説明

排気浄化システム

【課題】高効率でかつ短時間内で急速に排気浄化触媒を加熱する排気浄化システムを提供する。
【解決手段】 内燃機関1と、内燃機関1の排気ガスを浄化する排気浄化触媒2と、炭化水素系燃料を改質して改質ガスを生成する改質器3と、前記改質ガスを触媒燃焼させる燃焼部4と、この触媒燃焼による発生熱を前記排気浄化触媒2の外周面に供給する供給部5と、を有する暖機手段とを備える排気浄化システムでは、改質ガスが通る通路と内燃機関の排気通路を連通しないので背圧の影響を受けることがなく、コンプレッサーやブロア等の効率的な動作が可能になる。同時に、改質ガスを排気浄化触媒の外周面に供給しているので短時間内で急速に排気浄化触媒を作動温度まで効率的に加熱することができる。以上により、高効率でかつ短時間内で、急速に排気浄化触媒を作動温度に加熱する排気浄化システムを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排気浄化システムに関し、特に排気浄化触媒を短時間内で高効率に作動温度に加熱する制御に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガスに含まれる一酸化炭素、炭化窒素、窒素酸化物等の有害物質は、排気浄化触媒により浄化されるが、内燃機関始動直後のような排気ガス温度が低い場合(たとえば350℃以下)には、排気浄化触媒はその効力が発揮されない。そのため、一般的には冷間始動時に排気浄化触媒を電気的に加温し、反応を促進する方法が知られている。
【0003】
また、排気浄化触媒を加熱する方法として、以下のものが提案されている。例えば、特許文献1には、排気浄化触媒により酸化反応を受けるガスを発生させ、このガスを排気浄化触媒に導入して酸化反応させ、この酸化反応による発生熱を利用して排気浄化触媒を加熱する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、内燃機関と燃料電池とを備えた車両において、上記燃料電池からその排出ガスを介して排出された熱が、少なくとも部分的に排気浄化触媒へと案内可能であるように、上記燃料電池と上記排気浄化触媒との間に熱連結部を設け、上記排気浄化触媒を迅速に加熱する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−127447号公報
【特許文献2】特表2004−525300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、上記ガスを上記排気浄化触媒に導入するには、手段としては上記ガスを内燃機関の排気通路内に導入することになる。そのため、上記ガスの導入通路は内燃機関の排気通路と連通され、その結果、上記内燃機関の排気圧による影響を受けることになる。それにより、たとえば内燃機関の排気圧が負荷変動に伴って変化することにより、上記ガスや酸素含有ガスを上記排気浄化触媒に導入するために駆動されるコンプレッサーやブロア等の回転数も変化してしまうので、システム効率が低下してしまう。
【0007】
また特許文献2においては、上記燃料電池と上記排気浄化触媒との間に熱連結部を設ける場合には、車両の制御システム起動後、上記燃料電池の作動までには、少なくとも燃料電池が作動温度に達するまでの時間を要するので、上記燃料電池の発電により排出ガスを介して排出された熱が、上記排気浄化触媒に案内されるまでの時間の間は、上記排気浄化触媒の暖機がなされない。そのため、その間に内燃機関を始動した場合には、排気浄化触媒はその効力が発揮されない。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高効率でかつ短時間内で急速に排気浄化触媒を加熱する排気浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内燃機関と、前記内燃機関の排気ガスを浄化する排気浄化触媒と、炭化水素系燃料を改質して改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスを触媒燃焼させる燃焼部と該触媒燃焼による発生熱を前記排気浄化触媒の外周面に供給する供給部とを有する暖機手段と、を備えることを特徴とする排気浄化システムである。この構成によれば、改質ガスが通る通路と内燃機関の排気通路を連通しないので背圧の影響を受けることがなく、コンプレッサーやブロア等の効率的な動作が可能になる。同時に、改質ガスを排気浄化触媒の外周面に供給しているので短時間内で急速に排気浄化触媒を作動温度まで効率的に加熱することができる。
