説明

携帯情報端末装置及び制御プログラム

【課題】ショッピングモールなどの建物内において、自己が位置しているフロアとは異なるフロアにある店舗などの施設に関する情報を容易に把握する。
【解決手段】携帯情報端末装置13は、画像を撮影するカメラユニットと、各種情報を表示するディスプレイユニットと、複数フロアを有するあらかじめ設定された建物内で前記カメラユニットにより撮影中のいずれかのフロアの撮影画像に、撮影画角内に位置する他のフロアを透視した態様で、当該他のフロアの施設の配置位置を示す画像及び当該他のフロアに関する情報をリアルタイムに重畳してディスプレイユニットに表示するコントローラ41と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、携帯情報端末装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショッピングモールなどの商業施設や、地下街などにおいて、ユーザの操作に応じて、当該ユーザが訪れることを希望する施設を案内するための巡回ルートを生成するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、地図上に実際の建物に対応する立体画像を配置し、実世界に存在する建物を表現した仮想空間を容易に構築するとともに、仮想的な建物の内部に仮想的な店舗を配置することで、仮想的なショッピングモールを形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実際のショッピングモールなどの建物内に入った場合に、各ユーザが自己の現在位置と、上下階のフロアに位置する店舗などの施設と、の位置関係を容易に把握できず、他のフロアに移動するに際して、効率的に移動ができないことが往々にしてあった。
【0005】
すなわち、ユーザが現在位置しているフロアにおける自己の現在位置を把握できたとしても、当該現在位置から、効率的あるいは容易に他のフロアの所望の施設に移動する経路を容易に把握できるものではなかった。
【0006】
また、他のフロアの施設の混み具合なども容易に把握できるものではなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ショッピングモールなどの建物内において、自己が位置しているフロアとは異なるフロアにある店舗などの施設に関する情報を容易に把握することが可能な携帯情報端末装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、実施形態の携帯情報端末装置は、画像を撮影するカメラユニットと、各種情報を表示するディスプレイユニットと、を備えている。
【0009】
そして、携帯情報端末装置の制御手段は、複数フロアを有するあらかじめ設定された建物内で前記カメラユニットにより撮影中のいずれかのフロアの撮影画像に、撮影画角内に位置する他のフロアを透視したような態様で、当該他のフロアの施設の配置位置を示す画像及び当該他のフロアに関する情報をリアルタイムに重畳して前記ディスプレイユニットに表示する。
【0010】
また、実施形態の制御プログラムは、画像を撮影するカメラユニットと、各種情報を表示するディスプレイユニットとを有する携帯情報端末装置をコンピュータにより制御する。
【0011】
そして、制御プログラムは、コンピュータを、複数フロアを有するあらかじめ設定された建物内で前記カメラユニットにより撮影された画像を取得させる手段と、撮影中のいずれかのフロアの撮影画像に、撮影画角内に位置する他のフロアを透視したような態様で、当該他のフロアの施設の配置位置を示す画像及び当該他のフロアに関する情報をリアルタイムに重畳してディスプレイユニットに表示させる手段と、して機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態の情報処理システムの概要構成ブロック図である。
【図2】図2は、ディジタルサイネージ端末装置の外観正面図である。
【図3】図3は、ディジタルサイネージ端末装置の概要構成ブロック図である。
【図4】図4は、携帯情報端末の概要構成ブロック図である。
【図5】図5は、携帯情報端末の表示画面説明図である。
【図6】図6は、ショッピングモールの2階フロアの一部について店舗及び通路の配置並びに案内経路を説明するための図である。
【図7】図7は、カメラユニットにより撮影した2階フロアの撮影画像を説明するための図である。
【図8】図8は、実施形態の情報表示処理の処理フローチャートである。
【図9】図9は、撮影画像にユーザが位置しているフロアに関する情報を表示した場合の表示画面の説明図である。
