説明

情報処理システム、情報処理プログラム

【課題】対象エリアに関するすべての情報を対象として情報処理が実行され、これとは別の情報処理が並行して実行された場合にもこれらの情報処理を円滑に実行しうるシステム等を提供する。
【解決手段】情報処理システム10によれば、相互に異なる複数のメッシュ群のそれぞれが第1メッシュ群〜第nメッシュ群(n=2,3,‥)のそれぞれとして決定される。そして、第1メッシュ群〜第nメッシュ群の順番に、各メッシュ群に関するメッシュ情報群を対象として所定の情報処理が実行される。これにより、対象エリアに包含されるすべてのメッシュに関するメッシュ情報群を対象として所定の情報処理が実行されうる。さらに、メッシュ情報群ごとに所定の情報処理が実行されることにより、この所定の情報処理のための情報処理システムの負荷軽減が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動機能を有するまたはユーザにより携帯される機能的装置に搭載される情報処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
気象状況に鑑みた自動車の適切なルートプランニング等のため、複数のエリアにおける気象情報を表示するように構成されたナビゲーションシステムが知られている。エリアの増加に伴って増える気象情報の処理の効率化のため、GPSにより測定された自動車の現在位置が属するエリアにおける気象情報のみを伝送処理の対象とする等、情報処理の対象となる気象情報量を減らす技術的手法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許公開公報 US2007/0049260 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、一部のエリアのみならずすべてのエリアにおける気象情報を対象として情報処理が実行され、これと同時にその他の情報処理が実行された場合、情報処理能力の限界のため、これらの情報処理が円滑に実行されなくなる可能性がある。
【0004】
そこで、本発明は、対象エリアに関するすべての情報を対象として情報処理が実行され、これとは別の情報処理が並行して実行された場合にもこれらの情報処理を円滑に実行しうるシステム等を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明の情報処理システムは、位置測定部を有し、かつ、移動機能を有するまたはユーザにより携帯される機能的装置に搭載される情報処理システムであって、所定サイズ以下の相互に異なる複数のメッシュ群により対象エリアのすべてが覆われるように、当該複数のメッシュ群のうち前記位置測定部により測定された前記機能的装置の位置を包含する該メッシュ群を第1メッシュ群として決定し、かつ、他の該メッシュ群のそれぞれを第2メッシュ群〜第nメッシュ群(n=2,3,‥)のそれぞれとして決定する第1処理部と、前記第1処理部により決定された第1メッシュ群から第nメッシュ群まで順番に、各メッシュ群に包含される各メッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理を実行する第2処理部とを備えていることを特徴とする。
【0006】
第1発明の情報処理システムによれば、相互に異なる複数のメッシュ群のそれぞれが第1メッシュ群〜第nメッシュ群(n=2,3,‥)のそれぞれとして決定される。そして、第1メッシュ群〜第nメッシュ群の順番に、各メッシュ群に包含される各メッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理が実行される。当該複数のメッシュ群により対象エリアのすべてが覆われるので、この対象エリアに包含されるすべてのメッシュに関するメッシュ情報群を対象として所定の情報処理が実行されうる。また、機能的装置の測定位置を包含するメッシュ群が第1メッシュ群として決定されるので、機能的装置の位置に鑑みてそのユーザにとって関連性または必要性の高いメッシュ情報群を最優先の対象として所定の情報処理が実行される。さらに、各メッシュ群が所定サイズ以下であるので、メッシュ情報群ごとに所定の情報処理が実行されることにより、この所定の情報処理のための情報処理システムの負荷軽減が図られうる。したがって、対象エリアに包含されるすべてのメッシュに関するメッシュ情報を対象として情報処理が実行され、これとは別の情報処理が並行して実行された場合にも、これらの情報処理が円滑に実行されうる。なお、メッシュ群のサイズは、このメッシュ群の所定方向についての幅や、このメッシュ群に包含されるメッシュの数等により定義される。
【0007】
第2発明の情報処理システムは、第1発明の情報処理システムにおいて、前記第1処理部が、前記機能的装置の位置が前記第1メッシュ群と当該第1メッシュ群に隣接するメッシュ群との境界領域から外れるように当該第1メッシュ群を決定することを特徴とする。
【0008】
