説明

接着剤パッドを含む医療デバイス

【課題】本発明は、組み合わせることにより、患者の皮膚に配置される医療デバイスを提供できる接着剤パッド及び表面プレートに関する。組み合わせることによって形成された医療デバイスには、デバイスを患者の皮膚に固定的に且つ快適に取り付けることを必要とする皮下部品が設けられている。このようなデバイスは、多くの場合、インシュリン等の医薬品をリザーバから患者に送出するのに使用される。
【解決手段】本発明による一実施例は、使用時に皮下に位置決めされるべきカニューレ(22)又は他の部品と、接触面を持ち、医療デバイスの使用時に皮下に位置決めされるカニューレ(22)又は他の部品を通す開口部(12B)が設けられた表面プレート(1)と、表面プレート(1)を皮膚表面に接着するため、表面プレート(1)の接触面に固定された接着剤パッド(2)とを含み、接着剤パッド(2)は、接触面に面し、接触面に溶接によって外れないように固定された領域を持つ第1面と、使用中に患者の皮膚に面し、患者の皮膚に取り外し自在に固定できる皮膚適合性接着剤が設けられた領域を持つ第2面とを含む、医療デバイスにおいて、接着剤部品(30)が、表面プレート(1)の接触面と接着剤パッド(2)の第1面との間に、これらの二つの表面の互いに溶接されていない領域に配置され、これによって接触面の溶接されていない領域を第1面に固定する、ことを特徴とする医療デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み合わせることにより、患者の皮膚に配置されるべき医療デバイスを提供できる接着剤パッド及び表面プレートに関する。組み合わせた医療デバイスには、皮下部品が設けられる。この皮下部品は、デバイスが患者の皮膚に固定的に且つ快適に取り付けられていることを必要とする。多くの場合、このようなデバイスはインシュリン等の医薬品をリザーバから患者に送出するのに使用される。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤パッドは、注入セット等の医療デバイスに溶接によって固定されている。溶接は非常に効率が高く、接着剤パッドを医療デバイスに溶接した後、少なくとも接着剤パッドを破壊しないで接着剤パッドを医療デバイスから取り外すことができない。
【0003】
WO2006/061354は、経皮デバイスユニット及びプロセスユニットを含む医療デバイスに関する。経皮デバイスユニットは、対象の皮膚表面に取り付けられるようになっており、第1ハウジング、経皮デバイス、及び上面及び対象の皮膚に貼付されるようになった下取り付け面を持つ可撓性パッチを含む。プロセスユニットは、下面を持つ第2ハウジング及びプロセスアッセンブリを含む。第1及び第2のハウジングは、第2ハウジングの下面が、下側の皮膚表面又はパッチの少なくとも一部に対して自由に移動できるように互いに固定されるようになっている。このようにして、通常は遥かに剛性のプロセスユニットによってその移動が制限されることなく、静的に及び動的にの両方で取り付けられる皮膚表面に比較的可撓性のパッチ部分を適合できる。可撓性パッチ部分は、可撓性シート(12)及びハウジングから延びる可撓性支持プレート(11)を含む。支持プレートは、更に、ハウジングから延びる可撓性押縁形態の支持部材(13)を含む。支持プレート(11)並びにハウジングは、全体又は一部が可撓性シートに例えば溶接又は接着剤によって取り付けられていてもよい。
【0004】
しかしながら、溶接は、接着剤パッドの接着剤表面の付着力を破壊する。即ち、医療デバイスの取り付け後に患者の皮膚に面する、溶接が行われた領域の表面の付着力を破壊する。従って、溶接は、接着剤パッドを医療デバイスに適切に固定するのに十分な溶接面積を確保することと、接着剤パッドを患者に適切に接着できるのに十分に大きい接着剤面積を残すこととの間のバランスをとって行われなければならない。接着剤パッドは、医療デバイスが移動せずに所定の場所に止まる場合に、特にカニューレやセンサ等の皮下に挿入された部品が、使用者がデバイスを外す決定をするまで、完全に定置の状態に保持される場合に適切に接着されているものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2006/061354
