説明

携帯端末操作システム、非接触ICチップリーダ、サーバ、携帯端末およびプログラム

【課題】携帯端末が持つ多くの機能を複雑な操作を行うことなく活用できるようにする携帯端末操作システムを提供する。
【解決手段】サーバ60は、携帯電話機10のユーザの個人情報と、各個人情報に対応する携帯電話機10の操作内容とを含む個人情報格納部62を備え、非接触ICチップリーダ40は、一定距離範囲内に近づいた携帯電話機10の非接触ICチップ30を介して携帯電話機10に格納される個人情報を読み出す非接触通信部41と、読み出した個人情報に対応する携帯電話機10の操作内容を、サーバ60の個人情報格納部62から取得するサーバ通信部51を備え、携帯電話機10は、サーバ通信部51が取得した携帯電話機10の操作内容を、非接触通信部31を介して受信し、その内容に基づいて携帯電話機10を動作させる動作制御部23を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非接触ICチップを搭載した携帯端末の様々な機能を容易な操作によって利用することを可能にする携帯端末操作システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在市販されている携帯電話機の多くは、非常に多くの機能を有している。すなわち、電話、電子メールといった従来のコミュニケーションツールとしての役割を大きく超え、カメラによる写真の撮影、インターネットによる情報収集等も可能でありモバイルマルチメディアツールとしての役割を担っている。
【0003】
しかし、このような携帯電話機の多くの機能を意のままに操作するためには、機能の多さに比例して複雑になる操作方法を習得しなければならないこともまた事実である。携帯電話機の機能を全て使用するためには、現状では、例えば携帯電話機に付属しているマニュアルを熟読したうえで操作方法を暗記するか、もしくは携帯電話機をよく利用するユーザに直接操作方法を問い合わせること等しか対応策がない。
【0004】
最近では、高齢者層、若年者層の中にも携帯電話機を所有する人が増えている。しかし、このような、普段から携帯電話機の機能の多くを使用しないいわゆるライトユーザにとっては特に、携帯電話機の様々な機能を活用することは非常に困難なこととなっており、その機能の多くを全く使用していないユーザも多い。
【0005】
したがって、携帯電話機の多くの機能を活用できるユーザは一部に留まり、コミュニケーションツールに位置付けられる携帯電話機であっても、日常的に携帯電話機の様々な操作を行うことができないユーザにとっては、携帯電話機を用いたコミュニケーションを行うことは敷居の高いものとなっていることが現状である。
【0006】
このような背景から、携帯電話機を用いたコミュニケーションを、非常に容易な操作のみで実現できることが望まれている。
【0007】
例えば、特許文献1には、携帯電話装置に非接触ICカードを内蔵させ、携帯電話装置の使用を個人ごとに柔軟に制限することが開示されている。すなわち、非接触ICカード内蔵携帯端末が出入り口を通過する際、非接触ICカード読み取り装置を介してサーバに自身の個人情報を送信し、サーバから自身の入出許可情報と利用制限情報を受信し、これに基づいて自身の操作制限を行う非接触ICカード内蔵携帯端末の利用制限方法が開示される。
【0008】
また、特許文献2には、非接触型の情報媒体を用いて、個人に特化した情報や個別の情報をタイムリーかつリアルタイムに提供することが開示されている。すなわち、非接触型の情報媒体との間でデータを授受すると共に、情報媒体から読み取られたデータを基にコンテンツを選択して出力する情報提供手段と、情報媒体と一体に移動し情報提供手段から供給されたコンテンツを再生する携帯端末とを備える情報提供システムが開示される。情報提供手段は、情報媒体を介して携帯端末へ所望のコンテンツを提供する。
【0009】
【特許文献1】特開2004−320210号
