説明

拡声器の音の方向を変える移動体端末

旋回できるように設計された移動体端末(30,90,150,180,210)であって、イヤーピース(受信ユニット)(55,117)と、別個の専用の拡声器(58,120,160,190,218)と、端末(30,90,150,180,210)が開位置にあるときは音をユーザの方に向けまた端末(30,90,150,180,210)が閉位置にあるときは音を異なる方向に出すようにする拡声器出口(64,128,170,172,200,202,214)とを含む。この別個の専用の拡声器変換器(58,120,160,190,218)および拡声器出口(64,128,170,172,200,202,214)は、従来の受信機(またはイヤーピース)(55,117)の位置から間隔をあけた位置から、別個のハンズフリー音声および警報信号を与える。これにより音響レベルをユーザに適したレベルに調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音響装置の分野に関するもので、特に旋回できるように設計された移動体端末の拡声器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの製品はユーザに聞こえる音を生成するための2つの装置を用いることが多い。変換器は受信機として作用する。ブザーなどの別個のユニットはユーザに「警報信号」を与える。警報信号は、電話がかかったときの呼出し音、電池残量が少なくなったことなどを示すシステム信号、および電子ゲーム用のトーンなどの他の音を含む。これらの警報音は一般に騒々しい環境で聞こえるだけの十分な音量を必要とする。第2のスピーカとしてブザーを用いる場合もある。この構成ではこの2つのスピーカは同様の機能を与える。すなわち、一方のスピーカはユーザが電話中に聞く音を与え、他方のスピーカは警報機能用の音を与える。この種の設計は、受信機またはイヤーピース・スピーカと、別個の高出力の拡声器とを備え、手に持って使う場合と或る程度離して使う場合にそれぞれ適した、音の出力レベルと周波数応答とを設定することができる。
【0003】
クラムシェル型およびジャックナイフ型の移動体ハンドセットの或る設計では、ハンドセットが開いて伸びた位置にあるときとハンドセットが閉じた位置にあるときに音をハンドセットから放出することが望ましい。更に、最近の多くの移動体ハンドセットは、プッシュ・トーク(PTT)型と呼ばれるハンドヘルドのウォーキー・トーキー型のオーディオを用いる。PTTが流行する1つの理由は、ユーザがハンドセットを耳の近くに手で持つ必要がないので便利だからである。しかし、PTT機能を備えるためには移動体ハンドセットはいくつかの技術的要求を課せられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば建設現場、工場、高速道路、または市街などの騒々しい環境でも、手を伸ばした距離だけ耳から離れたところでも聞こえるオーディオ・レベルを出すには、PTT装置はあまり大きな歪のない非常に高い音圧を作る能力がなければならない。このためには、かなり大型の音響変換器が必要である。また、ベースにフリップが取り付けられているクラムシェル型およびジャックナイフ型の移動体ハンドセットの中には、ハンドセットの中央点の近くのヒンジによりハンドセットを開閉するものがある。フリップがどちらの位置にあってもオーディオがはっきり聞こえることが好ましい。なぜなら、ユーザは電話を開位置にせずにPTT機能にアクセスしたいことが多いからである。PTT機能を備える移動体ハンドセットの中には、ユーザがハンドセットを手に持たなくても使えるスピーカホン機能を含むものがあり、この場合は手を伸ばした距離より遠くでもオーディオがはっきり聞こえる必要がある。
【0005】
したがって、望ましい移動体ハンドセット構成は、従来の音響受信機ユニットを用いてハンドセットのイヤーピースでの音響レベルおよび周波数特性を適当に調整し、離れて取り付けられた別個のスピーカを用いて多音および/または拡声機能を与え、開位置でも閉位置でもはっきりしたオーディオを与えるためにオーディオ警報および拡声器音響出力を一般にユーザに向けるものである。また、スピーカホン機能を持つハンドセット構成も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施の形態では、移動体端末は、ベースと、旋回できるようにベースに取り付けられたフリップと、フリップの内部に取り付けられて音を生成する変換器とを含む。変換器はフリップ内の出口開口と音響的に通じる。開口はベースとフリップとの間の旋回取付けに隣接し、ベースは前面を有する。端末は、フリップがベースの前面から離れる方向に旋回して開いて伸びた位置とフリップがベースの前面と向かい合う閉じた位置とを有する。
