説明

感光性組成物、パターン形成方法およびフラットパネルディスプレイ用電極の製造方法

【課題】高い平滑性を有しながら焼成後にパターンの両端の反りが生じない感光性樹脂層を形成することができ、高精細な電極パターンを形成することのできる感光性組成物、および高精細な電極パターンを形成することのできるパターン形成方法を提供する。
【解決手段】(A)導電性粒子、(B)ガラス粒子、(C)(c1)(メタ)アクリル酸アルキルオキシアルキルエステル構成単位、および(c2)カルボキシル基を含有する構成単位を含有する重合体、(D)光重合性モノマー、および(E)光重合開始剤を含有することを特徴とする感光性組成物、およびこれを用いたパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物、パターン形成方法およびフラットパネルディスプレイ用電極の製造方法に関する。より詳細には、フラットパネルディスプレイなどのディスプレイパネルや、電子部品の高度実装材料に用いられる微細な回路パターンを有する回路基板の製造において、精度の高いパターンを形成する場合に好適に使用することができ0る感光性
組成物、これを用いたパターン形成方法、および該パターン形成方法によりフラットパネルディスプレイ用部材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板やディスプレイパネルにおけるパターン加工に対して、高密度化および高精細化の要求が高まっている。このような要求が高まっているディスプレイパネルの中でも、特にプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)やフィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)などのフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)が注目されている。
【0003】
このようなPDPの部材のパターン中でも、特に近年、電極パターンを高精細に形成する技術が強く求められている。
FPD部材である電極の形成方法としては、基板上に感光性樹脂層をスクリーン印刷等により形成し、所望のパターンが描かれたフォトマスクを介して、前記感光性樹脂層に赤外線または紫外線を照射した上で現像することにより、基板上に所望のパターンを残存させ、これを焼成するフォトリソグラフィー法などが知られている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平09−142878号公報
【特許文献2】特開平11−194493号公報
【特許文献3】特開2001−154345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高精細な電極パターンを形成するために、基板上に形成される感光性樹脂層には、高い平滑性が要求されている。
しかし、従来の感光性組成物を用いて感光性樹脂層を形成すると、特に、スクリーン印刷法で感光性樹脂層をガラス基板に形成する場合には、感光性樹脂層表面にメッシュ跡が残ったり、版離れが悪いために感光性樹脂層表面が毛羽立ったり、感光性樹脂層の層厚にムラが生じるなどの問題が生じていた。
【0005】
また、パターン形成後、焼成工程においてパターンの両端が反るという問題も生じていた。
本発明の課題は、高い平滑性を有しながら焼成後にパターンの両端の反りが生じない感光性樹脂層を形成することができ、高精細な電極パターンを形成することのできる感光性組成物、および高精細な電極パターンを形成することのできるパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、導電性粒子、ガラス粒子、特定の重合体、光重合性モノマーおよび光重合化合物を含む感光性組成物を用いることにより、精度の高いパターンを形成することができることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0007】
すなわち、本発明に係る感光性組成物は、少なくとも、
(A)導電性粒子、
(B)ガラス粒子、
(C)(c1)下記式(1)で示される構成単位、および(c2)カルボキシル基を含有する構成単位を含有する重合体、
【0008】
【化3】

【0009】
(上記式(1)中、R1は水素原子またはメチル基、R2はメチレン基または炭素数1〜3のアルキレン基、R3は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
(D)光重合性モノマー、および
(E)光重合開始剤
を含有することを特徴とする。
【0010】
また本発明に係る感光性組成物の好適な態様として、前記(C)重合体は、さらに(c3)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物由来の構成単位を含有し、
前記(C)重合体は、さらに(c4)下記式(2)で示される構成単位を含有し、
【0011】
【化4】

【0012】
(上記式(2)中、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
さらに(F)ヒドロキシプロピルセルロースを組成物の全質量に対して0.5〜10質量%含有し、
前記(B)ガラス粒子は、酸化ビスマスを50〜80質量%含有し、
前記(B)ガラス粒子を組成物の全質量に対して5〜20質量%含有する。
【0013】
本発明に係るパターン形成方法は、
前記感光性組成物から得られる感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、
該感光性樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程と、
パターンの潜像を形成した前記感光性樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程と、
該パターンを焼成処理する工程と
