説明

搬入管理システム及び搬入管理方法

【課題】搬入時の認証を高めつつ、同時にリサイクル性をも解決する搬入管理システムを実現する。
【解決手段】搬入業者200の従業員6が物品1を持って搬入口110に接近すると、コンピュータ111に接続されたアンテナ112によって物品1に添付された搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3に記憶されたIDコードが読み出され、管理データベース101の情報と照合される。さらに管理データベース101に登録された情報に従って物品1の工場100内での移送経路が指定される。一方、コンピュータ111に接続されたカメラ装置113にて、従業員6の顔や物品1の形状等の物品の搬入に関わる画像が撮影される。そして、物品1に添付された搬入管理用シート状部材2がプリンタ装置114に挿入されることにより、搬入管理用シート状部材2の可逆性感熱表示シート4に対して、カメラ装置113にて撮影された画像を含む表示の形成が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場や研究施設等の特定敷地内、若しくは特定経路内における物品の搬入の管理に使用して好適な搬入管理システム及び搬入管理方法に関する。詳しくは、非接触式ICタグと可逆性感熱表示シートとを積層したシート状部材を用いて良好な管理が行われるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来の管理システムにおいては、非接触式ICタグと書き換え可能な表示部を用いて、工程の管理を行うものが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
また、本願出願人は、先に加熱により発色し、さらにその消去と再発色も可能な可逆性感熱表示シートに非接触式ICタグを積層したシート状部材を用いて、工程の管理を行うシステムを発表している(例えば、非特許文献1〜3参照。)。
【0004】
すなわち、可逆性感熱表示シートに非接触式ICタグを積層したシート状部材を用いて、工程の管理を行うことは周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−73138号公報
【特許文献2】特開2002−87533号公報
【特許文献3】特開2002−87532号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】http://www.ricoh.co.jp/thermal/product/tr/
【非特許文献2】http://www.ricoh.co.jp/tech/51/index.html
【非特許文献3】http://www.ricoh.co.jp/about/businessoverview/report/29/pdf/C2906.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昨今の運送・配送に関しては、共同運送の事業化による運送業の統合化が整備・推進されることにより、従来の配送エリア、区分が改変されることになったり、あるいは、これまでに無いインターネットを介した運送代行業者の紹介システムにより、新規の運行代行業者が工場・倉庫に荷物を納入するようなケースが増加するようになってきている。
【0008】
他方、工場内のラインや仕組み、搬入の状況などを製品の製造過程の一部として“シークレット”として扱う企業もあり、そのような企業の工場・倉庫に対する納入は、搬入者のセキュリティや搬入物のチェックが厳しく管理されることとなる。
【0009】
また、世界的なテロ対策の一環として、不審物に対する対応も強化されており、例えば従来の工場の搬入ラインでは、工場・倉庫への搬入時に“発注品の不足をチェック”を主に行っていたが、今後は“未発注品の納品”のチェックも実施する必要性が検討されている。
【0010】
さらに、各工場では、地球規模の環境影響、ゴミゼロ・リサイクル化の運動が推進されており、そのような事情を考慮した運送・搬入システムが求められている。
これらのことにより、様々な配送業者の形態、搬入の状態に応じた搬入方法、さらには、地球環境を考慮した搬入のシステム及び方法が求められているものである。
【0011】
しかしながら、上記の特許文献1〜3に示されるような仕組み、内容をベースとしたシステムでは、工場内に閉じられたある工程、あるいは実ラインの流れを対象としたものであり、他の工程(例えば、受付システム、搬入システムなど)との連携については考慮されていなかった。
【0012】
