材料(2)を充填する際に、従来の如く、ビア表面にすり鉢状の凹みができてしまうことを抑制することができると共に、導電材料(2)の充填後のワイプ除去においてビア表面の導電材料(2)が余分に拭き取られるといった不具合も抑制することができる。
【0014】
加えて、ビアホール(101、102)のビア表面より内側には、室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を含む第2の導電材料(22)が充填するので、導電材料(2)を充填する際に、第2の導電材料(22)が揮発しやすい。さらに、第2の導電材料(21)内の溶剤は、第1の導電材料(21)に含まれる室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発するので、複数の樹脂フィルム(100)を積層した積層体を一括して加熱・圧縮して多層基板(1)を成形する際に、ビアホール(101、102)内に充填された第2の導電材料(22)における熱分解ガスや気泡を充分に排出することができる。
【0015】
従って、多層基板(1)を構成する樹脂フィルム(100)に形成されたビアホール(101、102)に導電材料(2)を適切に充填することができ、多層基板(1)の層間接続部に熱分解ガスや気泡が残存することを抑制することが可能となる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明の如く、請求項1に記載の導電材料の充填方法において、ビアホールが、片面に形成された金属箔からなる導体パターン(110)を底とする有底ビア(101)であって、導体パターン(110)が形成された側と反対側の表面から導電材料(2)を充填する構成であっても、有底ビア(101)内に導電材料(2)を適切に充填することができ、多層基板(1)の層間接続部に熱分解ガスや気泡が残存することを抑制することが可能となる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明の如く、請求項1に記載の導電材料の充填方法において、ビアホールが、樹脂フィルム(100)を貫通する貫通ビア(102)であって、貫通ビア(102)の開口径よりも貫通ビア(102)の厚み寸法が大きい構成であっても、貫通ビア(102)内に導電材料(2)を適切に充填することができ、多層基板(1)の層間接続部に熱分解ガスや気泡が残存することを抑制することが可能となる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明では、複数の樹脂フィルム(100)および複数の樹脂フィルム(100)に形成するビアホール(101、102)内に充填する導電材料(2)を用意する準備工程と、複数の樹脂フィルム(100)にビアホール(101、102)を形成するビア形成工程と、ビア形成工程にて形成されたビアホール(101、102)内に導電材料(2)を充填する充填工程と、充填工程にてビアホール(101、102)内に導電材料(2)が充填された複数の樹脂フィルム(100)を積層する積層工程と、積層工程にて積層した複数の樹脂フィルム(100)の積層体を、一括して加熱・圧縮することで貼り合せると共に、導電材料(2)に含まれる金属粉末を焼結させる加熱圧縮工程と、を備え、準備工程では、導電材料(2)として、金属粉末および室温で固化すると共に加熱によって溶融する室温固体溶剤を含む第1の導電材料(21)、並びに、金属粉末および室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を含む第2の導電材料(22)を用意し、充填工程では、ビアホール(101、102)内に第2の導電材料(22)を刷り込んで充填し、その後、ビアホール(101、102)内に加熱されて室温固体溶剤が溶融した第1の導電材料(21)を刷り込んで充填し、そして、ビアホール(101、102)内に充填された第1の導電材料(21)を冷却して固化させることを特徴とする。
【0019】
