説明

情報処理装置、コンピュータプログラム及び交通路誘導システム

【課題】例えば、複数の交通主体をいっせいに到達地に誘導させる場合であっても、到達地に至る経路上で混乱を招くことなく交通主体を誘導させることができる情報処理装置、コンピュータプログラム及び交通路誘導システムを提供する。
【解決手段】管理装置は、出動要請をした要員の携帯端末から現在地を受信し(S201)、現在地から現場へと至る経路を探索する(S203)。現在地から現場への移動時間を算出して、移動時間が制限時間を超える場合(S205でYES)、出動要請を取り消す(S207)。移動時間が制限時間以内の場合(S205でNO)、更に緊急車両の誘導経路を決定する(S210)。一般車両については、経路上に他の要員の現在地がある場合に他の要員を便乗させるか、混雑する重複区間を有する複数の経路のいずれかを除外するかの処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導する情報処理装置、コンピュータプログラム及び交通路誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人間の社会活動に伴って人又は物が物理的に行き交う交通が発生した。交通とは、人又は物などの交通主体が線路・道路又は航路などの交通路を車両・航空機又は船舶などの交通具を用いて移動することである。
【0003】
交通においては、社会の発展に伴って多量の人又は物が頻繁に行き交うようになり、これを整理するためのインフラ又はシステムが社会から要望されるようになった。例えば、火災現場又は犯罪現場へ緊急車両を急行させることは、社会秩序を維持するうえで重要である。また、郵便物を滞りなく送達することは、社会生活上重要である。
【0004】
そこで、従来、現場への経路の道路幅を考慮して渋滞の少ない経路を探索する経路探索装置が提案された(例えば、特許文献1)。また、現場への移動時間が短い要員に出動要請を行う経路決定装置が提案された(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−184213号公報
【特許文献2】特開2007−123617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、山岳地帯又は離島の一部などでは、常備の消防隊員に代わって非常備の消防団員が火災現場へ急行する。消防団員は、他の職業に就いている一般市民であるため、自宅又は仕事場から自家用の一般車両で現場に急行しなければならない。その結果、消防団員の一般車両により現場へ向かう道路が渋滞し、現場とその周辺が混雑するという問題がある。しかし、従来の装置では、消防団員を現場に向かわせないよう指示するか、渋滞地点を迂回させるよう誘導することしかできないので、混雑を解消しても、消火活動に間に合わない、又は必要な人員が現場で不足することとなり、根本的な解決策とはならない。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、異なる複数の地点の関係に基づいて誘導経路を決定することにより、各地から出発する各主体が所定の優先順で到達地に着くように調整でき、複数の主体をいっせいに到達地へ誘導させる場合であっても、到達地に至る経路上で混乱を招くことなく主体を誘導させることができる情報処理装置、コンピュータプログラム及び交通路誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の情報処理装置は、交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導する情報処理装置において、交通路に関する情報を示す地図データを記憶する手段と、到達地及び該到達地へ誘導すべき複数の交通主体の出発地を夫々特定する手段と、前記地図データに基づいて、前記出発地から到達地へと至る交通路上の経路を夫々探索する手段と、複数の交通主体の出発地の関係に基づいて各交通主体が所定の優先順に従って到達地へ着くように各交通主体に対する誘導経路を前記探索した経路から決定する誘導決定手段とを備えることを要件とする。
【0008】
また、開示のコンピュータプログラムは、コンピュータに、交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導させるコンピュータプログラムにおいて、交通路に関する情報を示す地図データを記憶させるステップと、前記地図データに基づいて、前記出発地から到達地へと至る交通路上の経路を夫々探索させるステップと、複数の交通主体の出発地の関係に基づいて各交通主体が所定の優先順に従って到達地へ着くように各交通主体に対する誘導経路を前記探索した経路から決定させるステップとをコンピュータに実行させることを要件とする。
【0009】
更にまた、交通路誘導システムは、複数の端末装置及び該端末装置と通信可能な情報処理装置を有し、前記情報処理装置が交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導するための情報を前記交通主体の端末装置へ送信する交通路誘導システムにおいて、前記情報処理装置は、交通路に関する情報を示す地図データを記憶する手段と、到達地及び該到達地へ誘導すべき複数の交通主体の出発地を夫々特定する手段と、前記地図データに基づいて、前記出発地から到達地へと至る交通路上の経路を夫々探索する手段と、複数の交通主体の出発地の関係に基づいて各交通主体が所定の優先順に従って到達地へ着くように各交通主体に対する誘導経路を前記探索した経路から決定する誘導決定手段と、前記誘導経路に関する誘導情報を生成して送信する手段とを備え、前記端末装置は、前記情報処理装置から送信された誘導情報を受信する手段と、受信した誘導情報を表示する手段とを備えることを要件とする。
【0010】
この情報処理装置、コンピュータプログラム及び交通路誘導システムにあっては、複数の交通主体の出発地の関係に基づいて誘導経路を決定するので、例えば、出発地が遠くて移動に時間がかかる交通主体のみを移動させないようにするか、他の交通主体の経路上に出発地を有する交通主体を他の交通主体側に便乗させるかなど、複数の交通主体の出発状況に応じて誘導経路を柔軟に決定することができる。
【発明の効果】
【0011】
開示の情報処理装置、コンピュータプログラム及び交通路誘導システムは、到達地に到達させる交通主体を極力減らすことなく、到達地へ向かう交通具の数を減らすことができ、交通路の混雑を緩和させることができる。また、多数の交通具により到達地周辺が混乱することを防止することができる。また、制限時間以内に交通主体を到着地に誘導させつつ、交通路の混雑を緩和させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1における情報処理装置、コンピュータプログラム及び交通路誘導システムの内容を、実施の形態を示す図面に基づいて以下説明する。以下、消防隊員及び消防団員を車両で火災現場へ急行させる一例を挙げて説明する。以下説明では、交通主体を消防隊員及び消防団員とし、交通具を一般車両及び緊急車両とし、交通路を道路とする。