この出願はこのような問題点に鑑みて成されたものであって、本発明の目的は、上記の非特許文献1〜3に示すような可逆性感熱表示シートを使用したシート状部材に非接触式ICタグを積層したシート状部材を用いて、工場や倉庫内等の特定敷地内、若しくは特定経路内において、搬入者の監視(管理)システムを構築し、搬入時の認証を高めつつ、同時にリサイクル性をも解決する画期的な管理システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の搬入管理システムは、特定敷地内若しくは特定経路内を移動する物品に添付される、非接触式ICタグと可逆性感熱表示シートとが積層されたシート状部材と、特定敷地若しくは特定経路の入口において非接触式ICタグに記憶されたタグ情報を読み取る情報読み取り部と、物品に関する物品情報が予め登録された管理データベースと、物品の搬入に関わる画像を撮影して撮像画像を出力する撮影部と、タグ情報と物品情報とを照合する照合部と、撮像画像と予め用意された搬入画像情報とを比較して算出した一致度が予め設定された閾値を超えているか否かを出力する一致度算出部と、照合部及び一致度算出部の結果に応じてシート状部材に添付された物品の搬入の可否を判断する搬入可否判断部と、撮像画像を非接触式ICタグに記憶する記憶部と、撮像画像を可逆性感熱表示シートに形成する画像形成部とを有する。
【発明の効果】
【0014】
以上述べた発明によれば、可逆性感熱表示シートを使用したシート状部材に非接触式ICタグを積層したシート状部材を用いて、工場や倉庫内等の特定敷地内、若しくは特定経路内において、搬入者の監視(管理)システムを構築し、搬入時の認証を高めつつ、同時にリサイクル性をも解決する画期的な搬入管理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による搬入管理システム、搬入管理方法及び搬入管理用シート状部材を適用した工場等における物品の搬入の一実施形態を示す模式図である。
【図2】その可逆性感熱表示シートに形成される表示の説明のための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を説明するに、図1は、本発明による搬入管理システム、搬入管理方法及び搬入管理用シート状部材を適用した工場等における物品の搬入の一実施形態を示す模式図である。
【0017】
図1において、例えば工場100に搬入される物品1の搬入業者200には、例えば搬入先の工場100から配布される搬入管理用シート状部材2が、シートストック201に保管されている。ここで搬入管理用シート状部材2には、非接触式ICタグ3と可逆性感熱表示シート4とが積層されて設けられ、非接触式ICタグ3には少なくともユニークなIDコードが記憶されると共に、そのユニークなIDコードに対応する識別子5が可逆性感熱表示シート4に表示されている。
【0018】
ここで搬入業者200では、搬入される物品1に対して工場100の管理データベース101に登録された搬入管理用シート状部材2が選択され、搬入される物品1に添付される。すなわち、工場100の管理データベース101からは、例えばインターネットを通じて搬入業者200のコンピュータ(PC)202に、搬入される物品1に対して指定された識別子5が送信され、この識別子5の表示された搬入管理用シート状部材2が選択されて、搬入される物品1に添付される。
【0019】
あるいは、搬入管理用シート状部材2は搬入業者200によって任意に選択され、搬入される物品1に添付された搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3に記憶されたIDコードが、コンピュータ(PC)202に接続されたアンテナ203によって読み出されて、インターネット等を通じて工場100の管理データベース101に登録される。従って、いずれの場合も搬入される物品1に添付された搬入管理用シート状部材2のIDコードが、物品1に関連して管理データベース101に登録される。
【0020】
なお、工場100の管理データベース101には、例えば工場100の発注のデータベース(図示せず)に連携して、工場100に搬入される全ての物品が、例えば工場100内の食堂(図示せず)に搬入される食材にいたるまで登録されており、これらの搬入される全ての物品に搬入管理用シート状部材2が添付されると共に、その搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3に記憶されたIDコードが、搬入される物品に関連して管理データベース101に登録される。
【0021】
