説明

少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーを含む活性物質組成物

本発明は、水に溶解しにくい少なくとも1種の活性物質または有効物質と少なくとも1種のハイパーブランチポリマーとを含有する活性物質組成物または有効物質組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に難溶性の少なくとも1種の活性物質または有効物質と、少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと、を含んでなる活性物質組成物または有効物質組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、植物保護、化粧品、および材料保護に用いられる活性物質、すなわち、低濃度でさえもすでに、生物における薬理活性、植物または有害生物における生理活性、化粧活性などのような活性を呈する物質は、多くの場合、水性活性物質製剤の形態で製剤化され使用される。他の選択肢として、固体状態で、たとえば、粉末品または圧縮品(錠剤など)として、製剤化し投与して、実際の作用部位への輸送の際に水性形態への変換を行うようにすることも可能である。
【0003】
水性活性物質製剤に関連する主要な問題は、多くの活性物質の水への溶解度が低いことである(溶解度は、23℃/1013mbarにおいて5g/l未満であることが多い)。そのような活性物質の水性製剤は、活性物質が連続水性相中に乳化相または分散相として存在する不均一系として存在可能である。これらの本質的に準安定な系を安定化させるために、通常、乳化剤または分散剤が導入される。しかしながら、それらの安定化効果は、不満足であることが多く、その結果、とくに、高温でおよび/もしくはきわめて変化しやすい温度でまたは凝固点の近傍で比較的長期間にわたり水性製剤を貯蔵した場合、活性物質の分離、たとえば、活性物質のクリーム分離または沈降が起こる可能性がある。したがって、この問題は、活性物質が結晶化傾向を有する場合にとくに顕在化する。さらに、多くの場合、可溶化(すなわち、界面活性化合物を介する溶解性の改善)を行う努力がなされ、それにより、水に難溶性であるかもしくは水に不溶性の物質は、かなり乳白色を帯びた透明な水性溶液に変換されるが、ただし、これに関連して、これらの物質の化学構造が変化を受けることはない。これらの可溶化物は、水に難溶性であるかもしくは水に不溶性の物質が界面活性化合物の分子集合体(水性溶液の状態で形成される)中に溶解されて存在することを特徴とする。得られる溶液は、安定な単相系であり、この系は、光学的に透明〜乳白色の外観を呈し、エネルギーを導入することなく調製可能である。可溶化剤は、たとえば、配合物を透明にすることにより化粧品や食料品の外観を改善することが可能である。そのほか、医薬製剤の場合、可溶化剤を用いることにより医薬品の生物学的利用能ひいては活性を増大させることも可能である。
【0004】
水に不溶性の活性物質の水性製剤を調製するために、有機溶媒が使用されることも多い。その際、溶媒和剤として、すなわち、水性相への活性物質の溶解性を増大させるために、水混和性溶媒が使用されることが多い。さらには、水不混和性溶媒を用いて使用温度で固体である活性物質を液相中に移動させてから液相を乳化することも可能である。固体活性物質とは対照的に、活性物質は、溶媒を介してエマルジョン中に分子レベルで溶解されるので、適用時、より容易に利用可能でありかつより効果的である。しかしながら、周知のVOC問題の観点から、健康上および労働安全上の理由で、環境面から、さらには部分的に毒性学上の理由もあって、有機溶媒の使用は、望ましくない。
【0005】
水性マイクロエマルジョンまたは水性ナノエマルジョンの形態をとる水に不溶性の活性物質の製剤は、何度か提案されている。しかしながら、そのようなマイクロエマルジョンまたはナノエマルジョンを調製するためには、比較的多量の乳化剤および有機溶媒が必要である。しかしながら、高比率の乳化剤は、コスト要因になるだけでなく、製剤の使用時に問題を引き起こす可能性もある。さらには、健康上および労働安全上の理由でならびにコスト上の理由で、溶媒もまた、望ましくない。そのようなマイクロエマルジョンのさらなる問題は、分離に関連するそれらの不安定性である。
【0006】
さらに、モノマーエマルジョン(重合されるモノマーエマルジョンのモノマー液滴中に活性物質が存在する)のラジカル水性乳化重合により得られる水性ポリマー/活性物質製剤が、何度か報告されている。しかしながら、この方法は、モノマーに溶けやすい活性物質に限定される。原則として、それらは、周囲温度で液体の物質である。
【0007】
水に不溶性の活性物質を水性ビヒクルに溶解させるために両親媒性コポリマーを使用することもまた、何度か提案されている。この場合、たとえば、特許文献1(US 2003/0009004)では、この目的のために、親水性ポリエチレンイミンブロックと生分解性脂肪族ポリエステルの疎水性ブロックとを含む両親媒性ブロックコポリマが提案されている。
【0008】
特許文献2(US 2003/0157170)には、疎水性成分としてポリエステルを有する両親媒性ジブロックコポリマーと添加剤とを含む無水活性物質組成物が開示されている。組成物は、水で希釈したときに、活性物質を含むミセルを形成する。
【0009】
特許文献3(WO 02/82900)には、水に不溶性の植物保護活性物質の水性サスペンジョンを調製すべく両親媒性ブロックコポリマーを使用することが開示されている。使用されるブロックコポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの「リビング」ラジカルブロック共重合または「制御」ラジカルブロック共重合により取得可能である。
【0010】
特許文献4(US 4,888,389)には、ポリイソブテンブロックと親水性ブロック(たとえばポリエーテルブロック)とを呈するブロックコポリマーが開示されている。
【0011】
未公開独国特許出願10 2004 027 835.0には、水に不溶性であるかもしくはわずかに溶けるにすぎない活性物質および有効物質の水性製剤を調製すべくポリイソシアネートとの反応により親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックとを結合して呈する両親媒性ポリマー組成物を使用することが開示されている。
【0012】
ランダム両親媒性コポリマーもまた、可溶化剤として使用されてきた。たとえば、特許文献5(EP A 0 876 819)は、N−ビニルピロリドンとアルキルアクリル酸とのコポリマーを可溶化剤として使用することに関する。
【0013】
特許文献6(EP-A 0 953 347)は、ポリアルキレンオキシドを含むグラフトポリマーを可溶化剤として使用することに関する。
【0014】
重合脂肪酸誘導体および重合脂肪アルコール誘導体を可溶化剤として使用することは、特許文献7(EP-A 0 943 340)から公知である。
【0015】
特許文献8(EP-A 0 948 957)には、モノエチレン性不飽和カルボン酸のコポリマーを可溶化剤として使用することが開示されている。
【0016】
R. Haagは、非特許文献1(Angew. Chemie, 2004, 116, pp. 280 - 284)に高分子コア−シェル構造に基づく超分子活性物質輸送系を開示している。これに関連して、高分岐状ポリグリセロールおよびポリ(エチレンイミン)に基づく樹枝状コア−シェル構造もまた、開示されている。
【0017】
未公開独国特許出願10 2004 037 850.9には、水に不溶性であるかもしくはわずかに溶けるにすぎない活性物質の水性組成物が開示されている。この水性組成物は、活性物質粒子の水性サスペンジョンの存在下で第1の乳化重合を行ってポリマー/活性物質粒子の水性ディスパージョンを取得することによりかつ続いてこれを少なくとも1種の中性モノエチレン性不飽和モノマーの存在下で第2の乳化重合に付すことにより得られる。
【0018】
水に難溶性の活性物質の水性活性物質組成物を調製すべくハイパーブランチポリマーを使用することについては、以上に挙げた文献に開示されていない。しかしながら、多種多様な使用目的でそのようなポリマーを使用することは、公知である。その例として、たとえば、特許文献9(WO 2004/037881)には、ウレタン基および/またはウレア基を呈する少なくとも1種のハイパーブランチポリマーを表面に有する基材が開示されている。特許文献10(WO 2004/094505)には、熱、UV線などによる損傷からプラスチックを保護する安定化剤が開示されている。この安定化剤は、アンカー基を介して高分岐状ポリマーに共有結合されている。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0009004号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0157170号明細書
【特許文献3】国際公開第02/82900号パンフレット
【特許文献4】米国特許第4,888,389号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0876819号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0953347号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0943340号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0948957号明細書
【特許文献9】国際公開第2004/037881号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2004/094505号パンフレット
【非特許文献1】R. Haag, Angew. Chemie, 2004, 116, pp.280-284
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の目的は、水に不溶性であるかもしくは水に難溶性の活性物質(特定的には、医薬品、化粧品、植物保護、または材料保護に用いられる活性物質)の製剤を調製することである。これらの活性物質組成物は、調製が容易でなければならず、かつまったく揮発性有機物質を呈することのないものまたはごくわずかの含有率の揮発性有機物質を呈するにすぎないものでなければならない。さらに、長期貯蔵時および水による希釈時における分離現象に関して、得られる水性活性物質組成物の安定性が高いことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0020】
驚くべきことに、我々は、窒素原子含有ハイパーブランチポリマーを可溶化剤として使用することによりこの目的が達成されることを見いだした。
【0021】
したがって、本発明は、
A) 少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと、
B) 25℃かつ1013mbarにおいて10g/l未満の水への溶解度を呈する少なくとも1種の活性物質または有効物質と、
を含む活性物質組成物または有効物質組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に従って導入されるハイパーブランチポリマーは、有利には、水に不溶性の(もしくは水にわずかに溶けるにすぎない)活性物質および有効物質を水性相中で安定化させるのに好適であり、したがって、そのような活性物質および有効物質の水性製剤の調製を可能にする。該ハイパーブランチポリマーは、こうした活性物質および有効物質の固形製剤の調製にも好適であり、この固形製剤は、たとえば、市販形態、投与形態、または活性形態として水性製剤に変換可能である。このことは、固体組成物の適用後でさえも(たとえば、生物の消化管などでも)行われうる。
【0023】
したがって、本発明に従って使用されるポリマーによる達成目標である「溶解性の改善」とは、本発明との関連では、広義に解釈されるものである。それはまず最初に、連続相としての水性媒体中に活性物質が乳化相または分散相として存在する不均一系の安定化を包含する。それはさらに、均一溶液への移行段階(たとえば、コロイド溶液など)から分子分散溶液までの安定化を包含する。それはまた、難水溶性もしくは非水溶性の物質がかなり乳白色を帯びた透明な水性溶液に変換される可溶化という意味での溶解性の改善を包含する。最後に、それはまた、「固溶体」を形成する能力を包含する。
【0024】
低(難)溶解性とは、本発明との関連では、25℃かつ1013mbarにおいて活性物質または有効物質の水への溶解度が10g/l未満、特定的には1g/l未満、より特定的には0.1g/l未満であることを意味する。
【0025】
水に不溶性の活性物質または有効物質の水性活性物質組成物(窒素原子含有ハイパーブランチポリマーを用いて調製される)は、連続相としての水性媒体に加えて、少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーを含むだけでなく、25℃/1013mbarにおいて10g/l未満、特定的には1g/l未満、より特定的には0.1g/l未満の水への溶解度を呈する少なくとも1種の活性物質および/または有効物質(連続相中に可溶化または分散される)をも含む。
【0026】
活性物質は、きわめて微粉化された形態で連続水性相中に存在する。このことは、たとえば、ポリマーA)を有する水性相中で活性物質が凝集体を形成するという事実に依拠しうる。これらの凝集体は、一般的には1μm未満、多くの場合500nm未満、特定的には400nm未満、より特定的には300nm未満の平均粒子サイズを呈する。ポリマーの種類および活性物質または有効物質の種類にもよるが、さらには濃度比にもよるが、凝集体は、非常に小さくなることさえも可能であるので、もはや検出可能な個別粒子の形態で存在することはなく、溶解形態(粒子サイズ<10nm)で存在する。
【0027】
ここに与えられている粒子サイズは、重量平均粒子サイズであり、動的光散乱により決定可能である。このための方法は、たとえば、H. Wiese in D. Distler, Waessrige Polymerdispersionen [Aqueous Polymer Dispersions], Wiley-VCH 1999, chapter 4.2.1, p. 40ffおよびそこに引用されている文献、さらにはH. Auweter, D. Horn, J. Colloid Interf. Sci., 105 (1985), 399, D. LilgeおよびD. Horn, Colloid Polym. Sci., 269 (1991), 704, or H. Wiese and D. Horn, J. Chem. Phys., 94 (1991), 6429からわかるように、当業者の熟知するところである。
【0028】
「水性媒体」および「水性相」という用語は、本節および以下の節では、水、水と水混和性有機溶媒(混合物を基準にして最大10重量%まで)との水性混合物、水中および水性混合物中の固体の溶液を包含する。水混和性溶媒の例としては、C〜Cケトン(たとえば、アセトンおよびメチルエチルケトン)、環状エーテル(たとえば、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン)、C〜Cアルカノール(たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、またはtert−ブタノール)、ポリオールならびにそのモノメチルエーテルおよびジメチルエーテル(たとえば、グリコール、プロパンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、またはグリセロール)、さらにはC〜Cニトリル(たとえば、アセトニトリルおよびプロピオニトリル)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ブチロラクトン、2−ピロリドン、およびN−メチルピロリドンが挙げられる。
【0029】
「官能価」という用語は、本節および以下の節では、分子1個あたりまたはポリマー鎖1本あたりの個々の官能基の平均数を意味する。
【0030】
本発明に係る活性物質組成物の利点は、少量の溶媒でも(活性物質組成物の重量を基準にして揮発性溶媒の含有率<10重量%)または溶媒を含まない場合でさえも(活性物質組成物の重量を基準にして揮発性溶媒の含有率<1重量%)、製剤化しうる点である。
【0031】
さらなる利点は、本発明に係る水性活性物質組成物が一般的には再分散可能な粉末形態に乾燥可能である点に見いだしうる。すなわち、乾燥時に水性相を除去することにより、なんら厄介な問題を伴うことなく粒子サイズの有意な増加を生じることもなく水中に溶解可能または分散可能な微粉が得られる。
【0032】
本発明との関連では、「ハイパーブランチポリマー」という用語は、ごく一般的には、分岐状構造および高官能価により特徴付けられるポリマーを包含する。ハイパーブランチポリマーの一般的な定義に関しては、P.J. Flory, J. Am. Chem. Soc., 1952, 74, 2718, and H. Frey et al., Chem. Eur. J., 2000, 6, No. 14, 2499をも参照しうる。本発明の目的の範囲内の「ハイパーブランチポリマー」としては、星形ポリマー、デンドリマー、およびそれらとは異なる高分子量ポリマー、たとえばコームポリマーなどが挙げられる。「星形ポリマー」とは、1つの中心から3本以上の鎖が伸びているポリマーのことである。これに関連して、中心は、個々の原子または一群の原子でありうる。「デンドリマー」(ハイパーブランチポリマー、カスケードポリマー、アルボロール(=ヒドロキシル基を有するデンドリマー)、等方分岐状ポリマー、イソ分岐状ポリマー、スターバーストポリマー)とは、高対称性構造を有する分子的に均一な巨大分子のことである。デンドリマーは、構造上、個々の鎖がそれぞれ部分的に星形に分岐している星形ポリマーから誘導される。それらは、小分子から出発して連続反復反応シーケンスを介してさらに高度の分岐を引き起こすことにより生成され、反応が終了するごとに結果としてさらなる分岐の出発点となる官能基が見いだされる。したがって、各反応工程でモノマー末端基の数が指数関数的に増加するので、最終的に球状ツリー構造が得られる。デンドリマーの顕著な特徴は、その構築のために行われる反応段階(世代)の数である。構造が均一であるので、デンドリマーは、一般的には、規定のモル質量を呈する。
【0033】
好ましくは、さまざまな長さおよび分岐さらにはモル質量分布の側鎖を呈する分子的にも構造的にも不均一なハイパーブランチポリマーが好適である。
【0034】
「ABモノマー」は、こうしたハイパーブランチポリマーの合成にとくに好適である。このABモノマーは、結合を形成するように互いに反応しうる2種の異なる官能基AおよびBを呈する。これに関連して、官能基Aは、1分子あたり1個存在するにすぎないが、官能基Bは、2個以上存在する。該ABモノマーを互いに反応させると、規則的に配置された分岐位置を有する本質的に非架橋型のポリマーが生成される。ポリマーは、ほぼ例外なく鎖末端にB基を呈する。さらに詳しい内容は、たとえば、Journal of Molecular Science, Rev. Macromol. Chem. Phys., C37(3), 555-579 (1997)に見いだされるであろう。
【0035】
好ましくは、本発明に従って使用されるハイパーブランチポリマーは、10〜100%、好ましくは10〜90%、特定的には10〜80%の分岐度(DB)(1分子あたりの樹枝状結合および末端ユニットの平均数に対応する)を呈する。「分岐度」の定義に関しては、H. Frey et al., Acta Polym., 1997, 48, 30を参照しうる。
【0036】
好ましくは、ハイパーブランチポリマーすなわち分子的かつ構造的に不均一なポリマーが使用される。これは、一般的には、デンドリマーよりも調製が単純であり、したがってより経済的である。しかしながら、もちろん、有利な表面改質を達成すべく構造的かつ分子的に均一なデンドリマーポリマーおよび星形ポリマーを使用することも可能である。
【0037】
窒素原子含有ハイパーブランチポリマーA)は、好ましくは、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエステルアミン、およびそれらのブレンドから選択される。
【0038】
本発明に従って使用されるハイパーブランチポリマーは、好ましくは、ハイパーブランチ構造の合成の結果として生じる基(たとえば、ハイパーブランチポリウレタンの場合、イソシアネート基の反応の結果として生じるウレタン基および/もしくはウレア基または追加の基;ハイパーブランチポリアミドの場合、アミド基など)に加えて、少なくとも4個の追加の官能基を呈する。これらの官能基の最大数は、一般的には重要でない。しかしながら、多くの場合、100以下である。官能基の総数は、好ましくは4〜100、特定的には5〜30、より特定的には6〜20である。
【0039】
好ましいのは、約500〜100,000、好ましくは750〜50,000、特定的には1000〜30,000の範囲内の重量平均分子量を呈するポリマーである。
【0040】
本発明との関連では、「アルキル」という表現は、直鎖状および分岐状のアルキル基を包含する。好適な短鎖アルキル基は、たとえば、直鎖状もしくは分岐状のC〜Cアルキル、好ましくはC〜Cアルキル、とくに好ましくはC〜Cアルキル基である。これは、特定的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、オクチルなどを包含する。好適な長鎖のC〜C30アルキル基またはC〜C30アルケニル基は、直鎖状および分岐状のアルキル基またはアルケニル基である。これに関連して、それらは、好ましくは主に、天然もしくは合成の脂肪酸および脂肪アルコールさらにはオキソアルコールにも存在するような線状アルキル残基であり、適切であれば、それに加えて、モノ不飽和、ジ不飽和、もしくはポリ不飽和でありうる。これらは、たとえば、n−ヘキシル(エン)、n−ヘプチル(エン)、n−オクチル(エン)、n−ノニル(エン)、n−デシル(エン)、n−ウンデシル(エン)、n−ドデシル(エン)、n−トリデシル(エン)、n−テトラデシル(エン)、n−ペンタデシル(エン)、n−ヘキサデシル(エン)、n−ヘプタデシル(エン)、n−オクタデシル(エン)、n−ノナデシル(エン)などを包含する。
【0041】
本発明の目的の範囲内の「アルキレン」という表現は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルカンジイル基、たとえば、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレンなどを意味する。
【0042】
シクロアルキルとは、好ましくは、C〜Cシクロアルキル、たとえば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルを意味する。
【0043】
アリールとは、無置換型および置換型のアリール基を包含するものであり、好ましくは、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、特定的には、フェニル、トリル、キシリル、またはメシチルを意味する。
【0044】
I) ハイパーブランチポリウレタン
第1の実施形態では、本発明に係る水性活性物質組成物は、少なくとも1種のハイパーブランチポリウレタンポリマーを含む。
【0045】
「ポリウレタン」という用語は、本発明との関連では、反復ユニットがウレタン基を介して互いに結合されたポリマーを包含するだけでなく、ごく一般的に、少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートとイソシアネート基に対して反応性である少なくとも1個の基を呈する少なくとも1種の化合物との反応により取得可能なポリマーをも包含する。これは、ウレタン基に加えてウレア基、アロファネート基、ビウレット基、カルボジイミド基、アミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基、またはオキサゾリドン(オキサゾリジノン)基により反復ユニットが同様に結合されたポリマーを包含する(たとえば、Plastics Handbook, Saechtling, 26th edition, p. 491ff, Carl Hanser Verlag, Munich, 1995を参照されたい)。「ポリウレタン」という用語は、特定的には、ウレタン基および/またはウレア基を呈するポリマーを包含する。
【0046】
本発明に従って使用されるハイパーブランチポリマーは、好ましくは、ウレタン基および/またはウレア基(もしくはイソシアネート基の反応の結果として生じる追加の基)に加えて、少なくとも4個の追加の官能基を呈する。官能基の総数は、好ましくは4〜100、とくに好ましくは5〜30、特定的には6〜20である。
【0047】
好ましいのは、約500〜100,000、好ましくは1000〜50,000の範囲内の重量平均分子量を呈するポリウレタンである。
【0048】
ポリウレタン中のウレタン基および/またはウレア基(および存在するのであれば、イソシアネート基とそれに対して反応性の基(活性水素原子を有する)との反応により得られる追加の基)の含有量は、好ましくは0.5〜10mol/kg、とくに好ましくは1〜10mol/kg、特定的には2〜8mol/kgの範囲内である。
【0049】
本発明に従って使用しうるハイパーブランチのポリウレタンおよびポリウレアの合成は、たとえば、以下に記載されるように実施可能である。
【0050】
ハイパーブランチのポリウレタンおよびポリウレアの合成では、好ましくは、結合を形成すべくイソシアネート基とイソシアネート基に反応しうる基との両方を呈するABモノマーが使用される。xは、2〜8の自然数である。xは、好ましくは2または3である。Aは、イソシアネート基を表し、かつBは、それに反応する基を表す。またはその逆の場合が成立しうる。
【0051】
イソシアネート基に反応する基は、好ましくは、OH基、NH基、NRH基、SH基、またはCOOH基である。
【0052】
ABモノマーは、種々の技術を用いて公知の方法で調製可能である。
【0053】
ABモノマーは、たとえば、保護基の技術を用いてWO 97/02304に開示されている方法に従って合成可能である。例として、2,4−トルイレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパンとを原料するABモノマーの調製により、この技術を説明した。最初に、公知の方法で、たとえば、オキシムとの反応により、TDIのイソシアネート基の一方をブロッキングする。残存する遊離NCO基をトリメチロールプロパンと反応させる。ただし、3個のOH基のうちの1個をイソシアネート基と反応させる。保護基を切り離した後、1個のイソシアネート基と2個のOH基とを有する分子が得られる。
【0054】
とくに有利な方法では、AB分子は、DE-A 199 04 444に開示されている方法(保護基を必要としない)に従って合成可能である。この方法では、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートを使用して、イソシアネート基に反応する少なくとも2個の基を呈する化合物と反応させる。反応パートナーの少なくとも一方は、他方の反応パートナーに対してさまざまな反応性を有する基を呈する。好ましくは、両反応パートナーは、他方の反応パートナーに対してさまざまな反応性を有する基を呈する。反応条件は、特定の反応性基だけが互いに反応しうるように選択される。
【0055】
そのほかに、AB分子は、独国特許出願P 102 04 979.3に開示されているように調製可能である。この場合、ブロッキング剤により保護されたイソシアネート基をポリアミンと反応させてポリウレアを与える。
【0056】
可能なジイソシアネートまたはポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、および芳香族のジイソシアネートまたはポリイソシアネートであり、これらは、最新技術として公知であり、例としては、次に挙げるものがある。これに関連するものとして、好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、モノマージフェニルメタンジイソシアネートとオリゴマージフェニルメタンジイソシアネート(ポリマーMDI)との混合物、テトラメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー、イソホロンジイソシアネートトリマー、4,4’−メチレンビスシクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、リシンアルキルエステルジイソシアネート(アルキルはC〜C10アルキルを意味する)、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、または4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネートが挙げられうる。
【0057】
さまざまな反応性を有するNCO基を呈するジイソシアネートまたはポリイソシアネートは、とくに好ましくは、ポリウレタンおよびポリウレアの合成に好適である。これに関連するものとして、2,4−トルイレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、トリイソシアナトトルエン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2−ブチル−2−エチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキサンイソシアネート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキサンイソシアネート、1,4−ジイソシアナト−4−メチルペンタン、2,4’−メチレンビスシクロヘキサンジイソシアネート、および4−メチルシクロヘキサン1,3−ジイソシアネート(H−TDI)が挙げられうる。
【0058】
イソシアネートは、そのNCO基が最初は等しい反応性であるが、NCO基への反応物の第1の付加により第2のNCO基の反応性の低下を引き起こすことが可能であるので、ポリウレタンおよびポリウレアの合成にさらに好適である。その例は、非局在化p電子系を介してNCO基が結合されているイソシアネート、たとえば、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、または2,6−トルイレンジイソシアネートである。
【0059】
さらに、たとえば、ウレタン、アロファネート、ウレア、ビウレット、ウレトジオン、アミド、イソシアヌレート、カルボジイミド、ウレトンイミン、オキサジアジントリオン、またはイミノオキサジアジンジオンの構造を利用して結合することにより以上に挙げたジイソシアネートもしくはポリイソシアネートまたはそれらの混合物から調製しうるオリゴイソシアネートまたはポリイソシアネートを使用しうる。
【0060】
好ましくは、イソシアネートに対して反応性である少なくとも2個の基を有する化合物として、NCO基に対してさまざまな反応性を呈する官能基を有する二官能性、三官能性、もしくは四官能性の化合物が使用される。
【0061】
ポリウレタンおよびポリウレア−ポリウレタンを調製する場合、分子中に少なくとも1個の第一級ヒドロキシル基と少なくとも1個の第二級ヒドロキシル基とを有する化合物、少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個のメルカプト基とを有する化合物、とくに好ましくは、イソシアネートとの反応に関してアミノ基の反応性がヒドロキシル基と比較して明らかに高いことが理由で、少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個のアミノ基とを有する化合物、特定的には、アミノアルコール、アミノジオール、およびアミノトリオールが好ましい。
【0062】
イソシアネートに反応する少なくとも2個の基を有する以上に挙げた化合物の例は、プロピレングリコール、グリセロール、メルカプトエタノール、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。さらに、以上に挙げた化合物の混合物も使用可能である。
【0063】
ポリウレアを調製する場合、好ましくは、分子中に少なくとも2個のアミノ基を呈するイソシアネート反応性生成物が使用される。
【0064】
これは、たとえば、エチレンジアミン、N−アルキルエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N−アルキルプロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−アルキルヘキサメチレンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン、アミン末端ポリオキシアルキレンポリオール(ジェファミン(Jeffamine)と呼ばれる)、ビス(アミノエチル)アミン、ビス(アミノプロピル)アミン、ビス(アミノヘキシル)アミン、トリス(アミノエチル)アミン、トリス(アミノプロピル)アミン、トリス(アミノヘキシル)アミン、トリスアミノヘキサン、4−アミノメチル−1,8−オクタメチレンジアミン、N’−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、トリスアミノノナン、またはメラミンである。さらに、以上に挙げた化合物の混合物も使用可能である。
【0065】
ジイソシアネートとアミノジオールとからポリウレタンを調製するためのAB分子の調製を例としてここで説明する。これに関連して、最初に、低温で、好ましくは−10〜30℃の範囲内で、1モルのジイソシアネートを1モルのアミノジオールと反応させる。この温度範囲では、ウレタン生成反応は、実質的に完全に抑制され、イソシアネートのNCO基は、排他的にアミノジオールのアミノ基に反応する。生成されるAB分子(この場合はABタイプ)は、1個の遊離NCO基と2個の遊離OH基とを呈し、ハイパーブランチポリウレタンの合成に使用可能である。
【0066】
このAB分子は、加温および/または触媒添加により分子間反応してハイパーブランチポリウレタンを与えることが可能である。有利には、ハイパーブランチポリウレタンの合成は、追加の反応工程でAB分子の事前の単離を行うことなく、高温で、好ましくは30〜80℃の範囲内で実施可能である。2個のOH基と1個のNCO基とを有する記載のAB分子を使用すると、1分子あたり1個の遊離NCO基と重合度に依存してある程度多数のOH基とを呈するハイパーブランチポリマーが生成される。反応は、高転化率になるまで実施可能であり、これにより、極高分子量構造が得られる。しかしながら、所望の分子量に達したときに、たとえば、好適な単官能性化合物を添加することによりまたはAB分子調製用の出発化合物の一方を添加することにより、反応を終了させることも可能である。終了させるために用いられる出発化合物に依存して、すべてNCO末端であるかまたはすべてOH末端である分子が生成される。
【0067】
他の選択肢として、たとえば、1モルのグリセロールと2モルの2,4−TDIとから、AB分子を調製することも可能である。低温において、好ましくは、第一級アルコール基と4位のイソシアネート基とを反応させて、1個のOH基と2個のイソシアネート基とを呈するアダクトを生成し、これを記載のごとくより高温で変換してハイパーブランチポリウレタンを与えることが可能である。1個の遊離OH基と重合度に依存してある程度多数のNCO基とを呈するハイパーブランチポリマーが最初に生成される。
【0068】
ハイパーブランチのポリウレタンおよびポリウレアの調製は、原理的には、溶媒を用いることなく実施可能であるが、好ましくは、溶液状態で実施される。原理的には、反応温度で液体でありかつモノマーおよびポリマーに対して不活性である化合物はすべて、溶媒として好適である。
【0069】
さらなる他の選択肢の合成形態により、他の生成物が利用可能である。ここでは、たとえば、以下のものが挙げられうる。
【0070】
たとえば、ジイソシアネートと、イソシアネートに対して反応性である少なくとも4個の基を有する化合物と、の反応により、AB分子が取得可能である。例としては、トルイレンジイソシアネートとトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとの反応が挙げられうる。
【0071】
重合を終了させるために、多官能性化合物を使用することも可能であり、この化合物をそれぞれのA基と反応させることが可能である。このようにすれば、いくつかの小さいハイパーブランチ分子は、結合一体化されて大きいハイパーブランチ分子を与えることが可能である。
【0072】
