説明

崩壊性凝集体を有するマッサージ性化粧用固形石鹸

表皮剥脱とマッサージを同時にもたらす崩壊性凝集体を含有するマッサージ性化粧用固形石鹸組成物を記載する。凝集体は、親水性の液体、疎水性の液体またはこれらの組合せで処理することにより製造する。この処理により凝集体はより軟らかくなるが、固形石鹸の製造中にばらばらに分解してしまう程、軟らかくはならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体、例えば皮膚および毛髪をマッサージし洗浄するため局所適用に適する崩壊性凝集体を含有するマッサージ性化粧用固形石鹸に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮剥脱性化粧用固形石鹸は周知である。しかし、これらの大部分は、高レベルのざらざらしたまたは有効量を超えるな表皮剥脱物質を有することから、皮膚を非常に刺激する。表皮剥脱性粒子またはビーズ、例えばポリエチレンビーズ、シリカ、クルミの殻およびアプリコットの種など、を含有するこうした先行技術の化粧用固形石鹸の例は、例えば、米国特許第6,376,441号、同第6,342,470号、同第6,384,000号および同第6,074,998号に記載されている。
【0003】
これらの表皮剥脱性粒子は、通常、非常に堅く、望ましくない磨耗感をもたらす。こうした粒子の先行技術凝集体も、刺激が強く、チクチクすることが多い。
【発明の開示】
【0004】
驚くべきことに、固形石鹸(半透明グリセリンタイプを含む)、コンボ(合成洗剤/石鹸)固形石鹸、合成洗剤タイプの固形石鹸またはメルトキャストタイプの固形石鹸などの化粧用固形石鹸に崩壊性凝集体を配合することができることが判明した。こうした凝集体は、好ましくは無水である親水性または疎水性の液体でこれらを前処理することにより製造し、そうした固形石鹸中のマッサージ成分として使用することができる。本発明のこれらのマッサージ性固形石鹸は、穏やかなマッサージおよび血液循環の上昇ならびに筋肉緊張の低下の恩恵を使用者にもたらし、従って、これが使用者の総合的な満足度は向上させることとになる。
【0005】
このマッサージ体験の要素は、本発明の凝集体を処理するために使用される親水性/疎水性の液体からの潤いである。処理済み凝集体からの親水性/疎水性液の皮膚への付加的堆積が発生すると予想される。さらに、この処理液は、本発明の固形石鹸の使用中の潤い付与および肌感触に役立つ。
【0006】
驚くべきことに、前処理により、そうでなければ非常にざらざらしているであろう比較的大きい粒子の組込みが可能になることが判明した。こうした大きいが柔らかい粒子は、より小さな、一般にはよりざらざらした粒子では得ることができない独特の肌感触をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一つの側面は、下記(しかし、これに限定されない)を含む、マッサージ性化粧用固形石鹸である:
a.約5重量%から80重量%の一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤;ならびに
b.約0.02重量%から20重量%の崩壊性凝集体および前記凝集体中の粒子の内部表面の少なくとも一部を被覆する処理液
を含むマッサージ性化粧用固形石鹸であって、
前記凝集体が、多数の粒子を含み、場合により結合剤を含有し、
前記液が、親水性化合物、疎水性化合物またはこれらのブレンドから選択され、
c.前記凝集体が、1.0未満の破壊指数を有する、
d.25℃で0.2Mpaより大きい剛性指数を有する固形石鹸。
【0008】
本発明のもう一つの側面において、不特定の順序での下記段階(しかし、これらに限定されない)を含む、マッサージ固形石鹸の製造プロセスを提供する:
a.親水性化合物、疎水性化合物またはこれらのブレンドから選択される処理液と粒状凝集体とを、1.0未満の破壊指数を獲得した前記凝集体に有効な条件下で接触させて、前処理済み凝集体を形成する段階;
b.石鹸基剤、合成洗剤基剤またはコンバー(combar)基剤から選択され、場合により香料および他の微量成分を含有する化粧用固形石鹸の少なくとも一つの成分と、前記前処理済み凝集体とをブレンドして、混合素材を形成する段階;
c.粉砕、精錬および/または押出しの有効な組合せにより前記混合素材を処理して、精錬素材を形成する段階;ならびに
d.押出し、続く型打ち、切断、または押出し/型打ちと切断の組合せ、または流し込み、続く硬化のいずれかにより前記精錬素材を処理して、マッサージ性固形石鹸を形成する段階
を含む、マッサージ性固形石鹸の製造プロセス。
【0009】
本発明のさらなる態様において、下記段階(しかし、これらに限定されない)を含む、マッサージ性固形石鹸での皮膚クレンジング方法を提供する:
a.マッサージ性固形石鹸を水にぬらす段階(この場合、前記固形石鹸は、
約1.5重量%から80重量%の一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤;
約2.0.02重量%から20重量%の水崩壊性凝集体および前記凝集体中の粒子の内部表面の少なくとも一部を被覆する処理液を含み、
前記凝集体は、多数の粒子を含み、場合により結合剤を含有し、
前記液は、親水性化合物、疎水性化合物またはこれらのブレンドから選択され、
3.前記凝集体は、1.0未満の破壊指数を有し;ならびに
4.前記固形石鹸は、25℃で0.2Mpaより大きい剛性指数を有する);
b.ぬらした固形石鹸を前記凝集体を崩壊させるために充分な力で皮膚にこすりつけながら、皮膚を洗浄し、マッサージする段階
を含む、マッサージ性固形石鹸での皮膚クレンジング方法。
【0010】
本発明の一つの側面において、下記(しかし、これに限定されない)を含む、マッサージ性化粧用固形石鹸を手供する:
a.約5重量%から80重量%の一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤;ならびに
b.約0.02重量%から20重量%の崩壊性凝集体および前記凝集体中の粒子の内部表面の少なくとも一部を被覆する処理液
を含むマッサージ性化粧用固形石鹸であって、
前記凝集体が、多数の粒子を含み、場合により結合剤を含有し、
前記液が、親水性化合物、疎水性化合物またはこれらのブレンドから選択され、(好ましくは、前記崩壊性凝集体は、この凝集体を基準にして最低約0.05、0.1、0.2、0.3、0.5重量%、最高約1.0、1.1、1.5、2、3、5、6、7、10、11、15または20重量%の処理液を含有する)、
c.前記凝集体が、1.0未満(好ましくは0.9、0.8、0.7、0.6、0.5またはそれ以下)の破壊指数を有する、
d.25℃で0.2Mpaより大きい剛性指数を有する固形石鹸。
【0011】
恩恵成分への湿潤前または後の顆粒の硬度は、破壊指数として表される。この破壊指数は、未処理の顆粒を破壊するために必要な圧力と比較したときの、予湿潤顆粒を破壊するために掛けられる圧力(単位:グラム)の比と定義される。異なるタイプの顆粒についての破壊指数は、1.0未満でなければならない。理想的には、0.5から0.9でなければならない。破壊指数は、下で定義する破壊指数法を用いて得ることができる。0.3から1.0mmの直径を有する有用な前処理済み凝集体は、約0.9の破壊指数を有し、1.4から2.0mmの直径を有する前処理済み凝集体は、約0.7の破壊指数を有することが判明した。
【0012】
親水性と疎水性、両方のビーズを使用して、所望の破壊指数を得ることができる。親水性ビーズは、疎水性である処理液または分散媒体を好ましくは必要とし、この疎水性媒体の極性が、破壊指数に大きな影響を与えることが観察されるであろう。異なる液の選択により媒体の極性を変化させること、または異なる極性を有する2つまたはそれ以上の液を混合することなどによって、所望の破壊指数を獲得することができる。こうしたビーズの例は、未改質クレー凝集体およびデンプン誘導体などである。疎水性ビーズは、親水性である分散媒体、例えば、水、アルコール、ポリオール、PEG、アルカノールアミン(例えば、TEA)など、を好ましくは必要とする。
【0013】
これらのビーズの凝集体を疎水性に改質することもできる。こうした改質は、クレー、セルロース材料または他のデンプン誘導体などに施すことができる。加えて、これら2タイプのビーズのいずれかのブレンドを使用して、異なる極性を有する適切なレベルの親水性液と疎水性液を混合することにより、所望の破壊指数を得ることができる。
【0014】
凝集体の湿潤方法の好ましい実施態様は、次のとおりである:
1.凝集体と処理液を併せる。
2.すべての凝集体が確実に液に浸漬されるように混合する。
3.凝集体を最低20分間浸漬させる。
4.凝集体が浸漬したら、これらを石鹸基剤とともにチップミキサーに添加する。
5.香料および他の成分をこのミキサーに添加する。
6.押出機に送って、押出す。
【0015】
有利には、本崩壊性凝集体は、剪断力を掛かるとまたは掛けずとも水または他のいずれかの親水性物質中で崩壊し得る。処理液の、本凝集体中の粒子および任意の結合剤に対する平均重量比は、好ましくは1:5から5:1、さらに好ましくは1:4から1:2の範囲である。好ましくは、本凝集体の平均直径は、約0.1から20.0mmの範囲である(好ましくは、最低直径は、0.2、0.3、0.5、0.7、1.0および2.0mm、および最高直径は、約5、10または15mmである)。本明細書では、直径は、不規則な形の凝集体の主要直径または球形凝集体の直径と定義する。
【0016】
有利なことに、前記処理液は、この液が前記凝集体に少なくとも一部は浸透し、前記固形石鹸が固化してくる前に前記凝集体中の粒子の内部表面の少なくとも一部を被覆するために有効な粘度範囲のものである。好ましくは、前記液は、この範囲の粘度を生じさせる凝集体処理温度で、ブルックフィールドRVF粘度計で30秒間RV5スピンドルを使用する10−1sの剪断率での測定により、1000cpsの最大粘度を有する。さらに好ましくは、前記液は、25℃で、または前記固形石鹸の処理温度で粘度を測定した場合、約0.7、1、2、4、10または15cpsの最低粘度および100、200、300または500cpsの最高粘度有する。有利には、前記処理液により被覆される凝集体内部表面の部分は、被覆に利用できる全内部表面積の約1、2、5、10、11、15、20、30、40、50、60、70、80または90パーセントより大きい。
【0017】
