説明

携帯端末装置、入退場管理装置およびプログラム

【課題】ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめると共に、その不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行う携帯端末装置を実現する。
【解決手段】携帯端末装置10では、入場時のメモリ使用状態を表すデータと退場時のメモリ使用状態を表すデータとを比較して不正行為により取得したデータ(不正ファイル)の有無を判別する。不正ファイルが有ると、ファイル削除操作だけを有効とする状態に設定すると共に、警報音鳴音/警報表示によりユーザに不正行為を働いた旨を知らしめ、さらに入退場管理装置20に警報信号を送信する。警報信号を受信した入退場管理装置20では、警報音鳴音/警報表示およびゲート閉鎖する。携帯端末装置10のユーザが不正ファイルの削除操作を行うと、操作制限の無い状態に戻る。これにより、不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影や録音が禁止された場所で隠し撮り等の不正行為によって取得されたデータの持ち出しを防止する携帯端末装置、入退場管理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンサート会場や美術館などでは著作権を保護する為に撮影や録音を禁止していることが多い。撮影や録音が禁止された場所で隠し撮り等の不正行為によって取得されたデータの持ち出しを防止する技術として、例えば特許文献1には、撮影禁止エリアの出入り口に書き込み制御信号を無線送信するゲートを設けておき、撮影禁止エリアへ入場する際に撮影装置がゲートから無線送信される書き込み制御信号を受信して自己内蔵のメモリカードを書き込み禁止モードにして撮影不可の状態に設定し、撮影禁止エリアから退場する際に撮影装置がゲートから無線送信される書き込み制御信号を受信して自己内蔵のメモリカードを書き込み許可モードにして撮影可能な状態に戻すシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−41046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の技術は、撮影禁止エリアへの入場に応じてメモリカードへの書き込みを禁止して撮影不可の状態に設定するので、隠し撮り等の不正行為そのものを未然に阻止して結果的にデータの持ち出しを防止する。しかしながら、そうした対応策では、例えば撮影禁止であることを知らなかったり忘れたりして撮影を行ったユーザに不正行為を働いた旨を知らしめ、その不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行うことが出来ない、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめると共に、その不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行うことができる携帯端末装置、入退場管理装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ファイルを記憶する記憶手段と、入退場を管理する入退場管理装置との通信に応じて特定場所への入場又は特定場所からの退場のいずれであるかを判別する入退場判別手段と、前記入退場判別手段が特定場所への入場と判別した場合に、前記記憶手段の入場時の記憶内容を表す入場時使用状態を取得する第1の取得手段と、前記入退場判別手段が特定場所からの退場と判別した場合に、前記記憶手段の退場時の記憶内容を表す退場時使用状態を取得する第2の取得手段と、前記入退場判別手段が特定場所からの退場と判別した場合に、前記第1の取得手段により取得された入場時使用状態と前記第2の取得手段により取得された退場時使用状態とを比較して前記記憶手段の記憶内容の差異を判別する記憶内容判別手段と、前記記憶内容判別手段の判別結果に応じた所定の処理を実行する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
上記請求項1に従属する請求項2に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時よりも退場時のメモリ使用量が増加したと判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に従属する請求項3に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時よりも退場時のファイル数が増加したと判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0009】
上記請求項3に従属する請求項4に記載の発明では、前記記憶内容判別手段は、入場時よりも退場時のファイル数が所定の数以上増えたか否かを判別することを特徴とする。
【0010】
上記請求項1に従属する請求項5に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した日時より新しいファイルが存在すると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0011】
上記請求項1に従属する請求項6に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した時点で存在しなかったファイル名のファイルが有ると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0012】
上記請求項1に従属する請求項7に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した時点で無かった特定の識別子を有するファイルが存在すると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0013】
上記請求項2〜3および請求項5〜7のいずれかに従属する請求項8に記載の発明では前記制御手段は、所定の処理として、ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめる所定の通知を行うことを特徴とする。
【0014】
上記請求項2〜3および請求項5〜7のいずれかに従属する請求項9に記載の発明では前記制御手段は、所定の処理として、前記記憶手段の記憶内容を入場時使用状態に戻す操作のみを有効とし、それ以外の操作を無効にすることを特徴とする。
【0015】
上記請求項2〜3および請求項5〜7のいずれかに従属する請求項10に記載の発明では前記制御手段は、所定の処理として、前記記憶手段の記憶内容を入場時使用状態に戻すことを特徴とする。
【0016】
上記請求項2〜3および請求項5〜7のいずれかに従属する請求項11に記載の発明では前記制御手段は、所定の処理として、前記入退場管理装置に警報報知或いはゲート閉鎖を行わせることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明では、ファイルを記憶する記憶手段を備える携帯端末装置との通信に応じて、特定場所へ入場した時に携帯端末装置の記憶手段の記憶内容を表す入場時使用状態を取得し、特定場所から退場した時に携帯端末装置の記憶手段の記憶内容を表す退場時使用状態を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された入場時使用状態と退場時使用状態とを比較して携帯端末装置の記憶手段の記憶内容の差異を判別する記憶内容判別手段と、前記記憶内容判別手段の判別結果に応じた所定の処理を実行する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
上記請求項12に従属する請求項13に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時よりも退場時のメモリ使用量が増加したと判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0019】
上記請求項12に従属する請求項14に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時よりも退場時のファイル数が増加したと判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0020】
上記請求項14に従属する請求項15に記載の発明では、前記記憶内容判別手段は、入場時よりも退場時のファイル数が所定の数以上増えたか否かを判別することを特徴とする。
【0021】
上記請求項12に従属する請求項16に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した日時より新しいファイルが存在すると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0022】
上記請求項12に従属する請求項17に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した時点で存在しなかったファイル名のファイルが有ると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0023】
上記請求項12に従属する請求項18に記載の発明では、前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した時点で無かった特定の識別子を有するファイルが存在すると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする。
【0024】
上記請求項13〜14および請求項16〜18のいずれかに従属する請求項19に記載の発明では、前記制御手段は、所定の処理として、警報報知或いはゲート閉鎖することを特徴とする。
【0025】
