説明

導電薄膜の製造装置及び製造方法

【課題】高速スイッチング・高周波動作電子回路において、導電率が大きく、かつ、界面特性の向上と低エネルギー化が実現された、傾斜機能を有する高機能な導電薄膜を提供する。
【解決手段】荷電粒子等生成供給部102から、荷電粒子等薄膜構成元素103が発生され、発せられた荷電粒子等薄膜構成元素103は、それらの運動エネルギーを制御する作用を持つ荷電粒子等エネルギー制御部104によってエネルギーを所要の範囲に制御され、目的とする導電薄膜を形成するための下地となる基板105に導入される。また、磁界発生印加部106により、基板105に形成される導電薄膜表面の近傍に、この導電薄膜の膜厚方向と交差する方向の平行磁界が、所要の磁界強度などに制御して印加可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種多様な電子機器内の電子回路、特に、超小型の高速動作メモリ回路や移動通信、衛星通信、及び衛星放送などの高周波領域で動作する集積回路などで用いられ、誘電体と導電薄膜の組み合わせを基本構成とする高性能メモリ・容量素子などにおいて、これら素子の性能を向上するために使用される導電薄膜の製造装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来まで、MOSFET(Metal-oxide-semiconductor field-effect-transistor)やメモリなどの電子回路、特に高周波・高速動作(高速スイッチング動作)回路を実現するには、能動素子部と容量素子などから構成される受動素子部とを、個別の独立した素子部として絶縁性基板を介して結合して組み立てていた。また、場合によっては、例えば受動素子部自体も、一部の容量素子などを個別部品として結合して組み立てていた。
【0003】
しかしこのような方法では、小型化や高速化が困難であり、また、組立位置により整合特性などの電気的特性が変化するため、一定品質の当該回路を、歩留まり良く大量生産することが困難である。また、モノリシックに製作可能な既存の容量素子などの性能は不十分であったため、回路の設計自由度が制約を受け、これを回避するために素子容積が大きい個別部品を代わりに使用すれば、上述の高集積化による小型化や高速化、電気特性変化の低減などが困難になるという問題があった。
【0004】
これらの諸問題を解決するためには、個々の素子部をモノリシックに最小限の基板上に構築することや、究極的には、いわゆるシステムオンチップと言われる高集積で高密度の集積回路を指向した素子構成を実現することが不可欠である。
【0005】
基本的構成が誘電体と導電薄膜とから成っているメモリ・容量素子、中でも、メモリ効果を保持する不揮発性メモリ素子では、先ず、小型化や高利得化及び低消費電力化に関係する品質係数(Q)値が大きく、自己共振周波数(f)の向上に関係する高速スイッチング動作(高周波)損失が少なく、しかもキャパシタンス(静電容量)(C)値が大きい誘電体が重要となる。加えて、導電率(σ)が大きく、かつ、インダクタンス(L)成分が微少で、しかも上述した誘電体の分極反転などに伴う構成成分元素欠損の補償や、誘電体を形成する際の下地基板の役割も担え得る導電薄膜の実現が必須である。
【0006】
また、これらの特性を備えた誘電体及び導電薄膜を組み合わせた素子特性としては、残留分極が大きく抗電界が小さい、角形比に優れたヒステリシスを持ち、繰り返しパルス印加に伴う疲労特性が良好で、ヒステリシス劣化に関係するリーク電流が少なく、しかも分極生成・昇温状態でのヒステリシス特性劣化が少ない(インプリント特性が優れている)という性能を満たす必要がある。
【0007】
上記メモリ回路素子のメモリ機能を担う基本構成部、いわゆるキャパシタ部の小型化と大容量化は、素子の高密度・高集積化などの高性能化を実現する上で必須であり、このためには、誘電体の誘電率(ε)を増大するとともに、DCバイアス特性の向上と、高耐圧化による誘電体層の薄膜厚化を推進する必要がある。既存の実用レベルの誘電体として、例えば、xPb(Fe2/31/3)O3(1−x)Pb(Fe1/2Nb1/2)O3、または、Pb(Zn1/3Nb2/3y(Fe1/2Nb1/20.64-y(Fe2/31/30.363を適用し、抵抗容量積(CR積)が6000MΩ・μF[C=10〜400(μF)]、誘電損失(tanδ)が0.6%、Cの温度変化率が−70〜−80%程度のキャパシタが実現されている。しかしながらこれらの材料では、Cの周波数依存性や温度依存性が大きく、しかもGHzオーダーではCが激減するばかりではなく、誘電損失も著しく増大するため、安定な高特性のキャパシタを得ることは困難であった。
【0008】
特に、回路の高密度・高集積化を実現する上で、誘電体の高周波領域でのεを増大することが最も肝要である。共振器を例にすれば、誘電体内部の電磁波波長は、自由空間での誘電率(εo)の平方根に逆比例して短縮されるため、共振波長のほぼ半分を要することになる共振器のサイズは、εが大きくなるほど小さくなる。一方、εの増大に伴って、誘電損失が大きくなり、Q値が低下する傾向がある。また、共振器の共振周波数の温度係数は、εの温度係数と熱膨張係数とは正相関関係を有する。したがって、誘電体としては、εが大きく、かつ、その値が安定であり、また、εの温度係数と熱膨張係数が共にできる限り小さく、かつ、これらのばらつきも小さく、しかも、GHzオーダーでの誘電的Q値が高いものが必要である。
【0009】
既存の実用レベルの誘電体として、例えば、2GHz以下であれば、BaO・Sm23・5TiO2やBaO−PbO−Nd23−TiO2を適用することによって、比誘電率(ε’)が75以上で、Q値が4000〜5000程度のものが実現されている。一方、2GHz以上であれば、Ba(Zn1/3Nb2/3)O3−Ba(Zn1/3Ta2/3)O3、Ba(Ni1/3Ta2/3)O3−Ba(Zrl/3Zn1/3Ta1/3)O3、Ba(Co1/3Nb2/3)O3−Ba(Zn1/3Nb2/3)O3、Ba(Mg1/3Ta2/3)O3を適用することによって、ε’が30程度で、Q値が10000〜35000程度のものが実現されている。しかしながら、上述のように、εとQ値は相反する傾向があるため、εとQ値が共に大きく、安定な高特性のキャパシタを得ることは困難であった。
【0010】
キャパシタ部を主要部として構成されるより高度な素子であるMOSFETやメモリーなどへ適用される誘電体は、εが大きく、かつ、高周波領域でも安定な特性を維持し、特性劣化などの経年変化が小さいことは当然のことながら、誘電体と隣接する導電薄膜(電極)との界面における格子整合性や拡散特性などが良好で、しかも、界面準位や固定電荷などの発生を極力抑制した、いわゆる界面特性の制御性が高いことも不可欠である。今まで、この界面特性を主体に考え、Si34やAl23、Ta25膜などの適用が検討されてはきているものの、ε’が10(〜20)以下と小さく、界面準位密度も1011cm-2eV-1程度かこれ以上と大きく、リーク電流密度も10-6Acm-2(1V)を越える劣悪な誘電特性しか得られておらず、しかも、これら誘電特性の経年変化による劣化も激しいという、界面特性の制御性が非常に乏しい状況にあり、安定な高特性のメモリ・容量素子の実用化は極めて困難であった。