【0013】
図1は実施の形態1における交通路誘導システムの全体構成を示す模式図である。実施の形態1における交通路誘導システムは、複数の消防隊員及び消防団員(以下「要員」という)が夫々所持する携帯端末1と、現場への誘導情報を生成して携帯端末1に送信する管理装置2を有する。
【0014】
実施の形態1における携帯端末1は、複数存在し、各要員により夫々所持され操作される。携帯端末1は、携帯電話機、携帯情報端末(Personal Digital Assistant)又はスマートフォン(Smartphone)などが該当する。携帯端末1は、外部と通信する通信部、現在地を取得する位置取得部、画面表示する表示部及び要員の操作を受け付ける操作部を有する。
【0015】
通信部は、インターネットを介して管理装置2と通信する。位置取得部は、例えば、GPS(Global Positioning System)により現在地を取得する。表示部は、液晶ディスプレイを有し、入力画面又は誘導情報などを表示する。操作部は、複数のボタンを有し、入力画面を介して要員が入力した情報を受け付ける。
【0016】
携帯端末1は、要員から入力された情報を受け付けて、取得した現在地と共に管理装置2に送信する。また、携帯端末1は、管理装置2から受信した誘導情報を表示部に表示する。
【0017】
管理装置2は、現場への誘導情報を生成して携帯端末1に送信する電子計算機であり、消防指令センタに設置されている。管理装置2の構成については、後述にて説明する。管理装置2は、複数の携帯端末1及び外部にある緊急通報システムの通報装置3と通信可能である。管理装置2は、通報装置3から緊急連絡を受信した場合、緊急連絡の事象に応じた要員を選定して、携帯端末1に出動要請を送信する。管理装置2は、携帯端末1から回答を受信し、要員を現場へ急行させるための誘導情報を生成して携帯端末1に送信する。
【0018】
図2は実施の形態1における管理装置2の構成を示すブロック図である。管理装置2は、記録媒体21aの記録データを読み取る外部記憶装置21、外部と通信する通信制御部22、データを一時記憶する主記憶23、データを記憶する補助記憶装置24、入力装置25aからデータを受け付ける入力制御部25、出力装置26aにデータを出力する出力制御部26、データベースと接続するデータベース通信制御部27及びこれらを制御するCPU20を有する。各部は、バス28を介して相互に接続されている。
【0019】
外部記憶装置21は、記録媒体21aの記録データ(プログラムを含む)を読み取り、補助記憶装置24に出力する。ここでいうプログラムは、管理装置2に交通路誘導処理を実行させる応用プログラムを含む。
【0020】
通信制御部22は、インターネットを介して複数の携帯端末1及び通報装置3と通信するために制御し、補助記憶装置24から読み出したデータを送信するか、受信したデータを補助記憶装置24に出力する。
【0021】
主記憶23は、CPU20の実行により生じたデータ又は補助記憶装置24から読み出したデータを一時記憶する。主記憶23は、SDRAM(Synchronous DRAM)又はSRAM(Static RAM)などの半導体が該当する。
【0022】
補助記憶装置24は、外部記憶装置21、通信制御部22又は入力制御部25から受け付けたデータを記憶し、適宜読み出される。補助記憶装置24は、磁気ディスク記録方式のハードディスクドライブ(HDD)又はNAND素子で構成されるフラッシュソリッドステートドライブ(Flash SSD)が該当する。
【0023】
入力制御部25は、入力装置25aから受け付けたデータを補助記憶装置24に出力する。入力装置25aは、キーボード及びマウスなどが該当する。
【0024】
出力制御部26は、出力装置26aにデータを出力する。出力装置26aは、液晶ディスプレイ及びスピーカなどが該当する。
【0025】
データベース通信制御部27は、後述するデータベースと通信するために制御し、データベースからデータを読み出して補助記憶装置24に出力するか、補助記憶装置24からデータを読み出してデータベースに書き込む。実施の形態1におけるデータベースは、要員端末管理情報データベースT1、経路区間管理情報データベースT2、移動時間制限情報データベースT3、便乗判定情報データベースT4及び地図データを含む。
【0026】
(要員端末管理情報データベースT1)
図3は実施の形態1における要員端末管理情報データベースT1のフォーマット例を示す図、図4は動態の遷移を説明する図である。要員端末管理情報データベースT1は、端末識別コード、所有者情報、位置座標、位置名称、動態、状態、電話番号及びその他の情報を格納する。
【0027】
端末識別コードは、携帯端末1の個体識別情報であり、製造時に付与される番号である。所有者情報は、携帯端末1を所持する要員の氏名、住所及び年齢などの個人情報である。位置座標は、携帯端末1の現在地を示す緯度経度である。位置名称は、携帯端末1の現在地を示す都道府県市町村などの地名である。動態は、要員の行動状態を示すものであり、待機、出動又は出動不可などで表現される(図4参照)。状態は、要員に対する管理装置2の処理状態を示すものであり、完了又は未完了で表現される。電話番号は、携帯端末1に付与された電話番号であり、管理装置2が送信するときに用いるアドレスとなる。その他の情報として、要員が対応可能な事象、要員の移動方法、要員が乗る車両の車種を含む。ここでいう事情とは、火災、病院搬送又は災害救助活動などである。
【0028】
要員端末管理情報データベースT1は、要員の会員登録時に携帯端末1を介して受け付けたデータに基づいて管理装置2により要員毎に生成される。位置座標及び位置名称は、携帯端末1を介して受け付けた現在地を管理装置2により新規登録又は上書きされる。動態は、携帯端末1を介して受け付けたデータを管理装置2により新規登録又は上書きされる。状態は、管理装置2により逐次更新される。
【0029】
(経路区間管理情報データベースT2)
図5は実施の形態1における経路区間管理情報データベースT2のフォーマット例を示す図である。経路区間管理情報データベースT2は、区間コード、区間始点情報、区間終点情報、通過時間、通行容量及びその他の情報を格納する。
【0030】
区間コードは、2つの節点を相互に結ぶ区間の識別情報である。節点は、地図データの道路を区切る複数の地点であり、区間の始点及び終点となる。節点は、交差点又は信号機などの位置で任意に設定される。区間始点情報は、区間の始点となる節点の緯度経度である。区間終点情報は、区間の終点となる節点の緯度経度である。
