説明

情報処理装置、情報入手装置、情報統合装置、制御装置および物体検出装置

【課題】 情報処理装置の設計変更を容易にし、かつ汎用性を向上させる。
【解決手段】 車載される情報処理装置1において、車両周囲の被検知空間を区切った区画である複数のピクセルが設定されている。1台以上のセンサ部11は、被検知空間内の状況に関する検知情報DSを取得する。パラメータ変換部12は、センサ部11毎に、検知情報DSに基づいて、各ピクセル内の物体に関する第1パラメータを求めて各ピクセルに付与する。パラメータ統合部15は、ピクセル毎に、ピクセルに付与された第1パラメータを統合し、統合結果である第2パラメータを該ピクセルに付与する。処理実行部25は、全ピクセルの第2パラメータから成る統合情報MD2、または該統合情報MD2に基づく制御用情報DCを用いて、車両の制御に係る適応業務処理を行う。これによって、センサ部11の組合せに関わらず、情報統合のための処理が共通化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に好適に搭載される情報処理装置、情報入手装置、情報統合装置、物体検出装置および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に代表される車両には、複数種類のセンサ部が備えられている。複数種類のセンサ部は、車両周囲の状況に関する情報を、相互に異なる方法でそれぞれ入手する。このようなセンサ部には、車両周囲の監視装置、および車両の運行に係わる情報の取得装置が挙げられる。車両周囲の監視装置は、レーダ装置、ソナー装置、および画像処理技術を用いた物体認識装置に代表される。情報の取得装置は、ナビゲーション装置、および路車間の通信装置に代表される。1台の車両に搭載された複数種類のセンサ部によってそれぞれ取得された車両周囲の状況に関する情報は、情報統合装置によって統合される。制御装置は、情報の統合結果を用いて、車両の制御に関する適応業務処理を行う。
【0003】
特開平10−332810号公報は、複数のアンテナ・送受信部を含むレーダ装置を開示している。前記レーダ装置の各アンテナ・送受信部において、測定対象物によって反射された電磁波が空中線によって受信される。アンテナ・送受信部毎に、空中線の仰角に対する受信された電磁波の電力に基づいて測定対象物の強度値がそれぞれ求められ、全アンテナ・送受信部における測定対象物の強度値が統合される。強度値統合のために、各アンテナ・送受信部の最大観測範囲の重複領域の境界線を含む矩形領域内にある測定対象物の強度値は、相互に面平均されかつスムージング処理される。スムージング処理時に、各矩形領域内の複数の各メッシュに対して重付けが行われている。このように統合された測定対象物の強度値が表示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に搭載される複数種類の各センサ部によって入手された情報の規格はばらばらであり、該各情報のパラメータ構成が相互に異なっていることが多い。たとえば、車両周囲の監視装置によって得られた車両周囲の物体に関する情報のパラメータは、車両から該物体までの相対距離であったり、該物体の相対速度であったり、所定地点における被検知物体の有無であったりする。また統合対象の情報として、各センサ部から情報統合装置に与えられる情報は、内容が相互に不揃いになっていることが多い。たとえば、車両周囲の物体に関する情報と、車両が現在走行中の道路形状とが、情報統合装置に与えられている。従来技術の情報統合装置は、車両の制御装置が利用可能な情報の生成のために、上述のようなまちまちの情報を、たとえば入手結果の信頼度が高い情報が組合わされるように統合している。特開平10−332810号公報には、相互に情報規格が等しい情報の統合方法が述べられているだけであり、規格の異なる情報の統合方法については述べられていない。
【0005】
従来技術の情報統合装置において、センサ部の組合せは、車両の制御装置における適応業務処理に応じて変化する。かつ単一の適応業務処理においても、複数通りの組合せのセンサ部が利用可能である。情報の統合方法は、統合対象となる情報を出力するセンサ部同士の組合せに応じて定める必要がある。或るセンサ部の組合せに応じた情報統合方法は、組合わせられた各センサ部からの情報に応じて分岐ステップが設定されており、該組合わせに限定された処理ルーチンになっているので、センサ部の組合せが変更された場合、応用が難しい。ゆえに統合対象となるセンサ部の組合せの変更に伴い、情報の統合方法も変更する必要がある。特に、統合対象の情報のパラメータがばらばらであったり該情報の構成が不揃いである場合、複数種類のセンサ部のうちの1つが取換えられただけで、情報統合装置の処理内容を大幅に変更しなければならない。
【0006】
以上の理由に基づき、情報統合装置の製造業者は、センサ部同士の組合せと制御装置における適応業務処理との組合せの数だけ、構成が相互に異なる情報統合装置を準備しておく必要がある。またセンサ部同士の組合せと制御装置の適応業務処理との新たな組合せが考えられる度に、情報統合装置の設計を根本近くから変更する必要がある。これによって、情報統合装置の設計時の負荷が高くなり、情報統合装置の製造コストも増大する。また、センサ部の組合せと制御装置の適応業務処理との組合せを変更するたびに、情報統合装置も変更する必要があるので、車両製造の負荷が増大する。
【0007】
さらにまた、情報の統合方法は、車両の走行状態、気象条件、道路形状、および情報提供状態に合わせて定める必要があるので、走行状態および気象条件の変化に伴い、情報の統合方法も変更する必要がある。情報の統合方法の処理ルーチンの変更は難しいので、走行状態等に合わせた情報統合方法の変更は困難である。
【0008】
本発明の目的は、センサ部の組合せが変化してもセンサ部からの情報を容易に統合することができる情報処理装置、ならびに該情報処理装置に備えられる情報入手装置、情報統合装置、物体検出装置および制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、予め定める被検知空間内の状況に関する情報である検知情報を取得するセンサ手段から与えられる検知情報に基づいて、前記被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内に存在する物体に関するパラメータである第1パラメータをそれぞれ求め、求められた第1パラメータを該ピクセルに付与するパラメータ変換手段を含むことを特徴とする情報入手装置である。
【0010】
本発明に従えば、情報入手装置において、センサ手段からの情報が、複数個のピクセルに付与されるパラメータによって表される情報に変換される。複数台の情報入手装置から出力される情報規格が、上述のようなピクセルに対応付けられた予め定める種類のパラメータから成る規格に統一されている場合、複数台の情報入手装置から出力される情報の統合が容易になる。
【0011】
また本発明は、予め定める被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内の物体に関するパラメータである第1パラメータから成る情報が与えられる情報統合装置において、
各ピクセルに付与される第1パラメータの予め定める第1信頼度を記憶している第1信頼度記憶手段と、
各ピクセルに付与される第1パラメータを第1信頼度に応じて重付け、重付けられた第1パラメータを該ピクセルに付与する重付け手段とを含むことを特徴とする情報統合装置である。
【0012】
本発明に従えば、情報統合装置に与えられる情報の規格が、複数個の各ピクセルに付与される予め定める種類のパラメータから成る規格に、共通化されている。これによって、重付け手段における情報への重付けのための処理の構成を、センサ手段の組合せに関わらず、単一の手順に共通化することが可能になる。ゆえに情報統合装置の汎用性が向上するので、情報統合装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0013】
また本発明は、予め定める被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内に存在する物体に関するパラメータからなる情報が与えられる制御装置において、
与えられた情報に基づいて、被検知空間内の物体に関する制御用情報を生成する制御用情報生成手段と、
制御用情報を用いた処理を行う処理実行手段とを含み、
前記制御用情報は、処理実行手段が受付可能なパラメータから構成されていることを特徴とする制御装置である。
【0014】
本発明に従えば、制御装置に与えられる情報の規格が、複数個の各ピクセルに付与される予め定める種類のパラメータから成る規格に、共通化されている。共通化された規格の情報を処理実行手段固有の規格の情報に変換する制御用情報生成手段が備えられているので、処理実行手段の処理を入力される情報の規格に合わせる必要がない。これによって、入力される情報規格に関わらず、処理実行手段の処理構成を共通化することが可能なので、制御装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0015】
また本発明は、予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能なセンサ手段と、
前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における前記センサ手段の信頼度を設定する信頼度設定手段とを含むことを特徴とする物体検出装置である。
【0016】
本発明に従えば、物体検出装置は、被検知空間内のすくなくとも一部の空間内の物体検知の他に、被検知空間の各区画におけるセンサ手段の信頼度を設定している。センサ手段における被検知空間の物体検知結果の信頼度情報の規格が、上記の区画単位の信頼度からなる規格に統一されているので、複数台の物体検出装置のセンサ手段の信頼度情報の統合が容易になる。
【0017】
また本発明は、予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能なセンサ手段の、前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における信頼度を統合する信頼度統合手段を含む情報統合装置であって、
前記信頼度統合手段は、複数のセンサ手段それぞれの前記各区画における信頼度を、前記区画毎に統合可能であることを特徴とする情報統合装置である。
【0018】
本発明に従えば、情報統合装置に与えられるセンサ手段の信頼度情報の規格が、複数個の区画における信頼度からなる規格に、共通化されている。これによって、センサ手段の組合わせに関わらず、信頼度統合手段における信頼度の統合のための処理の構成を共通化することが可能になる。ゆえに情報統合装置の汎用性が向上するので、情報統合装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0019】
また本発明は、予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能なセンサ手段から出力される検知情報に基づいて行われる適応業務処理の実行の可否を判断する可否判断手段を含む情報処理装置であって、
前記可否判断手段は、前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における前記センサ手段の信頼度に基づいて、前記適応業務処理の実行の可否を判断することを特徴とする情報処理装置である。
【0020】
本発明に従えば、情報処理装置において、適用業務処理の実行の可否が、被検知空間の各区画におけるセンサ手段の信頼度に基づいて判断されている。これによって、検知情報を情報処理装置に与えるセンサ手段の現在の検知能力に応じた適応業務処理の切換えが、可能になる。
【0021】
また本発明は、予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能な少なくとも1台のセンサ手段から出力される検知情報に基づいて行われる適応業務処理の実行の可否を判断する可否判断手段を含む情報処理装置であって、
前記可否判断手段は、前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における前記センサ手段の信頼度を該区画毎に統合した統合結果に基づいて、前記適応業務処理の実行の可否を判断することを特徴とする情報処理装置である。
【0022】
本発明に従えば、情報処理装置において、適用業務処理の実行の可否が、被検知空間の各区画における複数台の各センサ手段の信頼度の統合結果に基づいて判断されている。これによって、検知情報を情報処理装置に与える複数台のセンサ手段の現在の検知能力の組合わせに応じた適応業務処理の切換えが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、情報入手装置において、センサ手段からの情報が、複数個の各ピクセルに付与される第1パラメータによって表される情報に変換される。これによって、複数台の情報入手装置から出力される情報の統合が容易になる。
【0024】
また本発明によれば、第1パラメータの統合手段または第1パラメータへの重付け手段を含む情報統合装置において、情報統合装置に与えられる情報の規格が、上記の規格に、共通化されている。これによって情報統合装置の汎用性が向上するので、情報統合装置4の製造コストの低減を図ることができる。
【0025】
また本発明によれば、制御装置に与えられる情報の規格が共通化されており、かつ共通化された規格の情報を処理実行手段固有の規格の情報に変換する制御用情報生成手段が備えられている。これによって、制御装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0026】
また本発明によれば、センサ手段と信頼度設定手段とを含む物体検出装置は、被検知空間内の少なくとも一部の空間内の物体検知の他に、被検知空間の各区画におけるセンサ手段の信頼度を設定している。このような構成の複数台の物体検出装置のセンサ手段の信頼性情報の統合は容易になっている。
【0027】
また以上のように本発明によれば、センサ手段の信頼度の統合手段を含む情報統合装置に与えられるセンサ手段の信頼性情報の規格が、複数個の区画における信頼度からなる規格に、共通化されている。これによって、信頼度統合手段を含む情報統合装置の汎用性が向上する。
【0028】
また本発明によれば、情報処理装置において、被検知空間の各区画におけるセンサ手段の信頼度に基づいて、適用業務処理の実行の可否が判断されている。これによって、センサ手段の現在の検知能力に応じた適応業務処理の切換えが可能になる。
【0029】
また以上のように本発明によれば、情報処理装置において、被検知空間の各区画における複数台の各センサ手段の信頼度の統合結果に基づいて、適用業務処理の実行の可否が判断されている。これによって、複数台の各センサ手段の現在の検知能力の組合わせに応じた適応業務処理の切換えが、可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態である情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の情報処理装置1において規定される被検知領域31の模式図である。
【図3】図1の情報処理装置1において規定される被検知領域31の模式図である。
【図4】図1の情報処理装置1において用いられる第1信頼度情報MT1の模式図である。
【図5】図1の情報処理装置1において用いられる精度情報MQの模式図である。
【図6】図1の情報処理装置1内のパラメータ変換部12における処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1の情報処理装置1内のパラメータ変換部12における処理を説明するための模式図である。
【図8】図1の情報処理装置1内のパラメータ統合部15における処理を説明するための模式図である。
【図9】図1の情報処理装置1内のパラメータ統合部15における処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1の情報処理装置1内のパラメータ統合部15における処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図1の情報処理装置1内の信頼度統合部19における処理を説明するための模式図である。
【図12】図1の情報処理装置1内の信頼度統合部19における処理を説明するための信頼度のグラフである。
【図13】図1の情報処理装置1内の処理選択部22における処理を説明するための模式図である。
【図14】図1の情報処理装置1内の処理選択部22における処理を説明するためのフローチャートある。
【図15】図1の情報処理装置1内の制御用情報生成部24における処理を説明するためのフローチャートある。
【図16】図1の情報処理装置1内の制御用情報生成部24における処理を説明するための模式図ある。
【図17】図1の情報処理装置1内の処理実行部25において行われる適応業務処理の1つである自動車間制御処理を説明するためのフローチャートある。
【図18】本発明の第2の実施の形態である情報処理装置101の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の第1の実施の形態である情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、車両に搭載されている。情報処理装置1は、少なくとも1台のセンサ部11、パラメータ変換部12、およびパラメータ統合部15を最低限含む。情報処理装置1は、好ましくは、変換情報メモリ13、情報精度記憶部14、統合情報メモリ16、第1信頼度記憶部17、第1信頼度導出部18、信頼度統合部19、第2信頼度メモリ20、環境認識部21、処理選択部22、参照信頼度記憶部23、制御用情報生成部24、および処理実行部25をさらに含む。なお第1の実施の形態は、センサ部11が4台あり、パラメータ変換部12と情報精度記憶部14と第1信頼度導出部18とがセンサ部11毎に備えられている例になっている。
【0032】
情報処理装置1は、少なくとも1台の情報入手装置3と情報統合装置4と制御装置5とに区分されている。各情報入手装置3は、少なくとも1台のセンサ部11とパラメータ変換部12とを最低限含み、好ましくは情報精度記憶部14と第1信頼度導出部18とをさらに含む。情報統合装置4は、パラメータ統合部15を最低限含み、好ましくは、変換情報メモリ13と統合情報メモリ16と第1信頼度記憶部17とを含む。制御装置5は、制御用情報生成部24と処理実行部25とを最低限含み、好ましくは、信頼度統合部19、第2信頼度メモリ20、環境認識部21、処理選択部22、および参照信頼度記憶部23をさらに含む。
【0033】
少なくとも1台の各センサ部11は、予め定める被検知空間内の状況を検知して、検知された状況に関する情報である検知情報DSを取得する。情報処理装置1内の各センサ部11からの検知情報DSの規格(format)は相互に異なっていても良い。情報処理装置1内の各センサ部11からの検知情報DSの詳細な内容は、被検知空間内の状況を示す内容であれば、相互に異なっていても良い。情報処理装置1が車載されている場合、被検知空間は、車両周囲の空間である。