【0007】
本発明の別の実施の形態では、移動体端末は、フリップと、旋回できるようにフリップに取り付けられたベースと、ベースの内部に取り付けられて音を生成する変換器とを含む。変換器はベース内の開口と音響的に通じる。開口はベースとフリップとの間の旋回取付けに隣接し、ベースは前面と背面とを有する。端末は、フリップがベースの前面から離れる方向に旋回して開いて伸びた位置と、フリップがベースの前面と向かい合う閉じた位置とを有する。
【0008】
上記の2つの実施の形態のどちらの場合も、開口は、端末が開位置にあるときはフリップとベースの前面との間の環境に少なくとも部分的に接し、端末が閉位置にあるときはフリップとベースの前面とから離れて環境に接する。
【0009】
本発明の別の実施の形態では、移動体端末を作る方法は、ベースを設け、旋回できるようにフリップをベースに取り付けることを含む。ベースは前面を有する。フリップ内に、ベースとフリップとの間の旋回取付けに隣接した開口がある。端末は、フリップがベースの前面から離れる方向に旋回して開いて伸びた位置とフリップがベースの前面と向かい合う閉じた位置とを有する。この方法は更に、音を生成する変換器をフリップの内部に開口と音響的に通じるように取り付けることを含む。
【0010】
本発明の別の実施の形態では、移動体端末を作る方法は、フリップを設け、旋回できるようにベースをフリップに取り付けことを含む。ベースは前面を有する。ベース内に、ベースとフリップとの間の接続に隣接した開口がある。端末は、フリップがベースの前面から離れる方向に旋回して開いて伸びた位置と、フリップがベースの前面と向かい合う閉じた位置とを有する。この方法は更に、ベースの内部に向かって音を生成しまた開口と音響的に通じるように変換器を取り付けることを含む。
【0011】
移動体端末を製作する上記の2つの実施の形態のどちらの場合も、開口は、端末が開位置にあるときはフリップとベースの前面との間の環境に少なくとも部分的に接し、端末が閉位置にあるときはフリップとベースの前面から離れて環境に接する。
【0012】
本発明の別の実施の形態では、移動体端末からの音を向ける方法は端末内の変換器を刺激して音を生成することを含む。音は移動体端末内のベースとフリップとの間の旋回取付けに隣接する変換器から出る。ベースは前面を有する。フリップがベースの前面から離れる方向に旋回して開いて伸びた位置に端末があるとき、音は変換器から、フリップとベースの前面との間の環境に向けられる。そのときまたは他のときに、フリップがベースの前面と向かい合う閉じた位置に端末があるとき、音は変換器から、フリップとベースの前面との間から離れる方向に向けられる。
【0013】
本発明の機能および利点は、添付の図面に示されているいくつかの実施の形態に関する以下の詳細な説明を読めば明らかになる。認識されるように、本発明は種々の点において、本発明から全く逸れることなく修正することができる。したがって、図面および説明は例とみなすべきであって、制限するものではない。
【実施例】
【0014】
本発明は、クラムシェル型、ジャックナイフ型、またはその他の折畳みデザインを有する移動体端末に関するものである。ここで用いる「移動体端末」という用語は次のものを含んでよい。すなわち、セルラ無線電話(マルチライン・ディスプレイを備えても備えなくてもよい)や、パーソナル通信システム(PCS)端末(セルラ無線電話とデータ処理やファクシミリやデータ通信の機能とを組み合わせたもの)や、PDA(無線電話、ページャ、インターネット/イントラネット・アクセス、ウェブ・ブラウザ、オーガナイザ、カレンダ、および/または全地球測位システム(GPS)受信機を含む)や、従来のラップトップおよび/またはパームトップ受信機、またはその他の機器や、パーソナル音楽再生システム(CD、ミニディスク、MP−3ファイル、メモリ・スティックなど)や、プレス・トーク機能を含む装置、などである。「ハンドセット」という用語は簡単のためにここに示す実施の形態を指すのに用いるが、本発明の範囲に、または「移動体端末」という用語に制限するわけではない。