これによると、多層基板の製造方法における導電材料の充填工程において、樹脂フィルム(100)に形成されたビアホール(101、102)内に低い温度で熱分解または揮発する溶剤を含む第2の導電材料(22)を充填した後、さらに、加熱によって溶融する第1の導電材料(21)を充填し、そして、第1の導電材料(21)を冷却して固化させるようにしている。このため、多層基板(1)を構成する樹脂フィルム(100)に形成されたビアホール(101、102)に導電材料(2)を適切に充填することができ、多層基板の層間接続部に熱分解ガスや気泡が残存することを抑制することが可能となる。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る多層基板の概略断面図である。
【図2】第1実施形態に係る多層基板の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図3】有底ビア内に第2導電ペーストを充填する第1充填工程を示す模式的な断面図である。
【図4】有底ビア内に第1導電ペーストを充填する第2充填工程を示す模式的な断面図である。
【図5】第1実施形態に係る加熱圧縮工程途中における第1導電ペーストおよび第2導電ペーストに含まれる溶剤の状態を説明する説明図である。
【図6】第2実施形態に係る多層基板の製造工程の一部を示す模式的な断面図である。
【図7】貫通ビア内に第2導電ペーストを充填する第1充填工程を示す模式的な断面図である。
【図8】貫通ビア内に第1導電ペーストを充填する第2充填工程を示す模式的な断面図である。
【図9】第2実施形態に係る多層基板の製造工程の一部を示す模式的な断面図である。
【図10】第2実施形態に係る加熱圧縮工程途中における第1導電ペーストおよび第2導電ペーストに含まれる溶剤の状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態の多層基板1の製造方法は、例えば、PALAP(登録商標)を製造する際に適用される。図1は、多層基板1の概略断面図である。
【0024】
多層基板1は、片面側に配線パターン(導体パターン)110が形成された複数(本実施形態では4枚)の樹脂フィルム100を積層した積層体を一括して加熱・圧縮することにより形成されている。図1に示すように、多層基板1には、各層の配線パターン110同士を電気的に接続するための層間接続部120が形成されている。この層間接続部120は、樹脂フィルム100に形成されたビアホール101に充填する導電材料2に含まれる金属粉末を焼結させることにより形成される。なお、導電材料2の詳細については後述する。
【0025】
樹脂フィルム100は、絶縁基材であって多層基板の各層の母材をなすシート材である。この樹脂フィルム100としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる熱可塑性樹脂フィルムを採用することができる。
【0026】
次に、本実施形態の多層基板1の製造工程について図2に基づいて説明する。図2は、多層基板の製造工程を示す模式的な断面図である。
【0027】
まず、前準備(準備工程)として、図2(a)に示す絶縁基材である樹脂フィルム100、導電材料2等を用意する。
【0028】
本実施形態では、樹脂フィルム100として、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる熱可塑性樹脂フィルムを用意する。樹脂フィルム100としては、例えば、厚み寸法が100μmの熱可塑性樹脂フィルムを用意する。なお、本実施形態では、表面に保護フィルムが貼られていない樹脂フィルム100を用意する。
【0029】
また、導電材料2としては、銀や錫の金属粉末および室温で固化すると共に、金属粉末の焼結温度よりも低い温度で溶融する室温固体溶剤を含む第1導電ペースト(第1の導電材料)21、並びに、銀や錫の金属粉末および室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する有機溶剤(例えば、温度が320℃付近における熱分解性、揮発性が良い溶剤)を含む第2導電ペースト(第2の導電材料)22を用意する。
【0030】
具体的には、第1導電ペースト21は、銀(Ag)粉末5μmと錫(Sn)粉末4μmとをAg/Sn=7/3の割合で混ぜた金属粉末に、融点が43℃のパラフィン(室温固体溶剤)を3〜10wt%(例えば、8wt%)加えて練り固めることで得ることができる。
【0031】