【図10】図10は、ショッピングモールの3階フロアの一部について店舗及び通路の配置並びに案内経路を説明するための図である。
【図11】図11は、ショッピングモールの1階フロアの一部について店舗及び通路の配置並びに案内経路を説明するための図である。
【図12】図12は、撮影画像にユーザが位置しているフロアに関する情報及び撮影画像の画角内に含まれる他の階の情報をオーバーレイ表示を表示した場合の表示画面の説明図である。
【図13】図13は、撮影画像が変更された場合の表示例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の情報処理システムの概要構成ブロック図である。
以下においては、本実施形態の情報処理システムがショッピングモールに設けられる場合について説明する。
【0014】
情報処理システム10は、商品の広告情報やイベントの情報を配信する情報配信サーバ11と、情報配信サーバ11から構内LANなどの通信ネットワーク12を介して配信された広告情報やイベント情報を表示するとともに、シッピングモールの顧客が携帯する携帯情報端末装置13に対して、広告情報やイベント情報等の情報に関連する情報を配信する複数のディジタルサイネージ(Digital signage)端末装置14と、携帯情報端末装置13に対して、当該携帯情報端末装置13の位置を特定するための位置特定情報を無線通信により通知する複数の位置情報端末装置15と、を備えている。
上記構成において、通信ネットワーク12としては、有線通信ネットワークおよび無線通信ネットワークのいずれであっても適用が可能である。
【0015】
図2は、ディジタルサイネージ端末装置の外観正面図である。
ディジタルサイネージ端末装置14は、液晶ディスプレイあるいはプラズマディスプレイとして構成されたディスプレイユニット21と、各種チケット、クーポンなどを印刷し、発行するプリンタユニット22と、通信距離数センチ〜十センチ程度の近距離無線通信により携帯情報端末装置13との間の通信を行う近距離無線通信部23と、ディスプレイユニット21、プリンタユニット22及び近距離無線通信部23を支持する筐体部24と、を備えている。
【0016】
筐体部24の上部には、ユーザを撮影して、画像認識を行い、ユーザの年齢層を特定し、配信する情報の種類を制御するなどの用途に用いられるカメラユニット25と、BGMや広告音声などの各種音響出力を行うスピーカユニット26が内蔵されている。なお、画像認識などの処理は、ディジタルサイネージ端末装置14で行うことなく、情報配信サーバ11等の上流側サーバで行うようにすることも可能である。
【0017】
プリンタユニット22としては、例えば、ロール紙を記録媒体とする感熱記録方式のプリンタ装置が用いられ、必要に応じてロール紙を自動的にカットするカット機構を備えている。
【0018】
図3は、ディジタルサイネージ端末装置の概要構成ブロック図である。
ディジタルサイネージ端末装置14は、上述したディスプレイユニット21、プリンタユニット22、カメラユニット25及びスピーカユニット26の他、当該ディジタルサイネージ端末装置14全体を制御するコントローラ31と、オペレータあるいはユーザが各種操作を行うための操作部32と、通信ネットワーク12を介して情報配信サーバ11との間で通信を行うためのネットワーク通信インタフェース(IF)33と、近距離無線通信部23を構成し、携帯情報端末装置13に対して広告情報やイベント情報等の情報に関連する情報を配信するための情報配信用通信インタフェース(IF)34と、各種データを記憶する外部記憶装置35と、を備えている。
【0019】
ここで、コントローラ31は、当該コントローラ31全体を制御するMPU36と、MPU36が動作するための制御プログラムなどを格納したROM37と、各種データを一時的に記憶するRAM38と、を備えている。
また、操作部32は、各種スイッチ、ボタンなどで構成したり、タッチパネルとして液晶ディスプレイなどのディスプレイユニット21と一体に構成したりすることも可能である。
【0020】
また、情報配信用通信IF34は、例えば、13.56MHzの周波数を用い、通信距離数cm〜10cm程度の近距離無線通信方式の通信インタフェース動作を行う。
また、外部記憶装置35としては、ハードディスク装置、フラッシュROMを内蔵したSSD(Solid State Drive)装置の他、EEPROMなどの不揮発性メモリを用いるようにしてもよい。
【0021】
また、携帯情報端末装置13に対して広告情報やイベント情報等の情報に関連する情報を配信するに際しては、情報配信用通信インタフェース(IF)34を介した通信の他、ディスプレイユニット21の表示画面上に例えば2次元バーコードを表示し、携帯情報端末装置13のカメラにより撮影させてデコードさせることにより配信するように構成することも可能である。
