平行平板型ドライエッチング装置及びドライエッチング方法
【課題】平行平板型ドライエッチング装置において被処理基板上におけるプラズマ密度の分布特性を向上させること。
【解決手段】 このドライエッチング装置では、上部電極18の周囲で環状突出部材50が上部電極18に対して被処理基板Wを載置する下部電極20側へ突出して段差dを形成することで、上部電極18の周辺部付近において電界が補強され、プラズマ密度が高められる。この電界の補強ひいてはプラズマ密度の増強の度合いは、環状突出部材50の突出量dを変えることで可変調整できる。
【解決手段】 このドライエッチング装置では、上部電極18の周囲で環状突出部材50が上部電極18に対して被処理基板Wを載置する下部電極20側へ突出して段差dを形成することで、上部電極18の周辺部付近において電界が補強され、プラズマ密度が高められる。この電界の補強ひいてはプラズマ密度の増強の度合いは、環状突出部材50の突出量dを変えることで可変調整できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行平板型のドライエッチング装置およびドライエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平行平板型のドライエッチング装置は、基本的には、真空の処理容器(チャンバ)内に平行に相対向する一対の板状電極を設け、一方の電極をアース電位に接続し、他方の電極に高周波電圧を供給するとともに、所定のエッチングガスを流し込んで、両電極間に該エッチングガスのプラズマを発生させ、このプラズマ中のラジカル、イオンまたは電子を用いて片側の電極上に配置されている被処理基板表面の被加工物(被エッチング物質)をエッチングするようになっている。
【0003】
一般に、被処理基板をアース側の電極上に配置する陽極結合配置型では、主としてプラズマ中のラジカルと被エッチング物質との化学反応による化学的エッチングが主体となる。一方、被処理基板を高周波入力側の電極上に配置する陰極結合配置型では、プラズマ中のイオンが被処理基板表面に垂直に引っ張り込まれて被エッチング物質と化学反応する物理的かつ化学的エッチング(反応性イオンエッチング)が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−171224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来より、この種のドライエッチング装置では、エッチング加工特性に影響するプラズマ密度をエッチングガスの圧力や高周波電力等によって可変制御できるものの、被処理基板上におけるプラズマ密度の空間的な(特に径方向での)均一化が課題となっている。つまり、被処理基板の中心部に対して周辺部の方でプラズマ密度が低くなりやすく、このため被処理基板上でエッチング加工特性が不均一になってしまうという問題(改善すべき点)がある。
【0006】
この問題に対しては、電極の径を大きくして、プラズマ密度が低下する電極周辺部を被処理基板の周辺部よりも径方向外側に遠ざける設計が1つの解決策ではある。しかしながら、最近は被処理基板のサイズが増大しており、電極サイズをさらに格段に大きくすることは、それによって派生する不都合(冷却機構等の大型化・煩雑化や電力消費量の増大等)が大きすぎて、効果的または実用的な解決法とはいえなくなっている。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、被処理基板上におけるプラズマ密度の分布特性を向上させ、さらには電極サイズの増大を要することなく被処理基板上におけるプラズマ密度の均一化を実現する平行平板型のドライエッチング装置およびドライエッチング方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の平行平板型ドライエッチング装置は、真空可能な処理容器に相対向する第1および第2の電極を設け、前記第1および第2の電極間に高周波電圧を印加するとともにエッチング用のガスを流し込んでプラズマを発生させ、前記プラズマを用いて前記第2の電極上に配置された被処理基板をエッチングする平行平板型のドライエッチング装置において、前記被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御するために前記第1の電極に対して前記第2の電極側に突出して段差を形成する電界強度補正用の突出部を前記第1の電極の周辺部付近に設け、前記電界強度補正用突出部の突出量を可変調整するための突出量調整手段を有する。
【0009】
本発明の平行平板型ドライエッチング方法は、真空可能な処理容器内で相対向する第1および第2の電極間に高周波電圧を印加するとともにエッチングガスを流し込んで前記エッチングガスのプラズマを生成し、前記プラズマを用いて前記第2の電極上に配置された被処理基板をエッチングする平行平板型のドライエッチング方法であって、前記第1の電極に対して前記第2の電極側に突出して段差を形成する電界強度補正用の突出部を前記第1の電極の周辺部付近に設け、前記電界強度補正用突出部の突出量を調整して、前記被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御する。
【0010】
