説明

情報処理システム、情報処理装置および方法、並びにプログラム

【課題】携帯機の受信可能範囲近傍に位置する電装品が稼働中であっても、より正確に携帯機の位置を特定する。
【解決手段】車載機12は、使用者の所持する携帯機13が、予め定められた受信範囲内にあるかを特定する場合、車両IDの送信を指示するリクエスト信号を、受信範囲内の機器だけが受信できる電力強度で送信する。携帯機13は、リクエスト信号を受信すると、車両IDの含まれるアンサ信号を送信するので、車載機12はアンサ信号を受信し、アンサ信号に含まれる車両IDと、予め記録している車両IDとを比較し、携帯機13が受信範囲内に位置するかを特定する。また、車載機12は、車両11内の電装品が稼動中である場合、リクエスト信号の電力強度を増加させて、携帯機13との通信の不成立を防止するとともに、RSSIを利用して、携帯機13が受信範囲内に位置するかをより正確に特定する。本発明は、情報処理システムに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理システム、情報処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、より正確に携帯機の位置を特定できるようにした情報処理システム、情報処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転者が、ステアリングホイール近傍に設けられたスイッチを操作するだけで、メカニカルキーを鍵穴に挿すといった煩わしい操作を必要とせずに、エンジンを始動させたり、エンジンを停止させたりすることができるシステムが知られている。
【0003】
このようなシステムでは、車両に設置された車載機と、運転者が所持する携帯型の携帯機とが無線通信することで、携帯機を所持している運転者が正規の使用者、つまり車両の所有者であるか否かの認証処理が行われる。そして、正規の使用者であると認証されると、エンジンの始動等、指示された動作が実施される。認証処理は、一般的に、携帯機が予め記録している、車両を特定するための車両ID(Identification)と、車載機が予め記録している車両IDとが一致するか否かを車載機が判定することにより行われる。
【0004】
また、車両のエンジンが稼動している状態で携帯機が車室外に持ち出されると、エンジンを停止させたり、エンジンを再度始動させたりすることができなくなる。そこで、使用者がエンジンに対する操作を行えなくなることを防止するために、車載機は、エンジンが始動すると、携帯機の車室外への持ち出しを監視する監視処理を行う。
【0005】
監視処理では、エンジン始動時と同様に、携帯機に記録された車両IDと、車載機に記録されている車両IDとが比較されて、携帯機が車室内にあるか否かが特定される。この場合、車載機が無線通信により携帯機から車両IDを受信するための方法として、主に以下の2つの方法が考えられる。
【0006】
すなわち、車両IDの送信を要求するリクエスト信号を、車載機が定期的(間欠的)に携帯機に対して送信し、携帯機から車両IDを受信する方法と、車両のドアまたは窓が開かれたときに車載機が携帯機にリクエスト信号を送信し、車両IDを受信する方法である。
【0007】
また、従来、携帯機の位置を特定するための技術として、車両の車室内と、車室外とにそれぞれアンテナを設け、それらのアンテナから送信したリクエスト信号に対する応答の有無により、携帯機が車室内または車室外の照合可能エリア内に位置するか否かを特定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術では、両方のアンテナからのリクエスト信号に対して応答があった場合には、それらのアンテナからのリクエスト信号の電力強度を下げて、携帯機がリクエスト信号を受信可能な範囲を狭めることにで、携帯機の位置が特定される。
【0008】
【特許文献1】特開2007−303254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、車載機が携帯機との無線通信により携帯機の位置を特定する場合、車載機からのリクエスト信号と、車載機から送信され、車室内の壁などで反射されたリクエスト信号とが打ち消し合う等の理由により、携帯機が、通信可能な範囲内、つまりリクエスト信号を受信可能な受信可能範囲内に位置しているときであっても、場所によっては車載機と携帯機との通信が成立しないことがあり得る。
【0010】
また、受信可能範囲近傍にエンジン等の電装品が配置されており、その電装品が稼動していれば、電装品から発生するノイズにより、さらに車載機と携帯機の通信が困難となる。すなわち、ノイズの発生によって、受信可能範囲内であっても携帯機がリクエスト信号を受信できない場所が生じることになる。
【0011】
例えば、携帯機の車室外への持ち出しを監視する監視処理時には、必ずエンジンが稼動しているため、エンジンから発生するノイズなどによりリクエスト信号の実質的な電力強度が低下し、携帯機の車室外への持ち出しの誤検出が生じる恐れがある。
【0012】
上述した技術では、特に、携帯機がリクエスト信号を受信可能な受信可能範囲近傍に電装品があり、その電装品が稼動している場合には、受信可能範囲内において、車載機が携帯機と確実に無線通信を行って、携帯機の位置を特定することは困難であった。
【0013】
例えば、特許文献1に記載の技術では、両方のアンテナから送信されるリクエスト信号の電力強度を増加させることも考えられる。しかしながら、そのような場合には、車室内と車室外の照合可能エリアが重なる部分がより広くなるため、携帯機の位置の検出精度が低下してしまうことになる。つまり、単にリクエスト信号の電力強度を増加させても、携帯機が車室内にあるか、または車室外にあるかを正確に特定することは困難であった。
【0014】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、携帯機の受信可能範囲近傍に位置する電装品が稼働中であっても、より正確に携帯機の位置を特定することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の情報処理システムは、情報処理装置と、固有情報が記録されている携帯型の携帯機とからなる情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記固有情報と所定の関係を有する特定情報を記録する第1の記録手段と、
前記固有情報を要求する第1のリクエスト信号、または前記固有情報および受信した信号の電力強度を示す電力強度情報を要求する第2のリクエスト信号を無線通信により送信する第1の送信手段と、
前記第1の送信手段を制御して、前記情報処理装置近傍の特定の電装品が稼動していない場合、前記第1のリクエスト信号を送信させ、前記電装品が稼動している場合、前記第1のリクエスト信号よりも電力強度の強い前記第2のリクエスト信号を送信させる第1の制御手段と、
無線通信により前記携帯機から送信された前記固有情報を受信する第1の受信手段と、
受信した前記固有情報と前記第1の記録手段に記録された前記特定情報とを比較して、前記携帯機が予め定められた領域内にあるか否かを特定する位置特定手段と
を備え、
前記位置特定手段は、前記電装品が稼動している場合、受信した前記固有情報に付加された前記電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、前記携帯機が前記領域内にあるか否かを特定し、
前記携帯機は、
前記情報処理装置からの前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号を受信する第2の受信手段と、
受信した前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号の電力強度を検出する検出手段と、
前記固有情報を記録する第2の記録手段と、
前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号に応じて、前記第2の記録手段に記録されている前記固有情報を送信する第2の送信手段と、
前記第2のリクエスト信号が受信された場合、前記検出手段により検出された電力強度を示す前記電力強度情報を前記固有情報に付加して、前記第2の送信手段に送信させる第2の制御手段と
を備える。
【0016】
本発明の第1の情報処理システムにおいては、特定の電装品が稼動している場合、情報処理装置から、より電力強度の強い第2のリクエスト信号が送信され、携帯機により第2のリクエスト信号が受信される。そして、携帯機により電力強度情報が付加された固有情報が情報処理装置に送信され、情報処理装置により電力強度情報が付加された固有情報が受信される。さらに、情報処理装置により、電力強度情報と、受信した固有情報および第1の記録手段に記録されている特定情報とが用いられて、携帯機が予め定められた領域内にあるか否かが特定される。
【0017】
したがって、予め定められた領域近傍に配置された特定の電装品が稼動中であっても、情報処理装置と携帯機との通信の不成立を防止するとともに、より正確に携帯機の位置を特定することができる。
【0018】
例えば、この第1の記録手段はメモリから構成され、第1の送信手段は室内送信部から構成され、第1の制御手段は照合ECUから構成され、第1の受信手段は室内受信部から構成され、位置特定手段は位置特定部から構成される。また、例えば、第2の受信手段は受信アンテナから構成され、検出手段は受信強度検出部から構成され、第2の記録手段はメモリから構成され、第2の送信手段は送信部から構成され、第2の制御手段はECUから構成される。
【0019】
本発明の第2の情報処理システムは、車両に設けられた情報処理装置と、固有情報が記録されている携帯型の携帯機とからなる情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記固有情報と所定の関係を有する特定情報を記録する第1の記録手段と、
前記固有情報を要求する第1のリクエスト信号、または前記固有情報および受信した信号の電力強度を示す電力強度情報を要求する第2のリクエスト信号を無線通信により送信する第1の送信手段と、
前記第1の送信手段を制御して、前記車両の特定の電装品が稼動していない場合、前記第1のリクエスト信号を送信させ、前記電装品が稼動している場合、前記第1のリクエスト信号よりも電力強度の強い前記第2のリクエスト信号を送信させる第1の制御手段と、
無線通信により前記携帯機から送信された前記固有情報を受信する第1の受信手段と、
受信した前記固有情報と前記第1の記録手段に記録された前記特定情報とを比較して、前記携帯機が前記車両の車室内にあるか否かを特定する位置特定手段と
を備え、
前記位置特定手段は、前記電装品が稼動している場合、受信した前記固有情報に付加された前記電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、前記携帯機が前記車室内にあるか否かを特定することで、前記携帯機の前記車室外への持ち出しを監視し、
前記携帯機は、
前記情報処理装置からの前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号を受信する第2の受信手段と、
受信した前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号の電力強度を検出する検出手段と、
前記固有情報を記録する第2の記録手段と、
前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号に応じて、前記第2の記録手段に記録されている前記固有情報を送信する第2の送信手段と、