好ましくは、前記処理液は、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールなど);脂肪酸(例えば、ステアリン酸、ココヤシ脂肪酸など);ポリオール(例えば、分子量が約200から10,000のポリエチレングリコールなど);トリ−およびジグリセリド油(例えば、植物由来の油、動物由来の油もしくは合成油またはこれらのブレンドおよび誘導体);石油(例えば、溶融ワセリンまたはワックス、鉱物油など);シリコーン油;フッ素化油;臭素化油;C14およびこれより低級のアルキルエステル;C14およびこれより低級のアルキルアルコール;またはこれらのブレンドおよび誘導体から選択される。有利には、前記処理液は、約10%未満の水を有する(好ましくは、約5、3または1%未満の水を有し、さらに好ましくは無水である)。
【0018】
有利には、前記多数の粒子は、前記固形石鹸に配合する前に凝集させるか、配合中に凝集させるか、これらの組合せを用いて凝集させる。好ましくは、前記多数の粒子は、固形石鹸の形成前に凝集させる。
【0019】
好ましくは、前記多数の粒子は、親水性クレー(例えば、カオリン、ベントナイトなど);疎水性に改質されたクレー(例えば、カオリン、ベントナイトなど);シリカ;ゼオライト;セルロース;デンプン(例えば、ゼラチン化デンプン、架橋デンプン、シクロデキストリンデンプンなど);またはこれらのブレンドおよび誘導体から選択される。最も好ましくは、前記多数の粒子は、例えばBentonit Uniao Nordeste S.A.(ブラジル)により供給されるベントナイトクレー凝集体、または周知であるデンプン加工法により粒状化された、Cerestar(ベルギー、メヘレン)などの会社により供給されるシクロテキストリンデンプンから選択される。
【0020】
本マッサージ性固形石鹸の一つの好ましい実施態様において、前記一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤は、
a.約0から30重量%の一つまたはそれ以上の脂肪酸石鹸;および
b.約15重量%から60重量%の一つまたはそれ以上の非石鹸型アニオン性界面活性剤
を含む。好ましくは、この固形石鹸は、約0から20重量%の一つまたはそれ以上の脂肪酸石鹸および約20重量%から55重量%の一つまたはそれ以上の非石鹸型アニオン性界面活性剤を含有する。
【0021】
本マッサージ性固形石鹸のもう一つの好ましい実施態様において、前記一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤は、
a.約30重量%から80重量%の一つまたはそれ以上の脂肪酸石鹸;および
b.約5重量%から40重量%の一つまたはそれ以上の非石鹸型アニオン性界面活性剤
を含む。好ましくは、この固形石鹸は、約40重量%から70重量%の一つまたはそれ以上の脂肪酸石鹸および約7重量%から30重量%の一つまたはそれ以上の非石鹸型アニオン性界面活性剤を含有する。
【0022】
本マッサージ性固形石鹸のもう一つの好ましい実施態様において、前記一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤は、
a.約30重量%から80重量%の一つまたはそれ以上の脂肪酸石鹸;および
b.約0から10重量%の一つまたはそれ以上の非石鹸型アニオン性界面活性剤
を含む。
【0023】
好ましくは、この固形石鹸は、約50重量%から80重量%の一つまたはそれ以上の脂肪酸石鹸および約0から7重量%の一つまたはそれ以上の非石鹸型アニオン性界面活性剤を含有する。
【0024】
本発明のマッサージ性固形石鹸は、比較表皮剥脱固形石鹸と比較して、(下で説明する表皮剥脱試験により測定したとき)有効な表皮費剥脱をもたらすと同時に、(下で定義する皮膚磨耗性試験により測定したとき)皮膚の磨耗性を低減する。さらに、本発明の固形石鹸は、比較表皮剥脱固形石鹸と比較した場合、(下で定義する肌のなめらかさおよび柔らかさ試験により測定したとき)肌のなめらかさおよび肌の柔らかさを維持するか向上させるとともに、下で説明する固形石鹸感覚的表皮剥脱指数法により測定したとき、比較固形石鹸と比較して皮膚剥脱率が低い。
【0025】
本発明のもう一つの側面において、不特定の順序で下記段階(しかし、これらに限定されない)を含む、マッサージ固形石鹸の製造プロセスを提供する:
a.親水性化合物、疎水性化合物またはこれらのブレンドから選択される処理液と粒状凝集体(好ましくは、約0.1から20.0mmの範囲の直径を有するもの)とを、1.0未満の破壊指数を獲得した前記凝集体に有効な条件(好ましくは、約10秒から24時間の範囲の時間、および再循環ループでの攪拌、および約20℃から30℃の範囲の温度)下で接触させて、前処理済み凝集体を形成する段階;
b.石鹸基剤、合成洗剤基剤またはコンバー(combar)基剤から選択され、場合により香料および他の微量成分を含有する化粧用固形石鹸の少なくとも一つの成分と、前記前処理済み凝集体とをブレンドして、混合素材を形成する段階;
c.粉砕、精錬および/または押出しの有効な組合せにより前記混合素材を処理して、精錬素材を形成する段階;ならびに
d.押出し、続く型打ち、切断、または押出し/型打ちと切断またはこの組合せ、または流し込み、続く硬化のいずれかにより前記精錬素材を処理して、マッサージ性固形石鹸を形成する段階
を含む、マッサージ性固形石鹸の製造プロセス。
【0026】
本発明のもう一つの側面において、下記段階(しかし、これらに限定されない)を含む、マッサージ性固形石鹸での皮膚クレンジング方法を提供する:
a.マッサージ性固形石鹸を水にぬらす段階(この場合、前記固形石鹸は、
1.5重量%から80重量%の一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤;
2.0.02重量%から20重量%の水崩壊性凝集体および前記凝集体中の粒子の内部表面の少なくとも一部を被覆する処理液を含み、
前記凝集体は、多数の粒子を含み、場合により結合剤を含有し、
前記液は、親水性化合物、疎水性化合物またはこれらのブレンドから選択され、
3.前記凝集体は、1.0未満の破壊指数を有し;ならびに
4.前記固形石鹸は、25℃で0.2Mpaより大きい剛性指数を有する);
b.ぬらした固形石鹸を前記凝集体を崩壊させるために充分な力で皮膚にこすりつけながら、皮膚を洗浄し、マッサージする段階
を含む、マッサージ性固形石鹸での皮膚クレンジング方法。
【0027】
界面活性剤は、本発明の化粧用固形石鹸の必須成分である。これらは、これらが溶解される水溶液の表面張力を低下させるように作用する、疎水性部分と親水性部分を有する化合物である。有用な界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤ならびにこれらのブレンドが挙げられる。
【0028】
本発明のマッサージ性固形石鹸は、一つまたはそれ以上の非石鹸型アニオン性洗剤(合成洗剤)、適便には合成アニオン性界面活性剤を含有し得る。好ましくは、前記合成洗剤は、50またはそれ以下のゼイン価を有する。ゼイン価は、下で説明する試験方法を使用して測定することができる。
【0029】
使用することできるアニオン性洗剤活性物質は、脂肪族スルホネート、例えば、第一アルカン(例えば、C−C22)スルホネート、第一アルカン(例えば、C−C22)ジスルホネート、C−C22アルケンスルホネート、C−C22ヒドロキシアルカンスルホネート、もしくはアルキルグリセリルエーテルスルホネート(AGS);または芳香族スルホネート、例えば、アルキルベンゼンスルホネートであり得る。
【0030】
前記アニオン性洗剤活性物質は、アルキルスルフェート(例えば、C12−C18アルキルスルフェート)またはアルキルエーテルスルフェート(アルキルグリセリルエーテルスルフェートを含む)であってもよい。アルキルエーテルスルフェートには、式:
RO(CHCHO)SO
を有するものなどがあり、この式中のRは、8から18個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルであり;nは、1.0より大きい、好ましくは3より大きい平均値を有し;ならびにMは、可溶化性カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムである。ラウリルエーテル硫酸アンモニウムおよびナトリウムが好ましい。
【0031】
前記アニオン性洗剤活性物質は、アルキルスルホスクシネート(モノおよびジアルキル、例えばC−C22スルホスクシネートを含む);アルキルおよびアシルタウレート;アルキルおよびアシルサルコシネート;スルホアセテート、C−C22アルキルホスフェートおよびホスフェート;アルキルリン酸エステルおよびアルコキシアルキルリン酸エステル;アシルラクテート;C−C22モノアルキルスクシネートおよびマレエート;スルホアセテート;アルキルグルコシド;およびアシルイセチオネートなどであってもよい。
【0032】
スルホスクシネートは、式:
CCHCH(SOM)CO
を有するモノアルキルスルホスクシネートであってもよいし、式:
CONHCHCHCCHCH(SOM)CO
を有するアミド−MEAスルホスクシネートであってもよく、これらの式中のRは、C−C22アルキルの範囲にわたり、ならびにMは、可溶化性カチオンである。
【0033】
サルコシネートは、一般に、式:
CON(CH)CHCO
によって示され、この式中のRは、C−C20アルキルの範囲にわたり、ならびにMは、可溶化性カチオンである。
【0034】
タウレートは、一般に、式:
CONRCHCHSO
によって同定され、この式中のRは、C−C20アルキルの範囲にわたり、Rは、C−Cアルキルの範囲にわたり、ならびにMは、可溶化性カチオンである。
【0035】
本発明のマッサージ性固形石鹸は、好ましくは、C−C14アシルイセチオネートを含有する。これらのエステルは、アルキル金属イセチオン酸塩と6から12個の炭素原子および20未満のヨウ素価を有する混合型脂肪族脂肪酸との間の反応によって製造される。
【0036】
アシルイセチオネートは、本明細書に参照により組み込まれる、1995年2月28日発行の「ポリアルコキシル化イセチオン酸の脂肪酸エステル(Fatty Acid Esters of Polyalkoxylated isethonic acid)」と題する、Ilardiらの米国特許第5,393,466号に記載されているようなアルコキシル化イセチオネートであってもよい。この化合物は、一般式:
【0037】
【化1】