【0015】
ハンドセットは、フリップがベースから離れて伸びて開いた位置を有してよい。「フリップ」という用語はベースに対して畳んだり拡げたりするセルラ電話の部分を指すことが多いが、ここで用いる「フリップ」は任意の移動体端末の任意の同様の部分を指すものと理解すべきである。同様に、「ベース」という用語はフリップに対向する移動体端末の任意の部分を意味すると理解すべきであり、キーパッドを含めて移動体端末の電子回路の大部分を含むことがあり、またフリップより厚くてよい。フリップは、常にではないがディスプレイを含んでよく、1つ以上のヒンジによりベースに接続してよい。「頂部」、「底部」、「上」、「下」、「右」などの方向を示す用語は、実施の形態の方向を図面上で簡単に指すのに用いるものであり、別に必要でない限り、本発明を制限するものではないと理解すべきである。
【0016】
本発明に係る位置決めおよび放出においては、移動体端末が開いて伸びた形でも閉じた形でも、PTT機能を含むハンズフリー音声と警報信号の両方を与えるのに単一の変換器を用いてよい。場合に応じて、移動体端末の従来の位置にある受信機の周りの耳を塞ぐ領域から間隔をあけて変換器を置けば、特に内部構造を端末内に置く場合は、音響レベルをユーザに適したレベルに調整することができる。内部構造は、拡声器変換器と受信機変換器とを音響的に隔離するようにしてよい。
【0017】
次に図面を参照すると、図1は本発明の一つの実施の形態に係るクラムシェル型の移動体端末またはハンドセット30の正面図である。ハンドセット30は伸びて開いた位置にあり、ベース32とフリップ34とはヒンジ36,38などの接続の回りに広がっている。ハンドセット30のベース32は、キーパッド40、マイクロホン42、音量/スクロール・ボタン44、プレス・トーク・ボタン46、およびスピーカホン・オンオフ・ボタン48を納めてよい。種々の他の機能を備えてよく、またここに示す諸機能は必ずしもなくてよく、本発明の範囲を制限するものではない。ベース32は前面50および背面(図示しない)を有するハウジングである。ヒンジ36,38はベース32の一部であってベース32とフリップ34とを接続し、フリップの中央の底部52はヒンジの間に位置する。フリップ34はハウジングであって、ディスプレイ54、従来の位置にある受信機55、およびその他の機能を含んでよく、また前面56および背面(図示しない)を有する。出口開口57は受信機が生成した音を、フリップ前面56を通して出す。ここではフリップ34がベースの上に位置するように示したが、フリップをベースから下に折り畳むなどの他の構成も可能である。
【0018】
図1のハンドセットでは、変換器58は隠れ線で示すようにフリップ34の内部に取り付ける。取付けは当業者に周知の方法を用いてよい。変換器58は音を生成する任意の適当なタイプでよく、例えば、図に示すように磁石60およびダイアフラム62を含んでよい。変換器58からフリップ34の底部の中央部52まで音響通路64が形成され、これにより変換器はフリップ内の出口開口66と音響的に通じる。図に示すように、ハンドセット30が開位置にあるとき、音響通路64の出口開口66はハンドセットの前方に向き、ユーザの顔または耳の前にハンドセットを保持して或る程度離して用いるときユーザに面する。開口66はフリップの前面56とベースの前面50の間の環境に接するので、音68は同じ環境の方に、そしてユーザの方に向かう。変換器58の位置は受信機55の従来の位置から離れているので、音響レベルをユーザに適したレベルに調整することができる。また、内部構造をハンドセット内に置くことにより、拡声器変換器58と受信機変換器55との間を音響的に隔離することができる。
【0019】