第2発明の情報処理システムによれば、機能的装置の位置が第1メッシュ群と他のメッシュ群との境界領域から外れるように当該第1メッシュ群が決定される。これは、機能的装置から遠いメッシュに関するメッシュ情報よりも、機能的装置に近いメッシュに関するメッシュ情報のほうが、この機能的装置のユーザにとって関連性または必要性が高いことが考慮されたためである。したがって、機能的装置の位置に鑑みてそのユーザにとって関連性または必要性の高いメッシュ情報を、所定の情報処理の最優先対象とする観点から、適切に第1メッシュ群が決定されうる。
【0009】
第3発明の情報処理システムは、第1または第2発明の情報処理システムにおいて、前記第1処理部が、前記機能的装置の位置が包含されるように第2メッシュ群を決定することを特徴とする。
【0010】
第3発明の情報処理システムによれば、第1メッシュ群のうち機能的装置の位置が含まれる部分に重複するように第2メッシュ群が決定される。そして、第1メッシュ群および第2メッシュ群の順番で、各メッシュ群に含まれる各メッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理が実行されることにより、当該重複部分に含まれるメッシュに関するメッシュ情報が連続して所定の情報処理の実行対象となる。このため、たとえば、第1メッシュ群に関するメッシュ情報群を対象として所定の情報処理が実行された後、当該重複部分におけるメッシュ情報が更新された場合、第2メッシュ群に関するメッシュ情報群を対象として所定の情報処理が実行されることにより、当該更新後のメッシュ情報を対象として所定の情報処理が迅速に実行される。したがって、機能的装置の位置に鑑みてそのユーザにとって関連性または必要性が高いメッシュ情報が更新された場合、当該更新後のメッシュ情報を対象として迅速に所定の情報処理が実行されうる。
【0011】
第4発明の情報処理プログラムは、位置測定部を有し、かつ、移動機能を有するまたはユーザにより携帯される機能的装置に搭載されているコンピュータを機能させるためのプログラムであって、所定サイズ以下の相互に異なる複数のメッシュ群により対象エリアのすべてが覆われるように、当該複数のメッシュ群のうち前記位置測定部により測定された前記機能的装置の位置を包含する該メッシュ群を第1メッシュ群として決定し、かつ、他の該メッシュ群のそれぞれを第2メッシュ群〜第nメッシュ群(n=2,3,‥)のそれぞれとして決定する第1処理部と、前記第1処理部により決定された第1メッシュ群から第nメッシュ群まで順番に、各メッシュ群に包含される各メッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理を実行する第2処理部とを備えている情報処理システムとして前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【0012】
第4発明の情報処理プログラムによれば、機能的装置に搭載されているコンピュータを、すべてのエリアにおける情報を対象として情報処理が実行され、これとは別の情報処理が並行して実行された場合にもこれらの情報処理を円滑に実行しうる情報処理システムとして機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の情報処理システム等の実施形態について図面を用いて説明する。図1に示されている自動車1に搭載されている情報処理システム10は第1情報処理ユニット11および第2情報処理ユニット12により構成されている。第1情報処理ユニット11および第2情報処理ユニット12は信号線を介して通信可能に接続されている。情報処理システム10は自動車1のほか、移動機能を有するロボット等の機能装置や、ユーザによって携帯される携帯電話機等の機能的装置に搭載されていてもよい。第1情報処理ユニット11および第2情報処理ユニット12は1つの電子制御ユニットとして自動車1に搭載されていてもよい。第1情報処理ユニット11および第2情報処理ユニット12のうち一方または両方を構成するコンピュータのメモリに、本発明の情報処理プログラムが格納されている。この情報処理プログラムは当該メモリに予め格納されていてもよいが、CD−ROM等の記録媒体を介してコンピュータにインストールされてもよく、サーバから配信または放送された上でメモリに格納されてもよい。
【0014】