【特許文献2】特開2003−244059号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1には、非接触ICカードを内蔵した携帯端末と非接触ICカード読み取り装置とサーバとを利用して、携帯端末に対して自動的に操作制限を行い、携帯端末の使用を個人ごとに柔軟に制限することが開示される。しかしながら、携帯端末が持つ多くの機能を、複雑な操作を行う必要なく活用することについては開示されていない。
【0011】
また、特許文献2には、情報を取得したい携帯電話加入者が、携帯電話と情報媒体とを一体にして移動すれば、所望する情報を電子メールや音声情報によってリアルタイムで取得できることが開示される。しかしながら、携帯電話の様々な機能を活用することは開示されてない。
【0012】
本発明は、携帯電話機のライトユーザでも、携帯端末が持つ多くの機能を複雑な操作を行うことなく活用できるようにする携帯端末操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の構成による携帯端末操作システムは、非接触ICチップと、ユーザの個人情報を格納する個人情報格納手段とを備えた携帯端末と、非接触ICチップを介して個人情報を読み出す非接触ICチップリーダと、非接触ICチップリーダと通信可能なサーバとを備え、サーバは、携帯端末のユーザの個人情報と、各個人情報に対応する携帯端末の操作内容とを含む操作内容格納手段を備え、非接触ICチップリーダは、一定距離範囲内に近づいた携帯端末の非接触ICチップを介して当該携帯端末に格納される個人情報を読み出す非接触通信手段と、読み出した個人情報に対応する携帯端末の操作内容を、サーバの操作内容格納手段から取得するサーバ通信手段とを備え、携帯端末は、サーバ通信手段が取得した携帯端末の操作内容を、非接触通信手段を介して受信し、その内容に基づいて当該携帯端末を動作させる制御手段を備える。
【0014】
具体的には、サーバは、ネットワークを介して通信可能な端末装置から、ユーザ毎に対応する携帯端末の操作内容を受信して操作内容格納手段に格納すると共に、携帯端末が非接触ICチップリーダの一定距離範囲内に近づいた日時を、端末装置に送信する通信制御手段を備えてもよい。また、非接触ICチップリーダは、携帯端末から読み出した個人情報と、サーバから読み出した個人情報とに基づいて認証を行うことができる。
【0015】
本発明の構成によるサーバは、ネットワークを介して通信可能な端末装置から、ユーザ毎に対応する携帯端末の操作内容を受信する通信制御手段と、受信した携帯端末の操作内容を、ユーザ毎に対応づけて格納する操作内容格納手段とを備える。
【0016】
本発明の構成による非接触ICチップリーダは、一定距離範囲内に近づいた携帯端末の非接触ICチップを介して当該携帯端末に格納される個人情報を読み出す非接触通信手段と、読み出した個人情報に対応する携帯端末の操作内容を、ネットワークを介して通信可能なサーバ装置から取得して、携帯端末に非接触ICチップを介して返信するサーバ通信手段とを備える。
【0017】
本発明の構成による携帯端末は、非接触ICチップと、ユーザの個人情報を格納する個人情報格納手段と、非接触ICチップを介して非接触ICチップリーダから個人情報に対応する携帯端末の操作内容を受信し、その内容に基づいて当該携帯端末を動作させる制御手段とを備える。
【0018】