図2に示すように、フリップ34はフリップ背面74上に、ディスプレイ70と、ベース32内のマイクロホン42とは別のマイクロホン72とを含んでよい。別のマイクロホン72は、フリップを閉じてベース内のマイクロホン42をふさいだときに特に望ましい。ハンドセット30は閉位置にあり、フリップ34の前面56(図1)はベース32の前面50と向かい合って直接に対向する。「向かい合う」とは、ハンドセットが閉位置にあるときのように、フリップとベースの前面の位置が合うことを意味する。変換器58からの音響通路64の開口66は上向きになり、ベース32の前面50およびフリップ34の前面56から離れて環境の方に向く。このように、開位置でも閉位置でも、同じ変換器58が音68をハンドセット30から環境に向けて直接に放出する。これはフリップ34内の出口開口66がベース32に対して回転することにより実現する。
【0020】
図3および図4は開位置および閉位置にあるハンドセット30の簡単な右側面図をそれぞれ示す。矢印76で示すようにベース32とフリップ34とを相対的に旋回させるとハンドセット30は開位置または閉位置になる。ヒンジ36,38はフリップ34の底部の中央部52の外側にあり(図1参照)、したがって図3および図4では右側のヒンジ38が見える。図4の閉位置では、フリップの背面74とベースの背面77とがハンドセット30の外面を形成する。
【0021】
図5および図6は開位置および閉位置にあるハンドセット30の簡単な部分断面図をそれぞれ示す。フリップ34の底の中央部52は、図5ではハンドセット30の中心にあり、図6ではハンドセットが閉位置にあるのでハンドセット30の上端にあるのが分かる。図3および図5に示すように、ハンドセットの前面50,56がユーザに面するとき、音響通路64の開口66は音68をハンドセット30の前方の環境の方に、すなわちユーザの方に向ける。下向きの音68はベースの前面50によりユーザの方に反射される。図4および図6は、音響通路64および開口66が一般に上向きになるまでハンドセット30を回転して閉位置にしたときに、一般に下向きに放出される音68の方向が変わって、単一の変換器58からの音がユーザに聞こえるようになることを示す。ハンドセット30を閉じて例えばポケットの中に入れたとき、この方向は特に有用である。なぜなら、音はポケットから上向きにユーザの方に向かうからである。
【0022】
本発明の種々の実施の形態で種々の機能を実現することができる。例えば、ハンドセットはプレス・トーク機能を有してよく、また変換器はプレス・トーク拡声器でよい。変換器はダイナミック・マイクロホンと拡声器の両方の機能を有してよい。変換器はハンズフリー音声と警報信号の両方の音を与えてよい。ハンドセットが開位置か閉位置かに従って、変換器が与える音圧レベルを自動的に変える音量制御装置を備えてよい。
【0023】
図7は本発明の別の実施の形態に係る、クラムシェル型の移動体端末またはハンドセット90の正面図である。ハンドセット90は伸びて開いた位置にあり、やはりベース92とフリップ94はヒンジ96,98などの接続の回りに広がっている。図1のハンドセット30の場合と同様に、ハンドセット90のベース92は、キーパッド100、マイクロホン102、音量/スクロール・ボタン104、プレス・トーク・ボタン106、およびスピーカホン・オンオフ・ボタン108を納めてよい。ベース92は前面110および背面(図示しない)を有するハウジングである。ヒンジ96,98はフリップの一部であってベース92とフリップ94とを接続し、ベースの中央の頂部112はヒンジの間に位置する。フリップにつながるオプションの音反射体(すなわち、リップ114)がヒンジ96と98との間に伸びて、音をハンドセット90の前方に反射する。ハンドセットが開位置のとき、リップ114はベース92とフリップ94との間の隙間を実質的にふさいでよい。フリップ94はハウジングであって、ディスプレイ116、従来の位置にある受信機117、およびその他の機能を含んでよく、また前面118および背面(図示しない)を有する。開口119は受信機が生成した音を、フリップの前面118を通して出す。
【0024】
変換器120はベース92の内部に、当業者に周知の方法で取り付ける。変換器は図に示すような磁石122およびダイアフラム124、または音を生成するのに適した他の変換器構成要素を含んでよい。変換器120からベース92の中央の頂部112まで音響通路126が形成され、これにより変換器120はベース内の開口128と音響的に通じる。ハンドセット90が開位置にあるとき、音響通路126の開口128は上向きになる。リップ114は音130をハンドセット90の後方から前方に反射する。ハンドセット90は、ユーザの顔または耳の前方に或る程度離して持って用いるときユーザに面する。開口128はフリップ前面118とベース前面110との間の環境に接するので、音130は同じ環境の方に、そして一般にユーザの方に向かう。