第1情報処理ユニット11は第1処理部111と、第2処理部112と、第1格納部114とを備えている。第1情報処理ユニット11には、情報プロバイダ2から衛星アンテナ20および人工衛星22を介して放送されるメッシュ情報を受信する受信機104が接続されている。第1情報処理ユニット11は受信機104を構成要素として備えていてもよく、受信機104が第1情報処理ユニット11に接続される携帯電話機等の携帯通信機器であってもよい。受信機104により受信されたメッシュ情報は第1格納部114に格納される。第1処理部111は、所定サイズ以下の相互に異なる複数のメッシュ群により対象エリアのすべてが覆われるように、当該複数のメッシュ群のうち位置測定部122により測定された自動車1の位置を包含するメッシュ群を第1メッシュ群として決定し、かつ、他の該メッシュ群のそれぞれを第2メッシュ群〜第nメッシュ群(n=2,3,‥)のそれぞれとして決定する。第2処理部112は第1処理部111により決定された第1メッシュ群〜第nメッシュ群の順番で、各メッシュ群に包含される各メッシュに関する、第1格納部114に格納されているメッシュ情報を対象として所定の情報処理を実行した後、同じく第1処理部111により決定された第i+1メッシュ群に包含される各メッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理を実行する。
【0015】
第2情報処理ユニット12にはナビゲーション装置の操作ボタンやマイクロフォン等の入力装置101と、ディスプレイやスピーカ等の出力装置102とが接続されている。第2情報処理ユニット12は入力装置101および出力装置102を構成要素として備えていてもよい。第2情報処理ユニット12は位置測定部122と、第2格納部124とを備えている。位置測定部122は、自動車1に搭載されているGPS受信機により受信されたGPS信号や、自動車1に搭載されている加速度センサの出力信号に基づき、自動車1の位置(緯度、経度)を測定する。第2格納部124には第1情報処理ユニット11から第2情報処理ユニット12に伝送されたメッシュ情報が格納される。第2情報処理ユニット12はマップ格納部に格納されているマップデータに基づき、入力装置101を通じて入力された目的位置までのルートを探索し、当該ルートを当該マップとともに出力装置102に出力する。マップデータにより道路、建築物、公園等の形状や位置が座標(緯度、経度)の列または集合として表現されている。第2情報処理ユニット12は第2格納部124に格納されているメッシュ情報を、マップに関連付けて出力装置102に出力する。
【0016】
前記構成の情報処理システム10の機能について説明する。自動車1のIGN(イグニッション)スイッチがACC/OFFからACC/ONに切り替えられると、第1情報処理ユニット11や第2情報処理ユニット12等の車載機器に対して車載バッテリから電力が供給される。第2情報処理ユニット12において位置測定部122が、自動車1に搭載されているGPS受信機により受信されたGPS信号や、自動車1に搭載されている加速度センサの出力信号に基づき、自動車1の位置(緯度、経度)を測定する。第2情報処理ユニット12はこの測定結果を第1情報処理ユニット11に送信する。
【0017】
人工衛星22から放送されるメッシュ情報は、対象エリアに包含される複数のメッシュのそれぞれに関連付けられている。たとえば、図3に示されているように北米大陸におけるアラスカ州を除くアメリカ合衆国のエリアが対象エリアとされ、この対象エリアを緯度方向および経度方向に分割する、複数の矩形状のメッシュのそれぞれに関連付けられている。メッシュ情報は、放送データサイズを放送バンド幅に鑑みて適当な大きさにするため、図3に示されているように緯度方向に並んでいるメッシュ列ごとに放送される。
【0018】
メッシュ情報は、図4(a)に示されているメッシュワーニングデータD1およびメッシュインフォデータD2により構成されている。メッシュワーニングデータD1はマッチングナンバー(Matching#)5と、図4(b)左側に示されている緯度識別ナンバー(Longitude)0,1,2,‥で表わされているメッシュ列ごとのワーニングナンバー(Warning#)の配列パターン(0*12)、(0*12)、(0*3,2*4,0*5)、‥とにより構成されている。メッシュインフォデータD2は、ワーニングナンバー1,2,‥と、これにリンク付けされた気象情報(「午後5時まで洪水」「午後9時まで雷雨」‥)と、マッチングナンバー5とにより構成されている。図4(b)に示されているようにメッシュインフォデータD1により特定されるメッシュごとのマッチングナンバーおよびワーニングナンバーのそれぞれと、メッシュインフォデータD2のマッチングナンバーおよびワーニングナンバーのそれぞれとがリンク付けされて、メッシュ情報が第1格納部114および第2格納部124のそれぞれに格納される。
【0019】
メッシュ情報は情報プロバイダ2によって逐次更新される。たとえば、図4(a)に示されているメッシュ情報は、図5(a)に示されているようにマッチングナンバー6によりリンク付けされている、メッシュワーニングデータD1およびメッシュインフォデータD2により構成されているメッシュ情報に更新される。更新後のメッシュ情報は前記のように人工衛星によってメッシュ列ごとに放送されるので、第1格納部114または第2格納部124に格納されているメッシュ情報はメッシュ列ごとにアップデートされる。たとえば、図5(b)に示されているように太枠で示されているメッシュ列に含まれるメッシュに関するメッシュ情報のみがアップデートされうる。また、一部のメッシュに関する更新後のメッシュ情報が受信機104により受信された後も、すべてのメッシュに関する更新前のメッシュ情報が第1格納部114または第2格納部124に格納された状態が一定時間にわたり維持される。これにより、第1格納部114または第2格納部124には更新前の古いメッシュ情報と更新後の新しいメッシュ情報とが合わせて格納されるが、マッチングナンバーによる照合によって各メッシュに関する最新の気象情報が特定されうる。