【0031】
通過時間は、区間を通過すべき基準時間である。通過時間は、徒歩又は車両の移動方法、緊急車両又は一般車両の車両属性、自転車・オートバイ・普通自動車又は大型自動車などの車両形態及びこれらの平均移動速度に基づいて任意に設定される。平均移動速度は、例えば、緊急車両であって普通自動車を時速80Km、一般車両であって普通自動車を時速60Kmと設定される。
【0032】
通行容量は、区間を通過できる通行量である。通行容量は、徒歩又は車両の移動方法、緊急車両又は一般車両の車両属性、自転車・オートバイ・普通自動車又は大型自動車などの車両形態に基づいて任意に設定される。例えば、緊急車両の通行容量を2台、一般車両の通行容量を5台と設定される。
【0033】
その他の情報として、道路の幅、車線の数、大型自動車の通行禁止、自転車の通行禁止又は緊急車両の通行優先などの道路属性を含む。経路区間管理情報データベースT2は、管理者により入力されたデータに基づいて管理装置2により予め生成される。
【0034】
(移動時間制限情報データベースT3)
図6は移動時間制限情報データベースT3のフォーマット例を示す図である。移動時間制限情報データベースT3は、種別コード、枝番、制限時間及びその他の情報を格納する。
【0035】
種別コードは、緊急連絡の事象の識別情報である。枝番は、種別コードを更に細分化したときの識別情報である。制限時間は、移動に要すべき最大時間であり、事象毎に設定される。例えば、建物火災の制限時間を10分、山野火災の制限時間を1時間、病院搬送の制限時間を5分と設定される。その他の情報として、気象、曜日、事象規模などを含む。移動時間制限情報データベースT3は、管理者により入力されたデータに基づいて管理装置2により予め生成される。
【0036】
(便乗判定情報データベースT4)
図7は便乗判定情報データベースT4のフォーマット例を示す図である。便乗判定情報データベースT4は、種別コード、枝番、制限範囲及びその他の情報を格納する。
【0037】
種別コードは、緊急連絡の事象の識別情報である。枝番は、種別コードを更に細分化したときの識別情報である。制限範囲は、便乗させるべき要員の現在地と道路との最大距離であり、事象毎に設定される。例えば、建物火災の制限範囲は、狭隘な現場を考え、小数の車両に多数の要員を便乗させるよう遠距離とする。病院搬送の制限範囲は、搬送者を乗せる車両空間を考え、多数の要員を便乗させないよう近距離とする。その他の情報として、気象、曜日、事象の規模などを含む。便乗判定情報データベースT4は、管理者により入力されたデータに基づいて管理装置2により予め生成される。
【0038】
(地図データ)
地図データは、地表の全部または特定の一部分を縮小表現したデータである。地図には、方角、緯度及び経度が指し示され、等高線による土地の高低差、海、湖、河川のような水域、行政区画、道路又は建物の位置などの多くの情報が網羅されている。地図は、全て地図記号で表されて、統一されている。
【0039】
CPU20は、補助記憶装置24に記憶してあるプログラム及び上述したデータベースに基づいて複数の機能を発揮する。図8は実施の形態1におけるCPU20の機能を説明するための機能ブロック図である。
【0040】
(制御部200)
CPU20は、補助記憶装置24に記憶してあるプログラムに従って管理装置2の各部を制御する制御部200として機能を発揮する。
【0041】
(交通主体選定部201)
CPU20は、通報装置3から緊急連絡を受信した場合、交通主体選定部201として機能する。CPU20は、要員端末管理情報データベースT1から要員が対応可能な事象を読み出して、緊急連絡の事象と比較する。CPU20は、事象が一致する要員を選定し、選定した要員の携帯端末1に出動要請を送信する。CPU20は、出動要請をした要員の携帯端末1から動態及び現在地を受信した場合、要員端末管理情報データベースT1の動態、位置座標及び位置名称を受信したデータで上書きする。例えば、CPU20は、出動できない要員の携帯端末1から受信したデータで動態を「出動不可」に、一般車両に乗って出動しようとする要員の携帯端末1から受信したデータで動態を「出動,一般車両」に、緊急車両に乗って出動しようとする要員の携帯端末1から受信したデータで動態を「出動,緊急車両」に上書き更新する。
【0042】
(経路探索部202)
CPU20は、経路探索部202として機能する。CPU20は、動態が「出動」となっている要員の要員端末管理情報データベースT1から現在地を読み出し、地図データを参照して現在地から事象発生の現場へ至る経路を探索する。
【0043】
CPU20は、探索した経路の経路区間管理情報データベースT2から道路の幅、車線の数又は通行禁止車両などの道路属性を読み出す。また、CPU20は、要員端末管理情報データベースT1から要員の移動方法、要員が乗る車両の形態を読み出す。CPU20は、道路属性、要員の移動方法及び車両の形態を参照して、要員が乗る車両が通行不可能な区間を検索する。CPU20は、通行不可能な区間を発見した場合、当該区間を含む経路を除外して探索する。
【0044】
CPU20は、動態が緊急車両である場合、探索した経路の経路区間管理情報データベースT2から緊急車両の通行優先の道路属性を読み出す。CPU20は、道路属性を参照して、要員が乗る緊急車両が通行優先となる区間を検索する。CPU20は、通行優先となる区間を発見した場合、当該区間を含む経路を優先的に探索する。
【0045】
CPU20は、探索した複数の要員の経路の経路区間管理情報データベースT2から節点の緯度経度を読み出す。CPU20は、緯度経度が一致する節点を検索する。CPU20は、緯度経度が一致する節点を発見した場合、当該節点を結ぶ区間を重複区間と判断する。CPU20は、重複区間における混雑度を算出する。混雑度は、重複区間における車両の通行数である。例えば、3つの経路が重複する区間は、混雑度が3となる。CPU20は、当該区間の経路区間管理情報データベースT2から通行容量を読み出す。CPU20は、算出した混雑度と通行容量とを比較し、混雑度が通行容量を超えると判定した場合、当該経路を移動する要員を特定する。CPU20は、特定した要員の携帯端末1に出動要請の取消を送信する。このように、実施の形態1における交通路誘導システムにあっては、現場への経路の混雑を緩和する。
【0046】
但し、CPU20は、動態が緊急車両である要員の携帯端末1には、出動要請の取消を送信しない。このように、実施の形態1における交通路誘導システムにあっては、緊急車両を優先的に現場へ急行させる。
【0047】
(移動時間判定部203)
CPU20は、移動時間判定部203として機能する。探索した経路の経路区間管理情報データベースT2から通過時間を読み出す。CPU20は、要員端末管理情報データベースT1から読み出した要員の移動方法、要員が乗る車両の車両属性及び車両形態に応じた通過時間を読み出す。CPU20は、読み出した通過時間を積算することにより、現在地から現場までの移動時間を算出する。CPU20は、一人の要員について複数の経路を探索し、複数の移動時間を算出した場合、最短の移動時間を選択する。
