説明

感光性樹脂組成物及び硬化物

【課題】高透明性を実現しながら、耐熱黄変性と耐光黄変性に優れた硬化膜、及び硬化膜を与える感光性樹脂組成物の提供。
【解決手段】(a)下記一般式(1)で表されるシラノール化合物及び下記一般式(2)で表されるアルコキシシラン化合物、及び触媒を混合し、水を添加することなく重合させる方法で得られる、ポリオルガノシロキサン100質量部;(b)光重合性モノマー:水添ビスフェノールA構造を有する化合物10〜400質量部;及び(c)光重合開始剤1〜50質量部;を含む感光性樹脂組成物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に光学用途を目的とした半導体デバイス、マイクロプラスチックレンズ、液晶偏光板、光導波路などの電気部品として有用な感光性樹脂組成物、及び半導体デバイス、多層配線基板などの電気・電子材料に用いられる樹脂絶縁膜に関する。本発明は、特に、タッチパネル用途における絶縁セパレータ等の永久膜レジストとして使用される感光性樹脂組成物及び硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子や半導体素子、多層配線基板などの電気・電子材料に、UV硬化性を有する樹脂が広く用いられ、感光性樹脂組成物のニーズが急速に高まってきている。このような用途には、高透明性、耐熱黄変性、クラック耐性、耐光黄変性等の特性が必要とされる。
【0003】
樹脂絶縁膜に有用な材料は多種多様存在する。例えば、以下の特許文献1には、ポリオルガノシロキサンを用いた透明感光性樹脂組成物が開示され、リフロー試験後の硬化膜のクラック耐性、高透明性の保持等、光学材料として優れた特性を示している。しかしながら、特許文献1に記載された透明感光性樹脂組成物は、高屈折率を保持するため芳香族基、すなわち炭素間の二重結合を多く含有しており、耐熱黄変性やクラック耐性は保持するが、耐光黄変性について十分な物性を付与することは難しい。
【0004】
一方、以下の特許文献2には、脂環式構造を含むジ(メタ)アクリレートを含有する感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−131272号公報
【特許文献2】特開2004−184878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の感光性樹脂組成物の欠点を解決するものであり、高透明性を実現しながら、耐熱黄変性と耐光黄変性に優れた硬化膜及び該硬化膜を与える感光性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討し、シロキサンを含む感光性樹脂に関する研究を重ね、特定の少なくとも2種類のシラン化合物を混合し、特定の触媒を用いて重合させたポリオルガノシロキサンに、光重合開始剤を添加し、さらに、特定構造を有する化合物を用いることで、高透明性を実現しながら、耐熱黄変性及び耐光黄変性を両立した感光性樹脂組成物が得られることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の[1]〜[16]に記載の通りのものである。
[1]下記(a)〜(c)成分:
(a)下記一般式(1):
【化1】

{式中、Rは、それぞれ独立に、芳香族基を少なくとも1つ含む炭素数6〜18の有機基である。}で表される少なくとも1種のシラノール化合物、下記一般式(2):
【化2】

{式中、Rは、エポキシ基及び炭素−炭素二重結合基からなる群より選択される1つの基を少なくとも1つ含む炭素数2〜17の有機基であり、複数存在する場合のRは同一であっても異なっていてもよく、R及び複数のRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であり、aは、1又は2の整数であり、bは、0又は1の整数であり、そしてa+bは、2以下である。}で表される少なくとも1種のアルコキシシラン化合物、及び触媒を混合し、積極的に水を添加することなく重合させる方法で得られる、ポリオルガノシロキサン100質量部;
(b)下記一般式(3):
【化3】

{式中、R、Rは、H又はCHであり、これらは同一であっても異なっていてもよく、また、A及びBは、炭素数が2〜4個のアルキレン基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、m、m、n、nは、正の整数であり、m、m、n、nの合計は、2〜30である。}で表される化合物10〜400質量部;及び
(c)光重合開始剤1〜50質量部;
を含む感光性樹脂組成物。
【0009】
[2]前記(a)ポリオルガノシロキサンが、上記一般式(1)で示されるシラノール化合物としてジフェニルシランジオールを用い、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物としてaが1であり、bが0である化合物を用いて重合したものである、前記[1]に記載の感光性樹脂組成物。
【0010】
[3]前記(a)ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(4):
【化4】

{式中、Mは、ケイ素、ゲルマニウム、チタニウム又はジルコニウムのいずれかであり、そしてRは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。}で表される金属アルコキシド、及び下記一般式(5):
【化5】

{式中、Mは、ホウ素又はアルミニウムであり、そしてR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。}で表される金属アルコキシドの内の少なくとも1つの触媒を用いて重合したものである、前記[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
【0011】
[4]前記(a)ポリオルガノシロキサンが、上記一般式(1)で示されるシラノール化合物としてジフェニルシランジオールを用い、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルエチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、及びp−スチリルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を用いて重合したものである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0012】
[5](d)下記一般式(6):
【化6】

{式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であり、c及びdは、0又は正の整数であり、c+d=0〜24であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、そしてフルオレン骨格は、炭素数1〜28の置換基を有していてもよい。}で表されるフルオレン化合物30〜600質量部をさらに含む、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
[6](e)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する、前記(b)成分又は(d)成分以外の化合物10〜150質量部をさらに含む、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0014】
[7](f)シランカップリング剤1〜100質量部をさらに含む、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0015】
[8](g)スルファニル基を少なくとも2つ以上含む多価チオール化合物1〜50質量部をさらに含む、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0016】
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を光硬化して得られうる硬化物。
【0017】
[10]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を成型用の型に充填するステップ、該成型用の型の開口部を基板に押し付けるステップ、露光するステップ、該型を剥離するステップ、及び基材ごと加熱するステップを含む成型物の製造方法。
【0018】
[11]前記型の開口部を基板に押し付けるステップの前に、前記基板上に、シランカップリング剤を塗布するステップを含み、該型の開口部を基板に押し付けるステップにおいては、該型の開口部を基板の該シランカップリング剤を塗布した面に押し付ける、前記[10]に記載の成型物の製造方法。
【0019】
[12]前記露光するステップの前に、前記型の開口部を基板に押し付けたまま、該基板ごと50〜150℃で1分間〜30分間加熱するステップを含む、前記[10]に記載の成型物の製造方法。
【0020】
[13]前記[10]に記載の方法によって得られうる成型物。
【0021】
[14]基材上に前記[1]〜[8]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を得るステップ、該塗布膜に活性光線を照射し露光部を光硬化させるステップ、現像液を用いて該膜の未硬化の部分を除去するステップ、及び該基材ごと加熱するステップを含む硬化レリーフパターンの形成方法。
【0022】
[15]前記[14]に記載の方法によって得られうる硬化レリーフパターン。
【0023】
[16]前記[15]に記載の硬化レリーフパターンを含む半導体装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、高透明性を実現しながら、耐熱黄変性と耐光黄変性を兼ね備えた硬化膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
<感光性樹脂組成物>
(a)ポリオルガノシロキサン
本発明に係る感光性樹脂組成物に用いられるポリオルガノシロキサンは、下記一般式(1):
【化7】

