説明

弁装置

【課題】2つの逆止弁を組み込むことにより簡素かつ小型に構成するとともに、逆方向に流れる流体を濾過するフィルターを設けることによって分岐路内の逆止弁の閉弁時のシール性を確保する。
【解決手段】流体通路1aを介して連通された2つの接続ポート11,12と、流体通路1aからの分岐路1bに連通された接続ポート13と、流体通路1a内に設けられた第一の逆止弁14と、分岐路1b内に設けられた第二の逆止弁と、接続ポート12から接続ポート13へ流れる流体を濾過するフィルター16とを備え、フィルター16を、流体通路1aの内周面に沿って設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体通路内の流体の流れを一方向にのみ許容するとともに、逆方向の流体の流れは分岐路に流出させるための弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のガス給湯機器としては、熱効率の高い潜熱回収型の給湯器が一般的となっており、耐用年数の経過した古い給湯器を潜熱回収型の給湯器に交換することが増加している。
【0003】
潜熱回収型の給湯器においては、潜熱回収用の二次熱交換器の外表面に酸性凝縮水が発生するため、例えば下記の特許文献1に開示されているように、酸性凝縮水を回収してドレン水として排水するためのドレン排水装置(排水回路)が給湯器に具備されている。
【0004】
この従来のドレン排水装置では、フロ戻り管に分岐排水路を設け、該分岐排水路よりも浴槽側のフロ戻り管に逆止弁を設けるとともに、分岐排水路にも逆止弁を設けて、通常のフロ追焚き時にはフロ戻り管の通水を許容する一方、ドレン排水時には、ドレン水をフロ戻り管に逆流させ、上記分岐排水路からドレン水を排水できるように構成されている。かかる構成を採用することにより、既設の配管を利用してドレン水を浴槽下の排水穴に排水させることができ、古い給湯器の交換作業を低コストで容易かつ迅速に行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−106883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、古い公団住宅などにおいて、浴槽と浴室壁面との間の隙間が非常に狭い場合もあり、かかる狭い隙間にも配設できるようにするために上記分岐排水路や逆止弁の一層の小型化が求められている。また、ドレン水は二次熱交換器の外表面の凝縮水を回収したものであるため、ドレン水には微細な塵埃やその他種々の微細固形物が混入することがあるが、かかるドレン水を分岐排水路にそのまま排水すると、分岐排水路に設けた逆止弁の閉弁時のシール性に影響を与えることがあり、通常のフロ追焚き時に分岐排水路の逆止弁から水漏れが生じてしまうおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、流体通路内の流体の流れを一方向にのみ許容するとともに逆方向の流体の流れは分岐路に流出させるための弁装置において、2つの逆止弁を組み込むことにより簡素かつ小型に構成するとともに、逆方向に流れる流体を濾過するフィルターを設けることによって分岐路内の逆止弁の閉弁時のシール性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0009】
すなわち、本発明の弁装置は、第一の接続ポートと、該第一の接続ポートに流体通路を介して連通された第二の接続ポートと、前記流体通路の中途部から分岐された分岐路に連通された第三の接続ポートと、前記流体通路内に設けられた第一の逆止弁と、前記分岐路内に設けられた第二の逆止弁と、第二の接続ポートから第三の接続ポートへ流れる流体を濾過するフィルターとを備え、前記第一の逆止弁は、第一の接続ポートから第二の接続ポートへの流体の流れは許容するが第二の接続ポートから第一の接続ポートへの流体の流れは前記分岐路よりも第一の接続ポート側で阻止し、前記第二の逆止弁は、第二の接続ポートから第三の接続ポートへの流体の流れは許容するが第三の接続ポートから第二の接続ポートへの流体の流れは阻止し、第一の逆止弁の開弁圧よりも第二の逆止弁の開弁圧が高く設定され、前記フィルターは、前記流体通路の内周面に沿って設けられていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0010】