【0048】
CPU20は、移動時間制限情報データベースT3から緊急連絡の事象の制限時間を読み出す。CPU20は、制限時間と移動時間とを比較し、移動時間が制限時間を超えると判定した場合、該当する要員の携帯端末1に出動要請の取消を送信する。このように、実施の形態1における交通路誘導システムにあっては、制限時間以内に現場に急行することができない、無用な要員を排除して現場の混乱を防止する。
【0049】
(便乗判定部204)
CPU20は、上述の取捨選択をして、探索した経路を誘導経路とし、誘導経路を周辺の地図データに重畳表示した誘導情報を生成して、携帯端末1に送信する。このように、実施の形態1における交通路誘導システムにあっては、的確な誘導情報を与えることにより、迅速に要員を現場に急行させる。
【0050】
但し、CPU20は、探索した一つの経路上に複数の要員の現在地が存在すると判定した場合、この経路を誘導経路とし、同一経路上にいる全ての要員の携帯端末1に誘導経路を送信する。
【0051】
CPU20は、便乗判定情報データベースT4から制限範囲を読み出し、探索した一つの経路上から制限範囲内に複数の要員の現在地が存在すると判定した場合、この経路を誘導経路と扱い、制限範囲内にいる全ての要員の携帯端末1に誘導経路を送信してもよい。また、CPU20は、同一経路上にいる全ての要員の移動時間を比較して、移動時間が最長の要員を特定する。CPU20は、特定した要員以外の携帯端末1に、特定した要員が乗る車両に便乗する旨の指示及び便乗地点を送信する。便乗地点は、現在地又は現在地から最短距離にある経路上の地点である。但し、CPU20は、複数の要員の現在地が相互に所定の距離以内であると判定した場合、各現在地から最短距離にある経路上の地点を共有の便乗地点としてもよい。このように、実施の形態1における交通路誘導システムにあっては、要員を相乗りさせることにより、現場へ向かう要員の数を極力減らすことなく、現場へ向かう車両の数のみを減らして混雑を緩和する。
【0052】
CPU20は、動態が緊急車両である要員の経路上に複数の要員の現在地が存在すると判定した場合、この経路を緊急車両のみの誘導経路とし、同一経路上にいる他の要員を便乗させないようにしてもよい。このように、実施の形態1における交通路誘導システムにあっては、緊急車両を優先的に現場に急行させる。
【0053】
CPU20は、上述した複数の機能を発揮させて、以下の処理を実行する。図9は実施の形態1におけるCPU20が実行する交通路誘導処理の手順を示すフローチャートである。緊急通報システムの通報装置3は、緊急連絡を発信する。管理装置2のCPU20は、通報装置3から緊急連絡を受信し(S101)、受信した緊急連絡の事象及び事象発生の現場を特定する。CPU20は、要員端末管理情報データベースT1から緊急連絡の事象に対応可能な要員の情報を読み出して、要員を選定する(S102)。
【0054】
CPU20は、選定した要員の携帯端末1に出動要請を送信する(S103)。出動要請は、「出動不可」、「出動,一般車両」又は「出動,緊急車両」を入力するための入力画面を含む。CPU20は、出動要請した要員について、誘導情報生成処理を実行する(S104)。誘導情報生成処理の手順については、後述にて説明する。CPU20は、出動要請した全要員の処理が完了したか否かを判定する(S105)。CPU20は、全要員の処理が完了していないと判定した場合(S105でNO)、ステップS104に戻り、誘導情報生成処理を再度実行する。
【0055】
一方、CPU20は、全要員の処理が完了したと判定した場合(S105でYES)、全ての処理を終了する。
【0056】
次にCPU20が実行するステップS104の誘導情報生成処理の手順について説明する。図10は実施の形態1におけるCPU20が実行する誘導情報生成処理の手順を示すフローチャートである。出動要請を受けた要員は、携帯端末1の入力画面を介して動態を入力する。携帯端末1は、入力された動態及び取得した現在地を管理装置2に送信する。管理装置2のCPU20は、出動要請した要員の携帯端末1から動態及び現在地を受信する(S201)。CPU20は、まず携帯端末1から「出動」又は「出動不可」の動態のみを受信する。CPU20は、受信した動態及び現在地を要員端末管理情報データベースT1に新規登録又は上書きする。CPU20は、動態が「出動」であるか否かを判定する(S202)。
【0057】
CPU20は、動態が「出動」であると判定した場合(S202でYES)、該当する要員の要員端末管理情報データベースT1から現在地を読み出し、地図データを参照して、現在地から現場へ至る経路を探索する(S203)。
【0058】
CPU20は、探索した経路の経路区間管理情報データベースT2から通過時間を読み出し、読み出した通過時間を積算して要員の移動時間を算出する(S204)。CPU20は、移動時間制限情報データベースT3から緊急連絡の事象の制限時間を読み出して、算出した移動時間と比較する。CPU20は、移動時間が制限時間を超えるか否かを判定し(S205)、移動時間が制限時間以内であると判定した場合(S205でNO)、要員端末管理情報データベースT1の状態を「未完了」とし(S206)、交通路誘導処理に戻る。CPU20は、交通路誘導処理のステップS105において、全要員の処理が完了していないと判定し、ステップS104の誘導情報生成処理において、携帯端末1から「緊急車両」又は「一般車両」の動態を受信する。
【0059】
一方、CPU20は、算出した移動時間が制限時間を超えると判定した場合(S205でYES)、該当する要員の出動要請を取り消し(S207)、出動要請の取消を携帯端末1に送信する。CPU20は、要員端末管理情報データベースT1の動態を「出動不可」とすると共に状態を「完了」とする(S208)。CPU20は、交通路誘導処理に戻る。
【0060】
CPU20は、ステップS202において、要員端末管理情報データベースT1の動態が「出動」から次の動態に遷移して、「出動」でないと判定した場合(S202でNO)、動態が「緊急車両」に遷移したか否かを判定する(S209)。CPU20は、動態が「緊急車両」に遷移したと判定した場合(S209でYES)、ステップS203で探索した経路を誘導経路と決定する(S210)。CPU20は、要員端末管理情報データベースT1の状態を「完了」とし(S211)、交通路誘導処理に戻る。
【0061】
一方、CPU20は、動態が「緊急車両」に遷移していないと判定した場合(S209でNO)、一般車両対応処理を実行し(S212)、交通路誘導処理に戻る。なお、CPU20は、要員端末管理情報データベースT1の動態が「出動不可」であると判定した場合、交通路誘導処理に戻る。