【0011】
より具体的な例として、将来の電子機器における主記憶装置に対して適用が期待されている、DRAM(dynamic random access memory)並の高集積化、高速動作、低消費電力、高信頼性を兼ね備えた不揮発性メモリの1つであるFeRAM(ferroelectrics random access memory)には、先ず、残留分極が大きく抗電界が小さい、角形比に優れたヒステリシスを持ち、1012回以上の繰り返しパルスを印加しても分極が劣化しない疲労特性を持つことが要求されている。また、リーク電流が流れるとヒステリシスが劣化するので、リーク電流が少ない特性も要求され、加えて、分極生成・昇温状態で保持してもヒステリシス特性がずれない優れたインプリント特性をもつことも要求されている。
【0012】
このような特性を要求されるFeRAMに用いられる強誘電体材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr−Ti)O)や、ランタン含有チタン酸ジルコン酸鉛((Pb−La)(Zr−Ti)O)などが知られているが、白金(Pt)よりなる導電薄膜を用いた場合、106回以上の繰り返しパルスが印加されると、残留分極が低下する分極疲労のために信頼性が劣化してしまう問題があった。このため後述するように、この分極疲労が導電薄膜(電極)材料に依存して起こることが判明したことから、これを改善するために、分極疲労が生じ難い材料として、イリジウム(Ir)やルテニウム(Ru)から成る、Ir−O、Ru−O、Sr−Ru−O、(La−Sr)Co−Oなどの導電性酸化物を用いたFeRAMが検討されてきた。しかしながら、これら導電性酸化物は、Ptに比べてリーク電流が大きく、またしても、界面特性の制御性に起因した問題(信頼性の劣化など)に帰結してしまうという、実用上極めて深刻な問題があった。
【0013】
このように、電子回路素子を念頭に置いて考慮した場合、回路特性に決定的な影響を与える誘電体と導電薄膜との界面特性を高度に制御することが、素子特性の向上とその安定性確保の上で不可欠であるにも拘わらず、相反する相関を呈するεとQ値を同時に満足することができる誘電体の、成膜そのものが非常に難しく、ましてや界面特性の制御は、それ以上に困難な状況にあるため、界面特性が良好、かつ、安定な高特性のメモリ・容量素子の実現は極めて困難であった。
【0014】
このことは、界面を構成するもう一方の側である導電薄膜(電極)に主眼を置いて考えれば、取りも直さず、界面特性が良好、かつ、安定な高性能の電気特性などを実現する導電薄膜の実現が、極めて困難であったと言い換えることができる。本発明においては、この立場に立ち、界面が導電薄膜の構成要素と考え、以下、界面を含めたものを導電薄膜と定義し、本発明の明細を詳細に述べることにする。
【0015】
界面特性の制御方法として、界面近傍にバッファ層(相)やバリア層(相)と呼ばれる、格子整合性や拡散制御性,電子トンネリング制御性(ポテンシャルバリア,ハイト,エネルギー制御性)などを向上することを目的に、多層(膜)化する手法も検討されている。しかしながら、これらの手法は、新たに、電気特性的または化学結合的または原子配列構造的に急峻な層(相)界面を形成することになるため、何ら本質的な解決手段とは成り得ていなかった。
【0016】
すなわち、例えば、このような層(相)として、バッファ(緩衝)効果やバリア(遮蔽)効果は高いが、εまたはσが小さい層(相)を、高εの誘電体と導電薄膜(電極)との界面に挿入した場合、前述した新たな界面の形成により、電気特性的にL成分が増大する。この結果、新たな界面の近傍において、空間電荷分極などが主体となる誘電分極などによって電気的中性が崩れるために電荷が発現する。この結果、素子全体としてのCは、高εの誘電体膜で期待されるCに比べて激減するとともに、キャリア(電荷)移動度も低下させることになってしまうからである。
【0017】
ここで、界面特性(の制御性)に関する従来状況をより明確にするため、誘電体と導電薄膜を、個別に材料的観点から見た場合の現状と課題について、以下、概説することにする。
【0018】
始めに、誘電体について述べる。前述したように、相反する相関を呈するεとQ値とを、同時に満足することができる誘電体の、成膜そのものが非常に難しい。また、特に強誘電体では、構造相転移温度に相当するキュリー点以下で自発分極(Ps)し、εはキュリー点(BaTiO3では、約120℃である)近傍で発散する傾向がある。なおPsは、双極子相互作用が発生起源となっており、適当な(数十)結晶格子以上の結晶性の確保が必要と考えられている。そして、誘電体全体としての巨視的な誘電分極は、強誘電的分域(ドメイン:双極子の配向方向が同方向に整列している状態で、クラスターの場合もある)の集合によって発現するもので、ドメインのサイズと数は、静電エネルギーと、分域(界面)壁を形成・維持するのに必要なエネルギーとの兼ね合いで決定される。
【0019】
しかも、強誘電体では、Ba(Mg1/3Ta2/3)O3のような秩序イオン配列の複合ペロブスカイト構造や、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3のような無秩序イオン配列の複合ペロブスカイト構造などの、酸化物結晶構造などの違いにより誘電分極の様相は著しく異なる。特に後者の構造の誘電体は、ペロブスカイトセル(胞)の低対称の歪みが、各セルに複数の浅いポテンシャル極小点を発生させる、いわゆる「Skanavi」型の誘電緩和機構と、強誘電的な相転移機構とが複合された、緩和型誘電性を呈し、相転移は非常に緩慢となる。
【0020】
それらのεは、周波数依存性が強いもののε自体は大きく、かつ、温度依存性は小さく、また、電界印加によって微細なドメインが比較的容易に分極されるため、電界誘起歪みも大きい傾向が認められる。さらに、上述した強誘電体の多くが反磁性イオンによって構成され、一方、酸化物磁性体の多くは、非極性結晶対称性を有しているために強誘電性の出現を困難にしており、両特性は共存し難いものではあるが、Pb2+またはBi3+を含んだ[無秩序(不規則)イオン配列型]ペロブスカイト酸化物の一部では、両特性の共存が認められるものもある。
【0021】
このように、誘電体はその状態によって多種多様な特性を呈し、非常に複雑性に富んでいる。現在、高εの誘電体としては、Si34、A123、HfO2−SiO2、Sc23、ZrO2−SiO2、Y23、Gd23、2La23−3SiO2、Gd23−SiO2、La23、Ta25、ZrO2、LaAlO3、ZrTiO4、HfO2、SrZrO3、Hf0.2Sn0.05Ti0.752、Zr0.2Sn0.2Ti0.62、TiO2、SrBi2Ta29、SrTiO3、(BaxSr1-x)TiO3、Pb(ZryTi1-y)O3、SrBi(TaNb)、Bi2SiO5、Bi4Ti312、(BiLa)Ti312、(BiLa)(TiV)Oなどが公知とされている。
【0022】
