情報提供装置、情報提供方法、プログラムおよび情報提供システム
【課題】 車両運転中のユーザの複数のワークロードを考慮した適切な情報提供を行うことのできる情報提供装置を提供する。
【解決手段】 情報提供装置1は、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、車両運転中のユーザの寄与行動からワークロード値を算出するための定量化モデルが予め記憶されているモデルDB2を備えている。この情報提供装置1は、複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから寄与行動に関するデータを取得し、定量化モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからユーザのワークロード値を推定する。そして、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて、車両運転中のユーザに対する情報提供の制御が行われる。
【解決手段】 情報提供装置1は、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、車両運転中のユーザの寄与行動からワークロード値を算出するための定量化モデルが予め記憶されているモデルDB2を備えている。この情報提供装置1は、複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから寄与行動に関するデータを取得し、定量化モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからユーザのワークロード値を推定する。そして、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて、車両運転中のユーザに対する情報提供の制御が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転中のユーザのワークロードに応じて情報提供の制御を行う機能を備えた情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両運転中のユーザに情報提供を行うシステムとして、ドライバ能力向上のためのシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。この従来のシステムでは、車両運転手(ユーザ)を監視して、車両運転手の状態に関する運転手状態データを取得し、ドライバの認知負荷の推定が行われる。そして、そのドライバの認知負荷に基づいて、ドライバへ通知する車両情報の優先付けが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−524203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両運転中のユーザの認知負荷(ワークロード)は、そのワークロードに寄与するユーザの寄与行動の種類に応じて、複数の異なるワークロードに分類される。例えば、車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロード、車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロード、車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロード、車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロード、車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードなどが、複数のワークロードの例として挙げられる。
【0005】
しかしながら、従来のシステムでは、上述のような種々のワークロードを「ドライバの認知負荷」として一まとめに取り扱って、ドライバの認知負荷の推定やそのドライバへ通知する車両情報の優先付けが行われている。つまり、従来のシステムでは、複数の異なるワークロードごとに、車両運転中のユーザのワークロードに応じた情報提供を行うことが想定されておらず、ユーザに対して適切な情報提供が行われないことがあるという問題がった。
【0006】
例えば、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低い(直進の運転中など)にもかかわらず、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)場合、従来のシステムでは、全体のワークロード(複数の異なるワークロードの合計)がある程度低いときには、ユーザに対して車両情報が通知されてしまう。ところが、この場合、ユーザは、聴覚的ワークロードが高いため、通知された車両情報を聞くことが困難である。このように、従来のシステムでは、車両運転中のユーザの複数のワークロードが考慮されておらず、ユーザに対して適切な情報提供が行われないことがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、車両運転中のユーザの複数のワークロードを考慮した適切な情報提供を行うことのできる情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報提供装置は、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデル記憶手段と、前記複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得するデータ取得手段と、前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定するワークロード推定手段と、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う情報提供制御手段と、を備えている。
【0009】
これにより、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。したがって、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0010】
また、本発明の情報提供装置では、前記正解データは、前記ユーザの寄与行動時の生体信号の記録に基づいて生成されたものであってもよい。
【0011】
これにより、ユーザの生体信号(例えば、瞳孔半径変化速度など)を用いることによって信頼性の高い正解データが得られ、したがって、その正解データに基づく定量化モデルを用いたワークロード値の推定精度が向上する。
【0012】
また、本発明の情報提供装置では、前記正解データは、前記ユーザの寄与行動時の主観評価の記録に基づいて生成されたものであってもよい。
【0013】
これにより、ユーザの主観評価(例えば、NASA−TLXなど)を用いることによって信頼性の高い正解データが得られ、したがって、その正解データに基づく定量化モデルを用いたワークロード値の推定精度が向上する。
【0014】
また、本発明の情報提供装置では、前記定量化モデルは、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザの寄与行動に対する前記ユーザのワークロード値を定式化した定式化モデルを含み、前記定式化モデルで定式化されるワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードと、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードのいずれかが含まれていてもよい。
【0015】
これにより、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードなど)ごとに定式化モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからワークロード値を容易に算出することが可能になる。
【0016】
また、本発明の情報提供装置では、前記定式化モデルで、前記ユーザの走行履歴に基づいて、前記ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した重み付け処理が行われてもよい。
【0017】
これにより、ユーザの車両運転に関する慣れ(例えば、ユーザがいつも走行する経路ではワークロード値が低いなど)を考慮したワークロード値を算出することが可能になる。
【0018】
また、本発明の情報提供装置は、車両運転中に前記正解データの記録を行う正解データ記録手段と、車両運転中に記録した前記正解データを用いて、前記定量化モデルの学習処理を行うモデル学習手段と、を備えてもよい。
【0019】
これにより、ユーザの車両運転中に記録した正解データを用いて定量化モデルの学習が行われ、定量化モデルのユーザ適応が行われる。ユーザ適応した定量化モデルを用いて、そのユーザ用のワークロード値の推定を行うことにより、そのユーザに適した情報提供が行うことが可能になる。
【0020】
また、本発明の情報提供装置では、前記定量化モデルは、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を算出する確率推論モデルを含み、前記確率推論モデルで用いられる前記複数のワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードと、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードのいずれかが含まれていてもよい。
【0021】
これにより、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードなど)ごとに確率推論モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからワークロード値を容易に算出することが可能になる。
【0022】
また、本発明の情報提供装置では、前記車両運転中のユーザに対して提供される情報には、前記複数のワークロードごとに、前記情報をユーザが受け取るために要する消費ワークロード値が設定されており、前記情報提供制御手段は、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値と前記消費ワークロード値の合計が前記ユーザの上限ワークロード値以下となるように、前記車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行ってもよい。
【0023】
これにより、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値と車両運転中のユーザに対して提供される情報の消費ワークロード値の合計が、ユーザの上限ワークロード値を超えないように、ユーザに対する情報提供が適切に行われる。例えば、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低い(直進の運転中など)ものの、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)場合には、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値の高い情報(丁寧な経路案内など)はユーザに提供されない。また、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)ものの、視覚的ワークロードが低い場合には、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が低い情報(文字情報付きの動画など)がユーザに提供される。このようにして、複数のワークロードごとのワークロード値の競合を考慮した適切な情報提供が行われる。
【0024】
また、本発明の情報提供装置では、前記車両運転中のユーザに対する情報提供に、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値の表示が含まれてもよい。
【0025】
これにより、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値が表示されるので、ユーザは自己の各ワークロード値を確認することができる。
【0026】
また、本発明の情報提供装置では、前記車両運転中のユーザに対する情報提供に、前記車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報提供が含まれてもよい。
【0027】
これにより、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値を考慮して、車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報(確認メッセージなど)を提供することが可能になる。
【0028】
また、本発明の情報提供装置では、前記情報提供制御手段は、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値が前記ユーザの下限ワークロード値以下である場合に、前記ワークロードを上昇させる刺激コンテンツ情報を提供するように、前記車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行ってもよい。
【0029】
これにより、車両運転中のユーザのワークロード値が下限ワークロード値以下である場合には、ユーザに刺激コンテンツ情報が提供される。車両運転中のユーザのワークロード値が著しく低い場合には、ユーザの注意力が低下しているおそれがある。そのような場合に、刺激コンテンツ情報を提供することにより、ユーザの注意力を向上することができる。
【0030】
本発明の情報提供方法は、車両運転中のユーザに対して情報を提供する方法であって、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されており、前記方法は、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得することと、前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定することと、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行うことと、を含んでいる。
【0031】
この方法によれば、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。したがって、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0032】
本発明の情報提供プログラムは、車両運転中のユーザに対して情報を提供するためのプログラムであって、メモリには、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されており、前記プログラムは、コンピュータに、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得する処理と、前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定する処理と、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う処理と、を実行させるものである。
【0033】
このプログラムによっても、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。したがって、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0034】
本発明の情報提供システムは、車両に搭載される車載装置と、前記車載装置と通信可能なセンター装置とで構成される情報提供システムであって、前記情報提供システムは、前記車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデル記憶手段と、前記複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得するデータ取得手段と、前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定するワークロード推定手段と、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う情報提供制御手段と、を備え、前記データ取得手段は、前記車載装置に備えられており、前記情報提供制御手段は、前記センター装置に備えられている。
【0035】
このシステムによっても、上記の装置と同様、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。この場合、センター装置において、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合にも、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0036】
また、本発明の情報提供システムでは、前記センター装置は、前記定量化モデルを用いて、前記車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を予測するワークロード予測手段を備え、前記情報提供制御手段は、前記将来のワークロード値に基づいて、前記走行予定経路を走行するときに、前記車両運転中のユーザに対して行われるべき情報提供の制御を行ってもよい。
【0037】
これにより、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を事前に予測することができ、車両がその走行予定経路を走行するときには、その予測した将来のワークロード値に基づいて車両運転中のユーザへの情報提供の制御が適切に行われる。したがって、ワークロード値を推定するために、車両運転中のユーザから寄与行動に関するデータをリアルタイムで取得しなくても、事前に予測した将来のワークロード値に基づいて、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値を推定し、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御を行うことにより、車両運転中のユーザの複数のワークロードを考慮した適切な情報提供を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施の形態における情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ワークロードの推定の一例(定式化モデルを用いた例)を示す説明図である。
【図3】ワークロードの推定の他の例(確率推論モデルを用いた例)を示す説明図である。
【図4】正解データの一例(生体信号指標の正解データ)を示す図である。
【図5】正解データの他の例(主観評価指標の正解データ)を示す図である。
【図6】ユーザに提供される情報の例を示す図である。