【0062】
次にCPU20が実行するステップS212の一般車両対応処理の手順について説明する。図11は実施の形態1におけるCPU20が実行する一般車両対応処理の手順を示すフローチャートである。管理装置2のCPU20は、処理対象となる要員の経路と、これと異なる他の要員の経路とを比較する(S301)。
【0063】
CPU20は、要員の経路上に他の要員の現在地が存在するか否かを判定し(S302)、要員の経路上に他の要員の現在地が存在すると判定した場合(S302でYES)、該当する要員について、一般車両を使用させない旨、便乗車両の指定及び便乗地点を決定する(S303)。CPU20は、要員端末管理情報データベースT1の動態を「便乗」とすると共に状態を「完了」とする(S304)。CPU20は、誘導情報生成処理に戻る。
【0064】
一方、CPU20は、要員の経路上に他の要員の現在地が存在していないと判定した場合(S302でNO)、要員の現在地から現場へ至る経路を探索する(S305)。なお、ステップS203で経路探索した後にステップS305で再度経路探索するのは、ステップS203からステップS305の間に、要員が移動している場合を想定しているためである。
【0065】
CPU20は、探索した経路の経路区間管理情報データベースT2から通過時間を読み出し、読み出した通過時間を積算して要員の移動時間を算出する(S306)。CPU20は、移動時間制限情報データベースT3から緊急連絡の事象の制限時間を読み出して、算出した移動時間と比較する。CPU20は、移動時間が制限時間を超えるか否かを判定し(S307)、移動時間が制限時間を超えると判定した場合(S307でYES)、誘導情報生成処理に戻り、該当する要員の出動要請を取り消し(S207)、出動要請の取消を携帯端末1に送信する。CPU20は、要員端末管理情報データベースT1の動態を「出動不可」とすると共に状態「完了」とする(S208)。CPU20は、交通路誘導処理に戻る。
【0066】
CPU20は、移動時間が制限時間以内であると判定した場合(S307でNO)、処理対象となる要員の経路と、これと異なる他の要員の経路とを比較する。CPU20は、これらの経路が相互に重複する区間を有するか否かを判定し(S308)、重複する区間を有すると判定した場合(S308でYES)、重複区間における混雑度を算出する(S309)。
【0067】
CPU20は、重複区間の経路区間管理情報データベースT2から通行容量を読み出して、算出した混雑度と比較する。CPU20は、算出した混雑度が通行容量を超えるか否かを判定し(S310)、算出した混雑度が通行容量を超えると判定した場合(S310でYES)、ステップS305へ戻り、別の経路を探索する。
【0068】
一方、CPU20は、算出した混雑度が通行容量以下であると判定した場合(S310でNO)、一般車両を使用できると決定し(S311)、ステップS305で探索した経路を誘導経路と決定する(S312)。CPU20は、要員端末管理情報データベースT1の状態を「完了」とし(S313)、交通路誘導処理に戻る。
【0069】
最後に実施の形態1における交通路誘導を具体例を用いて説明する。図12は実施の形態1における交通路誘導の一例を示す図である。管理装置2のCPU20は、通報装置3から緊急連絡を受信し、要員P1〜P7を選定する。CPU20は、要員P1〜P7の携帯端末1に出動要請を送信する。
【0070】
要員P1及びP2は、緊急車両で出動しようとする。CPU20は、要員P1及びP2の現在地SP1から現場Gへ至る経路L1を探索する。経路L1は、N12・N11・N7・N5・CP1及びN3を経由する。CPU20は、経路L1の誘導情報を要員P1及びP2の携帯端末1に送信する。
【0071】
SP2から緊急車両が出動する。CPU20は、現在地SP2から現場Gへ至る経路L2を探索する。経路L2は、N8・N6・N4・N1及びN2を経由する。
【0072】
要員P3は、自家用の一般車両で出動しようとする。CPU20は、要員P3の現在地SP3から現場Gへ至る経路L3を探索する。経路L3は、CP2・N7・N5・CP1及びN3を経由する。CPU20は、経路L3の誘導情報を要員P3の携帯端末1に送信する。
【0073】
要員P4は、自家用の一般車両で出動しようとする。CPU20は、要員P4の現在地CP2が経路L3上に存在するので、自家用の一般車両を使用させず、現在地CP2で要員P3の車両に便乗するよう決定する。CPU20は、便乗についての誘導情報を要員P4の携帯端末1に送信する。
【0074】
要員P5は、自家用の一般車両で出動しようとする。CPU20は、要員P5の現在地CP1が経路L1及びL3上に存在するので、自家用の一般車両を使用させず、現在地CP1で他の車両に便乗するよう決定する。但し、CPU20は、経路L1が緊急車両の経路であるから、要員P3の車両に便乗させて経路L3を移動するよう決定する。CPU20は、便乗についての誘導情報を要員P5の携帯端末1に送信する。
【0075】
要員P6は、自家用の一般車両で出動しようとする。CPU20は、要員P6の現在地SP4から現場Gまでの経路L4−1を探索する。経路L4−1は、N9・N10・N11・N7・N5・CP1及びN3を経由する。CPU20は、経路L1、経路L3及び経路L4−1が相互に重複する区間N7〜Gを有するので、重複区間における混雑度を算出する。CPU20は、区間N7〜Gの経路区間管理情報データベースT2から通行容量を夫々読み出して、算出した混雑度と比較する。例えば、CPU20は、混雑度が通行容量を超えると判定する。CPU20は、経路L1が緊急車両の経路であるから、経路L1を優先させる。また、CPU20は、経路L3が多数の便乗を有する経路であるから、経路L3も優先させる。そこで、CPU20は、経路L4−1を除外して別の経路を探索する。
【0076】
CPU20は、経路L4−2を探索する。経路L4−2は、N9・N8・N6・N4・N1及びN2を経由する。CPU20は、経路L2及び経路L4−2が相互に重複する区間N8〜Gを有するので、重複区間における混雑度を算出する。CPU20は、区間N8〜Gの経路区間管理情報データベースT2から通行容量を夫々読み出して、算出した混雑度と比較する。CPU20は、混雑度が通行容量以下であると判定し、経路L4−2の誘導情報を要員P6の携帯端末1に送信する。なお、CPU20は、混雑度が通行容量を超えると判断した場合には、一般車両での移動が不可能となるので、要員P6の出動要請を取り消すか、又は経路L2を移動する緊急車両に便乗させるよう決定する。
【0077】
要員P7は、近傍にある緊急車両を呼びつけて出動しようとする。CPU20は、要員P7の現在地SP5の近傍N2に緊急車両があることを要員P7の携帯端末1に送信する。以上、実施の形態1を説明した。
【0078】
実施の形態2.
