説明

感光性組成物、感光性樹脂転写フイルム、樹脂パターン及び樹脂パターンの製造方法、並びに液晶表示装置用基板及び液晶表示装置

【課題】周波数の高い振動に対しても耐えることができる樹脂パターン作製するための感光性組成物の提供。
【解決手段】側鎖に酸性基を有する樹脂(A)、ジペンタエリスリトールアクリレート化合物B1及びトリペンタエリスリトールアクリレート化合物B2を少なくとも含む重合性化合物(B)及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、化合物B1及び化合物B2の重合性化合物(B)の合計量に対する含有率W1及びW2が、式(1)及び式(2)を同時に満たすことを特徴とする感光性組成物。0.6≦W2/W1≦3.0・・・・(1)63%≦W1+W2≦100%・・・・(2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐振動性及び耐衝撃性に優れた液晶表示装置を作製するための感光性組成物、感光性樹脂転写フイルム、樹脂パターン及び樹脂パターンの製造方法、並びに作製された液晶表示装置用基板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置は、高画質画像を表示する表示装置に広く利用されている。液晶表示装置はカラ−フィルター基板とTFT基板間に、所定の配向により画像表示を可能とする液晶層が配置されており、この基板間隔、すなわち液晶層の厚みを均一に維持することが画質を決定する要素の一つである。そのために液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサーが配設されている。カラーフィルターに使用される画素、ブラックマトリクス及びその他液晶配向制御用突起、ならびにスペーサーは、従来感光性組成物及び感光性樹脂転写フイルムを用いてパターニング、アルカリ現像、及びベークを経て基体上に画像を形成して作製される。
【0003】
これらの液晶表示装置は、近年アウトドアなど使用環境の変化や液晶テレビの大画面化等より、振動及び衝撃に対してさらなる耐久性が求められている。特に振動においては液晶表示装置用基板が大きくなるにつれ、振動時のスペーサーの歪みや削れが大きくなり、その結果、表示部にムラを発生する問題が懸念されている。
【0004】
スペーサーに用いられる樹脂組成物として、ジペンタエリスリトールとトリペンタエリスリトールとテトラペンタエリスリトールの混合物と(メタ)アクリル酸の反応物である(メタ)アクリル酸エステル混合物を含有することを特徴とする樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−212235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献は主に透明電極を成膜する際の熱に対する耐熱寸法安定性や、ラビング耐性の改良を主目的としており、周波数の高い耐振動性については何等考慮されていない。
本発明は、上記従来における欠点を改善することを目的とする。
即ち、本発明の目的は、周波数の高い振動に対しても耐えることができる樹脂パターン作製するための感光性組成物、それを用いて作製された感光性樹脂転写フイルム、前記感光性組成物及び前記感光性樹脂転写フイルムを用いた樹脂パターンの製造方法、該製造方法によって作製された樹脂パターン、該樹脂パターンを備えた液晶表示装置用基板、並びに該液晶表示装置用基板を備えた液晶表示装置を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明の感光性組成物は、
<1> 側鎖に酸性基を有する樹脂(A)、下記化合物B1及び化合物B2を少なくとも含む重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、該化合物B1及び化合物B2の重合性化合物(B)の合計量に対する含有率W1(質量%)及びW2(質量%)が、下記式(1)及び式(2)を同時に満たすことを特徴とする感光性組成物である。
【0008】
0.6≦W2/W1≦3.0 ・・・・(1)
63%≦W1+W2≦100% ・・・・(2)
【0009】
【化1】

【0010】
(Xは、水素原子又はHC=CR−CO−を表し、分子中のXの少なくとも4個はHC=CR−CO−を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。)
【0011】
【化2】