【0010】
また前記暖機手段は、前記改質ガスを触媒燃焼させる前記燃焼部を前記排気浄化触媒の外周面に備える構成とすることができる。この構成により、内燃機関の排気ガス通路と改質ガス通路とが連通することを抑制できるので、コンプレッサーやブロア等への背圧の影響を除去できる。また、燃焼部を排気浄化触媒の外周面に備えているので、燃焼部で発生した熱を供給部へ伝達する際の熱ロスを抑制可能である。
【0011】
また、燃料電池を備える場合には、燃料電池に導入された前記改質ガスを前記燃料電池出口で分岐して前記燃焼部に導入する構成とすることができる。この構成により、改質反応で発生した熱の一部を、改質ガスを介して燃料電池に供給可能となることから、燃料電池が作動温度に加温されるまでに要する時間の短縮を図ることができるので、システム効率を向上させることができる。
【0012】
さらに前記暖機手段は、前記改質器から燃焼部への改質ガスの通路に設けられたバルブを有し、システム起動時、前記排気浄化触媒が作動温度に加温される前までは前記バッテリにより負荷を駆動させ、その後暖機が完了したときは前記内燃機関を始動させるとともに、前記バルブを制御して前記改質ガスを遮断する構成とすることができる。この構成により、排気浄化触媒が作動温度に加温されるまでは、内燃機関を始動させることなく負荷を駆動できることから、より優れた排気浄化を実現できる。さらに、前記排気浄化触媒が短時間内で急速に作動温度に加温された後には、前記改質ガスを燃料電池の燃料として利用すべく前記バルブを遮断することで、システムの効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高効率でかつ短時間内で急速に排気浄化触媒を加熱する排気浄化システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、内燃機関と、炭化水素系燃料を改質して改質ガスを生成する改質部とを有する実施例1に係る排気浄化システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、排気浄化システムは、内燃機関1、排気浄化触媒2、改質器3、燃焼部4、供給部5、制御部8及びセンサ9を含む。後述するように、図1のブロック中、実線で示す構成要素は、排気浄化触媒2を短時間内に急速に加熱し、排気を浄化するのに必要な最小限の構成を意味し、破線で示す構成要素は必要に応じて任意に設けられるものである。
【0016】
内燃機関1は例えばガソリンエンジンであって、燃料用原料と空気との混合気を燃焼させる。排気浄化触媒2は、内燃機関1が排出する排気ガスを浄化する。このとき、内燃機関1始動直後のような排気ガス温度が低い状態(たとえば350℃以下)では、排気浄化触媒2はその効力が発揮されない。
【0017】
改質器3は改質用原料を改質し、改質ガスを生成する。生成された改質ガスは、改質器3出口から、排気浄化触媒2の外周に備えられた燃焼部4に導入される。燃焼部4は、改質ガス成分の水素等を触媒燃焼させる。燃焼部4は例えば、プラチナ、パラジウムなどの貴金属からなる触媒を含む。供給部5は、触媒燃焼により発生した熱を、その内側に装着されている排気浄化触媒2に供給し、排気浄化触媒2を急速に暖機する。排気浄化触媒2が作動温度に達した後には、排気浄化触媒2はその効力を発揮することができる。
【0018】
このような構成の排気浄化システムの制御起動時においては、排気浄化触媒2の温度は低い状態にある。この状態で、内燃機関1を始動させると、排気浄化触媒2の温度が作動温度に達していない状態であることから、排気浄化触媒2はその効力を発揮できない。そこで、本発明は、排気浄化触媒2を短時間内で急速に暖機する構成を備えるとともに、排気浄化触媒2の温度の状態に応じて、内燃機関1の始動を制御する構成を備え、負荷駆動システムの制御起動時には、排気浄化触媒2を短時間内で急速にその作動温度に加温するとともに、排気浄化触媒2が作動温度に達した後、排気浄化触媒2が効力を発揮できる状態での内燃機関1の始動を可能とする。
