説明

建設機械の旋回駆動装置

【課題】旋回モータユニットを取り外した際におけるバネ部材に起因する組付け性の低下を防止することが可能な旋回駆動装置を提供する。
【解決手段】旋回駆動装置10は、旋回モータMを含む旋回モータユニット20と遊星歯車機構30を含む減速機ユニット21との間に、押さえプレート40を配置している。押さえプレート40は、減速機ユニット21側から飛び出した複数のバネ部材42の上部を押さえ込むようにして、減速機ユニット21との間にバネ部材42を内包する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部旋回体等を旋回駆動する建設機械の旋回駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、油圧ショベル等の上部旋回体を旋回駆動するための旋回駆動装置が、各種建設機械に搭載されている。
この旋回駆動装置には、回転駆動力を供給する旋回モータを含む旋回モータユニットと、旋回モータユニットからの回転駆動力を減速して伝達する減速機ユニットとが接続されて構成されたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、電動モータからの回転駆動力を、遊星歯車を含む減速機を介して旋回体へ伝達する建設機械の旋回駆動装置が開示されている。この旋回駆動装置では、電動モータと旋回体との間に減速機を挟み込むように配置している。そして、電動モータと減速機との接続部分には、減速機のメカニカルブレーキに対して下向きに付勢力を付与する複数のバネ部材が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の建設機械の旋回駆動装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、旋回モータユニットと減速機ユニットとの間にバネ部材を設置した構成では、修理や交換のために旋回モータユニットを取り外すと、露出したバネ部材が付勢力によって外部に飛び出してしまうおそれがある。この場合には、旋回モータユニットを再度組み付ける際に、バネ部材を集めて再度セットしなくてはならなくなるため、組付け性が低下するおそれがある。
【0005】
さらに、このような組付け性の低下を回避するために、バネ部材を押さえる部品を追加した場合には、旋回モータユニットと減速機ユニットとの接続部分に新たな部材が追加されるため、旋回駆動装置全体の高さが大きくなってしまうおそれがある。
本発明の課題は、旋回モータユニットを取り外した際におけるバネ部材に起因する組付け性の低下を防止するとともに、旋回駆動装置の高さが大きくなることを回避することが可能な建設機械の旋回駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る建設機械の旋回駆動装置は、旋回モータの回転駆動力を、減速機を介して旋回体に伝達する旋回駆動装置であって、旋回モータユニットと、減速機ユニットと、複数のバネ部材と、押さえ部材と、を備えている。旋回モータユニットは、旋回モータを含んでいる。減速機ユニットは、減速機を含んでいる。複数のバネ部材は、減速機ユニット内のブレーキ部材に対して押圧力を付与する。押さえ部材は、減速機ユニットとの間にバネ部材を挟み込むように、旋回モータユニットと減速機ユニットとの境界面より旋回モータユニット側であって旋回モータユニットに入り込んで配置される。
【0007】
ここでは、例えば、油圧ショベル等の上部旋回体を旋回させるために建設機械に搭載される旋回駆動装置において、減速機ユニット内に設置されたブレーキ部材に対して押圧力を付与するために旋回モータユニットと減速機ユニットとの間に複数のバネ部材が配置されている。そして、旋回モータユニットと減速機ユニットとの間に押さえ部材を設け、押さえ部材と減速機ユニットとの間において、複数のバネ部材を押さえ込む。
【0008】
ここで、上記押さえ部材としては、プレート状のものであってもよいし、ブロック状のものであってもよい。また、押さえ部材としては、複数のバネ部材ごとに複数設けられていてもよいし、複数のバネ部材を単体で押さえ込む部材であってもよい。