【0012】
(Xは、水素原子又はHC=CR−CO−を表し、分子中のXの少なくとも6個はHC=CR−CO−を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。)
<2> 前記重合性化合物(B)の樹脂(A)に対する質量比((B)/(A))は0.5〜2であることを特徴とする前記<1>に記載の感光性組成物である。
【0013】
本発明の感光性樹脂転写フイルムは、
<3> 仮支持体上に、少なくとも<1>又は<2>に記載の感光性組成物を用いて形成された感光性樹脂層を有することを特徴とする感光性樹脂転写フイルム。
<4> 前記感光性樹脂層と前記仮支持体の間に、酸素遮断層および/または熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする<3>に記載の感光性樹脂転写フイルムである。
【0014】
本発明の樹脂パターンの製造方法は、
<5> <1>又は<2>に記載の感光性組成物を塗布して支持体上に感光性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする樹脂パターンの製造方法である。
<6> <3>又は<4>に記載の感光性樹脂転写フイルムを用いて、加熱及び/又は加圧により感光性樹脂層を転写して支持体上に感光性樹脂層を形成する工程を有すること
を特徴とする樹脂パターンの製造方法である。
<7> <1>又は<2>に記載の感光性組成物又は請求項3又は請求項4に記載の感光性樹脂転写フイルムを用いて、支持体上に感光性樹脂層を形成する工程と、前記感光性樹脂層を露光する露光工程と、露光された前記感光性樹脂層を現像する現像工程と、現像されたパターンを加熱する工程を有することを特徴とする樹脂パターンの製造方法である。
【0015】
本発明の樹脂パターンは
<8> <5>〜<7>のいずれか一項に記載の樹脂パターンの製造方法により製造されたことを特徴とする樹脂パターンである。
【0016】
本発明の液晶表示装置用基板は
<9> <8>に記載の樹脂パターンを備えたことを特徴とする液晶表示装置用基板である。
【0017】
本発明の液晶表示装置は
<10> <9>に記載の液晶表示装置用基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、周波数の高い振動に対しても耐えることができる樹脂パターン作製するための感光性組成物、それを用いて作製された感光性樹脂転写フイルム、前記感光性組成物及び前記感光性樹脂転写フイルムを用いた樹脂パターンの製造方法、該製造方法によって作製された樹脂パターン、該樹脂パターンを備えた液晶表示装置用基板、並びに該液晶表示装置用基板を備えた液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例及び比較例における耐振動性シュミレーション評価に用いられる振とうケースと貼り合わせて得られた基板サンプルの説明図。
【図2】PVAモード用にパターニングされたTFT基板の形状の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の感光性組成物、感光性樹脂転写フイルム、樹脂パターン及び樹脂パターンの製造方法、並びに液晶表示装置用基板及び液晶表示装置について詳細に説明する。
【0021】
<感光性組成物及び樹脂パターンの製造方法>
本発明の感光性組成物は、側鎖に酸性基を有する樹脂(A)、重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含んでなる感光性組成物であって、該重合性化合物(B)として少なくとも2種の特定の化合物を、特定の存在比で含有させることにより、周波数の高い振動に対しても耐えることができるスペーサーなどの樹脂パターンを提供することができる。
【0022】
また、本発明の樹脂パターンの製造方法は、支持体上に、本発明の感光性組成物を用いて感光性樹脂層を形成する工程(以下、層形成工程ともいう。)を有する。
更に、具体的には、本発明の樹脂パターンの製造方法は、本発明の感光性組成物を塗布して、又は、本発明の感光性組成物を用いて形成された感光性樹脂層を有する感光性樹脂転写フイルムを用いて加熱及び/又は加圧により感光性樹脂層を転写して、支持体上に感光性樹脂層を形成する工程を有する。
【0023】
本発明の樹脂パターンの製造方法によれば、周波数の高い振動に対しても耐性を有するフォトスペーサ等の樹脂パターンを容易に製造できる。
【0024】
以下、本発明の樹脂パターンの製造方法について説明し、該説明を通じて本発明の感光性組成物の詳細についても述べる。
【0025】
[層形成工程]
本発明における層形成工程は、支持体上に本発明の感光性組成物または感光性樹脂転写フィルムを用いて感光性樹脂層(以下、単に「感光性樹脂組成物層」とも言う。)を形成する工程である。
この感光性樹脂層は、後述する製造工程を経て、フォトスペーサ等の樹脂パターンを構成する。該樹脂パターンを用いることにより振動に起因する表示ムラ等が解消される。
【0026】
支持体上に感光性樹脂層を形成する方法としては、(a)本発明の感光性組成物を含む溶液を公知の塗布法により塗布する方法、及び(b)本発明の感光性樹脂転写フイルムを用いた転写法によりラミネートする方法が好適に挙げられる。以下、各々について述べる。
【0027】
(a)塗布法
感光性組成物の塗布は、公知の塗布法、例えば、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のポッパーを使用するエクストルージョンコート法等により行なうことができる。中でも、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリットノズルあるいはスリットコーターによる方法が好適である。
【0028】
(b)転写法
転写による場合、感光性樹脂転写フイルムを用いて、仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層を支持体面に加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体の剥離により感光性樹脂組成物層を支持体上に転写する。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0029】
感光性樹脂層を形成する場合、感光性樹脂層と仮支持体間には更に酸素遮断層(以下、「酸素遮断膜」または「中間層」とも言う。)を設けることができる。これにより露光感度をアップすることができる。また、転写性を向上させるためにクッション性を有する熱可塑性樹脂層を設けることも好ましい。
該感光性転写フイルムを構成する仮支持体、酸素遮断層、熱可塑性樹脂層、その他の層や該感光性転写フイルムの作製方法については、特開2006−23696号公報の段落番号[0024]〜[0030]に記載の構成、作製方法と同様である。
【0030】
(a)塗布法、(b)転写法共に感光性樹脂層を塗布形成する場合、その層厚は0.5〜10.0μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。層厚が前記範囲であると、製造時における塗布形成の際のピンホールの発生が防止され、未露光部の現像による除去を長時間を要することなく行なうことができる。
【0031】
感光性樹脂層を形成する支持体としては、例えば、透明基板(例えばガラス基板やプラスチックス基板)、透明導電膜(例えばITO膜)付基板、カラーフィルタ付きの基板(カラーフィルタ基板ともいう。)、駆動素子(例えば薄膜トランジスタ[TFT])付駆動基板、などが挙げられる。支持体の厚みとしては、700〜1200μmが一般に好ましい。
【0032】
<感光性組成物>
次に、感光性組成物について説明する。
本発明の感光性組成物は、側鎖に酸性基を有する樹脂(A)、重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含有する。また、必要に応じて、着色剤や界面活性剤などのその他の成分を用いて構成することができる。
前記感光性組成物は、フォトスペーサ用樹脂パターンの形成に特に好ましく用いられる。
【0033】
―樹脂(A)―
樹脂(A)は側鎖に酸性基を有する。側鎖に酸性基を有するとは、側鎖に酸性基を有する構造単位(基)を有することをいい、該酸性基が主鎖に直接結合する形態であっても、後述の酸性基を有する単量体の具体例に示されるように、酸性基が連結基を介して結合してもよいことを含む。
また、上記同様に下記エチレン性不飽和基を有する基とは、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構造単位(基)を有することをいい、該エチレン性不飽和基が主鎖に直接結合する形態であっても、後述のエチレン性不飽和基を有する単量体の具体例に示されるように、エチレン性不飽和基が連結基を介して結合してもよいことを含む。
また樹脂(A)はより好ましくは、酸性基を有する基(構造単位):Y(yモル%)の他、側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基(構造単位):X(xモル%)と、エチレン性不飽和基を有する基(構造単位):Z(zモル%)を含有してなり、必要に応じてその他の基(L)(lモル%)を有していてもよい。また、樹脂(A)中のひとつの基の中にX,Y,及びZが複数組み合わされていてもよい。
【0034】
前記酸性基としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中でも、現像性、及び硬化膜の耐水性が優れる点から、カルボキシ基、フェノール性水酸基であることが好ましい。
【0035】
前記側鎖に酸性基を有するために用いられる単量体としては、特に制限はなく、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリレート類である。
【0036】
前記側鎖に酸性基を有する単量体の具体例としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0037】
前記水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物に用いられる水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記環状酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、低コストである点で(メタ)アクリル酸等が好ましい。
【0038】
前記「側鎖にエチレン性不飽和基」としては、特に制限はなく、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、エチレン性不飽和基と単量体との連結はエステル基、アミド基、カルバモイル基などの2価の連結基であれば特に制限はない。側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法は公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸性基を持つ基にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、ヒドロキシル基を持つ基にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加した付加する方法、イソシアネート基を持つ基にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。
その中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
【0039】
前記エチレン性不飽和結合及びエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、これらを有すれば特に制限はない。
【0040】
前記その他の単量体としては、特に制限はなく、例えば分岐および/または脂環構造をもたない(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、ビニルエーテル、二塩基酸無水物基、ビニルエステル基、炭化水素アルケニル基等を有する単量体などが挙げられる。
前記ビニルエーテル基としては、特に制限はなく、例えば、ブチルビニルエーテル基などが挙げられる。
【0041】
前記二塩基酸無水物基としては、特に制限はなく、例えば、無水マレイン酸基、無水イタコン酸基などが挙げられる。
前記ビニルエステル基としては、特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル基などが挙げられる。
前記炭化水素アルケニル基としては、特に制限はなく、例えば、ブタジエン基、イソプレン基などが挙げられる。
【0042】
前記樹脂(A)におけるその他の単量体の含有率としては、モル組成比が、0〜30mol%であることが好ましく、0〜20mol%であることがより好ましい。
【0043】
樹脂(A)の具体例としては、例えば、特開2008−146018号公報の段落番号[0057]〜[0063]に記載される化合物P−1〜P−35で表される化合物が挙げられる。
【0044】
前記樹脂(A)は、モノマーの(共)重合反応の工程とエチレン性不飽和基を導入する工程の二段階の工程から作られる。 まず、(共)重合反応は種々のモノマーの(共)重合反応によって作られ、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、重合の活性種については、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などを適宜選択することができる。これらの中でも合成が容易であり、低コストである点からラジカル重合であることが好ましい。また、重合方法についても特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを適宜選択することができる。これらの中でも、溶液重合法であることがより望ましい。
【0045】
樹脂(A)として好適な前記共重合体の重量平均分子量は、10,000〜10万が好ましく、12,000〜6万が更に好ましく、15,000〜4.5万が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、共重合体の製造適性、現像性の点で望ましい。また、溶融粘度の低下により形成された形状が潰れ難い点で、また、架橋不良となり難い点、現像でのスペーサー形状の残渣がない点で好ましい。
【0046】
樹脂(A)として好適なガラス転移温度(Tg)は、40〜180℃であることが好ましく、45〜140℃であることはより好ましく、50〜130℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサが得られる。
【0047】
樹脂(A)として好適な酸価はとりうる分子構造により好ましい範囲は変動するが、一般には20mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることはより好ましく、70〜130mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサが得られる。
【0048】
前記樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が40〜180℃であり、かつ重量平均分子量が10,000〜100,000であることが良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサが得られる点で好ましい。
更に、前記樹脂(A)の好ましい例は、好ましい前記分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び酸価のそれぞれの組合せがより好ましい。
【0049】
本発明における樹脂(A)は、前記側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基:X(xモル%)と、酸性基を有する基:Y(yモル%)と、エチレン性不飽和基を有する基:Z(zモル%)とをそれぞれ別の共重合単位に有する少なくとも3元共重合以上の共重合体であることが変形回復率、現像残渣、耐振動性、レチキュレーションの観点から好ましい。具体的には、前記X,Y,Zを構成する各々の単量体を少なくとも1つ共重合させてなる共重合体が好ましい。
前記樹脂(A)の前記各成分の共重合組成比については、ガラス転移温度と酸価を勘案して決定され、一概に言えないが、「側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基」は10〜70モル%が好ましく、15〜65モル%が更に好ましく、20〜60モル%が特に好ましい。側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基が前記範囲内であると、良好な現像性が得られると共に、画像部の現像液耐性も良好である。
また、「側鎖に酸性基を有する基」は5〜70モル%が好ましく、10〜60モル%が更に好ましく、20〜50モル%が特に好ましい。側鎖に酸性基を有する基が前記範囲内であると、良好な硬化性、現像性が得られる。
また、「側鎖にエチレン性不飽和基を有する基」は10〜70モル%が好ましく、20〜70モル%が更に好ましく、30〜70モル%が特に好ましい。側鎖にエチレン性不飽和基を有する基が前記範囲内であると、顔料分散性に優れると共に、現像性及び硬化性も良好である。