【0034】
パラメータ変換部12は、センサ部11毎に、センサ部11から与えられる検知情報DSに基づいて、1種類以上の第1パラメータをそれぞれ求め、求められた第1パラメータを該ピクセルに付与する。ピクセルは、被検知空間を区切った区画に相当する。単一ピクセルに付与される第1パラメータは、該ピクセル内に存在する物体に関するパラメータである。各ピクセルに付与可能な第1パラメータの種類は、予め定められており、ピクセル同士で等しい。本明細書において、パラメータとは、データセットである情報の構成要素となる助変数である。各センサ部11からの検知情報DSに基づいてピクセルにそれぞれ付与された全ての第1パラメータから成る変換情報MD1は、マップ状の情報である。変換情報MD1は、センサ部11毎に、変換情報メモリ13にそれぞれ記憶される。
【0035】
情報精度記憶部14は、センサ部11における各ピクセル内の物体の検知精度を、センサ部11毎に記憶している。センサ部11における全ての各ピクセル内の物体の検知精度からなる精度情報MQは、マップ状の情報である。精度情報MQは、検知情報DSのパラメータ変換処理に用いられる。
【0036】
パラメータ統合部15は、ピクセル毎に、ピクセルに付与された全第1パラメータを統合し、第1パラメータの統合結果である第2パラメータを該ピクセルに付与する。全ピクセルに付与された第2パラメータから成る統合情報MD2は、全センサ部11からの検知情報DSの統合結果に相当する。統合情報MD2は、マップ状の情報であり、統合情報メモリ16に記憶される。
【0037】
第1信頼度記憶部17は、全ての各ピクセルに付与される第1信頼度を、センサ部11毎に記憶している。単一ピクセルに付与されている単一センサ部11に応じた第1信頼度は、該センサ部11からの検知情報DSに基づいて該ピクセルに付与された第1パラメータの信頼度である。第1信頼度導出部18は、各ピクセルに付与されるべきセンサ部11に応じた第1信頼度を、センサ部11毎に導出する。全ピクセルに付与されている単一センサ部11に応じた第1信頼度から成る第1信頼度情報MT1は、マップ状の情報であり、該センサ部11に基づく第1パラメータに関する処理に用いられる。
【0038】
信頼度統合部19は、ピクセル毎に、ピクセルに付与されている第1信頼度を統合して、第1信頼度の統合結果を、第2信頼度として、該ピクセルに付与する。単一ピクセルに付与されている第2信頼度は、該ピクセルに付与された第2パラメータの信頼度である。全ピクセルに付与されている第2信頼度から成る第2信頼度情報MT2は、マップ状の情報である。第2信頼度情報MT2は、第2信頼度メモリ20に記憶される。環境認識部21は、センサ部11の周囲の環境を認識する。認識された環境は、第2信頼度の算出に用いられる。
【0039】
処理選択部22は、全ての各ピクセルの最新の第2信頼度に基づき、処理実行部25が実行可能な全適応業務処理のうち、実行が許容される適応業務処理を選択する。参照信頼度記憶部23は、処理実行部25において実行可能な適応業務処理毎に、各ピクセルに付与される予め定める参照信頼度を記憶している。単一適応業務処理に応じた参照信頼度は、該適応業務処理の実行が許容される場合における各ピクセルに付与されている第2信頼度の下限値である。全ピクセルに付与されている単一適応業務処理に応じた参照信頼度から成る参照信頼度情報MRは、マップ状の情報であり、該適応業務処理の選択処理に用いられる。
【0040】
制御用情報生成部24は、統合情報MD2に基づいて、被検知空間内の物体に関する制御用情報DCを生成する。処理実行部25は、統合情報MD2および制御用情報DCのうちの少なくとも一方を用いた予め定める適応業務処理を実行する。実行が許容される適応業務処理が選択されている場合、処理実行部25は、選択された適応業務処理のうちの少なくとも1つを実行する。処理実行部25が実行可能な適応業務処理は1つであっても2以上であってもよく、第1の実施の形態では3通りある。
【0041】
情報処理装置1において、各センサ部11からの検知情報DSは、パラメータ変換部12によって、全ピクセルに付与された第1パラメータから成る規格の変換情報MD1に変換されている。センサ部11に基づく変換情報MD1の示す内容は、該センサ部11からの検知情報DSが示す内容と等価である。パラメータ統合部15に与えられる各センサ部11に基づく変換情報MD1の規格は相互に等しい。パラメータ統合部15に与えられる情報の規格が共通化されているならば、センサ部11の組合せにかかわらず、単一構成のパラメータ統合部15を用いて、情報の統合が可能になる。少なくとも1つのセンサ部11が取換えられた場合、パラメータ変換部12の構成を新たなセンサ部11からの検知情報DSに応じた構成に変更するだけで、パラメータ統合部15における検知情報DSの統合処理を変更する必要はない。
【0042】
センサ部11の組合せは、処理実行部25において実行される適応業務処理に必要な情報内容に応じて規定される。単一適応業務処理において複数通りの組合せのセンサ部11がそれぞれ利用可能である場合がある。情報処理装置1に実際に搭載されるセンサ部11の組合せは、処理実行部25が実行可能な全適応業務処理と、情報処理装置1の生産性とを考慮して定められる。パラメータ統合部15はセンサ部11の組合せに関わらず利用可能なので、センサ部11の組合せに関わらず、情報処理装置1は常に同じ構成のパラメータ統合部15を備えていれば良い。このようにパラメータ変換部12が備えられていれば、単一構成のパラメータ統合部15を用いて多種類の情報処理装置の製造が可能なので、情報処理装置1の製造コストの削減が可能になる。
【0043】
また情報処理装置1において、統合情報MD2または制御用情報DCが、処理実行部25に与えられている。統合情報MD2の規格および制御用情報DCの規格は、どちらも、センサ部11の組合せに関わらず、常に所定の規格に保たれている。これによって処理実行部25には、センサ部11の組合せに関わらず単一の規格の情報が常に与えられるので、センサ部11の組合せに関わらず、処理実行部25において実行される処理が実行可能である。情報処理装置1において少なくとも1つのセンサ部11が取換えられた場合、処理実行部25の処理を変更する必要はない。このように、処理実行部25はセンサ部11の組合せに関わらず利用可能なので、センサ部11の組合せに関わらず、情報処理装置1は常に同じ構成の処理実行部25を備えていれば良い。このようにパラメータ変換部12およびパラメータ統合部15が備えられていれば、単一構成の処理実行部25を用いて多種類の情報処理装置の製造が可能なので、情報処理装置1の製造コストの削減がさらに可能になる。
【0044】
以上説明したように情報報処理装置1において、パラメータ変換部12が備えられていれば、パラメータ統合部15および処理実行部25の構成をどちらも変化させることなく、センサ部11の組合せの変更が可能である。これによって、センサ部11の組合せを変更した場合、第1の実施の形態の情報処理装置1の設計変更点は従来技術の情報処理装置における設計変更点よりも極めて少なくなるので、設計変更に係るコストの削減が可能である。また情報処理装置1において、パラメータ統合部15に与えられる情報の規格、ピクセルに付与されたパラメータから構成される規格になっている。これによってパラメータ統合部15は、与えられた情報の統合のために、パラメータをピクセル毎に統合するだけでよい。これによって情報統合のための処理が、従来技術の情報統合のための処理よりも簡略化される。
【0045】
本明細書添付図面において、被検知空間は、3次元の空間を地表面に略平行な平面に投影した状態の模式図によって示す。被検知空間の模式図において、破線の格子で区切られた矩形の区画が、被検知空間のピクセルに相当する。全ピクセルに付与されたパラメータから成る任意の情報の模式図は、被検知空間の模式図においてピクセルに相当する区画に、該ピクセルに付与される変数を書込んだ図になっている。全ピクセルに付与された信頼度から成る任意の信頼度情報の模式図は、被検知空間の模式図においてピクセルに相当する区画に、該ピクセルに付与される信頼度に応じた斜線を付した図になっている。ピクセル内の斜線の本数が多いほど、該ピクセルに付されている信頼度が高い。情報のパラメータと信頼度とはどちらもピクセルに付与されているので、信頼度をパラメータと等価に取扱うことが可能である。なお本明細書の説明では、被検知空間において、情報処理装置1を搭載した車両(以後「自車両」と称する)の進行方向を基準として、進行方向に略平行な方向を「縦」、進行方向に略直交する方向を「横」、進行方向下流側を「前」、進行方向上流側を「後」、進行方向に平行な軸線の両側を「側」と称する。
【0046】
図2は、被検知空間31の構成を示す模式図である。情報処理装置1が車載される場合、被検知空間31は、自車両32の位置を基準として、自車両32を内包するように設定される。被検知空間31は、制御装置5の適応業務処理において必要とされる範囲、すなわち該適応業務処理のために物体を検知すべき範囲を、最低限含むように設定されている。被検知空間31は複数個のピクセルに区分されている。第1の実施の形態では、自車両32が地表面に略平行に移動するので、地表面に略直交する鉛直方向に関する物体検知が省略されている。このために、被検知空間31の地表面と略平行な断面が複数個の区画に区分され、各区画を断面として鉛直方向に伸びる柱状の空間がピクセルとして設定される。柱状のピクセルのどこかに物体があれば、該ピクセル内に物体があると見なされる。
【0047】
被検知空間31の好ましい構成を以下に述べる。被検知空間31において、被検知空間31内の自車両32の位置よりも前方の部分のほうが、被検知空間31内の自車両32の位置よりも後方の部分よりも広い。被検知空間31の中心は、被検知空間31内の自車両32の位置よりも前方に位置する。これによって情報処理装置1は、自車両32よりも前方にある物体に対するより確実な対応が可能になる。特に、自車両前方の物体に自車両32が接近して行く可能性が高い場合、たとえば自車両が走行中である場合、自車両よりも前方の部分の方が広い被検知空間31に基づいて統合された検知情報DSを用いて自車両32の適応業務処理を行うと、自車両前方の物体に対する対応をより詳細に行うことが可能になる。これによって制御装置5は、自車両をより安全に制御可能になる。被検知空間31の前方端から自車両32までの幅WFRONTは、好ましくは、被検知空間31の後方端から自車両32までの幅WREARの2倍である。
【0048】
さらに好ましくは、被検知空間31内の自車両32の位置よりも前方の部分が、自車両32の移動速度に応じた大きさになっている。たとえば、自車両32の移動速度が増加するほど、被検知空間31内の自車両の前方部分が大きくなる。これによって情報処理装置1において、自車両前方の物体に対するさらに確実な対応が可能になる。また被検知空間31の縦方向の中心軸線36上に、自車両が位置する。被検知空間縦方向中心軸線36から被検知空間31の側方端までの幅WSIDEは、好ましくは、自車両32から被検知空間31の後方端までの幅WREARと等しい。
【0049】
図2は被検知空間31の最適例の1つである。被検知空間31は、好ましくは、図2に示すように、自車両32の進行方向33に略平行な複数の境界面34と自車両進行方向33に略直行する複数の境界面35とによって、枡目状に区分される。2種類の境界面33,34は、どちらも平面であり、地表面に略直交している。図2の場合、単一ピクセルの地表面に平行な断面が四角形になっており、全ピクセルの該断面が地表面に平行に行列状に並ぶ。なお図2では、2種類の境界面33,34を表す直線の一部だけが記載されている。図2の例では、隣合う2枚の進行方向33に略平行な境界面34の間隔WD1が常に0.5mであり、隣合う2枚の進行方向33に略直行する境界面35の間隔WD2が常に0.5mであり、被検知空間側方端から自車両32までの幅WSIDEが左右それぞれ100mであり、自車両32から被検知空間先方端までの幅WFRONTが200mであり、自車両32から被検知空間後端までの幅WREARが100mである。
【0050】
図3は、他の最適例の被検知空間31を示す模式図である。被検知空間31は、また好ましくは、図3に示すように、自車両32内の1点である基準点37を中心として同心円状に並ぶ複数の境界面38と該基準点37から放射状に広がる複数の境界面39とによって区分される。同心円状の境界面38は地表面に平行な断面形状が円弧状になる曲面であり、放射状の境界面39は平面である。2種類の境界面38,39は、どちらも地表面に略直交している。図3の場合、単一ピクセルの地表面に平行な断面が扇形になっており、全ピクセルの該断面が、地表面に平行に、同心円状かつ放射状に並ぶ。なお図3では、同心円状の境界面38を表す円弧、および放射状の境界面39を表す直線の一部だけが記載されている。図3の例では、隣合う2枚の同心円状の境界面38の間隔WD3が常に0.5mであり、隣合う2枚の放射状の境界面39の成す角度WD4が常に0.5度である。
【0051】
被検知空間31内のピクセルの形状は、相互に異なっていても良いが、相互に等しいほうが好ましい。ピクセルの形状は、柱形状に限らず、他の形状でもよい。ピクセルの地表面に略平行な断面形状は、四角形および扇形に限らず、他の形状であってもよい。なおピクセルの配置は、柱形状のピクセルが2次元的に並べられた配置に限らず、他の配置、たとえば3次元的に並べられた配置でも良い。
【0052】
被検知空間31のピクセルの大きさが小さいほど、情報処理装置1における処理精度を向上させることができる。たとえば、検知情報DSの変換精度、検知情報DSの統合精度、制御用情報DCの生成精度、および適応業務処理の選択精度の向上がそれぞれ可能である。ピクセルの大きさが大きくなるほど、ピクセルが減少するので、情報処理装置1の処理量が減少する。ピクセルの実際の大きさは、情報処理装置1の処理精度と情報処理装置1の処理量とのバランスが最良になるように設定される。第1の実施の形態のような柱状のピクセルでは、ピクセルの地表面に略平行な断面の面積が小さい程、情報処理装置1の処理精度を向上させることができる。
【0053】
以後の説明は、ピクセルの構成が図2に示す行列状構成になっており、かつ全ピクセルの地表面に平行な断面形状が相互に合同である場合の例になっている。ピクセルには、識別用の番号が付されている。また以後の説明において、2次元座標系が被検知空間31に設定されており、ピクセルおよび物体の位置は、それぞれ2次元座標系の座標によって表される。2次元座標系の原点は、自車両位置と一致している。2次元座標系の座標面は地表面と略平行である。2次元座標系は、直交座標系であっても極座標系であってもよい。
【0054】
任意の1台のセンサ部11に応じた第1信頼度情報MT1について、以下に説明する。情報処理装置1が第1信頼度情報MT1を有している場合、情報処理装置1において、第1信頼度を考慮しつつ第1パラメータに関する処理を行うことが可能になるので、第1パラメータに関する処理の精度の向上が可能になる。任意のピクセルに付与された第1パラメータに関する処理には、該ピクセルに付与されておりかつ第1パラメータの算出時に用いた検知情報DSを出力したセンサ部11に応じた第1信頼度が用いられる。
【0055】
図4は、センサ部11がレーダ装置である場合の第1信頼度情報MT1の模式図である。被検知空間31内の全ピクセルのうち、センサ部11の検知可能領域ASとの重複部分の面積が予め定める下限面積以上のピクセルの第1信頼度は、該重複部分の面積が下限面積未満のピクセルの第1信頼度よりも高い。重複部分の面積が下限面積未満のピクセルの第1信頼度は、たとえば最小値「0」である。センサ部11の検知可能領域ASは、被検知空間31内においてセンサ部11が物体を検知可能な領域であり、センサ部11の構成によって定められる。センサ部11がレーダ装置である場合、検知可能領域ASは、レーダ装置から放射される電磁波が走査する領域である。
【0056】
センサ部11に応じた第1信頼度情報MT1は、第1信頼度記憶部17に記憶されている。第1信頼度記憶部17内の第1信頼度情報MT1は、情報処理装置1の稼働中に第1信頼度導出部18から導出されたものでもよく、第1信頼度記憶部17に予め記憶された固定のものでもよい。第1信頼度導出部18は、予め用意された固定の第1信頼度情報MT1を導出してもよく、対応するセンサ部11の現在の検知能力に応じた第1信頼度をピクセル毎に求め、求められた第1信頼度から成る第1信頼度情報MT1を導出してもよい。固定の第1信頼度情報MT1は、被検知空間の各ピクセルに検知すべき物体がある場合のセンサ部11の特性評価を予め行って決定される。第1信頼度導出部18は、被検知空間の各区画におけるセンサ部11の信頼度、すなわち第1信頼度を設定する信頼度設定部を兼ねている。
【0057】
第1信頼度情報MT1に関する好ましい構成を以下に述べる。第1信頼度導出部18から第1信頼度が導出される場合、導出される第1信頼度は、信頼度導出時のセンサ部11の検知能力に応じた値に設定される。センサ部11の検知能力が低下するほど、該センサ部11に応じた第1信頼度が低下する。検知能力に対する第1信頼度の変化パターンは、連続的であって良く段階的であってもよい。センサ部11が故障した場合、たとえば、全ピクセルに付与されるセンサ部11に応じた第1信頼度が、どれも下限値「0」に設定される。検知能力に応じて第1信頼度が変化するならば、情報処理装置1において、第1信頼度の変化を考慮することによって、検知能力の変化に応じた第1パラメータに関する処理を行うことが可能になるので、第1パラメータに関する処理の精度の更なる向上が可能になる。
【0058】
第1信頼度が検知能力変化に関わらず固定されている場合、好ましくは、固定値である第1信頼度を車両周囲の環境に応じて補正し、補正後の第1信頼度が処理に用いられる。これによって情報処理装置1において、第1信頼度の環境に応じた変化を考慮しつつ第1パラメータに関する処理を行うことが可能になるので、第1パラメータに関する処理の精度のさらなる向上が可能になる。
【0059】
単一ピクセルに複数の第1パラメータが付与される場合、第1パラメータ毎に第1信頼度が設定されている。単一ピクセルに付与される第1パラメータのうちの1つが物体の移動状態を表すベクトルである場合、移動状態ベクトルの第1信頼度は、移動状態ベクトル全体の信頼度を一括して表す単一個の値で実現される。これによって、情報処理装置1において、ベクトル全体の信頼度を考慮しつつ、物体の移動状態に関する処理を行うことが可能になる。また上述の場合、移動状態ベクトルの第1信頼度として、ベクトルの成分毎の信頼度を個別に表す複数個の値が用いられてもよい。これによって、情報処理装置1において、ベクトルの成分毎の信頼度を考慮しつつ、物体の移動状態に関する処理を行うことが可能になるので、処理の精度が向上する。
【0060】
第1の実施の形態では、単一ピクセルに付与される第1信頼度は、縦位置の第1信頼度、横位置の第1信頼度、縦速度の第1信頼度、および横速度の第1信頼度の4種類である。縦位置とは、直交座標系表現で表される位置座標の縦方向成分である。横位置とは、直交座標系表現で表される位置座標の横方向成分であり縦速度とは、速度の縦方向成分である。横速度とは、速度の横方向成分である。
【0061】