たとえば、ジイソシアネートとイソシアネート基に反応する2個の基を呈する化合物とを1:1のモル比でAB分子に加えて重合反応時に追加的に使用することにより、鎖の延長された分岐枝を有するハイパーブランチのポリウレタンおよびポリウレアを得ることが可能である。こうした追加のAA化合物またはBB化合物は、利用可能な追加の官能基をも有することさえも可能であるが、この官能基は、反応条件下でA基に対してもB基に対しても反応性であってはならない。このようにすれば、ハイパーブランチポリマー中に追加の官能基を導入することが可能である。
【0073】
ハイパーブランチポリマーを得るためのさらなる好適な他の選択肢の合成形態は、DE-A-100 13 187およびDE-A-100 30 869ならびに独国特許出願P 103 51 401.5およびP 10 2004 006304.4に見いだされる。
【0074】
II) ハイパーブランチポリアミド
ハイパーブランチポリアミドは、たとえば、US 4,507,466、US 6,541,600、US-A-2003055209、US 6,300,424、US 5,514,764、およびWO 92/08749(それらの全体がここで参照されるものとする)に開示されている。
【0075】
ハイパーブランチポリアミドの好適な調製手順は、3個以上(たとえば、4、5、6個など)の官能基を呈する少なくとも1種の多官能性化合物を使用して、多官能性アミンとポリカルボン酸とから開始される。形式上、この手順では、その際、2個の同等な官能基を有する第1のクラスのモノマーA(たとえば、ジカルボン酸またはジアミン)を第2のクラスのモノマーBと反応させる。この第2のクラスは、同数個超の官能基を有する少なくとも1種の化合物(たとえば、少なくとも1種のトリカルボン酸(n=3)もしくは三価超のカルボン酸または少なくとも1種のトリアミン(n=3)もしくは三価超のアミン)を含む。好ましくは、第2のクラスのモノマーは、モノマーAに相補的な2個の官能基を呈する少なくとも1種の二価モノマーBを含む。好ましくは、モノマーBは、少なくとも2.1の平均官能価(n=2.1)を呈する。好ましくは、こうした他の選択肢の形態に従ってハイパーブランチポリアミドを調製する場合、モノマーAは、モノマーBに対してモル過剰で使用される。好ましくは、モノマーA対モノマーBのモル比は、1:1〜20:1、とくに好ましくは1.1:1〜10:1、特定的には1.2:1〜5:1の範囲内である。好ましい実施形態では、末端基Aを有するハイパーブランチプレポリマーを最初に調製し、続いて、少なくとも1種のモノマーBおよび/またはBとさらに反応させる。プレポリマーを調製するために、好ましくは、モノマーAおよびモノマーBは、1:1〜20:1、とくに好ましくは1.1:1〜10:1、特定的には1.2:1〜5:1のモル比で使用される。
【0076】
ハイパーブランチポリアミドのさらなる好適な調製手順は、3個以上(たとえば、4、5、6個など)の官能基を呈する少なくとも1種の多官能性化合物、すなわち、ABモノマー(xは2以上である)と呼ばれる化合物を使用して、多官能性アミノカルボン酸から開始される。その際、これを追加のモノマーAB、A、および/またはBと反応させることが可能である。
【0077】
好適なジカルボン酸は、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−α,ω−ジカルボン酸、ドデカン−α,ω−ジカルボン酸、cis−およびtrans−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、cis−およびtrans−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、cis−およびtrans−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、cis−およびtrans−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、cis−およびtrans−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびそれらの混合物である。
【0078】
以上に挙げたジカルボン酸は、置換型も可能である。好適な置換型ジカルボン酸は、好ましくは、冒頭で定義したようなアルキル、シクロアルキル、およびアリールから選択される1個以上の残基を呈しうる。好適な置換型ジカルボン酸は、たとえば、2−メチルマロン酸、2−エチルマロン酸、2−フェニルマロン酸、2−メチルコハク酸、2−エチルコハク酸、2−フェニルコハク酸、イタコン酸、3,3−ジメチルグルタル酸などである。
【0079】
ジカルボン酸は、そのままの状態または誘導体の形態のいずれかで使用可能である。好適な誘導体は、アンヒドリドならびにそのオリゴマーおよびポリマー、モノエステルおよびジエステル、好ましくはモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、さらには酸ハリド、好ましくはクロリドである。好適なエステルは、モノメチルエステルまたはジメチルエステル、モノエチルエステルまたはジエチルエステル、高級アルコール(たとえば、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノールなど)のモノエステルおよびジエステル、さらにはモノビニルエステルおよびジビニルエステルならびに混合エステル、好ましくはメチルエチルエステルである。
【0080】
本発明との関連では、ジカルボン酸と1種以上のその誘導体との混合物を使用することも可能である。同様に、本発明との関連では、1種以上のジカルボン酸のいくつかの異なる誘導体の混合物を使用することが可能である。
【0081】
とくに好ましくは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、またはそれらのモノメチルエステルもしくはジメチルエステルが使用される。なかでもとくに好ましくは、アジピン酸が使用される。
【0082】
ハイパーブランチポリアミドの調製に好適な多官能性アミンは、アミド生成の可能な2個以上(たとえば、3、4、5、6個など)の第一級もしくは第二級のアミノ基を呈する。
【0083】
好適なジアミンは、直鎖状および分岐状の脂肪族および脂環式のアミンであり、一般的には約2〜30個、好ましくは約2〜20個の炭素原子を有する。好適なジアミンは、たとえば、一般式R−NH−R−NH−R〔式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールを表し、そしてRは、アルキレン、シクロアルキレン、またはアリーレンを表す〕で示されるものである。これは、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、N−アルキルエチレンジアミン(たとえば、N−メチルエチレンジアミンおよびN−エチルエチレンジアミン)、N,N’−ジアルキルエチレンジアミン(たとえば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン)、N−アルキルヘキサメチレンジアミン(たとえば、N−メチルヘキサメチレンジアミン)、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(2−アミノエチル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、およびアミン末端ポリオキシアルキレンポリオール(「ジェファミン(Jeffamine)」または、α,ω−ジアミノポリエーテル)(たとえば、アンモニアによるポリアルキレンオキシドのアミノ化により調製可能である)を包含する。
【0084】
好適なトリアミンは、たとえば、ビス(2−アミノエチル)アミン(=ジエチレントリアミン)、N,N’−ジエチルジエチレントリアミン、ビス(3−アミノプロピル)アミン、ビス(6−アミノヘキシル)アミン、4−アミノメチル−1,8−オクタメチレンジアミン、N’−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、メラミンなどである。
【0085】
より高い価数の好適なアミンは、N,N’−ビス(2−アミノエチル)エチレンジアミン(=トリエチレンテトラアミン)、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ジアミノブタン(=スペルミン)、N,N’−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(6−アミノヘキシル)アミンなどである。
【0086】
高分子ポリアミンもまた好適である。一般的には、これは、約400〜10,000、好ましくは約500〜8000の数平均分子量を呈する。これは、たとえば、第一級もしくは第二級の末端アミノ基を有するポリアミン、ポリアルキレンイミン(好ましくは、ポリエチレンイミン)、ポリ−N−ビニルアミド(たとえば、ポリ−N−ビニルアセトアミドなど)の加水分解により得られるビニルアミン、アミノ化ポリアルキレンオキシド系の以上に挙げたα,ω−ジアミン、および適切な官能基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマー(たとえば、アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、(N−メチル)アミノエチルアクリレート、(N−メチル)アミノエチルメタクリレートなど)を共重合して含むコポリマーを包含する。
【0087】
以上に記載したハイパーブランチポリアミドは、一般的には、不溶性であるかもしくはわずかに可溶性であるにすぎない活性物質および有効物質の水性製剤を調製するためにそのままの状態ですでに使用可能である。さらなる実施形態では、以上に記載したハイパーブランチポリアミドは、後述されているようにポリマー類似反応にも追加的に付される。これに好適なのは、たとえば、モノカルボン酸、モノアミン、モノオールまたはポリオール、さらにはモノカルボン酸およびポリカルボン酸、アミノカルボン酸、モノアミンおよびポリアミン、ならびにモノオールおよびポリオールであり、ただし、これらは、ハイパーブランチポリアミドの性質を改変すべく特別な官能基を有する。
【0088】
ハイパーブランチポリアミドの調製は、従来の触媒の存在下で実施可能である。これは、たとえば、金属酸化物および金属炭酸塩、強酸、テレフタレート、チタンハリド、チタンアルコキシド、およびチタンカルボキシレートなどを包含する。好適な触媒は、たとえば、US 2,244,192、US 2,669,556、SU 775 106、およびUS 3,705,881に開示されている。さらなる好適な触媒は、ポリエステルアミドと共に後述される。
【0089】
III) ハイパーブランチポリエステルアミド
好適なハイパーブランチポリエステルアミドは、たとえば、WO 99/16810およびWO 00/56804(それらの全体がここで参照されるものとする)に開示されている。
【0090】
ポリエステルアミドとは、ごく一般的には、エステル基とアミド基とを呈する高分子化合物のことである。ハイパーブランチポリエステルアミドを調製する場合、原理的には、ポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、アミノアルコール、ポリアミン、ポリオール、および以上に挙げた化合物の誘導体から選択される少なくとも二価の化合物を使用しうる。これに関連して、最初に、得られるポリマーがエステル基およびアミド基の両方を呈するように化合物が選択されるという条件が適用される。これに関連して、そのほかに、3個以上(たとえば、4、5、6個など)の官能基を呈する少なくとも1種の多官能性化合物が使用されるように化合物が選択されるという条件が適用される。
【0091】
ハイパーブランチポリエステルアミドの好適な調製手順は、3個以上(たとえば、4、5、6個など)の官能基を呈する少なくとも1種の多官能性化合物を使用して、多官能性アミノアルコールとポリカルボン酸とから開始される。
【0092】
ハイパーブランチポリエステルアミドのさらなる好適な調製手順は、3個以上(たとえば、4、5、6個など)の官能基を呈する少なくとも1種の多官能性化合物を使用して、多官能性アミンと多官能性アルコールとポリカルボン酸とから開始される。
【0093】
ハイパーブランチポリエステルアミドの調製に好適な多官能性アミノアルコールは、ヒドロキシル基ならびに第一級および第二級のアミノ基から選択される2個以上(たとえば、3、4、5、6個など)の官能基を呈する。定義によれば、これに関連するアミノアルコールは、常に、少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個の第一級もしくは第二級アミノ基とを呈する。好適なアミノアルコールは、一般的には2〜30個、好ましくは2〜20個の炭素原子を有する直鎖状および分岐状の脂肪族および脂環式のアミノアルコールである。
【0094】
好適な二価アミノアルコールは、たとえば、2−アミノエタノール(=モノエタノールアミン)、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−3−フェニルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−ブタノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノイソブタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチルブタノール、1−アミノ−1−ペンタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1−ペンタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ペンタノール、2−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサノール、3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、2−アミノ−1,1−ジフェニルエタノール、2−アミノ−2−フェノールエタノール、2−アミノ−1−フェノールエタノール、2−(4−アミノフェニル)エタノール、2−(2−アミノフェニル)エタノール、1−(3−アミノフェニル)エタノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、6−アミノ−2−メチル−2−ヘプタノール、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、1−エチルアミノブタン−2−オール、4−メチル−4−アミノペンタン−2−オール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−アミノ−2−インダノール、N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、アミノ糖(たとえば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、4−アミノ−4,6−ジデオキシ−α−D−グルコピラノース)、およびそれらの混合物である。
【0095】
好適な三価アミノアルコールおよびより高い価数のアミノアルコールは、たとえば、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオールなどである。
【0096】
ハイパーブランチポリエステルアミドの調製に好適なポリカルボン酸は、ハイパーブランチポリアミドの調製に関連して以上に記載したものである。そこに挙げられた好適なおよび好ましい実施形態の全体を参照しうる。
【0097】
ハイパーブランチポリエステルアミドの調製に好適な多官能性アミンは、ハイパーブランチポリアミドの調製に関連して以上に記載したものである。そこに挙げられた好適なおよび好ましい実施形態の全体を参照しうる。
【0098】
ハイパーブランチポリエステルアミドの調製に好適な多官能性アルコールは、2個以上(たとえば、3、4、5、6個など)のヒドロキシル基を呈する。これに関連して、ヒドロキシル基を部分的にもしくは完全にメルカプト基で置き換えることも可能である。
【0099】
好適なジオールは、直鎖状および分岐状の脂肪族および脂環式のアルコールであり、一般的には約2〜30個、好ましくは約2〜20個の炭素原子を有する。これは、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,4−ブタンジオール、ピナコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオールなどを包含する。
【0100】
好適なトリオールは、たとえば、グリセロール、ブタン−1,2,4−トリオール、n−ペンタン−1,2,5−トリオール、n−ペンタン−1,3,5−トリオール、n−ヘキサン−1,2,6−トリオール、n−ヘキサン−1,2,5−トリオール、トリメチロールプロパン、およびトリメチロールブタンである。好適なトリオールはさらに、ヒドロキシカルボン酸と三価アルコールとのトリエステルである。好ましくは、これに関連して、それは、ヒドロキシカルボン酸(たとえば、乳酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸など)のトリグリセリドである。ヒドロキシカルボン酸トリグリセリドを含む天然に存在する混合物、特定的にはヒマシ油もまた好適である。より高い価数の好適なポリオールは、たとえば、糖アルコールおよびその誘導体、たとえば、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トレイトール、イノシトール、およびソルビトールである。ポリオールとアルキレンオキシド(たとえば、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド)との反応生成物もまた好適である。約400〜6000g/mol、好ましくは500〜4000g/molの範囲内の数平均分子量を有する比較的高分子量のポリオールを使用することも可能である。これは、たとえば、脂肪族、脂環式、および/もしくは芳香族のジカルボン酸、トリカルボン酸、および/またはポリカルボン酸と、ジオール、トリオール、および/またはポリオールと、をベースとするポリエステルオール、さらには、ラクトンをベースとするポリエステルオールを包含する。これはさらに、たとえば、環状エーテルの重合によりまたはアルキレンオキシドと開始剤分子との反応により、取得可能なポリエーテルオールを包含する。これはさらに、末端ヒドロキシル基を有する従来のポリカーボネート(これは当業者に公知であり、以上に記載したジオールまたはさらにはビスフェノールAのようなビスフェノール類と、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと、の反応により取得可能である)をも包含する。α,ω−ポリアミドオール、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)α,ω−ジオール、および/またはポリ(ブチル(メタ)アクリレート)α,ω−ジオール、たとえば、ゴールドシュミット(Goldschmidt)製のMD−1000やBD−1000などもまた好適である。
【0101】
ハイパーブランチポリエステルアミドの調製は、当業者に公知である従来の方法に従って実施可能である。第1の実施形態では、ハイパーブランチポリエステルアミドの調製は、3個以上(たとえば、4、5、6個など)の官能基を呈する少なくとも1種の多官能性アミノアルコールを使用して、多官能性アミノアルコールとジカルボン酸とから出発して一段階のワンポット法で行われる。ジカルボン酸とアミノアルコールとのモル比は、好ましくは2:1〜1.1:1、とくに好ましくは1.5:1〜1.2:1の範囲内である。この一段階法の好適な実施形態でジカルボン酸(すなわち、タイプAのモノマー)と三官能性アミノアルコール(すなわち、タイプBのモノマー)とだけを使用する場合、ゲル化点に達する前に反応を中止することが望ましい。ゲル化点の定義に関しては、Flory, Principles of Polymer Chemistry, Cornell University Press, 1953, pp. 387 - 398を参照されたい。ゲル化点は、フローリーの理論に従って計算することも可能であるし、反応混合物の粘度をモニタリングして決定することも可能である。粘度の急激な上昇が観察されたらすぐに、反応を中止することが実用的である。
【0102】
第2の実施形態では、ハイパーブランチポリエステルアミドの調製は、二段階のワンポット法で行われる。これに関連して、第1の段階では、遊離カルボン酸基を有するプレポリマーを最初に調製し、第2の段階では、続いてこれを、エステル生成またはアミド生成の可能な官能基を呈する多官能性化合物と反応させる。好適な実施形態では、第1の段階でプレポリマーを調製するために、カルボン酸AおよびアミノアルコールBが使用される。好ましくは、ジカルボン酸とアミノアルコールとのモル比は、2:1〜10:1、とくに好ましくは2.5:1〜5:1、特定的には2.7:1〜4:1の範囲内である。この手順では、反応混合物のゲル化は、一般的には、高反応速度のときでさえも容易に回避可能である。第2の段階でプレポリマーのさらなる反応を行う場合、適切であれば追加のポリカルボン酸を併用して、以上に挙げた多官能性アミン、アミノアルコール、およびポリアミンを使用しうる。これらの化合物の好適なおよび好ましい実施形態に関しては、以上に述べた事項が参照される。好ましくは、第2の反応段階では、鎖の延長に適合する二価化合物が主にもしくは排他的に使用される。
【0103】
以上に記載した一段階のワンポット法の後で得られるハイパーブランチポリエステルアミドをポリマー類似反応に適合する後続の改変に付した場合にも(その際、以上に挙げた多官能性のアミン、アルコール、アミノアルコール、およびカルボン酸をこのポリマー類似反応に使用することが可能である)、二段階のワンポット法の後で得られるものに匹敵するポリマーを取得しうる。一段階法の後で得られるハイパーブランチポリエステルアミドおよび二段階法の後で得られるハイパーブランチポリエステルアミドのいずれに対しても、当然のことながら、以下でより詳細に記載されるように単官能性化合物(たとえば、モノアルコール、モノアミン、およびモノカルボン酸)を用いたポリマー類似反応を行うことも可能である。この単官能性化合物は、ポリマー特性のさらなる改変を行うべく追加の官能基を呈しうる。好適なストッパー剤は、たとえば、脂肪酸、脂肪酸誘導体(たとえば、アンヒドリドおよびエステル)、脂肪アルコール、酸、および酸誘導体(これらは追加の官能基を呈する)、ならびにアルコールおよびアミン(これらは追加の官能基を呈する)である。
【0104】
ハイパーブランチポリエステルアミドを調製するためのエステル化反応およびアミド化反応ならびにハイパーブランチポリアミドを調製するためのアミド化反応は、少なくとも1種の触媒の存在下で実施可能である。好適な触媒は、たとえば、酸性触媒、有機金属触媒、酵素などである。
【0105】
好適な酸性触媒は、たとえば、硫酸、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、硫酸アルミニウム水和物、ミョウバン、酸性シリカゲル、および酸性アルミナである。好適な触媒はさらに、一般式Al(OR)で示される有機アルミニウム化合物および一般式Ti(OR)で示される有機チタン化合物である。ただし、R残基は、互いに独立して、冒頭に与えられた定義に適合するアルキルまたはシクロアルキルを表す。好ましいR残基は、たとえば、イソプロピルおよび2−エチルヘキシルから選択される。
【0106】
好ましい酸性有機金属触媒は、たとえば、一般式RSnOで示されるジアルキルスズオキシドから選択される。ただし、Rは、互いに独立して、冒頭に与えられた定義に適合するアルキルまたはシクロアルキルを表す。これは、好ましくは、市販の「オキソ−スズ」として取得可能なジ−n−ブチルスズオキシドを包含する。
【0107】
好適な酸性有機触媒はさらに、リン酸基、ホスホン酸基、スルホキシル基、スルホン酸基などから選択される少なくとも1個の酸基を呈する酸性有機化合物である。たとえば、p−トルエンスルホン酸が好ましい。好適な触媒はさらに、酸性イオン交換材料、たとえば、スルホン酸基で修飾されたポリスチレン樹脂であり、これは、通常の方法で、たとえば、ジビニルベンゼンを用いて架橋される。
【0108】
IV) ハイパーブランチポリエステルアミン
本発明との関連では、「ポリエステルアミン」という表現は、ごく一般的には、鎖中にエステル基とアミノ基とを呈する高分子化合物を記述する。ただし、アミノ基は、アミド基の一部分ではない。ハイパーブランチポリエステルアミンを調製する場合、原理的には、1個のアミノ基(好ましくは、もはや後続反応に利用できない)と付加反応または縮合反応の可能な少なくとも2個の追加の官能基とを呈する少なくとも二価の化合物を使用することが可能である。これは、たとえば、N−アルキル−N−(ヒドロキシアルキル)アミノアルカンカルボン酸および該カルボン酸の誘導体、N,N−ジ(ヒドロキシアルキル)アミノアルカンカルボン酸および該カルボン酸の誘導体、N−アルキル−N−(アミノアルキル)アミノアルカンカルボン酸および該カルボン酸の誘導体、N,N−ジ(アミノアルキル)アミノアルカンカルボン酸および該カルボン酸の誘導体などを包含する。こうしたモノマーに加えて、本発明に従って使用されるハイパーブランチポリエステルアミンは、2個以上(たとえば、3、4、5、6個など)の官能基を呈する追加の多官能性化合物を組み込んで含みうる。これは、以上に記載したポリカルボン酸、多官能性アミン、多官能性アルコール、および多官能性アミノアルコール(それらの全体がここで参照されるものとする)を包含する。
【0109】
ハイパーブランチポリエステルアミンの調製は、好ましくは、マイケル(Michael)付加タイプに適合する反応により取得可能なABモノマーおよび/またはABモノマーを用いて行われる。
【0110】
マイケル(Michael)付加によりABモノマーを調製するための第1の実施形態では、1個の第二級アミノ基と2個のヒドロキシル基とを呈するアミノアルコールを、活性二重結合を有する化合物(たとえば、ビニル性カルボニル化合物)と反応させる。
【0111】
1個の第二級アミノ基と2個のヒドロキシル基とを呈する好適なアミノアルコールは、たとえば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、ジイソブタノールアミン、ジシクロヘキサノールアミンなどである。
【0112】
活性二重結合を有する好適な化合物は、好ましくは、α,β−エチレン性不飽和のモノカルボン酸およびジカルボン酸と一価アルコールとのエステルから選択される。α,β−エチレン性不飽和のモノカルボン酸およびジカルボン酸は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、モノブチルマレエート、およびそれらの混合物から選択される。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの混合物が、酸成分として使用される。好ましいビニル性化合物は、メチル(メタ)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルエタクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルエタクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、1,1,3,3−テトラメチルブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキジル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、n−ミリシル(メタ)アクリレート、パルミトレイル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノレイル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物である。メチルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートがとくに好ましい。
【0113】
マイケル(Michael)付加によりABモノマーを調製するための第2の実施形態では、第一級アミノ基とヒドロキシル基とを呈するアミノアルコールを、活性二重結合を有する化合物と反応させる。
【0114】
第一級アミノ基とヒドロキシル基とを呈する好適なアミノアルコールは、ハイパーブランチポリエステルアミドの調製に関連して以上に挙げた二価アミノアルコール(その全体がここで参照されるものとする)である。活性二重結合を有する好適な化合物は、マイケル(Michael)付加によりABモノマーを調製するための第1の実施形態のところで以上に挙げたものである。
【0115】
マイケル(Michael)付加によりABモノマーを調製するための第3の実施形態では、第一級アミノ基と第二級アミノ基とヒドロキシル基とを呈するアミノアルコールを、3個の活性二重結合を有する化合物と反応させる。
【0116】
第一級アミノ基と第二級アミノ基とヒドロキシル基とを呈する好適なアミノアルコールは、ヒドロキシエチルエチレンジアミンである。活性二重結合を有する好適な化合物は、マイケル(Michael)付加によりABモノマーを調製するための第1の実施形態のところで以上に挙げたものである。
【0117】
マイケル(Michael)付加タイプに適合する反応は、好ましくは、バルク中でまたは反応条件下で不活性な溶媒中で行われる。好適な溶媒は、たとえば、高沸点アルコール(たとえば、グリセロール)、芳香族炭化水素(たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン)などである。反応は、好ましくは0〜100℃、とくに好ましくは5〜80℃、特定的には10〜70℃の範囲内の温度で行われる。反応は、好ましくは、窒素、ヘリウム、もしくはアルゴンのような不活性ガスの存在下で、および/またはラジカル抑制剤の存在下で、行われる。活性二重結合にアミノアルコールを付加するための一般的手順は、当業者に公知である。好ましい実施形態では、マイケル(Michael)付加によるモノマーの調製および重縮合によるその後続反応は、ワンポット反応の形態で行われる。
【0118】
以上に挙げたモノマーまたは他のABモノマーを原料とするハイパーブランチポリエステルアミンの調製は、当業者に公知である従来の方法に従って行われる。好適な手順では、本発明に係る好適なポリエステルアミンの調製は、マイケル(Michael)付加により取得可能な以上に記載したABモノマーを用いて行われる。これを追加の多官能性モノマーの存在下でさらに反応させることが可能である。好適な多官能性モノマーは、ハイパーブランチポリエステルアミドの調製のところで以上に挙げた多官能性アミノアルコール、多官能性アミン、多官能性アルコール、およびポリカルボン酸(それらの全体がここで参照されるものとする)である。所望により、ヒドロキシカルボン酸を鎖延長剤として追加的に使用することが可能である。これは、たとえば、乳酸、グリコール酸などを包含する。
【0119】
好適な実施形態では、ハイパーブランチポリエステルアミンの調製は、Aモノマーの存在下で行われる。これは、好ましくは、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、または2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオールから選択される。
【0120】
さらなる好適な実施形態では、ハイパーブランチポリエステルアミンの調製は、「コア分子」の存在下で行われる。好適なコア分子は、たとえば、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、アルコキシル化ポリオール(たとえば、エトキシル化トリメチロールプロパン、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化トリメチロールプロパン、またはプロポキシル化グリセロール)、ポリアミン(たとえば、トリス(2−アミノエチル)アミン、エチレンジアミン、またはヘキサメチレンジアミン)、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどである。コア形成性モノマーの添加は、反応の開始時にまたは反応の過程で実施可能である。
【0121】
さらなる好適な実施形態では、ハイパーブランチポリエステルアミンの調製は、芳香族ABモノマーを用いて行われる。好適な芳香族ABモノマーは、たとえば、アミドール、アミノベンジルアルコール、2−アミノ−5−クロロベンジルアルコール、2−アミノ−9−フルオレノールなどである。
【0122】
ハイパーブランチポリエステルアミンを調製するための重縮合反応は、触媒の存在下で実施可能である。好適な触媒は、ハイパーブランチポリエステルアミドの調製に関連して以上に記載した触媒(その全体がここで参照されるものとする)である。リパーゼやエステラーゼのような酵素もまた、好適な触媒である。好適なリパーゼまたはエステラーゼは、カンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)、カンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・アンタルチカ(Candida antartica)、カンジダ・ユチリス(Candida utilis)、クロモバクテリウム・ビスコスム(Chromobacterium viscosum)、ゲオトリクム・ビスコスム(Geotrichum viscosum)、ゲオトリクム・カンジズム(Geotrichum candidum)、ムコール・ジャバニクス(Mucor javanicus)、ムコール・ミヘイ(Mucor mihei)、ブタ膵臓、シュードモナス属の種(Pseudomonas spp.)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、リゾプス・アリズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・デレマル(Rhizopus delemar)、リゾプス・ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、ペニシリウム・ロクエフォルチイ(Penicillium roquefortii)、ペニシリウム・カメンベルチイ(Penicillium camembertii)から取得可能であり、バシルス属の種(Bacillus spp.)およびバシルス・サーモグルコシダシウス(Bacillus thermoglucosidasius)に由来するエステラーゼでありうる。好ましい酵素は、カンジダ・アンタルチカ(Candida antartica)リパーゼB、とくに好ましくは、ノボザイム435(Novozyme 435)という品名でNovozymes Biotech Inc.から市販品として入手可能な固定化カンジダ・アンタルチカ(Candida antartica)リパーゼBである。
【0123】
有利には、酵素触媒作用を用いる場合、約40〜90℃、好ましくは60〜70℃の範囲内の低温で反応を行いうる。好ましくは、酵素反応は、二酸化炭素、窒素、アルゴン、またはヘリウムのような不活性ガスの存在下で行われる。
【0124】
以上に記載したハイパーブランチポリマーは、一般的には、不溶性もしくはごくわずかに可溶性の活性物質および有効物質の水性製剤を調製するためにそのままの状態ですでに使用可能である。さらなる実施形態では、以上に記載したハイパーブランチポリマーは、さらに追加的にポリマー類似反応に付される。その際、ポリマー類似反応に用いられる化合物のタイプおよび量に応じて、ポリマーの性質を個々の用途に特定的に適合させることが可能である。好適に改変されたハイパーブランチポリマーは、窒素原子含有ハイパーブランチポリマー(縮合反応または付加反応の可能な官能基を有する)と、
a) ハイパーブランチポリマーに含まれる縮合反応または付加反応の可能な基に相補的な少なくとも1個の官能基と追加的に少なくとも1個の親水性基とを有する化合物、
b) ハイパーブランチポリマーに含まれる縮合反応または付加反応の可能な基に相補的な少なくとも1個の官能基と追加的に少なくとも1個の疎水性基とを有する化合物、
およびそれらの混合物
から選択される少なくとも1種の化合物と、のポリマー類似反応により、取得可能である。
【0125】
本発明との関連では、「相補的官能基」とは、反応時(好ましくは縮合反応時または付加反応時)に互いに反応しうる1対の官能基であると解釈されるものである。「相補的化合物」とは、互いに相補的な官能基を呈する対をなす化合物のことである。
【0126】
好ましい相補的官能基は、以下の表の相補的官能基aおよびbから選択される。ただし、RおよびR’は、有機基、たとえば、アルキル、好ましくはC〜C20アルキル、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、ヘプチル異性体、またはオクチル異性体など;シクロアルキル、好ましくはC〜Cシクロアルキル、特定的にはシクロペンチルおよびシクロヘキシル;アリール、好ましくはフェニル;ヘテロアリールなどを表し、R’は、水素を表すことも可能である。
【表1】