【0022】
図4は、携帯情報端末装置の概要構成ブロック図である。
携帯情報端末装置13は、携帯情報端末装置13全体を制御するコントローラ41と、各種データを記憶するデータ記憶部42と、各種情報の表示を行うディスプレイユニット43と、タッチパネルとしてディスプレイユニット43と一体に構成された操作部44と、地磁気センサなどで構成され、携帯情報端末装置13の進行方向を検出する方位センサ45と、を備えている。
【0023】
さらに携帯情報端末装置13は、ジャイロセンサなどで構成され、携帯情報端末装置13の姿勢変化に伴う傾斜(例えば、3軸)を検出する傾斜センサ46と、ディジタルサイネージ端末装置14の情報配信用通信インタフェース(IF)34を介して通信を行う第1情報取得用無線通信ユニット47と、位置情報端末装置15からの位置情報電波を受信して位置検出データをコントローラ41に出力する位置検出用無線通信ユニット48と、情報配信サーバ11と通信ネットワーク12を介して通信を行う第2情報取得用無線通信ユニット49と、ユーザが経路案内情報などを実撮影画像に重畳して表示させるための実撮影画像(動画像)を取得したり、ディジタルサイネージ端末装置14のディスプレイユニット21の表示画面上に表示された2次元バーコードなどの情報を読み取ったりするためのカメラユニット50と、を備えている。
【0024】
ここで、コントローラ41は、当該コントローラ41全体を制御する図示しないMPUと、当該MPUが動作するための制御プログラムなどを格納した図示しないROMと、各種データを一時的に記憶するRAMと、を備えたマイクロコンピュータとして構成されている。
【0025】
さらにコントローラ41は、位置検出用無線通信ユニット48から受信した位置情報データに基づいて、当該携帯情報端末装置13の現在位置を検出する。そして、立ち寄りを希望する店舗などのユーザの指示及び情報配信サーバ11から第2情報取得用無線通信ユニット49を介して取得した配信データ(おすすめ経路に関するデータなど)に基づき、設定された立ち寄り店舗、立ち寄りスペース(イベント会場など)等の経由地点に関する情報(経由地点情報)を参照して、当該ユーザに対する案内経路を生成する。さらにコントローラ41は、方位センサ45及び傾斜センサ46の検出信号に基づいて、生成した案内経路をユーザに提示しつつ経路案内を行う。
【0026】
さらにまた、コントローラ41は、経路案内を行うに際し、カメラユニット50により撮影した撮影画像と、情報配信サーバ11から第2情報取得用無線通信ユニット49を介して受信した画像データと、に基づいて、撮影画角内に位置する他のフロアを透視したような態様で、当該他のフロアの施設の配置位置を示す画像及び当該他のフロアに関する情報をカメラユニット50により撮影した撮影画像を表示した画面にリアルタイムに重畳して表示する(カメラナビサブモード)。なお、この重畳した画像の表示を行うカメラナビサブモードについては、後に詳述する。
【0027】
データ記憶部42としては、EEPROMなどの不揮発性メモリが考えられる。このデータ記憶部42には、各フロアの地図データ、各店舗の位置情報、イベント関連情報(イベント開催場所、イベント開催期間など)等の各種情報が記憶される。なお、これらの情報は、情報配信サーバ11の制御下で、適宜更新される。
ディスプレイユニット43としては、消費電力の少ない液晶ディスプレイや、表示更新時以外は電力消費のないカラー電子ペーパーなどが望ましい。
【0028】
第1情報取得用無線通信ユニット47は、通信距離数cm〜十cm程度の近距離無線通信装置として構成されている。
【0029】
第2情報取得用無線通信ユニット49は、無線LANなどを構築して、通信距離数m〜数十mの無線通信装置として構成されている。
カメラユニット50は、CCDあるいはCMOSイメージセンサを備え、カラー画像を静止画像あるいは動画像として撮影する。
【0030】
図5は、携帯情報端末装置の表示画面説明図である。
携帯情報端末装置13は、動作モードやユーザの好み(指示)に応じて縦向きおよび横向きのいずれでも使用可能であるが、図5は、横向きで使用している場合の表示画面の一例である。
【0031】
携帯情報端末装置13のディスプレイユニット43の表示画面43Aは、大別すると、メニュー表示操作領域51と、画像表示領域52と、を備えている。
【0032】
