帯域阻止フィルタ及びそれを備えた受信チューナ
【課題】小型化を図ることができる複数の阻止帯域を有する帯域阻止フィルタを提供する。
【解決手段】圧電結晶を伝搬する弾性波を利用してフィルタリングを行うフィルタ本体であるSAWチップ1と、SAWチップ1の入力端子である端子P1に接続されるインダクタンス成分L1と、SAWチップ1の出力端子である端子P2に接続されるインダクタンス成分L2とを備え、インダクタンス成分L1とインダクタンス成分L2とが磁界結合されている帯域阻止フィルタ。
【解決手段】圧電結晶を伝搬する弾性波を利用してフィルタリングを行うフィルタ本体であるSAWチップ1と、SAWチップ1の入力端子である端子P1に接続されるインダクタンス成分L1と、SAWチップ1の出力端子である端子P2に接続されるインダクタンス成分L2とを備え、インダクタンス成分L1とインダクタンス成分L2とが磁界結合されている帯域阻止フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯域阻止フィルタに関し、特に帯域阻止型の圧電フィルタに関する。また、本発明は、帯域阻止フィルタを備えた受信チューナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1seg放送の普及が本格化しつつある。いわゆる1seg放送とは、日本における携帯端末(例えば携帯電話等)向け地上波デジタル放送サービスのことである。
【0003】
まず、1seg放送受信における帯域阻止フィルタの重要性について説明する。図5は、1seg放送受信に特に関係する信号を周波数軸上に図示したものである。1seg放送自体には、UHF帯の470〜770MHzの周波数帯域B1が割り当てられている。それに対し、隣接する825〜840MHzの周波数帯域B2は携帯電話サービスに割り当てられており、1seg放送受信にとっては妨害波として悪作用するので1seg放送を受信する際にはフィルタで除去する必要がある。図中のFCは、この1seg放送を受信する際に必要な帯域阻止フィルタのフィルタ特性を模式的に表したものである。しかしながら、かかる帯域阻止フィルタの設計は、広大な帯域幅(470〜770MHz)の所望波に非常に接近した妨害波(825MHz〜840MHz)が存在するという悪条件下での設計であり極めて難しく、大きな技術課題となっている。試行錯誤の末に、現在では、帯域阻止型の圧電フィルタを用いて妨害波(825MHz〜840MHz)を除去する方式が最良とされて定着しつつある。
【0004】
圧電フィルタは、圧電結晶を伝搬する弾性波を利用し、電気信号から弾性波への変換及びその逆変換を行うことによりフィルタリングを行うものであり、SAW(Surface Acoustic Wave:弾性表面波)フィルタとBAW(Bulk Acoustic Wave:弾性体積波)フィルタとに大別できる。ここでは、SAWフィルタを例に挙げて説明する。
【0005】
SAWフィルタは、既に広く普及した公知技術であり、非特許文献3をはじめ多数の文献において開示されている。ただし、実用化されているのは大半が帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ)であり、帯域阻止フィルタ(バンドリジェクションフィルタやノッチフィルタとも呼ばれる。)については、非特許文献1や非特許文献2などの少数の文献で断片的に開示されているに留まっている状況である。
【0006】
図6は、非特許文献1のFig.5と非特許文献2の第10頁及び第11頁で開示されている帯域阻止型SAWフィルタの回路構造を示している。図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、フィルタ本体であるSAWチップ1が、N+2個(Nは自然数)の端子P1〜PN+2を有している。端子P1は、フィルタ本体の入力端子であり、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1を介して、帯域阻止型SAWフィルタの入力端子TINに接続される。端子P2は、フィルタ本体の出力端子であり、インピーダンス整合用インダクタンス成分L2を介して、帯域阻止型SAWフィルタの出力端子TOUTに接続される。残りのN個の端子P3〜PN+2は、それぞれインピーダンス整合用インダクタンス成分L3〜LN+2を介してグランドに接続されている。非特許文献1のFig.5と非特許文献2の第10頁及び第11頁とはともに、Nが1の場合の回路図を開示している。ただし、非特許文献1のFig.5では、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2は省略されている。
【0007】
フィルタ本体であるSAWチップ1の内部構成については、自由度があり一意には定まらない。
【0008】
例えば、非特許文献1のFig.5では、図7に示す最も単純な回路構成が開示されている。図7に示す回路構成のSAWチップ1では、フィルタ本体の入力端子である端子P1とフィルタ本体の出力端子である端子P2の間に2つのSAW共振子R1及びR2が縦続接続され、端子P3がSAW共振子R1とSAW共振子R2との間にシャント接続される。
【0009】
また、例えば、非特許文献2の第10頁及び第11頁では、図8に示す複雑な回路構成が開示されている。図8に示す回路構成のSAWチップ1では、フィルタ本体の入力端子である端子P1とフィルタ本体の出力端子である端子P2の間に6つのSAW共振子R1〜R6が順次縦続接続され、端子P3がSAW共振子R3とSAW共振子R4との間にシャント接続され、SAW共振子R1とSAW共振子R2との間がSAW共振子R7の一端がシャント接続され、SAW共振子R7の他端がグランドに接続され、SAW共振子R5とSAW共振子R6との間にSAW共振子R8の一端がシャント接続され、SAW共振子R8の他端がグランドに接続される。
【0010】
SAWチップ1の内部構成についてはこの他にも様々な可能性があるが、1seg放送受信用の帯域阻止型SAWフィルタで現在実際に用いられているSAWチップとしては、図8に示すような複雑な構成が主流になりつつある。そのため、以下本明細書においては、図8に示す回路構成のSAWチップ1を例に挙げて説明を行う。
【0011】
SAW共振子R1〜R8は、非特許文献3中で櫛歯状電極やトランスデューサやIDT(Interdigital Transducer)と呼ばれているものであり、圧電結晶基板上に電極パターンで形成された高Qの2端子共振回路であり、その等価回路は図9のようになる。SAW共振子の等価回路では、インダクタンス成分Lsとキャパシタンス成分Csが直列共振回路を構成しており、その直列共振回路全体と並列にキャパシタンス成分Cpが接続されている。なお、以下本明細書で示すシミュレーション結果では、簡単のために、従来技術か本発明かにかかわらず、SAW共振子の等価回路は全て、フィルタ本体の入出力端子間に縦続接続されるSAW共振子R1〜R6についてはLs=180nH、Cs=0.2pF、Cp=5.5pFで、フィルタ本体の入出力端子間に縦続接続されるSAW共振子間にシャント接続されるSAW共振子R7及びR8については半分の共振子面積を想定してLs=360nH、Cs=0.1pF、Cp=2.75pFで統一している。
【0012】
図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタにおいて図8に示す回路構成のSAWチップ1を用いた場合のシミュレーション結果は、図10のS1に示すようになる。なお、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2はともに20nHとし、インピーダンス整合用インダクタンス成分L3は22nHとしている。図10のS1から明らかなように、図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタは、1seg放送に割り当てられているUHF帯の周波数帯域(470〜770MHz)B1の所望波を通過させつつ、携帯電話帯サービスに割り当てられている周波数帯域(825MHz〜840MHz)B2の妨害波を急峻に除去することができる。