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この問題点を解決するための一つの方法は、接着剤パッドの面積を全体として大きくすることである。即ち、接着剤パッドに面する医療デバイスの表面よりもかなり大きい接着剤パッドを使用することである。しかしながら、この方法は、比較的小型の医療デバイスについては最も便利である。これは、患者が大きな接着剤パッドを皮膚から取り外すのを好まないためである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、使用時に皮下に位置決めされるべきカニューレ(22)又は他の部品と、接触面を持ち、医療デバイスの使用時に皮下に位置決めされるカニューレ(22)又は他の部品を通す開口部(12B)が設けられた表面プレート(1)と、表面プレート(1)を皮膚表面に接着するため、表面プレート(1)の接触面に固定された接着剤パッド(2)とを含み、接着剤パッド(2)は、接触面に面し、接触面に溶接によって外れないように固定された領域を持つ第1面と、使用中に患者の皮膚に面し、患者の皮膚に取り外し自在に固定できる皮膚適合性接着剤が設けられた領域を持つ第2面とを含む、医療デバイスを抵抗することである。医療デバイスは、更に、表面プレート(1)の接触面と接着剤パッド(2)の第1面との間に、これらの二つの表面の互いに溶接されていない領域に配置された接着剤部品(30)を含み、これによって接触面の溶接されていない領域を第1面に固定する。
【0008】
本発明の医療デバイスの一つの利点は、所定の丸味を持つ例えば腕又は他の皮膚表面に接着剤パッドを完全にフィットできると同時に、比較的大きな剛性の表面プレートを接着剤パッドに固定的に取り付けることができるということである。このことは、デバイスを装着する患者がデバイスをどこに位置決めするのかに関する自由度が高いということを意味する。これは、デバイスを位置決めするとき、患者即ちデバイスの使用者が皮膚表面の形態を考慮する必要がなく、患者は衣服によってうまく隠れる場所に医療デバイスを位置決めでき、又はその他の理由により便利な位置決めに位置決めできるためである。
【0009】
更に、少なくとも一つの接着剤部品(30)により、表面プレートの部品が接着剤パッド(2)から幾分距離があるけれども、表面プレート(1)及び特に皮下部品がその所望の皮下位置に保持されるようにする。
【0010】
一実施例によれば、接着剤部品(30)は、一片の両面接着材料を含み、即ち接着剤部品(30)の各側に接着剤コーティングが設けられ、又は接着剤部品(30)は、表面プレート(1)の接触面に直接的に配置された接着剤のコーティングを含み、又は接着剤部品(30)は、接着剤パッド(2)の第1面に直接的に配置された接着剤のコーティングを含む。
【0011】
別の実施例によれば、接着剤部品(30)は、表面プレート(1)の接触面の開口部(12B)の縁部に沿って位置決めされ、皮下に位置決めされるカニューレ(22)又は他の部品を開口部(12B)に通すことができる。この実施例によれば、皮下に位置決めされる部品を取り囲む表面プレート(1)の部分は、接着剤パッドに対して定置の状態を保持し、接着剤パッドがこの領域で完全な接着剤強度を持つため、接着剤パッドのこの部分は患者の皮膚に対して定置の状態を保持する。これにより、患者の皮膚に外傷がつかないようにし、患者にとっての快適性を向上する。
【0012】
別の実施例によれば、接着剤部品(30)は、γ線又はエチレンオキシドガスのいずれかで殺菌できる一片の両面接着テープを含む。
【0013】
別の実施例によれば、接着剤部品(30)によって覆われる面積は0.5cm2乃至1.5cm2である。通常は、接着剤部品(30)によって覆われる面積は1cm2であるが、正確な面積は、接着剤部品(30)の形態、及び表面プレート(1)及び接着剤パッド(2)の大きさの両方で決まる。
【0014】
