説明

層間絶縁膜用組成物

【課題】電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度等の膜特性が良好であり、かつ基板との密着性が良好であり、更に塗布液の安定性に優れる層間絶縁膜形成用組成物を提供することである。
【解決手段】以下の成分を含む層間絶縁膜用組成物により、上記課題が解決される。
(A)少なくとも一般式(1)の化合物を一種含む原料を重合して得られる重合体。


(B)溶媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膜形成用組成物に関し、更に詳しくは電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度、耐熱性等の膜特性が良好であり、更に経時安定性が良好な層間絶縁膜形成用組成物に関し、更には該組成物を用いて得られる絶縁膜を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子材料分野においては、高集積化、多機能化、高性能化の進行に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大し、消費電力や遅延時間の増大を招いている。中でも、遅延時間の増大は、デバイスの信号スピードの低下やクロストークの発生の大きな要因となるため、この遅延時間を減少させてデバイスの高速化を図るべく、寄生抵抗や寄生容量の低減が求められている。この寄生容量を低減するための具体策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被覆することが試みられている。また、層間絶縁膜には、実装基板製造時の薄膜形成工程やチップ接続、ピン付け等の後工程に耐え得る、優れた耐熱性やウェットプロセスに耐え得る耐薬品性が求められている。更に、近年は、Al配線から低抵抗のCu配線が導入されつつあり、これに伴い、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)による平坦化が一般的となっており、このプロセスに耐え得る高い機械的強度が求められている。
【0003】
高耐熱性の層間絶縁膜としては古くからポリベンゾオキサゾール、ポリイミド、ポリアリーレン(エーテル)等が開示されているが、高速デバイスを実現するためには更に誘電率の低い材料が要望されている。該材料のようにポリマー分子内に酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子や芳香族炭化水素ユニットを導入すると、高モル分極に起因して誘電率が高くなったり、吸湿に起因して経時で誘電率が上昇したり、更には電子デバイスの信頼性を損なう問題が生じるため改良が必要であった。
一方、飽和炭化水素で構成されるポリマーは含ヘテロ原子ユニットや芳香族炭化水素ユニットで構成されるポリマーと比べてモル分極が小さくなるため、より低い誘電率を示すという利点がある。しかし例えばポリエチレン等のフレキシビリティーの高い炭化水素は耐熱性が不十分であり、電子デバイス用途に利用することは困難であった。
【0004】
このような状況下、低誘電性、絶縁性、耐熱性、及び耐久性に優れた絶縁膜材料として、カゴ型構造を有する多環炭素環化合物を含有する低誘電率材料が提案されている。中でも、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を重合して得られる重合体が、優れた材料として開示されている(特許文献1)。これらの絶縁膜は、有機化合物の膜としては、極めて高い耐熱性と低誘電率を両立するという優れた結果を示すものの、基板との密着性、および比誘電率の経時安定性の観点で改良が求められていた。
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0276964号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解決するための膜形成用組成物、更に詳しくは電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度等の膜特性が良好であり、かつ基板との密着性や塗布液の安定性に優れる層間絶縁膜用組成物を提供すること、更には該組成物を用いて得られる絶縁膜およびそれを有する電子デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題が下記の<1>〜<5>の構成により解決されることを見出した。
<1>以下の成分を含む層間絶縁膜用組成物。
(A)下記一般式(1)の化合物を少なくとも一種含む原料を重合して得られる重合体。

式中、R1は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表す。L0は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R1とL0は互いに結合して環構造を形成しても良い。R0は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、トリアルキルシリル基、またはトリアリールシリル基を表す。
(B)溶媒。
<2>上記成分(A)重合体の原料が、更に下記化合物(2)の少なくとも一種を含むことを特徴とする上記<1>の組成物。