本発明の平行平板型ドライエッチング装置またはドライエッチング方法においては、第1の電極および電界強度補正用突出部に沿うプラズマのイオンシースにおいて、段差のエッジ付近では電極に平行な横方向の電界と電極に垂直な方向の電界とをベクトル的に足し合わせた大きな(補強された)電界が生成され、この補強電界によってプラズマ中の電子の運動エネルギーが強められ、プラズマの密度が高められる。このプラズマ密度に作用する補強電界は、突出部の突出量または段差が大きくなるほど増大する。したがって、突出量調整手段により電界強度補正用突出部の突出量を調整することにより、電極周辺部における電界補強の度合いを調整して、被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御することが可能であり、プラズマ密度を均一化することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明における平行平板型のドライエッチング装置またはドライエッチング方法によれば、上記のような構成および作用により、被処理基板上におけるプラズマ密度の分布特性を向上させ、さらには電極サイズの増大を要することなく被処理基板上におけるプラズマ密度の均一化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態による平行平板型ドライエッチング装置の構成を示す略縦断面図である。
【図2】上記ドライエッチング装置における環状突出部材の作用を説明するための図である。
【図3】第2の実施形態による平行平板型ドライエッチング装置の構成を示す略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0014】
図1に、本発明の第1の実施形態における平行平板型ドライエッチング装置の構成を示す。
【0015】
このドライエッチング装置の処理容器10は、たとえばアルミニウムからなる両端の閉塞した円筒状の真空チャンバとして構成されている。処理容器10の側壁には、被処理基板たとえば半導体ウエハWを容器10内に搬入・搬出する際に開くゲートバルブ12が設けられている。処理容器10の上面にはエッチングガス導入用のガス供給管14が接続され、容器10の底には真空排気用の排気管16が接続されている。ガス供給管14はエッチングガス供給源(図示せず)に通じ、排気管16は真空ポンプ(図示せず)に通じている。
【0016】
処理容器10内では、中央部に上部電極18と下部電極20とが一定の間隔を置いて互いに平行に配置され、下部電極20上に半導体ウエハWが配置される。両電極18,20は、半導体ウエハWよりも幾らか大きいサイズ(径)に選ばれている。
【0017】
下部電極20は、導電性の部材たとえばアルミニウムからなる円板体で、電気的にはアース電位に接続され、物理的には容器底面の中央部に設置された熱伝導率の高い部材たとえばアルミニウムからなる円柱形の支持台22の上に絶縁材(図示せず)を介して固定されている。支持台22の内部には、たとえば円周方向に延在する環状の冷媒通路22aが設けられている。この冷媒通路22aには、装置外部に設けられている冷却装置(図示せず)より冷媒供給管24,26を介して所定温度の冷媒たとえば冷却水が供給される。
【0018】
下部電極20の上面には円形の静電チャックシート28が冠着され、この静電チャックシート28の上に半導体ウエハWが載置される。この静電チャックシート28は、たとえば一対のポリイミド樹脂フィルムを重ね合わせてその中に半導体ウエハWを静電力で吸着するためのたとえば銅箔からなる薄い導電膜28aを封入してなるものである。この導電膜(静電吸着用電極)28aには、下部電極20、支持台22および容器底面を貫通する給電棒30を介して直流電源32より静電吸着用の所定の直流電圧が給電される。この直流電圧給電回路に含まれるコイル34およびコンデンサ36は、高周波ノイズを除去するためのフィルタを構成する。
【0019】
上部電極18は、導電性の部材たとえばアルミニウムからなる円板体で、処理容器10の上面より下方に延在する円筒状の支持部40と外周側面を面一にしてその下面にボルト等(図示せず)によって水平に固定取付されている。上部電極18には、高周波電源42より所定のパワー(電力)でたとえば13.56MHzの高周波電圧がコンデンサ44を介して印加される。上部電極18には多数の通気孔18aが形成されており、その上にガス導入室46が形成されている。ガス供給管14からのエッチングガスは、このガス導入室46に導入され、上部電極18の通気孔18aを通って均一な圧力・流量で両電極18,20間のプラズマ放電空間に流れ込むようになっている。
【0020】
このドライエッチング装置は、上部電極18および円筒状支持部40の外周側面に密着または接触しつつ、下部電極20の外周端側に向って上部電極18よりも所定の範囲内で任意の段差dに突出可能に構成された電界強度補正用の環状突出部材50を備えている。この環状突出部材50は、導電性の材質でよいのはもちろんであるが、絶縁性の材質であってもよい。もっとも、本実施形態では、上部電極18側に高周波電圧を供給する陽極結合配置型としているため、自己バイアスまたはスパッタ効果によりプラズマ中の反応性イオンが上部電極18だけでなく環状突出部材50にも相当の衝撃で入射するため、そのようなスパッタ効果に適応できる材質が好ましい。
【0021】