別の実施例によれば、引き剥がし即ち表面プレート1と接着剤パッド2との間の分離が起らないようにするため、別々の溶接部の各々が、接着剤部品(30)の両側の少なくとも二つの箇所に配置されたスポット溶接部の形態で設けられている。これらのスポット溶接部は、接着剤部品(30)の比較的近くに、即ち接着剤部品(30)の縁部から10mm以内に配置されている。
【0015】
別の実施例によれば、表面プレート1が枢動して接着剤パッド2から遠ざかることにより、患者に不都合を生じることがないように、溶接部は、更に、接着剤部品(30)と表面プレート(1)の少なくとも一つの縁部との間に配置されている。溶接部は、例えば、接着剤部品(30)と表面プレート(1)の少なくとも一つの縁部との間に配置されていてもよい。溶接部は、図2A乃至図2Dに示す比較的大きな円形の溶接部又は図2E乃至図2Gに示す幾つかのスポット溶接部のいずれかを含む。
【0016】
別の実施例によれば、皮下に位置決めされた部品はセンサである。例えば、センサは、患者の血中のブドウ糖含有量を記録できる。
【0017】
本発明の別の目的は、接触面を持ち、医療デバイスの使用時に皮下に位置決めされるカニューレ(22)又は他の部品を通す開口部(12B)が設けられた表面プレート(1)と、表面プレート(1)を皮膚表面に接着するため、表面プレート(1)の接触面に固定された接着剤パッド(2)とを含み、接着剤パッド(2)は、接触面に面し、接触面に溶接によって外れないように固定された領域を持つ第1面と、使用中に患者の皮膚に面し、患者の皮膚に取り外し自在に固定できる皮膚適合性接着剤が設けられた領域を持つ第2面とを含む、ベース部品を提供することである。ベース部品は、更に、表面プレート(1)の接触面と接着剤パッド(2)の第1面との間に、これらの二つの表面の互いに溶接されていない領域に配置された接着剤部品(30)を含み、これによって、第1面の接触面へのこれらの溶接されていない領域間の接着を最適化する。「最適化」というのは、表面プレートが接着剤パッドに完全に固定されていると同時に、表面プレートを接着剤パッドに関して移動できるということを意味する。
【0018】
本発明の更に別の目的は、医療デバイスに固定され、皮膚表面への医療デバイスの接着を行う接着剤パッドであって、医療デバイスに溶接によって外れないように固定された領域を持つ、医療デバイスに面する第1面と、患者の皮膚に取り外し自在に固定できる皮膚適合性接着剤が設けられた領域を持つ第2面とを含む接着剤パッドを提供することである。第1面は、この第1面を医療デバイスに固定する接着剤が設けられた少なくとも一つの領域を有する。この実施例によれば、医療デバイスにはカニューレ(22)が設けられていてもよく、接着剤が設けられた少なくとも一つの領域が、カニューレが接着剤パッド(2)を通過する点を取り囲む。
次に、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1A、図1B、及び図1Cは、送出部品及びベース部品を含む従来技術の医療デバイスを示す図であり、図1Aは、デバイスを下方から見た図であり、図1Bは、デバイスを上方から見た図であり、図1Cは、図1A及び図1Bとは反対側の端部からデバイスを見た図である。
【図2】図2A乃至図2Gは、ほぼ矩形の接触面を持つ本発明による医療デバイスの部品の幾つかの実施例を示す図である。
【図3】図3A及び図3Bは、カニューレ又は他の皮下に位置決めされる部品が設けられた医療デバイスで使用される、円形の接着剤パッドに面する接触面を持つ接着剤パッドの二つの実施例を示す図である。図3Aは、従来技術を示し、図3Bは本発明による実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1A、図1B、及び図1Cは、比較的大きく且つ重量がある医療デバイスの一例を示す。デバイスは、クレジットカードの大きさを持つ種類であり、矩形であり、内蔵式である、即ち他の部分への連結部がない。これは、デバイスが、使用時に、リザーバ及び圧送−制御手段の両方を含むためである。
【0021】