前記第2のリクエスト信号が受信された場合、前記検出手段により検出された電力強度を示す前記電力強度情報を前記固有情報に付加して、前記第2の送信手段に送信させる第2の制御手段と
を備える。
【0020】
本発明の第2の情報処理システムにおいては、車両の特定の電装品が稼動している場合、情報処理装置から、より電力強度の強い第2のリクエスト信号が送信され、携帯機により第2のリクエスト信号が受信される。そして、携帯機により電力強度情報が付加された固有情報が情報処理装置に送信され、情報処理装置により電力強度情報が付加された固有情報が受信される。さらに、情報処理装置により、電力強度情報と、受信した固有情報および第1の記録手段に記録されている特定情報とが用いられて、携帯機が車両の車室内にあるか否かが特定されて、携帯機の車室外への持ち出しが監視される。
【0021】
したがって、車両の特定の電装品が稼動中であっても、情報処理装置と携帯機との通信の不成立を防止するとともに、より正確に携帯機の車室外への持ち出しを監視することができる。
【0022】
例えば、この第1の記録手段はメモリから構成され、第1の送信手段は室内送信部から構成され、第1の制御手段は照合ECUから構成され、第1の受信手段は室内受信部から構成され、位置特定手段は位置特定部から構成される。また、例えば、第2の受信手段は受信アンテナから構成され、検出手段は受信強度検出部から構成され、第2の記録手段はメモリから構成され、第2の送信手段は送信部から構成され、第2の制御手段はECUから構成される。
【0023】
本発明の情報処理装置は、携帯型の携帯機に記録されている固有情報と所定の関係を有する特定情報を記録する記録手段と、前記固有情報を要求する第1のリクエスト信号、または前記固有情報および受信した信号の電力強度を示す電力強度情報を要求する第2のリクエスト信号を無線通信により送信する送信手段と、前記送信手段を制御して、近傍に配置された特定の電装品が稼動していない場合、前記第1のリクエスト信号を送信させ、前記電装品が稼動している場合、前記第1のリクエスト信号よりも電力強度の強い前記第2のリクエスト信号を送信させる制御手段と、無線通信により前記携帯機から送信された前記固有情報を受信する受信手段と、受信した前記固有情報と前記記録手段に記録された前記特定情報とを比較して、前記携帯機が予め定められた領域内にあるか否かを特定する位置特定手段とを備え、前記位置特定手段は、前記電装品が稼動している場合、受信した前記固有情報に付加された前記電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、前記携帯機が前記領域内にあるか否かを特定する。
【0024】
本発明の情報処理装置においては、近傍に配置された特定の電装品が稼動している場合、より電力強度の強い第2のリクエスト信号が送信され、携帯機から送信されてきた、電力強度情報が付加された固有情報が受信される。そして、電力強度情報と、受信した固有情報および記録手段に記録されている特定情報とが用いられて、携帯機が予め定められた領域内にあるか否かが特定される。
【0025】
したがって、予め定められた領域近傍に配置された特定の電装品が稼動中であっても、情報処理装置と携帯機との通信の不成立を防止するとともに、より正確に携帯機の位置を特定することができる。
【0026】
例えば、この記録手段はメモリから構成され、送信手段は室内送信部から構成され、制御部は照合ECUから構成され、受信手段は室内受信部から構成され、位置特定手段は位置特定部から構成される。
【0027】
この前記位置特定手段には、前記電装品が稼動している場合、受信された前記固有情報に付加された前記電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、前記携帯機が前記領域内に位置するか否かを特定することにより、前記情報処理装置が設けられた車両の車室外への前記携帯機の持ち出しを監視させることができる。これにより、より確実に携帯機の車室外への持ち出しを監視することができる。
【0028】
本発明の情報処理方法またはプログラムは、電装品が稼動している場合、送信手段が第2のリクエスト信号を送信する送信ステップと、受信手段が固有情報を受信する受信ステップと、位置特定手段が、受信した前記固有情報と記録手段に記録された特定情報とを比較する比較ステップと、前記電装品が稼動している場合、前記位置特定手段が、受信した前記固有情報に付加された電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、携帯機が領域内にあるか否かを特定する位置特定ステップとを含む。
【0029】
本発明の情報処理方法またはプログラムにおいては、電装品が稼動している場合、第2のリクエスト信号が送信され、固有情報が受信され、受信した固有情報と記録手段に記録された特定情報とが比較され、電装品が稼動している場合、受信した固有情報に付加された電力強度情報と固有情報および特定情報の比較結果とから、携帯機が領域内にあるか否かが特定される。
【0030】
したがって、特定の電装品が稼動中であっても、情報処理装置と携帯機との通信の不成立を防止するとともに、より正確に携帯機の位置を特定することができる。
【0031】
例えば、この送信ステップは室内送信部により実行され、受信ステップは室内受信部により実行され、比較ステップは位置特定部により実行され、位置特定ステップは位置特定部により実行される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、携帯機の受信可能範囲近傍に位置する電装品が稼働中であっても、より正確に携帯機の位置を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0034】
図1は、本発明を適用した無線通信システムの一実施の形態の構成例を示す図である。この無線通信システムは、車両11に設けられた車載機12と、車両11の所有者が所持する携帯型の携帯機13とから構成される。
【0035】
車載機12は、無線通信により携帯機13の位置を特定し、車両11のドアのロックまたはアンロックや、車両11に設けられたエンジンの始動、エンジン稼動時の携帯機13の車両11外への持ち出しの監視などを行う。
【0036】
携帯機13の位置の特定は、車載機12と携帯機13とに、車両11を特定するための同一の車両IDを予め記録させておき、それらの車両IDが一致するかを判定することにより行われる。
【0037】
なお、車両IDを用いる以外に、携帯機13に固有IDを与えておき、この固有IDを車載機12に特定情報として登録させて、携帯機13の固有IDと車載機12に登録された特定情報とを比較してもよい。
【0038】
さらに、別の方法としては、携帯機13に固有情報を記録させておき、その固有情報を所定のアルゴリズムで変換したデータを車載機12に特定情報として記録しておいてもよい。そのような場合、例えば車載機12は、受信した携帯機13の固有情報を所定のアルゴリズムで変換し、変換により得られたデータと記録している特定情報とを比較して、それらのデータおよび特定情報が一致するかを判定する。また、携帯機13の固有情報を所定のアルゴリズムで変換して得られたデータと車載機12に記録している特定情報とが、所定の関係を有するかを判定するようにしてもよい。
【0039】
このように、車載機12および携帯機13のそれぞれに記録させておく情報は、携帯機13が持つ情報に基づいて、車載機12が携帯機13を認証できるようなものであればよく、認証に用いられる情報は、実施例に限定されない。
【0040】
例えば、車両11のドアのロック時またはアンロック時においては、車両11の車室内に設けられた室内アンテナと、車室外に設けられた室外アンテナとが用いられて、ドアのロック等の各動作を許可すべき正規の使用者が所持する携帯機13の位置が特定される。
【0041】
すなわち、車載機12が、室内アンテナから、車両IDの送信を指示する信号(以下、リクエスト信号と称する)を、車室内にある機器のみが受信可能な電力強度で無線により送信すると、携帯機13が車室内にある場合には、携帯機13はそのリクエスト信号を受信する。携帯機13は、リクエスト信号を受信した場合、記録している車両IDが含まれる信号(以下、アンサ信号と称する)を無線により送信する。車載機12は、室内アンテナにおいて受信したアンサ信号に含まれる車両IDと、記録している車両IDとを比較すれば、正規の使用者の所持する携帯機13が車両11の車室内にあるか否かを知ることができる。
【0042】
同様に、車載機12は、室外アンテナからリクエスト信号を送信し、室外アンテナにおいて受信したアンサ信号に含まれる車両IDと、記録している車両IDとを比較すれば、正規の使用者の所持する携帯機13が車両11の車室外にあるか否かを知ることができる。
【0043】
車載機12は、正規の使用者の所持する携帯機13が、車室外で検出され、かつ車室内では検出されなかったときに、ドアのロックまたはアンロックを要求した使用者、つまり携帯機13の認証がなされたとし、車両11のドアをロックまたはアンロックする。
【0044】
また、例えば、エンジンの始動時または携帯機13の持ち出しの監視時においては、室内アンテナが用いられて携帯機13の位置が特定される。つまり、正規の使用者の所持する携帯機13が車両11の車室内で検出された場合に、エンジンが始動されたり、携帯機13が車室外に持ち出されていないと判定されたりする。
【0045】
このように、車載機12と携帯機13に同一の車両IDを記録させておき、各種の動作が要求された場合や、携帯機13の持ち出しを監視する場合に、車載機12が、記録している車両IDと、携帯機13から受信した車両IDとを比較すれば、動作を要求してきた携帯機13が、動作を許可すべき正規の携帯機であるかや、携帯機13が車室内にあるかを特定することができる。
【0046】
ところで、車両11のドアのロックまたはアンロックのために携帯機13の位置を特定する場合、室内アンテナから送信されるリクエスト信号の電力強度は、図2の上側に示すように、リクエスト信号を受信可能な範囲が範囲R11となるようになされる。
【0047】
すなわち、車載機12は、車両11の車室内、つまり範囲R11内の任意の位置で携帯機13がリクエスト信号を受信可能であり、かつ携帯機13が車室外ではリクエスト信号を受信できないような電力強度で、リクエスト信号を送信する。
【0048】
これは、ドアのロック時またはアンロック時においては、室内アンテナからリクエスト信号を送信することにより、携帯機13が車室内に存在するか否かが検出されるためである。また、この場合、車両11に設けられた電装品は稼動していない状態であるため、電装品からノイズが発生することもなく、車載機12と携帯機13との無線通信が不成立となること、つまりリクエスト信号やアンサ信号の送受信に失敗することは稀である。
【0049】
これに対して、エンジンの始動または携帯機13の持ち出しの監視のために携帯機13の位置を特定する場合、室内アンテナから送信されるリクエスト信号の電力強度は、図2の下側に示すように、リクエスト信号を受信可能な範囲が、通常の範囲R11よりも広い範囲R12となるようになされる。
【0050】
すなわち、車載機12は、車両11の車室内、つまり範囲R11よりも広い範囲R12内の任意の位置で携帯機13がリクエスト信号を受信可能となる電力強度で、リクエスト信号を送信する。
【0051】
これは、エンジンの始動時または携帯機13の持ち出しの監視時においては、車両11における範囲R11近傍に設けられた電装品が稼動しており、これらの電装品から発生するノイズにより車載機12と携帯機13との無線通信が不成立となることを防止するためである。つまり、リクエスト信号の電力強度を通常よりも大きくすることで、車室内の携帯機13がより確実にリクエスト信号を受信できるようになる。