環状突出部材50には周回方向に所定の間隔を置いて複数の貫通孔50aが形成されており、環状突出部材50の下面側に頭部を向けてボルト52が各貫通孔50aに垂直方向に貫通している。そして、ボルト52の軸部は、容器10の天井面を昇降可能に貫通し、容器10の外(上面)でナット54に螺合している。ナット54に付くワッシャ部材56はシール機能を有するものであってよい。かかる構成により、ナット54を回すことで、環状突出部材50を垂直方向で変位させ、上部電極18に対する突出量(段差)dを調節することができる。
【0022】
このドライエッチング装置において、半導体ウエハW表面の被エッチング物質がたとえばSiO2膜である場合には、エッチングガスとしてたとえばCF4とArの混合ガスがガス供給管14よりガス導入室46を介して両電極18,20間のプラズマ放電空間に送り込まれる。そうすると、プラズマ雰囲気中に送り込まれたエッチングガス(CF4/Ar)からフッ素活性種F*および反応性イオンCF4+,Ar+が生成され、これらの活性種および反応性イオンが下部電極20上の半導体ウエハWに降下または入射することで、ウエハW表面の酸化膜(SiO2)がエッチングされる。
【0023】
この実施形態では、環状突出部材50の働きにより、プラズマ放電空間に対する上部電極18側からの電界を半導体ウエハWの径方向で一様な強度に矯正または補正し、それによって同方向におけるプラズマ密度またはプラズマ中の分解生成物の濃度を均一化できるため、半導体ウエハW上で面内均一のエッチング加工特性を得ることができる。
【0024】
図2につき、環状突出部材50の作用を説明する。両電極18,20間のプラズマ放電領域で発生するプラズマPRは、両電極18,20間の空間に留まらずにその周囲(半径方向外側)にも拡散する。プラズマPRと付近の物体との境界にはイオンシースSHが形成される。ここで、イオンシースSHは、電子の速度が陽イオンの速度よりも格段に大きいために存在する電界空間であり、プラズマPRと隣接物体との間の電圧または電位変化はすべてこのシース内で生ずる。上部電極18に沿うイオンシースSH内では、プラズマPR側から電極18に向かって垂直方向(y方向)の電界Eyが生ずる。
【0025】
上記のように両電極18,20間で発生したプラズマPRは周囲(半径方向外側)に拡散するため、電極中心部よりも電極周辺部の方でプラズマ密度が低くなりやすい。したがって、上部電極18に沿うイオンシースSH内では、必然的に、電極中心部から半径方向に遠ざかるほど電界Eyの強度が低下する。しかし、この実施形態のドライエッチング装置では、以下のような環状突出部材50の作用により、上部電極18の周辺部付近でイオンシースSH内の電界を補強し、半導体ウエハW上で面内(径方向)均一のプラズマ密度を得ることができる。
【0026】
より詳細には、上部電極18の周囲で環状突出部材50が上部電極18よりも下部電極20側へ突出して段差を形成することで、この段差の内側または内周面50aに沿うイオンシースSH内で電極18と平行な横方向(x方向)の電界Exが生じる。そして、環状突出部材50の段差エッジ部50c付近のイオンシースSHにおいては、相直交する段差垂直面50a側の横方向の電界Exと段差水平面50b側の垂直方向の電界Eyとをベクトル的に足し合わせた内向き斜め方向(ウエハ中心部向きの方向)の大きな(補強された)電界Esが生じる。この補強電界Esにより、環状突出部材50の段差エッジ部(角部)50c付近では、電子に与えられる加速ないし運動エネルギーが補強され、プラズマ励起が強まり、プラズマ密度が増大する。上記のような上部電極18の周辺部付近における電界強度の補強ひいてはプラズマ密度の増強は、環状突出部材50の突出量dを変えることで可変調整することができる。
【0027】
つまり、突出量dを大きくするほど、段差垂直面50aに沿う横方向の電界Ex発生領域が拡張して補強電界Esも増大するとともに、段差エッジ部50cが下部電極20ないし半導体ウエハWの周辺部側に近づくため、プラズマ密度を増強する度合いが増大する。
【0028】
逆に、突出量dを小さくするほど、段差垂直面50aに沿う横方向の電界Ex発生領域が縮小して補強電界Esが減少するとともに、段差エッジ部50cが下部電極20ないし半導体ウエハWの周辺部から遠ざかるため、プラズマ密度を増強する度合いが低下する。環状突出部材50が無い場合の上部電極18周辺部における垂直方向の電界Eyよりも大きな補強電界Esを得るための条件として、突出量dは少なくとも上部電極18に沿うイオンシースSHの幅(厚み)fよりも大きいことが必要である。
【0029】
上記のように、この実施形態のドライエッチング装置では、上部電極18の外周に下部電極20側に向って突出可能な環状突出部材50を設け、この環状突出部材50の突出量または段差dを可変調整できる構成により、上部電極18の周辺部付近の電界強度を適度に補強して、両電極18,20間で生成するプラズマPRの密度を半導体ウエハWの径方向で均一化し、ひいては半導体ウエハW上で面内均一のエッチング加工特性を得ることができる。
【0030】
図3に、第2の実施形態による平行平板型ドライエッチング装置の構成を示す。
【0031】
この第2の実施形態では、環状突出部材60を処理容器10に固定取付し、上部電極18の方を環状突出部材60に対して後退させ、その後退量または段差gを可変調整できる構成としている。
【0032】
