説明

感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法

【課題】高感度で且つ解像度・密着性及びマンドレル特性(硬化後のレジストの可とう性)が優れる感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法を提供することにある。
【解決手段】(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和光重合性モノマ、(C)光重合開始剤及び増感剤、(D)可塑剤として、その主骨格が(B)エチレン性不飽和光重合性モノマと同一または類似及びその誘導体を有する未反応性(飽和)化合物を含む感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板の製造分野において、エッチング及びめっき等に用いられるレジスト材料としては、感光性樹脂組成物およびそれに支持体と保護フィルムを用いて得られる感光性エレメントが広く用いられている。
プリント配線板は、感光性エレメントを銅基板上にラミネートして、パターン露光した後、未露光部分を現像液で除去し、エッチングまたはめっき処理を施して、パターンを形成させた後、硬化部分を基板上から剥離除去する方法によって製造されている。
感光性エレメントは、近年のプリント配線板の高密度化及び需要増大に伴い、従来の感光性エレメントに比べて高解像度・高密着性及び高作業性、高歩留化が要求されている。
これまでの感光性エレメントの技術では、バインダポリマ、光重合性モノマ及び光重合開始剤等により解像度・密着性を改良し、その結果、歩留の向上を実現してきたが、未だ十分とは言えない。また現在、光硬化後のレジストの可とう性(柔軟性)が良好な場合、現像時のレジストの欠落及びテント破れ等が減少し、歩留の向上に貢献できることが分かってきている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−327137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、解像度及び密着性に優れ、更に光硬化後のレジストの可とう性(柔軟性)が良好な感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和光重合性モノマ、(C)光重合開始剤及び増感剤、(D)可塑剤の主骨格が、(B)エチレン性不飽和光重合性モノマと同一または類似及びその誘導体を有する未反応性(飽和)化合物を含む感光性樹脂組成物に関する。
【0006】
前記(A)バインダーポリマーは、少なくとも(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルを共重合成分の構成モノマとすることが好ましい。
【0007】
また、本発明は,前記感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥してなる感光性エレメントに関する。
また、本発明は、前記感光性エレメントを、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造法に関する。
また、本発明は、前記レジストパターンの製造法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチングまたはめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法は、解像度・密着性及び光硬化後のレジストの可とう性(柔軟性)を良好にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和光重合性モノマ、(C)光重合開始剤及び増感剤、(D)可塑剤を有する感光性樹脂組成物において、前記(D)可塑剤の主骨格が(B)エチレン性不飽和光重合性モノマと同一(または類似)及びその誘導体を有する未反応性(飽和)化合物を含むことを特徴とする。
【0011】
前記(A)バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸などが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、一般式(I)で表される化合物、これらの化合物のアルキル基に水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等が置換した化合物などが挙げられる。
【0012】
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す)
【0013】
上記一般式(I)中のRで示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
【0014】
上記一般式(I)で表される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
前記(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含有させることが好ましく、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、メタクリル酸が好ましい。また、前記(A)バインダーポリマーは、可とう性の見地からスチレンまたはスチレン誘導体を重合性単量体として含有させることが好ましい。
【0016】
上記スチレンまたはスチレン誘導体を共重合成分として、密着性及び剥離特性を共に良好にするには、2〜30重量%含むことが好ましく、2〜28重量%含むことがより好ましく、2〜27重量%含むことが特に好ましい。この含有量が2重量%未満では密着性が劣る傾向があり、30重量%を超えると剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向がある。
【0017】
これらのバインダーポリマーは、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーなどが挙げられる。また、特開平11−327137号公報記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用するもできる。
【0018】
前記(B)エチレン性不飽和光重合性モノマの例としては、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられるが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物または分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物を必須成分とすることが好ましい。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
【0019】
前記(C)光重合開始剤及び増感剤の例としては、アクリジンまたは分子内に少なくとも1つのアクリジニル基を有するアクリジン系化合物、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オニウム塩などが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
【0020】
前記(D)可塑剤の例としては、分子内にウレタン結合を有する(ジ)アルコール及びその誘導体、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアルコール及びその誘導体、ビスフェノールA骨格有するエチレンオキシド変性または(並びに)プロピレンオキシド変性(ジ)アルコール及びその誘導体などといった、前記(B)エチレン性不飽和光重合性モノマの主骨格の末端をジアルコール及びその誘導体とした化合物である。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
【0021】