メニュー表示操作領域51には、ショッピングモールの各フロアのフロアガイド(店舗配置などの案内)や、ショッピングモール内での経路案内(ナビゲーション)を携帯情報端末装置13に行わせるためのフロアナビモードに移行するためのフロアナビ選択ボタン53と、ショッピングモール内の口コミ情報を参照したり、口コミ情報を投稿したりするためのクチコミモードに移行するためのクチコミ選択ボタン54と、ショッピングモール内の商品の購入検討を行う購入検討モードに移行するための購入検討選択ボタン55と、ショッピングモール内で開催されたイベント、開催中のイベント、あるいは、開催予定のイベントに関する情報を表示させるイベント情報モードに移行するためのイベント情報選択ボタン56と、が備えられている。
【0033】
さらにメニュー表示操作領域51には、駐車スペースの配置などショッピングモールの駐車場に関する情報を表示させる駐車場情報モードに移行するための駐車場情報選択ボタン57と、ショッピングモール内の携帯情報端末装置13を携行している同行者を呼び出すための呼出モードに移行するための呼出し選択ボタン58と、あらかじめユーザが登録した情報などを表示させるためのマイデータボタン59と、が備えられている。
【0034】
上記各ボタン53〜59をタッチすることにより選択操作を行うと、選択したモードにサブモードが存在する場合には、当該タッチされたボタンに隣接されたサブモード表示領域60に当該サブモードに対応する一または複数のサブモード選択ボタンが表示される。
【0035】
図5は、フロアナビ選択ボタン53をタッチした場合に表示されるサブモード選択ボタンを示したものであり、フロアナビモードにおいては、各フロアに配置された店舗や、地図画像を含む案内画面が表示されるフロアガイドサブモード選択ボタン61と、ユーザが登録した立ち寄り先や、情報配信サーバ11により配信された、おすすめ立ち寄り情報などに基づいてショッピングモール内の経路案内を行うルートナビサブモード選択ボタン62と、情報配信サーバ11から受信した画像データに基づいて、撮影画角内に位置する他のフロアを透視したような態様で、当該他のフロアの施設の配置位置を示す画像及び当該他のフロアに関する情報をカメラユニット50により撮影した撮影画面にリアルタイムに重畳して表示するカメラナビサブモード選択ボタン63と、を備えている。
【0036】
上述したように、携帯情報端末装置13の動作モードは階層構造を採っており、サブモードにさらに下位のサブモードが存在する場合には、サブモード選択ボタンをタッチすると当該サブモードに属するさらに下位のサブモード選択ボタンが表示されることとなる。
【0037】
ここで、カメラナビサブモードについて、より詳細に説明する。
カメラナビサブモードは、ショッピングモール内をユーザがカメラユニット50により撮影することにより、撮影場所及び撮影方向に応じて、拡張現実(AR;Augmented Reality)を実現するものである。
【0038】
本実施形態においては、カメラナビサブモードは、あるフロアについてカメラユニット50において撮影を行った場合に、当該フロア、上下方向の他のフロアに存在する店舗に関連する情報、各店舗の混雑状況、立ち寄り予定の店舗を含む案内経路を当該撮影画像に重畳して表示するものである。
【0039】
次にカメラナビサブモードにおける具体的な動作を説明する。
以下の説明においては、携帯情報端末装置13を携行しているユーザが4階建てのショッピングモールの2階に位置している場合を例として説明する。
図6は、ショッピングモールの2階フロアの一部について店舗及び通路の配置並びに案内経路を説明するための図である。
ショッピングモールの建物の2階フロアには、図6に示すように、施設としての店舗SP1〜SP10が配置されており、さらに通路PS1〜PS4が配置されている。
【0040】
さらに当該ユーザはあらかじめ案内経路GRを設定している。具体的には、ユーザが指定した立ち寄り先の店舗あるいは各種イベントの開催場所を経由地点として登録し、ユーザの現在位置を開始地点として、全ての登録地点を経由する案内経路をカーナビゲーションと同様の経路探索技術により設定し、案内経路GRとしている。より詳細には、ユーザの経路案内直前の現在位置を出発地とし、現在位置から最も遠い経由地点を目的地として、出発地から目的地まで最短時間(各施設への標準的な立ち寄り時間を含む)あるいは最短距離でユーザが歩くことが可能な経路を案内経路GRとして見つけ出すこととなる。
【0041】
なお、この場合において、イベントの開催時間帯が定まっているような場合には、単純に経路を回るのに必要な最短時間や、最短距離ばかりでなく、当該イベントの開催時間帯であって、当該イベントへの参加に必要な時間(ユーザの指示あるいは情報配信サーバ11からの配信データに基づく)が確保できるように、経路探索を行うこととなる。この場合において、ユーザは、必要に応じて、食事時間などを含む休憩時間や、閉店時間などを考慮して案内経路および立ち寄り時間を設定することとなる。
【0042】