より詳細には、処理容器10の天井面に形成した円形開口10aの中に円筒状の環状突出部材60を垂直下方に垂れ下がるように配置して、環状突出部材60の上端部から半径方向外側に延びるフランジ部60aを円形開口10aの外周囲の処理容器10の上面にOリング64を介して載せてボルト66で固定取付する。そして、環状突出部材60とほぼ同形で一回り小さい円筒状支持部材68の下面に上部電極18をボルト等(図示せず)により固定取付し、円筒状支持部材68のフランジ部68aを環状突出部材60のフランジ部60aの上に1枚または複数枚の環状スペーサ板またはシート70を介して重ね、ボルト72で着脱可能に固定取付する構成としている。かかる構成においては、環状スペーサ板70の重ね枚数を変えることで、上部電極18に対して相対的に環状突出部材60の突出する量(段差)gを任意に調節することができる。
【0033】
この第2の実施形態の構成においても、上部電極18の周辺部付近の電界強度を適度に補強して、両電極18,20間で生成するプラズマPRの密度を半導体ウエハWの径方向で均一化し、ひいては半導体ウエハW上で面内均一のエッチング加工特性を得ることができる。もっとも、環状突出部材60の突出量(段差)gを調節するに際して、両電極18,20間の距離間隔が変化し、それによってエッチング加工特性たとえばエッチング速度が変化することもある。しかし、この種の変化分は半導体ウエハW上で面内均一であるから、エッチングガスのガス圧、処理容器10内の真空度、高周波電源42からの供給電力等を調節することで、容易に補正することができる。
【0034】
本発明における被処理基板は、半導体ウエハに限るものではなく、たとえばLCD(液晶表示)基板等であってもよく、ドライエッチング加工の対象となり得る任意の基板が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 処理容器
14 ガス供給管
16 排気管
18,18 上部電極
20 下部電極
40 支持部
42 高周波電源
50 環状突出部材
52 ボルト
54 ナット
60 環状突出部材
68 支持部材
70 環状スペーサ板
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行平板型のドライエッチング装置およびドライエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平行平板型のドライエッチング装置は、基本的には、真空の処理容器(チャンバ)内に平行に相対向する一対の板状電極を設け、一方の電極をアース電位に接続し、他方の電極に高周波電圧を供給するとともに、所定のエッチングガスを流し込んで、両電極間に該エッチングガスのプラズマを発生させ、このプラズマ中のラジカル、イオンまたは電子を用いて片側の電極上に配置されている被処理基板表面の被加工物(被エッチング物質)をエッチングするようになっている。
【0003】
一般に、被処理基板をアース側の電極上に配置する陽極結合配置型では、主としてプラズマ中のラジカルと被エッチング物質との化学反応による化学的エッチングが主体となる。一方、被処理基板を高周波入力側の電極上に配置する陰極結合配置型では、プラズマ中のイオンが被処理基板表面に垂直に引っ張り込まれて被エッチング物質と化学反応する物理的かつ化学的エッチング(反応性イオンエッチング)が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−171224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来より、この種のドライエッチング装置では、エッチング加工特性に影響するプラズマ密度をエッチングガスの圧力や高周波電力等によって可変制御できるものの、被処理基板上におけるプラズマ密度の空間的な(特に径方向での)均一化が課題となっている。つまり、被処理基板の中心部に対して周辺部の方でプラズマ密度が低くなりやすく、このため被処理基板上でエッチング加工特性が不均一になってしまうという問題(改善すべき点)がある。
【0006】
この問題に対しては、電極の径を大きくして、プラズマ密度が低下する電極周辺部を被処理基板の周辺部よりも径方向外側に遠ざける設計が1つの解決策ではある。しかしながら、最近は被処理基板のサイズが増大しており、電極サイズをさらに格段に大きくすることは、それによって派生する不都合(冷却機構等の大型化・煩雑化や電力消費量の増大等)が大きすぎて、効果的または実用的な解決法とはいえなくなっている。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、被処理基板上におけるプラズマ密度の分布特性を向上させ、さらには電極サイズの増大を要することなく被処理基板上におけるプラズマ密度の均一化を実現する平行平板型のドライエッチング装置およびドライエッチング方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の平行平板型ドライエッチング装置は、真空可能な処理容器に相対向する第1および第2の電極を設け、前記第1および第2の電極間に高周波電圧を印加するとともにエッチング用のガスを流し込んでプラズマを発生させ、前記プラズマを用いて前記第2の電極上に配置された被処理基板をエッチングする平行平板型のドライエッチング装置において、前記被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御するために前記第1の電極に対して前記第2の電極側に突出して段差を形成する電界強度補正用の突出部を前記第1の電極の周辺部付近に設け、前記電界強度補正用突出部の突出量を可変調整するための突出量調整手段を有する。
