説明

接続部材の製造方法、及び接続装置の製造方法

【課題】 特に接続部材を所望の形状に形成しやすく、しかも寸法精度のばらつきも少ない接続部材の製造方法、及び接続装置の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 本発明では、型表面50aに凹型の切り込み部50bを形成した後、前記切り込み部内に金属材料の接続部材21を電鋳するため、凸型の接続部材を多数同時に容易に形成しやすい。また金属母材をエッチング加工すること等によって凸型の接続部材を形成する従来手法に比べて、切り込み部内に金属材料を電鋳して凸型の接続部材21を形成する手法であれば、前記切り込み部の形状を種々変更すれば、所望の凸形状の接続部材を簡単に形成することができるし、またエッチングレートなどの制御が必要ないため寸法精度のばらつきを適切に抑制することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被接触体の接続部に電気的に接続される接続部材の製造方法に係り、特に前記接続部材を所望の形状に形成しやすく、しかも寸法精度のばらつきも少ない接続部材の製造方法、及び接続装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の電気的特性を検査するための検査装置には、基台上に複数のスパイラル接触子が設けられ、前記半導体の底面に設けられたBGA(Ball Grid Array:球状接触子)やLGA(Land Grid Array:平面状接触子)等の複数の接続部を、前記スパイラル接触子上に当接させて、前記半導体の電気的検査が行なわれる。
【0003】
ところで、前記スパイラル接触子に塵埃が絡まる等を抑制するために、前記基台上に、保護部材を設ける構造が考えられている。
【0004】
例えば、前記保護部材は、シート基板と、前記スパイラル接触子と対向する位置に設けられた凸型の接続部材とを有して構成され、前記スパイラル接触子と半導体の接続部とが前記凸型の接続部材を介して電気的に接続されるようになっている。
【0005】
このような凸型の接続部材は、通常、例えばCu母材などの金属板をエッチング加工する等によって形成されていたが、このような手法では、等方エッチングの限界により前記接続部材を所望の形状に形成しにくく、またエッチングレートを高精度に制御できないと接続部材の寸法精度のばらつきが大きくなるといった問題もあった。
【0006】
このため、上記のように金属板をエッチング加工して前記接続部材を形成する手法に代わる新たな手法が望まれた。
【0007】
例えば以下の特許文献1にはバンプの形成方法について開示されている。
この文献には図2に前記バンプの形成方法が詳しく述べられている。
【特許文献1】特開平11−158687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では図2に示すように第1基板17と突起部18とのスペース19に気泡20を充填し(図2(c))、前記突起部18上にのみはんだバンプ21を形成し(図2(d))、半導体ウエハなどの第2基板23の端子形成面23a上に、前記はんだバンプ21を当接させ(図2(e))、前記端子形成面23a上にはんだバンプ21を転写する(図2(f))。
【0009】
しかし、特許文献1のバンプ形成方法は、複雑で実用的でなく、特にはんだ濡れ性の制御や気泡の充填などが非常に困難であると予測され、所望のバンプ形状を容易に形成できないと考えられる。また前記バンプ形状も前記気泡のコントロールが適切になされないと高精度に形成できず、よって特許文献1のバンプ形成方法は実用的な手法ではないものと考えられる。
【0010】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に接続部材を所望の形状に形成しやすく、しかも寸法精度のばらつきも少ない接続部材の製造方法、及び接続装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
基板に取り付けられるとともに、被接触体の接続部に電気的に接続される接続部材の製造方法において、
(a)前記被接触体の接続部に対応する位置の型表面に凹型の切り込み部を形成する工程と、
(b)各切り込み部の周囲を取り囲む絶縁材料で形成された分離層を、前記型表面に形成する工程と、
