説明

抗微生物組成物およびそれらの使用方法

ポリマービグアニドまたはビス(ビグアニド)化合物、キレート剤、および緩衝剤を含む局所洗浄組成物、ならびに皮膚または耳組織感染を予防または治療するためにそれらの組成物を使用する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマービグアニドまたはビス(ビグアニド)化合物、キレート剤、および緩衝剤を含む洗浄組成物を適用することを含む、哺乳動物における皮膚および耳組織感染の治療または予防に関する。本発明はさらに、そのような治療または予防に有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚および上皮被覆体腔、特に外耳の感染の治療は、ヒトおよび温血動物においてそれらの部位が抗微生物剤耐性微生物を誘引するため、非常に困難なものとなり得る。抗微生物剤耐性は、反復性感染治療中の抗微生物薬への反復暴露、およびそれに続く耐性株の選択の結果として生じる可能性があり、あるいは固有の抗微生物剤耐性を有する微生物の侵入の結果である可能性がある。
【0003】
哺乳動物の耳に感染する一般に遭遇する微生物には、ブドウ球菌属(Staphylococcus spp.)、腸内細菌科(Enterobacteriacae)、たとえば大腸菌(Escherichia coli)など、クレブシエラ属(Klebsiella spp.)、プロテウスミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウスブルガリス(Proteus vulgaris)、およびシュードモナス(Pseudomonads)、たとえば緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)などが含まれる。これらの微生物は、耳道などの体腔で繁殖し、ときには場合によって同じ環境を競合する他の感受性微生物の除去によって、抗微生物剤治療から利益を得る場合もあることが知られている。そのような現象の一例は、シュードモナス(Pseudomonas)減数後のマラセジア(Malassezia)の劇的な過剰増殖である(Foster、DeBoer 1998)。
【0004】
耳感染周囲の膿性滲出物中の炎症細胞、生体タンパク質、酵素、DNA、ならびに他の化学物質および生体化合物が、その感染の治療に処方された薬剤の抗微生物作用および殺菌作用を低減または不活性化するため、耳感染はしばしば治療が困難である。感染を治療するために処方される多くの薬剤は、神経毒性であり、したがって聴器毒性である(Rohn等、1993)。
【0005】
聴器毒性レベル未満の低量で迅速かつ活性である、耳感染の簡易で有効な治療が求められている。また抗微生物薬に対する感染の耐性スペクトルの復帰に広範な作用を有する治療も求められている。
【0006】
キレート剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)と緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)との組み合わせは、これまでイヌの耳洗浄剤として用いられている。この組み合わせは、いくらかの抗微生物活性を有することが知られているが、Tris−EDTA併用の主たる利点は、微生物、特に抗微生物剤耐性を有する微生物の抗生物質の作用に対する感受性を向上させることである(AshworthおよびNelson、1990;Green、1984;Neer、1982;FosterおよびDeBoer、1998;Farcia、1993;Farcia、1997;Gotthelf、2003)。しかしながら、10から15分程度の耳道へのTris−EDTAの暴露が必要とされる可能性がある(Paterson、2003)。Farcia(1997)は、一般用Tris−EDTA溶液の使用が10分後に有効であることを見出した。Gotthelf(2003)はTris−EDTAのin vitroでの最小発育阻止濃度(MIC)低下効果は5分および30分で生じ得ることを見出したが、いくつかのin vitroモデルではそれらの有益な効果を得るには数時間を要する(Woolley等、1983a、1983b)。耳洗浄剤を投与すると、耳から液体を除去するために頭を振るイヌやネコなどの家で飼われている動物では、そのような長い時間は困難である可能性がある。
【0007】
現在用いられているTris−EDTAフラッシュ液は、グラム陽性菌には最小効果を有するが、細胞壁が異なるためカンジダ(Candida)およびマラセジア(Malassezia)などの酵母には効果がない(FosterおよびDeBoer、1998;Sparkes等、1994)。Patterson(2003)は、「実際、多くの水性(耳)洗浄剤のようにEDTA−Trisを長時間使用するとマラセジア(Malassezia)感染に罹患しやすくなる可能性がある」と述べている。
【0008】
国際公開第03/086332号パンフレットは、洗浄液としての保存Tris−EDTA製剤の使用を記載している。この場合、選択された保存剤は非イオン性であり、USP保存剤有効性試験に適合するように選択されている。この溶液は、防腐洗浄剤として単独で用いることができ、あるいは抗生物質の担体として用いることもできる。
【0009】
Trisが生物活性を有することは知られていないが、しかしながら、EDTAが水中のカルシウムおよびマグネシウムイオンをキレートすることは知られている。EDTAは、細菌細胞壁でカルシウムおよびマグネシウムイオンと結合し、細胞壁を弱体化して、それによりその後の抗生物質による治療の効果を向上させることができると推測される。
【0010】
ビグアニド化合物は既知の防腐剤であり、コンタクトレンズ液において局所用防腐剤として、ならびに排水およびその容器の殺菌剤として用いられている。ビグアニドには、クロルヘキシジンおよびアレキシジンなどのビス(ビグアニド)、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)などのポリマービグアニド、ならびに文献に記載されている他のビグアニドが含まれる(East等、1997;Ikeda等、1984)。
【0011】
ビス(ビグアニド)クロルヘキシジンは、多くの防腐剤適用例で用いられている。ヒトおよび動物においてクロルヘキシジンが耳および耳の周囲に術前防腐剤として用いられた場合、時折、聴器毒性が報告されている。しかしながら、クロルヘキシジンの聴器毒性に関して相反する報告も存在する(Willoughby K.1989;Merchant S.R.1994;Aursnes J.1981aおよび1981b)。いくつかの研究は、特に2%程度の高濃度でクロルヘキシジンを含有する組成物が聴器毒性であることを示しており、これは鼓膜が破裂しているときに特に認められる(Harvey等、2001;Merchant、1994)。他の研究は、0.2%のクロルヘキシジンを鼓膜の破裂したイヌの外耳に用いたとき、聴器毒性作用がないことを示している(Merchant等、1992)。クロルヘキシジンとエタノールまたはセントリミド(centrimide)などの第四級アンモニウムとの組み合わせは、聴器毒性を増強する(Harvey等、2001)。確実に鼓膜が損傷しておらず、濃度が聴器毒性量未満であり、聴器毒性作用を増強する可能性のある添加剤が存在しないように、クロルヘキシジンの耳への投与には細心の注意が払われなければならない。
【0012】
クロルヘキシジン(0.01%)はまた、間欠的カテーテル法を必要とする脊髄損傷を有する患者において膀胱内点滴注入として、Tris−EDTAと組み合わせて用いられている(Harper、1987;Pearman、1988)。しかしながら、0.02%のクロルヘキシジン組成物は、血尿を引き起こす化学性膀胱炎の原因となることが認められている(Pearman、1988)。
【発明の開示】
【0013】
有利なことに、本発明者は、ビグアニド化合物と緩衝剤およびキレート剤との組み合わせが、耳感染および皮膚など他の組織感染の迅速かつ有効な治療を提供する可能性があり、抗生物質の作用に対する微生物の感受性を向上させる可能性のあることを見出した。
【0014】
本発明の一態様によれば、哺乳動物において皮膚の感染を阻害、治療、または予防する方法であって、
(i)キレート剤、
(ii)緩衝剤、および
(iii)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩を含む組成物の有効量を、哺乳動物の皮膚に局所投与することを含む方法が提供される。
【0015】
本発明の他の態様によれば、
(i)キレート剤、
(ii)緩衝剤、および
(iii)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩を含むが、ただし成分(iii)はクロルヘキシジンでない医薬組成物または獣医用組成物が提供される。
【0016】
他の態様によれば、哺乳動物の皮膚の感染を治療または予防する薬剤の製造における、
(i)キレート剤、
(ii)緩衝剤、および
(iii)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩の使用が提供される。
【0017】
本発明は、外耳の感染の阻害、治療、または予防に特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
適切な哺乳動物には、耳感染などの皮膚感染を罹患しやすい任意の哺乳動物、たとえばヒト、愛玩動物および農業上有用な動物などの家畜、たとえばヒツジ、ウシ、ブタ、およびウマなどが含まれる。特に好ましい哺乳動物は、ヒトおよび愛玩動物、たとえばネコおよびイヌなどであり、特に好ましい動物は、イヌ、特に長毛、垂耳種のイヌである。
【0019】
本明細書では、「外耳」という用語は、耳介(pinnaまたはauricle)および耳道(auditory canalまたはmeatus of the ear)を指す。
【0020】
本発明の方法および組成物は、特に酵母、グラム陽性および/またはグラム陰性菌、特に抗生物質の作用に少なくともいくらかの耐性を有する細菌に起因する感染の阻害または治療に有用である。本発明の方法および組成物は、特にブドウ球菌属(Staphylococcus spp)、たとえば黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカスインターミディウス(Staphylococcus intermedius)など、腸内細菌科(Enterobacteriacae)、たとえば大腸菌(Escherichia coli)など、クレブシエラ属(Klebsiella spp)、プロテウス属(Proteus spp)、たとえばプロテウスミラビリス(Proteus mirabilis)など、シュードモナス(Pseudomonad)、たとえば緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)など、連鎖球菌属(Streptococcus spp.)、酵母、たとえばマラセジアパキデルマチス(Malassezia pachydermatis)およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)など、ならびに真菌、たとえばアスペルギルス属(Aspergillus spp.)などに起因する感染の治療または阻害に有用である。好ましくは、本方法および組成物は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、スタフィロコッカスインターミディウス(Staphylococcus intermedius)、およびマラセジアパキデルマチス(Malassezia pachydermatis)に起因する感染を治療または阻害するために用いられる。
【0021】
ビグアニド化合物は、次式の基、
【化1】