【0020】
人工衛星22から放送されたメッシュ情報は受信機104により受信され、第1情報処理ユニット11の第1格納部114に格納される。前記のように第2情報処理ユニット12から第1情報処理ユニット11に送信された、位置測定部122による測定結果に基づき、第1処理部111が対象エリアに包含される複数のメッシュ群を第iメッシュ群(i=1,2,‥)として決定する。
【0021】
まず、自動車1の位置を包含するメッシュ群であって、当該メッシュ群における他のメッシュ群との境界領域から外れるように第1メッシュ群が決定される。
【0022】
具体的には、第1情報処理ユニット11を構成するメモリにあらかじめ格納されているメッシュ群の1次集合のうち、自動車1の位置を包含するメッシュ群が決定される。たとえば、図6(a)に示されているように対象エリアのすべてを覆う4つのメッシュ群A〜Dの集合がメッシュ群の1次集合として定義されている。対象エリアは経度範囲[x|x0,x8]により画定されている。対象エリアを経度方向に分割するメッシュ群A〜Dのそれぞれは、経度範囲[x|x0,x2(=x0+△)]、[x|x2,x4(=x0+2△)]、[x|x4,x6(=x0+3△)]および[x|x6,x8(=x0+4△)]のそれぞれにより画定されている。1次集合に含まれる各メッシュ群は、その緯度方向の幅(サイズ)が所定サイズ以下となるように定義されている。なお、各メッシュ群が、そこに包含されるメッシュの数(サイズ)が所定サイズ以下となるように定義されていてもよい。各メッシュ群のサイズは同一であっても異なっていてもよい。たとえば、自動車1が図6(a)に示されているメッシュ群Bに含まれる地点p1または地点p2に位置している場合、メッシュ群Bが自動車1の位置を包含するメッシュ群として決定される。
【0023】
また、自動車1の位置を包含するメッシュ群における隣接メッシュ群との境界領域からこの自動車1が外れているか否かが判定される。たとえば、図6(a)に示されているメッシュ群Bにおける西側の隣接メッシュ群Aまたは東側の隣接メッシュ群Cとの境界領域(斜線部)からこの自動車1の位置が外れているか否かが判定される。メッシュ群Bの西側および東側のそれぞれの境界領域は経度範囲[x|x2,x2+α△(0<α<0.25)]および[x|x4−α△,x4]のそれぞれにより画定されている。
【0024】
当該判定結果が肯定的である場合、すなわち、自動車1の位置が当該境界領域から外れていると判定された場合、自動車1の位置を包含するメッシュ群が第1メッシュ群として決定される。たとえば、自動車1が図6(a)に示されているメッシュ群Bの境界領域から外れている地点p1に位置している場合、メッシュ群Bが第1メッシュ群として決定される。
【0025】
一方、当該判定結果が否定的である場合、すなわち、自動車1の位置が当該境界領域に包含されていると判定された場合、前記1次集合とは異なるメッシュ群の2次集合のうち、自動車1の位置を包含するメッシュ群が決定される。たとえば、自動車1が図6(a)に示されているメッシュ群Bにおける東側の境界領域に含まれる地点p2に位置していると判定された場合、第1情報処理ユニット11を構成するメモリにあらかじめ格納されているメッシュ群の2次集合のうち、自動車1の位置を包含するメッシュ群が決定される。たとえば、図6(b)に示されているように対象エリアの中央部を覆う3つのメッシュ群E〜Gの集合がメッシュ群の2次集合として定義されている。メッシュ群E〜Gのそれぞれは経度範囲[x|x1(=x0+β△(α<β≦1−α)),x3(=x2+β△)]、[x|x3,x5(=x4+β△)]および[x|x5,x7(=x6+β△)]のそれぞれにより画定されている。2次集合に含まれる各メッシュ群は、その緯度方向の幅(サイズ)が前記所定サイズ以下となるように定義されている。たとえば、自動車1が図6(b)に示されているメッシュ群Fに含まれる地点p2に位置している場合、メッシュ群Fが自動車1の位置を包含するメッシュ群として決定される。
【0026】
また、図6(b)に示されている、自動車1の位置を包含するメッシュ群Fにおける西側の隣接メッシュ群Eまたは東側の隣接メッシュ群Gとの境界領域(斜線部)からこの自動車1が外れているか否かが判定される。メッシュ群Fの西側および東側のそれぞれの境界領域は経度範囲[x|x3,x3+α△]および[x|x5−α△,x5]のそれぞれにより画定されている。
【0027】