本発明の構成によるプログラムは、非接触ICチップと、ユーザの個人情報を格納する個人情報格納手段とを備えた携帯端末と、非接触ICチップを介して個人情報を読み出す非接触ICチップリーダと、非接触ICチップリーダと通信可能なサーバとにより、携帯端末を自動的に操作するにあたり、サーバを、携帯端末のユーザの個人情報と、各個人情報に対応する携帯端末の操作内容とを含む操作内容格納手段として機能させ、非接触ICチップリーダを、一定距離範囲内に近づいた携帯端末の非接触ICチップを介して当該携帯端末に格納される個人情報を読み出す非接触通信手段と、読み出した個人情報に対応する携帯端末の操作内容を、サーバの操作内容格納手段から取得するサーバ通信手段として機能させ、携帯端末を、サーバ通信手段が取得した携帯端末の操作内容を、非接触通信手段を介して受信し、その内容に基づいて当該携帯端末を動作させる制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、サーバは、携帯端末のユーザの個人情報に対応する操作内容を含み、非接触ICチップリーダは、一定距離範囲内に近づいた携帯端末の非接触ICチップを介して個人情報を読み出すと共に、読み出した個人情報に対応する携帯端末の操作内容を、サーバから取得し、携帯端末は、非接触ICチップリーダが取得した携帯端末の操作内容を受信し、その内容に基づいて当該携帯端末を動作させるようにしたので、携帯端末が持つ多くの機能を複雑な操作を行うことなく活用できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による携帯端末操作システムの概略図である。また、図2は実施の形態1による携帯端末操作システムの各構成要素のブロック図である。図1、図2を参照して、携帯端末操作システムの構成について説明する。図1に示すように、携帯端末操作システムは、携帯電話機10、非接触ICチップリーダ40、サーバ60を含む。携帯電話機10は基地局101、ネットワーク100を介して他の端末と通信可能である。例えば基地局102を介して携帯電話機10’と通信可能である。サーバ60はネットワーク100に接続される。非接触ICチップリーダ40は、携帯電話機10およびサーバ60と通信可能である。
【0021】
図2に示すように、携帯電話機10は、制御部20、非接触ICチップ30を備える。制御部20は、個人情報格納部21、ICチップ通信部22、動作制御部23を含む。非接触ICチップ30は、非接触通信部31を含む。個人情報格納部21は、携帯電話機10のユーザの個人情報、例えば氏名、電話番号を格納する。この他、個人情報は必要に応じて住所やアドレス情報を含んでもよい。ICチップ通信部22は、非接触通信部31と情報のやり取りを行う。動作制御部23は、携帯電話機10の動作、設定の制御を行う。また、動作制御部23は携帯電話通信のための通信制御部、アプリケーション実行部等を含む。
【0022】
非接触ICチップリーダ40は、非接触通信部41、サーバ制御部50を備える。サーバ制御部50は、サーバ通信部51、個人情報格納部52を含む。非接触通信部41は、携帯電話機10の非接触通信部31と通信を行い、非接触ICチップの情報を読み出すことができる。個人情報格納部52は、非接触通信部41が読み出した携帯電話機10の個人情報等を保存する。ただし、個人情報格納部52は個人情報等を一時的に格納するバッファとして使用され、恒久的には個人情報等を格納しない。これは、非接触ICチップリーダ40の設置場所次第では盗難等にあう可能性があり、そのような場合に個人情報の漏洩の防ぐためである。
【0023】
サーバ60は、制御部61を含む。制御部61は、個人情報格納部62、通信制御部63を備える。通信制御部63は、ネットワーク100に接続され、また非接触ICチップリーダ40のサーバ通信部51と通信可能である。個人情報格納部62は、外部から送信された個人情報と携帯電話機10の動作機能を表す後述する操作内容を含むその他の情報とを格納する。
【0024】
本発明の実施の形態は、携帯電話機10のユーザが、携帯電話機10を非接触ICチップリーダ40に近づけるだけで、サーバ60から操作内容を含む必要な情報を取得し、操作内容に基づいて携帯電話機10の所望の機能を起動させて利用できるようにするものである。
【0025】
次に携帯端末操作システムの動作について説明する。
【0026】