【0052】
なお、この場合、範囲R12には車両11の車室外の領域も含まれるため、RSSI(Received Signal Strength Indicaor)と呼ばれる技術が利用されて、携帯機13が車室内にあるか否かが特定される。RSSIを利用した携帯機13の位置の特定には、車両IDの授受のみを行って携帯機13の位置を特定する場合と比べて長い処理時間が必要となるが、ノイズに対する耐性の向上が図れる。
【0053】
このように、車載機12においては、電装品の稼動しているエンジンの始動時または携帯機13の持ち出しの監視時には、リクエスト信号の受信可能な範囲をより広くすることで、より確実に無線通信が行えるようにされるとともに、RSSIが利用されて携帯機13の位置の特定精度の低下が防止される。また、ドアのロック時またはアンロック時には、リクエスト信号の受信可能な範囲を通常の広さの範囲とすることで、使用者の認証を迅速に行うことができる。これにより、使用者による携帯機13の使い勝手を向上させることができる。
【0054】
次に、図3は、図1の車両11および携帯機13の構成例を示す図である。
【0055】
車両11は、エンジン41、インストルメントパネル部42、ナビゲーション部43、警報部44、エンジンスタートスイッチ45、車両ECU(Electronic Control Unit)46、CANバス47、ドア開閉検出部48、ドアハンドルスイッチ49、ドアロック部50、照合ECU51、室内送信部52、室内受信部53、室外送信部54、および室外受信部55から構成される。車両11において、車載機12は、照合ECU51乃至室外受信部55から構成される。
【0056】
エンジン41は、車両ECU46の制御により駆動し、車両11を走行させる。インストルメントパネル部42は、例えば各種のメータやスイッチなどからなり、車両11の走行速度等を表示する。ナビゲーション部43は、いわゆるカーナビゲーション装置からなり、使用者の操作に応じて走行経路の案内を行う。警報部44は、例えば、スピーカや液晶表示パネルなどからなり、車両ECU46の制御に応じて、携帯機13の車両11の車室外への持ち出しに対する警報を発する。
【0057】
エンジンスタートスイッチ45は、使用者により操作されると、操作がなされた旨の信号を車両ECU46に供給する。
【0058】
エンジンスタートスイッチ45が操作されると、車両ECU46により、車両11に設けられた電装品等の稼動状態が切り換えられる。電装品等の稼動状態は、車両11内の電装品が稼動しない状態である「オフ」、車両11内の予め定められたいくつかの電装品のみが稼動可能な状態である「ACC(Accessories)オン」、車両11内の全ての電装品が稼動可能な状態である「IG(Ignition)オン」、またはエンジン41を始動させる状態である「スタート」の何れかの状態とされる。
【0059】
例えば、エンジンスタートスイッチ45は、回転式のスイッチであり、「オフ」、「ACCオン」、「IGオン」、「スタート」への各位置へ回転可能となっている。
【0060】
例えば、運転者がスイッチの位置を「オフ」から「ACCオン」へと回転させた場合には、車両ECU46にACC状態を示す信号が供給される。すると、車両ECU46は、図示せぬACCリレーを駆動し、ACCリレーは、車両バッテリとACCリレーの接点に接続されている各電装品とを接続する。これによって、それらの電装品には、車両バッテリから電源が供給されて稼動状態となる。
【0061】
例えば、エンジンスタートスイッチ45が操作されて、電装品の稼動状態が「ACCオン」とされると、車両11に設けられた電装品としてのインストルメントパネル部42およびナビゲーション部43が稼動する。すなわち、ACCリレーにより、車両バッテリからインストルメントパネル部42およびナビゲーション部43に電力が供給される。
【0062】
また、エンジンスタートスイッチ45が操作されて、稼動状態が「IGオン」とされると、インストルメントパネル部42およびナビゲーション部43に加えて、さらに電装品としてのエンジン41が稼動可能な状態となる。すなわち、図示せぬIGリレーの駆動により、車両バッテリからエンジン41に電力が供給される。
【0063】
車両ECU46は、CANバス47を介して照合ECU51と接続されており、エンジンスタートスイッチ45からの信号に応じて、電装品の稼動状態を示すポジション情報を照合ECU51に供給したり、照合ECU51からの指示に従ってエンジン41や警報部44の動作を制御したりする。
【0064】
ドア開閉検出部48は、センサなどからなり、車両11に設けられたドアの開閉を検出して、その検出結果を照合ECU51に供給する。ドアハンドルスイッチ49は、車両11のドアを開閉するときに把持されるドアハンドルに設けられ、ドアをロックまたはアンロックするときに操作される。ドアハンドルスイッチ49は操作されると、操作が行われた旨の信号を照合ECU51に供給する。ドアロック部50は、照合ECU51の制御に従って、車両11のドア部分に設けられた鍵を施錠または解錠することで、ドアをロックまたはアンロックする。
【0065】
照合ECU51は、ドア開閉検出部48、ドアハンドルスイッチ49、または車両ECU46から供給される信号に応じて各種の処理を実行する。例えば、照合ECU51は、ドアロック部50を制御してドアをロックまたはアンロックさせたり、室内送信部52または室外送信部54にリクエスト信号を送信させたりする。
【0066】
また、照合ECU51は、室内受信部53または室外受信部55から供給されたアンサ信号を用いて携帯機13の位置を特定する。すなわち、照合ECU51は、メモリ61および位置特定部62を備えており、位置特定部62は、メモリ61に予め記録されている車両IDと、供給されたアンサ信号とに基づいて携帯機13の位置を特定する。
【0067】
室内送信部52は、車両11の車室内のステアリングホイール近傍などに設けられた室内アンテナなどからなり、照合ECU51から供給されたリクエスト信号を変調して送信する。室内受信部53は、車両11の車室内のステアリングホイール近傍などに設けられた室内アンテナなどからなり、携帯機13から送信されたアンサ信号を受信して復調し、照合ECU51に供給する。
【0068】
室外送信部54は、車両11の車室外のドアハンドル近傍などに設けられた室外アンテナなどからなり、照合ECU51から供給されたリクエスト信号を変調して送信する。室外受信部55は、車両11の車室外のドアハンドル近傍などに設けられた室外アンテナなどからなり、携帯機13から送信されたアンサ信号を受信して復調し、照合ECU51に供給する。
【0069】
例えば、室内送信部52や室外送信部54から送信されるリクエスト信号は、LF(Low Frequency)と呼ばれる周波数が30乃至300kHzの電波とされる。また、例えば、携帯機13から送信されるアンサ信号は、UHF(Ultra High Frequency)と呼ばれる周波数が300乃至3000MHzの電波とされる。
【0070】
なお、室内送信部52を構成する送信用の室内アンテナ、および室内受信部53を構成する受信用の室内アンテナの数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。同様に、室外送信部54を構成する送信用の室外アンテナ、および室外受信部55を構成する受信用の室外アンテナの数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0071】
また、携帯機13は、受信部71、ECU72、メモリ73、および送信部74から構成される。
【0072】
受信部71は車載機12から送信されてきたリクエスト信号を受信してECU72に供給する。受信部71は、受信アンテナ81、起動検知部82、復調部83、および受信強度検出部84を備えている。
【0073】
受信アンテナ81は、車載機12から送信されてきたリクエスト信号を受信して、起動検知部82、復調部83、および受信強度検出部84に供給する。起動検知部82は、受信アンテナ81から供給されたリクエスト信号の先頭に配置されたプリアンブル部分で、所定の周波数成分が復調可能なレベル以上となると、ECU72を起動させるウェイクアップ信号をECU72に供給する。
【0074】
また、復調部83は、受信アンテナ81から供給されたリクエスト信号のプリアンブル以降の部分を復調してECU72に供給する。受信強度検出部84は、受信アンテナ81から供給されたリクエスト信号のプリアンブル部分の受信レベルを保持することで、リクエスト信号の電力強度を検出し、検出された電力強度を示すRSSI値をECU72に供給する。
【0075】
ECU72は、起動検知部82からウェイクアップ信号が供給されると起動し、復調部83からのリクエスト信号、および受信強度検出部84からのRSSI値に応じて、アンサ信号を生成する。すなわち、ECU72は、メモリ73に記録されている、車両11を特定する車両IDの含まれるアンサ信号を生成し、送信部74に供給して送信させる。送信部74は、ECU72から供給されたアンサ信号を変調し、送信する。
【0076】
ところで、車両11のドアがロックされた状態で、車両11の使用者が、車両11に乗車して運転しようとする場合、まず使用者はドアを開けるために、携帯機13を所持してドアハンドルに設けられたドアハンドルスイッチ49を操作し、ドアのアンロックを要求する。
【0077】
ドアがロックされた状態で、ドアハンドルスイッチ49から照合ECU51に、ドアハンドルスイッチ49が操作された旨の信号が供給されると、車両11は、アンロック処理を開始して、ドアをアンロックする。以下、図4のフローチャートを参照して、車両11によるアンロック処理について説明する。
【0078】
ステップS11において、室内送信部52は、照合ECU51の制御に基づいてリクエスト信号を送信する。すなわち、照合ECU51は、携帯機13に記録されている車両IDの送信を要求するリクエスト信号を生成し、室内送信部52に供給する。
【0079】
このリクエスト信号には、例えば、図5に示すように、車両IDの送信の指示を示すコードが含まれている。図5の例では、リクエスト信号の先頭には、プリアンブルB11が配置され、そのプリアンブルB11に続いて、車両IDの送信の指示を示すコードB12が配置されている。
【0080】
室内送信部52は、照合ECU51から供給されたリクエスト信号を、通常の電力強度で送信する。これにより、車両11の車室内、つまり図2の範囲R11内に位置する機器のみが室内送信部52から送信されたリクエスト信号を受信できるようになる。
【0081】
例えば、範囲R11内に携帯機13が存在する場合、携帯機13はリクエスト信号を受信すると、そのリクエスト信号に応じてアンサ信号を送信する。また、範囲R11内に携帯機13が存在しなければ、携帯機13からはアンサ信号は送信されてこない。
【0082】
携帯機13から車載機12にアンサ信号が送信された場合、室内受信部53は携帯機13から送信されてきたアンサ信号を受信して、照合ECU51に供給する。
【0083】
ステップS12において、照合ECU51は、携帯機13からアンサ信号が送信されてきたか否かを判定する。ステップS12において、アンサ信号が送信されてこなかったと判定された場合、ステップS13の処理はスキップされて、処理はステップS14に進む。
【0084】
これに対して、ステップS12において、アンサ信号が送信されてきたと判定された場合、すなわち、室内受信部53から照合ECU51にアンサ信号が供給された場合、処理はステップS13に進む。
【0085】