【0127】
相補的な対を形成するのに好適な官能基は、好ましくは、ヒドロキシル基、第一級および第二級のアミノ基、チオール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボキサミド基、カルボン酸アンヒドリド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、ウレタン基、ウレア基、エーテル基、およびエポキシド基から選択される。
【0128】
反応に好適な対は、たとえば、一方が、活性水素原子を有する化合物(たとえば、アルコール基、第一級および第二級のアミン基、ならびにチオール基を有する化合物から選択される)であり、他方が、それに対して反応性の基(たとえば、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボキサミド基、カルボン酸アンヒドリド基、イソシアネート基、ウレタン基、ウレア基、アルコール基、エーテル基、およびエポキシド基から選択される)を有する化合物である。さらなる好適な対は、一方ではエポキシド基を有する化合物と、他方ではカルボン酸基を有する化合物と、を含む。これに関連して、一般的には、対をなす化合物のどちらが基a)を有し、どちらが基b)を有するかは、重要でない。
【0129】
好ましくは、親水性化合物をポリマー類似反応に使用する。好適な親水性基は、イオン性、イオノゲン性、および非イオン性の親水性基から選択される。イオノゲン性もしくはイオン性の基は、好ましくは、カルボン酸基および/またはスルホン酸基および/または窒素を含む基(アミン)あるいはカルボキシレート基および/またはスルホネート基および/または四級化もしくはプロトン化された基である。酸基を含む化合物は、部分中和または完全中和により対応する塩に変換可能である。中和に好適な塩基は、たとえば、アルカリ金属塩基(たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、または炭酸水素カリウム)、およびアルカリ土類金属塩基(たとえば、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、または炭酸マグネシウム)、さらにはアンモニアおよびアミン(たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)である。荷電カチオン性基は、プロトン化(たとえば、酢酸のようなカルボン酸を用いる)または四級化(たとえば、C〜Cアルキルのハリドやスルフェートのようなアルキル化剤を用いる)のいずれかにより、アミン窒素原子を有する化合物から生成可能である。そのようなアルキル化剤の例は、エチルクロリド、エチルブロミド、ジメチルスルフェート、およびジエチルスルフェートである。
【0130】
ポリマー類似反応により取得可能であるイオン性親水性基を有するハイパーブランチポリマーは、一般的には、水溶性である。
【0131】
好ましくは、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、ヒドロキシコハク酸(リンゴ酸)、ヒドロキシピバル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、12−ヒドロキシドデカン酸、ジメチロールプロピオン酸などのようなヒドロキシカルボン酸がポリマー類似反応に使用される。
【0132】
そのほかに、好ましくは、ヒドロキシメタンスルホン酸や2−ヒドロキシエタンスルホン酸のようなヒドロキシスルホン酸がポリマー類似反応に使用される。
【0133】
そのほかに、好ましくは、メルカプト酢酸のようなメルカプトカルボン酸がポリマー類似反応に使用される。
【0134】
そのほかに、好ましくは、式:
HN−Y−SO
〔式中、
Yは、o−、m−、もしくはp−フェニレンまたは直鎖状もしくは分岐状のC〜Cアルキレン(場合により、1、2、もしくは3個のヒドロキシル基により置換されていてもよい)を表し、そして
は、水素原子、C〜C12アルキル基(好ましくはC〜C10アルキル基、特定的にはC〜Cアルキル基)、またはC〜Cシクロアルキル基を表す(ただし、アルキル基またはシクロアルキル基は、場合により、1、2、もしくは3個のヒドロキシル基、カルボキシル基、またはスルホン酸基により置換可能である)〕
で示されるアミノスルホン酸がポリマー類似反応に使用される。
【0135】
上記の式で示されるアミノスルホン酸は、好ましくは、タウリン、N−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、または2−アミノエチルアミノエタンスルホン酸である。
【0136】
そのほかに、好ましくは、α−、β−、もしくはγ−アミノ酸、たとえば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、トリプトファン、β−アラニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸が、ポリマー類似反応に使用される。
【0137】
そのほかに、好ましくは、ポリエーテルオールがポリマー類似反応に使用される。好適なポリエーテルオールは、末端ヒドロキシル基を有しエーテル結合を含みかつたとえば約300〜10,000の範囲内の分子量を呈する線状もしくは分岐状の物質である。これは、たとえば、ポリアルキレングリコール(たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)もしくはポリテトラヒドロフラン、またはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、および/もしくはブチレンオキシドのコポリマー(ただし、アルキレンオキシドユニットは、ランダム分布で存在するかもしくはブロックの形態で共重合される)を包含する。アンモニアによるポリエーテルオールのアミノ化により調製しうるα,ω−ジアミノポリエーテルもまた、好適である。そのような化合物は、ジェファミン(Jeffamine)(登録商標)という名称で市販されている。
【0138】
そのほかに、ジアミン、ポリアミン、およびそれらの混合物が、ポリマー類似反応に使用される。
【0139】
好適な多官能性のアミン、アルコール、およびアミノアルコールは、以上に挙げたものである。
【0140】
好ましくは、ポリマー類似反応に好適な疎水性基は、8〜40個、好ましくは9〜35個、特定的には10〜30個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素残基から選択される。それは、好ましくは、アルキル残基、アルケニル残基、シクロアルキル残基、またはアリール残基である。シクロアルキル残基またはアリール残基は、1、2、もしくは3個の置換基、好ましくはアルキル置換基またはアルケニル置換基を呈しうる。本発明との関連では、「アルケニル残基」という用語は、1、2、もしくはそれ以上の炭素炭素二重結合を呈する残基を記述する。
【0141】
本発明との関連では、「C〜C40アルキル」という表現は、直鎖状および分岐状のアルキル基を包含する。これに関連して、それは、好ましくは、直鎖状および分岐状のC〜C35アルキル、とくに好ましくはC10〜C30アルキル、特定的にはC12〜C26アルキル基である。これに関連して、それは、好ましくは主に、天然もしくは合成の脂肪酸および脂肪アルコールさらにはオキソアルコールにも存在するような線状アルキル残基である。これは、特定的には、n−オクチル、エチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、パルミチル(=セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、アラキジル、ベヘニル、リグノセリル、セリル、ミリシルなどを包含する。
【0142】
〜C40アルケニルは、好ましくは、モノ不飽和、ジ不飽和、もしくはポリ不飽和でありうる直鎖状および分岐状のアルケニル基を表す。それは、好ましくはC〜C35、特定的にはC10〜C30、より特定的にはC12〜C26のアルケニル基である。これは、特定的には、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、リノリル、リノレイル、エレオステアリルなど、特定的にはオレイル(9−オクタデセニル)を包含する。
【0143】
疎水性ポリマー類似反応に好ましい化合物は、1−ノニルアミン、1−デシルアミン、1−ウンデシルアミン、1−ウンデカ−10−エニルアミン、1−トリデシルアミン、1−テトラデシルアミン、1−ペンタデシルアミン、1−ヘキサデシルアミン、1−ヘプタデシルアミン、1−オクタデシルアミン、1−オクタデカ−9,12−ジエニルアミン、1−ノナデシルアミン、1−エイコシルアミン、1−エイコサ−9−エニルアミン、1−ヘネイコシルアミン、1−ドコシルアミン、特定的には、オレイルアミンおよび1−ヘキサデシルアミン(セチルアミン)、または天然に存在する脂肪酸から調製されるアミン混合物、たとえば、獣脂脂肪アミン(これは主に、飽和および不飽和のC14、C16〜C18のアルキルアミンを含む)またはココナツアミン(これは、飽和、モノ不飽和、およびジ不飽和のC〜C22、好ましくはC12〜C14のアルキルアミンを含む)などである。
【0144】
そのほかに、以上に挙げた疎水性残基のうちの1つを呈する一価アルコールから選択される化合物が、ポリマー類似反応に好ましい。そのようなアルコールおよびアルコール混合物は、たとえば、天然の脂肪および油から得られる脂肪酸またはパラフィンの接触酸化などから得られ合成の脂肪酸を水素化することにより、取得可能である。好適なアルコールおよびアルコール混合物はさらに、アルデヒドの同時水素化を伴うオレフィンのヒドロホルミル化により取得可能であり、それにより、一般的には、直鎖状および分岐状の第一級アルコール(オキソアルコール)の混合物が生成される。好適なアルコールおよびアルコール混合物b)はさらに、公知の方法に従ってn−パラフィンを部分酸化することにより取得可能であり、それにより、主に、線状第二級アルコールが生成される。さらに、有機アルミニウムを用いた合成により取得可能な本質的に第一級、直鎖状、かつ偶数鎖のチーグラー(Ziegler)アルコールが好適である。
【0145】
第一級もしくは第二級のアミノ基を有するアミン、たとえば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ(n−プロピル)アミン、ジイソプロピルアミンなどもまた、好適である。
【0146】
ポリマー類似反応に好適な一価アルコールは、たとえば、単官能性アルコール、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノールなど、およびそれらの混合物である。それはまた、約500〜10,000g/mol、好ましくは1000〜5000g/molの範囲内の数平均分子量を有する一価ポリエーテルアルコールでありうる。一価ポリエーテルアルコールは、エチレンオキシドまたはエチレンオキシドと他のアルキレンオキシド(特定的にはプロピレンオキシド)との混合物をアルコキシル化剤として用いて、一価開始剤分子、たとえば、メタノール、エタノール、またはn−ブタノールなどをアルコキシル化することにより、取得可能である。
【0147】
ポリマー類似反応に好適なモノイソシアネートは、たとえば、ホスゲン化により以上に挙げたアミンおよびアミン混合物から、またはホフマン(Hofmann)反応、クルチウス(Curtius)転位、もしくはロッセン(Lossen)転位により天然もしくは合成の脂肪酸および脂肪酸混合物から、取得可能なC〜C40アルキルイソシアネートである。
【0148】
ポリマー類似反応に用いられる以上に挙げた化合物は、その都度、単独で、排他的に親水性化合物の混合物としてまたは排他的に疎水性化合物の混合物として、さらには親水性化合物と疎水性化合物との混合物として、使用可能である。ハイパーブランチポリマーの性質は、ウレタン基および/またはウレア基を有するハイパーブランチポリマーと個々の化合物またはそれらの混合物とのポリマー類似反応により、広い範囲内で変化させることが可能である。
【0149】
ポリマー類似反応のいくつかのさらなる実施形態を以下に示す。
【0150】
重合性オレフィン基を呈し、かつ照射下(特定的にはUV照射下)で架橋するポリマーの調製に使用しうるハイパーブランチポリマーは、アクリレート基を含む化合物、たとえば、アクリレート基を含むアルコール(たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート)などとの反応により、取得可能である。カチオン架橋性ポリマーを得るべく使用しうるエポキシド基またはビニルエーテル基もまた、適切に置換されたアルコールとの反応により導入可能である。
【0151】
酸化乾燥性ハイパーブランチポリマーは、NCO基またはウレタン基を含むポリマーを、少なくとも1個のOH基を呈するモノ不飽和もしくはポリ不飽和の脂肪酸エステルと、あるいはモノ不飽和もしくはポリ不飽和の脂肪アルコールまたは脂肪アミン(特定的には3〜40個の炭素原子を有する)と、反応させることにより、取得可能である。たとえば、リノール酸、リノレン酸、またはエレオステアリン酸のエステル(OH基を含む)をNCO基と反応させることが可能である。しかしながら、そのほかに、NCO基またはウレタン基を、ビニル基またはアリル基を含むアルコールまたはアミンと、直接反応させることも可能である。
【0152】
種々の官能基を呈するハイパーブランチポリマーを調製するために、たとえば、2モルの2,4−TDIを、1モルのトリメチロールプロパンと1モルのジメチロールプロピオン酸との混合物と、反応させることが可能である。これに関連して、カルボン酸基およびOH基の両方を有する生成物が得られる。
【0153】
そのほかに、AB分子を用いて重合し、所望の転化度で重合を終了させ、続いて、最初に存在していた官能基の一部だけ、たとえば、OH基またはNCO基の一部だけ、を反応させることにより、そのような生成物を取得することも可能である。その際、たとえば、2,4−TDIとグリセロールとよりなるNCO末端ポリマーの場合、NCO基の一部をエタノールアミンと反応させ、残存するNCO基をメルカプト酢酸と反応させることが可能である。
【0154】
そのほかに、たとえば、OH基の一部をドデカンイソシアネートまたはドデカン酸と反応させることにより、イソホロンジイソシアネートとジエタノールアミンとよりなるOH末端ポリマーを後の段階で疎水性にすることが可能である。有利には、NCO末端ポリウレタンを事前に単離すことなく重合反応の直後に、ハイパーブランチポリウレタンの官能基の変更または適用問題へのポリマーの性質の適合化を行うことが可能である。しかしながら、官能化を別の反応で行うことも可能である。
【0155】
本発明に従って使用されるハイパーブランチポリマーは、一般的には、少なくとも4個の平均官能基数を呈する。原理的には、官能基の数に上限はない。しかしながら、本発明に従って使用されるハイパーブランチポリマーは、一般的には、100個以下の官能基を呈する。好ましくは、ハイパーブランチポリマーは、4〜30個、とくに好ましくは5〜20個の官能基を呈する。好ましくは、数平均分子量Mは、400〜100,000g/mol、とくに好ましくは500〜80,000g/molの範囲内である。
【0156】
重量平均分子量Mは、好ましくは500〜500,000g/mol、とくに好ましくは1000〜100,000g/molの範囲内である。
【0157】
多分散度(M/M)は、好ましくは1.1〜50、とくに好ましくは1.3〜45の範囲内である。
【0158】
ハイパーブランチポリマーは、混合物としてあるいは界面活性物質(たとえば、陰イオン性、陽イオン性、双イオン性、もしくは非イオン性の界面活性剤)または湿潤剤と組み合わせて使用可能である。そのほかに、追加のポリマーと組み合わせて使用することが可能であり、それにより、場合によっては可溶化作用の強化を達成することが可能である。
【0159】
本発明に係る活性物質組成物は、種々の方法で調製可能である。
【0160】
本発明の第1の実施形態では、最初に、ハイパーブランチポリマーと活性物質および/または有効物質とを含む均一無水混合物を調製し、続いて、こうして得られた混合物を水中または水性媒体中に分散することにより、水性活性物質組成物を調製する。均一無水混合物を調製するために、活性物質を、一般的には、液状形態のハイパーブランチポリマー組成物(たとえば、溶融体または好ましくは有機溶媒中の溶液)に組み込む。溶媒を使用する場合、続いて、できるかぎり十分に、好ましくは完全に溶媒を除去して、ハイパーブランチポリマー組成物中の活性物質の固溶体を得る。これに好適な溶媒は、原理的には、活性物質およびポリマーの両方を溶解しうる溶媒、たとえば、脂肪族ニトリル(たとえば、アセトニトリルおよびプロピオニトリル)、脂肪族カルボン酸のN,N−ジアルキルアミド(たとえば、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド)、N−アルキルラクタム(たとえば、N−メチルピロリドン)、以上に挙げた脂肪族および脂環式のエーテル(たとえば、テトラヒドロフラン)、ハロゲン化炭化水素(たとえば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン)、および以上に挙げた溶媒の混合物である。本発明に係る水性組成物を調製するために、ハイパーブランチポリマー組成物中の活性物質のこうして得られた固溶体を、続いて、攪拌しながら水性媒体中に分散する。攪拌は、周囲温度近傍の温度および高温で、たとえば、10〜80℃の範囲内、特定的には20〜50℃の範囲内の温度で実施可能である。
【0161】
本発明の第2の実施形態では、ハイパーブランチポリマー組成物の水性溶液/水性ディスパージョンに活性物質および/または有効物質を組み込むことにより、水性活性物質組成物を調製する。この場合、一般的には、活性物質または有効物質の融点を超える温度で、好ましくは、活性物質または有効物質の溶融体が低粘度である(すなわち、1〜1000mPa・sの範囲内の粘度(25℃でDIN 53019−2に準拠)を呈する)温度で組込みが行われるような手順がとられる。好ましくは、組込みは、強力な剪断力を適用して、たとえば、ウルトラタラックス(UltraTurrax)装置を用いて行われる。
【0162】
本発明の第3の実施形態では、水性活性物質組成物は、以下の工程a)〜c):
a) 水の沸点よりも低い沸点を呈する有機溶媒中の活性物質および/または有効物質ならびに適切であればハイパーブランチポリマー組成物の溶液を調製する工程、ならびに
b) 活性物質および/または有効物質の溶液を水またはハイパーブランチポリマーの水性溶液と混合する工程、ならびに
c) 溶媒を除去する工程、
を含む方法により調製される。
【0163】
これに関連して、他の選択肢として、活性物質の溶液がハイパーブランチポリマー組成物を含み、かつこの溶液が水と混合されるか、または活性物質の溶液がハイパーブランチポリマー組成物の一部だけを含むかもしくはハイパーブランチポリマー組成物を含まず、かつこの溶液がハイパーブランチポリマー組成物の水性溶液もしくは水性ディスパージョンと混合されるように実施することが可能である。混合は、好適な攪拌槽中で実施可能であり、この場合、水もしくはハイパーブランチポリマー組成物の水性溶液を仕込んで、それに活性物質もしくは有効物質の溶液を添加するか、または他の選択肢として、活性物質もしくは有効物質の溶液を仕込んで、それに水もしくはハイパーブランチポリマー組成物の水性溶液を添加するか、のいずれかが可能である。続いて、たとえば蒸留により(適切であれば水を添加して)、有機溶媒が除去される。
【0164】
この実施形態の好ましい他の選択肢の形態では、活性物質の溶液と水またはハイパーブランチポリマー組成物の水性溶液とが混合領域に連続的に添加され、この混合領域から混合物が連続的に取り出され、続いて、混合物から溶媒が除去される。混合領域は、任意に配置可能である。原理的には、液体ストリームの連続混合を可能にするいかなる装置も、これに好適である。そのような装置は、たとえば、Continuous Mixing of Fluids (J.-H. Henzler) in Ullmann’s Encyclopedia, 5th ed. on CD-Rom, Wiley-VCHから公知である。混合領域は、スタティックミキサーもしくはダイナミックミキサーまたはそれらの混合形態として配置可能である。ジェットミキサーまたはそれに匹敵するノズル付きミキサーもまた、混合領域としてとくに好適である。好ましい実施形態では、混合領域は、”Handbook of Industrial Crystallization” (A.S. Myerson, 1993, Butterworth-Heinemann, page 139, ISBN 0-7506-9155-7)に記載の装置またはそれに匹敵する装置である。
【0165】
活性物質の溶液と水またはハイパーブランチポリマー組成物の水性溶液との体積比は、広範にわたり、好ましくは10:1〜1:20の範囲内、特定的には5:1〜1:10の範囲内で変化させうる。
【0166】
当然のことながら、溶媒は、ハイパーブランチポリマー組成物および活性物質を所望の定量比で溶解させるのに好適なものでなければならない。当業者であれば、常用的実験により好適な溶媒を決定することが可能である。好適な溶媒の例は、C〜Cアルカノール(たとえば、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、もしくはイソブタノール)、以上に挙げた脂肪族および脂環式のエーテル(たとえば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、もしくはテトラヒドロフラン)、またはケトン(たとえば、アセトンもしくはメチルエチルケトン)である。
【0167】
本発明に係る水性活性物質組成物では、活性物質および/または有効物質とハイパーブランチポリマーとの重量比は、1:10〜3:1の範囲内、特定的には1:5〜2:1の範囲内が有利であることが判明した。
【0168】
活性物質および/または有効物質の含有量は、広範にわたり変化させうる。特定的には、本発明に従って使用されるハイパーブランチポリマーを用いれば、組成物の全重量を基準にして少なくとも5重量%の量で活性物質を含む「活性物質濃厚物」を調製することが可能である。
【0169】
本発明に係る水性活性物質組成物は、有利には、溶媒なしでまたは少量の溶媒で製剤化可能である。すなわち、水性活性物質組成物中の揮発性成分の割合は、組成物の全重量を基準にして、多くの場合10重量%以下、特定的には5重量%以下、より特定的には1重量%以下である。これに関連して、揮発性成分とは、標準圧力で200℃未満の沸点を呈する成分のことである。
【0170】
本発明はまた、水性活性物質組成物を乾燥させることにより取得可能な固体(たとえば粉末)に関する。調製は、当業者に公知である従来の乾燥方法に従って、たとえば、スプレー乾燥、ドラム乾燥、または凍結乾燥により、実施可能である。
【0171】
本発明に係る水性組成物を用いて多種多様な活性物質および有効物質を製剤化することが可能である。本発明の特定の実施形態は、植物保護用活性物質(すなわち、除草剤、殺菌剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、または殺虫剤)および植物成長を調整する活性物質の製剤に関する。したがって、本発明はまた、
A) 以上で定義したような少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと、
B) 25℃かつ1013mbarにおいて10g/l未満の水への溶解度を呈する少なくとも1種の植物保護用活性物質と、
C) 適切であれば、B)以外の少なくとも1種の追加の植物保護用活性物質および/または少なくとも1種の助剤と、
を含む植物保護組成物に関する。
【0172】
本発明に係る水性活性物質組成物として製剤化されうる殺菌性活性物質の例は、以下のものを包含する:
・ アシルアラニン類、たとえば、ベナラキシル、メタラキシル、オフレース、またはオキサジキシル;
・ アミン誘導体、たとえば、アルジモルフ、ドジン、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、グアザチン、イミノクタジン、スピロキサミン、またはトリデモルフ;
・ アニリノピリミジン類、たとえば、ピリメタニル、メパニピリム、またはシプロジニル;
・ 抗生物質、たとえば、シクロヘキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシン、およびストレプトマイシン;
・ アゾール類、たとえば、ビテルタノール、ブロモコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、またはトリチコナゾール;
・ 2−メトキシベンゾフェノン類、たとえば、一般式(I)によりEP-A 897 904に開示されているもの、たとえば、メトラフェノン;
・ ジカルボキシミド類、たとえば、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、またはビンクロゾリン;
・ ジチオカルバメート類、たとえば、フェルバム、ナバム、マネブ、マンコゼブ、メタム、メチラム、プロピネブ、ポリカーバメート、チラム、ジラム、またはジネブ;
・ ヘテロ環式化合物、たとえば、アニラジン、ベノミル、ボスカリド、カルベンダジム、カルボキシン、オキシカルボキシン、シアゾファミド、ダゾメット、ジチアノン、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモル、フベリダゾール、フルトラニル、フラメトピル、イソプロチオラン、メプロニル、ヌアリモル、ピコベンザミド、プロベナゾール、プロキナジド、ピリフェノックス、ピロキロン、キノキシフェン、シルチオファム、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート−メチル、チアジニル、トリシクラゾール、またはトリホリン;
・ ニトロフェニル誘導体、たとえば、ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン、またはニトロタール−イソプロピル;
・ フェニルピロール類、たとえば、フェンピクロニルまたはフルジオキソニル;
・ 未分類殺菌剤、たとえば、アシベンゾラル−S−メチル、ベンチアバリカルブ、カルプロパミド、クロロタロニル、シフルフェナミド、シモキサニル、ジクロメジン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、エジフェンホス、エタボキサム、フェンヘキサミド、フェンチンアセテート、フェノキサニル、フェリムゾン、フルアジナム、ホセチル、ホセチル−アルミニウム、イプロバリカルブ、ヘキサクロロベンゼン、メトラフェノン、ペンシクロン、プロパモカルブ、フタリド、トルクロホス−メチル、キントゼン、またはゾキサミド;
・ ストロビルリン類、たとえば、一般式(I)によりWO 03/075663に開示されているもの、たとえば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、およびトリフロキシストロビン;
・ スルフェン酸誘導体、たとえば、カプタホール、カプタン、ジクロフルアニド、ホルペット、またはトリルフルアニド;
・ シンナムアミド類およびその類似化合物、たとえば、ジメトモルフ、フルメトバー、またはフルモルフ;
・ 6−アリール−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン類、たとえば、WO 98/46608、WO 99/41255、またはWO 03/004465にいずれも一般式(I)により開示されているもの;
・ アミド殺菌剤、たとえば、シフルフェナミドおよび(Z)−N−[α−(シクロプロピルメトキシイミノ)−2,3−ジフルオロ−6−(ジフルオロメトキシ)ベンジル]−2−フェニルアセトアミド。
【0173】
本発明に係る水性活性物質組成物として製剤化されうる除草剤の例は、以下のものを包含する:
・ 1,3,4−チアジアゾール類、たとえば、ブチダゾールおよびシプラゾール;
・ アミド類、たとえば、アリドクロール、ベンゾイルプロップ−エチル、ブロモブチド、クロルチアミド、ジメピペレート、ジメテナミド、ジフェナミド、エトベンザニド、フラムプロップ−メチル、ホサミン、イソキサベン、メタザクロール、モナリド、ナプタラム、プロナミド、またはプロパニル;
・ アミノリン酸類、たとえば、ビラナホス、ブミナホス、グルホシネート−アンモニウム、グリホセート、またはスルホセート;
・ アミノトリアゾール類、たとえば、アミトロール、またはアニリド類、たとえば、アニロホスまたはメフェナセット;
・ アリールオキシアルカン酸、たとえば、2,4−D、2,4−DB、クロメプロップ、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ−P、フェノプロップ、フルロキシピル、MCPA、MCPB、メコプロップ、メコプロップ−P、ナプロパミド、ナプロアニリド、またはトリクロピル;
・ 安息香酸類、たとえば、クロランベンまたはジカンバ;
・ ベンゾチアジアジノン類、たとえば、ベンタゾン;
・ 白化剤、たとえば、クロマゾン、ジフルフェニカン、フルオロクロリドン、フルポキサム、フルリドン、ピラゾレート、またはスルコトリオン;
・ カルバメート類、たとえば、カルベタミド、クロルブファム、クロルプロファム、デスメジファム、フェンメジファム、またはベルノレート;
・ キノリンカルボン酸類、たとえば、キンクロラックまたはキンメラック;
・ ジクロロプロピオン酸類、たとえば、ダラポン;
・ ジヒドロジベンゾフラン類、たとえば、エトフメセート;
・ ジヒドロフラン−3−オン類、たとえば、フルルタモン;
・ ジニトロアニリン類、たとえば、ベネフィン、ブトラリン、ジニトラミン、エタルフルラリン、フルクロラリン、イソプロパリン、ニトラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、プロフルラリン、トリフルラリン;
・ ジニトロフェノール類、たとえば、ブロモフェノキシム、ジノセブ、ジノセブアセテート、ジノテルブ、DNOC、またはジノテルブ(minoterb)アセテート;
・ ジフェニルエーテル類、たとえば、アシフルオルフェン−ナトリウム、アクロニフェン、ビフェノックス、クロルニトロフェン、ジフェノキスロン、エトキシフェン、フルオロジフェン、フルオログリコフェン−エチル、ホメサフェン、フリロキシフェン、ラクトフェン、ニトロフェン、ニトロフルオルフェン、またはオキシフルオルフェン;
・ ジピリジル類、たとえば、シペルクアット、ジフェンゾクアットメチルスルフェート、ジクアット、またはパラクアットジクロリド;
・ イミダゾール類、たとえば、イソカルバミド;
・ イミダゾリノン類、たとえば、イマザメタピル、イマザピル、イマザキン、イマザメタベンズメチル(imazethabenzmethyl)、イマゼタピル、イマザピック、またはイマザモックス;
・ オキサジアゾール類、たとえば、メタゾール、オキサジアルギル、またはオキサジアゾン;
・ オキシラン類、たとえば、トリジファン;
・ フェノール類、たとえば、ブロモキシニルまたはイオキシニル;
・ フェノキシフェノキシプロピオン酸エステル類、たとえば、クロジナホップ、シハロホップ−ブチル、ジクロホップ−メチル、フェノキサプロップ−エチル、フェノキサプロップ−P−エチル、フェンチアプロップ−エチル、フルアジホップ−ブチル、フルアジホップ−P−ブチル、ハロキシホップ−エトキシエチル、ハロキシホップ−メチル、ハロキシホップ−P−メチル、イソキサピリホップ、プロパキザホップ、キザロホップ−エチル、キザロホップ−P−エチル、またはキザロホップ−P−テフリル;
・ フェニル酢酸類、たとえば、クロルフェナック;
・ フェニルプロピオン酸、たとえば、クロルフェンプロップ−メチル;
・ ppi活性物質、(ppi=植付け前の組込み)、たとえば、ベンゾフェナップ、フルミクロラック−ペンチル、フルミオキサジン、フルミプロピン、フルプロパシル、ピラゾキシフェン、スルフェントラゾン、またはチジアジミン;
・ ピラゾール類、たとえば、ニピラクロフェン;
・ ピリダジン類、たとえば、クロリダゾン、マレイン酸ヒドラジド、ノルフルラゾン、またはピリデート;
・ ピリジンカルボン酸類、たとえば、クロピラリド、ジチオピル、ピクロラム、またはチアゾピル;
・ ピリミジルエーテル類、たとえば、ピリチオバック酸、ピリチオバック−ナトリウム、KIH−2023、またはKIH−6127;
・ スルホンアミド類、たとえば、フルメツラムまたはメトスラム;
・ トリアゾールカルボキサミド類、たとえば、トリアゾフェナミド;
・ ウラシル類、たとえば、ブロマシル、レナシル、またはターバシル;
・ さらに、ベナゾリン、ベンフレセート、ベンスリド、ベンゾフルオール、ベンタゾン、ブタミホス、カフェンストロール、クロルタール−ジメチル、シンメチリン、ジクロベニル、エンドタール、フルオルベントラニル、メフルイジド、ペルフルイドン、ピペロホス、トプラメゾン、およびプロヘキサジオン−カルシウム;
・ スルホニルウレア類、たとえば、アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン−メチル、クロリムロン−エチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン−メチル、フラザスルフロン、ハロスルフロン−メチル、イマゾスルフロン、メトスルフロン−メチル、ニコスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン−エチル、リムスルフロン、スルホメツロン−メチル、チフェンスルフロン−メチル、トリアスルフロン、トリベヌロン−メチル、トリフルスルフロン−メチル、またはトリトスルフロン;
・ シクロヘキセノンタイプの植物保護活性物質、たとえば、アロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、セトキシジム、およびトラルコキシジム。
【0174】
シクロヘキセノンタイプのなかでもとくに好ましい除草性活性物質は、テプラロキシジム(AGROW, No. 243, 11.3.95, page 21, caloxydimを参照されたい)および2−(1−[2−{4−クロロフェノキシ}プロピルオキシイミノ]ブチル)−3−ヒドロキシ−5−(2H−テトラヒドロチオピラン−3−イル)−2−シクロヘキセン−1−オンであり、スルホニルウレアタイプのなかでもとくに好ましい除草性活性物質は、N−(((4−メトキシ−6−[トリフルオロメチル]−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)カルボニル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドである。
【0175】
本発明に係る水性活性物質組成物として製剤化されうる殺虫剤の例は、以下のものを包含する:
・ 有機ホスフェート類、たとえば、アセフェート、アジンホス−メチル、クロルピリホス、クロルフェンビンホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジメチルビンホス、ジオキサベンゾホス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、EPN、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチルパラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシデメトン−メチル、パラオキソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス−メチル、プロフェノホス、プロチオホス、ピリミホス−エチル、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、スルプロホス、トリアゾホス、トリクロルホン、テトラクロルビンホス、またはバミドチオン;
・ カルバメート類、たとえば、アラニカルブ、ベンフラカルブ、ベンジオカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、インドキサカルブ、メチオカルブ、メトミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、またはトリアザメート;
・ ピレスロイド類、たとえば、ビフェントリン、シフルトリン、シクロプロトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、シハロトリン、λ−シハロトリン、ペルメトリン、シラフルオフェン、τ−フルバリネート、テフルトリン、トラロメトリン、α−シペルメトリン、またはζ−シペルメトリン;
・ 節足動物成長調節剤: a)キチン合成阻害剤、たとえば、ベンゾイルウレア類、たとえば、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、またはクロフェンテジン;b)エクジソンアンタゴニスト、たとえば、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、またはテブフェノジド;c)幼若ホルモン、たとえば、ピリプロキシフェン、メトプレン、またはフェノキシカルブ;d)脂質生合成阻害剤、たとえば、スピロジクロフェン;
・ ネオニコチノイド類、たとえば、フロニカミド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、ニチアジン、アセタミプリド、またはチアクロプリド;
・ さらなる未分類殺虫剤、たとえば、アバメクチン、アセキノシル、アセタミプリド、アミトラズ、アザジラクチン、ベンスルタップ、ビフェナゼート、カルタップ、クロルフェナピル、クロルジメホルム、シロマジン、ジアフェンチウロン、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エチプロール、フェナザキン、フィプロニル、ホルメタネート、塩酸ホルメタネート、γ−HCH、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソプロカルブ、メトルカルブ、ピリダベン、ピメトロジン、スピノサド、テブフェンピラド、チアメトキサム、チオシクラム、XMC、およびキシリルカルブ;
・ N−フェニルセミカルバゾン類、たとえば、一般式(I)によりEP-A 462 456に開示されているもの、特定的には、一般式(A)
【化1】