例えば、一人暮らしの高齢者Aが自宅にて携帯電話機10を使用する場合について説明する。多くの高齢者にとって、自身が望む機能を、携帯電話機を適切に操作して起動することは困難なことであり、一人暮らしの高齢者の場合は家族等に助けを求めることができないのでなおさら困難となる。そこで、高齢者Aは携帯電話機10を所有し、さらに自宅に非接触ICチップリーダ40を持つとする。
【0027】
図3は、本実施の形態1による携帯端末操作システムの利用例を示す図である。図に示すように、高齢者Aは自宅に非接触ICチップリーダ40を持ち、携帯電話機10を利用する。高齢者Aの家族は携帯電話機10’を持つとする。携帯端末操作システムによれば、高齢者Aが携帯電話機10を非接触ICチップリーダ40に近づけるのみで、高齢者Aは携帯電話機10を操作できるようになる。
【0028】
ここで、サーバ60の動作について説明する。サーバ60は、個人情報格納部61に、ユーザの個人情報および、そのユーザの携帯電話機に対する操作内容等を格納する。例えば、高齢者Aが、携帯電話機10のカメラ機能を用いて写真撮影をしたいと考えているとする。この場合、高齢者Aは携帯電話機10を非接触ICチップリーダ40に近づけたとき、すなわち非接触ICチップリーダ40に対して通信を行ったときにカメラ機能が使用できるように設定してもらうよう予め家族に依頼しておく。高齢者Aの家族は、高齢者Aが、携帯電話機10から非接触ICチップリーダ40に対して通信を行ったとき、自動的にカメラ機能を起動する指示情報を予めサーバ60に登録する。具体的には、家族は、携帯電話機10’を使用して指示情報をネットワーク100を介してサーバ60に送信する。例えば、高齢者Aの氏名、電話番号等の個人情報、携帯電話機10の機体情報、送信者、すなわち家族の情報、および携帯電話機10の操作内容、すなわちカメラ起動指示(カメラ機能を起動する指示情報)を送信する。サーバ60は、これらの情報を通信制御部63にて受信して、個人情報格納部62に格納する。
【0029】
図4は、個人情報格納部61のデータ構造を示す図である。図に示すように、個人情報格納部62は、ユーザ氏名、電話番号、機体情報、送信者氏名、送信者連絡先、操作内容および認証日時の各項目を有する。認証日時については後述する。
【0030】
また、携帯電話機10においても、携帯電話機10’からの擬似的な遠隔操作を許可する旨の情報を予め家族などが登録しておいてもよい。これは、携帯電話機10’からの登録のみで携帯電話機10の操作が可能になってしまうと、本携帯端末操作システムが不正に使用された場合に、携帯電話機10が意図しない操作を行ってしまうことを防ぐためである。また、個人情報の漏洩等、大きな危険にさらされることを防ぐためである。よって、家族などが予め携帯電話機10に、携帯電話機10’からサーバ60へ遠隔操作を許可する旨の情報を図4の操作内容として個人情報格納部62に格納しておき、この情報が格納されているときのみ、その後携帯電話機10’からの遠隔操作(図1の基地局101,102を経由)を可能とするようにしてもよい。
【0031】
図5は、本実施の形態1による携帯端末操作システムの動作を示すフローチャートである。高齢者Aが、携帯電話機10を非接触ICチップリーダ40の一定距離範囲内に近づけると、携帯電話機10に搭載される非接触ICチップ30の非接触通信部31と非接触ICチップリーダ40の非接触通信部41とが相互に通信を行う(ステップST1)。上記一定距離範囲とは、非接触通信部31と非接触通信部41との間での通信が可能となる距離であり、通常は10cm程度である。
【0032】
このとき、携帯電話機10の非接触ICチップ30は、個人情報格納部21に格納される個人情報を、非接触通信部31およびICチップ通信部22を介して読み出す(ステップST2)。非接触ICチップ30は、読み出した個人情報と共に、携帯電話機10の製造番号などを含む機体情報を読み出して、非接触ICチップリーダ40の非接触通信部41に送信する(ステップST3)。
【0033】