【0025】
図8に示すように、フリップ94はまた背面134上に、ディスプレイ132と、ベース92内のマイクロホン102とは別のマイクロホン135とを含んでよい。ハンドセット90は閉位置にあり、フリップ94の前面118(図7)はベース92の前面110と向かい合う。変換器120からの音響通路126の開口128は上向きになり、ベース92の前面110およびフリップ94の前面118から離れて環境の方に向く。したがって、図1および図2の実施の形態と同様に、開位置でも閉位置でも、同じ変換器120が音130をハンドセット90から環境に向けて直接に放出する。これはベース92内の開口128がフリップ94に対して回転することにより実現する。
【0026】
図9および図10は開位置および閉位置にあるハンドセット90の簡単な右側面図をそれぞれ示す。矢印136で示すようにベース92とフリップ94とを相対的に旋回させるとハンドセットは開位置または閉位置になる。ヒンジ96,98はベース92の頂部の中央部112の外側にあり(図7)、したがって図9および図10では右側のヒンジ98が見える。図10の閉位置では、フリップ背面134とベース背面137とがハンドセット90の外面を形成する。ベース背面137に完全に接触させるには、リップ114を曲面にする必要がある。
【0027】
図11−12および図13−14は、開位置および閉位置にあるハンドセット90の簡単な断面図をそれぞれ示す。これらの図ではベース92の頂部の中央部112が見える。図9,11,12に示すように、ハンドセットの前面110,118がユーザに面するとき、音響通路126の開口128は音を一般に上方に向け、フリップ94およびリップ114(図11−12)は音130をハンドセット90の前方の環境の方に、すなわちユーザの方に向けて反射する。図10,13,14は音響通路126および開口128が一般に上向きになるまで回転してハンドセット90を閉位置にしたとき、単一の変換器120からの音130がユーザに聞こえるようになることを示す。
【0028】
図15および図16は、本発明の別の実施の形態に係るクラムシェル型のハンドセットの簡単な正面図を示す。図15のハンドセット150では、フリップ152はヒンジ156,158により旋回できるようにベース154に接続する。変換器160はフリップ152の内部に取り付けられ、音162,164は音響通路166,168および開口170,172を介して、フリップの一部であるヒンジ156,158を通して出る。ベース154の中央部174はヒンジ156,158の間に位置する。図16のハンドセットでは、フリップ182はヒンジ186,188により旋回できるようにベース184に接続する。変換器190はベース184に取り付けられ、音192,194は音響通路196,198および開口200,202を介して、ベース184の一部であるヒンジ186,188を通して出る。フリップ182の中央部204はヒンジ186,188の間に位置する。図1および図7の実施の形態に関して前に述べたように、ハンドセット150,180の出口開口は対向するフリップまたはベースに対して回転して、ハンドセットの開位置でも閉位置でも、場合に応じて環境に接して可聴音を向ける。
【0029】
図17−19は、本発明の別の実施の形態に係るジャックナイフ型のハンドセット210の簡単な正面図を示す。ハンドセット210では、フリップ212はヒンジ216により旋回できるようにベース214に接続する。変換器218はフリップ212の内部に取り付けられ、ハンドセット210が開位置にあるか(図17)閉位置にあるか(図19)に従って、音220はヒンジ216内の2つの音響通路222,224の一方を通して出る。図18からよく分かるように、フリップ212が回転しても音響通路222,224は回転しない。ハンドセット210が開位置にあるとき(図17)は、開口226は音響通路224と合う。ハンドセット210が閉位置にあるとき(図19)は、開口226は音響通路222と合う。フリップ212が開位置と閉位置との間にあるとき(図18)は、開口226は音響通路222,224のどちらとも合わない。フリップ内に開口を有する前の実施の形態に関して前に説明したように、ハンドセット210の開口はベースに対して回転して、ハンドセットの開位置でも閉位置でも、環境に接して可聴音を向ける。または、変換器218をベース214内またはヒンジ216内に取り付けて、ハンドセットを旋回させて開いた構成または閉じた構成にしたときに、音響通路および出口開口が音の向きを場合に応じて変えるようにすることができる。