を有し、この式中のRは、8から18個の炭素を有するアルキル基であり、mは、1から4の整数であり、XおよびYは、水素であるか、1から4個の炭素原子を有するアルキル基であり、ならびにMは、例えばナトリウム、カリウムまたはアンモニウムなどの一価カチオンである。
【0038】
本発明の化粧用固形石鹸のもう一つの実施態様には、5重量%未満の下記アニオン界面活性剤のいずれかが、個別的にまたはこれらのブレンドとして存在する:アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルアルコキシスルフェート、アシルタウリド、アシルスルフェートおよびポリヒドロキシ脂肪酸。好ましくは、1重量%未満、さらに好ましくは0.1重量%未満のこれらの界面活性剤が、存在する。
【0039】
本発明のマッサージ性固形石鹸は、石鹸を含有し得る。用語「石鹸」は、この通俗的な意味で本明細書では用いる。すなわち、アルカン−またはアルケンモノカルボン酸のアルカリ金属またはアルカノールアンモニウム塩である。ナトリウム、カリウム、モノ−、ジ−およびトリエタノールアンモニウムカチオン、またはこれらの組合せは、本発明の目的に適する。一般に、飽和C−C14アルキル鎖および不飽和脂肪酸の、好ましくはC−C22アルキル鎖を有する、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、モノ−、ジ−およびトリエタノール石鹸は、可溶性石鹸である。
【0040】
一つまたはそれ以上の両性界面活性剤を本発明において使用することができる。こうした界面活性剤は、少なくとも一つの酸性基を含む。これは、カルボン酸基であってもよいし、またはスルホン酸基であってもよい。これらは、第四級窒素を含み、従って、第四アミノ酸である。これらは、一般に、炭素原子数7から18のアルキルまたはアルケニル基を含む。これらは、通常、全体構造式:
【0041】
【化2】

に従うものであり、この式中のRは、炭素原子数7から18のアルキルまたはアルケニルであり;RおよびRは、各々、独立して、炭素原子数1から3のアルキル、ヒドロキシアルキルまたはカルボキシアルキルであり;nは、2から4であり;mは、0から1であり;Xは、ヒドロキシルで場合により置換されている、炭素原子数1から3のアルキレンであり;ならびにYは、−CO−または−SO−である。
【0042】
上の一般式の範囲内の適する両性界面活性剤には、式:
【0043】
【化3】

の単純ベタインおよび式:
【0044】
【化4】

(式中、nは、2または3である)
のアミドベタインが挙げられる。
【0045】
両方の式中のR、RおよびRは、前に定義したとおりである。特に、Rは、R基の少なくとも半分、好ましくは少なくとも四分の三が、10から14個の炭素原子を有するように、ヤシ油由来のC12アルキル基とC14アルキル基の混合物であり得る。RおよびRは、好ましくはメチルである。
【0046】
さらなる可能性は、両性洗剤が式:
【0047】
【化5】