図6において、具体的な案内経路GRとしては、通路PS1を図面右側から歩いてきた(移動してきた)ユーザが、立ち寄るべき複数の店舗のうち第3番目(図中、丸数字で表す)に立ち寄るべき店舗が、店舗SP9であることを示している。そして、案内経路GRによれば、店舗SP9に立ち寄った後のユーザは通路PS2を、図6中下方に直進し、休憩所やイベント広場等として利用される共用スペースCSに至る。さらにユーザは、当該共用スペースCSで右折して通路PS3を通って第4番目(図中、丸数字で表す)に立ち寄るべき店舗SP2に至ることとされている。
【0043】
その後、店舗SP2を出たユーザは、店舗SP2から左方向に通路PS3を通り、通路PS4に至ると、右折することとなっている。
図6において、ユーザは現在位置CPにおり、店舗SP2に向かっている最中であることを示している。
さて、ユーザが現在位置CPにいる状態において、ユーザが通路PS3に沿って、通路PS4側を向いて、現在位置CPからカメラユニット50により2階フロアを撮影したとする。
【0044】
図7は、カメラユニット50により撮影した2階フロアの撮影画像を説明するための図である。
また、図8は、実施形態の情報表示処理の処理フローチャートである。
図7において、撮影画像GA1には、ユーザの現在位置CPから通路PS4側に見える店舗SP1〜SP5、通行人PN1、PN2及び通路PS3、PS4が写っている。
【0045】
カメラユニット50による撮影により撮影画像GA1を取得すると(ステップS11)、コントローラ41は、最も近くに設置されている位置情報端末装置15N(15)からの位置情報を位置検出用無線通信ユニット48を介して取得する(ステップS12)。
【0046】
これに伴い、コントローラ41は、情報配信サーバ11から受信した画像データに基づいて、撮影画像GA1の画像認識処理及び情報配信サーバ11から受信した画像データとの画像マッチング処理を行い(ステップS13)、当該撮影画像GA1の撮影画角内に位置する他のフロアを透視したような態様で、当該他のフロアの施設の配置位置を示す画像及び当該他のフロアに関する情報をカメラユニット50により撮影した撮影画面にリアルタイムに重畳して表示する(ステップS14)。
【0047】
この場合において、情報配信サーバ11から受信した画像データには、各フロアの施設(店舗など)の配置位置(フロア上の位置)、配置形状(店舗等の配置空間)、各店舗の入口情報(入口の配置等)、各フロアの通路や公共スペースの配置等を含む3次元情報が含まれているものとする。
【0048】
図9は、撮影画像にユーザが位置しているフロアに関する情報を表示した場合の表示画面の説明図である。
コントローラ41は、画像認識処理を行い、撮影画像GA1に対し、ユーザが位置しているフロアに関し、オーバーレイ表示すべき画像を生成する。この場合において、オーバーレイ表示すべき画像としては、当該撮影画像GA1中に表示すべき案内経路GRの一部を表す矢印画像GRI1、GRI2と、立ち寄り先の店舗の位置および立ち寄りの順番を示すインデックスIX1である。
【0049】
この場合において、案内経路GRに対応してオーバーレイ表示すべき画像の生成用のデータは、基本的に携帯情報端末装置13のデータ記憶部42に格納される。しかしながら、案内経路GRに対応する全データをデータ記憶部42に記憶するにはデータ量が多い場合には、携帯情報端末装置13の現在位置に応じてオーバーレイ表示に必要な画像生成用のデータを情報配信サーバ11から通信ネットワーク12を介して順次受信し、更新しつつデータ記憶部42に格納するようにすることが可能である。
【0050】
さらにコントローラ41は、傾斜センサ46の出力に基づいて、カメラユニット50の撮影方向がいずれの方向であるかを検出する。そして、コントローラ41は、当該撮影方向を向いて撮影を行い、自己が位置するフロア(本実施形態では、2階のフロア)の天井あるいは床を透過させて撮影が可能とした場合に、当該撮影画像内に描画すべき、すなわち、撮影画像の画角内に含まれる上の階あるいは下の階のフロアの施設(店舗など)をオーバーレイ表示するための表示画像データを生成する。
【0051】
ここで、撮影画像の画角内に含まれる上の階あるいは下の階のフロアの施設(店舗など)をオーバーレイ表示するための表示画像データの生成に先立ち、上の階(本実施形態では、3階)あるいは下の階(本実施形態では、1階)のフロアの施設(店舗など)の配置状態について説明する。以下においては、案内経路GRは、2階のフロアを案内した後、3階のフロアを案内し、さらに1階のフロアを案内する場合について説明する。
【0052】
図10は、ショッピングモールの3階フロアの一部について店舗及び通路の配置並びに案内経路を説明するための図である。