これにより、旋回モータの修理・交換等を行うために旋回モータユニットと減速機ユニットとの接続を解除して、旋回モータユニットを取り外した場合でも、従来は減速機ユニット側の表面に露出していた複数のバネ部材を、押さえ部材によって押さえ込んだ状態のまま留保することができる。よって、旋回モータユニットを取り外した際のバネ部材の飛び出しに起因する組付け性の低下を防止することができる。さらに、押さえ部材が旋回モータユニット側に入り込んで配置されるため、旋回駆動装置の高さが大きくなることを回避しつつ、押さえ部材を構成として追加することができる。
【0009】
第2の発明に係る建設機械の旋回駆動装置は、第1の発明に係る建設機械の旋回駆動装置であって、旋回モータユニットの下部に押さえ部材を案内する案内部を、さらに備えている。
これにより、旋回モータユニットを組み付ける際に、案内部に合わせて組み付けることができる。
【0010】
第3の発明に係る建設機械の旋回駆動装置は、第1または第2の発明に係る建設機械の旋回駆動装置であって、押さえ部材は、複数のバネ部材が収容される略筒状の穴部を有している。
ここでは、複数のバネ部材のそれぞれに対応する押さえ部材側の位置に、バネ部材の一部を収容するための略筒状の穴部を設けている。
【0011】
これにより、穴部が略筒状に形成されているため、バネ部材の移動が拘束され、屈曲することなく安定した状態でバネ部材を保持することができる。
【0012】
第4の発明に係る建設機械の旋回駆動装置は、第3の発明に係る建設機械の旋回駆動装置であって、穴部は、底面に貫通孔が形成されている。
ここでは、バネ部材の一部を収容するために押さえ部材に形成された穴部の底面(押さえ部材の上面)に、減速機側の空気を抜くための貫通孔を設けている。
これにより、減速機内に保持されている油が減速機内の所望の位置に入り込みやすくなる。よって、減速機内における油切れを効果的に防止することができる。
【0013】
第5の発明に係る建設機械の旋回駆動装置は、第4の発明に係る建設機械の旋回駆動装置であって、貫通孔は、穴部の底面の中央部分に形成されている。
ここでは、押さえ部材の穴部の底面(押さえ部材の上面)に形成された貫通孔が、底面のほぼ中央に形成されている。
これにより、穴部に収容されるバネ部材の一端が、貫通孔に干渉することはない。よって、穴部内においてバネ部材を真っ直ぐに保持することができるとともに、空気抜きという貫通孔の本来の機能が損われることを防止することができる。
【0014】
第6の発明に係る建設機械の旋回駆動装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る建設機械の旋回駆動装置であって、押さえ部材は、リング状の形状を有している。
ここでは、複数のバネ部材を押さえる押さえ部材として、複数のバネ部材の配置に沿って形成されたリング状の形状を有するプレートを用いている。
これにより、1つの部材によって複数のバネ部材を効果的に押さえ込むことができる。また、略C型形状の部材と比較して、バネ部材を押さえ込む際にバランスを取り易くすることができる。
【0015】
第7の発明に係る建設機械の旋回駆動装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る建設機械の旋回駆動装置であって、旋回モータユニットは、電動モータを有している。
ここでは、旋回モータユニットに含まれる旋回モータとして、電動モータを用いている。一般的に、電動モータは油圧モータと比較して高速で回転するために、必然的に減速機を介して旋回体に対して駆動力を伝達する必要がある。
【0016】
このため、上述したように、旋回モータユニットと減速機ユニットとの間にバネ部材を配置する構成となる。これにより、上述したような構成であっても、バネ部材の飛び出しに起因する旋回モータユニットの着脱時における組付け性の低下を招くことはない。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る建設機械の旋回駆動装置によれば、旋回モータユニットを取り外した際におけるバネ部材に起因する組付け性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る建設機械の旋回駆動装置を搭載した油圧ショベルの構成を示す斜視図。
【図2】図1の油圧ショベルに搭載された旋回駆動装置の構成を示す斜視図。
【図3】図1の油圧ショベルに搭載された旋回駆動装置において、旋回モータユニットと減速機ユニットとの接続部分を分離した状態を示す分解斜視図。
