説明

搬送システム

【課題】 搬送台車同士の衝突を防止しつつ、搬送効率を向上することができる搬送システムを提供する。
【解決手段】 交差エリアに属する支線軌道22の入口に入口用バーコードリーダ15を設置し、読み取った搬送台車1bのバーコード4をコントローラ11の台車管理記憶部12に記憶する。また、交差点23に出口用バーコードリーダ17を設置して、読み取った搬送台車1bのバーコード4をコントローラ11の台車管理記憶部12から消去する。コントローラ11では、台車管理記憶部12にバーコード4が記憶されていない場合に、交差エリアに属する本線軌道21上に設置されている減速投光器14を作動させて、交差エリアに属する本線軌道21上を交差点23に向かって走行する搬送台車1aに対し、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bがないことを告知して高速走行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本線軌道と、本線軌道に合流・分岐する支線軌道と、を備えた軌道上を走行する複数の搬送台車を自動走行させるために搬送台車の走行を制御する搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造、液晶製造、FAなどの製造プロセスにおいて、製造過程の品物(例えば、半導体製品製造施設の場合、半導体基板や液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の処理対象物)をプロセスに従い装置から装置に搬送する搬送手段としては、天井より懸垂された軌道上を走行してFOUP(Front Opening Unified Pod)を搬送するOHT(Over head Hoist Transport)、OHS(Over Head Shuttle)、床上を自立走行する搬送台車を用いた搬送システムなど、軌道上を走行する搬送台車による搬送システムが主流となっている。
【0003】
これらの搬送システムにおいて、搬送台車の走行する軌道は、製造装置の配置と整合を採って敷設される。また、軌道は、閉ループの本線軌道にて形成され、必要に応じて、本線軌道と分岐・合流する支線軌道が設けられる。そして、軌道を走行する台車の走行方向は、通常、一方通行である。即ち、本線軌道と支線軌道が合流する交差点(合流点)においては、複数のルートから走行して来た搬送台車が1つのルートに合流することになるので、複数のルートから搬送台車が同時に合流点に到達すると、当然衝突がおこる。従って、搬送台車を軌道上で走行させる搬送システムでは、従来から、本線軌道と分岐・合流する支線軌道とが交差する交差点から所定範囲の交差エリアに敷設された誘導線による搬送台車間の通信により、搬送台車同士の衝突を防止する技術が開発されている。
【0004】
従来の搬送システムにおける搬送台車同士の衝突を防止する技術として、例えば、軌道の両側に2本の導電線を敷設し、無人車(搬送台車)の両側に送受信器を搭載し、複数の無人車が合流領域内へ同時に進入した場合にも、衝突を防止するべく適切な制御を行う技術が特許文献1に記載されている。特許文献1の技術では、2本の導電線のそれぞれにおいて、一方の流入路の無人車に搭載された送信手段と他方の流入路の無人車に搭載された受信手段との間で信号を送受信できるよう構成することにより、自車の検知信号の送信と他車の検知信号の受信とを並行して行うようにし、合流領域に到達した無人車は、受信手段により信号を受信しなかった場合に前進して合流領域を走行する間に送信手段により信号を発信するとともに、受信手段により信号を受信した場合に合流領域への走行を停止することにより、複数の無人車の合流領域での衝突を防止している。また、同時に合流領域に複数の無人車が到達した場合は、あらかじめ流入路に優先順位を設けておき、優先軌道上の無人車を優先させて進入させるように構成されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−301626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、誘導線での搬送台車間の通信により支線軌道に搬送台車が存在する場合に、本線軌道上の搬送台車が交差点手前に設置された停止点で停止することができるように、安全のために、誘導線が敷設されたエリアへの搬送台車の進入速度が低速度になるように制限しており(例えば、最高速度を1m/s以下とする。但し、誘導線の長さに応じて最高速度を変更する。)、搬送効率が低下する原因となっている。特に、本線軌道と分岐・合流する支線軌道が短い区間に連続して存在する場合は、搬送台車の走行速度が非常に遅くなり、搬送効率が低下するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、搬送台車同士の衝突を防止しつつ、搬送効率を向上することができる搬送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明に係る搬送システムは、本線軌道と、当該本線軌道に合流・分岐する支線軌道と、を備えた軌道に沿って、複数の搬送台車を自動走行させる搬送システムにおいて、前記本線軌道と前記支線軌道とが交差する交差点から所定範囲内にある交差エリアに属する前記支線軌道上に存在する搬送台車を検知する検知手段と、前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車に対し、前記搬送台車検知手段による前記交差エリアに属する前記支線軌道上の搬送台車の有無を告知する告知手段と、前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車について、前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しない場合は、走行速度を減速させずに走行し、前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在する場合は、走行速度を減速させて走行し、必要に応じて走行を停止するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、検知手段が交差エリアに属する支線軌道上に搬送台車を検知しない旨を、告知手段で交差エリアに属する本線軌道上を交差点に向かって走行する搬送台車に対して告知することにより、交差エリアに属する本線軌道上を交差点に向かって走行する搬送台車の速度を落とさずに走行することができ、搬送効率を向上させることができる。一方、検知手段が交差エリアに属する支線軌道上に搬送台車を検知した旨を、告知手段で交差エリアに属する本線軌道上を交差点に向かって走行する搬送台車に対して告知することにより、交差エリアに属する本線軌道上を交差点に向かって走行する搬送台車の速度を落とし、必要に応じて停止することができ、本線軌道上の搬送台車と支線軌道上の搬送台車の衝突を防止することができる。
【0010】
ここで、本発明に係る搬送システムは、前記告知手段は、光、電磁波、超音波、音波等の信号を発信する発信部を有し、前記搬送台車は、前記発信部からの前記信号を受信する受信部を有し、前記信号が連続する一定周波数のパルスであって良い。
【0011】
これにより、告知手段が連続する一定周波数のパルス信号を送受信することにより告知することで、外乱信号(例えば、外部より進入する連続波形の外乱信号)や告知手段の発信部自体のトラブル(電源ダウンによる発信できない状態)等による誤検出を防止することができる。
【0012】