式中、RCは、少なくとも1つのRA−C≡C−基が橋頭位に直接結合したカゴ型構造を有する有機基を表し、更に置換基を有していても良い。RAは水素原子または有機基を表す。
<3> 上記<1>または<2>に記載の組成物を用いて形成された絶縁膜。
<4> 上記<3>に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
<5> 少なくとも下記一般式(1)の化合物を一種含む原料を、ラジカル重合開始剤共存下において80℃以上に加熱し、重合体を得る方法。

式中、R1は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表す。L0は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R1とL0は互いに結合して環構造を形成しても良い。R0は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、トリアルキルシリル基、またはトリアリールシリル基を表す。
<6>該ラジカル重合開始剤が、過酸化物であることを特徴とする上記<5>記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の層間絶縁膜用組成物により、密着性に優れる層間絶縁膜を形成することができる。
また、本発明の層間絶縁膜用組成物により、耐熱性および低誘電率という特性を維持しつつ、密着性が改良された層間絶縁膜を形成することができる。
また、本発明により、経時安定性が良好な層間絶縁膜用組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の層間絶縁膜用組成物は、以下の成分を含む。
(A)少なくとも一般式(1)の化合物を一種含む原料を重合して得られる重合体。
(B)溶媒。
各成分について以下説明する。
【0010】
(A)下記一般式(1)の化合物を少なくとも一種含む原料を重合して得られる重合体。

式中、R1は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表す。L0は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R1とL0は互いに結合して環構造を形成しても良い。R0は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、トリアルキルシリル基、またはトリアリールシリル基を表す。
【0011】
1の表す炭化水素基としてはアルキル基が挙げられる。R1は好ましくは水素原子、若しくは炭素数1〜6の炭化水素基であり、更に好ましくは水素原子である。
0が表す炭化水素基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環状構造を有する炭化水素基が挙げられる。環状構造を有する炭化水素基の例としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基、カゴ型構造、ノルボルナン等の多環式炭化水素基、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素基、あるいはこれらの組み合わせ等が挙げられる。カゴ型構造の定義は、式(2)の化合物に関して後述するとおりである。
1とL0が互いに結合して形成する環構造としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基、カゴ型構造、ノルボルナン等の多環式炭化水素基、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環等の環状エーテル、等が挙げられる。好ましくはアダマンタン、ジアマンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン、等が挙げられる。カゴ型構造の定義は、式(2)の化合物に関して後述するとおりである。
0が表す炭化水素基としてはアルキル基が挙げられる。また、R0が表すトリアルキルシリル基のアルキル基は好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、トリアリールシリル基のアリール基は好ましくはフェニル基である。R0としてより好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。炭素数3以下のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)であることが更に好ましい。また、R0として最も好ましくは水素原子である。
【0012】
上記R1、L0、R0が表す基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニル等)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニル等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイル等)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル等)、炭素数1〜10のカルバモイル基(N,N−ジエチルカルバモイル等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリル等)等が挙げられる。置換基は複数存在していてもよい。
【0013】
式(1)の好適な形態として、下記一般式(1−1)を挙げることが出来る。

【0014】
式(1−1)中、R1は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表す。L1は、置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。
0、R'0はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
1とL1は、両者に結合する炭素原子と共に互いに結合して環構造を形成していてもよい。(すなわち、R1、L1、及びその間に存在するCHがその一部を構成する下記図で表される環構造を形成し、前記CH基の炭素原子と、前記環構造上の他の原子が(あるいは更に2価の連結基を介して)それぞれR0−≡−基あるいはR'0−≡−基に結合している。)
【0015】

【0016】
1が表す炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。R1は好ましくは水素原子、若しくは炭素数1〜6の炭化水素基であり、更に好ましくは水素原子である。
1とL1が互いに結合して形成する環構造としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基、カゴ型構造、ノルボルナン等の多環式炭化水素基、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環等の環状エーテル等が挙げられる。好ましくはアダマンタン、ジアマンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン等が挙げられる。
0、R'0は炭素数3以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
1で表される2価の連結基としては、2価の炭素数1〜30の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は更に置換されていてもよい。炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、環状構造を有する2価の炭化水素基が挙げられる。環状構造を有する炭化水素基の例としては、炭素数3〜20のシクロアルカン、カゴ型構造、ノルボルナン等の多環式炭化水素基、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素基、あるいはこれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0017】
式(1)の一つの好適な形態として、下記一般式(1−2)を挙げることが出来る。