【0053】
ショッピングモールの建物の3階フロアには、図10に示すように、施設としての店舗SP31〜SP38が配置されており、さらに通路PS31、PS32が配置されている。
さらに当該ユーザによる案内経路GRとして、案内経路GR3が設定されている。
【0054】
図10において、具体的な案内経路GR3(GR)としては、通路PS31を、図10中、右上方向から左下方向に歩いてきた(移動してきた)ユーザが、立ち寄るべき複数の店舗のうち第7番目(図中、丸数字で表す)に立ち寄るべき店舗が、店舗SP32であることを示している。そして、案内経路GR3によれば、店舗SP32に立ち寄った後のユーザは通路PS32を、図10中、右下方向に直進し、休憩所やイベント広場等として利用される共用スペースCS3に至り、図示しない経路を経由して、1階のフロアに至ることとなっている。
【0055】
図11は、ショッピングモールの1階フロアの一部について店舗及び通路の配置並びに案内経路を説明するための図である。
ショッピングモールの建物の1階フロアには、図11に示すように、施設としての店舗SP11〜SP18が配置されており、さらに通路PS11〜PS15が配置されている。
さらに当該ユーザによる案内経路GRとして、案内経路GR1が設定されている。
【0056】
図11において、具体的な案内経路GR1(GR)としては、通路PS11を、図11中、右方向から左方向に歩いてきた(移動してきた)ユーザが、通路PS12を左下方向に進み、左折して、さらに通路PS13を図11中、右下方向に進んで、立ち寄るべき複数の店舗のうち第11番目(図中、丸数字で表す)に立ち寄るべき店舗が、店舗SP13であることを示している。そして、案内経路GR1によれば、店舗SP13に立ち寄った後のユーザは通路PS13を、図11中、右下方向に直進し、休憩所やイベント広場等として利用される共用スペースCS1に至り、左折して、通路PS14を直進し、通路PS15で右折することとなっている。
【0057】
図12は、撮影画像にユーザが位置しているフロアに関する情報及び撮影画像の画角内に含まれる他の階の情報をオーバーレイ表示を表示した場合の表示画面の説明図である。
コントローラ41は、画像認識処理を行い、撮影画像GA1に対し、ユーザが位置しているフロアである2階の情報に加えて、撮影画像GA1の画角内に含まれる他の階である1階及び3階のフロアの情報に関し、オーバーレイ表示すべき画像を生成する。
【0058】
この場合において、オーバーレイ表示すべき画像としては、まず、3階のフロアについては、図10に示した案内経路GR3の一部を表す矢印画像GRI31、GRI32と、立ち寄り先の店舗の位置および立ち寄りの順番を示すインデックスIX31と、3階のフロアの店舗SP31〜SP34の配置位置を仮想的に表す画像VSP31〜VSP34である。この場合において、案内経路GR3の一部を表す矢印画像GRI31、GRI32は、3階のフロアの床の配置に相当する位置に描画される。
【0059】
ここで、店舗SP31〜SP34の配置位置を仮想的に表す画像VSP31〜VSP34としては、2階のフロアの店舗SP1〜SP5の実際の3次元的な配置に対応させて、各店舗SP31〜SP34の入口部分を四角形状(矩形形状)の画像として表示している。さらにオーバーレイ表示すべき画像としては、3階のフロアの店舗SP31〜SP34の混雑状態を視覚的に表示する画像および各店舗SP31〜SP34に関する情報を表示した画像である。
【0060】
本実施形態においては、3階のフロアの店舗SP31〜SP34の混雑状態を視覚的に表示する画像として、各店舗SP31〜SP34を訪れている顧客(カスタマ)を示す足跡マーク(フットマーク)FMを顧客数に応じて表示している。実際には、各ユーザが携帯している携帯情報端末装置13の現在位置を情報配信サーバ11が収集して、当該携帯情報端末装置13が位置している店舗SP31〜SP34を特定して、各店舗SP31〜SP34あるいはその近傍に位置している携帯情報端末装置13の数に応じたフットマークFMを表示している。
この場合において、フットマークFMは、3階のフロアの床の配置に相当する位置に描画される。
【0061】
また、本実施形態においては、各店舗SP31〜SP34に関する情報を表示した画像として、各店舗SP31〜SP34の入口に対応する位置に、当該店舗SP31〜34にそれぞれ対応する情報が表示されたタグTG31〜TG34を表示している。各タグTG31〜TG34には、各店舗SP31〜SP34のおすすめ商品や、セール情報など、各店舗SP31〜SP34の運営者が設定し、情報配信サーバ11に登録した情報が表示されることとなる。なお、各タグTG31〜TG34は、透過状態であることをイメージ的に表すために反透過画像として生成されている。