【0176】
〔式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、CN、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシを表し、そしてRは、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシを表す〕
で示される化合物、たとえば、Rが3−CFを表し、Rが4−CNを表し、かつRが4−OCFを表すときの化合物IV。
【0177】
使用可能な成長調節剤は、たとえば、クロルメコートクロリド、メピコートクロリド、プロヘキサジオン−カルシウム、または一群のジベレリンである。これは、たとえば、ジベレリンGA、GA、GA、GA、GAなど、および対応するエキソ−16,17−ジヒドロジベレリン、さらにはそれらの誘導体、たとえば、C〜Cカルボン酸とのエステルを包含する。エキソ−16,17−ジヒドロ−GA 13−アセテートが本発明に好ましい。
【0178】
本発明の好ましい実施形態は、殺菌剤、特定的には、ストロビルリン類、アゾール類、および6−アリールトリアゾロ[1,5−a]ピリミジン類、たとえば、WO 98/46608、WO 99/41255、またはWO 03/004465にいずれの場合も一般式(I)により開示されているもの、特定的には、一般式(B)
【化2】

【0179】
〔式中、
は、NR基、あるいは線状もしくは分岐状のC〜Cアルキル(場合により、ハロゲン、OH、C〜Cアルコキシ、フェニル、もしくはC〜Cシクロアルキルにより置換されていてもよい)、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、フェニル、またはナフチルを表し(記載の最後の4つの残基は、ハロゲン、OH、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cハロアルキルから選択される1、2、3、もしくは4個の置換基を呈しうる);
、Rは、互いに独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜Cハロシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10アルカジエニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cシクロアルケニル、C〜Cハロシクロアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキニル、またはC〜Cシクロアルキニルを表すか、あるいは
およびRは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、Nを介して結合された五〜八員ヘテロシクリル(O、N、およびSよりなる群から選ばれる1、2、もしくは3個の追加のヘテロ原子を環員として含みうる、かつ/またはハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルケニルオキシ、C〜Cハロアルケニルオキシ、(エキソ)−C〜Cアルキレン、およびオキシ(C〜Cアルキレン)オキシよりなる群から選ばれる1個以上の置換基を有しうる)を形成し;
Lは、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cアルコキシカルボニルから選択され;
は、ハロゲン、C〜Cアルキル、またはC〜Cハロアルキル、特定的にはフッ素または塩素を表し;
Xは、ハロゲン、C〜Cアルキル、シアノ、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cハロアルキル、好ましくはハロゲンまたはメチルを表し、特定的には塩素を表す〕
で示される活性物質、の水性活性物質組成物を調製するための本発明に係るハイパーブランチポリマー組成物の使用に関する。
【0180】
式Bで示される化合物の例は、以下のとおりである:
5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(4−メチルピペラジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(モルホリン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(ピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(モルホリン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(イソプロピルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(シクロペンチルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(1,1,1−トリフルオロプロパ−2−イルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(3,3−ジメチルブタ−2−イルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(シクロヘキシルメチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(シクロヘキシル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(2−メチルブタ−3−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(3−メチルプロパ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(4−メチルシクロヘキサ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(ヘキサ−3−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(2−メチルブタ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(3−メチルブタ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−クロロ−7−(1−メチルプロパ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(4−メチルピペラジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(モルホリン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(ピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(モルホリン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(イソプロピルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(シクロペンチルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(1,1,1−トリフルオロプロパ−2−イルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(3,3ジメチルブタ−2−イルアミノ)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(シクロヘキシルメチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(シクロヘキシル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(2−メチルブタ−3−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(3−メチルプロパ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(4−メチルシクロヘキサ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(ヘキサ−3−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(2−メチルブタ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
5−メチル−7−(3−メチルブタ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、および
5−メチル−7−(1−メチルプロパ−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4−]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン。
【0181】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、殺虫剤、特定的には、アリールピロール類(たとえば、クロルフェナピル)、ピレスロイド類(たとえば、ビフェントリン、シフルトリン、シクロプロトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、シハロトリン、λ−シハロトリン、ペルメトリン、シラフルオフェン、τ−フルバリネート、テフルトリン、トラロメトリン、α−シペルメトリン、またはζ−シペルメトリン)、ネオニコチノイド類、および式Aで示されるセミカルバゾン類の、水性活性物質組成物を調製するための窒素原子含有ハイパーブランチポリマーの使用に関する。
【0182】
さらに、本発明に従って使用される窒素原子含有ハイパーブランチポリマーは、水に難溶性であるかもしくは不溶性のUV吸収剤に対する可溶化剤として使用することが可能である。
【0183】
「UV吸収剤」という用語は、本発明との関連では、UV−A遮断剤、UV−B遮断剤、および/またはブロードな広帯域遮断剤を包含する。
【0184】
有利な広帯域遮断剤、UV−A遮断物質、またはUV−B遮断物質は、たとえば、以下の化合物類の代表的化合物である。
【0185】
以下の構造:
【化3】