そして、ステップS13において、照合ECU51の位置特定部62は、メモリ61に予め記録されている、車両11を特定する車両IDを読み出し、その車両IDと、室内受信部53から供給されたアンサ信号に含まれている、車両11を特定する車両IDとを比較して、車室内で携帯機13を検出する。例えば、メモリ61から読み出した車両IDと、アンサ信号に含まれる車両IDとが一致する場合には、携帯機13が車室内に存在するとされ、それらの車両IDが一致しない場合、携帯機13は車室内に存在しない、つまり車室内に存在するのは他の異なる携帯機であるとされる。
【0086】
ステップS12においてアンサ信号が送信されてこなかったと判定されたか、またはステップS13において車両IDが比較されると、ステップS14において、室外送信部54は、照合ECU51の制御に基づいてリクエスト信号を送信する。すなわち、照合ECU51は、ステップS11の処理で送信したリクエスト信号と同じリクエスト信号を室外送信部54に供給し、室外送信部54は、照合ECU51から供給されたリクエスト信号を送信する。これにより、車両11の車室外のドアハンドル近傍における、予め定められた領域内に位置する機器のみが室外送信部54から送信されたリクエスト信号を受信できるようになる。
【0087】
このようにして車室外のドアハンドル近傍からリクエスト信号が送信されると、ドアハンドル近傍にある携帯機13は、このリクエスト信号を受信し、リクエスト信号に応じてアンサ信号を送信する。
【0088】
携帯機13から車載機12にアンサ信号が送信された場合、室外受信部55は携帯機13から送信されてきたアンサ信号を受信して、照合ECU51に供給する。
【0089】
ステップS15において、照合ECU51は、携帯機13からアンサ信号が送信されてきたか否かを判定する。ステップS15において、アンサ信号が送信されてこなかったと判定された場合、ステップS16の処理はスキップされて、処理はステップS17に進む。
【0090】
これに対して、ステップS15において、アンサ信号が送信されてきたと判定された場合、すなわち、室外受信部55から照合ECU51にアンサ信号が供給された場合、処理はステップS16に進む。
【0091】
そして、ステップS16において、照合ECU51の位置特定部62は、メモリ61に記録されている車両IDと、室外受信部55から供給されたアンサ信号に含まれている車両IDとを比較して、車室外で携帯機13を検出する。例えば、メモリ61に記録されている車両IDと、アンサ信号に含まれる車両IDとが一致する場合には、携帯機13が車室外に存在するとされ、それらの車両IDが一致しない場合、携帯機13は車室外に存在しないとされる。
【0092】
このようにして、車両11の車室内および車室外において携帯機13の検出がなされると、その検出結果により、携帯機13の位置が特定される。例えば、位置特定部62は、車室内で携帯機13が検出されず、かつ車室外で携帯機13が検出された場合のみ、携帯機13が車両11の車室外に存在すると特定する。
【0093】
ステップS15においてアンサ信号が送信されてこなかったと判定されたか、またはステップS16において車両IDが比較されると、ステップS17において、照合ECU51は、携帯機13の位置の特定結果に基づいて、使用者により要求された操作、つまりドアのアンロックを許可するか否かを判定する。
【0094】
例えば、ステップS11乃至ステップS16の処理により、正規の使用者が所有する携帯機13が、車室外にあると特定された場合、ドアのアンロックが許可される。これは、ドアがロックされた状態で、正規の使用者がドアのアンロックを指示する場合、使用者は車室外にいるはずだからである。また、携帯機13が車室外にないと特定された場合、ドアのアンロックを要求してきた使用者は正規の使用者ではないため、ドアのアンロックは許可されない。
【0095】
ステップS17において、操作を許可しないと判定された場合、ドアはアンロックされないので、ステップS18の処理はスキップされ、アンロック処理は終了する。すなわち、車両11のドアはロックされたままの状態とされる。
【0096】
これに対して、ステップS17において、操作を許可すると判定された場合、照合ECU51は、ドアロック部50にドアのアンロックを指示し、処理はステップS18に進む。
【0097】
ステップS18において、ドアロック部50は、照合ECU51の指示に応じてドアをアンロックし、アンロック処理は終了する。
【0098】
このようにして、ドアハンドルスイッチ49が操作され、ドアのアンロックが要求されると、車両11は、携帯機13の位置を特定し、携帯機13が車室外にある場合にドアをアンロックする。アンロック処理が行われる場合には、車両11の電装品は稼動していないため、電装品からのノイズにより、車載機12と携帯機13との通信が不成立となるようなこともない。
【0099】
車両11のドアがアンロックされると、使用者は車両11に乗車することができるようになる。ドアがアンロックされた状態においては、車両11の電装品の稼動状態は、「オフ」とされており、各電装品は稼動していない。使用者は、この状態からエンジンスタートスイッチ45を操作することで電装品の稼動状態を変化させ、車両11に設けられた各種の電装品を操作したり、エンジン41を始動させて車両11を運転したりすることができる。
【0100】
次に、図6のフローチャートを参照して、車両11によるエンジン始動処理について説明する。
【0101】
ステップS41において、車両ECU46は、エンジンスタートスイッチ45からの信号に基づいて、「ACCオン」が指示されたか否かを判定する。例えば、使用者によりエンジンスタートスイッチ45が操作され、稼動状態「オフ」から「ACCオン」の状態への変更が指示された場合に、「ACCオン」が指示されたと判定される。
【0102】
ステップS41において、「ACCオン」が指示されなかったと判定された場合、処理はステップS41に戻り、「ACCオン」が指示されるまで、上述した処理が繰り返される。
【0103】
一方、ステップS41において、「ACCオン」が指示されたと判定された場合、ステップS42において、車両ECU46は、稼動状態を「ACCオン」の状態とする。そして車両ECU46は、切り換えられた電装品の稼動状態を示すポジション情報を、CANバス47を介して照合ECU51に供給する。これにより、照合ECU51は電装品の稼動状態を把握することができる。
【0104】
また、稼動状態が「ACCオン」とされると、車両11の各電装品のうち、稼動状態「ACCオン」で稼動可能となる電装品に対して、車両バッテリから電力が供給され、それらの電装品は稼動を開始する。例えばインストルメントパネル部42およびナビゲーション部43が稼動する。
【0105】
ステップS43において、車両ECU46は、エンジンスタートスイッチ45からの信号に基づいて、「オフ」が指示されたか否かを判定する。例えば、使用者によりエンジンスタートスイッチ45が操作され、稼動状態「オフ」の状態への変更が指示された場合に、「オフ」が指示されたと判定される。
【0106】
ステップS43において、「オフ」が指示されたと判定された場合、ステップS44において、車両ECU46は、電装品の稼動状態を「ACCオン」から「オフ」とし、エンジン始動処理は終了する。すなわち、電装品の稼動状態が「オフ」とされると、車両11に設けられた電装品は稼動しない状態となり、使用者は車両11から降車する。
【0107】
一方、ステップS43において、「オフ」が指示されなかったと判定された場合、ステップS45において、車両ECU46は、エンジンスタートスイッチ45からの信号に基づいて、「IGオン」が指示されたか否かを判定する。
【0108】
ステップS45において、「IGオン」が指示されなかったと判定された場合、処理はステップS43に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0109】
これに対して、ステップS45において、「IGオン」が指示されたと判定された場合、ステップS46において、車両ECU46は、電装品の稼動状態を「IGオン」の状態とする。そして車両ECU46は、切り換えられた電装品の稼動状態を示すポジション情報を照合ECU51に供給する。
【0110】
また、稼動状態が「IGオン」とされると、車両11の各電装品のうち、稼動状態「IGオン」で稼動可能となる電装品に対して、車両バッテリから電力が供給される。これにより、例えばインストルメントパネル部42およびナビゲーション部43に加えて、さらにエンジン41が稼動可能な状態となる。
【0111】
ステップS47において、車両ECU46は、エンジンスタートスイッチ45からの信号に基づいて、「ACCオン」が指示されたか否かを判定する。
【0112】
ステップS47において、「ACCオン」が指示されたと判定された場合、処理はステップS42に戻り、上述した処理が繰り返される。すなわち、稼動状態が「ACCオン」とされる。
【0113】
また、ステップS47において、「ACCオン」が指示されなかったと判定された場合、ステップS48において、車両ECU46は、エンジンスタートスイッチ45からの信号に基づいて、「スタート」が指示されたか否かを判定する。
【0114】
ステップS48において、「スタート」が指示されなかったと判定された場合、処理はステップS47に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0115】
これに対して、ステップS48において、「スタート」が指示されたと判定された場合、ステップS49において、車両ECU46は稼動状態を「IGオン」から「スタート」とし、稼動状態「スタート」を示すポジション情報を照合ECU51に供給する。
【0116】
稼動状態が「スタート」となると、ステップS50において、車両ECU46は、エンジン41を制御し、エンジン41を始動させる。
【0117】
そして、ステップS51において、室内送信部52は、照合ECU51の制御に基づいて、車室内にある携帯機13に、RSSI要求を含むリクエスト信号を送信する。すなわち、照合ECU51は、車両ECU46から稼動状態「スタート」を示すポジション情報が供給されると、受信したリクエスト信号の電力強度を示すRSSI値の送信を要求するRSSI要求が含まれた、車両IDの送信を要求するリクエスト信号を生成し、室内送信部52に供給する。
【0118】
より詳細には、このリクエスト信号には、例えば、図7に示すように、車両IDおよびRSSI値の送信の指示を示すコードが含まれており、このコードの含まれたリクエスト信号が、RSSI要求の含まれたリクエスト信号とされる。なお、図7において、図5における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜、省略する。
【0119】
図7の例では、リクエスト信号の先頭には、プリアンブルB11が配置され、そのプリアンブルB11に続いて、車両IDおよびRSSI値の送信の指示を示すコードB21が配置されている。さらに、コードB21に続いて、ハイレベルとローレベルの繰り返しの波形からなるCW(Continuous Wave)波の符号部分B22が配置されている。
【0120】
室内送信部52は、照合ECU51の制御に基づいて、照合ECU51から供給されたリクエスト信号を、通常よりも大きい電力強度で送信する。リクエスト信号の電力強度の増加は、例えば、リクエスト信号の搬送波のデューティー比、つまりリクエスト信号の1周期におけるパワーの大きい期間の長さを変更することにより行われる。なお、高調波を利用してリクエスト信号の電力強度が増加されるようにしてもよい。
【0121】
このようにして、電力強度が増加されたリクエスト信号が送信されると、図2の範囲R12内に位置する機器のみが室内送信部52から送信されたリクエスト信号を受信できるようになる。