あるいはその塩または互変異性体を含む。
【0022】
ビス(ビグアニド)は、2価架橋基で結合された2つの式(I)の基またはその塩を含み、ポリマービグアニドは、それぞれが2価架橋基で結合された3個以上の式(I)の基またはその塩を含む。
【0023】
好ましいビス(ビグアニド)は、次式、
【化2】

またはその互変異性体を有し、式中、Zは、2価架橋基であり、XおよびXは独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、または置換されていてもよいヘテロアリールから選択されるもの、あるいは薬剤としてまたは獣医用として許容されるそれらの塩である。上述のビス(ビグアニド)化合物およびそれらの調製方法は、たとえば米国特許第4670592号および第4952704号に記載されている。好ましいビス(ビグアニド)には、XおよびXが共に4−クロロフェニルであり、Zが−(CH−であるクロルヘキシジン(Degussa AG、Dusseldorf、Germanyなどの様々な供給業者から市販され入手可能)、ならびにXおよびXが共に3−エチルヘキサンであり、Zが−(CH−であるアレキシジン(Ravensberg GmbH Chemische Fabrik、Konstanz、Germanyから市販され入手可能)が含まれる。
【0024】
好ましい実施形態において、ビグアニドはポリマービグアニドであり、たとえばビグアニドがポリマー骨格に出現するEast等、1997に記載されているものなどである。特に好ましいポリマービグアニドは、以下の式、
【化3】

またはその互変異性体を有し、式中、Zは、不在であるか、または有機2価架橋基であり、各Zは、ポリマーを通じて同一であるか異なっていることができ、nは、少なくとも3、好ましくは5から20であり、XおよびXは独立して、−NH、−NH−C(=NH)−NH−CN、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択されるもの、あるいは薬剤としてまたは獣医用として許容されるそれらの塩である。好ましくは、このポリマー化合物の分子量は、少なくとも1000amu、より好ましくは1000amuから50000amuの間である。単一の組成物において、nが多様であり、ポリマービグアニドの混合物を提供することもできる。いくつかの実施形態において、ポリマービグアニドは、2900から15000、特に3000から8000、特に3200から5000、特に3500から4500の範囲の平均分子量を有する。
【0025】
上述のポリマービグアニド化合物およびそれらの調製方法は、たとえば米国特許第3428576号およびEast等、1997に記載されている。
【0026】
ポリマー骨格にビグアニドが出現する、本発明に用いられる好ましいポリマービグアニドは、ポリマーヘキサメチレンビグアニド、たとえば以下の式のポリヘキサニドまたはPHMB(Vantocil、Baquacil、Arlagard、Lonzabac BG、またはCosmocilとして市販され入手可能)、
【化4】

またはその互変異性体であって、式中、nは、3から500の整数であり、XおよびXは独立して、−NH、−NH−C(=NH)−NH−CN、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択されるもの、あるいは薬剤としてまたは獣医用として許容されるそれらの塩である。好ましくは、nは3から15、より好ましくは3から12の平均値を有する。より好ましくは、たとえば塩酸塩として、Cosmocil CQ(商標)の商標でAvecia(Wilmington、Delaware、USA)から市販され入手可能なポリマーヘキサメチレンビグアニドである。
【0027】
本発明の他の実施形態において、ポリマービグアニドは、ポリマーの低分子量部分が除去されている分割ポリマービグアニドである。特に、n≦5の値を有するオリゴマーの分画が、組成物のポリマービグアニドの2重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、もっとも好ましくは0.1重量%未満であるポリマービグアニド組成物である。
【0028】
他の好ましいポリマービグアニドは、次式、
【化5】

またはその互変異性体を有し、式中、Xは、上述の式IIIに関して定義されたものであり、XおよびXは独立して、HまたはXから選択され、Zは、不在であるか、または2価架橋基であり、mは、1から10の整数であり、pは、0であるか、または1から10の整数であり、qは、1から1000の整数であるペンダントビグアニド基を有するもの、あるいは薬剤としてまたは獣医用として許容されるそれらの塩である。
【0029】
ペンダントビグアニド基を有する好ましいポリマービグアニドは、XおよびXが水素であり、Zが−C(O)−O−CHCH−C−であり、Xがフェニルまたは置換されていてもよいフェニル、特に4−クロロフェニルまたは3,4−ジクロロフェニルであり、mが1から10の整数であり、pが0であり、qが1から500の整数(ホモポリマー)であるか、またはmが1から10であり、pが1から10であり、qが1から500(アクリルアミドとのコポリマー)であるIkeda等、1984に記載されているものである。
【0030】
ペンダントビグアニド基を有するポリマービグアニドおよびそれらの調製方法は、Ikeda等、1984に記載されている。
【0031】
本明細書では、「アルキル」という用語は、必要に応じて1から10個の炭素原子を有する、1価の直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。たとえば、適切なアルキル基には、これに限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、n−ヘキシル、2−、3−、または4−メチルヘキシル、2−、3−、または4−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、およびデシルが含まれる。
【0032】
本明細書では、「シクロアルキル」という用語は、環式炭化水素基を指す。適切なシクロアルキル基には、これに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0033】
本明細書では、「アリール」という用語は、フェニルおよびナフチルなどのC〜C10芳香族炭化水素基を指す。
【0034】
本明細書では、「ヘテロシクリル」または「複素環式」という用語は、1つまたは複数の炭素原子(適切な場合には、それに結合している水素原子)が、非芳香族残基を提供するようにヘテロ原子で置換されている、単環式、多環式、縮合または共役環式炭化水素残基、好ましくはC3〜6を指す。適切なヘテロ原子には、O、N、およびSが含まれる。2つ以上の炭素原子が置換される場合、2つ以上の同じへテロ原子、または異なるヘテロ原子で置換されることができる。複素環基の適切な例には、これに限定されるものではないが、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、インドリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリノ、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリルを含むことができる。
【0035】
本明細書では、「ヘテロアリール」または「複素芳香族」という用語は、少なくとも1つの環が芳香族であり、O、N、およびSからなる群から選択された1から4個のヘテロ原子を含有する、各環の原子が6個までの安定な単環式または2環式の環を表す。この定義の範囲内であるヘテロアリール基には、これに限定されるものではないが、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが含まれる。
【0036】
本発明のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、およびアリール基は、OH、OC1〜6アルキル、Cl、Br、F、I、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、SH、SC1〜6アルキル、COH、CO1〜6アルキル、CONH、CONH(C1〜6アルキル)、またはCON(C1〜6アルキル)から選択された1から5個の基で場合によって置換されていてもよい。
【0037】
本明細書では、「2価架橋基」という用語は、2価を有し、他の2つの基と結合することのできる基を指す。適切な2価架橋基の例には、これに限定されるものではないが、tは1から10の整数である−(CH−、−O−、−S−、2価飽和または芳香族炭素環、あるいは複素環または複素芳香環、あるいはそのような2価および/または環式部分の組み合わせが含まれる。たとえば、飽和C環式基には、−C10−が含まれ、C芳香族基には、−C−が含まれ、C複素環基には、次式が含まれ、
【化6】

複素芳香族には、次式が含まれる。
【化7】

【0038】
他の2価架橋基には、1つまたは複数の炭素原子がNH、S、O、
【化8】

で置換されているアルキレン基(−CH−)が含まれる。好ましい実施形態において、2価架橋基は、−(CH−であり、tは、1から10の整数、特に1から6、特に6である。
【0039】
本明細書では、「互変異性体」という用語は、隣接する2重結合の移動を伴う、水素原子の移動を有する化合物の異性体を指す。たとえば、式(I)は、互変異性化して、以下の等式による種々の異性体を提供することができる。
【化9】

【0040】
本明細書で用いられるとき、防腐剤、抗微生物剤、保存剤、抗生物質、消毒剤、および抗菌剤という用語は、この主題に関して国際的に受け入れられている教科書、Block S.(2001)に規定されている意味を有するものとする。
【0041】
本明細書では、「防腐剤」という用語は、微生物の活性を阻害するか、微生物を死滅させることによって、微生物の増殖または活性を防止または阻止する物質を指す。この用語は特に、生体組織に局所的に適用される調剤に関して用いられる。したがって、「皮膚(耳を含む)防腐剤」は、顕性な皮膚/耳感染を防ぐ安全な非刺激性の液状抗微生物調剤を指す。
【0042】
本明細書では、「保存」という用語は、それによって化学的または物理的薬剤が物質の生物劣化を防ぐプロセスを指す。本明細書では、「保存剤」という用語は、物質/材料の生物劣化を引き起こすことのできる微生物の増殖を阻害する薬剤を指す。
【0043】
本明細書では、「抗微生物」とは、微生物の増殖の抑制または死滅を指す。
【0044】
本明細書では、「抗生物質」という用語は、希釈液が細菌および他の微生物の増殖を死滅または阻害する能力を有する、微生物から産生される有機化学物質を指す。
【0045】
本明細書では、「抗菌剤(Antibacterial)」という用語は、殺菌剤(bacteriocide)と同じ意味であり、細菌を死滅させ、生体組織に適用される薬剤を指す。
【0046】
本明細書では、「消毒剤」という用語は、感染を防ぐ薬剤を指し、通常は化学的薬剤であるが、物理的薬剤であることもある。「消毒剤」という用語は、無生物に適用される物質を指す。
【0047】
使用条件下、たとえば組成物の調製および使用pHにおいて、ビグアニド化合物はイオン形態である。薬剤としてまたは獣医用として許容される適切なイオンの塩には、これに限定されるものではないが、薬剤として許容される無機酸の塩、たとえば塩酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸、ホスファニル酸(phosphanilate)、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、スルホン酸、および臭化水素酸などの塩、または薬剤として許容される有機酸の塩、たとえば酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、(4−アミノフェニル)ホスホン酸、フェニルホスホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、および吉草酸などの塩が含まれる。好ましい塩には、塩酸、ホウ酸、スルホン酸、酢酸、乳酸、ホスファニル酸、グルコン酸、クエン酸、および酒石酸の塩が含まれる。
【0048】
好ましくは、キレート剤は、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、ストロンチウム、または亜鉛などの1価または多価金属イオンを封鎖することができ、薬剤としてまたは獣医用として許容される任意の化合物から選択される。適切なキレート剤には、これに限定されるものではないが、アミノカルボン酸およびそれらの塩、たとえばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリプロピオン酸、ジエチレントリアミン五酢酸、2−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン三酢酸、1,6−ジアミノ−ヘキサメチレン−四酢酸、1,2−ジアミノ−シクロヘキサン四酢酸、O,O’−ビス(2−アミノエチル)−エチレングリコール−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−四酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジプロピオン酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、7,19,30−トリオキサ−1,4,10,13,16,22,27,33−オクタアザビシクロ[11,11,11]ペンタトリアコンタン(O−ビス−トレン)、エチレンジアミン−N,N’−ビス(メチレンホスホン酸)、イミノ二酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(DHEG)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−四酢酸、エチレンジアミン−テトラキス(メチレンホスホン酸)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸およびトリエチレンテトラミン−六酢酸、デフェロキサミン、ジメルカプロール、クエン酸およびその塩、たとえばクエン酸亜鉛、ペニシラミンおよびその塩、ビホスホネート、たとえばエディトロネート(editronate)など、または大環状ポリエーテル、たとえば文献(Izatt R.M.等、1995)に記載されているものなどが含まれる。特に好ましいキレート剤は、薬剤としてまたは獣医用として許容されるEDTAの塩および混合塩、たとえば二ナトリウム、三ナトリウム、四ナトリウム、二カリウム、三カリウム、リチウム、二リチウム、アンモニウム、二アンモニウム、カルシウム、およびカルシウム二ナトリウム塩など、もっとも好ましくはEDTAの二ナトリウムまたは四ナトリウム塩、特にEDTA二ナトリウムである。
【0049】
本発明に用いるのに適した緩衝剤は、薬剤としてまたは獣医用として許容されるものである。好ましい緩衝剤には、これに限定されるものではないが、アミン、たとえばトリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、およびN,N’−ジエチル−N,N’−ビス(スルホプロピル)エチレンジアミン(DESPEN)など、ピペラジン、たとえばN,N’−ジエチルピペラジン、およびピペラジン−N,N’−ビス(アルキルスルホン酸)など、ヒスタジン(histadine)、イミダゾール、モルホリン、たとえば(N−モルホリノ)アルキルスルホン酸、たとえば2−モルホリンエタンスルホン酸および4−モルホリンプロパンスルホン酸など、アミノアルコール、たとえば2−アミノエタノールおよび2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、およびトリエタノールアミンなど、アミノポリオール、ホウ酸、重炭酸塩、たとえば重炭酸ナトリウムなど、塩化ナトリウム、メグルミン、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、およびそれらの塩が含まれる。特に好ましい緩衝剤は、アミノポリオール、たとえばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris、THAM、トロメタミン、およびトロメタモールとも称される)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPDとも称される)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール(BIS−TRISとも称される)、および1,3−ビス(トリス[ヒドロキシメチル]メチルアミノ)プロパン(BIS−TRISプロパン、およびBTPとも称される)、トリエタノールアミン、ならびにそれらの塩、およびそれらの混合物である。特に好ましい緩衝剤は、Trisである。好ましい実施形態において、組成物はpH3から9、もっとも好ましくはpH5から8に緩衝されるべきである。いくつかの実施形態において、pHは約pH8である。他の実施形態において、pHは6から7である。
【0050】
好ましい実施形態において、ビスまたはポリマービグアニドは、組成物の0.0001重量%(1ppm)から10重量%、好ましくは0.001から5重量%、もっとも好ましくは0.001から2重量%、特に約0.02重量%から0.2重量%の濃度で存在する。これに限定されるものではないが、クロルヘキシジンの使用を含むいくつかの実施形態において、ビスまたはポリマービグアニドの濃度は、0.02重量%超から0.5重量%、特に0.05から0.2重量%、または0.1から0.2重量%の範囲である。
【0051】
存在するキレート剤の量は、そのキレート剤の性質、および細菌細胞壁からイオンをキレートする有効性によって決まる。キレート剤は通常、組成物の0.0001重量%(1ppm)から5重量%、好ましくは0.05から2重量%、もっとも好ましくは0.1から0.2重量%、特に約0.12重量%の濃度で存在する。
【0052】
緩衝剤の量は、その緩衝剤の性質、およびその組成物に必要とされるpHによって決まる。いくつかの実施形態において、緩衝剤は通常、組成物の0.0001重量%(1ppm)から5重量%、好ましくは0.01から2重量%、もっとも好ましくは0.1から1重量%、特に約0.6重量%の濃度で存在する。他の実施形態において、緩衝剤は、リットル当たり0.0001モルから5モル、好ましくはリットル当たり0.001から2モル、もっとも好ましくはリットル当たり0.01から0.1モル、特にリットル当たり約0.05モルの範囲の濃度で存在する。
【0053】
一実施形態において、組成物はさらに、その組成物の抗微生物活性を増強する添加剤を含むことができる。そのような添加剤には、プロピレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、抗生物質、あるいはプロピレングリコール、および/またはポリプロピレングリコール、および/またはポリエチレングリコール、および/またはグリセリン、および/または抗生物質の混合物が含まれる。
【0054】
他の実施形態において、本発明の方法は、抗生物質を哺乳動物に投与する次のステップをさらに含む。適切な抗生物質には、これに限定されるものではないが、フルオロキノロン類、たとえばシプロフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ペルフロキサシン(perfloxacin)、フレロキサシン、エンロフロキサシン、マルボフロキサシン、サラフロキサシン、オルビフロキサシン、ダノフロキサシンなど、アミノグリコシド類、たとえばストレプトマイシン、ネチルマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、トブラマイシン、アミカシン、シソマイシン、リボスタマイシン、ジベカシン、フラマイセチン、ゲンタマイシンなど、ペニシリンおよびアミノペニシリン類、たとえばペニシリン、アンピシリン、アモキシリン、ナフシリン、オキサシリン、およびチカルシリンなど、セファロスポリン類、たとえばセフトリアキソン、セファレキシン、セファドロキシル、およびセフチオフルなど、β−ラクタム類、たとえばペニシリンまたはアミノペニシリン類と併せて用いることができるクラブラン酸など、マクロライド類、たとえばクラリスロマイシン、およびエリスロマイシンなど、ならびに他の抗生物質、たとえばダクチノマイシン、クリンダマイシン、ナラジキシン酸(naladixic acid)、クロラムフェニコール、リファモピン(rifamopin)、クロファジミン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、ミノサイクリン、バンコマイシン、ハイグロマイシンBまたはC、フシジン酸、トリメトプリム、およびセフォタキシムなどが含まれる。
【0055】