【0013】
【非特許文献1】P.A.Lorenz and D.F.Thompson、 "WIDE BANDWIDTH LOW COST SAW NOTCH FILTERS"、[online]、RF Monolithics社アプリケーションノート、[平成19年5月11日検索]、インターネット<URL:http://www.rfm.com/support/apnetes/notch2.pdf>
【非特許文献2】B.Kearns et al.、"RF Filter Considerations for DBV-H"、 [online]、2006年6月30日、Colloquium on RF for DVB-H/DMB Mobile Broadcast: Handset and Infrastructure Challenges、[平成19年5月11日検索]、インターネット<URL:http://www.iee.org/oncomms/pn/rf/Kearns.pdf>
【非特許文献3】小西良弘、「通信用フィルタ回路の設計とその応用」、第1版、総合電子出版社、1994年2月1日、p.154−187
【特許文献1】特開2002−26605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、1seg放送受信用の帯域阻止型フィルタが除去しなければならない妨害波は、実際には周波数帯域(825MHz〜840MHz)B2の妨害波だけではない。中でも重要度が高いのが、2GHz帯、より詳細には1920〜1980MHzの周波数帯域B3(図5参照)である。この2GHz帯は、WCDMA式等の実際に多数普及している携帯電話のサービスに割り当てられている周波数帯域であるためである。
【0015】
図6の回路構造を基本として、そこに2GHz帯の強い除去機能を付加する方法としては、例えば図11に示す回路構造が実際に用いられている。図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、インピーダンス整合用インダクタンス成分L2と並列にキャパシタンス成分C1を設けて、インピーダンス整合用インダクタンス成分L2とキャパシタンス成分C1とによりちょうど2GHz帯で並列共振を起こさせている。図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタにおいて図8に示す回路構成のSAWチップ1を用いた場合のシミュレーション結果は、図10のS2に示すようになる。なお、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2はともに20nHとし、インピーダンス整合用インダクタンス成分L3は22nHとし、キャパシタンス成分C1は0.33pFとしている。図10のS2から明らかなように、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタにおいては、2GHz帯(1920MHz〜1980MHz)B3で新たに減衰極が発生し、この帯域の減衰量が大幅に改善する。
【0016】
しかしながら、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、2GHz帯の減衰量が改善した代償として、周辺部品数が増えてしまう問題があった。図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、最低3個のインピーダンス整合用インダクタンス成分L1〜LN+2のみだった周辺部品が、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、最低3個のインピーダンス整合用インダクタンス成分L1〜LN+2に加えて1個のキャパシタンス成分C1が必要になってしまっている。これらインダクタンス成分やキャパシタンス成分は実際にはLTCC(Low Temperature Co‐fired Ceramics:低温焼成セラミック)によるチップ部品で形成されるのが一般的であり、上記のように周辺部品数が増えると占有面積とコストを増やす原因となる。
【0017】
なお、上述したように、SAWフィルタは圧電フィルタの一種であり、圧電フィルタは、圧電結晶表面を伝搬する弾性表面波を利用したSAWフィルタと、圧電結晶内部を伝搬する弾性体積波を利用したBAWフィルタとに大別できる。上記の問題点は、フィルタ本体に関するものではなく、フィルタ本体の周辺回路(整合回路)に関するものである。そのため、上記の問題点は、SAWフィルタのみならずBAWフィルタを含む圧電フィルタ一般に共通するものである。
【0018】
なお、特許文献1に開示されているフィルタは、バンドパスフィルタである非圧電フィルタであって、フィルタ特性の波形を劣化させることなく、減衰極の周波数を中心周波数に近づけることにより、フィルタ特性の急峻度を高めるフィルタであって、帯域阻止型の圧電フィルタにおける上記の問題点を解決するものではない。
【0019】
本発明は、上記の状況に鑑み、小型化を図ることができる複数の阻止帯域を有する帯域阻止フィルタ及びそれを備えた受信チューナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明に係る帯域阻止フィルタは、圧電結晶を伝搬する弾性波を利用してフィルタリングを行うフィルタ本体と、前記フィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分と、前記フィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分とを備え、前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分とが磁界結合されている構成とする。
【0021】
このような構成によると、フィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分とフィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分との磁界結合により、所定の周波数帯域で新たに減衰極が発生し、この帯域の減衰量が大幅に改善する。したがって、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタのように周辺部品数を増加させることなく、所定の周波数帯域の減衰量を改善することができるので、複数の阻止帯域を有するようにしても小型化を図ることができる。
【0022】
上記構成の本発明に係る帯域阻止フィルタにおいて、第3のインダクタンス成分を備え、前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外に1個の端子と、2個の圧電共振子とを有し、前記2個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、前記縦続接続された圧電共振子間に前記1個の端子がシャント接続され、前記1個の端子が前記第3のインダクタンス成分を介してグランドに接続される構成にしてもよく、前記第3のインダクタンス成分を備え、前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外に1個の端子と、少なくとも6個の圧電共振子とを有し、前記少なくとも6個の圧電共振子のうち少なくとも4個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうち1箇所に前記1個の端子がシャント接続され、前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうち2箇所以上に前記少なくとも6個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていない2個以上の圧電共振子の一端が各箇所で一つずつシャント接続され、前記少なくとも6個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていない2個以上の圧電共振子の他端がグランドに接続され、前記1個の端子が前記第3のインダクタンス成分を介してグランドに接続される構成にしてもよく、これら二つの構成を一般化した構成、すなわち、前記第1のインダクタンス成分及び前記第2のインダクタンス成分以外にN個(Nは自然数)のインダクタンス成分を備え、前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外にN個の端子と、少なくともN+1+M個(Mは正の整数)の圧電共振子とを有し、前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち少なくともN+1個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうちN箇所に前記N個の端子が各箇所で一つずつシャント接続され、前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうちM箇所に前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていないM個の圧電共振子の一端が各箇所で一つずつシャント接続され、前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていないM個の圧電共振子の他端がグランドに接続され、前記N個の端子がそれぞれ前記N個のインダクタンス成分を各端子で一つずつ介してグランドに接続される構成としてもよい。
【0023】
また、上記各構成の帯域阻止フィルタにおいて、第1の周波数帯域の信号及び前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数の信号の通過を阻止するフィルタとし、前記フィルタ本体により前記第1の周波数帯域の信号の通過が阻止され、前記第1インダクタンス成分と第2インダクタンス成分との磁界結合により前記第2の周波数帯域の信号の通過が阻止されるようにしてもよい。さらに、前記第1の周波数帯域を、携帯電話サービスに割り当てられている800〜900MHz付近の周波数帯とし、前記第2の周波数帯域を、他の携帯電話サービスに割り当てられている1.8〜2GHz付近の周波数帯としてもよい。
【0024】
また、上記目的を達成するために本発明に受信チューナは、上記いずれかの構成の帯域阻止フィルタを備える構成としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る帯域阻止フィルタ及びそれを備えた受信チューナによると、フィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分とフィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分との磁界結合により、所定の周波数帯域で新たに減衰極が発生し、この帯域の減衰量が大幅に改善するので、フィルタ本体に外付けされる周辺部品の数を増加させることなく、所定の周波数帯域の減衰量を改善することができる。これにより、複数の阻止帯域を有するようにしても小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタの回路構造例を図1に示す。なお、図1において図5と同一の部分には同一の符号を付す。
【0027】
図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタは、図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタとほぼ同じ構造であるが、フィルタ本体の入力端子である端子P1に接続されるインピーダンス整合用インダクタンス成分L1と、フィルタ本体の出力端子である端子P2に接続されるインピーダンス整合用インダクタンス成分L2とが意図的に接近して配置されて磁界結合を起こしている点で大きく異なる。
【0028】
図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタにおいても、図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタと同様に、フィルタ本体であるSAWチップ1が、N+2個(Nは自然数)の端子P1〜PN+2を有している。端子P1は、フィルタ本体の入力端子であり、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1を介して、帯域阻止型SAWフィルタの入力端子TINに接続される。端子P2は、フィルタ本体の出力端子であり、インピーダンス整合用インダクタンス成分L2を介して、帯域阻止型SAWフィルタの出力端子TOUTに接続される。残りのN個の端子P3〜PN+2は、それぞれインピーダンス整合用インダクタンス成分L3〜LN+2を介してグランドに接続されている。
【0029】
図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタにおいて図8に示す回路構成のSAWチップ1を用いた場合のシミュレーション結果は、図2に示すようになる。なお、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2はともに20nHとし、インピーダンス整合用インダクタンス成分L3は22nHとし、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2の磁界結合の結合係数Kは0.035としている。
【0030】
図2から明らかなように、図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタは、1seg放送に割り当てられているUHF帯の周波数帯域(470〜770MHz)B1の所望波を通過させつつ、携帯電話帯サービスに割り当てられている周波数帯域(825MHz〜840MHz)B2の妨害波を急峻に除去することができる。
【0031】
さらに、図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタにおいては、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2の磁界結合により、2GHz帯(1920MHz〜1980MHz)B3で新たに減衰極が発生し、この帯域の減衰量が大幅に改善する(図2参照)。このように、図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタは、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタのように周辺部品数を増加させることなく、2GHz帯の減衰量を改善することができるので、複数の阻止帯域を有するようにしても小型化を図ることができる。
【0032】
なお、上述した実施形態では帯域阻止型SAWフィルタを例に挙げて説明を行ったが、本発明の特徴部分はフィルタ本体ではなく、フィルタ本体の周辺回路(整合回路)である。そのため、本発明においては、SAWチップ1の内部構成に特に限定を加えるものではなく、様々な構成のSAWチップを用いることができる。例えば、図7のような単純な最小構成(N=1)でも良いし、図8のように多段化された構成(N=1)でも良いし、更にはもっと複雑な構成(N>1)でも良い。さらには、フィルタ本体がSAWチップでなくても良いので、本発明はSAWフィルタのみならずBAWフィルタを含む圧電フィルタ一般に適用することができる。
【0033】