(式中、mは、2または3である)
のスルホベタイン、または式中の−(CHSO3−が、
【0048】
【化6】

により置換されているこれらの変異体であるものである。これらの式中のR、RおよびRは、前に論じたとおりである。
【0049】
例えばラウロ両性酢酸ナトリウム、ココ両性酢酸ナトリウムおよびこれらのブレンドなどのような両性アセテートおよび二両性アセテートも、使用することができる可能性のある両性イオン性および/または両性化合物に含まれると考えられる。
【0050】
一つまたはそれ以上の非イオン性界面活性剤も、本発明のマッサージ性固形石鹸において使用することができる。
【0051】
使用することができる非イオン性界面活性剤には、疎水性基を有する化合物と反応性水素原子、例えば脂肪族アルコール、酸、アミドまたはアルキルフェノールとアルキレンオキシド(とりわけ、単独のまたはプロピレンオキシドを伴うエチレンオキシド)、の反応生成物が、特に挙げられる。
【0052】
特に適する非イオン性洗剤化合物は、アルキル(C−C22)フェノール・エチレンオキシド縮合体;脂肪族(C−C18)第一または第二直鎖または分枝鎖アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物;およびプロピレンオキシドとエチレンジアミンの反応生成物と、エチレンオキシドとの縮合によって製造される生成物である。他のいわゆる非イオン性洗剤化合物には、長鎖第三アミンオキシド、長鎖第三ホスフィンオキシドおよびジアルキルスルホキシドなどが挙げられる。
【0053】
非イオン性界面活性剤は、多糖類アミドなどの糖アミドであってもよい。具体的には、界面活性剤は、本明細書に参照により組み込まれる、1995年2月14日発行の「非イオン性糖脂質界面活性剤を含む組成物(Compositions Comprising Nonionic Glycolipid Surfactans)」と題するAuらの米国特許第5,389,279号に記載されているラクトビオンアミドのうちの一つであってもよいし、本明細書により本出願に参照により組み込まれる、1991年4月23日発行の「液体水性界面活性剤系用の増粘剤としてのN−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドの使用(Use of N−Poly Hydroxyalkyl Fatty Acid Amides as Thickening Agents for Liquid Aqueous Surfactant Systems)」と題するKelkenbergの米国特許第5,009,814号に記載されている糖アミドのうちの一つであってもよい。
【0054】
本発明の組成物中の任意成分は、肌感触用カチオン性物質またはポリマーであり、これは、例えばカチオン性セルロースのようなカチオン性皮膚コンディショニング剤であってもよい。カチオン性セルロースは、例えば、Amerchol Corp.(米国、ニュージャージー州、エジソン)から、当分野(CTFA)ではポリクオタニウム10と呼ばれる、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩として、Plymer JR(商標)およびLR(商標)シリーズのポリマーで入手できる。もう一つのタイプのカチオン性セルロースには、当分野(CTFA)ではポリクオタニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの高分子第四アンモニウム塩が挙げられる。これらの材料は、Amerchol Corp.(米国、ニュージャージー州、エジソン)から商品名Polymer LM−200で入手でき、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウムなどの第四アンモニウム化合物である。
【0055】
使用することができる特に適するタイプのカチオン性多糖類ポリマーは、カチオン性グアーガム誘導体、例えばグアー塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムである(Rhone−PoulencからJAGUAR商標シリーズで市販されている)。例は、低いカチオン基置換度および高粘度を有するJAGUAR C13S;中等度の置換度および低粘度を有するJAGUAR C15;JAGUAR C17(高置換度、高粘度);低レベルの置換基およびカチオン性第四アンモニウム基を含有するヒドロキシルプロピル化カチオン性グアー誘導体であるJAGUAR C16;ならびに低置換度を有する高透明度で中等度の粘度のグアーであるJAGUAR 162である。
【0056】
特に好ましいカチオン性ポリマーは、JAGUAR C13S、JAGUAR C15、JAGUAR C17、JAGUAR C16およびJAGUAR C162、とりわけJagur C13Sである。本発明の配合物と相溶性であるならば、当該技術分野において知られている他のカチオン性の肌感触用物質を使用してもよい。
【0057】
本発明において有用である他の好ましいカチオン性化合物には、アミド第四アンモニウム化合物、例えば、第四アンモニウムプロピオン酸および乳酸塩、ならびにシルクまたは小麦蛋白の第四アンモニウム加水分解物などが挙げられる。これらの化合物の多くは、McIntyre Group Ltd.(イリノイ州、ユニバーシティ・パーク)から、Mackine(商標)Amido Functional Amines、Mackalene(商標)Amido functional Tertiary Amine Salts、およびMackpro(登録商標)カチオン性蛋白質加水分解物として得ることができる。
【0058】
加水分解型蛋白質コンディショニング剤を有する本発明の好ましい実施態様において、前記加水分解型蛋白質の平均分子量は、好ましくは約2500である。好ましくは、この加水分解型蛋白質の90%が、約1500から約3500の間の分子量である。好ましい実施態様では、MACKPRO(商標)WWP(すなわち、小麦胚芽アミドジメチルアミン加水分解型小麦蛋白)が、本固形石鹸中、0.1%の濃度で添加される。これにより、この実施態様については最終固形石鹸配合中、0.035%のMACKPRO(商標)WWP「固体」となる。
【0059】
一つまたはそれ以上のカチオン性界面活性剤も、本発明のマッサージ性固形石鹸において使用することができる。
【0060】
カチオン性洗剤の例は、第四アンモニウム化合物、例えば、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウムである。
【0061】
使用することができる他の適する界面活性剤は、1973年3月27日発行の、「カチオン粒子析出促進剤を含有する洗剤組成物(Detergent Compositions Containing Particle Deposition Enhancing Agent)」と題する、Parrn Jr.の米国特許第3,723,325号;およびSchwartz,Perry & Berchによる「界面活性剤および洗剤(Surface Active Agent and Dtergents)」(Vol.I & II)(これらは、両方とも、本出願に参照により組み込まれる)に記載されている。
【0062】
加えて、本発明の組成物、とりわけ本発明の化粧用固形石鹸は、0から0.15重量%の次のような任意成分を含むことができる:
− 香料;0.01%から1%、好ましくは0.01%から0.05%の量での金属イオン封鎖剤、例えばエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、EHDPまたは混合物;ならびに着色剤、不透明剤およびパール化剤、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、TiO、EGMS(エチレングリコールモノステアレート)またはLyton 621(スチレン/アクリレートコポリマー)など;これらは、すべて、製品の外観または化粧品特性の向上に有用である。
【0063】
本組成物は、防腐剤、例えば、ジメチロールジメチルヒダントイン(Glydant XL1000)、パラベン、ソルビン酸などをさらに含むことができる。
【0064】
本組成物は、起泡促進剤としてココヤシアシルモノ−またはジエタノールアミドも含むことができ、強イオン化性塩、例えば、塩化ナトリウムおよび硫酸ナトリウムも、効果的に使用することができる。
【0065】
適切な場合には、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などのような酸化防止剤を約0.01%またはそれ以上の量で有利に使用することができる。
【0066】
本発明では、凝集体に加えて、保湿剤および皮膚軟化剤とも表現される潤い付与剤を有利に使用することができる。多価アルコール、例えば、グリセリンおよびプロピレングリコールなど、ならびにポリオール、例えば、下に挙げるポリエチレングリコールなどのような保湿剤を使用することができる。保湿剤は、0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、0.9、1.0、1.1、2.0、3.0、5、9、10、11、15または20重量%より高いレベルで利用することができる。
【0067】
Polyox WSR−205 PEG 14M
Polyox WSR−N−60K PEG 45M、または
Polyox WSR−N−750 PEG 7M。
【0068】
皮膚軟化剤は、凝集体とは別に本発明の製品に添加してもよいし、または凝集体の少なくとも一部に皮膚軟化剤が富化されたものを使用してもよい。凝集体とは異なるこれら別個の皮膚軟化剤は、単一の潤い付与剤成分から成るものであってもよいし、または二つもしくはそれ以上の化合物(これらのうちの一つまたはすべてが、潤い付与の側面を有し得る)の混合物であってもよい。加えて、潤い付与剤、それ自体が、本発明のマッサージ性固形石鹸への添加が望まれることがある他の成分の担体としての役割を果たすこともある。
【0069】
疎水性皮膚軟化剤を使用してもよいし、親水性皮膚軟化剤を使用してもよいし、またはこれらのブレンドを使用してもよい。好ましくは、本発明の化粧用スキンケアまたはクレンジング組成物では、疎水性皮膚軟化剤を親水性皮膚軟化剤より多く使用する。疎水性皮膚軟化剤は、好ましくは、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、0.9、1.0、1.1、2.0、3.0、5、9、10、11、15、20、25または30重量%より高い濃度で存在する。
【0070】
凝集体とは別に添加される疎水性皮膚軟化剤は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、0.9、1.0、1.1、2.0、3.0、5、9、10、11、15、または20重量%より高いレベルで本発明の製品中に存在し得る。用語「皮膚軟化剤」は、柔軟にする、すなわち、肌の水分量を増加することにより肌の張り、外観および若々しさを向上させ、肌の水分量の減少を抑えることにより肌を柔らかく保つ物質と定義する。
【0071】
有用な皮膚軟化剤には、次のものが挙げられる:
(a)シリコーン油およびこの変性物、例えば、線状または環状ポリジメチルシロキサン;アミノ、アルキル、アルキルアリールおよびアリールシリコーン油;
(b)天然脂肪および油、例えば、ホホバ油、ヒマワリ油、米ぬか油、アボカド油、扁桃油、オリーブ油、ごま油、杏仁油、ヒマシ油、ヤシ油、ミンクオイル、カカオ脂、牛脂、ラード;前述の油を水素化することにより得られる硬化油;ならびに合成モノ、ジおよびトリグリセリド、例えば、ミリスチル酸グリセリドおよび2−エチルへキサン酸グリセリド、をはじめとする脂肪および油;
(c)ろう、例えば、カルナウバろう、鯨ろう、蜜ろう、ラノリンおよびこれらの誘導体;
(d)疎水性および親水性植物エキス;
(e)炭化水素、例えば、液体パラフィン、ワセリン、微結晶性ろう、セレシン、スクワレン、プリスタンおよび鉱物油;
(f)高級脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸、アラキドン酸および多価不飽和脂肪酸(PUFA);
(g)高級アルコール、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、コレステロールアルコールおよび2−ヘキシルデカノールアルコール;
(h)エステル、例えば、オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、乳酸アルキル、クエン酸アルキルおよび酒石酸アルキル;
(i)精油およびこれらの抽出物、例えば、ハッカ油、ジャスミン油、樟脳油、ヒバ(white cear)油、橙皮油、ヘンルーダ油、テレビン油、桂皮油、ベルガモット油、ウンシュウミカン油、菖蒲油、マツ油、ラベンダー油、ベイ油、チョウジ油、ヒバ(hiba)油、ユーカリ油、レモン油、スターフラワー油、タイム油、ペパーミント油、バラ油、セージ油、ごま油、ショウガ油、メボウキ油、杜松子油、レモングラス油、ローズマリー油、ロジウム油、アボカド油、グレープ油、グレープシード油、ミルラ油、キュウリ油、オランダガラシ油、キンセンカ油、エルダーフラワー油、ゼラニウム油、菩提樹花油、アマランス油、海草油、イチョウ油、高麗人参油、ニンジン油、ガラナ油、ティートリー油、ホホバ油、コンフリー油、オートミール油、ココア油、ネロリ油、バニラ油、緑茶油、ペニローヤル油、アロエベラ油、メントール油、シネオール油、オイゲノール、シトラール油、シトロネラ油、ボルネオール油、リナロール油、ゲラニオール油、オオマツヨイグサ油、樟脳油、チモール油、スピラントール油、ペネーネ油、リモネン油およびテルペノイド油;ならびに
(j)上記いずれかの成分の混合物など。
【0072】
好ましい皮膚軟化性潤い付与剤は、脂肪酸、トリグリセリド油、鉱物油、ワセリン、およびこれらの混合物から選択される。さらに好ましい皮膚軟化剤は、脂肪酸である。
【0073】
凝集体以外の追加の表皮剥脱剤物質を使用してもよい。当該技術分野において使用されるこうした表皮剥脱物質には、天然ミネラル、例えば、シリカ、タルク、方解石、軽石、リン酸三カルシウム;種子、例えば、米、杏仁など;アーモンドおよびクルミの殻などの粉砕した殻;オートミール;ポリマー、例えば、ポリエチレンビーズおよびポリプロピレンビーズ;花弁および葉;微結晶性ろうビーズ;ホホバエステルビーズなどが挙げられる。これらの表皮剥脱物質は、マイクロメートルサイズのものから数mmにわたる様々な粒径および形態になる。これらも、一定範囲の硬度を有する。幾つかの例を下の表1に与える。好ましくは、こうした追加の表皮剥脱物質は、より軟らかい種類のもの、例えば約4、3または2未満のモース硬度を有するもの、から選択される。好ましい実施態様では、追加の表皮剥脱物質を使用しない。
【0074】
【表1】