(c)前記分離層が形成されている以外の型表面、及び切り込み部内に、金属材料の接続部材を電鋳し、凸型の接続部材を形成する工程と、
(d)前記接続部材の凸型表面と反対側の面に、前記基板を接合する工程と、
(e)前記型及び分離層を除去する工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明では、前記(a)工程で、型表面に凹型の切り込み部を形成し、前記(c)工程で前記切り込み部内に金属材料の接続部材を電鋳するため、凸型の接続部材を多数同時に容易に形成しやすい。
【0013】
また金属母材をエッチング加工すること等によって凸型の接続部材を形成する従来手法に比べて、切り込み部内に金属材料を電鋳して凸型の接続部材を形成する手法であれば、前記切り込み部の形状を種々変更すれば、所望の凸形状の接続部材を簡単に形成することができるし、またエッチングレートなどの制御が必要ないため寸法精度のばらつきを適切に抑制することが可能である。
【0014】
本発明では、前記(a)工程における型を電鋳形成することが好ましい。前記型を電鋳形成することで、前記型に形成される切り込み部を高精度に形成でき、前記凸型の接続部材の寸法精度のばらつきを適切に抑制することが可能である。
【0015】
また本発明では、前記(b)工程における分離層をレジスト材料で形成することが好ましい。前記分離層は、前記切り込み部内に形成される、それぞれの接続部材を分離形成するためのものであるが、簡単且つ所定位置に前記分離層を形成するには、フォトリソグラフィ技術を用いることが可能なレジスト材料で前記分離層を形成することが好ましく、また前記(e)工程で、容易に前記分離層を除去するには、アルカリ溶液等に浸すことで溶解されるレジスト材料を前記分離層として形成することが前記接続部材に前記分離層の除去工程での悪影響を及ぼすことなく前記分離層を容易に除去できて好ましい。
【0016】
また本発明では、少なくとも前記(c)工程よりも前の段階で、少なくとも前記接続部材が形成される部分の表面に剥離膜を形成し、前記(e)工程で、前記接続部材を前記剥離膜上から剥離することが好ましい。
【0017】
上記によって、前記型を何回も前記接続部材の形成のために使用でき、材料面でのコスト低下を図ることができるとともに、同じ形状の接続部材を何回も形成できるから寸法精度のばらつきを抑制することが可能である。
【0018】
また本発明は、
基台に複数のスパイラル接触子が設けられ、電子部品に設けられた複数の接続部が前記スパイラル接触子を介して電気的に接続される接続装置の製造方法において、
シート基板が、前記基台上に対向して設けられており、このシート基板には個々のスパイラル接触子と個々の接触点とを間接的に電気的接続するための接続部材が設けられており、
前記接続部材は前記接続部側に凸型となる形状であり、前記接続部材を上記のいずれかに記載された接続部材の製造方法により形成することを特徴とするものである。
【0019】
上記本発明では、シート基板と接続部材とが、前記基台上を覆っているため、前記基台に設けられたスパイラル接触子への塵埃の侵入等を適切に防止することができる。
【0020】
そして、上記した接続部材の製造方法を用いて、前記シート基板に取り付けられる凸型の接続部材を形成すれば、同じ形状の接続部材を寸法精度良く形成できるとともに、前記接続部材を所望の形状で形成しやすく、前記スパイラル接触子や接続部の形状が種々変更されても、前記接続部材を前記形状の変更に合わせて、前記スパイラル接触子と接続部とが電気的に接続しやすい形状で形成することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、(a)工程で、型表面に凹型の切り込み部を形成し、(c)工程で前記切り込み部内に金属材料の接続部材を電鋳するため、凸型の接続部材を多数同時に容易に形成しやすい。
【0022】
また金属母材をエッチング加工すること等によって凸型の接続部材を形成する従来手法に比べて、切り込み部内に金属材料を電鋳して凸型の接続部材を形成する手法であれば、前記切り込み部の形状を種々変更すれば、所望の凸形状の接続部材を簡単に形成することができるし、またエッチングレートなどの制御が必要ないため寸法精度のばらつきを適切に抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は電子部品の動作を確認するための試験に用いられる検査装置(接続装置)を示す斜視図である。
