説明

携帯通信端末

【課題】 メール表示画面からメール作成画面に即座に移行して返信メールの作成を行うことのできる携帯通信端末を提供する。
【解決手段】 メール表示領域300とメール作成領域310とをスクロール可能に表示する表示部を備えた携帯通信端末において、前記表示部が前記メール表示領域300を表示している時、所定のキー入力に応答してスクロールすることなく前記メール作成領域310を前記表示部に表示させるよう切替える切替手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は携帯通信端末に係り、特に通話を保持しながら互いにメールの送受信のできる携帯通信端末に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の携帯通信端末は各種の情報サービスの提供が受けられるような機能を有している。即ち携帯通信端末側から情報サービスを提供する情報サービスセンターに、情報サービスを要求するメールを送信し、情報サービスセンターから送られてきた情報サービスのメニューを受信して、このメニューを選択して各種の情報サービスを受け取ることができる。また、お互いの携帯通信端末同士で通話を保持しながら互いにメールをやり取りして相手との文字やデータのやり取りを行う機能も有している。
【0003】通常の携帯通信端末は表示部のサイズが小さいため、受信した情報を全て画面表示することが困難である。従って、表示画面上には受信したメールの一部のみを表示させ、必要に応じてアップ/ダウンキー等のキー操作により画面をスクロールさせて受信したメールを読み取るようにしていた。また、返信メールを作成する作成画面はメールの表示領域に続けて表示部に表示されるように構成されており、メール表示領域の最後にメール作成領域が現われるように構成されている。
【0004】図3は、メールの送受信が可能な携帯通信端末における表示部の構成を示した図である。表示部はメール表示領域300とメール作成領域310とに分かれており、この2つの領域は区切り表示領域350によって区切られている。メール表示領域には通信相手の宛先及び自己の送信した送信メール及び相手からの受信メールが表示されるように構成される。送信メールと受信メールとの間は区切り表示領域330によって区分されている。相手の送ってきたメールに対して返信メールを出したい時には、二重鎖線で示される区切り表示領域350を画面の最上部にまでスクロールさせてメール作成領域310を表示させた状態で、所定のキー入力を行ってこのメール作成領域310内にメールを入力して送信する。
【0005】図5は情報サービスセンターからの情報サービスを受け取る場合の従来の携帯通信端末の操作を説明するための図である。例えば、情報サービスセンターに対してサービスを受けたい旨のメールを送信すると、それに対して現在センターが提供できるサービスの内容を示したメールが図5(a)に示すように到着する。このメールはメール表示領域300に表示される。この情報サービスセンターからのメールはメニュー表示されており、各メニューに対応してそれぞれの数字が
【表1】


に示すように割り当てられている。この受信メールの最後には図5(b)に示すような二重鎖線で示す区切り表示領域が設けられている。このような情報サービスセンターからのメールを受け取ったユーザーは、このメールのメニューを確認して自分が所望とするサービスに対応したメニューの番号を選択する。
【0006】例えば、自分が必要とする情報のメニューとして■アミューズメントを選択したと仮定する。ここで、この■アミューズメントのメニューに対応する情報を更に情報サービスセンターから受け取るためには図5(a)に示すような受信メールのメール画面を所望のキー操作によりスクロールアップしていき、そのメニュー画面の最後に表示されている二重鎖線による区切り表示領域を画面の最上部になるようにする。この状態でメール表示画面がメール作成画面に切替わり、この二重鎖線区切り表示領域の下に図5(b)に示すようなメール作成画面が現われるので、ここに示すカーソルに従って、例えば「6」を入力して発信操作を行うと情報サービスセンターに対して送信が行われる。すると情報サービスセンターからメニュー■に対応する情報が図5(c)に示すように送られてきてメール表示画面に表示される。図5(c)に示すような画面状態において更にメニューの絞り込みを行って必要なメニューを選択し、上述したと同様な操作を行えば必要な情報が得られる。このように、ユーザーが情報サービスセンターから送られてくる情報に基づいて選択を繰り返すことにより欲しい情報を入手することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の携帯通信端末では相手からのメールを受け取って返信メールを相手方に送信する場合、必ず受信したメールを全て閲覧しその後にメール作成画面を表示させて返信メールの作成を行う必要があった。特に受信したメールが長文であった場合、表示部の画面サイズの制限からこの受信メールをスクロール操作によって最後まで閲覧する場合には相当の時間が掛かるという問題があった。