パラメータ変換部12における任意の1台のセンサ部11に対する処理を以下に説明する。なおパラメータ変換部12に関する以下の説明では、センサ部11からの検知情報DSが検知された物体毎に作成されており、単一物体の検知情報DSは、検知された物体の位置と、検知された物体の速度とを、パラメータとして含む。
【0062】
パラメータ変換部12において、単一ピクセルには、単一センサ部11に基づく1種類以上の第1パラメータが付与される。単一ピクセルに付与可能な第1パラメータのうちの1種類は、ピクセル内に物体が存在するか否かを示す存在度である。存在度は、物体の有無を表す値でもよく、存在割合でもよく、100を最大値とするパーセンテージによって表される値でもよい。単一ピクセルに付与可能な第1パラメータのうちの他の1種類は、ピクセル内にある物体の移動状態を示すパラメータである。変換情報MD1に各ピクセルの存在度が含まれる場合、統合情報MD2に基づいて、制御用情報DCのパラメータとして、物体の位置を得ることが可能になる。変換情報MD1に各ピクセルの移動状態を示すパラメータが含まれる場合、統合情報MD2に基づいて、物体の移動状態を示すパラメータを、制御用情報DCのパラメータとして得ることが可能になる。
【0063】
第1の実施の形態において、単一ピクセルに付与可能な単一センサ部11に基づく第1パラメータは、存在度ベクトル[TRF,TRT]と移動状態ベクトル[VF,VT]と移動状態信頼度ベクトル[TVF,TVT]とを含む。存在度ベクトル[TRF,TRT]は、ピクセル内の物体の存在度の縦方向成分である縦存在度TRFとピクセル内の物体の存在度の横方向成分である横存在度TRTとから成る。移動状態ベクトル[VF,VT]は、ピクセル内の物体の移動速度の縦方向成分である縦速度VFと、ピクセル内の物体の移動速度の横方向成分である横速度VTとから成る。移動状態信頼度ベクトル[TVF,TVT]は、縦速度VFの信頼度TVFと横速度VTの信頼度TVTとから成る。変換情報MD1では、自車両に対するピクセルの相対位置が、該ピクセル内にある物体の自車両に対する相対位置であるとみなされる。ピクセルの位置ベクトル[RF,RT]は、予め算出されてピクセルに付与されていてもよく、ピクセルに付与される番号と被検知空間のピクセル配列とに基づいて、必要時に算出されてもよい。
【0064】
前述した図2には、被検知空間32内にある物体と、複数の各センサ部11からの検知情報DSに基づく第1パラメータとが、重ねて図解されている。斜線が付されたピクセルには、物体がある旨を示す存在度ベクトルが付与されている。矢印が付与されたピクセルには、該ピクセル内にある物体の移動状況に応じた移動状態ベクトルが付与されている。縦方向に移動中の車両41の後端部が或るピクセル42内に位置する場合、物体がある旨を示す存在度ベクトルと該車両の移動状態を示す移動状態ベクトルとが、該ピクセル42に付与される。物体の後端部が2個以上のピクセル42内に位置する場合、上述のパラメータが2個以上の各ピクセルにそれぞれ付与される。またナビゲーション装置で実現されるようなセンサ部11によって、自車両32が現在走行中の道路の形状が検知される場合、自車両32に対する道路側端の相対位置が分かる。道路側端にはガードレール43があると見なされ、自車位置に対する道路側端の相対位置に相当するピクセル44に物体がある旨を示す存在度ベクトルが付与されている。
【0065】
パラメータ変換部12は、基本的には、以下の手順で、単一センサ部11に基づく第1パラメータをピクセルに付与する。最初に、各ピクセルの位置と、センサ部11から与えられた検知情報DSのパラメータである物体位置とが比較され、物体位置と位置が一致するピクセルが選択される。次いで、検知情報DSに基づいて第1パラメータが設定され、設定された第1パラメータが選択されたピクセルだけに付与される。このように物体位置とピクセルの位置との比較結果に応じて第1パラメータが設定される場合、検知情報DSのパラメータの構成を、変換情報MD1のパラメータの構成に、容易に変換することができる。
【0066】
1例としては、検知情報DSに基づいて選択されたピクセルに付与される各第1パラメータの縦速度VFおよび横速度VTには、前記検知情報DSのパラメータの1つである物体速度の縦速度および横速度がそれぞれ代入される。縦存在度TRFには、前記選択されたピクセルに付与されている縦位置の第1信頼度が代入される。同様に、横存在度TRF、縦速度信頼度TVF、および横速度信頼度TVTには、前記選択されたピクセルに付与されている横位置、縦速度、および横速度の第1信頼度が代入される。選択されなかったピクセルには、予め設定された規定値の第1パラメータが付与されてもよく、第1パラメータを付与しないで、第1パラメータがない状態のまま残されても良い。
【0067】
任意の1台のセンサ部11からの検知情報DSの変換処理には、好ましくは、情報精度記憶部14に記憶されているセンサ部11に応じた精度情報MQが用いられる。単一センサ部11に応じた精度情報MQは、好ましくは、該検知情報DSを構成する各パラメータ毎に設けられている。センサ部11から出力された検知情報DSが、検知された物体位置[RR,Rθ]および検知された物体の速度を含む場合、情報精度記憶部14は、距離RRの精度情報MQ、角度Rθの精度情報MQ、および速度の精度情報MQを記憶する。
【0068】
図5は、位置ベクトルの横位置RTの精度情報MQRTを示す模式図である。なお図5の例では、ピクセルの地表面に平行な断面が0.5m×0.5mの四角形であり、自車から被検知空間先端までの幅WFRONTが7,5mであり、自車両から被検知空間両側端までの幅WSIDEがそれぞれ1mであり、自車両から被検知空間後端までの幅WREARが1.5mになっている。横位置の精度情報MQRTにおいて、被検知空間における情報入手装置3の検知可能領域ASと少なくとも1部分が重なるピクセル、および検知可能領域ASの近傍のピクセルには、有限値の精度が設定されている。検知可能領域ASから大きく外れたピクセルには、無限大の精度「∞」が設定されている。ピクセルに付与された精度が小さいほど、検知情報DSに基づいた物体のあるピクセルの認識精度が高い。
【0069】
図6は、パラメータ変換部12において、精度情報MQが用いられる場合の処理を説明するためのフローチャートである。センサ部11から検知情報DSが与えられた後、ステップA0からステップA1に進む。ステップA1において、各ピクセルの位置と、与えられた検知情報DSのパラメータである物体位置[RR,Rθ]とが比較され、物体位置と位置が一致するピクセルが選択される。ステップA2において、検知情報DSを出力したセンサ部11に対応する縦位置および横位置の精度情報MQから、ステップA1で選択されたピクセルにおける縦位置の精度および該ピクセルにおける横位置の精度が読出される。
【0070】
被検知空間内において、ステップA1で選択されたピクセルを含み、ステップA2で読出された縦位置精度および横位置精度に応じた被処理範囲内の全ピクセルが、第1パラメータの付与対象のピクセルになる。前記被処理範囲は、ステップA1で選択されたピクセルから、左側方および右側方に、横方向の精度に応じた幅をそれぞれ持つ範囲と、ステップA1で選択されたピクセルの前方および後方に、縦方向の精度に応じた幅をそれぞれ持つ範囲とから構成される。
【0071】
ステップA3において、検知情報DSに基づいた第1パラメータが設定され、被検知空間内の前記被処理範囲内の全ピクセルに、設定された第1パラメータが付与される。ステップA4でパラメータ変換処理が終了する。このように、ピクセルの位置と物体位置との比較結果だけでなく検知情報DSの精度に応じて第1パラメータが設定される場合、パラメータ変換部12における検知情報DSの変換精度が、精度情報MQを用いない場合よりも向上する。
【0072】
図7(A)に示す横位置の精度情報MQRTは、図5の横位置の精度情報MQRTの一部分である。図7(B)は、図7(A)の精度情報MQRTの一部分に対応する縦位置の精度情報MQRFである。検知情報DSにおいて、物体の縦位置が3.2mであり、物体の横位置が+0.3mであり、物体の速度が10km/hである場合の例を以下に述べる。検知情報DSに基づいて、図7(A)および図7(B)に斜線を付して示す位置のピクセル57が選択される。選択されたピクセル57の横位置の精度が1mであり、ピクセルの大きさが0.5m×0.5mなので、横位置の精度に基づいて、ステップA1で選択されたピクセル57と、該ピクセル57と横方向に並んで隣合う2個のピクセル58とが、さらに選択される。また縦方向の精度が0.5mであり、ピクセルの大きさが0.5m×0.5mなので、縦位置の精度に基づいて、選択されたピクセル57だけが選択されている。この結果図7(C)に示すように、選択されたピクセル57,58を中心として横方向に並ぶ3個のピクセルに、第1パラメータが付与される。
【0073】
パラメータ統合部15における処理について、以下に説明する。単一センサ部11に基づく第1パラメータが複数種類ある場合、第1パラメータと同様に、第2パラメータも複数種類ある。この場合、ピクセルに付与された全第1パラメータを、種類毎にそれぞれ統合し、各種類の第1パラメータの統合結果を同種類の第2パラメータとする。本実施の形態では、第2パラメータは、縦存在度TRFMと横存在度TRTMからなる存在度ベクトル[TRFM,TRTM]と、縦速度VFMと横速度VTMとからなる移動状態ベクトル[VFM,VTM]と、縦速度信頼度TVFMと横速度信頼度TVTMとから成る移動状態信頼度ベクトル[TVFM,TVTM]とを含む。第1パラメータが付与されていないピクセルには、規定値の第2パラメータを付与してもよく、第2パラメータを付与しない状態のままにしておいても良い。
【0074】
第1パラメータ統合処理において、第1パラメータに基づいて第2パラメータを算出してピクセルに付与する処理は、ピクセル毎に行われる。好ましくは、第2パラメータの算出処理は、センサ部11に基づいて第1パラメータが付与されたピクセルだけについて行われ、第1パラメータが付与されていないピクセルまたは規定値の第1パラメータが付与されたピクセルについては行われない。これによって第1パラメータ統合処理の処理量の削減を図ることが可能なので、パラメータ統合部15の負荷の軽減が可能になる。
【0075】
パラメータ統合部15における被検知空間内の任意の1つのピクセルについての第2パラメータ算出処理の好ましい構成を、以下に説明する。単一の第1パラメータだけがピクセルに付与されている場合、該第1パラメータがそのまま、第2パラメータとして、ピクセルに付与される。複数の第1パラメータがピクセルに付与されている場合、ピクセルに付与されている全ての第1パラメータが統合され、第1パラメータの統合結果が、第2パラメータとしてピクセルに付与される。単一ピクセルの全第1パラメータの統合結果は、たとえば該全ての第1パラメータの平均値である。単一ピクセルの全第1パラメータの統合結果は、該全ての第1パラメータの重付け平均値であってもよく、該全第1パラメータのうちの予め定める選択条件に適合したいずれか1つの第1パラメータの値であってもよい。これによって第2パラメータを精度良く得ることが可能になる。
【0076】
第2パラメータ算出時において、好ましくは、第1信頼度が参照される。1例としては、ピクセルに付与される全ての第1パラメータのうち、第1信頼度が予め定める下限閾値を越える第1パラメータだけが統合される。下限閾値は、たとえば最小値「0」である。
【0077】
図8は、第2パラメータ算出時に第1信頼度が参照される場合におけるパラメータ統合処理を説明するための模式図である。図8の例では、4台の各センサ部11A,11B,11C,11Dに基づく変換情報MD1A,MD1B,MD1C,MD1Dと該各センサ部11A,11B,11C,11Dに対する第1信頼度情報MT1A,MT1B,MT1C,MT1Dとを用いて、統合情報MD2が生成される。各第1信頼度情報MT1に規定される許容領域52A,52B,52C,52Dは、第2パラメータ算出時の下限閾値を越える第1信頼度が付与されたピクセルから構成される。
【0078】
第2センサ部11Bに対する第1信頼度情報MT1Bの許容領域52B内にありかつ第2センサ部11Bに基づく第1パラメータが付与されたピクセル51は、第3のセンサ部11Cに対する第1信頼度情報MT1Cの許容領域52C内に含まれ、さらに該ピクセル51には第3のセンサ部11Cに基づく第1パラメータが付与されている。ゆえに前記ピクセル51に付与される第2パラメータが示す物体の存在度は、該ピクセル51に付与された第2および第3のセンサ部11B,11Cにそれぞれ基づく第1パラメータが示す存在度よりも向上している。
【0079】
第4のセンサ部11Dに対する第1信頼度情報MT1Dの許容領域52Dに含まれかつ第4センサ部11Dに基づく第1パラメータが付与されるピクセル53は、第2のセンサ部11Bの許容領域52Bの境界にあり、かつ該ピクセル53には、第2センサ部11Bに基づく第1パラメータが付与されている。ゆえに前記ピクセル53に付与される第2パラメータの生成時には、第4センサ部11Dに基づく全第1パラメータと第2センサ部11Bに基づく第1パラメータの存在度ベクトルだけが用いられる。これによって前記ピクセル53に付与される第2パラメータが示す存在度は、該ピクセル53に付与された第4のセンサ部11Dに基づく第1パラメータが示す存在度よりも向上しているが、該ピクセル53の第2パラメータの移動状態ベクトルは、速度「0」を示している。第2のセンサ部11Bに対する第1信頼度情報MT1Bの許容領域52B外にあるピクセル54にも、第2センサ部11Bに基づく第1パラメータが付与されているが、該ピクセル54に付与された第1パラメータは第2パラメータ演算に用いられないので、該ピクセル54には第2パラメータが付与されていない。
【0080】
第1のセンサ部11Aに対する第1信頼度情報MT1Aの許容領域52Aに含まれかつ第1センサ部11Aに基づく第1パラメータが付与されるピクセル55には、他のセンサ部11B〜11Dに基づく第1パラメータが付与されていないので、該ピクセル55に付与された第2パラメータは、該ピクセル55に付与された第1センサ部11Aに基づく第1パラメータだけに基づいて設定されている。同様に、第4センサ部11Dに対する第1信頼度情報MT1Dの許容領域52Dに含まれかつ第1センサ部11Aに基づく第1パラメータが付与されるピクセルのうち、第2センサ部11Bに基づく第1パラメータが付与されている前述のピクセル53以外の残余のピクセル56には、他のセンサ部11A〜11Cに基づく第1パラメータが付与されていないので、該ピクセル56に付与された第2パラメータは、該ピクセル56に付与された第4センサ部11Dに基づく第1パラメータだけに基づいて設定されている。
【0081】
第1信頼度を参照する第2パラメータ算出処理の他の例としては、ピクセルに付与された第1パラメータを第1信頼度によってそれぞれ重付け、重付けられた第1パラメータを統合して第2パラメータとする。このような第2パラメータ算出処理では、第1信頼度が高いほど、第1パラメータが第2パラメータに与える影響が大きくなるので、第2パラメータの精度がさらに向上する。第1信頼度を参照する第2パラメータ算出処理のさらに他の例としては、ピクセルに付与された第1パラメータの第1信頼度を相互に比較し、第1信頼度が最大である第1パラメータを第2パラメータとする。このような第2パラメータ算出処理では、信頼度が高い第1パラメータが第2パラメータであると見なされるので、第2パラメータの精度がさらに向上する。
【0082】
図9は、パラメータ統合部15における第1信頼度を参照する構成の第1パラメータの統合処理を説明するためのフローチャートである。なお図9の例では、パラメータ統合部15は、2台のセンサ部11A,11Bからの検知情報DSを統合可能に構成されている。第1パラメータ統合処理は、たとえば、処理実行部25から統合情報MD2または制御用情報DCが要求される時点、あるいは、少なくとも1台のセンサ部11に関する最新の変換情報MD1が生成された時点後に、開始される。開始後、ステップB0からステップB1に進む。ステップB1において、縦ピクセル番号変数PRNおよび横ピクセル番号変数PLNに、初期値「0」が代入される。被検知空間の全ピクセルのうち、縦および横ピクセル番号変数PRN,PLNの最新の値と等しい番号が付与されたいずれか1つのピクセルが、ステップB2〜B7における第2パラメータ算出処理の被処理ピクセルとして選択される。
【0083】
ステップB2において、情報処理装置1の全センサ部11のうちの第1センサ部11Aに基づく第1パラメータが、被処理ピクセルに付与されているか否かが判断される。前記第1パラメータが被処理ピクセルに付与されている場合、ステップB4に進み、付与されていない場合、ステップB4に進む。ステップB3において、最新の被処理ピクセルに付与されている第1センサ部11Aに基づく第1パラメータを、被処理ピクセルの第2パラメータに代入する。第1の実施の形態では、式1〜式6に示すように、複数種類の第1パラメータが同種類の第2パラメータにそれぞれ代入される。TRFa,TRTa,VFa,VTa,TVFa,TVTaは、それぞれ、第1センサ部11Aに基づく第1パラメータの縦存在度、横存在度、縦速度、横速度、縦速度信頼度、および横速度の信頼度である。ステップB4において、被処理ピクセルの第2パラメータの初期化のために、該第2パラメータに予め定める初期値を代入する。第2パラメータのうち、縦信頼度、横存在度、縦速度信頼度および横速度信頼度には、信頼度の下限値「0」が代入される。
TRFM = TRFa …(1)
TRTM = TRTa …(2)
VFM = VFa …(3)
VTM = VTa …(4)
TVFM = TVFa …(5)
TVTM = TVTa …(6)
【0084】
ステップB5において、情報処理装置1の全センサ部11のうちの第2センサ部11Bに基づく第1パラメータが被処理ピクセルに付与されているか否かが判断される。前記第1パラメータが被処理ピクセルに付与されている場合だけ、ステップB6に進み、付与されていない場合、ステップB7に進む。ステップB6において、式7〜式12に基づいて、被処理ピクセルの現在の第2パラメータの更新処理が行われる。
【0085】
式7に示すように、被処理ピクセルの現在の第2パラメータの縦存在度TRFMと、被処理ピクセルの第2センサ部11Bに基づく第1パラメータの縦存在度TRFMbとの大小関係が求められる。第2パラメータの縦存在度TRFMが第2センサ部11Bに基づく第1パラメータの縦存在度TRFMb以上である場合、現在の第2パラメータの縦存在度TRFMがそのまま保たれる。第2パラメータの縦存在度TRFMが第2センサ部11Bに基づく第1パラメータの縦存在度TRFMb未満である場合、第1パラメータの縦存在度TRFMbが第2パラメータの縦存在度TRFMに代入されて更新される。同様に、式8〜式10に示すように、現在の第2パラメータの横存在度TRTM、縦速度信頼度TVFM、および横速度信頼度TVTMが、第2センサ部11Bに基づく第1パラメータの横存在度TRTb、縦速度信頼度TVFb、および横速度信頼度TVTbとそれぞれ比較され、大きいほうの値が第2パラメータの横存在度TRTM、縦速度信頼度TVFb、および横速度信頼度TVTbにそれぞれ代入されて更新される。
TRFM = TRFMとTRFbとのうちの大きいほう …(7)
TRTM = TRTMとTRTbとのうちの大きいほう …(8)
TVFM = TVFMとTVFbとのうちの大きいほう …(9)