【0186】
〔式中、R、R、およびRは、互いに独立して、1〜10個の炭素原子を有する分岐状および非分岐状のアルキル基よりなる群から選択されるか、または単一の水素原子を表す〕
を有するビスレゾルシニルトリアジン誘導体。とくに好ましいのは、2,4−ビス[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(INCI:アニソトリアジン)であり、これは、チノソーブ(Tinosorb)(登録商標)Sという商品名でCIBA Chemikalien GmbHから取得可能である。
【0187】
そのほかに、構造ユニット
【化4】

【0188】
を呈する他のUV遮断物質が、本発明に係る有利なUV遮断物質である。その例は、欧州公開出願EP 570 838 A1に開示されているs−トリアジン誘導体であり、その化学構造は、一般式
【化5】

【0189】
〔式中、
13は、分岐状もしくは非分岐状のC〜C18アルキル残基またはC〜C12シクロアルキル残基(場合により、1個以上のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい)を表し、
Zは、酸素原子またはNH基を表し、
14は、分岐状もしくは非分岐状のC〜C18アルキル残基、C〜C12シクロアルキル残基(場合により、1個以上のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい)、または水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、または式
【化6】

【0190】
{ここで、
Aは、分岐状もしくは非分岐状のC〜C18アルキル残基、C〜C12シクロアルキル残基またはアリール残基(場合により、1個以上のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい)を表し、
16は、水素原子またはメチル基を表し、
nは、1〜10の数を表す}
で示される基を表し、
15は、XがNH基を表す場合、分岐状もしくは非分岐状のC〜C18アルキル残基またはC〜C12シクロアルキル残基(場合により、1個以上のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい)を表し、Xが酸素原子を表す場合、分岐状もしくは非分岐状のC〜C18アルキル残基またはC〜C12シクロアルキル残基(場合により、1個以上のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい)、または水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、または式
【化7】

【0191】
{ここで、
Aは、分岐状もしくは非分岐状のC〜C18アルキル残基、C〜C12シクロアルキル残基またはアリール残基(場合により、1個以上のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい)を表し、
16は、水素原子またはメチル基を表し、
nは、1〜10の数を表す}
で示される基を表す〕
により表される。
【0192】
さらに、本発明に係るとくに好ましいUV遮断物質は、式
【化8】

【0193】
により表される化学構造を有する非対称置換型s−トリアジンであり、これは、以下でジオクチルブチルアミドトリアゾン(INCI:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン)としても記述され、ユバソーブ(Uvasorb)(登録商標)HEBという商品名でSigma 3Vから入手可能である。
【0194】
同様に本発明に有利であるのは、ユビナール(Uvinul)(登録商標)T150という商品名でBASF Aktiengesellschaftにより販売されている対称置換型s−トリアジンの2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(INCI:エチルヘキシルトリアゾン)である。
【0195】
そのほかに、欧州公開出願775 698には、好ましく使用されうるビスレゾルシニルトリアジン誘導体が開示されており、その化学構造は、一般式
【化9】

【0196】
〔式中、R17およびR18は、とくに、C〜C18アルキルまたはC〜C18アルケニルを表し、そしてAは、芳香族残基を表す〕
により表される。
【0197】
次の化合物は、本発明に有利である:2,4−ビス{[4−(3−スルホナト−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5トリアジン,ナトリウム塩、2,4−ビス{[4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−[4−(2−メトキシエチルカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−[4−(2−エチルカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(1−メチルピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−トリス(トリメチルシロキシシリルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(2”−メチルプロペニルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、および2,4−ビス{[4−(1’,1’,1’,3’,5’,5’,5’−ヘプタメチルシロキシ−2”−メチルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0198】
有利な油溶性のUV−B遮断剤および/または広帯域遮断剤は、たとえば、以下のとおりである:
3−ベンジリデンカンファー誘導体、好ましくは、3−(4−メチルベンジリデン)カンファーまたは3−ベンジリデンカンファー;
4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは、4−(ジメチルアミノ)安息香酸(2−エチルヘキシル)エステルまたは4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル;
ベンゾフェノン誘導体、好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ユビナール(Uvinul)(登録商標)M40という商品名でBASFから入手可能)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、または2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(ユビナール(Uvinul)(登録商標)D50という商品名でBASFから入手可能)。
【0199】
周囲温度で液体である本発明に関連するとくに有利なUV遮断物質は、ホモメンチルサリチレート、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル2−ヒドロキシベンゾエート、ならびにケイ皮酸エステル、好ましくは、4−メトキシケイ皮酸(2−エチルヘキシル)エステルおよび4−メトキシケイ皮酸イソペンチルエステルである。
【0200】
ホモメンチルサリチレート(INCI:ホモサレート)は、以下の構造により特徴付けられる:
【化10】

【0201】
2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(INCI:オクトクリレン)は、ユビナール(Uvinul)(登録商標)N539Tという品名でBASFから入手可能であり、以下の構造により特徴付けられる:
【化11】

【0202】
2−エチルヘキシル2−ヒドロキシベンゾエート(2−エチルヘキシルサリチレート、オクチルサリチレート、INCI:エチルヘキシルサリチレート)は、たとえば、ネオヘリオパン(Neo Heliopan)(登録商標)OSという商品名でHaarmann & Reimerから入手可能であり、以下の構造により特徴付けられる:
【化12】

【0203】
4−メトキシケイ皮酸(2−エチルヘキシル)エステル(2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート、INCI:エチルヘキシルメトキシシンナメート)は、たとえば、ユビナール(Uvinul)(登録商標)MC80という商品名でBASFから入手可能であり、以下の構造により特徴付けられる:
【化13】

【0204】
4−メトキシケイ皮酸イソペンチルエステル(イソペンチル−4−メトキシシンナメート、INCI:イソアミルp−メトキシシンナメート)は、たとえば、ネオヘリオパン(Neo Heliopan)(登録商標)E1000という商品名でHaarmann & Reimerから入手可能であり、以下の構造により特徴付けられる:
【化14】

【0205】
本発明に有利なジベンゾイルメタン誘導体は、特定的には、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(CAS No.70356-09-1)である。これは、ユビナール(Uvinul)(登録商標)BMBMという商品名でBASFにより、およびユーソレックス(Eusolex)(登録商標)9020という商品名でMerckにより販売されており、以下の構造により特徴付けられる:
【化15】

【0206】
さらなる有利なジベンゾイルメタン誘導体は、4−イソプロピル−ジベンゾイルメタン(CAS No.63250-25-9)である。これは、ユーソレックス(Eusolex)(登録商標)8020という品名でMerckにより販売されている。ユーソレックス(Eusolex)8020は、以下の構造により特徴付けられる:
【化16】

【0207】
ベンゾトリアゾール類は、以下の構造式により特徴付けられる:
【化17】

【0208】
〔式中、
19およびR20は、互いに独立して、1〜18個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の線状もしくは分岐状の置換型(たとえば、フェニル残基で置換)もしくは無置換型のアルキル残基を表す〕。
【0209】
本発明に有利なベンゾトリアゾールはさらに、ドロメトリゾールトリシロキサンというINCI名を有する2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]フェノール(CAS No.:155633-54-8)である。これは、メギゾリル(Mexoryl)(登録商標)XLという商品名でChimexにより販売されており、以下の構造化学式により特徴付けられる:
【化18】

【0210】
本発明に有利なさらなるベンゾトリアゾールは、2,4’−ジヒドロキシ−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2’−(n−オクトキシ)−5’−ベンゾイルジフェニルメタン、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(メチル)フェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ(t−アミル)フェニル)ベンゾトリアゾール、および2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールである。
【0211】
本発明に有利なさらなるUV遮断剤は、EP-A-0 916 335に開示されている次式で示されるジフェニルブタジエン化合物である:
【化19】

【0212】
本発明に有利なさらなるUV−A遮断剤は、EP−A−0 895 776に開示されている次式で示される2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパンジカルボン酸ジエチルエステルである:
【化20】

