説明

情報提供システム及び情報提供方法

【課題】地域情報の提供。
【解決手段】路線バス200のバスターミナルBTに設置された地域情報配信装置10と、路線バス200に搭載された情報搬送装置20と、路側機30と、路側情報サーバ40と備える地域情報提供システム1では、地域情報配信装置10に記憶された地域情報(提供用地域情報110)が、バスターミナルBTから発車する路線バス200の情報搬送装置20に送信・記憶され、この路線バス200が対象地域内を走行することで情報搬送装置20に記憶された地域情報(搬送用地域情報120)が路側機30に送信され、路側機30から路側情報サーバ40に転送される。そして、路側情報サーバ40では、路側機30それぞれからの地域情報が集約されて各路側機30に配信され、路側機30から一般車両500の車載装置50に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通情報を提供するためのシステムの一つとして、VICS(Vehicle Information and Communication System)が広く知られている。VICSでは、道路管理者や都道府県警察、道路に設置された車両検知器や遠隔操作カメラ等によって収集された車両通行情報を、中央のVICSセンタで編集・処理し、渋滞情報、事故や工事等の交通障害、交通規制、駐車場の空き情報といった道路交通情報を、光ビーコンや電波ビーコン、FM多重放送によって提供している。
【0003】
一方、情報を集約するための中央センタを設けない他の交通情報提供システムとして、道路に沿って設置された複数の路側機器と車両との間で無線通信を可能に構成し、交通事故が発生した場合に、各路側機がその事故についての情報を車両に配信するか否かを自律的に判断して、車両に情報を提供するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−49988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のVICSは全国を対象としたサービスであり、VISCにより提供される渋滞情報は、高速道路及び主要一般道(国道等)の現在(より正確には、数分〜数十分前)の情報である。このため、主要道路とみなされていない県道や市道等の情報は提供されず、各地域の開催イベント等に応じた通行規制や渋滞予想といった地域特有の将来の情報が提供されることもない、本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、一定の地域における有用な情報の提供を更なる目的として成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、
所定の近距離無線通信が可能な情報搬送装置と、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置に情報を記憶させる記憶制御装置と、通過車両に搭載された車載装置と無線通信を行うとともに、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置と通信可能な複数の路側機と、前記路側機それぞれと通信可能なサーバと、を備える情報提供システムであって、
前記記憶制御装置は、路線バスのバスターミナルに設置されており、
前記情報搬送装置は、前記路線バスに搭載されており、
前記路側機は、前記バスターミナルから離隔した前記路線バスが通行する所定地域の路側に設置されており、
前記記憶制御装置は、
前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って前記所定地域の通行車両に向けた地域情報を前記情報搬送装置に記憶させる地域情報記憶制御手段、
を有し、
前記情報搬送装置は、
前記記憶制御装置から受信した地域情報を更新記憶する搬送情報記憶手段と、
前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記路側機と無線通信を行って、前記搬送情報記憶手段に記憶されている地域情報を送信する送信手段と、
を有し、
前記路側機は、
前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と無線通信を行って、前記情報搬送装置から地域情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された地域情報を前記サーバに転送する転送手段と、
を有し、
前記サーバは、
前記路側機から転送された地域情報を集約する集約手段と、
前記集約手段に集約された地域情報を前記路側機それぞれに配信する配信手段と、
を有し、
前記路側機は、更に、
前記サーバから配信された地域情報を、当該路側機が設置された路側を通過する通過車両に搭載された前記車載装置に提供する提供手段、
を有し、
情報提供システムである。
【0006】
また、他の発明として、
