説明

摩擦ブレーキ

非常にコンパクトな構造の摩擦ブレーキにおいて、ブレーキングのために必要な大きな力を、自己倍力成分を必要とせずに、小さな操作エネルギーの操作駆動装置によって、非常に短時間でかつ非常に小さな摩擦で加えることができるようにするためおよび場合によってはそれにもかかわらず、時と場合に応じて、自己倍力を有益な作用として許容するために、本発明では、摩擦パッド5が接触する保持部材13と、操作部材20とが押圧装置10に設けられ、操作部材20が可動のブレーキ部分の一部に回転可能に支承されて配置され、操作部材20を揺動させるための操作手段14が操作部材20に枢着され、保持部材13内にジャーナル25が回転可能に支承されて配置され、このジャーナル25が操作部材20上に配置され、ジャーナル25の回転軸線27が操作部材20の回転軸線24に対して偏心して配置されていることが提案される。その代わりに、操作部材20にカム31が設けられ、保持部材13にストッパが設けられ、発生する連行力による保持部材13の連行を防止するために、ストッパがカム31と協働する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ部分、好ましくはブレーキキャリパを備え、このブレーキ部分に、摩擦パッドを摩擦面、好ましくはブレーキディスクに押し付けるための押圧装置が配置されている、摩擦ブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば乗物のディスクブレーキのような電気操作ブレーキを適切に設計するためには、操作と摩耗調整のための実際の力とエネルギーが重要である。純粋な摩耗調整はブレーキパッド寿命にわたってゆっくりと行われ、そしてブレーキパッド(摩擦パッド)の摩耗が進行した際にブレーキディスクとブレーキパッドとの間のある程度の空隙(一般的に1mm未満)を維持するかまたは大きすぎないようにする働きをする。ブレーキングの場合に空隙を克服しなければならない。この場合、空隙の除去は1秒よりもはるかに短い時間で行うべきである。なぜなら、もしそうしないと、ブレーキの応答時間が長すぎることになり、安全性が損なわれるからである。大まかに言うと、空隙を約1/10秒以内に克服しなければならない。乗用車の場合、空隙を除去するために必要な力は、大まかに言えば10Nの多数倍の範囲である。この力はブレーキの状態(汚れ、腐食、古さ等)、大きさおよび構造によって非常に大きく変動する。空隙が1mmで、押圧力が100Nであると仮定すると、0.1Wsの作業が必要であり、そのためには1/10秒内に1Wが必要となる。フルブレーキングの際に必要である、ブレーキディスクに対するブレーキパッドの大きな押圧力のために、乗用車の場合には数10kNが見込まれる。作動のために必要なストロークは、ブレーキパッド、ブレーキキャリパおよびブレーキの他のすべての高弾性部品の弾性特性によって生じ、一般的にはほぼ数1/10mmである。従って、例えば40kNの最大力(平均力が20kNと仮定する)で0.5mmのフルブレーキングを行う際に、ブレーキパッドを押圧するために10Wsの作業が必要である。すなわち、ブレーキを1/2秒以内に操作する際に、1個の車輪のフルブレーキングのために平均で20W必要である。従って、上記のフルブレーキングの代わりに普通のブレーキングを行うとすると、車両ブレーキの必要な操作エネルギーと出力は小さいが、そのために必要な力は非常に大きい。よって、小さな出力の操作駆動装置を使用し、必要な大きな力を発生するために摩擦の非常に小さな機構を使用することを容易に思いつく。このような機構は例えば特許文献1から明らかである。この場合、ブレーキパッドは保持部材上に配置され、この保持部材は駆動されるカムによって押し付けられるかまたは離される。保持部材とカムとの間には中間部材が配置され、カムがこの中間部材に接触し、中間部材がガイド内を案内される。摩擦のために発生するブレーキパッドの連行力がこの中間部材によって受け止められ、従ってブレーキディスクと一緒のブレーキパッドの回転が防止される。それによって、このブレーキの場合には自己倍力が不可能であり、常に全押圧力が押圧機構によって加えられる。さらに、このようなブレーキは大きな構造スペースを必要とし、それによってこのブレーキは条件付きでのみ使用可能である。従って、このようなブレーキは主として、必要な構造スペースが存在するトラック用ブレーキとして使用される。