【0122】
現時点では、携帯機13を所持する使用者は、車両11に乗車した状態でエンジンスタートスイッチ45を操作しているため、車室内に携帯機13が存在する。したがって、室内送信部52から送信されたリクエスト信号は、携帯機13により受信され、携帯機13は、受信したリクエスト信号に応じて、RSSI値の含まれるアンサ信号(RSSI値の付加された車両ID)を送信する。
【0123】
室内受信部53は携帯機13からアンサ信号が送信されてきた場合、そのアンサ信号を受信して照合ECU51に供給する。
【0124】
なお、ステップS51において送信されるリクエスト信号に含まれるコードは、車両IDおよびRSSI値の送信の指示を示すコードであり、ステップS11において送信されるリクエスト信号に含まれる、車両IDの送信の指示を示すコードとは異なる。携帯機13は、リクエスト信号に含まれるコードに応じて、車両IDのみが含まれるアンサ信号、または車両IDおよびRSSI値の含まれるアンサ信号の何れかを生成し、送信する。
【0125】
ステップS52において、照合ECU51は、携帯機13からアンサ信号が送信されてきたか否かを判定する。ステップS52において、アンサ信号が送信されてこなかったと判定された場合、ステップS53およびステップS54の処理はスキップされて、処理はステップS55に進む。
【0126】
これに対して、ステップS52において、アンサ信号が送信されてきたと判定された場合、すなわち、室内受信部53から照合ECU51にアンサ信号が供給された場合、処理はステップS53に進む。
【0127】
ステップS53において、照合ECU51の位置特定部62は、室内受信部53から供給されたアンサ信号に含まれる車両IDと、メモリ61に記録されている車両IDとを比較して、それらの車両IDが一致するかを判定する。すなわち、それらの2つの車両IDが一致すれば、正規の携帯機13が図2の範囲R12内の位置に存在するとされ、車両IDが一致しなければ、携帯機13が範囲R12内には存在しないとされる。
【0128】
ステップS54において、位置特定部62は、車両IDの比較の結果と、室内受信部53により受信されたアンサ信号に含まれるRSSI値とに基づいて、アンサ信号を送信してきた携帯機13の位置を特定する。
【0129】
すなわち、RSSI値は、携帯機13が受信したリクエスト信号の電力強度の大きさを示しており、リクエスト信号の電力強度は、室内送信部52から受信位置までの距離が長くなるほど小さくなる。したがってRSSI値を用いれば、携帯機13のリクエスト信号の受信位置を特定することができる。
【0130】
例えば、比較された車両IDが一致する場合には、携帯機13は図2の範囲R12内の位置に存在するが、この場合において、さらにRSSI値が予め定められた閾値以上の値であるか否かを判定することにより、携帯機13が範囲R11内に位置するか、または範囲R12内であって、かつ範囲R11外である位置にあるかを特定することができる。具体的には、比較された車両IDが一致し、かつアンサ信号に含まれるRSSI値が、閾値以上の値である場合に、携帯機13の位置、つまり携帯機13によるリクエスト信号の受信位置が、範囲R11内の位置であるとされる。
【0131】
ステップS54において携帯機13の位置が特定されたか、またはステップS52において、アンサ信号が送信されてこなかったと判定されると、処理はステップS55に進む。
【0132】
ステップS55において、照合ECU51は、使用者により要求された操作、すなわちエンジン41の始動を許可するか否かを判定する。例えば、正規の携帯機13が車両11の車室内に存在する場合、つまり使用者が図2の範囲R11内に存在する場合に、要求された操作が許可される。これは、正規の使用者がエンジンスタートスイッチ45を操作して、エンジン41の始動を指示する場合、その使用者が所持する携帯機13は車室内にあるはずだからである。また、ステップS52において、アンサ信号が送信されてこなかったと判定された場合には、携帯機13は、範囲R11内に存在しないので、エンジン41の始動は許可されない。
【0133】
ステップS55において、要求された操作を許可しないと判定された場合、照合ECU51は、車両ECU46にエンジン41の回転の停止を指示し、車両ECU46は、その指示にしたがって、エンジン41を制御し、エンジン41の回転を停止させる。そして、その後、処理はステップS46に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0134】
一方、ステップS55において、要求された操作を許可すると判定された場合、照合ECU51は、車両ECU46に、始動させたエンジン41を継続して回転させるように指示し、処理はステップS56に進む。
【0135】
ステップS56において、車両ECU46は、照合ECU51の指示にしたがってエンジン41を制御し、エンジン41の回転を継続させる。これにより、使用者は運転を開始し、車両11を走行させることができるようになる。エンジン41が始動すると、エンジン41が稼動した状態で携帯機13が車室外に持ち出され、エンジン41の再始動等ができなくなることを防止するため、携帯機13の車室外への持ち出しを監視する持ち出し監視処理が開始される。
【0136】
すなわち、ステップS57において、車両ECU46は、電装品の稼動状態を「スタート」から「IGオン」とする。
【0137】
ステップS58において、車両11は、持ち出し監視処理を行って、携帯機13の車室外への持ち出しを監視する。なお、持ち出し監視処理の詳細は後述するが、この持ち出し監視処理は、車両11のエンジン41が停止されるまで継続して行われる。持ち出し監視処理が行われると、処理はステップS58からステップS42に戻り、稼動状態が「オフ」とされるまで、上述した処理が繰り返される。
【0138】
このようにして、車両11は、車両11内で、予め定められた電装品が稼動している状態、つまり稼動状態が「ACCオン」、「IGオン」、または「スタート」である場合には、リクエスト信号の電力強度を増加させることにより、車載機12と携帯機13との無線通信の不成立を防止する。さらに、車両11は、リクエスト信号の電力強度を増加させる場合には、RSSI値を用いて携帯機13の位置を特定することにより、携帯機13の位置の誤検出を防止する。
【0139】
したがって、携帯機13がリクエスト信号を受信可能な範囲近傍に位置するエンジン41乃至ナビゲーション部43等の電装品が稼働中であっても、車載機12は、より確実に携帯機13と通信でき、かつより正確に携帯機13の位置を特定することができる。これにより、エンジン41の始動等の要求された操作を許可すべきか否かを、より確実に判定することができるようになる。
【0140】
なお、以上においては、エンジン41を始動させるときに、携帯機13の位置を特定することで、エンジン41の始動を要求してきた使用者の携帯機が、正規の携帯機であるかの認証を行うと説明したが、この認証は、どのようなタイミングで行われてもよい。
【0141】
すなわち、正規の携帯機であるかの認証は、エンジンスタートスイッチ45に対する操作が行われる前、例えば、使用者が車両11に乗り込むためにドアを開けたときなどに行われるようにしてもよい。また、エンジンスタートスイッチ45が操作されて、電装品の稼動状態が「オフ」から「ACCオン」とされたときに認証が行われるようにしてもよい。
【0142】
次に、図8のフローチャートを参照して、図6のステップS58の処理に対応する持ち出し監視処理について説明する。
【0143】
ステップS81において、車両ECU46は、使用者のエンジンスタートスイッチ45に対する操作により、電装品の稼動状態の「IGオン」から「ACCオン」への変更が指示されたか否かを判定する。
【0144】
例えば、使用者がエンジン41を停止させるために、稼動状態が「IGオン」から「ACCオン」となるようにエンジンスタートスイッチ45を操作し、その操作に応じた信号がエンジンスタートスイッチ45から車両ECU46に供給されると、変更が指示されたと判定される。
【0145】
ステップS81において、変更が指示されなかったと判定された場合、すなわち、エンジン41を継続して稼動させる場合、処理はステップS82に進む。
【0146】
ステップS82において、照合ECU51は、ドア開閉検出部48からの検出結果に基づいて、車両11のドアが開いているか否かを判定する。
【0147】
ステップS82において、ドアが開いていないと判定された場合、携帯機13が車両11の車室外に持ち出されることはないので、処理はステップS81に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0148】
これに対して、ステップS82において、ドアが開いていると判定された場合、携帯機13が車両11の車室外に持ち出される可能性があるので、処理はステップS83に進み、携帯機13の車室外への持ち出しの監視がされる。
【0149】
すなわち、ステップS83において室内送信部52は、RSSI要求を含むリクエスト信号を送信する。このとき、携帯機13が車両11の車室内にあれば、携帯機13からはアンサ信号が送信されるので、室内受信部53は携帯機13からのアンサ信号を受信して照合ECU51に供給する。
【0150】
ステップS84において、照合ECU51は、携帯機13からアンサ信号が送信されてきたか否かを判定する。ステップS84において、アンサ信号が送信されてこなかったと判定された場合、ステップS85およびステップS86の処理はスキップされて、処理はステップS87に進む。
【0151】
これに対して、ステップS84において、アンサ信号が送信されてきたと判定された場合、すなわち、室内受信部53から照合ECU51にアンサ信号が供給された場合、処理はステップS85に進む。
【0152】
そして、ステップS85において照合ECU51の位置特定部62は車両IDを比較し、ステップS86において位置特定部62は車両IDの比較結果と、RSSI値とを用いて携帯機13の位置を特定する。
【0153】
なお、ステップS83乃至ステップS86の処理は、図6のステップS51乃至ステップS54の処理と同様であるため、その説明は省略する。
【0154】
これらのステップS83乃至ステップS86の処理が行われると、携帯機13が車両11の車室内、つまり図2の範囲R11内にあるか否かが特定される。
【0155】
ステップS84においてアンサ信号が送信されてこなかったと判定されたか、またはステップS86において携帯機13の位置が特定されると、処理はステップS87に進む。
【0156】
ステップS87において、照合ECU51は携帯機13が車両11の車室内にあるか否か、すなわち携帯機13が車室外に持ち出されたか否かを判定する。例えば、ステップS84において、アンサ信号が送信されてこなかったと判定された場合には、携帯機13は車室内にはないと判定される。
【0157】
ステップS87において、携帯機13が車室内にあると判定された場合、携帯機13は車室外に持ち出されていないので処理はステップS81に戻り、上述した処理が繰り返される。すなわち、エンジン41を停止させるまで、携帯機13の持ち出しが監視される。
【0158】
これに対して、ステップS87において、携帯機13が車室内にないと判定された場合、すなわち携帯機13が車室外に持ち出された場合、照合ECU51は車両ECU46に警報を発するように指示する。そして、車両ECU46は、照合ECU51の指示に応じて、警報が発せられるように警報部44を制御し、処理はステップS88に進む。
【0159】