【0019】
具体的には、図1に示す排気浄化システムは、改質ガスを触媒燃焼させて発生した熱を、排気浄化触媒に供給する排気浄化触媒の暖機手段と、排気浄化触媒2の温度状態に応じて、内燃機関1を始動する制御手段を有する。
【0020】
暖機手段は、改質器3と、改質器3により発生した改質ガスを触媒燃焼させる、排気浄化触媒2の外周に備えられた燃焼部4と、触媒燃焼により発生した熱を排気浄化触媒2に供給する供給部5を有する。燃焼部4で改質ガスを触媒燃焼させる際には酸素が必要になるが、たとえば図示したように空気中の酸素を供給可能とするようにしてもよい。この構成により、暖機対象である排気浄化触媒2の外周で触媒燃焼による熱を発生させ、その熱を内側に備えられた排気浄化触媒2に供給することで熱ロスの少ない構造とでき、結果として、排気浄化触媒2に高効率な熱の供給を可能とする。また改質ガス通路を排気ガス通路に連通せず、排気浄化触媒2の外周に備えられた燃焼部4に連通したことにより、コンプレッサーやブロア等への背圧の影響を除去できることから、システムの効率向上が実現できる。
【0021】
また、上記制御手段は、排気浄化触媒2の温度状態を検知するセンサ9と、このセンサ9の出力信号に応じて内燃機関1の始動を制御する制御部8を有する。例えば制御部8は、排気浄化触媒2の温度が作動温度以下であれば、引き続きセンサ9の出力信号の監視を行い、排気浄化触媒2の温度が作動温度に達した場合には、内燃機関1を始動させる。この構成により、排気浄化触媒2が作動温度以下の状態で内燃機関1が始動されることを防止でき、その結果、排気浄化触媒2がその効力を発揮可能できる。
【0022】
なお、図1は排気浄化触媒2を短時間内に急速に加熱し、排気を浄化するのに必要な最小限の構成を示したものであって、図1の破線に示したように改質ガスの熱を燃料電池7の作動温度に変換する熱交換器6、アノード、カソード及び電解質を有し、アノードに供給された改質ガス中の水素とカソードに供給された空気(酸素)とから水を生成するとともに電力を発生する燃料電池7、改質器3から燃焼部4に改質ガスを連通する通路を状態に応じて遮断、連通可能に制御できるバルブ10、車両を駆動可能な電力を蓄電するバッテリ11(二次電池)を含む構成であってもよい。
【0023】
次に排気浄化システムを起動させる場合において、排気浄化触媒2を加熱するために制御部8が行う制御について説明する。ここでは、排気浄化システムを備えた車両の場合として例示する。図4は、図1に示す制御部8が行う制御を実現するフローチャートである。なお、制御部8はプログラムを実行するマイクロコンピュータで構成される。
【0024】
図4に示すように、まず車両の制御システムの起動を行う。
【0025】
制御システムの起動後、制御部8は、改質器3を起動させる(ステップS1)。改質器3での改質反応により生成された改質ガスは、排気浄化触媒2の外周に備えられた燃焼部4に導入され、改質ガス成分の水素等が触媒燃焼されることにより、その内側に装着されている排気浄化触媒2に、触媒燃焼により発生した熱が供給され、排気浄化触媒2は急速に暖機される。
【0026】
ステップS1において、排気浄化触媒2に備えられたセンサ9の出力信号から、温度が設定以下である(排気浄化触媒2が作動温度まで暖気されていない)と判定された場合には、制御部8は、引き続きセンサ9の監視を行う(ステップS2)。
【0027】
ステップS2において、排気浄化触媒2に備えられたセンサ9の出力信号から、温度が設定以下でない(排気浄化触媒2が作動温度まで暖機された)と判定された場合には、制御部8は、内燃機関1を始動させる(ステップS3)。
【0028】
以上のように、排気浄化触媒2を急速暖機した後に、内燃機関1を始動するよう制御することから、より優れた排気浄化を達成できる。またシステム構成としては、改質ガス通路を排気ガス通路に連通せず、排気浄化触媒2の外周に備えられた燃焼部4に連通したことにより、コンプレッサーやブロア等への背圧の影響を除去できることから、システムの効率向上が実現できる。さらに、暖機対象である排気浄化触媒2の外周で触媒燃焼による熱を発生させ、その熱を内側に備えられた排気浄化触媒2に供給することで熱ロスの少ない構造とでき、結果として、排気浄化触媒2に高効率な熱の供給を可能とする。
【実施例2】
【0029】