【図7】ワークロード値のモニタ表示の一例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態の情報提供装置における情報提供の制御の説明図である。
【図9】第2の実施の形態における情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態における情報提供システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【図11】第3の実施の形態における情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図12】第3の実施の形態における情報提供システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【図13】第4の実施の形態における情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図14】ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。
【図15】ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。
【図16】ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。
【図17】ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。
【図18】第4の実施の形態における情報提供システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【図19】第5の実施の形態における情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図20】第5の実施の形態における情報提供システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態の情報提供装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、車両用のナビゲーション装置等に用いられる情報提供装置の場合を例示する。この情報提供装置は、ユーザに対する情報提供を制御する機能を備えており、この機能は、装置のHDDやメモリ等に格納されたプログラムによって実現されている。
【0041】
まず、本実施の形態の情報提供装置の全体の構成について、図面を用いて説明する。図1は、情報提供装置のブロック図である。図1に示すように、情報提供装置は、車両の運転に関連する複数のワークロードごとにワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデルDB2(データベース)を備えている。定量化モデルは、ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動からワークロード値を算出するためのモデルである。なお、定量化モデルや正解データの詳しい内容については、図面を用いて後述する。
【0042】
また、情報提供装置は、複数のワークロードごとに、車両に搭載された車両センサ3や視線カメラ4や生体センサ5から、車両運転中のユーザの寄与行動に関するデータを取得するデータ取得部6を備えている。
【0043】
(ワークロードの種類)
ここで、車両運転中のユーザのワークロードの種類と、そのワークロードの寄与データについて説明する。車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードが含まれる。例えば、データ取得部6は、運転ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中の舵角データ、車速データ、車間距離データ、アクセル開度率データ、ブレーキ信号データなど)を、車両センサ3から取得する。
【0044】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードが含まれる。データ取得部6は、機器操作ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のナビ操作データ、オーディオ操作データ、エアコン操作データ、窓開閉操作データなど)を、車両センサ3から取得する。
【0045】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードが含まれている。データ取得部6は、聴覚的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中の経路案内やオーディオ再生などに含まれる音声情報データや音楽情報データなど)を、車両センサ3から取得する。
【0046】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードが含まれる。データ取得部6は、視覚的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のユーザの視点移動速度データや視点座標データなど)を、視線カメラ4から取得する。
【0047】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードが含まれる。データ取得部6は、内因的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のユーザの心拍数データ、血圧データ、呼吸回数データなど)を、生体センサ5から取得する。
【0048】
図1に示すように、情報提供装置1は、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロード)ごとに、車両運転中のユーザのワークロード値を推定するワークロード推定部7を備えている。このワークロード推定部7は、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、データ取得部6が取得した車両運転中のユーザの寄与行動のデータから、複数のワークロードごとのワークロード値を推定する。
【0049】
(定量化モデルを用いたワークロードの推定)
ここで、本発明の特徴であるワークロードの推定について、図面を用いて説明する。図2は、本実施の形態におけるワークロードの推定の一例を示す説明図である。ここでは、図2に示すように、定量化モデルの一つとして定式化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う場合を例示して説明する。この定式化には、例えば、線形重回帰分析、主成分分析、因子分析などの統計的手法が用いられる。
【0050】
図2に示すように、運転ワークロードに寄与するデータ(運転WL寄与データ)には、車両運転中の舵角d1(度)、車速d2(km/h)、車間距離d3(m)、アクセル開度率d4(%)、ブレーキ信号d5(ON:1、OFF:0)のデータが含まれる。これらのデータd1〜d5と正解データ(後述する)との関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式1ように運転ワークロード(DWL)の定式化が行われる。
DWL=α(n)×d1/360+β(n)×d2/100+γ(n)/d3
+δ(n)×d4/100+ε×d5 (式1)
【0051】
ここで、α、β、γ、δ、εは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。この慣れ係数は、ユーザの走行履歴に基づいて定められる係数である。重み付け係数αを例示して説明すると、ユーザが初めて車両走行をした場合(n=1)の重み付け係数は、α(1)となり、ユーザが二度目に車両走行した場合(n=2)の重み付け係数は、α(2)となる。つまり、この定式化モデルは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した重み付け処理がなされているともいえる。
【0052】
また、機器操作ワークロードに寄与するデータ(機器操作WL寄与データ)には、車両運転中のナビ操作o1(ハードウェアボタン操作:A1、タッチパネル操作:A2など)、オーディオ操作o2(スキップボタン操作:A3、ボリューム操作:A4など)、エアコン操作o3(操作あり:1、操作なし:0)、窓開閉操作o4(操作あり:1、操作なし:0)のデータが含まれる。これらのデータo1〜o4と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式2ように機器操作ワークロード(OWL)の定式化が行われる。
OWL=α(n)×o1+β(n)×o2
+γ(n)×o3+δ(n)×o4 (式2)
なお、A1〜A4は、それぞれ所定の定数である。また、α、β、γ、δは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0053】
また、聴覚的ワークロードに寄与するデータ(聴覚的WL寄与データ)には、車両運転中の経路案内やオーディオ再生などに含まれる音声情報a1(経路案内:B1、施設情報案内:B2、電話:B3など)、音楽情報a2(クラシック:B4、ロック:B5、お気に入りの曲:B6など)のデータが含まれる。これらのデータa1、a2と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式3ように聴覚的ワークロード(AWL)の定式化が行われる。
AWL=α(n)×a1+β(n)×a2 (式3)
なお、B1〜B6は、それぞれ所定の定数である。また、α、βは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0054】
また、視覚的ワークロードに寄与するデータ(視覚的WL寄与データ)には、車両運転中の視点移動速度v1(mm/秒)、視点座標v2(ルームミラー:C1、サイドミラー:C2、ナビ:C3など)のデータが含まれる。これらのデータv1、v2と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式4ように視覚的ワークロード(VWL)の定式化が行われる。
VWL=α(n)×v1+β(n)×v2 (式4)
なお、C1〜C6は、それぞれ所定の定数である。また、α、βは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0055】
また、内因的ワークロードに寄与するデータ(内因的WL寄与データ)には、車両運転中の心拍数i1(回/分)、血圧i2(mmHg)、呼吸回数i3(回/分)のデータが含まれる。これらのデータi1〜i3と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式5ように内因的ワークロード(IWL)の定式化が行われる。
IWL=α(n)×i1+β(n)×i2+γ(n)×i3 (式5)
なお、α、β、γは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0056】
以上では、定式化モデルを用いたワークロードの推定の例について説明したが、本発明の範囲は、これに限定されるものではない。例えば、図3に示すように、ワークロードの推定には、確率推論モデルが用いられてもよい。
【0057】
確率推論モデルとしては、例えば、ベイジアンネットワークやニューラルネットワーク等が用いられる。例えば、運転ワークロードを例示して具体的に説明すると、この場合には、運転ワークロードに寄与するデータ(運転WL寄与データ)である舵角d1(度)、車速d2(km/h)、車間距離d3(m)、アクセル開度率d4(%)、ブレーキ信号d5(ON:1、OFF:0)のデータを入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として運転ワークロード(DWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0058】
同様に、機器操作ワークロードについては、上述の機器操作WL寄与データ(o1〜o4)を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として機器操作ワークロード(OWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0059】
また、聴覚的ワークロードについては、上述の聴覚的WL寄与データ(a1、a2)を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として聴覚的ワークロード(AWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0060】
また、視覚的ワークロードについては、上述の視覚的WL寄与データ(v1、v2)を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として視覚的ワークロード(VWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0061】
また、内因的ワークロードについては、上述の内因的WL寄与データ(i1〜i3)を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として内因的ワークロード(IWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0062】
なお、定量化モデル(定式化モデルや確率推論モデル)を構築する際には、正解データを利用するとともに、ユーザのプロフィール(年齢、性別、運転暦)などを考慮してもよい。
【0063】
(正解データ)
つぎに、定量化モデルの構築に用いられる正解データについて、図面を参照して説明する。本実施の形態では、二種類の正解データ(生体信号指標と主観評価指標)を利用して、定量化モデルの構築が行われる。なお、定量化モデルの構築は、各ワークロードのモデル化(定量化)ということもできる。
【0064】
図4は、生体信号指標の正解データの一例を示す図である。ここでは、生体信号指標として、瞳孔反応を例示して説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。本発明の生体信号指標には、瞳孔反応のほかに、心拍数変動、呼吸数変動、生体電位変動などが含まれる。
【0065】
一般に、瞳孔が散瞳(瞳孔半径が大きくなる)している場合には、交感神経が刺激され、ユーザは興奮している。逆に、瞳孔が縮瞳(瞳孔半径が小さくなる)している場合には、副交感神経が刺激され、ユーザはリラックスしている。そして、瞳孔反応(瞳孔半径変化速度)が大きいほど、ユーザに加わるワークロードは高く、瞳孔反応が小さいほど、ユーザに加わるワークロードは低い。
【0066】
本実施の形態では、所定の実験コースをユーザが走行したときの車両運転中のユーザの瞳孔反応の時系列のデータを取得し、車両の運転との対応を解析する。例えば、図4の正解データでは、出発時には、瞳孔反応が小さく、左折や右折、すれ違いや追越しなどを行うときに、瞳孔反応が大きくなっている。このような瞳孔反応の正解データから、各ワークロードの寄与行動を行っている部分を抽出して、その部分の瞳孔反応の大きさや変化率等に基づいて、各ワークロードの定式化が行われる。
【0067】
ここで、運転ワークロードの定式化を例にして説明する。例えば、図4の瞳孔反応の正解データから、運転ワークロードの寄与行動を行っている部分(例えば右折の部分)を抽出して、そのときの運転WL寄与データ(舵角信号、車速、車間距離、アクセル開度率、ブレーキ信号のデータ)との関係を統計的手法で導いて、運転ワークロードの定式化が行われる。つまり、この瞳孔反応の正解データに基づいて、運転WL寄与データから運転ワークロードのワークロード値を算出するための定式化モデル(上記の式1)が求められる。
【0068】
以上、瞳孔反応の正解データから運転ワークロードの定式化を行う例について説明した。なお、ここでは説明を省略するが、これと同様にして、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードの定式化が行われる。
【0069】
図5は、主観評価指標の正解データの一例を示す図である。ここでは、主観評価指標として、従前のNASA−TLXを例示して説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。例えば、従前のNASA−TLXの代わりに、映像を見ながら事後的にPC上で主観評価を行う連続的なNASA−TLX(時系列のNASA−TLX)を用いてもよい。本発明の主観評価指標には、NASA−TLXのほかに、SWAT、MCHなどが含まれる。
【0070】
NASA−TLXは、ワークロードをユーザが主観的に定量化する指標であり、一般に、その値が大きいほど、ユーザのワークロードが高く、その値が小さいほど、ユーザのワークロードは低い。
【0071】
本実施の形態では、所定の実験コースをユーザが走行したときの車両運転中のユーザのNASA−TLXの時系列のデータを取得し、車両の運転との対応を解析する。例えば、図5の正解データでは、出発時や左折時や右折時に、NASA−TLXの値が大きく、直進時に、NASA−TLXの値が小さくなっている。このようなNASA−TLXの正解データから、各ワークロードの寄与行動を行っている部分を抽出して、その部分のNASA−TLXの値の大きさや変化率等に基づいて、各ワークロードの定式化が行われる。
【0072】
ここで、運転ワークロードの定式化を例にして説明する。例えば、図5のNASA−TLXの正解データから、運転ワークロードの寄与行動を行っている部分(例えば右折の部分)を抽出して、そのときの運転WL寄与データ(舵角信号、車速、車間距離、アクセル開度率、ブレーキ信号のデータ)との関係を統計的手法で導いて、運転ワークロードの定式化が行われる。つまり、このNASA−TLXの正解データに基づいて、運転WL寄与データから運転ワークロードのワークロード値を算出するための定式化モデル(上記の式1)が求められる。
【0073】
以上、NASA−TLXの正解データから運転ワークロードの定式化を行う例について説明した。なお、ここでは説明を省略するが、これと同様にして、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードの定式化が行われる。
【0074】
図1に戻って、情報提供装置1の構成を説明する。情報提供装置1は、ユーザに対して情報提供する情報(コンテンツ情報ともいう)を記憶している情報DB8を備えている。ここで、情報DB8に記憶されているコンテンツ情報について、図面を用いて詳細に説明する。
【0075】
図6は、情報DB8に記憶されているコンテンツ情報の一例を示した図である。図6に示すように、コンテンツ情報には、音声、音楽、映像などの映像種別があり、それぞれ大分類(経路案内など)と小分類(丁寧な案内や簡単な案内など)に分類されている。そして、それぞれのコンテンツ情報には、複数のワークロードごとに、そのコンテンツ情報をユーザが受け取るために要する消費ワークロード値が設定されている。