上記請求項13〜14および請求項16〜18のいずれかに従属する請求項20に記載の発明では、前記制御手段は、所定の処理として、ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめる警報信号を携帯端末装置に送信することを特徴とする。
【0026】
請求項21に記載の発明では、ファイルを記憶するメモリを備えた携帯端末装置に搭載されるコンピュータに、入退場を管理する入退場管理装置との通信に応じて特定場所への入場又は特定場所からの退場のいずれであるかを判別する入退場判別ステップと、前記入退場判別ステップにて特定場所への入場と判別された場合に、前記メモリの入場時の記憶内容を表す入場時使用状態を取得する第1の取得ステップと、前記入退場判別ステップにて特定場所からの退場と判別された場合に、前記メモリの退場時の記憶内容を表す退場時使用状態を取得する第2の取得ステップと、前記入退場判別ステップにて特定場所からの退場と判別された場合に、前記第1の取得ステップで取得された入場時使用状態と前記第2の取得ステップで取得された退場時使用状態とを比較して前記メモリの記憶内容の差異を判別する記憶内容判別ステップと、前記記憶内容判別ステップの判別結果に応じた所定の処理を実行する制御ステップとを実行させることを特徴とする。
【0027】
請求項22に記載の発明では、入退場を管理する入退場管理装置に搭載されるコンピュータに、ファイルを記憶するメモリを備えた携帯端末装置との通信に応じて、特定場所へ入場した時に携帯端末装置のメモリの記憶内容を表す入場時使用状態を取得し、特定場所から退場した時に携帯端末装置のメモリの記憶内容を表す退場時使用状態を取得する取得ステップと、前記取得ステップにて取得された入場時使用状態と退場時使用状態とを比較して携帯端末装置のメモリの記憶内容の差異を判別する記憶内容判別ステップと、前記記憶内容判別ステップの判別結果に応じた所定の処理を実行する制御ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめると共に、その不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態による携帯端末装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態による入退場管理装置20の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態による入退場管理装置20が実行する入退場管理処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図11】第3実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図12】第3実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図13】第4実施形態による携帯端末装置10が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図14】第4実施形態による入退場管理装置20が実行する入退場管理処理の動作を示すフローチャートである。
【図15】第4実施形態による入退場管理装置20が実行する入退場管理処理の動作を示すフローチャートである。
【図16】第4実施形態による入退場管理装置20が備える管理テーブルの構成を示す図である。
【図17】第5実施形態による入退場管理装置20が実行する入退場管理処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[第1実施形態]
A.構成
(1)携帯端末装置10の構成
図1は、本発明の第1実施形態による携帯端末装置10の構成を示すブロック図である。図1において、制御部100は、CPUおよび入出力回路などから構成され、操作部103(後述する)から供給されるイベントに応じて装置各部の動作を制御する。本発明の要旨に係わる制御部100の特徴的な処理動作については追って詳述する。
【0031】
ROM101は、プログラムエリアおよびデータエリアを備える。ROM101のプログラムエリアには、制御部100により実行される各種プログラムが記憶される。ここで言う各種プログラムとは、追って詳述するメインルーチンを含む。ROM101のデータエリアには、所定のプログラムにより参照される制御データの他、例えば待受画面などの各種表示画面を形成する画面データが格納される。
【0032】
RAM102は、制御部100の処理に用いる各種レジスタ・フラグデータを一時記憶するワークエリアの他、カメラ部108により撮影される画像データ(又は動画像データ)などのユーザデータを保存するユーザメモリエリアを備える。なお、RAM102のワークエリアには、後述する禁止フラグや入場時/退場時メモリ使用状態を表すデータが格納されるようになっており、これらが意図するところについては追って説明する。
【0033】
操作部103には、パワーオンオフする電源スイッチ、通話開始/終了時に操作されるオフフック/オンフックスイッチ、ダイヤルスイッチと兼用の文字入力スイッチ等の各種操作キーを有し、これらキーやボタンの操作に応じたイベントを発生して制御部100に出力する。表示部104は、カラー液晶パネルおよび表示ドライバから構成され、制御部100の制御の下に、待受画面など各種画面を表示する。
【0034】
無線通信送受信部105は、データ通信時には制御部100の制御の下に、アンテナANT1を介して基地局(不図示)とデータ授受を行い、音声通話時にはアンテナANT1を介して受信復調した音声データを制御部100に出力する一方、制御部100から供給される音声データを変調して得た送信信号を高周波増幅してアンテナANT1から送出する。音声信号処理部106は、スピーカSPおよびマイクMICを備え、制御部100から供給される音声データを音声信号にD/A変換してスピーカSPから発音させたり、マイクMICから出力される音声信号を音声データにA/D変換して制御部100に供給する。
【0035】
非接触IC部107は、非接触ICチップ(例えばFelicaチップ(登録商標))を備え、アンテナANT2を介して入退場管理装置20のリーダライタ部204(図2参照)と電磁結合方式で非接触データ通信を行う。具体的には、リーダライタ部204からの送信要求に応じて、非接触IC部107が非接触ICチップに記憶される端末IDなどの認証情報を入退場管理装置20のリーダライタ部204へ送信する。カメラ部108は、制御部100の指示に従って撮像を開始し、これにより得られる画像データ(又は動画像データ)を発生する。カメラ部108が発生する画像データ(又は動画像データ)は、制御部100の制御の下に、上述したRAM102のユーザメモリエリアにファイルとして記憶管理される。
【0036】
(2)入退場管理装置20の構成
図2は、第1実施形態による入退場管理装置20の構成を示すブロック図である。入退場管理装置20は、例えば撮影が禁止されるコンサート会場の入退場ゲートに設けられる装置であって、制御部200、ROM201、RAM202、操作部203、リーダライタ部204およびゲート部205から構成される。
【0037】
制御部200は、CPUおよび入出力回路などから構成され、操作部203から供給されるイベントや、前述した携帯端末装置10の非接触IC部107との非接触データ通信開始イベントに応じて各部動作を制御する。本発明の要旨に係わる制御部200の特徴的な処理動作(入退場管理処理)については追って詳述する。ROM201には、制御部200により実行される各種プログラムが記憶される。ここで言う各種プログラムとは、後述する入退場管理処理を含む。
【0038】
RAM202は、制御部200の処理に用いる各種レジスタ・フラグデータを一時記憶する。また、RAM202には、リーダライタ部204が携帯端末装置10の非接触IC部107と非接触データ通信して受信した端末IDを記憶する管理テーブルが設けられる。すなわち、携帯端末装置10を携行するユーザが入退場ゲートを通って入退場する際に、リーダライタ部204が携帯端末装置10の非接触IC部107と非接触データ通信して端末IDを受信し、入場時には受信した端末IDを制御部200の制御の下に、RAM202の管理テーブルに登録し、退場時には受信した端末IDを制御部200の制御の下に、RAM202の管理テーブルから削除する。
【0039】
操作部203には、パワーオンオフする電源スイッチの他、例えば後述する入退場管理処理において携帯端末装置10側から警報信号を受信した場合に鳴音させた警報音の停止や閉鎖ゲートの解除などを指示する各種の操作キーを有し、それら操作に応じたイベントを発生して制御部200に出力する。リーダライタ部204は、制御部200の制御の下に、携帯端末装置10が備える非接触IC部107(図1参照)と電磁結合方式の非接触データ通信により端末IDを受信する。ゲート部205は、ゲート開閉手段、警報音発生手段および警報表示手段を備えるゲート装置(不図示)に対し、制御部200の制御の下に、ゲートの開閉を指示する他、警報音鳴音や警報表示を指示する。
【0040】
B.動作
(1)携帯端末装置10の動作
次に、図3〜図6を参照して携帯端末装置10の動作を説明する。図3〜図6は、携帯端末装置10の制御部100が実行するメインルーチンの動作を示すフローチャートである。先ず、ユーザの電源オン操作により携帯端末装置10がパワーオンされると、制御部100は図3に図示するメインルーチンのステップSA1に処理を進め、装置各部をイニシャライズする起動処理を実行し、続くステップSA2では、待受処理を実行して無線通信網に位置登録を行って待ち受け状態に入る。待ち受け状態になると、表示部104には待受画面(図示略)が表示される。
【0041】
続いて、ステップSA3、図4のステップSA9、図6のステップSA25およびステップSA29では、それぞれ「着信検知」、「入退場管理装置20との通信」、「ファイル削除操作」および「その他の操作」のイベントの有無を判断する。これらイベントが発生しなければ、上記ステップSA3、図4のステップSA9、図6のステップSA25およびステップSA29の各判断結果はいずれも「NO」になる為、上記ステップSA2の待ち受け状態のまま待機する。そして、この待ち受け状態下において上記イベントのいずれかが発生すると、その発生したイベントに対応した処理を実行する。以下、イベント別に分けて動作の説明を進める。