また、第2導電ペースト22は、第1導電ペースト21と同様の金属粉末に、室温固体溶剤(パラフィン)よりも低い温度で熱分解または揮発するα−テレピネオール(ターピネルオール)からなる溶剤を加えて混錬することで得ることができる。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、準備工程において用意した樹脂フィルム100の片面に金属箔(例えば、銅箔)を熱圧着させて貼り付けた後、貼り付けた金属箔を所望の配線パターン110にパターニングする(パターン形成工程)。例えば、金属箔上にフォトレジストを形成した後、露光して所望の配線パターン110を形成することができる。
【0033】
次に、図2(c)に示すように、金属箔を貼り付けた樹脂フィルム100に、レーザ加工機等によってビアホール101を形成する(ビア形成工程)。本実施形態のビアホールは、樹脂フィルム100における金属箔がパターニングされた部位に、例えば、炭酸ガスレーザを照射することにより形成され、金属箔を底面とする有底ビア101で構成されている。本実施形態のビア形成工程では、例えば、開口径がφ100μm、厚み寸法がφ100μmの有底ビア101を形成する。なお、樹脂フィルム100に形成する有底ビア101は、図に示すテーパ形状(円錐形状)に限らず、例えば、円筒形状としてもよい。
【0034】
次に、図2(d)および図2(e)に示すように、有底ビア101内に、導電材料2を充填する(充填工程)。本実施形態の充填工程では、まず、有底ビア101内に第2導電ペースト22を充填し、最後に有底ビア101内に第1導電ペースト21を充填するようにしている。
【0035】
本実施形態の充填工程の詳細について図3、図4に基づいて説明する。図3は、有底ビア101内に第2導電ペースト22を充填する充填工程を示す模式的な断面図であり、図4は、有底ビア101内に第1導電ペースト21を充填する充填工程を示す模式的な断面図である。
【0036】
本実施形態の導電材料2の充填工程では、樹脂フィルム100を載置する搭載面31aを有する基盤31、樹脂フィルムを基盤31の搭載面31a上に保持するワークチャック真空ポンプ(図示略)、導電材料2を刷り込むためのスキージ32が設けられた充填ヘッド(図示略)等を備える充填装置3を用いる。
【0037】
充填装置3の基盤31には、樹脂フィルム100を加熱する加熱手段として加熱ヒータ33が設けられている。また、基盤31の搭載面31aには、樹脂フィルムを吸着するための吸着溝31bが形成されている。この吸着溝31bは、図示しない吸着通路を介してワークチャック真空ポンプに接続されている。
【0038】
まず、有底ビア101内に第2導電ペースト22を充填する第1充填工程では、樹脂フィルム100を配線パターン110が形成された表面を下面として、基盤31の搭載面31a上に載置した状態で、ワークチャック真空ポンプを作動させることで、樹脂フィルム100が吸着溝31b側に吸着して基盤31の搭載面31a上に保持する。この状態で、保護フィルムを介することなく、樹脂フィルム100における配線パターン110が形成された表面の反対側の表面に第2導電ペースト22を直接供給する。
【0039】
そして、図3に示すように、充填ヘッドのスキージ32を水平方向に移動させて、第2導電ペースト22を有底ビア101内に刷り込んで充填する。なお、本実施形態の如く、ビアホールが有底ビア101で構成される場合には、スキージ32を複数回平行移動させて、所定量の第2導電ペースト22を充填する。なお、スキージ32の移動回数は、複数回に限定されるものではなく、ビアホール内に所定量の第2導電ペースト22を充填可能であれば、スキージ32の移動回数を一回にしてもよい。
【0040】
ここで、スキージ32を複数回平行移動させて、所定量の第2導電ペースト22を有底ビア101に充填する際に、第2導電ペースト22に含まれる溶剤(α−テレピネオール)が揮発して、有底ビア101のビア表面にすり鉢状の凹部ができる。
【0041】
