説明

携帯端末装置

【課題】メモリーカードが脱落するのを防ぐことができる携帯端末装置を提供する。
【解決手段】携帯電話機1に衝撃がかかり、蓋31が嵌合部11から外れ、メモリーカード20がコネクタ12から外れた場合、メモリーカード20の端部は、蓋31の内側に設けられたリブ35に当接する。このリブ35がストッパーの役割を果たし、これ以上、メモリーカード20が携帯電話機1外部に移動することを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置に関し、特に着脱可能なメモリーカード等の記憶媒体を搭載可能な携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、PHS(Personal Handy-Phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末装置は、小型軽量化および高機能化が促進されており、大きな進歩を遂げている。これに伴って、画像データや音楽データなどさまざまな大容量情報を、装置内部に保存したり、装置外部に出力する必要性が出てきた。このため、例えばメモリーカード等の目的・用途等にあわせて装着・取り外しが容易な記憶媒体が広く使用されている。
【0003】
図6は、メモリーカードを装着可能な携帯端末装置の一例を示す斜視図である。図6に示す携帯端末装置は、折り畳み型の携帯電話機1は上部筐体2と下部筐体3とがヒンジ機構4により開閉自在に結合されている。
上部筐体2の内側面、すなわち携帯電話機1を折り畳んだ状態で下側筐体3と対向する面には、携帯電話機1の各種動作等に関する情報を表示する表示部5と、受話用スピーカ6が形成されている。下側筐体3の内側面、すなわち携帯電話機1を折り畳んだ状態で上側筐体2と対向する面には、各種ボタンやジョグシャトル等からなる操作部7と、送話用マイク8が形成されている。
このような携帯電話機1において、下側筐体3の一側面には、メモリーカードを収納する収納部10が設けられている。この収納部10の下側筐体3における内側面の側には、収納部10に隣接して凹部9が設けられている。
【0004】
図7は、下側筐体3の要部平面図である。
収納部10は、下側筐体3の側部に設けられた嵌合部11と、この嵌合部11に連続して下側筐体3内部に配設されたコネクタ12と、嵌合部11と嵌合するカバー40とから構成される。
【0005】
嵌合部11は、下側筐体3の側面に開口を有する略直方体形状の凹部からなり、下側筐体3の側面の長手方向に自身の長軸を沿わせた状態で下側筐体3の側面に形成される。嵌合部11において、その長軸に直交する一方の面には、凹部11aが形成されている。
【0006】
コネクタ12は、一の面に開口12aを有する筐体から構成され、嵌合部11の開口に対向する面に開口12aが設けられた状態で、下側筐体3内部に配設される。このようなコネクタ12は、メモリーカード20を内部に挿入することにより、携帯電話機1の図示しない回路基板との電気的な接続およびメモリーカード20を所定位置に保持する機能を有している。
【0007】
カバー40は、長軸に平行な一の面に開口41aが形成された略直方体形状の筐体からなる蓋41と、一端が蓋41の長軸に直交する一方の面に接続され軸線方向が蓋41の長軸に沿うように形成された軸42と、この軸42の他端が接続され下側筐体3に固定されるための凹部43aを有する基部43と、蓋41の長軸に直交する他方の面に形成されたフック44とから構成される。このようなカバー40において、少なくとも軸42は弾性力を有する樹脂等から形成される。
【0008】
図7に示すように、メモリーカード20をコネクタ12に保持した場合、カバー40は、フック44が嵌合部11の凹部11aと係合し、蓋41がコネクタ12の開口を覆う状態で嵌合部11に嵌合する。
【0009】
図8は、メモリーカードの取り外し動作を説明する図である。
メモリーカード20をコネクタ12から取り出す場合、図6に示すように、下側筐体3の側面の収納部10の直上、すなわち収納部10における下側筐体3の内側面の側に設けられている凹部9に指先を挿入し、蓋41の側面を携帯電話機1の内部側から外部側へ引き出す。すると、フック44が凹部11aから外れ、軸42を回動中心として蓋41が嵌合部11から外れる。これにより、嵌合部11およびコネクタ12が携帯電話機1外部に露出されるので、メモリーカード20を取り出すことが可能となる。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【特許文献1】特開2001−024351号公報
【特許文献2】特開2003−007398号公報
【特許文献3】特開2003−158563号公報
【特許文献4】特開2003−283157号公報
【特許文献5】特開平09−214587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
もし、落下等により携帯端末装置に衝撃がかかり、蓋41が嵌合部11から外れた半開きの状態になり、かつ、メモリーカード20がコネクタ12から外れると、図8に示すように、メモリーカード20は、端部が蓋41の内側と当接した状態となる。従来の携帯電話機では、図7,8に示すように、蓋41の内側が平面となっている。このため、メモリーカード20が携帯電話機1の外部へ移動する方向に外力が加わると、メモリーカード20は、蓋41の内側に沿って摺動し、携帯電話機1から脱落しまうことがあった。