【図4】図1の油圧ショベルに搭載された旋回駆動装置において、内部の押さえプレートを除去した状態を示す分解斜視図。
【図5】図2等の旋回駆動装置における旋回モータユニットと減速機ユニットとの接続部分の構成を示す拡大断面図。
【図6】減速機ユニットから旋回モータユニット、押さえプレートを取り除いた状態を示す平面図。
【図7】(a),(b)は、図5の押さえプレートの構成を示す平面図および側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る建設機械の旋回駆動装置を搭載した油圧ショベル1について、図1〜図7(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
[油圧ショベル1]
本実施形態に係る油圧ショベル1は、図1に示すように、下部走行体2と、旋回台3と、作業機4と、カウンタウェイト5と、車体部6と、機器室7と、キャブ8と、を備えている。
【0020】
下部走行体2は、進行方向における左右両端部分に巻き掛けられた履帯Pを回転させることで、油圧ショベル1を前進・後進させる。また、下部走行体2は、旋回台3とこれを旋回させる旋回駆動装置10(図2および図3参照)とを上面に搭載している。
旋回台3は、後段にて詳述する旋回駆動装置10(図2および図3参照)によって下部走行体2に対して任意の方向に旋回可能である。そして、旋回台3は、上面に作業機4と、カウンタウェイト5と、車体部6と、キャブ8とを搭載している。
【0021】
作業機4は、ブーム11と、ブーム11の先端に取り付けられたアーム12と、アーム12の先端に取り付けられたバケット13とを含むように構成されている。そして、作業機4は、図示しない油圧回路に含まれる各油圧シリンダ11a,12a,13a等によって、ブーム11やアーム12、バケット13等を上下に移動させながら、土木工事の現場において土砂や砂礫等の掘削作業を行う。
【0022】
カウンタウェイト5は、例えば、鋼板を組み立てて形成した箱の中に屑鉄やコンクリート等を入れて固めたものであって、採掘時等において車体のバランスをとるために旋回台3上における車体部6の後方に設けられている。
車体部6は、図1に示すように、カウンタウェイト5に隣接する位置に配置されており、開閉可能なエンジンフード14によって覆われた点検用の上部開口を有している。そして、車体部6の内部には、下部走行体2や旋回台3、作業機4を駆動するための動力源である図示しないエンジンやクーリングコア、後述する旋回駆動装置10等が収容されている。
【0023】
機器室7は、作業機4の後方に配置されており、図示しない燃料タンク、作動油タンクおよび操作弁等を収容する。
キャブ8は、油圧ショベル1のオペレータが乗降する室内空間を有しており、作業機4の先端部を見通せるように、旋回台3上における作業機4の側方となる左側前部に配置されている。
【0024】
[旋回駆動装置10全体の構成]
本実施形態に係る旋回駆動装置10は、車体部6の内部であって下部走行体2上に搭載されており、上述した旋回台3を所望の方向へ旋回させる。また、旋回駆動装置10は、図2、図3および図4に示すように、旋回モータユニット20と、減速機ユニット21と、押さえプレート(押さえ部材)40と、複数のバネ部材42と、を備えている。
【0025】
(旋回モータユニット20)
旋回モータユニット20は、図2に示すように、減速機ユニット21、旋回軸22を介してその下端部に取り付けられたピニオンギア23に回転駆動力を伝達することで、下部走行体2上において旋回台3を旋回させる。
旋回モータユニット20に搭載された旋回モータMは、電動モータである。一般的に、電動モータは、油圧モータと比較して回転速度が高いことが知られている。このため、旋回モータユニット20は、内部に旋回ブレーキを設けることが難しく、減速機ユニット21側に設けることが多い。
【0026】
本実施形態の旋回駆動装置10では、減速機(減速機ユニット21)を介してピニオンギア23に対して回転駆動力を伝達する。
また、旋回モータユニット20は、図2に示すように、減速機ユニット21の上面に対して、複数のボルトを用いて固定されている。なお、図3および図4に示す旋回モータユニット20と減速機ユニット21とが接続される境界面(図5参照)付近の構成については、後段にて詳述する。