【0076】
例えば、図6の例では、丁寧な案内の聴覚的ワークロードの消費ワークロード値は40であり、視覚的ワークロードの消費ワークロード値は0である。また、簡単な案内の聴覚的ワークロードの消費ワークロード値は20であり、視覚的ワークロードの消費ワークロード値は0である。このように、それぞれのコンテンツ情報は、各ワークロードごとに消費ワークロード値が設定されている。
【0077】
また、図6の例では、ロックのお気に入りの曲の聴覚的ワークロードの消費ワークロード値は30である。このような、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が高いコンテンツ情報は、ユーザの聴覚的ワークロードを上昇させる刺激的コンテンツ情報であるともいえる。
【0078】
図1に示すように、情報提供装置1は、車両に搭載されたモニタ9やスピーカ10を制御する機能を備えた情報提供制御部11を備えている。この情報提供制御部11は、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて、情報DB8に記憶されているコンテンツ情報を選択し、モニタ9やスピーカ10から車両運転中のユーザに対して情報提供を行うように情報提供の制御を行う。
【0079】
例えば、情報提供制御部11は、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値とコンテンツ情報の消費ワークロード値の合計が所定の上限ワークロード値(例えば、100)以下となるように、車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行う。また、情報提供制御部11は、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値が所定の下限ワークロード値(例えば10)以下である場合には、そのワークロードを上昇させる刺激コンテンツ情報を提供するように、車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行う。また、情報提供制御部11は、図7に示すように、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値を、モニタ9で表示する機能も備えている。
【0080】
なお、以上では、モデルDB2に予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行う例について説明したが、この情報提供装置1では、定量化モデルの学習を行うことにより、ユーザ適応が行われてもよい。
【0081】
図1に示すように、情報提供装置1は、正解データ記録部12と正解データDB13とモデル学習部14を備えている。正解データ記録部12は、ユーザの車両運転中に正解データの記録を行う機能を備えており、ユーザの車両運転中に記録された正解データは、正解データDB13に記録される。そして、モデル学習部14は、正解データDB13に記録された正解データを用いて、定量化モデルの学習を行う機能を備えている。
【0082】
以上のように構成された情報提供装置1について、図面を用いてその動作を説明する。ここでは、本発明の特徴である情報提供の制御とワークロード値の表示について説明する。
【0083】
図8は、本実施の形態の情報提供装置1で行われる情報提供の制御の説明図である。図8の例では、ユーザが運転する車両が、まず経路に沿って直進し、右折待ちをした後、右折と左折を行い、直進をした後に信号待ちをする場合が例示されている。
【0084】
このような車両の運転が行われる際に、情報提供装置1は、複数のワークロードごとに、ユーザから寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得して、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、ワークロード値の推定を行う。図8では、推定結果としての運転ワークロードと聴覚的ワークロードと視覚的ワークロードが示されている。
【0085】
そして、情報提供装置1では、上記のように複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて情報提供の制御が行われる。例えば、図8の時間Taでは、ユーザの運転ワークロードは低いものの、聴覚的ワークロードは高い。したがって、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値の高い音声や音楽のコンテンツ情報の提供は行われない。ただし、この場合、ユーザの視覚的ワークロードは低い。したがって、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が低く、かつ、視覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い映像のコンテンツ情報(文字情報なしの静止画)の情報提供が行われる。
【0086】
また、図8の時間Tbでは、聴覚的ワークロードは低いものの、ユーザの視覚的ワークロードが高い。したがって、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が高く、かつ、視覚的ワークロードの消費ワークロード値が低い音声映像のコンテンツ情報(簡単な経路案内)の情報提供が行われる。
【0087】
また、図8の時間Tcでは、運転ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロードのいずれも低い。このような場合、ユーザのワークロードを上昇させる刺激コンテンツ情報(ロックのお気に入りの曲)の情報提供が行われる。
【0088】
このような本実施の形態の情報提供装置1によれば、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値を推定し、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御を行うことにより、車両運転中のユーザの複数のワークロードを考慮した適切な情報提供を行うことができる。
【0089】
すなわち、本実施の形態では、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。したがって、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合、モデルDB2に予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0090】
また、本実施の形態では、ユーザの生体信号(例えば、瞳孔半径変化速度など)を用いることによって信頼性の高い正解データが得られ、したがって、その正解データに基づく定量化モデルを用いたワークロード値の推定精度が向上する。
【0091】
また、本実施の形態では、ユーザの主観評価(例えば、NASA−TLXなど)を用いることによって信頼性の高い正解データが得られ、したがって、その正解データに基づく定量化モデルを用いたワークロード値の推定精度が向上する。
【0092】
また、本実施の形態では、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロード)ごとに定式化モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからワークロード値を容易に算出することが可能になる。
【0093】
また、本実施の形態では、定式化モデルにおいてユーザの慣れを考慮した重み付け処理がなされているので、ユーザの車両運転に関する慣れ(例えば、ユーザがいつも走行する経路ではワークロード値が低いなど)を考慮したワークロード値を算出することが可能になる。
【0094】
また、本実施の形態では、ユーザの車両運転中に記録した正解データを用いて定量化モデルの学習が行われ、定量化モデルのユーザ適応が行われる。ユーザ適応した定量化モデルを用いて、そのユーザ用のワークロード値の推定を行うことにより、そのユーザに適した情報提供が行うことが可能になる。
【0095】
また、本実施の形態では、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロード)ごとに確率推論モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからワークロード値を容易に算出することが可能になる。
【0096】
また、本実施の形態では、図7に示すように、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値が表示されるので、ユーザは自己の各ワークロード値を確認することができる。このように、定量化したワークロード値を視覚化することにより、ドライバーや同乗者が、ドライバーのワークロードの状態を把握することができるようになる。
【0097】
そして、本実施の形態では、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値と車両運転中のユーザに対して提供される情報の消費ワークロード値の合計が、ユーザの上限ワークロード値を超えないように、ユーザに対する情報提供が適切に行われる。例えば、図8に示すように、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低い(直進の運転中など)ものの、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)場合には、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値の高い情報(丁寧な経路案内など)はユーザに提供されない。また、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)ものの、視覚的ワークロードが低い場合には、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が低い情報(文字情報付きの動画など)がユーザに提供される。このようにして、複数のワークロードごとのワークロード値の競合を考慮した適切な情報提供が行われる。
【0098】
また、本実施の形態では、車両運転中のユーザのワークロード値が下限ワークロード値以下である場合には、ユーザに刺激コンテンツ情報が提供される。車両運転中のユーザのワークロード値が著しく低い場合には、ユーザの注意力が低下しているおそれがある。そのような場合に、刺激コンテンツ情報を提供することにより、ユーザの注意力を向上することができる。
【0099】
つまり、本実施の形態では、ワークロードが高くなり過ぎないような情報提供の制御だけでなく、ワークロードが長時間にわたって低くなり過ぎることのないような制御が行われる。これにより、長時間にわたってワークロードが低くなり過ぎて眠気を生じることを抑制することができ、快適な運転を行うことができるように適度なワークロードを加えることが可能になる。
【0100】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0101】
例えば、車両運転中のユーザに対する情報提供には、車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報提供が含まれていてもよい。この車両運転中のユーザに対するサービスには、例えば、エアコンの温度や風量調整サービス、パワーウィンドウの開閉サービス、オーディオの音声調整サービスなどが含まれる。そして、サービス提供のための情報提供には、サービスを提供する際のユーザに対する確認メッセージの通知などが含まれる。
【0102】
例えば、エアコンの温度や風量調整サービスを提供する際には、ユーザに対して「少し暑いようですので、温度を下げますか?」といった確認メッセージが流される。本発明の情報提供装置では、このような確認メッセージが、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低いと推定されたときに流すように制御される。また、オーディオの音声調整サービスに関しては、車両運転中のユーザの聴覚的ワークロードが高いと推定されたときに、「音楽の音量を下げますか?」といった確認メッセージを流すような制御が行われてもよい。
【0103】
また、この車両運転中のユーザに対するサービスには、例えば、検索キーワード入力サービス、グロブ入力サービス、未設定項目に対する設定要求サービスなどが含まれる。そして、サービス提供のための情報提供には、ユーザに情報を入力させるメッセージ(入力要求メッセージ)の通知などが含まれる。なお、ユーザによる情報の入力には、リモコンやタッチパネル等の操作による入力や、音声による入力などが含まれる。
【0104】
例えば、検索キーワード入力サービスやグロブ入力サービスでは、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低いと推定されたときに、ユーザの入力を促すメッセージ(入力要求メッセージ)が流される。また、未設定項目に対する設定要求サービスでは、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低いと推定されたときに、システムから未設定項目に対する設定を促す問い合わせ(入力要求メッセージの通知)が行われる。また、上記のサービスにおいて、車両運転中のユーザの運転ワークロードが高いと推定された場合には、ユーザによる入力をできなくするような制御が行われてもよい。
【0105】
このようにして、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値を考慮して、車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報(確認メッセージや入力要求メッセージなど)を提供することが可能になる。
【0106】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態の情報提供システムについて説明する。ここでは、第2の実施の形態の情報提供システムが、第1の実施の形態の情報提供装置と相違する点を中心に説明する。したがって、ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0107】
図9は、本実施の形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。図9に示すように、情報提供システムは、車両に搭載される車載装置20と、情報センターなどに設置されるセンター装置30とで構成されている。車載装置20とセンター装置30は、それぞれ通信部21、31を備えており、ネットワーク(図示せず)を介して互いに通信可能である。そして、この第2の実施の形態では、車載装置20が、データ取得機能を備えており、センター装置30が、ワークロード推定機能と情報提供制御機能を備えている。
【0108】
以下、第2の実施の形態の情報提供システムの動作を、図10を参照しながら説明する。
【0109】
第2の実施の形態の情報提供システムにおいて情報提供を行うときには、まず、車載装置20のデータ取得部6が、車載センサ(車両センサ3など)から寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得する(S1)。そして、車載装置20は、通信部21からネットワークを介して、その寄与行動のデータをセンター装置30へ送信する(S2)。
【0110】
センター装置30は、車載装置20から寄与行動のデータを受信すると、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う(S3)。そして、センター装置30では、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて情報提供の制御が行われる(S4)。例えば、聴覚的ワークロードが高く、かつ、視覚的ワークロードが低いときには、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い音声や音楽のコンテンツ情報の提供は行わず、視覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い映像のコンテンツ情報の提供を行うように、情報提供の制御が行われる。
【0111】
センター装置30は、上記のような制御に基づいて決定されたコンテンツ情報を、通信部31からネットワークを介して車載装置20へ送信する(S5)。そうすると、車載装置20は、センター装置30から受信したコンテンツ情報を、車両運転中のユーザ(ドライバ)に提供する(S6)。したがって、例えば、聴覚的ワークロードが高く、かつ、視覚的ワークロードが低いときには、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い音声や音楽のコンテンツ情報の提供は行われず、視覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い映像のコンテンツ情報の提供が行われる。
【0112】
このような本発明の第2の実施の形態の情報提供システムによっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0113】
つまり、本実施の形態の情報提供システムによっても、第1の実施の形態の装置と同様、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。この場合、センター装置30において、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合にも、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0114】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態の情報提供システムについて説明する。ここでは、第3の実施の形態の情報提供システムが、第2の実施の形態の情報提供装置と相違する点を中心に説明する。したがって、ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第2の実施の形態と同様である。
【0115】
図11は、本実施の形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。図11に示すように、この第3の実施の形態では、車載装置20が、データ取得機能とワークロード推定機能を備えており、センター装置30が、情報提供制御機能を備えている。
【0116】
以下、第3の実施の形態の情報提供システムの動作を、図12を参照しながら説明する。
【0117】
第3の実施の形態の情報提供システムにおいて情報提供を行うときには、まず、車載装置20のデータ取得部6が、車載センサ(車両センサ3など)から寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得し(S10)、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う(S11)。そして、車載装置20は、通信部21からネットワークを介して、推定したワークロード値をセンター装置30へ送信する(S12)。