そして搬入業者200は、物品1をトラック204等により工場100の搬入口110に運搬する。さらに搬入業者200の従業員6が物品1を持って搬入口110に接近すると、最初に搬入口110に設置されたコンピュータ(PC)111に接続されたアンテナ112によって、物品1に添付された搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3に記憶されたIDコードが読み出され、読み出されたIDコードは、LAN102を通じて接続された管理データベース101の情報と照合される。
【0022】
この照合によって、物品1の工場100内への搬入の可否が判断される。すなわち、物品1に添付された搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3から読み出されたIDコードと、管理データベース101に登録された情報が合致した場合には、物品1の工場100内への搬入が許可される。これに対して、管理データベース101に登録された情報に合致するIDコードが読み出されない場合(IDコードが全く読み出されない場合も含む)には、物品1の工場100内への搬入が拒否される。
【0023】
さらに、物品1の搬入が許可された場合には、管理データベース101に登録された情報に従って物品1の工場100内での移送経路が指定される。すなわち、搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3から読み出されたIDコードが管理データベース101に登録された情報と照合されることによって、搬入される物品1の機密レベルや、その搬入先の領域A〜Cの機密管理レベルが判別され、それらのレベルに応じて工場100内での物品1の移送経路が指定される。
【0024】
一方、物品1の搬入が許可された場合には、コンピュータ(PC)111に接続されたカメラ装置113にて、従業員6の顔や物品1の形状等の物品の搬入に関わる画像が撮影される。そして、物品1に添付された搬入管理用シート状部材2が取り出され、コンピュータ(PC)111に接続された可逆性感熱表示シートのプリンタ装置114に挿入される。これにより、搬入管理用シート状部材2の可逆性感熱表示シート4に対して、カメラ装置113にて撮影された画像を含む表示の形成が行われる。
【0025】
さらに、ここでは物品の搬入を行う従業員6及び搬入される物品の認証も行われる。すなわち、ここでは
a)IDコードを識別
b)IDコードに対応する搬入画像情報(搬入予定者の顔写真、搬入物の画像)を取得
c)顔、物品の画像撮影
d)取得した搬入画像情報と撮像画像との画像の判別(類似画像検索技術、画像比較処理)が行われている。
【0026】
そして、
e)判別結果OK→各々の画像の構成要素、特徴量などを比較し、その一致度が70%以上、
判別結果NG→不明瞭、余分な画像の映り込み、一致度が70%未満
(ただし、一致度は、搬入先の機密レベル、搬入者、搬入物、搬入先などの情報によって異なり、各々設定される)
f)判定結果がOKの場合は所定の領域に可逆表示し、NGの場合は搬入者、物品のチェックをし、画像を撮り直すなどの処理が行われる。
【0027】
このような認証は、本発明に採用される非接触式ICタグ3の弱点である、タグは付いているが不正な物品の搬入を阻止するために設けられるものである。ここで、例えばコピー機におけるトナーボトルと同じ形状をした危険物が多く含まれていた場合であっても、トナーボトルの基本画像が管理データベース101に登録されていれば、搬入予定されている数量等から合計の搬入画像を生成し、その生成画像と撮像画像の比較から、過剰か否かを判別することができる。
【0028】
すなわち、上述のコピー機におけるトナーボトルの搬入において、例えば搬入予定の5本分のタグは応答したが、撮像画像は10本分の画像であった場合には、管理データベース101に格納されている1本分のトナーボトル画像の5倍分の画像と比較しても、撮像画像の縦横比がオーバするので一致しない。このような判断によって、物品の搬入を行う従業員6及び搬入される物品の認証も行うことができ、不正な物品の搬入を阻止することができるものである。
【0029】
また、搬入管理用シート状部材2の可逆性感熱表示シート4には、当初は例えば図2のAまたはBに示すように、それぞれ搬入される物品の内容等に応じた搬入許可証(一般)と、搬入許可証(特定)等の様式が設けられ、それぞれブランクの部分に英数字や記号等からなる識別子5が表示されている。なお、識別子5には英数字や記号だけでなく、IDコードと各工程における搬入に関する情報(工程以外の環境的な情報含む)に基づく表示や、さらに識別子、搬入者、搬入物、搬入経路、搬入許可情報のいずれか1つを少なくとも含む情報が表示されていても良く、これらは適応する領域に可逆表示されるようにすることができる。
【0030】