{式中、Rは、それぞれ独立に、芳香族基を少なくとも1つ含む炭素数6〜18の有機基である。}で表される少なくとも1種のシラノール化合物、下記一般式(2):
【化8】

{式中、Rは、エポキシ基及び炭素−炭素二重結合基からなる群より選択される1つの基を少なくとも1つ含む炭素数2〜17の有機基であり、複数存在する場合のRは同一であっても異なっていてもよく、R及び複数のRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であり、aは、1又は2の整数であり、bは、0又は1の整数であり、そしてa+bは2以下である。}で表される少なくとも1種のアルコキシシラン化合物、及び触媒を混合し、積極的に水を添加することなく重合させる方法で得られる。
【0026】
上記一般式(1)で示されるシラノール化合物(以下、単に「シラノール化合物」ともいう。)において、Rは、芳香族基を少なくとも1つ含む炭素数6〜18の有機基であるが、具体的には、以下の構造:
【化9】

{式中、Aは、炭素原子数1〜4のアルキル基、−CH=CH、−CH=CH−CH、及び−CH−CH=CHからなる群から選ばれる一種の基であり、yは、0、1又は2の整数であり、そしてAは、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。}で表される基の中から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましい。
【0027】
好適なシラノール化合物としては、ジフェニルシランジオール、ジ−p−トルイルシランジオール、ジ−p−スチリルシランジオール、ジナフチルシランジオールなどが挙げられるが、共重合、耐熱性の観点などを考慮すると、ジフェニルシランジオール(以下、「DPD」ともいう。)が好適である。
【0028】
上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物(以下、単に「アルコキシシラン化合物」ともいう。)において、Rは、エポキシ基、及び炭素−炭素二重結合基からなる群より選択される少なくとも1つの基を含む炭素数2〜17の有機基である。Rの具体例としては、以下の構造:
【化10】

{式中、Bは、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、zは、0、1又は2の整数であり、そしてBは、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。}で表される基の中から選ばれることが好ましい。
【0029】
好適なアルコキシシラン化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルエチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、ビニルエチルトリエトキシシラン、1−プロペニルトリメトキシシラン、1−プロペニルトリエトキシシラン、2−プロペニルトリメトキシシラン、2−プロペニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−(1−プロペニルフェニル)トリメトキシシラン、p−(1−プロペニルフェニル)トリエトキシシラン、p−(2−プロペニルフェニル)トリメトキシシラン、p−(2−プロペニルフェニル)トリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、p−スチリルメチルジメトキシシラン、p−スチリルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0030】
中でも、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物としては、aが1であり、かつ、bが0である化合物が好ましい。
さらに、優れたUV−i線感光特性を得るためには、光重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルエチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランがより好ましく、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルエチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがさらに好ましく、入手性、汎用性、反応の進行性の観点から3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0031】
前記触媒としては、シラノール化合物のシラノール基と、アルコキシシラン化合物のアルコキシシリル基との脱アルコール縮合反応を促進する化合物を使用できる。
好適な触媒としては、下記一般式(4):
【化11】

{式中、Mは、ケイ素、ゲルマニウム、チタニウム又はジルコニウムのいずれかであり、そしてRは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。}で表される金属アルコキシド、及び下記一般式(5):
【化12】

{式中、Mは、ホウ素又はアルミニウムであり、そしてR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。}で表される金属アルコキシド(以下、単に「金属アルコキシド」ともいう。)の内の少なくとも1つの触媒、又はアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0032】
中でも、上記一般式(4)及び上記一般式(5)からなる群より選択される少なくとも1つの金属アルコキシドであることが好ましい。上記一般式(4)又は上記一般式(5)で示される金属アルコキシドは、シラノール化合物(シラノール基)とアルコキシシラン化合物(アルコキシシリル基)の脱アルコール縮合反応を触媒しつつ、自身もアルコキシ基含有化合物として振る舞って脱アルコール縮合反応に関与し、分子内に取り込まれる形でポリシロキサン又はポリシルセスキオキサン構造を形成する。
【0033】
その混合比率は、シラノール化合物とアルコキシシラン化合物をモル比1:1で混合するのを基本とし、シラノール化合物50モルに対して、アルコキシシラン化合物を30〜70モルの割合で混合できる。ここに金属アルコキシドを混合するに際して、上記アルコキシシラン化合物の一部を置き換える(アルコキシシラン化合物混合量を一定の比率で減じる)形で全体の混合比を調整するのが好ましい。
【0034】
具体的には、金属アルコキシドとして、上記一般式(4)で表される4価の金属アルコキシドを用いる場合には、該4価の金属アルコキシドと上記アルコキシシラン化合物を、それぞれ1:2のモル比で換算して、置き換える(該4価の金属アルコキシド混合量を1モル増やす毎に、上記アルコキシシラン化合物を2モル減じる)のが好ましい。また、上記一般式(5)で示される3価の金属アルコキシドを用いる場合には、該3価の金属アルコキシドと上記アルコキシシラン化合物を、それぞれ2:3のモル比で換算して、置き換えるのが好ましい。
【0035】
上記シラノール化合物と上記アルコキシシラン化合物の総モル%に対する触媒添加量は、0.05〜10モル%が好ましく、0.1〜3モル%がより好ましい。
また、好適な上記3価又は4価の金属アルコキシドとしては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−iso−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−n−プロポキシボロン、トリ−iso−プロポキシボロン、トリ−n−ブトキシボロン、トリ−iso−ブトキシボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−tert−ブトキシボロンテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−iso−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラ−n−プロポキシゲルマニウム、テトラ−iso−プロポキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、テトラ−iso−ブトキシゲルマニウム、テトラ−sec−ブキシゲルマニウム、テトラ−tert−ブトキシゲルマニウム、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−iso−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−nブトキシジルコニウム、テトラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
【0036】
中でも、得られる液体樹脂の透明性の観点、及び迅速かつ均一な重合反応を達成する観点から、触媒は、反応温度領域で液状であることが好ましく、また、触媒としての活性の高さや入手性等も考慮すると、触媒としてテトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタンが好ましく用いられる。
好適なアルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。また、好適なアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物及びその水和物が挙げられる。
【0037】
好適に用いられるシラノール化合物、アルコキシシラン化合物、及び触媒を適宜混合し、加熱することにより、ポリオルガノシロキサンを重合生成させることができる。この際の加熱温度は、生成するポリオルガノシロキサンの重合度を制御する上で重要なパラメーターである。目的の重合度にもよるが、上記原料混合物を70℃〜150℃で加熱し、重合させるのが好ましい。
【0038】
入手性、汎用性、反応の進行性の観点から3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをアルコキシシラン化合物として用いる場合、より透明性の高いポリオルガノシロキサンを得る観点から、触媒の重合時添加量は0.05モル%以上1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以上0.5モル%以下である。
【0039】
金属アルコキシドの重合添加量の上限は、目的とするポリオルガノシロキサンの性能に依存する。その最低必要量から計算して、金属アルコキシドの重合添加量の上限は、好適に用いられるシラノール化合物の総モル%に対して、40モル%以下が好ましく、より好ましくは30モル%以下である。
重合の反応条件は、40℃〜150℃で0.1〜10時間であることが好ましい。
上記シラノール化合物と上記アルコキシシラン化合物を、積極的に水を添加することなく75〜85℃の温度で30〜1時間加水分解するステップを経たものとしては、ドイツ国 Fraunhofer ISC社から「ORMOCER」ONE(登録商標)として入手することができる。
【0040】
(b)一般式(3)で表される構造を有する化合物
本発明に係る感光性樹脂組成物には、下記一般式(3):
【化13】