第1充填工程の完了後、有底ビア101内に第2導電ペースト21を充填する第2充填工程を行う。この第2充填工程では、加熱ヒータ33を作動させ、加熱ヒータ33からの伝導熱で室温以上の所定温度(例えば、43℃±3℃程度)まで樹脂フィルム100を加熱する。この状態で、樹脂フィルム100上に第1導電ペースト21を供給すると、樹脂フィルム100上に供給された第1導電ペースト21が樹脂フィルム100からの伝導熱で軟化する。そして、図4に示すように、スキージ32を水平方向に移動させることで、軟化した第1導電ペースト21を有底ビア101のビア表面にできたすり鉢状の凹部に刷り込んで充填する。
【0042】
第2充填工程の完了後、第1導電ペースト21および第2導電ペースト22それぞれが有底ビア101内に充填された樹脂フィルム100を室温まで冷却する(冷却工程)。樹脂フィルム100の温度が室温まで低下すると、樹脂フィルム100の有底ビア101のビア表面に充填された第1導電ペースト21が次第に固まり、固体状態に戻る。第1導電ペースト21を充填した後、再びスキージ32を水平方向に移動させて、樹脂フィルム100上に残る導電材料2を除去する(ワイプ除去)。第1導電ペースト21を固化させた状態(充分に保形性を有する状態)でワイプ除去を行うので、ワイプ除去時にビア表面の導電材料2が余分に拭き取られるといった不具合を抑制することができる。
【0043】
このようにして、第1導電ペースト21および第2導電ペースト22を有底ビア101内に充填された樹脂フィルム100を得ることができる。
【0044】
次に、図2(f)に示すように、有底ビア101内に第1導電ペースト21および第1導電ペースト22が充填された樹脂フィルム100を位置合わせしながら、順次積層して複数の樹脂フィルム100の積層体を得る(積層工程)。
【0045】
次に、複数の樹脂フィルム100の積層体を、図示しない真空プレス機に挟み込み、所定温度で所定時間、一括して加熱・圧縮する(加熱圧縮工程)。この加熱圧縮工程では、例えば、3〜5MPa(好ましくは4MPa程度)の加圧力で、320℃、3時間程度の加熱・圧縮を行う。
【0046】
また、加熱圧縮工程では、第1導電ペースト21および第2導電ペースト22に含まれる金属粉末が焼結し、かつ、配線パターン110の金属箔と拡散接合することで、各層を電気的に接続する層間接続部120が形成される。
【0047】
さらに、加熱により軟化した樹脂フィルム100は、配線パターン110の金属箔や他の樹脂フィルム100に接着され、圧縮されることで配線パターン110の金属箔の段差を吸収して配線パターンや有底ビア101が封止される。
【0048】
ここで、図5は、加熱圧縮工程途中における第1導電ペースト21および第2導電ペースト22に含まれる溶剤の状態を説明する説明図である。図5に示すように、第1導電ペースト21および第2導電ペースト22に含まれる溶剤は、加熱圧縮工程の際に、有底ビア101内で蒸発・揮発して、各導電ペースト21、22内の気泡と共に外部に排出される。
【0049】
本実施形態では、有底ビア101の底面側に充填する第2導電ペースト22に含まれる溶剤として、第1導電ペースト21に含まれる室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を採用しているので、充填工程および加熱圧縮工程それぞれで蒸発・揮発し、各導電ペースト21、22内の気泡と共に外部に排出される。すなわち、有底ビア101内に充填された第2導電ペースト22に含まれる溶剤の熱分解ガスや気泡を充分に排出することができる。
【0050】
一方、第1導電ペースト21に含まれる低融点固体溶剤は、有底ビア101のビア表面側に充填されているので、第1導電ペースト21内の低融点固体溶剤の熱分解ガスや気泡が外部に排出されやすくなる。
【0051】
このような、準備工程、パターン形成工程、ビア形成工程、充填工程、加熱圧縮工程を経て図2(f)に示す多層基板1を得ることができる。
【0052】
以上、説明した本実施形態の多層基板1の製造工程では、樹脂フィルム100におけるビアホール101の開口側の表面(ビア表面)に充填された第1導電ペースト21を固化させるので、導電材料2を充填する際に、従来の如く、ビア表面にすり鉢状の凹みができてしまうことを抑制することができ、さらに、導電材料2の充填後のワイプ除去においてビア表面の導電材料2が余分に拭き取られるといった不具合も抑制することができる。
【0053】