しかしながらこれらの材料は、上述のような構造・材料特性上の複雑性を内包しており、しかも、(非化学量論的)不定比化合物を形成し、様々な欠陥を内在し、あるいは混晶の形態を取るなど、複雑性は計り知れない程多岐に渡っている。まして電子回路素子を構成するため、いわゆる下部電極と称される下地基板となる導電薄膜上へ、再現性・信頼性良く所要の性能の誘電体(薄膜)を形成すること自体にも、非常に高度な技術を要するため、実用的な形成技術の開発も大きな課題となっているのである。
【0023】
一方、導電薄膜としては、高σであることは言うまでもなく、高融点で耐酸化性に優れ、かつ、平坦性が良いことが必須である。すなわち、前述したように、誘電体として有望な酸化物高・強誘電体の薄膜を考えた場合、その形成や形成後の酸素を含む雰囲気中での高温(例えば、約600〜800℃)の熱処理に耐え、かつ、誘電体からの酸素拡散を抑制(バリア)することができ、しかも、誘電体との密着性も良く、凹凸(ヒロック)の無い良好な隣接界面を提供できなければならない。
【0024】
従来まで利用されてきたメモリ素子用の導電薄膜材料としては、高温酸化雰囲気下での化学反応耐性を期待したPtや他の貴金属があるが、例えばPtは、高温熱処理下での酸素の拡散係数が大きく、誘電体そのものの組成変化を引き起こすばかりでなく、隣接する層を酸化し、密着性の低下と熱応力の発現に起因した膜剥離とヒロック形成を引き起こすという問題があった。しかも、例えば、メモリ素子の高集積化のために、半導体トランジスタと強誘電体メモリキャパシタとをポリシリコンなどのプラグで接続するスタックセル構造を考えた場合、この酸素拡散により、プラグのポリシリコンなどが酸化されてしまうため、前述の剥離などと相侯って、結果的に素子回路の導電性が低下し、場合によっては電気的接続が維持できなくなってしまうという大きな問題があった。
【0025】
このような貴金属の使用に関連した拡散、密着性、及び導電性と言った問題に対する改良の試みとして、Ti、TiO2、及びTiN層(相)を貴金属に隣接配置した導電薄膜構成にする技術がある。この技術により、例えば、Pt膜上にあるTi層によってPt膜で発現する応力を低下し、ヒロック形成を抑制する方法が提案されている。しかしながら、Ti層による酸素拡散の抑制は、一般的に約600℃以下の熱処理温度でのみ効果的であり、前述したような約600℃以上での高温の熱処理に耐えられず、場合によっては、TiやTiN層が前述した酸素拡散により酸化され、新たな膜剥離とヒロック形成を引き起こしてしまうという、極めて深刻な問題があった。
【0026】
そこで、このような貴金属に代えて、高温下での化学的安定性を有するIrやRu、Zr、Nb、Hf、Ta、及び、これらと、MgやAl、Si、Co、Ni、Cu、Sr、Y、Ba、La、Pbなどとこれらの酸化・窒化物との化合物、例えば、Ir−OやRu−O、Ir−Al−O、Ir−Ti−O、Ir−Zr−O、Ir−Nb−O、Ir−Hf−O、Ir−Ta−O、AIN、Ti−AI、ZrN、NbN、HfN、TaN、Sr−Ru−O、(La−Sr)Co−O、La−Ni−O、Pb(Mg−Nb)Ti−O、Pb(Zr−Ti)O、HfSiN、TaSiN、Y−Ba−Cu−Oなどの導電性酸化・窒化物を適用することも行われてきた。
【0027】
例えば、IrやRuは、Ptよりも酸素の拡散に対してより耐性があり、また仮に酸化した場合でも、Ir−OやRu−Oは導電性を保ち、同時に、分極反転などによって導電薄膜(電極)近傍に発現する酸素欠陥に対して酸素を補給する性質を有する。このため、上述した材料は、上記欠陥の蓄積を緩和して(分極)疲労を抑制するという効果を持ち、しかも、強誘電体に含まれることが多いPbなどに対する拡散バリヤ性にも優れていることなどから、有望な導電薄膜材料と考えられている。
【0028】
このように上記導電性酸化物は、強誘電体材料の酸素欠損を防止し、強誘電体膜の疲労特性を改善できる可能性を有してはいるが、前述したように、Ptと比較すると、急峻な界面状態に起因した欠陥や相対的に小さいポテンシャルバリアハイトエネルギーなどにより、リーク電流が多い。加えて、上記導電性酸化物は、エッチングし難い材質であることから、デバイス製造プロセスでのパターニングの都合で、他の層と同時にエッチングできるようにするために薄膜化すると、結果的に更にリーク電流が増大することになってしまうという問題があった。
【0029】
なお、このリーク電流を抑えるため、Tiなどをバリアとしてこれらに隣接配置する構成も考えられたが、IrやRuとTiなどとは、前述したような高温の熱処理によって反応する可能性があり、結局、高性能なメモリ・容量素子を実現するする上での最大の課題が、前述した界面特性の向上化問題に帰結するという、大きな問題があった。
【0030】
以上述べたように、誘電体、特に高εの誘電体(高・強誘電体)を用いた高性能メモリ・容量素子などを実用化するためには、導電薄膜の界面特性の制御性の向上と、誘電体及び導電薄膜の形成技術の高度化が必須であるが、現時点で最も重要な課題は、前者の導電薄膜の界面特性の制御性向上である。これは、デバイス化を考えた場合、界面特性の制御性向上が解決されない限り、誘電体の性能を有効に引き出し、最大限に利用することが不可能だからである。特に、誘電体や導電薄膜の薄膜化、及び、スイッチング動作の高速化や使用周波数の高周波化などが進めば進むほど、界面特性の制御性の向上は、益々重要になってくるのは自明のことである。現在、界面特性の制御性を十分に実現できる最も有力な導電薄膜として、傾斜機能導電薄膜が知られている。
【0031】
この傾斜機能導電薄膜は、導電性を有する導電体相によって少なくともその一部が構成されている導電薄膜において、導電体相または導電体相の集合体の少なくとも一部が、電気特性的または化学結合的または原子配列構造的な傾斜機能を有した傾斜機能領域から成る構造の導電薄膜であり。このような構成とすることにより、導電薄膜の、所要の導電体相または導電体相の集合体領域を、電気特性的または化学結合的または原子配列構造的に、急峻ではなく、徐々に連続して変化する特性・作用、いわゆる傾斜化した機能(傾斜機能)を有する領域(傾斜機能領域)にすることが可能になる。
【0032】
これによって、急峻な相界面を有する異相間の界面近傍でより顕著になる格子整合歪み,界面準位,及び固定電荷などの欠陥発生などの影響の低減を図りながら、傾斜機能領域を所要の特性を有する状態にすることにより、誘電体や導電薄膜の薄膜化、及び、スイッチング動作の高速化や使用周波数の高周波化によって発現する誘電損失やリーク電流などを含む全体のエネルギー損失、及び、特性劣化(経年変化)を可能な限り低減(低エネルギー化及び高信頼化)しながら、例えば、拡散制御性などの向上や空間電荷分極の軽減などの傾斜機能領域の特性による機能効果を重畳することにより、誘電特性や信頼性などを飛躍的に改善したメモリ・容量素子などの高性能デバイスを実現できるという有用性がある。
【0033】
ここで、従来の導電薄膜の主な製造方法としては、真空蒸着法(抵抗加熱法、分子線エピタキシー法など)、スパッタリング法(2極プラズマ式、マグネトロン式、4極プラズマ式、対向ターゲット式、イオンビーム式など)、及び化学気相成長法などがあり、各々一長一短の特徴があり、目的とする導電薄膜やその他の条件を考慮して選択して適用されている。中でも、マグネトロンスパッタ法は、組成制御範囲が広く、低温基板温度で高速堆積速度、低コストなどの特徴を有し、最も有望な製法として実用化が急速に展開されてきた。