本発明による局所投与は、液体または気化組成物を用いて行うことができる。適切な液体組成物には、ローション剤、軟膏、およびゲルが含まれ、さらに水溶液が含まれる。好ましい組成物は、水性組成物である。適切な気化組成物には、スプレー剤およびエアロゾル剤が含まれる。好ましくは、局所投与は、点耳剤の投与または洗浄によるか、あるいはトリガー式スプレーボトルによる送達などスプレーによる液体組成物の投与である。他の適切な適用手段は当分野で知られており、たとえば湿潤させたガーゼ、綿棒、綿、フォーム、スポンジ、または布である。特に好ましくは、液体組成物は洗浄によって適用される。特に利点となるのは、付着した膿およびロウ状の蓄積物を耳の内層から粉砕除去して、それを破壊し、他の薬剤の浸透を可能にし、耳道から洗い流す物理的なフラッシュ効果である。そのような液体洗浄組成物は、フラッシュアプリケータを用いて適用することができる。局所組成物に用いるのに適した担体には、これに限定されるものではないが、鉱油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ロウ、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート60、セチルエステル、ロウ、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、エタノール、N−メチルピロリドン、および水が含まれる。特に好ましい担体は水である。
【0056】
本明細書では、「有効量」とう用語は、所望の投与計画に従って投与されたとき、所望の治療活性または感染予防を提供する組成物の量に関する。投与は、分、時間、日、週、月、または年間隔で行うことができる。阻害有効量は、所望の投与計画に従って投与されたとき、感染に関与する微生物の増殖を防ぐのに充分な組成物の量である。治療有効量または処置有効量は、所望の投与計画に従って投与されたとき、少なくとも部分的に所望の治療効果を得るか、あるいは感染の発症を遅延、感染の進行を阻害、感染の発症または進行を部分的または完全に停止するか、あるいは最小発育阻止濃度(MIC)を低減または相乗的相互作用を誘発することを含む、生物の抗生物質感受性の復帰または部分的復帰を可能にするのに充分な組成物の量である。組成物の予防有効量は、所望の投与計画に従って投与されたとき、少なくとも部分的に感染の発症を予防または遅延するのに充分な量である。
【0057】
適切な投与量および投与計画は、担当医または獣医によって決定されることができ、感染の重篤度、ならびに治療される対象の一般的な年齢、健康状態、および体重によって決定される可能性がある。
【0058】
本発明の組成物のもっとも単純な形態は、ポリマービグアニド、キレート剤、および緩衝剤からなる水性組成物であってよいが、この組成物は薬剤としてまたは獣医用として許容される他の添加剤、たとえば担体、希釈剤および賦形剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、および抗生物質なども含むことができる。適切な担体、希釈剤、および賦形剤には、必要に応じて、溶媒、分散剤、保存剤、浸透剤、界面活性剤、粘度調整剤、等張剤、および吸収剤などが含まれる。いくつかの溶媒、たとえば種々のアルコール(たとえばベンジルアルコール)は、敏感な鼓膜および/または保護内層の剥離した耳道への刺激作用があるため、耳道に局所投与されるべきではない。
【0059】
好ましい実施形態において、組成物は、非イオン性、カチオン性、または両性界面活性剤、あるいはそれらの組み合わせを含む。適切な界面活性剤には、これに限定されるものではないが、ポリソルベート、アルコキシフェノールエトキシレート、ポロキサミン、およびベタインが含まれる。好ましい界面活性剤は、ノンオキシノール、オクトキシノール、リン脂質、ポリソルベート20、ポリソルベート80、およびコカミドプロピルベタインである。界面活性剤は通常、組成物の0.0001重量%(1ppm)から5重量%、好ましくは0.001から2重量%、もっとも好ましくは0.01から2重量%、特に約0.2重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態において、好ましい界面活性剤の量は、組成物の0.01から0.02重量%の範囲、特に組成物の約0.015重量%である。
【0060】
滲出物および耳垢への浸透、または上皮層(表皮および真皮)への貫通を増進する適切な薬剤には、これに限定されるものではないが、ジメチルスルホキシド、ポリビニルピロリドン、およびミリスチン酸イソプロピルなどの軽油が含まれる。軽油はさらに耳で作られる油性の耳垢を溶解するが、これは有益な作用である。
【0061】
適切な抗炎症剤には、これに限定されるものではないが、コルチコステロイド、たとえばプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、およびモメタゾンなど、非ステロイド性抗炎症剤、たとえば、これに限定されるものではないが、イブプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、カプロフェン、メロキシカム、トルフェナム酸、ピロキシカム、フィロコキシブ、およびケトロラクなどが含まれる。適切な抗アレルギー剤には、これに限定されるものではないが、クロモリン、エメダスチン、オロパタジン、およびシクロスポリンが含まれる。
【0062】
適切な増粘剤には、これに限定されるものではないが、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ベントナイト、セルロース、たとえばメチルセルロース、エチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなど、ならびにトラガカントが含まれる。
【0063】
適切な抗生物質には、これに限定されるものではないが、フルオロキノロン類、たとえばシプロフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ペルフロキサシン(perfloxacin)、フレロキサシン、エンロフロキサシン、マルボフロキサシン、サラフロキサシン、オルビフロキサシン、ダノフロキサシンなど、アミノグリコシド類、たとえばストレプトマイシン、ネチルマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、トブラマイシン、アミカシン、シソマイシン、リボスタマイシン、ジベカシン、フラマイセチン、ゲンタマイシンなど、ペニシリンおよびアミノペニシリン類、たとえばペニシリン、アンピシリン、アモキシリン、ナフシリン、オキサシリン、およびチカルシリンなど、セファロスポリン類、たとえばセフトリアキソン、セファレキシン、セファドロキシル、およびセフチオフルなど、β−ラクタム類、たとえばペニシリンまたはアミノペニシリン類と併せて用いることができるクラブラン酸など、マクロライド類、たとえばクラリスロマイシン、およびエリスロマイシンなど、ならびに他の抗生物質、たとえばダクチノマイシン、クリンダマイシン、ナラジキシン酸(naladixic acid)、クロラムフェニコール、リファモピン(rifamopin)、クロファジミン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、ミノサイクリン、バンコマイシン、ハイグロマイシンBまたはC、フシジン酸、トリメトプリム、およびセフォタキシムなどが含まれる。
【0064】
この組成物は、場合によって保存剤を含むことができる。多くの保存剤およびそれらの混合物が当業者に知られている。組成物に組み入れることのできる適切な保存剤には、これに限定されるものではないが、安息香酸ナトリウム、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、ソルビン酸、安息香酸、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、または亜硫酸水素ナトリウムが含まれる。いくつかの実施形態において、保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、またはそれらの混合物である。
【0065】
本発明の好ましい実施形態において、イヌの外耳の感染を治療または予防する方法であって、
(i)キレート剤、
(ii)緩衝剤、および
(iii)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩を含む水性組成物の有効量を、イヌの外耳に局所投与することを含む方法が提供される。
【0066】
さらなる実施形態によれば、イヌの外耳の感染を治療する薬剤の製造における、
(i)水、
(ii)キレート剤、
(iii)緩衝剤、および
(iv)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩の使用が提供される。
【0067】
近代のイヌの耳道は長く回旋しており、したがって自己洗浄できない。イヌは感染を防ぐために、耳を充分に清浄に保つことができない。特に耳感染に感受性であるイヌは、長毛および垂耳を有する傾向にある。
【0068】
イヌの耳感染の治療をさらに困難なものにしているのは、液滴または液体が外耳道に入ると、液体を除去するためにイヌが頭を振る反射である。耳道に投与されると迅速に作用する耳洗浄剤または組成物を有することが重要である。
【0069】
他の好ましい実施形態において、
(i)水、
(ii)キレート剤、
(iii)緩衝剤、および
(iv)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩を含むが、ただし成分(iv)はクロルヘキシジンでない獣医用耳洗浄組成物が提供される。
【0070】
好ましくは、ポリマービグアニドはPHMBであり、キレート剤はEDTA二ナトリウムまたは四ナトリウムであり、緩衝剤はTrisである。
【0071】
さらに他の好ましい実施形態において、
(i)水、
(ii)キレート剤、
(iii)緩衝剤、
(iv)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩、および
(v)保存剤を含み、
成分(iv)は、組成物の0.02重量%超から0.5重量%の範囲の濃度で存在する獣医用耳洗浄組成物が提供される。
【0072】
本明細書に記載した本発明には、特に記述した以外の変形および修正を加えられることを、当業者は理解するであろう。本発明はその精神および範囲内であるそのようなすべての変形および修正を含むことが理解される。
【0073】
本発明を以下の実施例を参照して記載するが、これらの実施例は例示のためにのみ包含されるものであり、上に記載した本発明の一般性を制限するものではない。
【実施例】
【0074】
組成物1
成分 g/l
Tris 6.05
EDTA二ナトリウム 1.20
Cosmocil CQ(商標) 1.0
プロピレングリコール 20.0
ポリソルベート20 2.0
リン酸 pH8.0まで
精製水 1lまで
約750gの精製水に、Tris、EDTA二ナトリウム、Cosmocil CQ(商標)、ポリソルベート20、およびプロピレングリコールを加え、溶解するまで攪拌する。リン酸でpH8.0に調整する。最終量1lとなるように、精製水の残量を加える。
【0075】
組成物2
成分 g/l
Tris 6.05
EDTA二ナトリウム 1.20
Cosmocil CQ(商標) 1.0
ポリソルベート20 2.0
リン酸 pH8.0まで
精製水 1lまで
約750gの精製水に、Tris、EDTA二ナトリウム、Cosmocil CQ(商標)、ポリソルベート20を加え、溶解するまで攪拌する。リン酸でpH8.0に調整する。最終量1lとなるように、精製水の残量を加える。
【0076】
組成物3
成分 mg
Tris 300
EDTA二ナトリウム 125
グルコン酸クロルヘキシジン 135
(20%溶液として)
精製水 250gまで
約200gの精製水に、Tris、EDTA二ナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジンを加え、溶解するまで攪拌する。最終量250gとなるように、精製水の残量を加える。最終pH8.7。
【0077】