{式中、R、及びR は、H又はCHであり、これらは同一であっても異なっていてもよく、A、及びBは、炭素数が2〜4個のアルキレン基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、m 、m 、n 、及びn は、正の整数であり、そしてm 、m 、n 、及びn の合計は、2〜30である。}。で表される構造を有する化合物(以下、「水添ビスフェノールA構造を有する化合物」ともいう)を必須成分として含む。上記一般式(3)におけるA及びBの代表例としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。1種類のアルキレン基のみで構成されていても、複数の種類のアルキレン基の混合物でもよい。エチレン基又はイソプロピレン基が好ましい。
【0041】
アルキレンオキシ(A−O)鎖、及び(B−O)鎖の数としては、m 、m 、n 、及びn の合計が、2〜30の範囲である。4〜14の範囲が好ましい。一般式(3)で示される光重合性モノマーの具体例としては、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリエトキシ)シクロヘキシル}プロパン又は2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリエトキシ)シクロヘキシル}プロパンのエトキシ基がモノエトキシ、ジエトキシ、トリエトキシ、テトラエトキシ、ペンタエトキシ、ヘキサエトキシ、ヘプタエトキシ、オクタエトキシ、ノナエトキシ、デカエトキシ、ウンデカエトキシ、ドデカエトキシ、トリデカエトキシ、テトラデカエトキシ、ペンタデカエトキシであるもの、また、アルキレン基がエチレン基とプロピレン基との混合物であるものも挙げられ、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリアルキレンオキシ)シクロヘキシル}プロパン又は2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリアルキレンオキシ)シクロヘキシル}プロパンのアルキレンオキシ基がオクタエトキシとジプロピルオキシのブロック構造の付加物やランダム構造の付加物、テトラエトキシとテトラプロピルオキシのブロック構造10の付加物やランダム構造の付加物が挙げられる。これらの中でも、ペンタエトキシのジメタクリレートが最も好ましい。
【0042】
(b)一般式(3)で表される構造を有する化合物(水添ビスフェノールA構造を有する化合物)の添加量は、(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、10〜400質量部であることが好ましいが、50〜200質量部であることがより好ましい。添加量が10質量部以上であれば、耐熱性に優れた硬化膜を得ることができる。また、耐熱黄変性の観点から、水添ビスフェノールA構造を有する化合物の添加量は400質量部以下になることが好ましい。
【0043】
(c)光重合開始剤
本発明に係る感光性樹脂組成物には、感光性を付与する目的で、光重合開始剤を添加する。好ましい光重合開始剤としては、365nmに吸収を持つ以下の化合物が挙げられる。
(1)ベンゾフェノン誘導体:例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン;
(2)アセトフェノン誘導体:例えば、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(チバ・ジャパン株式会社製DAROCUR 1173);
【0044】
(3)チオキサントン誘導体:例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン;
(4)ベンジル誘導体:例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール;
(5)ベンゾイン誘導体:例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン;
(6)オキシム系化合物:例えば、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](チバ・ジャパン株式会社製OXE−01)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン株式会社製IRGACURE OXE02);
【0045】
(7)α−ヒドロキシケトン系化合物:例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン;
(8)α−アミノアルキルフェノン系化合物:例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバ・ジャパン株式会社製IRGACURE369)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン;
(9)フォスフィンオキサイド系化合物:例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン株式会社製IRGACURE 819);
【0046】
(10)チタノセン化合物:例えば、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム;
(11)ベンゾエイト誘導体:例えば、エチル−p−(N,N−ジメチルアミノベンゾエイト);及び
(12)アクリジン誘導体;例えば、9−フェニルアクリジン。
これらの光重合開始剤の使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でもかまわない。
【0047】
上記した光重合開始剤の中では、高感度の点で、上記(2)アセトフェノン誘導体、上記(8)α−アミノアルキルフェノン系化合物、又は上記(9)フォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。さらに、成形物の高透明性及び高感度の点で、上記(9)フォスフィンオキサイド系化合物、中でも、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン株式会社製IRGACURE 819(登録商標)、以下「IRGACURE 819」ともいい、下記式(8):
【化14】

で表される化合物。)、又は上記(2)アセトフェノン誘導体、中でも、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(チバ・ジャパン株式会社製DAROCUR 1173(登録商標)、以下、「DAROCUR 1173」ともいい、下記式(9):
【化15】