【0018】
式中、R1、R2は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表す。L1は、置換基を有していてもよい2価の連結基を表すが、R1及び/又はR2、更にR1あるいはR2が結合する炭素原子と結合して環構造を形成しても良い。またR1とR2が直接結合して環構造を形成しても良い。
0、R'0はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
1が表す炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。R1は好ましくは、水素原子である。
1及び/又はR2とL1が互いに結合して形成する環構造としては、シクロアルキル基、カゴ型構造、ノルボルナン等の多環式炭化水素基、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環等の環状エーテル、等が挙げられる。好ましくはアダマンタン、ジアマンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン、等が挙げられる。
1とR2が結合して形成する環構造としては、シクロアルキル基、カゴ型構造、ノルボルナン等の多環式炭化水素基、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環等の環状エーテル、等が挙げられる。好ましくはアダマンタン、ジアマンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン、等が挙げられる。
0、R'0は炭素数3以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
1で表される2価の連結基としては上記式(1−1)に関して述べたものが挙げられる。
1、R2、L1、R0、R'0における置換基としては、一般式(1)において述べたものを適用することができる。
【0019】
式(1)の更に好適な形態として、下記一般式(1−3)または(1−4)を挙げることが出来る。

【0020】
式(1−3)の各基の定義は以下のとおりである。
1は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
1が表す炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。R1は好ましくは、水素原子である。
0は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
0は炭素数3以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。nが2以上の場合、R0は互いに同一であっても、異なっていても良い。
2は、n価以上の炭素数1〜20の炭化水素基である。好ましくは、直鎖、分岐鎖あるいは環状アルカンから誘導される基、カゴ型構造、ノルボルナン等の多環式炭化水素基、ナフタレン等の芳香族炭化水素基、テトラヒドロピラン環等の環状エーテル等あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくはアダマンタン、ジアマンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン、等が挙げられる。
nは、1〜20、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜4である。
【0021】
式(1−4)の各基の定義は以下のとおりである。
L'2及び複数存在するR'1は、任意の組み合わせで互いに結合して環構造を形成する。そのような環構造としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基、カゴ型構造、ノルボルナン等の多環式炭化水素基、ナフタレン等の芳香族炭化水素基、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環等の環状エーテル等あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくはアダマンタン、ジアマンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン、等が挙げられる。
【0022】
式(1)で表される化合物の好ましい具体例を以下に示す。