医療デバイスは、このデバイスの使用時に患者の皮膚に固定されるベース部品を含む。ベース部品は、表面プレート1及び接着剤パッド2を含む。接着剤パッド2は、医療デバイスの製造中、表面プレート1に外れないように取り付けられる。連結部品3が成形プラスチック材料製の表面プレート1に取り付けられている。連結部品3はメンブレン17が設けられた流路を含み、送出部品8はリザーバ6を含み、これらの二つの部品は、互いから分離された状態で異なる角度から示してある。図1Aには、二つの部品を下方から見た図が示してある。この図には、ベース部品を通してカニューレ部品7を通すことができる開口部12Bが示してある。この開口部12Bを通ってカニューレ22が延びる。連結部品3にはカニューレ開口部12Aが設けられており、カニューレ部品7を連結部品3に取り付けるとき、カニューレ開口部12Aにカニューレ部品7が嵌着する。即ち、カニューレ開口部12Aはカニューレ部品7と同じ形状及び輪郭を有し、カニューレ部品7を通した後、このカニューレ部品が嵌着するのに十分に僅かに大きい。
【0022】
表面プレート1は、接着剤パッド2の近位面即ち第1面と接触する表面と定義される接触面を有する。接着剤パッド2の近位面は、医療デバイスに面する接着剤パッド2の表面である。表面プレート1の接触面及び接着剤パッド2の第1面は、溶接によって互いに外れないように固定された領域を有する。更に、接着剤パッド2の第2面即ち患者の皮膚に面する表面には皮膚適合性接着剤が設けられている。通常は、表面プレート1及び接着剤パッド2を互いに接合するときに溶接が行われた領域を除く第2面の全面に接着剤が設けられている。
【0023】
図2Bでは、カニューレ部品7は一杯に挿入した位置で示してある。カニューレ部品7を一杯に挿入したとき、カニューレ部品7の上面即ち遠位面は、通常は、カニューレ開口部12Aの周囲の連結部品3の外面の高さにあり、又はこれよりも低い高さにある。この図から、リザーバ6が送出部品8にどのように位置決めされるのかがわかり、両側に位置決めされた二つの解放ハンドル9が送出部品8の縁部にどのように配置されるのかがわかる。更に、ベース部品に設けられた盛り上がった長さ方向ガイド手段4と対応する長さ方向軌道がわかる。
【0024】
二つの解放ハンドル9は、一端が送出部品8のハウジングにヒンジ状に取り付けられたS字形状バンドとして形成されている。S字形状の第1湾曲が送出部品8のハウジングの外面から僅かに延びている。これに対し、第2湾曲はフリーである。即ち、送出部品8のハウジングに取り付けられておらず、ベース部品の遠位面から突出した部品15に掛けることができるフック状形状を備えている。送出部品8をベース部品に係止するとき、両解放ハンドル9が突出部品15に掛けられ、送出部品8をベース部品から取り外そうとするとき、両側に位置決めされた二つの解放ハンドル9を互いに押すことによって解放ハンドル9のフック状部品をベース部品の突出部品15から外し、送出部品8を後方に即ちカニューレ部品7から遠ざかる方向に移動でき、この方向でベース部品から取り外す。
【0025】
図1Bには、二つの部品を上方から見た図が示してある。この図は、この実施例の送出部品8をガイド手段4に向かって下方に押すことによって、送出部品8をベース部品に接合する方法を示す。ガイド手段4は、この場合には、例えば金属製ライニング5が上面に取り付けられた盛り上がった長さ方向プラットホームである。送出部品8には、対応する手段が設けられている。この手段は、例えば、盛り上がったプラットホーム4と対応する軌道である。送出部品8の対応する手段は、ベース部品の盛り上がったプラットホーム4の金属製ライニング5に沿って長さ方向に摺動できる。送出部品8がその作動位置に達したとき、二つの解放ハンドル9は、表面プレート1の上面から突出した二つの突出部品15と夫々係合する。送出部品8は、その作動位置にあるとき、解放ハンドル9によって水平方向で全ての方向に係止されている。係止機構により、送出デバイスをベース部品に必要なだけ取り付けることができ、取り外すことができる。即ち使い捨てベース部品を多数回使用送出部品と組み合わせることができる。
【0026】