【0024】
図1に示す検査装置10は、BAGやLGAなどからなる複数の外部接続部(接続部)1aが接続面に設けられた半導体などの電子部品(被接触体)1を検査対象とするものである。
【0025】
図1に示すように、検査装置10はソケット11と、このソケット11の一方の縁部に設けられたひんじ部13を介して回動自在に支持されたカバー12とで構成されている。前記ソケット11およびカバー12は絶縁性の樹脂材料などで形成されている。前記ソケット11の他方の縁部には被ロック部14が形成され、カバー12の縁部にはロック部15が形成されている。
【0026】
前記ソケット11の中心には、凹状に形成された装填部11Aが設けられており、この装填部11A内に半導体などの電子部品1が装着されるようになっている。
【0027】
図2は前記検査装置10のソケット11の装填部11A内に取り付けられたスパイラル接触子40の平面図、図3は、前記電子部品1を前記装填部11A上に装着した状態で、図2に示すB−B線から切断した前記検査装置10の部分断面図である。
【0028】
図2、図3に示すように、複数の前記スパイラル接触子40は、基台30に取り付けられている。
【0029】
前記基台30はガラスエポキシやPWBなどで形成されており、その内部には前記基台30を板厚方向に貫通する複数のスルーホール31が、所定間隔で形成されている。前記スルーホール31の縦横方向(X、Y方向)のピッチ寸法は、前記電子部品1の外部接続部1aの縦横方向のピッチ寸法と同じである。
【0030】
図3に示すように、個々のスルーホール31の上下の開口縁部には、リング状の上部接続部32aと下部接続部32bとが形成されており、また前記スルーホール31の内面には円筒形状の連結部32cが形成されている。前記上部接続部32a、下部接続部32bおよび前記連結部32cは例えば銅メッキで形成されており、上部接続部32aと下部接続部32bとは前記連結部32cを介して電気的に導通している。
【0031】
前記個々のスルーホール31の上部接続部32aには、スパイラル接触子40がそれぞれ設けられている。図2,図3に示すように、前記スパイラル接触子40は、外周側にリング状の基部41を有しており、前記基部41からスルーホール31の中心方向に螺旋状に延びる接触部42を有している。そして、前記接触部42は、先端部43が立体的に基部41から凸状に突出して成形されている。
【0032】
図3に示すように、前記基台30上には、前記基台30から所定間隔をおいて前記基台30上を覆う保護部材19が設けられている。前記保護部材19は、前記基台30上に弾性的に支持されており、前記電子部品1の外部接続部1aとスパイラル接触子40間の電気的接続性を確保するとともに、前記スパイラル接触子40に塵埃が絡まる等を抑制することが可能である。また例えばピンセット等を装填部11A内に侵入させた場合であっても、前記保護部材19があるために、前記ピンセット等の先端が前記スパイラル接触子40に当接して変形させてしまうような事故の発生を防止できる。
【0033】
前記保護部材19は、シート基板20と接続部材21とを有して構成され、前記シート基板20は、弾性変形可能な材質で形成され、例えばポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成される。
【0034】
図3に示すように、前記シート基板20には、前記スパイラル接触子40と高さ方向で対向する位置に、貫通孔20aが形成されており、前記貫通孔20aが形成された前記シート基板20の上面20bの周縁部20b1から前記貫通孔20a内を塞ぐようにして導電性材料で形成された接続部材21が設けられている。前記接続部材21はCu,Au,Ni等、導電性材料であれば、その材質を限定しないが、導電性に優れた材質であることが好ましい。
【0035】
前記貫通孔20aは、前記スパイラル接触子40の最外形とほぼ同じ径を有する略円形状の穴であり、前記接続部材21も真上から見ると略円形状で形成されている。
【0036】
図3に示すように前記接続部材21は、前記電子部品1の外部接続部1a側に向けて凸型となる形状である。本発明では、前記接続部材21の凸形状はどのような形状であってもよいが、図3の実施形態では、前記外部接続部1a側に向けて突出する略円錐形状で形成されている。