【0118】
センター装置30は、車載装置20からワークロード値を受信すると、それぞれのワークロード値に応じて情報提供の制御を行う(S13)。そして、センター装置30は、その情報提供の制御に基づいて決定されたコンテンツ情報を、通信部31からネットワークを介して車載装置20へ送信する(S14)。そうすると、車載装置20は、センター装置30から受信したコンテンツ情報を、車両運転中のユーザ(ドライバ)に提供する(S15)。
【0119】
このような本発明の第3の実施の形態の情報提供システムによっても、第2の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0120】
つまり、本実施の形態の情報提供システムによっても、第2の実施の形態の装置と同様、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。この場合、センター装置30において、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合にも、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0121】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態の情報提供システムについて説明する。ここでは、第4の実施の形態の情報提供システムが、第2の実施の形態の情報提供装置と相違する点を中心に説明する。したがって、ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第2の実施の形態と同様である。
【0122】
図13は、本実施の形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。図13に示すように、この第4の実施の形態では、センター装置30が、定量化モデルを用いて、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を予測するワークロード予測部32を備えている。
【0123】
ここで、定量化モデルを用いて、将来のワークロード値を予測する方法について、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0124】
図14は、ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。図14に示すように、この例では、定量化モデルの式によって事前に算出したワークロード値が地図上にマッピングされている。そして、ワークロード予測部32は、車両の走行予定経路の情報を受け取ると、事前にマッピングされたワークロード値を読み出すことにより、将来のワークロード値を予測する。例えば、図14に示すように、車両の走行予定経路が「区間A(直線の区間)」「区間B(交差点の区間)」「区間C(見通しの悪いカーブの区間)」である場合には、その区間に事前にマッピングされたワークロード値「区間A:30」「区間B:70」「区間C:50」が読み出され、将来のワークロード値として予測される。
【0125】
図15は、ワークロード値の予測の他の例を示す説明図である。図15に示すように、この例では、車車間通信によって他の車両(前方の車両)から寄与行動のデータを取得して、将来のワークロード値の予測を行う。例えば、図15に示すように、自車両の前方を走行する他の車両が交差点を通過したとすると、そのときの前方の車両の寄与行動のデータからワークロード値「55」が算出され、自車両が将来その交差点を通過したときのワークロード値として予測される。
【0126】
図16は、ワークロード値の予測の更に他の例を示す説明図である。この例では、図15の例(前方の車両から得られるデータ)に加えて、インフラの協調によって得られる信号機のデータを用いて、将来のワークロード値の予測が行われる。例えば、図16の例では、自車両の前方を走行する他の車両が交差点を黄信号で通過したとすると、そのときの前方の車両の寄与行動のデータからワークロード値「55」が算出される。自車両がその交差点を青信号で通過するとすると、その信号の状況を考慮に入れて上記のワークロード値が、例えば「30」に補正される。このようにして、自車両が将来その交差点を青信号で通過したときのワークロード値が予測される。
【0127】
図17は、ワークロード値の予測のまた更に他の例を示す説明図である。図17に示すように、この例では、車両の走行予定経路を自車両が過去に走行したことがある場合(自車両の走行履歴がある場合)には、そのときの自車両の寄与行動のデータから将来のワークロード値を予測する。例えば、図17に示すように、自車両が「区間A」と「区間B」を以前に走行したことがある場合には、そのときの寄与行動のデータからワークロード値「区間A:40」「区間B:40」が算出され、その区間をこれから走行するときの将来のワークロード値として予測される。
【0128】
以下、第4の実施の形態の情報提供システムの動作を、図18を参照しながら説明する。
【0129】
第4の実施の形態の情報提供システムにおいて情報提供を行うときには、まず、車載装置20のデータ取得部6が、車載センサ(車両センサ3など)から寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得する(S1)。そして、車載装置20は、通信部21からネットワークを介して、その寄与行動のデータをセンター装置30へ送信する(S2)。また、この場合、車載装置20は、将来のワークロード値を予測するために、自車両の走行予定経路や現在位置などの情報もセンター装置30へ送信する(S7)。
【0130】
センター装置30は、車載装置20から寄与行動のデータを受信すると、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う(S3)。また、センター装置30は、車載装置20から走行予定経路や現在位置などの情報を受信すると、図14〜図17のような種々の方法によって将来のワークロード値の予測を行う(S8)。
【0131】
そして、センター装置30は、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて情報提供の制御を行ない(S4)、その情報提供の制御に基づいて決定されたコンテンツ情報を、通信部31からネットワークを介して車載装置20へ送信する(S5)。そうすると、車載装置20は、センター装置30から受信したコンテンツ情報を、車両運転中のユーザ(ドライバ)に提供する(S6)。
【0132】
このような本発明の第4の実施の形態の情報提供システムによっても、第2の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0133】
その上、本実施の形態では、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を事前に予測することができ、車両がその走行予定経路を走行するときには、その予測した将来のワークロード値に基づいて車両運転中のユーザへの情報提供の制御が適切に行われる。したがって、ワークロード値を推定するために、車両運転中のユーザから寄与行動に関するデータをリアルタイムで取得しなくても、事前に予測した将来のワークロード値に基づいて、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0134】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態の情報提供システムについて説明する。ここでは、第5の実施の形態の情報提供システムが、第3の実施の形態の情報提供装置と相違する点を中心に説明する。したがって、ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第3の実施の形態と同様である。
【0135】
図19は、本実施の形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。図19に示すように、この第5の実施の形態では、センター装置30が、定量化モデルを用いて、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を予測するワークロード予測部32を備えている。なお、将来のワークロード値を予測する方法は、第4の実施の形態と同様である。
【0136】
以下、第5の実施の形態の情報提供システムの動作を、図20を参照しながら説明する。
【0137】
第5の実施の形態の情報提供システムにおいて情報提供を行うときには、まず、車載装置20のデータ取得部6が、車載センサ(車両センサ3など)から寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得し(S10)、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う(S11)。そして、車載装置20は、通信部21からネットワークを介して、推定したワークロード値をセンター装置30へ送信する(S12)。また、この場合、車載装置20は、将来のワークロード値を予測するために、自車両の走行予定経路や現在位置などの情報もセンター装置30へ送信する(S16)。
【0138】
センター装置30は、車載装置20から走行予定経路や現在位置などの情報を受信すると、第4の実施の形態と同様の方法によって将来のワークロード値の予測を行う(S17)。また、センター装置30は、車載装置20からワークロード値を受信すると、それぞれのワークロード値に応じて情報提供の制御を行う(S13)。そして、センター装置30は、その情報提供の制御に基づいて決定されたコンテンツ情報を、通信部31からネットワークを介して車載装置20へ送信する(S14)。そうすると、車載装置20は、センター装置30から受信したコンテンツ情報を、車両運転中のユーザ(ドライバ)に提供する(S15)。
【0139】
このような本発明の第5の実施の形態の情報提供システムによっても、第3の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0140】
その上、本実施の形態では、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を事前に予測することができ、車両がその走行予定経路を走行するときには、その予測した将来のワークロード値に基づいて車両運転中のユーザへの情報提供の制御が適切に行われる。したがって、ワークロード値を推定するために、車両運転中のユーザから寄与行動に関するデータをリアルタイムで取得しなくても、事前に予測した将来のワークロード値に基づいて、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0141】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0142】
例えば、以上の説明では、将来のワークロードの予測がセンター装置30で行われる場合を例示したが、将来のワークロードの予測は車載装置20で行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上のように、本発明にかかる情報提供装置は、車両運転中のユーザの複数のワークロードを考慮した適切な情報提供を行うことができるという効果を有し、車両用のナビゲーション装置等として用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0144】
1 情報提供装置
2 モデルDB
3 車両センサ
4 視線カメラ
5 生体センサ
6 データ取得部
7 ワークロード推定部
8 情報DB
9 モニタ
10 スピーカ
11 情報提供制御部
12 正解データ記録部
13 正解データDB
14 モデル学習部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転中のユーザのワークロードに応じて情報提供の制御を行う機能を備えた情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両運転中のユーザに情報提供を行うシステムとして、ドライバ能力向上のためのシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。この従来のシステムでは、車両運転手(ユーザ)を監視して、車両運転手の状態に関する運転手状態データを取得し、ドライバの認知負荷の推定が行われる。そして、そのドライバの認知負荷に基づいて、ドライバへ通知する車両情報の優先付けが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−524203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両運転中のユーザの認知負荷(ワークロード)は、そのワークロードに寄与するユーザの寄与行動の種類に応じて、複数の異なるワークロードに分類される。例えば、車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロード、車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロード、車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロード、車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロード、車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードなどが、複数のワークロードの例として挙げられる。
【0005】
しかしながら、従来のシステムでは、上述のような種々のワークロードを「ドライバの認知負荷」として一まとめに取り扱って、ドライバの認知負荷の推定やそのドライバへ通知する車両情報の優先付けが行われている。つまり、従来のシステムでは、複数の異なるワークロードごとに、車両運転中のユーザのワークロードに応じた情報提供を行うことが想定されておらず、ユーザに対して適切な情報提供が行われないことがあるという問題がった。
【0006】
例えば、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低い(直進の運転中など)にもかかわらず、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)場合、従来のシステムでは、全体のワークロード(複数の異なるワークロードの合計)がある程度低いときには、ユーザに対して車両情報が通知されてしまう。ところが、この場合、ユーザは、聴覚的ワークロードが高いため、通知された車両情報を聞くことが困難である。このように、従来のシステムでは、車両運転中のユーザの複数のワークロードが考慮されておらず、ユーザに対して適切な情報提供が行われないことがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、車両運転中のユーザの複数のワークロードを考慮した適切な情報提供を行うことのできる情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報提供装置は、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデル記憶手段と、前記複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得するデータ取得手段と、前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定するワークロード推定手段と、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う情報提供制御手段と、を備えている。
【0009】
これにより、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。したがって、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0010】
また、本発明の情報提供装置では、前記正解データは、前記ユーザの寄与行動時の生体信号の記録に基づいて生成されたものであってもよい。
【0011】
これにより、ユーザの生体信号(例えば、瞳孔半径変化速度など)を用いることによって信頼性の高い正解データが得られ、したがって、その正解データに基づく定量化モデルを用いたワークロード値の推定精度が向上する。
【0012】
また、本発明の情報提供装置では、前記正解データは、前記ユーザの寄与行動時の主観評価の記録に基づいて生成されたものであってもよい。
【0013】
これにより、ユーザの主観評価(例えば、NASA−TLXなど)を用いることによって信頼性の高い正解データが得られ、したがって、その正解データに基づく定量化モデルを用いたワークロード値の推定精度が向上する。
【0014】
また、本発明の情報提供装置では、前記定量化モデルは、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザの寄与行動に対する前記ユーザのワークロード値を定式化した定式化モデルを含み、前記定式化モデルで定式化されるワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードと、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードのいずれかが含まれていてもよい。
【0015】
これにより、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードなど)ごとに定式化モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからワークロード値を容易に算出することが可能になる。
【0016】
また、本発明の情報提供装置では、前記定式化モデルで、前記ユーザの走行履歴に基づいて、前記ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した重み付け処理が行われてもよい。
【0017】
これにより、ユーザの車両運転に関する慣れ(例えば、ユーザがいつも走行する経路ではワークロード値が低いなど)を考慮したワークロード値を算出することが可能になる。
【0018】
また、本発明の情報提供装置は、車両運転中に前記正解データの記録を行う正解データ記録手段と、車両運転中に記録した前記正解データを用いて、前記定量化モデルの学習処理を行うモデル学習手段と、を備えてもよい。
【0019】
これにより、ユーザの車両運転中に記録した正解データを用いて定量化モデルの学習が行われ、定量化モデルのユーザ適応が行われる。ユーザ適応した定量化モデルを用いて、そのユーザ用のワークロード値の推定を行うことにより、そのユーザに適した情報提供が行うことが可能になる。