を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るフラットパネルディスプレイ用電極の製造方法は、前記パターン形成方法により、電極を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の感光性組成物を用いれば、高い平滑性を有しながら焼成後にパターンの両端の反りが生じない感光性樹脂層を形成することができ、高精細な電極パターンを形成することができる。
【0016】
本発明のパターン形成方法によれば、高精細パターンの形成が可能である。
本発明のフラットパネルディスプレイ用電極の製造方法によれば、高精細パターンの形成が可能でかつ表面の均一性に優れたフラットパネルディスプレイ用電極を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
<感光性組成物>
(A)導電性粒子
本発明の感光性組成物を構成する(A)導電性粒子としては、Ag、Au、Al、Ni、Ag−Pd合金、Co、CuおよびCrなどの金属およびそれらの酸化物からなる粒子
を挙げることができる。
【0018】
本発明の感光性組成物における(A)導電性粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜20μmであり、さらに好ましくは1〜6μmである。(A)導電性粒子の平均粒径が2μm未満の場合は、露光時に照射した紫外線が感光性組成物層中で光散乱等により膜深部まで十分に届かず、現像マージンが狭くなったり、パターン断面が逆テーパー形状となり、その後の焼成工程においてパターンの両端が反る場合がある。(A)導電性粒子の平均粒径が4μmを超える場合は、パターン直線性が劣ったり、焼成後の抵抗値が高くなる場合がある。
【0019】
本発明の感光性組成物における(A)導電性粒子の含有量は、無機粉体すなわち導電性粒子およびガラス粒子全量に対して、通常、50〜98質量%であり、好ましくは、60〜95質量%である。
【0020】
(B)ガラス粒子
本発明の感光性組成物を構成する(B)ガラス粒子としては、電極の形成が可能である限り特に制限はなく、具体的には、I.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(B23−SiO2−Al23系)の混合物、II.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化亜鉛(B23−SiO2−ZnO系)の混合物、III.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、
酸化亜鉛(B23−SiO2−Al23−ZnO系)の混合物、などを例示することがで
きる。
【0021】
本発明の感光性組成物を構成する(B)ガラス粒子のガラス成分としては、酸化ホウ素の含有量が30〜70質量%であることが好ましい。酸化ホウ素の含有量がこの範囲外であっても、良好なパターン形状の形成は可能ではあるが、酸化ホウ素が30質量%未満の場合は、屈折率が高くなったり、ガラス軟化点が高くなる場合がある。酸化ホウ素が70質量%を超える場合は、化学安定性が劣る場合がある。
【0022】
本発明の感光性組成物を構成する(B)ガラス粒子としては、特に酸化ビスマスを含有するものが好ましく、(B)ガラス粒子全量に対する酸化ビスマスの含有量は、好ましくは50〜80質量%である。
【0023】
本発明の感光性組成物を構成する(B)ガラス粒子は、軟化点が400〜600℃の範囲内にあることが好ましく、450〜580℃の範囲内にあることが特に好ましい。軟化点が400℃未満の、または600℃を超える(B)ガラス粉末であっても、良好なパターン形状の形成は可能ではあるが、(B)ガラス粉末の軟化点が400℃未満である場合には、当該組成物による膜形成材料層の焼成工程において、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融してしまうため、形成されるガラス焼結体中に有機物質の一部が残留し、この結果、得られる電極の抵抗値が上昇する場合がある。一方、(B)ガラス粉末の軟化点が600℃を超える場合には、600℃より高温で焼成する必要があるために、ガラス基板に歪みなどが発生しやすい。
【0024】
本発明の感光性組成物を構成する(B)ガラス粒子の屈折率は、好ましくは1.5〜1.8である。ガラス粒子の屈折率がこの範囲外であると、結着樹脂の屈折率との屈折率差が大きくなり、感光性組成物層中で光散乱が発生し紫外線が膜深部まで十分に到達しない点で不利になる場合がある。
【0025】
本発明の感光性組成物を構成する(B)ガラス粒子の粒径は、好ましくは0.1〜5μmである。
本発明の感光性組成物における(B)ガラス粒子の含有量は、無機粉体全量に対して、
通常、50質量%以下、好ましくは、5〜40質量%である。
【0026】
また、本発明の感光性組成物における(B)ガラス粒子の含有量は、当該組成物全量に対して、好ましくは5〜20質量%である。
(C)重合体
本発明の感光性組成物を構成する(C)重合体は、(c1)下記式(1)で示される構成単位、および(c2)カルボキシル基を含有する構成単位を含有する。
【0027】
【化5】

【0028】
(C)重合体は、結着樹脂として機能する。(C)重合体は、アルカリ可溶性樹脂である。「アルカリ可溶性」とは、アルカリ性の現像液によって溶解し、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。結着樹脂として、アルカリ可溶性樹脂を用いると、例えばこれを構成する、カルボキシル基を含有する構成単位の含有割合を調整することにより、アルカリ現像液に対する溶解速度やパターン形状をコントロールできるという利点がある。
【0029】
上記式(1)中、R1は水素原子またはメチル基、R2はメチレン基または炭素数1〜3のアルキレン基、R3は炭素数1〜8のアルキル基を示す。
2としては、特にエチレン基が好ましく、R3としては、特にエチル基が好ましい。
【0030】
(c1)上記式(1)で示される構成単位の含有割合、すなわち(C)重合体からなる樹脂中の、(c1)上記式(1)で示される構成単位により構成される部分の比率は、10〜50質量%であることが好ましい。
【0031】
重合により(c2)カルボキシル基を含有する構成単位を形成し得るモノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を挙げる