尚、前記告知手段は、前記検知手段により前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しない場合に前記信号を発信し、前記検知手段により前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在する場合に前記信号を発信しないように構成されてよい。
【0013】
これにより、告知手段が万が一故障して告知することができない場合に、交差エリアに属する支線軌道上の搬送台車の有無にかかわらず、交差エリアに属する本線軌道上を交差点に向かって走行する搬送台車が、高速走行することなく、走行速度を減速させて走行し、必要に応じて走行を停止するように制御するため、本線軌道上の搬送台車と支線軌道上の搬送台車の衝突を防止することができる。
【0014】
ここで、本発明に係る搬送システムは、前記検知手段は、前記交差エリアに属する前記支線軌道の入口付近に設けられ、前記交差エリアに属する前記支線軌道内に進入する搬送台車の識別符号を読み取る進入台車読取手段と、前記交差エリアに属する前記支線軌道の出口付近に設けられ、前記交差エリアに属する前記支線軌道外から退出する搬送台車の識別符号を読み取る退出台車読取手段と、前記進入台車読取手段により識別符号を読み取った場合に当該識別符号を記憶するとともに、前記退出台車読取手段により識別符号を読み取った場合に当該識別符号を消去する台車管理記憶手段と、を有し、前記告知手段は、前記台車管理記憶手段に識別符号が記憶されている場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在するものとし、前記台車管理記憶手段に識別符号が記憶されていない場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しないものとして告知するものであって良い。
【0015】
これにより、台車管理記憶部に記憶された識別符号に基づいて、交差エリアに属する支線軌道上の搬送台車の有無を検知することができる。
【0016】
ここで、前記進入台車読取手段は、入口用バーコードリーダであり、前記退出台車読取手段は、出口用バーコードリーダであり、前記識別符号は、前記入口用バーコードリーダ及び前記出口用バーコードリーダが読取可能な状態で前記搬送台車に設けられた固有のバーコードであって良い。
【0017】
これにより、搬送台車に備え付けられたバーコードを交差エリアに属する支線軌道の入口と出口付近に設けたバーコードリーダで読み取り、台車管理記憶部で管理することにより、交差エリアに属する支線軌道上の搬送台車の有無を検知することができる。
【0018】
また、本発明に係る搬送システムは、前記検知手段は、光、電磁波、超音波、音波等の信号を発信する発信部と当該信号を受信する受信部とを有する一組以上のセンサで構成され、前記告知手段は、前記センサにより前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車を検知した場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在するものとし、前記センサにより前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車を検知しない場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しないものとして告知するものであって良い。
【0019】
これにより、光、電磁波、超音波、音波等の信号を発信する発信部と当該信号を受信する受信部とを有するセンサを一組以上設置することにより、交差エリアに属する支線軌道上の搬送台車の有無を検知することができる。
【0020】
また、前記検知手段は、前記交差エリアに属する前記支線軌道の入口付近に設けられ、前記交差エリアに属する前記支線軌道内に進入する搬送台車の識別符号を読み取る進入台車読取手段と、前記交差エリアに属する前記支線軌道の出口付近に設けられ、前記交差エリアに属する前記支線軌道内から退出する搬送台車の識別符号を読み取る退出台車読取手段と、前記進入台車読取手段により識別符号を読み取った場合に当該識別符号を記憶するとともに、前記退出台車読取手段により識別符号を読み取った場合に当該識別符号を消去する台車管理記憶手段と、で構成される第一の検知手段と、光、電磁波、超音波、音波等の信号を発信する発信部と当該信号を受信する受信部とを有する一組以上のセンサで構成される第二の検知手段と、を有し、前記告知手段は、前記第一の検知手段において前記台車管理記憶手段に識別符号が記憶されている場合、又は、前記第二の検知手段において前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車を検知した場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在するものとし、前記第一の検知手段において前記台車管理記憶手段に識別符号が記憶されていない場合、又は、前記第二の検知手段において前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車を検知しない場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しないものとして告知するものであって良い。
【0021】
これにより、識別符号に基づいて交差エリアに属する支線軌道上の搬送台車の有無を検知することができる第一の検知手段と、光、電磁波、超音波、音波等の信号を発信する発信部と当該信号を受信する受信部とを有するセンサで交差エリアに属する支線軌道上の搬送台車の有無を検知することができる第二の検知手段を有していることから、二種類の検知手段により交差エリアに属する支線軌道上の搬送台車の有無を検知することができ、安全性を高めることができる。
【0022】
ここで、前記センサは、前記信号が連続する一定周波数のパルスであって良い。
【0023】
これにより、センサが連続する一定周波数のパルス信号を送受信することにより検知することで、外乱信号(例えば、外部より進入する連続波形の外乱信号)等やセンサの発信部自体のトラブル(電源ダウンによる発信できない状態)等による誤検出を防止することができる。
【0024】
更に、前記所定範囲が、前記交差エリアに属する前記本線軌道の上流端から前記交差点までの距離が、前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が停止する前記交差点の手前に設けられた停止点までの距離と前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から停止するまでに走行する制動距離を合計した距離以上となり、且つ、前記交差エリアに属する前記支線軌道の上流端または下流端から前記交差点までの距離が、前記交差エリアに属する前記支線軌道上の交差点付近を走行する搬送台車と前記交差エリアに属する前記本線軌道上の交差点付近を走行する搬送台車と接触しない距離以上となり、好ましくは、前記交差エリアに属する前記支線軌道の上流端から前記交差点までの距離が、前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から停止するまでに要する制動時間に相当する時間に前記交差エリアに属する前記支線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から交差点通過速度に減速するまでに走行する距離と、前記交差エリアに属する前記支線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が前記交差点通過速度から前記交差点の手前に設けられた停止点で停止するまでに走行する距離と、前記停止点から前記交差点までの距離と、を合計した距離以上となり、前記交差エリアに属する前記支線軌道の下流端から前記交差点までの距離が、前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から停止するまでに要する制動時間に相当する時間に前記交差エリアに属する前記支線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が走行する距離以上となる範囲であって良い。
