説明

工作機械及びモータポンプユニット

【課題】モータポンプユニットの最大限のコンパクト性とシステム全体のエネルギー効率の改善とともに、機能構成要素の高い不具合耐性を確実にするモータポンプユニットを提供する。
【解決手段】油圧的に作動される機能構成要素を有する工作機械において、モータポンプユニットによって提供される圧力管路が、減圧弁によって高圧セクションと低圧セクションとに分かれており、蓄圧器8と圧力スイッチ7とが高圧セクションに接続され、減圧弁は座弁設計の3ポート弁であり、戻り管路11へ減圧弁の第2の出口16と接続されており、圧力スイッチは、概ね高圧セクション内の圧力レベルに対応する上限スイッチオフ閾値と、少なくとも低圧セクション内の圧力レベルの1.5倍に対応する下限スイッチオン閾値とに設定され、蓄圧器は、低圧セクション内の圧力レベルに対応してプリテンションされ、蓄圧器から機能構成要素を主に作動させることができる油容量を有す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の工作機械と、請求項1のプリアンブルに記載のモータポンプユニットとに関する。
【背景技術】
【0002】
機能構成要素の作動を油圧的に提供するための少なくとも1つのモータポンプユニットを有する工作機械がよく知られている。実際には、蓄圧器が高圧セクションに関連付けられる場合に、モータポンプユニットに対する要件は正反対になる。何故ならモータポンプユニットの減圧弁が高圧セクションと蓄圧器内の高い圧力レベルとを、機能構成要素の提供元である低圧セクション内の低い圧力レベルから分離する必要があるためである。減圧弁として通常用いられている2ポート減圧弁によって、例えば蓄圧器の作業機能に影響を与えることなく、減圧弁から戻り管路までを介し低圧セクション内の不可避の圧力上昇を減少させることはできない。上流における圧力変動とは無関係に、下流において或る特定の減圧を2ポート減圧弁は設定する。例えば低圧セクションの領域における1℃の温度上昇は既に圧力レベルを約10バール増加させている。機能構成要素を遮る工作機械内の障害物もまた、例えば高圧セクション内の圧力レベルに達するか又はその圧力レベルを超える圧力上昇を低圧セクション内で引き起こす可能性がある。そのような圧力上昇はシステムの安全性を非常に危険にさらす可能性がある。既知の工作機械において少なくとも大抵の場合、弁は遮断位置においてさえ漏れを許す摺動弁であるため、弁がその遮断位置にあっても、蓄圧器からより多くの加圧因子を度々供給する必要がある。結果として定容量型ポンプの高い開始周波数及び/又は長い開始サイクルをもたらし、それによりシステム全体のエネルギー効率を悪化させる。ここで、蓄圧器はまた望ましくないほどの大量の油容量を必要とするため、蓄圧器は不適切なほど大きくなり、工作機械内で又は工作機械において貴重であって不適切なほどに大きな設置スペースを蓄圧器を有するモータポンプユニットは占めてしまう。
【0003】
特許文献1から、工作機械のクランプシステム内の機能構成要素を提供する一般的なモータポンプユニットが既知となっており、図8の実施形態において、方向弁の上流の高圧セクション内に当該モータポンプユニットは3ポート減圧弁を備えており、接続部から戻り管路までを介して低圧セクション内の圧力上昇を減少させている。高圧セクション内の圧力に通じる圧力スイッチは、高圧セクション内の蓄圧器接続部の上流に接続されている。循環回路から戻り管路までを介してポンプを常時作動させ、送達される加圧因子を方向弁のポンプ接続部に供給する。モータポンプユニットのハウジングに取り付けられた弁ブロックとは別個に蓄圧器は位置付けられている。
【0004】
特許文献2から既知である電気油圧式クランプ装置において、蓄圧器が充填された後にポンプを減圧された循環に切り換えるように、後続の圧力コントローラーを伴うソレノイド弁を有する電気スイッチング装置がモータポンプユニットのポンプに関連付けられている。再循環回路が作動すると、従来通りにシステム内において、機能に不可欠であるパイロット圧を常時動作型ポンプが生成する。
【0005】
特許文献3から、白黒磁石又は比例磁石によって作動される3ポート座弁が既知となっており、当該3ポート座弁は2つの位置間で切り換えることができ、高圧セクションを低圧セクションと接続して接続部から戻り管路までを塞ぐか、又は高圧セクションを隔離して低圧セクションから戻り管路までを接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008019743号
