座標測定装置ならびに座標測定装置を用いて加工物の幾何形状を測定する方法
【課題】座標測定装置ならびに座標測定装置を用いて測定する方法
【解決手段】本発明は座標測定装置(10)を用いて加工物の幾何形状を測定する方法およびこの装置自体に関する。本発明によれば、測定作業は異なる種類の装置を必要とすることなく最適に実行され、これにより関連作業に対して最適利用である1つまたは複数のセンサを使用できる。
【解決手段】本発明は座標測定装置(10)を用いて加工物の幾何形状を測定する方法およびこの装置自体に関する。本発明によれば、測定作業は異なる種類の装置を必要とすることなく最適に実行され、これにより関連作業に対して最適利用である1つまたは複数のセンサを使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動横軸を備え、および加工物の表面上の測定点を記録するための1つまたは複数のセンサを有する加工物の幾何形状を測定する座標測定装置に関する。本発明はまた、可動横軸を備え、および加工物の表面上の測定点を記録するための1つまたは複数のセンサを有する座標測定装置を用いて加工物の幾何形状を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
座標測定装置は、加工物の幾何形状特性を測定または対象物を測定するための1つまたは複数の機械的可動軸を有する測定装置であると理解される。これらの座標測定装置は加工物の表面上の幾何形状測定点を記録するセンサを装備している。従来技術の大部分は、単なる触知センサを備える、すなわち、測定点が触知センサと加工物表面の接触により生成される、座標測定装置を含む。光センサを備える座標測定装置もまた公知であり、この装置では、測定点は光電子画像処理またはレーザ近接センサにより決定される。座標測定装置はまた、これらのセンサのいくつかを相互に組み合わせることにより、ユーザに各種のオプションを提供することは公知である。
【0003】
座標測定技術の概要は、非特許文献1及び非特許文献2に記載されている。
【0004】
通常使用される座標測定装置は個々の測定作業に対して最適に構成されておらず、この結果として、異なる設計の複数の装置が必要とされる状況がたびたび発生する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】DE.Z.:「技術ライブラリ、工業用途における座標測定技術、近代産業発行者((The Library of Technology, Coordinate Measuring Technology in Industrial Applicaion, Modern Industry Publishers)」203巻(ISBN3−478−93212−2)
【非特許文献2】DE.Z.:「技術ライブラリ、工業用途におけるマルチセンサ座標測定技術、近代産業発行者((The Library of Technology, Multisensor Coordinate Measuring Technonogy, Modern Industry Publishers)」248巻(ISBN3−478−93290−4)
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、座標測定装置と、基本的に異なる設計の複数の装置が必要とされるような個々の測定作業に対する最適設定が保証される方法で、座標測定装置を用いて加工物の幾何形状を測定する方法と、をさらに開発することである。
【0007】
上記目的は、本発明によれば、測定対象物に到達するために必要とされるセンサのすべてを備えた座標測定装置により達成される。これらセンサは、選択的に取り付けまたは取り外されるか、または対応するセンサ交換システムによって動作中に自動的に交換される。これにより、複雑な加工物の幾何形状の順応性のある測定が可能である。当然であるが、装置上の対応する数の選択されたセンサを取り付け、この構成を用いて加工物を測定することも同様に可能である。
【0008】
可動横軸を備え、および加工物の表面上の測定点を記録する1つまたは複数のセンサを有する、加工物の幾何形状を測定する座標測定装置が提案される。この装置は、画像処理センサおよび/または切換走査システムおよび/または測定走査システムおよび/または画像処理センサに組み込まれたレーザ近接センサおよび/または個別のレーザ近接センサおよび/または白色光干渉計および/または触知/光センサデバイスを備え、成形された走査要素の位置は画像処理センサにより直接決定され、および/または点状の動作干渉計センサおよび/または一体の回転軸を有する点状の動作干渉計センサおよび/または湾曲した視野方向を有する点状の動作干渉計センサおよび/またはX線センサおよび/または色焦点センサおよび/または共焦点走査測定ヘッドがセンサとして取り付けられる。ここに、使用されるセンサの種類または数は、それぞれ個々の測定作業に対して設計される。
【0009】
したがって、可動横軸を備え、および加工物の表面上の測定点を記録する1つまたは複数のセンサを有する、座標測定装置を用いて加工物の幾何形状を測定する方法は、画像処理センサおよび/または切換走査システムおよび/または測定走査システムおよび/または画像処理センサに組み込まれたレーザ近接センサおよび/または個別のレーザ近接センサおよび/または白色光干渉計および/または触知/光センサデバイスを備え、成形される走査要素の位置は画像処理センサにより直接決定され、および/または点状の動作干渉計センサおよび/または一体の回転軸を有する点状の動作干渉計センサおよび/または傾斜した視野方向を有する点状の動作干渉計センサおよび/またはX線センサおよび/または色焦点センサおよび/または共焦点走査測定ヘッドがセンサとして取り付けられ、使用されるセンサの種類または数は個々の測定作業に応じて選択できる、ことを特徴とする。
【0010】
さらに、上述の基本的な目的の範囲を越える細部の問題が、このような座標測定装置の設計によって発生する。これらは以下に説明され、これらの問題を解決するための方法が説明される。
【0011】
座標測定装置において画像処理センサを利用する場合、ユーザは様々な倍率を設定する必要がある。これは最適化コストならびに高画質を有する光学系を必要とし、このことは他の方法で必要とされるズーム光学系により達成されることは極めて困難であることにより否定される。しかし、これは、さらに独自に開発される本発明の概念に基づき、画像表示に使用されるモニタまたはモニタ断面部の解像度より高い解像度(ピクセル数)を有する画像処理センサを有するカメラを選択することにより解決できる。カメラはまた全体画像の特定断面部への最適アクセス機能を備えることができる。このとき、座標測定装置の生の画像または観測される画像における全体画像の一断面部のみを、個々の表示ウィンドウまたはモニタの大きさに拡大して表示することが可能である。結果として、ユーザは、彼等自身の考えによる画像の拡大断面部の選択が可能である。測定される対象物とモニタ画像との間の倍率は、ソフトウェアによりカメラ画像の選択された断面部を変更するかまたは同様に生の画像を表示することにより制御できる。これはまた、座標測定装置の制御システムに組み込まれた回転ノブによりまたはソフトウェアコントローラによって、必要に応じて操作できる。また、高解像度カメラが使用される場合に低解像度のみを備える画像または画像断面部の表示は可能であるが、正確度を増すためにバックグラウンドで処理するデジタル画像用のカメラの最大解像度を使用する。画像処理の画像光学系の実際の光学的倍率はここでは比較的低く(通常1倍、最大で5倍)、高解像度の光学的効果は、低解像度モニタ上の高解像度カメラの一断面部を単に表示することにより達成される。
【0012】
上述の動作モードの強化は、光学ビーム経路内にミラー系を介する複数の(少なくとも2つの)カメラを組み込みおよび同一の結像対物レンズを利用することにある。加えて、レーザ近接センサを組み込み、同一結像対物レンズを利用できる。このようにして、ユーザは、異なるインタフェースあるいは異なるチップサイズおよび同一ピクセル数を備えるかまたは異なるピクセル数および同一チップサイズ、またはこの両方を備える様々なカメラを選択することにより、異なる倍率を実現できる。同様に、ビーム経路内に、ミラー系を介して同一の結像対物レンズを利用できる、レーザ近接センサをここでは追加して組み込むことができる。異なるカメラチップを選択することで達成される倍率の範囲がこれでも十分ではない場合、カメラビーム経路に光学構成部品として対応する追加の拡大または追加の縮小要素を各カメラに組み込むことがさらに可能である。
【0013】
画質評価における困難性をもたらす、照射強度の差が測定目的物の均一な照射強度において異なるカメラで発生することを防止するために、異なるカメラに対するビーム経路を分割する光学スプリッタ(例えば鏡)が、すべてのカメラが同一の比例した光強度を受けるように構成される。これは、使用される光学スプリッタ、特にビームスプリッタに対する反射または透過の度合いを選択することにより達成される。加えて、このシステムは、合成した明視野入射光ビーム経路により拡張される。同様に、この明視野入射光ビーム経路は、ビームスプリッタなどの対応する寸法とされた光スピリッタによって実現される。
【0014】
特定の問題は、選択される画像記録解像度が、選択される画像記録解像度の整数倍または整数分の1ではないことにある。1つの解像度から他の解像度への適用は、高解像度カメラを用いて撮影された画像からの再サンプリングにより実行される。評価または表示範囲の解像度に対応する必要な数の画像点が計算される。
【0015】
公知の座標測定装置の使用における別の問題は、加工物の測定に対するプログラムが一度生成されると、プログラムはこの後修正されるか、またはすでに取得された測定結果からこの後の特徴が生成されるという事実にある。これに応じて対応する技術のデータはもはや利用できないため、これは当分野の現在の技術によると不可能である。この問題は、本発明によれば、座標測定装置の1つまたは複数のセンサにより測定される測定点またはビデオ画像またはX線画像を記録および記憶し、ならびにこれらの対応する位置と、測定シーケンスの間における、座標測定装置の利用される照射システム、光強度などのデフォルト値といった他の技術的パラメータとを記録および記憶し、この後の評価に対してこれらを利用可能にすることにより解決される。この上述の動作モードと同様に、画像処理センサを用いて測定対象物の複数の部分画像を個別に測定すること、およびこれらを結合して、全体の測定対象物の全体画像または全体の測定対象物の部分断面部からなる全体の画像を形成することもまた可能である。この画像を個別のワークステーションに記憶し、後で評価できる。この目的のために、画像の記録に使用された座標測定装置の校正パラメータは同様に記憶され、評価ソフトウェアにより新しく利用される。オフラインのラスタ走査が可能にされる。
【0016】
上述の動作モードの修正形態では、座標測定装置の動作位置および/または画像処理センサの画像および/またはX線センサの画像および/または触知センサの走査点および/またはレーザセンサの走査点および/または別の技術的パラメータを含む、全体的な測定シーケンスの記憶が同様に可能であり、この結果、これらを次の評価に対して利用可能にする。この後の評価の間において、新しい測定結果は利用可能な測定点および技術的パラメータから生成され、これらはまた測定装置を含むことにより測定装置において直接確認でき、別の測定目的物に適用するための実際の測定プログラムもまた最適化および修正できる。
【0017】
カメラの視野が所望の評価範囲(画像処理ウィンドウ)を選択することにより、測定対象物の画定された領域を1回で記録するには不十分である場合に画像処理センサを使用するときは、画像は複数の部分画像から形成でき、この後ユーザに対して、評価に利用可能とされる測定画像としてユーザに示される。
【0018】
頻繁に発生する問題は、これらの装置は多くの場合未経験のオペレータにより操作されなければならないという事実にある。理想的な場合には、測定対象物は座標測定装置上に置かれ、開始ボタンが押されるだけである。問題は、座標測定装置の加工物の座標内のCNCプログラムの実行を可能にするために、座標測定装置は実際の測定対象物が置かれる場所を最初に示さなければならないことにある。別個の発明として、以下の方法が提案される。すなわち、座標測定装置上に加工物を配置した後、座標測定装置の測定範囲内での測定目的物に対する探索は、測定対象物の存在が検出されるまで、直線、螺旋形、蛇行、円形、確率的または別の幾何形状の探索路全体にわたって、センサ、特に画像処理センサを駆動することで実行される。
【0019】
外側輪郭の走査は第2処理ステップにおいて実行され、測定対象物の検出(測定対象物の外側の幾何形状および位置の検出のための輪郭の追跡)により生成される開始点において開始する。
【0020】
第3処理ステップにおいて、この外側の輪郭内に配置される測定点の記録は、例えば、画像処理センサを用いるラスタリングまたは触知センサを用いる走査により、座標測定装置の選択的に利用可能なセンサの1つを使用して場合によって実行される。この方法で取得された測定点は、次に、試験計画にしたがって詳細な評価のために送り出される。また、加工物の既知の位置内で標準的な幾何形状要素をこの後に測定するか、または最初に測定される輪郭点を単に利用し、加工物の座標内に加工物を位置合わせし、この後、標準的な幾何形状の要素ならびに角度および距離といった特徴を測定することが可能である。
【0021】
座標測定装置を使用、特に画像処理センサを備える座標測定装置を使用ときの別の問題は、それぞれの照射源が非線形特性を有すること、すなわちコンピュータソフトウェア上に示される照射強度のデフォルト値が照射システムの実際の照射強度と線形の相互関係で関係付けられていないという事実にある。これは中でも、様々な測定対象物を正確に測定できないまたはプログラムを1つの装置から他の装置に容易に転送できないという事実をもたらす。この問題を解決するために、本発明によれば、座標測定装置の画像処理センサシステムの照射デバイスの特性を記録すること、すなわち、画像処理センサを用いて対応するデフォルト値で照射強度を測定することにより、測定装置のオペレータインタフェースのデフォルト値における照射強度を記録することが提案される。対応する測定結果は、測定装置のコンピュータに特性結果として記憶される。代替的には、座標測定装置の動作中に照射強度の制御を実行する、いわゆるライトボックスにこれらの測定値を記憶することもまた可能である。この光特性の測定が、校正される参照対象物についてまたは少なくとも複数の装置に対して標準校正対象物について実行される場合、この方法で、外部に対する装置の挙動、すなわち、光のデフォルト値と物理的な照射値間の依存性に関連する装置の挙動を平衡させ、この結果、様々な装置間のプログラムの移動性を保証することができる。装置の動作を容易にするために、オペレータに対して線形特性が以前から存在するといった方法で特性を補正することが実際的であり、すなわち、以前に測定された特性は、座標測定装置の動作の間の計算の補正に対して、線形特性がオペレータに対して利用可能である、すなわち、デフォルト値および照射強度はこの後線形の相互関係に従うように考慮に入れられる。次に、この線形特性の向上を単純な補正係数により複数の装置に対して平衡させることができる
座標測定装置における上述の照射デバイス特性の線形化に基づいて、測定対象物の照射が正しく提供されないために、様々な輝度の測定対象物が同じ照射設定を用いて問題なく測定できないという問題を解決することが可能である。これは、本発明による以下の処理ステップを実行することにより達成される。
【0022】
様々な反射強度を備える測定部分に対して自動プログラムを実行する間、プログラムにおける所定のデフォルト値は様々な照射源の照射強度に対して最初に調整される。第2ステップでは、加工物の反射挙動により影響される照射強度は、画像処理センサを使用して試験され、測定値が記憶された所望の値またはデフォルト値に一致するか否かを監視される。所望の値と実際の値の間の偏差が固定されたしきい値を超える場合、照射強度のデフォルト値は線形に訂正され、照射システムの以前に記録された光特性にしたがって新しく調整される。この結果は、所望の光強度は、プログラムに記憶されるとき、測定対象物により反射されることになる。所望の対象物の特徴はこの後測定される。この手順は、座標測定装置が測定作業を解決するために要求する画像断面部の数に応じて繰り返される。従来の光制御システムと比較したときのこの動作モードの利点は、この制御プロセスにおいては僅か2つの測定対象物の画像を記録する必要があるだけで、この結果極めて高速の光制御が実現できることである。
【0023】
上述の動作モードによれば、座標測定装置に対して、異なる光特性を備えるが、さらに類似の座標測定装置の挙動に対応する複数の特性設定を記憶することが同様に可能である。より旧式のまたは海外の製造者の測定プログラムもまたこの結果利用できる。
【0024】
座標測定装置を用いて、加工物の表面の輪郭の走査が可能である。これは、1つのセンサまたは複数のセンサの組み合わせた動作により実現できる。輪郭の評価は、例えばCADファイルといった所望の輪郭とのこれらを比較することにより実行される場合、図形の比較を実現するために、所望されるコンピュータと実際のコンピュータを内部で重ね合わせる必要がある。部品が弾性変形するため、これは、特に軟質または弾性部品では、相対位置の単純なずれまたは相対位置の回転によっては達成できない。この問題は、以下に説明される発明概念を有する方法に従って進行することにより解決される。所望の輪郭と実際の輪郭自体との間の最良の適合により、所望の輪郭と実際の輪郭自体との間の相対位置の変化とは別に、所望の長さに対応する輪郭断面部の長さもまた修正され、一方で曲率を維持し、または代替的に、最適の有効範囲が所望の輪郭を用いて達成されるように曲率は修正され、一方で実際の輪郭の輪郭長さを維持する。顕著な幾何形状の特徴を有する部分がこれらの弾性または変形のため試験が困難である場合、この手順は、輪郭の交点または円形構造または他の反復構造といった個々に記録される特徴に対して、所望の輪郭および実際の輪郭のグループにおける実際の輪郭と所望の輪郭と間の適合を実行することにより強化され、この結果、所望の輪郭を備える最適な有効範囲に対する実際の輪郭の変形を生成する。これはまた同様な方法で円筒形部品において可能であり、この場合、円筒表面上で測定される輪郭が円筒外被面上で部分的に回転されるまたはねじでクランプされることで、所望の輪郭と実際の輪郭との間の最適な有効範囲を生成する。この動作モードは特に、医療で使用される一般的なステントの測定に適している。上述の方法はまた、同様の逆動作モードにおいて可能であり、すなわち、実際の幾何形状に所望の幾何形状を適合する。
【0025】
所望の輪郭と実際の輪郭との比較の適正な計測学的評価を達成するために、実際には、所望の輪郭と実際の輪郭とのずれの最小化の方向ではなく、許容差ゾーン利用率の最小化の方向に、適合を最適化する。しかし、実際には、部品の測定に対する許容差は一般に、印刷図面またはCAD図面の形式で、測定、幾何形状および/または位置の許容差として予め定められる。対応する許容差ゾーンへのこれらの許容差の変換は、座標測定装置により達成される。この目的は、本発明によれば、輪郭断面部に関係する許容差ゾーン内への測定、形状および/または位置の許容差の自動変換を実行するアルゴリズムを、座標測定装置内に記憶することにより達成される。最も簡単な場合では、輪郭断面部の1つの標準の全体許容差が複数の許容差に対して取得される。ただし、より複雑な許容差に対しては、これは実現できない場合もある。この場合には、複数の評価が座標測定装置における様々な許容差の状態に対して自動的に実行される。この目的のために、複数の許容差ゾーンが各所望のまたは実際の輪郭セグメントに対して割当てられる。自動的な連続評価はこの後グループに結合された複数の所望のまたは実際の輪郭領域および/または複数の異なる位置、測定および/または幾何形状の許容差の状態それぞれに対して、完全な加工物の所望のおよび実際の輪郭について実行される。場合によっては、様々な所望と実際との比較の好ましくない結果は、様々な許容差ゾーンの補助を備える各所望のまたは実際の輪郭に対する評価の終了時に表示できる。