【0078】
緩衝剤とエデト酸二ナトリウムを精製水に溶解する。塩酸でpHをほぼ中性に調整する。パラベンをプロピレングリコールに溶解し、バルクに添加する。コカミドプロピルベタインを添加する。Cosmocil CQを添加する。容量まで水を添加し、pHを確認する。
【0079】
比較組成物1(Dermapet TrizEDTAとして購入)
成分 mg
Tris 533
EDTA二ナトリウム 141
トリスHCl 176
精製水 112mlまで
Tris、EDTA二ナトリウム、およびトリスHClを混合し、摩砕した。摩砕した混合物をボトルに入れ、112mlの水を添加した。ボトルを10秒間振とうして溶解し、その後、2時間静置した。pHは7.9から8.1の間であった。
【0080】
比較組成物2(DVM Pharmaceuticals T8 Solution(商標)として購入)
成分 g/l
Tris 4.7
トリスHCl 4.3
EDTA四ナトリウム 1.3
ノンオキシノール12 5.0
PPG12/PEG50 5.0
ベンジルアルコール 12.0
精製水 1lまで
EDTA四ナトリウム、Tris、トリスHCl、ベンジルアルコール、ノンオキシノール12、ならびにポリプロピレングリコール12(PPG12)およびポリエチレングリコール50(PEG50)を、攪拌しながら、ビーカーの水に段階的に添加した。pHを8.5に調整し、水で容量を1lとした。
【0081】
実施例1
12の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)細菌分離物を、臨床例から試料を得る大学および民間研究所から入手した。実際の臨床で利用可能な通常の抗生物質に対する最大耐性に関して、それらの分離物を選択した。
【0082】
2種のTrisEDTA製剤(組成物1および比較組成物1)4ミリリットルを、特定の異なる種々の時間、1ml当たり(平均)10コロニー形成単位(CFU)の生物を含有する1mlの接種物に暴露した。その処理時間後、特定量を培地で継代培養し、37℃のインキュベータで24時間培養して、生存数(レシチンを含むPBS緩衝剤に希釈したCFU)を算出した。
【0083】
結果はR%で表す。R%=100(1−Ta/Cax Cb/Tb)であり、式中、R=処理による微生物の減数。Ta=処理後の処理群における平均数。Tb=処理前の処理群における平均数。Ca=処理後のコントロール群における平均数。Cb=材料および方法による処理前のコントロール群における平均数。
【0084】
結果を図1に示す。図1は、Tris/EDTA製品である比較組成物1による暴露と比較して、Tris、EDTA、およびポリヘキサニドを含む組成物1に微生物を暴露したとき、微生物数が著しくかつ急速に減少することを示している。
【0085】
実施例2
5つのスタフィロコッカスインターミディウス(Staphylococcus intermedius)細菌分離物を、臨床例から試料を得る大学および民間研究所から入手した。
【0086】
2種のTrisEDTA製剤(組成物1および比較組成物1)4ミリリットルを、特定の異なる種々の時間、1ml当たり(平均)10コロニー形成単位(CFU)の生物を含有する1mlの接種物に暴露した。その処理時間後、特定量を培地で継代培養し、37℃のインキュベータで24時間培養して、生存数(レシチンを含むPBS緩衝剤に希釈したCFU)を算出した。
【0087】
結果は上記の実施例1に概説したとおり、R%で表す。
【0088】
結果を図2に示す。
【0089】
図2は、Tris/EDTA製品である比較組成物1による暴露と比較して、Tris、EDTA、およびポリヘキサニドを含む組成物1に微生物を暴露したとき、微生物数が著しくかつ急速に減少することを示している。
【0090】
実施例3
マラセジアパキデルマチス(Malassezia pachydermatis)酵母分離物を、臨床例から試料を得る民間研究所から入手した。
【0091】
2種のTrisEDTA製剤(組成物1および比較組成物1)4ミリリットルを、特定の異なる種々の時間、1ml当たり(平均)10コロニー形成単位(CFU)の生物を含有する1mlの接種物に暴露した。その処理時間後、特定量を培地で継代培養し、37℃のインキュベータで48〜72時間培養して、生存数(レシチンを含むPBS緩衝剤に希釈したCFU)を算出した。
【0092】
結果は上記の実施例1に概説したとおり、R%で表す。
【0093】
結果を図3に示す。
【0094】
図3は、Tris/EDTA製品である比較組成物1による暴露と比較して、Tris、EDTA、およびポリヘキサニドを含む組成物1に微生物を暴露したとき、酵母数が著しくかつ急速に減少することを示している。
【0095】
実施例4
上記の実施例1で生存した生物を、臨床規格委員会(National Committee for Clinical Standard)(NCC 1990 MA−A4)によるキルビー−バウアーディスク拡散法によって、抗微生物剤感受性に関して試験した。抗生物質感受性ディスク:シプロフロキサシン(CIP)、アミカシン(AK)、ネオマイシン(N)、エンロフロキサシン(ENR)、ポリミキシンB(PB)、クロラムフェニコール(C)、ゲンタマイシン(GN)、クラブロクス(Clavulox)(AMC)、チカルシリン(TIC)、フラマイセチン(FY)、トリメトプリム(SXT)、およびセフォタキシム(CTX)。
【0096】
抗微生物剤感受性試験は、臨床研究所規格委員会(National Committee for Clinical Laboratory Standards)(NCCLS、1990、MA−A4)によって規格化された方法であるキルビー−バウアーディスク拡散法に従って表す。耐性からより感受性の状態に変化する分離物の%を表した。
【0097】
結果を図4に示すが、これらの結果は、比較組成物1で処理した微生物の感受性と比較して、組成物1による処理後、抗生物質に対する微生物感受性が著しく増大したことを示している。
【0098】
実施例5
通常の治療で効果のなかった耐性シュードモナス(Pseudomonas)外耳炎に罹患している10頭のイヌを、組成物1または比較組成物1で前処置した。いずれかの溶液で耳道を洗い流す前後に、抗生物質感受性試験の培養試料を得た。次いで、実施例4で用いたものと同様の通常の薬剤で耳を再び処置した。
【0099】
結果を図5に示すが、これらの結果は、比較組成物1で処置したイヌの耳に感染している微生物の感受性と比較して、組成物1で処置したとき、イヌの耳に感染しているシュードモナス(Pseudomonas)微生物の感受性が著しく増大したことを示している。イヌを組成物1で処置したとき、副作用および聴器毒性は観察されなかった。
【0100】
実施例6
4つの緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)細菌分離物を、臨床例から試料を得る大学および民間研究所から入手した。実際の臨床で利用可能な通常の抗生物質に対する最大耐性に関して、それらの分離物を選択した。
【0101】
3種のTrisEDTA製剤(組成物4、比較組成物1、および比較組成物2)4ミリリットルを、特定の異なる種々の時間、1ml当たり(平均)10コロニー形成単位(CFU)の生物を含有する1mlの接種物に暴露した。その処理時間後、特定量を培地で継代培養し、37℃のインキュベータで24時間培養して、生存数(レシチンを含むPBS緩衝剤に希釈したCFU)を算出した。
【0102】
結果は上記の実施例1に概説したとおり、R%で表す。
【0103】
結果を表1に示す。表1は、Tris/EDTA製品である比較組成物と比較して、Tris、EDTA、およびポリヘキサニドを含む組成物4に微生物を暴露したとき、微生物数が著しくかつ急速に減少することを示している。
【0104】
【表1】