【特許文献2】独国実用新案登録第29710129号
【特許文献3】中国実用新案登録出願第201963625号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底となる目的は、モータポンプユニットの最大限のコンパクト性とシステム全体のエネルギー効率の改善とを可能にするとともに工作機械の機能構成要素の高い不具合耐性を確実にするモータポンプユニットを提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
蓄圧器と定容量型ポンプとのための漏れのない遮断位置において生じる、低圧セクションから戻り管路までの圧力上昇を座弁設計の3ポート減圧弁が減少させるため、構造的に単純な方法で工作機械の機能構成要素の不具合耐性を増大させる。この理由は、上流と下流とでの圧力変動とは関係なく、下流において或る特定の減圧を3ポート減圧弁が設定するためである。この静的状態において蓄圧器は完全に充填されたままであり、かつ定容量型ポンプはオンに切り換えられる必要がないため、システムのエネルギー効率は改善される。圧力スイッチの上限スイッチオフ閾値と下限スイッチオン閾値との間の大きい圧力差によって蓄圧器を充填することができ、その結果、工作機械の動作での最小限の油容量にもかかわらず、蓄圧器は、驚いたことに大量の取り出し油量を提供し、全ての機能構成要素を主に提供することができ、この場合、低い開始周波数及び/又は短い開始サイクルでのスイッチオフ動作における圧力スイッチに関連する蓄圧器充填回路を介して蓄圧器に充填するためだけに定容量型ポンプは動作すればよい。これらの利点は、蓄圧器のほんの僅かな油容量、すなわち非常に小さな外形寸法を有する蓄圧器に付随するものであり、その結果、設置スペースが工作機械において全体的に節減され、このモータポンプユニットは非常にコンパクトである、すなわち、蓄圧器がモータポンプユニットに取り付けられた状態でさえ、蓄圧器を有さずに定容量型ポンプのみを有し機能構成要素を提供するモータポンプユニット以上の設置スペースを占めない。モータポンプユニットのハウジングの外側に弁は取り付けられている。蓄圧器は、ハウジングの外法寸法よりも小さい外側の球径を有する球形であり、ハウジングと弁とによって占められる設置スペース内に少なくともほぼ収納されるようにハウジングへ取り付けられている。このため、当該モータポンプユニットは、蓄圧器を有しないモータポンプユニットと同じような設置スペースしか占めない。圧力スイッチは、蓄圧器の接続部の下流において、かつ3ポート減圧弁の入口の上流において高圧セクションに接続されているため、実際には高圧セクション内の3ポート減圧弁の入口において印加される圧力を圧力スイッチは常に正確に測定し、本当に必要でない限りは蓄圧器充填回路を介して定容量型ポンプをオン又はオフに切り換えない。ここで、圧力スイッチ接続部と、高圧セクション内の蓄圧器接続部と、3ポート減圧弁と、3ポート減圧弁の第2の出口から戻り管路までの管路とがハウジングに配置されている弁ブロックハウジング内で組み合わせられている。この構成は、スロットル損失の低い短い流路を確実にし、これらの構成要素に必要な設置スペースを低減する。
【0010】
工作機械内のシステムのエネルギー効率を更に高めるために、全ての弁が漏れのない遮断位置を有する弁座設計で作られている。これによって、圧力管路の高圧セクション内と低圧セクション内とで、システムの静的状況において長期間にわたって圧力レベルが変化することなく維持され、この場合3ポート減圧弁は更なる加圧因子を蓄圧器から供給する必要がないことが確実になる。したがって、例えば日本国において一般的である、モータポンプユニットの更に大型の蓄圧器を有する工作機械と比べると、50%を明確に上回る電気一次エネルギーの節減を達成することができる。
【0011】
1つの好適な実施の形態では、低圧セクション内の圧力レベルは約100バールであり、高圧セクション内の圧力レベルは約200バール以上であるため、上限スイッチオフ閾値は約200バール又は明確にはそれ以上であり、下限スイッチオン閾値は約160バールとすることができ、蓄圧器の油容量は約1.0リットルであるだけでよい。工作機械の動作中に機能構成要素を提供するための予想外なほどの大量の取り出し量は、蓄圧器の充填における大きい圧力差に起因しており、この場合定容量型ポンプは必ずしもこのために用いられる必要はない。
【0012】
具体的な場合では、蓄圧器の外側の球径は150mmのみであるとすることができる。
【0013】