【0003】
従って、力を変える、ディスクブレーキのためのこのような押圧機構は、トラックの圧縮空気ブレーキによって知られている。圧縮空気は例えば乗用車の油圧ブレーキの圧力の約1/10である。トラックの場合、ピストン面積とブレーキディスク直径が大きいので、ブレーキパッドの押圧力は付加的な機械的変換によって達成可能である。そのため、圧縮空気ブレーキがトラックにおいて使用される。従来の油圧式ディスクブレーキの場合には、どこでも同じ圧力が生じ、それによって同じ押圧力が生じる。自己倍力が発生しないので、摩擦力とブレーキトルクはどこでも同じである。それによって、このような油圧式ディスクブレーキの場合には、均一なブレーキのためのすぐれた前提条件が与えられる。これは、今日の車両に常に油圧式ブレーキが組み込まれている理由でもある。圧縮空気ブレーキにおいて油圧式ブレーキを模造することを実際に試みたが、圧縮空気(低すぎる圧力)でも油圧でもブレーキパッドを駆動せず、倍力カムによって駆動した。
【0004】
ブレーキングのために必要な大きな力は、てこ比を利用して簡単なレバーによって容易に発生させることができない。というのは、このようなレバーが特に車両の車輪の領域の狭いスペース状態に基づいて構造的に実現できないほど、変速比が操作駆動装置の制限された力に基づいて不所望であるからである。この場合、特に、このようなレバーのために必要な軸受の配置に大きな問題があるので、単純なレバーは実際には使用不可能である。そのために、特許文献2では、ブレーキングのために支持レバーをブレーキディスクに押し当てるブレーキを開示ししている。その際、可能な力伝達比は、ブレーキのために供される組み込み場所と、支持レバーのために必要な支承部によって制限される。それによって、全力での駆動を行わなければならない。しかしながら、この駆動は実際には車両での使用にとって望ましくないかあるいはブレーキは特許文献2のように、ブレーキ力のかなりの部分を自己倍力によって加えなければならない。
【0005】
自己倍力式ブレーキは、特に発生する摩擦が予想よりも大きいときに、自己倍力が不均一で、ブレーキのロックを解除できないという危険を伴う。ブレーキの自己倍力が大きければ大きいほど、第1に摩擦係数に対するブレーキトルクの依存性が強く、そして第2に、大きな自己倍力が摩擦係数によって決まる角度に拘束される。それによって、大きな倍力のブレーキは正確な角度調節に非常に敏感に反応する。これは、このようなブレーキの制御を困難にし、かつコストのかかるものにする。従って、自己倍力は常に、実際のブレーキトルクを求めるために問題となる。従って、例えば特許文献2と、電気操作ブレーキを開示する特許文献3とにおけるような、公知の自己倍力式ブレーキでは、ロックを防止するためにあるいは自己倍力の程度を調節できるようにするために、それなりに大きなコストがかかる。特許文献3では例えば自己倍力を調節するために、相互作動の2個の駆動装置が設けられている。これは制御コストをそれなりに高めることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第3716202号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10324424号明細書
【特許文献3】独国特許第10156348号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、具体的な発明の課題は、非常にコンパクトな構造であると共に、ブレーキングのために必要な大きな力を、自己倍力部分を必要とせずに、小さな操作エネルギーの操作駆動装置によって非常に短い時間でかつきわめて小さな摩擦で加えることができる摩擦ブレーキを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は本発明に従い、摩擦パッドが接触する保持部材と、操作部材とが押圧装置に設けられ、操作部材がブレーキ部分に回転可能に支承されて配置され、操作部材を揺動させるための操作手段が操作部材に枢着され、保持部材内にジャーナルが回転可能に支承されて配置され、このジャーナルが操作部材上に配置され、ジャーナルの回転軸線が操作部材の回転軸線に対して偏心して配置されていることによって解決される。