【0034】
しかしながら、マグネトロンスパッタ法では、導電体ターゲットと磁石の組み合わせで陰極部分を構成せざるを得ないので、陰極部分から放出される高エネルギーのγ-電子を拘束するために必要な漏れ磁界を充分に与えられないという本質的な問題を内包している。しかも、マグネトロンスパッタ法では、精密に制御された高い品質レベルの膜成長は現在のところ実現されていない。これらのことから、傾斜機能導電薄膜のような複雑な原子配列構造の薄膜の製造には、マグネトロンスパッタ法の適用が困難な状況にある。
【0035】
他の従来法を用いても、実際に傾斜機能導電薄膜を製造する上で、傾斜機能領域を所要の特性を有する状態に作製することは非常に難しい。所要の構造(原子配列)を実現することにより、所要の傾斜機能領域を有した傾斜機能導電薄膜を形成しなければならないが、特に、傾斜機能領域を構成する原子の凝集作用や下地との拡散反応などにより、目的とする所要の構造を実現することは非常に難しい。
【0036】
仮にこれら凝集作用と拡散反応を低減するために、傾斜機能導電薄膜の形成を低温で実施した場合、傾斜機能領域を構成する原子の運動エネルギー不足により下地原子のポテンシャル障壁を越え難くなるため、下地上での表面マイグレーションが阻害され、所要のサイトへ目的とする原子を配置することが困難になる。この結果、所要の傾斜機能領域を作製できないという、実用上極めて大きな問題があった。このため、結果的には、電気特性的または化学結合的または原子配列構造的に急峻な層(相)界面の形成による弊害のために、安定な高特性を有するメモリ・容量素子の実用化は極めて困難であった。
【0037】
以上のことをまとめると、従来では、急峻変化界面に基因した影響により、素子の誘電損失やリーク電流などを含む全体のエネルギー損失、及び特性劣化(経年変化)は非常に大きいものとなっており、より高速・高周波化が進めば進む程、この影響は顕著になるため、低エネルギーで特性劣化が少なく、所要の電子回路特性を達成できる、高性能メモリ・容量素子などのデバイスを実現することは非常に困難であった。
【0038】
【特許文献1】特開昭54−148263号公報
【特許文献2】特開昭56−156688号公報
【特許文献3】特開昭58−015208号公報
【特許文献4】特開昭61−256702号公報
【特許文献5】特開昭63−194309号公報
【特許文献6】特開昭64−001206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
上述したように、従来の技術では、傾斜機能領域を所要の特性を有する状態に作製することは非常に難しく、この結果、メモリ・容量素子の基本的構成部である誘電体と導電薄膜における、導電薄膜を構成する導電体相やその集合体が、電気特性的または化学結合的または原子配列構造的に均質、一定な機能を有した導電体相または導電体相の集合体で構成された構造となる。
【0040】
このため、従来では、前述したように、導電薄膜(電極)と誘電体との界面、または、導電薄膜に含まれるバッファ層(相)やバリア層(相)との界面などの導電薄膜の端部で、電気特性的または化学結合的または原子配列構造的に急峻な層(相)界面が形成される。このような急峻な状態の層が形成されるため、これに起因または関連した、格子整合性や拡散制御性、電子トンネリング制御性などの不十分さや、界面準位や固定電荷、構成成分元素欠損などの欠陥発生などの、界面特性の制御性の低下が発生し、これによって、素子の誘電損失やリーク電流などを含む全体のエネルギー損失、及び、特性劣化(経年変化)を増大する結果となっていた。
【0041】
場合によっては、急峻変化界面の近傍において、空間電荷分極などが主体となる誘電分極などによって電気的中性が崩れるために電荷が発現し、結局、全体としてのキャパシタンス(C)は、誘電体本来の固有の(真性)誘電率(ε)から期待されるCに比べて激減するとともに、キャリア(電荷)移動度も低下させるなどの弊害も生じ得るため、安定な高特性を有する素子の実用化は極めて困難であった。
【0042】
このように、電子機器内の電子回路、特に、超小型の高速動作メモリ回路や高周波領域で動作する集積回路などで用いられる、誘電体と導電薄膜の組み合わせを基本構成とする高性能メモリ・容量素子などの導電薄膜としては、不十分な特性しか得られず、実用することが困難であった。このため、従来技術では、エネルギー損失と特性劣化が小さく、所要の安定した性能を有する小型・高性能なメモリ・容量素子などのデバイスを実現することが極めて困難であった。
【0043】
本発明はこのような課題を鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、電子機器内の電子回路、特に、超小型の高速動作メモリ回路や高周波領域で動作する集積回路などで用いられる、誘電体と導電薄膜の組み合わせを基本構成とする高性能メモリ・容量素子などにおいて、素子の性能を向上するために使用される導電薄膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明に係る導電薄膜の製造装置は、導電性を有し、キャリアの分布の状態,化学結合的な状態,及び原子配列構造的な状態の少なくとも1つの状態が厚さ方向に変化した傾斜機能領域を少なくとも備える導電体相から構成された導電薄膜を基板の上に形成する導電薄膜の製造装置において、導電薄膜の原料となる構成元素の一部もしくは全てを荷電粒子の状態で基板の上に供給する荷電粒子生成供給手段と、導電薄膜の膜厚方向と交差する方向に平行な磁界を基板に印加する磁界発生印加手段とを少なくとも備えるようにしたものである。なお、上記構成に加えて、荷電粒子生成供給手段により供給される一部の荷電粒子の運動エネルギーを所定の範囲で制御する荷電粒子エネルギー制御手段を備えるようにしてもよい。
【0045】
上述した請求項1及び請求項2に記載のような導電薄膜の製造装置構造とすることにより、先ず、所要の傾斜機能領域を有した傾斜機能導電薄膜の原料となる導電薄膜の構成元素から成る荷電粒子同士のクーロン反発力によって、下地となる導電薄膜表面で荷電粒子の凝集作用が低減できる。さらにはまた、荷電粒子の運動エネルギーが所要の範囲で制御されていることによって、下地となる導電薄膜表面の原子のポテンシャル障壁を越え、所要のサイトへ目的とする導電薄膜の構成元素から成る荷電粒子を含む構成粒子を配置する適切な表面マイグレーションが可能となる。なお、上記構成粒子の多くは最終的には原子状態となるので、構成粒子は構成原子としてもよい。
【0046】
上述のことと同時に、導電薄膜表面近傍に導電薄膜の膜厚方向と交差する方向の平行磁界が、適切な磁界強度などに制御されて印加されるため、構成原子には交差方向と垂直方向の電磁力が誘起されることになり、傾斜機能領域での膜厚方向への構成原子の拡散に必要な駆動力が電磁力によって相殺されるようになる。さらにはまた、下地となる導電薄膜表面の原子のポテンシャル障壁を越える際のエネルギーが、印加される電磁力によって補填され、結果的に、導電薄膜の膜厚方向への拡散作用の軽減や、適切な表面マイグレーションの推進が可能となる。