TVTM = TVTMとTVTbとのうちの大きいほう …(10)
【0086】
式11に示すように、式9の比較結果に基づき、第2パラメータの縦速度信頼度TVFMのほうが大きい場合、第2パラメータの縦速度VFMはそのまま保たれる。第2パラメータの縦速度信頼度TVFMのほうが小さい場合、被処理ピクセルの第2センサ部11Bに基づく第1パラメータの縦速度VFbが代入されて更新される。同様に、式12に示すように、式10の比較結果に基づき、移動速度方向成分信頼度が大きいほうのパラメータの縦速度が第2パラメータの縦速度VFMに代入されて更新される。
VFM = TVFMとTVFbとのうちの大きいほうに対応する縦速度
…(11)
VTM = TVTMとTVTbとのうちの大きいほうに対応する横速度
…(12)
【0087】
ステップB7において、被検知空間内の全ピクセルについて、ステップB2〜B6の第2パラメータ算出処理が終了しているか否かが判断される。被処理ピクセルとして未だ選択されていないピクセルがある場合、ステップB8において、未選択のピクセルの番号を指定するように、縦および横ピクセル番号変数のうちの少なくとも一方の値が増加される。変数増加後、ステップB2に戻る。ステップB2〜B8の処理は、被検知空間内の全ピクセルが被処理ピクセルとして1回ずつ選択されるまで、被処理ピクセルを変更しつつ繰返される。被検知空間内の全ピクセルについて、ステップB2〜B6の処理が終了している場合、ステップB9でパラメータ統合処理を終了する。パラメータ統合処理終了時に、第2パラメータに代入されている値が、第2パラメータとして決定される。
【0088】
パラメータ統合部15が3台以上のセンサ部11からの検知情報DSを統合可能になっている場合、図9のフローチャートのステップB6とステップB7との間に、3番目以後の各センサ部11に基づく第2パラメータ更新処理が介在される。3番目以後の任意の1台のセンサ部11に基づく第2パラメータ更新処理において、該センサ部11に基づく第1パラメータが被処理ピクセルに付与されているか否かが判断され、付与されている場合だけ、被処理ピクセルの現在の第2パラメータが、該センサ部11に基づく第1パラメータに応じて更新される。第2パラメータの詳細な更新手順は、式9〜式14で説明した更新手順において、第2センサ部11に基づく第1パラメータの代わりに、処理対象のセンサ部11に基づく第1パラメータを用いれば良い。
【0089】
第1パラメータ統合処理において、好ましくは、第2パラメータの算出処理は、センサ部11に基づく第1パラメータが付与されたピクセルだけについて行われる。これによって第1パラメータ統合処理の処理量の削減を図ることが可能なので、パラメータ統合部15の処理負荷の軽減が可能になる。この場合、さらに好ましくは、パラメータ統合部15において、検知情報DSのパラメータをピクセル毎に1つずつに統一して対応付けてかつピクセル毎に統一し、各ピクセルに対応付けられた統一後の検知情報DSパラメータを用いて、各ピクセルの第2パラメータを求める。このように、検知情報DSのパラメータ変換をセンサ部11毎に行わず、検知情報DSパラメータから第2パラメータを直接求める場合、検知情報DSの統合に係る処理の処理時間の短縮が可能になる。またこの場合、パラメータ統合部15がパラメータ変換部12を兼ねるので、パラメータ変換部12および変換情報メモリ13の省略が可能になるため、情報処理装置1の構成が簡略化される。
【0090】
検知情報DSのパラメータの統合時において、検知情報DSのパラメータである物体位置を含むピクセルに付与されておりかつ検知情報DSパラメータと同種である第1パラメータの第1信頼度が、該検知情報DSパラメータの信頼度として用いられる。単一の物体位置だけが単一ピクセル内にある場合、該物体位置をパラメータとする単一検知情報DSのパラメータは、演算値として、該物体位置を含むピクセルにそのまま付与される。同種のパラメータを含む2以上の各検知情報DSの物体位置が単一ピクセル内に含まれる場合、該2以上の検知情報DSの同種のパラメータのうち、パラメータの信頼度が最大である単一のパラメータだけが、演算値として該物体位置を含むピクセルに付与される。上記のように演算値として付与された検知情報DSラメータの信頼度が、演算値の信頼度として採用される。以上の処理によって、検知情報DSのパラメータは、種類毎に、単一ピクセルにつき1個になるように統合される。各ピクセルの第2パラメータは、各ピクセルに付与された演算値に基づいて算出される。統合情報MD2を利用する適応業務処理が既に規定されている場合、好ましくは、演算値の信頼度の下限閾値が統合情報MD2を利用する適応業務処理に応じて予め定められ、ピクセル毎に、信頼度が前記下限閾値以上である演算値だけを用いて、第2パラメータが求められる。
【0091】
図10は、検知情報DSの変換処理と第1パラメータの統合処理とを含む検知情報統合処理を説明するためのフローチャートである。なお図10の例では、検知情報統合処理が、最大2台のセンサ部11A,11Bからの検知情報DSを統合可能な構成になっており、各センサ部11からの検知情報DSの物体位置ベクトルが極座標で表され、かつ第2パラメータとして存在度ベクトルと移動状態と移動状態信頼度とが用いられる。存在度ベクトルは、極座標表現のピクセル位置ベクトル[RR,Rθ]の距離RRの信頼度である距離存在度と、該ピクセル位置ベクトル[RR,Rθ]の角度Rθの信頼度である角度存在度とから構成されている。ステップC0からステップC1に進む。
【0092】
ステップC1において、各センサ部11からの検知情報DSが取得される。図10の例では、第1センサ部11Aからの検知情報DSAが物体位置ベクトル[Ra,θa]を含み、第2センサ部11Bからの検知情報DSBが物体位置ベクトル[Rb,θb]および物体速度Vbを含む。ステップC2において、センサ部11毎に、センサ部11からの検知情報DSの物体位置ベクトルと等しい位置ベクトルのピクセルが選択される。次いで、センサ部11毎に、センサ部11に応じたピクセル位置のパラメータの第1信頼度情報MT1に基づき、選択されたピクセルにおけるセンサ部11に応じた各第1パラメータの第1信頼度が求められる。図10の例では、第1センサ部11Aに関して、物体距離Raに基づいて距離の第1信頼度TRaが求められ、物体角度θaに基づいて角度の第1信頼度Tθaが求められる。第2センサ部11Bに関して、物体距離Rbに基づいて距離の第1信頼度TRbが求められ、物体角度θbに基づいて角度の第1信頼度Tθbが求められ,物体速度に基づいて速度の第1信頼度TVbが求められる。
【0093】
ステップC3〜C15は、全センサ部11から現在得られている検知情報DSのパラメータをピクセル単位で統合して、第2パラメータ算出処理に用いる演算値を得るための処理である。ステップC3〜C8は、検知情報DSの物体距離を統合するための処理である。ステップC3において、現在得られている物体距離が複数あるか否かが判断される。第1センサ部11Aおよび第2センサ部11Bのいずれか一方からだけ物体距離が得られている場合、ステップC3からステップC8に進む。この場合、得られている物体距離が第2パラメータ算出処理の演算用距離として採用される。かつ採用された物体距離に基づいてステップC2で得られた距離の第1信頼度が、前記演算用距離の信頼度として採用される。センサ部11Aおよび第2センサ部11Bの両方から物体距離が得られている場合、ステップC3からステップC4に進む。
【0094】
ステップC4において、第1および第2センサ部11A,11Bからの検知情報DSA,DSBの物体位置[Ra,θa],[Rb,θb]が、相互に等しい単一ピクセル内にあるか否かが判断される。各検知情報DSA,DSBの物体位置を含むピクセルが相互に異なる場合、ステップC5において、現在得られている2個の物体距離Ra,Rbが、前記演算用距離として個別に採用される。かつ採用された各物体距離Ra,Rbに基づいてステップC2で得られた距離第1信頼度TRa,TRbが、それぞれ前記演算用距離信頼度として採用される。各検知情報DSに基づく物体位置が単一ピクセル内にある場合、ステップC4からステップC6に進む。
【0095】
ステップC6において、第1センサ部11Aからの物体距離Raに基づく距離第1信頼度TRaと、第2センサ部11Bからの物体距離Rbに基づく距離第1信頼度TRbとが比較される。前者の第1信頼度TRaが後者の第1信頼度TRb以上である場合、ステップC7において、前者の第1信頼度TRaが前記被処理パラメータの距離信頼度TRとして採用され、第1センサ部11Aからの物体距離Raが前記被処理パラメータの演算用距離Rとして採用される。前者の第1信頼度TRaが後者の第1信頼度TRb未満である場合、ステップC8において、後者の第1信頼度TRbが前記被処理パラメータの距離信頼度TRとして採用され、第2センサ部11Bからの物体距離Rbが前記被処理パラメータの演算用距離Rとして採用される。
【0096】
ステップC9〜C14は、検知情報DSの物体角度を統合するための処理である。ステップC9〜C14の各処理は、ステップC3〜C8の処理と比較すると、物体距離および距離第1信頼度の代わりに物体角度および角度第1信頼度が用いられ、演算用距離Rおよび演算用距離信頼度TRの代わりに演算用角度θおよび演算用角度信頼度Tθが求められる点だけが異なり、他は等しい。ステップC15〜C16は、検知情報DSの物体速度を統合するための処理である。ステップC15において、全センサ部11からの検知情報DSに基づき、現在得られている物体速度が複数あるか否かが判断される。物体速度が1個だけ得られている場合、得られている物体速度が演算用速度Vとして採用され、採用された物体速度に基づいて得られた速度の第1信頼度が演算用速度の信頼度TVとして採用される。複数個の物体距離が得られている場合、ステップC16において、ピクセル毎に、物体速度が1個ずつに統一される。ステップC16の処理は、ステップC4〜C8の処理と比較すると、物体距離および距離第1信頼度の代わりに物体速度度および速度第1信頼度が用いられ、演算用距離および演算用距離信頼度の代わりに演算用速度および演算用速度信頼度が求められる点だけが異なり、他は等しい。
【0097】
ステップC17において、ステップC3〜C16の処理において演算値が付与されているピクセル毎に、ピクセルに付与される演算用距離の信頼度TRが予め定める距離の下限閾値TRxと比較される。演算用距離信頼度TRが距離下限閾値TRx以上であるピクセルについてだけ、ステップC18において、ピクセルに付与された演算用距離Rと演算用距離信頼度TRとを用いてピクセルの第2パラメータが設定される。たとえば前記ピクセルの演算用距離信頼度TRが、該ピクセルの第2パラメータの存在度ベクトルの距離存在度に当てはめられる。
【0098】
ステップC19において、ステップC3〜C16の処理において演算値が付与されているピクセル毎に、ピクセルに付与される演算用角度の信頼度Tθが予め定める角度の下限閾値Tθxと比較される。演算用角度信頼度Tθが角度下限閾値Tθx以上であるピクセルについてだけ、ステップC20において、ピクセルに付与された演算用角度θと演算用角度信頼度Tθとを用いてピクセルの第2パラメータが設定される。たとえば前記ピクセルの演算用角度信頼度Tθが、該ピクセルの第2パラメータの存在度ベクトルの角度存在度に当てはめられる。ステップC21において、ステップC3〜C16の処理において演算値が付与されているピクセル毎に、ピクセルに付与される演算用速度の信頼度TVが予め定める速度の下限閾値TVxと比較される。演算用速度信頼度Tθが速度下限閾値TVx以上であるピクセルについてだけ、ステップC22において、ピクセルに付与された演算用速度Vと演算用速度信頼度TVとを用いてピクセルの第2パラメータの速度に関する値が設定される。たとえば、ピクセルの演算用速度が第2パラメータの移動状態に当てはめられ、ピクセルの演算用速度信頼度が第2パラメータの移動状態信頼度に当てはめられる。速度に関する第2パラメータ設定後、ステップC23で処理が終了する。
【0099】
パラメータ統合部15の処理が図9で説明した処理になっている場合、ステップB6,B7で説明された第2パラメータ更新処理の繰返し回数よりも1多い数の情報が統合可能になっている。またパラメータ統合部15の処理が図10で説明した処理になっている場合、複数の検知情報DSが表す物体の位置が単一ピクセルにある際に、信頼度が最大である検知情報DSパラメータを選択したならば、任意の数の情報が統合可能になる。このようにパラメータ統合部15は、処理構成を改変することなく、様々な数の情報を統合することができるので、パラメータ統合部15の汎用性はさらに向上する。また情報処理装置1内のセンサ部11が1台であり、かつパラメータ統合部15が第1パラメータを第1信頼度によって重付けた値の統合結果を第2パラメータにしている場合、この結果得られる統合情報MD2は、変換情報MD1をセンサ部11に応じた第1信頼度情報MT1に基づいて重付けた情報マップになる。ゆえに上記の場合、パラメータ統合部15は変換情報MD1の重付け部として機能する。
【0100】
信頼度統合部19における処理を、以下に説明する。信頼度統合部19は、ピクセル毎に、ピクセルに付与されている全ての第1信頼度を統合して、統合結果である第2信頼度をピクセルに付与する。第2信頼度が算出されている場合、情報処理装置1において、第2信頼度を考慮した処理が可能になる。第2パラメータに関する処理において第2信頼度を考慮する場合、ピクセル毎に、ピクセルに付与されている第2パラメータに対して、同ピクセルに付与されている第2信頼度が用いられる。第2信頼度は、好ましくは、第1信頼度が出力されるたびに生成される。
【0101】
信頼度統合部19における好ましい構成を以下に述べる。信頼度統合部19において、単一ピクセルの第2信頼度は、該ピクセルにおける全ての各センサ部11に応じた第1信頼度の総和である。これによって信頼度統合部19は、第2信頼度を簡単な処理によって容易に求めることができる。全センサ部11に応じた第1信頼度の総和を第2信頼度とする処理は、センサ部11の検知能力の変化に応じて第1信頼度が変化する構成の情報処理装置1に適している。
【0102】
また単一ピクセルの第2信頼度は、該ピクセルにおける全ての各センサ部11に応じた第1信頼度を、該各センサ部11に対する環境の影響に応じた定数によって重付けた値の総和でもよい。これによって信頼度統合部19は、センサ部11のおかれた環境の最新の状態に応じた第2信頼度を求めることができるので、環境に応じたセンサ部11の検知能力の変化に応じて第2信頼度を変化させることができる。第2信頼度の算出に環境を考慮する処理は、固定の第2信頼度が第1信頼度記憶部17に予め記憶されている構成の情報処理装置1に適している。センサ部11のおかれる環境は、環境認識部21によって認識されている。環境認識部21は、たとえば温度センサを含み、センサ部11の温度またはセンサ部11の周囲の温度を測定している。
【0103】
情報処理装置1がミリ波を用いたレーダ装置と広角画像を用いた物体検知装置とをセンサ部11として備えている場合の例を、以下に述べる。図11(A)に示すレーダ装置の第1信頼度情報MT1Aは、図4と等しい。レーダ装置における物体の検知結果において、物体に対する縦方向の検知精度は充分に高いが、物体に対する横方向の検知精度は低いことが多い。ゆえに、図12(A)の棒グラフに示すように、レーダ装置の第1信頼度情報MT1Aにおいて、レーダ装置の検知可能領域ASAと所定面積以上重なる全ての各ピクセル61に対する縦位置信頼度は該ピクセル61に対する横位置信頼度よりも大きく、該ピクセル61に対する縦速度信頼度は該ピクセル61に対する横速度信頼度よりも大きくなっている。
【0104】
レーダ装置とは逆に、広角画像を用いた物体検知装置における物体の検知結果において、物体に対する横方向の検知精度は充分に高いが、物体に対する縦方向の検知精度は低いことが多い。このために物体検知装置の第1信頼度情報MT1Bにおいて、物体検知装置の検知可能領域ASBのうち物体検知装置に近い部分と重なるピクセルに対する第1信頼度は、物体検知装置の検知可能領域ASBのうち物体検知装置から遠い部分と重なるピクセルに対する第1信頼度よりも、高くなっている。情報処理装置1に備えられる複数台のセンサ部11は、好ましくは、センサ部11の物体検知の得手不得手を、相互に補うように組合わされる。
【0105】
図11(B)は、レーダ装置と広角画像を用いた物体検知装置とを備えた情報処理装置の第2信頼度情報MT2である。図11の第2信頼度情報MT2は、広角画像を用いた物体検知装置の第1信頼度情報MT1Aに、図11(A)のレーダ装置の第1信頼度情報MT1Bを重ねた構成になっている。情報処理装置1の第2信頼度情報MT2において、レーダ装置の検知可能領域ASAと物体検知装置の検知可能領域ASBとの両方に重なるピクセル62,63の第2信頼度は、図12(B)および図12(C)に示すように、信頼度の種類毎に、レーダ装置に対する第1信頼度と物体検知装置に対する第2信頼度との和になっている。図12(B)の第2信頼度が図12(C)の第2信頼度よりも低いのは、図12(B)に示す第2信頼度が付与されたピクセル62が物体検知装置の検知可能領域ASのうち物体検知装置に近い部分と重なっており、図12(C)に示す第2信頼度が付与されるピクセル63が物体検知装置の検知可能領域ASBのうち物体検知装置から遠い部分と重なっているためである。情報処理装置1の第2信頼度情報MT2において、物体検知装置の検知可能領域ASBだけ重なるピクセル64の第2信頼度は、図12(D)に示すように、物体検知装置の第1信頼度情報MT1Bにおいて該ピクセル64に付与された第2信頼度と等価である。
【0106】
本実施の形態では、各センサ部11に応じた第1信頼性情報MT1の規格は、被検知空間の複数個の各ピクセルにおける第1信頼度からなる規格に、共通化されている。これによって、センサ部11の組合わせに関わらず、信頼度統合部19における信頼度の統合のための処理の構成の共通化が可能になる。ゆえに信頼度統合部19の汎用性が向上するので、信頼度統合部19を含む装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0107】
処理選択部22における処理を、以下に説明する。処理選択部22は、全ピクセルの最新の第2信頼度に基づき、処理実行部25が実行可能な適応業務処理のうち、現在実行が許容される適応業務処理を選択する。処理選択部22は、センサ部11から出力される検知情報に基づいて行われる適応業務処理の実行の可否を判断するための可否判断部を兼ねている。任意の1つの適応業務処理の実行が許容されるかどうかを判断するために、各ピクセルに付与される最新の第2信頼度と該ピクセルに付与される該適応業務処理の参照信頼度とがピクセル毎に比較される。最新の第2信頼度が参照信頼度以上である場合、該適応業務処理は現在実行が許容されると判断される。このように、参照信頼度以上の第2信頼度がピクセル毎に得られている適応業務処理だけが選択される場合、適応業務処理の実行に最低限必要な第2信頼度が得られている場合だけ適応業務処理が実行されるので、実際に実行される適応業務処理の精度が向上する。ピクセルの最新の第2信頼度が基準よりも極端に低くなった場合、処理選択部22は、全ての適応業務処理の実行を禁止してもよい。この場合処理実行部25は、全適応業務処理を取りやめる。