【0025】
これにより、本線軌道を交差点に向かって走行する搬送台車の減速領域を確保することができ、本線軌道上の搬送台車と支線軌道上の搬送台車の衝突を防止することができる。尚、制動距離とは、交差エリアに属する本線軌道上を交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から停止するまでに走行する距離のことを意味する。制動時間とは、交差エリアに属する本線軌道上を交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から停止するまでに要する時間のことを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明である搬送システムを実施するための最良の形態について、具体的な一例に即して説明する。
【0027】
[第一の実施の形態]
まず、第一の実施形態に係る搬送システムを図1〜図5に基づいて以下に説明する。図1は、第一の実施形態に係る搬送システムを示すブロック図である。図2は、第一の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが合流する交差点を示す概略図である。図3は、第一の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが分岐する交差点を示す概略図である。図4は、第一の実施形態に係るコントローラのブロック図である。図5は、搬送台車の制御部における走行制御・停止部の制御手順について説明したフローチャートである。
【0028】
図1〜図3に示すように、搬送システム30は、複数の搬送台車1と、本線軌道21及び支線軌道22とを有する軌道20とから構成されている。尚、各搬送台車1の構成は同じであり、図1には1つの搬送台車1のみ記載して複数の記載を省略する。また、図2及び図3においては、本線軌道21上の搬送台車1を搬送台車1a、支線軌道22上の搬送台車1を搬送台車1bと示す。
【0029】
搬送台車1は、受光センサ(告知手段の受信部)2と、制御部3と、バーコード4と、マーク読取器5と、誘導信号送受信器6と、を有している。尚、複数の搬送台車1は、図示しない通信手段により、図示しない走行制御装置からの指示に基づいて、制御部3の制御により、軌道20の本線軌道21及び支線軌道22上を走行するようになっている。ここで、制御部3は、走行制御部・停止部3aを備えており、後述する受光センサ2、マーク読取器5、誘導信号送受信器6からの信号に基づいて、搬送台車1が備える走行機構(図示せず)に対して走行制御及び停止を行う。尚、搬送台車1は、その他に、台車位置調整機構、懸架機構、キャリア把持機構、各種センサ等を備えており、走行制御部・停止部3aを含めた制御部3を介して制御が行われる。
【0030】
軌道20には、台車管理記憶部12を備えるコントローラ11と、複数の減速投光器(告知手段の発信部)14と、入口用バーコードリーダ(進入台車読取手段)15及び入口用バーコードリーダ読取タイミング用センサ16と、出口用バーコードリーダ(退出台車読取手段)17及び出口用バーコードリーダ読取タイミング用センサ18と、誘導線24と、停止点マーク25と、減速センサ切替マーク26と、が設置されている。ここで、コントローラ11の台車管理記憶部12と、入口用バーコードリーダ(進入台車読取手段)15と出口用バーコードリーダ(退出台車読取手段)17で検知手段を構成している。尚、各減速投光器14の構成は同じであり、図1には1つの減速投光器14のみ記載して複数の記載を省略する。
【0031】
また、軌道20は、本線軌道21と分岐・合流する1以上の支線軌道22が設けられている。そして、分岐・合流において本線軌道21と支線軌道22とが交差する点が交差点23である。図2は、本線軌道21と支線軌道22が交差点23において合流する場合を示しており、図3は、本線軌道21と支線軌道22が交差点23において分岐する場合を示している。そして、交差エリアとは、交差点23から所定範囲内を意味する。所定範囲とは、本線軌道21では、図2及び図3におけるL1+L2の矢印で示す範囲であり、支線軌道22では、図2におけるL3+L4+L5及び図3におけるL6の矢印で示す範囲である。ここで、L1は、本線軌道21上を走行する搬送台車1aが最高速度から停止するまでに走行する距離である制動距離である。L1は、例えば、搬送台車の最高速度をOHTの場合で3.0m/s、OHSの場合で4.0m/sとすると、OHTの場合で約4.1m、OHSの場合で約4.75mとなる。L2は、停止点マーク25から交差点23までの距離である。L2は、停止点マーク25で停止した本線軌道21上の搬送台車1aが、支線軌道22上を走行する搬送台車1bと接触しない距離として搬送台車の大きさに応じて設定され、OHTの場合で約1.16m、OHSの場合で約1.0mとなる。L3は、本線軌道21上を走行する搬送台車1aが最高速度から停止するまでに要する時間である制御時間に相当する時間に、支線軌道22上を走行する搬送台車1bが本線軌道21上を走行する搬送台車1aが最高速度から減速センサ切替マーク26で交差点通過速度(0.7m/s)に減速するまで走行する距離である。L3は、例えば、搬送台車の最高速度をOHTの場合で3.0m/s、OHSの場合で4.0m/sとすると、制動時間はOHTの場合で約1.78s、OHSの場合で約1.61sとなり、支線軌道上を走行する搬送台車の速度をOHTの場合で3.0m/s、OHSの場合で4.0m/sとすると、OHTの場合で6.04m、OHSの場合で7.14mとなる。L4は、減速センサ切替マーク26から停止点マーク25までの距離であり、支線軌道22上を走行する搬送台車1bが交差点通過速度(0.7m/s)から停止するまでに要する距離である。L5は、停止点マーク25から交差点23までの距離である。L5は、停止点マーク25で停止した支線軌道22上の搬送台車1bが、本線軌道21上を走行する搬送台車1aと接触しない距離として、搬送台車の大きさ及び支線軌道のカーブの曲率に応じて設定され、OHTの場合で約1.30m、OHSの場合で約1.19mとなる。L6は、L5の距離、又は、本線軌道21上を交差点23に向かって走行する搬送台車1aが最高速度から停止するまでに要する制動時間に相当する時間に支線軌道22上を交差点23に向かって走行する搬送台車1bが走行する距離、のいずれか長い距離以上あることが好ましい。
【0032】
入口用バーコードリーダ読取タイミング用センサ16は、入口用バーコードリーダ15の上流に近接して設けられ、交差エリアに属する支線軌道22に進入する搬送台車1bを検出して、入口用バーコードリーダ15が搬送台車1bに設けられているバーコード(識別符号)4を読み取るタイミングを算出する。そして、入口用バーコードリーダ15は、交差エリアに属する支線軌道22の入口(図2の場合、交差点23から距離L3+L4+L5離れた上流端を意味する。図3の場合、交差点23から距離L6離れた下流端を意味する。)に設けられ、入口用バーコードリーダ読取タイミング用センサ16で算出されたタイミングに基づいて、搬送台車1bに設けられているバーコード4を読み取り、読み取った結果をコントローラ11に出力する。