この課題は同様に、摩擦パッドを固定した保持部材と、操作部材とが押圧装置に設けられ、操作部材がブレーキ部分に回転可能に支承されて配置され、操作部材を揺動させるための操作手段が操作部材に枢着され、操作部材にカムが設けられ、保持部材にストッパが設けられ、発生する連行力による保持部材の連行を防止するために、ストッパがカムと協働することによって解決される。各々のこの構造により、非常に大きな力伝達比が小さなスペースで実現可能である。これはさらに、小さなエネルギーの操作駆動装置の使用を可能にする。それによっておよびきわめてコンパクトな構造によって、非常に小さなストロークが達成される。これは摩擦ブレーキのきわめて短い応答時間を可能にする。
【0009】
それにもかかわらず、自己倍力を効果的な作用として許容するために、操作部材とジャーナルの偏心した回転軸線を有する実施形態において、摩擦パッドが保持部材に動かぬように固定されている。それによって、自己倍力が可能になる。カムを備えたブレーキの実施形態の場合には、保持部材の連行がストッパによって阻止されることによって、自己倍力が可能になる。本発明に係る摩擦ブレーキの場合、自己倍力は基本原理として利用されないで、時と場合に応じて効果的な作用として甘受される。必要なブレーキ力の発生は専ら自己倍力に基づいているのではなく、主として押圧機構によって行われる。それにもかかわらず、ブレーキの自己倍力は本発明に従って可能になり、そして出現しブレーキングを補助する好ましい副次的効果である。これは例えば乗用車の場合、フルブレーキングの際に動的な車輪荷重分布によって非常に多くのブレーキ力が必要となるからである。
【0010】
操作部材として軸部材が設けられ、この軸部材の軸方向端部にジャーナルが配置されていると特に有利である。というのは、このような軸部材が例えばころがり軸受のような標準部品によって非常に簡単に回転可能に軸承できるからである。
【0011】
同様に、操作部材として中空軸が設けられ、貫通する軸方向切欠きが中空軸の回転軸線に対して偏心して配置され、ジャーナルが切欠きに差し込まれていると有利である。というのは、それによって一方ではきわめて簡単に軸承を実現することができ、他方では必要な偏心をきわめて簡単に形成することができるからである。他の有利な実施形態では、操作部材が中空軸として形成され、非円形横断面を有する貫通する軸方向切欠きが形成され、ジャーナルが切欠きに差し込まれている。このような切欠きは簡単に形成することができ、ブレーキを両方向に同じように作用するように運転することを可能にする。
【0012】
ジャーナルの回転軸線が出発位置に配置されていることによって生じる、操作部材の回転軸線に対する間隔と角度の偏心によって、ブレーキパッドの押圧運動の開始時に自己弱まりが生じ、そして押圧運動の終了時に自己倍力が生じるように、ジャーナルの回転軸線が出発位置に配置されていると、押圧力(ひいてはブレーキ作用)の変化を押圧運動にわたって調節することができ、例えば操作ユニットに依存してこの変化を最適に形成することができる。
【0013】
カムを備えた実施形態の場合、カムの表面が保持部材に対して小さな摩擦で支承されていると有利である。というのは、必要な操作エネルギーが減少し、ブレーキの応答時間を短縮することができるからである。ブレーキングの後で保持部材を簡単に後退させるために、ばねの一端が保持部材に作用し、他端が可動のブレーキ部分または固定されたブレーキ部分に配置されているかまたはカムが保持部材に連結されている。
【0014】
必要な大きな押圧力を簡単に発生できるようにするために、操作部材にレバー部分が有利に配置され、このレバー部分に操作手段が作用し、それによって非常に大きなてこ比が実現可能である。
【0015】