【0047】
これらによって、急峻な相界面を有する異相間の界面近傍でより顕著になる、格子整合歪みや、界面準位、固定電荷などの欠陥発生などの影響の低減を図りながら、傾斜機能領域を所要の特性を有する状態にすることにより、誘電体や導電薄膜の薄膜化、及び、スイッチング動作の高速化や使用周波数の高周波化によって発現する誘電損失やリーク電流などを含む全体のエネルギー損失、及び、特性劣化(経年変化)を可能な限り低減(低エネルギー化及び高信頼化)しながら、傾斜機能領域の特性、例えば、拡散制御性などの向上や、空間電荷分極の軽減などの機能効果を重畳することにより、誘電特性や信頼性などを飛躍的に改善したメモリ・容量素子などの高性能デバイスを実現できる効果がある。
【0048】
上記導電薄膜の製造装置において、基板の上に形成される導電薄膜の温度を制御する温度制御手段を備えるようにしてもよい。このように、温度制御手段を備える導電薄膜の製造装置構造とすることにより、前述した請求項1及び2に記載のような導電薄膜の製造装置の作用、効果に加えて、適切な温度制御に伴う適切な熱エネルギーの増減に同期して、下地となる導電薄膜表面での荷電粒子の運動エネルギー、特に振動エネルギーを制御し、また、下地となる導電薄膜表面の原子の運動エネルギー、特に振動エネルギーを制御することが可能となり、結果として、導電薄膜の膜厚方向への拡散作用の軽減や、適切な表面マイグレーションの推進が可能となる。
【0049】
これらによって、急峻な相界面を有する異相間の界面近傍でより顕著になる、格子整合歪みや、界面準位、固定電荷などの欠陥発生などの影響の低減を図りながら、傾斜機能領域を所要の特性を有する状態にすることが可能となる。この結果、誘電体や導電薄膜の薄膜化、及び、スイッチング動作の高速化や使用周波数の高周波化によって発現する誘電損失やリーク電流などを含む全体のエネルギー損失、及び特性劣化(経年変化)を可能な限り低減(低エネルギー化及び高信頼化)し、かつ、傾斜機能領域の特性、例えば、拡散制御性などの向上や、空間電荷分極の軽減などの機能効果を重畳することにより、誘電特性や信頼性などを飛躍的に改善したメモリ・容量素子などの高性能デバイスを実現できるようになる。
【0050】
上記導電薄膜の製造装置において、基板の上に形成される導電薄膜に対して活性粒子を供給する活性粒子供給手段を備えるようにしてもよい。また、基板の上に形成される導電薄膜に対して光を照射する光照射手段を備えるようにしてもよい。
【0051】
このように、活性粒子供給手段や光照射手段を備える導電薄膜の製造装置構造とすることにより、前述した導電薄膜の製造装置の作用、効果に加えて、適切な荷電粒子やラジカルなどの活性粒子や光を導電薄膜表面に供給することにより、傾斜機能領域の組成や構造をより精細に制御することが可能となり、結果的に、複雑な組成や構造を有した導電薄膜の実現が可能となる。これらによって、急峻な相界面を有する異相間の界面近傍でより顕著になる、格子整合歪みや、界面準位、固定電荷などの欠陥発生などの影響の低減を図りながら、傾斜機能領域を所要の特性を有する状態にすることにより、誘電体や導電薄膜の薄膜化、及び、スイッチング動作の高速化や使用周波数の高周波化によって発現する誘電損失やリーク電流などを含む全体のエネルギー損失、及び、特性劣化(経年変化)を可能な限り低減(低エネルギー化及び高信頼化)しながら、傾斜機能領域の特性、例えば、拡散制御性などの向上や、空間電荷分極の軽減などの機能効果を重畳することにより、誘電特性や信頼性などを飛躍的に改善したメモリ・容量素子などの高性能デバイスを実現できる効果がある。
【0052】
また、本発明に係る導電薄膜の製造方法は、導電性を有し、キャリアの分布の状態,化学結合的な状態,及び原子配列構造的な状態の少なくとも1つの状態が厚さ方向に変化した傾斜機能領域を少なくとも備える導電体相から構成された導電薄膜を基板の上に形成する導電薄膜の製造方法において、基板の面方向に導電薄膜の膜厚方向と交差する方向に平行な磁界を基板に印加した状態で、導電薄膜の原料となる構成元素を荷電粒子の状態で基板の上に供給するようにしたものである。なお、供給される一部の荷電粒子の運動エネルギーを所定の範囲で制御するようにしてもよい。
【0053】
このような導電薄膜の製造方法とすることにより、上述した導電薄膜の製造装置の有する作用、効果を最大限に利用可能となり、結果的に、所要の組成や構造を有した導電薄膜の実現が可能となる。これらによって、急峻な相界面を有する異相間の界面近傍でより顕著になる、格子整合歪みや、界面準位、固定電荷などの欠陥発生などの影響の低減を図りながら、傾斜機能領域を所要の特性を有する状態にすることにより、誘電体や導電薄膜の薄膜化、及び、スイッチング動作の高速化や使用周波数の高周波化によって発現する誘電損失やリーク電流などを含む全体のエネルギー損失、及び、特性劣化(経年変化)を可能な限り低減(低エネルギー化及び高信頼化)しながら、傾斜機能領域の特性、例えば、拡散制御性などの向上や、空間電荷分極の軽減などの機能効果を重畳することにより、誘電特性や信頼性などを飛躍的に改善したメモリ・容量素子などの高性能デバイスを実現できる効果がある。
【発明の効果】
【0054】
以上説明したように、本発明によれば、導電薄膜の膜厚方向と交差する方向に平行な磁界を基板に印加する磁界発生印加手段を備えるようにしたので、電子機器内の電子回路、特に、超小型の高速動作メモリ回路や高周波領域で動作する集積回路などで用いられる、誘電体と導電薄膜の組み合わせを基本構成とする高性能メモリ・容量素子などにおいて、素子の性能を向上するために使用される導電薄膜を提供できるようになる。特に、傾斜機能領域において、誘電体の誘電特性などに強い影響を与える界面特性の制御性の向上を実現することができ、結果的にεを始めとする諸特性の更なる改善を図りながら、低エネルギーで、かつ、高信頼性を有したメモリ・容量素子などの高性能デバイスを実現できるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における導電薄膜の製造方法を実現するための導電薄膜の製造装置の構成例を示す構成図である。図1では、本発明に係わる導電薄膜の製造装置の構造を理解し易くするため、主要な基本構成を概略的に示している。図1において、101は膜成長雰囲気制御部、102は荷電粒子等生成供給部、103は荷電粒子等薄膜構成元素、104は荷電粒子等エネルギー制御部、105は基板、106は磁界発生印加部、107は基板温度制御部である。
【0056】
図1に示す装置の動作例について説明すると、膜成長雰囲気を所要の状態に制御し維持する膜成長雰囲気制御部101の内部において、導電薄膜の構成元素から成る正イオン状態及び負イオン状態の荷電粒子を含む構成粒子を生成し供給する荷電粒子等生成供給部102から、荷電粒子等薄膜構成元素103が発生される。発せられた荷電粒子等薄膜構成元素103は、場合によっては更に、それらの運動エネルギーを制御する作用を持つ荷電粒子等エネルギー制御部104によってエネルギーを所要の範囲に制御され、目的とする導電薄膜を形成するための下地となる基板105に導入される。