そして物品1の搬入が許可され、搬入管理用シート状部材2がプリンタ装置114に挿入されると、上記の識別子5は消去され、例えば図2のCまたはDに示すように従業員の顔写真7と、管理データベース101との交信によって得られた物品1の移送経路や内容物等の搬入許可情報8が、搬入管理用シート状部材2の可逆性感熱表示シート4に表示される。なお、図2のDに示す様式では、図2のCの様式より従業員6の顔写真7が大きくされると共に、その所属や氏名等が併記されて、可逆性感熱表示シート4の上部の見やすい位置に表示される。
【0031】
このようにして、従業員6の顔写真7と物品1の搬入先や内容物等の搬入許可情報8の表示された搬入管理用シート状部材2が物品1に添付されて、物品1の搬入が行われる。なお、上述の従業員6の顔写真7等の画像情報や、物品1の移送経路や内容物等の搬入許可情報8は、コンピュータ(PC)111に接続されたアンテナ112によって、物品1に添付された搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3にも記憶させる。また、この非接触式ICタグ3にはその他の管理情報等も記憶させることができる。
【0032】
さらに、この工場100内には、例えば各領域A〜Cの入口や通路の要所に、搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3との交信を行うためのゲートアンテナ121、122…が設けられる。そして、工場100内では、物品1を搬入する従業員6が各ゲートアンテナ121、122…の近傍を通過するごとに、非接触式ICタグ3に記憶された情報が読み出されて、物品1の工場100内への搬入後の管理が行われる。
【0033】
すなわち、この物品1の工場100内への搬入後の管理においては、まず、搬入管理用シート状部材2に搬入する従業員6の顔写真7が表示されることで、搬入する従業員6の人物確認を容易に行うことができ、物品1の搬入の管理を良好に行うことができる。また、物品1の移送経路等も搬入管理用シート状部材2に表示されることで、その移送経路を逸脱しているような場合には、容易にその事実を確認して移送経路の逸脱を解消させることができる。
【0034】
さらに、各ゲートアンテナ121、122…では、搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3に記憶された搬入許可情報8が読み出される。これにより、例えば上述の移送経路の逸脱に対する管理が行われる。なお、搬入許可情報8には、例えば移送経路上の各ゲートアンテナ121、122…の通過時間を予め算出して併記しておくことにより、その通過時間に対しても管理を行うことができ、逸脱が生じたときには、アンテナ等の不具合のないことをチェックした上で、警報を発するなどの処置を行うこともできる。
【0035】
また、図1の工場100において、例えば領域Aと領域Bは機密管理レベルが低く設定され、領域Cには高い機密管理レベルが設定されていた場合には、それらの機密管理レベルの異なる領域で、境界となる通路にもゲートアンテナ124が設けられる。そしてこのゲートアンテナ124では、搬入口110とほぼ同様の手続で物品1の領域Cへの搬入の可否が判断される。すなわち、ここでは物品1のIDコードが領域Cへ搬入されるものとして、管理データベース101に登録されているか否かが判断される。
【0036】
さらに、物品1の搬入が許可された場合には、物品1に添付された搬入管理用シート状部材2が取り出され、可逆性感熱表示シートのプリンタ装置130に挿入される。そしてこの場合には、搬入管理用シート状部材2の可逆性感熱表示シート4に対して、例えば図2のCに示した様式の表示が消去され、新たに図2のDに示すような様式で表示が形成される。すなわちこの様式では、従業員6の顔写真7が大きくされると共に、その所属や氏名等が併記されて、可逆性感熱表示シート4の上部の見やすい位置に表示される。
【0037】
ここで、表示の形成に用いられる従業員6の顔写真7や、物品1の移送経路や内容物等の搬入許可情報8は、搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3に記憶されたデータを用いることができるので、この場所にカメラやコンピュータ等を設ける必要がない。また、形成される表示の様式に関しても、例えばそのためのアプリケーションソフトウェアを非接触式ICタグ3に設けておくことによって、プリンタ装置130だけで様式の異なる表示の形成を行うことができるものである。
【0038】