【0026】
自動焦点式センサを用いる画像処理が使用されるときに頻繁に発生する問題は、部分的に透明層の高さが測定されることである。この問題を解決するために、本発明によれば、自動焦点モードにおいて画像処理センサを用いる複数の評価範囲に対して複数の半透明層上で同時に自動焦点を生成することが提案される。これは、複数の画像を記録すると同時に、実現画像処理センサを測定方向に移動することにより実現される。焦点測定点はそれぞれに固定された評価範囲内のコントラスト基準に従って計算される。
【0027】
レーザ近接センサと共に座標測定装置を使用する場合、一般に、センサ測定方向に加工物表面上の輪郭を走査する。すなわち、座標測定装置はセンサの測定方向とは異なる方向の所定経路上を移動する。センサの制御においては、座標測定装置は残りの軸内のセンサの測定方向に案内される。実際には、例えば、画定済みの輪郭線を有する球体を測定する作業も存在する。これは、上述の動作モードの使用が不可能である。この問題を解決するために、本発明では、センサの位置制御または座標測定装置の位置制御回路を制御することにより、制御レーザ近接センサの偏向表示に依存して、レーザ近接センサの偏向が一定を維持するようにする、ことを実現する。座標測定装置の軸は、ここでは、レーザ近接センサの測定方向に垂直またはほぼ垂直に移動する。限界条件にしたがって、レーザ近接センサの測定点は画定済み断面部平面内に置かれることが考慮される。この結果、測定対象物上の輪郭線の走査が可能になる。レーザ近接センサはセンサと測定対象物との距離が等しい経路上を移動する。
【0028】
座標測定装置を使用するときの別の問題は、測定対象物は様々な側面から測定されなければならないという事実にある。しかし、測定対象物の位置が座標測定装置内で変更されると、それぞれの間の測定点の基準が失われ、測定点の相互評価はもはや不可能になる。この問題は、本発明によれば、測定対象物自体の参照特徴または測定対象物上または測定対象物の支持フレーム上に付加的に適用される参照特徴(好ましくは球体)のいずれかを直接適用することにより解決される。座標測定装置を用いる測定に対する動作モードは以下のとおりである。
【0029】
1.測定対象物上またはこの対象物上に固定して割当てられた特定の球体における、1つまたは複数、好ましくは3つの参照マークの位置を測定する。
【0030】
2.座標測定装置のコンピュータにこの位置を記憶する。
【0031】
3.1つまたは複数のセンサによりアクセス可能である、測定対象物上の任意の所望の点を測定する。
【0032】
4.座標測定装置の測定容積内での測定対象物の位置を、手動でまたは組み込まれた回転軸または回転ピボット軸によって変更する。
【0033】
5.参照マークを再度測定する。
【0034】
6.最小のずれがソフトウェア内の参照マーク間に存在するように、それぞれの参照マークを内部で平衡させる。
【0035】
7.座標測定装置の1つまたは複数のセンサを用いて測定対象物上の別の点を測定する。
【0036】
8.任意の回数で上述の手順を繰り返す。
【0037】
9.上述の測定サイクルの間に記録される座標系内の測定対象物のすべての測定点を一緒にして評価する。
【0038】
この動作モードの利点は、測定対象物の回転または回転ピボットに対して使用される回転ピボット軸の正確性が測定結果に表われないことである。回転軸または回転ピボット軸の測定された位置値は、評価に対して利用できることは明らかである。同様に、センサを用いる参照マーク(好ましくは球体)の測定、およびしたがって、対応する別のセンサを用いる加工物の測定の実行が可能である。
【0039】
様々なセンサを備える座標測定装置はまた選択的に、中でも、光触知デバイスを備えるセンサを有する。この場合、成形された走査要素(球体、円柱)の位置の決定は、画像処理センサ(WO−A−98/157121)により実行される。1つの問題点は走査球体の位置にこのセンサを調整する必要性にある。これは本発明によれば、センサを移動する座標軸上で、成形された走査要素(走査ピンおよびホルダを含む走査球体)と画像処理センサとの間の相対的な調整を可能にする、調整ユニットを追加して配置することにより実現される。例えば、成形された走査要素の自動焦点合わせは自動焦点プロセスにより画像処理センサに関して可能である。
【0040】
高精度の測定が触知センサを用いて実行される場合、成形された走査要素(球体、円筒形他)の幾何形状の質が必要とされる測定の不正確性より悪くなる問題が発生する。これは利用不可能な測定結果をもたらす。この問題を解決するために、本発明は、あらかじめ外部の測定位置で成形された走査要素(例えば、球体、円柱)の幾何形状を測定すること、および座標測定装置において成形された走査要素を使用するときに、補正値としてこれらの測定値を自動的に考慮に入れることを提案する。代替的には、高精度で校正された測定基準(校正球体などの)のついての使用された座標測定装置における測定により、成形された走査要素の理想的な所望の幾何形状から実際の幾何形状自体のずれを記録することが可能である。
【0041】
座標測定装置における重要なオプションは、中でも、様々なセンサまたは走査ピンまたは光学付属品の交換の可能性である。交換用デバイスは本発明によりこの目的のため提供される。交換用デバイスの配置に起因する座標測定装置の測定容積の制限を防止するために、本発明によれば、分離した調整軸上にこの交換用デバイスを配置し、交換サイクルが予定されないときは、この交換用デバイスを測定容積の外に駆動し、交換サイクルが予定されると、この交換用デバイスを測定容積内に量に駆動する。この調整軸はスピンドルドライブを備えて構成できる。代替的には、単に2つのストップだけで作用し、このストップに接触してモータードライブにより調整軸(スピンドルドライブ)を位置決定できる。代替的には、線形経路測定システムまたはスピンドルドライブ上の速度センサにより2つの位置を決定することもできる。
【0042】
座標測定装置は一般に、設置される箇所で様々な使用温度に曝される。複数のセンサが座標測定装置上に取り付けられる場合、これは様々なセンサ間の位置において熱的に生成される温度変化をもたらす。これにより測定誤差が生じる。この問題を解決するために、本発明によれば、1つまたは複数の位置に様々なセンサを取り付けるのに役立つ、機械的構成要素の温度を測定して、座標測定装置の設置位置における温度変動に起因する不良動作を補正し、および様々なセンサにより記録される測定点を計算するときに対応する機械的構成要素の膨張を考慮入れる、ことが提案される。これは、例えば、画像処理センサにおいて検知デバイスを使用するとき、この構成要素に利用される材料の線膨張係数に関連して、2つのセンサを接続する構成要素の温度が永続的に測定され、この結果、座標測定装置の座標系におけるセンサの補正された相対位置が計算されることを意味する。これらの補正された値は測定点の各測定値に含まれる。上述の温度補正は、測定値に温度により影響を受ける一定係数を線形乗算することにより、典型的な実施形態において実行される。
【0043】
座標測定装置における測定手順の間に複数の側面から測定対象物を測定できるために、実際には、回転軸に測定対象物をクランプし、様々なセンサを用いる測定に最適の位置に回転する。回転軸で測定対象物を保持することに加えて、対応する反対側先端を使用することが可能である。測定対象物が先端の間でクランプされる場合、しかし、反対側先端の引張り力が測定対象物の変形をもたらすという問題が生じる。これにより生じる誤差を防ぐために、本発明によれば、所定の力に達するまで、測定対象物を常に変形させるかまたは測定対象物上の反対側先端を自動的に位置決定することが提案される。このように、反対側先端は弾性的に取り付けられ、これにより、対応して必要とされる力は偏向および対応する末端スイッチにより決定できる。
【0044】
座標測定装置の使用に関する別の問題は、複数の輪郭が頻繁に、間隔を空けずに測定されることにある。必要とされる数により、これはかなり長い測定時間をもたらす。この問題は、本発明によれば、座標測定装置の共通の機械的軸上に、間隔を空けずに同じ種類のおよび異なる設計の複数の触知センサを配置することにより解決される。同様に、回転ピボットユニット上に上述のセンサのいくつかを配置することも可能である。このように配置された触知センサにより、加工物の表面の輪郭は走査動作中に同時に記録できる。広範囲の測定はこのように実行される。実施形態の1つの変形例は、本発明によれば、座標測定装置の走査動作(検知デバイスの歪みに基づいた座標測定装置の位置決定プロセスの制御)を実現するための複数の配置された検知デバイスの僅か1つを使用し、他の検知デバイスを作動させて測定された値を単に記録する(受動的に)、結果になる。これらは座標測定装置の制御に寄与しない。マルチセンサ配置に対する任意選択的な回転ピボットユニットの制御は、様々な個々の検知デバイスの平均偏向の間の差により自動的に実行できる。上述のマルチセンサの配置についての典型的な適用事例は、歯面、歯車の測定またはカム軸のカムの幾何形状測定である。複数の測定トラックは、本発明によれば、ある測定手順の間に同時に生成される。
【0045】
測定が加工物の外側縁、特に、回転対称の切削ツールまたは切削板の外側縁上の画像処理センサを用いて実行されると、画像処理センサは測定される外側縁上に永続的に再度焦点を定める必要があるという問題が常に存在する。この問題は、本発明によれば、画像処理ビーム経路にレーザ近接センサを追加して組み込むことにより解決できる。レーザセンサは、画像処理センサから測定される外側縁の近傍における加工物の表面の距離を測定し、このような方法で自動追跡が行われる座標測定装置の位置制御回路に接続される。画像処理センサはこの結果永続的に焦点合わせされる。焦点合わせ動作における加工物の追跡は、代替的には、座標測定装置のデカルト軸または任意選択的な回転軸(測定される加工物の回転)により実現できる。
【0046】
座標測定装置において画像処理センサを使用すると、評価される画像の数が必要とされる測定点の数に対して十分ではないかまたは全体的な測定時間が必要条件に対して十分に実現できないという問題がある。最新技術では、座標測定装置の画像処理システムのカメラはビデオ標準(50から60Hz)で作動され、オペレータまたは画像測定装置のプログラムシーケンスにより予め決められた自由な順番で、画像を記憶および評価する。このように、評価される画像の数はカメラにより記録される数より明らかに小さい。結果として、測定時間が最適ではないかまたは測定点の数が不十分となる。この問題を解決するために、本発明によれば、カメラにより撮影される各画像に対して画像評価を実行することが提案される。これは評価がリアルタイムビデオで実現されることを意味する。言い換えれば、画像が画像処理システムのカメラで撮影される時間中に、前の画像の画像評価の計算が、画像が画像処理システムのカメラにより撮影されるのと平行して同時に実行される。この手順は、全体の測定プロセスが終了するまで連続して繰り返される。画像処理センサの画像評価はリアルタイム映像、すなわち、カメラの画像の繰返し周波数と同一周波数で実行される。この動作モードに基づいて、測定中の回転軸を用いて測定対象物を回転し、リアルタイムビデオ内の真円度の測定を実現するために、測定対象物の外側縁上のカメラの測定点の頻度を用いて測定対象物を記録および評価することが可能である。
【0047】
本発明によればさらに、十分に低い信号対雑音比が得られるまで、積分時間を延長して画像処理センサまたはX線センサの信号対雑音比を改善することが可能である。これは、複数の連続画像が加えられ、画像評価がこの加えられた画像上で実行されることを意味する。この手順は、十分に良質の画像が記憶されさらに処理されるまで、このようなカメラの積分時間の延長により自動的に制御できる。このとき画像点の強度は所望の値まで監視され、複数の画像を記憶することにより拡大される。
【0048】
本発明による座標測定装置では、ビーム経路内に組み込まれたレーザセンサを備える画像処理センサを使用できる。これらのビーム経路はまたズーム光学系として構成できる。別の実施形態では、使用されるズーム光学系の作用距離もまた調整できる。実際に使用されるシステムでは、組み込まれるレーザ近接センサおよび画像処理センサの所望の光学特性は同じ調整パラメータ(作用距離/倍率)では利用できないと予測される。本発明によれば、使用されるズーム光学システムの口径および作用距離は代替的には、レーザセンサまたは画像処理センサに対して最適化できる。この追加の光学システムは、同じ調整パラメータ(作用距離/倍率)がレーザセンサおよび画像処理センサに対しては利用できないようにして構成できる。使用されるズーム光学システムの口径および作用距離は、追加のおよび交換可能な光学付属品によりレーザセンサまたは画像処理センサに対する代替的には最適化できる。この追加の光学システムは、レーザセンサに対する最適化された状態を生成するように構成できる。この付属品を磁気インタフェースを介してズーム光学系に接続し、および/またはこの付属品を触知センサに対して別に使用される検知デバイス交換ステーションにより交換することができる。
【0049】
明視野、暗視野およびダークライト(dark light)といった様々な照射源は、測定が座標測定装置の画像処理センサを用いて実行され、測定される加工物の部分領域に対してそれぞれの最適なコントラストを達成するときに、使用される。これらの照射源は、最適条件を達成するために、照射強度、照射の立体角(照射角度または照射方向)または照射方向といった、これらの設定値に関して変更される。これらのパラメータは測定される対象物の部分領域について異なり、これが1つの照射設定値を用いて対象物全体を光学的に再生することが不可能である理由である。この不都合を排除するために、本発明によれば、様々な照射源を使用して複数の画像を連続して記録し、最適なコントラストの画像を生成して、最適なコントラストを備える領域を各画像から除去し、これら領域を結合して幾何形状的に正しい全体画像を形成することが提案される。詳細には、暗視野の照射の様々な照射方向および/または暗視野の照射の様々な照射角度を使用して、および/または明視野の照射を使用して、同じ対象物または対象物断面部の様々な画像を記録し、個々の画像の最適なコントラスト領域を結合して全体画像を生成することが可能である。これはこの後計測学的に評価できる。上述の動作モードは、画像処理センサの個々のピクセルそれぞれに対して同様に適用される、すなわち、最適なコントラストを備えるピクセルは結果として生じる全体画像の各ピクセルに対する個々の画像の数の間から選択される。単一ピクセルのコントラストは、画像内のこの隣接ピクセルに関するこのピクセルの振幅の差により決定される。
【0050】
加工物の表面の輪郭が自動焦点式センサを用いて測定されると、測定点は通常ティーチインモード(teach-in mode)でオペレータにより予め決定される。未知の輪郭がこのプロセスで測定される場合、これは可能であるが困難性を伴う。これは、本発明によれば、次の測定点の予測位置が補間によりすでに測定された焦点から理論的に計算され、新しい自動焦点により正確に確認できるような方法で、自動焦点式センサを用いる対象物面上の走査手順の実行により改良される。この手順が連続的に数回繰り返されると、完全な自動走査が達成される。1本の線ならびに加工物または測定対象物上で走査される領域に沿って走査される点の数は、オペレータにより予め決定できる。2つまたはこれ以上の以前の測定点から次の測定点を外挿することは、線形外挿により実行できる。さらに、最後に測定された2つまたはこれ以上の点の多項式補間によりこの外挿を実行できる。
【0051】
画像の複数の区切られた領域が各焦点合わせ手順中に焦点を決定するために利用される場合、一連の測定点は、この結果、1つの焦点合わせ手順中に生成される。これらの一連の測定点は間隔を空けずに配置されると、完全な輪郭の走査が同様に実現される。
【0052】
画像処理センサまたはX線断層撮影センサが使用される場合、測定対象物の特性に依存して強い光強度および弱い光強度を備える領域が画像内に存在する問題が生じる。これは、対象物の様々な反射または透過特性により引き起こされる。結果的に、得られる劣った信号体雑音比を有する弱い信号のみが、「暗い」画像領域について生じる。しかし、対象物のより強い照射または放射はより明るい領域でより強く光り、この結果、排除されなければならない。
【0053】
上述の問題は、本発明によれば、各画像断面部に対して様々な照射強度で複数の画像を記録することにより解決される。加えて、同一対象物領域のこれらの画像を結合して新しい全体画像を形成し、画像点の振幅がそれぞれ使用される照射または放射の強度に対して標準化されるようにすることができる。全体画像の結合において、許容されるダイナミックレンジ(例えば8ビットで0−245)の外側に置かれる、各画像のピクセルもまた使用される。各画像から特に強く光る振幅は考慮に入れられない。値の平均は複数の有効画像点の振幅を用いてピクセルに対して実行される。全体画像はこの後評価できる。
【0054】
画像処理センサおよびX線断層撮影用途が使用される場合、測定対象物の放射強度またはX線写真強度は、最適な測定を可能にするには不十分なことが多い。これは本発明によれば、画像処理センサまたはX線断層撮影センサを用いて記録される画像の質の最適化のためにそれぞれ異なる照射または放射強度を用いて対象物範囲の複数の画像を記録し、この後これらを結合して全体画像を形成することにより改良される。例えば、それぞれ異なる照射または放射強度で記録される、個別の画像グループの各個別の画像の画定された有効な振幅範囲(通常0から245LSBの間)内に配置される、画像の振幅(ピクセル)が利用される。特に強く光る(例えば>245LSB)ことを示す振幅の値を備える画像点の振幅は依然として評価において考慮に入れられない。複数の画像からの有効な画像の振幅は1つの画像点に対して利用可能である場合、平均値は標準化された画像点の振幅から生成できる。使用される放射または照射強度に対して標準化された振幅の値について上述の計算のすべてを実行することが可能である。
【0055】
さらに、本発明の詳細、利点および特徴は特許請求の範囲および開示される特徴および/またはこれらの組み合わせからだけではなく、図面に示される好ましい例示的な実施形態の以下の説明から得られる。
【0056】
本発明または本発明の複合形態は、好ましい例示的な実施形態に関して以下にさらに詳細に説明される。
【0057】
対応する説明は座標測定技術の想定される知識に基づいてここに提示される。加えて、非特許文献1及び非特許文献2が参照され、これらの内容は本明細書の一部として説明に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、座標測定装置の概略図を示している。
【図2】図2は、座標測定装置の1つの断面部の概略図を示している。
【図3】図3は、画像処理およびレーザ近接センサを備える座標測定装置の概略図を示している。
【図4】図4は、測定プロセスの概略図を示している。
【図5】図5は、測定プロセスの別の概略図を示している。
【図6】図6は、輪郭追跡概略図を示している。
【図7】図7は、光強度曲線を示している。
【図8】図8は、所望のおよび実際の光強度曲線を示している。
【図9】図9は、所望のおよび実際の輪郭データの比較を示している。