【0057】
また、図1に示す装置では、磁界発生印加部106により、基板105に形成される導電薄膜表面の近傍に、この導電薄膜の膜厚方向と交差する方向の平行磁界が、所要の磁界強度などに制御して印加可能とされている。また、図1に示す装置では、基板温度制御部107により、導電薄膜を含む基板105を所要の温度に制御可能としている。
【0058】
このような構成とした図1に示す装置によれば、キャリアの分布の状態,化学結合的な状態,及び原子配列構造的な状態の少なくとも1つの状態が厚さ方向に変化した所要の傾斜機能領域を有した傾斜機能導電薄膜の原料となる導電薄膜の構成元素から成る荷電粒子同士のクーロン反発力によって、下地となる導電薄膜表面で荷電粒子の凝集作用が低減できる。さらにはまた、荷電粒子の運動エネルギーが所要の範囲で制御されていることによって、下地となる導電薄膜表面の原子のポテンシャル障壁を越え、所要のサイトへ目的とする導電薄膜の構成元素から成る荷電粒子を含む構成粒子を配置する適切な表面マイグレーションが可能となる。なお、前述したように、構成粒子の多くは、最終的には原子状態となるため、以下では構成原子と呼ぶ。
【0059】
上述したことと同時に、磁界発生印加部106によって、導電薄膜表面近傍に導電薄膜の膜厚方向と交差する方向の平行磁界が適切な磁界強度などに制御されて印加されるため、構成原子には交差方向と垂直方向の電磁力が誘起されることになり、傾斜機能領域での膜厚方向への構成原子の拡散に必要な駆動力が電磁力によって相殺される。さらにはまた、下地となる導電薄膜表面の原子のポテンシャル障壁を越える際のエネルギーが電磁力によって補填され、結果的に、導電薄膜の膜厚方向への拡散作用の軽減や、適切な表面マイグレーションの推進が可能となる。
【0060】
このような図1に示す導電薄膜製造装置の作用・効果に加えて、基板温度制御部107の付加により所要の熱エネルギーの増減が図られ、これに同期して、下地となる導電薄膜表面での荷電粒子の運動エネルギー、特に振動エネルギーが制御でき、下地となる導電薄膜表面の原子の運動エネルギー、特に振動エネルギーを制御することが可能となり、結果的に、導電薄膜の膜厚方向への拡散作用の軽減や、適切な表面マイグレーションの推進が可能となる。
【0061】
これらによって、急峻な相界面を有する異相間の界面近傍でより顕著になる、格子整合歪みや、界面準位、固定電荷などの欠陥発生などの影響の低減を図りながら、傾斜機能領域を所要の特性を有する状態にすることができる。このことにより、誘電体や導電薄膜の薄膜化、及び、スイッチング動作の高速化や使用周波数の高周波化によって発現する誘電損失やリーク電流などを含む全体のエネルギー損失、及び、特性劣化(経年変化)を可能な限り低減(低エネルギー化及び高信頼化)しながら、傾斜機能領域の特性、例えば、拡散制御性などの向上や、空間電荷分極の軽減などの機能効果を重畳することにより、誘電特性や信頼性などを飛躍的に改善したメモリ・容量素子などの高性能デバイスを実現できる。
【0062】
次に、導電薄膜の製造装置について、より詳細に説明する。図2は、本発明に係わる導電薄膜の製造装置のより具体的な構成例を示す構成図である。図2では、装置断面を概略的に示している。図2において、214はプラズマ生成室、215は真空試料室、216は排気口、217はマイクロ波導入窓、218はマイクロ波導入口、219はガス導入口、220は絶縁体、221は磁気コイル、222は荷電粒子等薄膜構成粒子、223は荷電粒子等薄膜構成粒子引出し口、224は基板固定台、225は基板温度制御機構、226は基板、227はイオンエネルギー制御用電源、228は荷電粒子等薄膜構成粒子輸送管、229は荷電粒子等薄膜構成粒子輸送用電源、234は磁界発生印加部である。
【0063】
プラズマ生成室214は、真空試料室215と空間的に分離され、かつ、絶縁体220により電気的に絶縁されている。真空試料室215は排気口216に接続されており、基板表面を汚染する残留不純物ガスが排気系(図示省略)により排気されるとともに、所要の圧力に維持できる構成になっている。
【0064】
このように構成された図2に示す装置において、ガス導入口219より所定のガスをプラズマ生成室214に導入し、溶融石英やセラミックなどの絶縁物で作られたマイクロ波導入窓217を介してマイクロ波導入口218よりマイクロ波(例えば2.45GHz)を導入するとともに、磁気コイル221によって、直流磁界がマイクロ波電界に対して直角方向で電子サイクロトロン共鳴励起(ECR)条件(この場合、875Gauss)を満足する磁界を与えると、これらの相互作用によって導入されたガスはプラズマ化され、イオンやラジカルなどの荷電粒子等薄膜構成粒子222が生成される。
【0065】
例えば、ガス導入口219より、H2、もしくは、F、Cl(塩素)などのハロゲン元素、もしくは、He、Ar、Xeなどの不活性ガス元素を含む高清浄なガスを導入し、導入したガスを上述したようにプラズマ化することで、生成されたイオンやラジカルなどにより基板226表面の清浄化が可能となる。また、有機金属ガスや金属キレート蒸気などの原料ガスを、Ar、N2、H2などのキャリアガスとともに導入し、導入したガスを上述したようにプラズマ化することで、生成された荷電粒子等薄膜構成粒子222が堆積して基板226上に導電薄膜が形成可能である。
【0066】
このように、図2に示す導電薄膜製造装置によれば、マイクロ波を用いたECR励起によるプラズマ生成を利用しているため、イオン化効率が高く、10-5Torrの低ガス圧でも安定にプラズマ放電、すなわち荷電粒子等薄膜構成粒子222の生成を実現することができる。なお、プラズマ生成室214のマイクロ波導入窓217に対向する他端には、荷電粒子等薄膜構成粒子引出し口223が設けられており、プラズマ生成室214と真空試料室215との差圧と磁気コイル221による磁界、及びプラズマ電位と基板226との電位差によって荷電粒子等薄膜構成粒子引出し口223から所要の運動エネルギーを有した荷電粒子等薄膜構成粒子222が引き出される。
【0067】
荷電粒子等薄膜構成粒子引出し口223は1〜200mmφと幅広く変えることができる外、グリッドまたはマルチホール電極系を付加することによって、荷電粒子等薄膜構成粒子222の運動エネルギーの制御範囲などを改善することができる構成になっている。プラズマ生成室214の荷電粒子等薄膜構成粒子引出し口223から引き出された荷電粒子等薄膜構成粒子222は、基板固定台224に達するように配置されている。
【0068】
また、必要に応じて、図2に示すように荷電粒子等薄膜構成粒子輸送管228を設置し、この荷電粒子等薄膜構成粒子輸送管228の電位を荷電粒子等薄膜構成粒子輸送用電源229によって浮動電位もしくは正電位にすることにより、荷電粒子等薄膜構成粒子222の広がりを小さくすることができる。基板固定台224は、液体窒素や電気ヒーターなどを利用して基板226を所要の温度に制御できる基板温度制御機構225を内蔵しており、基板226の温度を約−200〜1200℃の範囲で制御することができるとともに、基板226の表面を汚染及び損傷しないような材料構成と構造を有している。