【0105】
実施例7
2つのスタフィロコッカスインターミディウス(Staphylococcus intermedius)細菌分離物を、臨床例から試料を得る大学および民間研究所から入手した。
【0106】
3種のTrisEDTA製剤(組成物4、比較組成物1、および比較組成物2)4ミリリットルを、特定の異なる種々の時間、1ml当たり(平均)10コロニー形成単位(CFU)の生物を含有する1mlの接種物に暴露した。その処理時間後、特定量を培地で継代培養し、37℃のインキュベータで24時間培養して、生存数(レシチンを含むPBS緩衝剤に希釈したCFU)を算出した。
【0107】
結果は上記の実施例1に概説したとおり、R%で表す。
【0108】
結果を表2に示す。表2は、Tris/EDTA製品である比較組成物1または2による暴露と比較して、Tris、EDTA、およびポリヘキサニドを含む組成物4に微生物を暴露したとき、微生物数が著しくかつ急速に減少することを示している。
【0109】
【表2】

【0110】
実施例8
2つの緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)細菌分離物を、臨床例から試料を得る大学および民間研究所から入手した。実際の臨床で利用可能な通常の抗生物質に対する最大耐性に関して、それらの分離物を選択した。
【0111】
5種のTrisEDTA製剤(組成物4、組成物5、組成物6、組成物7、および組成物8)4ミリリットルを、特定の異なる種々の時間、1ml当たり(平均)10コロニー形成単位(CFU)の生物を含有する1mlの接種物に暴露した。その処理時間後、特定量を培地で継代培養し、37℃のインキュベータで24時間培養して、生存数(レシチンを含むPBS緩衝剤に希釈したCFU)を算出した。
【0112】
結果は上記の実施例1に概説したとおり、R%で表す。
【0113】
結果を表3に示す。表3は、EDTAおよびポリヘキサニドを含み、一連のアミノアルコールまたはアミノポリオール緩衝剤を含む組成物に微生物を暴露したとき、微生物の減数に相違のないことを示している。
【0114】
【表3】