【0033】
同様に、出口用バーコードリーダ読取タイミング用センサ18は、出口用バーコードリーダ17の上流に近接して設けられ、交差エリアに属する支線軌道22から退出する搬送台車1bを検出して、出口用バーコードリーダ17が搬送台車1bに設けられているバーコード4を読み取るタイミングを算出する。そして、出口用バーコードリーダ17は、交差エリアに属する支線軌道22の出口(交差点23を意味する。)に設けられ、出口用バーコードリーダ読取タイミング用センサ18で算出されたタイミングに基づいて、搬送台車1bに設けられているバーコード4を読み取り、読み取った結果をコントローラ11に出力する。
【0034】
ここで、搬送台車1に設置されるバーコード4は、搬送台車1に固有のものであり、入口用バーコードリーダ15及び出口用バーコードリーダ17で読取可能な位置に設置される。尚、識別符号、進入台車読取手段、及び退出台車読取手段は、バーコード4、入口用バーコードリーダ15、及び出口用バーコードリーダ17に限らず、それぞれ、マーク(搬送台車1全てに共通のマークであっても良いし、搬送台車1毎の固有のマークであっても良い。)、入口用マーク読取器、及び出口用マーク読取器であって良い。
【0035】
減速投光器14は、交差エリアに属する本線軌道21に進入する搬送台車1aに対して、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在する場合は、投光を停止し、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在しない場合は、投光を作動することにより、コントローラ11からの入力に基づいて、交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bの有無を告知する。そして、搬送台車1aは、前面に設けられた受光センサ2において、減速投光器14の投光を受光すると、制御部3における走行制御部・停止部3aを介して、高速走行を行う。また、搬送台車1aは、前面に設けられた受光センサ2において、減速投光器14の投光を受光しない場合、制御部3における走行制御部・停止部3aを介して、走行の減速を行う。この場合の搬送台車1aにおける減速投光器14の投光を受光しないとの判断の一例について、以下で詳細に説明する。例えば、交差エリアに属する本線軌道21の入口(停止点25から距離L1離れた上流端)に設置した交差エリア入口を示すマークをマーク読取器5で読み取ることにより、制御部3において交差エリアに進入したことを認識させる。また、交差エリアに属する本線軌道21の出口(交差点23)に設置されたマークをマーク読取器5で読み取ることにより、制御部3において交差エリアから退出したことを認識させる。そして、交差エリアに進入してから退出するまでの間で受光センサ2が受光しない場合に、制御部3において減速投光器14の投光を受光しないと判断するようにする。
【0036】
尚、交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車の有無の告知は、本実施の形態に限定されず、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在する場合は、投光を作動し、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在しない場合は、投光を停止するようにしても良い。この場合は、搬送台車1aは、前面に設けられた受光センサ2において、減速投光器14の投光を受光しない限り、制御部3における走行制御部・停止部3aを介して、高速走行を行う。また、搬送台車1aは、前面に設けられた受光センサ2において、減速投光器14の投光を受光した場合、制御部3における走行制御部・停止部3aを介して、走行の減速を行う。
【0037】
減速投光器14は、交差エリアに属する本線軌道21の入口(停止点25から距離L1離れた上流端)から誘導線24入口の減速センサ切換マーク26までを投光することができるように複数台(図2及び図3では減速投光器14a、14b、14cの3台)設置される。但し、設置される減速投光器14は、3台に限定されず、減速投光器14の投光範囲(光到達距離)を考慮し、交差エリアに属する本線軌道21の入口(停止点25から距離L1離れた上流端)から誘導線24入口の減速センサ切換マーク26までの区間を走行する搬送台車1aに対して投光範囲の漏れがなく十分に投光することが可能な程度であれば良い。例えば、減速投光器14の光到達距離が約2mであれば、余裕を見て1.5m間隔で設置する。ここで、減速投光器14による投光は、所定間隔(例えば、45msecオンにして15msecオフにする。)でフラッシングさせ、搬送台車1aが他のパターンの信号や外乱光を検出したとしても減速投光器14の信号として誤検出しないようにする。尚、交差エリアに属する本線軌道21に進入する搬送台車1aに対して交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bの有無を告知する告知手段は、光により告知する減速投光器14に限定されず、電磁波、超音波、音波等により告知するものであってもよい。
【0038】
そして、図1及び図4に示すように、コントローラ11には、入口用バーコードリーダ15及び出口用バーコードリーダ17からバーコード4に関する信号が入力されるようになっている。また、コントローラ11からは、減速投光器14a〜14cに作動指令または停止指令に関する信号を出力するようになっている。入口用バーコードリーダ15からバーコード4に関する信号が入力されると、コントローラ11では、入力されたバーコード4を台車管理記憶部12に記憶する。また、出口用バーコードリーダ17からバーコード4に関する信号が入力されると、コントローラ11では、入力されたバーコード4を台車管理記憶部12にから消去する。また、コントローラ11では、所定間隔毎に台車管理記憶部12にバーコードが記憶されているかどうか確認する。そして、バーコードが記憶されている場合は、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在するため、減速投光器14a〜14cに対して作動の停止指令に関する信号を出力する。一方、バーコードが記憶されていない場合は、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在しないため、減速投光器14a〜14cに対して作動指令に関する信号を出力する。
【0039】
また、図1〜図3に示すように、誘導線24は、交差点23を含めた本線軌道21及び支線軌道22上に敷設され、本線軌道21上を走行する搬送台車1aと支線軌道22上を走行する搬送台車1bとの間で通信を可能にし、搬送台車1a、1bの交差点23における衝突を防止する。尚、図2及び図3では、誘導線24は、本線軌道21及び支線軌道22のそれぞれに独立して1本ずつ敷設されているが、それに限らない。即ち、搬送台車1a、1b間で通信可能に敷設されていれば良く、本線軌道21及び支線軌道22をまたがって、ループ状の1本又は独立した2本として敷設されてよい。誘導線24では、それぞれの搬送台車1a、1bが有する制御部3の指令に基づいて誘導信号送受信器6を介して、搬送台車1a、1b間の通信が行われる。尚、誘導線24による搬送台車1a、1b間の通信についての詳細は、従来技術と同様であり、その説明を省略する。