ことができる。
【0032】
(c2)カルボキシル基を含有する構成単位の含有割合、すなわち(C)重合体からなる樹脂中の、(c2)カルボキシル基を含有する構成単位により構成される部分の比率は、5〜30質量%であることが好ましい。
【0033】
前記(C)重合体は、さらに(c3)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物由来の構成単位を含有することが好ましい。このようなヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物としては、たとえば、 (メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類 等を挙げることができる。
【0034】
前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物由来の構成単位の含有割合、すなわち(C)重合体からなる樹脂中の、(c3)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物由来の構成単位により構成される部分の比率は、5〜25質量%であることが好ましい。
【0035】
前記(C)重合体は、さらに(c3)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物由来の構成単位の代わりに、またはこれと共に(c4)下記式(2)で示される構成単位を含有することが好ましい。
【0036】
【化6】

【0037】
(上記式(2)中、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
このような(c4)式(2)で示される構成単位を形成し得る化合物としては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。
【0038】
前記(c4)式(2)で示される構成単位の含有割合、すなわち(C)重合体からなる樹脂中の、(c4)式(2)で示される構成単位により構成される部分の比率は、10〜70質量%であることが好ましい。
【0039】
さらに、重合体(C)は上記以外のモノマー由来の構成単位を含有することもできる。このようなモノマーとしては、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸ベ
ンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルなどのモノマー上記以外の(メタ)アクリル酸エステル類;メチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、n−ブチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレートなどのα−ヒドロキシメチル基を有するアクリレート;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等のポリマー鎖の一方の末端に(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
【0040】
本発明の組成物に用いられる重合体(C)として特に好ましい組成としては、メタクリル酸/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体/メタクリル酸2−エトキシエチルや、メタクリル酸/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸2−エトキシエチル共重合体が挙げられる。
【0041】
前記(C)重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが5,000〜5,000,000であることが好ましく、さらに好ましくは10,000〜300,000である。
【0042】
また、前記(C)重合体のガラス軟化点(Tg)は、−50℃〜50℃である。ガラス軟化点(Tg)が−50℃未満の場合は、現像時に膨潤しやすくパターン直線性に劣る場合がある。ガラス軟化点(Tg)が50℃以上の場合は、焼成過程でパターン両端で反りが発生しやすくなる場合がある。
【0043】
また、本発明の感光性組成物における前記(C)重合体の含有割合としては、(A)および(B)の無機粒子合計100質量部に対して、通常、1〜200質量部であり、好ましくは、5〜100質量部、特に好ましくは、10〜80質量部である。
【0044】
(C)重合体は、たとえば、(c1)上記式(1)で示される構成単位を形成し得るモノマーおよび(c2)カルボキシル基を含有する構成単位を形成し得るモノマー、さらに必要に応じて前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物および前記式(3)で示される(メタ)アクリレート化合物を、公知の共重合方法により共重合することにより得ることができる。
【0045】
(D)光重合性モノマー
本発明の組成物を構成する(D)光重合性モノマーは、露光により重合して、硬化し、現像液に対する溶解性が減少する物質である。このような(D)光重合性モノマーとしては、露光により重合し、露光部分をアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性にする物質を挙げることができる。(D)光重合性モノマーとして、このような露光によりアルカリ不溶性等にする物質を用いると、露光部と未露光部のアルカリ現像液に対するコントラストを付けやすくなり、パターンの高精細化やパターン形状をコントロールし易くなるという利点がある。このような露光によりアルカリ不溶性等にする物質としては、たとえばエチレン性不飽和基含有化合物、好ましくは多官能(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。
【0046】
エチレン性不飽和基含有化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレー
ト類;
グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレート類などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
これらのうち、トリプロピレングリコールジアクリレート(Tg:90℃)、テトラエチレングリコールジアクリレート(Tg:50℃)、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(Tg:50℃)、ウレタンアクリレート(Tg:15℃)、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート(Tg:75℃)、等が特に好ましく用いられる。
【0048】
また、本発明の感光性組成物における(D)光重合性モノマーが硬化してなる硬化物のガラス軟化点(Tg)は、好ましくは0〜100℃である。ガラス軟化点(Tg)が0℃未満の場合は、現像時に膨潤しやすくパターン直線性に劣る場合がある。ガラス軟化点(Tg)が100℃を超える場合は、焼成過程でパターン両端で反りが発生しやすくなる場合がある。
【0049】
上記(D)光重合性モノマーの分子量としては、100〜2,000であることが好ましい。
本発明の感光性組成物における(D)光重合性モノマーの含有割合としては、(A)および(B)の無機粒子100質量部に対して、通常、5〜50質量部であり、好ましくは、10〜40質量部である。
【0050】
(E)光重合開始剤
本発明の感光性組成物に用いられる(E)光重合開始剤の具体例としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;メルカプタンジスルフィド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体などを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】
本発明の組成物における(E)光重合開始剤の含有割合としては、光重合性モノマー100質量部に対して、通常、5〜100質量部であり、好ましくは、10〜50質量部である。
(F)ヒドロキシプロピルセルロース
本発明の感光性組成物は、さらに(F)ヒドロキシプロピルセルロースを含有することができる。
【0052】
前記(F)ヒドロキシプロピルセルロースの含有割合は、組成物の全質量に対して0.5〜10質量%であることが好ましい。
<溶剤>
本発明の感光性組成物には、通常、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために溶剤が含有される。用いられる溶剤としては、無機粒子との親和性、アルカリ可溶性樹脂の溶解性が良好で、感光性組成物に適度な粘性を付与することができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。
【0053】
溶剤の具体例としては、、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、1−ヒドロキシ−p−メンタン、8−ヒドロキシ−p−メンタン、p−メンタン−1−イル−アセテート、p−メンタン−8−イル−アセテート、ターピニルオキシエタノール、ジヒドロターピニルオキシエタノール、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル、2、2、4−トリメチル−1、3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどのテルペン類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、などを挙げることができる。
【0054】
本発明の感光性組成物における溶剤の含有割合としては、良好な膜形成性(流動性または可塑性)が得られる範囲内において適宜選択することができる。
<添加剤>
また、本発明の感光性組成物には、その他の任意成分として、顔料、増粘剤、可塑剤、分散剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、レベリング剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、連鎖移動剤などの各種添加剤が含有されてもよい。
【0055】
本発明の感光性組成物は、(A)導電性粒子、(B)ガラス粒子、(C)重合体、(D)光重合成モノマーおよび(E)光重合開始剤、並びに必要に応じて(F)ヒドロキシプロピルセルロース、溶剤および上記その他の任意成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミルなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
【0056】
上記のようにして調製される感光性組成物は、従来において公知の膜形成材料層の形成方法、すなわち、スクリーン印刷法などによって当該組成物をガラス基板の表面に直接塗布し、塗膜を乾燥することにより膜形成材料層すなわち感光性樹脂層を形成する方法においてもっとも好適に使用することができる。
【0057】
上記のようにして調製される感光性組成物は、塗布に適した流動性を有するペースト状の組成物であり、その粘度は、通常1000〜500,000mPa・s、好ましくは5,000〜100,000mPa・sである。
【0058】
塗膜の乾燥条件としては、例えば、50〜150℃で0.5〜30分間程度であり、乾燥後における溶剤の残存割合(感光性樹脂層中の含有率)は、通常2質量%以内である。
上記のようにしてガラス基板上に形成される感光性樹脂層の厚さとしては、無機粒子の含有率やサイズなどによっても異なるが、例えば5〜20μmである。
【0059】
<パターン形成方法およびFPD用電極の製造方法>
本発明のパターン形成方法は、本発明の感光性組成物を用いて、スクリーン印刷法などによって当該組成物をガラス基板の表面に直接塗布し感光性樹脂層を基板上に形成し、当該感光性樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成し、当該感光性樹脂層を現像処理してパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、無機パターンを形成することを特徴とし、FPD用電極の製造方法は、このパターン形成方法により無機パターンを有するパネル電極を形成することを特徴とする。以下に、各工程について説明する。