【0027】
(減速機ユニット21)
減速機ユニット21は、図2、図3等に示すように、旋回モータMの回転速度を減速させてピニオンギア23に伝達する遊星歯車機構30を有している。減速機ユニット21の上面には、旋回モータユニット20の底面が接続されている。
遊星歯車機構30は、図5および図6に示すように、遊星歯車31と、ピン32と、止め輪33と、キャリア35と、太陽歯車36と、軸受部37と、ブレーキピストン43、Oリング44、ディスクブレーキ(ブレーキ部材)45を含むブレーキ機構と、を有している。
【0028】
遊星歯車31は、図5および図6に示すように、中央に形成された開口にピン32が挿通されており、ピン32を回転中心として回転する。また、遊星歯車31は、太陽歯車36を中心として等角度間隔(120度間隔)で3つ設けられている。3つの遊星歯車31は、キャリア35を介して回転可能な状態で互いに接続されており、太陽歯車36の周りを公転するとともに、ピン32を中心として自転する。
【0029】
ピン32は、図5に示すように、略円筒状の部材であって、内部にオイルが連通する貫通孔32aを有している。ピン32は、キャリア35の開口孔に対して圧入されている。また、ピン32の外周面には、軸受部37を介して遊星歯車31が装填されている。
止め輪33は、図5に示すように、ピン32の上端、下端に取り付けられる金属製のリング状部材であって遊星歯車31が外周面に装填された状態でピン32の抜け止めとして機能する。
キャリア35は、図5に示すように、略円盤状の部材であって、表面に形成された開口部分において、複数の遊星歯車31のそれぞれを回転可能な状態で軸支している。
太陽歯車36は、図5および図6に示すように、複数の遊星歯車31の中心部に設けられており、それぞれの遊星歯車31に対して噛み合っている。
【0030】
(押さえプレート40)
押さえプレート40は、図3および図5に示すように、旋回モータユニット20と減速機ユニット21との接続部分(図5に示す境界面)において、旋回モータユニット20側の凹部(案内部)20aに内包されるように配置されている。換言すれば、押さえプレート40は、図5に示す境界面から旋回モータユニット20側に入り込んで配置されている。そして、押さえプレート40は、図5に示すように、減速機ユニット21の上面に、ブレーキ機構を構成するバネ部材42の一端を収容するための穴部40aと、穴部40aの底面(押さえプレート40の上面)に形成された貫通孔40aaと、を有している。さらに、押さえプレート40は、旋回モータユニット20に対向する面に、図7(a)および図7(b)に示すように、減速機ユニット21に対して固定される際に用いられるボルト41が挿入されるボルト孔40bを有している。また、押さえプレート40は、図7(a)に示すように、対向配置される複数のバネ部材42の位置に合わせてリング状の単一の部材として形成されている。これにより、複数のバネ部材42をバランスよく押さえ込むことができる。
【0031】
穴部40aは、図5、図7(a)および図7(b)に示すように、減速機ユニット21側にセットされる個々のバネ部材42に対応する位置に、略円筒状に形成されている。穴部40aは、図5に示すように、減速機ユニット21に対して取り付けられた状態では、バネ部材42の上側の一部が収容される。これにより、減速機ユニット21と押さえプレート40との間に挟まれるように保持される複数のバネ部材42を、穴部40a内において安定した状態で保持することができる。
【0032】
貫通孔40aaは、図5および図7(a)等に示すように、駆動中の遊星歯車機構30内の空気を逃がす空気穴として機能する。具体的には、貫通孔40aaから抜けた空気を、押さえプレート40と旋回モータユニット20との間の隙間を介して中央部のスペースに逃がすことができる。これにより、遊星歯車機構30における所望の部分へ、油が侵入していきやすくなる。また、貫通孔40aaは、略円筒状の穴部40aの略円形の底面における中央部分に形成されている。このため、図5に示すように、穴部40a内に収容したバネ部材42の上端部分が貫通孔40aaに干渉して、バネ部材42が傾いた姿勢で保持されたりすることを回避することができる。
【0033】