前記(A)バインダーポリマーの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、40〜80重量部であることが好ましく、45〜70重量部であることがより好ましい。この配合量が40重量部未満では光硬化物が脆くなり易く、感光性エレメントとして用いた場合に塗膜性が劣る傾向があり、80重量部を超えると光感度が不充分となる傾向がある。
【0022】
前記(B)エチレン性不飽和光重合性モノマの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、20〜60重量部であることが好ましく、30〜55重量部であることがより好ましい。この配合量が20重量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、60重量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
【0023】
前記(C)光重合開始剤及び増感剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましく、0.1〜3重量部であることがより好ましい。この配合量が0.01重量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、5重量部を超えると露光の際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光硬化が不充分となる傾向がある。
【0024】
前記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモメチルフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
【0025】
前記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶剤またはこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60重量%程度の溶液として塗布することができる。
【0026】
前記感光性樹脂組成物は、特に制限はないが、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、感光性エレメントの形態で用いられることが好ましい。
【0027】
また、感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。液状レジストに保護フィルムを被覆して用いる場合は、保護フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどが挙げられる。
【0028】
上記感光性エレメントは、例えば、支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥することにより得ることができる。上記塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。
【0029】
これらの重合体フィルムの厚みは、1〜100μmとすることが好ましい。これらの重合体フィルムの一つは感光性樹脂組成物層の支持体として、他の一つは感光性樹脂組成物の保護フィルムとして感光性樹脂組成物層の両面に積層してもよい。保護フィルムとしては、感光性樹脂組成物層及び支持体の接着力よりも、感光性樹脂組成物層及び保護フィルムの接着力の方が小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。
【0030】
また、前記感光性エレメントは、感光性樹脂組成物層、支持体及び保護フィルムの他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
前記感光性エレメントは、例えば、そのまままたは感光性樹脂組成物層の他の面に保護フィルムをさらに積層して円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。なお、この際支持体が1番外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
【0031】
上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。
上記感光性エレメントを用いてレジストパターンを製造するに際しては、前記の保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去後、感光性樹脂組成物層を70〜130℃程度に加熱しながら回路形成用基板に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm程度)の圧力で圧着することにより積層する方法などが挙げられ、減圧下で積層することも可能である。積層される表面は、通常金属面であるが、特に制限はない。
【0032】
このようにして積層が完了した感光性樹脂組成物層は、ネガまたはポジマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。上記活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。
【0033】
次いで、露光後、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、レジストパターンを製造することができる。上記アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。上記アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
【0034】
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱または0.2〜10J/cm程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
現像後に行われる金属面のエッチングには、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
【0035】
本発明の感光性エレメントを用いてプリント配線板を製造する場合、現像されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の表面を、エッチング、めっき等の公知方法で処理する。上記めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっきなどがある。次いで、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。上記強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10重量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10重量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。上記剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレイ方式等が挙げられる。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の好適な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3及び比較例1〜3)
表1及び表2に示す材料を配合し、感光性樹脂組成物溶液を得た。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
なお、表1及び表2において使用した材料を下記に示す。
M−113:下記式(2)で示されるノニルフェニルポリエチレン変性アクリレート(東亜合成化学株式会社製商品名)。
【0040】
【化2】