【0008】例えば図5(a)に示すような受信表示画面において、自分の欲しい情報は■のアミューズメントであると分かった後であっても、更にこれに引き続く
【表2】


のメニューを全てスクロールアップさせて確認した後、メール作成モードへの移行を指示するダウンキーを押さなければ図5(b)に示すようなメール作成画面は表示されなかった。従って、従来の移動通信端末では自分の見たい情報を選択した後、必要のない情報まで見なくてはならず無駄が多いという欠点があった。
【0009】また、無駄な情報を見るためにメール表示画面をスクロールさせるため余分な時間を必要とし、この時間に対して課金されるため経費が無駄になるという欠点もあった。更に受信メールを表示するための処理をCPUが行わなければならず、この表示のための計算量がCPUへの負担になるという問題もあった。また、メニューにより選択を行うような受信メールの場合、メニュー選択を行わない旨の表示は通常最後にリストされており、例えば図5(a)に示す場合にはメニュー「20」が終了の表示となっている。従って、一旦受信メールを受け取った後に選択を止めたいと思った場合、受信メールを全てスクロールして最後まで表示させ、その後にメール作成画面を表示させて「20」を入力することになる。
【0010】このように受信メールを最後までスクロールさせるのは面倒なので、通常そのような操作を行うことなく、通話を切断してしまう場合がしばしば発生する。この場合、センターは異常処理が行われたと判断するため、この異常処理を処理するためのルーチンを起動させなくてはならず処理負荷が重くなるという欠点があった。本発明は上述した問題点を解決するために成されたもので、メール表示画面からメール作成画面にスクロールすることなくジャンプして移行することの可能な携帯通信端末を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、メール表示領域とメール作業領域とをスクロール可能に表示する表示部を備えた携帯通信端末において、前記表示部が前記メール表示領域を表示しているとき、所定のキー入力に応答してスクロールすることなく前記メール作成領域を前記表示部に表示させるよう切替える切替手段を設けたものである。また、本発明は、メール表示画面とメール作成画面とを有し、前記メール表示画面のメニューを選択して前記メール作成画面に入力することによりメールの送信を行う携帯通信端末において、前記メニューの選択を示す所定のキー入力に応答して、前記メール表示画面を前記メール作成画面に切替える切替手段を設けたものである。さらに、本発明は、メール表示モードとメール作成モードとを有し、メール表示モード終了後に前記メール作成モードに移行してメールの送信を行う携帯通信端末において、前記メール表示モード時に所定のキー入力に応答して、前記メール表示モードを終了させ、前記メール作成モードに移行するようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明では、メールを受信後そのメールをメール表示領域に表示して確認中に、所定のキー入力を行えば即座にメール作成領域を表示するようにジャンプすることができるように構成されている。図1は、本発明の第1の実施の形態を説明する図で、情報サービスセンターにアクセスして情報を受信し、受信した情報メニューから所定のメニューを選択して返信を行う場合の操作を説明したものである。
【0013】所定のキー操作により情報サービスセンター1へのアクセスを起動すると、センターに接続され、図1に示すような画面101が表示される。次いで、情報サービスセンターに情報サービスを携帯通信端末に送信するよう要求する画面102が表示される。次いで、画面103に示す受信中の表示に切替わる。この画面103に引き続いて、画面104,105に示すようなサービスメニューがメール表示領域内に表示される。この画面104,105への切替えは所定のキー操作によりスクロールアップもしくはスクロールダウンにより随時必要なメニューを見ることができる。