【0050】
前記樹脂(A)の含有量としては、前記感光性組成物全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。樹脂(A)は後述のその他の樹脂を含有することができるが、樹脂(A)のみが好ましい。
【0051】
前記樹脂(A)と併用することができる樹脂としては、アルカリ性水溶液に対して膨潤性を示す化合物が好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性である化合物がより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は溶解性を示す樹脂としては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられ、具体的には、エポキシ化合物にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物(エポキシアクリレート化合物)、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体との混合物、マレアミド酸系共重合体、などが好ましい。
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、などが挙げられ、これらの中でも、原料の入手性などの観点から、カルボキシル基が好ましく挙げられる。
【0052】
前記樹脂(A)と併用することができる樹脂との合計の含有量としては、前記感光性組成物全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。該固形分含有量が、5質量%未満であると、後述する感光層の膜強度が弱くなりやすく、該感光層の表面のタック性が悪化することがあり、70質量%を超えると、露光感度が低下することがある。なお、前記含有量は、固形分含有量のことを示している。
【0053】
〜重合性化合物(B)〜
本発明における重合性化合物(B)は上記化合物B1及びB2を少なくとも含む。
本発明の感光性組成物は、該化合物B1及び化合物B2の重合性化合物(B)の合計量に対する含有率W1(質量%)及びW2(質量%)が、下記式(1)及び式(2)を同時に満たすことを特徴とする。ここで、重合性化合物(B)の合計量に対する化合物B1の含有率がW1(質量%)であり、重合性化合物(B)の合計量に対する化合物B2の含有率がW2(質量%)である。
【0054】
0.6≦W2/W1≦3.0 ・・・・(1)
63%≦W1+W2≦100% ・・・・(2)
【0055】
本発明の感光性組成物は、上記式(1)及び(2)を満たすことにより、周波数の高い振動に対しても耐えることができるスペーサーなどの樹脂パターンを提供することができるものとなる。
【0056】
化合物B1中のXは水素原子又はHC=CR−CO−を表し、分子中のXの少なくとも4個はHC=CR−CO−を表し、より好ましくは5個以上であり、最も好ましくは5.5個及び6個である。
またRは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、より好ましくは水素原子、又は炭素数1〜2の炭化水素基であり、最も好ましいのは、水素原子又はメチル基である。化合物B1の具体例としては、具体的にはジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びそれらの混合物が挙げられる。中でもジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びそれらの混合物がより好ましい。
【0057】
化合物B2中のXは、水素原子又はHC=CR−CO−を表し、分子中のXの少なくとも6個はHC=CR−CO−を表し、より好ましくは7個以上であり、最も好ましいのは、7.5個及び8個である。
またRは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、より好ましくは水素原子、又は炭素数1〜2の炭化水素基であり、最も好ましいのは、水素原子又はメチル基である。化合物B2の具体例としては、具体的にはトリペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート及びそれらの混合物が挙げられる。中でもトリペンタエリスリトールヘプタメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート及びそれらの混合物がより好ましい。
【0058】
前記化合物B1及びB2の重合性化合物(B)の合計量に対する含有率W1(%)及びW2(%)は上記1及び2を同時に満たす必要があるが、含有率W1(%)及びW2(%)の合計は耐振動性の観点から好ましくは65%以上95%、さらに好ましくは70%以上90%以下である。63%未満になると、耐振動性が悪化する。
【0059】
一方、含有率W1(%)とW2(%)の比率W2/W1は0.6以上3.0以下とすることが必要であり、好ましくは0.62以上2.95以下、さらに好ましくは0.7以上2.6以下である。0.6未満であると現像した際の、スペーサーと基板の密着が低下すると同時に、耐振動性が悪化する。3.0を超えると現像残渣が悪化すると同時に、耐振動性が悪化する。
【0060】
その他併用できる重合性化合物としては、特開2006−23696号公報の段落番号[0011]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0040]〜[0049]に記載した成分が併用できる。
【0061】
前記樹脂(A)との関係において、重合性化合物(B)の樹脂(A)に対する質量比率((B)/(A)比)が0.5〜2.0であることが好ましく、0.6〜1.4であることはより好ましく、0.7〜1.2であることが特に好ましい。(B)/(A)比が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサが得られる。
【0062】
〜光重合開始剤(C)、その他の成分〜
本発明において、光重合開始剤(C)、その他の成分として公知の組成物を構成する成分を好適に用いることができ、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0012]〜[0020]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0050]〜[0053]に記載の成分が挙げられる。
【0063】
前記光重合開始剤(C)の含有量としては、樹脂(A)に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0064】
[露光工程・現像工程]
本発明の樹脂パターンの製造方法は、前記感光性樹脂層を露光する露光工程と、前記露光された前記感光性樹脂層を現像する現像工程とを有する。
本発明において、露光工程・現像工程を合わせてパターニング工程として説明する。
本発明におけるパターニング工程は、支持体上に形成された感光性樹脂層を露光及び現像してパターニングする。パターニング工程の具体例としては、特開2006−64921号公報の段落番号[0071]〜[0077]に記載の形成例や、特開2006−23696号公報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の工程などが、本発明においても好適な例として挙げられる。
【0065】
本発明の樹脂パターン(好ましくは、フォトスペーサ)は、ブラックマトリクス等の黒色遮蔽部及び着色画素等の着色部を含むカラーフィルタを形成した後に形成することができる。
前記黒色遮蔽部及び着色部と樹脂パターン(好ましくは、フォトスペーサ)は、感光性組成物を塗布する塗布法と感光性組成物からなる感光性樹脂層を有する転写材料を用いる転写法と、を任意に組合せて形成することが可能である。
前記黒色遮蔽部及び着色部並びに前記樹脂パターン(好ましくは、フォトスペーサ)はそれぞれ感光性組成物から形成でき、具体的には、例えば、基板に液体の前記感光性組成物を直接塗布することにより感光性樹脂層を形成した後に、露光・現像を行い、前記黒色遮蔽部及び着色部をパターン状に形成し、その後、別の液体の前記感光性組成物を前記基板とは異なる別の基板(仮支持体)上に設置して感光性樹脂層を形成することにより作製された転写材料を用い、この転写材料を前記黒色遮蔽部及び着色部が形成された前記基板に密着させて感光性樹脂層を転写した後に、露光・現像を行うことにより樹脂パターン(好ましくは、フォトスペーサ)をパターン状に形成することができる。このようにして、樹脂パターン(好ましくは、フォトスペーサ)が設けられたカラーフィルタを作製することができる。
【0066】
<液晶表示装置用基板>
本発明の液晶表示装置用基板は、前記本発明の樹脂パターン(好ましくは、フォトスペーサ)の製造方法により得られた樹脂パターン(好ましくは、フォトスペーサ)を備えたものである。樹脂パターン(好ましくは、フォトスペーサ)は、支持体上に形成されたブラックマトリクス等の表示用遮光部の上やTFT等の駆動素子上に形成されることが好ましい。また、ブラックマトリクス等の表示用遮光部やTFT等の駆動素子とフォトスペーサとの間にITO等の透明導電層(透明電極)やポリイミド等の液晶配向膜が存在していてもよい。
【0067】
例えば、フォトスペーサが表示用遮光部や駆動素子の上に設けられる場合、該支持体に予め配設された表示用遮光部(ブラックマトリクスなど)や駆動素子を覆うようにして、例えば感光性樹脂転写フイルムの感光性樹脂層を支持体面にラミネートし、剥離転写して感光性樹脂層を形成した後、これに露光、現像、加熱処理等を施してフォトスペーサを形成することによって、本発明の液晶表示装置用基板を作製することができる。
本発明の液晶表示装置用基板には更に、必要に応じて赤色(R)、青色(B)、緑色(G)3色等の着色画素が設けられていてもよい。
【0068】
<液晶表示素子>
前記本発明の液晶表示装置用基板を設けて液晶表示素子を構成することができる。液晶表示素子の1つとして、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の液晶表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式及びアクティブマトリックス駆動方式を含む。)を少なくとも備えたものが挙げられる。
【0069】
この場合、本発明の液晶表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリックスで離画されているカラーフィルタ基板として構成できる。このカラーフィルタ基板には、高さ均一で変形回復性に優れたフォトスペーサが設けられるため、該カラーフィルタ基板を備えた液晶表示素子は、カラーフィルタ基板と対向基板との間にセルギャップムラ(セル厚変動)の発生が抑えられ、色ムラ等の表示ムラの発生を効果的に防止することができる。これにより、作製された液晶表示素子は鮮やかな画像を表示できる。
【0070】
また、液晶表示素子の別の態様として、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の液晶表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段とを少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ一対の基板間が高さ均一で変形回復性に優れたフォトスペーサにより所定幅に規制して構成されたものである。
この場合も、本発明の液晶表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリックスで離画されたカラーフィルタ基板として構成されている。
【0071】
本発明において使用可能な液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶が挙げられる。
また、前記カラーフィルタ基板の前記画素群は、互いに異なる色を呈する2色の画素からなるものでも、3色の画素、4色以上の画素からなるものであってもよい。例えば3色の場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相で構成される。RGB3色の画素群を配置する場合には、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4色以上の画素群を配置する場合にはどのような配置であってもよい。カラーフィルタ基板の作製は、例えば2色以上の画素群を形成した後既述のようにブラックマトリックスを形成してもよいし、逆にブラックマトリックスを形成した後に画素群を形成するようにしてもよい。RGB画素の形成については、特開2004−347831号公報等を参考にすることができる。
【0072】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、前記液晶表示装置用基板を設けて構成されたものである。また、本発明の液晶表示装置は、前記液晶表示素子を設けて構成されたものである。すなわち、互いに向き合うように対向配置された一対の基板間を既述のように、本発明のフォトスペーサの製造方法により作製されたフォトスペーサで所定幅に規制し、規制された間隙に液晶材料を封入(封入部位を液晶層と称する。)して構成されており、液晶層の厚さ(セル厚)が所望の均一厚に保持されるようになっている。
【0073】
液晶表示装置における液晶表示モードとしては、STN型、TN型、GH型、ECB型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、VA型、IPS型、OCB型、ASM型、その他種々のものが好適に挙げられる。中でも、本発明の液晶表示装置においては、最も効果的に本発明の効果を奏する観点から、液晶セルのセル厚の変動により表示ムラを起こし易い表示モードが望ましく、セル厚が2〜4μmであるVA型表示モード、IPS型表示モード、OCB型表示モードに構成されるのが好ましい。
【0074】
本発明の液晶表示装置の基本的な構成態様としては、(a)薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、(b)駆動基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、等が挙げられ、本発明の液晶表示装置は、各種液晶表示機器に好適に適用することができる。
【0075】
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、側工業調査会、1994年発行)」に記載がある。本発明の液晶表示装置には、本発明の液晶表示装置用基板又は前記液晶表示素子を備える以外に特に制限はなく、例えば前記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載された種々の方式の液晶表示装置に構成することができる。中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置を構成するのに有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)、1996年発行)」に記載がある。
【0076】
本発明の液晶表示装置は、既述の本発明の液晶表示装置用基板又は液晶表示素子を備える以外は、電極基板、偏光フイルム、位相差フイルム、バックライト、スペーサー.視野角補償フイルム、反射防止フイルム、光拡散フイルム、防眩フイルムなどの様々な部材を用いて一般的に構成できる。これら部材については、例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉、(株)富士キメラ総研、2003等発行)」に記載されている。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
【0078】
(実施例1):転写法
−スペーサー用感光性転写フイルムの作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)上に、下記処方A1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥させた後さらに120℃で1分間乾燥させ、乾燥層厚18μmの熱可塑性樹脂層を形成した。ここで、乾燥条件における温度「100℃」及び「120℃」は、いずれも乾燥風の温度である。以下の乾燥条件における温度も同様である。
【0079】
〔熱可塑性樹脂層用塗布液の処方A1〕
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=55/11.7/4.5/28.8[mol比]、重量平均分子量90,000) … 58.4部
・スチレン/アクリル酸共重合体(=63/37[mol比]、重量平均分子量8,000) … 136部
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
… 90.7部
・界面活性剤1(下記構造物1) … 5.4部
・メタノール … 111部
・1−メトキシ−2−プロパノール … 63.4部
・メチルエチルケトン … 534部
【0080】
*界面活性剤1
・下記構造物1 … 30%
・メチルエチルケトン … 70%
【0081】
【化3】