ステップS88において、警報部44は、車両ECU46の指示に応じて警報を発する。例えば、警報部44は、携帯機13の車室外への持ち出しを警告するメッセージを液晶表示パネルに表示したり、そのメッセージの音声をスピーカから出力したりする。これにより、エンジン41が稼動している状態で、誤って携帯機13が車室外に持ち出されてしまうことを防止することができる。
【0160】
また、ステップS81において、電装品の稼動状態の「IGオン」から「ACCオン」への変更が指示されたと判定された場合、すなわちエンジン41の停止が指示された場合、処理はステップS89に進む。
【0161】
ステップS89において、車両ECU46はエンジン41を制御して、エンジン41を停止させる。エンジン41が停止すると、持ち出し監視処理は終了し、その後、処理は図6のステップS42に進む。すなわち、ステップS42において、電装品の稼動状態が「IGオン」から「ACCオン」に変更される。
【0162】
このようにして、車両11はエンジン41が始動すると、携帯機13の車室外への持ち出しを監視する。また、携帯機13の持ち出しの監視時において、リクエスト信号の電力強度を増加させることにより、車載機12と携帯機13との無線通信の不成立を防止するとともに、RSSI値を用いて携帯機13の位置を特定することにより、携帯機13の位置の誤検出を防止する。
【0163】
したがって、携帯機13がリクエスト信号を受信可能な範囲近傍に位置するエンジン41乃至ナビゲーション部43等の特定の電装品が稼働中であっても、車載機12は、より確実に携帯機13と通信でき、かつより正確に携帯機13の位置を特定することができる。これにより、携帯機13が車室外に持ち出されたか否かを、より確実に判定することができるようになる。
【0164】
なお、携帯機13の車室外への持ち出しを監視する、ステップS83乃至ステップS88の処理は、車両11のドアが開いているときに行われると説明したが、これらの処理は、車両11のドアの窓が開いているときにも行われるようにしてもよいし、定期的に行われるようにしてもよい。
【0165】
また、エンジン41を停止させるときにも、車載機12が携帯機13から車両IDを取得して、携帯機13が車両11の車室内にある場合のみ、エンジン41を停止させるようにしてもよい。
【0166】
以上のようにして、エンジン41が停止され、電装品の稼動状態が「オフ」とされると、使用者は車両11から降車することができるようになる。使用者が車両11から降車し、車両11のドアをロックする場合、使用者は車両11のドアハンドル近傍に設けられたドアハンドルスイッチ49を操作して、ドアのロックを指示する。
【0167】
すると、ドアハンドルスイッチ49から照合ECU51には、使用者の操作に応じた信号が供給される。ドアハンドルスイッチ49から照合ECU51に使用者の操作に応じた信号が供給され、かつドアがアンロックの状態である場合、車載機12は、図4を参照して説明した処理と同様の処理を行って、ドアをロックする。
【0168】
すなわち、ドアをロックするロック処理では、図4のステップS18に対応する処理において、ドアがロックされる。具体的には、ステップS11乃至ステップS17の処理と同様の処理が行われて、携帯機13の位置が検出される。そして、携帯機13が車両11の車室外にあると判定された場合には、ドアロック部50は照合ECU51の指示に従ってドアをロックし、携帯機13が車室内にあると判定された場合には、ドアはロックされずにロック処理は終了する。
【0169】
例えば、ドアがロックされずにロック処理が終了した場合には、使用者が携帯機13を車室内に置き忘れた等の理由が考えられる。そのような場合、使用者は携帯機13を車室外に持ち出して、再度ドアハンドルスイッチ49を操作してドアのロックを指示することにより、再びロック処理が行われ、ドアがロックされる。
【0170】
また、ドアのロック時またはアンロック時や、エンジン41の始動時、携帯機13の持ち出し監視時には、車載機12から携帯機13にリクエスト信号が送信される。車載機12から携帯機13にリクエスト信号が送信されてくると、携帯機13は、そのリクエスト信号を受信して、車載機12にアンサ信号を送信する処理であるアンサ信号送信処理を開始する。
【0171】
以下、図9のフローチャートを参照して、携帯機13によるアンサ信号送信処理について説明する。
【0172】
ステップS111において、受信部71は、車載機12から送信されてきたリクエスト信号を受信してECU72に供給する。すなわち、受信アンテナ81は、リクエスト信号を受信して起動検知部82、復調部83、および受信強度検出部84に供給し、起動検知部82は、受信アンテナ81から供給されたリクエスト信号のプリアンブル部分で、所定の周波数成分が復調可能なレベル以上となると、ウェイクアップ信号をECU72に供給する。
【0173】
すると、ECU72は起動し、復調部83は受信アンテナ81から供給されたリクエスト信号のプリアンブル以降の部分、例えば図5のコードB12や、図7のコードB21の部分を復調して、ECU72に供給する。
【0174】
ステップS112において、受信強度検出部84は、受信アンテナ81から供給されたリクエスト信号に基づいて、受信されたリクエスト信号の電力強度を検出し、その検出結果からRSSI値を求める。受信強度検出部84は、求めたRSSI値をECU72に供給する。
【0175】
ステップS113において、ECU72は、復調部83から供給されたリクエスト信号に基づいて、車載機12からRSSI値が要求されたか否かを判定する。例えば、復調部83から供給された、リクエスト信号に含まれるコードが、車両IDの送信の指示を示すコードである場合、RSSI値は要求されていないと判定される。また、リクエスト信号に含まれるコードが、車両IDおよびRSSI値の送信の指示を示すコードである場合、RSSI値が要求されたと判定される。
【0176】
ステップS113において、RSSI値が要求されていないと判定された場合、ECU72は、メモリ73から車両IDを取得して、取得した車両IDの含まれるアンサ信号を生成する。そして、ECU72は、生成したアンサ信号を送信部74に供給して、処理はステップS114に進む。
【0177】
ステップS114において、送信部74はECU72から供給されたアンサ信号を送信し、アンサ信号送信処理は終了する。これにより、車両IDのみが含まれたアンサ信号が送信される。
【0178】
一方、ステップS113において、RSSI値が要求されたと判定された場合、ECU72は、メモリ73から車両IDを読み出して、読み出した車両IDと、受信強度検出部84から供給されたRSSI値とが含まれるアンサ信号を生成して、送信部74に供給する。そして、その後、処理はステップS115に進む。
【0179】
ステップS115において、送信部74は、ECU72から供給された、RSSI値の含まれるアンサ信号(RSSI値の付加された車両ID)を送信して、アンサ信号送信処理は終了する。これにより、車両IDおよびRSSI値が含まれたアンサ信号が送信される。
【0180】
このようにして、携帯機13は、受信したリクエスト信号に応じて、車両IDの含まれるアンサ信号、または車両IDおよびRSSI値の含まれるアンサ信号を送信する。このように、携帯機13が受信したリクエスト信号に応じて、その電力強度を示すRSSI値の含まれるアンサ信号を送信することにより、アンサ信号を受信する車載機12では、携帯機13のより正確な位置を特定できるようになる。
【0181】
なお、送信されるアンサ信号の電力強度は、携帯機13が範囲R11や、ドアハンドル近傍の予め定められた範囲内の領域に位置する場合に、室内受信部53または室外受信部55がアンサ信号を受信できる程度の大きさであれば、どのような大きさであってもよい。
【0182】
また、以上においては、車載機12が車両IDおよびRSSI値に基づいて、携帯機13が図2の範囲R11内に位置するかを特定すると説明したが、携帯機13がRSSI値に基づいて、アンサ信号を送信すべきか否かを判定するようにしてもよい。
【0183】
そのような場合、車載機12および携帯機13は、例えば、図10に示すように構成される。なお、図10において、図3における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0184】
図10の照合ECU51は、電装品の稼動状態に応じて、異なるコードの含まれるリクエスト信号を生成する。すなわち、稼動状態が「オフ」である場合、照合ECU51は、車両IDの送信の指示を示すコードの含まれるリクエスト信号を生成する。また、稼動状態が「ACCオン」、「IGオン」、または「スタート」である場合、照合ECU51は、RSSI値が所定の条件を満たす場合にのみ車両IDを送信する指示を示すコードの含まれるリクエスト信号を生成する。
【0185】
したがって、車載機12は、いわゆるエントリ時、つまり車両11のドアのアンロック時には、図4のフローチャートを参照して説明したアンロック処理と同様の処理を行う。
【0186】
また、携帯機13から送信されてくるアンサ信号にはRSSI値が含まれていないため、位置特定部62は、RSSI値を用いずに、車両IDの比較のみを行って、携帯機13が図2の範囲R11内に位置するか否かを特定する。
【0187】
さらに、図10の携帯機13は、ECU72がさらに位置特定部101を有している点で図3の携帯機13と異なる。ECU72は、受信されたリクエスト信号に含まれるコードが、RSSI値が所定の条件を満たす場合にのみ車両IDを送信する指示を示すコードである場合、携帯機13の位置を特定する。
【0188】
すなわち、ECU72の位置特定部101は、受信強度検出部84からのRSSI値と、予め定められた閾値とを比較して、携帯機13が、室内送信部52から所定の距離の範囲内、つまり図2の範囲R11内に位置するか否かを特定する。ECU72は、位置特定部101により携帯機13が範囲R11内に位置しないとされたときには、リクエスト信号を受信してもアンサ信号を送信しない。
【0189】
次に、図11のフローチャートを参照して、図10の車両11により行われるエンジン始動処理について説明する。このエンジン始動処理も、図6における場合と同様に、使用者が車両11に乗車し、電装品の稼動状態が「オフ」である状態で開始される。
【0190】
なお、ステップS141乃至ステップS150の処理は、図6のステップS41乃至ステップS50の処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0191】
電装品の稼動状態が「スタート」とされ、エンジン41が始動すると、ステップS151において、室内送信部52は、これから送信するリクエスト信号を受信する機器に対して、リクエスト信号の受信位置の特定を要求する位置特定要求を含む、リクエスト信号を送信する。
【0192】
具体的には、例えば照合ECU51は、位置特定要求の含まれるリクエスト信号として、図12に示すように、RSSI値が所定の条件を満たす場合にのみ車両IDを送信する指示を示すコードの含まれるリクエスト信号を生成し、室内送信部52に供給する。なお、図12において、図7における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜、省略する。
【0193】
図12の例では、リクエスト信号の先頭には、プリアンブルB11が配置され、そのプリアンブルB11に続いて、RSSI値が所定の条件を満たす場合にのみ車両IDを送信する指示を示すコードB31が配置されている。さらに、コードB31に続いてCW波の符号部分B22が配置されている。
【0194】
室内送信部52は、照合ECU51からリクエスト信号が供給されると、そのリクエスト信号を、通常よりも大きい電力強度で送信する。つまり、図2の範囲R12内に位置する機器がリクエスト信号を受信できる電力強度で、リクエスト信号が送信される。