【0040】
停止点マーク25は、本線軌道21上を交差点23に向かって走行する搬送台車1aが停止する場所を示すマークである。停止点マーク25は、交差点23から距離L2だけ上流の位置に設けられる。停止点マーク25は、搬送台車1aが有するマーク読取器5によって読み取られる。そして、搬送台車1aは、停止が必要な場合はマーク読取器5で停止点マーク25を読み取ると、制御部3の走行制御部・停止部3aにおいて、走行を停止する制御を行う。
【0041】
減速センサ切替マーク26は、軌道20に敷設された誘導線24の上流端に設置され、軌道20上を交差点23に向かって走行する搬送台車1が誘導線24による通信を開始する場所を示すマークである。より具体的には、減速センサ切替マーク26は、図2に示す本線軌道21と支線軌道22が合流する交差点23においては、本線軌道21と支線軌道22に敷設された誘導線24のそれぞれの上流端(二箇所)に設置され、本線軌道21及び支線軌道22上を交差点23に向かって走行する搬送台車1a、1bがそれぞれ誘導線24による通信を開始する場所を示すマークである。また、減速センサ切替マーク26は、図3に示す本線軌道21と支線軌道22が分岐する交差点23においては、本線軌道21と支線軌道22に敷設された誘導線24の共通の上流端(一箇所)に設置され、本線軌道21上を交差点23に向かって走行する搬送台車1aが誘導線24による通信を開始する場所を示すマークである。減速センサ切替マーク26は、搬送台車1が有するマーク読取器5によって読み取られる。そして、搬送台車1は、マーク読取器5で減速センサ切替マーク26を読み取ると、制御部3の指令に基づいて、誘導信号送受信器6による通信を行う。尚、図2及び図3に示すように、本線軌道21上に設置される減速投光器14は、その投光範囲の下流端が減速センサ切替マーク26までとなっている。即ち、減速センサ切替マーク26よりも上流においては、搬送台車1aは減速投光器14による制御(必要に応じた走行の減速)を行い、減速センサ切替マーク26よりも下流においては、搬送台車1aは誘導線24による制御(必要に応じた走行の減速・停止)を行う。尚、図2に示す本線軌道21と支線軌道22が合流する交差点23においては、支線軌道21上を走行する搬送台車1bは、減速センサ切替マーク26で速度が交差点通過速度(0.7m/s)となるように予め減速制御する。
【0042】
尚、搬送台車1に設けられたマーク読取器5が読み取るマークは、停止点マーク25及び減速センサ切替マーク26に限らず、その他軌道20上に設けられた各種マークを読み取るように構成されて良い。
【0043】
ここで、交差エリアに属する本線軌道21上を交差点23に向かって進行する搬送台車1aの制御部3における走行制御・停止部3aの制御手順について、図5のフローチャートに従って説明する。
【0044】
図5に示すように、搬送台車1a自身が交差エリアに進入したかどうかを判断する(ステップS101)。交差エリアに進入したかどうかの判断は、例えば、交差エリアに属する本線軌道21の入口(停止点25から距離L1離れた上流端)に設置した交差エリア入口を示すマークを搬送台車1aのマーク読取器5で読み取ることにより制御部3で判断する。交差エリアに進入していない場合は(ステップS101:NO)、はじめに戻る。一方、交差エリアに進入した場合は(ステップS101:YES)、受光センサ2で減速投光器14の光を受光したかどうかを判断する(ステップS102)。
【0045】
受光センサ2で減速投光器14の光を受光した場合は(ステップS102:YES)、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在しないため、高速走行を行う(ステップS103)。一方、受光センサ2で減速投光器14の光を受光しない場合は(ステップS102:NO)、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在するため、減速し(ステップS104)、減速センサ切替マーク26以降は誘導線24による制御により、必要に応じて走行の減速・停止を行う。
【0046】
そして、搬送台車1a自身が交差エリアから退出したかどうかを判断する(ステップS105)。交差エリアに退出したかどうかの判断は、例えば、交差エリアに属する本線軌道21の出口(交差点23)に設置されたマークを搬送台車1aのマーク読取器5で読み取ることにより制御部3で判断する。交差エリアから退出していない場合は(ステップS105:NO)、S102に戻る。一方、交差エリアから退出した場合は(ステップS105:YES)、終了する。
【0047】
このように、第一の実施形態に係る搬送システム30によると、入口用バーコードリーダ15、出口用バーコードリーダ17及びバーコード4を記憶する台車管理記憶部12が交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bを検知しない旨を、コントローラ11を介して、減速投光器14を作動することで交差エリアに属する本線軌道上21を交差点23に向かって走行する搬送台車1aに対して告知することにより、交差エリアに属する本線軌道21上を交差点23に向かって走行する搬送台車1aの速度を落とさずに走行することができ、搬送効率を向上させることができる。一方、入口用バーコードリーダ15、出口用バーコードリーダ17及びバーコード4を記憶する台車管理記憶部12が交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bを検知した旨を、コントローラ11を介して、減速投光器14を停止することで交差エリアに属する本線軌道21上を交差点23に向かって走行する搬送台車1aに対して告知することにより、交差エリアに属する本線軌道21上を交差点23に向かって走行する搬送台車1aの速度を落とし、必要に応じて停止することができ、本線軌道21上の搬送台車1aと支線軌道22上の搬送台車1bの衝突を防止することができる。
【0048】
また、減速投光器14が連続する一定周波数のパルス信号を送受信することにより交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bの有無を告知しているため、外乱信号(例えば、外部より進入する連続波形の外乱信号)や減速投光器14自体のトラブル(電源ダウンによる発信できない状態)等による誤検出を防止することができる。
【0049】
また、減速投光器14は、交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bが存在しない場合に、投光を作動し、交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bが存在する場合に、投光を停止することにより、交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bの有無を告知しているため、減速投光器14が万が一故障して投光することができない場合に、交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bの有無にかかわらず、交差エリアに属する本線軌道21上を交差点23に向かって走行する搬送台車1aが、高速走行することなく、走行速度を減速させて走行し、必要に応じて走行を停止するように制御するため、本線軌道21上の搬送台車1aと支線軌道22上の搬送台車1bの衝突を防止することができる。
【0050】