図1Cには、貫通部材の挿入前の、挿入器が取り付けられた端部とは反対側の端部から見た二つの部品が示してある。この側部から、連結部品3の入口開口部13が見える。この入口開口部13を通して、例えば医薬品をリザーバ6から入れることができる。入口開口部13は、微生物による汚染が生じないようにメンブレンで保護されている。連結部品3には、コネクタニードル(バブル状メンブレン17の後側に配置されているため、図示していない)及びバブル状自己閉鎖メンブレン17の両方が設けられている。リザーバ6にバブル状自己閉鎖メンブレンが設けられていてもよい。これによって、医薬品、例えばインシュリン又は栄養物をリザーバから連結部品3に移送するための流路が形成される。両部品に自己閉鎖メンブレンが設けられているため、二つのユニットを互いから分離でき、後に、連結部品3及び従って患者を汚染することなく、これらを再結合できる。
【0027】
図2A乃至図2Gは、ほぼ矩形の接触面が接着剤パッド2に取り付けられた、本発明による医療デバイスの実施例を示す。図2A乃至図2Gの接着剤パッド2及び例示のアタッチメントは、例えば、表面プレート1及び図1A、図1B、及び図1Cに示す種類の送出デバイスとともに使用できる。
【0028】
図2A乃至図2Dに示すベース部品は第2実施例であり、例えば表面プレート1のガイド手段4が、ベース部品の両側に沿って配置された二つの細長いバーでできているという点で、図1A、図1B、及び図1Cに示す実施例と異なる。
【0029】
図1の周知の実施例について説明したように、表面プレート1は、接着剤パッド2の第1面と接触する表面と定義される接触面を有する。接着剤パッド2の第1面は、表面プレート1に面する接着剤パッド2の表面である。表面プレート1の接触面及び接着剤パッド2の第1面は、これらを溶接によって互いに外れないように固定する領域を有する。更に、接着剤パッド2の第2面、即ち患者の皮膚に面する表面には、皮膚適合性接着剤が設けられている。通常は、表面プレート1と接着剤パッド2を互いに接合するときに溶接を受ける領域を除く接着剤パッド2の第2面の全面に接着剤が設けられている。これは、溶接により、溶接がなされる表面の反対側の接着剤表面が破壊されるためである。
【0030】
図2A乃至図2Dは、送出デバイスを接合できるベース部品の一実施例を示す。ベース部品は、表面プレート1及び接着剤パッド2を含む。
【0031】
図2Aは、表面プレート1を接着剤パッド2から分離した状態で示すが、これらの二つの部品は、製造中に溶接によって互いに接合される。溶接位置32が表面プレート1に示してあり、これは、表面プレート1を下方から見た図2B、図2C、及び図2Dに示してある。第1溶接位置は、カニューレ部品7を通す開口部12Bの周囲に配置されている。溶接部は、溶接により、患者の皮膚に接着する接着剤パッド2の性能が開口部12Bの近くで損なわれないようにするため、カニューレ開口部12Bから最小距離に配置されている。開口部12Bの縁部と溶接部32の縁部との間の距離は、少なくとも2mmでなければならず、好ましくは少なくとも3mmである。即ち、接着剤パッド2の第2面上に損なわれていない接着剤表面が少なくとも2mm、好ましくは3mm残されるが、一般的には、皮膚等の所与の材料と皮膚適合性接着剤との間の接着は、共通の接着剤表面が大きい場合に改善される。即ち、大きい方がよい。
【0032】
更に、表面プレート1は、表面プレート1の反対側の端部の近くに溶接位置32を有する。この溶接位置32は、口又は三日月のような形状をしている。この比較的大きな溶接部の機能は、表面プレート1が、反対側の端部即ち「カニューレ」端に位置決めされた溶接部及び/又は他のファスニング手段を中心として枢動しないようにし、接着剤パッド2に対してしっかりと位置決めされるようにすることである。
【0033】
図2Aの参照番号は、同様の部品については図1A、図1B、及び図1Cで使用したのと同じである。「同様の部品」とは同じ機能を持つ部品であり、正確に同じ外観を持つものではない。
【0034】
この実施例の表面プレート1は比較的大きく、剛性である。表面プレート1が大きいということは、表面プレート1の長さが3cmよりも大きい寸法を持つということを意味し、例えば、円形の表面プレート1については直径が少なくとも3cmでなければならず、表面プレート1がクレジットカードの大きさを持つ場合には、長さが少なくとも8cmであり且つ幅が少なくとも4cmであり、接着剤パッド2は表面プレート1の接触面よりも大きく、通常は、接着剤パッド2は接触面から全ての方向で少なくとも3mm延びている、即ち接触面が円形であり、直径が4cmである場合には、円形の接着剤パッド2の直径は少なくとも4.6cmであり、正方形の接着剤パッド2の長さ/幅は少なくとも4.6cmである。
