説明

微小導電性金属酸化物の除去方法及び装置

【課題】基材に残留する微小金属、微小導電性金属酸化物を除去する。
【解決手段】円筒形状の絶縁体12cと、この絶縁体12cの内外周面側に設けられた正電極12a及び負電極12bとで構成された円筒状電極体12を、基材11に対向すべく、複数個、隣接して設ける。正電極12aと絶縁体12cと負電極12bの、それぞれの基材11と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2=0.8〜100、S2/S3=0.01〜1.15の範囲とする。円筒状電極体12と基材11間に電解液13を介在させた状態で、正電極12aと負電極12bに電圧を印加する。円筒状電極体12と基材11とを相対移動させることで、基材11の表面に残留する微小な導電性金属酸化物15を還元反応により除去する。
【効果】基材に残留する微小導電性金属酸化物を、基材の全面に亘って効果的に除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等に残留する微小な導電性金属酸化物を、効率良く除去する方法、及びその方法を実施する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばITO(インジウムとスズの酸化物で、透明導電性を有する膜)を形成した高機能ガラス基板は、光学的性能(透過率等)や機械的性能(平坦度等)に優れており、例えばフラットパネルディスプレイに用いられる。しかしながら、この高機能ガラス基板は高価であるため、その表面に形成するITOが品質管理基準を満足しない場合には、そのITOを除去して再利用することで、コストの低減を図っている。
【0003】
このITOなどの導電性金属酸化物薄膜を除去する方法として、機械的擦過により除去する方法や、化学エッチングにより除去する方法がある。このうち前者の方法は、図4に示すように、被加工物1の表面に形成した導電性金属酸化物薄膜1aを研摩ブラシ2により擦過することで除去するものである。
【0004】
また、後者の方法は、図5に示すように、導電性金属酸化物薄膜を化学反応的に溶解させる化学液3に被加工物1を浸漬することで、その表面に形成した導電性金属酸化物薄膜1aを除去するものである(例えば特許文献1,2)。
【特許文献1】特開平6−321581号公報
【特許文献2】特開平9−86968号公報
【0005】
しかしながら、機械的擦過によって除去する方法は、研摩ブラシを擦りつけることから、被加工物の表面に擦過痕(疵)や応力変形を生じる場合がある。擦過痕が生じた場合、再利用ができなくなる。また、対象とする被加工物がフラットパネルディスプレイの場合、ガラス基板のガラス厚みが0.5mm程度であるため、接触方式の機械的擦過では破損する可能性がある。従って、微妙なブラシの圧力調整が必要で、完全剥離するために長時間を要する。
【0006】
一方、化学エッチングによって除去する方法は、強酸や強アルカリの化学液を使用するので、基板の表面に化学的応力が発生し、基板表面に変質層を生じさせる場合がある。また、取扱いに十分な注意を払う必要があり、作業性が悪くなるばかりでなく、使用後の電解液を廃液処理する必要がある。また、希少金属の回収には、別途抽出作業を要するために非常に不経済である。
【0007】
上記の問題に対して、出願人は、円筒形状の絶縁体の内外周面両側に電極を設けた円筒状電極体を、基材の導電性金属酸化物薄膜の上方に配置し、内部に導入した電解液を介して、導電性金属酸化物薄膜を還元反応により除去する技術を提案した(特許文献3参照)。
【特許文献3】特開2007−107025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3の技術は、非接触による電解溶出で付着力を弱めた後に、基材に形成された導電性金属を除去するので、基材に疵や応力変形などを残すことなく、また強酸や強アルカリの化学液を用いることなく、導電性金属酸化物薄膜を効率良く除去できる。
【0009】
しかしながら、特許文献3の技術も、基材の全面に亘って完全に導電性金属酸化物薄膜を除去することはできず、例えば10μm2程度の微小な導電性金属酸化物薄膜が残留する。従って、例えば高機能ガラス基板表面などでは、導電性金属酸化物薄膜が完全に除去することができず、再利用ができないという問題があった。
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、従来の方法で、基材に残留する導電性金属酸化物を除去する場合、基材の全面に亘って効率良く除去することができない場合があるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明の微小導電性金属酸化物の除去方法は、
基材の全面に亘って、微小な導電性金属酸化物を効率良く除去するために、
筒形状の絶縁体と、この絶縁体の内周面側に設けられた正電極、及び外周面側に設けられた負電極とで構成された筒状電極体を、基材に対向すべく設け、