また、本発明に係る帯域阻止フィルタは、1seg放送受信用に限定されるものではなく、帯域阻止型の圧電フィルタであれば、他の周波数帯用であっても構わない。本発明に係る帯域阻止フィルタでは、圧電結晶を伝搬する弾性波を利用してフィルタリングを行うフィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分と、前記フィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分とが磁界結合されることにより、LC並列共振回路が発生するため、新たな減衰極が発生する。前記LC並列共振回路のうちL成分は、前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分との磁界結合によって等価的に発生する。一方、前記LC並列共振回路のうちC成分は、前記フィルタ本体に設けられる直列の圧電共振子が等価回路的に有しているキャパシタンス成分(例えばSAW共振子の場合、図9中のCp)によって発生する。したがって、前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分との磁界結合を強くするほど、前記LC並列共振回路のL成分が大きくなって減衰極の周波数が下がるので(図3参照)、用途に応じた減衰極の周波数が得られるように前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分との磁界結合の結合係数を設定するとよい。
【0034】
最後に、本発明に係る受信チューナの概略構成例を図4に示す。本発明に係る受信チューナの一例である1seg放送受信モジュール8は、アンテナ2の出力信号から妨害信号を除去する本発明に係る帯域阻止フィルタ3と、帯域阻止フィルタ3から出力されるUHF帯域の高周波信号をIF信号に変換・増幅し、IF信号を出力するRFICチップ4と、RFICチップ4から出力されるIF信号をA/D変換した後、OFDM復調その他のデジタル信号処理を行い、トランスポートストリーム信号を出力するOFDMチップ5と、OFDMチップ5から出力されるトランスポートストリーム信号をMPEG復調し、その復調信号をディスプレイ7に送出するMPEGデコーダ6とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】は、本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタの回路構造例を示す図である。
【図2】は、本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタのシミュレーション結果を示す図である。
【図3】は、本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタのシミュレーション結果を示す図である。
【図4】は、本発明に係る受信チューナの概略構成例を示す図である。
【図5】は、1seg放送に特に関係する信号を周波数軸上に示す図である。
【図6】は、従来の帯域阻止型SAWフィルタの回路構造を示す図である。
【図7】は、SAWチップの回路構成例を示す図である。
【図8】は、SAWチップの他の回路構成例を示す図である。
【図9】は、SAW共振子の等価回路を示す図である。
【図10】は、従来の帯域阻止型SAWフィルタのシミュレーション結果を示す図である。
【図11】は、従来の帯域阻止型SAWフィルタの他の回路構造を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 SAWチップ
2 アンテナ
3 帯域阻止フィルタ
4 RFICチップ
5 OFDMチップ
6 MPEGデコーダ
7 ディスプレイ
8 1seg放送受信モジュール
K 磁界結合の結合係数
L1〜LN+2 インダクタンス成分
P1〜PN+2 端子
R1〜R8 SAW共振子
TIN 帯域阻止型SAWフィルタの入力端子
TOUT 帯域阻止型SAWフィルタの出力端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯域阻止フィルタに関し、特に帯域阻止型の圧電フィルタに関する。また、本発明は、帯域阻止フィルタを備えた受信チューナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1seg放送の普及が本格化しつつある。いわゆる1seg放送とは、日本における携帯端末(例えば携帯電話等)向け地上波デジタル放送サービスのことである。
【0003】
まず、1seg放送受信における帯域阻止フィルタの重要性について説明する。図5は、1seg放送受信に特に関係する信号を周波数軸上に図示したものである。1seg放送自体には、UHF帯の470〜770MHzの周波数帯域B1が割り当てられている。それに対し、隣接する825〜840MHzの周波数帯域B2は携帯電話サービスに割り当てられており、1seg放送受信にとっては妨害波として悪作用するので1seg放送を受信する際にはフィルタで除去する必要がある。図中のFCは、この1seg放送を受信する際に必要な帯域阻止フィルタのフィルタ特性を模式的に表したものである。しかしながら、かかる帯域阻止フィルタの設計は、広大な帯域幅(470〜770MHz)の所望波に非常に接近した妨害波(825MHz〜840MHz)が存在するという悪条件下での設計であり極めて難しく、大きな技術課題となっている。試行錯誤の末に、現在では、帯域阻止型の圧電フィルタを用いて妨害波(825MHz〜840MHz)を除去する方式が最良とされて定着しつつある。
【0004】
圧電フィルタは、圧電結晶を伝搬する弾性波を利用し、電気信号から弾性波への変換及びその逆変換を行うことによりフィルタリングを行うものであり、SAW(Surface Acoustic Wave:弾性表面波)フィルタとBAW(Bulk Acoustic Wave:弾性体積波)フィルタとに大別できる。ここでは、SAWフィルタを例に挙げて説明する。
【0005】
SAWフィルタは、既に広く普及した公知技術であり、非特許文献3をはじめ多数の文献において開示されている。ただし、実用化されているのは大半が帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ)であり、帯域阻止フィルタ(バンドリジェクションフィルタやノッチフィルタとも呼ばれる。)については、非特許文献1や非特許文献2などの少数の文献で断片的に開示されているに留まっている状況である。
【0006】
図6は、非特許文献1のFig.5と非特許文献2の第10頁及び第11頁で開示されている帯域阻止型SAWフィルタの回路構造を示している。図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、フィルタ本体であるSAWチップ1が、N+2個(Nは自然数)の端子P1〜PN+2を有している。端子P1は、フィルタ本体の入力端子であり、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1を介して、帯域阻止型SAWフィルタの入力端子TINに接続される。端子P2は、フィルタ本体の出力端子であり、インピーダンス整合用インダクタンス成分L2を介して、帯域阻止型SAWフィルタの出力端子TOUTに接続される。残りのN個の端子P3〜PN+2は、それぞれインピーダンス整合用インダクタンス成分L3〜LN+2を介してグランドに接続されている。非特許文献1のFig.5と非特許文献2の第10頁及び第11頁とはともに、Nが1の場合の回路図を開示している。ただし、非特許文献1のFig.5では、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2は省略されている。
【0007】
フィルタ本体であるSAWチップ1の内部構成については、自由度があり一意には定まらない。
【0008】
例えば、非特許文献1のFig.5では、図7に示す最も単純な回路構成が開示されている。図7に示す回路構成のSAWチップ1では、フィルタ本体の入力端子である端子P1とフィルタ本体の出力端子である端子P2の間に2つのSAW共振子R1及びR2が縦続接続され、端子P3がSAW共振子R1とSAW共振子R2との間にシャント接続される。
【0009】