そして、このように同じ工場100内においても、機密管理レベル等に応じて可逆性感熱表示シート4の表示が書き換えられることによって、特に機密管理レベルが高く設定されている領域Cの近くでは、搬入する従業員6の人物確認や搬入先の確認等を容易に行うことができる。さらにこのように表示の様式が変えられることで、搬入を行う従業員6に自覚を促すことのできる効果もある。すなわち、従業員6には工場100の状況が把握できなくても、搬入の途中で表示の様式が変えられることで自覚が促されるものである。
【0039】
なお、搬入される物品1そのものの機密レベルが高い場合には、搬入口110のプリンタ装置114にて図2のDに示す様式の表示が形成される場合もある。また、様式は図2のC、Dに示すものだけに限らず、各種の状況に応じた様式が用意される。すなわち、顔写真7の大きさには、各種機密管理レベル等に応じて複数の段階を設けたり、搬入先や物品1の内容物の表示も、表示面積を拡大/縮小したり、表示の文字を大きくしたり、文字を太文字にするなどの種々の様式を用意することができる。
【0040】
さらに物品1の搬入が完了されると、搬入管理用シート状部材2の可逆性感熱表示シート4に受領の印が形成される。なおこのような印の形成は、加熱印字部材と通信手段との併設された記入装置を用いて行うことができる。そしてこのような記入装置を用いた場合には、加熱印字部材によって印が形成されると共に、通信手段と非接触式ICタグ3と通信が行われて、非接触式ICタグ3の記憶データが書き換えられる。このような記入装置については、本願出願人が特願2004−48265号に開示した発明が利用される。
【0041】
また、可逆性感熱表示シート4に受領の印が形成された搬入管理用シート状部材2は、搬入口110のゲートアンテナ121でチェックされて回収される。なお、ゲートアンテナ121では搬入管理用シート状部材2の不正な持ち出しも防止される。すなわち、ゲートアンテナ121では、通過される全ての搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3の記憶データがチェックされ、例えば搬入口110で回収される搬入管理用シート状部材2の非接触式ICタグ3の記憶データと照合されて、全ての搬入管理用シート状部材2が回収されるよう管理が行われる。
【0042】
さらに、回収された搬入管理用シート状部材2は回収印刷装置103に投入されて、可逆性感熱表示シート4の表示及び非接触式ICタグ3の記憶データが消去され、当初の識別子5の表示が形成される。このような回収印刷装置についても、本願出願人が特願2004−48265号に開示した発明が利用される。そして当初の状態に戻された搬入管理用シート状部材2は搬入業者200に配布されて、再び搬入業者200による搬入業務に使用される。
【0043】
なお、非接触式ICタグ3に記憶されるユニークなIDコードは、例えば非接触式ICタグ3のROM領域に記憶されて、搬入管理用シート状部材2ごとにユニークなものとする。一方、可逆性感熱表示シート4に表示される識別子5は任意の連続的な記号とすると共に、IDコードと識別子5との対照テーブルを管理データベース101に設ける。これによって、非接触式ICタグ3に記憶されたユニークなIDコードに対応する識別子5が可逆性感熱表示シート4に表示されている状態とすることができる。
【0044】
このようにして、上述の搬入管理システムにおいては、使用済みの搬入管理用シート状部材2のリサイクルを行うことができる。したがって、本発明の搬入管理システムによれば、従来から問題とされていた膨大な量の紙資源を廃棄するための経費の問題や、環境への配慮等の問題も良好に解決されるものである。
【0045】
なお、上述の本発明の実施の形態においては、最初に搬入口110に設置されたコンピュータ(PC)111で、アンテナ112により読み出されたIDコードと、LAN102を通じて接続された管理データベース101の情報とを照合するとしたが、例えばコンピュータ(PC)111に予め管理データベース101から、例えば1日分の情報をダウンロードしておくことによって、IDコードの読み出しごとに管理データベース101にアクセスする回数を削減し、照合を迅速に行えるようにすることができる。
【0046】
また、上述の本発明の実施の形態においては、例えば図2のC、Dに示すような様式で従業員の顔写真7が表示されるとしたが、カメラ113で撮影された搬入される物品1の形状等を従業員の顔写真7と共に表示しても良い。このようにすることは、特に物品1の搬入の管理において有効であり、事前に受付時において不正な人物による搬入あるいは物品の持込や、敷地内部での物品の不正な移動等を良好に防止することができる。また、表示される移動経路には地図も含まれ、移動する経路の状態、ルートなどが可視的に判別可能な情報とされていても良い。