【0042】
a.着信検知した場合
着信を検知すると、図3に図示するステップSA3の判断結果が「YES」になり、ステップSA4に進み、RAM102のワークエリアに設けられる禁止フラグが「0」であるか否かを判断する。なお、禁止フラグとは、後述するように、「0」の場合に操作制限無しの状態を表し、「1」の場合にファイル削除操作だけを有効とし、それ以外の操作を制限(無効)する状態を表すフラグである。こうした禁止フラグは、例えば撮影や録音が禁止されたコンサート会場から不正行為により取得したデータ(不正ファイル)を持ち出そうとした場合に「1」にセットされる。
【0043】
したがって、ステップSA4では、操作制限無しの状態であるかどうかを判断する。不正ファイル削除操作だけを有効とし、それ以外の操作を制限する状態(禁止フラグが「1」の場合)ならば、判断結果は「NO」になり、上記ステップSA2の待ち受け状態に復帰する。
【0044】
一方、操作制限無しの状態ならば、上記ステップSA4の判断結果は「YES」になり、次のステップSA5に進む。ステップSA5では、着信報知を行うと共に、この着信報知中にオフフック操作されたか否かを判断する。着信報知中にオフフック操作が行われなければ、判断結果は「NO」になり、上記ステップSA2の待ち受け状態に復帰する。
【0045】
これに対し、着信報知中にオフフック操作されると、上記ステップSA5の判断結果が「YES」になり、ステップSA6に進み、発呼側と回線接続して通話を開始させる通話処理を実行する。次いで、ステップSA7では、通話処理中のオンフック操作の有無を判断する。オンフック操作が行われなければ、ステップSA7の判断結果は「NO」となり、上記ステップSA6の通話処理を継続させるが、オンフック操作されると、ステップSA7の判断結果が「YES」になり、ステップSA8に進む。そして、ステップSA8では、オンフック操作に応じて回線を断つ切断処理を実行した後、上記ステップSA2の待ち受け状態に復帰する。
【0046】
b.入退場管理装置20との通信が行われた場合
待ち受け状態下で入退場管理装置20との通信が行われると、図4に図示するステップSA9の判断結果が「YES」になり、ステップSA10に進み、禁止フラグが「0」、すなわち操作制限無しの状態であるかどうかを判断する。不正ファイル削除操作だけを有効とし、それ以外の操作を制限する状態(禁止フラグが「1」の場合)ならば、判断結果は「NO」になり、上記ステップSA2の待ち受け状態に復帰する。
【0047】
一方、操作制限無しの状態であると、上記ステップSA10の判断結果は「YES」になり、次のステップSA11に進み、非接触IC部107に端末IDの送信を指示する。これにより、非接触IC部107が非接触ICチップに記憶される端末IDを入退場管理装置20のリーダライタ部204へ送信する。次いで、ステップSA12では、入場時メモリ使用状態を表すデータがRAM102のワークエリアにストアされているか否か、すなわち入場又は退場のいずれであるかを判別する。
【0048】
入場時メモリ使用状態を表すデータがRAM102のワークエリアにストアされていない場合、つまり入場時には上記ステップSA12の判断結果が「NO」になり、ステップSA13に進み、入場時のメモリ使用状態を表すデータを取得してRAM102のワークエリアにストアした後、待ち受け状態(図3に図示するステップSA2)に復帰する。
【0049】
なお、入場時のメモリ使用状態を表すデータとは、端末IDを入退場管理装置20に送信した入場日時、その入場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無)を表すデータを指す。
【0050】
これに対し、入場時メモリ使用状態を表すデータがRAM102のワークエリアにストア済みの場合、つまり退場時には上記ステップSA12の判断結果が「YES」になり、ステップSA14に進み、退場時のメモリ使用状態を表すデータを取得してRAM102のワークエリアにストアする。
【0051】
なお、退場時のメモリ使用状態を表すデータとは、端末IDを入退場管理装置20に送信した退場日時、その退場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無)を表すデータを指す。
【0052】
続いて、ステップSA15〜SA16では、RAM102のワークエリアから読み出した入場時のメモリ使用状態を表すデータと、上記ステップSA14において取得した退場時のメモリ使用状態を表すデータとを比較する。そして、図5に図示するステップSA17〜SA21では、入場時のメモリ使用状態を表すデータと、退場時のメモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づきRAM102のユーザメモリエリアに不正行為により取得したデータ(不正ファイル)が存在するか否かを判別する。
【0053】
すなわち、ステップSA17では、入場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量よりも退場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量が増えているかどうかを判断する。増えている場合には不正ファイルが存在するとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSA22に進み、一方、増えていなければ、判断結果は「NO」となり、ステップSA18に進む。
【0054】
ステップSA18では、入場日時におけるユーザメモリエリアのファイル数よりも退場日時におけるユーザメモリエリアのファイル数が増えているかどうかを判断する。増えている場合には不正ファイルが存在するとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSA22に進み、一方、増えていなければ、判断結果は「NO」となり、ステップSA19に進む。
【0055】
ステップSA19では、入場日時以降のタイムスタンプを持つファイルの有無、すなわち入場してから退場するまでの間に新規作成されたり更新されたりしたファイルが存在するか否かを判断する。該当する属性のファイルが有る場合には不正ファイルの可能性があるとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSA22に進み、一方、該当する属性のファイルが無ければ、判断結果は「NO」となり、ステップSA20に進む。
【0056】
ステップSA20では、入場時に無かったファイル名のファイルが存在するか否かを判断する。該当する属性のファイルが有る場合には不正ファイルの可能性があるとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSA22に進み、一方、該当する属性のファイルが無ければ、判断結果は「NO」となり、ステップSA21に進む。ステップSA21では、入場時に無かった重要フラグのファイルが存在するか否かを判断する。該当する属性のファイルが有る場合には不正ファイルの可能性があるとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSA22に進む。一方、該当する属性のファイルが無ければ、上記ステップSA21の判断結果は「NO」となり、ステップSA32に進み、入場時のメモリ使用状態を表すデータをRAM102のワークエリアからクリアした後、待ち受け状態(図3に図示するステップSA2)に復帰する。
【0057】
さて、上記ステップSA17〜SA21の判定条件のいずれかに該当する不正ファイルが存在すると、ステップSA22に進み、RAM102のワークエリアに設けられる禁止フラグを「1」にセットする。これにより、携帯端末装置10では、ファイル削除操作だけを有効とし、それ以外の操作が無効になる状態に設定される。次いで、ステップSA23では、音声信号処理部106のスピーカSPから警報音を鳴音させると共に、例えば「不正なファイルが発見されましたので、ファイルを削除するまで他の操作を制限します。」なる警報表示を表示部104の画面に表示する。そして、ステップSA24に進み、入退場管理装置20側に警報信号を送信した後、待ち受け状態(図3に図示するステップSA2)に復帰する。
【0058】
c.ファイル削除操作が行われた場合
上記ステップSA23の警報音鳴音および警報表示に応じて、ユーザがファイル削除操作を行ったとする。そうすると、図6に図示するステップSA25の判断結果が「YES」となり、制御部100はステップSA26に処理を進める。ステップSA26では、ファイル削除操作により不正ファイルが削除されたか否かを判断する。不正ファイルが削除されなければ、判断結果は「NO」となり、ファイル削除操作だけを有効とし、それ以外の操作が無効になる状態のまま待ち受け状態(図3に図示するステップSA2)に復帰する。
【0059】
一方、ファイル削除操作によって不正ファイルが削除されると、上記ステップSA26の判断結果が「YES」になり、ステップSA27に進み、RAM102のワークエリアに設けられる禁止フラグをゼロリセットし、続くステップSA28では、RAM102のワークエリアにストアした、入場時のメモリ使用状態を表すデータをクリアして待ち受け状態(図3に図示するステップSA2)に復帰する。
【0060】
d.その他の操作が行われた場合
ファイル削除操作以外の、その他の操作が行われると、ステップSA29の判断結果が「YES」となり、ステップSA30に進み、RAM102のワークエリアに設けられる禁止フラグが「0」の操作制限無しの状態であるかどうかを判断する。操作制限無しの状態ならば、判断結果は「YES」になり、ステップSA31に進み、操作に対応した処理を実行した後、待ち受け状態(図3に図示するステップSA2)に復帰する。これに対し、禁止フラグが「1」ならば、上記ステップSA30の判断結果は「NO」となり、その操作を無効として待ち受け状態(図3に図示するステップSA2)に復帰する。