ボルト孔40bは、図7に示すように、ボルト41が挿入される貫通孔である。このボルト孔40bにボルト41が挿入されて、減速機ユニット21の上面に形成された雌ねじに螺合することで、押さえプレート40を減速機ユニット21に対して固定することができる。
【0034】
(ブレーキ機構)
減速機ユニット21内に設けられたブレーキ機構は、メカニカルブレーキであって、上述したように、バネ部材42と、ブレーキピストン43と、Oリング44と、ディスクブレーキ45と、リングギア46とを有している。
バネ部材42は、図4および図5に示すように、減速機ユニット21の上面と押さえプレート40との間に、上述した遊星歯車機構30の太陽歯車36を中心とする円周に沿って6個設けられている。また、バネ部材42は、上側の一部が押さえプレート40の穴部40a内に収容され、下側の一部が減速機ユニット21側の上面に形成された穴部21a内に収容されている。そして、バネ部材42は、図5に示すように、旋回モータユニット20と減速機ユニット21との間にセットされた状態で、所定量だけ縮んだ状態となって、ブレーキピストン43を下向きに押圧する付勢力を付与する。
【0035】
ブレーキピストン43は、略円筒状の単一の部材であって、図5に示すように、バネ部材42の下方に配置されている。そして、ブレーキピストン43は、Oリング44が配置された溝内に油圧が発生していない状態では、その上面が6本のバネ部材42によって下向きに押圧され、ディスクブレーキ45を作動させて旋回軸22の旋回を停止させる。
Oリング44は、図5に示すように、ブレーキピストン43の外周面に沿って形成された溝内に圧縮変形した状態で取り付けられている。
【0036】
ディスクブレーキ45は、図5に示すように、ブレーキピストン43の下方に配置されている。ディスクブレーキ45は、旋回操作レバーが操作されていない状態や安全装置が働いている状態では、ブレーキピストン43を介してバネ部材42の押圧力によって旋回軸22の旋回にブレーキ力を付与する。
本実施形態では、キャブ8内で旋回操作レバーが操作されると、ブレーキピストン43の下部の油溜りに油が供給され、油圧がバネ部材42の付勢力に打ち勝ってブレーキピストン43を上方に押し上げてディスクブレーキ45が開放されて旋回可能な状態となる。
【0037】
本実施形態の旋回駆動装置10は、以上のように、旋回モータユニット20と減速機ユニット21との間に、押さえプレート40を配置している。この押さえプレート40は、図5に示すように、減速機ユニット21側から飛び出した複数のバネ部材42の上部を押さえ込むようにして、減速機ユニット21との間にバネ部材42を内包する。
これにより、旋回駆動装置10の旋回モータユニット20を交換・修理等する場合において、旋回モータユニット20を減速機ユニット21側から取り外した場合でも、押さえプレート40を設けたことで、バネ部材42が外部に露出することはない。よって、旋回モータユニット20を減速機ユニット21に対して取り付ける際に、バネ部材42や遊星歯車31等をセットする手間が省け、組付け性を向上させることができる。
【0038】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、旋回モータユニット20と減速機ユニット21とを分離した際に、複数のバネ部材42が外部に露出しないように押さえ込む押さえプレート(押さえ部材)40として、単体の略リング状のプレートを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
例えば、複数のバネ部材に対応するそれぞれの位置に配置された複数のブロック状の部材であってもよい。
また、押さえ部材の形状についても、略リング状に限らず、略正方形、略円形等、バネ部材の配置に合わせて適宜設計されたものであればよい。
【0040】
(B)
上記実施形態では、上記押さえプレート40が減速機ユニット21側の上面に対してボルト41によって固定されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ボルト等を用いずに自重によってバネ部材を押さえ込む押さえ部材であってもよい。
【0041】
(C)
上記実施形態では、押さえプレート(押さえ部材)40側に、バネ部材42の一端側を収容する穴部40aが設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、押さえ部材としては、バネ部材の一部を収容する穴部がない、簡素なプレート状の部材であってもよい。