かかる本発明の弁装置によれば、第1の接続ポートから第2の接続ポートへ流体が流れるときは、第1の逆止弁が開弁され、第2の逆止弁は閉弁されて、第3の接続ポートから流体が漏出することはない。第2の接続ポートから流体が逆流する際には、第1の逆止弁は閉弁する一方、第3の接続ポートから流入する流体圧によって第2の逆止弁が開弁して、第3の接続ポートから流体が流出する。このとき、流体通路内に設けたフィルターによって、第2の逆止弁の上流側で流体が濾過されるため、微細固形物が第2の逆止弁内に流入することが阻止され、該第2の逆止弁の閉弁時のシール性が確保される。また、フィルターは第1の接続ポートから第2の接続ポートへの流体通路の内面に沿って設けているので、フィルターに付着した微細固形物は、第1の接続ポートから第2の接続ポートへ流体が流れる際に該流体によって取り除かれるため、フィルターは目詰まりを起こしにくくなる。
【0011】
上記本発明の弁装置において、前記フィルターの外周側に前記分岐路を開口形成させることができる(請求項2)。かかる構成によれば、装置構成の簡素小型化を図りつつも、フィルターを介した分岐路への流体の流れを円滑化することができる。
【0012】
また、第一の逆止弁は、前記分岐路よりも第一の接続ポート側に設けられた弁座と、背圧によって弁座を閉塞する球状弁体とを備え、前記フィルターは前記球状弁体の外周側に配設されているものとすることができる(請求項3)。これによれば、球状弁体が流体通路内壁面に直接衝当することがフィルターによって防止され、球状弁体の転がり音が低減されるため、特に浴室内に弁装置を配設した場合に入浴者に球状弁体の転がり音による不快感を与えてしまうことを防止できる。さらに、第1の接続ポートから第2の接続ポートに流れる流体は、球状弁体の外周と流体通路の内周面との間の隙間を流れる際に加速され、該流体によってフィルターに付着した微細固形物をより効率的に取り除くことが可能になる。
【0013】
また、第一の逆止弁は、前記分岐路よりも第一の接続ポート側に設けられた弁座と、背圧によって弁座を閉塞する球状弁体と、該球状弁体の第二接続ポート側への移動を所定位置で規制するリブとを備え、前記フィルターは円筒状に形成されるとともに前記弁座と前記リブとの間に保持されているものとすることができる(請求項4)。これによれば、フィルターが球状弁体の外周側を覆うように配置されるため、球状弁体が流体通路内壁面に直接衝当することがフィルターによって防止され、球状弁体の転がり音が低減され、特に浴室内に弁装置を配設した場合に入浴者に球状弁体の転がり音による不快感を与えてしまうことを防止できる。さらに、第1の接続ポートから第2の接続ポートに流れる流体は、球状弁体の外周と流体通路の内周面との間の隙間を流れる際に加速され、該流体によってフィルターに付着した微細固形物をより効率的に取り除くことが可能になる。さらに、フィルターの保持を、第1の逆止弁を構成する弁座及びリブによって行っているので、一層の構成の簡素化が図られる。
【0014】
また、第一及び第二の接続ポートを備える第一の弁本体と、第三の接続ポートを備える第二の弁本体とを備え、前記流体通路及び第一の逆止弁は第一の弁本体に設けられ、前記分岐路及び第二の逆止弁は第二の弁本体に設けられ、第二の弁本体が第一の弁本体に対して着脱可能に取付けられている構成とすることができる(請求項5)。これによれば、第二の弁本体を第一の弁本体から取り外すことによって第二の逆止弁を容易に取り外すことができ、分岐路に連通する前記流体通路側面の開口部から洗浄水を通水させることによってフィルターの清掃を容易かつ迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係る弁装置によれば、第1の接続ポートから第2の接続ポートへ流体が流れるときは、第1の逆止弁が開弁され、第2の逆止弁は閉弁されて、第3の接続ポートから流体が漏出するを防止できる。一方、第2の接続ポートから流体が逆流する際には、第1の逆止弁は閉弁する一方、第3の接続ポートから流入する流体圧によって第2の逆止弁が開弁して、第3の接続ポートから流体を流出させることができる。このとき、流体通路内に設けたフィルターによって、第2の逆止弁の上流側で流体が濾過されるため、微細固形物が第2の逆止弁内に流入することが阻止され、該第2の逆止弁の閉弁時のシール性を確保することができる。また、フィルターは第1の接続ポートから第2の接続ポートへの流体通路の内面に沿って設けているので、フィルターに付着した微細固形物を、第1の接続ポートから第2の接続ポートへ流体が流れる際に該流体によって取り除くことができ、フィルターの目詰まりを防止できる。
【0016】
また、本発明の請求項2に係る弁装置によれば、装置構成の簡素小型化を図りつつも、フィルターを介した分岐路への流体の流れを円滑化することができる。
【0017】