【0075】
有利には、こうした材料を固定化および/または安定化して、製品の使用中の皮膚へのおよび皮膚によるこれらの材料のさらに制御された放出および有効な利用を可能にするために、本発明のマッサージ性固形石鹸の配合前または配合中に、上で定義した潤い付与剤以外の任意の活性物質を安全で有効な量で凝集体に添加することができる。これらの活性成分は、有利には、抗菌および抗真菌活性物質;ビタミン;抗アクネ活性物質;抗しわ、抗皮膚萎縮および皮膚修復活物質;皮膚バリア修復活性物質;非ステロイド性美容無痛化活性物質;人工日焼け剤および促進剤;皮膚美白活性物質;日焼け止め活性物質;皮脂刺激剤;皮脂抑制剤;酸化防止剤;プロテアーゼ阻害剤;皮膚引き締め剤;抗掻痒成分;発毛抑制剤;5−αレダクターゼ阻害剤;角質剥離酵素エンハンサー;抗糖化剤;局所麻酔薬、またはこれらの混合物などから選択される。
【0076】
これらの活性物質は、水溶性活性物質、油溶性活性物質、これらの医薬適合性の塩および混合物から選択することができる。有利には、これらの物質は、前記凝集体を処理するために使用される処理液に溶解できるまたは分散できるであろう。ここで用いる用語「活性物質」は、皮膚および/または毛髪に恩恵を配給するために使用することができ、ならびに一般にはコンディショニング恩恵を付与するために使用されない(本明細書中、前で説明した保湿剤および皮膚軟化剤により付与されるため)、パーソナルケア活性物質を意味する。
【0077】
ここで用いる用語「安全および有効な量」は、処置すべき状態を修正するまたは所望のスキンケア恩恵を配給するために充分多く、しかし深刻な副作用を回避するために充分少ない量を意味する。ここで用いる用語「恩恵」は、本明細書において説明する活性物質の一つまたはそれ以上での特定の状態の処置に随伴する治療的、予防的および/または長期的恩恵を意味する。何が活性物質成分の安全で有効な量であるかは、具体的な活性物質、皮膚を通して浸透するこの活性物質の能力、使用者の年齢、健康状態および肌状態、ならびにこれに類する他の要因により変化するであろう。
【0078】
好ましくは、本発明のマッサージ性固形石鹸は、約0.01重量%から約50重量%、さらに好ましくは約0.05重量%から約25重量%、さらにいっそう好ましくは0.1重量%から約10重量%、および最も好ましくは0.1重量%から約5重量%の活性物質成分を含む。
【0079】
抗アクネ活性物質は、尋常性座瘡(毛包脂腺毛包の慢性疾患)に有効であり得る。有用な抗アクネ活性物質の非限定的な例には、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)、サリチル酸の誘導体、例えば、5−オクタノイルサリチル酸および4−メトキシサリチル酸、ならびにレゾルシノールなどの角質溶解剤;レチノイン酸およびこの誘導体(例えば、シスおよびトランス)などのレチノイド;硫黄含有DおよびLアミノ酸ならびにこれらの誘導体および塩、特に、これらのN−アセチル誘導体;ならびにこれらの混合物などが挙げられる。
【0080】
抗菌および抗真菌活性物質は、細菌および真菌の増殖および成長の予防に有効であり得る。抗菌および抗真菌活性物質の非限定的な例には、b−ラクタム薬、キノロン薬、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロバニリド、フェノキシエタノール、トリクロサン、トリクロカルバン、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0081】
抗しわ、抗皮膚萎縮および皮膚修復活性物質は、表皮層を補充するまたは若返らせるために有効であり得る。これらの活性物質は、一般に、自然な角質剥離プロセスを促進または維持することにより望ましいスキンケア恩恵をもたらす。抗しわおよび抗皮膚萎縮活性物質の非限定的な例には、ビタミン、ミネラルおよび皮膚栄養剤、例えば、ミルク、ビタミンA、EおよびK;ビタミンCアルキルエステルをはじめとするビタミンアルキルエステル;マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛および他の金属成分;レチノイン酸おおびこの誘導体(例えば、シスおよびトランス);レチナール;レチノール;レチニルエステル、例えば、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニルおよびプロピオン酸レチニル;ビタミンB3化合物(例えば、ナイアシンアミドおよびニコチン酸)、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、例えば、サリチル酸およびこの誘導体(例えば、5−オクタノイルサリチル酸、ヘプチルオキシ 4 サリチル酸、および4−メトキシサリチル酸);これらの混合物などが挙げられる。
【0082】
皮膚バリア修復活性物質は、表皮の自然な水分バリア機能の修復および補充を助長することができるスキンケア活性物質である。皮膚バリア修復活性物質の非限定的な例には、欧州特許出願明細書第556,957号に記載されているようなコレステロール、セラミド、スクロースエステルおよび擬似セラミドなどの脂質;アスコルビン酸;ビオチン;ビオチンエステル;リン脂質;ならびにこれらの混合物などが挙げられる。
【0083】
非ステロイド性美容無痛化活性物質は、皮膚の炎症の予防または治療に有効であり得る。この無痛化活性物質は、本発明の肌の外観に関する恩恵を強化する。例えば、こうした物質は、より均一で良好な肌の色調または色に貢献する。美容無痛化物質の非限定的な例には、次のカテゴリーが挙げられる:プロピオン酸誘導体;酢酸誘導体;フェナム酸誘導体;およびこれらの混合物など。これらの美容無痛化活性物質の多くが、1991年1月15日発行のSunshineらの米国特許第4,985,459号(この特許は、この全文、本明細書に参照により組み込まれる)に記載されている。
【0084】
人工日焼け活性物質は、皮膚のメラニンを増加させることにより、またはメラニンが増加した皮膚の外観を作ることにより、自然な日焼けの誘発を助長することができる。人工日焼け剤および促進剤の非限定的な例には、ジヒドロキシアセトン;チロシン;チロシンエステル、例えば、チロシン酸エチルおよびチロシン酸グルコース;ならびにこれらの混合物などが挙げられる。
【0085】
皮膚美白活性物質は、皮膚のメラニン量を実際に減少させることができ、または他のメカニズムによりそうした効果をもたらすことができる。ここで有用な皮膚美白活性物質の非限定的な例には、アロエエキス、α−グリセリル−L−アスコルビン酸、アミノチロキシン、乳酸アンモニウム、グリコール酸、ヒドロキノン、4 ヒドロキシアニソール、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0086】
日焼け止め活性物質もここでは有用である。多種多様な日焼け止め剤が、1992年2月11日発行のHaffeyらの米国特許第5,087,445号、1991年12月17日発行のTurnerらの米国特許第5,073,372号、1991年12月17日発行のTurnerらの米国特許第5,073,371号、およびSegarinら,Cosmetics Science and TechnologyのChapter VIII,189頁以降に記載されている。これらはすべて、これら全文、本明細書に参照により組み込まれる。本発明の組成物において有用である日焼け止め剤の非限定的な例は、桂皮酸オクチルメトキシル(Parsol MCX)およびブチルメトキシベンゾイルメタン(Parsol 1789)、p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸2−エチルヘキシル、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、オキシベンゾン、およびこれらの混合物などから成る群より選択されるものである。
【0087】
皮脂刺激剤は、皮脂腺による皮脂の生産を増加させることができる。皮脂刺激活性物質の非限定的な例には、ブリオノール酸、デヒドロエチアンドロステロン(DHEA)、オリザノール、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0088】
皮脂抑制剤は、皮脂腺による皮脂の生産を減少させることができる。有用な皮脂抑制活性物質の非限定的な例には、ヒドロキシ塩化アルミニウム、コルチコステロイド、デヒドロ酢酸およびこの塩、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン(Elubiolから入手できる)、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0089】
本発明における活性物質として、プロテアーゼ阻害剤も有用である。プロテアーゼ阻害剤は、二つの一般的な類(プロテイナーゼおよびペプチダーゼ)に分けることができる。プロテイナーゼは、蛋白質の特定の内部ペプチド結合に対して作用する。ペプチダーゼは、蛋白質の末端の遊離アミノまたはカルボキシル基に隣接するペプチド結合に対して作用し、従って、蛋白質を外側から分解する。本発明での使用に適するプロテアーゼ阻害剤には、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、システインプロテアーゼおよびアスパルチルプロテアーゼなどのプロテイナーゼ;ならびにカルボキシペプチダーゼ、ジペプダーゼおよびアミノペプチダーゼなどのペプチダーゼ;ならびにこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
本発明における活性成分として有用な他のものは、皮膚引き締め剤である。本発明の組成物において有用である皮膚引き締め剤の非限定的な例には、ビニルピロリドンと(メタ)アクリル酸と長鎖アルキル(メタ)アクリレートから成る疎水性モノマーとの三元共重合体、およびこれらの混合物などのポリマーを皮膚に結合させることができるモノマーが挙げられる。
【0091】
本発明における活性成分は、抗掻痒成分も含むことができる。本発明の組成物において有用である抗掻痒成分の非限定的な例には、ヒドロコルチゾン、メトジリジンおよびトリメプラジンare、ならびにこれらの混合物などが挙げられる。
【0092】
本発明の組成物において有用である発毛抑制剤の非限定的な例には、17β エストラジオール、抗脈管形成ステロイド、ウコンエキス、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、オオマツヨイグサ油およびリノール酸などが挙げられる。適する5−αレダクターゼ阻害剤は、例えば、エチニルエストラジオールおよびゲニスチンならびにこれらの混合物などである。
【0093】
本発明の組成物において有用である角質剥離酵素エンハンサーの非限定的な例には、アラニン、アスパラギン酸、N メチルセリン、セリン、トリメチルグリシンおよびこれらの混合物などが挙げられる。
【0094】
本発明の組成物において有用である抗糖化剤の非限定的な例は、Amadorine(Barnet Products Distributorから入手できる)などであろう。
【0095】
所望の量の活性物質をこのマッサージ性固形石鹸に含まれている凝集体に移行させるために充分な条件下で凝集体と一つまたはそれ以上の活性物質とを接触させることなど、当該技術分野において認知されているいずれかの技法により、活性物質を凝集体の中にまたは凝集体に隣接して固定化することができる。好ましくは、活性物質は、凝集体用の処理液に添加され得る。次いで、この段階の後に、濾過により凝集体を単離する段階、溶媒を蒸発させる段階、または当該技術分野において認知されている他のいずれかの工程段階を続けて、活性物質を含有する凝集体を生じさせることができる。
【0096】
また、凝集体を移行媒体から単離せずに本マッサージ性固形石鹸に直接配合してもよいが、但し、前記媒体が、これが添加される固形石鹸配合物と相溶性であること、または凝集体と移送媒体を併用できることを条件とする。移送媒体は、液体、ゲル、固体、微粒子またはこれらのブレンドなどであり得る。
【0097】
作業例および比較例を除き、または明確に他の指示がない場合には、本明細書に示す材料の量は、「約」とうい語で修飾されていると理解すべきである。
【実施例】
【0098】
以下の実施例により、本発明の実施態様をさらに充分に説明する。本明細書および添付の特許請求の範囲を参照して、すべての部、百分率および比率は、他の説明がない限り、重量によるものである。物理試験の方法は、下で説明する。
【0099】
以下の本発明の化粧用固形石鹸は、下で説明する製造方法に従って配合することができる。
【0100】
(実施例1)
標準的化粧石鹸
予湿潤した凝集体を石鹸基剤、香料および他の微量成分とともにチップミキサーに添加する(この場合、すべての濃度は、完成した固形石鹸を基準にしたものである)。当該技術分野において認知されている技法を使用して、水の存在下、90℃でトウモロコシデンプンをゼラチン化することにより、ゼラチン化デンプンを製造した。このゼラチン化デンプンスラリーを乾燥させ、所望の粒径に粉砕した。これらのゼラチン化デンプン顆粒を、下で言及する恩恵成分およびコンディショニング成分に浸漬して、皮膚に対する粒子のざらざら感を低減する。
【0101】
この石鹸基剤は、様々な比率の異なる脂肪酸石鹸成分のものであり得る(一例を下で説明する)。微量成分は、皮膚軟化剤、活性物質、着色剤、不透明剤、光沢剤などを含む、棒状石鹸の製造に使用される一般的な材料であり得る。次いで、この混合素材を粉砕/精錬し、押出す。押出された固形石鹸を所望の形にプレスする。こうした固形石鹸の四例(a、b、cおよびd)を次のとおり製造することができる(濃度は、この固形石鹸の重量%である)。
【0102】
【表2】