【0020】
また、本発明の情報提供装置では、前記定量化モデルは、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を算出する確率推論モデルを含み、前記確率推論モデルで用いられる前記複数のワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードと、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードのいずれかが含まれていてもよい。
【0021】
これにより、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードなど)ごとに確率推論モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからワークロード値を容易に算出することが可能になる。
【0022】
また、本発明の情報提供装置では、前記車両運転中のユーザに対して提供される情報には、前記複数のワークロードごとに、前記情報をユーザが受け取るために要する消費ワークロード値が設定されており、前記情報提供制御手段は、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値と前記消費ワークロード値の合計が前記ユーザの上限ワークロード値以下となるように、前記車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行ってもよい。
【0023】
これにより、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値と車両運転中のユーザに対して提供される情報の消費ワークロード値の合計が、ユーザの上限ワークロード値を超えないように、ユーザに対する情報提供が適切に行われる。例えば、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低い(直進の運転中など)ものの、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)場合には、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値の高い情報(丁寧な経路案内など)はユーザに提供されない。また、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)ものの、視覚的ワークロードが低い場合には、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が低い情報(文字情報付きの動画など)がユーザに提供される。このようにして、複数のワークロードごとのワークロード値の競合を考慮した適切な情報提供が行われる。
【0024】
また、本発明の情報提供装置では、前記車両運転中のユーザに対する情報提供に、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値の表示が含まれてもよい。
【0025】
これにより、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値が表示されるので、ユーザは自己の各ワークロード値を確認することができる。
【0026】
また、本発明の情報提供装置では、前記車両運転中のユーザに対する情報提供に、前記車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報提供が含まれてもよい。
【0027】
これにより、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値を考慮して、車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報(確認メッセージなど)を提供することが可能になる。
【0028】
また、本発明の情報提供装置では、前記情報提供制御手段は、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値が前記ユーザの下限ワークロード値以下である場合に、前記ワークロードを上昇させる刺激コンテンツ情報を提供するように、前記車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行ってもよい。
【0029】
これにより、車両運転中のユーザのワークロード値が下限ワークロード値以下である場合には、ユーザに刺激コンテンツ情報が提供される。車両運転中のユーザのワークロード値が著しく低い場合には、ユーザの注意力が低下しているおそれがある。そのような場合に、刺激コンテンツ情報を提供することにより、ユーザの注意力を向上することができる。
【0030】
本発明の情報提供方法は、車両運転中のユーザに対して情報を提供する方法であって、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されており、前記方法は、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得することと、前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定することと、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行うことと、を含んでいる。
【0031】
この方法によれば、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。したがって、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0032】
本発明の情報提供プログラムは、車両運転中のユーザに対して情報を提供するためのプログラムであって、メモリには、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されており、前記プログラムは、コンピュータに、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得する処理と、前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定する処理と、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う処理と、を実行させるものである。
【0033】
このプログラムによっても、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。したがって、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0034】
本発明の情報提供システムは、車両に搭載される車載装置と、前記車載装置と通信可能なセンター装置とで構成される情報提供システムであって、前記情報提供システムは、前記車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデル記憶手段と、前記複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得するデータ取得手段と、前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定するワークロード推定手段と、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う情報提供制御手段と、を備え、前記データ取得手段は、前記車載装置に備えられており、前記情報提供制御手段は、前記センター装置に備えられている。
【0035】
このシステムによっても、上記の装置と同様、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。この場合、センター装置において、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合にも、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0036】
また、本発明の情報提供システムでは、前記センター装置は、前記定量化モデルを用いて、前記車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を予測するワークロード予測手段を備え、前記情報提供制御手段は、前記将来のワークロード値に基づいて、前記走行予定経路を走行するときに、前記車両運転中のユーザに対して行われるべき情報提供の制御を行ってもよい。
【0037】
これにより、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を事前に予測することができ、車両がその走行予定経路を走行するときには、その予測した将来のワークロード値に基づいて車両運転中のユーザへの情報提供の制御が適切に行われる。したがって、ワークロード値を推定するために、車両運転中のユーザから寄与行動に関するデータをリアルタイムで取得しなくても、事前に予測した将来のワークロード値に基づいて、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値を推定し、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御を行うことにより、車両運転中のユーザの複数のワークロードを考慮した適切な情報提供を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施の形態における情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ワークロードの推定の一例(定式化モデルを用いた例)を示す説明図である。
【図3】ワークロードの推定の他の例(確率推論モデルを用いた例)を示す説明図である。
【図4】正解データの一例(生体信号指標の正解データ)を示す図である。
【図5】正解データの他の例(主観評価指標の正解データ)を示す図である。
【図6】ユーザに提供される情報の例を示す図である。
【図7】ワークロード値のモニタ表示の一例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態の情報提供装置における情報提供の制御の説明図である。
【図9】第2の実施の形態における情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態における情報提供システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【図11】第3の実施の形態における情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図12】第3の実施の形態における情報提供システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【図13】第4の実施の形態における情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図14】ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。
【図15】ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。
【図16】ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。
【図17】ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。
【図18】第4の実施の形態における情報提供システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【図19】第5の実施の形態における情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図20】第5の実施の形態における情報提供システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態の情報提供装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、車両用のナビゲーション装置等に用いられる情報提供装置の場合を例示する。この情報提供装置は、ユーザに対する情報提供を制御する機能を備えており、この機能は、装置のHDDやメモリ等に格納されたプログラムによって実現されている。
【0041】
まず、本実施の形態の情報提供装置の全体の構成について、図面を用いて説明する。図1は、情報提供装置のブロック図である。図1に示すように、情報提供装置は、車両の運転に関連する複数のワークロードごとにワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデルDB2(データベース)を備えている。定量化モデルは、ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動からワークロード値を算出するためのモデルである。なお、定量化モデルや正解データの詳しい内容については、図面を用いて後述する。
【0042】
また、情報提供装置は、複数のワークロードごとに、車両に搭載された車両センサ3や視線カメラ4や生体センサ5から、車両運転中のユーザの寄与行動に関するデータを取得するデータ取得部6を備えている。
【0043】
(ワークロードの種類)
ここで、車両運転中のユーザのワークロードの種類と、そのワークロードの寄与データについて説明する。車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードが含まれる。例えば、データ取得部6は、運転ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中の舵角データ、車速データ、車間距離データ、アクセル開度率データ、ブレーキ信号データなど)を、車両センサ3から取得する。
【0044】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードが含まれる。データ取得部6は、機器操作ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のナビ操作データ、オーディオ操作データ、エアコン操作データ、窓開閉操作データなど)を、車両センサ3から取得する。
【0045】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードが含まれている。データ取得部6は、聴覚的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中の経路案内やオーディオ再生などに含まれる音声情報データや音楽情報データなど)を、車両センサ3から取得する。
【0046】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードが含まれる。データ取得部6は、視覚的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のユーザの視点移動速度データや視点座標データなど)を、視線カメラ4から取得する。
【0047】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードが含まれる。データ取得部6は、内因的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のユーザの心拍数データ、血圧データ、呼吸回数データなど)を、生体センサ5から取得する。
【0048】
図1に示すように、情報提供装置1は、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロード)ごとに、車両運転中のユーザのワークロード値を推定するワークロード推定部7を備えている。このワークロード推定部7は、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、データ取得部6が取得した車両運転中のユーザの寄与行動のデータから、複数のワークロードごとのワークロード値を推定する。
【0049】
(定量化モデルを用いたワークロードの推定)
ここで、本発明の特徴であるワークロードの推定について、図面を用いて説明する。図2は、本実施の形態におけるワークロードの推定の一例を示す説明図である。ここでは、図2に示すように、定量化モデルの一つとして定式化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う場合を例示して説明する。この定式化には、例えば、線形重回帰分析、主成分分析、因子分析などの統計的手法が用いられる。
【0050】
図2に示すように、運転ワークロードに寄与するデータ(運転WL寄与データ)には、車両運転中の舵角d1(度)、車速d2(km/h)、車間距離d3(m)、アクセル開度率d4(%)、ブレーキ信号d5(ON:1、OFF:0)のデータが含まれる。これらのデータd1〜d5と正解データ(後述する)との関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式1ように運転ワークロード(DWL)の定式化が行われる。
DWL=α(n)×d1/360+β(n)×d2/100+γ(n)/d3
+δ(n)×d4/100+ε×d5 (式1)
【0051】
ここで、α、β、γ、δ、εは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。この慣れ係数は、ユーザの走行履歴に基づいて定められる係数である。重み付け係数αを例示して説明すると、ユーザが初めて車両走行をした場合(n=1)の重み付け係数は、α(1)となり、ユーザが二度目に車両走行した場合(n=2)の重み付け係数は、α(2)となる。つまり、この定式化モデルは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した重み付け処理がなされているともいえる。
【0052】
また、機器操作ワークロードに寄与するデータ(機器操作WL寄与データ)には、車両運転中のナビ操作o1(ハードウェアボタン操作:A1、タッチパネル操作:A2など)、オーディオ操作o2(スキップボタン操作:A3、ボリューム操作:A4など)、エアコン操作o3(操作あり:1、操作なし:0)、窓開閉操作o4(操作あり:1、操作なし:0)のデータが含まれる。これらのデータo1〜o4と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式2ように機器操作ワークロード(OWL)の定式化が行われる。
OWL=α(n)×o1+β(n)×o2
+γ(n)×o3+δ(n)×o4 (式2)
なお、A1〜A4は、それぞれ所定の定数である。また、α、β、γ、δは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0053】