具体的な実施の形態では、モータポンプユニットのハウジングの概ね中間高さに弁ブロックハウジングは配置されており、ハウジングの上側部に蓄圧器は配置されており、ハウジングの外側に取り付けられている配管を介してこれらの機能構成要素は接続されている。これは、配管も同様にモータポンプユニットのハウジングと弁とによって占められる設置スペース内に収納することができるため、モータポンプユニットのコンパクトな寸法に寄与する。
【0014】
1つの好適な実施の形態では、クリップ、好ましくはクイックロックによってモータポンプユニットのハウジング支持部上に蓄圧器は固定されている。これによって、蓄圧器の組立てに関する利点が提供される。
【0015】
モータポンプユニットの1つの実施の形態において、最終的に、3ポート減圧弁は、入口と第1の出口との間に、座部と、開放方向では低圧セクション内の圧力レベルによって当該座部から離れるように、閉鎖方向では高圧セクション内の圧力レベルによって当該座部に向かってばねに当接して作用させる球形閉鎖部材又は円錐形閉鎖部材とを備え、第2の入口へ連続しており、低圧セクション内の圧力レベルによって作用され、戻り圧力に対して圧力補償されるピストンを用いるばねによって、座部における漏れのない遮断位置から開放方向に当該3ポート減圧弁は作動することができること、及び閉鎖部材から構造的に分離され、タペット作動を用いるパイロット式座弁が、ピストン内で第1の出口と第2の出口との間に収納されており、第2の出口の領域に固定配置されているパイロット式座弁開放停止部に向けられていることが好ましい。閉鎖部材が自身の漏れのない遮断位置をとるとともに蓄圧器を有する高圧セクションを低圧セクションから分離する一方で、低圧セクション内での不可避の圧力上昇を減少させるには、パイロット座弁を戻り管路に対して開放するだけである。ここで、蓄圧器から加圧因子を放出することなく自身を開放することによって又は圧力スイッチを応答させることによって、パイロット座弁はそのような圧力上昇に自動的に応答する。
【0016】
図面を参照して、本発明の主題の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】モータポンプユニットと機能構成要素のための複数の弁とを伴って設計され、単に符号で示された工作機械のブロック図である。
【図2】例えば図1のモータポンプユニットの側面図である。
【図3】図2のモータポンプユニットの平面図である。
【図4】漏れのない遮断位置にあるモータポンプユニットの3ポート減圧弁の軸方向断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、工作機械Wの部分エリアが破線で示されており、当該工作機械内には、例えば工具のためのクランプシステム、ワークピース、又は機械要素のための調整装置である複数の油圧作動式の機能構成要素Kが収納されており、これらの機能構成要素は工作機械の動作において提供される必要がある。工作機械W内、工作機械Wにおいて、又は工作機械Wの近くに、機能構成要素を油圧的に提供するモータポンプユニットAが設けられており、加圧因子リザーバーと戻り管路として同時に用いられるハウジング1内に電気モータ2と定容量型ポンプ3とを当該モータポンプユニットは収容している。戻り管路11がハウジング内につながる。圧力管路10が、ハウジング1から出て、戻り方向に遮っている逆止弁18とシステム圧力制御弁4とを介して(例えば220バールに設定されている)戻り管路に接続されている。機能構成要素Kと圧力管路10と戻り管路11との間には、機能構成要素の作動を制御する弁Vが例えばブロック19、20内に配置されており、これらの弁のほとんど又は全てが座弁設計で作られたものである、すなわちそれらの遮断位置において漏れのないようにきつく閉まっている。
【0019】
モータポンプユニットAと、3ポート減圧弁6として設計されている減圧弁Dとの間の高圧セクション9として圧力管路10の開始セクションが設けられている。高圧セクション9が3ポート減圧弁6の入口13に接続され、その一方で低圧セクション12として圧力管路10の更なる進路が3ポート減圧弁6の第1の出口14に接続されて弁Vにつながっていることをこれは意味する。管路16’を介して戻り管路11に接続されるか又はハウジング1に直接接続される第2の出口15を3ポート減圧弁は備える。3ポート減圧弁6は、単に圧力依存的にばね29によって動作し、座弁の設計(図4)で作られている、すなわち、高圧セクション9が低圧セクション12から分離される漏れのない遮断位置によって当該3ポート減圧弁は動作する。
【0020】