図2は、実施例2に係る排気浄化システムを含むハイブリッドシステムの構成を示す模式図である。図2に示すように、ハイブリッドシステムは、内燃機関1、排気浄化触媒2、改質器3、燃焼部4、供給部5、燃料電池7、制御部8及びセンサ9を含む。実施例2に係る排気浄化システムは、内燃機関1と、燃料電池2と、改質器3とを有する。ハイブリッドシステムは、必要に応じて、改質器3と燃料電池7の間に熱交換器6、バッテリ11を含む構成であってもよく、排気浄化システムは、必要に応じて、改質器3と燃焼部4を連通する改質ガスの通路間にバルブ10等の機器を含む構成であってもよい。
【0030】
図2のように燃料電池7を備えている場合には、燃料電池7へ導入された改質ガスを燃料電池7出口より分岐した後、燃焼部4に導入する。燃焼部4は、改質ガス成分の水素等を触媒燃焼させ、供給部5は、触媒燃焼により発生した熱を、排気浄化触媒2に供給することで、排気浄化触媒2を急速に暖機する。なお、水素等を触媒燃焼させる際の酸素の導入経路としては、図1で示したように空気中の酸素を供給可能とするほか、図2に示すように燃料電池7のカソードへ酸素供給するためのカソードポンプ12を利用してもよい。この構成により、改質ガスを触媒燃焼させ、その熱を排気浄化触媒2に供給し、排気浄化触媒2を作動温度に加熱すると同時に、改質ガスの持つ熱の一部を燃料電池7に供給することができる。
【0031】
燃料電池7は、例えば水素分離膜型電池である。水素分離膜型電池は、水素透過性金属層上にプロトン導電性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する。勿論、これ以外のタイプの燃料電池を用いることができる。
【0032】
このような構成の排気浄化システムを含むハイブリッドシステムを有した車両の制御システム起動時においては、通常、上記燃料電池7を作動できるまでには、少なくとも燃料電池7が作動温度に達するまでの時間を必要とする。しかし内燃機関1の、有害物質を含む排気ガス自体の排出を低減するという観点からは、燃料電池7は、車両の制御システム起動後には可能な限り早く作動し、その電力を車両の駆動に使用することで内燃機関1を停止できることが望まれる。そこで、本発明は、改質器3から燃焼部4への改質ガス導入通路間に燃料電池7を備え、改質ガスの持つ熱の一部を燃料電池7に供給可能にする。
【0033】
具体的には、図2に示す排気浄化システムを含むハイブリッドシステムは、改質ガスの持つ熱の一部を燃料電池7に供給する。図1の構成同様、改質ガスを触媒燃焼させて発生した熱を排気浄化触媒に供給する排気浄化触媒の暖機手段と、図1の構成同様、排気浄化触媒2の温度状態に応じて、内燃機関1を始動する制御手段を有する構成としてもよい。
【0034】
図2の排気浄化システムを含むハイブリッドシステムは、改質器3、燃焼部4及び燃料電池7を有する。また改質ガスの熱の一部を変換し燃料電池7に供給する熱交換器6を含む構成であってもよい。車両の制御システム起動時には、燃料電池7の温度は低い状態にあり、この構成により、改質器3で改質反応により発生した熱の一部を、改質ガスを介して燃料電池7に供給可能となることから、燃料電池7が作動温度に加温されるまでに要する時間の短縮を図ることができる。排気浄化触媒2の暖機手段は図1同様の構成であってよい。また内燃機関1を始動する制御手段は、図1の構成に加え、燃料電池7も制御する。制御部8が、センサ9の出力信号により、排気浄化触媒2の温度が作動温度に達したことを受けて、内燃機関1を始動させた後、制御部8は、作動温度等の所定の運転条件が揃った場合には、燃料電池7を始動させる。このような構成では、排気浄化触媒2が作動温度以下の状態で、内燃機関1が始動されることを防止できる他、燃料電池7の始動後には、所定の運転条件の下で内燃機関1を停止させることで、内燃機関1が排出する排気ガス量の抑制が可能であり、改質ガスの持つ熱の一部を供給することで、燃料電池7がその始動に必要な作動温度になるのに要する時間を短縮することができる。
【0035】
次に排気浄化システムを含むハイブリッドシステムを起動させる場合において、排気浄化触媒2を加熱するために制御部8が行う制御について説明する。ここでは、排気浄化システムを含むハイブリッドシステムを備えた車両の場合として例示する。図5は、図2に示す制御部8が行う制御を実現するためのフローチャートである。