また、例えば、非特許文献2の第10頁及び第11頁では、図8に示す複雑な回路構成が開示されている。図8に示す回路構成のSAWチップ1では、フィルタ本体の入力端子である端子P1とフィルタ本体の出力端子である端子P2の間に6つのSAW共振子R1〜R6が順次縦続接続され、端子P3がSAW共振子R3とSAW共振子R4との間にシャント接続され、SAW共振子R1とSAW共振子R2との間がSAW共振子R7の一端がシャント接続され、SAW共振子R7の他端がグランドに接続され、SAW共振子R5とSAW共振子R6との間にSAW共振子R8の一端がシャント接続され、SAW共振子R8の他端がグランドに接続される。
【0010】
SAWチップ1の内部構成についてはこの他にも様々な可能性があるが、1seg放送受信用の帯域阻止型SAWフィルタで現在実際に用いられているSAWチップとしては、図8に示すような複雑な構成が主流になりつつある。そのため、以下本明細書においては、図8に示す回路構成のSAWチップ1を例に挙げて説明を行う。
【0011】
SAW共振子R1〜R8は、非特許文献3中で櫛歯状電極やトランスデューサやIDT(Interdigital Transducer)と呼ばれているものであり、圧電結晶基板上に電極パターンで形成された高Qの2端子共振回路であり、その等価回路は図9のようになる。SAW共振子の等価回路では、インダクタンス成分Lsとキャパシタンス成分Csが直列共振回路を構成しており、その直列共振回路全体と並列にキャパシタンス成分Cpが接続されている。なお、以下本明細書で示すシミュレーション結果では、簡単のために、従来技術か本発明かにかかわらず、SAW共振子の等価回路は全て、フィルタ本体の入出力端子間に縦続接続されるSAW共振子R1〜R6についてはLs=180nH、Cs=0.2pF、Cp=5.5pFで、フィルタ本体の入出力端子間に縦続接続されるSAW共振子間にシャント接続されるSAW共振子R7及びR8については半分の共振子面積を想定してLs=360nH、Cs=0.1pF、Cp=2.75pFで統一している。
【0012】
図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタにおいて図8に示す回路構成のSAWチップ1を用いた場合のシミュレーション結果は、図10のS1に示すようになる。なお、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2はともに20nHとし、インピーダンス整合用インダクタンス成分L3は22nHとしている。図10のS1から明らかなように、図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタは、1seg放送に割り当てられているUHF帯の周波数帯域(470〜770MHz)B1の所望波を通過させつつ、携帯電話帯サービスに割り当てられている周波数帯域(825MHz〜840MHz)B2の妨害波を急峻に除去することができる。
【0013】
【非特許文献1】P.A.Lorenz and D.F.Thompson、 "WIDE BANDWIDTH LOW COST SAW NOTCH FILTERS"、[online]、RF Monolithics社アプリケーションノート、[平成19年5月11日検索]、インターネット<URL:http://www.rfm.com/support/apnetes/notch2.pdf>
【非特許文献2】B.Kearns et al.、"RF Filter Considerations for DBV-H"、 [online]、2006年6月30日、Colloquium on RF for DVB-H/DMB Mobile Broadcast: Handset and Infrastructure Challenges、[平成19年5月11日検索]、インターネット<URL:http://www.iee.org/oncomms/pn/rf/Kearns.pdf>
【非特許文献3】小西良弘、「通信用フィルタ回路の設計とその応用」、第1版、総合電子出版社、1994年2月1日、p.154−187
【特許文献1】特開2002−26605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、1seg放送受信用の帯域阻止型フィルタが除去しなければならない妨害波は、実際には周波数帯域(825MHz〜840MHz)B2の妨害波だけではない。中でも重要度が高いのが、2GHz帯、より詳細には1920〜1980MHzの周波数帯域B3(図5参照)である。この2GHz帯は、WCDMA式等の実際に多数普及している携帯電話のサービスに割り当てられている周波数帯域であるためである。
【0015】
図6の回路構造を基本として、そこに2GHz帯の強い除去機能を付加する方法としては、例えば図11に示す回路構造が実際に用いられている。図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、インピーダンス整合用インダクタンス成分L2と並列にキャパシタンス成分C1を設けて、インピーダンス整合用インダクタンス成分L2とキャパシタンス成分C1とによりちょうど2GHz帯で並列共振を起こさせている。図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタにおいて図8に示す回路構成のSAWチップ1を用いた場合のシミュレーション結果は、図10のS2に示すようになる。なお、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2はともに20nHとし、インピーダンス整合用インダクタンス成分L3は22nHとし、キャパシタンス成分C1は0.33pFとしている。図10のS2から明らかなように、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタにおいては、2GHz帯(1920MHz〜1980MHz)B3で新たに減衰極が発生し、この帯域の減衰量が大幅に改善する。
【0016】
しかしながら、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、2GHz帯の減衰量が改善した代償として、周辺部品数が増えてしまう問題があった。図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、最低3個のインピーダンス整合用インダクタンス成分L1〜LN+2のみだった周辺部品が、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタでは、最低3個のインピーダンス整合用インダクタンス成分L1〜LN+2に加えて1個のキャパシタンス成分C1が必要になってしまっている。これらインダクタンス成分やキャパシタンス成分は実際にはLTCC(Low Temperature Co‐fired Ceramics:低温焼成セラミック)によるチップ部品で形成されるのが一般的であり、上記のように周辺部品数が増えると占有面積とコストを増やす原因となる。
【0017】
なお、上述したように、SAWフィルタは圧電フィルタの一種であり、圧電フィルタは、圧電結晶表面を伝搬する弾性表面波を利用したSAWフィルタと、圧電結晶内部を伝搬する弾性体積波を利用したBAWフィルタとに大別できる。上記の問題点は、フィルタ本体に関するものではなく、フィルタ本体の周辺回路(整合回路)に関するものである。そのため、上記の問題点は、SAWフィルタのみならずBAWフィルタを含む圧電フィルタ一般に共通するものである。
【0018】
なお、特許文献1に開示されているフィルタは、バンドパスフィルタである非圧電フィルタであって、フィルタ特性の波形を劣化させることなく、減衰極の周波数を中心周波数に近づけることにより、フィルタ特性の急峻度を高めるフィルタであって、帯域阻止型の圧電フィルタにおける上記の問題点を解決するものではない。
【0019】
本発明は、上記の状況に鑑み、小型化を図ることができる複数の阻止帯域を有する帯域阻止フィルタ及びそれを備えた受信チューナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明に係る帯域阻止フィルタは、圧電結晶を伝搬する弾性波を利用してフィルタリングを行うフィルタ本体と、前記フィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分と、前記フィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分とを備え、前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分とが磁界結合されている構成とする。