で表される化合物。)が好ましく、さらにIRGACURE 819とDAROCUR 1173の両者を用いることがより好ましい。
【0048】
(c)光重合開始剤の添加量は、(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、1〜50質量部とするのが好ましく、2〜30質量部とするのがより好ましい。添加量が1質量部以上であれば、露光に際して、光ラジカル重合が充分に進行するだけのラジカルが供給され、露光部の硬化が十分に進行するので、実用的な硬化成形物を得ることができる。光重合開始剤の添加量が50質量部以下であれば、塗膜表面付近での露光吸収が大きくなりすぎることはなく、基板面付近まで露光光線が到達し、光ラジカル重合が膜厚方向で均一となるため、実用的な硬化成形物を得ることができる。
【0049】
(d)フルオレン化合物
本発明に係る感光性樹脂組成物には、下記一般式(6):
【化16】

{式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であり、c及びdは、0又は正の整数であり、c+d=0〜24であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、そしてフルオレン骨格は、炭素数1〜28の置換基を有していてもよい。}で表されるフルオレン化合物が用いられる。
【0050】
中でも下記一般式(7):
【化17】

{式中、e及びfは、それぞれ独立に、1又は2である。}で表されるフルオレン化合物であることが好ましい。とりわけ、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下、「A−BPEF」ともいう。)が好ましい。
【0051】
(d)フルオレン化合物の添加量は、(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、30〜600質量部であることが好ましいが、50〜200質量部であることがより好ましい。添加量が100質量部以上であれば、耐温度衝撃性に優れた硬化膜を得ることができる。また、耐熱性及び耐温度衝撃性の観点から、フルオレン化合物の添加量は600質量部以下になることが好ましい。また、耐光性の観点から、フルオレン化合物の添加量は、200質量部以下になることがより好ましい。
【0052】
(e)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する上記(b)成分又は(d)成分以外の化合物
本発明に係る感光性樹脂組成物には、硬化性の向上、密着性の向上、硬化成形物の柔軟性の向上、感光性樹脂組成物の低粘度化によるハンドリング性向上を含む優れた特性を有する感光性樹脂組成物を提供するために、(e)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する上記(b)成分又は(d)成分以外の化合物を、添加することが好ましい。これらの化合物は、単独で又は2種以上の混合物として使用されうる。本明細書中、用語「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。
【0053】
感光性樹脂組成物に、上記(e)成分として、芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物をさらに含むことは、硬化性の向上、密着性の向上、及び硬化成形物の柔軟性向上等の観点から好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物は、構造内にケイ素を含有せず、芳香族基を含有する(メタ)アクリレート化合物である。例として、フェノキシエチルアクリレート(以下、「PEA」ともいう。)、パラフェニルフェノキシエチルアクリレート(東亞合成株式会社製アロニックスTO−1463)、パラフェニルフェニルアクリレート(東亞合成株式会社製アロニックスTO−2344)、フェニルグリシジルエーテルアクリレート(以下、「PGEA」ともいう。)、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、3〜15モルのエチレンオキサイドで変性させたフェノール(メタ)アクリレート、1〜15モルのエチレンオキサイドで変性させたクレゾール(メタ)アクリレート、1〜20モルのエチレンオキサイドで変性させたノニルフェノール(メタ)アクリレート、1〜15モルのプロピレンオキサイドで変性させたノニルフェノール(メタ)アクリレート、1〜30モルのエチレングリコール鎖を含むジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのプロピレングリコール鎖を含むジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのエチレンオキサイドで変性させたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのプロピレンオキサイドで変性させたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのエチレンオキサイドで変性させたビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、及び1〜30モルのプロピレンオキサイドで変性させたビスフェノールFジ(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上の混合物で使用されうる。
【0054】
(e)成分の添加量は、(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して10〜150質量部であることが好ましく、15〜100質量部であることがより好ましい。また、(e)成分の添加量は、硬化時の収縮や温度衝撃によるクラックをさらに防ぐ観点から(d)フルオレン化合物100質量部に対して、25〜100質量部であることが好ましく、30〜50質量部でありことがより好ましい。
【0055】
(f)シランカップリング剤
本発明に係る感光性樹脂組成物には、ガラス、金属等の無機材料基板への高い密着性を保持した感光性樹脂組成物を提供する目的のために、シランカップリング剤をさらに添加しても構わない。添加する際に好ましいシランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3ジメチル−ブチリデン)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(p−ビニルベンジル)−N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン塩酸塩、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上の混合物として使用されうる。
【0056】
前記したシランカップリング剤の中では、特に価格や有害性の観点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株KBM−403)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株KBM−503)(以下、「MEMO」ともいう。)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株KBE−903)が好ましい。
【0057】
(f)シランカップリング剤を含有する場合の添加量は、(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、1〜100質量部とするのが好ましく、10〜50質量部とするのがより好ましい。添加量が1質量部以上であれば、ガラス、金属等の無機材料基板に対して優れた密着性を持つ硬化成形物を得ることができる。添加量が250質量部以下であれば、高屈折、成型性を維持したまま実用的な硬化成形物を得ることができる。
【0058】
(g)スルファニル基を少なくとも2つ以上含む多価チオール化合物
本発明の感光性樹脂組成物には、有機薄膜への接着性を改善するために、スルファニル基(−SH基、メルカプト基)を少なくとも2つ以上含む多価チオール化合物を添加することができる。チオール基を1つ含む1価チオール化合物の添加では有機薄膜への接着性の改善効果は得られ難い。好ましいものとしては以下の化合物が挙げられる。
【0059】
(1)2価チオール化合物
1,2―エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ブタンジチオール、3,6−ジオキサー1,8−オクタンジチオール、3,7−ジチアー1,9−ノナンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、2,3−ジアミノー1,4−ベンゼンジチオール、4,5−ジメチル−O−キシレンジチオール、トルエンー3,4−ジチオール、4,4’−ビフェニルジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、6−(ジブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、2−アミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(4’−アニリノフェニルiso−プロピルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(3’,5’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、キノキサリンー2,3−ジチオール、プリン−2,6−ジチオール、1,3,4−チアジアゾールー2,5−ジチオール、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(昭和電工(株)製 カレンズMT BD1)