摩擦ブレーキを連続運転するために、可動のブレーキ部分に摩耗調整装置が設けられ、押圧装置が摩耗調整装置に配置されていると有利である。これにより、ブレーキの機能を損なわないで、進行する摩耗を簡単かつ確実に補償することができる。摩耗調整装置に摩耗調整駆動装置が配置され、この摩耗調整駆動装置がねじスピンドルを駆動し、このねじスピンドル上にねじ付きスリーブが配置され、このねじ付きスリーブが摩耗調整部材内に配置され、押圧装置が摩耗調整部材に配置されていると特に有利である。ブレーキングの場合に、発生する大きな押圧力をブレーキディスクに伝達できるようにするために、ねじスピンドルの自己ロック作用を簡単に利用することができる。
【0016】
摩擦、ひいては摩耗を低減するために、ブレーキング後に空隙を再形成する空隙再形成装置が摩耗調整装置に設けられていると有利である。それによって、ブレーキング後にブレーキパッドが摩擦面から完全に離れることが保証される。そのために、摩耗調整装置の可動部分、好ましくは摩耗調整部材に、凹部が設けられ、この凹部内にピンが配置され、このピンがばねによって摩擦ブレーキの定置部分、好ましくは車輪軸受部分に対して弾性的に付勢され、ピンが側方の遊びをもって凹部に入れられていると特に有利である。それによって、構造的に簡単な構造体によって、ブレーキング後で空隙が再形成される。
【0017】
しばしば行われるかまたは長いブレーキングの際に、ブレーキが強く加熱されることが起きる。これはブレーキ部品の熱膨張を生じ、さらにブレーキパットがブレーキングの後で摩擦面から完全に離れず、押圧力が作用したままになる。その結果、摩耗が大きくなり、ブレーキがロックすることになる。これを回避する目的で、保持部材を基本位置を越えて引き戻すために、押圧装置に予備ストロークが設けられている。その代わりに、ブレーキングの後で残る押圧力に打ち勝つために、摩耗調整装置は予備出力を有するように形成可能である。
【0018】
本発明による摩擦ブレーキは好ましくは制御ユニットによって制御され、この制御ユニットは配線を介して、摩擦ブレーキの部分に配置されたセンサに接続され、このセンサから測定値が得られ、この測定値が制御信号に加工され、制御ユニットが配線を介して摩耗調整装置および/または押圧装置に接続されている。それによって、摩擦ブレーキがすべての運転状況で最適に制御または操作されることが保証される。これはブレーキの安全性またはブレーキを組み込んだ車両の安全性を高める。
【0019】
センサ装置を簡単化するために、測定された測定値から制御ユニット内で他の値を算出し、制御信号に加工することができる。それによって、センサが節約され、供される式、モデル等を用いて必要な値を十分な精度で算出することができる。
【0020】
摩擦ブレーキの運転安全性を簡単な方法でさらに高めるために、制御ユニット内で摩擦ブレーキの使用可能性が電気量の測定によってあるいは測定値の比較によってあるいは記憶された値との測定値の比較によって監視可能である。
【0021】
制御ユニットは、ブレーキングのために摩耗調整装置だけまたは押圧装置だけを制御することきに、エラーの場合にも運転安全性を高めるためにブレーキングを可能にするために利用可能である。同様に、運転安全性をさらに高めるために、摩擦ブレーキの配線、センサ、アクチュエータ、制御ユニット、電気ユニットおよび/または電子ユニットが冗長的に配置されている。
【0022】
制御ユニットは、駐車ブレーキ機能または発進補助を実現するために摩耗調整装置および/または押圧装置を制御するために簡単にプログラミング可能である。
【0023】
ブレーキヒステリシスのマイナス効果を除去または低減するために、好ましくは制御ユニットが所望な操作過程または押圧過程のために摩耗調整装置および/または押圧装置に対する変位設定値を算出し、この変位設定値の制御信号を摩耗調整装置および/または押圧装置に送信する。しかしながら、摩擦ブレーキのためにブレーキヒステリシスを制御ユニットに記憶することができ、摩耗調整装置および/または押圧装置への制御信号の発生時に、制御ユニットがブレーキヒステリシスを補償することができる。
【0024】
摩擦面の両側に摩擦パッドが配置され、両側に押圧装置が設けられていると、押圧運動が小さくなるので有利である。なぜなら、押圧装置がその都度摩擦パッドを押圧しなければならないからである。これは摩擦ブレーキの良好な応答時間を生じることになるかまたは押圧の力伝達比の最適化を許容する。