所定の近距離無線通信が可能な情報搬送装置と、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置に情報を記憶させる記憶制御装置と、通過車両に搭載された車載装置と無線通信を行うとともに、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置と通信可能な複数の路側機と、前記路側機それぞれと通信可能なサーバと、を備える情報提供システムによる情報提供方法であって、
前記記憶制御装置を路線バスのバスターミナルに設置し、
前記情報搬送装置を前記路線バスに搭載し、
前記路側機を前記バスターミナルから離隔した前記路線バスが通行する所定地域の路側に設置し、
更に、
前記記憶制御装置が、前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って前記所定地域の通行車両に向けた地域情報を前記情報搬送装置に記憶させ、
前記情報搬送装置が、前記記憶制御装置から受信した地域情報を更新記憶するとともに、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記路側機と無線通信を行って、記憶している地域情報を送信し、
前記路側機が、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と無線通信を行って、前記情報搬送装置から地域情報を取得して、前記サーバに転送し、
前記サーバが、前記路側機から転送された地域情報を集約するとともに、集約した地域情報を前記路側機それぞれに配信し、
前記路側機が、前記サーバから配信された地域情報を、当該路側機が設置された路側を通過する通過車両に搭載された前記車載装置に提供する、
情報提供方法を構成しても良い。
【0007】
この第1の発明等によれば、路線バスのバスターミナルに設置された記憶制御装置によって、所定地域内の通行車両に向けた地域情報が路線バスに搭載された情報搬送装置に記憶され、この路線バスが地域内を走行することで情報搬送装置に記憶された地域情報が路側機に送信され、路側機からサーバに転送される。そして、サーバにおいて、各路側機からの地域情報が集約されて路側機それぞれに配信され、路側機から通過車両の車載装置に提供される。つまり、所定地域内を、情報搬送装置を搭載した路線バスが通行することで、該路線バスの情報搬送装置に記憶されている地域情報が、該地域内を走行する車両の車載装置に提供される。従って、路線バスのバスターミナルに設置された記憶制御装置に、例えば当該地域内の開催イベントの情報や渋滞予想等の地域情報を記憶させておくことで、路線バスの情報搬送装置、路側機及びサーバを介して、地域内を走行する車両の車載装置に提供することができる。更に、記憶制御装置が記憶させる情報を適宜更新することで、提供する情報を簡単に更新・追加することが可能となる。
【0008】
第2の発明は、
所定の近距離無線通信が可能な情報搬送装置と、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置に情報を記憶させる記憶制御装置と、通過車両に搭載された車載装置と無線通信を行うとともに、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置と通信可能な複数の路側機と、を備える情報提供システムであって、
前記記憶制御装置は、路線バスのバスターミナルに設置されており、
前記情報搬送装置は、前記路線バスに搭載されており、
前記路側機は、前記バスターミナルから離隔した前記路線バスが通行する所定地域の路側に設置されており、
前記記憶制御装置は、
路線バスの路線別に異なる地域情報を記憶する路線別情報記憶手段と、
前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って、当該情報搬送装置が搭載された路線バスの路線に対応する地域情報を前記路線別情報記憶手段から読み出して前記情報搬送装置に記憶させる地域情報記憶制御手段と、
を有し、
前記情報搬送装置は、
前記記憶制御装置から受信した地域情報を更新記憶する搬送情報記憶手段と、
前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記路側機と無線通信を行って、前記搬送情報記憶手段に記憶されている地域情報を送信する送信手段と、
を有し、
前記路側機は、
前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と無線通信を行って、前記情報搬送装置から地域情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された地域情報を路線バスの路線別に更新記憶する取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶された路線別の地域情報を集約して、当該路側機が設置された路側を通過する通過車両に搭載された前記車載装置に提供する提供手段と、
を有する、