また、聴覚的ワークロードに寄与するデータ(聴覚的WL寄与データ)には、車両運転中の経路案内やオーディオ再生などに含まれる音声情報a1(経路案内:B1、施設情報案内:B2、電話:B3など)、音楽情報a2(クラシック:B4、ロック:B5、お気に入りの曲:B6など)のデータが含まれる。これらのデータa1、a2と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式3ように聴覚的ワークロード(AWL)の定式化が行われる。
AWL=α(n)×a1+β(n)×a2 (式3)
なお、B1〜B6は、それぞれ所定の定数である。また、α、βは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0054】
また、視覚的ワークロードに寄与するデータ(視覚的WL寄与データ)には、車両運転中の視点移動速度v1(mm/秒)、視点座標v2(ルームミラー:C1、サイドミラー:C2、ナビ:C3など)のデータが含まれる。これらのデータv1、v2と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式4ように視覚的ワークロード(VWL)の定式化が行われる。
VWL=α(n)×v1+β(n)×v2 (式4)
なお、C1〜C6は、それぞれ所定の定数である。また、α、βは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0055】
また、内因的ワークロードに寄与するデータ(内因的WL寄与データ)には、車両運転中の心拍数i1(回/分)、血圧i2(mmHg)、呼吸回数i3(回/分)のデータが含まれる。これらのデータi1〜i3と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式5ように内因的ワークロード(IWL)の定式化が行われる。
IWL=α(n)×i1+β(n)×i2+γ(n)×i3 (式5)
なお、α、β、γは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0056】
以上では、定式化モデルを用いたワークロードの推定の例について説明したが、本発明の範囲は、これに限定されるものではない。例えば、図3に示すように、ワークロードの推定には、確率推論モデルが用いられてもよい。
【0057】
確率推論モデルとしては、例えば、ベイジアンネットワークやニューラルネットワーク等が用いられる。例えば、運転ワークロードを例示して具体的に説明すると、この場合には、運転ワークロードに寄与するデータ(運転WL寄与データ)である舵角d1(度)、車速d2(km/h)、車間距離d3(m)、アクセル開度率d4(%)、ブレーキ信号d5(ON:1、OFF:0)のデータを入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として運転ワークロード(DWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0058】
同様に、機器操作ワークロードについては、上述の機器操作WL寄与データ(o1〜o4)を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として機器操作ワークロード(OWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0059】
また、聴覚的ワークロードについては、上述の聴覚的WL寄与データ(a1、a2)を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として聴覚的ワークロード(AWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0060】
また、視覚的ワークロードについては、上述の視覚的WL寄与データ(v1、v2)を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として視覚的ワークロード(VWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0061】
また、内因的ワークロードについては、上述の内因的WL寄与データ(i1〜i3)を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として内因的ワークロード(IWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0062】
なお、定量化モデル(定式化モデルや確率推論モデル)を構築する際には、正解データを利用するとともに、ユーザのプロフィール(年齢、性別、運転暦)などを考慮してもよい。
【0063】
(正解データ)
つぎに、定量化モデルの構築に用いられる正解データについて、図面を参照して説明する。本実施の形態では、二種類の正解データ(生体信号指標と主観評価指標)を利用して、定量化モデルの構築が行われる。なお、定量化モデルの構築は、各ワークロードのモデル化(定量化)ということもできる。
【0064】
図4は、生体信号指標の正解データの一例を示す図である。ここでは、生体信号指標として、瞳孔反応を例示して説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。本発明の生体信号指標には、瞳孔反応のほかに、心拍数変動、呼吸数変動、生体電位変動などが含まれる。
【0065】
一般に、瞳孔が散瞳(瞳孔半径が大きくなる)している場合には、交感神経が刺激され、ユーザは興奮している。逆に、瞳孔が縮瞳(瞳孔半径が小さくなる)している場合には、副交感神経が刺激され、ユーザはリラックスしている。そして、瞳孔反応(瞳孔半径変化速度)が大きいほど、ユーザに加わるワークロードは高く、瞳孔反応が小さいほど、ユーザに加わるワークロードは低い。
【0066】
本実施の形態では、所定の実験コースをユーザが走行したときの車両運転中のユーザの瞳孔反応の時系列のデータを取得し、車両の運転との対応を解析する。例えば、図4の正解データでは、出発時には、瞳孔反応が小さく、左折や右折、すれ違いや追越しなどを行うときに、瞳孔反応が大きくなっている。このような瞳孔反応の正解データから、各ワークロードの寄与行動を行っている部分を抽出して、その部分の瞳孔反応の大きさや変化率等に基づいて、各ワークロードの定式化が行われる。
【0067】
ここで、運転ワークロードの定式化を例にして説明する。例えば、図4の瞳孔反応の正解データから、運転ワークロードの寄与行動を行っている部分(例えば右折の部分)を抽出して、そのときの運転WL寄与データ(舵角信号、車速、車間距離、アクセル開度率、ブレーキ信号のデータ)との関係を統計的手法で導いて、運転ワークロードの定式化が行われる。つまり、この瞳孔反応の正解データに基づいて、運転WL寄与データから運転ワークロードのワークロード値を算出するための定式化モデル(上記の式1)が求められる。
【0068】
以上、瞳孔反応の正解データから運転ワークロードの定式化を行う例について説明した。なお、ここでは説明を省略するが、これと同様にして、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードの定式化が行われる。
【0069】
図5は、主観評価指標の正解データの一例を示す図である。ここでは、主観評価指標として、従前のNASA−TLXを例示して説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。例えば、従前のNASA−TLXの代わりに、映像を見ながら事後的にPC上で主観評価を行う連続的なNASA−TLX(時系列のNASA−TLX)を用いてもよい。本発明の主観評価指標には、NASA−TLXのほかに、SWAT、MCHなどが含まれる。
【0070】
NASA−TLXは、ワークロードをユーザが主観的に定量化する指標であり、一般に、その値が大きいほど、ユーザのワークロードが高く、その値が小さいほど、ユーザのワークロードは低い。
【0071】
本実施の形態では、所定の実験コースをユーザが走行したときの車両運転中のユーザのNASA−TLXの時系列のデータを取得し、車両の運転との対応を解析する。例えば、図5の正解データでは、出発時や左折時や右折時に、NASA−TLXの値が大きく、直進時に、NASA−TLXの値が小さくなっている。このようなNASA−TLXの正解データから、各ワークロードの寄与行動を行っている部分を抽出して、その部分のNASA−TLXの値の大きさや変化率等に基づいて、各ワークロードの定式化が行われる。
【0072】
ここで、運転ワークロードの定式化を例にして説明する。例えば、図5のNASA−TLXの正解データから、運転ワークロードの寄与行動を行っている部分(例えば右折の部分)を抽出して、そのときの運転WL寄与データ(舵角信号、車速、車間距離、アクセル開度率、ブレーキ信号のデータ)との関係を統計的手法で導いて、運転ワークロードの定式化が行われる。つまり、このNASA−TLXの正解データに基づいて、運転WL寄与データから運転ワークロードのワークロード値を算出するための定式化モデル(上記の式1)が求められる。
【0073】
以上、NASA−TLXの正解データから運転ワークロードの定式化を行う例について説明した。なお、ここでは説明を省略するが、これと同様にして、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードの定式化が行われる。
【0074】
図1に戻って、情報提供装置1の構成を説明する。情報提供装置1は、ユーザに対して情報提供する情報(コンテンツ情報ともいう)を記憶している情報DB8を備えている。ここで、情報DB8に記憶されているコンテンツ情報について、図面を用いて詳細に説明する。
【0075】
図6は、情報DB8に記憶されているコンテンツ情報の一例を示した図である。図6に示すように、コンテンツ情報には、音声、音楽、映像などの映像種別があり、それぞれ大分類(経路案内など)と小分類(丁寧な案内や簡単な案内など)に分類されている。そして、それぞれのコンテンツ情報には、複数のワークロードごとに、そのコンテンツ情報をユーザが受け取るために要する消費ワークロード値が設定されている。
【0076】
例えば、図6の例では、丁寧な案内の聴覚的ワークロードの消費ワークロード値は40であり、視覚的ワークロードの消費ワークロード値は0である。また、簡単な案内の聴覚的ワークロードの消費ワークロード値は20であり、視覚的ワークロードの消費ワークロード値は0である。このように、それぞれのコンテンツ情報は、各ワークロードごとに消費ワークロード値が設定されている。
【0077】
また、図6の例では、ロックのお気に入りの曲の聴覚的ワークロードの消費ワークロード値は30である。このような、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が高いコンテンツ情報は、ユーザの聴覚的ワークロードを上昇させる刺激的コンテンツ情報であるともいえる。
【0078】
図1に示すように、情報提供装置1は、車両に搭載されたモニタ9やスピーカ10を制御する機能を備えた情報提供制御部11を備えている。この情報提供制御部11は、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて、情報DB8に記憶されているコンテンツ情報を選択し、モニタ9やスピーカ10から車両運転中のユーザに対して情報提供を行うように情報提供の制御を行う。
【0079】
例えば、情報提供制御部11は、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値とコンテンツ情報の消費ワークロード値の合計が所定の上限ワークロード値(例えば、100)以下となるように、車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行う。また、情報提供制御部11は、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値が所定の下限ワークロード値(例えば10)以下である場合には、そのワークロードを上昇させる刺激コンテンツ情報を提供するように、車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行う。また、情報提供制御部11は、図7に示すように、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値を、モニタ9で表示する機能も備えている。
【0080】
なお、以上では、モデルDB2に予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行う例について説明したが、この情報提供装置1では、定量化モデルの学習を行うことにより、ユーザ適応が行われてもよい。
【0081】
図1に示すように、情報提供装置1は、正解データ記録部12と正解データDB13とモデル学習部14を備えている。正解データ記録部12は、ユーザの車両運転中に正解データの記録を行う機能を備えており、ユーザの車両運転中に記録された正解データは、正解データDB13に記録される。そして、モデル学習部14は、正解データDB13に記録された正解データを用いて、定量化モデルの学習を行う機能を備えている。
【0082】
以上のように構成された情報提供装置1について、図面を用いてその動作を説明する。ここでは、本発明の特徴である情報提供の制御とワークロード値の表示について説明する。
【0083】
図8は、本実施の形態の情報提供装置1で行われる情報提供の制御の説明図である。図8の例では、ユーザが運転する車両が、まず経路に沿って直進し、右折待ちをした後、右折と左折を行い、直進をした後に信号待ちをする場合が例示されている。
【0084】
このような車両の運転が行われる際に、情報提供装置1は、複数のワークロードごとに、ユーザから寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得して、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、ワークロード値の推定を行う。図8では、推定結果としての運転ワークロードと聴覚的ワークロードと視覚的ワークロードが示されている。
【0085】
そして、情報提供装置1では、上記のように複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて情報提供の制御が行われる。例えば、図8の時間Taでは、ユーザの運転ワークロードは低いものの、聴覚的ワークロードは高い。したがって、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値の高い音声や音楽のコンテンツ情報の提供は行われない。ただし、この場合、ユーザの視覚的ワークロードは低い。したがって、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が低く、かつ、視覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い映像のコンテンツ情報(文字情報なしの静止画)の情報提供が行われる。
【0086】
また、図8の時間Tbでは、聴覚的ワークロードは低いものの、ユーザの視覚的ワークロードが高い。したがって、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が高く、かつ、視覚的ワークロードの消費ワークロード値が低い音声映像のコンテンツ情報(簡単な経路案内)の情報提供が行われる。
【0087】
また、図8の時間Tcでは、運転ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロードのいずれも低い。このような場合、ユーザのワークロードを上昇させる刺激コンテンツ情報(ロックのお気に入りの曲)の情報提供が行われる。
【0088】
このような本実施の形態の情報提供装置1によれば、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値を推定し、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御を行うことにより、車両運転中のユーザの複数のワークロードを考慮した適切な情報提供を行うことができる。
【0089】
すなわち、本実施の形態では、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。したがって、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合、モデルDB2に予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0090】
また、本実施の形態では、ユーザの生体信号(例えば、瞳孔半径変化速度など)を用いることによって信頼性の高い正解データが得られ、したがって、その正解データに基づく定量化モデルを用いたワークロード値の推定精度が向上する。
【0091】
また、本実施の形態では、ユーザの主観評価(例えば、NASA−TLXなど)を用いることによって信頼性の高い正解データが得られ、したがって、その正解データに基づく定量化モデルを用いたワークロード値の推定精度が向上する。
【0092】
また、本実施の形態では、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロード)ごとに定式化モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからワークロード値を容易に算出することが可能になる。
【0093】
また、本実施の形態では、定式化モデルにおいてユーザの慣れを考慮した重み付け処理がなされているので、ユーザの車両運転に関する慣れ(例えば、ユーザがいつも走行する経路ではワークロード値が低いなど)を考慮したワークロード値を算出することが可能になる。
【0094】
また、本実施の形態では、ユーザの車両運転中に記録した正解データを用いて定量化モデルの学習が行われ、定量化モデルのユーザ適応が行われる。ユーザ適応した定量化モデルを用いて、そのユーザ用のワークロード値の推定を行うことにより、そのユーザに適した情報提供が行うことが可能になる。
【0095】
また、本実施の形態では、複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロード)ごとに確率推論モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからワークロード値を容易に算出することが可能になる。
【0096】
また、本実施の形態では、図7に示すように、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値が表示されるので、ユーザは自己の各ワークロード値を確認することができる。このように、定量化したワークロード値を視覚化することにより、ドライバーや同乗者が、ドライバーのワークロードの状態を把握することができるようになる。
【0097】