【0061】
(2)入退場管理装置20の動作
次に、図7を参照して入退場管理装置20の動作を説明する。図7は、入退場管理装置20の制御部200が実行する入退場管理処理の動作を示すフローチャートである。ユーザの電源オン操作により入退場管理装置20がパワーオンされると、制御部200は図7に図示するステップSB1において装置各部を初期化する起動処理を実行した後、ステップSB2に進み、待ち受け状態に入り、携帯端末装置10との通信イベントの有無(ステップSB3)およびその他の操作イベントの有無(ステップSB4)を判断する。
【0062】
そして、その他の操作に応じた操作イベントが発生すると、ステップSB4の判断結果が「YES」になり、ステップSB5に進み、操作に対応した処理、例えば操作部203の解除キーが操作された場合であれば、携帯端末装置10側から警報信号を受信した場合に鳴音させた警報音の停止や閉鎖ゲートの解除などをゲート部205に指示する処理を実行した後、上記ステップSB2の待ち受け状態に復帰する。
【0063】
一方、携帯端末装置10との通信イベントが発生した場合、つまりリーダライタ部204が携帯端末装置10の非接触IC部107と非接触データ通信を行うと、ステップSB3の判断結果が「YES」になり、ステップSB6に進み、携帯端末装置10の非接触IC部107から送信される端末IDを受信する。
【0064】
次いで、ステップSB7では、受信した端末IDがRAM202に設けられる管理テーブルに登録済みであるか否か、すなわち退場時であるかどうかを判断する。入場時には、受信した端末IDがRAM202の管理テーブルに記録されていないので、判断結果が「NO」になり、ステップSB8に進み、受信した端末IDをRAM202の管理テーブルに登録した後、上記ステップSB2の待ち受け状態に復帰する。
【0065】
これに対し、受信した端末IDがRAM202に設けられる管理テーブルに登録済みとなる退場時には、上記ステップSB7の判断結果が「YES」になり、ステップSB9に進む。ステップSB9では、携帯端末装置10から警報信号を受信したか否かを判断する。携帯端末装置10が不正ファイルの存在を検知して前述のステップSA24(図5参照)において警報信号を送信した場合には、判断結果が「YES」となり、ステップSB10に進み、警報音鳴音、警報表示およびゲート閉鎖をゲート部205に指示した後、上記ステップSB2の待ち受け状態に復帰する。これにより、不正行為により取得したデータ(不正ファイル)の持ち出しを防止できるようになる。
【0066】
一方、携帯端末装置10からの警報信号を受信しない場合には、上記ステップSB9の判断結果が「NO」になり、ステップSB11に進み、受信した端末IDをRAM202の管理テーブルから削除した後、上記ステップSB2の待ち受け状態に復帰する。
【0067】
以上のように、第1実施形態では、例えば撮影が禁止されるコンサート会場に入場する際に、入退場ゲートに設けられる入退場管理装置20と携帯端末装置10とが非接触データ通信を行って携帯端末装置10から入退場管理装置20に端末IDを送信する。すると、入退場管理装置20は受信した端末IDを管理テーブルに登録し、一方、携帯端末装置10では入場時メモリ使用状態を表すデータ(端末IDを入退場管理装置20に送信した入場日時、その入場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無を表すデータ))を取得する。
【0068】
そして、退場する際に入場時と同様、携帯端末装置10から入退場管理装置20に端末IDを送信した後、退場時メモリ使用状態を表すデータを取得する。そして、入場時メモリ使用状態を表すデータと退場時メモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づき不正行為により取得したデータ(不正ファイル)が存在するか否かを判別する。不正ファイルが存在する場合には禁止フラグを「1」にセットしてファイル削除操作以外の操作が無効になる状態に設定すると共に、警報音鳴音および警報表示により携帯端末装置10のユーザに不正行為を働いた旨を知らしめ、さらに入退場管理装置20に警報信号を送信する。
【0069】
入退場管理装置20では、携帯端末装置10からの警報信号を受信すると、警報音鳴音、警報表示およびゲート閉鎖を行い、これにより退場出来なくなった携帯端末装置10のユーザが不正ファイルの削除操作を行うと、禁止フラグがゼロリセットされて操作制限の無い状態に戻るので、例えば撮影禁止であることを知らなかったり忘れたりして撮影行為をしてしまったユーザに不正行為を働いた旨を知らしめると共に、その不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行うことができる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について述べる。第2実施形態による携帯端末装置10の構成は前述した第1実施形態と共通するので、その説明を省略する。以下では、図8〜図10を参照して第2実施形態によるメインルーチンの動作を説明する。
【0071】
前述の第1実施形態と同様、ユーザの電源オン操作により携帯端末装置10がパワーオンされると、制御部100は図8に図示するステップSC1に処理を進め、装置各部をイニシャライズする起動処理を実行し、続くステップSC2では、待受処理を実行して無線通信網に位置登録を行って待ち受け状態に入る。待ち受け状態になると、表示部104には待受画面(図示略)が表示される。
【0072】
続いて、ステップSC3、図9のステップSC8〜ステップSC9では、それぞれ「着信検知」、「入退場管理装置20との通信」および「その他の操作」のイベントの有無を判断する。これらイベントが発生しなければ、上記ステップSC3、図9のステップSC8〜SC9の各判断結果はいずれも「NO」になり、上記ステップSC2の待ち受け状態のまま待機する。そして、待ち受け状態下において上記イベントのいずれかが発生すると、その発生したイベントに対応した処理を実行する。以下、イベント別に分けて動作の説明を進める。
【0073】
a.着信検知した場合
着信を検知すると、図8に図示するステップSC3の判断結果が「YES」になり、ステップSC4に進む。ステップSC4では、着信報知を行うと共に、この着信報知中にオフフック操作されたか否かを判断する。着信報知中にオフフック操作が行われなければ、判断結果は「NO」になり、上記ステップSC2の待ち受け状態に復帰するが、着信報知中にオフフック操作されると、上記ステップSC4の判断結果が「YES」になり、ステップSC5に進み、発呼側と回線接続して通話を開始させる通話処理を実行する。
【0074】
次いで、ステップSC6では、通話処理中のオンフック操作の有無を判断する。オンフック操作が行われなければ、ステップSC6の判断結果は「NO」となり、上記ステップSC5の通話処理を継続させるが、オンフック操作されると、ステップSC6の判断結果が「YES」になり、ステップSC7に進み、オンフック操作に応じて回線を断つ切断処理を実行した後、上記ステップSC2の待ち受け状態に復帰する。
【0075】
b.その他の操作が行われた場合
その他の操作が行われると、図9に図示するステップSC9の判断結果が「YES」となり、ステップSC10に進み、操作に対応した処理を実行した後、上記ステップSC2の待ち受け状態に復帰する。
【0076】
c.入退場管理装置20との通信が行われた場合
待ち受け状態で入退場管理装置20との通信が行われると、図9に図示するステップSC8の判断結果が「YES」になり、ステップSC11に進み、非接触IC部107に端末IDの送信を指示する。これにより、非接触IC部107が非接触ICチップに記憶される端末IDを入退場管理装置20のリーダライタ部204へ送信する。次いで、ステップSC12では、入場時のメモリ使用状態を表すデータがRAM102のワークエリアにストアされているか否か、すなわち入場又は退場のいずれであるかを判別する。
【0077】
入場時のメモリ使用状態を表すデータがRAM102のワークエリアにストアされていない場合、つまり入場時には上記ステップSC12の判断結果が「NO」になり、ステップSC13に進み、入場時のメモリ使用状態を表すデータを取得してRAM102のワークエリアにストアした後、上記ステップSC2の待ち受け状態に復帰する。なお、入場時のメモリ使用状態を表すデータとは、端末IDを入退場管理装置20に送信した入場日時、その入場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無)を表すデータを指す。
【0078】
一方、入場時のメモリ使用状態を表すデータがRAM102のワークエリアにストア済みの場合、つまり退場時には上記ステップSC12の判断結果が「YES」になり、ステップSC14に進み、退場時のメモリ使用状態を表すデータを取得してRAM102のワークエリアにストアする。なお、退場時のメモリ使用状態を表すデータとは、端末IDを入退場管理装置20に送信した退場日時、その退場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無)を表すデータを指す。
【0079】
続いて、ステップSC15〜SC16では、RAM102のワークエリアから読み出した入場時のメモリ使用状態を表すデータと、上記ステップSC14において取得した退場時のメモリ使用状態を表すデータとを比較する。そして、図10に図示するステップSC17〜SC21では、入場時のメモリ使用状態を表すデータと、退場時のメモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づきRAM102のユーザメモリエリアに不正行為により取得したデータ(不正ファイル)が存在するか否かを判別する。
【0080】