【0037】
図3に示すように、電子部品1が装填部11A内に装着されると、前記電子部品1の個々の外部接続部1aと、個々のスパイラル接触子40とは前記接続部材21を介して高さ方向にて対向する位置関係になり、図1に示すカバー12を閉じると、前記カバー12の内面に設けられている前記装填部11A方向に向けて凸形状の押圧部12aが前記電子部品1の上面を下方向へ押圧し、前記電子部品1の外部接続部1aが前記接続部材21に当接し、且つ前記保護部材19を下方向へ押し込む。
【0038】
図4に示すように、前記保護部材19が降下すると、前記接続部材21の下面と、前記スパイラル接触子40の先端部43とが接触し、これにより前記外部接続部1aと前記スパイラル接触子40とが前記接続部材21を介して電気的に接続される。
【0039】
図4に示すように、前記基台30は接続基板60の上に搭載されており、前記基台30の下部側にも設けられた個々のスパイラル接触子44が前記接続基板60の個々のランド接続部61に導通状態で接触している。そして、前記基台30は下部側に設けられた複数のスパイラル接触子44の付勢力よって接続基板60の上に弾性的に支持されている。
【0040】
図4に示すように、前記電子部品1の外部接続部1aと前記基台30の上側に設けられたスパイラル接触子40とが接続部材21を介して電気的に接続されることで、前記外部接続部1aと前記ランド接続部61間の電気的な接続状態が確保される。
【0041】
本発明の特徴的部分は、特に前記接続部材21の製造方法にある。以下、前記接続部材21の製造方法について説明する。図5ないし図10はいずれも製造過程の構造物を膜厚方向に切断した部分断面図である。
【0042】
図5は、板状の母型50であり、金属、セラミミック、プラスチック、ガラス等、前記母型50として使用される材質を本発明では限定しない。ただし、前記母型50をガラスで形成した場合、前記ガラス表面は非常に平滑で、しかも微細加工を容易に行なうことができる観点から、前記母型50としてガラスを用いることには利点がある。
【0043】
図6に示すように、前記母型50の型表面50aに、凹型の切り込み部50bを形成する。なお本発明における「型表面50a」とは、図5に示す加工が施されていない母型50の表面を指し、前記切り込み部50bの表面は含まない。
【0044】
前記切り込み部50bは後工程で前記接続部材21が形成される箇所であるから、図3に示す接続部材21と同じ間隔にて、前記切り込み部50bを前記母型50の型表面50aに形成する。
【0045】
前記切り込み部50bを、レーザ加工やエッチング加工等にて形成してもよいが、寸法精度のばらつきを抑制するには、図6に示す形状の母型50を電鋳によって形成することが好ましい。電鋳形成の場合は、前記切り込み部50bと同形状の凸型の突起が形成された基板(図示しない)をガラス等で形成しておき、前記ガラス基板に無電解メッキなどによって前記母型50を電鋳形成する。
【0046】
次に図7に示す工程では、各切り込み部50bの周囲を取り囲む絶縁材料で形成された分離層51を前記型表面50aに形成する。
【0047】
前記分離層51は例えばレジスト材料であり、フォトリソグラフィ技術を用いて前記レジスト材料からなる分離層51を、前記型表面50aに形成する。
【0048】
前記分離層51をレジスト材料で形成することで、前記分離層51を所定の形状で容易に且つ精度良く形成することが出来る。
【0049】
前記分離層51は図8工程で個々の切り込み部50b内に形成される接続部材21をそれぞれ分離するためのものである。
【0050】
また図7の分離層51を形成した後に、前記前記切り込み部50bの表面50b1、型表面50a、分離層51の表面に、剥離膜(図示しない)を成膜することが好ましい。前記剥離膜をメッキ等で形成する。前記剥離膜は酸化物からなり、具体的にはZnO膜等の金属酸化物であることが好ましい。
【0051】
前記剥離膜は図6工程の後、図7工程前に、前記切り込み部50bの表面50b1及び型表面50aに形成してもよいが、かかる場合、前記分離層51の表面に剥離膜が形成されないので(図7工程後、あらためて剥離膜を形成する場合は別であるが)、分離層51の表面にも剥離膜を形成するには図7工程後に前記剥離膜を形成することが好ましい。