さらに、有底ビア101のビア底面側(表面より内側)には、室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を含む第2導電ペースト22が充填されているので、充填工程および加熱圧縮工程において、有底ビア101内に充填された第2導電ペースト22に含まれる溶剤の熱分解ガスや気泡を外部に充分に排出することができる。
【0054】
従って、本実施形態の導電材料2の充填方法を用いることで、多層基板1を構成する樹脂フィルム100に形成された有底ビア101に導電材料2を適切に充填することができ、多層基板1の層間接続部120に熱分解ガスや気泡が残存することを抑制することが可能となる。
【0055】
この結果、多層基板1における熱衝撃等の耐久信頼性が劣るといった不具合が生ずることを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、保護フィルムを用いることなく、有底ビア101内に各導電ペースト21、22を充填することができるので、保護フィルムおよび保護フィルムを剥がす工程を省略することができるので、多層基板1の製造時のコスト低減を図ることができる。勿論、製造時のコスト低減を図る必要がない場合には、保護フィルムを用いてもよい。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6〜図10に基づいて説明する。図6は、本実施形態に係る多層基板の製造工程の一部を示す模式的な断面図である。
【0058】
本実施形態では、ビアホールとして貫通ビア102が形成された樹脂フィルム100を含む複数の樹脂フィルム100を積層して多層基板1を構成している点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0059】
具体的には、本実施形態では、ビアホールとして貫通ビア102が形成された1枚の樹脂フィルム100と有底ビア101が形成された3枚の樹脂フィルムを積層して多層基板1を構成している。
【0060】
ビアホールとして貫通ビア102が形成された樹脂フィルム100の製造工程について説明すると、図6(a)に示すように、樹脂フィルム100として、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる熱可塑性樹脂フィルムを用意する。樹脂フィルム100としては、例えば、厚み寸法が250μmの熱可塑性樹脂フィルムを用意する。
【0061】
次に、図6(b)に示すように、準備工程において用意した樹脂フィルム100に、レーザ加工機等によって、炭酸ガスレーザを照射することにより樹脂フィルム100を貫通する貫通ビア102を形成する(ビア形成工程)。このビア形成工程では、開口径よりも厚み寸法が大きい貫通ビア102を形成する。本実施形態のビア形成工程では、開口径がφ150μm、厚み寸法がφ250μmの貫通ビア102を形成する。
【0062】
次に、図6(c)および図6(d)に示すように、スキージ32を複数回平行移動させて、樹脂フィルム100の表面側から貫通ビア102内に第2導電ペースト22を刷り込んだ後、樹脂フィルム100の表面側から貫通ビア102内に第1導電ペースト21をスキージ32にて刷り込む(充填工程)。
【0063】
貫通ビア102内へ導電材料2を充填する充填工程では、基盤31の搭載面31aと樹脂フィルム100の間に溶剤吸着シートとして機能する吸着紙34を配置した充填装置3を用いる。この吸着紙34としては、導電材料2に用いられる溶剤を吸収可能な材質であればよく、例えば、一般的な上質紙等を用いることができる。なお、吸着紙34は、貫通ビア102内への導電材料2の充填に伴って溶剤が吸収されるので、溶剤の吸収度合いに応じて、適宜新しいものと交換する。
【0064】
本実施形態の充填工程の詳細について図7、図8に基づいて説明する。図7は、貫通ビア102内に第2導電ペースト22を充填する充填工程を示す模式的な断面図であり、図8は、貫通ビア102内に第1導電ペースト21を充填する充填工程を示す模式的な断面図である。
【0065】
まず、貫通ビア102内に第2導電ペースト22を充填する第1充填工程では、樹脂フィルム100を基盤31の搭載面31aの吸着紙34上に載置した状態で、ワークチャック真空ポンプを作動させて基盤31の搭載面31aに保持する。この状態で、樹脂フィルム100上に第2導電ペースト22を供給する。