すなわち、ステップSC17では、入場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量よりも退場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量が増えているかどうかを判断する。増えている場合には不正ファイルが存在するとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSC22に進み、一方、増えていなければ、判断結果は「NO」となり、次のステップSC18に進む。
【0081】
ステップSC18では、入場日時におけるユーザメモリエリアのファイル数よりも退場日時におけるユーザメモリエリアのファイル数が増えているかどうかを判断する。増えている場合には不正ファイルが存在するとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSC22に進み、一方、増えていなければ、判断結果は「NO」となり、次のステップSC19に進む。
【0082】
ステップSC19では、入場日時以降のタイムスタンプを持つファイルの有無、すなわち入場してから退場するまでの間に新規作成されたり更新されたりしたファイルが存在するか否かを判断する。該当する属性のファイルが有る場合には不正ファイルの可能性があるとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSC22に進み、一方、該当する属性のファイルが無ければ、判断結果は「NO」となり、次のステップSC20に進む。
【0083】
ステップSC20では、入場時に無かったファイル名のファイルが存在するか否かを判断する。該当する属性のファイルが有る場合には不正ファイルの可能性があるとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSC22に進み、一方、該当する属性のファイルが無ければ、判断結果は「NO」となり、次のステップSC21に進む。
【0084】
ステップSC21では、入場時に無かった重要フラグのファイルが存在するか否かを判断する。該当する属性のファイルが有る場合には不正ファイルの可能性があるとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSC22に進み、一方、該当する属性のファイルが無ければ、判断結果は「NO」となり、上記ステップSC2の待ち受け状態に復帰する。
【0085】
さて、上記ステップSC17〜SC21の判定条件のいずれかに該当する不正ファイルが存在すると、ステップSC22に進み、RAM102のユーザメモリエリアから該当する不正ファイルを削除し、続くステップSC23では、例えば「不正なファイルが発見されましたので、メモリを入場時の状態に戻しました。」なる確認表示を表示部104に画面表示してユーザに報知する。そして、ステップSC24では、RAM102のワークエリアから入場時メモリ使用状態を表すデータをクリア(削除)した後、上記ステップSC2の待ち受け状態に復帰する。
なお、第2実施形態による入退場管理装置20の構成および動作は前述した第1実施形態と共通するので、その説明を省略する。
【0086】
このように、第2実施形態による携帯端末装置10では、入場時に取得した入場時のメモリ使用状態を表すデータと、退場時に取得した退場時のメモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づき不正行為により取得したデータ(不正ファイル)が存在するか否かを判別し、不正ファイルが存在する場合にはRAM102のユーザメモリエリアから該当する不正ファイルを削除すると共に、「不正なファイルが発見されましたので、メモリを入場時の状態に戻しました。」なる確認表示でユーザに報知する結果、例えば撮影禁止であることを知らなかったり忘れたりして撮影行為をしてしまったユーザに不正行為を働いた旨を知らしめると共に、その不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行うことができる。
【0087】
[第3実施形態]
次に、図11〜図12を参照して第3実施形態による携帯端末装置10の動作について説明する。図11〜図12は、第3実施形態による携帯端末装置10において実行されるメインルーチンの動作を示すフローチャートである。第3実施形態による携帯端末装置10の構成は前述した第1実施形態と共通するので、その説明を省略する。
【0088】
前述の第1実施形態と同様、ユーザの電源オン操作により携帯端末装置10がパワーオンされると、制御部100は図11に図示するステップSD1に処理を進め、装置各部をイニシャライズする起動処理を実行し、続くステップSD2では、待受処理を実行して無線通信網に位置登録を行って待ち受け状態に入る。待ち受け状態になると、表示部104には待受画面(図示略)が表示される。
【0089】
続いて、ステップSD3、図12のステップSD8〜ステップSD9では、それぞれ「着信検知」、「入退場管理装置20との通信」および「その他の操作」のイベントの有無を判断する。これらイベントが発生しなければ、上記ステップSD3、図12のステップSD8〜SD9の各判断結果はいずれも「NO」になる為、上記ステップSD2の待ち受け状態のまま待機する。そして、待ち受け状態下において上記イベントのいずれかが発生すると、その発生したイベントに対応した処理を実行する。以下、イベント別に分けて動作の説明を進める。
【0090】
a.着信検知した場合
着信を検知すると、ステップSD3の判断結果が「YES」になり、ステップSD4に進む。ステップSD4では、着信報知を行うと共に、この着信報知中にオフフック操作されたか否かを判断する。着信報知中にオフフック操作が行われなければ、判断結果は「NO」になり、上記ステップSD2の待ち受け状態に復帰するが、着信報知中にオフフック操作されると、上記ステップSD4の判断結果が「YES」になり、ステップSD5に進み、発呼側と回線接続して通話を開始させる通話処理を実行する。
【0091】
次いで、ステップSD6では、通話処理中のオンフック操作の有無を判断する。オンフック操作が行われなければ、ステップSD6の判断結果は「NO」となり、上記ステップSD5の通話処理を継続させるが、オンフック操作されると、ステップSD6の判断結果が「YES」になり、ステップSD7に進み、オンフック操作に応じて回線を断つ切断処理を実行した後、上記ステップSD2の待ち受け状態に復帰する。
【0092】
b.その他の操作が行われた場合
その他の操作が行われると、図12に図示するステップSD9の判断結果が「YES」となり、ステップSD10に進み、操作に対応した処理を実行した後、上記ステップSD2の待ち受け状態に復帰する。
【0093】
c.入退場管理装置20との通信が行われた場合
待ち受け状態で入退場管理装置20との通信が行われると、図12に図示するステップSD8の判断結果が「YES」になり、ステップSD11に進み、非接触IC部107に端末IDの送信を指示する。これにより、非接触IC部107が非接触ICチップに記憶される端末IDを入退場管理装置20のリーダライタ部204へ送信する。次いで、ステップSD12では、入場時のメモリ使用状態を表すデータがRAM102のワークエリアにストアされているか否か、すなわち入場又は退場のいずれであるかを判別する。
【0094】
入場時のメモリ使用状態を表すデータがRAM102のワークエリアにストアされていない場合、つまり入場時には上記ステップSD12の判断結果が「NO」になり、ステップSD13に進み、入場時のメモリ使用状態を表すデータを取得してRAM102のワークエリアにストアした後、上記ステップSD2の待ち受け状態に復帰する。なお、入場時のメモリ使用状態を表すデータとは、端末IDを入退場管理装置20に送信した入場日時、その入場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無)を表すデータを指す。
【0095】
一方、入場時のメモリ使用状態を表すデータがRAM102のワークエリアにストア済みの場合、つまり退場時には上記ステップSD12の判断結果が「YES」になり、ステップSD14に進み、退場時のメモリ使用状態を表すデータを取得してRAM102のワークエリアにストアする。なお、退場時のメモリ使用状態を表すデータとは、端末IDを入退場管理装置20に送信した退場日時、その退場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無)を表すデータを指す。
【0096】
続いて、ステップSD15〜SD16では、RAM102のワークエリアから読み出した入場時のメモリ使用状態を表すデータと、上記ステップSD14において取得した退場時のメモリ使用状態を表すデータとを比較する。次いで、ステップSD17では、入場時のメモリ使用状態を表すデータと、退場時のメモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づき、入場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのファイル数に撮影許可枚数を加算した値が、退場日時におけるユーザメモリエリアのファイル数より少ないか否か、つまりRAM102のユーザメモリエリアに撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在するか否かを判別する。なお、撮影許可枚数は、入退場管理装置20に端末IDを送信した時の応答として受信設定したり、入退場管理者から指定された撮影許可枚数をユーザ自身が操作入力により設定することが可能である。
【0097】
撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在しなければ、上記ステップSD17の判断結果は「NO」になり、ステップSD20に進み、入場時のメモリ使用状態を表すデータをRAM102のワークエリアからクリアした後、上記ステップSD2(図11参照)の待ち受け状態に復帰する。一方、撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在すると、上記ステップSD17の判断結果は「YES」になり、ステップSD18に進む。そして、ステップSD18では、警報音を鳴音させると共に、例えば「撮影許可枚数を超えています。超えた分のファイルを削除してください。」なる警告表示を表示部104に画面表示してユーザに報知する。この後、ステップSD19に進み、入退場管理装置20側に警報信号を送信した後、上記ステップSD2の待ち受け状態に復帰する。