【0108】
図13は、参照信頼度が参照される場合における適応業務処理選択処理を説明するための模式図である。図13の例では、4台のセンサ部11A,11B,11C,11Dに対する第1信頼度情報MT1A,MT1B,MT1C,MT1Dと、3種類の適応業務処理の参照信頼度情報MRA,MRB,MRCとが用意されている。第2信頼度情報MT2は、4枚の第1信頼度情報MT1A〜MT1Dを重合わせた構成になっている。第2信頼度情報MD2におけるピクセルに対する第2信頼度の分布と各適応業務処理の参照信頼度情報MRA,MRB,MRCにおけるピクセルに対する参照信頼度との分布が比較される。第1の適応業務処理の参照信頼度情報MRAと第2信頼度情報MT2とを比較すると、参照信頼度よりも第2信頼度のほうが低いピクセルがあるので、第1の適応業務処理の実行は禁止される。第2の適応業務処理の参照信頼度情報MRBと第2信頼度情報MT2とを比較すると、被検知空間全体にわたって、ピクセルの第2信頼度が該ピクセルの参照信頼度よりも高いので、第2の適応業務処理の実行は許容される。第3の適応業務処理の参照信頼度情報MRCと第2信頼度情報MT2とを比較すると、被検知空間全体にわたって、ピクセルの第2信頼度が該ピクセルの参照信頼度よりも高いので、第3の適応業務処理の実行は許容される。
【0109】
図14は、処理選択部22における処理を説明するためのフローチャートである。イグニッションスイッチ26が導通された時点、または少なくとも1つのセンサ部11の検知能力の変化が検知された時点において、ステップE0からステップE1に進む。少なくとも1つのセンサ部11から故障通知のダイアグが到来した時点においても、ステップE0からステップE1に進む。ステップE1において、処理選択部22は、信頼度統合部19に、第1信頼度の統合処理を開始させる。これによって信頼度統合部19は、全ての各センサ部11に応じた最新の第1信頼度情報MT1を統合して、最新の第2信頼度情報MT2を得る。
【0110】
ステップE2において、処理選択部22は、ステップE1で生成された最新の第2信頼度情報MT2における第2信頼度の分布と、参照信頼度記憶部23に記憶される各適応業務処理の参照信頼度情報MRにおける参照信頼度の分布とを比較して、参照信頼度が最新の第2信頼度未満である参照信頼度情報MRに対する適応業務処理を選択する。実行可能な適応業務処理に対するものとして選択される参照信頼度情報MRは、選択される全ピクセルにおいて参照信頼度が第2信頼度であるものに限らず、参照信頼度が第2信頼度であるピクセルの数が全ピクセル数未満の下限閾値以上であるものを含んでいても良い。ステップE3において、処理選択部22は、ステップE2で選択された適応業務処理だけが実行可能である旨を示す情報を、処理実行部25に与える。情報出力後、ステップE4で処理が終了する。
【0111】
情報処理装置1が車載される場合、前述した第1信頼度導出部18からの第1信頼度の導出タイミングの1つは、好ましくは、車両のイグニッションスイッチ26が導通したタイミングと等しい。この場合、イグニッションスイッチ26の導通直後に、第1信頼度記憶部17に第1信頼度情報MT1が記憶されるので、イグニッションスイッチ26の導通後いつでも、第1信頼度を考慮しつつ第1パラメータに関する処理を行うことが可能になる。ゆえに、イグニッションスイッチ26導通後に行われる第1パラメータに関する処理の精度の向上が可能になる。図1の構成の情報処理装置1であれば、第1信頼度を用いた第1パラメータの統合処理の精度の向上が可能になる。これに限らず、センサ部11に応じた第1信頼度情報MT1は、第1信頼度導出部18とは別に独自に設定されて、第1信頼度記憶部17に予め記憶されていてもよい。また第1信頼度導出部18から導出されて第1信頼度記憶部17に記憶された第1信頼度情報MT1は、記憶後、イグニッションスイッチ26の導通状態に関わらずそのまま保持されていてもよい。このように第1信頼度情報MT1は、イグニッションスイッチ26の導通前から、第1信頼度記憶部17に既に記憶されていてもよい。
【0112】
好ましくは、車両のイグニッションスイッチ26導通後直ちに第2信頼度も生成される。これによって情報処理装置1において、イグニッションスイッチ26導通後いつでも、第2信頼度を考慮した処理が可能になる。図1の構成の情報処理装置1であれば、実行が許容される適応業務処理の選択処理、および制御用情報の生成処理が可能になる。処理選択部22は、好ましくは、車両のイグニッションスイッチ26導通時に、実行が許容される適応業務処理を選択する。これによって処理実行部25は、イグニッションスイッチ26導通後いつでも、許容される適応業務処理の実行が可能になる。
【0113】
また第1信頼度導出部18からの第1信頼度の導出タイミングの1つは、好ましくは、センサ部11の検知能力が変化したタイミングと等しい。この場合、検知能力が変化するたびに、第1信頼度記憶部17に記憶される第1信頼度情報MT1が更新されるので、最新の第1信頼度を考慮しつつ第1パラメータに関する処理を行うことが可能になるため、該処理の精度のさらなる向上が可能になる。また検知能力変化時に第1信頼度が出力される場合、さらに好ましくは、センサ部11の検知能力に追従して第1信頼度が変化する。これによって、最新の検知能力に応じた第1信頼度が利用可能なので、第1パラメータに関する処理精度がさらに向上する。さらに好ましくは、検知能力変化時に第1信頼度が出力される場合、検知能力変化後直ちに第2信頼度も生成される。この場合、検知能力の変化に応じて第1信頼度が変化しているほうがよい。これによって検知能力変化に応じて第2信頼度が変化するので、第2信頼度に基づいて、検知能力の変化を考慮した処理が可能になる。このように検知能力が変化するたびに第2信頼度が生成されている場合、処理選択部22は、好ましくは、少なくとも1つのセンサ部11に応じた第1信頼度が出力されるたびに、許容される適応業務処理を選択する。これによって処理実行部25は、センサ部11の最新の検知能力に応じて許容される適応業務処理だけを、常に実行することができる。
【0114】
以上説明したように、図1の構成の情報処理装置1において、センサ部11の組合せが変更された場合、最新の組合せの各センサ部11に応じた第1信頼度情報MT1が用意されていれば、第2信頼度情報MT2におけるピクセルに対する第2信頼度の分布がセンサ部11の組合せに応じて自動的に変化する。ゆえに処理実行部25が実際に実行する適応業務処理が、センサ部11の最新の組合わせに応じて自動的に制限される。これによって情報処理装置1において、センサ部11および第1信頼度情報MT1以外の構成に手を加えることなく、情報処理装置1全体の処理構成を、変更されたセンサ部11の組合せに適合した処理構成に変更することが可能になる。したがって、情報処理装置1の汎用性が向上する。
【0115】
また情報処理装置1において、センサ部11の検知能力の変化に応じて第1信頼度が変化するならば、少なくとも1つのセンサ部11が故障した場合、処理実行部25が実行する適応業務処理が、故障したセンサ部11を除く残余のセンサ部11からの検知情報DSだけに基づいて実行可能な適応業務処理だけに、自動的に限定される。これによって、少なくとも1つのセンサ部11が故障した場合、処理実行部25の機能が完全に停止せず一部の適応業務処理が続行されるので、情報処理装置1の使い勝手が良くなる。
【0116】
センサ部11の検知能力が基準の検知能力よりも低下するのは、たとえば以下の場合である。センサ部11がミリ波を用いたレーダ装置であるならば、レーダ装置周囲の温度が異常に上昇した場合、およびレーダ装置のアンテナを覆うレドームに付着物がある場合である。センサ部11が画像処理技術を用いたセンサであるならば、視野内の物体を撮影するカメラに西日が入る時間帯に現在時刻が入っている場合、カメラの視野内に雨や雪が降っている場合、およびカメラの光学系の光入射方向の位置に付着物がある場合である。センサ部11がナビゲーション装置であるならば、センサ部11内に備えられる地図情報の作成日時から現在日時までの経過期間が充分に長い場合である。センサ部11が超音波センサを用いたソナー装置である場合、自車両周辺の音響ノイズが充分に高い場合である。情報入手装置311が自車両に搭載された路車間通信装置であるならば、道路上の路車間通信装置からの通信が途切れる道路を走行している場合である。センサ部11がナビゲーション装置であるならば、検知能力は、地図情報に基づいて自車両の現在位置周囲の状況を把握する能力に当たる。情報入手装置311が自車両に搭載された路車間通信装置であるならば、検知能力は、道路上の路車間通信装置からの通信を受信する能力および受信される情報の詳しさによって左右される。
【0117】
センサ部11が、物体検知のための情報を集める検知素子45と、検知素子45からの出力に基づいた物体検知の処理を行う物体検知処理部46とを含む場合、検知素子45からの出力変化に応じて、センサ部11の検知能力が変化する。物体検知処理部46は、検知能力変化の検知部を兼ねており、検知素子45からの出力の変化に基づいて、検知能力の変化を判断している。センサ部11の最新の検知能力が設定された基準の検知能力よりも低下する場合、物体検知処理部46は、センサ部11の故障を報知するためのダイアグを導出する。これによってセンサ部11以外の情報処理装置1の処理部は、センサ部11からのダイアグに基づいて、センサ部11の検知能力の異常低下を認識することができる。検知素子45とは、レーダ装置であればアンテナであり、画像処理技術を用いた装置であるならばカメラであり、ソナー装置であるならば超音波センサである。また環境認識部21が情報処理装置1に備えられる場合、環境認識部21によって認識された環境に基づいて、第1信頼度を利用する処理部がセンサ部11の検知能力を推定してもよい。
【0118】
制御用情報生成部24における処理を以下に説明する。制御用情報生成部24は、統合情報MD2に基づいて、被検知空間内の物体に関する制御用情報DCを生成する。制御用情報DCは、処理実行部25が受付可能な規格になっている。制御用情報DCの規格は、ピクセルとは無関係に設定可能であってもよい。1例としては、制御用情報DCが物体毎に生成されており、単一物体の制御用情報DCのパラメータは、物体の位置および該物体の速度とで実現される。制御用情報生成部24が情報処理装置1に含まれている場合、統合情報MD2の規格を処理実行部25が受付可能な規格とは無関係に設定可能である。これによって、処理実行部25が取換えられた場合であっても、パラメータ統合部15の処理を変更する必要がなくなる。これによって、処理実行部25の構成に関わらず単一構成のパラメータ統合部15が利用可能なので、情報処理装置1の製造コストの削減が可能になる。
【0119】
制御用情報DCのパラメータの1つが物体の位置であれば、制御用情報生成部24は、被検知空間内の全ピクセルのうち、第2信頼度が予め定める下限の閾値以上であるピクセルにおいて、該ピクセルに付与される第2パラメータが、該ピクセルに物体が有ることを示す場合、該ピクセルの位置に基づいて、制御用情報DCの物体位置を求める。被検知空間内の全ピクセルのうち、第2信頼度が前記下限閾値未満であるピクセルは、該ピクセルに付与される第2パラメータが物体が有ることを示しているか否かに関わらず、制御用情報生成に用いられない。このように第2パラメータと第2信頼度とに基づいて制御用情報DCが生成される場合、制御用情報DCを用いた処理実行部25の処理精度が向上する。制御用情報DCを用いて実行される適応業務処理が確定している場合、好ましくは、第2パラメータの下限閾値として、該適応業務処理に対する参照信頼度が用いられる。これによって、制御用情報DCを用いた処理実行部25の処理精度がさらに向上する。
【0120】
制御用情報DCの生成時に、好ましくは、制御用情報生成部24は、第2パラメータが物体有りを示すピクセルが2個以上連続している場合、各ピクセルに付与された第2パラメータが相互に類似しているならば、該連続したピクセルからなる区域内に単一物体があると認識し、該連続した各ピクセルに付与された第2パラメータを統合して、統合結果に基づいて、該区域内にある単一物体に関する制御用情報DCを生成する。これによって制御用情報生成部24は、複数個のピクセルに跨がって存在する物体に関する制御用情報DCのパラメータを、一本化することができる。
【0121】
第2パラメータが相互に類似し連続して配置されるピクセル群に基づく制御用情報DCの生成時において、連続するピクセルから成る区域の最も外側のピクセルの位置が、区域内の物体の端の位置として求められる。これによって、複数個のピクセルに跨がって存在する物体の端の位置が、容易に求められる。上記ピクセル群に基づく制御用情報DCの生成時において、連続する各ピクセルに付与された第2パラメータによって示される移動速度の平均値が、連続するピクセルから成る区域の内の物体の移動速度として求められる。これによって、複数個のピクセルに跨がって存在する物体の移動速度が、容易に求められる。また上述のピクセル群に基づく制御用情報生成時において、連続する各ピクセルに付与された第2パラメータによって示される移動速度のうち、車両と物体とが最も近づくように移動する場合の速度が、連続するピクセルから成る区域の内の物体の移動速度として求められる。このような移動速度を含む制御用情報DCがたとえば車両と物体との衝突予測処理に用いられる場合、より確実な衝突予測が可能になる。
【0122】
図15は、制御用情報生成部24における制御用情報DCの生成処理を説明するためのフローチャートである。パラメータ統合部15から統合情報MD2が出力された場合、または処理実行部25から制御用情報DCが要求された場合、生成処理が開始される。開始後、ステップD0からステップD1に進む。ステップD1において、制御用情報生成部24は、これから生成される制御用情報DCを用いる適応業務処理に応じた参照信頼度情報MRを選択し、選択された参照信頼度情報MRにおけるピクセルの参照信頼度と、最新の統合情報MD2におけるピクセルの第2信頼度とを、ピクセル毎に比較する。制御用情報生成部24は、第2信頼度が参照信頼度未満であるピクセルの第2パラメータだけを、統合情報MD2から削除する。
【0123】
ステップD2において、制御用情報生成部24は、物体有りを示す存在度パラメータを含む第2パラメータが付与されているピクセルを、統合情報MD2に基づいて探索する。ステップD3において、制御用情報生成部24は、ステップD2で探索されたピクセルのうちから、被検知空間において連続している2個以上のピクセルから成るピクセル群を探索する。ピクセル群がある場合、ステップD4において、ピクセル群毎に、ピクセル群を構成する全ピクセルにそれぞれ付与された第2パラメータが示す縦速度の差が予め定める許容範囲内に収まるか否かが判断される。
【0124】
ピクセル群における縦速度の差が許容範囲内に収まる場合、第2パラメータが相互に類似しているので、ピクセル群に単一物体が存在すると見なされる。この場合ステップD5において、ピクセル群を構成する全ピクセルの第2パラメータの統合結果に基づいて制御用情報DCを生成する。ピクセル群における縦速度の差が許容範囲を越える場合、ステップD6において、該ピクセル群を構成する全ピクセルのうち、縦速度の差が許容範囲内に収まるピクセル同士が組合せられ、組合わせられたピクセルの組毎に、組合わせられたピクセルの第2パラメータの統合結果に基づいて制御用情報DCが生成される。被検知空間内において単独で存在するピクセルがある場合、単独で存在するピクセル内に単一物体があると見なされる。この場合ステップD7において、単独で存在するピクセル毎に、ピクセルに付与された第2パラメータに基づいて、単一物体に関する制御用情報DCのパラメータを生成する。ステップD2で探索された全ピクセルの第2パラメータが、ステップD3〜D7のいずれかのステップで制御用情報生成に用いられたならば、ステップD8で、処理が終了する。
【0125】
制御用情報DCが自動車間制御処理に用いられる場合、ステップD5において、ピクセル群を構成する全ピクセルの第2パラメータの縦位置のうち、ピクセル群内の物体と自車両中心との相対距離が最も小さくなる縦位置が、制御用情報DCにおける物体の縦位置として採用される。ピクセル群を構成する全ピクセルの第2パラメータの横位置のうち、自車両中心を通る縦方向の軸線にピクセル群内の物体が最も近づく横位置が、制御用情報DCにおける物体の横位置として採用される。ピクセル群を構成する全ピクセルの第2パラメータの速度の平均値が、制御用情報DCにおける物体速度として採用される。制御用情報DCが自動車間制御処理に用いられる場合、ステップD6において、ピクセル群を構成する全ピクセルのうち縦速度の差が許容範囲内に収まる2個以上のピクセルがある場合、組合せられたピクセルを上記のピクセル群と見なして、制御情報のパラメータが求められる。
【0126】
図16(A)に示す統合情報MD2には、自動車間制御処理の参照信頼度よりも第2信頼度の高い第2パラメータが付与されたピクセル71から成るピクセル群と、自動車間制御処理の参照信頼度よりも第2信頼度の低い第2パラメータが付与されたピクセル72から成るピクセル群とがある。図16(A)の統合情報MD2に基づく制御用情報DCが自動車間制御処理に用いられる場合、図15の処理が行われるならば、自動車間制御処理の参照信頼度情報MRBの参照信頼度
よりも第2信頼度の低いピクセル72から第2パラメータが削除される。この結果、制御用情報生成に用いられる統合情報MD2は、図16(B)に示す構成になる。
【0127】
図16(B)に示す制限後の統合情報MD2Aにおいて、斜線が付されている4つの各ピクセルの第2パラメータの縦位置、横位置、および相対速度は、それぞれ、[3.5m,0m,−0.5km/h],[4.0m,0m,−0.3km/h],[3.5m,+0.5m,+0.5km/h],[4.0m,+0.5m,+5.0km/h]である。これら4つのピクセルの相対速度差は許容範囲内に収まるので、これら4つのピクセルの第2パラメータが統合され、統合結果が単一物体の制御用情報DCとして出力される。上記4つのピクセルの第2パラメータの統合結果である制御用情報DCにおける物体の縦位置RF、横位置RTおよび相対速度Vは、[4.0m,0m,+1.2km/h]である。式13は、速度の統合式である。
V = {(−0.5km/h)+(−0.3km/h)
+ 0.5km/h + 5.0km/h}÷ 4
= 1.2km/h …(13)
【0128】
処理実行部25における処理について以下に述べる。処理実行部25は、センサ部11の検知結果を用いた1種類以上の適応業務処理を実行可能である。1例としては、処理実行部25は、適応業務処理のためのアプリケーションプログラムを複数備えている。情処理実行部25がいずれか1つのアプリケーションプログラムに基づいて動作した場合、該プログラムに応じた適応業務処理が実行される。情報処理装置1が車載されている場合、適応業務処理は、車両制御に関わる処理で実現される。車両制御に関わる適応業務処理は、たとえば、車両の自動運転処理、自動車間制御(ACC)処理、および追突警報処理を含む。
【0129】
自動車間制御処理は、自車両の前方を走行する先行車両から自車両までの距離が常に予め定める基準距離に保たれるように、自車両を制御する処理である。衝突警報処理は、自車両の周囲にある物体と自車両とが衝突する可能性が高くなった場合に、その旨を運転者に報知する処理である。処理実行部25における自動運転処理は、自動車間制御処理および追突警報処理を含む複数種類の車両の適応業務処理を組合わせて実現される。さらに自動運転処理は、車両の進行方向を自動的に制御するような処理が含まれていても良い。