【0060】
(2)3価チオール化合物
1,3,5−ベンゼントリチオール、s−トリアジン−2,4,6−トリチオール、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン)(昭和電工(株)製 カレンズMT NR1)
【0061】
(3)4価チオール化合物
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工(株)製 カレンズMT PE1)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(堺工業(株)製 PEMP)
また、これらの使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でも構わない。
【0062】
これらの多価チオール化合物のなかで有機薄膜への接着性について(3)4価チオールであるペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工(株)製 カレンズMT PE1)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(堺工業(株)製 PEMP)(以下、「PEMP」ともいう。)が特に好適である。その添加量は、本発明の(a)成分100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。添加量が1質量部を上回ると、有機薄膜への接着性は改善される。添加量が50質量部を下回ると、加熱硬化の過程での体積収縮が小さく好ましい。
【0063】
(h)溶媒
本発明に係る感光性樹脂組成物においては、溶媒を添加して粘度を調整することもできる。好適な溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)、N−エチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう。)、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン(以下、「GBL」ともいう。)、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどが挙げられ、これらは単独で又は二種以上の組合せで用いることができる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが、特に好ましい。これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、感光性樹脂組成物に適宜加えることができるが、(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、0〜200質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0064】
(i)その他の添加剤
本発明に係る感光性樹脂組成物には、所望に応じ、光感度向上のための増感剤を添加することができる。このような増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、2−(4’−ジメチルアミノシンナミリデン)インダノン、2−(4’−ジメチルアミノベンジリデン)インダノン、2−(p−4’−ジメチルアミノビフェニル)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)アセトン、1,3−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−p)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレンなどが挙げられる。また、これらの化合物は、単独で又は2種以上の混合物として使用されうる。増感剤の添加量は、他の添加剤成分量に依存するが、(a)ポリオルガノシロキサンに対して0〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
【0065】
本発明に係る感光性樹脂組成物には、所望により、保存時の粘度や光感度の安定性を向上させる目的で、重合禁止剤を添加することができる。このような重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル)フェニルメタンなどを用いることができる。重合禁止剤の添加量は、(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、0〜5質量部であることが好ましく、0.01〜1質量部であることがより好ましい。
【0066】
本発明に係る感光性樹脂組成物には、本発明に係る感光性樹脂組成物に要求される諸特性を阻害するものでない限り、必要に応じて、塗膜平滑性付与剤などの種々の添加剤を適宜配合することができる。
【0067】
<成型物の製造方法>
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いた成型物の製造方法を述べる。
成型物としては、例えば、マイクロプラスチックレンズや液晶偏光板用光学素子が挙げられる。
ここで、マイクロプラスチックレンズとは、一般に直径数mm以下の微小なプラスチック製のレンズのことを示しており、CCD撮像素子やLCDプロジェクターでは光利用効率向上のため直径数十μm程度のマイクロレンズを多数配置したマイクロレンズアレイが、光通信用のコネクタや携帯電話のカメラモジュールなどでは直径数百μm程度のマイクロレンズが、利用されている。
【0068】
また、液晶偏光板用光学素子とは、液晶プロジェクターや液晶ディスプレイ部材のひとつである偏光フィルタ(偏光板)上の構造体をさす。一般に、液晶パネルには、液晶を封入した透明基板の表裏に、一組の偏光フィルタ(偏光板)を設けられ、一定の振動方向の偏光のみを通過させる。液晶偏光板はフィルムを延伸し、組成物を配向させることなどにより作製することができるが、基板上に0.2〜0.3μmピッチで特定の構造体を形成させることによっても、偏光フィルタとしての特性を持つ材料が作製可能である。
【0069】
マイクロプラスチックレンズと液晶偏光板用光学素子は、型の大きさ、種類が異なるだけであり、両者の製造方法は同じである。
(1)感光性樹脂組成物を成型用の型に充填するステップ:成型用の型の開口部から、感光性樹脂組成物を成型用の型に充填させるか、又は基板側のどちらか一方に感光性樹脂組成物からなる溶液を塗布し、溶媒を乾燥させて感光性樹脂組成物の薄膜を形成させ、該薄膜に型を押し当て、感光性樹脂組成物を成型用の型に充填する。
成型用の型の開口部に塗布する場合には、スポイトやディスペンサーを用いて感光性樹脂組成物を成型用の型の開口部に滴下すればよい。また、基板側に塗布する場合、スポイトやディスペンサーを用いて滴下するか、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布するか、スプレーコーター等で噴霧塗布する方法により、必要に応じて前処理を施した基板上にコートし、感光性樹脂組成物の膜を形成する。
【0070】
感光性樹脂組成物の厚みは0.01〜10mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1mm、さらに好ましくは100〜500μmである。感光性樹脂組成物を塗布する際、NMPなどの溶剤を用いて希釈してもかまわないが、この場合、加熱により用いた溶媒を除去する工程が必要となる。加熱は、コートした基板の感光性樹脂組成物の薄膜形成面を上にして行い、用いる装置としては、オーブン、遠赤外線炉、ホットプレートなど、加熱できる装置であれば公知のものを用いることができる。加熱条件は、50℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃の範囲で1分〜30分間、好ましくは5分〜10分間である。なお、溶剤を用いて感光性樹脂組成物を希釈していない場合でも、ガラス基板と感光性樹脂組成物の密着性を高める観点から、基板ごと加熱する工程を任意に加えることができ、この場合に用いる装置としてはホットプレートが好ましい。
【0071】
また、基板の前処理として、基板との密着性を付与させるために、場合によりシランカップリング剤を基板に塗布してもよい。シランカップリング剤を塗布する場合には、NMPなどの有機溶剤を用いて希釈をし、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター及びスクリーン印刷機等を用いて塗布した後、加熱により用いた溶媒を除去する。加熱は、オーブン、遠赤外線炉、ホットプレートなど、公知のものを用いることができる。シランカップリング剤の化学種としては価格や有害性の点で、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株KBM−403)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株KBM−503)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株KBE−903)が好ましい。