【0035】
図2A及び図2Bの接着剤パッド2には剥離ライナ31が設けられている。剥離ライナ31は、接着剤表面を使用前に保護するが、ベース部品を患者の皮膚に位置決めする前に使用者が容易に剥がすことができる。上方から見た実施例を示す図2Aでは、2ピース剥離ライナ31のつまみ部しか見ることができない。更に、図2Aに示すベース部品の実施例には接着剤部品30が設けられている。接着剤部品30は、接着剤パッド2に固定された状態で示してある。接着剤部品30は両面テープである。接着剤部品30は、接着剤パッド2の縁部の近くに配置される場合には、通常は、厚さが1mmよりも小さく、例えば3M社から入手できる1517型テープ等の医療用に許可されたテープを適用するのに適している。接着剤部品30が接着剤パッド2の縁部から離して配置される場合には、医療用に許可されたテープを使用することは重要でない。これは、患者がテープから適切に離されているためである。しかし、これらの場合の両方において、テープ又はコーティングを殺菌できなければならない。これは、医療デバイス全体を使用前に殺菌しなければならないためである。医療デバイスの殺菌は、通常は、γ線又はエチレンガスを使用して行われる。テープ又はコーティングは、このような殺菌に耐えることができなければならず、後に十分な接着力を維持できなければならない。プラスチック製、不織布製、及びフォーム製の医療等級の感圧接着剤テープの形態の接着剤部品30が、本発明で使用するのに適しており、商業的に購入できる。
【0036】
図2A乃至図2Dの実施例の接着剤部品30は矩形であり、表面プレート1をこの領域にできるだけしっかりと位置決めされた状態に保持するため、開口部12Bの縁部にぴったりと沿ったT字形状開口部を有する。
【0037】
図2A乃至図2Dの実施例の表面プレート1には、カニューレ又は他の皮下部品が設けられていないが、ベース部品には、カニューレ又は他の皮下部品7を受け入れることができる開口部12A/12Bが設けられている。医療デバイスを使用するとき、カニューレ又は他の皮下部品がこの開口部12A/12Bに位置決めされる。
【0038】
図2E、図2F、及び図2Gは、図2A乃至図2Dに示す溶接部等の比較的大きな連続した溶接部の代わりにスポット溶接を使用する実施例を示す。スポット溶接は、小さな円又は短い線の形態をとってもよい。円が小さいということは、皮膚とパッド2との間の接着効果がない場所が円内に限られるということを意味し、線が短いということは、これを並べて円にしたとき、即ちこれらの線の端部を互いにぴったりとくっつけたとき、皮膚とパッド2との間の接着効果がない場所が形成された円内に限られるということを意味する。
【0039】
図2Eでは、接着剤パッド2及び接触面に二つの円形のスポット溶接部32が設けられている。即ち、皮下デバイスが通過する開口部12Bの各側に一つずつスポット溶接部32が設けられている。開口部12Bは、表面プレート1の縁部の近くに配置されており、接着剤部品30が開口部12Bの周囲に配置されている。更に、接着剤パッド2及び接触面には、二つの円形のスポット溶接部32が反対側の端部に設けられている。即ち接触面の各側に一つずつスポット溶接部32が設けられている。これは、表面プレート1が接着剤パッド2から分離したり患者の皮膚から持ち上がって枢動して外れることがないようにするためである。
【0040】
図2Fでは、接着剤パッド2及び接触面に直線状スポット溶接部32が設けられている。即ち、皮下デバイスが通過する開口部12Bの各側に一つずつスポット溶接部32が設けられている。図2Eにおけるのと同様に、接着剤部品30が開口部12Bの周囲に配置されている。更に、接着剤パッド2及び接触面には、二つの直線状のスポット溶接部32が反対側の端部に設けられている。即ち接触面の各側に一つずつスポット溶接部32が設けられている。これは、表面プレート1が接着剤パッド2から分離したり患者の皮膚から持ち上がって枢動して外れることがないようにするためである。