情報提供システムである。
【0009】
また、他の発明として、
所定の近距離無線通信が可能な情報搬送装置と、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置に情報を記憶させる記憶制御装置と、通過車両に搭載された車載装置と無線通信を行うとともに、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置と通信可能な複数の路側機と、を備える情報提供システムによる情報提供方法であって、
前記記憶制御装置を路線バスのバスターミナルに設置し、
前記情報搬送装置を前記路線バスに搭載し、
前記路側機を前記バスターミナルから離隔した前記路線バスが通行する所定地域の路側に設置し、
更に、
前記記憶制御装置が、前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って、当該情報搬送装置が搭載された路線バスの路線に対応する地域情報を、路線バスの路線別に異なる地域情報の中から選択して前記情報搬送装置に記憶させ、
前記情報搬送装置が、前記記憶制御装置から受信した地域情報を更新記憶するとともに、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記路側機と無線通信を行って、記憶している地域情報を送信し、
前記路側機が、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と無線通信を行って、前記情報搬送装置から地域情報を取得して、路線バスの路線別に更新記憶するとともに、記憶している路線別の地域情報を集約して、当該路側機が設置された路側を通過する通過車両に搭載された前記車載装置に提供する、
情報提供方法を構成しても良い。
【0010】
この第2の発明等によれば、路線バスのバスターミナルに設置された記憶制御装置によって、路線バスに搭載される情報搬送装置に、該路線バスの路線に対応する地域情報が記憶され、この路線バスが走行することで情報搬送装置に記憶された地域情報が路側機に送信される。そして、路側機において路線別の地域情報が集約されて、通過車両の車載装置に提供される。つまり、情報搬送装置を搭載した路線バスが走行することで、この路線バスの路線に対応する地域情報が該路線の路側機に送信され、路側機から通過車両の車載装置に提供される。このため、路線バスの路線地域に対して、有用且つきめ細かな地域情報を提供することが可能となる。また、記憶制御装置に、例えば当該地域内の開催イベントの情報や渋滞予想等の路線別の地域情報を記憶させておくことで、路線バスの情報搬送装置及び路側機を介して、各路線地域内を走行する車両の車載装置に該路線地域に対応する地域情報を提供することができる。更に、記憶制御装置が記憶させる情報を適宜更新することで、提供する情報を簡単に更新・追加することが可能となる。
【0011】
第3の発明として、第1又は第2の発明の情報提供システムにおいて、
路側又は路上に置かれ、臨時或いは緊急時の交通規制を報知する交通規制報知機材であって、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って、当該交通規制の交通規制情報を前記情報搬送装置に追加記憶させる追加記憶制御手段を備えた交通規制報知機材を更に具備し、
前記情報搬送装置の前記搬送情報記憶手段は、前記交通規制報知機材から受信した交通規制情報を地域情報として追加記憶する、
情報提供システムを構成しても良い。
【0012】
この第3の発明によれば、路側又は路上に置かれた交通規制報知機材から送信される交通規制情報が、情報搬送装置に記憶されている地域情報に追加される。つまり、予め記憶制御装置によって記憶された地域情報に、交通規制報知機材からの交通規制情報が追加された情報が、地域情報として路側機に送信される。このため、臨時或いは緊急に交通規制が発生したとしても、本発明の交通規制報知機材を設置することで、交通規制の情報が速やかに提供されることになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、路線バスのバスターミナルに設置された記憶制御装置によって、所定地域内の通行車両に向けた地域情報が路線バスに搭載された情報搬送装置に記憶され、この路線バスが地域内を走行することで情報搬送装置に記憶された地域情報が路側機に送信され、路側機からサーバに転送される。そして、サーバにおいて、各路側機からの地域情報が集約されて路側機それぞれに配信され、路側機から通過車両の車載装置に提供される。つまり、所定地域内を、情報搬送装置を搭載した路線バスが通行することで、該路線バスの情報搬送装置に記憶されている地域情報が、該地域内を走行する車両の車載装置に提供される。従って、路線バスのバスターミナルに設置された記憶制御装置に、例えば、当該地域内の開催イベントの情報や渋滞予想等の地域情報を記憶させておくことで、路線バスの情報搬送装置、路側機及びサーバを介して、地域内を走行する車両の車載装置に提供することができる。更に、記憶制御装置が記憶させる情報を適宜更新することで、提供する情報を簡単に更新・追加することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0015】