【0023】
(A)成分の重合体の原料として、更に下記化合物(2)を含むことが好ましい。

【0024】
式中、RCは、少なくとも1つのRA−C≡C−基が橋頭位に直接結合したカゴ型構造を有する有機基を表し、前記有機基は更に置換基を有していても良い。RAは水素原子または有機基を表す。
【0025】
Cは、少なくとも1つのカゴ型構造を有しており、カゴ型構造の少なくとも一つの橋頭位にRA−C≡C−基が結合していれば、他の基と更に結合していてもよい。他の基としては例えば、炭素数1〜30の、直鎖、分岐鎖あるいは環状の2価の炭化水素基である。炭化水素基の具体例としては、炭素数1〜10のアルカン、炭素数2〜10のアルケン、炭素数2〜10のアルキン、炭素数6〜20の芳香族炭化水素、炭素数10〜20のカゴ型構造、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。“2価の炭化水素基”とは、前記アルカン等の炭化水素から、少なくとも2の水素原子を除くことにより誘導される2価の基、例えばアルキレン、アルケニレン等を意味する。炭化水素基としてより好ましくは、炭素数1〜10のアルカン、炭素数6〜20の芳香族炭化水素、炭素数10〜20のカゴ型構造が挙げられる。
【0026】
Cの各基上の置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニル等)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニル等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイル等)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル等)、炭素数1〜10のカルバモイル基(N,N−ジエチルカルバモイル等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリル等)等である。
より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくはアルキル基である。
【0027】
Aの表す有機基としては、それぞれ独立に、水素原子、あるいは炭素数1〜20の炭化水素基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基が挙げられ、更に好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基(トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基等の置換シリル基(以下同じ))、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル、炭素数1〜20のカルバモイル基等を表す。このうち、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0028】
本発明で述べる「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えられない。
【0029】
本発明においてカゴ型構造は飽和、不飽和結合のいずれを含んでいても良く、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を含んでも良いが、低誘電率の見地から飽和炭化水素が好ましい。
本発明におけるカゴ型構造は、好ましくはアダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ドデカヘドランであり、より好ましくはアダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタンであり、低誘電率である点で特にビアダマンタン、ジアマンタンが好ましい。
【0030】
本発明におけるカゴ型構造は1つ以上の置換基を有していても良く、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニル等)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニル等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイル等)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル等)、炭素数1〜10のカルバモイル基(N,N−ジエチルカルバモイル等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリル等)等である。
【0031】
式(2)で表される化合物として、更に、下記式(I)〜(III)で表される化合物がより好ましい。
【0032】

【0033】
式(I)〜(III)中、
1〜X4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル、炭素数1〜20のカルバモイル基等を表す。このうち、好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは水素原子である。
1〜Y4はそれぞれ独立にハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数0〜20のシリル基を表し、より好ましくは置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくはアルキル基(メチル基等)である。
基:X1−≡−(複数存在する場合は少なくとも一つ)、基:X2−≡−若しくはX3−≡−(複数存在する場合は少なくとも一つ)、基:X4−≡−(複数存在する場合は少なくとも一つ)は、カゴ型構造の橋頭位に結合している。
1〜X4、Y1〜Y4は更に別の置換基で置換されていてもよい。
【0034】
1は2〜16の整数を表し、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2〜3であり、特に好ましくは2である。
1は0〜15の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
2、m3はそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
2、n3はそれぞれ独立に0〜14の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
4は2〜20の整数を表し、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2〜3であり、特に好ましくは2である。
4は0〜19の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
【0035】
本発明において(2)で表される化合物は好ましくは上記式(II)、(III)であり、特に好ましくは上記式(III)で表される化合物である。
本発明において(2)で表される化合物を2種以上共重合しても良い。
【0036】
本発明において(2)で表される化合物は有機溶剤へ十分な溶解性を有することが好ましい。好ましい溶解度は25℃でシクロヘキサノンまたはアニソールに3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
【0037】
本発明における(2)で表される化合物としては、例えば特開平11−322929号、特開2003−12802号、特開2004−18593号記載のポリベンゾオキサゾール、特開2001−2899号に記載のキノリン樹脂、特表2003−530464号、特表2004−535497号、特表2004−504424号、特表2004−504455号、特表2005−501131号、特表2005−516382号、特表2005−514479号、特表2005−522528号、特開2000−100808号、米国特許6509415号に記載のポリアリール樹脂、特開平11−214382号、特開2001−332542号、特開2003−252982号、特開2003−292878号、特開2004−2787号、特開2004−67877号、特開2004−59444号に記載のポリアダマンタン、特開2003−252992号、特開2004−26850号に記載のポリイミド等が挙げられる。
【0038】
以下に式(2)で表される化合物の具体例を記載する。