【0195】
このようにして、位置特定要求の含まれるリクエスト信号が送信されると、携帯機13は、図2の範囲R12内に位置している場合、車載機12から送信されたリクエスト信号を受信する。そして、携帯機13は、リクエスト信号の受信位置が図2の範囲R11内であればアンサ信号を送信し、リクエスト信号の受信位置が範囲R11外であればアンサ信号を送信しない。
【0196】
ステップS152において、照合ECU51はアンサ信号が送信されてきたか否かを判定する。ステップS152において、アンサ信号が送信されてこなかったと判定された場合、携帯機13は車室外に位置するので、エンジン41の始動は許可されず、車両ECU46により、始動されたエンジン41は停止される。そして、処理はステップS146に戻り、電装品の稼動状態が「スタート」から「IGオン」とされて、上述した処理が繰り返される。
【0197】
これに対して、ステップS152において、アンサ信号が送信されてきたと判定された場合、ステップS153において、室内受信部53はアンサ信号を受信して照合ECU51に供給する。
【0198】
ステップS154において、照合ECU51の位置特定部62は、予め記録している車両IDと、室内受信部53から供給されたアンサ信号に含まれる車両IDとを比較する。
【0199】
ステップS155において、照合ECU51は、要求された操作、つまりエンジン41の始動を許可するか否かを判定する。例えば、ステップS154の処理で比較された車両IDが一致すれば、正規の携帯機13が車両11の車室内に位置しているので、エンジン41の始動が許可される。
【0200】
ステップS155において、操作を許可しないと判定された場合、エンジン41の始動は許可されず、車両ECU46により、始動されたエンジン41は停止される。そして、処理はステップS146に戻り、電装品の稼動状態が「スタート」から「IGオン」とされ、上述した処理が繰り返される。
【0201】
また、ステップS155において、操作を許可すると判定された場合、処理はステップS156に進み、ステップS156乃至ステップS158の処理が行われるが、ステップS156およびステップS157の処理は、図6のステップS56およびステップS57の処理と同様であるので、その説明は省略する。すなわち、エンジン41の回転が継続されて、稼動状態が「IGオン」とされる。
【0202】
そして、ステップS158において、車両11は、持ち出し監視処理を行い、携帯機13の車両11の車室外への持ち出しが監視される。なお、持ち出し監視処理の詳細は後述する。そして、持ち出し監視処理が行われると、処理はステップS142に戻り、稼動状態が「オフ」とされるまで、上述した処理が繰り返される。
【0203】
このようにして、車両11は、予め定められた電装品が稼動しており、ノイズが発生している状態では、リクエスト信号の電力強度を増加させて、車載機12と携帯機13との無線通信の不成立を防止する。また、車両11は、リクエスト信号の電力強度を増加させる場合には、位置特定要求の含まれるリクエスト信号を送信することで、車両11の車室内にある携帯機13からだけアンサ信号が送信されるようにする。
【0204】
これにより、ノイズを発生させる電装品が稼働中であっても、車載機12は、より確実に携帯機13との通信を行い、かつより正確に携帯機13の位置を特定することができる。その結果、エンジン41の始動等の要求された操作を許可すべきか否かを、より確実に判定することができるようになる。
【0205】
次に、図13のフローチャートを参照して、図11のステップS158の処理に対応する持ち出し監視処理について説明する。なお、ステップS181およびステップS182の処理は、図8のステップS81およびステップS82の処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0206】
ステップS182において、ドア開閉検出部48による検出結果により、車両11のドアが開いていると判定されると、処理はステップS182からステップS183に進み、携帯機13の車室外への持ち出しの監視がされる。
【0207】
すなわち、ステップS183において室内送信部52は、位置特定要求を含むリクエスト信号を送信し、ステップS184において照合ECU51は、アンサ信号が送信されてきたか否かを判定する。
【0208】
そして、ステップS184において、アンサ信号が送信されてきたと判定された場合、ステップS185において、室内受信部53はアンサ信号を受信する。さらに、ステップS186において、照合ECU51の位置特定部62は、アンサ信号に含まれる車両IDと、記録している車両IDとを比較する。
【0209】
なお、ステップS183乃至ステップS186の処理は、図11のステップS151乃至ステップS154の処理と同様であるので、その説明は適宜省略する。これらのステップS183乃至ステップS186の処理が行われると、携帯機13が車両11の車室内、つまり図2の範囲R11内にあるか否かが特定される。
【0210】
そして、その後、ステップS187乃至ステップS189の処理が行われて、持ち出し監視処理は終了し、処理は図11のステップS142に戻るが、これらの処理は、図8のステップS87乃至ステップS89の処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0211】
また、ステップS184において、アンサ信号が送信されてこなかったと判定された場合、携帯機13が車両11の車室外に持ち出されたので、処理はステップS188に進む。そして、ステップS188において、警報部44により警報が発せられ、その後、処理はステップS181に戻り、上述した処理が繰り返されて持ち出し監視処理は終了し、処理は、図11のステップS142に戻る。
【0212】
このようにして、車両11は、特定の電装品が稼働中である携帯機13の持ち出しの監視時において、リクエスト信号の電力強度を増加させることにより、車載機12と携帯機13との無線通信の不成立を防止する。また、車両11は、リクエスト信号の電力強度を増加させる場合には、位置特定要求の含まれるリクエスト信号を送信することで、車両11の車室内にある携帯機13からだけアンサ信号が送信されるようにする。
【0213】
これにより、ノイズを発生させる電装品が稼働中であっても、車載機12は、より確実に携帯機13と通信でき、かつより正確に携帯機13の位置を特定することができる。したがって、携帯機13が車室外に持ち出されたか否かを、より確実に判定することができるようになる。
【0214】
次に、図14のフローチャートを参照して、図10の携帯機13により行われる、アンサ信号送信処理について説明する。このアンサ信号送信処理は、車載機12からリクエスト信号が送信されてくると開始される。なお、ステップS221およびステップS222の処理は、図9のステップS111およびステップS112の処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0215】
ステップS222において、RSSI値が求められると、ステップS223において、ECU72は、復調部83から供給されたリクエスト信号に基づいて、携帯機13自身の位置の特定が要求されたか否かを判定する。例えば、リクエスト信号に位置特定要求が含まれている場合、つまりRSSI値が所定の条件を満たす場合にのみ車両IDを送信する指示を示すコードが含まれている場合、位置の特定が要求されたと判定される。
【0216】
ステップS223において、位置の特定が要求されたと判定された場合、ステップS224において、照合ECU51の位置特定部101は、受信強度検出部84から供給されたRSSI値と、予め記録している閾値とを比較して、RSSI値が閾値以上であるか否かを判定する。例えば、RSSI値が閾値未満である場合、つまりリクエスト信号の電力強度が所定の値未満である場合には、リクエスト信号を受信した携帯機13は、室内送信部52から所定の距離以上離れた位置にあり、携帯機13は車両11の車室外に位置するとされる。
【0217】
ステップS224において、RSSI値が閾値未満である場合、携帯機13は車室外にあるため、ステップS225の処理はスキップされてアンサ信号は送信されず、アンサ信号送信処理は終了する。
【0218】
これに対して、ステップS224において、RSSI値が閾値以上であると判定された場合、携帯機13は車両11の車室内に位置するため、処理はステップS225に進み、アンサ信号が送信される。
【0219】
ステップS224において、RSSI値が閾値以上であると判定されたか、またはステップS223において位置の特定が要求されなかったと判定された場合、ステップS225において、送信部74はアンサ信号を送信する。
【0220】
すなわち、ECU72は、メモリ73から車両IDを取得して、取得した車両IDの含まれるアンサ信号を生成する。そして、ECU72は、生成したアンサ信号を送信部74に供給し、送信部74はECU72から供給されたアンサ信号を送信する。アンサ信号が送信されると、アンサ信号送信処理は終了する。
【0221】
このようにして、携帯機13は、受信したリクエスト信号に応じて、車両IDの含まれるアンサ信号を送信する。リクエスト信号に位置特定要求が含まれているときには、携帯機13が室内送信部52に対する自分自身の相対的な位置を特定し、その結果に応じてアンサ信号を送信するようにすることで、車載機12は、より正確に携帯機13の位置を特定できるようになる。
【0222】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0223】
図15は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0224】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0225】
バス204には、さらに、入出力インターフェース205が接続されている。入出力インターフェース205には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部206、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部207、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記録部208、ネットワークインターフェースなどよりなる通信部209、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動するドライブ210が接続されている。
【0226】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記録部208に記録されているプログラムを、入出力インターフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0227】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア211に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0228】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インターフェース205を介して、記録部208にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記録部208にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記録部208に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0229】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0230】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0231】