なお、第3実施形態による入退場管理装置20の構成および動作は前述した第1実施形態と共通するので、その説明を省略する。
【0098】
このように、第3実施形態による携帯端末装置10では、入場時に取得した入場時のメモリ使用状態を表すデータと、退場時に取得した退場時のメモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づき、入場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのファイル数に撮影許可枚数を加算した値が、退場日時におけるユーザメモリエリアのファイル数より少ないか否か、つまりRAM102のユーザメモリエリアに撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在するか否かを判別する。
【0099】
そして、撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在する場合には、警報音を鳴音させると共に、例えば「撮影許可枚数を超えています。超えた分のファイルを削除してください。」なる警告表示を表示部104に画面表示してユーザに報知した後、入退場管理装置20側に警報信号を送信するので、ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめると共に、その不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行うことができる。
【0100】
[第4実施形態]
次に、図13〜図16を参照して第4実施形態について説明する。図13は、第4実施形態による携帯端末装置10において実行されるメインルーチンの動作を示すフローチャートである。図14〜図15は、第4実施形態による入退場管理装置20において実行される入退場管理処理の動作を示すフローチャートである。図16は、第4実施形態による入退場管理装置20のRAM202に設けられる管理テーブルのデータ構造を示す図である。第4実施形態による携帯端末装置10の構成は前述した第1実施形態と共通するので、その説明を省略する。
【0101】
(1)携帯端末装置10の動作
前述の第1実施形態と同様、ユーザの電源オン操作により携帯端末装置10がパワーオンされると、制御部100は図13に図示するステップSE1に処理を進め、装置各部をイニシャライズする起動処理を実行し、続くステップSE2では、待受処理を実行して無線通信網に位置登録を行って待ち受け状態に入る。待ち受け状態になると、表示部104には待受画面(図示略)が表示される。
【0102】
続いて、ステップSE3、SE8、SE9では、それぞれ「着信検知」、「入退場管理装置20との通信」および「その他の操作」のイベントの有無を判断する。これらイベントが発生しなければ、上記ステップSE3、SE8、SE9の各判断結果はいずれも「NO」になり、上記ステップSE2の待ち受け状態で待機する。そして、待ち受け状態下において上記イベントのいずれかが発生すると、その発生したイベントに対応した処理を実行する。以下、イベント別に分けて動作の説明を進める。
【0103】
a.着信検知した場合
着信を検知すると、ステップSE3の判断結果が「YES」になり、ステップSE4に進む。ステップSE4では、着信報知を行うと共に、この着信報知中にオフフック操作されたか否かを判断する。着信報知中にオフフック操作が行われなければ、判断結果は「NO」になり、上記ステップSE2の待ち受け状態に復帰するが、着信報知中にオフフック操作されると、上記ステップSE4の判断結果が「YES」になり、ステップSE5に進み、発呼側と回線接続して通話を開始させる通話処理を実行する。
【0104】
次いで、ステップSE6では、通話処理中のオンフック操作の有無を判断する。オンフック操作が行われなければ、ステップSE6の判断結果は「NO」となり、上記ステップSE5の通話処理を継続させるが、オンフック操作されると、ステップSE6の判断結果が「YES」になり、ステップSE7に進み、オンフック操作に応じて回線を断つ切断処理を実行した後、上記ステップSE2の待ち受け状態に復帰する。
【0105】
b.その他の操作が行われた場合
その他の操作が行われると、ステップSE9の判断結果が「YES」となり、ステップSE10に進み、操作に対応した処理を実行した後、上記ステップSE2の待ち受け状態に復帰する。
【0106】
c.入退場管理装置20との通信が行われた場合
待ち受け状態で入退場管理装置20との通信が行われると、ステップSE8の判断結果が「YES」になり、ステップSE11に進み、非接触IC部107に端末IDの送信を指示する。これにより、非接触IC部107が非接触ICチップに記憶される端末IDを入退場管理装置20のリーダライタ部204へ送信する。
【0107】
次いで、ステップSE12では、入退場時のメモリ使用状態を表すデータを取得してRAM102のワークエリアにストアした後、それらデータの送信を非接触IC部107に指示する。これにより、非接触IC部107は入退場時のメモリ使用状態を表すデータをRAM102のワークエリアから読み出して入退場管理装置20のリーダライタ部204へ送信する。なお、入退場時のメモリ使用状態を表すデータとは、端末IDを入退場管理装置20に送信した入退場日時、その入退場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無)を表すデータを指す。
【0108】
続いて、ステップSE13では、入退場管理装置20のリーダライタ部204から非接触IC部107が警報信号を受信したか否かを判断する。警報信号を受信していなければ、判断結果は「NO」になり、上記ステップSE2の待ち受け状態に復帰する。これに対し、警報信号を受信した場合には、判断結果が「YES」となり、ステップSE14に進み、警報音を鳴音させると共に、例えば「不正なファイルが発見されました。」なる警告表示を表示部104に画面表示してユーザに報知した後、上記ステップSE2の待ち受け状態に復帰する。
【0109】
(2)入退場管理装置20の動作
前述の第1実施形態と同様、ユーザの電源オン操作により入退場管理装置20がパワーオンされると、制御部200は図14に図示するステップSF1において装置各部を初期化する起動処理を実行した後、ステップSF2に進み、待ち受け状態に入り、携帯端末装置10との通信イベントの有無(ステップSF3)およびその他の操作イベントの有無(ステップSF4)を判断する。
【0110】
その他の操作に応じた操作イベントが発生した場合には、ステップSF4の判断結果が「YES」になり、ステップSF5に進み、操作に対応した処理を実行した後、上記ステップSB2の待ち受け状態に復帰する。
【0111】
携帯端末装置10との通信イベントが発生した場合、つまりリーダライタ部204が携帯端末装置10の非接触IC部107と非接触データ通信を開始すると、ステップSF3の判断結果が「YES」になり、ステップSF6に進み、携帯端末装置10の非接触IC部107から送信される端末IDを受信する。続いて、ステップSF7では、受信した端末IDがRAM202に設けられる管理テーブルに登録済みであるか否か、すなわち退場時であるかどうかを判断する。
【0112】
入場時であれば、受信した端末IDがRAM202の管理テーブルに記録されていないので、判断結果は「NO」になり、ステップSF8に進む。ステップSF8では、携帯端末装置10の非接触IC部107から送信される入場時のメモリ使用状態を表すデータをリーダライタ部204が受信し、続くステップSF9では、上記ステップSF6で受信した端末IDと、上記ステップSF8で受信した入場時のメモリ使用状態を表すデータとを関連付けてRAM202の管理テーブルに登録した後、上記ステップSF2の待ち受け状態に復帰する。
【0113】
第4実施形態による入退場管理装置20のRAM202に設けられる管理テーブルは、図16に図示するように、受信した携帯端末装置10の端末IDに対応付けて入場時のメモリ使用状態を表すデータが登録される。入場時のメモリ使用状態を表すデータは、上述したように、端末IDを入退場管理装置20に送信した入場日時、その入場日時における携帯端末装置10のRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無)を表すデータから構成される。
【0114】
これに対し、受信した端末IDがRAM202に設けられる管理テーブルに登録済みの場合、すなわち退場時であると、上記ステップSF7の判断結果が「YES」になり、ステップSF10に進み、携帯端末装置10の非接触IC部107から送信される退場時のメモリ使用状態を表すデータをリーダライタ部204が受信する。次いで、ステップSF11では、受信した端末IDに対応付けられた入場時のメモリ使用状態を表すデータを、RAM202の管理テーブル(図16参照)から読み出す。
【0115】
続いて、ステップSF12では、RAM202の管理テーブルから読み出した入場時のメモリ使用状態を表すデータと、上記ステップSF10で受信した退場時のメモリ使用状態を表すデータとを比較する。そして、図15に図示するステップSF13〜SF17では、入場時のメモリ使用状態を表すデータと、退場時のメモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づき携帯端末装置10が不正行為により取得したデータ(不正ファイル)を有しているか否かを判別する。
【0116】