[構成]
図1は、本実施形態の地域情報提供システム1の構成図である。この地域情報提供システム1は、例えば市町村内といった特定の対象地域内の車両に対して、該対象地域内の地域情報を提供するためのシステムである。ここで提供される「地域情報」は、主に、該地域内の走行車両に向けた交通に関する情報であり、例えば対象地域内の工事の実施予定や、工事に伴う車線減少や速度規制といった交通規制の情報のほか、該地域内で開催されるお祭りといった地域イベントの情報も含まれる。
【0016】
地域情報提供システム1は、記憶制御装置である地域情報配信装置10と、路線バス200に搭載された情報搬送装置20と、対象地域内の路側に設置された複数の路側機30と、路側情報サーバ40とを備えて構成される。路側情報サーバ40と各路側機30との間は、例えば特定小電力無線通信を用いた無線通信ネットワークが形成され、互いに通信可能となっている。
【0017】
地域情報配信装置10は、路線バス200のバスターミナル(バスセンター)BTに設置される。ここで、バスターミナルBTとは、例えば鉄道駅前に設けられる複数のバス路線の発着所となる施設のことであるが、回送バスが保管されるバス車庫としても良い。また、このバスターミナルBTは、地域情報提供システム1の対象地域内に設けられていなくとも良い。地域情報配信装置10は、対象地域内の車両に提供するための地域情報を記憶している。記憶される地域情報の内容は、例えばVICSセンタからの受信データや、管理者による入力データに基づいて適宜更新される。また、地域情報配信装置10は、バスターミナルBTの出口に設けられたDSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域無線通信)アンテナ12aを有し、バスターミナルBTを出発する路線バス200がDSRC通信エリア12bを通過する際に、その路線バス200に搭載されている情報搬送装置20とDSRC通信を行って、記憶している地域情報を情報搬送装置20へ送信する。
【0018】
情報搬送装置20は、路線バス200に搭載されており、路線バス200がバスターミナルBTから出発するときに、地域情報配信装置10から受信した地域情報を搬送用の地域情報として記憶する。そして、路線バス200の運行中は、路側機30を通過するときに、記憶している搬送用の地域情報をその路側機30に送信する。
【0019】
路側機30は、路線バス200の通行経路を含む対象地域内の路側に設置される。路側機30は、路側情報サーバ40から受信した地域情報を、配信用の地域情報として記憶する。また、路側機30は、DSRCアンテナ33aを有し、そのDSRC通信エリア33bを通過した車両との間でDSRC通信を行う。すなわち、DSRC通信エリア33b内を路線バス200が通過すると、その路線バス200に搭載されている情報搬送装置20から送信される地域情報を受信し、受信した地域情報を路側情報サーバ40に送信(転送)する。また、DSRC通信エリア33b内を路線バス200以外の一般車両500が通過すると、その一般車両500に搭載されている車載装置に、記憶している配信用の地域情報を送信する。すると、その車載装置では、受信した地域情報に基づく報知(例えば、画面表示や音声出力等)が行われる。
【0020】
路側情報サーバ40は、路側機30それぞれから受信した地域情報を集約し、集約した地域情報を各路側機30に配信する。
【0021】
図2は、地域情報提供システム1の機能構成図である。同図によれば、地域情報配信装置10は、制御部11と、DSRC無線部12と、入力部13と、通信部14と、記憶部15とを有する。
【0022】
制御部11は、CPU等の演算処理装置で実現され、記憶部15に記憶されているプログラムやデータ等に基づいて、地域情報配信装置10の全体制御処理を含む各種の処理を行う。具体的には、入力部13からの入力データや、通信部14を介して取得したデータ等に基づいて、記憶部15に記憶している提供用地域情報110を更新する。また、自装置のDSRC通信エリア12b内に路線バス200が通過すると、その路線バス200の情報搬送装置20に、記憶している提供用地域情報110を送信する。
【0023】
DSRC無線部12は、バスターミナルBTの出口や路線バスの停止位置付近に設置されたDSRCアンテナ12aを有し、そのDSRC通信エリア12bを通過する路線バス200の情報搬送装置20との間で、DSRC方式の無線通信を行う。
【0024】
入力部13は、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置で実現され、管理者の操作に応じた操作信号を制御部11に出力する。通信部14は、例えば無線通信モジュールやルータ、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等の通信装置で実現され、外部装置(例えば、管理者サーバ)との間でデータ通信を行う。