当該判定結果が肯定的である場合、すなわち、自動車1の位置が当該境界領域から外れていると判定された場合、自動車1の位置を包含するメッシュ群が第1メッシュ群として決定される。たとえば、自動車1が図6(b)に示されているメッシュ群Fの境界領域から外れている地点p2に位置している場合、メッシュ群Fが第1メッシュ群として決定される。
【0028】
第1メッシュ群が決定された後、この第1メッシュ群とは異なる他のメッシュ群のそれぞれが第2メッシュ群〜第nメッシュ群(n=2,3,‥)のそれぞれとして決定される。たとえば、図6(a)に示されているメッシュ群の1次集合に含まれる一のメッシュ群Bが第1メッシュ群として決定された場合、他のメッシュ群A、CおよびDのそれぞれが第2、第3および第4メッシュ群のうちいずれか1つとして決定される。東方向について第1メッシュ群に近いメッシュ群C、メッシュ群Dおよびメッシュ群Aの順に第2、第3および第4メッシュ群が決定されうる。また、図6(b)に示されているメッシュ群の2次集合に含まれる一のメッシュ群Fが第1メッシュ群として決定された場合、他のメッシュ群A、B、CおよびDのそれぞれが第2、第3、第4および第5メッシュ群のうちいずれか1つとして決定される。このように2次集合ではなく1次集合に含まれるメッシュ群が第2メッシュ群等として決定されるのは、対象エリアのすべてが2次集合に含まれる3つのメッシュ群E〜Gによって覆われないからである。メッシュ群A〜Dのうち、自動車1の位置を含む部分において第1メッシュ群であるメッシュ群Fに重複するメッシュ群Bが第2メッシュ群として決定されうる(図6(a)(b)参照)。
【0029】
なお、車載のジャイロセンサ等のセンサの出力信号に基づいて測定される自動車1の進行方向に基づき、第2メッシュ群〜第nメッシュ群が決定されてもよい。たとえば、自動車1の進行方向ベクトルが東方向成分を有する場合、第1メッシュ群の東隣にあるメッシュ群が第2メッシュ群として決定されてもよい。
【0030】
第1処理部111によって第1〜第nメッシュ群が決定された後、第2処理部112がこの第1〜第nメッシュ群の順で、各メッシュ群に包含されるメッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理を順次実行する。また、第1〜第nメッシュ群の順で実行される一連の所定の情報処理が繰り返される。第2処理部112は所定の情報処理として、第1格納部114からの読み出し処理と、第2情報処理ユニット12への送信処理を実行する。これに応じて第2情報処理ユニット12はメッシュ情報に含まれる気象情報を出力装置102に出力するための情報処理を実行する。これにより、出力装置102からユーザにより視覚または聴覚を通じて認識されうる形態で気象情報が出力される。そして、ユーザは出力装置102により表示等された対象エリアにおける各地の気象情報を参考して、ルートプランニングの変更等を検討することができる。なお、第2情報処理ユニット12が第1情報処理ユニット11とは別個に第2処理部を備え、この第2処理部が所定の情報処理としてメッシュ情報に包含される気象情報を出力装置102に出力するための情報処理を実行してもよい。
【0031】
前記機能を発揮する情報処理システム10によれば、相互に異なる複数のメッシュ群のそれぞれが第1メッシュ群〜第nメッシュ群(n=2,3,‥)のそれぞれとして決定される。そして、第1メッシュ群〜第nメッシュ群の順番に、各メッシュ群に包含される各メッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理が実行される。当該複数のメッシュ群により対象エリアのすべてが覆われるので、この対象エリアに包含されるすべてのメッシュに関するメッシュ情報群を対象として所定の情報処理が実行されうる(図6(a)(b)参照)。また、自動車1の測定位置を包含するメッシュ群が第1メッシュ群として決定されるので、自動車1の位置に鑑みてそのユーザにとって関連性または必要性の高いメッシュ情報群を最優先の対象として所定の情報処理が実行される。さらに、各メッシュ群が所定サイズ以下であるので、メッシュ情報群ごとに所定の情報処理が実行されることにより、この所定の情報処理のための情報処理システム10の負荷軽減が図られうる。したがって、対象エリアに包含されるすべてのメッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理が実行され、これとは別の情報処理(たとえば第2情報処理ユニット12によるルート探索)が並行して実行された場合にも、これらの情報処理が円滑に実行されうる。
【0032】
また、自動車1の位置が第1メッシュ群とこれに隣接するメッシュ群との境界領域から外れるように当該第1メッシュ群が決定される(図6(a)(b)参照)。これは、自動車1から遠いメッシュに関するメッシュ情報よりも、自動車1に近いメッシュに関するメッシュ情報のほうが、この自動車1のユーザにとって関連性または必要性が高いことが考慮されたためである。したがって、自動車1の位置に鑑みてそのユーザにとって関連性または必要性の高いメッシュ情報を、所定の情報処理の最優先対象とする観点から、適切に第1メッシュ群が決定されうる。