また、本発明の請求項3に係る弁装置によれば、球状弁体が流体通路内壁面に直接衝当することがフィルターによって防止され、球状弁体の転がり音が低減されるため、特に浴室内に弁装置を配設した場合に入浴者に球状弁体の転がり音による不快感を与えてしまうことを防止できる。さらに、第1の接続ポートから第2の接続ポートに流れる流体は、球状弁体の外周と流体通路の内周面との間の隙間を流れる際に加速され、該流体によってフィルターに付着した微細固形物をより効率的に取り除くことができる。
【0018】
また、本発明の請求項4に係る弁装置によれば、フィルターが球状弁体の外周側を覆うように配置されるため、球状弁体が流体通路内壁面に直接衝当することがフィルターによって防止され、球状弁体の転がり音が低減され、特に浴室内に弁装置を配設した場合に入浴者に球状弁体の転がり音による不快感を与えてしまうことを防止できる。さらに、第1の接続ポートから第2の接続ポートに流れる流体は、球状弁体の外周と流体通路の内周面との間の隙間を流れる際に加速され、該流体によってフィルターに付着した微細固形物をより効率的に取り除くことができる。さらに、フィルターの保持を、第1の逆止弁を構成する弁座及びリブによって行っているので、一層の構成の簡素化を図ることができる。
【0019】
また、本発明の請求項5に係る弁装置によれば、第二の弁本体を第一の弁本体から取り外すことによって第二の逆止弁を容易に取り外すことができ、分岐路に連通する前記流体通路側面の開口部から洗浄水を通水させることによってフィルターの清掃を容易かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る弁装置のフロ追焚き時の断面図である。
【図2】同弁装置のドレン排水時の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る弁装置のドレン排水時の断面図である。
【図4】本発明の弁装置を適用した風呂装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
まず、本発明の弁装置が用いられる好適な一例として、潜熱回収型熱交換器を具備する風呂装置を図4に基づいて説明する。この風呂装置は、風呂の追焚き機能と給湯機能を有する複合熱源機型に構成されたものであり、給湯機能を実現するための給湯回路2と、風呂追焚き機能を実現するための追焚き循環回路3と、給湯回路2で加熱された湯を追焚き循環回路3側へ通水させるための注湯回路4と、潜熱回収用の二次熱交換器24,32で発生するドレン水の中和及び浄化処理を行うドレン水処理回路5と、追焚き循環回路3の戻り管37に付設された本発明の弁装置1とを備えている。
【0023】
給湯回路2は、バーナ20と、このバーナ20の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換加熱する給湯用の一次熱交換器21とを備え、入水路22から入水される水道水等が給湯用一次熱交換器21において主として加熱され、加熱された後の湯が出湯路23に出湯されるようになっている。この際、入水路22からの入水は、一次熱交換器21に入水される前に、例えば排気集合筒内に配設された二次熱交換器24に通されるようになっており、この二次熱交換器24において燃焼排ガスからの潜熱回収により予熱された状態で一次熱交換器21に入水されて加熱されるようになっている。そして、所定温度に加熱されて出湯路23に出湯された湯が、台所や浴室等の給湯栓や上記注湯回路4などの所定の給湯箇所に給湯されるようになっている。
【0024】
追焚き循環回路3は、バーナ30の燃焼ガスの顕熱により循環温水を熱交換加熱する追焚き用一次熱交換器31と、該一次熱交換器31の上流側に接続されて燃焼排ガスから潜熱を回収する追焚き用二次熱交換器32と、該二次熱交換器32の上流側に接続された入水管路33と、上記一次熱交換器31の下流側に接続された出水管路34と、入水管路33に介設された追焚き用循環ポンプ35と、浴槽6の側壁に配設した循環アダプタ61の湯水吐出側接続口61aに接続された往き配管36と、循環アダプタ61の湯水吸込み側接続口61bに弁装置1を介して接続された戻り配管37と、出水管路34を往き配管36と戻り配管37のいずれか一方に選択的に連通させる三方切替弁38と、入水管路33を戻り配管37とドレン水処理回路5のドレン水導出路54とのいずれか一方に選択的に連通させる三方切替弁39とを備えている。
【0025】
注湯回路4は、給湯回路2の出湯路23と追焚き循環回路3の入水管路33とを接続するものであり、その中途部には、開閉切換により通水の実行と遮断とを切換える電磁開閉弁40が設けられている。