【0130】
処理実行部25における自動車間制御処理の1例は以下のとおりである。まず、制御用情報DCまたは統合情報MD2に基づいて、少なくとも1つのセンサ部11によって検知された被検知空間内の自車両前方の物体から自車両までの相対距離が求められる。求められた相対距離が予め定める基準距離と比較される。相対距離が基準距離以上である場合、自車両の速度が増加するように、内燃機関27および制動機関が制御される。相対距離が基準距離未満である場合、自車両の速度が減少するように、内燃機関27および制動機構28が制御される。これによって、前方の物体の動きに追従するように、自車両が走行する。
【0131】
図17は、処理実行部25における制御用情報DCを用いた自動車間制御処理を説明するためのフローチャートである。処理実行部25は、物体から自車両までの現在の相対距離の縦方向成分と目標車間距離との差分、物体と自車両との相対速度、目標加速度、および目標車間距離の相互関係を示すマップを予め備えている。目標車間距離は、自車両の運転者によって設定される。処理選択部22によって自動車間制御処理の実行が許容されており、かつ運転者によって自動車間制御処理の実行が指示された場合、ステップF0からステップF1に進む。ステップF1において、処理実行部25は、制御用情報生成部24から、被検知空間内の検知された物体毎の制御用情報DCを取得する。単一物体についての制御用情報DCは、物体から自車両までの相対距離RRと、自車両から見て物体がある方向を示す横位置Rθと、物体と自車両との相対速度とを含む。
【0132】
ステップF2において、処理実行部25は、検知された物体毎に、制御用情報DCの横位置に基づいて、自車両が走行中の車線内に物体があるかどうかを判断する。ステップF3において、処理実行部25は、自車両が走行中の車線内にあると判断された物体のうちのいずれかと自車両との現在の相対距離の縦方向成分を求め、相対距離縦方向成分と目標車間距離との差分を求める。次いで、求められた距離差分と制御用情報DCの相対速度と目標車間距離とを用い、予め準備されているマップに基づいて、目標加速度を算出する。ステップF4において、処理実行部25は、自車両の加速度が目標加速度に達するように、内燃機関27、スロットルペダルおよび制動機構28を制御する。ステップF1〜F4の処理は、自動車間制御処理の実行が処理実行部25によって禁止されるまで、または運転者によって自動車間制御処理の終了が指示されるまで、周期的に繰返される。
【0133】
処理実行部25における追突警報の1例は以下のとおりである。まず、制御用情報DCまたは統合情報MD2に基づいて、少なくとも1つのセンサ部11によって検知された被検知空間内の物体から自車両までの相対距離が求められる。求められた相対距離が予め定める基準距離と比較される。相対距離が基準距離未満である場合、自車両に物体が接近している旨が、報知装置29によって自車両の運転者に対して報知される。さらには、制御用情報DCまたは統合情報MD2に基づいて、少なくとも1つのセンサ部11によって検知された被検知空間内の物体の自車両に対する移動方向および相対速度が求められる。物体が自車両に近づく方向に移動しており、かつ相対速度が予め定める基準速度未満である場合、自車両に物体が接近している旨が、報知装置29によって自車両の運転者に対して報知される。またこれら報知に伴い、物体と自車両との衝突を回避するように、処理実行部25によって内燃機関27および制動機構28が制御されてもよい。
【0134】
第1の実施の形態は、4台のセンサ部11が、レーダ装置、画像処理技術を用いた複眼測距装置、路車間情報通信システムの車載用路車間通信端末、およびナビゲーション装置でそれぞれ実現される例になっている。センサ部11は、これらの装置に限らず、他の装置、たとえば超音波を用いたソナー装置によって実現されてもよい。またセンサ部11は、VICS(Vehicle Information Communication System)において道路に設置される通信装置との間で情報を送受するための車載用通信端末によって実現されてもよい。さらにまたセンサ部11は、通信ネットワークに接続可能な通信端末によって実現されてもよく、該通信端末は、通信ネットワーク内に設置された外部データベースから情報を任意に入手可能な構成になっていてもよい。このようにセンサ部11は、被検知空間内の物体を検知する装置に限らず、被検知空間内の状況に関する何らかの情報を入手する装置であれば、どのような装置であってもよい。
【0135】
センサ部11を実現するレーダ装置の概略的な構成は、以下のとおりである。ミリ波を用いたFM−CW方式のレーダ装置は、アンテナを含む検知素子45と物体検知処理部46とを含む。検知素子45において、ビーム状の電磁波が、基準方向と電磁波の放射方向との成す放射角度を変化させつつ、アンテナから放射される。放射電磁波の強度は常に一定に保たれており、放射電磁波の周波数は所定のパターンに応じて経時的に変化する。電磁波の放射方向に物体がある場合、放射電磁波は物体によって反射されてアンテナに戻る。反射された電磁波は、物体とレーダ装置との相対距離Rに応じて、放射電磁波よりも遅延する。反射電磁波の周波数は、物体とレーダ装置との相対速度vに応じて、放射電磁波から偏移する。電磁波の受信に応じてアンテナから出力された受信信号は、電磁波放射のためにアンテナに与えられた局発信号と混合され、これによってビート信号が得られる。
【0136】
物体検知処理部46において、局発信号の周波数の増加期間および該周波数の減少期間における放射電磁波の放射角度とビート信号の周波数とに対するビート信号の信号レベルの分布のグラフが、それぞれ求められる。或る時点の電磁波の放射方向に物体がある場合、前記グラフにおいて該放射方向に対応する信号レベルが極大になる。ゆえに式14〜16に基づいて、レーダ装置と物体との極座標表示の相対位置[R,θ]、およびレーダ装置と物体との相対速度Vが算出される。fupは前記グラフの増加期間の部分において極大点に対応する周波数であり、fdnは前記グラフの減少期間の部分において極大点に対応する周波数であり、δfは、局発信号の最大周波数から最小周波数までの周波数差である。cは光速度である。fcenterは局発信号の中心周波数である。fmは局発信号の周波数変化の周波数である掃引周波数である。
【0137】
【数1】

【0138】
センサ部11を実現する複眼測距装置の概略的な構成は、以下のとおりである。複眼測距装置は、検知素子45である2台のカメラと物体検知処理部46とを含む。2台のカメラは視差が生じるように配置されている。2台のカメラは、予め定める距離WCAMERAだけ離れて配置されており、かつ視野の一部分が相互に重なっている。物体検知処理部において、2台のカメラによって撮影された画像に基づいて、カメラの視野内にある物体に対する視差Δxmが算出され、式17に基づいて複眼測距装置と物体との相対距離Rが算出される。式17において、FLは2台の各カメラの焦点深度であり、Fは画像内のカメラ取付軸線に平行な方向の解像度である。画像から視差を求めるには、画像内の物体の縁に相当するエッジを2枚の画像からそれぞれ出し、一方の画像内の物体のエッジに対する他方の画像内の該物体のエッジのずれを求め、該ずれを視差とすればよい。または、画像内の物体の縁に相当するエッジを一方の画像から抽出し、一方画像内の抽出されたエッジを含む一部分を参照パターンとして該参照パターンと他方画像とのマッチングを求め、これによって得られた該参照パターンと濃度分布が最も類似する部分と該参照パターンとの位置のずれを求め、該ずれを視差とすればよい。
【0139】
【数2】

【0140】
センサ部11を実現する路車間通信端末の概略的な構成は、以下のとおりである。車両に搭載された路車間通信端末は、該車両の運行に関する情報を、道路に設置された路車間通信装置に対して送信する。道路上の路車通信装置は、該道路を走行している車両から送信された情報に基づき、該道路における車両の運行状況を把握し、把握した運行状況に関する情報を、道路上の車両に搭載された路車間通信端末に送信する。任意の車両内の路車間通信端末に送信される前記運行状況に関する情報は、たとえば、該車両の前後を走行する車両の位置および速度を含む。これによって車両内の路車間通信端末は、該車両の周囲の物体を把握することができる。
【0141】
センサ部11を実現するナビゲーション装置の概略的な構成は、以下のとおりである。ナビゲーション装置は、検知素子である自車位置検出部45と地図記憶部47と物体検知処理部46とを含む。自車位置検出部45は、GPS(Global Positioning System)および自立航法の少なくとも一方に基づき、ナビゲーション装置を搭載する車両の位置を検出する。物体位置処理部46は、検出された車両位置と地図記憶部47に記憶された地図とに基づいて地図上の車両の位置を把握し、地図において把握された位置の周囲の記載内容に基づき、車両周囲の状況を推測する。道路の形状および道路の周囲の建造物が地図に記載されている場合、地図および車両位置に基づいて車両が現在走行している道路の形状が分かれば、該道路の側部のガードレールや、該道路の周囲の建造物等が推測可能である。
【0142】
センサ部11を実現するソナー装置の概略的な構成は、以下のとおりである。ソナー装置は、検知素子である超音波センサ45と、物体検知処理部46とを含む。超音波センサ45において、最初に、所定時間の間だけ、超音波センサから、音波が、空気中に放射される。放射された超音波の進行方向に物体がある場合、超音波は物体によって反射されて車両に戻る。反射されて戻った超音波が超音波センサ内の圧電材を振動させると、超音波の振動数に応じた周波数の交流電圧を、圧電材が発生させる。超音波放射後、物体検知処理部46において、超音波センサの残響の状態に基づいて、超音波センサが正常であるかどうかが判断される。超音波センサが正常であれば、超音波放射後の予め定める時間の間、圧電材に交流電圧が生じたかどうかが検出される。交流電圧が生じた場合、超音波が放射された時点から交流電圧が生じた時点まで、すなわち超音波放射時から反射超音波到来時までの時間tsと音速Vsとの積が、バックソナー装置から物体までの相対距離Rとして求められる。
【0143】
情報処理装置1において、処理実行部25が単一種類の適応業務処理だけを実行可能な構成になっている場合、情報処理装置1から処理選択部22が省略されていて、処理実行部25が無条件に適応業務処理を行う構成になっていてもよい。これによって情報処理装置1の構成は簡略化される。なお好ましくは、上述の場合であっても情報処理装置1が処理選択部22を備え、処理選択部22は、単一種類の適応業務処理の実行が可能かどうかの判定を行う。処理実行部25は、処理選択部22の判定結果に応じて、適応業務処理の実行が可能であると判定される場合だけ、適応業務処理を実行する。これによって、処理実行部25が単一種類の適応業務処理だけを実行可能な場合において、センサ部11の組合せおよびセンサ部11の最新の検知能力に基づいて、適応業務処理に必要な精度以上の情報の取得が可能な間だけ、適応業務処理が実行される。したがって、センサ部11の組合せの変化およびセンサ部11の検知能力の変化に基づいた適応業務処理の実行精度の低下が、防止される。
【0144】
情報処理装置1に含まれる全ての各情報入手装置3が、センサ部11だけでなくパラメータ変換部12を含む場合、センサ部11がどのような構成の検知情報DSを出力しているかに関わらず、情報入手装置3からは変換情報MD1が出力される。情報入手装置3から出力される情報のパラメータ規格が単一種類の規格に統一されている場合、情報統合装置4に与えられる検知情報DSの規格が共通化される。これによって情報統合装置4は、組合せて利用されるセンサ部11からの規格に関わらず、単一種類の規格の情報を処理可能な構成になっていれば良いので、様々な組合せのセンサ部11と共に用いられる情報統合装置4の共通化を図ることができる。これによって情報統合装置4の汎用性が向上するので、情報統合装置4の開発が容易になりかつ情報統合装置4の製造コストの削減が可能になる。
【0145】
情報処理装置1に含まれる制御装置5は、処理実行部25だけでなく制御用情報生成部24を含んでいる。制御用情報生成部24は、ピクセルに付与されたパラメータからなる情報の規格を、処理実行部25の処理に固有の規格に変更する。制御装置5が制御用情報生成部24を含む場合、処理実行部25がどのような構成の制御用情報DCを利用可能な構成になっているかに関わらず、被検知空間内のピクセルに付与されたパラメータから構成される情報を受付可能になる。これによって制御装置5において、処理実行部25の処理を制御装置5に与えられる情報規格に合わせる必要がなくなるので、様々な規格の情報が与えられる制御装置5の適応業務処理実行手段の処理構成の共通化を図ることができる。これによって制御装置5の開発が容易になりかつ制御装置5の製造コストの削減が可能になる。制御装置5装置5が処理実行部25だけでなく制御用情報生成部24を含んでいる場合、情報入手装置3から出力される変換情報MD1の統合の必要がなければ、情報入手装置3からの変換情報MD1が制御装置5に直接与えられても良い。
【0146】
図18は、本発明の第2の実施の形態である情報処理装置(以後「第2情報処理装置」と略称する)101の構成を示すブロック図である。第2情報処理装置101は、構成要素の区分状態だけが第1の実施の形態の情報処理装置(以後「第1情報処理装置」と略称する)と異なり、構成要素区分状態以外の第2情報処理装置の構成は、第1情報処理装置と等しい。第2の実施の形態の説明において、第1情報処理装置1に含まれる構成要素と同じ機能の構成要素には、第1の実施の形態における参照符と同じ参照符を付し、説明は省略する。
【0147】
第2情報処理装置101は、少なくとも1台の情報入手装置103と、情報統合装置104と、車両の制御105とに区分される。情報入手装置103は、センサ部11を少なくとも含み、好ましくは第1信頼度導出部18をさらに含む。情報統合装置104は、パラメータ変換部12およびパラメータ統合部15を含み、好ましくは、変換情報メモリ13、統合情報メモリ16、第1信頼度記憶部17、信頼度統合部19、第2信頼度メモリ20、環境認識部21、処理選択部22、参照信頼度記憶部23、および制御用情報生成部24をさらに含む。車両の制御105は、処理実行部25を含む。なお第1信頼度記憶部17に全ての各センサ部11に対する第1信頼度情報MT1が記憶されているならば、第1信頼度導出部18は省略されてもよい。
【0148】
第2情報処理装置101において、制御装置105は、従来技術の車両制御装置と同じ構成になっている。情報入手装置103は、従来技術の情報入手装置3に第1信頼度導出部18を加えた構成になっている。第1信頼度導出部18が省略される場合、情報入手装置103は、従来技術の情報入手装置と同じ構成になる。ゆえに、第2情報処理装置101は、従来技術の車載用情報処理装置と比較して、情報統合装置104の構成だけが異なり、他の構成は従来技術の車載用情報処理装置と等しい。このように第2情報処理装置101は市販の情報入手装置および市販の制御装置に改良を加えることなく実現可能なので、実現が容易である。上記の構成の情報統合装置104は、様々な情報入手装置103および制御装置105と組合わせて情報処理装置101を構成することができるので、汎用性が極めて高い。
【0149】
第1および第2の実施の形態の情報処理装置1,101は本発明の情報処理装置の例示であり、主要な構成が等しければ、他の様々な構成によって実施することができる。特に情報処理装置1の各構成部品の詳細な構成は、同じ効果が得られるならば、上述の構成に限らず他の構成によって実現されてもよい。
【0150】
図1および図18に示す情報処理装置1,101の構成は最適例である。情報処理装置1は、センサ部11とパラメータ変換部12とパラメータ統合部15と処理実行部25とを最低限含めば良く、上記4つの処理部11,15,18,28以外の処理部は適宜省略されてもよい。勿論情報処理装置1は、上記4つの処理部11,15,18,28を含む構成であれば、情報入手装置3と情報統合装置4と制御装置5との3装置に区分された構成に限らず、区分されずに単一装置になっていてもよく、2以上の装置に区分されていてもよい。
【0151】
図1および図18に示す情報処理装置1,101における構成要素の区分状態は、それぞれ最適状態の1つである。本発明の情報処理装置において、構成要素の区分状態は、図1および図18の例に限らない。本発明の情報処理装置において、情報入手装置3はセンサ部11を最低限含めば良く、情報統合装置4はパラメータ統合部15を最低限含めば良く、制御装置5は処理実行部25を最低限含めば良く、かつパラメータ変換部12情報入手装置3および情報統合装置4のどちらかに含まれれば良い。情報処理装置1において、第1信頼度導出部18および第1信頼度記憶部17は、情報統合装置4および制御装置5の少なくとも一方に含まれていればよい。制御用情報生成部24は、制御装置5および情報統合装置4のどちらに含まれていてもよい。
【0152】
本発明の情報処理装置において、情報入手装置がセンサ部11だけを含み、制御装置が処理実行部25と制御用情報生成部24とを含み、情報統合装置がパラメータ変換部12とパラメータ統合部15を含んでいる場合、センサ部11から出力される検知情報DSの規格に関わらず、制御装置5に与えられる情報の規格を共通化することが可能になる。また上記の場合、情報処理装置が単一台のセンサ部11を含んでいれば、統合情報MD2の内容は、センサ部11から出力される検知情報DSと内容が等しく、かつ統合情報MD2の規格だけが検知情報DSの規格と異なる。この結果前記情報統合装置は、センサ部11から出力される検知情報DSの規格を所定の共通規格に変換するように機能する。ゆえに上記の場合、情報処理装置が単一台のセンサ部11を含んでいるだけであっても、情報統合装置を備えていれば、センサ部11から出力される検知情報DSの規格に関わらず、制御装置に与えられる情報の規格を共通化することが可能になる。
【0153】
また本発明において、センサ部の信頼度設定部を兼ねる第1信頼度導出部18とセンサ部11とから物体検出装置が構成されおり、信頼度設定部がセンサ部11の第1信頼度をピクセル毎に設定していてもよい。この場合、センサ部11における被検知空間の物体検知結果の信頼度情報の規格が、上記のピクセル単位の信頼度からなる規格に統一されるので、複数台のセンサ部11の信頼度情報の統合が容易になる。さらにまた本発明において、可否判断部を兼ねる処理選択部22は、独立した処理装置を形成していてもよい。可否判断部が、被検知空間の各区画におけるセンサ部11の信頼度に基づいて、適用業務処理の実行の可否を判断している場合、検知情報を処理実行部25に与えるセンサ部11の現在の検知能力に応じた適応業務処理の切換えが可能になる。また可否判断部が、被検知空間の各ピクセルにおける複数台の各センサ手段の信頼度の統合結果に基づいて、適用業務処理の実行の可否を判断している場合、検知情報を処理実行部25に与える複数台の各センサ手段の現在の検知能力の組合わせに応じた適応業務処理の切換えが可能になる。
【0154】