【0103】
(実施例2)
マッサージ性コンバー(Combar)
予湿潤した顆粒は、石鹸および非石鹸活性物質と他の微量成分を有するコンバー基剤(下で説明する)とともに、チップミキサー添加することができる。次いで、この混合素材を粉砕/精錬し、押出す。押出された固形石鹸を所望の形にプレスする。こうした固形石鹸の三例e、fおよびgを次のとおり製造することができる(濃度は、この固形石鹸の重量%である)。
【0104】
【表3】

【0105】
(実施例2A)
マッサージ性コンバー
実施例2の方法に従って作製した本発明の化粧用固形石鹸のさらなる実施例を次のとおり製造した:
【0106】
【表4】

註: StepanからのAlpha Step BSS−45として知られているスルホメチルエステル
【0107】
(実施例3)
マッサージ性合成石鹸固形石鹸
マッサージ成分の予湿潤凝集体粒子は、非石鹸活性物質と他の微量成分を有する合成洗剤基剤(下で説明する)とともに、チップミキサー添加することができる。少量の石鹸基剤をこのチップミキサーに添加して、工程を容易にすることができる。次いで、この混合素材を粉砕/精錬し、押出す。押出された固形石鹸を所望の形にプレスする。この基剤は、ココイルイセチオン酸ナトリウムをステアリン酸、塩および少量の石鹸とともに溶融することにより製造する。この溶融素材を冷却ロール練りし、次いで、基剤として使用する。こうした固形石鹸の三例h、iおよびjを次のとおり製造することができる(濃度は、この固形石鹸の重量%である)。
【0108】
【表5】