非接触ICチップリーダ40は、受け取った個人情報と機体情報とを個人情報格納部53に格納する(ステップST4)。続いて、サーバ通信部51は、認証を行うために、受け取った機体情報に対応する個人情報をサーバ60から取得する要求を出す。サーバ60は、通信制御部63で要求を受け取ると、個人情報格納部62から機体情報に対応する個人情報を読み出して、非接触ICチップリーダ40に返送する(ステップST5)。非接触ICチップリーダ40は、サーバ通信部51において個人情報を受け取ると、認証部52において認証を行う(ステップST6)。具体的には、サーバ60および携帯電話機10からそれぞれ受け取った個人情報と機体情報とを照合し、それぞれが一致すれば以降の処理を続け、一致しなければ処理を中止する。中止する場合は、非接触通信部41を介して携帯電話機10にその旨を通知し、携帯電話機10の表示手段に表示する等してもよい。
【0034】
認証が完了すると、サーバ通信部51はサーバ60に対して、個人情報、認証が行われた日時、および携帯電話機10の機体情報等を送信する(ステップST7)。サーバ60は、これらの情報を通信制御部63において受信すると、受信した個人情報に対応する個人情報格納部62内のデータに、認証が行われた日時、機体情報等を加えて格納する(ステップST8)。さらに、通信制御部63は、受け取った個人情報に対応する携帯電話機の操作内容を個人情報格納部62から読み出して、非接触ICチップリーダ40に返信する(ステップST9)。非接触ICチップリーダ40は、サーバ通信部51で操作内容を受信し、非接触通信部41を介して携帯電話機10に送信する(ステップST10)。
【0035】
携帯電話機10は、非接触通信部31を介して携帯電話機10の操作内容を受け取り、ICチップ通信部22に送信する。動作制御部23は、ICチップ通信部22が受け取った操作内容に基づいて、携帯電話機10を動作させる(ステップST11)。例えば、操作内容がカメラ起動指示であれば、動作制御部23は携帯電話機10のカメラを起動する。これにより、携帯電話機10の操作を、ユーザのアクションに依存せずに自動的に行うことができる。
【0036】
ここで、ステップST7において、サーバ60は通信制御部63にて非接触ICチップリーダ40から個人情報、認証が行われた日時、または携帯電話機10の機体情報等を受け取ると、個人情報格納部62に格納すると共に、これらの情報を例えば電子メールなどにより、個人情報格納部62に格納される送信者、すなわち携帯電話機10’に宛てて通信制御部63から送信してもよい(ステップST12)。これにより、サーバ60への携帯電話機の操作内容の登録を行った携帯電話機10’、すなわち家族が、個人情報、認証が行われた日時、携帯電話機10の機体情報、または操作が行われた事実を把握することができる。
【0037】
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、携帯電話機10が非接触ICチップ30を搭載し、ユーザが携帯電話機10を非接触ICチップリーダ40に近づけると、非接触ICチップリーダ40が携帯電話機10の個人情報を読み出し、この個人情報に基づいてサーバ60から携帯電話機10の操作内容を受信して携帯電話機10に送信し、携帯電話機10がその操作内容にしたがって動作をするようにした。これにより、ユーザは携帯電話機10の複雑なキー操作等を行う必要はなく、携帯電話機10を非接触ICチップリーダ40に近づけるのみで、携帯電話機10が有する機能を使用できる。よって、高齢者等、操作に不慣れなユーザであっても非常に容易な操作で携帯電話機の様々な機能を活用することが可能となり、より多くのユーザに携帯電話機利用の機会を提供できる効果が得られる。
【0038】
また、サーバ60が、携帯電話機10と非接触ICチップリーダ40とが通信を行った日時等を家族の携帯電話機10’に送信するようにしたので、高齢者Aは携帯電話機10を非接触ICチップリーダ40に近づけるのみで、家族等へ様々な情報を伝えることができる。
実施の形態2.