【0115】
実施例9
2つのプロテウス属(Proteus spp.)細菌分離物を、臨床例から試料を得る大学および民間研究所から入手した。
【0116】
3種のTrisEDTA製剤(組成物4、比較組成物1、および比較組成物2)4ミリリットルを、特定の異なる種々の時間、1ml当たり(平均)10コロニー形成単位(CFU)の生物を含有する1mlの接種物に暴露した。その処理時間後、特定量を培地で継代培養し、37℃のインキュベータで24時間培養して、生存数(レシチンを含むPBS緩衝剤に希釈したCFU)を算出した。
【0117】
結果は上記の実施例1に概説したとおり、R%で表す。
【0118】
結果を表4に示す。表4は、Tris/EDTA製品である比較組成物1または2による暴露と比較して、Tris、EDTA、およびポリヘキサニドを含む組成物4に微生物を暴露したとき、微生物数が著しくかつ急速に減少することを示している。
【0119】
【表4】

【0120】
実施例10
2つの大腸菌(Escherichia coli)細菌分離物を、臨床例から試料を得る大学および民間研究所から入手した。
【0121】
3種のTrisEDTA製剤(組成物4、比較組成物1、および比較組成物2)4ミリリットルを、特定の異なる種々の時間、1ml当たり(平均)10コロニー形成単位(CFU)の生物を含有する1mlの接種物に暴露した。その時間の処理後、特定量を培地で継代培養し、37℃のインキュベータで24時間培養して、生存数(レシチンを含むPBS緩衝剤に希釈したCFU)を算出した。
【0122】
結果は上記の実施例1に概説したとおり、R%で表す。
【0123】
結果を表5に示す。表5は、Tris/EDTA製品である比較組成物1または2による暴露と比較して、Tris、EDTA、およびポリヘキサニドを含む組成物4に微生物を暴露したとき、微生物数が著しくかつ急速に減少することを示している。
【0124】
【表5】

【0125】
実施例11
2つのマラセジアパキデルマチス(Malassezia pachydermatis)酵母分離物を、臨床例から試料を得る民間研究所から入手した。
【0126】
3種のTrisEDTA製剤(組成物4、比較組成物1、および比較組成物2)4ミリリットルを、特定の異なる種々の時間、1ml当たり(平均)10コロニー形成単位(CFU)の生物を含有する1mlの接種物に暴露した。その処理時間後、特定量を培地で継代培養し、37℃のインキュベータで48〜72時間培養して、生存数(レシチンを含むPBS緩衝剤に希釈したCFU)を算出した。
【0127】
結果は上記の実施例1に概説したとおり、R%で表す。
【0128】
結果を表6に示す。表6は、Tris/EDTA製品である比較組成物1または2による暴露と比較して、Tris、EDTA、およびポリヘキサニドを含む組成物4に微生物を暴露したとき、酵母数が著しくかつ急速に減少することを示している。
【0129】
【表6】

【0130】
実施例12
上記の実施例6で生存した生物を、臨床規格委員会(National Committee for Clinical Standard)(NCC 1990 MA−A4)によるキルビー−バウアーディスク拡散法によって、抗微生物剤感受性に関して試験した。抗生物質感受性ディスク:アミカシン(AK)、ネオマイシン(N)、エンロフロキサシン(ENR)、ポリミキシンB(PB)、ゲンタマイシン(GN)、チカルシリン(TIC)、およびフラマイセチン(FY)。
【0131】
抗微生物剤感受性試験は、臨床研究所規格委員会(National Committee for Clinical Laboratory Standards)(NCCLS、1990、MA−A4)によって規格化された方法であるキルビー−バウアーディスク拡散法に従って表す。耐性からより感受性の状態に変化する分離物の%を表した。
【0132】
結果を表7に示すが、これらの結果は、Tris/EDTA製品である比較組成物1または2で処理した微生物の感受性と比較して、Tris、EDTA、およびポリヘキサニドを含む組成物4による処理後、抗生物質に対する微生物感受性が著しく増大したことを示している。
【0133】
【表7】

【0134】
実施例13
本明細書に記載のTrisEDTAポリヘキサミド組成物、比較組成物1、および比較組成物2を、BP2003 Appendix XVICを用いて、抗微生物保存剤の有効性に関して試験した。比較組成物1および2とは対照的に、組成物4、TrisEDTAポリヘキサミド組成物は、BP抗微生物保存剤の要件を満たしている(基準A)。
【0135】
【表8】

【0136】
参考:
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【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1は、暴露時間15秒および30秒での、Tris/EDTA組成物と比較したポリヘキシニド/Tris/EDTA組成物の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の平均減数(R%)を示すグラフである。
【図2】図2は、暴露時間15秒および30秒での、Tris/EDTA組成物と比較したポリヘキシニド/Tris/EDTA組成物のスタフィロコッカスインターミディウス(Staphylococcus intermedius)の平均減数(R%)を示すグラフである。
【図3】図3は、暴露時間15秒での、Tris/EDTA組成物と比較したポリヘキシニド/Tris/EDTA組成物のマラセジアパキデルマチス(Malassezia pachydermatis)の平均減数(R%)を示すグラフである。
【図4】図4は、Tris/EDTA組成物と比較した、ポリヘキシニド/Tris/EDTA組成物を含有する耳洗浄製剤に暴露した緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のin vitroにおける抗生物質感受性の復帰を示すグラフである。
【図5】図5は、Tris/EDTA組成物と比較した、ポリヘキシニド/Tris/EDTA組成物を含有する耳洗浄製剤に暴露した緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のin vivoにおける抗生物質感受性の復帰を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において皮膚の感染を阻害、治療、または予防する方法であって、
(i)キレート剤、
(ii)緩衝剤、および
(iii)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩
を含む組成物の有効量を、哺乳動物の皮膚に局所投与することを含む方法。
【請求項2】
ビス(ビグアニド)が、式(II)の化合物、またはその互変異性体、あるいは薬剤としてまたは獣医用として許容されるその塩である請求項1に記載の方法。
【化1】

式中、Zは、2価架橋基であり、XおよびXは独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、または置換されていてもよいヘテロアリールから選択される。
【請求項3】
式(II)の化合物において、XおよびXが共に4−クロロフェニルであり、Zが−(CH−である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式(II)の化合物において、XおよびXが共に3−エチルヘキサンであり、Zが−(CH−である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ポリマービグアニドが、式(III)の化合物、またはその互変異性体、あるいは薬剤としてまたは獣医用として許容されるその塩である請求項1に記載の方法。
【化2】

式中、Zは、不在であるか、または2価架橋基であり、各Zは、ポリマーを通じて同一でも異なっていてもよく、
nは、少なくとも3であり、
およびXは独立して、−NH、−NH−C(=NH)−NH−CN、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択される。
【請求項6】
ポリマービグアニドが、式(IV)の化合物、またはその互変異性体、あるいは薬剤として許容されるその塩である請求項5に記載の方法。
【化3】