【0052】
次に図8に示す工程では、前記分離層51が形成されている以外の型表面50a及び前記切り込み部50b内に、金属材料の接続部材21を電鋳にて形成する。
【0053】
前記接続部材21を例えば無電解メッキ法にて形成する。前記接続部材21は、Cu,Au,Ni等の導電性材料で形成されるが、特に良好な導電性を示すCuやAu等で形成されることが好ましい。
【0054】
図8に示すように、前記切り込み部50b内に埋め込み形成された接続部材21は、図示下方向に向く凸型形状で形成される。
【0055】
次に図9に示す工程では、例えばポリイミド樹脂等の絶縁材料からなる前記シート基板20を前記接続部材21の凸型表面と反対側の面、すなわち図9では前記接続部材21の上面にて接合する。
【0056】
前記シート基板20は弾性変形可能なシート状であり、図9に示すように前記シート基板20には前記接続部材21と対向する位置に貫通孔20aが形成されている。
【0057】
図9に示すように前記貫通孔20aの最大径T1は、前記接続部材21の最大径T2よりも小さく、図9のように前記接続部材21上に前記シート基板20を重ねると前記貫通孔20aの周縁部20a1が、前記接続部材21上で一部重なり、その重なった部分において、例えば導電性接着剤等を用いて前記シート基板20と接続部材21とを接合させる。
【0058】
次に前記母型50を前記接続部材21から外す。本発明では前記母型50の型表面50a、切り込み部50b及び分離層51の表面に剥離膜が形成されているため、前記剥離膜上から前記接続部材21とシート基板20から成る保護部材19を容易に取り外すことが出来る。
【0059】
このように剥離膜を設けておくことで、取り外された前記母型50を図7の状態のまま残すことができ、前記母型50を何回も前記接続部材21の形成のために使用することができる。
【0060】
また上記した剥離膜を設けないときは、前記母型50をエッチング等の既存の方法を除去すると共に、レジスト材料で形成された分離層51をアルカリ水溶液等により溶解して除去することが必要になる。
【0061】
なお前記剥離膜を設けない構成のときは、上記したように前記母型50をその都度、電鋳にて形成すれば前記母型50に寸法制度良く切り込み部50bを形成でき、所定形状の接続部材21を精度良く形成することが可能である。
【0062】
前記母型50及び分離層51が除去された状態が図10である。そして本発明では図10に示す保護部材19を図3のように凸型の接続部材21が電子部品1の外部接続部1a側に向くようにひっくり返し、図1に示す装填部11A内に取り付ける。
【0063】
本発明における接続部材21は図3のように、電子部品1の外部接続部1aとスパイラル接触子40との間に介在して、前記外部接続部1aとスパイラル接触子40とを間接的に電気的接続させる用途以外の用途として用いることも可能である。
【0064】
例えば図11及び図12は前記接続部材21を半導体などの電子部品(基板)1のバンプ(外部接続部)として用いるもので、図8に示す工程後、図11に示すように前記電子部品1の下面1bに形成された複数の端子部1cを前記接続部材21の凸型表面と反対側の面、すなわち図11でいえば前記接続部材21の上面に導電性接着剤等を介して接合させ、前記母型50及び分離層51を除去すると図12のように、下面1bに、下方向に突出する接続部材(バンプ)21が取り付けられた電子部品1が完成する。
【0065】
そして前記接続部材(バンプ)21は、フレキシブルプリント基板(被接触体)の端子部(接続部)上に半田付け等によって接合される。
【0066】
本発明では、図6の工程で、型表面50aに凹型の切り込み部50bを形成し、図8工程で前記切り込み部50b内に金属材料の接続部材21を電鋳するため、凸型の接続部材21を多数同時に容易に形成しやすい。
【0067】
また金属母材をエッチング加工すること等により凸型の接続部材を形成する従来手法に比べて、切り込み部50b内に金属材料を電鋳して凸型の接続部材21を形成する手法であれば、前記切り込み部50bの形状を種々変更すれば、所望の凸形状の接続部材21を形成することができるし、またエッチングレートなどの制御が必要ないため寸法精度のばらつきを適切に抑制することが可能である。
【0068】