【0041】
図2Gでは、接着剤パッド2及び接触面に、二つの円形のスポット溶接部32が、皮下デバイスが通過する開口部12Bの各側に一つずつ設けられている。開口部12Bは表面プレート1のほぼ中央に配置されており、接着剤部品30は開口部12Bの周囲に配置されている。更に、接着剤パッド2及び接触面には、二つの直線状のスポット溶接部32が表面プレート1の各端に、即ち、接触面の各側に一つずつ設けられている。これは、表面プレート1が接着剤パッド2から分離したり、いずれかの端部で患者の皮膚から持ち上がって枢動して外れることがないようにするためである。
【0042】
図3A及び図3Bは、比較的小型の医療デバイス、即ち患者の皮膚と平行な接触面の全ての寸法が3cmよりも小さい医療デバイスを取り扱う場合に本発明をどのように適用できるのかを示す。接着剤パッド2の図示の実施例は両方とも円形であり、接着剤パッド2を通して皮下部品を挿入できるようにする中央開口部12Bを有する。
図3Aは従来技術の実施例を示し、溶接位置32(八本の真っ直ぐな線で示す)が、表面プレート1の接触面と接着剤パッド2の第1面との間の領域で、中央から周囲に延びる光線のように位置決めされている。この実施例は、接着剤パッド2と表面プレート1との間を非常にしっかりと取り付ける。
【0043】
図3Bは本発明による実施例を示し、表面プレート1を接着剤パッド2に固定したとき、溶接位置32(四本の真っ直ぐな線で示す)が、表面プレート1の接触面の縁部に沿って配置されている。この実施例は、接着剤パッド2と患者の皮膚との間に遥かに大きな接着面積を提供する。これは、溶接によって壊される接着剤表面の面積が比較的小さいためである。中央開口部12Bは接着剤部品30によって取り囲まれており、この接着剤部品30が、溶接領域が比較的小さいにも関わらず、表面プレート1と接着剤パッド2との間に適切な接着をもたらす。
【符号の説明】
【0044】
1 表面プレート
2 接着剤パッド
3 連結部品
6 リザーバ
7 カニューレ部品
8 送出部品
12A カニューレ開口部
12B 開口部
17 メンブレン
22 カニューレ
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】

【図2G】

【図3A】

【図3B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
使用時に皮下に位置決めされるべきカニューレ(22)又は他の部品と、
接触面を持ち、前記医療デバイスの使用時に皮下に位置決めされる前記カニューレ(22)又は他の部品を通す開口部(12B)が設けられた表面プレート(1)と、
前記表面プレート(1)を皮膚表面に接着するため、前記表面プレート(1)の前記接触面に固定された接着剤パッド(2)とを含み、前記接着剤パッド(2)は、
前記接触面に面し、前記接触面に溶接によって外れないように固定された領域を持つ第1面と、
使用中に患者の皮膚に面し、患者の皮膚に取り外し自在に固定できる皮膚適合性接着剤が設けられた領域を持つ第2面とを含む、医療デバイスにおいて、
接着剤部品(30)が、前記表面プレート(1)の前記接触面と前記接着剤パッド(2)の前記第1面との間に、これらの二つの表面の互いに溶接されていない領域に配置され、これによって前記接触面の溶接されていない領域を前記第1面に固定する、ことを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記接着剤部品(30)は、一片の両面接着材料を含み、即ち前記接着剤部品(30)の各側に接着剤コーティングが設けられ、又は前記接着剤部品(30)は、前記表面プレート(1)の前記接触面に直接的に配置された接着剤のコーティングを含み、又は前記接着剤部品(30)は、前記接着剤パッド(2)の前記第1面に直接的に配置された接着剤のコーティングを含む、医療デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の医療デバイスにおいて、