【0009】
本発明の平行平板型ドライエッチング方法は、真空可能な処理容器内で相対向する第1および第2の電極間に高周波電圧を印加するとともにエッチングガスを流し込んで前記エッチングガスのプラズマを生成し、前記プラズマを用いて前記第2の電極上に配置された被処理基板をエッチングする平行平板型のドライエッチング方法であって、前記第1の電極に対して前記第2の電極側に突出して段差を形成する電界強度補正用の突出部を前記第1の電極の周辺部付近に設け、前記電界強度補正用突出部の突出量を調整して、前記被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御する。
【0010】
本発明の平行平板型ドライエッチング装置またはドライエッチング方法においては、第1の電極および電界強度補正用突出部に沿うプラズマのイオンシースにおいて、段差のエッジ付近では電極に平行な横方向の電界と電極に垂直な方向の電界とをベクトル的に足し合わせた大きな(補強された)電界が生成され、この補強電界によってプラズマ中の電子の運動エネルギーが強められ、プラズマの密度が高められる。このプラズマ密度に作用する補強電界は、突出部の突出量または段差が大きくなるほど増大する。したがって、突出量調整手段により電界強度補正用突出部の突出量を調整することにより、電極周辺部における電界補強の度合いを調整して、被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御することが可能であり、プラズマ密度を均一化することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明における平行平板型のドライエッチング装置またはドライエッチング方法によれば、上記のような構成および作用により、被処理基板上におけるプラズマ密度の分布特性を向上させ、さらには電極サイズの増大を要することなく被処理基板上におけるプラズマ密度の均一化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態による平行平板型ドライエッチング装置の構成を示す略縦断面図である。
【図2】上記ドライエッチング装置における環状突出部材の作用を説明するための図である。
【図3】第2の実施形態による平行平板型ドライエッチング装置の構成を示す略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0014】
図1に、本発明の第1の実施形態における平行平板型ドライエッチング装置の構成を示す。
【0015】
このドライエッチング装置の処理容器10は、たとえばアルミニウムからなる両端の閉塞した円筒状の真空チャンバとして構成されている。処理容器10の側壁には、被処理基板たとえば半導体ウエハWを容器10内に搬入・搬出する際に開くゲートバルブ12が設けられている。処理容器10の上面にはエッチングガス導入用のガス供給管14が接続され、容器10の底には真空排気用の排気管16が接続されている。ガス供給管14はエッチングガス供給源(図示せず)に通じ、排気管16は真空ポンプ(図示せず)に通じている。
【0016】
処理容器10内では、中央部に上部電極18と下部電極20とが一定の間隔を置いて互いに平行に配置され、下部電極20上に半導体ウエハWが配置される。両電極18,20は、半導体ウエハWよりも幾らか大きいサイズ(径)に選ばれている。
【0017】
下部電極20は、導電性の部材たとえばアルミニウムからなる円板体で、電気的にはアース電位に接続され、物理的には容器底面の中央部に設置された熱伝導率の高い部材たとえばアルミニウムからなる円柱形の支持台22の上に絶縁材(図示せず)を介して固定されている。支持台22の内部には、たとえば円周方向に延在する環状の冷媒通路22aが設けられている。この冷媒通路22aには、装置外部に設けられている冷却装置(図示せず)より冷媒供給管24,26を介して所定温度の冷媒たとえば冷却水が供給される。
【0018】
下部電極20の上面には円形の静電チャックシート28が冠着され、この静電チャックシート28の上に半導体ウエハWが載置される。この静電チャックシート28は、たとえば一対のポリイミド樹脂フィルムを重ね合わせてその中に半導体ウエハWを静電力で吸着するためのたとえば銅箔からなる薄い導電膜28aを封入してなるものである。この導電膜(静電吸着用電極)28aには、下部電極20、支持台22および容器底面を貫通する給電棒30を介して直流電源32より静電吸着用の所定の直流電圧が給電される。この直流電圧給電回路に含まれるコイル34およびコンデンサ36は、高周波ノイズを除去するためのフィルタを構成する。
【0019】
上部電極18は、導電性の部材たとえばアルミニウムからなる円板体で、処理容器10の上面より下方に延在する円筒状の支持部40と外周側面を面一にしてその下面にボルト等(図示せず)によって水平に固定取付されている。上部電極18には、高周波電源42より所定のパワー(電力)でたとえば13.56MHzの高周波電圧がコンデンサ44を介して印加される。上部電極18には多数の通気孔18aが形成されており、その上にガス導入室46が形成されている。ガス供給管14からのエッチングガスは、このガス導入室46に導入され、上部電極18の通気孔18aを通って均一な圧力・流量で両電極18,20間のプラズマ放電空間に流れ込むようになっている。