よって図3の実施形態でいえば、前記スパイラル接触子40や外部接続部1aの形状が種々変更されても、前記接続部材21を前記形状の変更に合わせて、前記スパイラル接触子40と外部接続部1aとが電気的に接続しやすい形状で形成することが可能になる。
【0069】
また本発明では図6工程時かあるいは図7工程時に、前記切り込み部の表面や型表面50a、さらには前記分離層51表面に剥離膜を設ければ、前記母型50をエッチング等で除去しなくても容易に取り外すことができ、取り外した母型50を何回も前記接続部材21の形成のために使用でき、材料面でのコスト低下を図ることができるとともに、同じ形状の接続部材21を何回も形成できるから寸法精度のばらつきを抑制することが可能である。
【0070】
なお本発明における接続部材21は、図3や図12で示した用途以外の用途でも使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の検査装置(接続装置)の外観を示す斜視図、
【図2】スパイラル接触子の平面図、
【図3】図2に示すB−B線から膜厚方向へ切断し矢印方向から見た検査装置の部分断面図、
【図4】図3の状態から電子部品と接続基板とが電気的に接続された状態を示す部分断面図、
【図5】本発明における接続部材の製造方法を示す一工程図(部分断面図)、
【図6】図5の次に行なわれる一工程図(部分断面図)、
【図7】図6の次に行なわれる一工程図(部分断面図)、
【図8】図7の次に行なわれる一工程図(部分断面図)、
【図9】図8の次に行なわれる一工程図(部分断面図)、
【図10】図9の次に行なわれる一工程図(部分断面図)、
【図11】図8工程後、図9工程とは異なる工程を示す一工程図(部分断面図)、
【図12】図11の次に行なわれる一工程図(部分断面図)、
【符号の説明】
【0072】
1 電子部品
1a 外部接続部
10 検査装置
11A 装填部
19 保護部材
20 シート基板
21 接続部材
30 基台
40,44 スパイラル接触子
50 母型
50b 切り込み部
51 分離層
60 接続基板
61 ランド接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に取り付けられるとともに、被接触体の接点部に電気的に接続される接続部材の製造方法において、
(a)前記被接触体の接点部に対応する位置の型表面に凹型の切り込み部を形成する工程と、
(b)各切り込み部の周囲を取り囲む絶縁材料で形成された分離層を、前記型表面に形成する工程と、
(c)前記分離層が形成されている以外の型表面、及び切り込み部内に、金属材料の接続部材を電鋳し、凸型の接続部材を形成する工程と、
(d)前記接続部材の凸型表面と反対側の面に、前記基板を接合する工程と、
(e)前記型及び分離層を除去する工程と、
を有することを特徴とする接続部材の製造方法。
【請求項2】
前記(a)工程における型を電鋳形成する請求項1記載の接続部材の製造方法。
【請求項3】
前記(b)工程における分離層をレジスト材料で形成する請求項1または2に記載の接続部材の製造方法。
【請求項4】
少なくとも前記(c)工程よりも前の段階で、少なくとも前記接続部材が形成される部分の表面に剥離膜を形成し、前記(e)工程で、前記接続部材を前記剥離膜上から剥離する請求項1ないし3のいずれかに記載の接続部材の製造方法。
【請求項5】
基台に複数のスパイラル接触子が設けられ、電子部品に設けられた複数の接続部が前記スパイラル接触子を介して電気的に接続される接続装置の製造方法において、
シート基板が、前記基台上に対向して設けられており、このシート基板には個々のスパイラル接触子と個々の接触点とを間接的に電気的接続するための接続部材が設けられており、
前記接続部材は前記接続部側に凸型となる形状であり、前記接続部材を請求項1ないし4のいずれかに記載された接続部材の製造方法により形成することを特徴とする接続装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−4788(P2006−4788A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180491(P2004−180491)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】