【0069】
また、基板226に達する荷電粒子等薄膜構成粒子222に含まれるイオンのエネルギーを制御するために、例えばプラズマ生成室214と基板固定台224との間に、イオンエネルギー制御用電源227によって基板226が負電位になるように電圧を印加すれば、基板226上に照射される荷電粒子等薄膜構成粒子222中のイオンのエネルギーを20eV〜10keVの範囲に制御することができる。
【0070】
加えて、図2に示す装置によれば、導電薄膜表面近傍に導電薄膜の膜厚方向と交差する方向の平行磁界を所要の磁界強度などに制御して印加する作用を持つ磁界発生印加部234が基板226近傍に配置されている。なおガスや荷電粒子等薄膜構成粒子222との接触部分などは、Si、SiC、溶融石英などの荷電粒子等薄膜構成粒子222と反応し難く、しかも汚染不純物を放出し難い材料で被覆もしくは構成されており、極めて高清浄な荷電粒子等薄膜構成粒子222が基板226に到達できるようになっている。特に、このような荷電粒子等薄膜構成粒子222とマイクロ波導入窓217との反応に対する対処方法に関しては、特許第2787134号公報により既に開示され、本発明においても必要において実施した。
【0071】
このような構成において、基板226表面の清浄化工程として、所要の温度(約100〜1000℃の範囲)に制御された基板226の表面上へ原料ガス種に応じた荷電粒子等薄膜構成粒子222を輸送し、これら清浄な荷電粒子等薄膜構成粒子222の電気的遮蔽作用やスパッター作用などの物理的衝撃、更には、化学的反応の活性さを利用して外界からの新たな不純物汚染を防止するとともに、基板226とその近傍の雰囲気を清浄に維持することができた。なお、このような荷電粒子等薄膜構成粒子222の清浄効果に関しては、特許文献(特開昭63−297547号公報、特開昭63−312644号公報)によって既に開示されている。
【0072】
次に、図2に示す装置を用いた導電薄膜の形成方法例について説明する。先ず、磁界発生印加部234によって所要の平行磁界(約0.5〜1kGauss以上)が印加されている基板226の表面上へ、原料ガス種に応じた荷電粒子等薄膜構成粒子222を輸送する。加えて、輸送する荷電粒子等薄膜構成粒子222のイオンエネルギーなどを、所要の最適な条件に制御する。例えば、約20〜300eVの低エネルギー域、好ましくは50〜150eVの低エネルギー域に制御することが適当である。
【0073】
このように、磁界発生印加部234により平行磁界が印加されている状態で、輸送する荷電粒子等薄膜構成粒子222のイオンエネルギーを制御することで、基板226に到達した構成原子の反応活性が高まり、所要の安定サイトへの移動性などが適当となり、基板226上に、傾斜機能を有した導電薄膜を制御性良く実現することができる。前述したように、印加されている平行磁界により、基板226に到達した構成原子(荷電粒子等薄膜構成粒子222)には交差方向と垂直方向の電磁力が誘起され、傾斜機能領域での膜厚方向への構成原子の拡散に必要な駆動力が電磁力によって相殺される。加えて、基板226の上において下地となる導電薄膜表面の原子のポテンシャル障壁を越える際のエネルギーが電磁力によって補填され、導電薄膜の膜厚方向への拡散作用の軽減や、適切な表面マイグレーションの推進が可能となる。
【0074】
なお、上述した低エネルギー域の範囲は、諸条件により異なり、画一的に規定することは困難であるが、基本的には、荷電粒子等薄膜構成粒子222を所要の状態で安定サイトまで移動するエネルギーと、移動の経路上や安サイトに存在する不要な物質を除去するエネルギーとを確保しながら、必要以上のスパッター作用などを回避できることを最低条件として規定されることになる。すなわち、この範囲よりも低いエネルギーでは、上述した移動するエネルギーや除去するエネルギーの確保が困難となり、一方この範囲よりも高いエネルギーでは、スパッターなどにより欠陥が発生したり成膜自体が困難になるからである。また、基板226を基板温度制御機構225によって所要の温度(液体酸素・窒素温度から約900℃の範囲)に制御することにより、成膜の制御性を飛躍的に向上することができる。
【0075】
次に、本発明の実施の形態に係る他の導電薄膜の製造装置について、より詳細に説明する。図3は、本発明に係わる他の導電薄膜の製造装置の概略構成図である。図3において、314はプラズマ生成室、315は真空試料室、316は排気口、317はマイクロ波導入窓、318はマイクロ波導入口、319はガス導入口、320は絶縁体、321は磁気コイル、322は荷電粒子等薄膜構成粒子、323は荷電粒子等薄膜構成粒子引出し口、324は基板固定台、325は基板温度制御機構、326は基板、327はイオンエネルギー制御用電源、328は荷電粒子等薄膜構成粒子輸送管、329は荷電粒子等薄膜構成粒子輸送用電源、330は活性粒子供給装置、331は活性粒子、332は照射光、333は照射光窓、334は磁界発生印加手段である。
【0076】
なお、プラズマ生成室314,真空試料室315,排気口316,マイクロ波導入窓317,マイクロ波導入口318,ガス導入口319,絶縁体320,磁気コイル321,荷電粒子等薄膜構成粒子322,荷電粒子等薄膜構成粒子引出し口323,基板固定台324,基板温度制御機構325,イオンエネルギー制御用電源327,荷電粒子等薄膜構成粒子輸送管328,荷電粒子等薄膜構成粒子輸送用電源329,及び磁界発生印加手段334は、図2に示すプラズマ生成室214,真空試料室215,排気口216,マイクロ波導入窓217,マイクロ波導入口218,ガス導入口219,絶縁体220,磁気コイル221,荷電粒子等薄膜構成粒子222,荷電粒子等薄膜構成粒子引出し口223,基板固定台224,基板温度制御機構225,イオンエネルギー制御用電源227,荷電粒子等薄膜構成粒子輸送管228,荷電粒子等薄膜構成粒子輸送用電源229,及び磁界発生印加部234と同様である。
【0077】
図3に示す製造装置は、図2の製造装置を用いた形成条件をより細密に、かつ、高精度な導電薄膜形成を実現するため、基板326に向かって、所要の荷電粒子やラジカルなどの活性粒子を供給する活性粒子供給装置330や、強い強度の照射光332を与える手段を付加した構成にしたものである。すなわち、図2の導電薄膜の製造装置と同様にして荷電粒子等薄膜構成粒子322を基板326に輸送しながら、例えば、Ar、N、O、Fなどの活性粒子331を基板326表面に供給し、また、XeC1、KrF、ArF、F2などを用いたエキシマレーザーやCO2−Arレーザーなどの高強度の照射光332を、溶融石英やサファイアなどで作られた照射光窓333を通して基板326に照射することにより、膜形成元素の反応性や移動性を向上し、より制御性高く高品質な導電薄膜を実現することができる。
【0078】
反応活性を高めることにより所要の安定サイトへの移動性などを改善するため、原料となるH2、N2、O2、もしくは、F、Clなどのハロゲン元素、もしくは、He、Ar、Xeなどの不活性ガス元素、もしくは導電薄膜の構成元素を含むガス状物質を、荷電粒子もしくはラジカルの状態で供給すること、あるいは、更なる制御性の改善を図るため、更に荷電粒子やラジカルの一部もしくは全部の運動エネルギーを所要の範囲で制御することにより、所要の条件下で厳密に制御した形成が実現できる効果がある。