【0066】
そして、図7に示すように、充填ヘッドのスキージ32を水平方向に移動させて第2導電ペースト22を貫通ビア102内に刷り込んで充填する。この際、ワークチャック真空ポンプによる真空吸引によって、第2導電ペースト22に含まれる金属粉末を貫通ビア102内に残して、貫通ビア102内に充填された第2導電ペースト22に含まれる余剰な溶剤が吸着紙34に染み込むように吸着される(図7中の白抜矢印参照)。このため、貫通ビア102内には、第2導電ペースト22に含まれる金属粉末が濃縮される。
【0067】
次に、貫通ビア102内に第1導電ペースト21を充填する第2充填工程では、加熱ヒータ33によって室温以上の所定温度まで樹脂フィルム100を加熱し、樹脂フィルム100上に供給された第1導電ペースト21を軟化させる。
【0068】
そして、図8に示すように、スキージ32を水平方向に移動させることで、軟化した第1導電ペースト21を貫通ビア102のビア表面にできたすり鉢状の凹部に刷り込んで充填する。この際、ワークチャック真空ポンプによる真空吸引によって、各導電ペースト21、22に含まれる金属粉末を貫通ビア102内に残して、貫通ビア102内に充填された各導電ペースト21、22に含まれる余剰な溶剤が吸着紙34に染み込むように吸着される(図8中の白抜矢印参照)。このため、貫通ビア102内には、各導電ペースト21、22に含まれる金属粉末が濃縮される。
【0069】
次に、加熱ヒータ33の作動を停止して、第1導電ペースト21および第2導電ペースト22それぞれが貫通ビア102内に充填された樹脂フィルム100を基盤31の搭載面31a上で室温まで冷却することで、樹脂フィルム100の貫通ビア102のビア表面に充填された第1導電ペースト21を固化させる。そして、再びスキージ32を水平方向に移動させて、樹脂フィルム100上に残る導電材料2を除去すると共に、樹脂フィルム100の下面に配置した吸着紙21bを剥がして、貫通ビア102内に第1導電ペースト21および第2導電ペースト22が充填された樹脂フィルム100を得る。
【0070】
次に、図9(a)に示す複数の樹脂フィルム100の積層工程では、第1実施形態で説明した有底ビア101内に導電材料2が充填された3枚の樹脂フィルム100を、金属箔を上方に向けた状態で積層した後、貫通ビア102内に導電材料2が充填された1枚の樹脂フィルム100を3枚の樹脂フィルム100の上に積層して、積層体を得る(積層工程)。
【0071】
次に、図9(a)に示す積層体を、図示しない真空プレス機に挟み込み、所定温度で所定時間、一括して加熱・圧縮する(加熱圧縮工程)。この加熱圧縮工程では、第1導電ペースト21および第2導電ペースト22に含まれる金属粉末が焼結し、かつ、配線パターン110の金属箔と拡散接合することで、各層を電気的に接続する層間接続部120が形成される。
【0072】
ここで、図10は、加熱圧縮工程途中における第1導電ペースト21および第2導電ペースト22に含まれる溶剤の揮発を説明する説明図である。図10に示すように、第1導電ペースト21および第2導電ペースト22に含まれる溶剤は、加熱圧縮工程の際に、有底ビア101および貫通ビア102内で揮発して、各導電ペースト21、22内の気泡と共に外部に排出される。
【0073】
本実施形態では、貫通ビア102の下方側に充填する第2導電ペースト22に含まれる溶剤として、第1導電ペースト21に含まれる室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を採用しているので、貫通ビア102内の第2導電ペースト22に含まれる溶剤は、充填工程および加熱圧縮工程それぞれで揮発し、各導電ペースト21、22内の気泡と共に外部に排出される。すなわち、貫通ビア102内に充填された第2導電ペースト22に含まれる溶剤の熱分解ガスや気泡を充分に排出することができる。
【0074】
一方、第1導電ペースト21に含まれる低融点固体樹脂は、貫通ビア102のビア表面側に充填されているので、第1導電ペースト21内の低融点固体樹脂の熱分解ガスや気泡が外部に排出されやすくなる。
【0075】