【0072】
基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、銅張積層板などの銅基板を用いることができる。成型用の型が光を通さない材質である場合は、ガラス基板又は石英基板が好ましい。
【0073】
(2)成型用の型の開口部を基板に押し付けるステップ:成型用の型、例えば、マイクロプラスチックレンズの型又は液晶偏光板用光学素子の型の開口部を、基板の薄膜形成面に押し付ける。この際、必要に応じて加圧を行ってもよい。成型用の型の材質としては、ゴム、ガラス、ポリジメチルシロキサン等のプラスチック、Ni等の金属が挙げられ、特に、ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0074】
型の開口部を基板に押し付けるステップの前に、基板上に、シランカップリング剤を塗布するステップを行う場合には、型の開口部を基板の上記シランカップリング剤を塗布した面に押し付ける。
【0075】
(3)露光するステップ:基板と成型用の型で感光性樹脂組成物を挟んだ状態で、成型用の型又は基板のうち、露光光が透過する材質の側から紫外線を照射する。光硬化型樹脂としてのパターンの解像度及び取扱い性の観点から、露光光源の波長としては、i線が好ましく、装置としては近接露光タイプのプロジェクションアライナーが好ましい。さらに、必要に応じて、150℃〜260℃で1分間〜2時間加熱する工程を加えてもよい。
【0076】
(4)型を剥離するステップ:紫外線硬化後、成型用の型を基板から剥離する。
【0077】
(5)基板ごと加熱するステップ(PEB処理):150℃〜270℃の温度で5秒〜5時間加熱することで、残存する反応基を結合させ、耐熱性に優れた成型物、例えば、マイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子を得ることができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、温度プログラム設定できる昇温式オーブンを用いて行うことができる。加熱する際の雰囲気気体としては、空気であることができるが、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることが好ましい。なお、この加熱工程は、成型物、例えば、マイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の硬度を高めるために任意に加えることができる工程である。
【0078】
また、前記した(3)露光するステップの前に、型の開口部を基板に押し付けたまま、基板ごと50〜150℃で1分間〜30分間加熱するステップ、又は前記した(3)露光するステップの後、かつ、(4)型を剥離するステップの前に、基板ごと150℃〜260℃で1分間〜5時間加熱するステップをさらに行ってもよい。
【0079】
<硬化レリーフパターン及びポリオルガノシロキサン膜の形成方法>
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて硬化レリーフパターンを形成する方法の一例を説明する。
(1)感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を得るステップ:まず、感光性樹脂組成物をシリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板、その他所望の各種基材上に塗布する。塗布装置又は塗布方法としては、スピンコーター、ダイコーター、スプレーコーター、浸漬、印刷、ブレードコーター、ロールコーティング等が利用できる。塗布された基材を80〜200℃で時間10秒〜1時間ソフトベークする。
【0080】
(2)塗布膜に活性光線を照射し露光部を光硬化させるステップ:コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光投影装置を用いて、所望のフォトマスクを介して活性光線を照射する。
活性光線として、X線、電子線、紫外線、可視光線などが利用できるが、本発明においては、200〜500nmの波長のものを用いるのが好ましい。パターンの解像度及び取扱い性の観点から、その光源波長は、特にUV−i線(365nm)が好ましく、露光投影装置としてはステッパーが特に好ましい。
【0081】
この後、光感度の向上などの目的のために、必要に応じて、任意の温度と時間との組み合わせで(好ましくは、温度40℃〜200℃、時間10秒〜30分間)、露光後ベーク(PEB)や現像前ベークを施してもよい。
【0082】
(3)現像液を用いて膜の未硬化の部分を除去するステップ:当該ステップは、浸漬法、パドル法、又は回転スプレー法等の方法により行うことができる。現像液としては、本発明に係る感光性樹脂組成物の良溶媒を、単独で又は良溶媒と貧溶媒を適宜混合して用いることができる。良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ガンマブチロラクトン、α−アセチル−ガンマブチロラクトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが、貧溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水などが挙げられる。
【0083】
現像終了後、リンス液により洗浄を行い、現像液を除去することにより、レリーフパターン付き塗膜が得られる。リンス液として、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を、単独又は適宜混合して用いたり、段階的に組み合わせて用いたりすることができる。
【0084】
(5)基材ごと加熱するステップ((最終)加熱ステップ、PEB処理):上述のようにして得られたレリーフパターンは、150〜260℃で硬化レリーフパターンに変換される。この加熱硬化は、ホットプレート、イナートオーブン、温度プログラム設定できる昇温式オーブンなどを用いて行うことができる。加熱硬化させる際の雰囲気気体としては、空気を用いてもよく、必要に応じて窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
【0085】
得られた硬化レリーフパターンを、シリコンウェハー等の基材上に形成された半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、α線遮蔽膜、マイクロレンズアレイなどのミクロ構造体とそのパッケージ材との間の支持体(隔壁)からなる群から選択されるいずれかとして使用し、さらに、周知の半導体装置の製造方法における他の工程を適用することで、CMOSイメージセンサーなどの光学素子を含む各種半導体装置を製造することができる。また、感光性樹脂組成物を硬化させて得られた樹脂からなる塗膜を有する電子部品や半導体装置を得ることができる。
【実施例】
【0086】
以下、合成例、及び実施例により本発明を具体的に説明する。
[合成例1]ポリオルガノシロキサンの合成
水冷コンデンサー及びバキュームシール付き撹拌羽根を装着した容量2リットルの丸底フラスコに、DPDを432.62g(2.0mol)、MEMOを495.71g(1.996mol)、テトラ−iso−プロポキシチタンを0.568g(0.002mol)、水酸化ナトリウムを0.16g(0.004mol)を仕込み、撹拌を開始した。これをオイルバスに浸け、加熱温度を80℃に設定し、室温より加熱を開始した。途中、重合反応の進行に伴って発生するメタノールを水冷コンデンサーで還流させつつ、反応溶液温度が一定となるまで反応させ、その後更に30分間、加熱撹拌を継続した。
その後、反応溶液を室温まで冷却し、イオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーリスト15、乾燥重量40gをメタノールで膨潤・洗浄したもの)を充填したガラスカラムに通液させ、ナトリウムイオンを除去した。
これをバキュームシール付き撹拌羽根、及びコールドトラップと真空ポンプとに接続されたホースを装着した丸底フラスコに移し、80℃に加熱したオイルバスに浸け、強撹拌しつつ、メタノールが突沸しない程度に徐々に真空度を上げていくことによりメタノールを留去し、ポリオルガノシロキサンP−1(23℃における粘度50ポイズ)を得た。ICP−MSイオン分析の結果、ポリオルガノシロキサン中のナトリウムイオン濃度は1ppm未満であった。
【0087】
[実施例1]感光性樹脂組成物の調製
合成例1で合成したポリオルガノシロキサン100重量部に対し、(c)光重合開始剤として前記した化合物IRGACURE819(登録商標)(チバ・ジャパン株式会社製)2重量部を、添加した。さらに(b)成分として(2,2−ビス{4−(メタクリロキシポリエトキシ)シクロヘキシル}プロパンであって、エチレングリコール反復単位数が5である光重合性モノマー(一般式(3)で、A、及びBがエチレン基で、m1 +m2+n1 +n2 =10のもの)(以下、「M−1」ともいう。) 100重量部を、添加した。以上の化合物を全て調合したものを、各化合物が溶解するまで、ウェブローターで攪拌して、感光性樹脂組成物を調製した。