【0025】
記憶部15は、制御部11が地域情報配信装置10を統合的に制御するためのシステムプログラムや、各種機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶するとともに、制御部11の作業領域として用いられ、制御部11が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に格納する。この機能は、例えば各種ICメモリやハードディスク、ROM、RAM等の記憶装置で実現される。本実施形態では、記憶部15には、提供用地域情報110が記憶される。
【0026】
情報搬送装置20は、制御部21と、DSRC無線部22と、記憶部23とを有し、路線バス200に搭載される。
【0027】
制御部21は、路線バス200がバスターミナルBTからの出発時や停止位置での停車時に、地域情報配信装置10のDSRC通信エリア12bを通過すると、地域情報配信装置10から送信される地域情報を受信し、受信した地域情報を搬送用地域情報120として記憶する。また、路側機30のDSRC通信エリア33bの通過時には、その路側機30との間でDSRC通信を行って、記憶している搬送用地域情報120を送信する。
【0028】
路側機30は、制御部31と、路側情報サーバ40との間で通信を行う通信部32と、DSRC無線部33と、記憶部34とを有する。
【0029】
制御部31は、自機のDSRC通信エリア33bを路線バス200が通過すると、その路線バス200の情報搬送装置20から送信される地域情報を受信し、受信した地域情報を路側情報サーバ40に送信する。また、路側情報サーバ40から地域情報を受信すると、受信した地域情報を最新の情報として記憶部34の配信用地域情報130を更新する。そして、DSRC通信エリア33bを一般車両が通過すると、その一般車両の車載装置50とDSRC通信を行って、記憶している配信用地域情報130を送信する。
【0030】
DSRC無線部33は、路側に設置されたDSRCアンテナ33aを有し、そのDSRC通信エリア33b内を通過する車両との間で、DSRC方式の無線通信を行う。
【0031】
路側情報サーバ40は、制御部41と、路側機30との間で通信を行うための通信部42と、記憶部43とを有する。
【0032】
制御部41は、路側機30それぞれから受信した地域情報を集約した集約地域情報140を生成する。すなわち、路側機30から地域情報を受信すると、受信した地域情報をもとに、記憶部43の集約地域情報140を更新する。そして、所定タイミング(例えば、所定時間間隔や集約地域情報140の更新毎)で、集約地域情報140を各路側機30に配信する。
【0033】
車載装置50は、制御部51と、DSRC無線部52と、表示部53と、音声出力部54と、記憶部55とを有し、路線バス200以外の一般車両500に搭載される。
【0034】
制御部51は、路側機30のDSRC通信エリア33bを通過時に、該路側機30から送信される地域情報を受信し、受信した地域情報を取得地域情報150として記憶する。そして、取得地域情報150に基づく所定の報知を行う。例えば、取得地域情報150の内容をテキスト或いは図で示した報知画面を表示部53に表示させたり、取得地域情報150の内容を読み上げる報知音声を音声出力部54から出力させる。
【0035】
表示部53は、例えばLCD等の表示装置で実現され、制御部51の制御に従って、取得地域情報150に基づく所定の報知画面を表示する。音声出力部54は、例えばスピーカ等の音声出力装置で実現され、制御部51の制御に従って、取得地域情報150に基づく所定の報知音声を出力する。
【0036】
[処理の流れ]
図3は、地域情報提供処理の流れを説明するフローチャートである。同図において、左側は路側機30における処理であり、右側は路側情報サーバ40における処理である。
【0037】
同図によれば、路側機30では、自機のDSRC通信エリア33b内を路線バス200が通過すると(ステップA1:YES)、その路線バス200の情報搬送装置20から送信される地域情報を受信し(ステップA3)、続いて、受信した地域情報を、路側情報サーバ40に送信する(ステップA5)。すると、路側情報サーバ40では、路側機30から受信した地域情報をもとに、集約地域情報140を更新する(ステップB1)。そして、更新後の集約地域情報140を、各路側機30に配信する(ステップB3)。すると、路側機30では、路側情報サーバ40から受信した地域情報を、最新の情報として配信用地域情報130を更新する(ステップA7)。
【0038】
また、路側機30では、DSRC通信エリア33b内を一般車両500が通過すると(ステップA11:YES)、その一般車両500の車載装置50に、記憶している配信用地域情報130を送信する(ステップA13)。