また、搬送台車1に備え付けられたバーコード4を交差エリアに属する支線軌道22の入口と出口に設けた入口用バーコードリーダ15及び出口用バーコードリーダ17で読み取り、コントローラ11の台車管理記憶部12で管理することにより、交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bの有無を検知することができる。
【0051】
更に、交差エリアを所定の範囲(本線軌道21では、図2及び図3におけるL1+L2の矢印で示す範囲であり、支線軌道22では、図2におけるL3+L4+L5及び図3におけるL6の矢印で示す範囲である。)に設定することにより、本線軌道21を交差23点に向かって走行する搬送台車1aの減速領域を確保することができ、本線軌道21上の搬送台車1aと支線軌道22上の搬送台車1bの衝突を防止することができる。
【0052】
[第二の実施の形態]
次に、第二の実施形態に係る搬送システムを図6〜図9に基づいて以下に説明する。図6は、第二の実施形態に係る搬送システムを示すブロック図である。図7は、第二の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが合流する交差点を示す概略図である。図8は、第二の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが分岐する交差点を示す概略図である。図9は、第二の実施形態に係るコントローラのブロック図である。尚、第一の実施形態に係る搬送システムと同一の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図6〜図8に示すように、搬送システム30は、複数の搬送台車1と、本線軌道21及び支線軌道22とを有する軌道20とから構成されている。尚、各搬送台車1の構成は同じであり、図6には1つの搬送台車1のみ記載して複数の記載を省略する。また、図7及び図8においては、本線軌道21上の搬送台車1を搬送台車1a、支線軌道22上の搬送台車1を搬送台車1bと示す。
【0054】
そして、搬送台車1は、受光センサ2と、制御部3と、マーク読取器5と、誘導信号送受信器6と、を有している。また、軌道20には、コントローラ11と、複数の台車検出センサ(検知手段)13と、複数の減速投光器(告知手段)14と、誘導線24と、停止点マーク25と、減速センサ切替マーク26と、が設置されている。尚、各台車検出センサ13の構成は同じであり、図6には1つの台車検出センサ13のみ記載して複数の記載を省略する。また、各減速投光器14の構成は同じであり、図6には1つの減速投光器14のみ記載して複数の記載を省略する。
【0055】
台車検出センサ13は、透過型光学センサであり、図7及び図8に示すように、発光部(発信部)13aと受光部(受信部)13bとから構成されている。台車検出センサ13は、交差点23から距離L3+L4+L5離れた交差エリアに属する支線軌道22の上流端(図7)あるいは交差点23から距離L6離れた交差エリアに属する支線軌道22の下流端(図8)までの間で搬送台車1bを検出できるように複数組(図7及び図8では2組)設置されている。但し、設置される台車検出センサ13は、2組に限定されず、交差エリアに属する支線軌道22上(交差点23から距離L3+L4+L5離れた交差エリアに属する支線軌道22の上流端(図7)あるいは交差点23から距離L6離れた交差エリアに属する支線軌道22の下流端(図8)までの間)で搬送台車1bを検出することが可能な程度であれば良い。ここで、台車検出センサ13の発光部13aによる投光は、所定間隔(例えば、30msecオンにして15msecオフにする。)でフラッシングさせ、受光部13bが他のパターンの信号や外乱光を検出したとしても発光部13aの信号として誤検出しないようにする。尚、台車検出センサ13は、透過型光学センサに限定されず、反射型光学センサであっても良いし、透過型光学センサと反射型光学センサの組み合わせであっても良い。更に、台車検出センサ13は、透過型光学センサや反射型光学センサ等の光学式のセンサに限定されず、電磁波、超音波、音波等を利用したセンサであってもよい。
【0056】
そして、図6及び図9に示すように、コントローラ11には、台車検出センサ13からの検出信号が入力されるようになっている。また、コントローラ11からは、減速投光器14a〜14cに作動指令または停止指令に関する信号を出力するようになっている。コントローラ11では、台車検出センサ13からの検出信号が入力された場合は、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在するため、減速投光器14a〜14cに対して作動の停止指令に関する信号を出力する。一方、台車検出センサ13からの検出信号が入力されない場合は、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在しないため、減速投光器14a〜14cに対して作動指令に関する信号を出力する。
【0057】
このように、第二の実施形態に係る搬送システム30によると、台車検出センサ13を交差エリアに属する支線軌道22上(図7の場合は交差点23から距離L3+L4+L5離れた交差エリアに属する支線軌道22の上流端までの間、図8の場合は交差点23から距離L6離れた交差エリアに属する支線軌道22の下流端までの間)に二組設置することにより、交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bの有無を検知することができる。
【0058】
また、台車検出センサ13が連続する一定周波数のパルス信号を送受信することにより検知することで、外乱信号(例えば、外部より進入する連続波形の外乱信号)や台車検出センサ13の発光部13a自体のトラブル(電源ダウンによる発信できない状態)等による誤検出を防止することができる。
【0059】
[第三の実施の形態]
次に、第三の実施形態に係る搬送システムを図10〜図13に基づいて以下に説明する。図10は、第三の実施形態に係る搬送システムを示すブロック図である。図11は、第三の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが合流する交差点を示す概略図である。図12は、第三の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが分岐する交差点を示す概略図である。図13は、第三の実施形態に係るコントローラのブロック図である。尚、第一の実施形態及び第二の実施形態に係る搬送システムと同一の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
図10〜図12に示すように、搬送システム30は、複数の搬送台車1と、本線軌道21及び支線軌道22とを有する軌道20とから構成されている。尚、各搬送台車1の構成は同じであり、図10には1つの搬送台車1のみ記載して複数の記載を省略する。また、図11及び図12においては、本線軌道21上の搬送台車1を搬送台車1a、支線軌道22上の搬送台車1を搬送台車1bと示す。
【0061】
そして、搬送台車1は、受光センサ2と、制御部3と、バーコード4と、マーク読取器5と、誘導信号送受信器6と、を有している。また、軌道20には、台車管理記憶部12を備えるコントローラ11と、複数の台車検出センサ(第二の検知手段)13と、複数の減速投光器(告知手段)14と、入口用バーコードリーダ(進入台車読取手段)15及び入口用バーコードリーダ読取タイミング用センサ16と、出口用バーコードリーダ(退出台車読取手段)17及び出口用バーコードリーダ読取タイミング用センサ18と、が設置されている。ここで、コントローラ11の台車管理記憶部12と、入口用バーコードリーダ(進入台車読取手段)15と出口用バーコードリーダ(退出台車読取手段)17で第一の検知手段を構成している。尚、各台車検出センサ13の構成は同じであり、図10には1つの台車検出センサ13のみ記載して複数の記載を省略する。また、各減速投光器14の構成は同じであり、図10には1つの減速投光器14のみ記載して複数の記載を省略する。