【図10a】図10aは、所望のおよび実際の輪郭を示している。
【図10b】図10bは、所望のおよび実際の輪郭を示している。
【図11】図11は、許容差ゾーンを備える測定対象物を示している。
【図12】図12は、許容差ゾーンを備える測定対象物を示している。
【図13】図13は、部分的に透明な層を測定するための機構を示している。
【図14】図14は、隆起プロファイルを測定するための測定機構を示している。
【図15】図15は、様々な位置における測定対象物の測定に対する測定機構を示している。
【図16】図16は、成形された走査要素の位置を決定するための機構を示している。
【図17】図17は、2つの相互に接続されたセンサを備える機構を示している。
【図18】図18は、測定対象物に対するクランプ機構を示している。
【図19】図19は、複数の測定経路の測定に対するセンサの動作を示している。
【図20】図20は、加工物を測定する機構を示している。
【図21】図21は、画像処理センサおよびレーザ近接センサを備えた測定機構を示している。
【図22】図22は、外挿により決定される測定点を測定する図を示している。
【図23】図23は、X線断層撮影センサを備える機構の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1では、座標測定装置10は、測定作業のそれぞれの問題解決に対して必要とされる1つまたは複数のセンサを装備しており、概略図で表されている。センサは、動作中であっても、選択的に取り付けまたは取り外しあるいは対応するセンサ交換システムにより自動的に交換できる。このように、複雑な加工物の幾何形状の順応性の高い測定が可能である。本発明の範囲は、当然であるが、選択されたセンサの対応する数はこの構成において対象物を測定するために装置に固定して取り付けできる場合も含む。
【0060】
広く知られており、図1に再度示されている座標測定装置10の基本構成は、測定台14を有する、例えば花崗岩から作られる基本フレーム12(測定台)を備え、測定台上に測定される対象物16が置かれ、この対象物の表面特性を測定する。
【0061】
基本フレーム12に沿って、入口18はY方向に移動できる。この目的のために、支柱、即ちベース20、22は基本フレーム12上でスライド可能に支持される。トラバース24が支柱20、22から外側に延びており、このトラバースに沿って可動台が移動できる。この可動台は、中央スリーブ、即ち支柱26を収容しており、Z方向に移動できる。例示的な実施形態においては触知センサとして構成されるセンサ30が、中央スリーブ26または必要な場合は交換インタフェース28から突き出ており、中央スリーブ26が画像処理センサを含む場合、触知/光学センサとして測定を実行する。すでに公知の技術ならびに、レーザ近接センサ、白色光干渉計、画像処理センサ、X線センサまたは色焦点センサ、または共焦点走査測定ヘッドといったこの目的に同様に使われるセンサがここでは参照され、いずれにせよ本発明の教示をこれにより制限することはない。1つまたは複数のセンサが測定作業に応じて選択および使用され、各測定作業に対して座標測定装置10を最適に構成する。従来の座標測定装置で発生する問題は同時に解決される。
【0062】
適切なセンサを備える座標測定装置10を利用可能にするために、座標測定装置は、センサ交換器を有し、この基本構成は図2で見ることができる。このように、複数のセンサは選択的に、交換インタフェースを介して座標測定装置に提供され、手動でまたは待機台への座標測定装置の自動除去により交換できる。
【0063】
図2は中央スリーブ32を備える座標測定装置の1つの断面部の平面図を示している。中央スリーブに接続できるセンサは参照符号34、36、38により示される。センサ34、36、38は、例示的なセンサの種類を単に挙げると、光または触知センサとして作用できる。座標測定装置、すなわち、中央スリーブ32は、センサ34、36、38の交換を可能にするために、Y−X−Z方向に移動できる。例示的な実施形態では、中央スリーブ32、したがって座標測定装置は、位置決定経路40に配置された待機台42内にセンサ34を位置決定し、これにより待機台42内に置かれたセンサ36、38の1つをピックアップし、これを再度、中央スリーブ32に取り付けることができる。待機台42、即ち検知デバイス交換システムは、調整軸44により移動され、検知デバイス交換器42が動作中ではないときは、座標測定装置の測定容積の外側に配置されるようにすることができる。
【0064】
座標測定装置において画像処理センサを利用するとき、ユーザは様々な倍率を設定する必要がある。これは、光学系のコスト最適化および高画質に対する必要条件と相反し、これらは別の方法の必要とされるズーム光学系では達成することが困難である。これらの必要条件を十分に満たすために、画像処理センサのためのカメラは、使用されるモニタまたは画像表示のために使用される画像断面部の解像度より、高い解像度(ピクセル数)を備えるように選択される。カメラはさらに、全体画像の特定断面部への任意選択的なアクセスを備えることができる。このとき、生の画像または座標測定装置の観測される画像内の全体画像の1つの断面部だけを表すことができ、それぞれの表示ウィンドウまたはモニタの大きさに拡大される。結果として、ユーザは、ユーザ自身の考えによる画像のズームされる断面部を選択することができる。測定対象物とモニタの画像との間の倍率は、ソフトウェアによりまたは同様に生の画像の表示により、カメラ画像の選択される断面部を変更することにより制御できる。これは、座標測定装置の制御システムに組み込まれている回転ノブにより、またはソフトウェアコントローラによって、必要に応じて作動できる。さらに、高解像度カメラを使用する場合、画像または画像断面部はモニタの低い解像度を用いてのみ表示されることが可能であるが、カメラの最高解像度は、正確性を向上するためにバックグラウンドで使用されて、デジタル画像を処理する。画像処理の結像光学系の実際の光学的倍率は、ここでは比較的低く(通常1倍、しかし最大でも5倍)、高い倍率の光学的効果は、低解像度のモニタ上の高解像度カメラ画像の1つの断面部のみの表示により達成される。
【0065】
上述のプロセスは図3を参照して原理的に説明される。座標測定装置の断面部が図3に示されている。このように、測定対象物16は測定台14上に表されている。測定対象物16の上方には、対物レンズ46およびCCDカメラ48などのカメラが配置され、カメラはコンピュータ50を介してモニタ52に接続されている。1つまたは複数のコンピュータ50のハードウェアにより、カメラ48とモニタ52間の解像度を数学的に適用して、例えば、モニタ52により再生できるより優れたカメラ解像度を利用することができる。ここではまた、全体画像の特定断面部の任意選択的なアクセスにより介入し、または座標測定装置の生のまたは観測された画像を、表示ウィンドウの大きさに拡大された全体画像の1つの断面部としてのみ示すことができる。モニタ52での表示のために記録されたカメラ画像の様々な断面部を選択することにより、観測者はビーム経路全体の様々な有効倍率を提供される。この倍率は、断面部を変更することにより適用の必要条件に適合できる。これは、例えば、コンピュータ50に接続される電子速度センサ54により、人間工学的に作動される。実際の画像評価はまた、カメラ48により記録されるカメラ画像の最大解像度によりコンピュータ50において実現できる。1倍の倍率および最大で5倍の倍率は、ここでは測定対象物に対する典型的な倍率と考えられる。より大きい光学的倍率は、前述の解像度の適用により実現される。ミラー56および別のカメラ58を追加することによりさらに解像度範囲を変化させることも可能である。切換えはコンピュータ50により同様に実行される。異なるチップサイズおよび同じピクセル数、ならびに異なるピクセル数および等しいチップサイズまたは両方の組み合わせを備えるカメラがここでは使用される。加えて、レーザ近接センサ60は同じ光ビーム経路を使用できる。
【0066】
例示的な実施形態では、カメラ58は、画像スケールを画定する目的のための追加の後拡大光学系62を備えている。ビーム経路内に利用される光学スプリッタおよびミラーは、図3において参照符号56および64により示され、すべての影響を受けるカメラ48、58またはセンサ60がスプリット後に同一の光強度を提供されるように構成される。明視野入射光は別の光学スプリッタ66および照射アレイ68により実現される。上述の動作モードに加えて、さらに高解像度を備えるカメラ画像は、高い倍率の目的で、それぞれ記録されたカメラ画像からの再サンプリングにより表示できる。追加の画像点は、実際の測定される画像点間の補間により数学的に決定される。
【0067】
公知の座標測定装置の問題点の1つは、加工物を測定するために生成されたプログラムが後に修正されなければならないこと、または追加の特徴がすでに得られた測定結果から後に生成されなければならないという事実にある。これは、対応する関連技術データが利用できないため、当分野の現在の技術によると不可能である。この問題を解決するために、本発明では、測定点またはビデオ画像またはX線画像および対応する位置を記憶し、ならびに座標測定装置の1つまたは複数のセンサを用いて測定手順中に記録される、使用される照射システムのデフォルト値、光強度または座標測定装置の使用される対物レンズの倍率などの技術的パラメータを記憶し、これらパラメータをこの後の評価に利用する、ことを実現する。
【0068】
上述の動作モードと同様に、画像処理センサを用いて測定対象物の複数の部分的画像を個々に測定すること、およびこれらを結合して全体の測定対象物の全体画像を生成すること、または全体の測定対象物の部分領域の全体画像を生成することもまた可能である。この画像は記憶され、後に個別のワークステーションで評価される。この目的のために、画像記録に使用される座標測定装置の校正パラメータは同様に、記憶されソフトウェアの評価に再度使用される。これは図4を参照して原理的に明らかにされる。
【0069】
測定対象物68は画像処理センサを用いて測定される。画像断面部は参照符号70、72、76、78により示され、これら断面部は、座標測定装置のX、Y座標系80のさまざまな位置において測定対象物68上で記録される。実際のXおよびY位置に加えて、それぞれの位置で記録される対象物断面部の画像内容が、それぞれ対応する画像処理値ウィンドウ82、84、86、88、ならびに、使用される対物レンズの倍率および使用される照射システムのデフォルト値といった、この目的のため座標測定装置に記憶されるパラメータと一緒に記憶される。これらの値すべてが記録された後、画像内容および関連項目の実際の測定、例えば、角度90または距離92の測定が、評価コンピュータにおいてオフラインで実行できる。
【0070】
画像処理センサが使用されるとき、カメラの視野が、所望の評価範囲(画像処理ウィンドウ)を選択することにより1回で測定対象物の画定範囲を記録するのに不十分である場合については、複数の結合された部分からなる画像が自動的に生成され、この後測定された画像としてユーザに提示され、評価に対して利用可能にされる。これは図5を参照して原理的に明らかにされる。穴96の形状の特徴は測定対象物94上で測定される。画像処理センサの視野98はこの特徴を完全に取得するには不十分である。オペレータは、視野98より明らかに大きい、評価範囲100を設定する。ソフトウェアはこれを自動的に検出し、例示的な実施形態において4つの位置102、104、106、108を画定し、これらの位置を順次測定することにより、全体画像を生成し、測定された特徴、すなわち、例示的な実施形態における穴96を計測学的に記録する。
【0071】
順次実行される、画像処理センサを用いる測定における以下のプロセスは、図6により明らかにされる。
【0072】
−測定対象物の存在が検出されるまで、直線、螺旋形、蛇行、円形、確率的または別の幾何形状の探索路全体にわたって、センサを駆動することにより、座標測定装置の測定範囲内の測定対象物を探索する。
【0073】
−測定対象物の外側の輪郭の走査を開始する(測定対象物の外側の輪郭の形状および位置を記録するために輪郭を追跡する)。
【0074】
オプションとして、外側の輪郭内に置かれる測定点はまた、画像処理センサを用いるラスタリングおよび/または他のセンサを用いる走査により、測定対象物上で記録できる。
【0075】
このように、測定対象物110は測定台12上に置かれる。測定に使用される画像処理センサは評価範囲112を有する。測定台12上の測定対象物110の基本位置は、例えば、画像内容を変更することにより、螺旋状経路114上を移動して検出できる。測定対象物110の外側輪郭の走査は、経路114に沿った外側輪郭の完全な記録(輪郭追跡)まで、画像処理センサの対象物輪郭(範囲116)との一致点で開始する。この後、対象物全体の完全な記録を達成するために、測定対象物110の内部範囲のラスタ形状の記録は以前に画定された外側境界120内で実行される。これにより、対象物全体118は評価に利用可能になる。
【0076】
画像処理センサを備える座標測定装置の使用に伴う問題は、様々な照射システムが線形特性を有していないという事実にある。これは中でも、様々な測定対象物を正確に測定できないまたはプログラムを1つの装置から他の装置に容易に転送できないという事実をもたらす。この問題を解決するために、本発明によれば、座標測定装置の画像処理センサシステムの照射デバイスの特性を記録すること、すなわち、画像処理センサを用いて対応するデフォルト値に関して照射強度を測定することにより、測定装置のオペレータインタフェースの調整画像上の照射強度の依存性を検出することが提案される。対応する測定結果は、測定装置のコンピュータに特性として記憶される。さらに、座標測定装置の動作中に照射強度の制御を実行する、いわゆるライトボックスにこれらの測定値を記憶することもできる。この光特性の測定が、校正される参照対象物についてまたは少なくとも複数の装置に対して標準校正対象物について実行される場合、外部に対する装置の挙動、すなわち、光のデフォルト値と物理的な照射値間の依存性に関連する装置の挙動を平衡させることができ、この結果、様々な装置間のプログラムの移動性を保証することができる。
【0077】
装置の動作を容易にするために、線形性がオペレータに対して事前設定されるような方法で特性を補正することが実際的であり、すなわち、以前に測定された特性は、座標測定装置の動作中に、線形特性がオペレータに対して明らかに利用可能であるような方法で、考慮される。この後デフォルト値および照射強度は相互に直線的な関係にある。次に、この線形特性の向上を単純な補正係数により複数の装置に対して平衡させることができる。
【0078】
光学座標測定装置における照射システムの本来の光特性122は図7の左上に示されている。照射強度Eは照射源を流れる電流Iに直線的に依存しない。図7の右上に示されているグラフでは、第2の座標測定装置の同様の特性122が示されているが、細部では異なっている。特性120および122の支持点124および126での電流Iにおける照射強度Eの依存性をそれぞれ記録し、および照射調整のために制御コンピュータにこの支持点情報を記憶することにより、電流Iを調整するために標準値を分割して特性122を補正し、両方の測定装置に対して同一線形特性が得られるようにする。これらは図7の下の図に示されており、参照符号128、130で示される。結果的に、同一照射強度は基準値で達成される。
【0079】
図8は光強度Eを制御する動作モードを示している。例えば、画像処理センサを用いる測定のためのCNCプログラムが準備されている場合、座標測定装置が、例えば入射光内で、測定対象物と組み合わされる、光特性132はティーチインモードで有効になる。照射強度ESの所望の値は、照射電流Ilにより調節される。別の測定対象物または測定対象物上の別の点が測定される場合、光特性の増加変化をもたらす、材料の反射特性の変化を受け入れることができる。この第2の光特性133は同様に図8に示されている。照射強度が電流Ilの調整後に測定されると、照射強度Elが結果として決定される。これは所望の値ESに対応しない。現在の電流値の光特性における増加はIlおよびElから得られ、必要な電流ISは所望−実際の強度ESを調整するために簡単に計算できる。
【0080】
前述の手順の物理的構成は図3で見ることができ、この図には光源68、ミラー64および対物レンズ46が照射デバイスを表す。計算はコンピュータ50により実行される。測定対象物16の反射挙動は測定対象物内で異なり、電流Iおよび照射強度Eに対して様々な反応を生成する。
【0081】
座標測定装置を用いると、加工物の表面の輪郭の走査が可能である。これは、センサを用いてまたは複数のセンサを使用して組み合わされた動作により実現できる。輪郭の評価が、これらの輪郭データと、例えばCADファイルからの所望の輪郭との比較により実行される場合、図形の比較を実現するために、所望のおよび実際の輪郭をコンピュータ内部で重ね合わせることが必要である。部品が弾性的に変形するため、これは、特に、軟質または弾性部品では、相対位置の単純な異動または相対位置の回転によって重ね合わせることは不可能である。この問題は、以下に説明される、本発明の特徴を有する方法に従って進行することにより解決される。所望の輪郭と実際の輪郭の間の最良の適合では、所望の輪郭と実際の輪郭自体の間の相対位置の変化からとは別に、輪郭断面部の長さが所望の長さに応じて変更されると同時に、実際の輪郭における輪郭の長さを維持する間に曲率または代替的には輪郭の曲率を維持することにより、所望の輪郭の最適な有効範囲が達成されるようにする。記録された幾何形状の特徴を備える部品がこれらの弾性または変形のために試験が困難である場合、この手順は、
輪郭の交点または円形構造または他の反復構造といった個々に記録される特徴に対して、所望の輪郭および実際の輪郭のグループにおける実際の輪郭と所望の輪郭と間の適合を実行することにより強化され、この結果、所望の輪郭を備える最適な有効範囲に対する実際の輪郭の変形を生成する。これはまた同様な方法で円筒形部品において可能であり、この場合、円筒表面上で測定される輪郭が円筒外被面上で部分的に回転されるまたはねじでクランプされることで、所望の輪郭と実際の輪郭との間の最適な有効範囲を生成する。この動作モードは特に、医療分野で一般化しているステントの測定に使用される。上述の方法はまた、同様の逆動作モードにおいて可能であり、すなわち、実際の幾何形状に所望の幾何形状を適合する。
【0082】
図9は、所望の輪郭を備える最適有効範囲に対する実際の輪郭が円柱外被面上で部分的に回転またはねじでクランプされることを、原理的に示している。点集合、円筒形状の外被面により基本的に表される、参照符号134により示される。測定対象物の変形のため、この円筒形状の外被面の構造体は円筒軸に沿って相互に回転またはねじられる。このねじれは本発明の教示に基づいて開始位置への構造体の逆回転により数学的に補正される。これは、対応する所望のデータに対する実際の比較に対する所望値により、円筒軸に対して横方向に測定する点集合のそれぞれの断面部を比較することにより、および、これからそれぞれの断面部に対する必要な回転位置を計算することにより、実現される。これはこの後、円筒軸を通る任意の所望の断面部に対して実行されるか、ねじれが個々の断面部間の補間により補正される。図9の下部では、断面部および所望と実際との比較および逆回転が表される。上述のとおり、参照符号134により示される測定する点集合は円筒形状を有する測定対象物である。測定する点集合134はねじれを備えて表され、それぞれに強いねじれが断面部136、135、140に存在する。これらの断面部平面では、所望の点の位置142は、図9の下部分の表示による実際の点の位置144と比較され、ねじれ角146はこれから計算される。この手順は、それぞれの断面部136、135、140に対して反復され、測定する点はこれらの間で補間される。この結果、断面部136、135、140においてねじれの補正を備える測定点集合が取得される。補正される断面部は、図9の右上の参照符号148、150、152により示される。これにより、例えば、所望のデータに従って構造体に割当てられた位置におけるこの後の画像処理センサに対する評価ウィンドウを確立することが可能である。点集合134に対して補正された点集合は参照符号154で示される。