【0039】



























【0040】























【0041】

【0042】
本発明における(2)で表される化合物は、例えば市販のジアマンタンを原料として、臭化アルミニウム触媒存在下または非存在下で臭素と反応させて臭素原子を所望の位置に導入、続けて臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄等のルイス酸の存在下で臭化ビニルとフリーデルクラフツ反応させて2,2−ジブロモエチル基を導入、続けて強塩基で脱HBr化してエチニル基に変換することで合成することができる。具体的にはMacromolecules.,1991年24巻5266〜5268頁、1995年28巻5554〜5560、JournalofOrganicChemistry.,39,2995−3003(1974)等に記載された方法に準じて合成することが出来る。
また、末端アセチレン基の水素原子をブチルリチウム等でアニオン化して、これにハロゲン化アルキルやハロゲン化シリルを反応させることによって、アルキル基やシリル基を導入することが出来る。
【0043】
本発明の重合体(A)は、上記式(1)及び任意に(2)を含む原料(以下「モノマー」とも呼ぶ)を重合することにより得られる。
重合反応としてはどのような重合反応でも良いが、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合等が挙げられる。
【0044】
本発明においてモノマーの重合反応は非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、炭素−炭素三重結合を有するモノマーを、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤存在下で重合することが出来る。
重合開始剤としては過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられるが、特に過酸化物、更に有機過酸化物が好ましい。
【0045】
有機過酸化物としては、日本油脂株式会社より市販されているパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類、パーブチルH−69等のハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルD等のジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類、パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネート等が好ましく用いられる。
有機アゾ系化合物としては和光純薬工業株式会社で市販されているV−30、V−40、V−59、V−60、V−65、V−70等のアゾニトリル化合物類、VA−080、VA−085、VA−086、VF−096、VAm−110、VAm−111等のアゾアミド化合物類、VA−044、VA−061等の環状アゾアミジン化合物類、V−50、VA−057等のアゾアミジン化合物類等が好ましく用いられる。
【0046】
本発明において重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。本発明において、重合開始剤の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
【0047】
本発明においてモノマーの重合反応は遷移金属触媒存在下で行うことも好ましい。例えば、重合可能な炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有するモノマーを例えばPd(PPh34、Pd(OAc)2等のPd系触媒、Ziegler−Natta触媒、ニッケルアセチルアセトネート等のNi系触媒、WCl6等のW系触媒、MoCl5等のMo系触媒、TaCl5等のTa系触媒、NbCl5等のNb系触媒、Rh系触媒、Pt系触媒等を用いて重合することが好ましい。
【0048】
本発明において遷移金属触媒は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。本発明において遷移金属触媒の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
【0049】
重合反応で使用する溶媒は、原料モノマーが必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成する膜の特性に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用しても良い。例えば水やメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、アルコールアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエート等のエステル系溶剤、ジブチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、4−t−ブチル−オルトキシレン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤などが利用できる。
重合溶媒として好ましくは、芳香環を有する有機溶媒であり、ベンゼン環を有する有機溶媒が特に好ましい。特に、有機過酸化物を用いる重合の場合、下記一般式(S)で表される溶媒を用いることが最も好ましい。
【0050】