【0020】
このドライエッチング装置は、上部電極18および円筒状支持部40の外周側面に密着または接触しつつ、下部電極20の外周端側に向って上部電極18よりも所定の範囲内で任意の段差dに突出可能に構成された電界強度補正用の環状突出部材50を備えている。この環状突出部材50は、導電性の材質でよいのはもちろんであるが、絶縁性の材質であってもよい。もっとも、本実施形態では、上部電極18側に高周波電圧を供給する陽極結合配置型としているため、自己バイアスまたはスパッタ効果によりプラズマ中の反応性イオンが上部電極18だけでなく環状突出部材50にも相当の衝撃で入射するため、そのようなスパッタ効果に適応できる材質が好ましい。
【0021】
環状突出部材50には周回方向に所定の間隔を置いて複数の貫通孔50aが形成されており、環状突出部材50の下面側に頭部を向けてボルト52が各貫通孔50aに垂直方向に貫通している。そして、ボルト52の軸部は、容器10の天井面を昇降可能に貫通し、容器10の外(上面)でナット54に螺合している。ナット54に付くワッシャ部材56はシール機能を有するものであってよい。かかる構成により、ナット54を回すことで、環状突出部材50を垂直方向で変位させ、上部電極18に対する突出量(段差)dを調節することができる。
【0022】
このドライエッチング装置において、半導体ウエハW表面の被エッチング物質がたとえばSiO2膜である場合には、エッチングガスとしてたとえばCF4とArの混合ガスがガス供給管14よりガス導入室46を介して両電極18,20間のプラズマ放電空間に送り込まれる。そうすると、プラズマ雰囲気中に送り込まれたエッチングガス(CF4/Ar)からフッ素活性種F*および反応性イオンCF4+,Ar+が生成され、これらの活性種および反応性イオンが下部電極20上の半導体ウエハWに降下または入射することで、ウエハW表面の酸化膜(SiO2)がエッチングされる。
【0023】
この実施形態では、環状突出部材50の働きにより、プラズマ放電空間に対する上部電極18側からの電界を半導体ウエハWの径方向で一様な強度に矯正または補正し、それによって同方向におけるプラズマ密度またはプラズマ中の分解生成物の濃度を均一化できるため、半導体ウエハW上で面内均一のエッチング加工特性を得ることができる。
【0024】
図2につき、環状突出部材50の作用を説明する。両電極18,20間のプラズマ放電領域で発生するプラズマPRは、両電極18,20間の空間に留まらずにその周囲(半径方向外側)にも拡散する。プラズマPRと付近の物体との境界にはイオンシースSHが形成される。ここで、イオンシースSHは、電子の速度が陽イオンの速度よりも格段に大きいために存在する電界空間であり、プラズマPRと隣接物体との間の電圧または電位変化はすべてこのシース内で生ずる。上部電極18に沿うイオンシースSH内では、プラズマPR側から電極18に向かって垂直方向(y方向)の電界Eyが生ずる。
【0025】
上記のように両電極18,20間で発生したプラズマPRは周囲(半径方向外側)に拡散するため、電極中心部よりも電極周辺部の方でプラズマ密度が低くなりやすい。したがって、上部電極18に沿うイオンシースSH内では、必然的に、電極中心部から半径方向に遠ざかるほど電界Eyの強度が低下する。しかし、この実施形態のドライエッチング装置では、以下のような環状突出部材50の作用により、上部電極18の周辺部付近でイオンシースSH内の電界を補強し、半導体ウエハW上で面内(径方向)均一のプラズマ密度を得ることができる。
【0026】
より詳細には、上部電極18の周囲で環状突出部材50が上部電極18よりも下部電極20側へ突出して段差を形成することで、この段差の内側または内周面50aに沿うイオンシースSH内で電極18と平行な横方向(x方向)の電界Exが生じる。そして、環状突出部材50の段差エッジ部50c付近のイオンシースSHにおいては、相直交する段差垂直面50a側の横方向の電界Exと段差水平面50b側の垂直方向の電界Eyとをベクトル的に足し合わせた内向き斜め方向(ウエハ中心部向きの方向)の大きな(補強された)電界Esが生じる。この補強電界Esにより、環状突出部材50の段差エッジ部(角部)50c付近では、電子に与えられる加速ないし運動エネルギーが補強され、プラズマ励起が強まり、プラズマ密度が増大する。上記のような上部電極18の周辺部付近における電界強度の補強ひいてはプラズマ密度の増強は、環状突出部材50の突出量dを変えることで可変調整することができる。
【0027】
つまり、突出量dを大きくするほど、段差垂直面50aに沿う横方向の電界Ex発生領域が拡張して補強電界Esも増大するとともに、段差エッジ部50cが下部電極20ないし半導体ウエハWの周辺部側に近づくため、プラズマ密度を増強する度合いが増大する。
【0028】
逆に、突出量dを小さくするほど、段差垂直面50aに沿う横方向の電界Ex発生領域が縮小して補強電界Esが減少するとともに、段差エッジ部50cが下部電極20ないし半導体ウエハWの周辺部から遠ざかるため、プラズマ密度を増強する度合いが低下する。環状突出部材50が無い場合の上部電極18周辺部における垂直方向の電界Eyよりも大きな補強電界Esを得るための条件として、突出量dは少なくとも上部電極18に沿うイオンシースSHの幅(厚み)fよりも大きいことが必要である。