【0025】
本発明に係る摩擦ブレーキを摩擦クラッチとして使用すると非常に有利である。というのは、摩擦ブレーキと摩擦クラッチとの間に基本構造の違いがないからである。
【0026】
有利な実施形態を例示し、限定しない図1〜図9に基づいて、具体的な本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ここでディスクブレーキとして形成された本発明に係る摩擦ブレーキの斜視図である。
【図2】ここでまたディスクブレーキとして形成された本発明に係る摩擦ブレーキの押圧装置の詳細図である。
【図3】ここでまたディスクブレーキとして形成された本発明に係る摩擦ブレーキの他の実施形態の詳細図である。
【図4】本発明に係るブレーキの押圧装置の他の実施形態を示す。
【図5】ブレーキングの前および後で空隙を再調整するための装置を備えたディスクブレーキの概略図である。
【図6】ブレーキングの前および後で空隙を再調整するための装置を備えたディスクブレーキの概略図である。
【図7】自己倍力に対する偏心の影響を概略的に示す。
【図8】摩擦クラッチとしての本発明に係る摩擦ブレーキの使用を示す。
【図9】摩擦クラッチとしての本発明に係る摩擦ブレーキの使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、例えば乗物の車輪用のディスクブレーキのような本発明に係る摩擦ブレーキ1が示してある。次に、ディスクブレーキに基づいて説明を行う。摩擦ブレーキの場合、原理的に常に、摩耗調整および空隙除去、大きなパッド押圧力の加圧および場合によっては自己倍力、小さな摩擦での操作という課題が存在するので、本方法は、ディスクセット内の最初と最後のディスクが押圧されるマルチディスクブレーキ(多板ブレーキ)にも、(ほとんどの場合)2個のシューが外側と内側でブレーキドラムに押し付けられるシューブレーキにも同様に適している。その際、すべての摩擦ブレーキにとって、摩擦パッド(ここではブレーキパッド)が押圧装置によって摩擦面(ディスクまたはドラム)に押し付けられる点が共通している。
【0029】
車輪軸受部分2には、(図示していない)車輪が公知のごとく回転可能に軸受され、そしてブレーキディスク3が同様に公知の態様で車輪に配置されている。車輪軸受部分2にはここでさらに、ブレーキキャリパ4として形成されたブレーキの可動部分が可動に配置されている。しかし、ブレーキキャリパ4は乗物の他の固定部分に配置してもよい。ブレーキキャリパ4は公知のフローティングキャリパとして形成されている。このフローティングキャリパの場合、ブレーキキャリパ4はブレーキディスク3をまたぎ、ブレーキディスク3の両側に摩擦パッド5(ここではブレーキパッド)が1個ずつ配置されている。ブレーキキャリパ4は車輪軸受部分2上に配置された2個の案内ロッド6によって案内および保持されている。ブレーキキャリパ4はもちろん、フローティングキャリパとは異なるように形成可能であり、そして2本の案内ロッド6とは異なる方法で車輪軸受部分2に配置することができる。
【0030】
摩擦ブレーキ1の可動部分として摩耗調整装置7を設けることができる。この摩耗調整装置には、図2を参照してさらに正確に説明するように、ブレーキパッド5をブレーキディスク3に押し付けるための押圧装置10が設けられている。摩耗調整装置7は図示した実施形態の場合のようにブレーキキャリパ4に配置することができるが、摩擦ブレーキ1の固定部分にも配置することができる。摩耗調整装置7はブレーキ1の運転によって生じる摩耗を補償し、摩擦パッド5とブレーキディスク3との間の所望な空隙を保持する働きをする。そのために、ここではブレーキキャリパ4内にねじスピンドル9が設けられている。このねじスピンドルは摩耗調整モータ8、例えば電動機によって駆動される。このねじスピンドル9には、例えばねじスピンドル9に螺合する(図1に図示していない)ねじ付きスリーブ17を介して、可動の摩耗調整部材11が配置されている。