【0062】
また、1階のフロアについて、オーバーレイ表示すべき画像としては、図11に示した案内経路GR1の一部を表す矢印画像GRI11と、立ち寄り先の店舗の位置および立ち寄りの順番を示すインデックスIX11と、1階のフロアの店舗SP11〜SP14の配置位置を仮想的に表す画像VSP11〜VSP14である。この場合において、案内経路GR1の一部を表す矢印画像GRI11は、1階のフロアの床の配置に相当する位置に描画される。
【0063】
さらにオーバーレイ表示すべき画像としては、1階のフロアの店舗SP11〜SP14の混雑状態を視覚的に表示する画像として上述したフットマークFMおよび各店舗SP11〜SP14に関する情報を表示した画像が含まれる。なお、図12においては、図示の簡略化のため、1階のフロアのフットマークFMについては図示を省略しているが、フットマークFMは、1階のフロアの床の配置に相当する位置に描画されることとなっている。
【0064】
また、本実施形態においては、各店舗SP11〜SP14に関する情報を表示した画像として、各店舗SP11〜SP14に対応する位置、すなわち、画像VSP11〜VSP14に対応づけて、当該店舗SP11〜14にそれぞれ対応する情報が表示されたタグTG11〜TG14を表示している。各タグTG11〜TG14においても、タグTG31〜TG34と同様に、各店舗SP11〜SP14のおすすめ商品や、セール情報など、各店舗SP11〜SP14の運営者が設定し、情報配信サーバ11に登録した情報が表示されることとなる。なお、各タグTG11〜TG14は、透過状態であることをイメージ的に表すために半透過画像として生成されている。
【0065】
この場合においても、案内経路GR1に対応してオーバーレイ表示すべき画像の生成用のデータは、基本的に携帯情報端末装置13のデータ記憶部42に格納される。しかしながら、上述したように、案内経路GR1に対応する全データをデータ記憶部42に記憶するにはデータ量が多い場合には、携帯情報端末装置13の現在位置に応じてオーバーレイ表示に必要な画像生成用のデータを情報配信サーバ11から通信ネットワーク12を介して順次受信し、更新しつつデータ記憶部42に格納するようにすることが可能である。
【0066】
さらにコントローラ41は、撮影画像GA1の画角内に含まれる1階のフロアの施設である店舗SP11〜SP14をオーバーレイ表示するための表示画像データ、すなわち、画像VSP11〜VSP14に対応する表示画像データを生成する。
【0067】
図13は、撮影画像が変更された場合の表示例の説明図である。
図13は、撮影方向が、図12に示した場合よりも、より上向き(3階フロア向き)、かつ、図12において右方向とした場合のものである。
【0068】
図13に示すように、カメラユニット50による撮影方向のリアルタイムの変更に追従して、オーバーレイ表示される画像も変更される。
したがって、ユーザにとっては、ディスプレイユニット43で見たとおりの配置関係が実際の配置関係であり、より容易に上下フロアの施設の配置を把握でき、無駄に歩いたりすることなく、目的の場所(店舗、イベント会場など)に移動することが可能となる。
【0069】
以上の説明のように、本実施形態によれば、ショッピングモールなどの建物内において、自己が位置しているフロアとは異なるフロアにある店舗などの施設に関する情報を容易に把握することができる。
【0070】
以上の説明においては、ユーザ自身が現在いずれのフロアにいるのかを明確には表示していなかったが、ディスプレイユニット43の表示画面43A中に、文字または建物のフロアの概略図を示して現在ユーザが位置しているフロアを示すようにすればよい。
【0071】
また、以上の説明においては、他のフロアの情報としてユーザが位置しているフロアの上下の階のフロア(本実施形態では、3階および1階のフロア)における施設の配置を示すようにしていたが、ユーザが指定した任意の階のフロアの情報を表示するように構成することも可能である。あるいは、ディジタルサイネージ端末装置14から取得した情報(ひいては情報配信サーバ11により配信された情報)に対応する階のフロアの情報を表示するように構成することも可能である。
【0072】
例えば、ユーザが現在2階のフロアにおり、配信された情報に対応するイベントが4階で行われている場合には、カメラユニット50による撮影方向が上を向いた場合に表示するフロアを3階ではなく、4階とするように構成することも可能である。もちろん、この場合には、ユーザの指示により通常通り、3階を表示するように復帰することができるものとする。
【0073】