【0088】
[実施例2]感光性樹脂組成物の調製
合成例1で合成したポリオルガノシロキサン100重量部に対し、(c)光重合開始剤として前記した化合物IRGACURE819(登録商標)(チバ・ジャパン株式会社製)2.5重量部、さらに(b)成分としてM−1を100重量部、(d)成分として、A−BPEF32.5質量部、(e)成分としてPEA17.5質量部を添加した。以上の化合物を全て調合したものを、各化合物が溶解するまで、ウェブローターで攪拌して、感光性樹脂組成物を調製した。
【0089】
[実施例3]感光性樹脂組成物の調製
合成例1で合成したポリオルガノシロキサン100重量部に対し、(c)光重合開始剤として前記した化合物IRGACURE819(登録商標)(チバ・ジャパン株式会社製)2.5重量部、さらに(b)成分としてM−1を100重量部、(d)成分として、A−BPEF32.5質量部、(e)成分としてPEA17.5質量部、(f)成分としてMEMO7.5質量部、(g)成分としてPEMP5質量部を添加した。以上の化合物を全て調合したものを、各化合物が溶解するまで、ウェブローターで攪拌して、感光性樹脂組成物を調製した。
【0090】
[実施例4]硬化膜の製造方法
(1)露光ステップ:感光性樹脂を無アルカリガラスとポリエチレンテレフタレート製フィルム膜の間に挟み、酸素硬化阻害が無視できる嫌気下として、ガラス基板側から高圧水銀ランプ(明昌機工株式会社製NM−0402)を用いて、紫外線を、全面マスク無しで、照射した。i線波長(365nm)での照射量は1000mJ/cmであった。
(2)型剥離ステップ:紫外線硬化後、ガラス基板を剥離した。
(3)(最終)加熱ステップ(PEB処理):キュアオーブン(光洋サーモシステム株式会社、CLH−21CD−S)を用いて、窒素雰囲気下220℃の温度で30分間、加熱した。
【0091】
[比較例1]
合成例1で合成した(P−1)ポリオルガノシロキサン100重量部に対し、(c)光重合開始剤として前記した化合物IRGACURE819(登録商標)(チバ・ジャパン株式会社製)2重量部、(d)成分として、A−BPEF100重量部を、添加した。以上の化合物を全て調合したものを、各化合物が溶解するまで、ウェブローターで攪拌して、感光性樹脂組成物を調製した。
【0092】
[比較例2]
合成例1で合成した(a−1)ポリオルガノシロキサン100重量部に対し、(c)光重合開始剤として前記した化合物IRGACURE819(登録商標)(チバ・ジャパン株式会社製)2重量部、(e)成分として、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート100重量部(新中村工業化学製A−BPE−10、以下「A−BPE−10」ともいう。)を、添加した。以上の化合物を全て調合したものを、各化合物が溶解するまで、ウェブローターで攪拌して、感光性樹脂組成物を調製した。
【0093】
[比較例3]
合成例1で合成した(a−1)ポリオルガノシロキサン100重量部に対し、(c)光重合開始剤として前記した化合物IRGACURE819(登録商標)(チバ・ジャパン株式会社製)2重量部を、添加した。さらに(e)成分として、ポリエチレングリコールジアクリレート100重量部(新中村工業化学製A−600、以下A−600ともいう。)を、添加した。以上の化合物を全て調合したものを、各化合物が溶解するまで、ウェブローターで攪拌して、感光性樹脂組成物を調製した。
【0094】
[比較例4]
(c)光重合開始剤として前記した化合物IRGACURE819(登録商標)(チバ・ジャパン株式会社製)2重量部、(b)成分としてM−1を100重量部、(d)成分として、A−BPEFを65質量部、(e)成分としてPEAを35質量部添加した。以上の化合物を全て調合したものを、各化合物が溶解するまで、ウェブローターで攪拌して、感光性樹脂組成物を調製した。
【0095】
[硬化膜の透明性評価:透過率測定]
実施例1〜3、比較例1〜4で得た感光性樹脂組成物をそれぞれ用いて、無アルカリガラス(厚み0.7mm、縦横5cm×10cm、コーニング製)上にスポイトを用いて2滴滴下した。このとき、感光性樹脂組成物を滴下した後、無アルカリガラス上に、ポリエチレンテレフタレート製フィルム膜を敷き、感光性樹脂組成物を無アルカリガラスとポリエチレンテレフタレート製フィルム膜の間に挟み、酸素硬化阻害が無視できる嫌気下とした。その後、マスク無しで前面より、高圧水銀ランプ((株)オーク製作所製 16mW HMW−40−1)を用いて1000mJ/cmの光量で紫外線照射し、実施例4に記載した(3)(最終)加熱ステップ(PEB)を行い、膜厚75μmの硬化膜を作製した。
【0096】
硬化膜の透過率は、SHIMADZU製、UV3101PCを用いて、スリット幅5.0nm、波長400nmにて測定した。結果を以下の表1に示す。
実施例1〜3、比較例2〜4で得た感光性樹脂組成物から得られた硬化膜は、すべて90%以上の透過率があり、高透明性が維持されることを確認した。
一方、比較例1で得た感光性樹脂組成物を用いて作製した硬化膜は、PEB処理によってクラックが発生したため、透過率の測定は不可能であった。
【0097】
[硬化膜の耐光性評価]
実施例1〜3、比較例1〜4で得た感光性樹脂組成物をそれぞれ用いて、無アルカリガラス(厚み0.7mm、縦横5cm×10cm、コーニング製)上にスポイトを用いて2滴滴下した。このとき、感光性樹脂組成物を滴下した後、無アルカリガラス上に、ポリエチレンテレフタレート製フィルム膜を敷き、感光性樹脂組成物を無アルカリガラスとポリエチレンテレフタレート製フィルム膜の間に挟み、酸素硬化阻害が無視できる嫌気下とした。その後、マスク無しで前面より、高圧水銀ランプ((株)オーク製作所製 16mW HMW−40−1)を用いて1000mJ/cmの光量で紫外線照射し、実施例4に記載した「(3)(最終)加熱ステップ(PEB)」を行い、膜厚75μmの硬化膜を作製した。
【0098】
これらの硬化膜を耐光試験機((株)東洋精機製作所、サンテストCPS+)にかけ耐光黄変性について比較した。耐光試験機は、放射照度を350W/cmに、温度を35℃に設定し、200時間静置した。試験後にクラックが無く、且つ透過率が90%以上であった場合に耐光黄変性が十分であると判断した。
【0099】
耐光試験後の硬化膜の透過率をSHIMADZU製、UV3101PCを用いて、スリット幅5.0nmで測定した。結果を以下の表1に示す。
実施例1〜3で得た感光性樹脂組成物で得た感光性樹脂組成物からなる硬化膜は90%以上の透過率であり、耐光性試験後も高透明性が維持されることが確認できた。一方、比較例2〜4で得た感光性樹脂を用いて作製した硬化膜は透過率が90%未満となり、高透明性が保持できなかった。比較例1で得た感光性樹脂組成物を用いて作製した硬化膜は、PEB処理によってクラックが発生したため、透過率の測定は不可能であった。
【0100】
[硬化膜の耐熱性評価]
実施例1〜3、比較例1〜4で得た感光性樹脂組成物をそれぞれ用いて、無アルカリガラス(厚み0.7mm、縦横5cm×10cm、コーニング製)上にスポイトを用いて2滴滴下した。このとき、感光性樹脂組成物を滴下した後、無アルカリガラス上に、ポリエチレンテレフタレート製フィルム膜を敷き、感光性樹脂組成物を無アルカリガラスとポリエチレンテレフタレート製フィルム膜の間に挟み、酸素硬化阻害が無視できる嫌気下とした。その後、マスク無しで前面より、高圧水銀ランプ((株)オーク製作所製 16mW HMW−40−1)を用いて1000mJ/cmの光量で紫外線照射し、実施例4に記載した「(3)(最終)加熱ステップ(PEB)」を行い、膜厚75μmの硬化膜を作製した。
これらの硬化膜をファインオーブン(ヤマト科学株式会社、DH−42)にかけ耐熱黄変性について比較した。ファインオーブンは温度を125℃に設定し、硬化膜を200時間静置した。試験後にクラックが無く、且つ透過率が90%以上であった場合に耐熱黄変性が十分であると判断した。
【0101】
耐熱性試験の結果、実施例1〜3、及び比較例2、及び4で得た感光性樹脂組成物から作製した硬化膜はクラックの発生が確認されなかった。一方、比較例3で得た感光性樹脂を用いて作製した硬化膜はクラックが発生した。さらに、耐熱性試験後の硬化膜の透過率をSHIMADZU製、UV3101PCを用いて、スリット幅5.0nmで測定した。結果を以下の表1に示す。
実施例1〜3、比較例2、及び4で得た感光性樹脂組成物で得た感光性樹脂組成物からなる硬化膜は90%以上の透過率であり、耐熱性試験後も高透明性が維持されることが確認できた。比較例1で得た感光性樹脂組成物を用いて作製した硬化膜は、PEB処理によってクラックが発生したため、透過率の測定は不可能であった。
【0102】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明により、光学用途を目的とした半導体デバイス、マイクロプラスチックレンズ、液晶偏光板、光導波路などの電気部品として有用な高透明性、クラック耐性を実現しながら、耐熱黄変性と耐光黄変性に優れた感光性樹脂組成物を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(c)成分:
(a)下記一般式(1):
【化1】