【0083】
図10は、所望の輪郭158に関する好適な有効範囲が、長さを維持する一方で、曲率を変化させることにより実際の輪郭156からこの後の比較に対して生成される方法の例を示している。円160は、所望の輪郭158に対するより優れた適合は、一定の長さ(この場合は周辺部)での曲率変化により可能になることを示している。
【0084】
図10bは、所望の値と実際の値の間のより優れた有効範囲が次の比較のために可能にされると同時に、輪郭断面部の長さの変更により輪郭の曲率を維持する方法を示している。ここでは、実際の輪郭は参照符号162により示され、所望の輪郭は参照符号164で示される。輪郭166は、曲率が保持される一方、引き伸ばしにより所望の輪郭164に適合される実際の輪郭である。
【0085】
本発明によれば、所望または実際の輪郭に割当てられる許容差ゾーンは所望の輪郭と実際の輪郭の間のずれの評価の間において評価できる。許容差ゾーンはCAD図面の測定値データから自動的に導かれるかまたは代替的にはオペレータデータにより画定される。このプロセスは図11および12に関する説明に基づいてより詳細に説明される。
【0086】
対応する測定(測定1から測定4)を有する要素1ないし6と測定に対応する許容差ゾーンとから成る加工物167が、図11に表されている。対応する測定および許容差ゾーンは、CAD図面から得られるかまたは代替的にはオペレータデータにより画定される。第1ステップでは、2辺の対称の許容差ゾーンが、本発明による提示例における、各要素(element)について様々な幅を有する要素のすべてに割当てられる。図11では、異なる幅の2つの許容差ゾーンが、要素3については測定2により、および要素5については測定4により、要素1に割当てなければならないことが見られる。それぞれの許容差ゾーンは同様に、要素4については測定3の規格により、および要素6については測定1の規格により、要素2に割当てられる。各要素に対するそれぞれの許容差ゾーンの計算および割当ては、本発明によれば、すべての参照寸法を分析することで実行され、これら寸法は、図面内の要素に対して画定され、および要素に対して利用可能な参照寸法による各図面要素に対する許容差ゾーンの自動再分割により画定される。
【0087】
提示例では、これは、2つの許容差ゾーン(図12参照)は自動的に要素1に対して画定されることを意味する。上部の許容差ゾーンは測定2に割当てられる許容差により生成され、下部の許容差ゾーンは測定4に割当てられる許容差により生成される。したがって、2つの許容差ゾーンは要素2に割当てられ、ここでは、図12に示されている要素2に対する左の許容差ゾーンは測定1に割当てられる許容差ゾーンから生成され、要素2に対する右の許容差ゾーンは測定3に割当てられる許容差ゾーンから生成される。第1ステップでは、実際の加工物167上の記録される測定点は自動的に決定される許容差ゾーンの1つに対するこれら測定点の位置に応じて割当てられる。許容差ゾーンが維持されていることを試験するために、各許容差ゾーンに割り当てられる測定点は、自由度を固定することなく、加工物167内の所望の輪郭により画定される許容差ゾーンに対して最良の可能な方法で適用され、この適用条件は許容差ゾーンの種類に基づいて自動的に選択される。許容差ゾーン評価に関する対応する試験は、すべての許容差ゾーンおよびこれらの許容差ゾーンにそれぞれ割当てられるすべての測定点に対して連続的に実行される。
【0088】
自動焦点式センサを用いる画像処理を実行する場合、部分的に透明な層の高さが測定されなければならないという問題が頻繁に発生する。この目的ために、本発明は、自動焦点合わせ動作において画像処理センサを用いて複数の半透明の層上に複数評価範囲に対する自動焦点測定点を同時に生成することが提示される。これは、測定方向における画像処理センサの移動および同時に複数の画像を記録することにより実現される。焦点測定点は、それぞれ確立される評価範囲内のコントラスト基準に従って計算される。これは図13に示されている。画像処理センサ168の移動は、Z軸に沿った自動焦点合わせプロセスを実現するために、センサ168の焦点170が半透明測定対象物172内の様々な位置内に配置されるようにしてなされる。このようにして、コントラスト特性174が取得される。最大コントラスト特性のそれぞれは、様々な材料層の種類の間のそれぞれの半透明層の位置を表しており、このコントラスト曲線174から、次に、対応して割当てられたZ位置、Z1、Z2およびZ3を計算できる。ここでは、コントラスト自動焦点式測定に対する通常のプロセス処理を使用できる。
【0089】
座標測定装置におけるレーザ近接センサを用いて、加工物の表面上の輪郭はセンサ方向に走査される。すなわち、座標測定装置は、センサ測定方向とは異なる方向における所定の経路上を移動する。本発明によれば、このとき、センサの位置制御または座標測定装置の位置制御は、レーザ近接センサの偏差表示に基づいて、レーザ近接センサの偏差を一定に保持するような方法で制御される。このようにして、測定対象物上の輪郭線を走査することができる。対応する輪郭線の走査は図14に示される。このように、測定対象物176は座標測定装置の測定台上に置かれ、座標測定装置のレーザ近接センサ178などの近接センサにより走査される。レーザ近接センサ178は基本的に、対象物表面への距離が一定であるようにして起動される。具体的な例では、センサ178のZ位置は一定に保たれ、XおよびY位置の制御により、センサの測定点は常に、平面180内に留まり、この結果測定対象物176の輪郭線182の走査が達成される。
【0090】
座標測定装置の使用に生じる別の問題は、測定対象物が様々な側面から測定されなければならないという事実にある。しかし、座標測定装置における測定対象物の位置が変更される場合、互いの測定点の基準は失われ、測定点の相互評価は不可能になる。この欠点を回避するために、以下のステップが実行される。
【0091】
−例えば、測定対象物190または測定対象物190を収容するフレームといったホルダ191上の球体の形体の、1つまたは複数、好ましくは3つの参照マーク184、186、188の位置を測定するステップ。
【0092】
−座標測定装置のコンピュータ内に上記位置を記憶するステップ。
【0093】
−1つまたは複数のセンサ192によりアクセスできる、測定対象物190上の任意の所望の点194を測定するステップ。
【0094】
−手動あるいは組み込まれた回転軸または回転ピボット軸(矢印196)による、座標測定装置の測定容積内で測定対象物190の位置を変更するステップ。
【0095】
−参照マーク184、186、188を再度測定し、座標測定装置の測定容積内の変更された位置198、200、202を決定するステップ。
【0096】
−それぞれの参照マーク184、186、188またはこれらの位置198、200、202を内部で適用して、ソフトウェア内のこれら参照マーク間に最小のずれが生じるようにするステップ。
【0097】
−座標測定装置の1つまたは複数のセンサ192を用いて測定対象物190上の別の点204を測定するステップ。
【0098】
−上述の手順を任意の回数繰り返すステップ。
【0099】
−座標系内の上述の測定サイクル中に記録される測定対象物190の測定点194、204のすべてを一緒にして評価するステップ。
【0100】
様々なセンサを備える座標測定装置はまた、中でも、光触知検知デバイスを備える選択センサを有する。ここでは、成形される走査要素(球体または円筒体)の位置の決定は画像処理センサにより実行される。問題は、このセンサを走査球体の位置に調整する必要性にある。これは、本発明によれば、調整ユニットを追加して配置することにより解決でき、この調整ユニットにより、センサを移送する座標軸上の、成形された走査要素(走査ピンまたはホルダを含む走査球体)と画像処理センサとの間の相対的な調整が可能になる。例えば、成形された走査要素の自動的焦点合わせは、自動焦点合わせプロセスにより画像処理センサに対して可能である。
【0101】
これにより、触知/光学センサ210(光触知センサとも称される)は座標測定装置内の調整軸208に図16に示されているように配置される。この調整軸208は、例示的な実施形態では光学センサ210の光学軸と一致する、座標測定装置の座標軸、好ましくはZ軸208上に位置する。第2のZ軸を別個に制御する(調整デバイス210)ことにより、適切な方法で光学センサ210の焦点面214に対して触知/光学センサ206の成形された走査要素212の相対位置を調整することが可能になる。
【0102】
座標測定装置は一般に、設置される場所において様々な使用温度に曝される。複数のセンサが座標測定装置上に取り付けられる場合、これは様々なセンサ間の位置において熱的に生成される温度変化をもたらす。これにより測定誤差が生じる。これを補正するために、1つまたは複数の位置に様々なセンサを取り付けるのに役立つ機械構成要素の温度が1つまたは複数の位置で測定され、対応する機械構成要素の膨張は、様々なセンサにより記録される測定点を計算するときに考慮に入れられる。
【0103】
図17は例えば、座標測定装置のZ軸222上の2つのセンサ218、220を備える構成を示している。センサ218、220は、1つまたは複数の接続要素224と一緒におよびZ軸222に相互に接続される。測定の間は1つまたは複数の接続要素224の温度は温度センサ226により常に測定され、対応する位置の変化は評価コンピュータ228を介して補正され、測定結果を考慮に入れる。
【0104】
座標測定装置における測定手順の間、複数の側面から測定対象物を測定可能にするために、実際には、回転軸に測定対象物をクランプし、これにより、様々なセンサを用いる測定に対して最適な位置に回転する。加えて、回転軸、また対応して配置される反対側先端とは別に、測定対象物を保持することが可能である。しかし、測定対象物が先端間でクランプされる場合、反対側先端の張力が測定対象物の変形をもたらす問題が生じる。これにより引き起こされる誤差を防止するために、本発明によれば、所定の力を達成するまで、測定対象物を常に変形するかまたは測定対象物上の反対側先端を自動的に配置することが提案される。このように、反対側先端は弾性的に取り付けられ、これにより、これに対応して要求される力は、たわみおよび対応する末端スイッチによって決定できる。
【0105】
図18は、測定対象物230がクランプされるとき、先端232および反対側先端234は、反対側先端234が末端スイッチ238と相互に作用するまで、ガイド236により測定対象物230に接触する点まで押される方法を示している。前張力は、例えば、付勢されたばね240により生成され、ガイド236上の対応するデバイス244により達成される、反対側先端234の送り出し動作(矢印242)は、反対側先端234が末端スイッチ238上でまたは同様に作用要素上で作用する場合、遮断される。このように、クランプされる測定対象物230の前張力は明確に定義される。
【0106】
座標測定装置の使用における別の問題は、複数の輪郭が頻繁に、間隔を空けずに測定されることにある。必要とされる数により、これはかなり長い測定時間をもたらすことが多い。この問題は、本発明によれば、座標測定装置の共通の機械軸上に、間隔を空けずに同じ種類のおよび異なる設計の複数の触知センサを配置することにより解決される。図19は1つの例を示している。このように、複数の触知センサ248、250、252は座標測定装置の共通のZ軸254上に配置される。様々な位置に対する測定点258、260、262は、座標測定装置において一緒にして評価され、この結果、測定対象物256が走査されるときに同時に測定できる。
【0107】
切削ツールなどの、加工物の外側縁上の画像処理センサを用いる測定中に、座標処理センサは測定される外側縁上で永続的に再度焦点合わせされなければならないという問題が常に存在する。この問題は、本発明によれば、画像処理ビーム経路内にレーザ近接センサを追加して組み込みもことにより解決される。レーザセンサは、測定される外側縁の近傍において画像処理センサから加工物の表面の距離を測定し、座標測定装置の位置制御回路に接続されて、自動追跡を実行する。この結果、画像処理センサは永続的に焦点合わせされる。これは、図20に原理的に示されている。座標測定装置のZ軸254上では、画像処理およびレーザ近接測定に対して2つの相互に結合されたセンサ260、262が組み合わされ、共通光学系264によりツール266上の測定点を記録する。ツール266の回転軸268は、座標測定装置の利用可能なセンサの信号もまた有する、画像測定装置のコンピュータおよび制御システム270により、切断面がツールの切断面274内にこの配置を置くような方法で、レーザ近接センサ262を用いて測定されるツール266のクランプ面272上の測定点が回転軸268の設定に影響するような方法で、制御される。したがって、同じ座標測定装置の画像処理センサ260を用いて対応するツールの外側輪郭の測定が可能である。この手順は、座標測定装置のX、YおよびZ軸の一定の回転および移動により連続的に繰り返され、3つの座標すべてにおける走査は同時に実行される。
【0108】
本発明による座標測定装置では、ビーム経路内に組み込まれるレーザセンサを備えた画像処理センサを使用できる。実際に使用されるシステムにより、組み込まれるレーザ近接センサおよび画像処理センサの所望の光学特性は同一調整パラメータ(動作距離/倍率)では利用できない。使用されるズーム光学系の開口および動作距離は追加の交換可能な光学付属品により、レーザセンサおよび画像処理センサを代替的に最適化できる。
【0109】
共通測定対物レンズ282を備えるビームスプリッタ280を介して座標測定装置において利用される、画像処理センサ276およびレーザ近接センサ278が、図21に示されている。測定対象物284はここで走査されなければならない、言い換えると、この場合では、非接触で測定される。交換台288に置かれる、追加の前置光学要素286を交換することにより、全体のビーム経路の光学特性の変更が可能である。これは、ビーム経路内に配置されるまたは配置されない測定対物レンズ282および前置光学要素286により決定される。このように、レーザ近接センサ278に対する調整パラメータの最適化は、前部でまたは少し離れて前置光学要素286を備える画像処理センサ276に対してまたはこの逆に配置される、前置光学要素286を用いて実行される。
【0110】
加工物の表面の輪郭が自動焦点式センサを用いて測定される場合、測定点は通常ティーチインモードでオペレータにより予め決定される。これの防止は、未知の輪郭がこのプロセス処理を使用して測定される場合、かなりの困難を伴って可能になるだけである。これは、本発明によれば、次の測定点の予測位置がすでに測定された焦点から補間により理論的に計算され、新しい自動焦点により正確に確認されるような方法で、自動焦点式センサを用いて対象物表面上の走査手順を実行することでなされる。この手順が連続して数回繰返されると、完全自動走査が達成される。加工物または測定対象物上で走査される1つの線ならびに1つの領域に沿って走査される点の数はオペレータにより予め決定される。2つまたはこれ以上の所定の測定点から次の測定点への外挿は線形外挿により実行される。
【0111】
自動焦点式センサを用いて材料の表面を走査する対応するプロセスは、図22に示されている。自動焦点式センサ290は、表面の点を測定するために、座標測定装置のZ軸での移動により第1位置291に適用される。この目的のために、コントラスト挙動は焦点範囲292全体にわたり記録され、焦点位置294は測定点に応じてこれから計算される。同一手順が、対応する焦点測定範囲296および測定点298を用いて次の位置295で反復される。位置304における焦点測定範囲302したがってセンサ290の位置は、例えば、直線300の補間により決定され、測定点306はここで測定される。この手順は、測定される対象物の輪郭308の全体長さまたはこの一部が測定されるまで、必要に応じて多数回数反復される。
【0112】
画像処理センサまたはX線断層撮影センサの使用により、測定対象物の特性に依存して、強いならびに弱い強度を備える領域が画像内に存在するという問題が頻繁に発生する。これは、対象物の様々な反射または透過特性によりもたらされる。結果的に、結果として生じる劣った信号体雑音比を有する弱い信号のみが、「暗い」画像領域について生じる。しかし、対象物のより強い照射または放射はより明るい領域でより強く光り、この結果排除される。
【0113】
これらの上述の問題は、本発明によれば、各画像断面部に対する様々な照射強度を用いて複数の画像を記録することにより解決される。同一対象物領域のこれらの画像はこの後、画像点の振幅がそれぞれ使用される照射強度または放射強度に対して標準化されるようにして、結合され新しい全体画像を形成する。全体画像の結合については、認められるダイナミックレンジ内に配置される、各画像のピクセルもまた使用される。各画像の特に強く光る振幅は考慮に入れられない。
【0114】
したがって、X線源308、測定センサ312を備える回転台310、およびX線センサ314もまた図23に示されている。X線検出器314の画像点の振幅はコンピュータおよび評価システム316に記憶され、この後上述の処理ステップにより評価および結合される。ここでは、評価システム316によって上述の動作モードに従って、放射源(X線源)308のX線周波数および検出器の記録パラメータの制御が可能である。
【符号の説明】
【0115】
10…座標測定装置、12…基本フレーム、14…測定台、16…測定対象物、18…入口、20…支柱、22…支柱、24…トラバース、26…、中央スリーブ、30…センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動横軸を備え、および加工物の表面上の測定点を記録するための1つまたは複数のセンサを有する加工物の幾何形状を測定する座標測定装置に関する。本発明はまた、可動横軸を備え、および加工物の表面上の測定点を記録するための1つまたは複数のセンサを有する座標測定装置を用いて加工物の幾何形状を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
座標測定装置は、加工物の幾何形状特性を測定または対象物を測定するための1つまたは複数の機械的可動軸を有する測定装置であると理解される。これらの座標測定装置は加工物の表面上の幾何形状測定点を記録するセンサを装備している。従来技術の大部分は、単なる触知センサを備える、すなわち、測定点が触知センサと加工物表面の接触により生成される、座標測定装置を含む。光センサを備える座標測定装置もまた公知であり、この装置では、測定点は光電子画像処理またはレーザ近接センサにより決定される。座標測定装置はまた、これらのセンサのいくつかを相互に組み合わせることにより、ユーザに各種のオプションを提供することは公知である。
【0003】
座標測定技術の概要は、非特許文献1及び非特許文献2に記載されている。
【0004】
通常使用される座標測定装置は個々の測定作業に対して最適に構成されておらず、この結果として、異なる設計の複数の装置が必要とされる状況がたびたび発生する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】DE.Z.:「技術ライブラリ、工業用途における座標測定技術、近代産業発行者((The Library of Technology, Coordinate Measuring Technology in Industrial Applicaion, Modern Industry Publishers)」203巻(ISBN3−478−93212−2)