【0014】ここでスクロールアップを更に続け受信したメールの最下行を表示させ、更にダウンキー操作10を行うと画面106が表示される。この画面106はメール作成画面と呼ばれるもので、二重鎖線で示される区切り表示の下にカーソルが現われるため、文字入力キー操作11を行えば必要な返信メールや選択したメニューに対するキー入力を行うことができる。画面107は、返信メールの作成を示した画面である。ここで本発明では、画面104もしくは105に示すような表示部がメール表示領域を表示している状態の時に、文字入力キー操作12を行うことにより、スクロールすることなく一気に画面107にジャンプするようにしている。ここで文字入力操作キー12は、通常、テンキーの入力によって行われる。
【0015】図4は、本発明の操作を説明するためのフローチャートである。まず、受信メールを受け取ることによって動作が開始する(ステップ401)。次いで、現在の表示部に表示されている情報がメール表示モードによるメール表示画面か否かの判断が行われる(ステップ402)。メール表示画面でない場合には処理は終了する(ステップ405)。メール表示モードもしくはメール表示画面を示している場合には続いてキー入力があったか否かが判断される(ステップ403)。キー入力がない場合にはステップ402に戻る。ここで例えばテンキーが押下される等のキー入力があった場合(ステップ403)、メール表示モードからメール作成モードに切替わり、メール作成画面が表示部に表示される(ステップ404)。その後処理を終了する(ステップ405)。
【0016】図4に示すようなフローチャートは図示しない通信携帯端末中のCPUが表示部の表示状態を監視することにより実行している。即ち本発明においては、CPUが表示部の表示状態を監視し、メール表示モードにある際に所定のキー入力があった場合これを検出し、すぐにメール表示モードをメール作成モードに移行させて表示部にメール作成画面を表示させるように切替動作を行う。このため、メール表示画面からメール作成画面に移行するために従来のようなスクロールをする必要がなくなる。
【0017】図2は本発明の第2の実施の形態を説明するための図である。第2の実施の形態では、情報サービスセンターからの情報の受信ではなく、携帯通信端末同士で通信を保持しながら互いにメールのやり取りを行う、いわゆるチャットメールと呼ばれる処理を行った時の状態を示している。まず、送信側において画面201が表示されている時に、所定のキー21を押下して送信先の入力を促す画面202を表示させる。ここで、電話帳検索や、リダイヤルあるいは発信履歴等を参照するためのキー22を押下することにより電話番号を入力することも可能であるが、画面202に示す状態の時に送信先の電話番号をキー23により入力することにより画面203が表示される。続いてキー24を押下して予め作成しておいたメールをチャットメールとして相手先に送信する。この状態が画面204である。送信が完了すると相手からの受信待ちとなり、相手からのメール受信があると画面205が表示される。相手からの送信が完了し(受信完了)その内容が画面206に示すように表示される。ここで所定のテンキー入力25を行うことによりメール表示モードからメール作成モードにジャンプして画面207が表示される。この画面207は編集画面であるためカーソルが表示される。このカーソルに従って所定の文字入力を行えば返信メールが画面208のように完成する。
【0018】次いで、所定のメール送信を行うキー26を押下することにより相手方に対して返信メールが送られる。返信メールを送信した後は画面204の状態となり相互に通信が続けられる。尚、画面207の状態にある時に通話の切断を示すキー操作27が行われると通話が完了し、通話時間を示す画面209が表示され、その後待機画面210となる。受信側では、待機画面231の状態の時に送信側からメール送信を受信すると、画面232に示すように着信音が鳴動し、チャットメールが着信したことを示す。ここで応答操作を行うと、チャットメールの受信中を示す画面233が表示される。相手側からの送信が完了(受信完了)すると、相手側から送られてきたメールが画面234,235に示すように表示される。画面234と235との間の切替表示はスクロールによって行う。ここで、相手に対して返信メールを送りたい場合には、所定のテンキー入力28を行うと送信側で説明したと同様にメール表示モードが終了し、メール作成モードとなり、メール作成画面236が表示される。ここで文字入力を行えば、画面237のように表示され、次いで通話開始キー29を押下すると返信メールは相手側に送信され、相手側の端末に画面205に示すように表示される。