【0047】
さらに、上述の本発明の実施の形態においては、プリンタ装置130での表示様式の変更のアプリケーションソフトウェアを非接触式ICタグ3に設けておくとしたが、この他にも、カメラ113の駆動の制御や、人物確認のために指紋照合機や虹彩照合機が採用されている場合には、それらの駆動のためのアプリケーションソフトウェアを非接触式ICタグ3に設けておくこともできる。
【0048】
また、上述の本発明の実施の形態においては、プリンタ装置130での表示様式の変更のアプリケーションソフトウェアを非接触式ICタグ3に設けておくとしたが、これらの必要な表示様式は予めプリンタ130に登録しておき、非接触式ICタグ3にはそれらの表示様式を選択するコード等を記憶させることで、プリンタ装置130での表示様式の変更が行われるようにすることもできる。
【0049】
さらに、上述の本発明の実施の形態においては、物品1の搬入を1箇所の工場100内での搬入としたが、例えば同じ物品1が複数の工場や倉庫などを移送される場合にも、1枚の搬入管理用シート状部材2を添付することで、それぞれの工場では表示を書き換えつつ、良好な搬入の管理を行うことができる。
【0050】
従って上述の実施形態において、可逆性感熱表示シートを使用したシート状部材に非接触式ICタグを積層したシート状部材を用いて、工場や倉庫内等の特定敷地内、若しくは特定経路内において、搬入者の監視(管理)システムを構築し、搬入時の認証を高めつつ、同時にリサイクル性をも解決する画期的な搬入管理システムを実現することができるものである。
【0051】
なお、本発明の搬入管理システム、搬入管理方法及び搬入管理用シート状部材は、上述の実施形態に示した工場等への物品の搬入に限らず、自動車や自転車等によるラリーや、トライアスロン等の複数のゲートを用いて管理されるスポーツ競技等において、ゲートの通過の管理を行うなどの種々の用途に利用することができるものである。
【0052】
こうして本発明の搬入管理システムによれば、非接触式ICタグと可逆性感熱表示シートとを積層したシート状部材を用いて特定敷地内、若しくは特定経路内を移動する物品の搬入の管理を行う搬入管理システムであって、特定敷地若しくは特定経路の入口において非接触式ICタグに記憶された情報を読み取る手段と、物品の情報が予め登録された管理データベースと、非接触式ICタグから読み取られた情報と管理データベースに登録された情報とを照合する手段と、照合の結果に応じてシート状部材の添付された物品の搬入の可否を判断する手段とを有することにより、搬入時の認証を高めて、良好な物品の搬入の管理を行うことができるものである。
【0053】
また、本発明の搬入管理システムによれば、非接触式ICタグと可逆性感熱表示シートとを積層したシート状部材を用いて特定敷地内、若しくは特定経路内を移動する物品の搬入の管理を行う搬入管理システムであって、特定敷地若しくは特定経路の入口において非接触式ICタグに記憶された情報を読み取る手段と、物品の情報が予め登録された管理データベースと、非接触式ICタグから読み取られた情報と管理データベースに登録された情報とを照合する手段と、照合の結果に応じてシート状部材の添付された物品の搬入の可否を判断する手段と、物品の搬入に関わる画像を撮影する手段と、撮影された画像を非接触式ICタグに記憶する手段及び/または撮影された画像を可逆性感熱表示シートに形成する手段とを有することにより、画像を用いた搬入の管理を良好に行うことができるものである。
【0054】
さらに本発明の搬入管理方法によれば、非接触式ICタグと可逆性感熱表示シートとを積層したシート状部材を用いて特定敷地内、若しくは特定経路内を移動する物品の搬入の管理を行う搬入管理方法であって、特定敷地若しくは特定経路の入口において、非接触式ICタグに記憶された情報を読み取り、予め登録された物品の管理データベースとの照合によって、非接触式ICタグの添付された物品の搬入の可否を決定することにより、搬入時の認証を高めて、良好な物品の搬入の管理を行うことができるものである。
【0055】
また、本発明の搬入管理方法によれば、非接触式ICタグと可逆性感熱表示シートとを積層したシート状部材を用いて特定敷地内、若しくは特定経路内を移動する物品の搬入の管理を行う搬入管理方法であって、特定敷地若しくは特定経路の入口において、非接触式ICタグに記憶された情報を読み取り、予め登録された物品の管理データベースとの照合によって、非接触式ICタグの添付された物品の搬入の可否を決定すると共に、物品の搬入に関わる画像を撮影して撮影された画像を非接触式ICタグに記憶及び/または可逆性感熱表示シートに形成することにより、画像を用いた搬入の管理を良好に行うことができるものである。
