説明

振動の吸収、感知及び伝送用変換器

振動する表面からの音響又は振動エネルギの影響を吸収し、又は抑制する密封されたアクチュエータ設計。装置は磁歪コア(2〜6)を含む本体(1)、圧縮によりアクチュエータを活性化する反応装置(7)及び反応質量の動きを制御する軸受又はレバーシステムを備える。アクチュエータは、構造物から装置へ入る振動を受ける脚と、振動レベルをモニタするセンサ(13)を有する。装置は、それが取り付けられる表面を振動させることにより、音響伝送器としても機能することができ、構造物から受けた振動と、表面の位相をずらすことにより、構造物を通る音響伝送又はノイズ/振動の抑制に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表面からの振動エネルギを減衰させる変換器に関する。このエネルギの一部は変換され、電気エネルギとして保存される。
【背景技術】
【0002】
本発明の第一の目的は、この動きを電気エネルギへ変換することにより、大型構造物(例、船舶、石油掘削装置、橋梁、建造物及び他の構造物)を介して伝達される音響や振動を抑制することである。
【0003】
表面の移動や振動を、次に電源として利用でき、又は分散できる電気エネルギへ変換することにより、エネルギを吸収し、又は捕獲することは既知である。しかし、先の適用は比較的小規模で、ピエゾ電気変換器の使用が伝統的に好まれてきた。この種のアクチュエータは小規模な電力捕獲に使用できる一方、考慮される構造物の規模(例、大型クルーズ船の船体)に見出されるようなより大きな力は、大きさのオーダがより強力である必要がある。
【0004】
変換器はセンサとしても機能する。これは現存する感知への適用を置換し、又は補完する。橋梁の例で、センサ信号を使用して通行による振動レベルをモニタする。
【0005】
伝統的に、大規模領域に対する音響カバー範囲を提供するには、多くのスピーカを必要とするだろう。しかし、もし構造物が音響信号で駆動されるならば、少ない音源とそれらが関連する配線及び増幅で広いカバー範囲が達成される。
【発明の概要】
【0006】
本発明によると、可聴音又は振動を放射する表面からの音響又は振動エネルギを吸収する変換器が提供され、装置は反応質量、リニア軸受又は他の形状のガイドやスリーブ及び我々の先の特許出願(欧州特許出願No.02708456.5、国際特許No.PCT/GB02/01111)と概略同一構成の巨大磁歪材料(GMM)のコアを取り囲む磁石、スペーサ及びコイル巻線からなる装置を備える、磁歪型アクチュエータを含む本体を備える。パネルの振動エネルギにより加速されると、変換器の反応質量構成要素は、変換器のGMM素子へ力を加える。この結果、GMMの磁気特性が変化し、この変化がGMMを取り囲む磁界の変化として現れる。この変動する磁界を使用して、GMMを取り囲むコイル内に電流を誘起させる。この電流は電池、キャパシタ又は他の電力保持溶液などの接続された電力貯蔵システムへ吸収される。好ましくは、質量は、軸方向配置の筺体内の変換器の作動部分と直列であり、より好ましくは、質量を支持するために軸受内を走る。軸受は、直線形成でもよく、又は別の実施例では、2つのより小さい軸受によってでもよい。各設計の実施例で、装置内の摩擦を減らし、変換器内で発生するノイズを最小化するには、油圧は有利である。
【0007】
移動を軸受の限界内に拘束することにより、軸方向に作動方向へ走ることは、非常に効果的であることは分かっているが、設計はこの配列に限定されない。
【0008】
電気信号をコイル巻線へ加え、次にGMM素子が取り付け面上に振動を発生させる形状を変化させる磁界を発生させるように、変換器を振動発生器又は音響変換器として使用することも可能である。吸収又は振動発生機能用のコイル巻線は同一であり、又は各機能が分離しているが、同一ボビンに巻かれている。
【0009】
本発明の第二実施例では、横軸レバー装置に対するスラスト軸の制御は、我々の特許出願(国際特許出願No.WO2004/057912A3)に見られるように重要である。この実施例において、取り付け面からの振動は機械式レバーシステムにより増幅され、これにより反応質量は、圧縮量及びそれにより発生する続く電気エネルギを増幅するGMM上の圧縮力と連携して作動する。
【0010】
好ましくは、変換器は磁歪素子とそれに関係する電磁コイルを備える磁歪アクチュエータであり、素子は脚へ機械的に接続され、コイルは、素子に貯蔵と続く再利用のため出力される力を電力システムへ供給させるように、取り付け面からの振動により活性化される。
【0011】
第一実施例と同様に、変換器は振動発生器又は音響変換器としても使用可能であり、これにより電気信号がコイル巻線へ加えられ、次にGMM素子が、取り付け面上に振動を発生させるレバーにより増幅される形状と動きを変化させるようにする磁界を発生させる。吸収又は振動発生機能用の巻線は同一であり、又は各機能毎に分離しているが、同一ボビン上に巻かれる。
【0012】