【0060】
(i)感光性樹脂層の形成工程
感光性樹脂層は、本発明の感光性組成物を基板上に塗布することによって形成することができる。
【0061】
感光性組成物の塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロール塗布法、回転塗布法、流延塗布法など種々の方法が挙げられ、本発明の感光性組成物を塗布した後、塗膜を乾燥する方法により、感光性樹脂層を形成することができる。なお、上記工程をn回繰り返すことでn層の積層体を形成してもよい。
【0062】
(ii)露光工程
感光性樹脂層の表面に、露光用マスクを介して紫外線などの放射線の選択的照射(露光)を行う方法や、レーザー光を走査する方法などで、パターンの潜像を形成する。ここに、放射線照射装置としては、フォトリソグラフィー法で一般的に使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置、レーザー装置などが用いられるが、特に限定されるものではない。
【0063】
(iii)現像工程
露光されて、パターンの潜像が形成された感光性樹脂層を現像して、感光性樹脂層のパターンを形成する。ここに、現像処理条件としては、感光性樹脂層の種類に応じて、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法など)、現像装置などを適宜選択することができる。
【0064】
(iv)焼成工程
感光性樹脂層のパターンを焼成処理して、感光性樹脂層の残留部における有機物質を焼失させる。この工程により、感光性樹脂層のパターンから電極が形成される。
【0065】
ここに、焼成処理の温度としては、感光性樹脂層(残留部)中の有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常、400〜600℃である。また、焼成時間は、通常10〜90分間である。
【0066】
以下、上記各工程に用いられる材料、各種条件などについて説明する。
<基板>
基板材料としては、例えばガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族アミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの絶縁性材料からなる板状部材が挙げられる。この板状部材の表面に対しては、必要に応じて、シランカップリング剤などによる薬品処理;プラズマ処理;イオンプレーティング法、スパッタリング法、気相反応法、真空蒸着法などによる薄膜形成処理のような適宜の前処理を施されていてもよい。
【0067】
なお、本発明においては、基板として、耐熱性を有するガラスを用いることが好ましい。ガラス基板としては、例えばセントラル硝子(株)製CP600V、旭硝子(株)製PD200、を好ましいものとして挙げることができる。
【0068】
<露光用マスク>
本発明の製造方法による露光工程において使用される露光用マスクの露光パターンとしては、材料によって異なるが、一般的に10〜500μm幅のストライプである。
【0069】
<現像液>
本発明の製造方法による現像工程で使用される現像液としては、アルカリ現像液を好ましく使用することができる。
【0070】
なお、結着樹脂としてアルカリ可溶性樹脂を使用した場合、感光性樹脂層に含有される無機粒子は、アルカリ可溶性樹脂により均一に分散されているため、アルカリ性溶液で結着樹脂であるアルカリ可溶性樹脂を溶解させ、洗浄することにより、無機粒子も同時に除去される。
【0071】
アルカリ現像液の有効成分としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどの無機アルカリ性化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどの有機アルカリ性化合物などを挙げることができる。
【0072】
アルカリ現像液は、前記アルカリ性化合物の1種または2種以上を水などに溶解させることにより調製することができる。ここに、アルカリ性現像液におけるアルカリ性化合物の濃度は、通常0.001〜10質量%であり、好ましくは0.01〜5質量%である。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【実施例】
【0073】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を示す。また、実施例における各評価方法を下記に示す。
【0074】
[アルカリ可溶性樹脂のMw]
東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(商品名HLC−802A)によりポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
【0075】
[ガラス転移温度(Tg)]
アルカリ可溶性樹脂およびエチレン性不飽和基含有化合物のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC−60、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。常温から30℃/分で300℃まで昇温した後、5分間保持し、10℃/分で−100℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線から求めた。
【0076】
また、エチレン性不飽和基含有化合物のガラス転移温度(Tg)に関しては、光硬化後のTgを測定した。エチレン性不飽和基含有化合物100部、光重合開始剤(2−メチル
−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン)10部、溶剤(テルピネオール)500部を調製し、ガラス基板にスクリーン印刷後、120℃10分乾燥し、超高圧水銀灯により1000mJ/cm2露光(i線での照度換算)したもの
を測定試料として用いた。
【0077】
[印刷性]