【0036】
図5に示すように、まず車両の制御システムの起動を行う。
【0037】
制御システムの起動後、制御部8は、改質器3を起動させる(ステップS11)。
改質器3での改質反応により生成された改質ガスは、燃料電池7へ導入される。燃料電池7出口より改質ガス通路を分岐し、改質ガスを燃料電池7出口から排気浄化触媒2の外周に備えられた燃焼部4に導入し、改質ガス成分の水素等を触媒燃焼させることにより、その内側に装着されている排気浄化触媒2に、触媒燃焼により発生した熱を供給し、排気浄化触媒2を急速に暖機する。
【0038】
ステップS11において、排気浄化触媒2に備えられたセンサ9の出力信号から、温度が設定以下である(排気浄化触媒2が作動温度まで暖気されていない)と判定された場合には、制御部8は、引き続きセンサ9の監視を行う(ステップS12)。
【0039】
ステップS12において、排気浄化触媒2に備えられたセンサ9の出力信号から、温度が設定以下でない(排気浄化触媒2が作動温度まで暖機された)と判定された場合には、制御部8は、内燃機関1を始動させる(ステップS13)。
【0040】
ステップS13において、燃料電池7を始動できる条件(たとえば作動温度)が揃った場合には、燃料電池7を始動させる(ステップS14)。
【0041】
以上のように、改質反応で発生した熱の一部を、改質ガスを介して燃料電池7に供給可能となることから、燃料電池7が作動温度に加温されるまでに要する時間の短縮を図ることができ、システムの効率を向上させることができる。
【実施例3】
【0042】
図3は、実施例3に係る排気浄化システムを含むハイブリッドシステムの構成を示す模式図である。図3に示すように、ハイブリッドシステムは、内燃機関1、排気浄化触媒2、改質器3、燃焼部4、供給部5、燃料電池7、制御部8、センサ9、バルブ10及びバッテリ11を含む。実施例3に係る排気浄化システムは、内燃機関1と、燃料電池7と、バルブ10と、バッテリ11と、改質器3とを有する。ハイブリッドシステムは、必要に応じて、改質器3と燃料電池7の間に熱交換器6を含む構成であってもよい。ここでは、排気浄化システムを含むハイブリッドシステムを備えた車両の場合として例示する。
【0043】
図3のように燃料電池7と、バルブ10と、バッテリ11とを備えたハイブリッドシステムの場合には、制御システムの起動により、制御部8は、バッテリ11の電力により負荷を駆動させるよう、駆動の制御を行う。この構成により、排気浄化触媒2が作動温度に達する前には、内燃機関1を始動させることなくバッテリ11の電力により車両を駆動し、排気浄化触媒2が作動温度に達し、その効力を発揮することができるようになった後に、内燃機関1を始動させることができる。また制御部8は、排気浄化触媒2が作動温度に達した後には、バルブ10を閉じ、改質ガスを燃料電池の燃料として利用すべくバルブ10を遮断することで、システムの効率を向上させることができる。
【0044】
このような構成の排気浄化システムを有する車両の制御システム起動時において、上記のような車両を駆動可能な電力を蓄電するバッテリを有しない場合には、車両の制御システム起動時に、排気浄化触媒2を作動温度まで加温するまでは、内燃機関1を始動することができず、そのため運転者が運転可能になるまでの待ち時間が発生することになる。しかしながら、排気浄化触媒2が作動温度に達する前に内燃機関1を始動することは、排気浄化の観点から見ると、排気浄化触媒2がその効果を発揮できない状態なので効果的とは言えない。そこで、本発明は、車両を駆動可能な電力を蓄電するバッテリ11を備え、排気浄化触媒2が作動温度に達するまでは、バッテリ11の電力で車両を駆動できるので、制御システム起動直後でも、車両を駆動させることを可能とする。上記の構成の排気浄化システムは、排気浄化触媒2の暖機手段として、図1の構成と同様な排気浄化触媒2を急速に加温する構成と、図2の構成と同様な改質ガスの熱の一部を燃料電池7に供給する構成を備えたものでもよい。また制御手段として、排気浄化触媒2の温度の状態に応じて、内燃機関1の始動を制御する構成を備えたものでもよい。この排気浄化システムを備えたハイブリッドシステムでは、制御手段は、内燃機関1と、燃料電池7と、制御部8と、バルブ10と、バッテリ11とを有し、制御部8は、排気浄化触媒2が作動温度に達した後には、内燃機関1を始動させ、改質ガスを燃料電池7の燃料として利用すべくバルブ10を遮断することで、システムの効率を向上させることができる。その後、バッテリ11の電力による駆動制御を停止し、作動温度等の運転条件が揃った場合には、燃料電池7を始動させる。バッテリ11を有することで、排気浄化触媒2が作動温度に達する前でも、内燃機関1を始動することなくバッテリ11の電力で車両を駆動できるので、車両の制御システム起動後、すぐに車両を駆動することができる。