開示の交通路誘導システムは、交通路の誘導手段として、一の交通主体を他の交通主体に参集させながら到達地へ移動させるようにしてもよい。実施の形態2では、消防隊員及び消防団員を車両で火災現場に急行させるときに、一般車両で現場へ急行する消防団員を別経路で現場に急行する緊急車両に便乗させる一例を挙げて説明する。
【0079】
図13は実施の形態2における管理装置2の構成を示すブロック図である。実施の形態2における管理装置2は、上述した実施の形態1における管理装置2と同様の構成を有するので、該当箇所に同一番号を付してその説明を省略する。実施の形態2におけるデータベースは、要員端末管理情報データベースT1、経路区間管理情報データベースT2、合流地点管理情報データベースT5及び地図データを含む。
【0080】
(合流地点管理情報データベースT5)
図14は実施の形態2における合流地点管理情報データベースT5のフォーマット例を示す図である。合流地点管理情報データベースT5は、節点情報、合流地点利用可否フラグ、付加情報及びその他の情報を格納する。
【0081】
節点情報は、節点の緯度経度及び固有識別番号を含む。節点は、区間管理情報データベースT2の区間の始点又は終点に該当する。合流地点利用可否フラグは、節点を合流地点から除外するための関数である。例えば、便乗した要員が乗り捨てた車両を駐車する場所が節点周辺に存在しない場合、狭隘道路である場合又は混雑度の高い場合には、合流地点利用可否フラグが「否」と設定される。付加情報は、節点周辺にある駐車場所の位置又は便乗に要する時間などの情報を含む。その他の情報として、移動時の天候などを含む。合流地点管理情報データベースT5は、管理者による入力されたデータに基づいて管理装置2により予め生成される。
【0082】
実施の形態2における要員端末管理情報データベースT1、経路区間管理情報データベースT2及び地図データは、上述した実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0083】
図15は実施の形態2におけるCPU20の機能を説明するための機能ブロック図である。実施の形態2におけるCPU20は、補助記憶装置24に記憶してあるプログラム及びデータベースに基づいて制御部200、交通主体選定部201、経路探索部202及び合流判定部205の機能を発揮する。
【0084】
(合流判定部205)
CPU20は、合流判定部205として機能する。CPU20は、最短時間で現場に急行させることができる、緊急車両及び一般車両の経路を誘導経路と夫々決定する。CPU20は、誘導経路の経路区間管理情報データベースT2から各節点の通過時間を読み出して積算することにより、現在地から各節点までの移動時間を算出する。CPU20は、算出した移動時間を出発時刻に加算することにより、各節点の通過時刻を算出する。CPU20は、緊急車両の通過時刻と、一般車両の通過時刻とに分けて算出する。
【0085】
CPU20は、探索した経路の合流地点管理情報データベースT5から節点の緯度経度を夫々読み出し、節点の緯度経度を比較する。CPU20は、緯度経度が一致する節点を、重複節点と判定する。
【0086】
CPU20は、重複節点における一般車両の通過時刻及び緊急車両の通過時刻を読み出して比較する。CPU20は、一般車両の通過時刻が緊急車両の通過時刻以前(一般車両の通過時刻≦緊急車両の通過時刻)となる節点を検索する。このように、実施の形態2における交通路誘導システムにあっては、先行する一般車両に乗る要員を、後から来る緊急車両に合流させる。
【0087】
また、CPU20は、重複節点の合流地点管理情報データベースT5から便乗に要する時間αを読み出し、一般車両の通過時刻+α≦緊急車両の通過時刻となる節点を検索してもよい。このように、実施の形態2における交通路誘導システムにあっては、便乗に要する時間α、例えば、一般車両を駐車場に入れる時間を考慮することにより、要員を緊急車両に無理なく合流させる。
【0088】
CPU20は、検索した節点の合流地点管理情報データベースT5から合流地点利用可否フラグを読み出し、合流地点利用可否フラグが「可」の節点を検索する。このように、実施の形態2における交通路誘導システムにあっては、要員を緊急車両に無理なく合流させる。
【0089】
CPU20は、更に検索した節点のうち、緊急車両の通過時刻が最も早い節点を合流地点と決定する。CPU20は、決定した合流地点への誘導情報を携帯端末1に送信する。このように、実施の形態2における交通路誘導システムにあっては、早い段階で要員を緊急車両に合流させることにより、混雑を早期に緩和する。
【0090】
なお、実施の形態2における制御部200、交通主体選定部201及び経路探索部202は、上述した実施の形態1と同様であるので、該当箇所に同一番号を付してその説明を省略する。
【0091】
実施の形態2におけるCPU20は、上述した機能を発揮させて以下の処理を実行する。実施の形態2におけるCPU20が実行する交通路誘導処理の流れは、実施の形態1と同様であるので、該当手順に同一ステップ番号を付してその説明を省略する。
【0092】
次に実施の形態2におけるCPU20が実行するステップS104の誘導情報生成処理の手順について説明する。図16は実施の形態2におけるCPU20が実行する誘導情報生成処理の手順を示すフローチャートである。管理装置2のCPU20は、出動要請した要員の携帯端末1から動態及び現在地を受信する(S401)。CPU20は、受信した動態が「緊急車両」に遷移したか否かを判定し(S402)、動態が「緊急車両」に遷移していないと判定した場合(S402でNO)、該当する要員の要員端末管理情報データベースT1から現在地を読み出し、地図データを参照して、現在地から現場へ至る経路を探索する(S403)。
【0093】
CPU20は、探索した経路の各節点の通過時刻を算出する(S404)。CPU20は、合流地点通知処理を実行する(S405)。合流地点通知処理の手順については、後述にて説明する。CPU20は、該当する要員の要員端末管理情報データベースT1の状態を「未完了」とし(S406)、交通路誘導処理に戻る。即ち、CPU20は、交通路誘導処理のステップS105において、全要員の処理が完了していないと判定し(S105でNO)、ステップS104の誘導情報生成処理を引き続き実行する。CPU20は、全ての要員が緊急車両に便乗することにより、全ての要員の携帯端末1から「緊急車両」の動態を受信するまで、処理を繰り返す。
【0094】
一方、CPU20は、ステップS402において動態が「緊急車両」であると判定した場合(S402でYES)、更に全要員の動態が「緊急車両」であるか否かを判定する(S407)。CPU20は、全要員の動態が「緊急車両」であると判定した場合(S407でYES)、交通路誘導処理に戻る。そして、CPU20は、全ての要員が緊急車両へ便乗し、その状態が「完了」となっているから、交通路誘導処理のステップS105において、全要員の処理が完了したと判定し(S105でYES)、全ての処理を終了する。
【0095】
一方、CPU20は、全要員の動態が「緊急車両」でないと判定した場合(S407でNO)、該当する要員の要員端末管理情報データベースT1から現在地を読み出し、地図データを参照して、現在地から現場へ至る経路を探索する(S408)。
【0096】
CPU20は、探索した経路の各節点の通過時刻を算出する(S409)。CPU20は、合流地点通知処理を実行する(S410)。合流地点通知処理の手順については、後述にて説明する。CPU20は、該当する要員の要員端末管理情報データベースT1の状態を「完了」とし(S411)、交通路誘導処理に戻る。そして、CPU20は、交通路誘導処理のステップS105において、全要員の処理が完了していないと判定し(S105でNO)、ステップS104の誘導情報生成処理を引き続き実行する。CPU20は、全ての要員が緊急車両に便乗することにより、全ての要員の携帯端末1から「緊急車両」の動態を受信するまで、処理を繰り返す。