一般式(S)
式中、R1はアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、を表し、更に任意の置換基を有していても良い。R2は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表し、複数存在する場合は、互いに同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成しても良い。nは0〜5の整数を表す。
【0051】
反応液中のモノマーの濃度は好ましくは1〜70重量%、より好ましくは3〜60重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。
【0052】
重合体(A)の重量平均分子量は、1000〜1000000であり、3000〜200000であることが好ましく、5000〜100000であることがより好ましい。小さすぎると、成膜性に懸念があり、大きすぎると塗布液にした際の濾過性に懸念がある。
最適な比率はモノマーの組み合わせによって異なるが、(1)と(2)の比は、単量体の重量比で100:0〜1:99であることが好ましく、98:2〜2:98であることがより好ましく、95:5〜5:95であることが更に好ましい。
【0053】
本発明における重合反応の最適な条件は、重合開始剤、モノマー、溶媒の種類、濃度等によって異なるが、好ましくは内温0℃〜230℃、より好ましくは50℃〜200℃、更に好ましくは80℃〜200℃、特に好ましくは100℃〜180℃で、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.2〜20時間、特に好ましくは0.3〜10時間の範囲である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
なお、本発明において重合体は単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
【0054】
(B)溶媒
本発明に用いられる塗布溶剤は特に限定はされないが、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール,1−メトキシー2−プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン,シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0055】
より好ましい塗布溶剤は、1−メトキシー2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン,シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル,乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましくは1−メトキシー2−プロパノール,シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル,γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン,アニソールである。
本発明の膜形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは2〜15質量%であり、特に好ましくは3〜10質量%である。
【0056】
(C)他の成分
本発明の膜形成用組成物には不純物としての金属含量が充分に少ないことが好ましい。膜形成用組成物の金属濃度はICP−MS法にて高感度に測定可能であり、その場合の遷移金属以外の金属含有量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、プリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまうという観点から、含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppb以下である。
膜形成用組成物の金属濃度は本発明の膜形成用組成物を用いて得た膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。X線源としてW線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010cm-2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm-2以下、特に好ましくは10×1010cm-2以下である。また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10000×1010cm-2以下が好ましく、より好ましくは1000×1010cm-2以下、特に好ましくは400×1010cm-2以下である。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010cm-2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm-2以下、特に好ましくは10×1010cm-2以下である。
【0057】
更に、本発明の膜形成用組成物には、得られる絶縁膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、界面活性剤、シランカップリング剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
【0058】
本発明にいかなるコロイド状シリカを使用してもよい。例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒もしくは水に分散した分散液であり、通常、平均粒径5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が5〜40重量%程度のものである。
【0059】
本発明にいかなる界面活性剤を使用してもよいが、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、更にシリコン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。本発明で使用する界面活性剤は、一種類でも良いし、二種類以上でも良い。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、特にシリコン系界面活性剤が好ましい。
【0060】
本発明で使用する界面活性剤の添加量は、膜形成塗布液の全量に対して0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましい。
【0061】
本発明において、シリコン系界面活性剤とは、少なくとも1原子のSi原子を含む界面活性剤である。本発明に使用するシリコン系界面活性剤としては、いかなるシリコン系界面活性剤でもよく、アルキレンオキシド及びジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。下記化学式を含む構造であることが更に好ましい。