携帯電話機によって他者とのコミュニケーションを行う際に、多くの情報は不要で、コミュニケーションがとれることのみを伝えたい場面がある。例えば、幼少の子供が家族に対して安全であることのみを伝えたい場合等がある。従来は、家族が子供の登下校中に安全にしているか否かを知る手段としては、家族が子供の持つ携帯電話に電話したり、子供が家に電話したりする等、互いにコミュニケーションを行おうとしなければならなかった。そこで、本発明の実施の形態の携帯端末操作システムを用いて、幼少の子供が家族に対して安全であることのみを容易に伝えることについて説明する。
【0039】
図6は、本発明による携帯端末操作システムの他の利用例を示す図である。携帯電話機10、非接触ICチップリーダ40およびサーバ60の各構成は図2に示すものと同様であり、各動作も上述の通りである。
【0040】
図6に示すように、子供Bが携帯電話機10を保持し、子供Bの家族が携帯電話機10’を保持するようにする。非接触ICリップリーダ40を、例えば、校門、通学路の交差点毎に設置しておく。サーバ60の個人情報格納部62には、家族が予め、携帯電話機10を非接触ICチップリーダ40に近づけたときに行って欲しい動作に対応する操作内容を登録しておく。例えば、自動的にメール送信を行う指示情報を、携帯電話機10’からサーバ60に送信しておく。サーバ60は、指示情報を受け取ると、個人情報格納部62に操作内容として格納しておく。
【0041】
子供Bが携帯電話機10を保持して登下校すると、校門、交差点を通過するたびに、携帯電話機10の非接触通信部31と非接触ICリップリーダ40の非接触通信部41が相互に通信を行う。このとき、上述したように、非接触ICチップリーダ40は非接触通信部41と携帯電話機10の非接触通信部31を介して、携帯電話機10の個人情報と機体情報を読み出す。非接触ICチップリーダ40は、読み出した機体情報に対応する個人情報をサーバ60から読み出し、認証部52において認証を行う。認証が完了すると、サーバ通信部51はサーバ60に個人情報、認証が行われた日時、機体情報等を送信する。サーバ60は、これらの情報を受信して、個人情報格納部62に格納すると共に、受け取った個人情報に対応する携帯電話機の操作内容を非接触ICチップリーダ40に返信する。非接触ICチップリーダ40は、サーバ通信部51で操作内容を受信し、非接触通信部41を介して携帯電話機10に送信する。
【0042】
携帯電話機10は、非接触通信部31を介して携帯電話機10の操作内容を受け取り、ICチップ通信部22に送信する。動作制御部23は、ICチップ通信部22が受け取った操作内容に基づいて、携帯電話機10を動作させる。ここでは、動作制御部23は電子メール機能を起動して、家族の携帯電話機10’に宛てて電子メールを自動作成し、図1の基地局101を経由して携帯電話機10’に送信する。携帯電話機10は、非接触ICチップリーダ40から子供Bが非接触ICチップリーダ40に携帯電話機10を近づけた時間、場所等の情報を取得しておくと、動作制御部23はこれらの情報を電子メールに付加して送信することができる。
【0043】
また、登下校中の子供Bから電話を受け取りたい場合には、子供Bの家族は、予めサーバ60に、子供Bが非接触ICチップリーダ40と通信を行ったときに電話発信する指示情報を登録しておく。家族は、自宅以外の場所にいる場合や、家族以外の人に連絡を行ってほしい場合等には、各用途に応じた連絡先を予めサーバ60に送信してもよい。これにより、登下校する子供Bに対して、ニーズに応じた連絡手段を提供することが可能となる。
【0044】
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、子供Bが携帯電話機10を保持し、非接触ICチップリーダ40を、校門、通学路の交差点等に設置しておくことにより、子供Bの家族は、子供Bが校門を何時に出発したのか、どこの交差点を何時に通過したのか等の情報を受け取ることができ、子供Bが無事に登下校していることを知ることが可能となる。
【0045】
上記実施の形態1,2に説明したように、本発明の実施の形態によれば、携帯電話機の有する機能により多くの付加価値を与えることができる。例えば、いわゆるライトユーザ層が、携帯電話機の有する様々な機能が非常に容易な操作で利用できるようになり、コミュニケーションツールとしての付加価値、意思伝達ツールとしての付加価値が高まる。また、本発明を高齢者の在宅確認や、子供の登下校時の安全確認に利用すれば、高齢者や子供の身の安全を守ることにも繋がり、携帯電話機に非常に高い付加価値を与えることが可能となる。