設計は我々の関係する特許出願に規定され、及び示されるような、磁歪コアの使用に限定されないこと、及び我々の先に述べた特許による、特定周波数での振動を区別するため、並列巻コイルから恩恵を受けることができることを見ることができる。これは、ピエゾと他の高級材励起子を含む多くの素子、特許(米国特許NoUS4,485,688)により保護されるものに類似の柔軟な張力装置、上で言及した我々自身の出願に関する横レバー装置、及び上記の組み合わせを利用する積層高級材を含む。
【0013】
質量、バネタイプ及びコイル巻線を、異なる周波数領域下で作動するように選択される。ある用途で、2つの変換器接続形態、例えばノイズ低減用のより低い周波数素子と音響伝送用のより高い周波数素子を組み合わせることが望ましい。装置の有効性の最適範囲は、用途により変動するが、振動減衰には20〜2000Hzの範囲で、音響伝送には、100〜18,000Hzの範囲である。
【0014】
装置の別の実施例は、それが取り付けられる取り付け面からの振動を感知し、制御用電子装置が応答し、それに反応することができる基準を提供するピエゾ電気装置又は類似の一体型センサをその構造体の中に含む。これは、異常な、又は予知されない振動を感知し、これによりアラームを起動するためであり、又はセンサを使用して、表面からの振動を検出し、振動を打ち消すため、位相を180度ずらして変換器を作動させる振動制御用である。同様に、本発明のこの態様により、装置が加速度計として、本装置を使用することが可能になる。2方向信号を利用して、例えば氷が時には発生し、それを除去するため表面起動(振動)を必要とする船舶上の特定振動環境を補償する。
【0015】
装置の別の実施例は、装置が従来の音響装置と比較して改善された耐火性を有することが可能であるので、分散型拡声器火災警報システムとしての適用である。この実施で、変換器は、通常振動減衰モードにある。しかし、警報信号に応答して、予め録音された伝言、告知、及び/又は警報音は、構造体へ伝送することができる。
【0016】
装置の表面への取り付けは、恒久的又は一時的であるが、いずれの場合も、表面へ取り付けられる脚が表面との密着が維持されるように接着され、又は固定される。装置が作動する環境は、頻繁に水、油、ジーゼル及び船舶の船体又は構造体に見られる他の有害な要素に浸かるので、装置は長年この環境に耐え、その寿命の間、安全かつ無害に作動するように設計されるだろう。
【0017】
変換器の設計は、例えば振動のモニタが可能になるように、それがセンサとして作動することを可能する。更に電気信号を変換器へ与えることにより、音響信号を変換器が取り付けられる構造体へ伝送する。変換器の設計は、それはいかなる取り付け方向でも機能するようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許出願No.02708456.5、
【特許文献2】国際特許No.PCT/GB02/01111、
【特許文献3】、国際特許出願No.WO2004/057912A3、
【特許文献4】米国特許No.US4,485,688
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明のいくつかの実施例が図面を参照して例のみとして記載される。
【0020】
【図1】リニア軸受を特徴とする本発明の第一実施例による軸装置の立断面図である。
【図2】二重軸受リングを特徴とする本発明の第一実施例による軸装置の立断面図である。
【図3】外部取り付けフランジを特徴とする本発明の第一実施例による軸装置の立断面図である。
【図4】別の取り付け位置を示す本発明の第一実施例による軸装置の立断面図である。
【図5】2つのGMMコアを特徴とする本発明の第一実施例による軸装置の立断面図である。
【図6】別のGMMコア構造を特徴とする本発明の第一実施例による軸装置の立断面図である。
【図7】コア構造のよりコンパクト版を示す本発明の第一実施例による軸装置の立断面図である。
【図8】単一GMMコアを特徴とする本発明の第二実施例による横断装置の立断面図である。
【図9】二重GMMコアを特徴とする本発明の第二実施例による横断装置の立断面図である。
【図10】別の取り付け軸と方法を示す本発明の第二実施例による横断装置の立断面図である。
【図11】別の取り付け軸と方法を示す本発明の第二実施例による横断装置の立断面図である。
【図12】別の取り付け軸と方法を示す本発明の第二実施例による横断装置の立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照して、吸収装置は、装置を緊張状態に保つバネ8によりアクチュエータに対してプリテンションをかけられた反応質量7と密着するコアアセンブリ2〜6を含むケーシング1を備える。反応質量は、図2に示すように、リニア軸受9又はこれに代わり2つの環状軸受リング10の中に取り付けられる。コアアセンブリは、鋳造ボビン2、コイル3、磁石4、スペーサ5、及びGMM素子6を含む様々な部品から構成される。コアアセンブリ2〜6は、我々の同時係属国際特許出願、欧州特許出願No02708456.5に記述され、かつ請求されるタイプである。脚11はケース1に固定される。Oリング12は水の浸入を防止する。加速度計13などの振動センサは脚11上に取り付けられる。
【0022】