【0039】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、路線バス200のバスターミナルBTに設置された地域情報配信装置10と、路線バス200に搭載された情報搬送装置20と、路側機30と、路側情報サーバ40と備える地域情報提供システム1では、地域情報配信装置10に記憶された地域情報(提供用地域情報110)が、バスターミナルBTから発車する路線バス200の情報搬送装置20に送信・記憶され、この路線バス200が対象地域内を走行することで情報搬送装置20に記憶された地域情報(搬送用地域情報120)が路側機30に送信され、路側機30から路側情報サーバ40に転送される。そして、路側情報サーバ40では、路側機30それぞれからの地域情報が集約されて各路側機30に配信され、路側機30から一般車両500の車載装置50に送信される。つまり、所定地域内を、情報搬送装置20を搭載した路線バス200が走行することで、該路線バス200の情報搬送装置20に記憶されている地域情報(搬送用地域情報120)が、該地域内の車両の車載装置50に提供される。従って、路線バス200のバスターミナルBTに設置された地域情報配信装置10に、例えば、対象地域内の開催イベントや渋滞予想等の地域情報(提供用地域情報110)を記憶させておくことで、路線バス200の情報搬送装置20、路側機30及び路側情報サーバ40を介して、地域内を走行する一般車両500の車載装置50に提供することができる。更に、地域情報配信装置10に記憶される地域情報(提供用地域情報110)を適宜更新することで、提供する情報を簡単に更新・追加することが可能となる。
【0040】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0041】
(A)地域情報への情報の追加
例えば、路線バス200が対象地域内を走行中に取得した情報が、情報搬送装置20に記憶している地域情報(搬送用地域情報120)に追加されることとしても良い。
【0042】
具体的には、対象地域内に、情報搬送装置20との間で近距離無線通信(例えば、DSRC通信)が可能な情報追加装置を配置する。この情報追加装置としては、例えば、交通事故の発生時や道路工事の際に、臨時に路側又は路上に置かれる交通規制報知機材としても良い。具体的には、交通規制報知機材は、車線減少や通行止め、速度規制といった交通規制の内容を、文字や図柄等によって報知する交通規制看板や、この先工事中といった工事予告看板等の看板に、小型の電子機器を取り付けて構成される。この電子機器は、管理者等が該看板に対応する交通規制の情報を入力する入力部や、入力された交通規制の情報を記憶する記憶部、入力部からの入力データをもとに、交通規制情報を記憶部に記憶・更新させたり、記憶されている交通規制の情報を、近傍を通過した路線バス20の情報搬送装置200に送信させる等の制御を行う制御部、情報搬送装置との間で近距離無線通信(例えば、DSRC通信)を行う無線通信部を有している。
【0043】
そして、情報追加装置は、該装置に定められた情報(例えば、交通規制報知機材ならば交通規制についての情報)を、追加情報として、通過する路線バス200の情報搬送装置20に送信する。すると、情報搬送装置20では、情報追加装置から受信した情報を、追加情報として、記憶している搬送用地域情報120に追加する。つまり、路線バス200の情報搬送装置20からは、追加情報が付加された地域情報が路側機30に送信されることになる。これにより、対象地域内の走行車両の車載装置50に、速やかに、追加情報を含めた地域情報を提供することが可能となる。
【0044】
なお、情報追加装置は上述の交通規制報知機材に限らず、例えば、スーパー等の店舗の店頭に設置されて該店舗の売り出しの情報を提供する装置としても良いし、設置地点の気温や湿度、雨量、風速等の気象情報を提供する装置としても良い。
【0045】
(B)路線別の地域情報
また、路線バス200の路線毎に異なる地域情報を提供することにしても良い。すなわち、地域情報配信装置10において、対象地域内を運行する複数のバス路線それぞれに応じた地域情報(路線別地域情報)を記憶する。路線別地域情報は、主に、対応するバス路線に沿った地域を重点的に含む情報である。
【0046】
図4に、地域情報配信装置10に記憶される提供用地域情報110のデータ構成の一例を示す。同図によれば、提供用地域情報110は、対象地域内を運行する複数のバス路線それぞれについての路線別地域情報112を格納している。
【0047】
そして、地域情報配信装置10は、DSRC通信エリア12bを通過する該路線バス200の情報搬送装置20に、提供用地域情報110を構成する路線別地域情報112のうち、該路線バス200の路線に対応する路線別地域情報112を送信して記憶させる。
【0048】