蓄圧器8の接続部17の下流にある接続部16において蓄圧器充填回路Sの圧力スイッチ7が高圧セクション9に接続されている。好適にはモータポンプユニット(図2及び図3)に蓄圧器8は設置される。蓄圧器充填回路Sを介して、例えば電気モータ2を必要に応じてオンとオフとに切り換える。
【0021】
3ポート減圧弁6と、接続部16、17と、ばね29と、管路16’から戻り管路11までとが、好適には、モータポンプユニットAに又はそのハウジング1に取り付けられている弁ブロックハウジング5内でそれぞれ組み合わせられている。機能構成要素Kのための弁Vの更なる弁ブロック19、20は、例えばこの弁ブロックハウジング5に取り付けられている。代替形態(図示せず)として、弁ブロック19、20をモータポンプユニットAから分離してパイプ又は高圧ホースを介して弁ブロックハウジング5に接続してもよい。
【0022】
高圧セクション9内では、例えば約200バール、任意選択的には最高約220バールまでの圧力レベルが広がる。一方で低圧セクション12内では、3ポート減圧弁6のばね29の調整又は設計によって僅か約100バールの圧力レベルが予め定められている。圧力スイッチ7を、約200バール以上の上限スイッチオフ閾値に、また約160バール又は少なくとも低圧セクション12内の圧力レベルの1.5倍の下限スイッチオン閾値に設定することができるため、蓄圧器は高い圧力差でかつ低圧セクション12内の圧力レベルを明確に上回って動作することができる。
【0023】
蓄圧器8は、好適には、少なくとも低圧セクション12内の圧力レベルに対応するガス圧力プリテンションを用いる蓄圧器である。この蓄圧器は、例えば、油圧蓄圧器充填圧力によって反対側から変形可能である可撓性膜の片側において、基本的に蓄圧器8の全油容量が油圧オイルを充填されるとともに少なくとも約160から200バール以上の圧力下になるまで圧縮窒素によって充填される蓄圧器であり、そのため、蓄圧器8は、主に定容量型ポンプ3の助けを必要とすることなく、十分に大量の取り出し量を伴う機能構成要素Kを提供することができ、定容量型ポンプ3は低い開始周波数及び/又は短い開始サイクルで動作するだけでよい。
【0024】
上述の圧力値は近似値でしかなく、工作機械W並びにモータポンプユニットAの設計及び種類に応じて上述の圧力値を上回ることもできるし、下回ることもできる。
【0025】
例えば図1の工作機械W付近に、工作機械Wにおいて、又は工作機械W内に設置されるモータポンプユニットAを図2及び図3から詳細に見てとることができる。
【0026】
ハウジング1は、例えば概ね直方体であり、ベース21上に立っている。弁Vを有する弁ブロック19、20と、圧力スイッチ7を有する弁ブロックハウジング5とが1つのハウジング側部23に取り付けられており、例えばクイックロック27を含むことができるクリップ25によって支持部24が取り付けられた、ハウジング1の上側部22上に蓄圧器8は固定されている。図示の実施形態において、約150mm(例えば1.0リットルの油容量)の外球径を有する例えば球形のハウジング26を蓄圧器8は有しており、ハウジング1と弁ブロック19、20、5とそれらの周辺機器とによって占められる寸法b、t及びhを有する設置スペース内に蓄圧器が少なくとも基本的に収納されるように当該蓄圧器はモータポンプユニットAに設置されているため、設置された蓄圧器8を有するモータポンプユニットは、蓄圧器を有しないモータポンプユニット以上の設置スペースを占めない。弁ブロックハウジング5は、弁ブロック19、20の下で概ね中間の高さに取り付けられており、上に向かうように外側に配置されている配管28を介して蓄圧器8と接続されている。モータポンプユニットA又は弁Vの電気部品を、工作機械Wの制御システム(図示せず)に又は別個の制御システム及び電源システムに接続することができる。圧力スイッチ7の蓄圧器充填回路Sによってのみ電気モータ2はオンとオフとに切り換えられる。ハウジング1は所定の戻り圧力下にすることができるか、又は減圧される。
【0027】