前記筒状電極体と基材間に電解液を介在させた状態で、
前記正電極と負電極に電圧を印加しつつ、前記筒状電極体と基材とを相対移動させることで、前記基材の表面に残留する微小な導電性金属酸化物を還元反応により除去するに際し、
前記正電極と絶縁体と負電極の、それぞれの基材と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2=0.8〜100、S2/S3=0.01〜1.15の範囲とした前記筒状電極体を、複数個、隣接配置して行うことを最も主要な特徴としている。
【0012】
また、第2の本発明の微小導電性金属酸化物の除去方法は、
平板の正電極と絶縁体と負電極を、基材との相対移動方向に順に配置した平板状電極体を、基材に対向すべく設け、
この平板状電極体と基材間に電解液を介在させた状態で、
前記正電極と負電極に電圧を印加しつつ、前記平板状電極体と基材とを相対移動させることで、前記基材の表面に残留する微小な導電性金属酸化物を還元反応により除去するに際し、
前記正電極と絶縁体と負電極の、それぞれの基材と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2=0.8〜100、S2/S3=0.01〜1.15の範囲とした前記平板状電極体を、複数個、隣接配置して行うことを最も主要な特徴としている。
【0013】
この本発明の微小導電性金属酸化物の除去方法においては、抵抗率が102Ω・cmから106Ω・cmの電解液を使用することで、基材表面に形成された微小導電性金属酸化物を効率良く除去することが可能になる。
【0014】
第1の本発明の微小導電性金属酸化物の除去方法は、
基材との相対移動方向に、基材に対向して複数個、隣接配置された、筒形状となされた絶縁体の内周面及び外周面に電極を設けた筒状電極体と、
この筒状電極体と基材の間に電解液を介在させるべく、電解液を供給する電解液供給手段と、
前記筒状電極体の絶縁体の内周面側に設けた電極が正極、外周面側に設けた電極が負極となるように電圧を印加する電源と、
前記筒状電極体と基材との相対移動手段を備え、
前記筒状電極体の、正電極と絶縁体と負電極の、それぞれの基材と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2=0.8〜100、S2/S3=0.01〜1.15の範囲とした第1の本発明装置によって実施できる。
【0015】
第2の本発明の微小導電性金属酸化物の除去方法は、
複数個、隣接配置された、基材との相対移動方向に、基材に対向して、平板の正電極、絶縁体及び負電極を順に配置された平板状電極体と、
この平板状電極体と基材の間に電解液を介在させるべく、電解液を供給する電解液供給手段と、
前記正電極と負電極に電圧を印加する電源と、
前記正電極及び負電極と基材との相対移動手段を備え、
前記平板状電極体の、正電極と絶縁体と負電極の、それぞれの基材と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2=0.8〜100、S2/S3=0.01〜1.15の範囲とした第2の本発明装置によって実施できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、正電極、絶縁体、負電極の、基材と対向する面の面積比を所定の比率にした電極体を、複数個、隣接配置するので、基材に残留する微小導電性金属酸化物を、基材の全面に亘って効果的に除去することができる。また、加工速度を速くすることもできる。
【0017】
また、強酸や強アルカリの化学液を使用しないので、環境負荷も低減でき、基材を始めとする希少金属などの資源サイクルも可能になって、経済的にも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図3を用いて詳細に説明する。
本発明は、できるだけ基材への疵や応力変形などを残さないで、かつ、強酸や強アルカリを使用しないで、基材に残留する微小な導電性金属酸化物を除去する技術である。
【0019】
つまり、本発明では、例えば駆動ローラ群16に載せられた絶縁物や導電物などの基材11に対向して多数の電極体12を隣接配置する。そして、これら多数の電極体12と基材11の間に電解液13を供給して電解液13を介在させた状態で、電源14から前記電極体12の正電極12aと負電極12bに電圧を印加しつつ、基材11を移動させるのである。
【0020】
このようにすると、電源14(+)−正電極12a−電解液13−基材11に残留する微小導電性金属酸化物15−電解液13−負電極12b−電源14(−)の閉回路が形成され、正電極12a近傍の微小導電性金属酸化物15の表面からH2の微細気泡が発生する。
【0021】
このとき、正電極12a近傍の微小導電性金属酸化物15の表面に発生するH2が還元剤となり、微小導電性金属酸化物15中のO2を取り除く作用が生じる。さらに、このH2の発生は微小導電性金属酸化物15の界面で生じることから効率の良い還元反応が生じる。
【0022】