【0030】
音響技術の当業者が容易に認識するように、本発明は別の環境では別の応用を有する。また当業者が理解するように、変換器を移動体端末のハウジングに取り付けるときのここに示す位置や相対的サイズは単なる例であって、望ましい音響出力を得るのに必ずしも最も効率的で望ましいものではない。実際のところ、多くの実施の形態や実施例が可能である。多くの種類の変換器や、音響通路および出口開口のレイアウトを用いてよい。音響通路の大きさ、長さ、および方向も、音響性能が最適になるように調整してよい。特許請求の範囲は本発明の範囲をここに説明した特定の実施の形態に限定するものではない。上述の修正や種々の他の変更や削除や追加は、本発明の精神と範囲から逸れることなく行うことができることを当業者は理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の或る実施の形態に係る、開位置にある移動体ハンドセットの正面図である。
【図2】閉位置にある図1の移動体ハンドセットの正面図である。
【図3】開位置にある図1の移動体ハンドセットの簡単な右側面図である。
【図4】閉位置にある図1の移動体ハンドセットの簡単な右側面図である。
【図5】図1の線5−5における、開位置にある図1の移動体ハンドセットの簡単な部分断面図である。
【図6】図2の線6−6における、閉位置にある図1の移動体ハンドセットの簡単な部分断面図である。
【図7】本発明の別の実施の形態に係る、開位置にある移動体ハンドセットの正面図である。
【図8】閉位置にある図7の移動体ハンドセットの正面図である。
【図9】開位置にある図7の移動体ハンドセットの簡単な右側面図である。
【図10】閉位置にある図7の移動体ハンドセットの簡単な右側面図である。
【図11】図7の線11−11における、開位置にある図7の移動体ハンドセットの簡単な断面図である。
【図12】図11の断面図の一部の拡大詳細図である。
【図13】図8の線13−13における、閉位置にある図7の移動体ハンドセットの簡単な断面図である。
【図14】図13の断面図の一部の拡大詳細図である。
【図15】本発明の別の実施の形態に係る移動体ハンドセットの簡単な正面図である。
【図16】本発明の別の実施の形態に係る移動体ハンドセットの簡単な正面図である。
【図17】本発明の別の実施の形態に係る移動体ハンドセットの簡単な正面図である。
【図18】本発明の別の実施の形態に係る移動体ハンドセットの簡単な正面図である。
【図19】本発明の別の実施の形態に係る移動体ハンドセットの簡単な正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体端末(30,150,210)であって、
前面(50)および背面(77)を有するハウジングを含むベース(32,154,214)と、
旋回できるようにベース(32,154,214)に取り付けられたフリップ(34,152,212)であって、貫通する開口(64,170,172,226)を持つハウジングを含み、開口(66,170,172,226)はベース(32,154,214)とフリップ(34,152,212)との間の前記旋回取付けに隣接し、端末(30,150,210)はフリップ(34,152,212)がベース(32,154,214)の前面(50)から離れる方向に旋回して開いて伸びた位置とフリップ(34,152,212)がベース(32,154,214)の前面(50)と向かい合う閉じた位置とを有する、フリップ(34,152,212)と、
フリップ(34,152,212)の内部に取り付けられて開口(66,170,172,226)と音響的に通じる、音を生成する変換器(58,160,218)と、
を備え、
開口(66,170,172,226)は、端末(30,150,210)が開位置にあるときはフリップ(34,152,212)とベース(32,154,214)の前面(50)との間の環境に少なくとも部分的に接し、端末(30,150,210)が閉位置にあるときはフリップ(34,152,212)とベース(32,154,214)の前面(50)とから離れて環境に接する、