【0082】
次に、形成した熱可塑性樹脂層上に、下記処方Bからなる中間層用塗布液をし、80℃で1分間乾燥させた後さらに120℃1分間乾燥させて、乾燥層厚1.6μmの中間層を積層した。
【0083】
〔中間層用塗布液の処方B〕
・ポリビニルアルコール(PVA−205、鹸化率88%、(株)クラレ製)
… 3.22部
・ポリビニルピロリドン(PVP K−30、アイエスピー・ジャパン株式会社製)
… 1.49部
・メタノール … 42.9部
・蒸留水 … 52.4部
【0084】
次に、形成した中間層上に更に、下記処方1からなる感光性樹脂層用塗布液を塗布した後それぞれ100℃で2分間乾燥させた後、更に、120℃で1分間乾燥させて(乾燥条件A)、乾燥層厚4.5μmの感光性樹脂層を積層した。
【0085】
<感光性樹脂層用塗布液の処方1>
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート … 450部
・メチルエチルケトン … 233部
・ソルスパース20000(アシビア製) … 3.13部
・ポリマー45%溶液(特開2008−146018号公報段落[0061] 構造式P−25:重量平均分子量=3.5万、固形分45%、1−メトキシ−2−プロピルアセテート15%、1−メトキシ−2−プロパノール40%) … 184部
・重合性化合物の混合物B1−1:DPHA液(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:38%、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:38%、1−メトキシ−2−プロピルアセテート:24%) … 26.1部
・下記重合性化合物の混合物B2−1(n=1:トリペンタエリスリトールオクタアクリレート含有率85%、不純物としてn=2及びn=3の合計が15%)…32.9部
・ウレタン系モノマー(NKオリゴUA−32P 新中村化学(株)製:不揮発分75%、1−メトキシ−2−プロピルアセテート:25%) … 12.4部
・2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン … 6.10部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル … 0.117部
・ビクトリアピュアブルーNAPS(保土ヶ谷化学工業株式会社製)の5%溶液
(固形分5%、メタノール26%、メチルエチルケトン69%) … 52.3部
・メガファックF−784−F(大日本インキ化学工業株式会社製)… 0.85部
【0086】
【化4】