更にこの場合、路側情報サーバ40を設けなくとも良い。すなわち、路側機30は、自機のDSRC通信エリア33bを通過する路線バス200の情報搬送装置20から、該路線バス200の路線に対応する路線別地域情報112を受信する。そして、各路線バスの情報搬送装置20から受信した路線別地域情報112を集約して、配信用地域情報130とする。すなわち、情報搬送装置20から路線別地域情報を受信すると、受信した路線別地域情報を該当する路線についての最新の情報として、配信用地域情報130を更新する。これは、対象地域内において複数のバス路線が運行されているため、路側機30それぞれが、異なる複数の路線についての路線別地域情報112を受信するからである。そして、この配信用地域情報130を、自機のDSRC通信エリア33bを通過した一般車両500の車載装置50に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】地域情報提供システムの配置構成図。
【図2】地域情報提供システムの機能構成図。
【図3】地域情報提供処理のフローチャート。
【図4】複数の路線別地域情報から成る提供用地域情報のデータ構成例。
【符号の説明】
【0050】
1 地域情報提供システム
10 地域情報配信装置
20 情報搬送装置、200 路線バス
30 路側機
40 路側情報サーバ
50 車載装置、500 一般車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の近距離無線通信が可能な情報搬送装置と、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置に情報を記憶させる記憶制御装置と、通過車両に搭載された車載装置と無線通信を行うとともに、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置と通信可能な複数の路側機と、前記路側機それぞれと通信可能なサーバと、を備える情報提供システムであって、
前記記憶制御装置は、路線バスのバスターミナルに設置されており、
前記情報搬送装置は、前記路線バスに搭載されており、
前記路側機は、前記バスターミナルから離隔した前記路線バスが通行する所定地域の路側に設置されており、
前記記憶制御装置は、
前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って前記所定地域の通行車両に向けた地域情報を前記情報搬送装置に記憶させる地域情報記憶制御手段、
を有し、
前記情報搬送装置は、
前記記憶制御装置から受信した地域情報を更新記憶する搬送情報記憶手段と、
前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記路側機と無線通信を行って、前記搬送情報記憶手段に記憶されている地域情報を送信する送信手段と、
を有し、
前記路側機は、
前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と無線通信を行って、前記情報搬送装置から地域情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された地域情報を前記サーバに転送する転送手段と、
を有し、
前記サーバは、
前記路側機から転送された地域情報を集約する集約手段と、
前記集約手段に集約された地域情報を前記路側機それぞれに配信する配信手段と、
を有し、
前記路側機は、更に、
前記サーバから配信された地域情報を、当該路側機が設置された路側を通過する通過車両に搭載された前記車載装置に提供する提供手段、
を有し、
情報提供システム。
【請求項2】
所定の近距離無線通信が可能な情報搬送装置と、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置に情報を記憶させる記憶制御装置と、通過車両に搭載された車載装置と無線通信を行うとともに、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置と通信可能な複数の路側機と、を備える情報提供システムであって、
前記記憶制御装置は、路線バスのバスターミナルに設置されており、
前記情報搬送装置は、前記路線バスに搭載されており、
前記路側機は、前記バスターミナルから離隔した前記路線バスが通行する所定地域の路側に設置されており、
前記記憶制御装置は、
路線バスの路線別に異なる地域情報を記憶する路線別情報記憶手段と、
前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って、当該情報搬送装置が搭載された路線バスの路線に対応する地域情報を前記路線別情報記憶手段から読み出して前記情報搬送装置に記憶させる地域情報記憶制御手段と、
を有し、
前記情報搬送装置は、
前記記憶制御装置から受信した地域情報を更新記憶する搬送情報記憶手段と、
前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記路側機と無線通信を行って、前記搬送情報記憶手段に記憶されている地域情報を送信する送信手段と、
を有し、
前記路側機は、