【0011】
メモリーカードが、携帯電話機から脱落すると、メモリーカードの破損、衝撃によるメモリーカードのデータ消失等が発生する恐れがある。また、メモリーカードが脱落して紛失すると、メモリーカード内部のデータが第3者に漏洩する恐れもある。このため、従来より、メモリーカードが脱落しにくい構造を有する携帯端末装置が望まれていた。
そこで、本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、メモリーカードが脱落するのを防ぐことができる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述したような課題を解決するために、本発明にかかる携帯端末装置は、情報記憶用メモリーカードを収納する収納部と、この収納部を覆う蓋とを備えた携帯端末装置において、蓋の収納部に対向する側に凸部を設けたことを特徴とする。この凸部には、板や突起など、蓋に形成されメモリーカードが携帯端末装置外部に外れるのを防ぐための部材であれば各種部材を用いることができる。
【0013】
上記携帯端末装置において、凸部は、複数設けられるようにしてもよい。
【0014】
上記携帯端末装置において、蓋は、一端が装置に固定されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、落下等により携帯端末装置に衝撃がかかり、携帯端末装置の蓋が収納部から外れた半開きの状態になり、携帯端末装置の収納部からメモリーカードが外れたとしても、蓋に形成された凸部がメモリーカードに当接してメモリーカードがこれ以上携帯端末装置外部に移動するのを防ぐため、メモリーカードが携帯端末装置から脱落することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかる携帯電話機の収納部の構成を説明する図、図2は、本実施の形態にかかる携帯電話機の収納部の組立動作を説明する図、図3は、本実施の形態にかかる携帯電話機の収納部の構成を説明する斜視図である。
なお、本実施の形態にかかる携帯電話機は、背景技術の欄で図6〜8を参照して説明した携帯電話機1の収納部10、特にカバーの構造に特徴を有するものである。したがって、本実施の形態において、背景技術の欄で説明した携帯電話機1と同等の構成要素には、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
本実施の形態にかかる携帯電話機1において、収納部10は、下側筐体3の側部に設けられた嵌合部11と、この嵌合部11に連続して下側筐体3内部に配設されたコネクタ12と、嵌合部11と嵌合するカバー30とから構成される。
【0018】
カバー30は、長軸に平行な一の面に開口31aが形成された略直方体形状の筐体からなる蓋31と、一端が蓋31の長軸に直交する一方の面に接続され軸線方向が蓋31の長軸に沿うように形成された軸32と、この軸32の他端が接続され下側筐体3に固定されるための凹部33aを有する基部33と、蓋31の長軸に直交する他方の面に形成されたフック34と、蓋31の内側に形成されたリブ35とから構成される。このようなカバー30において、少なくとも軸32は樹脂等の弾性力を有する部材から構成される。
【0019】
リブ35は、図1〜3に示すように、板の形状を有し、蓋31の底面(蓋31の長軸に直交する面)と平行な状態で蓋31内部に、蓋31の底面から所定の距離だけ離間して配設される。
【0020】
このようなカバー30は、図2に示すように、下側筐体3の側面に接続面を有する上ケース3aと下ケース3bとがねじや爪等の係合手段により接続されて下側筐体3が構成される場合、一方のケース、例えば下ケース3bの側面に設けられた切り欠き3cに、基部33の凹部33aを矢印Aの方向に圧入することにより、下側筐体3に固定される。図3に示すように、フック34を嵌合部11の凹部11aと係合させ、蓋31を嵌合部11に嵌合させた状態にすると、蓋31の内面に形成されたリブ35は、コネクタ12に保持されたメモリーカード20の一端面に、開口31aと対向する側面を対向させた状態に配設される。
通常、カバー30が下側筐体3に固定された状態では、カバー30が嵌合部11に嵌合されていない場合は、少なくとも軸32の弾性力により、カバー30が嵌合部11の方向へ移動しようとする力が働く。
【0021】
図4は、本実施の形態にかかる携帯電話機におけるメモリーカードの取り外し動作を説明する図である。
メモリーカード20をコネクタ12から取り出す場合、図6に示すように、凹部9に指先を挿入し、蓋31の側面を携帯電話機1の内部から外部のへと引き出す。すると、図4に示すように、フック34が凹部11aから外れ、軸32を回動中心として蓋31が嵌合部11から外れる。これにより、嵌合部11およびコネクタ12が携帯電話機1外部に露出されるので、メモリーカード20を取り出すことが可能となる。
【0022】