【0021】
このような構成によると、フィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分とフィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分との磁界結合により、所定の周波数帯域で新たに減衰極が発生し、この帯域の減衰量が大幅に改善する。したがって、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタのように周辺部品数を増加させることなく、所定の周波数帯域の減衰量を改善することができるので、複数の阻止帯域を有するようにしても小型化を図ることができる。
【0022】
上記構成の本発明に係る帯域阻止フィルタにおいて、第3のインダクタンス成分を備え、前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外に1個の端子と、2個の圧電共振子とを有し、前記2個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、前記縦続接続された圧電共振子間に前記1個の端子がシャント接続され、前記1個の端子が前記第3のインダクタンス成分を介してグランドに接続される構成にしてもよく、前記第3のインダクタンス成分を備え、前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外に1個の端子と、少なくとも6個の圧電共振子とを有し、前記少なくとも6個の圧電共振子のうち少なくとも4個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうち1箇所に前記1個の端子がシャント接続され、前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうち2箇所以上に前記少なくとも6個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていない2個以上の圧電共振子の一端が各箇所で一つずつシャント接続され、前記少なくとも6個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていない2個以上の圧電共振子の他端がグランドに接続され、前記1個の端子が前記第3のインダクタンス成分を介してグランドに接続される構成にしてもよく、これら二つの構成を一般化した構成、すなわち、前記第1のインダクタンス成分及び前記第2のインダクタンス成分以外にN個(Nは自然数)のインダクタンス成分を備え、前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外にN個の端子と、少なくともN+1+M個(Mは正の整数)の圧電共振子とを有し、前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち少なくともN+1個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうちN箇所に前記N個の端子が各箇所で一つずつシャント接続され、前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうちM箇所に前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていないM個の圧電共振子の一端が各箇所で一つずつシャント接続され、前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていないM個の圧電共振子の他端がグランドに接続され、前記N個の端子がそれぞれ前記N個のインダクタンス成分を各端子で一つずつ介してグランドに接続される構成としてもよい。
【0023】
また、上記各構成の帯域阻止フィルタにおいて、第1の周波数帯域の信号及び前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数の信号の通過を阻止するフィルタとし、前記フィルタ本体により前記第1の周波数帯域の信号の通過が阻止され、前記第1インダクタンス成分と第2インダクタンス成分との磁界結合により前記第2の周波数帯域の信号の通過が阻止されるようにしてもよい。さらに、前記第1の周波数帯域を、携帯電話サービスに割り当てられている800〜900MHz付近の周波数帯とし、前記第2の周波数帯域を、他の携帯電話サービスに割り当てられている1.8〜2GHz付近の周波数帯としてもよい。
【0024】
また、上記目的を達成するために本発明に受信チューナは、上記いずれかの構成の帯域阻止フィルタを備える構成としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る帯域阻止フィルタ及びそれを備えた受信チューナによると、フィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分とフィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分との磁界結合により、所定の周波数帯域で新たに減衰極が発生し、この帯域の減衰量が大幅に改善するので、フィルタ本体に外付けされる周辺部品の数を増加させることなく、所定の周波数帯域の減衰量を改善することができる。これにより、複数の阻止帯域を有するようにしても小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタの回路構造例を図1に示す。なお、図1において図5と同一の部分には同一の符号を付す。
【0027】
図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタは、図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタとほぼ同じ構造であるが、フィルタ本体の入力端子である端子P1に接続されるインピーダンス整合用インダクタンス成分L1と、フィルタ本体の出力端子である端子P2に接続されるインピーダンス整合用インダクタンス成分L2とが意図的に接近して配置されて磁界結合を起こしている点で大きく異なる。
【0028】
図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタにおいても、図6に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタと同様に、フィルタ本体であるSAWチップ1が、N+2個(Nは自然数)の端子P1〜PN+2を有している。端子P1は、フィルタ本体の入力端子であり、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1を介して、帯域阻止型SAWフィルタの入力端子TINに接続される。端子P2は、フィルタ本体の出力端子であり、インピーダンス整合用インダクタンス成分L2を介して、帯域阻止型SAWフィルタの出力端子TOUTに接続される。残りのN個の端子P3〜PN+2は、それぞれインピーダンス整合用インダクタンス成分L3〜LN+2を介してグランドに接続されている。
【0029】
図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタにおいて図8に示す回路構成のSAWチップ1を用いた場合のシミュレーション結果は、図2に示すようになる。なお、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2はともに20nHとし、インピーダンス整合用インダクタンス成分L3は22nHとし、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2の磁界結合の結合係数Kは0.035としている。