X:アクリロイル基、n=1〜3の混合物
【0087】
以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂組成物層の積層構造に構成した後、感光性樹脂組成物層の表面に更に、カバーフィルムとして厚み12μmのポリプロピレン製フィルムを加熱・加圧して貼り付け、スペーサー用感光性転写フイルム(1)を得た。ABS樹脂3インチ巻き芯に巻きつけ、黒色のポリエチレンフィルム及び透明のポリエチレンフィルムで包装し、保管した。
【0088】
≪カラーフィルタ基板の作製≫
<1.感光性濃色組成物の調製>
−カーボンブラック分散液(K−1)の調製−
下記処方でカーボンブラック分散液(K−1)を調製した。
・カーボンブラック(デグッサ社製 カラーブラックFW2) … 26.7部
・分散剤(楠本化成社製ディスパロンDA7500 酸価26 アミン価40)
… 3.3部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[mol比])共重合体(分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの50質量%溶液) … 10部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 60部
【0089】
上記各成分を3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて8時間微分散処理を施し、カーボンブラック分散液(K−1)を得た。
【0090】
得られたカーボンブラック分散液(K−1)を用いて、下記表1の処方で感光性濃色組成物塗布液CK−1を調製した。表1中の数値は質量比を示す。
【0091】
【表1】