そして、本実施の形態では、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値と車両運転中のユーザに対して提供される情報の消費ワークロード値の合計が、ユーザの上限ワークロード値を超えないように、ユーザに対する情報提供が適切に行われる。例えば、図8に示すように、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低い(直進の運転中など)ものの、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)場合には、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値の高い情報(丁寧な経路案内など)はユーザに提供されない。また、聴覚的ワークロードが高い(ラジオで交通情報を聞いている時など)ものの、視覚的ワークロードが低い場合には、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が低い情報(文字情報付きの動画など)がユーザに提供される。このようにして、複数のワークロードごとのワークロード値の競合を考慮した適切な情報提供が行われる。
【0098】
また、本実施の形態では、車両運転中のユーザのワークロード値が下限ワークロード値以下である場合には、ユーザに刺激コンテンツ情報が提供される。車両運転中のユーザのワークロード値が著しく低い場合には、ユーザの注意力が低下しているおそれがある。そのような場合に、刺激コンテンツ情報を提供することにより、ユーザの注意力を向上することができる。
【0099】
つまり、本実施の形態では、ワークロードが高くなり過ぎないような情報提供の制御だけでなく、ワークロードが長時間にわたって低くなり過ぎることのないような制御が行われる。これにより、長時間にわたってワークロードが低くなり過ぎて眠気を生じることを抑制することができ、快適な運転を行うことができるように適度なワークロードを加えることが可能になる。
【0100】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0101】
例えば、車両運転中のユーザに対する情報提供には、車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報提供が含まれていてもよい。この車両運転中のユーザに対するサービスには、例えば、エアコンの温度や風量調整サービス、パワーウィンドウの開閉サービス、オーディオの音声調整サービスなどが含まれる。そして、サービス提供のための情報提供には、サービスを提供する際のユーザに対する確認メッセージの通知などが含まれる。
【0102】
例えば、エアコンの温度や風量調整サービスを提供する際には、ユーザに対して「少し暑いようですので、温度を下げますか?」といった確認メッセージが流される。本発明の情報提供装置では、このような確認メッセージが、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低いと推定されたときに流すように制御される。また、オーディオの音声調整サービスに関しては、車両運転中のユーザの聴覚的ワークロードが高いと推定されたときに、「音楽の音量を下げますか?」といった確認メッセージを流すような制御が行われてもよい。
【0103】
また、この車両運転中のユーザに対するサービスには、例えば、検索キーワード入力サービス、グロブ入力サービス、未設定項目に対する設定要求サービスなどが含まれる。そして、サービス提供のための情報提供には、ユーザに情報を入力させるメッセージ(入力要求メッセージ)の通知などが含まれる。なお、ユーザによる情報の入力には、リモコンやタッチパネル等の操作による入力や、音声による入力などが含まれる。
【0104】
例えば、検索キーワード入力サービスやグロブ入力サービスでは、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低いと推定されたときに、ユーザの入力を促すメッセージ(入力要求メッセージ)が流される。また、未設定項目に対する設定要求サービスでは、車両運転中のユーザの運転ワークロードが低いと推定されたときに、システムから未設定項目に対する設定を促す問い合わせ(入力要求メッセージの通知)が行われる。また、上記のサービスにおいて、車両運転中のユーザの運転ワークロードが高いと推定された場合には、ユーザによる入力をできなくするような制御が行われてもよい。
【0105】
このようにして、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値を考慮して、車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報(確認メッセージや入力要求メッセージなど)を提供することが可能になる。
【0106】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態の情報提供システムについて説明する。ここでは、第2の実施の形態の情報提供システムが、第1の実施の形態の情報提供装置と相違する点を中心に説明する。したがって、ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0107】
図9は、本実施の形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。図9に示すように、情報提供システムは、車両に搭載される車載装置20と、情報センターなどに設置されるセンター装置30とで構成されている。車載装置20とセンター装置30は、それぞれ通信部21、31を備えており、ネットワーク(図示せず)を介して互いに通信可能である。そして、この第2の実施の形態では、車載装置20が、データ取得機能を備えており、センター装置30が、ワークロード推定機能と情報提供制御機能を備えている。
【0108】
以下、第2の実施の形態の情報提供システムの動作を、図10を参照しながら説明する。
【0109】
第2の実施の形態の情報提供システムにおいて情報提供を行うときには、まず、車載装置20のデータ取得部6が、車載センサ(車両センサ3など)から寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得する(S1)。そして、車載装置20は、通信部21からネットワークを介して、その寄与行動のデータをセンター装置30へ送信する(S2)。
【0110】
センター装置30は、車載装置20から寄与行動のデータを受信すると、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う(S3)。そして、センター装置30では、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて情報提供の制御が行われる(S4)。例えば、聴覚的ワークロードが高く、かつ、視覚的ワークロードが低いときには、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い音声や音楽のコンテンツ情報の提供は行わず、視覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い映像のコンテンツ情報の提供を行うように、情報提供の制御が行われる。
【0111】
センター装置30は、上記のような制御に基づいて決定されたコンテンツ情報を、通信部31からネットワークを介して車載装置20へ送信する(S5)。そうすると、車載装置20は、センター装置30から受信したコンテンツ情報を、車両運転中のユーザ(ドライバ)に提供する(S6)。したがって、例えば、聴覚的ワークロードが高く、かつ、視覚的ワークロードが低いときには、聴覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い音声や音楽のコンテンツ情報の提供は行われず、視覚的ワークロードの消費ワークロード値が高い映像のコンテンツ情報の提供が行われる。
【0112】
このような本発明の第2の実施の形態の情報提供システムによっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0113】
つまり、本実施の形態の情報提供システムによっても、第1の実施の形態の装置と同様、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。この場合、センター装置30において、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合にも、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0114】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態の情報提供システムについて説明する。ここでは、第3の実施の形態の情報提供システムが、第2の実施の形態の情報提供装置と相違する点を中心に説明する。したがって、ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第2の実施の形態と同様である。
【0115】
図11は、本実施の形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。図11に示すように、この第3の実施の形態では、車載装置20が、データ取得機能とワークロード推定機能を備えており、センター装置30が、情報提供制御機能を備えている。
【0116】
以下、第3の実施の形態の情報提供システムの動作を、図12を参照しながら説明する。
【0117】
第3の実施の形態の情報提供システムにおいて情報提供を行うときには、まず、車載装置20のデータ取得部6が、車載センサ(車両センサ3など)から寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得し(S10)、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う(S11)。そして、車載装置20は、通信部21からネットワークを介して、推定したワークロード値をセンター装置30へ送信する(S12)。
【0118】
センター装置30は、車載装置20からワークロード値を受信すると、それぞれのワークロード値に応じて情報提供の制御を行う(S13)。そして、センター装置30は、その情報提供の制御に基づいて決定されたコンテンツ情報を、通信部31からネットワークを介して車載装置20へ送信する(S14)。そうすると、車載装置20は、センター装置30から受信したコンテンツ情報を、車両運転中のユーザ(ドライバ)に提供する(S15)。
【0119】
このような本発明の第3の実施の形態の情報提供システムによっても、第2の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0120】
つまり、本実施の形態の情報提供システムによっても、第2の実施の形態の装置と同様、複数のワークロードごとに、定量化モデルを用いて車両運転中のユーザから取得したデータからワークロード値が推定され、推定されたワークロード値に応じてユーザへの情報提供の制御が行われる。この場合、センター装置30において、複数のワークロードごとのワークロード値を考慮した適切な情報提供の制御が行われる。また、この場合にも、予め記憶されている定量化モデルを用いてワークロードの推定を行うので、ワークロードの推定の処理に要する負荷を軽減することができ、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0121】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態の情報提供システムについて説明する。ここでは、第4の実施の形態の情報提供システムが、第2の実施の形態の情報提供装置と相違する点を中心に説明する。したがって、ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第2の実施の形態と同様である。
【0122】
図13は、本実施の形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。図13に示すように、この第4の実施の形態では、センター装置30が、定量化モデルを用いて、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を予測するワークロード予測部32を備えている。
【0123】
ここで、定量化モデルを用いて、将来のワークロード値を予測する方法について、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0124】
図14は、ワークロード値の予測の一例を示す説明図である。図14に示すように、この例では、定量化モデルの式によって事前に算出したワークロード値が地図上にマッピングされている。そして、ワークロード予測部32は、車両の走行予定経路の情報を受け取ると、事前にマッピングされたワークロード値を読み出すことにより、将来のワークロード値を予測する。例えば、図14に示すように、車両の走行予定経路が「区間A(直線の区間)」「区間B(交差点の区間)」「区間C(見通しの悪いカーブの区間)」である場合には、その区間に事前にマッピングされたワークロード値「区間A:30」「区間B:70」「区間C:50」が読み出され、将来のワークロード値として予測される。
【0125】
図15は、ワークロード値の予測の他の例を示す説明図である。図15に示すように、この例では、車車間通信によって他の車両(前方の車両)から寄与行動のデータを取得して、将来のワークロード値の予測を行う。例えば、図15に示すように、自車両の前方を走行する他の車両が交差点を通過したとすると、そのときの前方の車両の寄与行動のデータからワークロード値「55」が算出され、自車両が将来その交差点を通過したときのワークロード値として予測される。
【0126】
図16は、ワークロード値の予測の更に他の例を示す説明図である。この例では、図15の例(前方の車両から得られるデータ)に加えて、インフラの協調によって得られる信号機のデータを用いて、将来のワークロード値の予測が行われる。例えば、図16の例では、自車両の前方を走行する他の車両が交差点を黄信号で通過したとすると、そのときの前方の車両の寄与行動のデータからワークロード値「55」が算出される。自車両がその交差点を青信号で通過するとすると、その信号の状況を考慮に入れて上記のワークロード値が、例えば「30」に補正される。このようにして、自車両が将来その交差点を青信号で通過したときのワークロード値が予測される。
【0127】
図17は、ワークロード値の予測のまた更に他の例を示す説明図である。図17に示すように、この例では、車両の走行予定経路を自車両が過去に走行したことがある場合(自車両の走行履歴がある場合)には、そのときの自車両の寄与行動のデータから将来のワークロード値を予測する。例えば、図17に示すように、自車両が「区間A」と「区間B」を以前に走行したことがある場合には、そのときの寄与行動のデータからワークロード値「区間A:40」「区間B:40」が算出され、その区間をこれから走行するときの将来のワークロード値として予測される。
【0128】
以下、第4の実施の形態の情報提供システムの動作を、図18を参照しながら説明する。
【0129】
第4の実施の形態の情報提供システムにおいて情報提供を行うときには、まず、車載装置20のデータ取得部6が、車載センサ(車両センサ3など)から寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得する(S1)。そして、車載装置20は、通信部21からネットワークを介して、その寄与行動のデータをセンター装置30へ送信する(S2)。また、この場合、車載装置20は、将来のワークロード値を予測するために、自車両の走行予定経路や現在位置などの情報もセンター装置30へ送信する(S7)。
【0130】
センター装置30は、車載装置20から寄与行動のデータを受信すると、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う(S3)。また、センター装置30は、車載装置20から走行予定経路や現在位置などの情報を受信すると、図14〜図17のような種々の方法によって将来のワークロード値の予測を行う(S8)。
【0131】
そして、センター装置30は、複数のワークロードごとに推定されたワークロード値に応じて情報提供の制御を行ない(S4)、その情報提供の制御に基づいて決定されたコンテンツ情報を、通信部31からネットワークを介して車載装置20へ送信する(S5)。そうすると、車載装置20は、センター装置30から受信したコンテンツ情報を、車両運転中のユーザ(ドライバ)に提供する(S6)。
【0132】
このような本発明の第4の実施の形態の情報提供システムによっても、第2の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0133】
その上、本実施の形態では、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を事前に予測することができ、車両がその走行予定経路を走行するときには、その予測した将来のワークロード値に基づいて車両運転中のユーザへの情報提供の制御が適切に行われる。したがって、ワークロード値を推定するために、車両運転中のユーザから寄与行動に関するデータをリアルタイムで取得しなくても、事前に予測した将来のワークロード値に基づいて、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0134】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態の情報提供システムについて説明する。ここでは、第5の実施の形態の情報提供システムが、第3の実施の形態の情報提供装置と相違する点を中心に説明する。したがって、ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第3の実施の形態と同様である。
【0135】
図19は、本実施の形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。図19に示すように、この第5の実施の形態では、センター装置30が、定量化モデルを用いて、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を予測するワークロード予測部32を備えている。なお、将来のワークロード値を予測する方法は、第4の実施の形態と同様である。
【0136】
以下、第5の実施の形態の情報提供システムの動作を、図20を参照しながら説明する。
【0137】
第5の実施の形態の情報提供システムにおいて情報提供を行うときには、まず、車載装置20のデータ取得部6が、車載センサ(車両センサ3など)から寄与行動のデータ(運転WL寄与データなど)を取得し(S10)、モデルDB2に記憶されている定量化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う(S11)。そして、車載装置20は、通信部21からネットワークを介して、推定したワークロード値をセンター装置30へ送信する(S12)。また、この場合、車載装置20は、将来のワークロード値を予測するために、自車両の走行予定経路や現在位置などの情報もセンター装置30へ送信する(S16)。