例えばねじ込みカートリッジとして弁ブロックハウジング5内にねじ込まれている、図4に示される3ポート減圧弁6は、ばね29が収納されている管状ハウジング30を備え、ばねのプリテンションをハンドル31によって固定するか又は必要に応じて調整することができる。ばね29は支台32上に支持されており、支台はピストン33の上側部上に位置しており、ピストンは封止方式にてチャンバー41内で可動であり、中間高さ領域に通路34を含む。弁ブロックハウジング5内の通路34の領域に3ポート減圧弁6の第2の出口15は配置されており、第1の出口14はピストン33の下端に関連付けられている。通路34内には、軸方向に連続したピストン33内に配置された、ピストン33の通路39内のパイロット式座弁36のタペット作動に向けられている固定した例えば直線状のピンのパイロット式座弁開放停止部35が配置されている。ピストン33の下端には、軸方向に連続したタペット37が配置されており、また例えばばね荷重下で固定座部40と協働する球形閉鎖部材又は円錐形閉鎖部材38に向けられている。低圧セクションへの第1の出口14と高圧セクション9からの入口13との間に座部40は配置されており、閉鎖部材38は座部40の入口13の側に配置されており、図4では閉鎖部材の漏れのない遮断位置をとっている。
【0028】
高圧セクション9内の圧力レベルは閉鎖部材38に対して座部40に向かわせるように作用し、その一方で第1の出口14内のより低い圧力レベルは開放方向に作用する。タペット37、ピストン33及び支台32を介して、ばね29のプリテンション力も同様に閉鎖部材38に対して開放方向に作用する。パイロット式座弁36がその漏れのない遮断位置(図示される)にあるときに、低圧セクション12内の圧力レベルによってピストン33をばね29に当接させて開放方向へと作用させる。第2の出口15内の戻り圧力に対して、ピストン33はチャンバー41内の通路34の両側に封止部を含むため、圧力補償される。管状ハウジング30は空気を含む。
【0029】
高圧セクション9内と低圧セクション12内との上述の圧力レベルが達成されると、ばね29が高圧セクション9の圧力レベル下で閉鎖部材38を漏れのない遮断位置のままにしておくように、ばねはプリテンションされる。低圧セクション12内の圧力レベルが消費に起因して下がる場合、タペット37を介して座部40から離すようにばね29は閉鎖部材38を押圧するため、低圧セクション12内の圧力レベルが再確立される。低圧セクション12内で、例えば温度上昇又は他の理由に起因して予め選択された圧力レベルを上回る圧力上昇が生じる場合、パイロット式座弁36のタペット作動がパイロット式座弁開放停止部35に達してパイロット式座弁36を開放し、かつ圧力上昇をピストン33の下部を通して第2の出口15内へ減少させるまで、ピストン33を閉鎖部材38の漏れのない遮断位置にあるばね29に対して上方にシフトさせる。低圧セクション12内の予め選択された圧力レベルが再確立されると、ばね29は、閉鎖部材38の遮断位置を最初にキャンセルすることなく、ピストン33を再び図示の位置へと案内する。したがって、蓄圧器8から加圧因子は一切取り出されず、圧力スイッチ7は応答しないが、蓄圧器内の総圧力差は、機能構成要素を提供するのに利用可能なままである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧作動式の機能構成要素(K)を備える工作機械(W)のためのモータポンプユニット(A)であって、該モータポンプユニット(A)は、オイルリザーバーを形成するとともに圧力管路(10)と戻り管路(11)とに接続されているハウジング(1)内に電気モータ(2)と少なくとも1つの定容量型ポンプ(3)とを備え、前記圧力管路(10)は、該モータポンプユニット(A)において又は該モータポンプユニット(A)内に収納されている減圧弁(D)を介して、該モータポンプユニット(A)の高圧セクション(9)と低圧セクション(12)とに分かれており、弁(V)は前記低圧セクション(12)に接続されており、ガス圧力によってプリテンションされる蓄圧器(8)と圧力スイッチ(7)とが前記高圧セクション(9)に接続されており、座弁設計の前記減圧弁(D)は、該モータポンプユニット(A)において又は該モータポンプユニット(A)内に配置されている3ポート減圧弁(6)であり、前記圧力スイッチ(7)の下流にある前記減圧弁の前記入口(13)は前記高圧セクション(9)に接続されており、前記減圧弁の第1の出口(14)が前記低圧セクション(12)に接続されており、前記減圧弁の第2の出口(15)が前記蓄圧器(8)と前記圧力スイッチ(7)とを迂回しながら前記戻り管路(11)に接続されており、前記蓄圧器(8)は、該モータポンプユニット(A)付近に、該モータポンプユニット(A)において又は該モータポンプユニット(A)内に配置されており、前記蓄圧器(8)の油容量内で概ね前記低圧セクション(12)の圧力レベルを有するガス圧力プリテンションを備え、以下の特徴であって、
a)前記圧力スイッチ(7)は、前記少なくとも1つの定容量型ポンプ(3)の前記電気モータ(2)をオンとオフとに切り換えるためだけの蓄圧器充填回路(S)に関連し、前記高圧セクション(9)内の圧力レベルに対応する上限スイッチオフ閾値に、また少なくとも前記低圧セクション(12)内の圧力レベルの1.5倍に対応する下限スイッチオン閾値に設定され、