【0033】
さらに、図6(b)に示されているメッシュ群Fが第1メッシュ群として決定された場合、この第1メッシュ群のうち自動車1の位置が含まれる部分に重複する、図6(a)に示されているメッシュ群Bが第2メッシュ群として決定される。そして、第1メッシュ群および第2メッシュ群の順番で、各メッシュ群に含まれる各メッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理が実行されることにより、当該重複部分に含まれるメッシュに関するメッシュ情報が連続して所定の情報処理の実行対象となる。このため、たとえば、第1メッシュ群に関するメッシュ情報群を対象として所定の情報処理が実行された後、当該重複部分におけるメッシュ情報が更新された場合(図5参照)、第2メッシュ群に関するメッシュ情報群を対象として所定の情報処理が実行されることにより、当該更新後のメッシュ情報を対象として所定の情報処理が迅速に実行される。したがって、自動車1の位置に鑑みてそのユーザにとって関連性または必要性が高いメッシュ情報が更新された場合、当該更新後のメッシュ情報を対象として迅速に所定の情報処理が実行されうる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】情報処理システムの構成説明図
【図2】情報処理システムの構成説明図
【図3】対象エリアおよびメッシュに関する説明図
【図4】メッシュ情報のデータ構造に関する説明図
【図5】メッシュ情報の更新に関する説明図
【図6】第1〜第nメッシュ群の決定方法に関する説明図
【符号の説明】
【0035】
1‥自動車(機能的装置)、10‥情報処理システム、11‥第1情報処理ユニット、12‥第2情報処理ユニット、101‥入力装置、102‥出力装置、104‥受信機、111‥第1処理部、112‥第2処理部、114‥第1格納部、122‥位置測定部、124‥第2格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置測定部を有し、かつ、移動機能を有するまたはユーザにより携帯される機能的装置に搭載される情報処理システムであって、
所定サイズ以下の相互に異なる複数のメッシュ群により対象エリアのすべてが覆われるように、当該複数のメッシュ群のうち前記位置測定部により測定された前記機能的装置の位置を包含する該メッシュ群を第1メッシュ群として決定し、かつ、他の該メッシュ群のそれぞれを第2メッシュ群〜第nメッシュ群(n=2,3,‥)のそれぞれとして決定する第1処理部と、
前記第1処理部により決定された第1メッシュ群から第nメッシュ群まで順番に、各メッシュ群に包含される各メッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理を実行する第2処理部とを備えていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の情報処理システムにおいて、
前記第1処理部が、前記機能的装置の位置が前記第1メッシュ群と当該第1メッシュ群に隣接するメッシュ群との境界領域から外れるように当該第1メッシュ群を決定することを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の情報処理システムにおいて、
前記第1処理部が、前記機能的装置の位置が包含されるように第2メッシュ群を決定することを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
位置測定部を有し、かつ、移動機能を有するまたはユーザにより携帯される機能的装置に搭載されているコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
所定サイズ以下の相互に異なる複数のメッシュ群により対象エリアのすべてが覆われるように、当該複数のメッシュ群のうち前記位置測定部により測定された前記機能的装置の位置を包含する該メッシュ群を第1メッシュ群として決定し、かつ、他の該メッシュ群のそれぞれを第2メッシュ群〜第nメッシュ群(n=2,3,‥)のそれぞれとして決定する第1処理部と、
前記第1処理部により決定された第1メッシュ群から第nメッシュ群まで順番に、各メッシュ群に包含される各メッシュに関するメッシュ情報を対象として所定の情報処理を実行する第2処理部とを備えている情報処理システムとして前記コンピュータを機能させることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−87012(P2009−87012A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255781(P2007−255781)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】