【0019】尚、画面235の状態において通話終了を示すキー操作30が行われると通話時間を表示した画面238が表れた後、待機画面239に戻る。尚、チャットメールを起動した側ではチャットの履歴は全てメール発信履歴に1つのメールとして保存される。また、受信した側ではチャットの履歴は全てメール受信履歴に1つのメールとして保存される。それぞれ履歴表示機能を起動することにより、その内容を確認することができる。ただし、通信中に保存領域が一杯になった場合には画面240に示すように「メモリーが一杯です」、「消去して続ける/切断する」が表示されユーザーが選択することができるようになっている。「消去して続ける」を選択し通信を続け、再び保存領域が一杯になった場合には、データを消去して再び通信を続けることができる。
【0020】このように本発明では、スクロール動作によりカーソルがメール表示領域の一番下までいった時か、或いはメール表示画面において文字や数字等の所定のキー入力があった場合には、メール表示モードが終了し、メール作成画面の作成領域が一気に表示されて文字入力が可能な状態となる。この文字入力状態が可能な編集状態においても、実際の文字入力が行われていなければアップキーを押下することによりメール表示領域に戻ることもできる。そして、このメール表示領域内をスクロールしてチャットの履歴を見ることもできる。尚、上述した実施の形態においてはメールの送信先を情報サービスセンターや相手側通信端末としていたが、これに限定されるものではなく、例えば通信の相手方が通信機能を有するパーソナルコンピュータであっても良い。また、上述の実施の形態では所定のキー入力として、表示入力部からのキー入力の場合を説明したが、これに限定されるものではなく、所定のキー入力としてタッチパネルやペン入力及び音声認識等をキー入力として使用することも可能である。
【0021】
【発明の効果】以上、実施の形態に基づいて詳細に説明したように、本発明ではメール表示モード中にキー入力があると即座にメール作成モードに移行し、返信メールの作成ができるため受信メールや必要な情報を確認次第すぐに返信が行えるという利点がある。また、受信後の返信操作が簡略化されるため、通話時間や通話料金が削減される。更に、余計なスクロール操作を必要としなくなるため、キーの押下回数も減少し、CPUの計算負荷が減少するという利点がある。また、受信メールの内容によらず返信したい内容が既に決まっている場合には、受信後すぐに返信の為の操作に移行できるという利点がある。また、受信メールの表示領域の下にメール作成領域がある場合には、一度返信メールの作成を行ってから更に受信メールの表示へ戻るとメールの最後を素早く確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための図。
【図2】本発明の第2の実施の形態を説明するための図。
【図3】メール送受信機能を有する携帯通信端末における表示部の構成を示す図。
【図4】本発明の携帯通信端末の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】従来の携帯通信端末の動作を説明するための図。
【符号の説明】
300 メール表示領域
310 メール作成領域
330 区切り表示領域
350 区切り表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】 メール表示領域とメール作成領域とをスクロール可能に表示する表示部を備えた携帯通信端末において、前記表示部が前記メール表示領域を表示しているとき、所定のキー入力に応答してスクロールすることなく前記メール作成領域を前記表示部に表示させるよう切替える切替手段を設けたことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】 メール表示画面とメール作成画面とを有し、前記メール表示画面のメニューを選択して前記メール作成画面に入力することによりメールの送信を行う携帯通信端末において、前記メニューの選択を示す所定のキー入力に応答して、前記メール表示画面を前記メール作成画面に切替える切替手段を設けたことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項3】 メール表示モードとメール作成モードとを有し、メール表示モード終了後に前記メール作成モードに移行してメールの送信を行う携帯通信端末において、前記メール表示モード時に所定のキー入力に応答して、前記メール表示モードを終了させ、前記メール作成モードに移行することを特徴とする携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−278751(P2000−278751A)
【公開日】平成12年10月6日(2000.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−78533
【出願日】平成11年3月23日(1999.3.23)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】