2による結合が無くなった微小導電性金属酸化物15は金属元素だけとなり、基材11の表面に結合力が弱まった状態で存在するようになる。基材11との結合が弱まった微小導電性金属は、容易に除去することができるようになる。
【0023】
基材11から除去された微小導電性金属は、これを含む加工後の電解液13と共に、図示省略した加工液捕集パンで捕集し、加工液槽に導く途中において、適宜のフィルターで回収して除去する。
【0024】
ところで、前記電極体12として、第1の本発明では、例えば図1に示すような、円筒形状の絶縁体12cと、この絶縁体12cの内周面側及び外周面側に設けられた電極12a,12bとで構成される円筒状電極体12を使用する。
【0025】
そして、第1の本発明では、この円筒状電極体12を構成する、正電極12a、絶縁体12c、負電極12bの、それぞれの基材11と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2、S2/S3を以下の範囲としている。
【0026】
正電極12aと絶縁体12cの前記面積比(S1/S2)=0.8〜100:
この面積比S1/S2が0.8未満の場合は、絶縁体12cにより微小導電性金属酸化物薄膜15と負電極12bとの距離が長くなり、微小導電性金属酸化物薄膜15に流れる電流量が減少して電流効率が悪くなり、微小導電性金属酸化物薄膜15を完全に除去することができないからである。また、正電極12aの面積が狭くなることで、基板上に点在する微小導電性金属酸化物薄膜15の除去範囲が小さくなるため、すべての導電性金属酸化物薄膜を完全に除去できないからである。
【0027】
一方、この面積比S1/S2が100を超えると、正電極12aの近傍(特に中央部付近)の微小導電性金属酸化物薄膜15は、同じく場合によっては、負電極12bとの距離が長くなり、電流効率が悪化、もしくは前記閉回路が途切れることで、導電性金属酸化物薄膜を完全に除去できないからである。
【0028】
絶縁体12cと負電極12bの前記面積比(S2/S3)=0.01〜1.15:
この面積比S2/S3が0.01未満の場合は、正電極12aとの十分な絶縁効果が得られない。一方、この面積比S2/S3が1.15を超えると、正電極12aとの距離が長くなり、微小導電性金属酸化物薄膜15に流れる電流量が減少して電流効率が悪くなり、微小導電性金属酸化物薄膜15を完全に除去することができないからである。
【0029】
また、第2の発明では、電極体12として、図2に示すような、例えば厚みが2mm程度の平板の絶縁体12cを挟んで、厚さが数mm程度の平板の正電極12aと、厚さが0.1〜数mmの平板の負電極12bを配置した平板状の電極体12を使用する。
【0030】
そして、第2の本発明では、この平板状電極体12を構成する、正電極12a、絶縁体12c、負電極12bの、それぞれの基材11と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2、S2/S3を以下の範囲としている。
【0031】
正電極12aと絶縁体12cの前記面積比(S1/S2)=0.8〜100:
この面積比S1/S2が0.8未満の場合は、絶縁体12cにより微小導電性金属酸化物薄膜15と負電極12bとの距離が長くなり、微小導電性金属酸化物薄膜15に流れる電流量が減少して電流効率が悪くなり、微小導電性金属酸化物薄膜15を完全に除去することができないからである。また、正電極12aの面積が狭くなることで、基板上に点在する微小導電性金属酸化物薄膜15の除去範囲が小さくなるため、すべての導電性金属酸化物薄膜を完全に除去できないからである。
【0032】
一方、この面積比S1/S2が100を超えると、正電極12aの近傍(特に中央部付近)の微小導電性金属酸化物薄膜15は、同じく場合によっては、負電極12bとの距離が長くなり、電流効率が悪化、もしくは前記閉回路が途切れることで、導電性金属酸化物薄膜を完全に除去できないからである。
【0033】
絶縁体12cと負電極12bの前記面積比(S2/S3)=0.01〜1.15:
この面積比S2/S3が0.01未満の場合は、正電極12aとの十分な絶縁効果が得られない。一方、この面積比S2/S3が1.15を超えると、正電極12aとの距離が長くなり、微小導電性金属酸化物薄膜15に流れる電流量が減少して電流効率が悪くなり、微小導電性金属酸化物薄膜15を完全に除去することができないからである。
【0034】
本発明の微小導電性金属酸化物の除去方法、及びこの方法を実施する装置は前記の図1や図2に示した構成に限るものではない。
【0035】
例えば、図1に示した円筒状電極体12の場合、図3(a)に示すように、円筒状電極体12の正電極12aの基材11と対向する面が、負電極12b及び絶縁体12cの基材11と対向する面よりも基材11側に0.1mm〜2mm突出させた構成でも良い。
【0036】
また、図2に示した平板状電極体12の場合、図3(b)に示すように、平板状電極体12の負電極12bの基材11と対向する面が、正電極12a及び絶縁体12cの基材11と対向する面よりも基材11側に0.1mm〜2mm突出させた構成でも良い。