【0029】
上記のように、この実施形態のドライエッチング装置では、上部電極18の外周に下部電極20側に向って突出可能な環状突出部材50を設け、この環状突出部材50の突出量または段差dを可変調整できる構成により、上部電極18の周辺部付近の電界強度を適度に補強して、両電極18,20間で生成するプラズマPRの密度を半導体ウエハWの径方向で均一化し、ひいては半導体ウエハW上で面内均一のエッチング加工特性を得ることができる。
【0030】
図3に、第2の実施形態による平行平板型ドライエッチング装置の構成を示す。
【0031】
この第2の実施形態では、環状突出部材60を処理容器10に固定取付し、上部電極18の方を環状突出部材60に対して後退させ、その後退量または段差gを可変調整できる構成としている。
【0032】
より詳細には、処理容器10の天井面に形成した円形開口10aの中に円筒状の環状突出部材60を垂直下方に垂れ下がるように配置して、環状突出部材60の上端部から半径方向外側に延びるフランジ部60aを円形開口10aの外周囲の処理容器10の上面にOリング64を介して載せてボルト66で固定取付する。そして、環状突出部材60とほぼ同形で一回り小さい円筒状支持部材68の下面に上部電極18をボルト等(図示せず)により固定取付し、円筒状支持部材68のフランジ部68aを環状突出部材60のフランジ部60aの上に1枚または複数枚の環状スペーサ板またはシート70を介して重ね、ボルト72で着脱可能に固定取付する構成としている。かかる構成においては、環状スペーサ板70の重ね枚数を変えることで、上部電極18に対して相対的に環状突出部材60の突出する量(段差)gを任意に調節することができる。
【0033】
この第2の実施形態の構成においても、上部電極18の周辺部付近の電界強度を適度に補強して、両電極18,20間で生成するプラズマPRの密度を半導体ウエハWの径方向で均一化し、ひいては半導体ウエハW上で面内均一のエッチング加工特性を得ることができる。もっとも、環状突出部材60の突出量(段差)gを調節するに際して、両電極18,20間の距離間隔が変化し、それによってエッチング加工特性たとえばエッチング速度が変化することもある。しかし、この種の変化分は半導体ウエハW上で面内均一であるから、エッチングガスのガス圧、処理容器10内の真空度、高周波電源42からの供給電力等を調節することで、容易に補正することができる。
【0034】
本発明における被処理基板は、半導体ウエハに限るものではなく、たとえばLCD(液晶表示)基板等であってもよく、ドライエッチング加工の対象となり得る任意の基板が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 処理容器
14 ガス供給管
16 排気管
18,18 上部電極
20 下部電極
40 支持部
42 高周波電源
50 環状突出部材
52 ボルト
54 ナット
60 環状突出部材
68 支持部材
70 環状スペーサ板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空可能な処理容器に相対向する第1および第2の電極を設け、前記第1および第2の電極間に高周波電圧を印加するとともにエッチングガスを流し込んで前記エッチングガスのプラズマを生成し、前記プラズマを用いて前記第2の電極上に配置された被処理基板をエッチングする平行平板型のドライエッチング装置であって、
前記被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御するために、前記第1の電極に対して前記第2の電極側に突出して段差を形成する電界強度補正用の突出部を前記第1の電極の周辺部付近に設け、前記電界強度補正用突出部の突出量を可変調整するための突出量調整手段を有する平行平板型ドライエッチング装置。
【請求項2】
前記電界強度補正用突出部は、前記第1の電極の周囲で所定範囲内の任意の段差に突出可能に構成された環状突出部材を有し、
前記突出量調整手段は、前記環状突出部材の下面に頭部を向けて、その軸部が前記環状突出部材に周回方向に所定の間隔を置いて形成された複数の貫通孔および前記処理容器の上面を垂直方向に昇降可能に貫通する複数のボルトと、前記処理容器の外で前記複数のボルトの軸部にそれぞれ螺合する複数のナットとを有し、
前記ナットを回すことにより、前記環状突出部材を垂直方向で変位させて、前記第1の電極に対する突出量を調節する、
請求項1に記載の平行平板型ドライエッチング装置。
【請求項3】
前記電界強度補正用突出部は、前記処理容器の上面に形成された開口の内側で垂直下方に垂れ下がるように配置され、その上端部から半径方向外側に延びるフランジ部が前記開口の周囲で前記処理容器の上面に固定取付される環状突出部材を有し、
前記突出量調整手段は、前記環状突出部材の内側に配置され、その下面には前記第1の電極が取り付けられ、その上端部から半径方向外側に延びるフランジ部が前記環状突出部材のフランジ部の上に重なる円筒状支持部材と、前記円筒状支持部材のフランジ部と前記環状突出部材のフランジ部との間に挿入される1枚または複数枚の環状スペーサ板と、前記円筒状支持部材のフランジ部および前記環状スペーサ板を前記環状突出部材のフランジ部に着脱可能に固定するためのボルトとを有し、
前記環状スペーサ板の枚数を変えることにより、前記第1の電極に対する前記環状突出部材の相対的な突出量を調節する、