【0046】
さらに、本発明の実施の形態による効果として以下の各事項も挙げられる。
【0047】
例えば、非接触ICチップを用いた個人の認証、および非接触ICチップを用いた通信方法は、既に銀行の決済、定期券等に利用されているので、本発明の実施の形態はこれら既存の機能の組み合わせによって新たなユーザインタフェースを提供できる効果がある。
【0048】
また、仮に非接触ICチップを介さず、電話着信等をトリガーとして携帯電話機の操作を行うことも可能である。しかし、この方法では携帯電話機のユーザは常に受動的にならざるを得ない。しかしながら本発明の実施の形態を使用すれば、常に受動的ではなく、あくまでユーザが自発的にごく簡単な動作によって携帯電話機の機能を操作することができる点において、電話着信等をトリガーとした遠隔的な操作方法よりも優れていといえる。
【0049】
その他、非接触ICチップを用いる以外の方法として、携帯情報機器向けの無線通信技術であるBluetoothなども挙げられる。しかしながら、Bluetoothを使用する場合、非接触ICチップを用いる場合に比べ、送信側と受信側の距離が長くても利用が可能となってしまうため、送受信の際に内容を傍受される可能性がある。それに対して、本発明の実施の形態では、送受信可能な距離が10cm程度と非常に小さい非接触ICチップを用いた仕組みを使用することにより、傍受の可能性を低減することができる。また、送受信可能な距離が小さいために、ユーザの意図に反して送受信を行ってしまうことを避けることも可能となる。
【0050】
さらに、本発明の実施の形態による携帯電話操作システムを用いて、携帯電話機の既存機能の可能性を大きく拡大させることも可能となる。例えば、携帯電話機で行う通話動作を例にとると、通話先として選択されるのは、携帯電話機のメモリ上に保存されている相手である場合が大きな割合を占めているのが現状である。そこで、予めサーバ60に連絡先を登録しておけば、携帯電話機10のメモリ上に登録していない連絡先に対しても、連絡を行うことができる。よって、ユーザが自身の携帯電話機に登録していない連絡先に対しても、連絡先の情報を知ることができると同時に、取得した連絡先に対して通話することが可能となる。
【0051】
なお、上記では通信端末として携帯電話機を挙げたがそれに限定されず、PDA(Personal Digital Assistant)などの他の通信端末、パーソナルコンピュータ等に適用してもよい。
【0052】
また、本発明の実施の形態により、非接触ICチップ30と、ユーザの個人情報を格納する個人情報格納部21とを備えた携帯電話機10と、非接触ICチップ30を介して個人情報を読み出す非接触ICチップリーダ40と、非接触ICチップリーダ40と通信可能なサーバ60とにより、携帯電話機10を自動的に操作するにあたり、サーバ60を、携帯電話機10のユーザの個人情報と、各個人情報に対応する携帯電話機10の操作内容とを含む個人情報格納部62として機能させ、非接触ICチップリーダ40を、一定距離範囲内に近づいた携帯電話機10の非接触ICチップ30を介して携帯電話機10に格納される個人情報を読み出す非接触通信部41と、読み出した個人情報に対応する携帯電話機10の操作内容を、サーバ60の個人情報格納部62から取得するサーバ通信部51として機能させ、携帯電話機10を、サーバ通信部51が取得した携帯電話機10の操作内容を、非接触通信部31を介して受信し、その内容に基づいて携帯電話機10を動作させる動作制御部23として機能させるプログラムを生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1による携帯端末操作システムの概略図である。
【図2】同実施の形態1による携帯端末操作システムの各構成要素のブロック図である。
【図3】同発明の実施の形態1による携帯端末操作システムの利用例を示す図である。
【図4】同発明の実施の形態1による携帯端末操作システムの個人情報格納部のデータ構造を示す図である。
【図5】同発明の実施の形態1による携帯端末操作システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2による携帯端末操作システムの利用例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10,10’ 携帯電話機
20 制御部
21 個人情報格納部
22 ICチップ通信部
23 動作制御部
30 非接触ICチップ
31 非接触通信部
40 非接触ICチップリーダ
41 非接触通信部
50 サーバ制御部