【0037】
このように、円筒状電極体12の正電極12aや、平板状電極体12の負電極12bを突出させた場合は、基材11の移動に伴い、発生したHが未加工の基材11上に流され、これから還元される微小導電性金属酸化物15を還元して導電性を阻害することを効果的に防止できる。
【0038】
従って、上記の作用・効果を奏するためには、円筒形状電極体12の場合は0.1mm以上、平板状電極体12の場合も1.0mm以上突出させることが必要である。一方、円筒形状電極体12の場合は2.0mmを超えて、平板状電極体12の場合も2.0mmを超えて突出させた場合は、基材11と負電極12b、正電極12a間の電流効率が低下するため好ましくない。
【0039】
従って、前記のように円筒状電極体12の正電極12aや、平板状電極体12の負電極12bを突出させる場合は、上記の範囲とすることが望ましい。
【0040】
この際、平板状電極体12を使用する場合には、正電極12aから負電極12bと反対の方向に向けて電解液13を供給することが望ましい。このようにすれば、前記還元反応により発生した微小導電性金属酸化物15の表面に発生したHの気泡を、還元が完了した側に押し流して積極的に排除できる。
【0041】
以上の説明のように、本発明は、一般に行われている、被加工物に正電圧を印加する電解溶出除去反応ではなく、被加工物に負の電圧を印加する特徴的な加工法である。
なお、ここでの電解反応は導電性金属酸化物薄膜界面のごく微量な領域にH2の発生を生じさせるもので良いため、電流はほとんど必要としない。
【0042】
従って、使用する電解液13は、一般に用いられる中性塩溶液でも利用可能であるが、好ましくは、前述のように抵抗率が102Ω・cmから106Ω・cm、より好ましくは104Ω・cmから105Ω・cmのものが良い。
【0043】
本発明では、正電極12a、負電極12bともに基材11とは非接触であるため、電解液13の抵抗率が102Ω・cm未満の場合は、両電極12a,12b間に印加された電圧が、微小導電性金属酸化物15を通さず、両電極12a,12b間で電解液13を通して導通状態となって、微小導電性金属酸化物15の除去効率が低下するからである。また、抵抗率が106Ω・cmを超えると高電圧を印加する必要があり、経済上好ましくないからである。
【0044】
このように本発明では、抵抗率の比較的高い電解液13が適していることから、従来、電解液13としては好ましくなかった、水道水や河川水等を用いることができ、経済性及び安全性の面においても優れている。
【実施例1】
【0045】
厚さが0.7mm、大きさが370mm×470mmのガラス基板上に形成した、直径が数μm〜数百μmの微小な導電性金属酸化物の除去を、図1に示した本発明装置を使用して行った。電解液は、水道水に中性塩溶液を混合したもの(抵抗率は0.1〜103Ω・cm)を使用した。
【0046】
使用した円筒状電極体は、直径が1mm、正電極、絶縁体、負電極の面積S1、S2、S3の比は、S1/S2=3.0、S2/S3=0.5で、この円筒状電極体を3mmの間隔を隔てて縦5列、横7列に近接配置し、これら円筒状電極体と基板間の距離を0.25〜0.50mmとした。
【0047】
両電極に100Vの直流電圧を印加し(電流:1A)、0.4m/minでガラス基板を移動させたところ、ガラス基板の全域に存在した微小な導電性金属酸化物を完全に除去することができた。
【実施例2】
【0048】
実施例1の円筒状電極体に換えて、図2の平板状電極体を使用した。使用した平板状電極体は、正電極、絶縁体、負電極の面積S1、S2、S3の比は、S1/S2=4.0、S2/S3=0.25で、この平板状電極体を3mmの間隔を隔てて5列、近接配置し、これら平板状電極体と基板間の距離を2.0〜3.0mmとした。
【0049】
両電極に100Vの直流電圧を印加し(電流:1.2A)、0.5m/minでガラス基板を移動させたところ、ガラス基板の全域に存在した微小な導電性金属酸化物を完全に除去することができた。
【0050】
本発明は、前述の例に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良い。
【0051】
例えば前記の円筒形状電極体12や平板状電極体12の負電極12bをブラシ体で形成し、基材11と接触するようにして、より除去能力を向上させることも可能である。
【0052】
また、近接配置する平板状電極体12の間や、平板状電極体12の外側に、スポンジを設け、このスポンジを基材11と接触するようにして、より除去能力を向上させることも可能である。
【0053】
また、筒状電極体は、円筒状のものに限らず、多角形状のものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の本発明について説明する図で、(a)は側面から見た図、(b)は平面から見た図、(c)は円筒状電極体の詳細図である。
【図2】第2の本発明について説明する図で、(a)は側面から見た図、(b)は平面から見た図、(c)は平板状電極体の詳細図である。