【0109】
(実施例4)
半透明固形石鹸
47から50℃で約30分から50分間、高剪断混合することにより、透明石鹸基剤(下で説明)に、先ず、不透明性を生じさせる。この30から50分の時間が終了した時点で、この前処理した凝集体を香料とともにミキサーに添加し、約5分間ブレンドする。次いで、この素材を、凝集体が分散された不透明固形石鹸が得られるように制御された温度条件下で押出す。こうした固形石鹸の四例(k、l、mおよびn)を次のとおり製造することができる(濃度は、この固形石鹸の重量%である)。
【0110】
【表6】

【0111】
(実施例5)
メルトキャスト固形石鹸配合物
使用される個々のブレンドの溶融特性によってはメルトキャスト固形石鹸も製造することができる。この場合、配合は、60から95℃ですべての材料を溶融することにより行う。透明であるにせよ、不透明であるにせよ、この均質な液を好ましくは65から70℃に冷却する。前処理した凝集体と香料をこの温度でこの溶融物に添加し、均質化し、次いで、この生成物を型に注入する。次に、このブレンドを周囲条件下または促進冷却条件下で放置して固化させる。グリセリンまたは良好な分散に適する他の液体中で凝集体を予備混合することが好ましい。
【0112】
冷却後の固形石鹸は、この配合に依存して、透明であることもあり、半透明であることもあり、または不透明であることもある。透明石鹸配合物における潤い付与成分、例えばトリグリセリドの使用は、透明性を低下させることがある。凝集体が油を保持すると有利であり、これにより透明性が保たれ、この固形石鹸に魅力的な視覚効果がもたらされる。粒径および溶融物の粘度の制御は、粉末の安定した分散に重要である。不透明メルトキャスト配合物(o、pおよびq)の三例は、次のとおりである(濃度は、この固形石鹸の重量%である)。
【0113】
【表7】