51 サーバ通信部
52 個人情報格納部
60 サーバ
61 制御部
62 個人情報格納部
63 通信制御部
100 ネットワーク
101,102 基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触ICチップと、ユーザの個人情報を格納する個人情報格納手段とを備えた携帯端末と、前記非接触ICチップを介して前記個人情報を読み出す非接触ICチップリーダと、前記非接触ICチップリーダと通信可能なサーバとを備え、
前記サーバは、
前記携帯端末のユーザの個人情報と、各個人情報に対応する携帯端末の操作内容とを含む操作内容格納手段を備え、
前記非接触ICチップリーダは、
一定距離範囲内に近づいた携帯端末の非接触ICチップを介して当該携帯端末に格納される個人情報を読み出す非接触通信手段と、読み出した個人情報に対応する前記携帯端末の操作内容を、前記サーバの操作内容格納手段から取得するサーバ通信手段とを備え、
前記携帯端末は、
前記サーバ通信手段が取得した携帯端末の操作内容を、前記非接触通信手段を介して受信し、その内容に基づいて当該携帯端末を動作させる制御手段を備えたことを特徴とする携帯端末操作システム。
【請求項2】
前記サーバは、
ネットワークを介して通信可能な端末装置から、ユーザ毎に対応する携帯端末の操作内容を受信して前記操作内容格納手段に格納すると共に、前記携帯端末が前記非接触ICチップリーダの一定距離範囲内に近づいた日時を、前記端末装置に送信する通信制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末操作システム。
【請求項3】
前記非接触ICチップリーダは、
前記携帯端末から読み出した個人情報と、前記サーバから読み出した個人情報とに基づいて認証を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯端末操作システム。
【請求項4】
ネットワークを介して通信可能な端末装置から、ユーザ毎に対応する携帯端末の操作内容を受信する通信制御手段と、
前記受信した携帯端末の操作内容を、ユーザ毎に対応づけて格納する操作内容格納手段とを備えたことを特徴とするサーバ。
【請求項5】
前記通信制御手段は、非接触ICチップリーダと通信可能であり、前記携帯端末が前記非接触ICチップリーダの一定距離範囲内に近づいた日時を受け取ると、その情報を前記ネットワークを介して通信可能な端末装置に送信することを特徴とする請求項4記載のサーバ。
【請求項6】
一定距離範囲内に近づいた携帯端末の非接触ICチップを介して当該携帯端末に格納される個人情報を読み出す非接触通信手段と、読み出した個人情報に対応する前記携帯端末の操作内容を、ネットワークを介して通信可能なサーバ装置から取得して、前記携帯端末に前記非接触ICチップを介して返信するサーバ通信手段とを備えたことを特徴とする非接触ICチップリーダ。
【請求項7】
非接触ICチップと、
ユーザの個人情報を格納する個人情報格納手段と、
前記非接触ICチップを介して非接触ICチップリーダから前記個人情報に対応する携帯端末の操作内容を受信し、その内容に基づいて当該携帯端末を動作させる制御手段とを備えた携帯端末。
【請求項8】
非接触ICチップと、ユーザの個人情報を格納する個人情報格納手段とを備えた携帯端末と、前記非接触ICチップを介して前記個人情報を読み出す非接触ICチップリーダと、前記非接触ICチップリーダと通信可能なサーバとにより、前記携帯端末を自動的に操作するにあたり、
前記サーバを、
前記携帯端末のユーザの個人情報と、各個人情報に対応する携帯端末の操作内容とを含む操作内容格納手段として機能させ、
前記非接触ICチップリーダを、
一定距離範囲内に近づいた携帯端末の非接触ICチップを介して当該携帯端末に格納される個人情報を読み出す非接触通信手段と、読み出した個人情報に対応する前記携帯端末の操作内容を、前記サーバの操作内容格納手段から取得するサーバ通信手段として機能させ、
前記携帯端末を、
前記サーバ通信手段が取得した携帯端末の操作内容を、前記非接触通信手段を介して受信し、その内容に基づいて当該携帯端末を動作させる制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−124345(P2007−124345A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314716(P2005−314716)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】