【0045】
このように、改質ガスを燃焼部4に供給し、供給部5が触媒燃焼により発生した熱を排気浄化触媒2に供給することにより、短時間内で急速に排気浄化触媒2を加熱することができる。また改質ガスの燃焼部4を排気浄化触媒2の外周に備えること、改質ガスの改質器3から燃焼部4への導入経路を、燃料電池7を経由させること、さらに制御システム起動後、排気浄化触媒2の暖機前に車両を駆動させるバッテリ11、および排気浄化触媒2が作動温度に達した後に改質器から燃焼部への改質ガスの導入経路を遮断するバルブ10を備えること、により高効率化された排気浄化システムを含むハイブリッドシステムを実現可能とする。
【0046】
次に車両を起動させる場合において、排気浄化触媒2を加熱するために制御部8が行う制御について説明する。図6は、図3に示す制御部8が行う制御を実現するためのフローチャートである。
【0047】
図6に示すように、まず車両の制御システムの起動を行う。
【0048】
制御システムの起動後、制御部8は、バッテリで車両を駆動させるよう、駆動力の制御を行う(ステップS21)。
【0049】
ステップS21において、バッテリで車両を駆動させている間に、制御部8は、改質器3を起動させる(ステップS22)。
【0050】
改質器3での改質反応により生成された改質ガスは、燃料電池7へ導入される。燃料電池7出口より改質ガスを分岐し、改質ガスを燃料電池7出口から排気浄化触媒2の外周に備えられた燃焼部4に導入し、改質ガス成分の水素等を触媒燃焼させることにより、その内側に装着されている排気浄化触媒2に、触媒燃焼により発生した熱を供給し、排気浄化触媒2を急速に暖機する。
【0051】
ステップS22において、排気浄化触媒2に備えられたセンサ9の出力信号から、温度が設定以下である(排気浄化触媒2が作動温度まで暖気されていない)と判定された場合には、制御部8は、引き続きセンサ9の監視を行う(ステップS23)。
【0052】
ステップS23において、排気浄化触媒2に備えられたセンサ9の出力信号から、温度が設定以下でない(排気浄化触媒2が作動温度まで暖機された)と判定された場合には、制御部8は、内燃機関1を始動させる。
【0053】
同時に、排気浄化触媒2に備えられたセンサ9の出力信号から、温度が設定以下でない(排気浄化触媒2が作動温度まで暖機された)と判定された場合には、制御部8は、改質器から燃焼部の間の改質ガス通路に備えられたバルブを遮断する(ステップS24)。
【0054】
ステップS24において、内燃機関1が始動されたときには、制御部8は、バッテリ11による車両の駆動の制御を停止させる(ステップS25)。
【0055】
ステップS25において、燃料電池7を始動できる条件(たとえば作動温度)が揃った場合には、燃料電池7を始動させる(ステップ26)。
【0056】
図7は、ハイブリッドシステムを自動車に適用した場合の一例を示す模式図である。図3に示すように、ハイブリッド自動車200は、ハイブリッドシステム100、バッテリ11、動力発生装置21、動力伝達装置22、複数の車輪23及び回生装置24を含む。ハイブリッドシステム100は前述の図1〜図3の構成を備える。なお、図7では、便宜上、バッテリ11をハイブリッドシステム100とは別に図示してある。
【0057】