【0092】
表1中の各成分の詳細は下記のとおりである。
・樹脂溶液C−2:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=85/15mol比)共重合体(Mw10000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの50wt%溶液)
・UV硬化性樹脂C−3:商品名サイクロマーP ACA−250 ダイセル化学工業(株)製〔側鎖に脂環、COOH基、及びアクリロイル基を有するアクリル系共重合体、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)〕
・重合性化合物C−5:商品名 TO−1382 東亞合成(株)製
(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの末端OH基の一部をCOOH基に置換した5官能のアクリロイル基を有するモノマーが主成分。)
・開始剤C−7:商品名「OXE−02」 チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製
・界面活性剤C−8:商品名「メガファックR30」 大日本インキ化学工業(株)製
・溶剤:PGMEA=プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EEP=3−エトキシエチルプロピオネート
【0093】
<2.塗布によるブラックマトリクスの形成>
−感光性濃色組成物層形成工程−
得られた感光性濃色組成物CK−1を、洗浄したガラス基板(コーニング社製ミレニアム 0.7mm厚)にスリットコーター(型番HC8000、平田機工株式会社製)を用いて、ポストベーク後の膜厚が1.2μmとなるようにスリットとガラス基板間の間隔、吐出量を調節して、塗布速度120mm/秒で塗布した。
【0094】
−プリベーク工程、露光工程−
次いで、ホットプレートを用いて、90℃で120秒間加熱(プリベーク処理)を行なった後、ミラープロジェクション方式露光機(型番MPA−8800、キヤノン株式会社社製)を用いて、100mJ/cmで露光した。
【0095】
−現像工程−
その後、傾斜搬送型の現像装置(型番SK−2200G、大日本スクリーン製造株式会社製、傾斜角5°)で現像した。すなわち、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー圧を0.20MPaに設定して、60秒現像し、純水で洗浄し、現像後のブラックマトリクスを得た。
【0096】
−ベーク工程−
次いで220℃のクリーンオーブンで40分間ポストベーク処理し、着色画素形成領域の開口が90μm×200μmで、厚みが1.2μmで、線幅が約25μmの格子状パターンであるブラックマトリクスを備えたブラックマトリクス基板を形成した。
X−Rite 361T(V)(サカタインクスエンジニアリング(株)製)を用いて、出来上がったブラックマトリクスの光学濃度(OD)を測定したところ、4.2であった。
【0097】
<3.感光性着色組成物の調製>
− 3−1.赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1の調製−
下記処方で赤色(R)用分散液(R−1)を調製した。
・Pigment Red 254(SEM観察での平均粒子径43nm)…11部
・Pigment Red 177(SEM観察での平均粒子径58nm)… 4部
・下記分散樹脂A−3の溶液 … 5部
・分散剤(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製)
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの30%溶液) … 3部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=75/25[mol比]共重合体、分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) … 9部
・溶剤B:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 68部
【0098】
上記各成分を、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いてビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し赤色(R)用分散液(R−1)を得た。得られた赤色(R)用分散液(R−1)中の分散粒子をSEMで観察したところ平均粒子径は36nmであった。
【0099】
得られた赤色(R)用分散液(R−1)を用いて、下記処方で赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を調製した。
・赤色(R)用分散液(R−1) … 100部
・エポキシ樹脂:(商品名EHPE3150 ダイセル化学工業社製 … 2部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート … 8部
・重合開始剤:4−(o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノ−フェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン … 1部
・重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−molフォリノフェニル)−ブタノン−1 … 1部
・重合開始剤:ジエチルチオキサントン … 0.5部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール …0.001部
・フッ素系界面活性剤(商品名:Megafac R30 大日本インキ化学工業社製)
… 0.01部
・ノニオン系界面活性剤(商品名:テトロニックR150 ADEKA社製)
… 0.2部
・溶剤:プロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート … 30部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 100部
上記成分を混合撹拌し、赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を得た。
【0100】
− 3−2.緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1の調製−
下記処方で緑色(G)用分散液(G−1)を調製した。
・Pigment Green 36(SEM観察での平均粒子径47nm) 11部
・Pigment Yellow150(SEM観察での平均粒子径39nm) 7部
・下記分散樹脂A−3の溶液 5部
・分散剤(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製 30%溶液)
3部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=85/15[mol比]共重合体、分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) 11部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70部
【0101】
上記各成分を3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて8時間微分散処理を施し、緑色(G)用分散液(G−1)を得た。得られた緑色(G)用分散液(G−1)中の分散粒子をSEMで観察したところ平均粒子径は32nmであった。
【0102】
得られた緑色(G)用分散液(G−1)を用いて、下記処方で緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1を調製した。
・緑色(G)用分散液(G−1) … 100部
・エポキシ樹脂:(商品名EHPE3150 ダイセル化学工業社製) … 2部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート … 8部
・重合性化合物:ペンタエリスリトールのテトラ(エトキシアクリレート)… 2部
・重合開始剤:1,3−ビストリハロメチル−5−ベンゾオキソラントリアジン…2部
・重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−molフォリノフェニル)−ブタノン−1 … 1部
・重合開始剤:ジエチルチオキサントン … 0.5部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール … 0.001部
・フッ素系界面活性剤(商品名:Megafac R08 大日本インキ化学工業社製)
… 0.02部
・ノニオン系界面活性剤(商品名:エマルゲンA−60 花王社製) … 0.5部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 120部
・溶剤:プロピレングリコールn−プロピルエーテルアセテート … 30部
上記組成を混合撹拌し、緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1を得た。
【0103】
− 3−3.青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1の調製−
下記処方で青色(B)用分散液(B−1)を調製した。
・Pigment Blue 15:6(SEM観察での平均粒子径55nm)…14部
・Pigment Violet 23(SEM観察での平均粒子径61nm)… 1部
・下記分散樹脂A−3の溶液 … 5部
・分散剤(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製 30%溶液)
… 3部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(=80/20[mol比]共重合体、分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) … 4部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 73部
【0104】
上記各成分を、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いてビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、青色(B)用分散液(B−1)を得た。得られた青色(B)用分散液(B−1)中の分散粒子をSEMで観察したところ平均粒子径は39nmであった。
【0105】
得られた青色(B)用分散液(B−1)を用いて、下記処方で青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1を調製した。
・青色(B)用分散液(B−1) … 100部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=80/20[mol比]共重合体、分子量30,000)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) … 7部
・エポキシ樹脂:(商品名セロキサイド2080 ダイセル化学工業社製) … 2部
・UV硬化性樹脂:(商品名サイクロマーP ACA−250 ダイセル化学工業社製)
(側鎖に脂環、COOH基、及びアクリロイル基のあるアクリル系共重合体、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%) … 4部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート …12部
・重合開始剤:1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル)−1−(o−アセチルオキシム)エタノン … 3部
・重合禁止剤: p−メトキシフェノール … 0.001部
・フッ素系界面活性剤(商品名:Megafac R08 大日本インキ化学工業社製)
… 0.02部
・ノニオン系界面活性剤(商品名:エマルゲンA−60 花王社製) … 1.0部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル … 20部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 150部
上記成分を混合撹拌し、青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1を得た。
【0106】
<4.分散樹脂A−3の合成>
(1.連鎖移動剤A3の合成)
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺化学工業(株)製〕(下記化合物(33))7.83部、及び吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する下記化合物(m−6)4.55部を、プロピレングリコールモノメチルエーテル28.90部に溶解させ、窒素気流下、70℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.04部を加えて3時間加熱した。更に、V−65を0.04部加え、窒素気流下、70℃で3時間反応させた。室温まで冷却することで、以下に示すメルカプタン化合物(連鎖移動剤A3)の30%溶液を得た。
【0107】
【化5】