移動体端末(30,150,210)。
【請求項2】
移動体端末(30,150)はプレス・トーク機能性を有し、変換器(58,160)はプレス・トーク拡声器である、請求項1記載の移動体端末(30,150,210)。
【請求項3】
移動体端末(30,150)はクラムシェル型である、請求項1記載の移動体端末(30,150)。
【請求項4】
移動体端末(210)はジャックナイフ型である、請求項1記載の移動体端末(210)。
【請求項5】
ベース(32)とフリップ(34,152)との間の前記旋回取付けは少なくとも1つのヒンジ(36,38,156,158,216)を含む、請求項1記載の移動体端末(30,150,210)。
【請求項6】
前記旋回取付けはベース(32)の一端とフリップ(34)の一端で行われ、ベース(32)の2つの縁はベース(32)の縁に沿うヒンジ(36,38)を持つ各端に垂直であり、フリップ(34)の中央部(52)は前記旋回取付けに隣接してヒンジ(36,38)の間に伸び、開口(66)は中央部(52)上に位置する、請求項5記載の移動体端末(30)。
【請求項7】
前記旋回取付けはベース(154)の一端とフリップ(152)の一端で行われ、フリップ(152)の2つの縁はフリップ(152)の縁に沿うヒンジ(156,158)を持つ各端に垂直であり、ベース(154)の中央部は前記旋回取付けに隣接してヒンジ(156,158)の間に伸び、開口(170,172)は少なくとも1つのヒンジ(156,158)上に位置する、請求項5記載の移動体端末(150)。
【請求項8】
移動体端末(90,180)であって、
ハウジングを含むフリップ(94,182)と、
旋回できるようにフリップ(94,182)に取り付けられて前面(110)および背面(137)を含むベース(92,184)であって、ベース(92,184)は貫通する開口(128,186,188)を持つハウジングを含み、開口(128,200,202)はベース(92,184)とフリップ(94,182)との間の旋回取付けに隣接し、端末(90,180)はフリップ(94,182)がベース(92,184)の前面(110)から離れる方向に旋回して開いて伸びた位置とフリップ(94,182)がベース(92,184)の前面(110)と向かい合う閉じた位置とを有する、ベース(92,184)と、
ベース(92,184)の内部に取り付けられて開口(128,186,188)と音響的に通じる、音を生成する変換器(120,190)と、
を備え、
開口(128,186,188)は、端末(90,180)が開位置にあるときはフリップ(94,182)とベース(92,184)の前面(110)との間の環境に少なくとも部分的に接し、端末(90,180)が閉位置にあるときはフリップ(94,182)とベース(92,184)の前面(110)とから離れて環境に接する、
移動体端末(90,180)。
【請求項9】
フリップ(94,182)は前面(118)および背面(134)を有し、端末(90,180)が閉位置にあるときはフリップ(94,182)はベース(92,184)の前面(110)と向かい合いまたフリップ(94,182)の前面(118)はベース(92,184)の前面(110)と対向し、また更に、端末(90,180)が開位置にあるときはベース(92,184)の背面(137)とフリップ(94,182)の背面(134)との間の旋回取付けの開口の回りに部分的に伸びる音反射体(114)を備える、請求項8記載の移動体端末(90,180)。
【請求項10】
移動体端末(90,180)はプレス・トーク機能性を有し、変換器(120,190)はプレス・トーク拡声器である、請求項8記載の移動体端末(90,180)。
【請求項11】
移動体端末(90,180)はクラムシェル型である、請求項8記載の移動体端末(90,180)。
【請求項12】
移動体端末(90,180)はジャックナイフ型である、請求項8記載の移動体端末(90,180)。
【請求項13】
ベース(92,184)とフリップとの間の前記旋回取付けは少なくとも1つのヒンジ(96,98,186,188)を含む、請求項8記載の移動体端末(90,180)。
【請求項14】