【0056】
さらに本発明の搬入管理用シート状部材によれば、非接触式ICタグと可逆性感熱表示シートとが積層され、特定敷地内、若しくは特定経路内において移動される物品の搬入の管理を行う搬入管理用シート状部材であって、物品に添付されるシート状部材の非接触式ICタグには少なくともユニークなIDコードが記憶され、ユニークなIDコードに対応する識別子がシート状部材の可逆性感熱表示シートに表示されることにより、搬入の管理を良好に行うことができると共に、リサイクル性をも解決する画期的な搬入管理システムを実現することができるものである。
【0057】
なお本発明は、上述の説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく種々の変形が可能とされるものである。
【符号の説明】
【0058】
1…物品、2…搬入管理用シート状部材、3…非接触式ICタグ、4…可逆性感熱表示シート、5…識別子、6…従業員、7…従業員の顔写真、8…搬入許可情報、100…工場、101…管理データベース、102…LAN、103…回収印刷装置、110…搬入口、111…コンピュータ(PC)、112…アンテナ、113…カメラ装置、114…プリンタ装置、121〜125…ゲートアンテナ、130…プリンタ装置、200…搬入業者、201…シートストック、202…コンピュータ(PC)、203…アンテナ、204…トラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定敷地内若しくは特定経路内を移動する物品に添付される、非接触式ICタグと可逆性感熱表示シートとが積層されたシート状部材と、
前記特定敷地若しくは特定経路の入口において前記非接触式ICタグに記憶されたタグ情報を読み取る情報読み取り部と、
前記物品に関する物品情報が予め登録された管理データベースと、
前記物品の搬入に関わる画像を撮影して撮像画像を出力する撮影部と、
前記タグ情報と前記物品情報とを照合する照合部と、
前記撮像画像と予め用意された搬入画像情報とを比較して算出した一致度が予め設定された閾値を超えているか否かを出力する一致度算出部と、
前記照合部及び前記一致度算出部の結果に応じて前記シート状部材に添付された前記物品の搬入の可否を判断する搬入可否判断部と、
前記撮像画像を前記非接触式ICタグに記憶する記憶部と、
前記撮像画像を前記可逆性感熱表示シートに形成する画像形成部と
を有する搬入管理システム。
【請求項2】
前記搬入画像情報は、前記物品の基本画像を基に、前記物品の搬入個数に応じて生成される、請求項1記載の搬入管理システム。
【請求項3】
前記非接触式ICタグには、前記管理データベースと交信することで前記物品情報が前記タグ情報として記憶される、
請求項1または2記載の搬入管理システム。
【請求項4】
非接触式ICタグと可逆性感熱表示シートとが積層されたシート状部材が添付された物品が搬入される特定敷地若しくは特定経路の入口において、前記非接触式ICタグに記憶されたタグ情報を読み取る情報読取ステップと、
管理データベースに予め登録された前記物品に関する物品情報と前記タグ情報とを照合する照合ステップと、
前記物品の搬入に関わる画像を撮影して撮像画像を出力する撮影ステップと、
前記撮像画像と予め用意された搬入画像情報とを比較して算出した一致度が予め設定された閾値を超えているか否かを出力する一致度算出ステップと、
前記照合ステップ及び前記一致度算出ステップの結果に応じて前記シート状部材に添付された前記物品の搬入の可否を判断する搬入可否判断ステップと、
前記撮像画像を前記非接触式ICタグに記憶する記憶ステップと、
前記撮像画像を前記可逆性感熱表示シートに形成する画像形成ステップと
を有する搬入管理方法。
【請求項5】
前記搬入画像情報は、前記物品の基本画像を基に、前記物品の搬入個数に応じて生成される、請求項4記載の搬入管理方法。
【請求項6】
前記非接触式ICタグには、前記管理データベースと交信することで前記物品情報が前記タグ情報として記憶される、
請求項4または5記載の搬入管理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−105824(P2010−105824A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7386(P2010−7386)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【分割の表示】特願2004−288739(P2004−288739)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】