【0041】
BPE−500:下記式(3)において、m+n=10(平均値)である化合物(新中村化学工業株式会社製商品名)。
【0042】
【化3】


【0043】
UA−13:下記式(4)で示されるEO、PO変性ウレタンジメタクリレート(新中村化学株式会社製商品名)。
【0044】
【化4】

【0045】
*可塑剤1:下記式(5)において、m+n=10(平均値)である化合物。
【0046】
【化5】

【0047】
*可塑剤2:下記式(6)で示されるEO、PO変性ウレタンジオール。
【0048】
【化6】

【0049】
次いで、得られた感光性樹脂組成物の溶液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製商品名HTR−02−16)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した後、ポリエチレン製保護フィルム(タマポリ株式会社製商品名NF−13)で保護し感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は40μmであった。
【0050】
次いで、銅箔(厚み35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張積層板(日立化成工業株式会社製商品名MCL−E−61)の銅表面を#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓株式会社製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥し、得られた銅張積層板を80℃に加温し、その銅表面上に前記感光性樹脂組成物層を保護フィルムを剥がしながら110℃のヒートロールを用い1.5m/分の速度でラミネートした。
【0051】
次に、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク株式会社製商品名HMW−201B)を用いて、ネガとして日立41段ステップタブレットを試験片の上に置いて露光した。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーし(スプレー(現像)時間:最少現像時間×2)、未露光部分を除去した後、銅張積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数(x/41)を測定し、ST=23/41を示す露光量(mJ/cm)を光感度とした。この露光量が小さいほど、光感度が高いことを示す。
最少現像時間は未露光部のレジストが現像処理によって完全に除去された時間を測定した。
【0052】
解像度は、日立41段ステップタブレットを有するフォトツールと解像度評価用ネガとしてスペース幅/ライン幅が6/400〜47/400(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、日立41段ステップタブレットの現像(現像時間:最少現像時間×2)後における残存ステップ段数が23.0となるエネルギー量で露光を行った。ここで、解像度は、現像処理によって未露光部をきれいに除去することができたライン幅間のスペース幅の最も小さい値により評価した。解像度の評価は数値が小さいほど良好な値である。
【0053】
密着性は、日立41段ステップタブレットを有するフォトツールと密着性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が6/400〜47/400(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、日立41段ステップタブレットの現像(現像時間:最少現像時間×2)後における残存ステップ段数が23.0となるエネルギー量で露光を行った。ここで密着性は、現像後、ラインを形成しているレジストが基板にしっかりと密着していて剥がれている箇所が無く、また、ラインが蛇行していたり、曲がったりしていないライン幅の最も小さい値により評価した。密着性の評価は数値が小さいほど良好な値である。
【0054】
マンドレル特性はFPC基板(ユピセルN(銅厚:12μm):宇部興産株式会社製)を用い、ラミネート(温度:110℃、圧力:0.4MPa、速度:2.0m/分)、露光(ST=23/41)、現像(最少現像時間×2)し評価用基板を作製する。作製したFPC基板1を、図1に示したようにマンドレル2に掛け、約90度に折り曲げて、レジストが剥れるマンドレルの径を評価した。径の数値が小さいほど可とう性(柔軟性)に優れる。
以上の結果をまとめて表3に示した。
【0055】
【表3】

【0056】
表3から明らかなように、実施例1、2、3は高感度で且つ解像度・密着性及びマンドレル特性(硬化後のレジストの可とう性)が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】マンドレル試験方法である。
【符号の説明】
【0058】
1:FPC基板
2:マンドレル




【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和光重合性モノマ、(C)光重合開始剤及び増感剤、(D)可塑剤として、その主骨格が(B)エチレン性不飽和光重合性モノマと同一または類似及びその誘導体を有する未反応性(飽和)化合物を含む感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)バインダーポリマーが、少なくとも(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルを共重合成分の構成モノマとすることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥してなる感光性エレメント。
【請求項4】
請求項3記載の感光性エレメントを、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造法。
【請求項5】
請求項4記載のレジストパターンの製造法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチングまたはめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法。




【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−101863(P2007−101863A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291105(P2005−291105)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】