前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と無線通信を行って、前記情報搬送装置から地域情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された地域情報を路線バスの路線別に更新記憶する取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶された路線別の地域情報を集約して、当該路側機が設置された路側を通過する通過車両に搭載された前記車載装置に提供する提供手段と、
を有する、
情報提供システム。
【請求項3】
路側又は路上に置かれ、臨時或いは緊急時の交通規制を報知する交通規制報知機材であって、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って、当該交通規制の交通規制情報を前記情報搬送装置に追加記憶させる追加記憶制御手段を備えた交通規制報知機材を更に具備し、
前記情報搬送装置の前記搬送情報記憶手段は、前記交通規制報知機材から受信した交通規制情報を地域情報として追加記憶する、
請求項1又は2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
所定の近距離無線通信が可能な情報搬送装置と、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置に情報を記憶させる記憶制御装置と、通過車両に搭載された車載装置と無線通信を行うとともに、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置と通信可能な複数の路側機と、前記路側機それぞれと通信可能なサーバと、を備える情報提供システムによる情報提供方法であって、
前記記憶制御装置を路線バスのバスターミナルに設置し、
前記情報搬送装置を前記路線バスに搭載し、
前記路側機を前記バスターミナルから離隔した前記路線バスが通行する所定地域の路側に設置し、
更に、
前記記憶制御装置が、前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って前記所定地域の通行車両に向けた地域情報を前記情報搬送装置に記憶させ、
前記情報搬送装置が、前記記憶制御装置から受信した地域情報を更新記憶するとともに、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記路側機と無線通信を行って、記憶している地域情報を送信し、
前記路側機が、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と無線通信を行って、前記情報搬送装置から地域情報を取得して、前記サーバに転送し、
前記サーバが、前記路側機から転送された地域情報を集約するとともに、集約した地域情報を前記路側機それぞれに配信し、
前記路側機が、前記サーバから配信された地域情報を、当該路側機が設置された路側を通過する通過車両に搭載された前記車載装置に提供する、
情報提供方法。
【請求項5】
所定の近距離無線通信が可能な情報搬送装置と、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置に情報を記憶させる記憶制御装置と、通過車両に搭載された車載装置と無線通信を行うとともに、前記近距離無線通信を行って前記情報搬送装置と通信可能な複数の路側機と、を備える情報提供システムによる情報提供方法であって、
前記記憶制御装置を路線バスのバスターミナルに設置し、
前記情報搬送装置を前記路線バスに搭載し、
前記路側機を前記バスターミナルから離隔した前記路線バスが通行する所定地域の路側に設置し、
更に、
前記記憶制御装置が、前記情報搬送装置と前記近距離無線通信を行って、当該情報搬送装置が搭載された路線バスの路線に対応する地域情報を、路線バスの路線別に異なる地域情報の中から選択して前記情報搬送装置に記憶させ、
前記情報搬送装置が、前記記憶制御装置から受信した地域情報を更新記憶するとともに、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記路側機と無線通信を行って、記憶している地域情報を送信し、
前記路側機が、前記近距離無線通信の通信圏内に位置した前記情報搬送装置と無線通信を行って、前記情報搬送装置から地域情報を取得して、路線バスの路線別に更新記憶するとともに、記憶している路線別の地域情報を集約して、当該路側機が設置された路側を通過する通過車両に搭載された前記車載装置に提供する、
情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−61336(P2010−61336A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225544(P2008−225544)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】