【0062】

【0063】
式中Rは水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基であり、xは1〜20の整数であり、m、nはそれぞれ独立に2〜100の整数である。複数のRは同じでも異なっていてもよい。
【0064】
本発明に使用するシリコン系界面活性剤としては、例えばBYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)等を挙げることができる。
【0065】
本発明に使用するノニオン系界面活性剤としては、いかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等を挙げることができる。
【0066】
本発明に使用する含フッ素系界面活性剤としては、いかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。
【0067】
本発明に使用するアクリル系界面活性剤としては、いかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体等が挙げられる。
【0068】
本発明の組成物には、更にシランカップリング剤を使用してもよい。例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。本発明で使用するシランカップリング剤は、一種類でも良いし、二種類以上でも良い。
【0069】
本発明の組成物には、更に密着促進剤を使用してもよい。例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物等を挙げることができる。官能性シランカップリング剤が密着促進剤として好ましい。密着促進剤の好ましい使用量は、全固形分100重量部に対して10重量部以下、特に0.05〜5重量部であることが好ましい。
【0070】
本発明の膜形成用組成物には膜の機械強度の許す範囲内で、空孔形成因子を使用して、膜を多孔質化し、低誘電率化を図ることができる。
空孔形成剤となる添加剤としての空孔形成因子としては特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶剤との溶解性、本発明重合体との相溶性を同時に満たすことが必要である。またこの空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、200〜50000であることが好ましく、より好ましくは300〜10000、特に好ましくは400〜5000である。添加量は膜を形成する重合体に対して、質量%で好ましくは0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1%〜20%である。また、空孔形成因子として、重合体の中に分解性基を含んでいても良く、その分解温度は好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃であると良い。分解性基の含有率は膜を形成する重合体に対して、モル%で0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1〜20%である。
【0071】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法等の任意の方法により基板に塗布した後、溶剤を加熱処理で除去することにより形成することができる。基板に塗布する方法としては,スピンコーティング法,スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは,スピンコーティング法によるものである。スピンコーティングについては,市販の装置を使用できる。例えば,クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製),D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製),SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。スピンコート条件としては,いずれの回転速度でもよいが,膜の面内均一性の観点より,300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また組成物溶液の吐出方法においては,回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出,静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが,膜の面内均一性の観点より,動的吐出が好ましい。また,組成物の消費量を抑制する観点より,予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後,その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが,スループットの観点から180秒以内が好ましい。また,基板の搬送の観点より,基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス,バックリンス)をすることも好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは,ホットプレート加熱,ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき,クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製),D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製),SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては,αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
【0072】
本発明において重合体は基盤上に塗布した後に加熱処理することによって硬化させることが特に好ましい。例えば重合体中に残存する炭素三重結合の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜450℃、より好ましくは200〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行っても良い。また、この後加熱は酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、本発明では加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで重合体中に残存する炭素三重結合の重合反応を起こして硬化させても良い。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
【0073】
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0〜50keVが好ましく、より好ましくは0〜30keV、特に好ましくは0〜20keVである。電子線の総ドーズ量は好ましくは0〜5μC/cm2、より好ましくは0〜2μC/cm2、特に好ましくは0〜1μC/cm2である。電子線を照射する際の基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
【0074】
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm-2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明において重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
【0075】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、半導体用層間絶縁膜として使用する際、その配線構造において、配線側面にはメタルマイグレーションを防ぐためのバリア層があっても良く、また、配線や層間絶縁膜の上面底面にはCMPでの剥離を防ぐキャップ層、層間密着層の他、エッチングストッパー層等があってもよく、更には層間絶縁膜の層を必要に応じて他種材料で複数層に分けても良い。
【0076】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は,銅配線あるいはその他の目的でエッチング加工をすることができる。エッチングとしてはウエットエッチング,ドライエッチングのいずれでもよいが,ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングは,アンモニア系プラズマ,フルオロカーボン系プラズマのいずれもが適宜使用できる。これらプラズマにはArだけでなく,酸素,あるいは窒素,水素,ヘリウム等のガスを用いることができる。また,エッチング加工後に,加工に使用したフォトレジスト等を除く目的でアッシングすることもでき,更にはアッシング時の残渣を除くため,洗浄することもできる。
【0077】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は,銅配線加工後に,銅めっき部を平坦化するためCMP(化学的機械的研磨)をすることができる。CMPスラリー(薬液)としては,市販のスラリー(例えば,フジミ製,ロデールニッタ製,JSR製,日立化成製等)を適宜使用できる。また,CMP装置としては市販の装置(アプライドマテリアル社製,荏原製作所製等)を適宜使用することができる。更にCMP後のスラリー残渣除去のため,洗浄することができる。
【0078】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、多様の目的に使用することが出来る。例えばLSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することが出来る。
更に、別の用途として本発明の膜に電子ドナーまたはアクセプターをドープすることによって導電性を付与し、導電性膜として使用することも出来る。
【実施例】
【0079】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、その範囲を限定するものではない。
<実施例1>
Macromolecules.,5266頁(1991)に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。
次に、4,9−ジエチニルジアマンタン90gと1,8−ノナジイン10gと563gのジフェニルエーテルを反応容器内に入れ、窒素気流下で攪拌しながら内温150℃に加熱した。次に、ジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂製)21.6gをジフェニルエーテル18.9gに溶解した溶液を、反応液の内温を150℃〜160℃に保ちながら、1時間かけて反応液へ滴下した。
反応後、反応液を50℃まで冷却後、2−プロパノール7Lに添加し、析出した固体を濾過して、2−プロパノールで洗浄した。得られた重合体をTHF400mlに溶解して、メタノール6Lへ添加し、再沈精製した。真空乾燥後、重量平均分子量約3.0万の重合体(1)を59g得た。
重合体(1)1.00gをシクロヘキサノン9.00gに完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で200℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。
【0080】
得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。
膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出した。
また、成膜後、2週間保存したサンプルの膜の比誘電率を同じように測定し、その変化を調べた。
【0081】
膜の支持体に対する密着性は、テープ剥離試験による剥離面積として評価した。すなわち、シリコンウェハの塗布面をJIS D0202-1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行った。セロハンテープ(「CT24」,ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離した。判定は、剥離面積率(膜全面積に対する剥離面積の割合)で、A:0%、B:<10%、C:10〜50%、D:>50%とした。
【0082】
<比較例1>
4,9−ジエチニルジアマンタン90gを563gのジフェニルエーテルを反応容器内に入れ、窒素気流下で攪拌しながら内温150℃に加熱した。次に、ジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂製)21.6gをジフェニルエーテル18.9gに溶解した溶液を、反応液の内温を150℃〜160℃に保ちながら、1時間かけて反応液へ滴下した。
反応後、反応液を50℃まで冷却後、2−プロパノール7Lに添加し、析出した固体を濾過して、2−プロパノールで洗浄した。得られた重合体をTHF400mlに溶解して、メタノール6Lへ添加し、再沈精製した。真空乾燥後、重量平均分子量約3.5万の重合体(1)を58g得た。
重合体(1)1.00gをシクロヘキサノン9.00gに完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートした。得られた塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。
得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。
膜の比誘電率、膜の支持体に対する密着性を、実施例1と同様に評価した。
【0083】
<実施例2〜8>
実施例1の1,8−ノナジインの代わりに、表1に記載のモノマーを記載の重量比で用いた重合体を合成し、実施例1と同様の塗布液を作成して評価を行った。
