ハイブリッドシステム100の燃料電池において発生した電力は、動力発生装置21に与えられ、またはバッテリ11に蓄えられた後に動力発生装置21に与えられる。動力発生装置21は、コンバータ、インバータ、電動機等を備え、ハイブリッドシステム100またはバッテリ11から与えられた電力を軸出力に変換して動力伝達装置22に伝達する。動力伝達装置22は、与えられた軸出力を車輪23に伝達する。それにより、ハイブリッド自動車200が動作を開始する。続いて、ハイブリッド自動車200は、負荷が増加するにしたがって動力を内燃機関に切り替える。まず、動力伝達装置22は、動力発生装置21からの軸出力の供給を停止する。次に、ハイブリッドシステム100の内燃機関1により発生した動力が軸出力として動力伝達装置22に与えられる。動力伝達装置22は、与えられた軸出力を車輪23に伝達する。さらに負荷が増大すれば、動力伝達装置22は、ハイブリッドシステム100の内燃機関及び動力発生装置21の両方から与えられる軸出力を車輪23に伝達する。回生装置24はジェネレータ等を備える。使用者がハイブリッド自動車200を減速させる場合、回生装置24のジェネレータは、車輪23の動力を電力に変換し、変換した電力をバッテリ11に供給する。
【0058】
このようなハイブリッド自動車200において、ハイブリッドシステム100中の排気浄化システムは前述したように動作する。
【0059】
以上のように、システムが車両を駆動可能なバッテリ11を備えている場合には、排気浄化触媒2が作動温度に加温されるまでの間、内燃機関1を始動させずに車両を駆動できることから、より優れた排気浄化を実現でき、また前記排気浄化触媒2が作動温度に加温された後には、前記改質ガスを燃料電池7の燃料として利用すべく、前記バルブ10を遮断することでシステム効率の向上が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1に係る排気浄化システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例2に係る破棄浄化システムを示す図である。
【図3】本発明の実施例3に係る排気浄化システムの構成を示す図である。
【図4】図1に示す制御部の動作フローチャートである。
【図5】図2に示す制御部の動作フローチャートである。
【図6】図3に示す制御部の動作フローチャートである。
【図7】ハイブリッドシステムを自動車に適用した場合の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0061】
1 内燃機関
2 排気浄化触媒
3 改質器
4 燃焼部
5 供給部
6 熱交換器
7 燃料電池
8 制御部
9 センサ
10 バルブ
11 バッテリ
12 カソードポンプ
21 動力発生装置
22 動力伝達装置
23 車輪
24 回生装置
100 ハイブリッドシステム
200 ハイブリッド自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
前記内燃機関の排気ガスを浄化する排気浄化触媒と、
炭化水素系燃料を改質して改質ガスを生成する改質器と、
前記改質ガスを触媒燃焼させる燃焼部と、該触媒燃焼による発生熱を前記排気浄化触媒の外周面に供給する供給部と、を有する暖機手段と、
を備えることを特徴とする排気浄化システム。
【請求項2】
前記暖機手段は、前記改質ガスを触媒燃焼させる前記燃焼部を前記排気浄化触媒の外周面に備えることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化システム。
【請求項3】
燃料電池に導入された前記改質ガスを前記燃料電池出口で分岐して前記燃焼部に導入することを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化システム。
【請求項4】
前記暖機手段は、前記改質器から燃焼部への改質ガスの通路に設けられたバルブを有し、システム起動時、前記排気浄化触媒が作動温度に加温される前まではバッテリにより負荷を駆動させ、その後暖機が完了したときは前記内燃機関を始動させるとともに、前記バルブを制御して前記改質ガスを遮断することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の排気浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−183573(P2006−183573A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378286(P2004−378286)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】