ここで、もし、落下等により携帯電話機1に衝撃がかかり、蓋31が嵌合部11から外れた半開きの状態になり、かつ、メモリーカード20がコネクタ12から外れた場合、本実施の形態にかかる携帯電話機1は、図4に示すように、メモリーカード20の端部が蓋31の内側に設けられたリブ35に当接する。このリブ35がストッパーの役割を果たし、これ以上、メモリーカード20が携帯電話機1外部に移動することを防ぐ。また、リブ35は、軸32が嵌合部11の方向へ戻ろうとする弾性力と協働して、メモリーカード20をコネクタ12側に押圧する。これにより、メモリーカード20は、コネクタ12から外れた場合でも、携帯電話機1から脱落することを防ぐことができる。
【0023】
図5は、他の実施の形態にかかる携帯電話機の収納部の構成を説明する図である。
リブ35の数量は、1つに限定されず、複数設けるようにしてもよい。図5の場合、リブ35a,35bという2つのリブが形成されている。これにより、一方のリブがメモリーカード20の端部と当接しなかった場合でも、他方のリブによりメモリーカード20と当接することができるので、より確実にメモリーカード20が携帯電話機1から脱落することを防ぐことができる。また、2つのリブ35a,35bの間隔を調整することにより、リブ35a,35bが協働してメモリーカード20の端部を狭持するような状態になるので、より確実にメモリーカード20を携帯電話機1から脱落するのを防ぐことができる。
【0024】
なお、リブ35の形状は、板の形状に限定されず、メモリーカード20が携帯端末装置1外部に脱落するのを防ぐことができる蓋31の内側に設けられた凸状などの形状であれば、各種形状を適宜自由に設定することができる。また、メモリーカード20の端部とより密着するために、リブ35の形状を例えば平面視L字状の形状などにしてもよい。
また、リブ35は、開口31aと対向する側面以外の側面が蓋31の内面と接した状態で配設されているが、リブ35がメモリーカード20の端部と当接したときに変形しなければ、開口31aと対向する側面以外の側面のうち、少なくとも1つの側面が蓋31aの内面に接すればよい。
【0025】
リブ35を配設する位置は、メモリーカード20の大きさに鑑みて適宜自由に設定することができる。メモリーカード20において、コネクタ12へのメモリーカード20の挿入方向の長さと、この挿入方向に直交する幅方向の長さの関係は、幅方向の長さの比率が挿入方向の長さの比率よりも大きくなるに連れて、コネクタ12から脱落しやすくなる。したがって、幅方向の長さの比率が高いほど、軸32に近い側にリブ35を設ける。これにより、蓋31が嵌合部11から外れてメモリーカード20がコネクタ12から外れた場合でも、メモリーカード20の端部がリブ35に当接するので、メモリーカード20が携帯電話機1から脱落することを防ぐことができる。
【0026】
なお、本実施の形態では、携帯端末装置として携帯電話機を例に説明したが、メモリーカードを使用する機器であれば、PHS(Personal Handy-Phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型PC(Note Book Personal Computer)等各種機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態にかかる携帯電話機の収納部の構成を説明する図である。
【図2】本実施の形態にかかる携帯電話機の収納部の組立動作を説明する図である。
【図3】本実施の形態にかかる携帯電話機の収納部の構成を説明する斜視図である。
【図4】本実施の形態にかかる携帯電話機のメモリーカードの取り外し動作を説明する図である。
【図5】他の実施の形態にかかる携帯電話機の収納部の構成を説明する図である。
【図6】メモリーカードを装着可能な携帯端末装置の斜視図である。
【図7】従来の携帯電話機の下側筐体の要部平面図である。
【図8】従来の携帯電話機のメモリーカードの取り外し動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0028】
1…携帯電話機、2…上側筐体、3…下側筐体、3a…上ケース、3b…下ケース、3c…切り欠き、4…ヒンジ機構、5…表示部、6…受話用スピーカ、7…操作部、8…送話用マイク、9…凹部、10…収納部、11嵌合部、11a…凹部、12…コネクタ、12a…開口、20…メモリーカード、30…カバー、31…蓋、32…軸、33…基部、33a…凹部、34…フック、35…リブ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記憶用メモリーカードを収納する収納部と、この収納部を覆う蓋とを備えた携帯端末装置において、
前記蓋の前記収納部に対向する側に凸部を設けたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記凸部は、複数設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記蓋は、一端が装置に固定される
ことを特徴とする請求項1または2記載の携帯端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−5831(P2006−5831A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182255(P2004−182255)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】