【図3】(a)は円筒状電極体の他の例を説明する図、(b)は平板状電極体の他の例を説明する図である。
【図4】機械的擦過により金属薄膜を除去する方法について説明する図である。
【図5】化学エッチングにより金属薄膜を除去する方法について説明する図である。
【符号の説明】
【0055】
11 基材
12 電極体
12a 正電極
12b 負電極
12c 絶縁体
13 電解液
14 電源
15 微小導電性金属酸化物
16 駆動ローラ群


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の絶縁体と、この絶縁体の内周面側に設けられた正電極、及び外周面側に設けられた負電極とで構成された筒状電極体を、基材に対向すべく設け、
この筒状電極体と基材間に電解液を介在させた状態で、
前記正電極と負電極に電圧を印加しつつ、前記筒状電極体と基材を相対移動させることで、前記基材の表面に残留する微小な導電性金属酸化物を還元反応により除去するに際し、
前記正電極と絶縁体と負電極の、それぞれの基材と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2=0.8〜100、S2/S3=0.01〜1.15の範囲とした前記筒状電極体を、複数個、隣接配置して行うことを特徴とする微小導電性金属酸化物の除去方法。
【請求項2】
前記正電極の基材と対向する面が、前記負電極及び絶縁体の基材と対向する面よりも基材側に0.1mm〜2mm突出させていることを特徴とする請求項1に記載の微小導電性金属酸化物の除去方法。
【請求項3】
平板の正電極と絶縁体と負電極を、基材との相対移動方向に順に配置した平板状電極体を、基材に対向すべく設け、
この平板状電極体と基材間に電解液を介在させた状態で、
前記正電極と負電極に電圧を印加しつつ、前記平板状電極体と基材とを相対移動させることで、前記基材の表面に残留する微小な導電性金属酸化物を還元反応により除去するに際し、
前記正電極と絶縁体と負電極の、それぞれの基材と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2=0.8〜100、S2/S3=0.01〜1.15の範囲とした前記平板状電極体を、複数個、隣接配置して行うことを特徴とする微小導電性金属酸化物の除去方法。
【請求項4】
前記負電極の基材と対向する面が、前記正電極及び絶縁体の基材と対向する面よりも基材側に0.1mm〜2mm突出していることを特徴とする請求項3に記載の微小導電性金属酸化物の除去方法。
【請求項5】
前記電解液は、前記正電極から負電極と反対の方向に向けて供給することを特徴とする請求項4に記載の微小導電性金属酸化物の除去方法。
【請求項6】
抵抗率が102Ω・cmから106Ω・cmの前記電解液を使用することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の微小導電性金属酸化物の除去方法。
【請求項7】
請求項1に記載の微小導電性金属酸化物の除去方法を実施する装置であって、
基材との相対移動方向に、基材に対向して複数個、隣接配置された、筒形状となされた絶縁体の内周面及び外周面に電極を設けた筒状電極体と、
この筒状電極体と基材の間に電解液を介在させるべく、電解液を供給する電解液供給手段と、
前記筒状電極体の絶縁体の内周面側に設けた電極が正極、外周面側に設けた電極が負極となるように電圧を印加する電源と、
前記筒状電極体と基材との相対移動手段を備え、
前記筒状電極体の、正電極と絶縁体と負電極の、それぞれの基材と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2=0.8〜100、S2/S3=0.01〜1.15の範囲としたことを特徴とする微小導電性金属酸化物の除去装置。
【請求項8】
請求項3に記載の微小導電性金属酸化物の除去方法を実施する装置であって、
複数個、隣接配置された、基材との相対移動方向に、基材に対向して、平板の正電極、絶縁体及び負電極を順に配置された平板状電極体と、
この平板状電極体と基材の間に電解液を介在させるべく、電解液を供給する電解液供給手段と、
前記正電極と負電極に電圧を印加する電源と、
前記正電極及び負電極と基材との相対移動手段を備え、
前記平板状電極体の、正電極と絶縁体と負電極の、それぞれの基材と対向する面の面積をS1、S2、S3とした場合、S1/S2=0.8〜100、S2/S3=0.01〜1.15の範囲としたことを特徴とする微小導電性金属酸化物の除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−104924(P2010−104924A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280351(P2008−280351)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】