式中、nは、3から500の整数であり、XおよびXは独立して、−NH、−NH−C(=NH)−NH−CN、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択される。
【請求項7】
式(IV)の化合物において、nが3から15の平均値を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
キレート剤が、アミノカルボン酸、デフェロキサミン、ジメルカプロール、クエン酸、ペニシラミン、大環状ポリエーテル、およびビホスホネート、ならびにそれらの塩、およびそれらの混合物から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アミノカルボン酸が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリプロピオン酸、ジエチレントリアミン五酢酸、2−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン−三酢酸、1,6−ジアミノ−ヘキサメチレン−四酢酸、1,2−ジアミノ−シクロヘキサン四酢酸、O,O’−ビス(2−アミノエチル)−エチレングリコール−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−四酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジプロピオン酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、7,19,30−トリオキサ−1,4,10,13,16,22,27,33−オクタアザビシクロ[11,11,11]ペンタトリアコンタン(O−ビス−トレン)、エチレンジアミン−N,N’−ビス(メチレンホスホン酸)、イミノ二酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(DHEG)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−四酢酸、エチレンジアミン−テトラキス(メチレンホスホン酸)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸およびトリエチレンテトラミン−六酢酸およびそれらの塩または混合塩から選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
キレート剤が、EDTA二ナトリウム、EDTA三ナトリウム、EDTA四ナトリウム、EDTA二カリウム、EDTA三カリウム、EDTAリチウム、EDTA二リチウム、EDTAアンモニウム、EDTA二アンモニウム、およびEDTAカルシウム二ナトリウムである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
キレート剤が、EDTA二ナトリウムである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
緩衝剤が、アミン、ピペラジン、モルホリン、ヒスチジン、イミダゾール、アミノアルコール、アミノポリオール、ホウ酸、重炭酸塩、塩化ナトリウム、メグルミン、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、ならびに薬剤としておよび獣医用として許容されるそれらの塩から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
緩衝剤が、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、N,N’−ジエチル−N,N’−ビス(スルホプロピル)−エチレンジアミン、N,N’−ジエチルピペラジン、ピペラジン−N,N’−ビス(アルキルスルホン酸)、(N−モルホリノ)アルキルスルホン酸、2−アミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ビス−(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールおよび1,3−ビス(トリス[ヒドロキシメチル]メチルアミノ)プロパン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノプロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)タウリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシンおよびそれらの塩およびそれらの混合物から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
緩衝剤が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび/またはその塩である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
抗生物質を哺乳動物に投与するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
皮膚の感染が、Staphylococcus spp.、Enterobacteriacae、Klebsiella spp.、Proteus spp.、Pseudomonads、または酵母に起因する請求項1に記載の方法。
【請求項17】
皮膚の感染が、Staphylococcus aureus、Staphylococcus intermedius、Pseudomonas aeruginosa、またはMalassezia pachydermatisに起因する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
皮膚の感染を阻害、治療、または予防する方法が、外耳の感染を阻害、治療、または予防する方法である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
(i)キレート剤、
(ii)緩衝剤、および
(iii)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩
を含むが、ただし成分(iii)はクロルヘキシジンでない医薬組成物または獣医用組成物。
【請求項20】
ビス(ビグアニド)が、式(II)の化合物、またはその互変異性体、あるいは薬剤としてまたは獣医用として許容されるその塩である請求項19に記載の組成物。
【化4】

式中、Zは、2価架橋基であり、XおよびXは独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、または置換されていてもよいヘテロアリールから選択される。
【請求項21】
式(II)の化合物において、XおよびXが共に3−エチルヘキサンであり、Zが−(CH−である請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
ポリマービグアニドが、式(III)の化合物、またはその互変異性体、あるいは薬剤としてまたは獣医用として許容されるその塩である請求項19に記載の組成物。
【化5】

式中、Zは、不在であるか、または2価架橋基であり、各Zは、ポリマーを通じて同一でも異なっていてもよく、
nは、少なくとも3であり、
およびXは独立して、−NH、−NH−C(=NH)−NH−CN、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択される。
【請求項23】
ポリマービグアニドが、式(IV)の化合物、またはその互変異性体、あるいは薬剤として許容されるその塩である請求項22に記載の組成物。
【化6】

式中、nは、3から500の整数であり、XおよびXは独立して、−NH、−NH−C(=NH)−NH−CN、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択される。
【請求項24】
式(IV)の化合物において、nが3から15の平均値を有する請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
キレート剤が、アミノカルボン酸、デフェロキサミン、ジメルカプロール、クエン酸、ペニシラミン、大環状ポリエーテル、およびビホスホネート、ならびに薬剤としておよび獣医用として許容されるそれらの塩から選択される請求項19に記載の組成物。
【請求項26】
アミノカルボン酸が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリプロピオン酸、ジエチレントリアミン五酢酸、2−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン−三酢酸、1,6−ジアミノ−ヘキサメチレン−四酢酸、1,2−ジアミノ−シクロヘキサン四酢酸、O,O’−ビス(2−アミノエチル)−エチレングリコール−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−四酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジプロピオン酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、7,19,30−トリオキサ−1,4,10,13,16,22,27,33−オクタアザビシクロ[11,11,11]ペンタトリアコンタン(O−ビス−トレン)、エチレンジアミン−N,N’−ビス(メチレンホスホン酸)、イミノ二酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(DHEG)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−四酢酸、エチレンジアミン−テトラキス(メチレンホスホン酸)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸およびトリエチレンテトラミン−六酢酸ならびに薬剤としておよび獣医用として許容されるそれらの塩または混合塩から選択される請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
キレート剤が、EDTA二ナトリウム、EDTA三ナトリウム、EDTA四ナトリウム、EDTA二カリウム、EDTA三カリウム、EDTAリチウム、EDTA二リチウム、EDTAアンモニウム、EDTA二アンモニウム、およびEDTAカルシウム二ナトリウムである請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
キレート剤が、EDTA二ナトリウムである請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
緩衝剤が、アミン、ピペラジン、モルホリン、ヒスチジン、イミダゾール、アミノアルコール、アミノポリオール、ホウ酸、重炭酸塩、塩化ナトリウム、メグルミン、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、ならびに薬剤としておよび獣医用として許容されるそれらの塩から選択される請求項19に記載の組成物。
【請求項30】
緩衝剤が、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、N,N’−ジエチル−N,N’−ビス(スルホプロピル)−エチレンジアミン、N,N’−ジエチルピペラジン、ピペラジン−N,N’−ビス(アルキルスルホン酸)、(N−モルホリノ)アルキルスルホン酸、2−アミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ビス−(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールおよび1,3−ビス(トリス[ヒドロキシメチル]メチルアミノ)プロパン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノプロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)タウリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシンならびに薬剤としておよび獣医用として許容されるそれらの塩、およびそれらの混合物から選択される請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
緩衝剤が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび/または薬剤としておよび獣医用として許容されるその塩である請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
薬剤としてまたは獣医用として許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤をさらに含む請求項19に記載の組成物。
【請求項33】
抗微生物活性を増強する添加剤、および/または抗炎症剤をさらに含む請求項19に記載の組成物。
【請求項34】
抗微生物活性を増強する添加剤が、プロピレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、抗生物質、またはそれらの混合物から選択される請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
抗炎症剤が、コルチコステロイドおよび非ステロイド性抗炎症剤から選択される請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
哺乳動物の皮膚の感染を治療または予防する薬剤の製造における、
(i)キレート剤、
(ii)緩衝剤、および
(iii)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩
の使用。
【請求項37】
イヌの外耳の感染を治療または予防する方法であって、
(i)キレート剤、
(ii)緩衝剤、および
(iii)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩
を含む水性組成物の有効量を、イヌの外耳に局所投与することを含む方法。
【請求項38】
イヌの外耳の感染を治療する薬剤の製造における、
(i)水、
(ii)キレート剤、
(iii)緩衝剤、および
(iv)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩
の使用。
【請求項39】
(i)水、
(ii)キレート剤、
(iii)緩衝剤、および
(iv)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩
を含むが、ただし成分(iv)はクロルヘキシジンでない獣医用耳洗浄組成物。
【請求項40】
(i)水、
(ii)キレート剤、
(iii)緩衝剤、
(iv)少なくとも1種のビス(ビグアニド)またはポリマービグアニド、あるいはそれらの混合物、あるいは薬剤として許容されるそれらの塩、および
(v)保存剤
を含み、成分(iv)は、組成物の0.02重量%超から0.5重量%の範囲の濃度で存在する獣医用耳洗浄組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−532490(P2007−532490A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506617(P2007−506617)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000511
【国際公開番号】WO2005/097094
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506340688)ダームケア−ヴェット ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】