【0097】
次に実施の形態2におけるCPU20が実行するステップS405の合流地点通知処理の手順について説明する。図17は実施の形態2におけるCPU20が実行する合流地点通知処理の手順を示すフローチャートである。管理装置2のCPU20は、検索した複数の経路から重複節点を抽出する(S501)。CPU20は、抽出した重複節点における一般車両及び緊急車両の通過時刻を比較する(S502)。CPU20は、一般車両の通過時刻が緊急車両の通過時刻以前(一般車両の通過時刻≦緊急車両の通過時刻)であるか否かを判定する(S503)。CPU20は、一般車両の通過時刻が緊急車両の通過時刻を超えると判定した場合(S503でNO)、合流地点通知処理を終了し、誘導情報生成処理に戻る。
【0098】
一方、CPU20は、一般車両の通過時刻が緊急車両の通過時刻以前となると判定した場合(S503でYES)、該当する節点を合流地点と決定する(S504)。CPU20は、合流地点に関する情報を携帯端末1に送信する(S505)。CPU20は、誘導情報生成処理に戻る。
【0099】
なお、ステップS410の合流地点通知処理の手順は、上述したステップS405の合流地点通知処理の手順と同様であるから、その説明を省略する。
【0100】
最後に実施の形態2における交通路誘導を具体的な時刻を用いて説明する。図18は実施の形態2における交通路誘導の一例を示す図、図19は実施の形態2における各節点の通過時刻の一例を示す図である。管理装置2のCPU20は、通報装置3から緊急連絡を受信し、要員P8〜P10を選定する。CPU20は、要員P8〜P10の携帯端末1に出動要請を送信する。
【0101】
要員P8は、緊急車両で出動しようとする。CPU20は、要員P8の現在地SP6から現場Gへ至る経路L5を探索する。経路L5は、N20・N21・N22・N17・N16・N15・N14及びN13を経由する。
【0102】
一方、要員P9〜P10は、一般車両で出動しようとする。CPU20は、要員P9〜P10の現在地SP7から現場Gへ至る経路L6を探索する。経路L6は、N21・N19・N18・N16・N15及びN13を経由する。
【0103】
CPU20は、各節点における緊急車両及び一般車両の通過時刻を夫々算出する(図19参照)。CPU20は、経路L5及び経路L6を比較して、N21・N16・N15及びN13を重複節点と判定する。なお、経路L5が経路L6と異なり、N21・N19・N18及びN16の区間並びにN15及びN13の区間を迂回しているのは、当該区間が緊急車両の通行できない狭隘道路だからである。
【0104】
CPU20は、重複節点における一般車両の通過時刻が緊急車両の通過時刻以前となる節点を検索する。その結果、CPU20は、一般車両が緊急車両より早く通過するN21、及び同時に通過するN16を合流地点と決定する。CPU20は、N21及びN16のうち、緊急車両の通過時刻が早いN21を最終的な合流地点と決定する。以上、実施の形態2を説明した。
【0105】
上述した実施の形態では、消防隊員を車両で火災現場に急行させる一例を用いて開示の交通路誘導システムを説明したが、これに限るものでない。開示の交通路誘導システムは、例えば、郵便物を宛先に配達する場合に適用してもよい。この場合、交通主体を郵便物とし、交通具を一般郵便物用の車両及び速達郵便物用の車両とし、交通路を道路とする。
【0106】
上述した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0107】
(付記1)
交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導する情報処理装置において、
交通路に関する情報を示す地図データを記憶する手段と、
到達地及び該到達地へ誘導すべき複数の交通主体の出発地を夫々特定する手段と、
前記地図データに基づいて、前記出発地から到達地へと至る交通路上の経路を夫々探索する手段と、
複数の交通主体の出発地の関係に基づいて各交通主体が所定の優先順に従って到達地へ着くように各交通主体に対する誘導経路を前記探索した経路から決定する誘導決定手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【0108】
(付記2)
各交通主体は、主従関係にあり、
前記誘導決定手段は、主となる交通主体が優先的に到達地へ着くように、前記誘導経路を決定することを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0109】
(付記3)
各交通主体の出発地から到達地までの移動時間を夫々算出する手段を更に備え、
前記誘導決定手段は、該移動時間が予め定められた制限時間を超える交通主体について、決定の対象から除外することを特徴とする付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0110】
(付記4)
前記誘導決定手段は、前記移動時間が最短になるように、前記誘導経路を決定することを特徴とする付記3に記載の情報処理装置。
【0111】
(付記5)
前記誘導決定手段は、複数の交通主体の出発地が同一の経路上に存在する場合、該交通主体が合流して到達地へ同行するように前記誘導経路を決定することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【0112】
(付記6)
前記経路の周辺に存在する交通主体の出発地についても、該経路上に存在すると扱うことを特徴とする付記5に記載の情報処理装置。
【0113】
(付記7)
前記経路上に存在する各交通主体の出発地に基づいて、該交通主体の合流地点を決定する手段を更に備えることを特徴とする付記5又は6に記載の情報処理装置。
【0114】
(付記8)
探索した複数の経路が相互に重複する区間を有する場合、重複区間における混雑度を算出する手段を更に備え、
前記誘導決定手段は、該混雑度が予め定められた閾値を超える重複区間を有する経路のいずれかを、前記誘導経路から除外することを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【0115】
(付記9)
前記誘導決定手段は、主となる交通主体が優先的に到達地に着くようにできる経路について、前記誘導経路から除外しないことを特徴とする付記8に記載の情報処理装置。
【0116】
(付記10)
前記混雑度は、前記区間における交通具の通行数に基づいて算出されることを特徴とする付記8又は9に記載の情報処理装置。
【0117】
(付記11)
前記誘導決定手段は、交通具が通過することのできない区間を迂回して到達地へ着くように、前記誘導経路を決定することを特徴とする付記1乃至10のいずれかに記載の情報処理装置。
【0118】
(付記12)
異なる出発地から到達地へと至る複数の経路が一又は複数の節点で重複する場合、一の交通主体の到達時刻が他の交通主体の到達時刻以前となる節点のいずれかを、前記一の交通主体を他の交通主体に合流させる合流地点と決定する手段を備える付記1乃至11のいずれかに記載の情報処理装置。
【0119】
(付記13)
前記合流地点から除外するための付加情報を節点毎に予め設定する手段を更に備え、
前記付加情報が設定された節点については前記合流地点と決定しないことを特徴とする付記12に記載の情報処理装置。
【0120】
(付記14)
コンピュータに、交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導させるコンピュータプログラムにおいて、
交通路に関する情報を示す地図データを記憶させるステップと、
前記地図データに基づいて、前記出発地から到達地へと至る交通路上の経路を夫々探索させるステップと、