請求項1に記載の平行平板型ドライエッチング装置。
【請求項4】
前記第1の電極に、前記第1の電極と前記第2の電極との間のプラズマ放電空間に前記エッチングガスを流し込むための多数の通気孔を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の平行平板型ドライエッチング装置。
【請求項5】
真空可能な処理容器内で相対向する第1および第2の電極間に高周波電圧を印加するとともにエッチングガスを流し込んで前記エッチングガスのプラズマを生成し、前記プラズマを用いて前記第2の電極上に配置された被処理基板をエッチングする平行平板型のドライエッチング方法であって、
前記第1の電極に対して前記第2の電極側に突出して段差を形成する電界強度補正用の突出部を前記第1の電極の周辺部付近に設け、前記電界強度補正用突出部の突出量を調整して、前記被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御するドライエッチング方法。
【請求項1】
真空可能な処理容器に相対向する第1および第2の電極を設け、前記第1および第2の電極間に高周波電圧を印加するとともにエッチングガスを流し込んで前記エッチングガスのプラズマを生成し、前記プラズマを用いて前記第2の電極上に配置された被処理基板をエッチングする平行平板型のドライエッチング装置であって、
前記被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御するために、前記第1の電極に対して前記第2の電極側に突出して段差を形成する電界強度補正用の突出部を前記第1の電極の周辺部付近に設け、前記電界強度補正用突出部の突出量を可変調整するための突出量調整手段を有する平行平板型ドライエッチング装置。
【請求項2】
前記電界強度補正用突出部は、前記第1の電極の周囲で所定範囲内の任意の段差に突出可能に構成された環状突出部材を有し、
前記突出量調整手段は、前記環状突出部材の下面に頭部を向けて、その軸部が前記環状突出部材に周回方向に所定の間隔を置いて形成された複数の貫通孔および前記処理容器の上面を垂直方向に昇降可能に貫通する複数のボルトと、前記処理容器の外で前記複数のボルトの軸部にそれぞれ螺合する複数のナットとを有し、
前記ナットを回すことにより、前記環状突出部材を垂直方向で変位させて、前記第1の電極に対する突出量を調節する、
請求項1に記載の平行平板型ドライエッチング装置。
【請求項3】
前記電界強度補正用突出部は、前記処理容器の上面に形成された開口の内側で垂直下方に垂れ下がるように配置され、その上端部から半径方向外側に延びるフランジ部が前記開口の周囲で前記処理容器の上面に固定取付される環状突出部材を有し、
前記突出量調整手段は、前記環状突出部材の内側に配置され、その下面には前記第1の電極が取り付けられ、その上端部から半径方向外側に延びるフランジ部が前記環状突出部材のフランジ部の上に重なる円筒状支持部材と、前記円筒状支持部材のフランジ部と前記環状突出部材のフランジ部との間に挿入される1枚または複数枚の環状スペーサ板と、前記円筒状支持部材のフランジ部および前記環状スペーサ板を前記環状突出部材のフランジ部に着脱可能に固定するためのボルトとを有し、
前記環状スペーサ板の枚数を変えることにより、前記第1の電極に対する前記環状突出部材の相対的な突出量を調節する、
請求項1に記載の平行平板型ドライエッチング装置。
【請求項4】
前記第1の電極に、前記第1の電極と前記第2の電極との間のプラズマ放電空間に前記エッチングガスを流し込むための多数の通気孔を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の平行平板型ドライエッチング装置。
【請求項5】
真空可能な処理容器内で相対向する第1および第2の電極間に高周波電圧を印加するとともにエッチングガスを流し込んで前記エッチングガスのプラズマを生成し、前記プラズマを用いて前記第2の電極上に配置された被処理基板をエッチングする平行平板型のドライエッチング方法であって、
前記第1の電極に対して前記第2の電極側に突出して段差を形成する電界強度補正用の突出部を前記第1の電極の周辺部付近に設け、前記電界強度補正用突出部の突出量を調整して、前記被処理基板の径方向におけるプラズマ密度の分布特性を制御するドライエッチング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2011−176361(P2011−176361A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110393(P2011−110393)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【分割の表示】特願2001−48488(P2001−48488)の分割
【原出願日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【分割の表示】特願2001−48488(P2001−48488)の分割
【原出願日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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