{式中、Rは、それぞれ独立に、芳香族基を少なくとも1つ含む炭素数6〜18の有機基である。}で表される少なくとも1種のシラノール化合物、下記一般式(2):
【化2】

{式中、Rは、エポキシ基及び炭素−炭素二重結合基からなる群より選択される1つの基を少なくとも1つ含む炭素数2〜17の有機基であり、複数存在する場合のRは同一であっても異なっていてもよく、R及び複数のRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であり、aは、1又は2の整数であり、bは、0又は1の整数であり、そしてa+bは、2以下である。}で表される少なくとも1種のアルコキシシラン化合物、及び触媒を混合し、積極的に水を添加することなく重合させる方法で得られる、ポリオルガノシロキサン100質量部;
(b)下記一般式(3):
【化3】

{式中、R、Rは、H又はCHであり、これらは同一であっても異なっていてもよく、また、A及びBは、炭素数が2〜4個のアルキレン基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、m、m、n、nは、正の整数であり、m、m、n、nの合計は、2〜30である。}で表される化合物10〜400質量部;及び
(c)光重合開始剤1〜50質量部;
を含む感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(a)ポリオルガノシロキサンが、上記一般式(1)で示されるシラノール化合物としてジフェニルシランジオールを用い、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物としてaが1であり、bが0である化合物を用いて重合したものである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(a)ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(4):
【化4】

{式中、Mは、ケイ素、ゲルマニウム、チタニウム又はジルコニウムのいずれかであり、そしてRは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。}で表される金属アルコキシド、及び下記一般式(5):
【化5】

{式中、Mは、ホウ素又はアルミニウムであり、そしてR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。}で表される金属アルコキシドの内の少なくとも1つの触媒を用いて重合したものである、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(a)ポリオルガノシロキサンが、上記一般式(1)で示されるシラノール化合物としてジフェニルシランジオールを用い、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルエチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、及びp−スチリルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を用いて重合したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
(d)下記一般式(6):
【化6】

{式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であり、c及びdは、0又は正の整数であり、c+d=0〜24であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、そしてフルオレン骨格は、炭素数1〜28の置換基を有していてもよい。}で表されるフルオレン化合物30〜600質量部をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
(e)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する、前記(b)成分又は(d)成分以外の化合物10〜150質量部をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
(f)シランカップリング剤1〜100質量部をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
(g)スルファニル基を少なくとも2つ以上含む多価チオール化合物1〜50質量部をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を光硬化して得られうる硬化物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を成型用の型に充填するステップ、該成型用の型の開口部を基板に押し付けるステップ、露光するステップ、該型を剥離するステップ、及び基材ごと加熱するステップを含む成型物の製造方法。
【請求項11】
前記型の開口部を基板に押し付けるステップの前に、前記基板上に、シランカップリング剤を塗布するステップを含み、該型の開口部を基板に押し付けるステップにおいては、該型の開口部を基板の該シランカップリング剤を塗布した面に押し付ける、請求項10に記載の成型物の製造方法。
【請求項12】
前記露光するステップの前に、前記型の開口部を基板に押し付けたまま、該基板ごと50〜150℃で1分間〜30分間加熱するステップを含む、請求項10に記載の成型物の製造方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法によって得られうる成型物。
【請求項14】
基材上に請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を得るステップ、該塗布膜に活性光線を照射し露光部を光硬化させるステップ、現像液を用いて該膜の未硬化の部分を除去するステップ、及び該基材ごと加熱するステップを含む硬化レリーフパターンの形成方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法によって得られうる硬化レリーフパターン。
【請求項16】
請求項15に記載の硬化レリーフパターンを含む半導体装置。

【公開番号】特開2011−202127(P2011−202127A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73183(P2010−73183)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】