このような、準備工程、パターン形成工程、ビア形成工程、充填工程、加熱圧縮工程を経て図9(b)に示す多層基板1を得ることができる。
【0076】
以上、説明した本実施形態の多層基板1の製造工程では、樹脂フィルム100におけるビアホール101のビア表面(上面)に充填された第1導電ペースト21を固化させるので、導電材料2を充填する際に、従来の如く、ビア表面にすり鉢状の凹みができてしまうことを抑制することができ、さらに、導電材料2の充填後のワイプ除去においてビア表面の導電材料2が余分に拭き取られるといった不具合も抑制することができる。
【0077】
さらに、貫通ビア102の下方側(上面より内側)には、室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を含む第2導電ペースト22が充填されているので、充填工程および加熱圧縮工程において、貫通ビア102内に充填された第2導電ペースト22に含まれる溶剤の熱分解ガスや気泡を充分に排出することができる。
【0078】
従って、本実施形態の導電材料2の充填方法を用いることで、多層基板1を構成する樹脂フィルム100に形成された貫通ビア102に導電材料2を適切に充填して、多層基板1の層間接続部120に熱分解ガスや気泡が残存することを抑制することが可能となる。
【0079】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0080】
(1)上述の各実施形態では、第1導電ペースト21の溶剤として作業の安全と設備環境の両面から高温加熱が必要ない低融点溶剤であるパラフィンを採用したが、他の溶剤を採用してもよい。つまり、室温で固化すると共に、加熱によって溶融する室温固体溶剤であれば、他のパラフィン系炭化水素(エイコサン)や、脂肪酸(例えば、カプリン酸、ウンデシル酸、トリデシル酸、ペンタデシル酸、パルチミン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノデカン酸、アラキン酸)を採用することができる。これらの溶剤はいずれも簡単な加熱で、かつ、金属粉末の焼結温度よりも低い温度で溶融する材料である。
【0081】
(2)上述の各実施形態では、第2導電ペースト22の溶剤として、α−テレピネオールを採用したが、他の溶剤を採用してもよい。つまり、室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤であれば、ジヒドロターピネオール、グリコールエーテル、イソプロピルアルコール、ブチルカルビトールアセテート、シクロヘキサン、メチルエチルケトン等を採用することができる。
【0082】
(3)上述の各実施形態では、第1導電ペースト21および第2導電ペースト22に含まれる金属粉末として、銀粉末と錫粉末を混ぜた金属粉末を採用したが、これに限らず、他の金属粉末を採用してもよい。また、金属粉末の形状についても、球状のものや繊維状のフィラー等、どのような材料が用いられていてもよい。
【0083】
(4)上述の各実施形態では、開口径よりも厚み寸法が大きい貫通ビア102が形成された樹脂フィルム100を含む複数の樹脂フィルム100を用いて多層基板1を製造する例を説明したが、開口径と厚み寸法が同程度、或いは開口径よりも厚み寸法が小さい貫通ビア102が形成された樹脂フィルム100を含む複数の樹脂フィルム100を用いて多層基板1を製造してもよい。
【0084】
(5)上述の各実施形態では、ビアホール内に第2導電ペースト22を充填する第1充填工程では、加熱ヒータ33を作動させず、ビアホール内に第1導電ペースト21を充填する第2充填工程で加熱ヒータ33を作動させるようにしているが、第1充填工程において、加熱ヒータ33を作動させるようにしてもよい。
【0085】
この場合、第1充填工程において、樹脂フィルム100が加熱されているので、第1充填工程の完了後、樹脂フィルム100を加熱する時間を設けることなく、連続して第2充填工程を行うことができる。
【0086】