【0026】
ドレン水処理回路5は、二次熱交換器24,32において燃焼排ガスが潜熱回収のための熱交換により冷やされて凝縮することにより生じたドレン水に対し、中和処理や浄化処理等の改質処理を加えた上で排出するために設置された回路である。すなわち、ドレン水処理回路5は、給湯用二次熱交換器24からドレン水を集水する集水パン51及び追焚き用二次熱交換器32からドレン水を集水する集水パン52と、集水されたドレン水に対し改質処理を施す改質処理槽53と、改質処理層53から改質処理後のドレン水を追焚き循環回路3の入水管路33に導出させるドレン水導出路54と、ドレン水導出路54に設けられた逆止弁55とを備えている。ドレン水導出路54は、その下流端が三方切換弁39を介して入水管路33に接続されている。
【0027】
通常の風呂追焚き時には、三方切換弁39はドレン水導出路54側が遮断されて戻り配管37が入水管路33に連通されるとともに、三方切換え弁38を出水管路34と往き配管36とが連通するように切換えることにより、図4に実線矢印で示すように湯水が流れる循環管路が構成される。そして、ドレン水排水運転時には、三方切換え弁39をドレン水導出路54と入水管路33とが連通するように切換えると共に、三方切換え弁38を出水管路34と戻り配管37とが連通するように切換えて、追焚き用循環ポンプ35を作動させることにより、図4に点線矢印で示すように、改質処理後のドレン水をドレン水導出路54、入水管路33、二次熱交換器32、一次熱交換器31、出水管路34を介して戻り配管37に導出させるようになっている。また、改質処理層53内のドレン水の排水完了後、追焚き循環回路3内に残るドレン水を排水するため、注湯回路4の電磁切換弁40を開いて給湯回路2から水を循環回路3へ所定時間通水させるようになっている。なお、上記のドレン水排水運転時には、給湯回路2及び追焚き循環回路3のバーナ30は燃焼運転を停止させるようになっている。
【0028】
弁装置1は、循環アダプタ61の湯水吸込み側接続口61bに取付けられて浴槽6と浴室の壁面との間に配設され、風呂追焚き時には浴槽6内から循環アダプタ61を通して戻り配管37への浴槽水の通水を許容する一方、ドレン排水時には逆方向の通水(戻り配管37から浴槽6へのドレン水の通水)を遮断するとともに戻り配管37に排出されるドレン水を排水管路7を介して浴槽6下の浴槽排水設備62に排水するように構成されている。
【0029】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る弁装置1を示しており、図1は風呂追焚き時の状態、図2はドレン排水時の状態を示している。本実施形態の弁装置1は、循環アダプタ6の湯水吸込み側接続口61bに接続される第一の接続ポート11と、戻り配管37の上流端に接続される第二の接続ポート12と、排水管路7の上流端に接続される第三の接続ポート13とを備え、第一の接続ポート11と第二の接続ポート12とが流体通路1aを介して直線状に配設され、第三の接続ポート13が流体通路の中途部から直角に分岐された分岐路1bに連通されて、全体として略T字管状に構成されている。また、第一の接続ポート11と第二の接続ポート12とは内部に上記流体通路1aを有する第一の弁本体111に一体的に備えられ、該第一の弁本体111に着脱自在に取付けられた第二の弁本体112に上記第三の接続ポート13及び分岐路1bが設けられている。第一の接続ポート11の外周には、循環アダプタ6の湯水吸込み側接続口61bに接続固定するための袋ナット継手15が取付けられている。第二の接続ポート12の外周面には、戻り配管37の上流側端部に取付けられた袋ナット継手(図示せず)を取付けるためのネジ12aが設けられている。
【0030】
第一の弁本体111の流体通路1a内には、ボール式の第一の逆止弁14が設けられている。この第一の逆止弁14は、分岐路1bよりも第一の接続ポート11側に設けられた弁座141と、第二の接続ポート12から流体通路1aに流入する流体の圧力(背圧)によって弁座141を閉塞する球状弁体142と、該球状弁体142の第二の接続ポート12側への移動を所定位置で規制するリブ143とを備えており、球状弁体142は弁座141とリブ143との間で自在に軸方向移動できるように内蔵されており、球状弁体142は実質的に無負荷で弁座141から離間して開弁する。弁座141は第一の接続ポート11内に嵌着された略円筒状のゴム製部材からなり、球状弁体142に対向する端面がテーパー面に形成されている。弁座141を構成するゴム製部材には、第一の接続ポート11の開口端面を覆うパッキン部141aが一体形成されており、これにより弁座141を構成するゴム製部材が袋ナット継手15のパッキンを兼用させて、部品点数の削減を図っている。球状弁体142は、弁座141の取付け前に第一の接続ポート11から流体通路1a内に挿入され、その後弁座141を取付けることによって流体通路1a内に封入されている。上記リブ143は、第一の弁本体111の内周面に一体的に設けられ、球状弁体142に対向する端面はテーパー面に形成されており、周方向に複数(図示例では4つ)のリブ143を周方向に離間して配設することによって、図1に示すように球状弁体142がリブ143に当接していても浴槽水の通水空間が確保されるようになっている。