【図1】本発明を適用した無線通信システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】リクエスト信号の受信範囲を説明する図である。
【図3】車両および携帯機の構成例を示す図である。
【図4】アンロック処理を説明するフローチャートである。
【図5】リクエスト信号の例を示す図である。
【図6】エンジン始動処理を説明するフローチャートである。
【図7】リクエスト信号の例を示す図である。
【図8】持ち出し監視処理を説明するフローチャートである。
【図9】アンサ信号送信処理を説明するフローチャートである。
【図10】車両および携帯機の他の構成例を示す図である。
【図11】エンジン始動処理を説明するフローチャートである。
【図12】リクエスト信号の例を示す図である。
【図13】持ち出し監視処理を説明するフローチャートである。
【図14】アンサ信号送信処理を説明するフローチャートである。
【図15】コンピュータの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0232】
11 車両, 12 車載機, 13 携帯機, 41 エンジン, 45 エンジンスタートスイッチ, 46 車両ECU, 51 照合ECU, 52 室内送信部, 53 室内受信部, 54 室外送信部, 55 室外受信部, 62 位置特定部, 71 受信部, 72 ECU, 74 送信部, 101 位置特定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、固有情報が記録されている携帯型の携帯機とからなる情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記固有情報と所定の関係を有する特定情報を記録する第1の記録手段と、
前記固有情報を要求する第1のリクエスト信号、または前記固有情報および受信した信号の電力強度を示す電力強度情報を要求する第2のリクエスト信号を無線通信により送信する第1の送信手段と、
前記第1の送信手段を制御して、前記情報処理装置近傍の特定の電装品が稼動していない場合、前記第1のリクエスト信号を送信させ、前記電装品が稼動している場合、前記第1のリクエスト信号よりも電力強度の強い前記第2のリクエスト信号を送信させる第1の制御手段と、
無線通信により前記携帯機から送信された前記固有情報を受信する第1の受信手段と、
受信した前記固有情報と前記第1の記録手段に記録された前記特定情報とを比較して、前記携帯機が予め定められた領域内にあるか否かを特定する位置特定手段と
を備え、
前記位置特定手段は、前記電装品が稼動している場合、受信した前記固有情報に付加された前記電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、前記携帯機が前記領域内にあるか否かを特定し、
前記携帯機は、
前記情報処理装置からの前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号を受信する第2の受信手段と、
受信した前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号の電力強度を検出する検出手段と、
前記固有情報を記録する第2の記録手段と、
前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号に応じて、前記第2の記録手段に記録されている前記固有情報を送信する第2の送信手段と、
前記第2のリクエスト信号が受信された場合、前記検出手段により検出された電力強度を示す前記電力強度情報を前記固有情報に付加して、前記第2の送信手段に送信させる第2の制御手段と
を備える
情報処理システム。
【請求項2】
車両に設けられた情報処理装置と、固有情報が記録されている携帯型の携帯機とからなる情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記固有情報と所定の関係を有する特定情報を記録する第1の記録手段と、
前記固有情報を要求する第1のリクエスト信号、または前記固有情報および受信した信号の電力強度を示す電力強度情報を要求する第2のリクエスト信号を無線通信により送信する第1の送信手段と、
前記第1の送信手段を制御して、前記車両の特定の電装品が稼動していない場合、前記第1のリクエスト信号を送信させ、前記電装品が稼動している場合、前記第1のリクエスト信号よりも電力強度の強い前記第2のリクエスト信号を送信させる第1の制御手段と、
無線通信により前記携帯機から送信された前記固有情報を受信する第1の受信手段と、
受信した前記固有情報と前記第1の記録手段に記録された前記特定情報とを比較して、前記携帯機が前記車両の車室内にあるか否かを特定する位置特定手段と
を備え、
前記位置特定手段は、前記電装品が稼動している場合、受信した前記固有情報に付加された前記電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、前記携帯機が前記車室内にあるか否かを特定することで、前記携帯機の前記車室外への持ち出しを監視し、
前記携帯機は、
前記情報処理装置からの前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号を受信する第2の受信手段と、
受信した前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号の電力強度を検出する検出手段と、
前記固有情報を記録する第2の記録手段と、
前記第1のリクエスト信号または前記第2のリクエスト信号に応じて、前記第2の記録手段に記録されている前記固有情報を送信する第2の送信手段と、
前記第2のリクエスト信号が受信された場合、前記検出手段により検出された電力強度を示す前記電力強度情報を前記固有情報に付加して、前記第2の送信手段に送信させる第2の制御手段と
を備える
情報処理システム。
【請求項3】
前記第1の制御手段は、前記電装品として前記車両のエンジンが稼動している場合、前記第2のリクエスト信号を送信させる
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
携帯型の携帯機に記録されている固有情報と所定の関係を有する特定情報を記録する記録手段と、
前記固有情報を要求する第1のリクエスト信号、または前記固有情報および受信した信号の電力強度を示す電力強度情報を要求する第2のリクエスト信号を無線通信により送信する送信手段と、
前記送信手段を制御して、近傍に配置された特定の電装品が稼動していない場合、前記第1のリクエスト信号を送信させ、前記電装品が稼動している場合、前記第1のリクエスト信号よりも電力強度の強い前記第2のリクエスト信号を送信させる制御手段と、
無線通信により前記携帯機から送信された前記固有情報を受信する受信手段と、
受信した前記固有情報と前記記録手段に記録された前記特定情報とを比較して、前記携帯機が予め定められた領域内にあるか否かを特定する位置特定手段と
を備え、
前記位置特定手段は、前記電装品が稼動している場合、受信した前記固有情報に付加された前記電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、前記携帯機が前記領域内にあるか否かを特定する
情報処理装置。
【請求項5】
前記位置特定手段は、前記電装品が稼動している場合、前記携帯機が前記領域内に位置するか否かを特定することにより、前記情報処理装置が設けられた車両の車室外への前記携帯機の持ち出しを監視する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記電装品として前記車両のエンジンが稼動している場合、前記第2のリクエスト信号を送信させる
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
携帯型の携帯機に記録されている固有情報と所定の関係を有する特定情報を記録する記録手段と、
前記固有情報を要求する第1のリクエスト信号、または前記固有情報および受信した信号の電力強度を示す電力強度情報を要求する第2のリクエスト信号を無線通信により送信する送信手段と、
前記送信手段を制御して、近傍に配置された特定の電装品が稼動していない場合、前記第1のリクエスト信号を送信させ、前記電装品が稼動している場合、前記第1のリクエスト信号よりも電力強度の強い前記第2のリクエスト信号を送信させる制御手段と、
無線通信により前記携帯機から送信された前記固有情報を受信する受信手段と、
受信した前記固有情報と前記記録手段に記録された前記特定情報とを比較して、前記携帯機が予め定められた領域内にあるか否かを特定する位置特定手段と
を備える情報処理装置の情報処理方法であって、
前記電装品が稼動している場合、前記送信手段が前記第2のリクエスト信号を送信する送信ステップと、
前記受信手段が前記固有情報を受信する受信ステップと、
前記位置特定手段が、受信した前記固有情報と前記記録手段に記録された前記特定情報とを比較する比較ステップと、
前記電装品が稼動している場合、前記位置特定手段が、受信した前記固有情報に付加された前記電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、前記携帯機が前記領域内にあるか否かを特定する位置特定ステップと
を含む情報処理方法。
【請求項8】
携帯型の携帯機に記録されている固有情報と所定の関係を有する特定情報を記録する記録手段と、
前記固有情報を要求する第1のリクエスト信号、または前記固有情報および受信した信号の電力強度を示す電力強度情報を要求する第2のリクエスト信号を無線通信により送信する送信手段と、
前記送信手段を制御して、近傍に配置された特定の電装品が稼動していない場合、前記第1のリクエスト信号を送信させ、前記電装品が稼動している場合、前記第1のリクエスト信号よりも電力強度の強い前記第2のリクエスト信号を送信させる制御手段と、
無線通信により前記携帯機から送信された前記固有情報を受信する受信手段と、
受信した前記固有情報と前記記録手段に記録された前記特定情報とを比較して、前記携帯機が予め定められた領域内にあるか否かを特定する位置特定手段と
を備える情報処理装置のコンピュータに、
前記電装品が稼動している場合、前記送信手段が前記第2のリクエスト信号を送信する送信ステップと、
前記受信手段が前記固有情報を受信する受信ステップと、
前記位置特定手段が、受信した前記固有情報と前記記録手段に記録された前記特定情報とを比較する比較ステップと、
前記電装品が稼動している場合、前記位置特定手段が、受信した前記固有情報に付加された前記電力強度情報と前記固有情報および前記特定情報の比較結果とから、前記携帯機が前記領域内にあるか否かを特定する位置特定ステップと
を含む処理を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−130137(P2010−130137A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300459(P2008−300459)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】