【非特許文献2】DE.Z.:「技術ライブラリ、工業用途におけるマルチセンサ座標測定技術、近代産業発行者((The Library of Technology, Multisensor Coordinate Measuring Technonogy, Modern Industry Publishers)」248巻(ISBN3−478−93290−4)
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、座標測定装置と、基本的に異なる設計の複数の装置が必要とされるような個々の測定作業に対する最適設定が保証される方法で、座標測定装置を用いて加工物の幾何形状を測定する方法と、をさらに開発することである。
【0007】
上記目的は、本発明によれば、測定対象物に到達するために必要とされるセンサのすべてを備えた座標測定装置により達成される。これらセンサは、選択的に取り付けまたは取り外されるか、または対応するセンサ交換システムによって動作中に自動的に交換される。これにより、複雑な加工物の幾何形状の順応性のある測定が可能である。当然であるが、装置上の対応する数の選択されたセンサを取り付け、この構成を用いて加工物を測定することも同様に可能である。
【0008】
可動横軸を備え、および加工物の表面上の測定点を記録する1つまたは複数のセンサを有する、加工物の幾何形状を測定する座標測定装置が提案される。この装置は、画像処理センサおよび/または切換走査システムおよび/または測定走査システムおよび/または画像処理センサに組み込まれたレーザ近接センサおよび/または個別のレーザ近接センサおよび/または白色光干渉計および/または触知/光センサデバイスを備え、成形された走査要素の位置は画像処理センサにより直接決定され、および/または点状の動作干渉計センサおよび/または一体の回転軸を有する点状の動作干渉計センサおよび/または湾曲した視野方向を有する点状の動作干渉計センサおよび/またはX線センサおよび/または色焦点センサおよび/または共焦点走査測定ヘッドがセンサとして取り付けられる。ここに、使用されるセンサの種類または数は、それぞれ個々の測定作業に対して設計される。
【0009】
したがって、可動横軸を備え、および加工物の表面上の測定点を記録する1つまたは複数のセンサを有する、座標測定装置を用いて加工物の幾何形状を測定する方法は、画像処理センサおよび/または切換走査システムおよび/または測定走査システムおよび/または画像処理センサに組み込まれたレーザ近接センサおよび/または個別のレーザ近接センサおよび/または白色光干渉計および/または触知/光センサデバイスを備え、成形される走査要素の位置は画像処理センサにより直接決定され、および/または点状の動作干渉計センサおよび/または一体の回転軸を有する点状の動作干渉計センサおよび/または傾斜した視野方向を有する点状の動作干渉計センサおよび/またはX線センサおよび/または色焦点センサおよび/または共焦点走査測定ヘッドがセンサとして取り付けられ、使用されるセンサの種類または数は個々の測定作業に応じて選択できる、ことを特徴とする。
【0010】
さらに、上述の基本的な目的の範囲を越える細部の問題が、このような座標測定装置の設計によって発生する。これらは以下に説明され、これらの問題を解決するための方法が説明される。
【0011】
座標測定装置において画像処理センサを利用する場合、ユーザは様々な倍率を設定する必要がある。これは最適化コストならびに高画質を有する光学系を必要とし、このことは他の方法で必要とされるズーム光学系により達成されることは極めて困難であることにより否定される。しかし、これは、さらに独自に開発される本発明の概念に基づき、画像表示に使用されるモニタまたはモニタ断面部の解像度より高い解像度(ピクセル数)を有する画像処理センサを有するカメラを選択することにより解決できる。カメラはまた全体画像の特定断面部への最適アクセス機能を備えることができる。このとき、座標測定装置の生の画像または観測される画像における全体画像の一断面部のみを、個々の表示ウィンドウまたはモニタの大きさに拡大して表示することが可能である。結果として、ユーザは、彼等自身の考えによる画像の拡大断面部の選択が可能である。測定される対象物とモニタ画像との間の倍率は、ソフトウェアによりカメラ画像の選択された断面部を変更するかまたは同様に生の画像を表示することにより制御できる。これはまた、座標測定装置の制御システムに組み込まれた回転ノブによりまたはソフトウェアコントローラによって、必要に応じて操作できる。また、高解像度カメラが使用される場合に低解像度のみを備える画像または画像断面部の表示は可能であるが、正確度を増すためにバックグラウンドで処理するデジタル画像用のカメラの最大解像度を使用する。画像処理の画像光学系の実際の光学的倍率はここでは比較的低く(通常1倍、最大で5倍)、高解像度の光学的効果は、低解像度モニタ上の高解像度カメラの一断面部を単に表示することにより達成される。
【0012】
上述の動作モードの強化は、光学ビーム経路内にミラー系を介する複数の(少なくとも2つの)カメラを組み込みおよび同一の結像対物レンズを利用することにある。加えて、レーザ近接センサを組み込み、同一結像対物レンズを利用できる。このようにして、ユーザは、異なるインタフェースあるいは異なるチップサイズおよび同一ピクセル数を備えるかまたは異なるピクセル数および同一チップサイズ、またはこの両方を備える様々なカメラを選択することにより、異なる倍率を実現できる。同様に、ビーム経路内に、ミラー系を介して同一の結像対物レンズを利用できる、レーザ近接センサをここでは追加して組み込むことができる。異なるカメラチップを選択することで達成される倍率の範囲がこれでも十分ではない場合、カメラビーム経路に光学構成部品として対応する追加の拡大または追加の縮小要素を各カメラに組み込むことがさらに可能である。
【0013】
画質評価における困難性をもたらす、照射強度の差が測定目的物の均一な照射強度において異なるカメラで発生することを防止するために、異なるカメラに対するビーム経路を分割する光学スプリッタ(例えば鏡)が、すべてのカメラが同一の比例した光強度を受けるように構成される。これは、使用される光学スプリッタ、特にビームスプリッタに対する反射または透過の度合いを選択することにより達成される。加えて、このシステムは、合成した明視野入射光ビーム経路により拡張される。同様に、この明視野入射光ビーム経路は、ビームスプリッタなどの対応する寸法とされた光スピリッタによって実現される。
【0014】
特定の問題は、選択される画像記録解像度が、選択される画像記録解像度の整数倍または整数分の1ではないことにある。1つの解像度から他の解像度への適用は、高解像度カメラを用いて撮影された画像からの再サンプリングにより実行される。評価または表示範囲の解像度に対応する必要な数の画像点が計算される。
【0015】
公知の座標測定装置の使用における別の問題は、加工物の測定に対するプログラムが一度生成されると、プログラムはこの後修正されるか、またはすでに取得された測定結果からこの後の特徴が生成されるという事実にある。これに応じて対応する技術のデータはもはや利用できないため、これは当分野の現在の技術によると不可能である。この問題は、本発明によれば、座標測定装置の1つまたは複数のセンサにより測定される測定点またはビデオ画像またはX線画像を記録および記憶し、ならびにこれらの対応する位置と、測定シーケンスの間における、座標測定装置の利用される照射システム、光強度などのデフォルト値といった他の技術的パラメータとを記録および記憶し、この後の評価に対してこれらを利用可能にすることにより解決される。この上述の動作モードと同様に、画像処理センサを用いて測定対象物の複数の部分画像を個別に測定すること、およびこれらを結合して、全体の測定対象物の全体画像または全体の測定対象物の部分断面部からなる全体の画像を形成することもまた可能である。この画像を個別のワークステーションに記憶し、後で評価できる。この目的のために、画像の記録に使用された座標測定装置の校正パラメータは同様に記憶され、評価ソフトウェアにより新しく利用される。オフラインのラスタ走査が可能にされる。
【0016】
上述の動作モードの修正形態では、座標測定装置の動作位置および/または画像処理センサの画像および/またはX線センサの画像および/または触知センサの走査点および/またはレーザセンサの走査点および/または別の技術的パラメータを含む、全体的な測定シーケンスの記憶が同様に可能であり、この結果、これらを次の評価に対して利用可能にする。この後の評価の間において、新しい測定結果は利用可能な測定点および技術的パラメータから生成され、これらはまた測定装置を含むことにより測定装置において直接確認でき、別の測定目的物に適用するための実際の測定プログラムもまた最適化および修正できる。
【0017】
カメラの視野が所望の評価範囲(画像処理ウィンドウ)を選択することにより、測定対象物の画定された領域を1回で記録するには不十分である場合に画像処理センサを使用するときは、画像は複数の部分画像から形成でき、この後ユーザに対して、評価に利用可能とされる測定画像としてユーザに示される。
【0018】
頻繁に発生する問題は、これらの装置は多くの場合未経験のオペレータにより操作されなければならないという事実にある。理想的な場合には、測定対象物は座標測定装置上に置かれ、開始ボタンが押されるだけである。問題は、座標測定装置の加工物の座標内のCNCプログラムの実行を可能にするために、座標測定装置は実際の測定対象物が置かれる場所を最初に示さなければならないことにある。別個の発明として、以下の方法が提案される。すなわち、座標測定装置上に加工物を配置した後、座標測定装置の測定範囲内での測定目的物に対する探索は、測定対象物の存在が検出されるまで、直線、螺旋形、蛇行、円形、確率的または別の幾何形状の探索路全体にわたって、センサ、特に画像処理センサを駆動することで実行される。
【0019】
外側輪郭の走査は第2処理ステップにおいて実行され、測定対象物の検出(測定対象物の外側の幾何形状および位置の検出のための輪郭の追跡)により生成される開始点において開始する。
【0020】
第3処理ステップにおいて、この外側の輪郭内に配置される測定点の記録は、例えば、画像処理センサを用いるラスタリングまたは触知センサを用いる走査により、座標測定装置の選択的に利用可能なセンサの1つを使用して場合によって実行される。この方法で取得された測定点は、次に、試験計画にしたがって詳細な評価のために送り出される。また、加工物の既知の位置内で標準的な幾何形状要素をこの後に測定するか、または最初に測定される輪郭点を単に利用し、加工物の座標内に加工物を位置合わせし、この後、標準的な幾何形状の要素ならびに角度および距離といった特徴を測定することが可能である。
【0021】
座標測定装置を使用、特に画像処理センサを備える座標測定装置を使用ときの別の問題は、それぞれの照射源が非線形特性を有すること、すなわちコンピュータソフトウェア上に示される照射強度のデフォルト値が照射システムの実際の照射強度と線形の相互関係で関係付けられていないという事実にある。これは中でも、様々な測定対象物を正確に測定できないまたはプログラムを1つの装置から他の装置に容易に転送できないという事実をもたらす。この問題を解決するために、本発明によれば、座標測定装置の画像処理センサシステムの照射デバイスの特性を記録すること、すなわち、画像処理センサを用いて対応するデフォルト値で照射強度を測定することにより、測定装置のオペレータインタフェースのデフォルト値における照射強度を記録することが提案される。対応する測定結果は、測定装置のコンピュータに特性結果として記憶される。代替的には、座標測定装置の動作中に照射強度の制御を実行する、いわゆるライトボックスにこれらの測定値を記憶することもまた可能である。この光特性の測定が、校正される参照対象物についてまたは少なくとも複数の装置に対して標準校正対象物について実行される場合、この方法で、外部に対する装置の挙動、すなわち、光のデフォルト値と物理的な照射値間の依存性に関連する装置の挙動を平衡させ、この結果、様々な装置間のプログラムの移動性を保証することができる。装置の動作を容易にするために、オペレータに対して線形特性が以前から存在するといった方法で特性を補正することが実際的であり、すなわち、以前に測定された特性は、座標測定装置の動作の間の計算の補正に対して、線形特性がオペレータに対して利用可能である、すなわち、デフォルト値および照射強度はこの後線形の相互関係に従うように考慮に入れられる。次に、この線形特性の向上を単純な補正係数により複数の装置に対して平衡させることができる
座標測定装置における上述の照射デバイス特性の線形化に基づいて、測定対象物の照射が正しく提供されないために、様々な輝度の測定対象物が同じ照射設定を用いて問題なく測定できないという問題を解決することが可能である。これは、本発明による以下の処理ステップを実行することにより達成される。
【0022】
様々な反射強度を備える測定部分に対して自動プログラムを実行する間、プログラムにおける所定のデフォルト値は様々な照射源の照射強度に対して最初に調整される。第2ステップでは、加工物の反射挙動により影響される照射強度は、画像処理センサを使用して試験され、測定値が記憶された所望の値またはデフォルト値に一致するか否かを監視される。所望の値と実際の値の間の偏差が固定されたしきい値を超える場合、照射強度のデフォルト値は線形に訂正され、照射システムの以前に記録された光特性にしたがって新しく調整される。この結果は、所望の光強度は、プログラムに記憶されるとき、測定対象物により反射されることになる。所望の対象物の特徴はこの後測定される。この手順は、座標測定装置が測定作業を解決するために要求する画像断面部の数に応じて繰り返される。従来の光制御システムと比較したときのこの動作モードの利点は、この制御プロセスにおいては僅か2つの測定対象物の画像を記録する必要があるだけで、この結果極めて高速の光制御が実現できることである。
【0023】
上述の動作モードによれば、座標測定装置に対して、異なる光特性を備えるが、さらに類似の座標測定装置の挙動に対応する複数の特性設定を記憶することが同様に可能である。より旧式のまたは海外の製造者の測定プログラムもまたこの結果利用できる。
【0024】
座標測定装置を用いて、加工物の表面の輪郭の走査が可能である。これは、1つのセンサまたは複数のセンサの組み合わせた動作により実現できる。輪郭の評価は、例えばCADファイルといった所望の輪郭とのこれらを比較することにより実行される場合、図形の比較を実現するために、所望されるコンピュータと実際のコンピュータを内部で重ね合わせる必要がある。部品が弾性変形するため、これは、特に軟質または弾性部品では、相対位置の単純なずれまたは相対位置の回転によっては達成できない。この問題は、以下に説明される発明概念を有する方法に従って進行することにより解決される。所望の輪郭と実際の輪郭自体との間の最良の適合により、所望の輪郭と実際の輪郭自体との間の相対位置の変化とは別に、所望の長さに対応する輪郭断面部の長さもまた修正され、一方で曲率を維持し、または代替的に、最適の有効範囲が所望の輪郭を用いて達成されるように曲率は修正され、一方で実際の輪郭の輪郭長さを維持する。顕著な幾何形状の特徴を有する部分がこれらの弾性または変形のため試験が困難である場合、この手順は、輪郭の交点または円形構造または他の反復構造といった個々に記録される特徴に対して、所望の輪郭および実際の輪郭のグループにおける実際の輪郭と所望の輪郭と間の適合を実行することにより強化され、この結果、所望の輪郭を備える最適な有効範囲に対する実際の輪郭の変形を生成する。これはまた同様な方法で円筒形部品において可能であり、この場合、円筒表面上で測定される輪郭が円筒外被面上で部分的に回転されるまたはねじでクランプされることで、所望の輪郭と実際の輪郭との間の最適な有効範囲を生成する。この動作モードは特に、医療で使用される一般的なステントの測定に適している。上述の方法はまた、同様の逆動作モードにおいて可能であり、すなわち、実際の幾何形状に所望の幾何形状を適合する。
【0025】
所望の輪郭と実際の輪郭との比較の適正な計測学的評価を達成するために、実際には、所望の輪郭と実際の輪郭とのずれの最小化の方向ではなく、許容差ゾーン利用率の最小化の方向に、適合を最適化する。しかし、実際には、部品の測定に対する許容差は一般に、印刷図面またはCAD図面の形式で、測定、幾何形状および/または位置の許容差として予め定められる。対応する許容差ゾーンへのこれらの許容差の変換は、座標測定装置により達成される。この目的は、本発明によれば、輪郭断面部に関係する許容差ゾーン内への測定、形状および/または位置の許容差の自動変換を実行するアルゴリズムを、座標測定装置内に記憶することにより達成される。最も簡単な場合では、輪郭断面部の1つの標準の全体許容差が複数の許容差に対して取得される。ただし、より複雑な許容差に対しては、これは実現できない場合もある。この場合には、複数の評価が座標測定装置における様々な許容差の状態に対して自動的に実行される。この目的のために、複数の許容差ゾーンが各所望のまたは実際の輪郭セグメントに対して割当てられる。自動的な連続評価はこの後グループに結合された複数の所望のまたは実際の輪郭領域および/または複数の異なる位置、測定および/または幾何形状の許容差の状態それぞれに対して、完全な加工物の所望のおよび実際の輪郭について実行される。場合によっては、様々な所望と実際との比較の好ましくない結果は、様々な許容差ゾーンの補助を備える各所望のまたは実際の輪郭に対する評価の終了時に表示できる。
【0026】
自動焦点式センサを用いる画像処理が使用されるときに頻繁に発生する問題は、部分的に透明層の高さが測定されることである。この問題を解決するために、本発明によれば、自動焦点モードにおいて画像処理センサを用いる複数の評価範囲に対して複数の半透明層上で同時に自動焦点を生成することが提案される。これは、複数の画像を記録すると同時に、実現画像処理センサを測定方向に移動することにより実現される。焦点測定点はそれぞれに固定された評価範囲内のコントラスト基準に従って計算される。
【0027】
レーザ近接センサと共に座標測定装置を使用する場合、一般に、センサ測定方向に加工物表面上の輪郭を走査する。すなわち、座標測定装置はセンサの測定方向とは異なる方向の所定経路上を移動する。センサの制御においては、座標測定装置は残りの軸内のセンサの測定方向に案内される。実際には、例えば、画定済みの輪郭線を有する球体を測定する作業も存在する。これは、上述の動作モードの使用が不可能である。この問題を解決するために、本発明では、センサの位置制御または座標測定装置の位置制御回路を制御することにより、制御レーザ近接センサの偏向表示に依存して、レーザ近接センサの偏向が一定を維持するようにする、ことを実現する。座標測定装置の軸は、ここでは、レーザ近接センサの測定方向に垂直またはほぼ垂直に移動する。限界条件にしたがって、レーザ近接センサの測定点は画定済み断面部平面内に置かれることが考慮される。この結果、測定対象物上の輪郭線の走査が可能になる。レーザ近接センサはセンサと測定対象物との距離が等しい経路上を移動する。
【0028】
座標測定装置を使用するときの別の問題は、測定対象物は様々な側面から測定されなければならないという事実にある。しかし、測定対象物の位置が座標測定装置内で変更されると、それぞれの間の測定点の基準が失われ、測定点の相互評価はもはや不可能になる。この問題は、本発明によれば、測定対象物自体の参照特徴または測定対象物上または測定対象物の支持フレーム上に付加的に適用される参照特徴(好ましくは球体)のいずれかを直接適用することにより解決される。座標測定装置を用いる測定に対する動作モードは以下のとおりである。