装置全体は、外部エネルギ貯蔵装置(表示なし)へ接続される。使用時、装置は図3と図4に示すように、取り付けフランジ15を特徴とする変形脚による恒久接着又は器具のいずれかにより、脚11で振動が吸収される表面へ恒久的又は一時的に取り付けられる。
【0023】
図5は、効率を高めるために使用される二重変換器スタックを示す。図6は、図1に示す円形磁石4が、コア直径を低減するため、円筒型磁石14と置換される別の変換器配置を示す。
【0024】
図7は、アクチュエータコアが下部形状装置を生成するため、反応質量7により取り囲まれる、よりコンパクトな配置を示す。殆どの構成要素は、図1と同じである。しかしこの実施例は取り付けフランジ15及び空洞16を充填するための油の使用も含む。
【0025】
図8は、別の実施例を示す。この実施で、図1の記述で確認されるアクチュエータアセンブリは、同時係属特許出願No.Wo2004/057912A3に記述されるような、横軸レバー装置と置換される。ケース1、脚11及びOリング12は、図1に示すものと同一である。しかし、ケース1の内部構成要素は、ボビン2、コイル3、磁石4、スペーサ5、GMM6、及びドーム型スペーサ17のコアアセンブリを備える横軸レバー装置により置換される。コアは変換器アセンブリの中に設置され、ヒンジ20で本体19へ取り付けられた底板18を備える。変換器アセンブリはバネ8により緊張状態に保持される。
【0026】
図9はエネルギ捕獲効率、音質を増大させるため、又はそれがエネルギ捕獲装置及び音源の両方として使用される用途に変換器を最適化するため、2つのコアアセンブリを利用するこの実施例の改善案を示す。
【0027】
図10は取り付けフランジで垂直に取り付けられた横軸レバー装置の実施例を示す。図11は同じアクチュエータ装置を示す。しかし、この実施で、変換器は接着剤又は両面接着パッド21で接着される。図12も、装置が図示するようなフランジ、又は図11のような接着剤を使用して水平に取り付けられることを図示する。
【符号の説明】
【0028】
1:ケーシング
2:鋳造ボビン
3:コイル
4:磁石
5:スペーサ
6:GMMアセンブリ
7:反応質量
8:バネ
9:リニア軸受
10:管状軸受けリング
11:脚
12:Oリング
13:加速度計
15:フランジ
16:空洞
17:ドーム型スペーサ
18:底板
19:本体
20:ヒンジ
21:両面接着パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面からの振動を吸収する装置であって、反応質量と、巨大磁歪材料素子を取り囲む少なくとも1つのコイルを含む磁歪アクチュエータと、を含む本体を備え、前記コイルは負荷へ電気的に接続され、前記アクチュエータは振動を前記素子へ結合することにより前記コイルに電流を誘起させる脚を有し、前記装置が前記表面からのエネルギを除去する、装置。
【請求項2】
前記反応質量は前記本体内にスライド可能に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記反応質量は前記本体内のリニア軸受内に取り付けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記反応質量は前記本体内の2つの軸受けリング内に取り付けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
振動センサは前記装置用電子装置を制御するための信号を提供するため、前記本体内に取り付けられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記振動センサは加速度計である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記振動センサはピエゾ電気装置である、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
磁歪アクチュエータは振動減衰機能と音響・振動伝達機能の両方を提供するように構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
音響または振動信号源へ接続された負荷コイルは前記GMM素子を取り囲む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記本体は流体密閉筺体内に前記反応質量と前記アクチュエータとを収容する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−502033(P2011−502033A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527548(P2010−527548)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050904
【国際公開番号】WO2009/044209
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(508059409)フェオニック ピーエルシー (2)
【Fターム(参考)】