【0084】
【表1】

【0085】
表1から明らかなように、本発明の絶縁膜(実施例1〜8)は、比誘電率を低い水準に抑えながら、高い密着性を示した。また比誘電率の経時変動が小さい点で優れることが分かった。一方、4,9−ジエチニルジアマンタン1種類のみから製造される重合体を用いた絶縁膜を用いた場合には密着性が低く、また比誘電率の経時変動が大きかった(比較例1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含む層間絶縁膜用組成物。
(A)下記一般式(1)の化合物を少なくとも一種含む原料を重合して得られる重合体。

式中、R1は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表す。L0は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R1とL0は互いに結合して環構造を形成しても良い。R0は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、トリアルキルシリル基、またはトリアリールシリル基を表す。
(B)溶媒。
【請求項2】
上記成分(A)重合体の原料が、更に下記化合物(2)の少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。

式中、RCは、少なくとも1つのRA−C≡C−基が橋頭位に直接結合したカゴ型構造を有する有機基を表し、前記有機基は更に置換基を有していても良い。RAは水素原子または有機基を表す。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成物を用いて形成された絶縁膜。
【請求項4】
請求項3に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
【請求項5】
少なくとも下記一般式(1)の化合物を一種含む原料を、ラジカル重合開始剤共存下において80℃以上に加熱し、重合体を得る方法。

式中、R1は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表す。L0は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R1とL0は互いに結合して環構造を形成しても良い。R0は水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、トリアルキルシリル基、またはトリアリールシリル基を表す。
【請求項6】
該ラジカル重合開始剤が、過酸化物であることを特徴とする請求項5記載の方法。

【公開番号】特開2009−79193(P2009−79193A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251341(P2007−251341)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】