【0062】
図10及び図13に示すように、コントローラ11には、台車検出センサ13からの検出信号と、入口用バーコードリーダ15及び出口用バーコードリーダ17からバーコード4に関する信号が入力されるようになっている。また、コントローラ11からは、減速投光器14a〜14cに作動指令または停止指令に関する信号を出力するようになっている。入口用バーコードリーダ15からバーコード4に関する信号が入力されると、コントローラ11では、入力されたバーコード4を台車管理記憶部12に記憶する。また、出口用バーコードリーダ17からバーコード4に関する信号が入力されると、コントローラ11では、入力されたバーコード4を台車管理記憶部12にから消去する。コントローラ11では、台車検出センサ13からの検出信号が入力された場合は、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在するため、減速投光器14a〜14cに対して作動の停止指令に関する信号を出力する。一方、台車検出センサ13からの検出信号が入力されない場合は、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在しないため、減速投光器14a〜14cに対して作動指令に関する信号を出力する。また、コントローラ11では、所定間隔毎に台車管理記憶部12にバーコードが記憶されているかどうか確認する。そして、バーコードが記憶されている場合は、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在するため、減速投光器14a〜14cに対して作動の停止指令に関する信号を出力する。一方、バーコードが記憶されていない場合は、交差エリアに属する支線軌道22上に搬送台車1bが存在しないため、減速投光器14a〜14cに対して作動指令に関する信号を出力する。
【0063】
このように、第三の実施形態に係る搬送システム30によると、台車検出センサ13を交差エリアに属する支線軌道22上(図11の場合は交差点23から距離L3+L4+L5離れた交差エリアに属する支線軌道22の上流端までの間、図12の場合は交差点23から距離L6離れた交差エリアに属する支線軌道22の下流端までの間)に二組設置することにより、交差エリアに属する支線軌道22上の搬送台車1bの有無を検知することができるとともに、入口用バーコードリーダ15及び出口用バーコードリーダ17で読み取ったバーコード4がコントローラ11の台車管理記憶部12に記憶されているか否かに基づいて、交差エリアに属する支線軌道21上の搬送台車1bの有無を検知することができる。従って、第一の検知手段(入口用バーコードリーダ15、出口用バーコードリーダ17及び台車管理記憶部12)と第二の検知手段(台車検出センサ13)の2種類の検知手段により交差エリアに属する支線軌道21上の搬送台車1bの有無を検知することができ、安全性を高めることができる。
【0064】
以上、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。また、具体例は、本発明の構成を例示したものであり、本発明を限定するものではない。
【0065】
例えば、本実施の形態においては、減速センサ切替マーク26で誘導線24による制御に切り換えているが、それに限らない。例えば、誘導線24及び減速センサ切替マーク26が設置されていない場合でも、本発明を適用することができる。この場合は、減速投光器14は、交差エリアに属する本線軌道21の入口(停止点マーク25から距離L1離れた上流端)から交差点23までを十分に投光することができるように複数台設置する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第一の実施形態に係る搬送システムを示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが合流する交差点を示す概略図である。
【図3】第一の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが分岐する交差点を示す概略図である。
【図4】第一の実施形態に係るコントローラのブロック図である。
【図5】搬送台車の制御部における走行制御・停止部の制御手順について説明したフローチャートである。
【図6】第二の実施形態に係る搬送システムを示すブロック図である。
【図7】第二の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが合流する交差点を示す概略図である。
【図8】第二の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが分岐する交差点を示す概略図である。
【図9】第二の実施形態に係るコントローラのブロック図である。
【図10】第三の実施形態に係る搬送システムを示すブロック図である。
【図11】第三の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが合流する交差点を示す概略図である。
【図12】第三の実施形態に係る搬送システムにおける本線軌道と支線軌道とが分岐する交差点を示す概略図である。
【図13】第三の実施形態に係るコントローラのブロック図である。
【符号の説明】
【0067】
1 搬送台車
1a 交差エリアに属する本線軌道上の搬送台車
1b 交差エリアに属する支線軌道上の搬送台車
2 受光センサ(告知手段の受信部)
3 制御部
3a 走行制御部・停止部
4 バーコード(識別符号)
11 コントローラ
12 台車管理記憶部
13 台車検出センサ(検知手段)
13a 発光部(発信部)
13b 受光部(受信部)
14 減速投光器(告知手段の発信部)
15 入口用バーコードリーダ(進入台車読取手段)
17 出口用バーコードリーダ(退出台車読取手段)
20 軌道
21 本線軌道
22 支線軌道
23 交差点
24 誘導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本線軌道と、当該本線軌道に合流・分岐する支線軌道と、を備えた軌道に沿って、複数の搬送台車を自動走行させる搬送システムにおいて、
前記本線軌道と前記支線軌道とが交差する交差点から所定範囲内にある交差エリアに属する前記支線軌道上に存在する搬送台車を検知する検知手段と、
前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車に対し、前記搬送台車検知手段による前記交差エリアに属する前記支線軌道上の搬送台車の有無を告知する告知手段と、
前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車について、前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しない場合は、走行速度を減速させずに走行し、前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在する場合は、走行速度を減速させて走行し、必要に応じて走行を停止するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記告知手段は、光、電磁波、超音波、音波等の信号を発信する発信部を有し、