この場合でも、旋回モータユニットと減速機ユニットとを分離した際に、バネ部材が外部に露出してしまうことを回避して、組付け性が低下してしまうことを防止することができる。
【0042】
ただし、バネ部材の一部を収容する穴部を設けることで、バネ部材をより安定した状態で旋回モータユニットと減速機ユニットとの間で保持できるという面では、上記実施形態のような構成を採用することがより好ましい。
【0043】
(D)
上記実施形態では、旋回モータユニット20に含まれる旋回モータMとして、電動モータを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、油圧モータが搭載された旋回モータユニットを含む旋回駆動装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の建設機械の旋回駆動装置は、旋回モータユニットを取り外した際におけるバネ部材に起因する組付け性の低下を防止することができるという効果を奏することから、建設機械等の各種機器に搭載される旋回駆動装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 旋回台
4 作業機
5 カウンタウェイト
6 車体部
7 機器室
8 キャブ
10 旋回駆動装置
11 ブーム
11a 油圧シリンダ
12 アーム
12a 油圧シリンダ
13 バケット
13a 油圧シリンダ
14 エンジンフード
20 旋回モータユニット
20a 凹部(案内部)
21 減速機ユニット
21a 穴部
22 旋回軸
23 ピニオンギア
30 遊星歯車機構
31 遊星歯車
32 ピン
32a 貫通孔
33 止め輪
35 キャリア
36 太陽歯車
37 軸受部
40 押さえプレート(押さえ部材)
40a 穴部
40aa 貫通孔
40b ボルト孔
41 ボルト
42 バネ部材
43 ブレーキピストン
44 Oリング
45 ディスクブレーキ(ブレーキ部材)
46 リングギア
M 旋回モータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開2007−39990号公報(平成19年2月15日公開)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回モータの回転駆動力を、減速機を介して旋回体に伝達する建設機械の旋回駆動装置であって、
前記旋回モータを含む旋回モータユニットと、
前記減速機を含む減速機ユニットと、
前記減速機ユニット内のブレーキ部材に対して押圧力を付与する複数のバネ部材と、
前記減速機ユニットとの間に前記バネ部材を挟み込むように、前記旋回モータユニットと前記減速機ユニットとの境界面より前記旋回モータユニット側であって前記旋回モータユニットに入り込んで配置される押さえ部材と、
を備えている建設機械の旋回駆動装置。
【請求項2】
前記旋回モータユニットの下部に前記押さえ部材を案内する案内部を、さらに備えている、
請求項1に記載の建設機械の旋回駆動装置。
【請求項3】
前記押さえ部材は、複数の前記バネ部材が収容される略筒状の穴部を有している、
請求項1または2に記載の建設機械の旋回駆動装置。
【請求項4】
前記穴部は、底面に貫通孔が形成されている、
請求項3に記載の建設機械の旋回駆動装置。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記穴部の底面の中央部分に形成されている、
請求項4に記載の建設機械の旋回駆動装置。
【請求項6】
前記押さえ部材は、リング状の形状を有している、
請求項1から5のいずれか1項に記載の建設機械の旋回駆動装置。
【請求項7】
前記旋回モータユニットは、電動モータを有している、
請求項1から6のいずれか1項に記載の建設機械の旋回駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−21405(P2011−21405A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168157(P2009−168157)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】