【0108】
(2.分散樹脂A―3の合成)
前記のようにして得られた連鎖移動剤A3の30%溶液4.99部、メタクリル酸メチル19.0部、及びメタクリル酸1.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル4.66部の混合溶液を、窒素気流下、90℃に加熱した。この混合溶液を攪拌しながら、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕0.139部、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.36部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.40部の混合溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了してから、90℃で2.5時間反応させた後、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.046部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.00部の混合溶液を投入し、更に2時間反応させた。反応液にプロピレングリコールモノメチルエーテル1.52部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート21.7部を加え、室温まで冷却することで分散樹脂A−3(ポリスチレン換算の重量平均分子量24000)の溶液(分散樹脂30質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル21質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート49質量%)を得た。
この分散樹脂A−3の酸価は48mg/gであった。分散樹脂A−3の構造を以下に示す。
【0109】
【化6】

【0110】
<カラーフィルタの作製>
−感光性着色組成物層形成工程−
得られた赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を、前記ブラックマトリクス基板のブラックマトリクス形成面側に、塗布した。具体的には、感光性濃色組成物層形成の場合と同様に、ポストベーク後の感光性着色組成物層の層厚が約2.1μmとなるようにスリットとブラックマトリクス基板間の間隔、吐出量を調節して、塗布速度120mm/秒で塗布した。
【0111】
−着色層プリベーク工程、着色層露光工程−
次いで、ホットプレートを用いて、100℃で120秒間加熱(プリベーク処理)を行なった後、ミラープロジェクション方式露光機(型番MPA−8800、キヤノン株式会社製)を用いて、90mJ/cmで露光した。
また、露光パターンと、ブラックマトリクスとの重なり(露光重なり量)が9.0μmとなるようにマスクパターンと露光機を設定した。
【0112】
−着色層現像工程、着色層ベーク工程−
その後、傾斜搬送型の現像装置(型番SK−2200G、大日本スクリーン製造株式会
社製、傾斜角5°)で現像した。すなわち、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー圧を0.2MPaに設定して、45秒現像し、純水で洗浄した。
次いで220℃のクリーンオーブンで30分間ポストベーク処理し、熱処理済みの赤色画素を形成した。
【0113】
次いで、上記感光性着色組成物層形成工程、着色層プリベーク工程、着色層露光工程、着色層現像工程、及び着色層ベーク工程において、赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を、緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1に代えた他は同様にして、緑色画素を形成した。さらにその後、赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を、青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1に代えた他は同様にして、青色画素を形成してカラーフィルタを得た。
【0114】
上記より得たカラーフィルタのR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)透明電極を、スパッタリングにより形成し、カラーフィルタ基板を得た。
【0115】
−フォトスペーサの作製−
黒色のポリエチレンフィルム及び透明のポリエチレンフィルムを剥がして、スペーサー用感光性転写フイルム(1)を取り出し、カバーフィルム上からロータリーカッターを用いて、該カバーフィルム表面から仮支持体の一部に至るまでの深さの切り口をつけた。
次に、テープを用いてカバーフィルムと感光性樹脂層との界面で剥離し、カバーフィルムを除去した。
【0116】
露出した感光性樹脂層の表面を、上記で作製したITO膜がスパッタ形成され、予め表面温度120℃に加熱されたカラーフィルタ基板のITO膜上に重ね合わせ、ラミネーターLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、線圧100N/cm、上ロール90℃、下ロール130℃の加圧・加熱条件下で搬送速度2m/分にて貼り合わせた。
【0117】
その後、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離除去し、感光性樹脂層を熱可塑性樹脂層及び中間層と共に転写した(層形成工程)。
【0118】
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと熱可塑性樹脂層とが向き合うように配置したカラーフィルタ基板とを略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂層の中間層に接する側の表面との間の距離を100μmとし、マスクを介して熱可塑性樹脂層側から露光量i線50mJ/cmにてプロキシミティー露光した。
【0119】
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍(T−PD2を1部と純水9部の割合で混合)に希釈した液)を用いて、30℃で60秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去した。
引き続き、このガラス基板の上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続き、炭酸Na系現像液(0.38mol/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47mol/リットルの炭酸ナトリウム、5%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて27℃で45秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、スペーサーのパターン像を得た。
引き続き、洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有;商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製))を純水で10倍に希釈した液を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaにてシャワーで吹きかけ、形成されたパターン像の周辺の残渣除去を行ない、所望のスペーサーパターンを得た。
【0120】
次に、スペーサーパターンが設けられたカラーフィルタ基板を、230℃下で60分間加熱処理を行ない(熱処理工程)、フォトスペーサを作製した。
以上により、フォトスペーサ付きカラーフィルタ基板を得た。
得られたスペーサーパターンは、直径20μm、平均高さ4.2μmの円柱状であった。尚、平均高さは、得られたスペーサー200個のそれぞれについて、三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)を用い、ITOの透明電極形成面からスペーサーの最も高い位置までの高さを測定し、200個の値の算術平均を算出することにより求めた。
【0121】
<液晶表示装置の作製>
別途、対向基板として、ガラス基板上にTFTが配設されたTFT基板を用意し、上記で得られたフォトスペーサ付きカラーフィルタ基板の透明電極形成面側及び対向基板のTFT形成面側に、それぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
【0122】
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリクス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。
【0123】
次いで、赤色(R)LEDとしてFR1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
上記のフォトスペーサおよび液晶表示装置について、後述の評価試験を行い、評価し結果を表2に示した。
【0124】
〔実施例2〕
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液の処方1のウレタン系モノマーを除去し、重合性化合物(B)/樹脂(A)比、W2/W1比、溶剤組成比、固形分濃度を一定に保つように処方を変更した以外は実施例1と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
【0125】
〔実施例3〜8〕
実施例2において、感光性樹脂層用塗布液の処方の重合性化合物(B)/樹脂(A)比、溶剤組成比、固形分濃度を一定に保ったまま、W2/W1の値を1.41から表2に示すように変更した以外には実施例2と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
【0126】
〔比較例1〕
実施例2に感光性樹脂層用塗布液の処方において使用した全ての重合性化合物の代わりに、特開2002−212235号公報の合成例1のアクリル酸エステル混合物(A−1)(W1+W2=79.8、W2/W1=11.9)を用いた以外は実施例2と同様に行ない、表2に示す結果を得た。W1+W2、W2/W1はそれぞれ71.9%及び11.9であった。
【0127】
〔比較例2〜5〕
実施例2において、感光性樹脂層用塗布液の処方の重合性化合物(B)/樹脂(A)比、溶剤組成比、固形分濃度を一定に保ったまま、W2/W1の値をそれぞれ表2に示すように変更した以外は実施例2と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
【0128】
〔実施例9〕
実施例2において、感光性樹脂層用塗布液の処方の重合性化合物の混合物B2−1の純度を85%から99%に変更し、W2/W1の比率、重合性化合物(B)/樹脂(A)比、溶剤組成比、固形分濃度を一定になるよう処方を変更した以外は実施例2と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
【0129】
〔実施例10〜12〕
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液の処方に用いたウレタン系モノマー(NKオリゴUA−32P)含有率を表2に示すように、変更した以外は、W2/W1の比率、重合性化合物(B)/樹脂(A)比、溶剤組成比、固形分濃度を一定になるようにした以外は実施例1と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
【0130】
〔比較例6〕
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液の処方に用いたウレタン系モノマー(NKオリゴUA−32P)含有率を表2に示すように32%に変更した以外は、W2/W1の比率、重合性化合物(B)/樹脂(A)比、溶剤組成比、固形分濃度を一定になるようにした以外は実施例1と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
【0131】
〔実施例13〜16〕
実施例1において最終のスペーサーの高さを4.2からそれぞれ表2に示すように変更した以外には実施例1と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
【0132】
〔実施例17及び18〕
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液の処方の重合性化合物(B)/樹脂(A)比を0.75からそれぞれ表2に示すように変更した以外は、溶剤組成比、固形分濃度、W2/W1、W1+W2の値を一定に保ったまま実施例1と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
【0133】
〔実施例19〜22〕
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液のポリマー溶液として用いた特開2008−146018号公報 構造式P−25の代わりに、それぞれ、特開2008−146018号公報段落[0058]の構造式P−10、下記構造物2、構造物3、及び特開2004−240241号公報の段落[0094]合成例1ポリマーを、ポリマー固形分が等量になるように添加し、また塗布液固形分が同じになるよう1−メトキシ−2−プロピルアセテートの添加量を調整した以外は実施例1と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
【0134】
【化7】