前記搬送台車は、前記発信部からの前記信号を受信する受信部を有し、
前記信号が連続する一定周波数のパルスであることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記告知手段は、
前記検知手段により前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しない場合に前記信号を発信し、前記検知手段により前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在する場合に前記信号を発信しないことを特徴とする請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記検知手段は、
前記交差エリアに属する前記支線軌道の入口付近に設けられ、前記交差エリアに属する前記支線軌道内に進入する搬送台車の識別符号を読み取る進入台車読取手段と、
前記交差エリアに属する前記支線軌道の出口付近に設けられ、前記交差エリアに属する前記支線軌道内から退出する搬送台車の識別符号を読み取る退出台車読取手段と、
前記進入台車読取手段により識別符号を読み取った場合に当該識別符号を記憶するとともに、前記退出台車読取手段により識別符号を読み取った場合に当該識別符号を消去する台車管理記憶手段と、
を有し、
前記告知手段は、
前記台車管理記憶手段に識別符号が記憶されている場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在するものとし、前記台車管理記憶手段に識別符号が記憶されていない場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しないものとして告知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記進入台車読取手段は、入口用バーコードリーダであり、
前記退出台車読取手段は、出口用バーコードリーダであり、
前記識別符号は、前記入口用バーコードリーダ及び前記出口用バーコードリーダが読取可能な状態で前記搬送台車に設けられた固有のバーコードであることを特徴とする請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記検知手段は、
光、電磁波、超音波、音波等の信号を発信する発信部と当該信号を受信する受信部とを有する一組以上のセンサで構成され、
前記告知手段は、
前記センサにより前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車を検知した場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在するものとし、前記センサにより前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車を検知しない場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しないものとして告知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記検知手段は、
前記交差エリアに属する前記支線軌道の入口付近に設けられ、前記交差エリアに属する前記支線軌道内に進入する搬送台車の識別符号を読み取る進入台車読取手段と、
前記交差エリアに属する前記支線軌道の出口付近に設けられ、前記交差エリアに属する前記支線軌道外から退出する搬送台車の識別符号を読み取る退出台車読取手段と、
前記進入台車読取手段により識別符号を読み取った場合に当該識別符号を記憶するとともに、前記退出台車読取手段により識別符号を読み取った場合に当該識別符号を消去する台車管理記憶手段と、で構成される第一の検知手段と、
光、電磁波、超音波、音波等の信号を発信する発信部と当該信号を受信する受信部とを有する一組以上のセンサで構成される第二の検知手段と、
を有し、
前記告知手段は、
前記第一の検知手段において前記台車管理記憶手段に識別符号が記憶されている場合、又は、前記第二の検知手段において前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車を検知した場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在するものとし、前記第一の検知手段において前記台車管理記憶手段に識別符号が記憶されていない場合、又は、前記第二の検知手段において前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車を検知しない場合に前記交差エリアに属する前記支線軌道上に搬送台車が存在しないものとして告知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記センサは、
前記信号が連続する一定周波数のパルスであることを特徴とする請求項6または7に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記所定範囲は、
前記交差エリアに属する前記本線軌道の上流端から前記交差点までの距離が、前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が停止する前記交差点の手前に設けられた停止点までの距離と前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から停止するまでに走行する制動距離を合計した距離以上となり、
且つ、
前記交差エリアに属する前記支線軌道の上流端または下流端から前記交差点までの距離が、前記交差エリアに属する前記支線軌道上の交差点付近を走行する搬送台車と前記交差エリアに属する前記本線軌道上の交差点付近を走行する搬送台車と接触しない距離以上となり、
好ましくは、前記交差エリアに属する前記支線軌道の上流端から前記交差点までの距離が、前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から停止するまでに要する制動時間に相当する時間に前記交差エリアに属する前記支線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から交差点通過速度に減速するまでに走行する距離と、前記交差エリアに属する前記支線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が前記交差点通過速度から前記交差点の手前に設けられた停止点で停止するまでに走行する距離と、前記停止点から前記交差点までの距離と、を合計した距離以上となり、
前記交差エリアに属する前記支線軌道の下流端から前記交差点までの距離が、前記交差エリアに属する前記本線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が最高速度から停止するまでに要する制動時間に相当する時間に前記交差エリアに属する前記支線軌道上を前記交差点に向かって走行する搬送台車が走行する距離以上となる範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−48333(P2006−48333A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227740(P2004−227740)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(302059274)アシスト シンコー株式会社 (146)
【Fターム(参考)】