【0030】
図2から明らかなように、図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタは、1seg放送に割り当てられているUHF帯の周波数帯域(470〜770MHz)B1の所望波を通過させつつ、携帯電話帯サービスに割り当てられている周波数帯域(825MHz〜840MHz)B2の妨害波を急峻に除去することができる。
【0031】
さらに、図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタにおいては、インピーダンス整合用インダクタンス成分L1及びL2の磁界結合により、2GHz帯(1920MHz〜1980MHz)B3で新たに減衰極が発生し、この帯域の減衰量が大幅に改善する(図2参照)。このように、図1に示す本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタは、図11に示す従来の帯域阻止型SAWフィルタのように周辺部品数を増加させることなく、2GHz帯の減衰量を改善することができるので、複数の阻止帯域を有するようにしても小型化を図ることができる。
【0032】
なお、上述した実施形態では帯域阻止型SAWフィルタを例に挙げて説明を行ったが、本発明の特徴部分はフィルタ本体ではなく、フィルタ本体の周辺回路(整合回路)である。そのため、本発明においては、SAWチップ1の内部構成に特に限定を加えるものではなく、様々な構成のSAWチップを用いることができる。例えば、図7のような単純な最小構成(N=1)でも良いし、図8のように多段化された構成(N=1)でも良いし、更にはもっと複雑な構成(N>1)でも良い。さらには、フィルタ本体がSAWチップでなくても良いので、本発明はSAWフィルタのみならずBAWフィルタを含む圧電フィルタ一般に適用することができる。
【0033】
また、本発明に係る帯域阻止フィルタは、1seg放送受信用に限定されるものではなく、帯域阻止型の圧電フィルタであれば、他の周波数帯用であっても構わない。本発明に係る帯域阻止フィルタでは、圧電結晶を伝搬する弾性波を利用してフィルタリングを行うフィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分と、前記フィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分とが磁界結合されることにより、LC並列共振回路が発生するため、新たな減衰極が発生する。前記LC並列共振回路のうちL成分は、前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分との磁界結合によって等価的に発生する。一方、前記LC並列共振回路のうちC成分は、前記フィルタ本体に設けられる直列の圧電共振子が等価回路的に有しているキャパシタンス成分(例えばSAW共振子の場合、図9中のCp)によって発生する。したがって、前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分との磁界結合を強くするほど、前記LC並列共振回路のL成分が大きくなって減衰極の周波数が下がるので(図3参照)、用途に応じた減衰極の周波数が得られるように前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分との磁界結合の結合係数を設定するとよい。
【0034】
最後に、本発明に係る受信チューナの概略構成例を図4に示す。本発明に係る受信チューナの一例である1seg放送受信モジュール8は、アンテナ2の出力信号から妨害信号を除去する本発明に係る帯域阻止フィルタ3と、帯域阻止フィルタ3から出力されるUHF帯域の高周波信号をIF信号に変換・増幅し、IF信号を出力するRFICチップ4と、RFICチップ4から出力されるIF信号をA/D変換した後、OFDM復調その他のデジタル信号処理を行い、トランスポートストリーム信号を出力するOFDMチップ5と、OFDMチップ5から出力されるトランスポートストリーム信号をMPEG復調し、その復調信号をディスプレイ7に送出するMPEGデコーダ6とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】は、本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタの回路構造例を示す図である。
【図2】は、本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタのシミュレーション結果を示す図である。
【図3】は、本発明に係る帯域阻止型SAWフィルタのシミュレーション結果を示す図である。
【図4】は、本発明に係る受信チューナの概略構成例を示す図である。
【図5】は、1seg放送に特に関係する信号を周波数軸上に示す図である。
【図6】は、従来の帯域阻止型SAWフィルタの回路構造を示す図である。
【図7】は、SAWチップの回路構成例を示す図である。
【図8】は、SAWチップの他の回路構成例を示す図である。
【図9】は、SAW共振子の等価回路を示す図である。
【図10】は、従来の帯域阻止型SAWフィルタのシミュレーション結果を示す図である。
【図11】は、従来の帯域阻止型SAWフィルタの他の回路構造を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 SAWチップ
2 アンテナ
3 帯域阻止フィルタ
4 RFICチップ
5 OFDMチップ
6 MPEGデコーダ
7 ディスプレイ
8 1seg放送受信モジュール
K 磁界結合の結合係数
L1〜LN+2 インダクタンス成分
P1〜PN+2 端子
R1〜R8 SAW共振子
TIN 帯域阻止型SAWフィルタの入力端子
TOUT 帯域阻止型SAWフィルタの出力端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電結晶を伝搬する弾性波を利用してフィルタリングを行うフィルタ本体と、
前記フィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分と、
前記フィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分とを備え、
前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分とが磁界結合されていることを特徴とする帯域阻止フィルタ。
【請求項2】
第3のインダクタンス成分を備え、
前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外に1個の端子と、2個の圧電共振子とを有し、
前記2個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間に前記1個の端子がシャント接続され、
前記1個の端子が前記第3のインダクタンス成分を介してグランドに接続される請求項1に記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項3】
前記第3のインダクタンス成分を備え、
前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外に1個の端子と、少なくとも6個の圧電共振子とを有し、
前記少なくとも6個の圧電共振子のうち少なくとも4個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうち1箇所に前記1個の端子がシャント接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうち2箇所以上に前記少なくとも6個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていない2個以上の圧電共振子の一端が各箇所で一つずつシャント接続され、