【0029】
1.測定対象物上またはこの対象物上に固定して割当てられた特定の球体における、1つまたは複数、好ましくは3つの参照マークの位置を測定する。
【0030】
2.座標測定装置のコンピュータにこの位置を記憶する。
【0031】
3.1つまたは複数のセンサによりアクセス可能である、測定対象物上の任意の所望の点を測定する。
【0032】
4.座標測定装置の測定容積内での測定対象物の位置を、手動でまたは組み込まれた回転軸または回転ピボット軸によって変更する。
【0033】
5.参照マークを再度測定する。
【0034】
6.最小のずれがソフトウェア内の参照マーク間に存在するように、それぞれの参照マークを内部で平衡させる。
【0035】
7.座標測定装置の1つまたは複数のセンサを用いて測定対象物上の別の点を測定する。
【0036】
8.任意の回数で上述の手順を繰り返す。
【0037】
9.上述の測定サイクルの間に記録される座標系内の測定対象物のすべての測定点を一緒にして評価する。
【0038】
この動作モードの利点は、測定対象物の回転または回転ピボットに対して使用される回転ピボット軸の正確性が測定結果に表われないことである。回転軸または回転ピボット軸の測定された位置値は、評価に対して利用できることは明らかである。同様に、センサを用いる参照マーク(好ましくは球体)の測定、およびしたがって、対応する別のセンサを用いる加工物の測定の実行が可能である。
【0039】
様々なセンサを備える座標測定装置はまた選択的に、中でも、光触知デバイスを備えるセンサを有する。この場合、成形された走査要素(球体、円柱)の位置の決定は、画像処理センサ(WO−A−98/157121)により実行される。1つの問題点は走査球体の位置にこのセンサを調整する必要性にある。これは本発明によれば、センサを移動する座標軸上で、成形された走査要素(走査ピンおよびホルダを含む走査球体)と画像処理センサとの間の相対的な調整を可能にする、調整ユニットを追加して配置することにより実現される。例えば、成形された走査要素の自動焦点合わせは自動焦点プロセスにより画像処理センサに関して可能である。
【0040】
高精度の測定が触知センサを用いて実行される場合、成形された走査要素(球体、円筒形他)の幾何形状の質が必要とされる測定の不正確性より悪くなる問題が発生する。これは利用不可能な測定結果をもたらす。この問題を解決するために、本発明は、あらかじめ外部の測定位置で成形された走査要素(例えば、球体、円柱)の幾何形状を測定すること、および座標測定装置において成形された走査要素を使用するときに、補正値としてこれらの測定値を自動的に考慮に入れることを提案する。代替的には、高精度で校正された測定基準(校正球体などの)のついての使用された座標測定装置における測定により、成形された走査要素の理想的な所望の幾何形状から実際の幾何形状自体のずれを記録することが可能である。
【0041】
座標測定装置における重要なオプションは、中でも、様々なセンサまたは走査ピンまたは光学付属品の交換の可能性である。交換用デバイスは本発明によりこの目的のため提供される。交換用デバイスの配置に起因する座標測定装置の測定容積の制限を防止するために、本発明によれば、分離した調整軸上にこの交換用デバイスを配置し、交換サイクルが予定されないときは、この交換用デバイスを測定容積の外に駆動し、交換サイクルが予定されると、この交換用デバイスを測定容積内に量に駆動する。この調整軸はスピンドルドライブを備えて構成できる。代替的には、単に2つのストップだけで作用し、このストップに接触してモータードライブにより調整軸(スピンドルドライブ)を位置決定できる。代替的には、線形経路測定システムまたはスピンドルドライブ上の速度センサにより2つの位置を決定することもできる。
【0042】
座標測定装置は一般に、設置される箇所で様々な使用温度に曝される。複数のセンサが座標測定装置上に取り付けられる場合、これは様々なセンサ間の位置において熱的に生成される温度変化をもたらす。これにより測定誤差が生じる。この問題を解決するために、本発明によれば、1つまたは複数の位置に様々なセンサを取り付けるのに役立つ、機械的構成要素の温度を測定して、座標測定装置の設置位置における温度変動に起因する不良動作を補正し、および様々なセンサにより記録される測定点を計算するときに対応する機械的構成要素の膨張を考慮入れる、ことが提案される。これは、例えば、画像処理センサにおいて検知デバイスを使用するとき、この構成要素に利用される材料の線膨張係数に関連して、2つのセンサを接続する構成要素の温度が永続的に測定され、この結果、座標測定装置の座標系におけるセンサの補正された相対位置が計算されることを意味する。これらの補正された値は測定点の各測定値に含まれる。上述の温度補正は、測定値に温度により影響を受ける一定係数を線形乗算することにより、典型的な実施形態において実行される。
【0043】
座標測定装置における測定手順の間に複数の側面から測定対象物を測定できるために、実際には、回転軸に測定対象物をクランプし、様々なセンサを用いる測定に最適の位置に回転する。回転軸で測定対象物を保持することに加えて、対応する反対側先端を使用することが可能である。測定対象物が先端の間でクランプされる場合、しかし、反対側先端の引張り力が測定対象物の変形をもたらすという問題が生じる。これにより生じる誤差を防ぐために、本発明によれば、所定の力に達するまで、測定対象物を常に変形させるかまたは測定対象物上の反対側先端を自動的に位置決定することが提案される。このように、反対側先端は弾性的に取り付けられ、これにより、対応して必要とされる力は偏向および対応する末端スイッチにより決定できる。
【0044】
座標測定装置の使用に関する別の問題は、複数の輪郭が頻繁に、間隔を空けずに測定されることにある。必要とされる数により、これはかなり長い測定時間をもたらす。この問題は、本発明によれば、座標測定装置の共通の機械的軸上に、間隔を空けずに同じ種類のおよび異なる設計の複数の触知センサを配置することにより解決される。同様に、回転ピボットユニット上に上述のセンサのいくつかを配置することも可能である。このように配置された触知センサにより、加工物の表面の輪郭は走査動作中に同時に記録できる。広範囲の測定はこのように実行される。実施形態の1つの変形例は、本発明によれば、座標測定装置の走査動作(検知デバイスの歪みに基づいた座標測定装置の位置決定プロセスの制御)を実現するための複数の配置された検知デバイスの僅か1つを使用し、他の検知デバイスを作動させて測定された値を単に記録する(受動的に)、結果になる。これらは座標測定装置の制御に寄与しない。マルチセンサ配置に対する任意選択的な回転ピボットユニットの制御は、様々な個々の検知デバイスの平均偏向の間の差により自動的に実行できる。上述のマルチセンサの配置についての典型的な適用事例は、歯面、歯車の測定またはカム軸のカムの幾何形状測定である。複数の測定トラックは、本発明によれば、ある測定手順の間に同時に生成される。
【0045】
測定が加工物の外側縁、特に、回転対称の切削ツールまたは切削板の外側縁上の画像処理センサを用いて実行されると、画像処理センサは測定される外側縁上に永続的に再度焦点を定める必要があるという問題が常に存在する。この問題は、本発明によれば、画像処理ビーム経路にレーザ近接センサを追加して組み込むことにより解決できる。レーザセンサは、画像処理センサから測定される外側縁の近傍における加工物の表面の距離を測定し、このような方法で自動追跡が行われる座標測定装置の位置制御回路に接続される。画像処理センサはこの結果永続的に焦点合わせされる。焦点合わせ動作における加工物の追跡は、代替的には、座標測定装置のデカルト軸または任意選択的な回転軸(測定される加工物の回転)により実現できる。
【0046】
座標測定装置において画像処理センサを使用すると、評価される画像の数が必要とされる測定点の数に対して十分ではないかまたは全体的な測定時間が必要条件に対して十分に実現できないという問題がある。最新技術では、座標測定装置の画像処理システムのカメラはビデオ標準(50から60Hz)で作動され、オペレータまたは画像測定装置のプログラムシーケンスにより予め決められた自由な順番で、画像を記憶および評価する。このように、評価される画像の数はカメラにより記録される数より明らかに小さい。結果として、測定時間が最適ではないかまたは測定点の数が不十分となる。この問題を解決するために、本発明によれば、カメラにより撮影される各画像に対して画像評価を実行することが提案される。これは評価がリアルタイムビデオで実現されることを意味する。言い換えれば、画像が画像処理システムのカメラで撮影される時間中に、前の画像の画像評価の計算が、画像が画像処理システムのカメラにより撮影されるのと平行して同時に実行される。この手順は、全体の測定プロセスが終了するまで連続して繰り返される。画像処理センサの画像評価はリアルタイム映像、すなわち、カメラの画像の繰返し周波数と同一周波数で実行される。この動作モードに基づいて、測定中の回転軸を用いて測定対象物を回転し、リアルタイムビデオ内の真円度の測定を実現するために、測定対象物の外側縁上のカメラの測定点の頻度を用いて測定対象物を記録および評価することが可能である。
【0047】
本発明によればさらに、十分に低い信号対雑音比が得られるまで、積分時間を延長して画像処理センサまたはX線センサの信号対雑音比を改善することが可能である。これは、複数の連続画像が加えられ、画像評価がこの加えられた画像上で実行されることを意味する。この手順は、十分に良質の画像が記憶されさらに処理されるまで、このようなカメラの積分時間の延長により自動的に制御できる。このとき画像点の強度は所望の値まで監視され、複数の画像を記憶することにより拡大される。
【0048】
本発明による座標測定装置では、ビーム経路内に組み込まれたレーザセンサを備える画像処理センサを使用できる。これらのビーム経路はまたズーム光学系として構成できる。別の実施形態では、使用されるズーム光学系の作用距離もまた調整できる。実際に使用されるシステムでは、組み込まれるレーザ近接センサおよび画像処理センサの所望の光学特性は同じ調整パラメータ(作用距離/倍率)では利用できないと予測される。本発明によれば、使用されるズーム光学システムの口径および作用距離は代替的には、レーザセンサまたは画像処理センサに対して最適化できる。この追加の光学システムは、同じ調整パラメータ(作用距離/倍率)がレーザセンサおよび画像処理センサに対しては利用できないようにして構成できる。使用されるズーム光学システムの口径および作用距離は、追加のおよび交換可能な光学付属品によりレーザセンサまたは画像処理センサに対する代替的には最適化できる。この追加の光学システムは、レーザセンサに対する最適化された状態を生成するように構成できる。この付属品を磁気インタフェースを介してズーム光学系に接続し、および/またはこの付属品を触知センサに対して別に使用される検知デバイス交換ステーションにより交換することができる。
【0049】
明視野、暗視野およびダークライト(dark light)といった様々な照射源は、測定が座標測定装置の画像処理センサを用いて実行され、測定される加工物の部分領域に対してそれぞれの最適なコントラストを達成するときに、使用される。これらの照射源は、最適条件を達成するために、照射強度、照射の立体角(照射角度または照射方向)または照射方向といった、これらの設定値に関して変更される。これらのパラメータは測定される対象物の部分領域について異なり、これが1つの照射設定値を用いて対象物全体を光学的に再生することが不可能である理由である。この不都合を排除するために、本発明によれば、様々な照射源を使用して複数の画像を連続して記録し、最適なコントラストの画像を生成して、最適なコントラストを備える領域を各画像から除去し、これら領域を結合して幾何形状的に正しい全体画像を形成することが提案される。詳細には、暗視野の照射の様々な照射方向および/または暗視野の照射の様々な照射角度を使用して、および/または明視野の照射を使用して、同じ対象物または対象物断面部の様々な画像を記録し、個々の画像の最適なコントラスト領域を結合して全体画像を生成することが可能である。これはこの後計測学的に評価できる。上述の動作モードは、画像処理センサの個々のピクセルそれぞれに対して同様に適用される、すなわち、最適なコントラストを備えるピクセルは結果として生じる全体画像の各ピクセルに対する個々の画像の数の間から選択される。単一ピクセルのコントラストは、画像内のこの隣接ピクセルに関するこのピクセルの振幅の差により決定される。
【0050】
加工物の表面の輪郭が自動焦点式センサを用いて測定されると、測定点は通常ティーチインモード(teach-in mode)でオペレータにより予め決定される。未知の輪郭がこのプロセスで測定される場合、これは可能であるが困難性を伴う。これは、本発明によれば、次の測定点の予測位置が補間によりすでに測定された焦点から理論的に計算され、新しい自動焦点により正確に確認できるような方法で、自動焦点式センサを用いる対象物面上の走査手順の実行により改良される。この手順が連続的に数回繰り返されると、完全な自動走査が達成される。1本の線ならびに加工物または測定対象物上で走査される領域に沿って走査される点の数は、オペレータにより予め決定できる。2つまたはこれ以上の以前の測定点から次の測定点を外挿することは、線形外挿により実行できる。さらに、最後に測定された2つまたはこれ以上の点の多項式補間によりこの外挿を実行できる。
【0051】
画像の複数の区切られた領域が各焦点合わせ手順中に焦点を決定するために利用される場合、一連の測定点は、この結果、1つの焦点合わせ手順中に生成される。これらの一連の測定点は間隔を空けずに配置されると、完全な輪郭の走査が同様に実現される。
【0052】
画像処理センサまたはX線断層撮影センサが使用される場合、測定対象物の特性に依存して強い光強度および弱い光強度を備える領域が画像内に存在する問題が生じる。これは、対象物の様々な反射または透過特性により引き起こされる。結果的に、得られる劣った信号体雑音比を有する弱い信号のみが、「暗い」画像領域について生じる。しかし、対象物のより強い照射または放射はより明るい領域でより強く光り、この結果、排除されなければならない。
【0053】
上述の問題は、本発明によれば、各画像断面部に対して様々な照射強度で複数の画像を記録することにより解決される。加えて、同一対象物領域のこれらの画像を結合して新しい全体画像を形成し、画像点の振幅がそれぞれ使用される照射または放射の強度に対して標準化されるようにすることができる。全体画像の結合において、許容されるダイナミックレンジ(例えば8ビットで0−245)の外側に置かれる、各画像のピクセルもまた使用される。各画像から特に強く光る振幅は考慮に入れられない。値の平均は複数の有効画像点の振幅を用いてピクセルに対して実行される。全体画像はこの後評価できる。
【0054】
画像処理センサおよびX線断層撮影用途が使用される場合、測定対象物の放射強度またはX線写真強度は、最適な測定を可能にするには不十分なことが多い。これは本発明によれば、画像処理センサまたはX線断層撮影センサを用いて記録される画像の質の最適化のためにそれぞれ異なる照射または放射強度を用いて対象物範囲の複数の画像を記録し、この後これらを結合して全体画像を形成することにより改良される。例えば、それぞれ異なる照射または放射強度で記録される、個別の画像グループの各個別の画像の画定された有効な振幅範囲(通常0から245LSBの間)内に配置される、画像の振幅(ピクセル)が利用される。特に強く光る(例えば>245LSB)ことを示す振幅の値を備える画像点の振幅は依然として評価において考慮に入れられない。複数の画像からの有効な画像の振幅は1つの画像点に対して利用可能である場合、平均値は標準化された画像点の振幅から生成できる。使用される放射または照射強度に対して標準化された振幅の値について上述の計算のすべてを実行することが可能である。
【0055】
さらに、本発明の詳細、利点および特徴は特許請求の範囲および開示される特徴および/またはこれらの組み合わせからだけではなく、図面に示される好ましい例示的な実施形態の以下の説明から得られる。
【0056】
本発明または本発明の複合形態は、好ましい例示的な実施形態に関して以下にさらに詳細に説明される。
【0057】
対応する説明は座標測定技術の想定される知識に基づいてここに提示される。加えて、非特許文献1及び非特許文献2が参照され、これらの内容は本明細書の一部として説明に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、座標測定装置の概略図を示している。
【図2】図2は、座標測定装置の1つの断面部の概略図を示している。
【図3】図3は、画像処理およびレーザ近接センサを備える座標測定装置の概略図を示している。
【図4】図4は、測定プロセスの概略図を示している。
【図5】図5は、測定プロセスの別の概略図を示している。
【図6】図6は、輪郭追跡概略図を示している。
【図7】図7は、光強度曲線を示している。
【図8】図8は、所望のおよび実際の光強度曲線を示している。
【図9】図9は、所望のおよび実際の輪郭データの比較を示している。
【図10a】図10aは、所望のおよび実際の輪郭を示している。
【図10b】図10bは、所望のおよび実際の輪郭を示している。
【図11】図11は、許容差ゾーンを備える測定対象物を示している。
【図12】図12は、許容差ゾーンを備える測定対象物を示している。
【図13】図13は、部分的に透明な層を測定するための機構を示している。
【図14】図14は、隆起プロファイルを測定するための測定機構を示している。
【図15】図15は、様々な位置における測定対象物の測定に対する測定機構を示している。
【図16】図16は、成形された走査要素の位置を決定するための機構を示している。
【図17】図17は、2つの相互に接続されたセンサを備える機構を示している。
【図18】図18は、測定対象物に対するクランプ機構を示している。
【図19】図19は、複数の測定経路の測定に対するセンサの動作を示している。
【図20】図20は、加工物を測定する機構を示している。
【図21】図21は、画像処理センサおよびレーザ近接センサを備えた測定機構を示している。
【図22】図22は、外挿により決定される測定点を測定する図を示している。
【図23】図23は、X線断層撮影センサを備える機構の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1では、座標測定装置10は、測定作業のそれぞれの問題解決に対して必要とされる1つまたは複数のセンサを装備しており、概略図で表されている。センサは、動作中であっても、選択的に取り付けまたは取り外しあるいは対応するセンサ交換システムにより自動的に交換できる。このように、複雑な加工物の幾何形状の順応性の高い測定が可能である。本発明の範囲は、当然であるが、選択されたセンサの対応する数はこの構成において対象物を測定するために装置に固定して取り付けできる場合も含む。
【0060】
広く知られており、図1に再度示されている座標測定装置10の基本構成は、測定台14を有する、例えば花崗岩から作られる基本フレーム12(測定台)を備え、測定台上に測定される対象物16が置かれ、この対象物の表面特性を測定する。
【0061】