複数の交通主体の出発地の関係に基づいて各交通主体が所定の優先順に従って到達地へ着くように各交通主体に対する誘導経路を前記探索した経路から決定させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【0121】
(付記15)
複数の端末装置及び該端末装置と通信可能な情報処理装置を有し、前記情報処理装置が交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導するための情報を前記交通主体の端末装置へ送信する交通路誘導システムにおいて、
前記情報処理装置は、
交通路に関する情報を示す地図データを記憶する手段と、
到達地及び該到達地へ誘導すべき複数の交通主体の出発地を夫々特定する手段と、
前記地図データに基づいて、前記出発地から到達地へと至る交通路上の経路を夫々探索する手段と、
複数の交通主体の出発地の関係に基づいて各交通主体が所定の優先順に従って到達地へ着くように各交通主体に対する誘導経路を前記探索した経路から決定する誘導決定手段と、
前記誘導経路に関する誘導情報を生成して送信する手段と
を備え、
前記端末装置は、
前記情報処理装置から送信された誘導情報を受信する手段と、
受信した誘導情報を表示する手段と
を備えることを特徴とする交通路誘導システム。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】実施の形態1における交通路誘導システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態1における管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における要員端末管理情報データベースのフォーマット例を示す図である。
【図4】動態の遷移を説明する図である。
【図5】実施の形態1における経路区間管理情報データベースのフォーマット例を示す図である。
【図6】実施の形態1における移動時間制限情報データベースのフォーマット例を示す図である。
【図7】実施の形態1における便乗判定情報データベースのフォーマット例を示す図である。
【図8】実施の形態1におけるCPUの機能を説明するための機能ブロック図である。
【図9】実施の形態1におけるCPUが実行する交通路誘導処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1におけるCPUが実行する誘導情報生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1におけるCPUが実行する一般車両対応処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態1における交通路誘導の一例を示す図である。
【図13】実施の形態2における管理装置の構成を示すブロック図である。
【図14】実施の形態2における合流地点管理情報データベースのフォーマット例を示す図である。
【図15】実施の形態2におけるCPUの機能を説明するための機能ブロック図である。
【図16】実施の形態2におけるCPUが実行する誘導情報生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態2におけるCPUが実行する合流地点通知処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態2における交通路誘導の一例を示す図である。
【図19】実施の形態2における各節点の通過時刻の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0123】
1 携帯端末
2 管理装置
20 CPU
200 制御部
201 交通主体選定部
202 経路探索部
203 移動時間判定部
204 便乗判定部
205 合流判定部
21 外部記憶装置
22 通信制御部
23 主記憶
24 補助記憶装置
25 入力制御部
26 出力制御部
27 データベース通信制御部
28 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導する情報処理装置において、
交通路に関する情報を示す地図データを記憶する手段と、
到達地及び該到達地へ誘導すべき複数の交通主体の出発地を夫々特定する手段と、
前記地図データに基づいて、前記出発地から到達地へと至る交通路上の経路を夫々探索する手段と、
複数の交通主体の出発地の関係に基づいて各交通主体が所定の優先順に従って到達地へ着くように各交通主体に対する誘導経路を前記探索した経路から決定する誘導決定手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
各交通主体の出発地から到達地までの移動時間を夫々算出する手段を更に備え、
前記誘導決定手段は、該移動時間が予め定められた制限時間を超える交通主体について、決定の対象から除外することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記誘導決定手段は、複数の交通主体の出発地が同一の経路上に存在する場合、該交通主体が合流して到達地へ同行するように前記誘導経路を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
探索した複数の経路が相互に重複する区間を有する場合、重複区間における混雑度を算出する手段を更に備え、
前記誘導決定手段は、該混雑度が予め定められた閾値を超える重複区間を有する経路のいずれかを、前記誘導経路から除外することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
異なる出発地から到達地へと至る複数の経路が一又は複数の節点で重複する場合、一の交通主体の到達時刻が他の交通主体の到達時刻以前となる節点のいずれかを、前記一の交通主体を他の交通主体に合流させる合流地点と決定する手段を備える請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導させるコンピュータプログラムにおいて、
交通路に関する情報を示す地図データを記憶させるステップと、
前記地図データに基づいて、前記出発地から到達地へと至る交通路上の経路を夫々探索させるステップと、
複数の交通主体の出発地の関係に基づいて各交通主体が所定の優先順に従って到達地へ着くように各交通主体に対する誘導経路を前記探索した経路から決定させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
複数の端末装置及び該端末装置と通信可能な情報処理装置を有し、前記情報処理装置が交通路を移動する交通主体を交通路上にある到達地へ誘導するための情報を前記交通主体の端末装置へ送信する交通路誘導システムにおいて、
前記情報処理装置は、
交通路に関する情報を示す地図データを記憶する手段と、
到達地及び該到達地へ誘導すべき複数の交通主体の出発地を夫々特定する手段と、
前記地図データに基づいて、前記出発地から到達地へと至る交通路上の経路を夫々探索する手段と、
複数の交通主体の出発地の関係に基づいて各交通主体が所定の優先順に従って到達地へ着くように各交通主体に対する誘導経路を前記探索した経路から決定する誘導決定手段と、
前記誘導経路に関する誘導情報を生成して送信する手段と
を備え、
前記端末装置は、
前記情報処理装置から送信された誘導情報を受信する手段と、
受信した誘導情報を表示する手段と
を備えることを特徴とする交通路誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−127716(P2010−127716A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301569(P2008−301569)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】