すなわち、ステップSF13では、入場日時における携帯端末装置10のRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量よりも退場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量が増えているかどうかを判断する。増えている場合には不正ファイルが存在するとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSF18に進み、一方、増えていなければ、判断結果は「NO」となり、ステップSF14に進む。
【0117】
ステップSF14では、入場日時におけるユーザメモリエリアのファイル数よりも退場日時におけるユーザメモリエリアのファイル数が増えているかどうかを判断する。増えている場合には不正ファイルが存在するとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSF18に進み、一方、増えていなければ、判断結果は「NO」となり、ステップSF15に進む。
【0118】
ステップSF15では、入場日時以降のタイムスタンプを持つファイルの有無、すなわち入場してから退場するまでの間に新規作成されたり更新されたりしたファイルが存在するか否かを判断する。該当する属性のファイルが有る場合には不正ファイルの可能性があるとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSF18に進み、一方、該当する属性のファイルが無ければ、判断結果は「NO」となり、ステップSF16に進む。
【0119】
ステップSF16では、入場時に無かったファイル名のファイルが存在するか否かを判断する。該当する属性のファイルが有る場合には不正ファイルの可能性があるとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSF18に進み、一方、該当する属性のファイルが無ければ、判断結果は「NO」となり、ステップSF17に進む。
【0120】
ステップSF17では、入場時に無かった重要フラグのファイルが存在するか否かを判断する。該当する属性のファイルが有る場合には不正ファイルの可能性があるとして判断結果が「YES」となり、後述のステップSF18に進む。一方、該当する属性のファイルが無ければ、上記ステップSF17の判断結果は「NO」となり、ステップSF20に進み、RAM202の管理テーブルから端末IDと入場時のメモリ使用状態を表すデータとをクリアした後、上記ステップSF2の待ち受け状態に復帰する。
【0121】
さて、上記ステップSF13〜SF17の判定条件のいずれかに該当する不正ファイルが存在すると、ステップSF18に進み、警報音の鳴音と、例えば「不正なファイルが発見されましたので、ファイルを削除してください。」なる警報表示とを行うと共に、ゲート閉鎖をゲート部205に指示する。そして、ステップSF19に進み、携帯端末装置10側に警報信号を送信した後、上記ステップSF2の待ち受け状態に復帰する。
【0122】
このように、第4実施形態による携帯端末装置10では、入場時に端末IDと入場時のメモリ使用状態を表すデータを入退場管理装置20に送信し、退場時に端末IDと入場時のメモリ使用状態を表すデータを入退場管理装置20に送信する。第4実施形態による入退場管理装置20では、入場に応じて携帯端末装置10から送信される端末IDと入場時のメモリ使用状態を表すデータとを受信し、受信した端末IDと入場時のメモリ使用状態を表すデータとを対応付けてRAM202の管理テーブルに登録する。
【0123】
そして、入退場管理装置20では、退場に応じて携帯端末装置10から送信される端末IDと入場時のメモリ使用状態を表すデータ(端末IDを入退場管理装置20に送信した入場日時、その入場日時におけるRAM102のユーザメモリエリアのメモリ使用量、当該ユーザメモリエリアに存在するファイル数、それら各ファイルの属性(タイムスタンプ、ファイル名および重要フラグの有無を表すデータ))とを受信すると、RAM202の管理テーブルに登録された入場時のメモリ使用状態を表すデータと受信した退場時のメモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づき、不正行為により取得したデータ(不正ファイル)が携帯端末装置10に存在するか否かを判別し、不正ファイルが存在する場合には警報音鳴音および警報表示により携帯端末装置10のユーザに不正行為を働いた旨を知らしめ、さらに入退場管理装置20に警報信号を送信する。警報信号を受信した携帯端末装置10では、警報音鳴音および警告表示により不正ファイルの存在をユーザに報知する結果、ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめると共に、その不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行うことができる。
【0124】
[第5実施形態]
次に、図17を参照して第5実施形態による入退場管理装置20の動作を説明する。図17は、第5実施形態による入退場管理装置20において実行される入退場管理処理の動作を示すフローチャートである。なお、第5実施形態による入退場管理装置20は、上述した第4実施形態と同様、図16に図示したデータ構造の管理テーブルをRAM202に備える。第5実施形態による入退場管理装置20の構成は前述した第1実施形態と共通するので、その説明を省略する。
また、第5実施形態による携帯端末装置10の構成は前述した第1実施形態と、動作は前述した第4実施形態と共通するので、その説明を省略する。
【0125】
上述した第4実施形態と同様、ユーザの電源オン操作により入退場管理装置20がパワーオンされると、制御部200は図17に図示するステップSG1において装置各部を初期化する起動処理を実行した後、ステップSG2に進み、待ち受け状態に入り、携帯端末装置10との通信イベントの有無(ステップSG3)およびその他の操作イベントの有無(ステップSG4)を判断する。
【0126】
その他の操作に応じた操作イベントが発生した場合には、ステップSG4の判断結果が「YES」になり、ステップSG5に進み、操作に対応した処理を実行した後、上記ステップSG2の待ち受け状態に復帰する。
【0127】
携帯端末装置10との通信イベントが発生した場合、つまりリーダライタ部204が携帯端末装置10の非接触IC部107と非接触データ通信を開始すると、ステップSG3の判断結果が「YES」になり、ステップSG6に進み、携帯端末装置10の非接触IC部107から送信される端末IDを受信する。続いて、ステップSG7では、受信した端末IDがRAM202に設けられる管理テーブル(図16参照)に登録済みであるか否か、すなわち退場時であるかどうかを判断する。
【0128】
入場時であれば、受信した端末IDがRAM202の管理テーブルに登録されていないので、判断結果は「NO」になり、ステップSG8に進む。ステップSG8では、携帯端末装置10の非接触IC部107から送信される入場時のメモリ使用状態を表すデータをリーダライタ部204が受信し、続くステップSG9では、上記ステップSG6で受信した端末IDと、上記ステップSG8で受信した入場時のメモリ使用状態を表すデータとを関連付けてRAM202の管理テーブルに登録した後、上記ステップSG2の待ち受け状態に復帰する。
【0129】
これに対し、受信した端末IDがRAM202の管理テーブルに登録済みの場合、すなわち退場時であると、上記ステップSG7の判断結果が「YES」になり、ステップSG10に進み、携帯端末装置10の非接触IC部107から送信される退場時のメモリ使用状態を表すデータをリーダライタ部204が受信する。次いで、ステップSG11では、受信した端末IDに対応付けられた入場時のメモリ使用状態を表すデータを、RAM202の管理テーブルから読み出す。
【0130】
続いて、ステップSG12では、RAM202の管理テーブルから読み出した入場時のメモリ使用状態を表すデータと、上記ステップSG10で受信した退場時のメモリ使用状態を表すデータとを比較する。そして、ステップSG13では、入場時のメモリ使用状態を表すデータと、退場時のメモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づき、入場日時におけるファイル数に撮影許可枚数を加算した値が、退場日時におけるファイル数より少ないか否か、つまり携帯端末装置10に撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在するか否かを判別する。なお、撮影許可枚数は、入退場管理装置20に端末IDを送信した時の応答として受信設定したり、入退場管理者から指定された撮影許可枚数をユーザ自身が操作入力により設定することが可能である。
【0131】
撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在しなければ、上記ステップSG13の判断結果は「NO」になり、ステップSG16に進み、RAM202の管理テーブルから端末IDと入場時のメモリ使用状態を表すデータとをクリアした後、上記ステップSG2の待ち受け状態に復帰する。一方、撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在すると、上記ステップSG13の判断結果が「YES」になり、ステップSG14に進み、警報音の鳴音と、例えば「撮影許可枚数を超えています。超えた分のファイルを削除してください。」なる警報表示とを行ってユーザに報知すると共に、ゲート閉鎖をゲート部205に指示する。この後、ステップSG15に進み、携帯端末装置10側に警報信号を送信した後、上記ステップSG2の待ち受け状態に復帰する。
【0132】
このように、第5実施形態による入退場管理装置20では、携帯端末装置10の入場時に受信した入場時のメモリ使用状態を表すデータと、退場時に受信した退場時のメモリ使用状態を表すデータとの比較結果に基づき、入場日時におけるファイル数に撮影許可枚数を加算した値が、退場日時におけるファイル数より少ないか否か、つまり携帯端末装置10のユーザメモリエリアに撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在するか否かを判別する。
【0133】