基本フレーム12に沿って、入口18はY方向に移動できる。この目的のために、支柱、即ちベース20、22は基本フレーム12上でスライド可能に支持される。トラバース24が支柱20、22から外側に延びており、このトラバースに沿って可動台が移動できる。この可動台は、中央スリーブ、即ち支柱26を収容しており、Z方向に移動できる。例示的な実施形態においては触知センサとして構成されるセンサ30が、中央スリーブ26または必要な場合は交換インタフェース28から突き出ており、中央スリーブ26が画像処理センサを含む場合、触知/光学センサとして測定を実行する。すでに公知の技術ならびに、レーザ近接センサ、白色光干渉計、画像処理センサ、X線センサまたは色焦点センサ、または共焦点走査測定ヘッドといったこの目的に同様に使われるセンサがここでは参照され、いずれにせよ本発明の教示をこれにより制限することはない。1つまたは複数のセンサが測定作業に応じて選択および使用され、各測定作業に対して座標測定装置10を最適に構成する。従来の座標測定装置で発生する問題は同時に解決される。
【0062】
適切なセンサを備える座標測定装置10を利用可能にするために、座標測定装置は、センサ交換器を有し、この基本構成は図2で見ることができる。このように、複数のセンサは選択的に、交換インタフェースを介して座標測定装置に提供され、手動でまたは待機台への座標測定装置の自動除去により交換できる。
【0063】
図2は中央スリーブ32を備える座標測定装置の1つの断面部の平面図を示している。中央スリーブに接続できるセンサは参照符号34、36、38により示される。センサ34、36、38は、例示的なセンサの種類を単に挙げると、光または触知センサとして作用できる。座標測定装置、すなわち、中央スリーブ32は、センサ34、36、38の交換を可能にするために、Y−X−Z方向に移動できる。例示的な実施形態では、中央スリーブ32、したがって座標測定装置は、位置決定経路40に配置された待機台42内にセンサ34を位置決定し、これにより待機台42内に置かれたセンサ36、38の1つをピックアップし、これを再度、中央スリーブ32に取り付けることができる。待機台42、即ち検知デバイス交換システムは、調整軸44により移動され、検知デバイス交換器42が動作中ではないときは、座標測定装置の測定容積の外側に配置されるようにすることができる。
【0064】
座標測定装置において画像処理センサを利用するとき、ユーザは様々な倍率を設定する必要がある。これは、光学系のコスト最適化および高画質に対する必要条件と相反し、これらは別の方法の必要とされるズーム光学系では達成することが困難である。これらの必要条件を十分に満たすために、画像処理センサのためのカメラは、使用されるモニタまたは画像表示のために使用される画像断面部の解像度より、高い解像度(ピクセル数)を備えるように選択される。カメラはさらに、全体画像の特定断面部への任意選択的なアクセスを備えることができる。このとき、生の画像または座標測定装置の観測される画像内の全体画像の1つの断面部だけを表すことができ、それぞれの表示ウィンドウまたはモニタの大きさに拡大される。結果として、ユーザは、ユーザ自身の考えによる画像のズームされる断面部を選択することができる。測定対象物とモニタの画像との間の倍率は、ソフトウェアによりまたは同様に生の画像の表示により、カメラ画像の選択される断面部を変更することにより制御できる。これは、座標測定装置の制御システムに組み込まれている回転ノブにより、またはソフトウェアコントローラによって、必要に応じて作動できる。さらに、高解像度カメラを使用する場合、画像または画像断面部はモニタの低い解像度を用いてのみ表示されることが可能であるが、カメラの最高解像度は、正確性を向上するためにバックグラウンドで使用されて、デジタル画像を処理する。画像処理の結像光学系の実際の光学的倍率は、ここでは比較的低く(通常1倍、しかし最大でも5倍)、高い倍率の光学的効果は、低解像度のモニタ上の高解像度カメラ画像の1つの断面部のみの表示により達成される。
【0065】
上述のプロセスは図3を参照して原理的に説明される。座標測定装置の断面部が図3に示されている。このように、測定対象物16は測定台14上に表されている。測定対象物16の上方には、対物レンズ46およびCCDカメラ48などのカメラが配置され、カメラはコンピュータ50を介してモニタ52に接続されている。1つまたは複数のコンピュータ50のハードウェアにより、カメラ48とモニタ52間の解像度を数学的に適用して、例えば、モニタ52により再生できるより優れたカメラ解像度を利用することができる。ここではまた、全体画像の特定断面部の任意選択的なアクセスにより介入し、または座標測定装置の生のまたは観測された画像を、表示ウィンドウの大きさに拡大された全体画像の1つの断面部としてのみ示すことができる。モニタ52での表示のために記録されたカメラ画像の様々な断面部を選択することにより、観測者はビーム経路全体の様々な有効倍率を提供される。この倍率は、断面部を変更することにより適用の必要条件に適合できる。これは、例えば、コンピュータ50に接続される電子速度センサ54により、人間工学的に作動される。実際の画像評価はまた、カメラ48により記録されるカメラ画像の最大解像度によりコンピュータ50において実現できる。1倍の倍率および最大で5倍の倍率は、ここでは測定対象物に対する典型的な倍率と考えられる。より大きい光学的倍率は、前述の解像度の適用により実現される。ミラー56および別のカメラ58を追加することによりさらに解像度範囲を変化させることも可能である。切換えはコンピュータ50により同様に実行される。異なるチップサイズおよび同じピクセル数、ならびに異なるピクセル数および等しいチップサイズまたは両方の組み合わせを備えるカメラがここでは使用される。加えて、レーザ近接センサ60は同じ光ビーム経路を使用できる。
【0066】
例示的な実施形態では、カメラ58は、画像スケールを画定する目的のための追加の後拡大光学系62を備えている。ビーム経路内に利用される光学スプリッタおよびミラーは、図3において参照符号56および64により示され、すべての影響を受けるカメラ48、58またはセンサ60がスプリット後に同一の光強度を提供されるように構成される。明視野入射光は別の光学スプリッタ66および照射アレイ68により実現される。上述の動作モードに加えて、さらに高解像度を備えるカメラ画像は、高い倍率の目的で、それぞれ記録されたカメラ画像からの再サンプリングにより表示できる。追加の画像点は、実際の測定される画像点間の補間により数学的に決定される。
【0067】
公知の座標測定装置の問題点の1つは、加工物を測定するために生成されたプログラムが後に修正されなければならないこと、または追加の特徴がすでに得られた測定結果から後に生成されなければならないという事実にある。これは、対応する関連技術データが利用できないため、当分野の現在の技術によると不可能である。この問題を解決するために、本発明では、測定点またはビデオ画像またはX線画像および対応する位置を記憶し、ならびに座標測定装置の1つまたは複数のセンサを用いて測定手順中に記録される、使用される照射システムのデフォルト値、光強度または座標測定装置の使用される対物レンズの倍率などの技術的パラメータを記憶し、これらパラメータをこの後の評価に利用する、ことを実現する。
【0068】
上述の動作モードと同様に、画像処理センサを用いて測定対象物の複数の部分的画像を個々に測定すること、およびこれらを結合して全体の測定対象物の全体画像を生成すること、または全体の測定対象物の部分領域の全体画像を生成することもまた可能である。この画像は記憶され、後に個別のワークステーションで評価される。この目的のために、画像記録に使用される座標測定装置の校正パラメータは同様に、記憶されソフトウェアの評価に再度使用される。これは図4を参照して原理的に明らかにされる。
【0069】
測定対象物68は画像処理センサを用いて測定される。画像断面部は参照符号70、72、76、78により示され、これら断面部は、座標測定装置のX、Y座標系80のさまざまな位置において測定対象物68上で記録される。実際のXおよびY位置に加えて、それぞれの位置で記録される対象物断面部の画像内容が、それぞれ対応する画像処理値ウィンドウ82、84、86、88、ならびに、使用される対物レンズの倍率および使用される照射システムのデフォルト値といった、この目的のため座標測定装置に記憶されるパラメータと一緒に記憶される。これらの値すべてが記録された後、画像内容および関連項目の実際の測定、例えば、角度90または距離92の測定が、評価コンピュータにおいてオフラインで実行できる。
【0070】
画像処理センサが使用されるとき、カメラの視野が、所望の評価範囲(画像処理ウィンドウ)を選択することにより1回で測定対象物の画定範囲を記録するのに不十分である場合については、複数の結合された部分からなる画像が自動的に生成され、この後測定された画像としてユーザに提示され、評価に対して利用可能にされる。これは図5を参照して原理的に明らかにされる。穴96の形状の特徴は測定対象物94上で測定される。画像処理センサの視野98はこの特徴を完全に取得するには不十分である。オペレータは、視野98より明らかに大きい、評価範囲100を設定する。ソフトウェアはこれを自動的に検出し、例示的な実施形態において4つの位置102、104、106、108を画定し、これらの位置を順次測定することにより、全体画像を生成し、測定された特徴、すなわち、例示的な実施形態における穴96を計測学的に記録する。
【0071】
順次実行される、画像処理センサを用いる測定における以下のプロセスは、図6により明らかにされる。
【0072】
−測定対象物の存在が検出されるまで、直線、螺旋形、蛇行、円形、確率的または別の幾何形状の探索路全体にわたって、センサを駆動することにより、座標測定装置の測定範囲内の測定対象物を探索する。
【0073】
−測定対象物の外側の輪郭の走査を開始する(測定対象物の外側の輪郭の形状および位置を記録するために輪郭を追跡する)。
【0074】
オプションとして、外側の輪郭内に置かれる測定点はまた、画像処理センサを用いるラスタリングおよび/または他のセンサを用いる走査により、測定対象物上で記録できる。
【0075】
このように、測定対象物110は測定台12上に置かれる。測定に使用される画像処理センサは評価範囲112を有する。測定台12上の測定対象物110の基本位置は、例えば、画像内容を変更することにより、螺旋状経路114上を移動して検出できる。測定対象物110の外側輪郭の走査は、経路114に沿った外側輪郭の完全な記録(輪郭追跡)まで、画像処理センサの対象物輪郭(範囲116)との一致点で開始する。この後、対象物全体の完全な記録を達成するために、測定対象物110の内部範囲のラスタ形状の記録は以前に画定された外側境界120内で実行される。これにより、対象物全体118は評価に利用可能になる。
【0076】
画像処理センサを備える座標測定装置の使用に伴う問題は、様々な照射システムが線形特性を有していないという事実にある。これは中でも、様々な測定対象物を正確に測定できないまたはプログラムを1つの装置から他の装置に容易に転送できないという事実をもたらす。この問題を解決するために、本発明によれば、座標測定装置の画像処理センサシステムの照射デバイスの特性を記録すること、すなわち、画像処理センサを用いて対応するデフォルト値に関して照射強度を測定することにより、測定装置のオペレータインタフェースの調整画像上の照射強度の依存性を検出することが提案される。対応する測定結果は、測定装置のコンピュータに特性として記憶される。さらに、座標測定装置の動作中に照射強度の制御を実行する、いわゆるライトボックスにこれらの測定値を記憶することもできる。この光特性の測定が、校正される参照対象物についてまたは少なくとも複数の装置に対して標準校正対象物について実行される場合、外部に対する装置の挙動、すなわち、光のデフォルト値と物理的な照射値間の依存性に関連する装置の挙動を平衡させることができ、この結果、様々な装置間のプログラムの移動性を保証することができる。
【0077】
装置の動作を容易にするために、線形性がオペレータに対して事前設定されるような方法で特性を補正することが実際的であり、すなわち、以前に測定された特性は、座標測定装置の動作中に、線形特性がオペレータに対して明らかに利用可能であるような方法で、考慮される。この後デフォルト値および照射強度は相互に直線的な関係にある。次に、この線形特性の向上を単純な補正係数により複数の装置に対して平衡させることができる。
【0078】
光学座標測定装置における照射システムの本来の光特性122は図7の左上に示されている。照射強度Eは照射源を流れる電流Iに直線的に依存しない。図7の右上に示されているグラフでは、第2の座標測定装置の同様の特性122が示されているが、細部では異なっている。特性120および122の支持点124および126での電流Iにおける照射強度Eの依存性をそれぞれ記録し、および照射調整のために制御コンピュータにこの支持点情報を記憶することにより、電流Iを調整するために標準値を分割して特性122を補正し、両方の測定装置に対して同一線形特性が得られるようにする。これらは図7の下の図に示されており、参照符号128、130で示される。結果的に、同一照射強度は基準値で達成される。
【0079】
図8は光強度Eを制御する動作モードを示している。例えば、画像処理センサを用いる測定のためのCNCプログラムが準備されている場合、座標測定装置が、例えば入射光内で、測定対象物と組み合わされる、光特性132はティーチインモードで有効になる。照射強度ESの所望の値は、照射電流Ilにより調節される。別の測定対象物または測定対象物上の別の点が測定される場合、光特性の増加変化をもたらす、材料の反射特性の変化を受け入れることができる。この第2の光特性133は同様に図8に示されている。照射強度が電流Ilの調整後に測定されると、照射強度Elが結果として決定される。これは所望の値ESに対応しない。現在の電流値の光特性における増加はIlおよびElから得られ、必要な電流ISは所望−実際の強度ESを調整するために簡単に計算できる。
【0080】
前述の手順の物理的構成は図3で見ることができ、この図には光源68、ミラー64および対物レンズ46が照射デバイスを表す。計算はコンピュータ50により実行される。測定対象物16の反射挙動は測定対象物内で異なり、電流Iおよび照射強度Eに対して様々な反応を生成する。
【0081】
座標測定装置を用いると、加工物の表面の輪郭の走査が可能である。これは、センサを用いてまたは複数のセンサを使用して組み合わされた動作により実現できる。輪郭の評価が、これらの輪郭データと、例えばCADファイルからの所望の輪郭との比較により実行される場合、図形の比較を実現するために、所望のおよび実際の輪郭をコンピュータ内部で重ね合わせることが必要である。部品が弾性的に変形するため、これは、特に、軟質または弾性部品では、相対位置の単純な異動または相対位置の回転によって重ね合わせることは不可能である。この問題は、以下に説明される、本発明の特徴を有する方法に従って進行することにより解決される。所望の輪郭と実際の輪郭の間の最良の適合では、所望の輪郭と実際の輪郭自体の間の相対位置の変化からとは別に、輪郭断面部の長さが所望の長さに応じて変更されると同時に、実際の輪郭における輪郭の長さを維持する間に曲率または代替的には輪郭の曲率を維持することにより、所望の輪郭の最適な有効範囲が達成されるようにする。記録された幾何形状の特徴を備える部品がこれらの弾性または変形のために試験が困難である場合、この手順は、
輪郭の交点または円形構造または他の反復構造といった個々に記録される特徴に対して、所望の輪郭および実際の輪郭のグループにおける実際の輪郭と所望の輪郭と間の適合を実行することにより強化され、この結果、所望の輪郭を備える最適な有効範囲に対する実際の輪郭の変形を生成する。これはまた同様な方法で円筒形部品において可能であり、この場合、円筒表面上で測定される輪郭が円筒外被面上で部分的に回転されるまたはねじでクランプされることで、所望の輪郭と実際の輪郭との間の最適な有効範囲を生成する。この動作モードは特に、医療分野で一般化しているステントの測定に使用される。上述の方法はまた、同様の逆動作モードにおいて可能であり、すなわち、実際の幾何形状に所望の幾何形状を適合する。
【0082】
図9は、所望の輪郭を備える最適有効範囲に対する実際の輪郭が円柱外被面上で部分的に回転またはねじでクランプされることを、原理的に示している。点集合、円筒形状の外被面により基本的に表される、参照符号134により示される。測定対象物の変形のため、この円筒形状の外被面の構造体は円筒軸に沿って相互に回転またはねじられる。このねじれは本発明の教示に基づいて開始位置への構造体の逆回転により数学的に補正される。これは、対応する所望のデータに対する実際の比較に対する所望値により、円筒軸に対して横方向に測定する点集合のそれぞれの断面部を比較することにより、および、これからそれぞれの断面部に対する必要な回転位置を計算することにより、実現される。これはこの後、円筒軸を通る任意の所望の断面部に対して実行されるか、ねじれが個々の断面部間の補間により補正される。図9の下部では、断面部および所望と実際との比較および逆回転が表される。上述のとおり、参照符号134により示される測定する点集合は円筒形状を有する測定対象物である。測定する点集合134はねじれを備えて表され、それぞれに強いねじれが断面部136、135、140に存在する。これらの断面部平面では、所望の点の位置142は、図9の下部分の表示による実際の点の位置144と比較され、ねじれ角146はこれから計算される。この手順は、それぞれの断面部136、135、140に対して反復され、測定する点はこれらの間で補間される。この結果、断面部136、135、140においてねじれの補正を備える測定点集合が取得される。補正される断面部は、図9の右上の参照符号148、150、152により示される。これにより、例えば、所望のデータに従って構造体に割当てられた位置におけるこの後の画像処理センサに対する評価ウィンドウを確立することが可能である。点集合134に対して補正された点集合は参照符号154で示される。
【0083】
図10は、所望の輪郭158に関する好適な有効範囲が、長さを維持する一方で、曲率を変化させることにより実際の輪郭156からこの後の比較に対して生成される方法の例を示している。円160は、所望の輪郭158に対するより優れた適合は、一定の長さ(この場合は周辺部)での曲率変化により可能になることを示している。
【0084】
図10bは、所望の値と実際の値の間のより優れた有効範囲が次の比較のために可能にされると同時に、輪郭断面部の長さの変更により輪郭の曲率を維持する方法を示している。ここでは、実際の輪郭は参照符号162により示され、所望の輪郭は参照符号164で示される。輪郭166は、曲率が保持される一方、引き伸ばしにより所望の輪郭164に適合される実際の輪郭である。
【0085】
本発明によれば、所望または実際の輪郭に割当てられる許容差ゾーンは所望の輪郭と実際の輪郭の間のずれの評価の間において評価できる。許容差ゾーンはCAD図面の測定値データから自動的に導かれるかまたは代替的にはオペレータデータにより画定される。このプロセスは図11および12に関する説明に基づいてより詳細に説明される。
【0086】
対応する測定(測定1から測定4)を有する要素1ないし6と測定に対応する許容差ゾーンとから成る加工物167が、図11に表されている。対応する測定および許容差ゾーンは、CAD図面から得られるかまたは代替的にはオペレータデータにより画定される。第1ステップでは、2辺の対称の許容差ゾーンが、本発明による提示例における、各要素(element)について様々な幅を有する要素のすべてに割当てられる。図11では、異なる幅の2つの許容差ゾーンが、要素3については測定2により、および要素5については測定4により、要素1に割当てなければならないことが見られる。それぞれの許容差ゾーンは同様に、要素4については測定3の規格により、および要素6については測定1の規格により、要素2に割当てられる。各要素に対するそれぞれの許容差ゾーンの計算および割当ては、本発明によれば、すべての参照寸法を分析することで実行され、これら寸法は、図面内の要素に対して画定され、および要素に対して利用可能な参照寸法による各図面要素に対する許容差ゾーンの自動再分割により画定される。