前記少なくとも6個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていない2個以上の圧電共振子の他端がグランドに接続され、
前記1個の端子が前記第3のインダクタンス成分を介してグランドに接続される請求項1に記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項4】
前記第1のインダクタンス成分及び前記第2のインダクタンス成分以外にN個(Nは自然数)のインダクタンス成分を備え、
前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外にN個の端子と、少なくともN+1+M個(Mは正の整数)の圧電共振子とを有し、
前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち少なくともN+1個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうちN箇所に前記N個の端子が各箇所で一つずつシャント接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうちM箇所に前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていないM個の圧電共振子の一端が各箇所で一つずつシャント接続され、
前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていないM個の圧電共振子の他端がグランドに接続され、
前記N個の端子がそれぞれ前記N個のインダクタンス成分を各端子で一つずつ介してグランドに接続される請求項1に記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項5】
第1の周波数帯域の信号及び前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数の信号の通過を阻止するフィルタであって、
前記フィルタ本体により前記第1の周波数帯域の信号の通過が阻止され、
前記第1インダクタンス成分と第2インダクタンス成分との磁界結合により前記第2の周波数帯域の信号の通過が阻止される請求項1〜4のいずれかに記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項6】
前記第1の周波数帯域が、携帯電話サービスに割り当てられている800〜900MHz付近の周波数帯であり、
前記第2の周波数帯域が、他の携帯電話サービスに割り当てられている1.8〜2GHz付近の周波数帯である請求項5に記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の帯域阻止フィルタを備えることを特徴とする受信チューナ。
【請求項1】
圧電結晶を伝搬する弾性波を利用してフィルタリングを行うフィルタ本体と、
前記フィルタ本体の入力端子に接続される第1のインダクタンス成分と、
前記フィルタ本体の出力端子に接続される第2のインダクタンス成分とを備え、
前記第1のインダクタンス成分と前記第2のインダクタンス成分とが磁界結合されていることを特徴とする帯域阻止フィルタ。
【請求項2】
第3のインダクタンス成分を備え、
前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外に1個の端子と、2個の圧電共振子とを有し、
前記2個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間に前記1個の端子がシャント接続され、
前記1個の端子が前記第3のインダクタンス成分を介してグランドに接続される請求項1に記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項3】
前記第3のインダクタンス成分を備え、
前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外に1個の端子と、少なくとも6個の圧電共振子とを有し、
前記少なくとも6個の圧電共振子のうち少なくとも4個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうち1箇所に前記1個の端子がシャント接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうち2箇所以上に前記少なくとも6個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていない2個以上の圧電共振子の一端が各箇所で一つずつシャント接続され、
前記少なくとも6個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていない2個以上の圧電共振子の他端がグランドに接続され、
前記1個の端子が前記第3のインダクタンス成分を介してグランドに接続される請求項1に記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項4】
前記第1のインダクタンス成分及び前記第2のインダクタンス成分以外にN個(Nは自然数)のインダクタンス成分を備え、
前記フィルタ本体が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子以外にN個の端子と、少なくともN+1+M個(Mは正の整数)の圧電共振子とを有し、
前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち少なくともN+1個の圧電共振子が、前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうちN箇所に前記N個の端子が各箇所で一つずつシャント接続され、
前記縦続接続された圧電共振子間の各接続のうちM箇所に前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていないM個の圧電共振子の一端が各箇所で一つずつシャント接続され、
前記少なくともN+1+M個の圧電共振子のうち前記フィルタ本体の入力端子及び前記フィルタ本体の出力端子の間で縦続接続されていないM個の圧電共振子の他端がグランドに接続され、
前記N個の端子がそれぞれ前記N個のインダクタンス成分を各端子で一つずつ介してグランドに接続される請求項1に記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項5】
第1の周波数帯域の信号及び前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数の信号の通過を阻止するフィルタであって、
前記フィルタ本体により前記第1の周波数帯域の信号の通過が阻止され、
前記第1インダクタンス成分と第2インダクタンス成分との磁界結合により前記第2の周波数帯域の信号の通過が阻止される請求項1〜4のいずれかに記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項6】
前記第1の周波数帯域が、携帯電話サービスに割り当てられている800〜900MHz付近の周波数帯であり、
前記第2の周波数帯域が、他の携帯電話サービスに割り当てられている1.8〜2GHz付近の周波数帯である請求項5に記載の帯域阻止フィルタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の帯域阻止フィルタを備えることを特徴とする受信チューナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−312146(P2008−312146A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160391(P2007−160391)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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