【0031】
また、第一の弁本体111内には、第二の接続ポート12から第三の接続ポート13へ流れる流体を濾過するフィルター16が、流体通路1aの内周面に沿って設けられている。該フィルター16は円筒状に構成され、弁座141とリブ143との間に保持されている。このフィルター16としては、第二の逆止弁18のシール性を阻害する程度の大きさの微細固形物は通過できないがドレン水の通水抵抗は小さいものを採用することが好ましく、例えば金属メッシュフィルターなどを用いることができる。なお、図示実施例ではフィルター16の外周面と流体通路1aの内周面との間に隙間が形成されるように構成しているが、分岐路1bの開口部のみにフィルター16を設ける場合には流体通路1aの内周面と面一となるようにフィルター16を配設することもできる。
【0032】
第一の弁本体111の軸方向中途部には第二の弁本体112を取付けるための取付筒部111aが流体通路1aの軸方向に対して垂直に設けられており、該取付筒部111a内に第二の弁本体112が螺着固定されている。なお、第二の弁本体112の先端部外周と取付け筒部111aの基端部内周はテーパー面に形成され、これらテーパー面の間にOリング17が介装されている。
【0033】
第二の弁本体112は、内部に上記分岐路1bを有する円筒状部材であり、分岐路1b内にスプリングディスク式の第二の逆止弁18が設けられている。該第二の逆止弁18は、第二の弁本体112の先端部に形成された排水口112aを開閉する円盤状の弁体181と、該弁体181により排水口112aを閉じる方向に弁体181を付勢するコイルスプリング182とを備えている。弁体181は、円盤状ゴムパッキン181aと、該ゴムパッキン181aを保持するホルダー181bとからなる。該ホルダー181bの外径は分岐路1bの内径よりも小さく、第二の逆止弁18の開弁時にはホルダー181bの外周側の隙間を通って下流側にドレン水が排水されるようになっている。また、コイルスプリング182の付勢力は、風呂追焚き時に浴槽水が第一の接続ポート11から第二の接続ポート12へ通水する際には第二の逆止弁18は開弁せず、ドレン水排水時にポンプ35により送出されるドレン水の圧力によって第二の逆止弁18が開弁するように設定されている。
【0034】
以上説明した本実施形態に係る弁装置1によれば、風呂追焚き運転時には、図1に示すように、第一の逆止弁14は実質的に無負荷で開弁する一方、第二の逆止弁18はスプリング182の付勢力によって弁体181が排水口112を確実に封止するため、浴槽水が分岐路1bに漏出することがない。一方、ドレン水排水時には、図2に示すように、ポンプ35により戻り配管37を介して第二の接続ポート12に送出されるドレン水の圧力によって第一の逆止弁14が閉弁されるとともに第二の逆止弁18が開弁され、ドレン水を浴槽に排出することを防止して、該ドレン水を分岐路1b及び排水管路7を介して浴槽下排水設備62に排水することができる。また、第一の逆止弁14の球状弁体142の軸方向の可動範囲の外周に分岐路1b及び第二の逆止弁18を配設したので、全体として小型化を図ることができ、非常に狭い設置スペースにも弁装置1を設置することが可能になる。また、円筒状フィルターを第一の逆止弁14の弁座141とリブ143の間に保持させたので、フィルターを16を保持するための別途の構造が必要でなく、構造の簡素化が図られ、更なる小型化を図ることができる。さらに、ドレン水を濾過するフィルター16を第一の弁本体111の流体通路1a内面に沿って配設したので、風呂追焚き運転時における通水抵抗を増加させることなく、ドレン排水時にはドレン水に含まれる微細固形物をフィルター16によって取り除くことができ、第二の逆止弁18の閉弁時のシール性を阻害することがないとともに、取り除かれた微細固形物は通常の風呂追焚き運転時の浴槽水の通水によってある程度フィルターから取り除くことができ、フィルター16の目詰まりを防止できる。さらに、第二の弁本体112を取り外せば、取付筒部111aからフィルター16を洗浄することができ、メンテナンス性にも優れたものとなる。