【0087】
提示例では、これは、2つの許容差ゾーン(図12参照)は自動的に要素1に対して画定されることを意味する。上部の許容差ゾーンは測定2に割当てられる許容差により生成され、下部の許容差ゾーンは測定4に割当てられる許容差により生成される。したがって、2つの許容差ゾーンは要素2に割当てられ、ここでは、図12に示されている要素2に対する左の許容差ゾーンは測定1に割当てられる許容差ゾーンから生成され、要素2に対する右の許容差ゾーンは測定3に割当てられる許容差ゾーンから生成される。第1ステップでは、実際の加工物167上の記録される測定点は自動的に決定される許容差ゾーンの1つに対するこれら測定点の位置に応じて割当てられる。許容差ゾーンが維持されていることを試験するために、各許容差ゾーンに割り当てられる測定点は、自由度を固定することなく、加工物167内の所望の輪郭により画定される許容差ゾーンに対して最良の可能な方法で適用され、この適用条件は許容差ゾーンの種類に基づいて自動的に選択される。許容差ゾーン評価に関する対応する試験は、すべての許容差ゾーンおよびこれらの許容差ゾーンにそれぞれ割当てられるすべての測定点に対して連続的に実行される。
【0088】
自動焦点式センサを用いる画像処理を実行する場合、部分的に透明な層の高さが測定されなければならないという問題が頻繁に発生する。この目的ために、本発明は、自動焦点合わせ動作において画像処理センサを用いて複数の半透明の層上に複数評価範囲に対する自動焦点測定点を同時に生成することが提示される。これは、測定方向における画像処理センサの移動および同時に複数の画像を記録することにより実現される。焦点測定点は、それぞれ確立される評価範囲内のコントラスト基準に従って計算される。これは図13に示されている。画像処理センサ168の移動は、Z軸に沿った自動焦点合わせプロセスを実現するために、センサ168の焦点170が半透明測定対象物172内の様々な位置内に配置されるようにしてなされる。このようにして、コントラスト特性174が取得される。最大コントラスト特性のそれぞれは、様々な材料層の種類の間のそれぞれの半透明層の位置を表しており、このコントラスト曲線174から、次に、対応して割当てられたZ位置、Z1、Z2およびZ3を計算できる。ここでは、コントラスト自動焦点式測定に対する通常のプロセス処理を使用できる。
【0089】
座標測定装置におけるレーザ近接センサを用いて、加工物の表面上の輪郭はセンサ方向に走査される。すなわち、座標測定装置は、センサ測定方向とは異なる方向における所定の経路上を移動する。本発明によれば、このとき、センサの位置制御または座標測定装置の位置制御は、レーザ近接センサの偏差表示に基づいて、レーザ近接センサの偏差を一定に保持するような方法で制御される。このようにして、測定対象物上の輪郭線を走査することができる。対応する輪郭線の走査は図14に示される。このように、測定対象物176は座標測定装置の測定台上に置かれ、座標測定装置のレーザ近接センサ178などの近接センサにより走査される。レーザ近接センサ178は基本的に、対象物表面への距離が一定であるようにして起動される。具体的な例では、センサ178のZ位置は一定に保たれ、XおよびY位置の制御により、センサの測定点は常に、平面180内に留まり、この結果測定対象物176の輪郭線182の走査が達成される。
【0090】
座標測定装置の使用に生じる別の問題は、測定対象物が様々な側面から測定されなければならないという事実にある。しかし、座標測定装置における測定対象物の位置が変更される場合、互いの測定点の基準は失われ、測定点の相互評価は不可能になる。この欠点を回避するために、以下のステップが実行される。
【0091】
−例えば、測定対象物190または測定対象物190を収容するフレームといったホルダ191上の球体の形体の、1つまたは複数、好ましくは3つの参照マーク184、186、188の位置を測定するステップ。
【0092】
−座標測定装置のコンピュータ内に上記位置を記憶するステップ。
【0093】
−1つまたは複数のセンサ192によりアクセスできる、測定対象物190上の任意の所望の点194を測定するステップ。
【0094】
−手動あるいは組み込まれた回転軸または回転ピボット軸(矢印196)による、座標測定装置の測定容積内で測定対象物190の位置を変更するステップ。
【0095】
−参照マーク184、186、188を再度測定し、座標測定装置の測定容積内の変更された位置198、200、202を決定するステップ。
【0096】
−それぞれの参照マーク184、186、188またはこれらの位置198、200、202を内部で適用して、ソフトウェア内のこれら参照マーク間に最小のずれが生じるようにするステップ。
【0097】
−座標測定装置の1つまたは複数のセンサ192を用いて測定対象物190上の別の点204を測定するステップ。
【0098】
−上述の手順を任意の回数繰り返すステップ。
【0099】
−座標系内の上述の測定サイクル中に記録される測定対象物190の測定点194、204のすべてを一緒にして評価するステップ。
【0100】
様々なセンサを備える座標測定装置はまた、中でも、光触知検知デバイスを備える選択センサを有する。ここでは、成形される走査要素(球体または円筒体)の位置の決定は画像処理センサにより実行される。問題は、このセンサを走査球体の位置に調整する必要性にある。これは、本発明によれば、調整ユニットを追加して配置することにより解決でき、この調整ユニットにより、センサを移送する座標軸上の、成形された走査要素(走査ピンまたはホルダを含む走査球体)と画像処理センサとの間の相対的な調整が可能になる。例えば、成形された走査要素の自動的焦点合わせは、自動焦点合わせプロセスにより画像処理センサに対して可能である。
【0101】
これにより、触知/光学センサ210(光触知センサとも称される)は座標測定装置内の調整軸208に図16に示されているように配置される。この調整軸208は、例示的な実施形態では光学センサ210の光学軸と一致する、座標測定装置の座標軸、好ましくはZ軸208上に位置する。第2のZ軸を別個に制御する(調整デバイス210)ことにより、適切な方法で光学センサ210の焦点面214に対して触知/光学センサ206の成形された走査要素212の相対位置を調整することが可能になる。
【0102】
座標測定装置は一般に、設置される場所において様々な使用温度に曝される。複数のセンサが座標測定装置上に取り付けられる場合、これは様々なセンサ間の位置において熱的に生成される温度変化をもたらす。これにより測定誤差が生じる。これを補正するために、1つまたは複数の位置に様々なセンサを取り付けるのに役立つ機械構成要素の温度が1つまたは複数の位置で測定され、対応する機械構成要素の膨張は、様々なセンサにより記録される測定点を計算するときに考慮に入れられる。
【0103】
図17は例えば、座標測定装置のZ軸222上の2つのセンサ218、220を備える構成を示している。センサ218、220は、1つまたは複数の接続要素224と一緒におよびZ軸222に相互に接続される。測定の間は1つまたは複数の接続要素224の温度は温度センサ226により常に測定され、対応する位置の変化は評価コンピュータ228を介して補正され、測定結果を考慮に入れる。
【0104】
座標測定装置における測定手順の間、複数の側面から測定対象物を測定可能にするために、実際には、回転軸に測定対象物をクランプし、これにより、様々なセンサを用いる測定に対して最適な位置に回転する。加えて、回転軸、また対応して配置される反対側先端とは別に、測定対象物を保持することが可能である。しかし、測定対象物が先端間でクランプされる場合、反対側先端の張力が測定対象物の変形をもたらす問題が生じる。これにより引き起こされる誤差を防止するために、本発明によれば、所定の力を達成するまで、測定対象物を常に変形するかまたは測定対象物上の反対側先端を自動的に配置することが提案される。このように、反対側先端は弾性的に取り付けられ、これにより、これに対応して要求される力は、たわみおよび対応する末端スイッチによって決定できる。
【0105】
図18は、測定対象物230がクランプされるとき、先端232および反対側先端234は、反対側先端234が末端スイッチ238と相互に作用するまで、ガイド236により測定対象物230に接触する点まで押される方法を示している。前張力は、例えば、付勢されたばね240により生成され、ガイド236上の対応するデバイス244により達成される、反対側先端234の送り出し動作(矢印242)は、反対側先端234が末端スイッチ238上でまたは同様に作用要素上で作用する場合、遮断される。このように、クランプされる測定対象物230の前張力は明確に定義される。
【0106】
座標測定装置の使用における別の問題は、複数の輪郭が頻繁に、間隔を空けずに測定されることにある。必要とされる数により、これはかなり長い測定時間をもたらすことが多い。この問題は、本発明によれば、座標測定装置の共通の機械軸上に、間隔を空けずに同じ種類のおよび異なる設計の複数の触知センサを配置することにより解決される。図19は1つの例を示している。このように、複数の触知センサ248、250、252は座標測定装置の共通のZ軸254上に配置される。様々な位置に対する測定点258、260、262は、座標測定装置において一緒にして評価され、この結果、測定対象物256が走査されるときに同時に測定できる。
【0107】
切削ツールなどの、加工物の外側縁上の画像処理センサを用いる測定中に、座標処理センサは測定される外側縁上で永続的に再度焦点合わせされなければならないという問題が常に存在する。この問題は、本発明によれば、画像処理ビーム経路内にレーザ近接センサを追加して組み込みもことにより解決される。レーザセンサは、測定される外側縁の近傍において画像処理センサから加工物の表面の距離を測定し、座標測定装置の位置制御回路に接続されて、自動追跡を実行する。この結果、画像処理センサは永続的に焦点合わせされる。これは、図20に原理的に示されている。座標測定装置のZ軸254上では、画像処理およびレーザ近接測定に対して2つの相互に結合されたセンサ260、262が組み合わされ、共通光学系264によりツール266上の測定点を記録する。ツール266の回転軸268は、座標測定装置の利用可能なセンサの信号もまた有する、画像測定装置のコンピュータおよび制御システム270により、切断面がツールの切断面274内にこの配置を置くような方法で、レーザ近接センサ262を用いて測定されるツール266のクランプ面272上の測定点が回転軸268の設定に影響するような方法で、制御される。したがって、同じ座標測定装置の画像処理センサ260を用いて対応するツールの外側輪郭の測定が可能である。この手順は、座標測定装置のX、YおよびZ軸の一定の回転および移動により連続的に繰り返され、3つの座標すべてにおける走査は同時に実行される。
【0108】
本発明による座標測定装置では、ビーム経路内に組み込まれるレーザセンサを備えた画像処理センサを使用できる。実際に使用されるシステムにより、組み込まれるレーザ近接センサおよび画像処理センサの所望の光学特性は同一調整パラメータ(動作距離/倍率)では利用できない。使用されるズーム光学系の開口および動作距離は追加の交換可能な光学付属品により、レーザセンサおよび画像処理センサを代替的に最適化できる。
【0109】
共通測定対物レンズ282を備えるビームスプリッタ280を介して座標測定装置において利用される、画像処理センサ276およびレーザ近接センサ278が、図21に示されている。測定対象物284はここで走査されなければならない、言い換えると、この場合では、非接触で測定される。交換台288に置かれる、追加の前置光学要素286を交換することにより、全体のビーム経路の光学特性の変更が可能である。これは、ビーム経路内に配置されるまたは配置されない測定対物レンズ282および前置光学要素286により決定される。このように、レーザ近接センサ278に対する調整パラメータの最適化は、前部でまたは少し離れて前置光学要素286を備える画像処理センサ276に対してまたはこの逆に配置される、前置光学要素286を用いて実行される。
【0110】
加工物の表面の輪郭が自動焦点式センサを用いて測定される場合、測定点は通常ティーチインモードでオペレータにより予め決定される。これの防止は、未知の輪郭がこのプロセス処理を使用して測定される場合、かなりの困難を伴って可能になるだけである。これは、本発明によれば、次の測定点の予測位置がすでに測定された焦点から補間により理論的に計算され、新しい自動焦点により正確に確認されるような方法で、自動焦点式センサを用いて対象物表面上の走査手順を実行することでなされる。この手順が連続して数回繰返されると、完全自動走査が達成される。加工物または測定対象物上で走査される1つの線ならびに1つの領域に沿って走査される点の数はオペレータにより予め決定される。2つまたはこれ以上の所定の測定点から次の測定点への外挿は線形外挿により実行される。
【0111】
自動焦点式センサを用いて材料の表面を走査する対応するプロセスは、図22に示されている。自動焦点式センサ290は、表面の点を測定するために、座標測定装置のZ軸での移動により第1位置291に適用される。この目的のために、コントラスト挙動は焦点範囲292全体にわたり記録され、焦点位置294は測定点に応じてこれから計算される。同一手順が、対応する焦点測定範囲296および測定点298を用いて次の位置295で反復される。位置304における焦点測定範囲302したがってセンサ290の位置は、例えば、直線300の補間により決定され、測定点306はここで測定される。この手順は、測定される対象物の輪郭308の全体長さまたはこの一部が測定されるまで、必要に応じて多数回数反復される。
【0112】
画像処理センサまたはX線断層撮影センサの使用により、測定対象物の特性に依存して、強いならびに弱い強度を備える領域が画像内に存在するという問題が頻繁に発生する。これは、対象物の様々な反射または透過特性によりもたらされる。結果的に、結果として生じる劣った信号体雑音比を有する弱い信号のみが、「暗い」画像領域について生じる。しかし、対象物のより強い照射または放射はより明るい領域でより強く光り、この結果排除される。
【0113】
これらの上述の問題は、本発明によれば、各画像断面部に対する様々な照射強度を用いて複数の画像を記録することにより解決される。同一対象物領域のこれらの画像はこの後、画像点の振幅がそれぞれ使用される照射強度または放射強度に対して標準化されるようにして、結合され新しい全体画像を形成する。全体画像の結合については、認められるダイナミックレンジ内に配置される、各画像のピクセルもまた使用される。各画像の特に強く光る振幅は考慮に入れられない。
【0114】
したがって、X線源308、測定センサ312を備える回転台310、およびX線センサ314もまた図23に示されている。X線検出器314の画像点の振幅はコンピュータおよび評価システム316に記憶され、この後上述の処理ステップにより評価および結合される。ここでは、評価システム316によって上述の動作モードに従って、放射源(X線源)308のX線周波数および検出器の記録パラメータの制御が可能である。
【符号の説明】
【0115】
10…座標測定装置、12…基本フレーム、14…測定台、16…測定対象物、18…入口、20…支柱、22…支柱、24…トラバース、26…、中央スリーブ、30…センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の可動横軸を備え、加工物の表面上の測定点を記録する様々なセンサを有する座標測定装置を用いて加工物の幾何形状を測定する方法であって、
1つまたは複数の位置に前記様々なセンサを取り付けるのに役立つ、機械的構成要素の温度が測定され及び考慮に入れられて、不良動作を補正する、方法。
【請求項2】
前記座標測定装置の設置場所における温度変動に起因する不良動作を補償するために、1つまたは複数の位置に様々なセンサを取り付けるのに役立つ機械構成要素の温度が測定され、
前記対応する機械構成要素の膨張が、前記様々なセンサにより記録される前記測定点を計算するときに考慮に入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不良動作の補償は線形乗算により実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の可動横軸を備え、加工物の表面上の測定点を記録するための、所定の測定課題の達成に適した様々なセンサを有する座標測定装置であって、
前記座標測定装置は、温度による前記センサ間の位置の変化を調べるために、複数の温度の測定点を有する、座標測定装置。
【請求項5】
前記様々なセンサ(218、220)を取り付けるのに役立つ機械構成要素(244)が、1つまたは複数の温度センサ(226)を備え、
前記センサは前記座標測定装置の前記評価コンピュータに接続されている、請求項4に記載の座標測定装置。
【請求項1】
複数の可動横軸を備え、加工物の表面上の測定点を記録する様々なセンサを有する座標測定装置を用いて加工物の幾何形状を測定する方法であって、
1つまたは複数の位置に前記様々なセンサを取り付けるのに役立つ、機械的構成要素の温度が測定され及び考慮に入れられて、不良動作を補正する、方法。
【請求項2】
前記座標測定装置の設置場所における温度変動に起因する不良動作を補償するために、1つまたは複数の位置に様々なセンサを取り付けるのに役立つ機械構成要素の温度が測定され、
前記対応する機械構成要素の膨張が、前記様々なセンサにより記録される前記測定点を計算するときに考慮に入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不良動作の補償は線形乗算により実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の可動横軸を備え、加工物の表面上の測定点を記録するための、所定の測定課題の達成に適した様々なセンサを有する座標測定装置であって、
前記座標測定装置は、温度による前記センサ間の位置の変化を調べるために、複数の温度の測定点を有する、座標測定装置。
【請求項5】
前記様々なセンサ(218、220)を取り付けるのに役立つ機械構成要素(244)が、1つまたは複数の温度センサ(226)を備え、
前記センサは前記座標測定装置の前記評価コンピュータに接続されている、請求項4に記載の座標測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−137498(P2012−137498A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−55740(P2012−55740)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【分割の表示】特願2007−545955(P2007−545955)の分割
【原出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(500473760)ベルス・メステヒニーク・ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【分割の表示】特願2007−545955(P2007−545955)の分割
【原出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(500473760)ベルス・メステヒニーク・ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】
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