ガラス基板上に感光性組成物をスクリーン印刷により塗布した直後の塗膜について目視にて毛羽立ちの有無を確認し、評価した。
毛羽立ち発生あり:×
毛羽立ち発生なし:○
[焼成後のパターン反り]
パターンを形成した焼成後のパネルを切断して小片にし、パターン断面について走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S4200」)で観察し、焼成後のパターン中央部の膜厚とパターン端部の膜厚を測定した。これらの値から下記式によって焼成後のパターンの反りを評価した。なお、パターン端部の膜厚は両端部の膜厚のうち大きい方の値を採用した。(電極端部分の高さ/電極中央部の膜厚)×100
上記式による数値が
1.5以上のもの:×
1.5未満のもの:○
<実施例1>
(1)感光性組成物の調製
導電性粒子としてAg粉体(A1)(平均粒径1.2μm)100部、ガラス粒子としてBi−SiO−B−ZnO系ガラス(B1)(平均粒径1.0μm、軟化点477℃)20部、重合体(以下「重合体(C1)」という)として(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸2−エトキシエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸=32.5/30/15/22.5(質量%)共重合体(Mw=53,886、Tg=20.0℃)17部、エチレン性不飽和基含有化合物(以下「エチレン性不飽和基含有化合物(D1)という)としてトリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(Tg=50℃)7.5部、光重合開始剤(以下「光重合開始剤(E1)という)として2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン2部、2,4−ジエチルチオキサントン1部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、ヒドロキシプロピルセルロース1部および溶剤としてジヒドロターピネオール18部を攪拌脱泡装置で混練りした後、三本ロールで分散することにより、感光性組成物(I)を調製した。
【0078】
(2)感光性樹脂層の形成
ガラス基板上に感光性組成物(I)をスクリーン印刷により塗布したのち、100℃のクリーンオーブンで10分乾燥して、厚さ9μmの感光性樹脂層を形成した。
【0079】
(3)感光性樹脂層の露光工程
ガラス基板上に形成された感光性樹脂層に対して、ライン幅60μm、スペース幅60μmのストライプ状ネガ用露光用マスクを介して、超高圧水銀灯によりg線(43
6nm)、h線(405nm)、i線(365nm)の混合光を照射した。その際の露光量は、365nmのセンサーで測定した照度換算で500mJ/cm2 とした。
【0080】
(4)現像工程
露光処理された感光性樹脂層に対して、液温30℃の0.3質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液とするシャワー法による感光性樹脂層の現像処理を60秒間行い、続いて、超純水を用いて水洗を行った。これにより、紫外線が照射されていない未硬化の感光性樹脂層を除去し、感光性樹脂層パターンを形成した。このパターンを光学顕微鏡にて観察した
ところ、未露光部の基板上に現像残さは認められず、かつパターンの欠けは認められなかった。このように現像後のパターン形状は良好であった。
【0081】
(5)焼成工程
感光性樹脂層のパターンが形成されたガラス基板を焼成炉内で580℃の温度雰囲気下で10分間にわたり焼成処理を行った。このパターンを走査型電子顕微鏡にて観察したところ、パターン幅60μm、厚み4μmの電極が形成されており、パターン形状にも反りが見られず、良好なパネル材料を得ることができた。このように焼成後のパターン形状は良好であった。
【0082】
評価結果を表1に示した。
<実施例2>
感光性組成物(I)における導電性粒子としてAg粉体(A2)(平均粒径1.6μm
)100部、ガラス粒子としてB2O3−ZnO−Bi2O3系ガラス(B2)(平均粒径0.9μm,軟化点414℃を用いた以外は実施例1と同様にして、感光性組成物(II)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した感光性樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0083】
<実施例3>
感光性組成物(I)における導電性粒子としてAg粉体(A3)(平均粒径2.2μm
)100部、重合体(C1)の代わりに、重合体(C2)として(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸2−エトキシエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸=40/35/15/10(質量%)共重合体(Mw=23,000、Tg=5℃)を用いた以外は実施例1と同様にして、感光性組成物(III)を調製した。
実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した感光性樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0084】
<実施例4>
感光性組成物(I)における導電性粒子として、Ag粉体(A1)(平均粒径1.2μ
m)50部および(A2)(平均粒径1.6μm)50部を用いた以外は実施例1と同様にして、感光性組成物(IV)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した感光性樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0085】
<実施例5>
感光性組成物(I)における導電性粒子として、Ag粉体(A1)(平均粒径1.2μ
m)50部および(A2)(平均粒径1.6μm)50部を用いた以外は実施例2と同様にして、感光性組成物(V)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した感光性樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0086】