【0035】
図3は本発明の第2の実施形態に係る弁装置1を示しており、上記第1実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成、作用効果について説明する。
【0036】
本第2実施形態では、第二の逆止弁18が、球状弁体183を有するリフト式逆止弁によって構成され、風呂追焚き運転時には弁体183の自重によって弁座184を閉鎖し、ドレン排水時にはポンプ35により送出されるドレン水の圧力によって弁体183を押し上げることで開弁されるように構成されている。第二の弁本体112は第一の弁本体111の中途部から上方に向けて取付けられ、該第二の弁本体112内の分岐路1b内に球状弁体183が封入されている。かかる構成によれば、スプリングが不要となり、より一層の構造の簡素化、小型化を図ることができる。
【0037】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、本発明の弁装置は、潜熱回収型給湯器のドレン水排水用途に限定されるものではなく、ふろ給湯器やふろ給湯暖房機や燃料電池発電装置などにおいて発生する不要水の排出用途、その他の適宜の用途に使用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 弁装置
1a 流体通路
1b 分岐路
11 第一の接続ポート
12 第二の接続ポート
13 第三の接続ポート
14 第一の逆止弁
141 弁座
142 球状弁体
143 リブ
16 フィルター
18 第二の逆止弁
111 第一の弁本体
112 第二の弁本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の接続ポートと、該第一の接続ポートに流体通路を介して連通された第二の接続ポートと、前記流体通路の中途部から分岐された分岐路に連通された第三の接続ポートと、前記流体通路内に設けられた第一の逆止弁と、前記分岐路内に設けられた第二の逆止弁と、第二の接続ポートから第三の接続ポートへ流れる流体を濾過するフィルターとを備え、前記第一の逆止弁は、第一の接続ポートから第二の接続ポートへの流体の流れは許容するが第二の接続ポートから第一の接続ポートへの流体の流れは前記分岐路よりも第一の接続ポート側で阻止し、前記第二の逆止弁は、第二の接続ポートから第三の接続ポートへの流体の流れは許容するが第三の接続ポートから第二の接続ポートへの流体の流れは阻止し、第一の逆止弁の開弁圧よりも第二の逆止弁の開弁圧が高く設定され、前記フィルターは、前記流体通路の内周面に沿って設けられていることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁装置において、前記フィルターの外周側に前記分岐路が開口形成されていることを特徴とする弁装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の弁装置において、第一の逆止弁は、前記分岐路よりも第一の接続ポート側に設けられた弁座と、背圧によって弁座を閉塞する球状弁体とを備え、前記フィルターは前記球状弁体の外周側に配設されていることを特徴とする弁装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の弁装置において、第一の逆止弁は、前記分岐路よりも第一の接続ポート側に設けられた弁座と、背圧によって弁座を閉塞する球状弁体と、該球状弁体の第二接続ポート側への移動を所定位置で規制するリブとを備え、前記フィルターは円筒状に形成されるとともに前記弁座と前記リブとの間に保持されていることを特徴とする弁装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の弁装置において、第一及び第二の接続ポートを備える第一の弁本体と、第三の接続ポートを備える第二の弁本体とを備え、前記流体通路及び第一の逆止弁は第一の弁本体に設けられ、前記分岐路及び第二の逆止弁は第二の弁本体に設けられ、第二の弁本体が第一の弁本体に対して着脱可能に取付けられていることを特徴とする弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−72507(P2013−72507A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212615(P2011−212615)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】