本実施形態の携帯情報端末装置13で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0074】
さらに、本実施形態の携帯情報端末装置13で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
【0075】
また、本実施形態の携帯情報端末装置13で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0076】
10 情報処理システム
11 情報配信サーバ
12 通信ネットワーク
13 携帯情報端末装置
14 ディジタルサイネージ端末装置
15、15N 位置情報端末装置
41 コントローラ(制御手段)
42 データ記憶部
43 ディスプレイユニット
43A 表示画面
44 操作部
45 方位センサ
46 傾斜センサ
47 第1情報取得用無線通信ユニット
48 位置検出用無線通信ユニット
49 第2情報取得用無線通信ユニット
50 カメラユニット
51 メニュー表示操作領域
52 画像表示領域
GA1、GA2 撮影画像
GRI11 矢印画像(案内経路に関する情報)
GRI31 矢印画像(案内経路に関する情報)
IX11、IX31 インデックス(案内経路に関する情報)
TG11〜TG14 タグ(他のフロアに関する情報)
TG31〜TG34 タグ(他のフロアに関する情報)
VSP11〜VSP14 画像(他のフロアの施設の配置位置を示す画像)
VSP31〜VSP34 画像(他のフロアの施設の配置位置を示す画像)
FM フットマーク(他のフロアに関する情報)
GR、GR1、GR3 案内経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2010−79819号公報
【特許文献2】特開2010−176703号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影するカメラユニットと、
各種情報を表示するディスプレイユニットと、
複数フロアを有するあらかじめ設定された建物内で前記カメラユニットにより撮影中のいずれかのフロアの撮影画像に、撮影画角内に位置する他のフロアを透視した態様で、当該他のフロアの施設の配置位置を示す画像及び当該他のフロアに関する情報をリアルタイムに重畳して前記ディスプレイユニットに表示する制御手段と、
を具備することを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記他のフロアに関する情報は、当該他のフロアにおけるあらかじめ設定された案内経路に関する情報あるいは当該他のフロアの施設の他のユーザの利用状況に関する情報のうち、少なくともいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記案内経路に関する情報は、当該案内経路に沿って移動している最中に立ち寄ることが予定されている施設であることを示す情報を含むことを特徴とする請求項2記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
前記カメラユニットの撮影方向を検出し、前記撮影方向に位置する他のフロアの情報が表示される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の携帯情報端末装置。
【請求項5】
前記撮影方向に複数の他のフロアが位置している場合に、ユーザにより指示されたいずれかのフロアに関する情報を表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の携帯情報端末装置。
【請求項6】
画像を撮影するカメラユニットと、各種情報を表示するディスプレイユニットとを有する携帯情報端末装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
複数フロアを有するあらかじめ設定された建物内で前記カメラユニットにより撮影された画像を取得させる手段と、
前記撮影中のいずれかのフロアの撮影画像に、撮影画角内に位置する他のフロアを透視した態様で、当該他のフロアの施設の配置位置を示す画像及び当該他のフロアに関する情報をリアルタイムに重畳して前記ディスプレイユニットに表示させる手段と、して機能させる、
ことを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−108053(P2012−108053A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258235(P2010−258235)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】