【0213】
同様に本発明に有利であるのは、次式:
【化21】

【0214】
で示されるアミノ置換型ヒドロキシベンゾフェノンである。これは、ユビナール(Uvinul)(登録商標)A Plusという商品名でUV−A遮断剤としてBASF Aktiengesellschaftにより販売されている。
【0215】
本発明に従って使用される窒素原子含有ハイパーブランチポリマーはまた、有利には、化粧品組成物用可溶化剤として好適である。したがって、本発明はまた、
A) 以上で定義したような少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと、
B) 25℃かつ1013mbarにおいて10g/l未満の水への溶解度を呈する少なくとも1種の化粧上許容される活性物質または有効物質と、
C) 適切であれば、B)以外の少なくとも1種の追加の化粧上許容される活性物質または助剤と、
を含む化粧品組成物に関する。
【0216】
成分B)およびC)は、好ましくは、化粧上許容される担体、乳化剤、界面活性剤、保存剤、香料油、増粘剤、ヘアポリマー、ヘアコンディショナーおよびスキンコンディショナー、水溶性もしくは水分散性のシリコーン含有ポリマー、白化剤、ゲル化剤、ケア剤、着色剤、色味剤、日焼け剤、顔料、抗フケ剤、染料、光遮断剤、脱臭活性物質、ビタミン、植物抽出物、体質剤、湿潤剤、再加脂剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、抗酸化剤、消泡剤、帯電防止剤、皮膚軟化剤、ならびに柔軟剤からそれらの溶解性に基づいて選択される。
【0217】
化粧品の助剤についての広範な説明は、H.P. Fiedler, Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Encyclopedia of Auxiliaries for Pharmaceuticals, Cosmetics and Related Fields], 4th edition, Aulendorff: ECV-Editio-Cantor-Verlag, 1996に見いだされる。化粧品の原料、助剤、および活性物質、さらには好適な製剤についての広範な説明はさらに、K. Schrader, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamental Principles and Formulations of Cosmetics], 2nd edition, Huethig-Verlag, Heidelberg (1989)に見いだされる。
【0218】
水にわずかに溶けるにすぎないかもしくは水に不溶性の好適な化粧上許容される担体B)は、たとえば、油、脂肪、ワックス、非環状および環状の飽和炭化水素、脂肪酸、脂肪アルコールなど、およびそれらの混合物から選択される。
【0219】
好適な水性担体C)は、たとえば、水、水混和性有機溶媒、好ましくはC〜Cアルカノール、およびそれらの混合物から選択される。
【0220】
本発明に係る化粧品組成物は、水基剤または水/アルコール基剤を有する可溶化物である。好ましくは、本発明に従って使用される可溶化剤A)は、難溶性の化粧活性物質または有効物質B)に対して、0.2:1〜20:1、好ましくは1:1〜15:1、とくに好ましくは2:1〜12:1の比で使用される。
【0221】
好ましくは、本発明に従って化粧品組成物で使用される可溶化剤A)の含有率は、組成物の全重量を基準にして、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%、とくに好ましくは1〜30重量%の範囲内である。
【0222】
本発明に係る化粧品組成物は、たとえば、次の中から選択される油成分または脂肪成分B)を呈する:低極性炭化水素、たとえば、鉱油;飽和線状炭化水素(好ましくは8個超の炭素原子を有する)、たとえば、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなど;環状炭化水素、たとえば、デカヒドロナフタレン;分岐状炭化水素;動物油および植物油;ワックス;ワックスエステル;ワセリン;エステル、好ましくは、脂肪酸のエステル、たとえば、C〜C24モノアルコールとC〜C22モノカルボン酸とのエステル、たとえば、イソプロピルイソステアレート、n−プロピルミリステート、イソプロピルミリステート、n−プロピルパルミテート、イソプロピルパルミテート、ヘキサコシルパルミテート、オクタコシルパルミテート、トリアコンチルパルミテート、ドトリアコンチルパルミテート、テトラトリアコンチルパルミテート、ヘキサコシルステアレート、オクタコシルステアレート、トリアコンチルステアレート、ドトリアコンチルステアレート、またはテトラトリアコンチルステアレートなど;サリチレート、たとえば、C〜C10サリチレート、たとえば、オクチルサリチレート;ベンゾエートエステル、たとえば、C10〜C15アルキルベンゾエートまたはベンジルベンゾエート;他の化粧品用エステル、たとえば、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、C10〜C15アルキルラクテートなど;ならびにそれらの混合物。
【0223】
好適なシリコーン油B)は、たとえば、線状ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニル)シロキサン、環状シロキサン、およびそれらの混合物である。ポリジメチルシロキサンおよびポリ(メチルフェニル)シロキサンの数平均分子量は、好ましくは、約1000〜150,000g/molの範囲内である。好ましい環状シロキサンは、4〜8員環を呈する。好適な環状シロキサンは、たとえば、シクロメチコンという品名で市販されている。
【0224】
好ましい油成分または脂肪成分B)は、次の中から選択される:パラフィンおよびパラフィン油;ワセリン;天然の脂肪および油、たとえば、ヒマシ油、ダイズ油、ラッカセイ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ゴマ油、アボカド油、ココアバター、アーモンド油、キョウトウ油、ヒマシ油、タラ肝油、ラード、ゲイロウ、ゲイロウ油、マッコウクジラ油、バクガ油、マカダミアナッツ油、マツヨイグサ油、またはホホバ油;脂肪アルコール、たとえば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、またはオレイルアルコール;脂肪酸、たとえば、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびそれらとは異なる飽和、不飽和、および置換型の脂肪酸;ワックス、たとえば、ビーズワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス(candililla wax)、ゲイロウ;ならびに以上に挙げた油成分または脂肪成分の混合物。
【0225】
好適な親水性担体C)は、水または一価、二価、もしくは多価のアルコール(好ましくは1〜8個の炭素原子を有する)、たとえば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどから選択される。
【0226】
本発明に係る化粧品組成物は、たとえば、皮膚化粧品組成物、外皮用剤組成物、または毛髪化粧品組成物である。
【0227】
本発明に係る組成物は、好ましくは、ゲル、フォーム、スプレー、軟膏、クリーム、エマルジョン、サスペンジョン、ローション、乳液、またはペーストの形態で存在する。所望により、リポソームまたはマイクロスフェアを使用することも可能である。
【0228】
本発明に係る化粧活性組成物または医薬活性組成物は、化粧活性物質および/または皮膚科学活性物質ならびに助剤を追加的に含みうる。
【0229】
本発明に係る化粧品組成物は、好ましくは、少なくとも1種の以上で定義したような難溶性のUV吸収剤を含む。
【0230】
好適な化粧活性物質および/または皮膚科学活性物質は、たとえば、着色活性物質、皮膚染色剤および毛髪染色剤、色味剤(tinting agent)、日焼け剤(tanning agent)、白化剤(bleacher)、角質硬化性物質、抗微生物活性物質、光遮断活性物質、忌避活性物質、充血活性を有する物質、角質溶解活性および角質形成活性を有する物質、抗フケ活性物質、抗炎症剤、角質化活性を有する物質、抗酸化剤としてまたはラジカルスカベンジャーとして作用する物質、皮膚保湿剤または皮膚湿潤剤、再加脂活性物質、抗紅斑活性または抗アレルギー活性を有する活性物質、ならびにそれらの混合物である。
【0231】
UV線の自然照射も人工照射も行うことなく皮膚を人為的に日焼けさせるのに好適な皮膚日焼け活性物質は、たとえば、ジヒドロキシアセトン、アロキサン、およびクルミ殻抽出物である。好適な角質硬化性物質は、一般的には、制汗剤でも使用されるような活性物質であり、たとえば、硫酸アルミニウムカリウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、乳酸アルミニウムなどである。抗微生物活性物質は、微生物を破壊したりまたはその増殖を阻害したりするために使用されるので、保存剤としても、体臭の発生を抑制したりまたは体臭の強度を減少させたりする脱臭活性を有する物質としても、機能する。これは、たとえば、当業者に公知であるの従来の保存剤、たとえば、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、イミダゾリジニル尿素、ホルムアルデヒド、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸などを包含する。脱臭活性を有するそのような物質は、たとえば、リシノール酸亜鉛、トリクロサン、ウンデシレン酸アルキロールアミド、トリエチルシトレート、クロルヘキシジンなどである。好適な光遮断活性物質は、UV−B領域および/またはUV−A領域のUV線を吸収する物質である。好適なUV遮断剤は、たとえば、2,4,6−トリアリール−1,3,5−トリアジン類であり、これらのアリール基は、それぞれ、少なくとも1個の置換基(好ましくは、ヒドロキシル、アルコキシ(特定的には、メトキシ)、アルコキシカルボニル(特定的には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル)、ならびにそれらの混合物から選択される)を有しうる。
【0232】
同様に好適なのは、ケイ皮酸エステル、ベンゾフェノン類、ショウノウ誘導体、ならびにUV線を遮断する顔料、たとえば、二酸化チタン、タルク、および酸化亜鉛である。好適な忌避活性物質は、ある種の動物(特定的には昆虫)がヒトに近づかないようにしたりまたはその動物をヒトから追い払ったりすることのできる化合物である。これは、たとえば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、N,N−ジエチル−m−トルアミドなどを包含する。皮膚を介して血液循環を刺激する充血活性を有する好適な物質は、たとえば、エーテル油、たとえば、ドワーフパイン、ラベンダー、ローズマリー、ジュニパーベリー、セイヨウトチノキ抽出物、カバノキ葉抽出物、乾草種子抽出物、エチルアセテート、カンファー、メントール、ペパーミント油、ローズマリー抽出物、ユーカリ油などである。角質溶解活性および角質形成活性を有する好適な物質は、たとえば、サリチル酸、カルシウムチオグリコレート、チオグリコール酸およびその塩、硫黄などである。好適な抗フケ活性物質は、たとえば、硫黄、硫黄ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、硫黄リシノールポリエトキシレート、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンなどである。皮膚刺激を解消する好適な抗炎症剤は、たとえば、アラントイン、ビサボロール、ドラゴサントール、カモミール抽出物、パンテノールなどである。
【0233】
化粧品組成物は、追加の助剤、たとえば、非イオン性、陽イオン性、もしくは陰イオン性の界面活性剤、たとえば、アルキルポリグリコシド、脂肪アルコールスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、アルカンスルホネート、脂肪アルコールエトキシレート、脂肪アルコールホスフェート、アルキルベタイン、ソルビタンエステル、POEソルビタンエステル、糖脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセロールエステル、脂肪酸部分グリセリド、脂肪酸カルボキシレート、脂肪アルコールスルホスクシネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸タウレート、クエン酸エステル、シリコーンコポリマー、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミド、脂肪酸アルカノールアミド、第四級アンモニウム化合物、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、共溶媒、たとえば、とくに、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールでさらに処理可能である。
【0234】
天然もしくは合成の化合物、たとえば、ラノリン誘導体、コレステロール誘導体、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、電解質、染料、保存剤、または酸(たとえば、乳酸もしくはクエン酸)は、追加の成分として添加可能である。
【0235】
好適な化粧品組成物は、たとえば、入浴添加剤調製物(たとえば、バスオイル)、アフターシェーブローション/プレシェーブローション、フェイスローション、マウスウォッシュ、ヘアローション、オーデコロン、オードトワレ、およびサンスクリーンである。
【0236】
化粧製剤用の可溶化物の調製時、本発明に従って使用されるコポリマーは、そのままの状態でまたは好ましくは水性溶液として導入可能である。
【0237】
通常、可溶化剤は、水に溶解され、その都度、使用される難溶性の化粧活性物質と激しく混合される。
【0238】
しかしながら、その都度、可溶化剤を使用される難溶性の化粧活性物質と激しく混合することも可能であり、続いて、連続攪拌しながら脱塩水を添加することが可能である。
【0239】
したがって、本発明はまた、
A) 以上で定義したような少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと、
B) 25℃かつ1013mbarにおいて10g/l未満の水への溶解度を呈する少なくとも1種の製薬上許容される活性物質と、
C) 適切であれば、B)以外の少なくとも1種の追加の製薬上許容される活性物質または助剤と、
を含む医薬組成物に関する。
【0240】
本発明に従って使用されるコポリマーは、任意の種類の医薬製剤中の可溶化剤として使用するうえでも同様に好適である。
【0241】
本発明に係る医薬組成物の製剤基剤は、好ましくは、製薬上許容される助剤を含む。製薬上許容される助剤は、医薬品分野、食品技術分野、およびそれらの関連分野で使用されることが公知である助剤、特定的には、該当する薬局方(たとえば、DAB、Ph.Eur.、BP、NF)に列挙されている助剤、および生理学的適用を妨害しない性質を有する他の助剤である。
【0242】
好適な助剤は、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、抗刺激剤、キレート化剤、乳化安定化剤、皮膜形成剤、ゲル化剤、臭気マスキング剤、樹脂、親水コロイド、溶媒、溶解促進剤、中和剤、浸透促進剤、顔料、第四級アンモニウム化合物、再加脂剤および過脂肪剤、軟膏剤、クリーム基剤物質または油基剤物質、シリコーン誘導体、安定化剤、滅菌剤、噴射剤、乾燥剤、乳白剤、増粘剤、ワックス、柔軟剤、またはホワイト油でありうる。これに関する一実施形態は、たとえば、Fiedler, H.P., Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Encyclopedia of Auxiliaries for Pharmaceuticals, Cosmetics and Related Fields], 4th edition, Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag, 1996に記載されるような専門知識に依拠する。
【0243】
本発明に係る外皮用剤組成物を調製するために、活性物質を好適な助剤(賦形剤)と混合したりまたはそれで希釈したりすることが可能である。賦形剤は、活性物質用のビヒクル、担体、または媒体として作用しうる固体、半液体、または液体の材料でありうる。追加の助剤の混合は、所望により、当業者に公知の方法で行われる。それは、これに関連してとくに、経口適用または非経口適用に供される水性溶液または可溶化物に関係する。そのほかに、本発明に従って使用されるコポリマーは、錠剤、カプセル剤、粉末剤、または溶液剤のような経口投与剤形で使用するうえでも好適である。これに関連して、それを用いれば、難溶性の医薬が、生物学的利用能を増大させて利用可能になる。非経口適用の場合、可溶化物に加えて、エマルジョン(たとえば、脂肪エマルジョン)を使用することも可能である。本発明に係るコポリマーは、難溶性の医薬を処理すべくこの目的にも好適である。
【0244】
以上に挙げた種類の医薬製剤は、従来の方法を用いてかつ公知および新規の活性物質を用いて、本発明に従って使用されるコポリマーを医薬活性物質と共に処理することにより取得可能である。
【0245】
本発明に係る使用は、医薬品の助剤および/または希釈剤を追加的に含みうる。特定的には、共溶媒、安定化剤、および保存剤が、助剤として挙げられる。
【0246】
使用される医薬活性物質は、水に不溶性かもしくは水に溶けにくい物質である。DAB9(独国薬局方)によれば、医薬活性物質の溶解性は、次のように分類される:わずかに溶ける(30〜100部の溶媒に可溶);難溶性(100〜1000部の溶媒に可溶);ほとんど溶けない(10,000部超の溶媒に可溶)。これに関連して、活性物質は、指示された任意の範囲に属するものでありうる。
【0247】
とくに好ましいのは、非経口適用の可能な製剤に関係する以上に挙げた医薬組成物に包含されるものである。
【0248】
医薬組成物中の本発明に係る可溶化剤の含有率は、活性物質にもよるが、組成物の全重量を基準にして、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%、とくに好ましくは1〜30重量%の範囲内である。
【0249】
原理的には、医薬活性物質およびプロドラッグはすべて、本発明に係る医薬組成物を調製するのに好適である。これらは、ベンゾジアゼピン類、抗高血圧剤、ビタミン、細胞静止剤(特定的にはタキソール)、麻酔剤、神経遮断剤、抗鬱剤、抗生物質、抗真菌剤、殺真菌剤、化学療法剤、泌尿器治療剤、血小板凝集阻害剤、スルホンアミド類、鎮痙剤、ホルモン、免疫グロブリン、血清、甲状腺治療剤、精神薬理剤、抗パーキンソン病剤および他の抗多動剤、眼科治療剤、神経障害治療剤、カルシウム代謝調節剤、筋弛緩剤、麻酔剤、抗脂血剤、肝臓治療剤、冠血管治療剤、心臓治療剤、免疫療法剤、調節ペプチドおよびその阻害剤、催眠剤、鎮静剤、婦人科治療剤、抗痛風剤、フィブリン溶解剤、酵素製剤および輸送タンパク質、酵素阻害剤、催吐剤、循環促進剤、利尿剤、診断剤、コルチコイド、コリン作動剤、胆管治療剤、抗喘息剤、気管支拡張剤、βレセプターブロッカー、カルシウムアンタゴニスト、ACE阻害剤、抗動脈硬化剤、抗炎症剤、抗凝血剤、抗低血圧剤、抗低血糖剤、抗高張剤、抗フィブリン溶解剤、抗癲癇剤、鎮吐剤、解毒剤、抗糖尿病剤、抗不整脈剤、抗貧血剤、抗アレルギー剤、駆虫剤、鎮痛剤、蘇生剤、アルドステロンアンタゴニスト、ならびに痩身剤を包含する。好適な医薬活性物質の例は、特定的には、US 2003/0157170の段落0105〜0131に挙げられている活性物質である。
【0250】
本発明のさらなる態様は、分子分散系における可溶化剤としての以上に挙げたコポリマーの使用に関する。2種以上の固体よりなる均一なきわめて微細に分散された相である固体ディスパージョン、およびその特別な場合である「固溶体」(分子分散系)、ならびに製薬技術におけるそれらの使用は、広く知られている(Chiou and Riegelmann, J. Pharm. Sci., 1971, 60, 1281 - 1300を参照されたい)。そのほかに、本発明はまた、本発明に従って使用される少なくとも1種のコポリマーを含む固溶体に関する。
【0251】
固溶体の調製は、融合法または溶液法を利用して実施可能である。
【0252】
本発明に係るコポリマーは、高分子助剤として、すなわち、そのような固体ディスパージョンまたは固溶体を調製するための可溶化剤として好適である。
【0253】
たとえば、融合法によれば、難溶性の活性物質B)および選択されたコポリマーA)を秤取して、所望の比で、たとえば、等量部で混合することが可能である。たとえば、フリーフォールミキサーが混合に好適である。続いて、たとえば、二軸スクリュー押出機により、混合物を押し出すことが可能である。こうして得られる冷却された生成物ストランド(本発明に従って使用される選択されたコポリマー中の選択された活性物質の固溶体よりなる)の直径は、押出機の有孔プレートの孔の直径に依存する。冷却された生成物ストランドを回転ナイフでカットすることにより、円柱状粒子を得ることが可能であり、粒子の長さは、有孔プレートとナイフとの間の距離に依存する。円柱状粒子の平均直径は、一般的には、約1000〜約3000μmであり、長さは、一般的には、約2000〜約5000μmである。より大きい押出物は、インライン工程で細粒化可能である。
【0254】
他の選択肢として、溶液法で固溶体を調製することが可能である。この場合、通常、選択された難溶性の活性物質B)と、可溶化剤として作用する本発明に従って使用される選択されたコポリマーA)と、を好適な溶媒に溶解させる。続いて、通常、溶液を好適な成形型に注入してから、乾燥などにより溶媒を除去する。乾燥条件は、有利には、活性物質の性質(たとえば熱不安定性)および溶媒の性質(たとえば沸点)に基づいて選択される。
【0255】
材料の特性を考慮して、たとえば、生成された成形品または押出物を好適なミル(たとえばピンミル)で細粒化することが可能である。有利には、固溶体は、約2000μm未満、好ましくは約1000μm未満、とくに好ましくは約500μm未満の平均粒子サイズになるように細粒化される。
【0256】
この時点で、生成されたバルク材料を好適な助剤で処理することにより、錠剤化用混合物を与えるかまたはカプセル剤用供給原料を与えることが可能である。有利には、錠剤化は、約35N超、好ましくは約60N超、とくに好ましくは約80〜約100Nの硬度を有する錠剤が得られるように行われる。
【0257】
従来の製剤と同様に、こうして得られた製剤は、必要であれば、胃液耐性、遅延放出、味マスキングなどを達成すべく、好適なコーティング材料で被覆可能である。
【0258】
化粧品および医薬品における使用に加えて、本発明に従って使用されるコポリマーは、食品分野において、水に難溶性であるかもしくは水に不溶性の栄養素、助剤、または添加剤、たとえば、脂溶性ビタミンまたはカロテノイドに対する可溶化剤としても好適である。例として、カロテノイドで着色された透明飲料が挙げられうる。したがって、本発明はまた、本発明に従って使用される少なくとも1種のコポリマーを可溶化剤として含む食品製剤に関する。本発明との関連では、食品製剤とは、食品サプリメント(たとえば、食用色素を含む製剤など)および栄養食品をも包含すると解釈されるものとする。そのほかに、以上に挙げたコポリマーは、動物用食品の飼料サプリメントに対する可溶化剤としても好適である。
【0259】
農芸化学における可溶化剤としての本発明に従って使用されるコポリマーの使用は、とくに、殺有害生物剤、除草剤、殺菌剤、または殺虫剤を含有する製剤を含み、なかでもとくに、散布混合物または潅注混合物として使用される植物保護剤の製剤さえをも含む。