<実施例6>
感光性組成物(I)における導電性粒子として、Ag粉体(A1)(平均粒径1.2μ
m)50部および(A2)(平均粒径1.6μm)50部を用いた以外は実施例3と同様にして、感光性組成物(VI)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した感光性樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0087】
<実施例7>
感光性組成物(I)における導電性粒子として、Ag粉体(A2)(平均粒径1.6μ
m)20部および(A3)(平均粒径2.2μm)80部を用いた以外は実施例3と同様にして、感光性組成物(VII)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像
、焼成した感光性樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0088】
<比較例1>
感光性組成物(I)におけるアルカリ可溶性樹脂(C1)の代わりに、アルカリ可溶性
樹脂(C3)として(メタ)アクリル酸メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸=62.5/15/22.5(質量%)共重合体(Mw=51000、Tg=110℃)を用いた以外は実施例2と同様にして、感光性組成物(V)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した感光性樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0089】
焼成後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、上部のパターン線幅が60μm、パターン下部の線幅が50μmであり逆テーパー形状であった。また、パターンの両端に反りが3μmであることが確認され、良好なパネル材料を得ることができていなかった。
【0090】
<比較例2>
アルカリ可溶性樹脂(C1)の代わりに、アルカリ可溶性樹脂(C4)として(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル/(メタ)アクリル酸メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸=32.5/30/15/22.5(質量%)共重合体(Mw=54000、Tg=65.0℃)を用いた以外は実施例1と同様にして、感光性組成物(VI)を調製した。実施例2と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した感光性樹脂
層の評価結果を表1に示した。
【0091】
焼成後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、上部のパターン線幅が65μm、パターン下部の線幅が60μmであった。また、パターンの両端に反りが4μm見られ、良好なパネル材料を得ることができていなかった。
【0092】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)導電性粒子、
(B)ガラス粒子、
(C)(c1)下記式(1)で示される構成単位、および(c2)カルボキシル基を含有する構成単位を含有する重合体、
【化1】

(上記式(1)中、R1は水素原子またはメチル基、R2はメチレン基または炭素数2〜10のアルキレン基、R3は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
(D)光重合性モノマー、および
(E)光重合開始剤
を含有することを特徴とする感光性組成物。
【請求項2】
前記(C)重合体は、さらに(c3)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物由来の構成単位を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記(C)重合体は、さらに(c4)下記式(2)で示される構成単位を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光性組成物。
【化2】

(上記式(2)中、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【請求項4】
さらに(F)ヒドロキシプロピルセルロースを組成物の全質量に対して0.5〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記(B)ガラス粒子は、酸化ビスマスを50〜80質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記(B)ガラス粒子を組成物の全質量に対して5〜20質量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性組成物から得られる感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、
該感光性樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程と、
パターンの潜像を形成した前記感光性樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程と、
該パターンを焼成処理する工程と
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
請求項7に記載のパターン形成方法により、電極を形成することを特徴とするフラットパネルディスプレイ用電極の製造方法。

【公開番号】特開2009−300789(P2009−300789A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155921(P2008−155921)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】