また本発明の情報処理装置内に備えられる情報入手装置3、情報統合装置4、および車両の制御は、これら3つを組合せて用いるだけに限らず、他の装置とそれぞれ組合せて利用されてもよく、単独で利用されてもよい。また本発明の情報処理装置は、車載の装置に限らない。情報処理装置1が車載されていない場合、車両の制御における適応業務処理は、センサ部11によって取得された情報を用いる処理であれば、車両の制御のための処理に関わらず、他の処理でもよい。またこの場合、被検知空間は、車両の周囲の空間に限らない。
【0155】
図1および図18で説明した情報処理装置1、101の詳細な構成は機能的構成である。上記の機能的構成が実現可能な構成であれば、本発明の情報処理装置1、101の物理的構成はどのような構成になっていてもよい。1例としては、情報統合装置4および制御装置5は、ECU(Electoric Control Unit)によってそれぞれ実現される。ECUは、演算回路部と記憶回路部とを含む。図1の情報統合装置4を実現するECUの演算回路部は、パラメータ統合部15に相当し、該ECUの記憶回路部は、変換情報メモリ13と統合情報メモリ16とを兼ねている。図1の制御装置5を実現するECUの演算回路部は、信頼度統合部19と処理選択部22と制御用情報生成部24と処理実行部25とを兼ねており、該ECUの記憶回路部は、第1信頼度記憶部17と第2信頼度メモリ20と参照信頼度記憶部23とを兼ねている。また情報入手装置3において、情報入手装置3に備えられる単一の中央演算処理回路が、信頼度導出部12とセンサ部11内の物体検知処理部とを兼用していてもよい。
【0156】
情報処理装置1において、情報統合装置4および車両の制御は、上述の検知情報DSの統合に係る上記の各種の処理の実行のためのプログラムと該処理に係る上記の各種データとを含むソフトウエアとコンピュータとを組合わせて、それぞれ実現することが可能である。このためには、ソフトウエアをコンピュータにインストールしておき、該ソフトウエアに基づいて、コンピュータの中央演算処理回路を動作させればよい。前記ソフトウエアのインストールは、コンピュータによって読出し可能な記憶媒体に前記ソフトウエアを予め記憶させておき、コンピュータが備える記憶媒体読出し装置に該記憶媒体を装着して、該記憶媒体からソフトウエアを読出ださせればよい。前記記憶媒体は、たとえば、CD−ROMに代表される光記憶媒体、フロッピー(登録商標)ディスクに代表される磁気記憶媒体、およびMOに代表される光磁気記憶媒体のいずれかで実現される。
【0157】
本発明は、以下の実施の形態が可能である。
(1)予め定める被検知空間内の状況を検知して、検知された状況に関する情報である検知情報をそれぞれ取得する少なくとも1台のセンサ手段と、
センサ手段毎に、センサ手段から与えられる検知情報に基づいて、被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内に存在する物体に関するパラメータである第1パラメータをそれぞれ求めて、求められた第1パラメータを各ピクセルに付与するパラメータ変換手段と、
ピクセル毎に、ピクセルに付与された第1パラメータを統合して、第1パラメータの統合結果である第2パラメータを該ピクセルに付与するパラメータ統合手段とを含むことを特徴とする情報処理装置。
情報処理装置において、パラメータ変換手段が含まれているので、センサ手段から出力される情報の規格に関わらず、パラメータ統合手段に与えられる情報の規格が共通化されている。これによって、複数台のセンサ手段の組合せに関わらず、単一構成のパラメータ統合手段を用いて、検知情報の統合が可能になるので、パラメータ統合手段の汎用性が高くなる。これによって情報処理装置の製造コストの低減が可能になる。
【0158】
情報処理装置において、パラメータ統合手段は、1台以上の各センサ手段から出力される検知情報に基づいて、被検知空間を区切った区画である複数のピクセル内に存在する物体に関する第1パラメータを生成して、該ピクセルに付与する。パラメータ統合手段は、ピクセル毎に、第1パラメータを統合し、統合結果である第2パラメータをピクセルに付与する。全ての各ピクセルに付与された第2パラメータから成る統合情報の内容は、全センサ手段から出力された検知情報の統合結果になっている。このように情報処理装置において、センサ手段から出力される情報の規格に関わらず、パラメータ統合手段に与えられる情報の規格が共通化されているので、パラメータ統合手段の汎用性が高くなる。これによって情報処理装置の製造コストが可能になる。
【0159】
(2)前記検知情報が物体の位置を表すパラメータを含む場合、
前記パラメータ変換手段は、前記センサ手段に、
(1)センサ手段からの検知情報が示す物体位置を含むピクセルを選択し、
(2)選択されたピクセルだけに、検知情報に基づいて求められる第1パラメータを付与することを特徴とする情報処理装置。
【0160】
情報処理装置において、各ピクセルの位置と検知情報のパラメータの1つである物体位置との比較結果に応じて、ピクセルに第1パラメータが付与される。これによってパラメータ変換手段は、検知情報を、全ピクセルに付与された第1パラメータからなる変換情報に、容易に変換することができる。
【0161】
検知情報のパラメータの1つである物体位置を含むピクセルだけに第1パラメータが付与される。これによって検知情報は、全ピクセルに付与された第1パラメータからなる変換情報に、容易に変換される。
【0162】
(3)前記検知情報が物体の位置を表すパラメータを含む場合、
前記被検知空間内の各ピクセル内に存在する物体に対する検知情報の精度を、センサ手段毎に記憶する情報精度記憶手段をさらに含み、
前記パラメータ変換手段は、前記センサ手段毎に、
(1)センサ手段からの検知情報が示す物体位置を含むピクセルを選択し、
(2)選択されたピクセル毎に、選択されたピクセルにおけるセンサ手段に応じた検知情報の精度と選択されたピクセルの位置とに基づいて被検知空間に設定される区域内のピクセルに、検知情報に基づいて求められる第1パラメータを付与することを特徴とする情報処理装置。
【0163】
情報処理装置において、各ピクセルの位置と検知情報のパラメータのパラメータの1つである物体位置との比較結果および検知情報の精度に応じて、ピクセルに第1パラメータが付与される。これによってパラメータ変換手段における検知情報の変換精度が向上する。
【0164】
各ピクセルの位置と検知情報のパラメータの1つである物体位置との比較結果および検知情報の精度に応じて、各ピクセルに第1パラメータが付与される。これによって、検知情報の変換精度が向上する。
【0165】
(4)前記単一ピクセルに付与される少なくとも1つの第1パラメータのうちの1つが、該ピクセル内に物体が存在するか否かを示すパラメータであることを特徴とする情報処理装置。
【0166】
情報処理装置において、物体の有無を表す第1パラメータが各ピクセルに付与されているので、第1パラメータの統合結果である第2パラメータから成る統合情報に基づいて、物体の位置をパラメータとして含む情報を得ることが可能になる。
【0167】
物体の有無を表す第1パラメータが各ピクセルに付与されている。これによって、統合情報に基づいて、物体の位置をパラメータとして含む情報を得ることが可能になる。
【0168】
(5)前記単一ピクセルに付与される少なくとも1つの第1パラメータのうちの1つが、ピクセル内に存在する物体の移動状態を示すパラメータであることを特徴とする情報処理装置。
【0169】
情報処理装置において、物体の移動状態を表す第1パラメータが各ピクセルに付与されているので、第1パラメータの統合結果である第2パラメータから成る統合情報に基づいて、物体の移動状態を示すパラメータを含む情報を得ることが可能になる。
【0170】
物体の移動状態を表す第1パラメータが各ピクセルに付与されている。これによって、統合情報に基づいて、物体の移動状態を示すパラメータを含む情報を得ることが可能になる。
【0171】
(6)前記検知情報に基づいて各ピクセルに付与される第1パラメータの信頼度である予め定める第1信頼度を、センサ手段毎に記憶している信頼度記憶手段をさらに含むことを特徴とする情報処理装置。
【0172】
情報処理装置において、センサ手段に応じた第1信頼度が、各ピクセルに付与されている。これによって情報処理装置において、第1信頼度を考慮しつつ、第1パラメータに関する処理を行うことが可能になる。
【0173】
センサ手段毎に、第1パラメータの信頼度である予め定める第1信頼度が各ピクセルに付与されている。これによって、情報処理装置において、第1信頼度を考慮した処理が可能になる。
【0174】
(7)前記検知情報に基づいて各ピクセルに付与された第1パラメータの信頼度である第1信頼度を、センサ手段毎に導出する第1信頼度導出手段をさらに含み、
前記センサ手段における被検知空間内の状況の検知能力が増加するほど、該センサ手段に基づく第1信頼度が上昇することを特徴とする情報処理装置。
【0175】
情報処理装置において、センサ手段に応じた第1信頼度が、各ピクセルに付与されている。かつ第1信頼度は、センサ手段の検知能力に応じて変化する。これによって情報処理装置において、センサ手段の検知能力に応じて、第1信頼度を考慮しつつ、第1パラメータに関する処理を行うことが可能になる。
【0176】
センサ手段の検知能力に応じて変化する第1信頼度が各ピクセルに付与されている。これによって情報処理装置において、センサ手段の検知能力と第1信頼度とを考慮しつつ、第1パラメータに関する処理を行うことが可能になる。
【0177】
(8)前記センサ手段が車両に搭載されている場合、
前記第1信頼度の導出タイミングは、車両のイグニッションスイッチが導通状態になったタイミングと等しいことを特徴とする情報処理装置。
【0178】
情報処理装置において、前記第1信頼度導出手段は、車両のイグニッションスイッチが導通した時点に、第1信頼度を導出している。これによって情報処理装置において、イグニッションスイッチの導通後いつでも、第1信頼度を考慮しつつ、第1パラメータに関する処理を行うことが可能になる。
【0179】
車両のイグニッションスイッチが導通した時点に第1信頼度が導出される。これによって情報処理装置において、イグニッションスイッチの導通後いつでも、第1信頼度を考慮した処理が可能になる。
【0180】
(9)前記第1信頼度の導出タイミングは、少なくとも1つのセンサ手段の検知能力が変化したタイミングと等しいことを特徴とする情報処理装置。
【0181】
情報処理装置において、前記第1信頼度導出手段は、少なくとも1つのセンサ手段の検知能力が変化した時点に、第1信頼度を導出している。これによって情報処理装置において、センサ手段の検知能力に応じて、第1信頼度を考慮しつつ、第1パラメータに関する処理を行うことが可能になる。
【0182】
少なくとも1つのセンサ手段の検知能力が変化した時点に第1信頼度が導出される。これによって情報処理装置において、センサ手段の最新の検知能力と第1信頼度とを考慮した処理が可能になる。
【0183】
(10)前記単一ピクセルに付与される少なくとも1つの第1パラメータのうちの1つが、ピクセル内にある物体の移動状態を示すベクトルであり、
前記第1信頼度が、物体の移動状態を示すベクトルの信頼度を含むことを特徴とする情報処理装置。
【0184】
情報処理装置において、物体の移動状態を示すベクトルが第1パラメータとしてピクセルに付与される場合、第1信頼度は該ベクトルの信頼度を一括して示している。これによって情報処理装置において、前記ベクトルの信頼度を考慮しつつ、ベクトルに関する処理を行うことが可能になる。
【0185】
物体の移動状態を示すベクトルが第1パラメータとしてピクセルに付与される場合、第1信頼度は該ベクトルの信頼度を一括して示している。これによってベクトルの信頼度を考慮した処理が可能になる。
【0186】
(11)前記単一ピクセルに付与される少なくとも1つの第1パラメータのうちの1つが、ピクセル内にある物体の移動状態を示すベクトルであり、
前記第1信頼度が、物体の移動状態を示すベクトルの複数の各成分の信頼度を含むことを特徴とする情報処理装置。
【0187】
情報処理装置において、物体の移動状態を示すベクトルが第1パラメータとしてピクセルに付与される場合、第1信頼度は該ベクトルの成分の信頼度を示している。これによって情報処理装置において、前記成分毎のベクトルの信頼度を考慮しつつ、ベクトルに関する処理を行うことが可能になる。
【0188】
物体の移動状態を示すベクトルが第1パラメータとしてピクセルに付与される場合、第1信頼度は該ベクトルの成分の信頼度を示している、これによって前記成分毎のベクトルの信頼度を考慮した処理が可能になる。
【0189】
(12)前記パラメータ統合手段は、ピクセル毎に、ピクセルに付与された第1信頼度に応じて、該ピクセルに付与された第1パラメータを重付けつつ統合することを特徴とする情報処理装置。
【0190】
情報処理装置において、各ピクセルの第2パラメータの算出時に、第1信頼度が参照される。これによって各ピクセルの第2パラメータの精度が向上する。
【0191】
各ピクセルの第2パラメータの算出時に第1信頼度が参照される。これによって、各ピクセルの第2パラメータの精度が向上する。
【0192】
(13)ピクセル毎に、ピクセルに付与される第1信頼度を統合して、第1信頼度の統合結果を、前記第2パラメータの信頼度である第2信頼度として、該ピクセルに付与する信頼度統合手段をさらに含むことを特徴とする情報処理装置。
【0193】
情報処理装置において、各ピクセルの第2信頼度が算出されている。これによって情報処理装置において、第2信頼度を考慮しつつ、第2パラメータに関する処理を行うことが可能になる。
【0194】
情報処理装置において、各ピクセルの第2信頼度が算出される。これによって、第2信頼度を考慮しつつ、第2パラメータに関する処理を行うことが可能になる。
【0195】
(14)前記単一ピクセルに付与される第2信頼度が、該ピクセルに付与されている全ての各センサ手段に応じた第1信頼度の総和であることを特徴とする情報処理装置。
【0196】
情報処理装置において、第1信頼度だけに基づいて、第2信頼度が求められる。これによって信頼度統合手段は、第2信頼度を簡単な処理によって容易に求めることができる。
【0197】
第1信頼度だけに基づいて、第2信頼度が求められる。これによって第2信頼度は、簡単な処理によって容易に求めることができる。
【0198】
(15)前記センサ手段の周囲の環境を認識する環境認識手段をさらに含み、
前記単一ピクセルに付与される第2信頼度が、該ピクセルに付与される全ての各センサ手段に応じた第1信頼度を該各センサ手段に対する認識された環境の影響に応じた定数によってそれぞれ重付けた値の総和であることを特徴とする情報処理装置。
【0199】
情報処理装置において、第1信頼度と認識された車両周囲の環境とに基づいて、第2信頼度が求められる。これによって信頼度統合手段は、第2信頼度を、車両周囲の最新の環境に応じて求めることができる。
【0200】
第1信頼度とセンサ手段周囲の環境とに基づいて、第2信頼度が求められる。これによって第2信頼度にセンサ手段への環境の影響を考慮して、第2信頼度を求めることができる。
【0201】
(16)前記被検知空間の全ピクセルに付与された第2パラメータから成る統合情報を用いた複数通りの適応業務処理を実行可能な処理実行手段と、
全ての各ピクセルの最新の第2信頼度に基づき、統合情報を用いた全適応業務処理のうち、実行が許容される適応業務処理を選択する処理選択手段とをさらに含み、
処理実行手段は、選択された適応業務処理を実行することを特徴とする情報処理装置。
【0202】
情報処理装置において、第2信頼度に基づいて選択された適応業務処理だけが実行される。これによって処理実行手段において、全センサ手段の現在の検知能力の組合せに応じた適応業務処理の切換えが可能になる。
【0203】
情報処理装置は、統合情報を用いた1種類以上の適応業務処理が可能な処理実行手段をさらに有している。処理実行手段は、第2信頼度に基づいて選択された適応業務処理だけを実行する。これによって処理実行手段において、全センサ手段の現在の検知能力の組合せに応じた適応業務処理の切換えが可能になる。
【0204】
(17)前記適応業務処理毎に、適応業務処理の実行が許容される場合における全ての各ピクセルに付与される第2信頼度の下限値である参照信頼度を記憶している参照信頼度記憶手段をさらに含み、
前記処理選択手段は、前記適応業務処理毎に、ピクセルに付与される最新の第2信頼度と該ピクセルに付与される該適応業務処理に応じた参照信頼度とをピクセル毎に比較し、最新の第2信頼度が該参照信頼度以上である場合、該適応業務処理の実行が許容されると判定することを特徴とする情報処理装置。
【0205】
情報処理装置において、参照信頼度と最新の第2信頼度との比較結果に基いて、選択された適応業務処理が実行される。これによって、適応業務処理の実行に最低限必要な第2信頼度が得られている場合だけ該適応業務処理が実行されるので、実行された適応業務処理の処理精度が向上する。
【0206】
予め定める参照信頼度と最新の第2信頼度との比較結果に基いて、選択された適応業務処理が実行される。これによって、実際に実行された適応業務処理の処理精度が向上する。
【0207】
(18)前記センサ手段が車両に搭載されている場合、
前記処理選択手段は、車両のイグニッションスイッチが導通状態になった時点に、前記適応業務処理の選択を行うことを特徴とする情報処理装置。
【0208】
情報処理装置において、前記処理選択手段は、車両のイグニッションスイッチが導通した時点に、適応業務処理の選択を行う。これによって処理実行手段は、イグニッションスイッチの導通後いつでも、選択結果に応じて適応業務処理を実行することが可能になる。
【0209】
車両のイグニッションスイッチが導通した時点に、適応業務処理が選択される。これによって、イグニッションスイッチの導通後いつでも、適応業務処理が実行可能になる。
【0210】
(19)前記センサ手段の検知能力が変化するたびに、該センサ手段に応じた最新の第1信頼度を、センサ手段毎にそれぞれ導出する第1信頼度導出手段をさらに含み、
前記信頼度統合手段は、少なくとも1つのセンサ手段に応じた第1信頼度が与えられる度に、第1信頼度を統合し、
前記処理選択手段は、少なくとも1つのセンサ手段に応じた第1信頼度が出力される度に、前記適応業務処理を選択することを特徴とする情報処理装置。
【0211】
情報処理装置において、前記処理選択手段は、少なくとも1つのセンサ手段の検知能力が変化した時点に、適応業務処理の選択を行う。これによって処理実行手段は、センサ手段の検知能力が変化するたびに、現在の検知能力に応じて許容される適応業務処理を実行することが可能になる。
【0212】
少なくとも1つのセンサ手段の検知能力が変化した時点に、適応業務処理が選択される。これによって、最新のセンサ手段の検知能力に応じた適応業務処理の実行が可能になる。
【0213】
(20)前記統合情報に基づいて、被検知空間内の物体に関する制御用情報を生成する制御用情報生成手段と、
制御用情報を用いた適応業務処理を実行する処理実行手段とをさらに含み、
前記制御用情報は、処理実行手段が受付可能なパラメータから構成されていることを特徴とする情報処理装置。
【0214】