【0135】
【化8】

【0136】
【表2】

【0137】
(実施例23〜44及び比較例7〜12):塗布法
−フォトスペーサの作製(液レジ法)−
上記で作製したITO膜がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO膜上に、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーターMH−1600(エフ・エー・エス・アジア社製)にて、実施例1〜22及び比較例1〜6で用いた感光性樹脂層用塗布液を塗布した。引き続き、真空乾燥機VCD(東京応化社製)を用いて30秒間溶媒の一部を乾燥させて塗布膜の流動性をなくした後、120℃で3分間プリベークして膜厚4.5μmの感光性樹脂組成物層を形成した(層形成工程)。
【0138】
続いて、実施例1と同様のパターニング工程及び熱処理工程により、カラーフィルタ基板上にフォトスペーサを作製した。但し、露光量は300mJ/cm、KOH系現像液による現像は23℃、60秒間とした。得られたスペーサーパターンは、直径20μm、平均高さ4.2μmの円柱状であった。
【0139】
フォトスペーサの作製後、このカラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様にして、本発明のPVAモード液晶表示装置を作製し、表3に示す結果を得た。
【0140】
【表3】

【0141】
[評価]
−耐振動性シミュレーション評価−
実施例及び比較例のフォトスペーサの作製方法において、カラーフィルター基板の代わりにITOを蒸着したガラス基板を用い、且つ、マスクを用いず均一露光した後、現像、ベークした基板を2cm角にカットした。
別途下記TFT基板を作製し、同様に2cm角にカットした。
この2種類の基板をTFT面とベークした感光性樹脂層が重なるように張り合わせ、セロハンテープを2周巻いて固定して基板サンプルを得た。
さらに、厚み1cmのSUS304製板を加工して、図1に示す振とうケース(内径縦95mm×横45mm×高さ45mm)を作製し、上記張り合わせた基板サンプルを振とうケース内側45mm幅の面に貼り付けた。この振とうケースをヤマト科学製振とう器shaking Bath Model BW100型に振とう方向と振とうケースの縦の軸が同方向になるように取付けた。振とうケースの中に直径4cm、重さ45.7gのゴルフボールを入れ、振とうさせ、TFT基板へ繰り返し衝撃を与えた。
試験終了後、TFT基板をはがし、TFTと接していた面の窪みを三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)を用い、TFT接した箇所の窪みの深さをn=5で測定し、平均をとった。窪み0.1μm以下が好ましい。
【0142】
−測定条件−
・振とう速度:3Hz(180回衝突/分)
・振とう時間:5分
・TFT基板:図2に示すPVAモード用にパターニングされたTFT基板(高さ0.9μmのTFTを600μm×300μmに7個配列)
【0143】
−現像残渣評価−
実施例及び比較例の「−フォトスペーサの作製−」において、形成されたフォトスペーサ輪郭部分及び周辺部分のSEM観察を行い輪郭及び周辺に残渣が残っているかを下記基準で評価した。実用レベルはC以上である。
【0144】
〈評価基準〉
A:残渣がまったく見られず、極めて残渣良好。
B:フォトスペーサ輪郭部分にのみ残渣が微かに見られ、残渣良好。
C:フォトスペーサ輪郭部分に弱い残渣が見られ、フォトスペーサ周辺に微かな残渣が見られ、残渣普通。
D:残渣がフォトスペーサ周辺のみならず、フォトスペーサ間にも見られるようになり、残渣悪い。
E:基板全面にわたり、残渣が確認でき、非常に悪い。
【0145】
−スペーサー残存性評価−
実施例及び比較例の「−フォトスペーサの作製−」において、形成されたフォトスペーサ1000個のラミネート状態を光学顕微鏡にて観察し、スペーサー残存性を下記基準で評価した。実用レベルはC以上である。
【0146】
<評価基準>
A:スペーサー1000個中脱落したスペーサーは0個であった。
B:スペーサー1000個中脱落したスペーサーは1個以上3個以内であった。
C:スペーサー1000個中脱落したスペーサーは4個以上5個以内であった。
D:スペーサー1000個中脱落したスペーサーは6個以上10個以内であった。
E:スペーサー1000個中脱落したスペーサーは11個以上であった。
【0147】
−耐振動性(表示ムラ)−
実施例及び比較例の液晶表示装置の各々について、EMIC製、振動試験機F−16000BDH/LA16AWを用いて、パネルのXYZ方向に、10Hz〜100Hzの振動を連続的に15分間与え、3サイクル繰り返した。グレイのテスト信号を入力させたときのグレイ表示を目視及びルーペにて観察し、下記評価基準で評価した。実用レベルはC以上である。
【0148】
〈評価基準〉
A:正面から観察し、表示パネル全面にわたり表示ムラは全く認められなかった。
B:斜め45度から観察した場合のみ、表示パネル中央部に表示ムラが僅かに認められた。
C:正面から観察し、表示パネル中央部に表示ムラが僅かに認められた。
D:正面から観察し、表示パネル全面にわたり表示ムラが認められた。
E:正面から観察し、表示パネル全面にわたり表示ムラが顕著に認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖に酸性基を有する樹脂(A)、下記化合物B1及び化合物B2を少なくとも含む重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、該化合物B1及び化合物B2の重合性化合物(B)の合計量に対する含有率W1(質量%)及びW2(質量%)が、下記式(1)及び式(2)を同時に満たすことを特徴とする感光性組成物。
0.6≦W2/W1≦3.0 ・・・・(1)
63%≦W1+W2≦100% ・・・・(2)
【化1】



(Xは、水素原子又はHC=CR−CO−を表し、分子中のXの少なくとも4個はHC=CR−CO−を表す。Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。)
【化2】



(Xは、水素原子又はHC=CR−CO−を表し、分子中のXの少なくとも6個はHC=CR−CO−を表す。Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。)
【請求項2】
前記重合性化合物(B)の樹脂(A)に対する質量比((B)/(A))は0.5〜2であることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
仮支持体上に、少なくとも請求項1又は請求項2に記載の感光性組成物を用いて形成された感光性樹脂層を有することを特徴とする感光性樹脂転写フイルム。
【請求項4】
前記感光性樹脂層と前記仮支持体の間に、酸素遮断層および/または熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする請求項3に記載の感光性樹脂転写フイルム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の感光性組成物を塗布して支持体上に感光性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする樹脂パターンの製造方法。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の感光性樹脂転写フイルムを用いて、加熱及び/又は加圧により感光性樹脂層を転写して支持体上に感光性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする樹脂パターンの製造方法。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の感光性組成物又は請求項3又は請求項4に記載の感光性樹脂転写フイルムを用いて、支持体上に感光性樹脂層を形成する工程と、前記感光性樹脂層を露光する露光工程と、露光された前記感光性樹脂層を現像する現像工程と、現像されたパターンを加熱する工程を有することを特徴とする樹脂パターンの製造方法。
【請求項8】
請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の樹脂パターンの製造方法により製造されたことを特徴とする樹脂パターン。
【請求項9】
請求項8に記載の樹脂パターンを備えたことを特徴とする液晶表示装置用基板。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶表示装置用基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−237589(P2010−237589A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87653(P2009−87653)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】