そして、撮影許可枚数を超えて撮影したデータ(不正ファイル)が存在する場合には、警報音を鳴音させると共に、例えば「撮影許可枚数を超えています。超えた分のファイルを削除してください。」なる警告表示を行ってユーザに報知した後、携帯端末装置10側に警報信号を送信するので、ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめると共に、その不正行為により取得したデータの持ち出しを防止する所定の処理を行うことができる。
【0134】
なお、以上説明した第1〜第5実施形態において得られる、より具体的な他の効果は、下記(a)〜(b)項に記載の通りである。
(a)携帯端末装置の入場を検出した際よりも退場を検出した際の記憶手段に記憶されているファイル数が所定の数以上多くなったか否かを判別する所定枚数を“0”とすることで撮影の禁止、“1以上”とすることで、撮影会で所定枚数までは撮影可能といったサービスの使い分けをすることもできる。
(b)入場時に携帯端末装置を預けた場合の紛失や個人情報の流出を防止することもできる。
【0135】
また、前述した第1〜第5実施形態では、非接触データ通信機能を備えた携帯電話を携帯端末装置として想定しているが、本発明の要旨は、これに限らず、入退場管理装置と非接触データ通信する機能を備えた各種携帯用の電子機器に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0136】
10 携帯端末装置
100 制御部
101 ROM
102 RAM
103 操作部
104 表示部
105 無線通信送受信部
106 音声信号処理部
107 非接触IC部
108 カメラ部
20 入退場管理装置
200 制御部
201 ROM
202 RAM
203 操作部
204 リーダライタ部
205 ゲート部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルを記憶する記憶手段と、
入退場を管理する入退場管理装置との通信に応じて特定場所への入場又は特定場所からの退場のいずれであるかを判別する入退場判別手段と、
前記入退場判別手段が特定場所への入場と判別した場合に、前記記憶手段の入場時の記憶内容を表す入場時使用状態を取得する第1の取得手段と、
前記入退場判別手段が特定場所からの退場と判別した場合に、前記記憶手段の退場時の記憶内容を表す退場時使用状態を取得する第2の取得手段と、
前記入退場判別手段が特定場所からの退場と判別した場合に、前記第1の取得手段により取得された入場時使用状態と前記第2の取得手段により取得された退場時使用状態とを比較して前記記憶手段の記憶内容の差異を判別する記憶内容判別手段と、
前記記憶内容判別手段の判別結果に応じた所定の処理を実行する制御手段と
を具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時よりも退場時のメモリ使用量が増加したと判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時よりも退場時のファイル数が増加したと判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記記憶内容判別手段は、入場時よりも退場時のファイル数が所定の数以上増えたか否かを判別することを特徴とする請求項3記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した日時より新しいファイルが存在すると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した時点で存在しなかったファイル名のファイルが有ると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した時点で無かった特定の識別子を有するファイルが存在すると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記制御手段は、所定の処理として、ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめる所定の通知を行うことを特徴とする請求項2〜3および請求項5〜7のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記制御手段は、所定の処理として、前記記憶手段の記憶内容を入場時使用状態に戻す操作のみを有効とし、それ以外の操作を無効にすることを特徴とする請求項2〜3および請求項5〜7のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記制御手段は、所定の処理として、前記記憶手段の記憶内容を入場時使用状態に戻すことを特徴とする請求項2〜3および請求項5〜7のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項11】
前記制御手段は、所定の処理として、前記入退場管理装置に警報報知或いはゲート閉鎖を行わせることを特徴とする請求項2〜3および請求項5〜7のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項12】
ファイルを記憶する記憶手段を備える携帯端末装置との通信に応じて、特定場所へ入場した時に携帯端末装置の記憶手段の記憶内容を表す入場時使用状態を取得し、特定場所から退場した時に携帯端末装置の記憶手段の記憶内容を表す退場時使用状態を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された入場時使用状態と退場時使用状態とを比較して携帯端末装置の記憶手段の記憶内容の差異を判別する記憶内容判別手段と、
前記記憶内容判別手段の判別結果に応じた所定の処理を実行する制御手段と
を具備することを特徴とする入退場管理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時よりも退場時のメモリ使用量が増加したと判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項12記載の入退場管理装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時よりも退場時のファイル数が増加したと判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項12記載の入退場管理装置。
【請求項15】
前記記憶内容判別手段は、入場時よりも退場時のファイル数が所定の数以上増えたか否かを判別することを特徴とする請求項14記載の入退場管理装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した日時より新しいファイルが存在すると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項12記載の入退場管理装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した時点で存在しなかったファイル名のファイルが有ると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項12記載の入退場管理装置。
【請求項18】
前記制御手段は、前記記憶内容判別手段によって、入場時使用状態を取得した時点で無かった特定の識別子を有するファイルが存在すると判別された場合に、所定の処理を実行することを特徴とする請求項12記載の入退場管理装置。
【請求項19】
前記制御手段は、所定の処理として、警報報知或いはゲート閉鎖することを特徴とする請求項13〜14および請求項16〜18のいずれかに記載の入退場管理装置。
【請求項20】
前記制御手段は、所定の処理として、ユーザに不正行為を働いた旨を知らしめる警報信号を携帯端末装置に送信することを特徴とする請求項13〜14および請求項16〜18のいずれかに記載の入退場管理装置。
【請求項21】
ファイルを記憶するメモリを備えた携帯端末装置に搭載されるコンピュータに、
入退場を管理する入退場管理装置との通信に応じて特定場所への入場又は特定場所からの退場のいずれであるかを判別する入退場判別ステップと、
前記入退場判別ステップにて特定場所への入場と判別された場合に、前記メモリの入場時の記憶内容を表す入場時使用状態を取得する第1の取得ステップと、
前記入退場判別ステップにて特定場所からの退場と判別された場合に、前記メモリの退場時の記憶内容を表す退場時使用状態を取得する第2の取得ステップと、
前記入退場判別ステップにて特定場所からの退場と判別された場合に、前記第1の取得ステップで取得された入場時使用状態と前記第2の取得ステップで取得された退場時使用状態とを比較して前記メモリの記憶内容の差異を判別する記憶内容判別ステップと、
前記記憶内容判別ステップの判別結果に応じた所定の処理を実行する制御ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
入退場を管理する入退場管理装置に搭載されるコンピュータに、
ファイルを記憶するメモリを備えた携帯端末装置との通信に応じて、特定場所へ入場した時に携帯端末装置のメモリの記憶内容を表す入場時使用状態を取得し、特定場所から退場した時に携帯端末装置のメモリの記憶内容を表す退場時使用状態を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて取得された入場時使用状態と退場時使用状態とを比較して携帯端末装置のメモリの記憶内容の差異を判別する記憶内容判別ステップと、
前記記憶内容判別ステップの判別結果に応じた所定の処理を実行する制御ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−176404(P2010−176404A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18462(P2009−18462)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】