【0114】
【表8】

【0115】
試験方法の説明
試験方法
以下の試験の一つまたはそれ以上を使用して、本マッサージ性化粧用固形石鹸を特性付けし、これを比較化粧用固形石鹸と比較することができる。
【0116】
a.破壊指数
凝集体の量を計量し、試験台に載せる。1mm/分で稼動する圧縮プログラムを用いてInstron Model−4500測定器を使用して、この凝集体が破壊するまで漸増加重を掛ける。この読取値を、処理液で前処理した同量の凝集体について得られた破壊荷重と比較する。処理した凝集体について測定された破壊荷重を、処理していない同じ凝集体について測定された荷重で割ったものが、破壊指数である。
【0117】
b.剛性指数
使用した測定器: Instron
基本方法
1.固体/半個体固形石鹸を入れたロードセルを、水浴を使用して25℃の一定温度で平衡させ、維持する。
2.この固体/半固体固形石鹸が10mm/分の速度でこのセルの底のオリフィスを通って排出されるように上から力を掛け、掛けた力(単位:kN)を測定する。このオリフィスは、2mmの直径および60mmの長さを有する。
【0118】
この細孔の長さに渡る圧力降下により、この材料がいかに剛性であるかが定義される。この剛性指数は、
剛性指数=圧力降下(kPA)=力(kN)/面積(m^2)
(式中、面積=PI*Diam^2/4
Diam=力を掛けるロッドの直径、この場合、31.4mm)
と定義される。
【0119】
c.表皮剥脱試験
適する角質細胞染色色素(例えば、ゲンチアナバイオレット)を皮膚(腕/足、または所望される場合には他のいずれかの体の部分)の直径2から5cmスポットに塗布し、5分間放置して、皮膚表面細胞(角質細胞)の均一な染色を確実なものにする。次いで、30秒間、35℃の流水のもとでこのスポットをすすぐことにより過剰な色素を洗い流す。
【0120】
次いで、染色部位を試験製品で洗浄する。本固形石鹸には、下記洗浄方法を採用する。
【0121】
皮膚のこのスポットをぬらし、固形石鹸は予めぬらしておく。30秒間、スポットに直接固形石鹸をこすりつけ(前後に動かす)、35℃の流水のもと、15秒間すすぎ、30秒間、皮膚をこすらずに、穏やかに軽くたたいて乾かす。10分間放置してこの部位を乾かす。d−squamテープ(CuDerm Corporation(テキサス州、ダラス)により製造されているCuderm(登録商標))を、30秒間、等圧力でこの洗浄スポットにあて、次いで、はがした。105mmのレンズを備えたKocak DCS 420デジタルカメラを使用して、このd−squameテープを撮像する。Optimas 画像解析ソフトウェアを使用して、この画像を染色された細胞の被覆面積/全強度について分析する(Optimas(登録商標)は、メリーランド州、シルバースプリングのMedia Cyberneticsから入手できる)。このデータを未洗浄部位からの同様の情報と比較することにより、試験製品によって生じる表皮剥脱量を次のように概算することができる:
表皮剥脱=(未洗浄部位の染色剤により被覆されたd−squameの面積 − 洗浄部位の染色剤により被覆されたd−squameの面積)/(未洗浄部位の染色剤により被覆されたd−squameの面積)
【0122】
また、表皮剥脱は、次のような消費者試験において評価することもできる:
この試験プロトコルは、以下から成る:
1)25から65歳の年齢群の肌色固形石鹸使用者である約10から20人の女性を募る。
2)試験製品と比較製品をそれぞれ一週間、使用する。パネリストの半分は、試験製品を最初に使用し、残りの半分は、比較製品を最初に使用することとなる。
3)試験終了時、パネリストが、「表皮剥脱」の特性に関する嗜好を(0から5点尺度で)評価する。
【0123】
消費者が0から5点尺度で評価して、表皮剥脱を定義する。
【0124】
d.皮膚磨耗性試験
皮膚磨耗性は、0から9尺度で消費者が評価した磨耗性反応と定義する(0は、磨耗がないことを意味し、10は、「パフ」(すなわち、薄いプラスチックフィラメントから成るシャワー用具。Gordonらの米国特許第5,650,384号も参照のこと)により生じる磨耗である。
【0125】
この試験は、50人の未経験の消費者で行う。被試験者に試験製品の磨耗性を0から9点尺度で評価するように頼む。このデータは、0の値が与えられる表皮剥脱の無い固形石鹸および9の値が与えられるパフに対する被試験者の反応を基準にして正規化する。試験製品は、この固形石鹸をぬらし、前後に10から15回こすりつけることによって前腕の関節部に塗布する。
【0126】
e.肌のなめらかさ
肌のなめらかさは、Primos(登録商標)(ドイツ、ベルリンのGFM Esstezhnik GmbHにより供給されているインビボ光学皮膚形態測定装置)により(臨床)評価する。基線の荒れを測定する(足/腕で − 開始時の乾燥は、およそグレード1から2)。洗浄については、固形石鹸を30秒間、肌にこすりつけ、この泡を90秒間このままにしておき、35℃で30秒間すすぐ。洗浄プロセスの30分後に荒れを再び測定する。この手順は、5日以下の期間、1日2回、行うことができる。
【0127】
なめらかさは、試験期間終了時の荒れの平均減少と定義する。また、肌のなめらかさは、次の消費者試験において評価することもできる。
【0128】
この消費者試験プロトコルは、以下から成る:
1)25から65歳の年齢群の固形石鹸使用者である約10から20人の女性を募る。
2)試験製品と比較製品をそれぞれ一週間、使用する。パネリストの半分は、試験製品を最初に使用し、残りの半分は、比較製品を最初に使用することとなる。
3)試験終了時、パネリストが、「よりなめらかな肌感触」の特性に関する嗜好を(0から5点尺度で)評価する。消費者が0から5点尺度で評価して、なめらかさを定義する。
【0129】
f.肌の柔らかさ
肌の柔らかさは、Linear Skin Rheometer(英国、Goodyear Scientific Instruments)を使用して評価することができる。表皮剥脱された肌は、乾燥して剥がれ落ちる薄片が殆どない − 従って、より柔らかく/あまりつっぱらない。この試験は、肌のつっぱり/柔らかさに関する皮膚の動ばね定数(mgf/mm)を測定するために、(足/腕での)基線皮膚レオメータ読取を必要とする。洗浄については、固形石鹸を30秒間、肌にこすりつけ、この泡を90秒間このままにしておき、(適温、例えば35℃で)30秒間すすぎ、肌を穏やかに軽くたたいて乾かす。次に、洗浄の30分後に肌のつっぱり/柔らかさを測定する。この手順は、5日以下の期間、1日2回、行うことができる。柔らかさは、この試験期間中に観察される、この試験期間中の動ばね定数の平均減少と定義する。
【0130】
また、肌の柔らかさは、次の消費者試験において評価することもできる。
【0131】
この試験プロトコルは、以下から成る:
1)25から65歳の年齢群の肌色固形石鹸使用者である約10から20人の女性を募る。
2)試験製品と比較製品をそれぞれ一週間、使用する。パネリストの半分は、試験製品を最初に使用し、残りの半分は、比較製品を最初に使用することとなる。
3)試験終了時、パネリストが、「より柔らかい肌感触」の特性に関する嗜好を(0から5点尺度で)評価する。
【0132】
消費者が0から5点尺度で評価して、柔らかさを定義する。
【0133】
g)ゼイン試験方法
本発明発明の化粧用固形石鹸のクレンジング基剤は、下に記載するゼイン溶解度法を使用して、好ましくは約50、40、30未満、最も好ましくは25未満のゼイン溶解度を有する。ゼインスコアが低いほど、製品は穏やかであると考えられる。この方法は、次のようなクレンジング基剤溶液へのゼイン(トウモロコシ蛋白)の溶解度の測定を含む。
【0134】
0.3gのクレンジング基剤と29.7gの水を入念に混合する。これに、1.5gのゼインを添加し、1時間混合する。次いで、この混合物を30分間、3000rpmで遠心分離する。遠心分離後、ペレットを抽出し、水で洗浄し、24時間、実質的にすべての水が蒸発するまで、真空オーブンで乾燥させる。乾燥したペレットの重量を測定し、次の方程式を使用して可溶化したゼインのパーセントを計算する:
可溶化したゼイン% = 100(1−乾燥ペレット重量/1.5)。
【0135】
このゼイン%は、次の参考文献においてさらに説明されている: E.Gotte,Skin compatibility of tensides measured by their capacity for dissolving zein protein, Proc.IV International Congress of Surface Active Substances,Brussels,1964,pp83−90。
【0136】
h)固形石鹸感覚的表皮剥脱指数
固形石鹸感覚的表皮剥脱指数は、次の手順を使用して決定する:
使用者が、固形石鹸を片手に取り、35℃の流水のもとでこれを回転させる。使用者が表皮剥脱物質を知覚するため(すなわち、触覚による知覚)に必要とされた回転数を記録する。この固形石鹸表皮剥脱指数は、固形石鹸の中の表皮剥脱性粒子を知覚するために必要とされる平均回転数と定義される。
【0137】
i)一般消費者試験プロトコル
この試験プロトコルは、以下から成る:
1)25から65歳の年齢群の肌色固形石鹸使用者である約10から20人の女性を募る。
2)試験製品と比較製品をそれぞれ一週間、使用する。パネリストの半分は、試験製品を最初に使用し、残りの半分は、比較製品を最初に使用することとなる。
3)試験終了時、パネリストが、以下の特性に関する嗜好を0から5点尺度で評価する:
表皮剥脱する
穏やかな表皮剥脱をもたらす
潤いを付与し、表皮剥脱する
より柔らかい肌感触
よりなめらかな肌感触
乾燥肌に良いか
【0138】
本発明を、特定の実施態様に関して説明したが、本発明の非常の多数の他の形態および変形は、当業者には明らかであろう。本発明の真の精神および範囲の範囲内にあるこうした明らかな形態よび変形は、すべて、添付の特許請求の範囲および本発明に包含されると一般には解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.5重量%から80重量%の一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤;
b.0.02重量%から20重量%の崩壊性凝集体(前記凝集体は、多数の粒子を含み、場合により結合剤を含有する);および前記凝集体中の粒子の内部表面の少なくとも一部を被覆する処理液(前記液は、親水性化合物、疎水性化合物またはこれらのブレンドから選択される);
を含むマッサージ性化粧用固形石鹸であって、
c.前記凝集体が、1.0未満の破壊指数を有し、および
d.前記固形石鹸が、25℃で0.2Mpaより大きい剛性指数を有する、
前記マッサージ性化粧用固形石鹸。
【請求項2】
崩壊性凝集体が、剪断力を掛けるまたは掛けずに、水または他のいずれかの親水性物質中で崩壊し得る、請求項1に記載の固形石鹸。
【請求項3】
処理液と、凝集体中の粒子および任意の結合剤の平均重量比が、1:5から5:1の範囲である、請求項1または請求項2に記載の固形石鹸。
【請求項4】
凝集体の平均直径が、0.1から20.0mmの範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の固形石鹸。
【請求項5】
処理液が、前記固形石鹸が固化する前に、凝集体に少なくとも一部が浸透し、凝集体中の粒子の内部表面の少なくとも一部を被覆するのに有効な粘度範囲にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の固形石鹸。
【請求項6】
処理液が、多価アルコール;脂肪酸;ポリオール;トリ−およびジグリセリド油;石油;シリコーン油;フッ素化油;臭素化油;C14およびこれより低級のアルキルエステル;C14およびこれより低級のアルキルアルコール;またはこれらのブレンドおよび誘導体から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の固形石鹸。
【請求項7】
処理液が、10%未満の水を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の固形石鹸。
【請求項8】
多数の粒子を、固形石鹸に配合する前に凝集させるか、固形石鹸配合中に凝集させるか、またはこれらの組合せを用いて凝集させる、請求項1から7のいずれか一項に記載の固形石鹸。
【請求項9】
多数の粒子が、親水性クレー;疎水性に改質されたクレー;シリカ;ゼオライト;セルロース;デンプン;またはこれらのブレンドおよび誘導体から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の固形石鹸。
【請求項10】
一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤が、
0から30重量%の一つもしくはそれ以上の脂肪酸石鹸、および
15から60重量%の一つもしくはそれ以上の非石鹸型アニオン性界面活性剤
のブレンド;
30から80重量%の一つもしくはそれ以上の脂肪酸石鹸、および
5から40重量%の一つもしくはそれ以上の非石鹸型アニオン性界面活性剤
のブレンド;または
30から80重量%の一つまたはそれ以上の脂肪酸石鹸、および
0から10重量%の一つまたはそれ以上の非石鹸型アニオン性界面活性剤
のブレンド
から選択されるブレンドを含有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の固形石鹸。
【請求項11】
不特定の順序で、
a.親水性化合物、疎水性化合物またはこれらのブレンドから選択される処理液と粒状凝集体とを、前記凝集体が1.0未満の破壊指数を獲得するのに有効な条件下で接触させて、前処理済み凝集体を形成する段階;
b.石鹸基剤、合成洗剤基剤またはコンバー(combar)基剤から選択され、場合により香料および他の微量成分を含有する化粧用固形石鹸の少なくとも一つの成分と、前記前処理済み凝集体とをブレンドして、混合素材を形成する段階;
c.粉砕、精錬および/または押出しの有効な組合せにより前記混合素材を処理して、精錬素材を形成する段階;ならびに
d.押出しに続く型打ち、切断、または押出し/型打ちと切断の組合せ、または流し込みに続く硬化のいずれかにより前記精錬素材を処理して、マッサージ性固形石鹸を形成する段階
を含む、マッサージ性固形石鹸の製造プロセス。
【請求項12】
a.マッサージ性固形石鹸を水にぬらす段階(前記固形石鹸は、
1.5重量%から80重量%の一つまたはそれ以上のアニオン性界面活性剤;
2.0.02重量%から20重量%の水崩壊性凝集体(前記凝集体は、多数の粒子を含み、場合により結合剤を含有する);および前記凝集体中の粒子の内部表面の少なくとも一部を被覆する処理液(前記液は、親水性化合物、疎水性化合物またはこれらのブレンドから選択される)を含み、
3.前記凝集体は、1.0未満の破壊指数を有し;ならびに
4.前記固形石鹸は、25℃で0.2Mpaより大きい剛性指数を有する);
b.ぬらした固形石鹸を前記凝集体を崩壊させるために充分な力で皮膚にこすりつけながら、皮膚を洗浄し、マッサージする段階
を含む、マッサージ性固形石鹸での皮膚クレンジング方法。

【公表番号】特表2007−513112(P2007−513112A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541889(P2006−541889)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013672
【国際公開番号】WO2005/053635
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】