(6)上述の各実施形態では、ビアホール内への第1導電ペースト21を充填する第2充填工程が完了した後、加熱ヒータ33の作動を停止して、樹脂フィルム100を基盤31の搭載面31a上で室温まで冷却しているが、これに限定されない。例えば、吸着紙34ごと樹脂フィルム100を基盤31の搭載面31aから取り外し、室温または冷却室内で冷却してもよい。この場合、加熱ヒータ33の作動を停止する必要がないので、樹脂フィルム100の加熱時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 多層基板
2 導電材料
21 第1導電ペースト(第1の導電材料)
22 第2導電ペースト(第2の導電材料)
100 樹脂フィルム
101 有底ビア
102 貫通ビア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の樹脂フィルム(100)を積層した積層体を一括して加熱・圧縮して構成される多層基板(1)の製造時において、前記樹脂フィルム(100)に形成されたビアホール(101、102)内に導電材料(2)を充填する導電材料の充填方法であって、
前記導電材料(2)として、金属粉末および室温で固化すると共に加熱によって溶融する室温固体溶剤を含む第1の導電材料(21)、並びに、前記金属粉末および前記室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を含む第2の導電材料(22)を用意する準備工程と、
前記ビアホール(101、102)内に前記第2の導電材料(22)を刷り込んで充填する第1充填工程と、
前記第2の導電材料(22)が充填された前記ビアホール(101、102)内に加熱されて前記室温固体溶剤が溶融した前記第1の導電材料(21)を刷り込んで充填する第2充填工程と、
前記第2充填工程の完了後に、前記ビアホール(101、102)内に充填された前記第1の導電材料(21)を室温まで冷却して固化させる冷却工程と、
を備えることを特徴とする導電材料の充填方法。
【請求項2】
前記ビアホールは、片面に形成された金属箔からなる導体パターン(110)を底とする有底ビア(101)であって、前記導体パターン(110)が形成された側と反対側の表面から前記導電材料(2)が充填されることを特徴とする請求項1に記載の導電材料の充填方法。
【請求項3】
前記ビアホールは、前記樹脂フィルム(100)を貫通する貫通ビア(102)であって、前記貫通ビア(102)の開口径よりも前記貫通ビア(102)の厚み寸法が大きいことを特徴とする請求項1に記載の導電材料の充填方法。
【請求項4】
複数の樹脂フィルム(100)および前記複数の樹脂フィルム(100)に形成するビアホール(101、102)内に充填する導電材料(2)を用意する準備工程と、
前記複数の樹脂フィルム(100)に前記ビアホール(101、102)を形成するビア形成工程と、
前記ビア形成工程にて形成された前記ビアホール(101、102)内に前記導電材料(2)を充填する充填工程と、
前記充填工程にて前記ビアホール(101、102)内に前記導電材料(2)が充填された前記複数の樹脂フィルム(100)を積層する積層工程と、
前記積層工程にて前記積層した前記複数の樹脂フィルム(100)の積層体を、一括して加熱・圧縮することで貼り合せると共に、前記導電材料(2)に含まれる金属粉末を焼結させる加熱圧縮工程と、を備え、
前記準備工程では、前記導電材料(2)として、前記金属粉末および室温で固化すると共に加熱によって溶融する室温固体溶剤を含む第1の導電材料(21)、並びに、前記金属粉末および前記室温固体溶剤よりも低い温度で熱分解または揮発する溶剤を含む第2の導電材料(22)を用意し、
前記充填工程では、前記ビアホール(101、102)内に前記第2の導電材料(22)を刷り込んで充填し、その後、前記ビアホール(101、102)内に加熱されて前記室温固体溶剤が溶融した前記第1の導電材料(21)を刷り込んで充填し、そして、前記ビアホール(101、102)内に充填された前記第1の導電材料(21)を冷却して固化させることを特徴とする多層基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−23142(P2012−23142A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158839(P2010−158839)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】