【0260】
そのほかに、本発明に従って使用される窒素原子含有ハイパーブランチポリマーは、水に不溶性のビタミンおよびプロビタミン(たとえば、ビタミンA、ビタミンAアセテート、ビタミンD、ビタミンE)、トコフェロール誘導体(たとえば、トコフェロールアセテート)、ならびにビタミンKのような食品サプリメントの水性製剤に好適である。
【0261】
本発明に係る水性活性物質組成物として製剤化されうる有効物質の例は、以下のとおりである。
【0262】
染料: たとえば、DE-A 10245209に開示されている染料ならびにColour Indexに準拠してディスパース染料としておよびソルベント染料として記述される化合物(ディスパージョン染料としても記述される)。好適なディスパージョン染料の一覧は、たとえば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 4th edition, Vol. 10, pp. 155-165 (see also Vol. 7, p. 585ff - Anthraquinone Dyes; Vol. 8, p. 244ff - Azo Dyes; Vol. 9, p. 313ff - Quinophthalone Dyesに見いだされる。このことに関して、この参考文献およびそこに挙げられている化合物がとくに参照される。本発明に好適なディスパージョン染料およびソルベント染料は、種々の発色団を有するきわめて多種多様な染料、たとえば、アントラキノン染料、モノアゾ染料およびジスアゾ染料、キノフタロン染料、メチン染料およびアザメチン染料、ナフタルイミド染料、ナフトキノン染料、ならびにニトロ染料を包含する。本発明に好適なディスパージョン染料の例は、次のColour Indexの一覧で示されるディスパージョン染料である:C.I.ディスパースイエロー1〜228、C.I.ディスパースオレンジ1〜148、C.I.ディスパースレッド1〜349、C.I.ディスパースバイオレット1〜97、C.I.ディスパースブルー1〜349、C.I.ディスパースグリーン1〜9、C.Iディスパースブラウン1〜21、C.I.ディスパースブラック1〜36。本発明に好適なソルベント染料の例は、次のColour Indexの一覧で示される化合物である:C.I.ソルベントイエロー2〜191、C.I.ソルベントオレンジ1〜113、C.I.ソルベントレッド1〜248、C.I.ソルベントバイオレット2〜61、C.I.ソルベントブルー2〜143、C.I.ソルベントグリーン1〜35、C.I.ソルベントブラウン1〜63、C.I.ソルベントブラック3〜50。本発明に好適な染料はさらに、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、テリレン(terylene)誘導体またはクアテリレン(quarter
ylene)誘導体、ならびにジケトピロロピロール染料、ペリノン染料、クマリン染料、イソインドリン染料およびイソインドリノン染料、ポルフィリン染料、ならびにフタロシアニン染料およびナフタロシアニン染料である。
【0263】
以上に挙げた成分に加えて、本発明に係る活性物質組成物および有効物質組成物は、従来の界面活性物質およびさらなる添加剤をも含みうる。界面活性物質は、界面活性剤、分散剤、および湿潤剤を包含する。さらなる添加剤としては、特定的には、増粘剤、消泡剤、保存剤、凍結防止剤、安定化剤などが挙げられる。
【0264】
原理的には、ポリマー界面活性剤および疎水性基中にヘテロ原子を有する界面活性剤を含めて、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、および両性の界面活性剤が使用可能である。陰イオン性界面活性剤としては、たとえば、次のものが挙げられる:カルボキシレート、特定的には、脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩、たとえば、カリウムステアレート(通常、石鹸としても記述される);アシルグルタメート;サルコシネート、たとえば、ナトリウムラウロイルサルコシネート;タウレート;メチルセルロース;アルキルホスフェート、特定的には、モノリン酸およびジリン酸アルキルエステル;スルフェート、特定的には、アルキルスルフェートおよびアルキルエーテルスルフェート;スルホネート、さらには、アルキルスルホネートおよびアルキルアリールスルホネート、特定的には、アリールスルホン酸およびアルキル置換アリールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸(たとえば、リグニンスルホン酸およびフェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸およびジブチルナフタレンスルホン酸など)のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩、またはドデシルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルメチルエステルスルホネート、スルホン化ナフタレンおよびその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合生成物、またはナフタレンスルホン酸、フェノールおよび/もしくはフェノールスルホン酸と、ホルムアルデヒドもしくはホルムアルデヒドおよびウレアと、の縮合生成物、またはモノもしくはジアルキルコハク酸エステルスルホネート;ならびにタンパク質加水分解物およびリグノスルフィット廃液。以上に挙げたスルホン酸は、有利には、中性塩または適切であれば塩基性塩の形態で使用される。
【0265】
陽イオン性界面活性剤としては、たとえば、第四級アンモニウム化合物、特定的には、アルキルトリメチルアンモニウムおよびジアルキルジメチルアンモニウムのハリドおよびアルキルスルフェート、さらにはピリジン誘導体およびイミダゾリン誘導体、特定的には、アルキルピリジニウムハリドが挙げられる。
【0266】
非イオン性界面活性剤としては、たとえば、以下のものが挙げられる:
・ 脂肪アルコールポリオキシエチレンエステル、たとえば、ラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテルアセテート、
・ アルキルポリオキシエチレンエーテルおよびアルキルポリオキシプロピレンエーテル(たとえば、イソトリデシルアルコールから得られるもの)、ならびに脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル、
・ アルキルアリールアルコールポリオキシエチレンエーテル、たとえば、オクチルフェノールポリオキシエチレンエーテル、
・ アルコキシル化された動物性および/または植物性の脂肪および/または油、たとえば、トウモロコシ油エトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、または獣脂脂肪エトキシレート、
・ グリセロールエステル、たとえば、グリセロールモノステアレートなど、
・ 脂肪アルコールアルコキシレートおよびオキソアルコールアルコキシレート、特定的には、RO−(R18O)(R19O)20タイプのもの(ただし、互いに独立してR18およびR19=C、C、またはC、R20=HまたはC〜C12アルキル、R=C〜C30アルキルまたはC〜C30アルケニル、そしてrおよびsは、互いに独立して0〜50であるが、両方が0を表すことはできない)、たとえば、イソトリデシルアルコールポリオキシエチレンエーテルおよびオレイルアルコールポリオキシエチレンエーテル、
・ アルキルフェノールアルコキシレート、たとえば、エトキシル化されたイソオクチルフェノール、オクチルフェノール、もしくはノニルフェノール、またはトリブチルフェノールポリオキシエチレンエーテルなど、
・ 脂肪アミンアルコキシレート、脂肪酸アミドアルコキシレート、および脂肪酸ジエタノールアミドアルコキシレート、特定的には、それらのエトキシレート、
・ 糖界面活性剤、ソルビトールエステル、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエートまたはソルビタントリステアレート)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、またはN−アルキルグルコンアミドなど、
・ アルキルメチルスルホキシド、
・ アルキルジメチルホスフィンオキシド、たとえば、テトラデシルジメチルホスフィンオキシドなど。
【0267】
両性界面活性剤としては、たとえば、スルホベタイン、カルボキシベタイン、およびアルキルジメチルアミンオキシド、たとえば、テトラデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
【0268】
ここで例として挙げるべき追加の界面活性剤は、たとえば、ペルフルオロ界面活性剤、シリコーン界面活性剤、リン脂質(たとえば、レシチンまたは化学修飾レシチン)、またはアミノ酸界面活性剤(たとえば、N−ラウロイルグルタメート)である。
【0269】
とくに明記されていないかぎり、以上に挙げた界面活性剤のアルキル鎖は、線状もしくは分岐状の残基であり、通常、8〜20個の炭素原子を有する。
【0270】
一実施形態では、本発明に係る水性活性物質組成物は、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特定的には3重量%以下、たとえば、0.01〜5重量%または0.1〜3重量%の従来の界面活性物質を含む。ただし、いずれも、活性物質およびポリマー組成物の全量を基準にする。その際、好ましくは、従来の界面活性物質は、組成物の全重量を基準にして、5重量%以下、特定的には3重量%以下、たとえば、0.01〜5重量%または0.1〜3重量%を占める。
【0271】
しかしながら、使用に応じて、界面活性物質を用いて本発明に係る活性物質組成物を製剤化することが有利であろう。その際、従来の界面活性物質の割合は、活性物質およびポリマー組成物の全重量を基準にして、多くの場合0.5〜30重量%の範囲内、特定的には1〜20重量%の範囲内であるか、または製剤化組成物の全重量を基準にして、0.2〜20重量%の範囲内、特定的には0.5〜15重量%の範囲内である。
【0272】
本発明に係る組成物の1つの利点は、揮発性有機物質の含有率が低いことであるとはいえ、いくつかの用途では、本発明に係る組成物は、有機溶媒、油、および脂肪、好ましくは、環境調和性もしくは生体適合性の溶媒または油および脂肪、たとえば、以上に挙げた水混和性溶媒、あるいは水に対して非混和性もしくは水に対してごくわずかに混和性であるにすぎない溶媒、油、または脂肪と併用することが望ましいこともある。それらの例は、以下のとおりであり:
・ パラフィン油、芳香族炭化水素、および芳香族炭化水素混合物、たとえば、キシレン、ソルベッソ(Solvesso)100、150、または200など、
・ フェノール類およびアルキルフェノール類、たとえば、フェノール、ヒドロキノン、ノニルフェノールなど、
・ 4個超の炭素原子を有するケトン類、たとえば、シクロヘキサノン、イソホロン、イソフェロン、アセトフェノン、またはアセトナフトン、
・ 4個超の炭素原子を有するアルコール類、たとえば、アセチル化ラノリンアルコール、セチルアルコール、1−デカノール、1−ヘプタノール、1−ヘキサノール、イソオクタデカノール、イソプロピルアルコール、オレイルアルコール、またはベンジルアルコール、
・ カルボン酸エステル類、たとえば、アジピン酸ジアルキルエステル類、たとえば、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、フタル酸ジアルキルエステル類、たとえば、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、酢酸アルキルエステル類(分岐状アルキル基も同様)、たとえば、エチルアセテートおよびエチルアセトアセテート、ステアレート類、たとえば、ブチルステアレートまたはグリセロールモノステアレート、シトレート類、たとえば、トリブチルアセチルシトレート、そのほかに、セチルオクタノエート、メチルオレエート、メチルp−ヒドロキシベンゾエート、メチルテトラデカノエート、プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、メチルベンゾエート、または乳酸エステル類、たとえば、イソプロピルラクテート、ブチルラクテート、および2−エチルヘキシルラクテート、
・ 植物油、たとえば、パーム油、ナタネ油、ヒマシ油およびその誘導体(たとえば、酸化体)、ココナツ油、タラ肝油、トウモロコシ油、ダイズ油、アマニ油、オリーブ油、ラッカセイ油、サフラワー油、ゴマ種子油、グレープフルーツ油、メボウキ油、キョウニン油、ジンジャー油、ゼラニウム油、オレンジ油、ローズマリー油、マカダミア油、オニオン油、マンダリン油、マツ油、またはヒマワリ油など、
・ 水素化植物油、たとえば、水素化パーム油、水素化ナタネ油、または水素化ダイズ油、
・ 動物油、たとえば、ラード油または魚油、
・ 中鎖〜長鎖の脂肪酸のジアルキルアミド、たとえば、ハルコミド(Hallcomide)、ならびに
・ 植物油エステル、たとえば、ナタネ油メチルエステル。
【0273】
好適な増粘剤は、製剤に擬塑性流動挙動(すなわち、静止状態で高粘度かつ攪拌状態で低粘度)を付与する化合物である。これに関連するものとして、たとえば、ポリサッカリドまたは有機層状鉱物、たとえば、キサンタンガム(Xanthan Gum)(登録商標)(Kelco製のケルザン(Kelzan)(登録商標))、ロードポール(Rhodopol)(登録商標)23(Rhone-Poulenc)、もしくはビーガム(登録商標)(R.T.Vanderbilt)、またはアタクレー(登録商標)(Engelhardt)が挙げられうるが、好ましくは、キサンタンガム(登録商標)が使用される。
【0274】
本発明に係るディスパージョンに好適な消泡剤としては、たとえば、シリコーンエマルジョン(たとえば、Wacker製のシリコーン(Silicone)(登録商標)SREまたはRhodia製のロードルシル(Rhodorsil)(登録商標)など)、長鎖アルコール、脂肪酸、フルオロ有機化合物、およびそれらの混合物が考慮の対象となる。
【0275】
微生物による感染に対抗して本発明に係る組成物を安定化させるべく、殺細菌剤を添加することが可能である。好適な殺細菌剤は、たとえば、ICI製のプロキセル(Proxel)(登録商標)またはThor Chemie製のアクチサイド(Acticide)(登録商標)RS、およびRohm & Haas製のケーソン(Kathon)(登録商標)MKである。
【0276】
好適な凍結防止剤は、有機ポリオール、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリセロールである。これらは、一般的には、揮発性化合物の所望の含有率を超えないように、活性物質組成物の全重量を基準にして10重量%以下の量で使用される。本発明の一実施形態では、含まれる種々の揮発性有機化合物の割合は、好ましくは1重量%以下、特定的には1000ppm以下である。
【0277】
適切であれば、本発明に係る活性物質組成物は、pHを調整すべく、調製製剤の全量を基準にして1〜5重量%の緩衝剤を含む。ただし、使用される緩衝剤の量およびタイプは、活性物質または物質の化学的性質に依存する。緩衝剤の例は、リン酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸、コハク酸などのような弱い無機酸または有機酸のアルカリ金属塩である。
【実施例】
【0278】
本発明に従って使用されるハイパーブランチポリマーの調製および使用に関する以下の実施例により本発明について説明するが、なんら本発明を限定するものではない。
【0279】
I. ハイパーブランチポリマーの調製
実施例1: ハイパーブランチポリウレアの調製
攪拌機、内部温度計、および窒素流入管を備えた反応槽に58.5gの無水n−ブタノールを乾燥窒素でフラッシングしながら導入し、反応仕込み物を75℃に加熱した。次に、反応混合物の温度が80℃を超えないように、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートをベースとするポリイソシアネート(バソナート(Basonat)(登録商標)HI100、平均NCO官能価、約3.7、平均モル質量、約610g/mol、BASF Aktiengesellschaft)50gを2.5時間で添加した。ポリイソシアネートを添加した後、混合物を75℃でさらに2時間攪拌した。続いて、0.1gの水酸化カリウム(1.5mlのn−ブタノールに溶解させた)、80.6gのポリエーテルアミン(ジェファミン(Jeffamine)(登録商標)M−1000、アミノ基末端の単官能性ポリエーテルオール、平均モル質量、約1000g/mol、Hansman Corp.)、および13.7gのイソホロンジアミンを添加し、反応混合物を75℃でさらに10分間攪拌し、続いて、150℃に加熱し、この温度でさらに3.5時間攪拌した。続いて、反応混合物を室温まで冷却させて、水溶性生成物を得た。検出器として屈折計を用いてゲル浸透クロマトグラフィーによりハイパーブランチポリウレアを分析した。ヘキサフルオロイソプロパノールを移動相として使用し、分子量を決定するための標準としてポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を利用した。この過程で、2900g/molの数平均分子量Mおよび32,900g/molの重量平均分子量Mが得られた。示差走査熱量測定(DSC)を用いて融点を決定したところ、生成物は、31.4℃の融点を呈した。
【0280】
実施例2: ハイパーブランチポリウレアの調製
攪拌機、還流冷却器、および内部温度計を備えた三口フラスコに、60gのトリス(アミノエチル)アミン、36.2gのN,N’−ジメチルウレア、および0.1gの炭酸カリウムを導入し、130℃に加熱し、この温度で7.5時間攪拌した(ガスの発生が起こる)。ガスの発生がおさまった後、反応混合物を140℃まで加熱し、さらに2時間攪拌し、次に、周囲温度まで冷却させた。水溶性生成物を取得し、実施例1に記載されるように分析した:ガラス転移温度(T):−28℃、M=3100、M=5100。
【0281】
実施例3: ハイパーブランチポリアミドの調製
真空下で操作できるように装備された三口フラスコ中で150℃に加熱することにより、1380gのアジピン酸を溶融した。この温度で812gのジエチレントリアミンを窒素ストリーム中に1時間かけて滴下し、重縮合時に生成した水が分離されるように200mbarの減圧下、130℃でさらに反応させた。共沸蒸留が行えるように配設された装置を用いて、生成した水を捕集した。反応混合物の急激な粘度上昇が観察されたらすぐに、すなわち、ゲル化点に達する前に(約4時間)、反応を停止させた。DIN 53402に準拠してハイパーブランチプレポリマーの酸価を決定したところ、212mgKOH/gという結果が得られた。538gのジエチレントリアミンをプレポリマーに添加し、130℃かつ200mbarにおいて混合物をさらに8時間反応させた。周囲温度に冷却した後、ハイパーブランチポリアミドを得た。実施例1に記載されるように分析したところ、3200g/molの数平均分子量Mおよび6000g/molの重量平均分子量Mという結果が得られた。
【0282】
実施例4: ハイパーブランチポリエステルアミドの調製
不活性ガス下および真空下で操作できるように装備された丸底フラスコ内の窒素ストリーム中で、828gのジエタノールアミンおよび1380gのアジピン酸を130℃に加熱しながら混合し、続いて、重縮合時に生成した水が分離されるように135℃かつ300mbarの減圧下において触媒としての2.25gのジブチルスズオキシドの存在下で混合物を2時間反応させた。急激な粘度上昇が観察されたらすぐに、酸価(170mgKOH/g)を決定し、445gのジエタノールアミンをプレポリマーに添加した。真空下、135℃で3時間のさらなる反応時間の後、水溶性ハイパーブランチポリエステルアミドを取得し、実施例1に記載されるように分析した。生成物は、3300g/molの数平均分子量Mおよび11,300g/molの重量平均分子量Mを呈した。
【0283】
実施例5: ハイパーブランチポリエステルアミンの調製
1. マイケル(Michael)付加の形でのブチルアクリレートとジエタノールアミンとの反応
窒素下で操作するための装置を備えた4l四口フラスコ内の窒素雰囲気下で1744gのジエタノールアミンを1800gのn−ブチルアクリレートに滴下し、反応混合物を周囲温度で2時間攪拌した。
【0284】
2. 重縮合
段階1で得られる反応混合物に7.15gのジブチルスズオキシドを添加し、混合物を135℃に加熱し、そして重縮合反応時に生成したメタノールが分離されるように200mbarの減圧で反応を行った。25時間後、反応混合物を周囲温度に冷却することにより反応を停止させた。得られたハイパーブランチポリエステルアミンを実施例1に記載されるように分析した。それは、3100g/molの数平均分子量Mおよび7600g/molの重量平均分子量Mを呈した。
【0285】
実施例6: ハイパーブランチポリアミドの調製
窒素下および真空下で操作できるように装備された三口フラスコ中で150℃に加熱することにより、100gのアジピン酸を溶融した。次に、14gのジエチレントリアミンを15分間で窒素ストリーム中に滴下し、反応混合物を120℃でさらに反応させた。ただし、重縮合時に生成した水が分離されるように60mbarの減圧を使用した。共沸蒸留に好適な装置で水を捕集した。顕著な粘度上昇が観察可能になったらすぐに、すなわち、ゲル化点に達する前に(約6時間)、DIN 53402に準拠してプレポリマーの酸価を決定したところ、521mgKOH/gという値が得られた。95.8gのジエチレントリアミンを添加し、120℃かつ60mbarにおいて反応混合物をさらに10時間反応させた。続いて、反応混合物を周囲温度に冷却した。得られたハイパーブランチポリアミドを実施例1に記載されるように分析した。4000g/molの数平均分子量Mおよび6400g/molの重量平均分子量Mが得られた。
【0286】
II. 性能特性
一般的手順1:
毎回、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中の評価対象のハイパーブランチポリマーの1もしくは10重量%溶液、さらには同様にDMF中の活性物質の0.1重量%溶液を提供した。HJ-Bioanalytik製の1ml平底ガラス槽(ディープウェル形の96ウェルプレート)を用いてテカン(Tecan)ピペット操作ロボットで混合することにより、活性物質組成物を調製した。毎回、50μlのポリマーおよび500μlの活性物質溶液を槽に添加し、続いて、70℃かつ10mbar未満の圧力の真空乾燥チャンバーで24時間乾燥させることにより溶媒を除去した。続いて、500μlの緩衝溶液(リン酸緩衝液pH6.8、23.05gのリン酸二水素カリウム、23.30gのリン酸水素二ナトリウム、全量5000mlになるように添加された脱イオン水)を添加してからHP MTP振盪機を用いて2時間振盪することにより、試験サンプルを再分散させた。2時間の静置段階の後、拡散光散乱を用いて粒子サイズを測定することにより評価を行った。
【0287】
評価:
1=不満足な再分散、沈降
2=一義的評価不可能
3=曇りを伴う完全な再分散(わずかな曇り〜不透明)
4=透明溶液
一般的手順2:
0.5gの選択されたポリマーおよび水に溶解させる0.1gの化合物を約20mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。混合物を攪拌し、続いて、DMFを除去した。溶解させるべく選択された化合物を有する選択されたコポリマーの固体ディスパージョンを得た。固体ディスパージョンを100mlの水(pH6.8に緩衝化)に添加し、混合物を24時間攪拌した。濾過後、溶液を取得し、HPLCおよびUV検出器を用いて溶解対象化合物の含有率を決定した。選択された化合物の水への溶解度およびUV分光測定の波長に対する文献値を表1に列挙する。
【表2】