b)前記蓄圧器(8)の前記油容量は、前記蓄圧器(8)からの、前記工作機械(W)の前記機能構成要素(K)の主要な油圧供給に合わせて容量決定され、前記定容量型ポンプ(3)は、スイッチオフ動作において前記蓄圧器充填回路(S)によってのみオンとオフとに切り換えることができ、
c)前記弁(V)は該モータポンプユニット(A)の前記ハウジング(1)の外側に取り付けられており、前記蓄圧器(8)は、前記ハウジング(1)の外法寸法よりも小さい外側の球径を有する球形であり、該蓄圧器が前記ハウジング(1)及び前記弁(V、D)によって占められる設置スペース(h、b、t)内に少なくともほぼ収納されるように、前記ハウジング(1)に取り付けられており、
d)前記圧力スイッチ(7)は、圧力スイッチ接続部(16)内の蓄圧器接続部(17)の下流にある前記高圧セクション(9)に接続されており、
e)前記圧力スイッチ接続部(16)と、前記蓄圧器接続部(17)と、前記3ポート減圧弁(6)と、該3ポート減圧弁(6)の前記第2の出口(15)から前記戻り管路(11)までの管路(16’)とが、前記ハウジング(1)に配置される弁ブロックハウジング(5)内で組み合わせられている、
特徴の組合せを特徴とする、油圧作動式の機能構成要素を備える工作機械のためのモータポンプユニット。
【請求項2】
全ての弁(V)は漏れのない遮断位置を有する座弁設計で作られていることを特徴とする、請求項1に記載のモータポンプユニット。
【請求項3】
前記低圧セクション(12)内の圧力レベルは約100バールであり、前記高圧セクション(9)内の圧力レベルは約200バールであることを特徴とし、前記上限スイッチオフ閾値は約200バールであり、前記下限スイッチオン閾値は約160バールであることを特徴とし、前記蓄圧器(8)の前記油容量は約1.0リットルであることを特徴とする、請求項1に記載のモータポンプユニット。
【請求項4】
前記蓄圧器(8)の前記外側の球径は約150mmであることを特徴とする、請求項1に記載のモータポンプユニット。
【請求項5】
前記弁ブロックハウジング(5)は、前記モータポンプユニット(A)の前記ハウジング(1)の概ね中間高さに配置されており、前記蓄圧器(8)は前記ハウジング(1)の上側部(22)に配置されており、前記弁ブロックハウジング(5)及び前記蓄圧器(8)は、前記ハウジング(1)の外側に取り付けられている配管(28)を介して接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のモータポンプユニット。
【請求項6】
前記蓄圧器(8)は、クリップ(25)、好的にはクイックロック(27)によってハウジング支持部(24)上に固定されていることを特徴とする、請求項5に記載のモータポンプユニット。
【請求項7】
前記3ポート減圧弁(6)は、前記入口(13)と前記第1の出口(14)との間に、座部(40)と、開放方向では前記低圧セクション(12)内の圧力レベルによって座部(40)から離れるように、閉鎖方向では前記高圧セクション(9)内の圧力レベルによって前記座部(40)に向かってばね(29)に当接して作用させる球形閉鎖部材又は円錐形閉鎖部材(38)とを備え、前記3ポート減圧弁(6)は、前記第2の入口(15)へ連続しており、前記低圧セクション(12)内の圧力レベルによって作用され、前記戻り圧力に対して圧力補償されるピストン(33)を用いる前記ばね(29)によって、前記座部(40)における漏れのない遮断位置から前記開放方向に作動することができることを特徴とし、前記閉鎖部材(38)から構造的に分離されている、タペット作動を用いるパイロット式座弁(36)が、前記ピストン(33)内で前記第1の出口(14)と前記第2の出口(15)との間に収納されており、前記第2の出口(15)の領域に固定配置されているパイロット式座弁開放停止部(35)に向けられていることを特徴とする、請求項1に記載のモータポンプユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−108622(P2013−108622A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−251919(P2012−251919)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【出願人】(512297169)
【Fターム(参考)】