【0079】
なお、上述した導電薄膜の製造装置とその製造方法には、ECR式プラズマを利用する例を示したが、真空蒸着法(抵抗加熱法、分子線エピタキシー法、イオンビーム法など)、スパッタリング法[多極(2・4極など)プラズマ式、マグネトロン式、ECRプラズマ式、対向ターゲット式、イオンビーム式など]、化学気相成長(CVD)法、レーザー法(PLD法やアブレーション法など)などを用いて、所要の荷電粒子等薄膜構成粒子や活性粒子の源としても良い。
【0080】
以上述べたように、本発明の導電薄膜の製造装置とその製造方法は、傾斜機能を付与した導電薄膜を製造できることから、導電薄膜それ自身の、本来の優れた所要の導電特性を可能な限り維持しながら、さらに、特に高速スイッチング・高周波化によってより強く発現する誘電損失を出来得る限り低減(低エネルギー化〉しながら、傾斜機能領域の特性、例えば、拡散制御性や電子トンネリング制御性などの向上や、空間電荷分極の軽減などの機能効果を重畳することにより、誘電特性を飛躍的に改善した高速スイッチング・高周波用のメモリ・容量素子を実現できる。
【0081】
なお、ここで述べた結果は、本発明の有効性の一例に過ぎず、本発明を実施することにより、特に、低エネルギー・高速動作で、かつ、特性劣化の殆どない誘電特性が必要とされる、他の高性能の応用部品・機器類を実現することができることは言うまでもない。
【0082】
また、上述では、電子回路、及び、特に高速スイッチング・高周波集積回路への適用実施を中心にその実施例を説明したものであるが、これ以外にも、より広範囲の多種多様な電子回路、及び、特に集積回路に対しても適用できるほか、記録装置や駆動機構などのマイクロマシニング関連装置などや、その他各種の微細な導電薄膜使用部品・機器類の実現に本発明が適用できることは言うまでもない。さらに、導電薄膜を複数種の基本構成材料によって構成した場合でも、本発明の主旨を逸脱するものではない。
【0083】
以上述べた説明でも明らかなように、本発明により、電子機器内の電子回路、及び、特に数百MHz以上の高速スイッチング・高周波領域において、低エネルギーで所要の特性を達成できる、極めて高特性の傾斜機能を有する多種多様な電子回路用導電薄膜が実現できる。本発明は、メモリ・容量素子等の高性能な電子回路、及び、特に高速スイッチング・高周集積回路を始めとして、様々な電子回路素子、及び、特に集積回路素子を、制御性、信頼性良く実現する上で非常に有効である。従って、本発明を実施することによる工業上の利点は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態における導電薄膜の製造方法を実現するための導電薄膜の製造装置の構成例を示す構成図である。
【図2】本発明に係わる導電薄膜の製造装置のより具体的な構成例を示す構成図である。
【図3】本発明に係わる他の導電薄膜の製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0085】
101…膜成長雰囲気制御部、102…荷電粒子等生成供給部、103…荷電粒子等薄膜構成元素、104…荷電粒子等エネルギー制御部、105…基板、106…磁界発生印加部、107…基板温度制御部、214,314…プラズマ生成室、215,315…真空試料室、216,316…排気口、217,317…マイクロ波導入窓、218,318…マイクロ波導入口、219,319…ガス導入口、220,320…絶縁体、221,321…磁気コイル、222,322…荷電粒子等薄膜構成粒子、223,323…荷電粒子等薄膜構成粒子引出し口、224.324…基板固定台、225,325…基板温度制御機構、226,326…基板、227,327…イオンエネルギー制御用電源、228,328…荷電粒子等薄膜構成粒子輸送管、229,329…荷電粒子等薄膜構成粒子輸送用電源、330…活性粒子供給装置、331…活性粒子、332…照射光、333…照射光窓、234,334…磁界発生印加部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し、キャリアの分布の状態,化学結合的な状態,及び原子配列構造的な状態の少なくとも1つの状態が厚さ方向に変化した傾斜機能領域を少なくとも備える導電体相から構成された導電薄膜を基板の上に形成する導電薄膜の製造装置において、
前記導電薄膜の原料となる構成元素の一部もしくは全てを荷電粒子の状態で前記基板の上に供給する荷電粒子生成供給手段と、
前記導電薄膜の膜厚方向と交差する方向に平行な磁界を前記基板に印加する磁界発生印加手段と
を少なくとも備えることを特徴とする導電薄膜の製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の導電薄膜の製造装置において、
前記荷電粒子生成供給手段により供給される一部の荷電粒子の運動エネルギーを所定の範囲で制御する荷電粒子エネルギー制御手段
を備えることを特徴とする導電薄膜の製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の導電薄膜の製造装置において、
前記基板の上に形成される前記導電薄膜の温度を制御する温度制御手段
を備えることを特徴とする導電薄膜の製造装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電薄膜の製造装置において、
前記基板の上に形成される前記導電薄膜に対して活性粒子を供給する活性粒子供給手段
を備えることを特徴とする導電薄膜の製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電薄膜の製造装置において、
前記基板の上に形成される前記導電薄膜に対して光を照射する光照射手段
を備えることを特徴とする導電薄膜の製造装置。
【請求項6】
導電性を有し、キャリアの分布の状態,化学結合的な状態,及び原子配列構造的な状態の少なくとも1つの状態が厚さ方向に変化した傾斜機能領域を少なくとも備える導電体相から構成された導電薄膜を基板の上に形成する導電薄膜の製造方法において、
前記導電薄膜の膜厚方向と交差する方向に平行な磁界を前記基板に印加した状態で、前記導電薄膜の原料となる構成元素を荷電粒子の状態で前記基板の上に供給する
ことを特徴とする導電薄膜の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の導電薄膜の製造方法において、
供給される一部の前記荷電粒子の運動エネルギーを所定の範囲で制御する
ことを特徴とする導電薄膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−314864(P2007−314864A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148848(P2006−148848)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】