【0288】
一般的手順3:
約2gのポリマーをガラスビーカー中に秤取した。続いて、毎回、過飽和溶液が得られるように0.2gのピロキシカムまたは0.3gのカルバマゼピンを仕込み物中に秤取した。続いて、20gのリン酸緩衝液pH7.0を添加した。濾過後、溶液を取得し、UV分光により溶解対象化合物の含有率を決定した。
【0289】
選択された化合物の水への溶解度およびUV分光測定の波長に対する文献値を表2に列挙する。
【表3】

【0290】
実施例7:
一般的手順1に準拠した水性活性物質組成物の性質の決定。1:1のポリマー/活性物質比でベンタゾンを使用し、10:1のポリマー/活性物質比でメタザクロールを使用した。結果を表3に列挙する。
【表4】

【0291】
実施例8:
一般的手順2に準拠した水性活性物質組成物の性質の決定。結果を表4に列挙する。
【表5】

【0292】
実施例9:
一般的手順3に準拠した水性活性物質組成物の性質の決定。結果を表5に列挙する。
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A) 少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと、
B) 25℃かつ1013mbarにおいて10g/l未満の水への溶解度を呈する少なくとも1種の活性物質または有効物質と、
を含む、活性物質組成物または有効物質組成物。
【請求項2】
前記ポリマーA)が、分子的かつ構造的に不均一なポリマーから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーA)が、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエステルアミン、およびそれらのブレンドから選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
連続相としての水性媒体と、該連続相中に可溶化もしくは分散された少なくとも1種の活性物質および/または有効物質B)と、を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性組成物。
【請求項5】
水性相中に存在する前記活性物質および前記有効物質が、凝集体または粒子を形成し、動的光散乱により決定されるその平均粒子サイズが、300nmの値を超えない、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
請求項4または5に記載の水性活性物質組成物または水性有効物質組成物を乾燥させることにより得られる、水性媒体中に再分散可能な固体の形態の組成物。
【請求項7】
1:10〜3:1の重量比で少なくとも1種の活性物質および/または有効物質B)と少なくとも1種のポリマーA)とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の全重量を基準にして10重量%未満の含有率の揮発性有機化合物を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
25℃/1013mbarにおいて10g/l未満の水への溶解度を呈する活性物質および有効物質の水性製剤を調製するための可溶化剤としての、請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーの使用。
【請求項10】
i) 少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと少なくとも1種の活性物質および/または有効物質とを含む均一無水混合物を調製することと、
ii) こうして得られた混合物を水で分散させることと、
を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性活性物質組成物または水性有効物質組成物の調製方法。
【請求項11】
i) 活性物質および/または有効物質と、適切であれば少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーとを、水の沸点よりも低い沸点を呈する有機溶媒中に溶かした溶液を調製することと、
ii) 活性物質および/または有効物質の該溶液を、水またはハイパーブランチポリマーの水性溶液と混合することと、
iii) 該有機溶媒を除去することと、
を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性活性物質組成物または水性有効物質組成物の調製方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性活性物質組成物または水性有効物質組成物の調製方法であって、前記活性物質の融点を超える温度で前記窒素原子含有ハイパーブランチポリマーの水性溶液中に前記活性物質および/または前記有効物質を組み込むことを含む、前記方法。
【請求項13】
A) 請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと、
B) 25℃かつ1013mbarにおいて10g/l未満の水への溶解度を呈する少なくとも1種の化粧上許容される活性物質または有効物質と、
C) 適切であれば、B)以外の少なくとも1種の追加の化粧上許容される活性物質または助剤と、
を含む、化粧品組成物。
【請求項14】
A) 請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと、
B) 25℃かつ1013mbarにおいて10g/l未満の水への溶解度を呈する少なくとも1種の製薬上許容される活性物質と、
C) 適切であれば、B)以外の少なくとも1種の追加の製薬上許容される活性物質または助剤と、
を含む、医薬組成物。
【請求項15】
A) 請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1種の窒素原子含有ハイパーブランチポリマーと、
B) 25℃かつ1013mbarにおいて10g/l未満の水への溶解度を呈する少なくとも1種の植物保護用活性物質と、
C) 適切であれば、B)以外の少なくとも1種の追加の植物保護用活性物質および/または少なくとも1種の助剤と、
を含む、植物保護組成物。

【公表番号】特表2008−531763(P2008−531763A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555542(P2007−555542)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001515
【国際公開番号】WO2006/087227
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】