情報処理装置において、制御用情報生成手段が含まれているので、統合情報の第2パラメータを処理実行手段が受付可能なパラメータと無関係に設定可能である。これによって、処理実行手段が取換えられた場合であっても、パラメータ統合手段における検知情報の統一手順を変更する必要がなくなるので、パラメータ統合手段の汎用性がさらに向上する。
【0215】
情報処理装置は、統合情報に基づき制御用情報を生成する制御用情報生成手段をさらに含んでいる。これによって、パラメータ統合手段の汎用性がさらに向上する。
【0216】
(21)第2パラメータの信頼度である第2信頼度がピクセル毎に定められており、制御用情報が物体の位置を表すパラメータを含む場合、
前記制御用情報生成手段は、第2信頼度が予め定める閾値以上であるピクセルに付与される第2パラメータが該ピクセルに物体が存在することを示す場合、該ピクセルの位置に基づいて被検知空間内の物体の位置を求めることを特徴とする情報処理装置。
【0217】
情報処理装置において、第2パラメータと第2信頼度とに基づいて、制御用情報が求められる。これによって処理実行手段の処理精度が向上する。
【0218】
第2パラメータと第2信頼度とに基づいて、制御用情報が求められる。これによって処理実行手段の処理精度が向上する。
【0219】
(22)前記制御用情報生成手段は、前記第2信頼度が閾値以上であってかつ第2パラメータが物体有りを示すピクセルが2個以上連続している場合、連続している各ピクセルに付与された第2パラメータが相互に類似しているならば、連続している各ピクセルに付与された第2パラメータを統合し、連続したピクセルから成る区域内にある単一物体に関する制御用情報を第2パラメータの統合結果に基づいて生成することを特徴とする情報処理装置。
【0220】
情報処理装置において、物体があると認識された全ピクセルのうち、第2パラメータが相互に類似しておりかつ位置が連続している複数個のピクセルからなる区域内には、単一物体があると認識される。これによって制御用情報生成手段は、複数個のピクセルに跨がって存在する物体に関する制御用情報を1本化することができる。
【0221】
物体があると認識された全ピクセルのうち、第2パラメータが相互に類似しておりかつ位置が連続している複数個のピクセルからなる区域内には、単一物体があると認識される。これによって制御用情報生成手段は、複数個のピクセルに跨がって存在する物体に関する制御用情報を1本化することができる。
【0222】
(23)制御用情報が物体の端の位置を表すパラメータを含む場合、
前記制御用情報生成手段は、前記連続したピクセルから成る区域の最も外側のピクセルの位置を、区域内の物体の端の位置として求めることを特徴とする情報処理装置。
【0223】
情報処理装置の制御用情報生成手段は、複数個のピクセルに跨がって存在する物体の端の位置を、容易に求めることができる。
【0224】
前記区域の端を、該区域内の物体の端とみなす。ゆえに複数個のピクセルに跨がって存在する物体の端の位置が、容易に求められる。
【0225】
(24)制御用情報が物体の移動速度を表すパラメータを含む場合、
前記制御用情報生成手段は、前記連続したピクセルから成る区域内の各ピクセルに付与された第2パラメータによってそれぞれ示される移動速度の平均値を、該区域内の物体の移動速度として求めることを特徴とする情報処理装置。
【0226】
情報処理装置において、複数個の連続する各ピクセルの第2パラメータに基づく移動速度の平均値が、該複数個のピクセルからなる区域内の物体の移動速度であるとみなされる。これによって制御用情報生成手段は、複数個のピクセルに跨がって存在する物体の移動速度を容易に求めることができる。
【0227】
前記区域内の各ピクセルの第2パラメータに基づく移動速度の平均値が、前記区域内の物体の移動速度であるとみなされる。ゆえに複数個のピクセルに跨がって存在する物体の移動速度が容易に求められる。
【0228】
(25)制御用情報が物体の移動速度を表すパラメータを含む場合、
前記制御用情報生成手段は、前記連続したピクセルから成る区域内の全ての各ピクセルに付与された第2パラメータによって示される移動速度のうち、車両と物体とが最も近づくように移動する場合の速度を、該区域内の物体の移動速度のパラメータとして求めることを特徴とする情報処理装置。
【0229】
情報処理装置において、複数個の連続する各ピクセルの第2パラメータに基づく移動速度のうち、車両と物体とが最も近づくように移動する場合の速度が、該複数個のピクセルからなる区域内の物体の移動速度であるとみなされる。このように物体の移動速度が求められるならば、車両と物体との衝突検知が物体の移動速度に基づいて行われる場合、より確実な衝突検知が可能になる。
【0230】
前記区域内の各ピクセルの第2パラメータに基づく移動速度のうち、センサ手段と物体とが最も近づくように移動する場合の速度が、前記区域内の物体の移動速度であるとみなされる。このような制御用情報を用いれば、より確実な衝突検知が可能になる。
【0231】
(26)前記センサ手段が車両に搭載される場合、
前記被検知空間において、車両の位置よりも車両の進行方向前方の部分は、車両の位置よりも車両の進行方向後方の部分よりも広いことを特徴とする情報処理装置。
【0232】
情報処理装置において、ピクセル単位に区分される被検知空間の中心よりも車両進行方向後方に、車両が位置している。これによって、統合情報に基づいて車両が制御される場合、車両がより安全に制御される。
【0233】
ピクセル単位に区分される被検知空間の中心よりも車両進行方向後方に、車両が位置している。これによって、統合情報MD2に基づいて車両が制御される場合、車両がより安全に制御される。
【0234】
(27)予め定める被検知空間内の状況に関する情報である検知情報を取得するセンサ手段から与えられる検知情報に基づいて、前記被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内に存在する物体に関するパラメータである第1パラメータをそれぞれ求め、求められた第1パラメータを該ピクセルに付与するパラメータ変換手段を含むことを特徴とする情報入手装置。
【0235】
情報入手装置において、センサ手段からの情報が、複数個のピクセルに付与されるパラメータによって表される情報に変換される。複数台の情報入手装置から出力される情報規格が、上述のようなピクセルに対応付けられた予め定める種類のパラメータから成る規格に統一されている場合、複数台の情報入手装置から出力される情報の統合が容易になる。
【0236】
(28)予め定める被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内の物体に関するパラメータである第1パラメータからそれぞれ構成される少なくとも1つの変換情報が与えられる情報統合装置において、
与えられた情報毎に、第1パラメータを被検知空間内の各ピクセルに付与してそれぞれ記憶する情報記憶手段と、
ピクセル毎に、ピクセルに付与された第1パラメータを統合し、第1パラメータの統合結果である第2パラメータを該ピクセルに付与するパラメータ統合手段とを含むことを特徴とする情報統合装置。
【0237】
情報統合装置に与えられる情報の規格が、複数個の各ピクセルに付与される予め定める種類のパラメータから成る規格に、共通化されている。これによって、パラメータ統合手段における情報統合のための処理の構成を、センサ手段の組合せに関わらず、共通化することが可能になる。ゆえに情報統合装置の汎用性が向上するので、情報統合装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0238】
(29)予め定める被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内の物体に関するパラメータである第1パラメータから成る情報が与えられる情報統合装置において、
各ピクセルに付与される第1パラメータの予め定める第1信頼度を記憶している第1信頼度記憶手段と、
各ピクセルに付与される第1パラメータを第1信頼度に応じて重付け、重付けられた第1パラメータを該ピクセルに付与する重付け手段とを含むことを特徴とする情報統合装置。
【0239】
情報統合装置に与えられる情報の規格が、複数個の各ピクセルに付与される予め定める種類のパラメータから成る規格に、共通化されている。これによって、重付け手段における情報への重付けのための処理の構成を、センサ手段の組合せに関わらず、単一の手順に共通化することが可能になる。ゆえに情報統合装置の汎用性が向上するので、情報統合装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0240】
(30)予め定める被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内に存在する物体に関するパラメータからなる情報が与えられる制御装置において、
与えられた情報に基づいて、被検知空間内の物体に関する制御用情報を生成する制御用情報生成手段と、
制御用情報を用いた処理を行う処理実行手段とを含み、
前記制御用情報は、処理実行手段が受付可能なパラメータから構成されていることを特徴とする制御装置。
【0241】
制御装置に与えられる情報の規格が、複数個の各ピクセルに付与される予め定める種類のパラメータから成る規格に、共通化されている。共通化された規格の情報を処理実行手段固有の規格の情報に変換する制御用情報生成手段が備えられているので、処理実行手段の処理を入力される情報の規格に合わせる必要がない。これによって、入力される情報規格に関わらず、処理実行手段の処理構成を共通化することが可能なので、制御装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0242】
(31)予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能なセンサ手段と、
前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における前記センサ手段の信頼度を設定する信頼度設定手段とを含むことを特徴とする物体検出装置。
【0243】
物体検出装置は、被検知空間内のすくなくとも一部の空間内の物体検知の他に、被検知空間の各区画におけるセンサ手段の信頼度を設定している。センサ手段における被検知空間の物体検知結果の信頼度情報の規格が、上記の区画単位の信頼度からなる規格に統一されているので、複数台の物体検出装置のセンサ手段の信頼度情報の統合が容易になる。
【0244】
(32)予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能なセンサ手段の、前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における信頼度を統合する信頼度統合手段を含む情報統合装置であって、
前記信頼度統合手段は、複数のセンサ手段それぞれの前記各区画における信頼度を、前記区画毎に統合可能であることを特徴とする情報統合装置。
【0245】
情報統合装置に与えられるセンサ手段の信頼度情報の規格が、複数個の区画における信頼度からなる規格に、共通化されている。これによって、センサ手段の組合わせに関わらず、信頼度統合手段における信頼度の統合のための処理の構成を共通化することが可能になる。ゆえに情報統合装置の汎用性が向上するので、情報統合装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0246】
(33)予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能なセンサ手段から出力される検知情報に基づいて行われる適応業務処理の実行の可否を判断する可否判断手段を含む情報処理装置であって、
前記可否判断手段は、前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における前記センサ手段の信頼度に基づいて、前記適応業務処理の実行の可否を判断することを特徴とする情報処理装置。
【0247】
情報処理装置において、適用業務処理の実行の可否が、被検知空間の各区画におけるセンサ手段の信頼度に基づいて判断されている。これによって、検知情報を情報処理装置に与えるセンサ手段の現在の検知能力に応じた適応業務処理の切換えが、可能になる。
【0248】
(34)予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能な少なくとも1台のセンサ手段から出力される検知情報に基づいて行われる適応業務処理の実行の可否を判断する可否判断手段を含む情報処理装置であって、
前記可否判断手段は、前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における前記センサ手段の信頼度を該区画毎に統合した統合結果に基づいて、前記適応業務処理の実行の可否を判断することを特徴とする情報処理装置。
【0249】
情報処理装置において、適用業務処理の実行の可否が、被検知空間の各区画における複数台の各センサ手段の信頼度の統合結果に基づいて判断されている。これによって、検知情報を情報処理装置に与える複数台のセンサ手段の現在の検知能力の組合わせに応じた適応業務処理の切換えが可能になる。
【0250】
(35)予め定める被検知空間内の状況に関する情報である少なくとも1つの検知情報を処理するための情報処理方法において、
検知情報毎に、検知情報に基づいて、前記被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内の物体に関するパラメータである第1パラメータをそれぞれ求め、求められた第1パラメータを該ピクセルに付与する処理と、
ピクセル毎に、ピクセルに付与された全第1パラメータを統合し、第1パラメータの統合結果である第2パラメータを該ピクセルに付与する処理とを含むことを特徴とする情報処理方法。
【0251】
情報処理方法が用いられる場合、各検知情報の規格が、ピクセルを用いた規格に統一された後に、ピクセル毎にパラメータが統合されている。これによって、検知情報の規格の組合せに関わらず、単一構成のパラメータ統合処理を用いた検知情報の統合が可能になる。
【0252】
情報処理方法において、各検知情報の規格が、ピクセルを用いた規格に統一された後に、ピクセル毎にパラメータが統合されている。これによって、検知情報の規格の組合せに関わらず、単一構成のパラメータ統合処理を用いた検知情報の統合が可能になる。
【符号の説明】
【0253】
1,101 情報処理装置
3,103 情報入手装置
4,104 情報統合装置
5,105 制御装置
11 センサ部
12 パラメータ変換部
13 変換情報メモリ
14 情報精度記憶部
15 パラメータ統合部
17 第1信頼度記憶部
18 第1信頼度導出部
19 信頼度統合部
21 環境認識部
22 処理選択部
23 参照信頼度記憶部
24 制御用情報生成部
25 処理実行部
26 イグニッションスイッチ
27 内燃機関
28 制動機構
29 報知装置
31 被検知空間
DS 検知情報
MD1 変換情報
MD2 統合情報
MT1 第1信頼度情報MT1
MT2 第2信頼度情報MT2
DC 制御用情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定める被検知空間内の状況に関する情報である検知情報を取得するセンサ手段から与えられる検知情報に基づいて、前記被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内に存在する物体に関するパラメータである第1パラメータをそれぞれ求め、求められた第1パラメータを該ピクセルに付与するパラメータ変換手段を含むことを特徴とする情報入手装置。
【請求項2】
予め定める被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内の物体に関するパラメータである第1パラメータから成る情報が与えられる情報統合装置において、
各ピクセルに付与される第1パラメータの予め定める第1信頼度を記憶している第1信頼度記憶手段と、
各ピクセルに付与される第1パラメータを第1信頼度に応じて重付け、重付けられた第1パラメータを該ピクセルに付与する重付け手段とを含むことを特徴とする情報統合装置。
【請求項3】
予め定める被検知空間を区切った区画である複数の各ピクセル内に存在する物体に関するパラメータからなる情報が与えられる制御装置において、
与えられた情報に基づいて、被検知空間内の物体に関する制御用情報を生成する制御用情報生成手段と、
制御用情報を用いた処理を行う処理実行手段とを含み、
前記制御用情報は、処理実行手段が受付可能なパラメータから構成されていることを特徴とする制御装置。
【請求項4】
予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能なセンサ手段と、
前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における前記センサ手段の信頼度を設定する信頼度設定手段とを含むことを特徴とする物体検出装置。
【請求項5】
予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能なセンサ手段の、前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における信頼度を統合する信頼度統合手段を含む情報統合装置であって、
前記信頼度統合手段は、複数のセンサ手段それぞれの前記各区画における信頼度を、前記区画毎に統合可能であることを特徴とする情報統合装置。
【請求項6】
予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能なセンサ手段から出力される検知情報に基づいて行われる適応業務処理の実行の可否を判断する可否判断手段を含む情報処理装置であって、
前記可否判断手段は、前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における前記センサ手段の信頼度に基づいて、前記適応業務処理の実行の可否を判断することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
予め定める被検知空間内の少なくとも一部の空間において物体の存在を検知可能な少なくとも1台のセンサ手段から出力される検知情報に基づいて行われる適応業務処理の実行の可否を判断する可否判断手段を含む情報処理装置であって、
前記可否判断手段は、前記被検知空間を複数の区画に区切った各区画における前記センサ手段の信頼度を該区画毎に統合した統合結果に基づいて、前記適応業務処理の実行の可否を判断することを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−176669(P2010−176669A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13688(P2010−13688)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【分割の表示】特願平11−299853の分割
【原出願日】平成11年10月21日(1999.10.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】