【0138】
センター装置30は、車載装置20から走行予定経路や現在位置などの情報を受信すると、第4の実施の形態と同様の方法によって将来のワークロード値の予測を行う(S17)。また、センター装置30は、車載装置20からワークロード値を受信すると、それぞれのワークロード値に応じて情報提供の制御を行う(S13)。そして、センター装置30は、その情報提供の制御に基づいて決定されたコンテンツ情報を、通信部31からネットワークを介して車載装置20へ送信する(S14)。そうすると、車載装置20は、センター装置30から受信したコンテンツ情報を、車両運転中のユーザ(ドライバ)に提供する(S15)。
【0139】
このような本発明の第5の実施の形態の情報提供システムによっても、第3の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0140】
その上、本実施の形態では、車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を事前に予測することができ、車両がその走行予定経路を走行するときには、その予測した将来のワークロード値に基づいて車両運転中のユーザへの情報提供の制御が適切に行われる。したがって、ワークロード値を推定するために、車両運転中のユーザから寄与行動に関するデータをリアルタイムで取得しなくても、事前に予測した将来のワークロード値に基づいて、車両運転中のユーザに対してリアルタイムで情報提供をすることが可能になる。
【0141】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0142】
例えば、以上の説明では、将来のワークロードの予測がセンター装置30で行われる場合を例示したが、将来のワークロードの予測は車載装置20で行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上のように、本発明にかかる情報提供装置は、車両運転中のユーザの複数のワークロードを考慮した適切な情報提供を行うことができるという効果を有し、車両用のナビゲーション装置等として用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0144】
1 情報提供装置
2 モデルDB
3 車両センサ
4 視線カメラ
5 生体センサ
6 データ取得部
7 ワークロード推定部
8 情報DB
9 モニタ
10 スピーカ
11 情報提供制御部
12 正解データ記録部
13 正解データDB
14 モデル学習部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデル記憶手段と、
前記複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得するデータ取得手段と、
前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定するワークロード推定手段と、
前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う情報提供制御手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記正解データは、前記ユーザの寄与行動時の生体信号の記録に基づいて生成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記正解データは、前記ユーザの寄与行動時の主観評価の記録に基づいて生成されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記定量化モデルは、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザの寄与行動に対する前記ユーザのワークロード値を定式化した定式化モデルを含み、
前記定式化モデルで定式化されるワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードと、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードのいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記定式化モデルでは、前記ユーザの走行履歴に基づいて、前記ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した重み付け処理が行われることを特徴とする請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
車両運転中に前記正解データの記録を行う正解データ記録手段と、
車両運転中に記録した前記正解データを用いて、前記定量化モデルの学習処理を行うモデル学習手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記定量化モデルは、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を算出する確率推論モデルを含み、
前記確率推論モデルで用いられる前記複数のワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードと、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードのいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記車両運転中のユーザに対して提供される情報には、前記複数のワークロードごとに、前記情報をユーザが受け取るために要する消費ワークロード値が設定されており、
前記情報提供制御手段は、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値と前記消費ワークロード値の合計が前記ユーザの上限ワークロード値以下となるように、前記車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記車両運転中のユーザに対する情報提供には、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値の表示が含まれることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記車両運転中のユーザに対する情報提供には、前記車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報提供が含まれることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記情報提供制御手段は、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値が前記ユーザの下限ワークロード値以下である場合に、前記ワークロードを上昇させる刺激コンテンツ情報を提供するように、前記車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項12】
車両運転中のユーザに対して情報を提供する方法であって、
車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されており、
前記方法は、
前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得することと、
前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定することと、
前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行うことと、
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【請求項13】
車両運転中のユーザに対して情報を提供するためのプログラムであって、
メモリには、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されており、
前記プログラムは、コンピュータに、
前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得する処理と、
前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定する処理と、
前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う処理と、
を実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項14】
車両に搭載される車載装置と、前記車載装置と通信可能なセンター装置とで構成される情報提供システムであって、
前記情報提供システムは、
前記車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデル記憶手段と、
前記複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得するデータ取得手段と、
前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定するワークロード推定手段と、
前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う情報提供制御手段と、
を備え、
前記データ取得手段は、前記車載装置に備えられており、前記情報提供制御手段は、前記センター装置に備えられていることを特徴とする情報提供システム。
【請求項15】
前記センター装置は、前記定量化モデルを用いて、前記車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を予測するワークロード予測手段を備え、
前記情報提供制御手段は、前記将来のワークロード値に基づいて、前記走行予定経路を走行するときに、前記車両運転中のユーザに対して行われるべき情報提供の制御を行う、請求項14に記載の情報提供システム。
【請求項1】
車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデル記憶手段と、
前記複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得するデータ取得手段と、
前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定するワークロード推定手段と、
前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う情報提供制御手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記正解データは、前記ユーザの寄与行動時の生体信号の記録に基づいて生成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記正解データは、前記ユーザの寄与行動時の主観評価の記録に基づいて生成されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記定量化モデルは、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザの寄与行動に対する前記ユーザのワークロード値を定式化した定式化モデルを含み、
前記定式化モデルで定式化されるワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードと、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードのいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記定式化モデルでは、前記ユーザの走行履歴に基づいて、前記ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した重み付け処理が行われることを特徴とする請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
車両運転中に前記正解データの記録を行う正解データ記録手段と、
車両運転中に記録した前記正解データを用いて、前記定量化モデルの学習処理を行うモデル学習手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記定量化モデルは、前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を算出する確率推論モデルを含み、
前記確率推論モデルで用いられる前記複数のワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードと、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードと、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードのいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記車両運転中のユーザに対して提供される情報には、前記複数のワークロードごとに、前記情報をユーザが受け取るために要する消費ワークロード値が設定されており、
前記情報提供制御手段は、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値と前記消費ワークロード値の合計が前記ユーザの上限ワークロード値以下となるように、前記車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記車両運転中のユーザに対する情報提供には、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値の表示が含まれることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記車両運転中のユーザに対する情報提供には、前記車両運転中のユーザに対するサービス提供のための情報提供が含まれることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記情報提供制御手段は、前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値が前記ユーザの下限ワークロード値以下である場合に、前記ワークロードを上昇させる刺激コンテンツ情報を提供するように、前記車両運転中のユーザに対する情報提供の制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項12】
車両運転中のユーザに対して情報を提供する方法であって、
車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されており、
前記方法は、
前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得することと、
前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定することと、
前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行うことと、
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【請求項13】
車両運転中のユーザに対して情報を提供するためのプログラムであって、
メモリには、車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されており、
前記プログラムは、コンピュータに、
前記複数のワークロードごとに、前記車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得する処理と、
前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定する処理と、
前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う処理と、
を実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項14】
車両に搭載される車載装置と、前記車載装置と通信可能なセンター装置とで構成される情報提供システムであって、
前記情報提供システムは、
前記車両の運転に関連する複数の異なるワークロードごとに、前記ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データに基づいて、車両運転中のユーザの寄与行動から前記ワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデル記憶手段と、
前記複数のワークロードごとに、車両運転中のユーザから前記寄与行動に関するデータを取得するデータ取得手段と、
前記複数のワークロードごとに、前記定量化モデルを用いて、前記車両運転中のユーザの寄与行動のデータから前記ユーザのワークロード値を推定するワークロード推定手段と、
前記複数のワークロードごとに推定された前記ワークロード値に応じて、前記車両運転中のユーザに対して行われる情報提供の制御を行う情報提供制御手段と、
を備え、
前記データ取得手段は、前記車載装置に備えられており、前記情報提供制御手段は、前記センター装置に備えられていることを特徴とする情報提供システム。
【請求項15】
前記センター装置は、前記定量化モデルを用いて、前記車両が走行予定経路を走行するときの将来のワークロード値を予測するワークロード予測手段を備え、
前記情報提供制御手段は、前記将来のワークロード値に基づいて、前記走行予定経路を走行するときに、前記車両運転中のユーザに対して行われるべき情報提供の制御を行う、請求項14に記載の情報提供システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−33549(P2010−33549A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135283(P2009−135283)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【出願人】(302017089)株式会社ウィズダムテック (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【出願人】(302017089)株式会社ウィズダムテック (2)
【Fターム(参考)】
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