前記接着剤部品(30)は、前記表面プレート(1)の前記接触面の前記開口部(12B)の縁部に沿って位置決めされ、皮下に位置決めされる前記カニューレ(22)又は他の部品を前記開口部(12B)に通すことができる、医療デバイス。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の医療デバイスにおいて、
前記接着剤部品(30)は、γ線又はエチレンオキシドガスのいずれかで殺菌できる一片の両面接着テープを含む、医療デバイス。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の医療デバイスにおいて、
前記接着剤部品(30)によって覆われる面積は0.5cm2乃至1.5cm2である、医療デバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の医療デバイスにおいて、
スポット溶接の形態の溶接部が前記接着剤部品(30)の両側の少なくとも二つの箇所に配置されている、医療デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の医療デバイスにおいて、
前記溶接部は、更に、前記接着剤部品(30)と前記表面プレート(1)の少なくとも一つの縁部との間に配置されている、医療デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の医療デバイスにおいて、
前記接着剤部品(30)と前記表面プレート(1)の少なくとも一つの縁部との間に配置された前記溶接部は、比較的大きな円形の溶接部又は一つ又はそれ以上のスポット溶接部のいずれかを含む、医療デバイス。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の医療デバイスにおいて、
前記皮下に位置決めされた部品はセンサである、医療デバイス。
【請求項10】
ベース部品であって、
接触面を持ち、前記医療デバイスの使用時に皮下に位置決めされる前記カニューレ(22)又は他の部品を通す開口部(12B)が設けられた表面プレート(1)と、
前記表面プレート(1)を皮膚表面に接着するため、前記表面プレート(1)の前記接触面に固定された接着剤パッド(2)とを含み、前記接着剤パッド(2)は、
前記接触面に面し、前記接触面に溶接によって外れないように固定された領域を持つ第1面と、
使用中に患者の皮膚に面し、患者の皮膚に取り外し自在に固定できる皮膚適合性接着剤が設けられた領域を持つ第2面とを含む、ベース部品において、
接着剤部品(30)が、前記表面プレート(1)の前記接触面と前記接着剤パッド(2)の前記第1面との間に、これらの二つの表面の互いに溶接されていない領域に配置され、これによって、前記第1面の前記接触面へのこれらの溶接されていない領域間の接着を最適化する、ことを特徴とするベース部品。
【請求項11】
医療デバイスに固定され、皮膚表面への前記医療デバイスの接着を行う接着剤パッドであって、
前記医療デバイスに溶接によって外れないように固定された領域を持つ、前記医療デバイスに面する第1面と、
患者の皮膚に取り外し自在に固定できる皮膚適合性接着剤が設けられた領域を持つ第2面とを含む接着剤パッドにおいて、
前記第1面は、この第1面を前記医療デバイスに固定する接着剤が設けられた少なくとも一つの領域を有する、ことを特徴とする接着剤パッド。
【請求項12】
請求項11に記載の接着剤パッドにおいて、
前記医療デバイスにはカニューレ(22)が設けられており、前記接着剤が設けられた少なくとも一つの領域が前記カニューレが前記接着剤パッド(2)を通過する点を取り囲む、接着剤パッド。

【公表番号】特表2012−513224(P2012−513224A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541465(P2011−541465)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067490
【国際公開番号】WO2010/072664
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(506324208)ウノメディカル アクティーゼルスカブ (25)
【Fターム(参考)】