前記旋回取付けはベース(92)の一端とフリップ(94)の一端で行われ、フリップ(94)の2つの縁はフリップの縁に沿うヒンジ(96,98)を持つ各端に垂直であり、ベース(92)の中央部(112)は前記旋回取付けに隣接したヒンジ(96,98)の間に伸び、開口(128)は中央部(112)上に位置する、請求項13記載の移動体端末(90)。
【請求項15】
前記旋回取付けはベース(184)の一端とフリップ(182)の一端で行われ、ベース(184)の2つの縁はベース(184)の縁に沿うヒンジ(186,188)を持つ各端に垂直であり、フリップ(182)の中央部(204)は接続に隣接してヒンジ(186,188)の間に伸び、開口(200,202)は少なくとも1つのヒンジ(186,188)上に位置する、請求項13記載の移動体端末(180)。
【請求項16】
移動体端末(30,150,210)を作る方法であって、
前面(50)および背面(77)を有するハウジングを含むベース(32,154,214)を設け、
旋回できるようにフリップ(34,152,212)をベース(32,154,214)に取り付け、フリップ(34,152,212)は貫通する開口(66,170,172,226)を持つハウジングを含み、開口(66,170,172,226)はベース(32,154,214)とフリップ(34,152,212)との間の前記旋回取付けに隣接し、端末(30,150,210)はフリップ(34,152,212)がベース(32,154,214)の前面(50)から離れる方向に旋回して開いて伸びた位置とフリップ(34,152,212)がベース(32,154,214)の前面(50)と向かい合う閉じた位置とを有し、
音を生成する変換器(58,160,218)をフリップ(34,152,212)の内部に開口(66,170,172,226)と音響的に通じるように取り付ける、
ことを含み、
開口(66,170,172,226)は、端末(30,150,210)が開位置にあるときはフリップ(34,152,212)とベース(32,154,214)の前面(50)との間の環境に少なくとも部分的に接し、端末(30,150,210)が閉位置にあるときはフリップ(34,152,212)とベース(32,154,214)の前面(50)とから離れて環境に接する、
移動体端末(30,150,210)を作る方法。
【請求項17】
移動体端末(90,180)を作る方法であって、
ハウジングを含むフリップ(94,182)を設け、
旋回できるようにベース(92,184)をフリップ(94,182)に取り付け、ベース(92,184)は前面(110)および背面(137)を含み、ベース(92,184)は貫通する開口(128,186,188)を持つハウジングを含み、開口(128,186,188)はベース(92,184)とフリップ(94,182)との間の前記旋回取付けに隣接し、端末(90,180)はフリップ(94,182)がベース(92,184)の前面(110)から離れる方向に旋回して開いて伸びた位置とフリップ(94,182)がベース(92,184)の前面(110)と向かい合う閉じた位置とを有し、
音を生成する変換器(120,190)をベース(92,184)の内部に開口(128,186,188)と音響的に通じるように取り付ける、
ことを含み、
開口(128,186,188)は、端末(90,180)が開位置にあるときはフリップ(94,182)とベース(92,184)の前面(110)との間の環境に少なくとも部分的に接し、端末(90,180)が閉位置にあるときはフリップ(94,182)とベース(92,184)の前面(110)から離れて環境に接する、
移動体端末(90,180)を作る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2008−523714(P2008−523714A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545438(P2007−545438)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/029048
【国際公開番号】WO2006/065293
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】