このねじ付きスリーブは摩耗調整モータ8によってねじスピンドル9を回転することによって直線的に往復運動可能である。このようにして、ねじスピンドル9を回転することにより、摩耗調整部材11、ひいてはブレーキパッド5を、所望な空隙を保持するために移動さることができる。ねじの状態が非常に悪い場合でも、この役目はねじによって達成可能であり、しかも負荷下でも、例えばブレーキング時に付加的な押圧力が加えられるときでも、摩耗調整部材がロックされるという付加的な利点がある。図示した実施形態では、摩耗調整装置7はブレーキング時に発生するブレーキパッド5の摩擦力を部分的に受け止め、車輪軸受部分2に配置された摩耗調整ストッパ12を経てこの摩擦力を車輪軸受部分2に伝え、それによって摩擦ブレーキ1が一緒に回転するのを防止する。摩擦ブレーキ1を両走行方向で使用できるようにするために、上側と下側の摩耗調整ストッパ12が設けられている。
【0031】
摩擦ブレーキ1を操作するために、すなわちブレーキパッド5をブレーキディスク3に押し付けるために押圧装置10が役立つ。そのために、ブレーキパッド5は押圧装置10の保持部材13に動かぬように固定され、押圧装置10は後述するように、ブレーキキャリパ4の一部、ここでは摩耗調整装置7に配置されている。保持部材13はここではU字状に形成され、例えば摩耗調整部材11またはブレーキキャリパ4の他の部分のような摩耗調整装置7の部分をまたいでいる。押圧装置10は例えば棒のような操作手段14によって操作される。この操作手段14は操作駆動装置15によって駆動される。この操作駆動装置15は押圧エネルギーを加え、この押圧エネルギーは押圧装置10によって摩擦の小さい大きな伝達比でブレーキパッド5の大きな押圧力に変換される。操作駆動装置15は例えば、レバーを介して操作手段14を操作する電動機である。押圧装置10が保持部材13(またはブレーキパッド5)に直接的に固定連結されていることによって、発生する連行力が押圧装置10にも作用する。それによって、さらに正確に後述するような自己倍力作用が発生し得る。
【0032】
図2は押圧機構を良好な理解のために詳細に示し、かつ切除して、すなわち保持部材13を省略し、軸受を部分的に省略し、操作手段15を省略し、そして摩耗調整装置7の一部だけを示している。操作部材20は軸受21を介してブレーキ部分、ここでは摩耗調整装置7またはブレーキキャリパ4の他の部分に回転可能に軸受されて配置されている。操作部材20はここでは軸部材23として形成され、この軸部材はそれに固定されたレバー部分22を備え、このレバー部分は例えば図示のように軸部材23の軸方向端部に配置されている。軸部材23上には軸受21が配置されている。レバー部分22には操作手段14が作用し、それによって操作部材20は軸受21の回転軸線24回りに揺動可能である。
【0033】
操作部材20の軸方向端部には、軸方向ジャーナル25が配置されている。このジャーナルは軸受26を介して押圧装置10の保持部材13に回転可能に軸受されて配置されている。図示した実施形態の場合のように、保持部材13がU字状に形成されている場合には、操作部材20の両側に軸方向ジャーナル25と軸受26を設けると有利である。しかしながら、ジャーナル25の回転軸線27は操作部材20の回転軸線24に対して偏心して配置されている。これは図2において偏心Eによって示してある。
【0034】
操作部材20がブレーキキャリパ4または摩耗調整装置7のようなブレーキ部分内に配置されているので、操作部材20を揺動させることによって、保持部材13はジャーナル25の偏心Eによってブレーキディスク3の方へあるいはブレーキディスクから離れる方向に移動し、それによってブレーキパッド5が押圧されるかまたは押圧が解除される。操作部材20が摩耗調整装置7上に配置されている場合には、ねじスピンドル9のセルフロックねじの作用により、押圧力を押圧装置10によってブレーキディスク5に加えることができる。摩耗調整装置7がねじスピンドル9とは異なるように形成されていると、押圧装置10を操作するときに摩耗調整装置7を固定しなければならない。
【0035】
ブレーキパッド5をブレーキディスク3に対して同じように押し付けるために、押圧装置10内に、ジャーナル25を備えた2つ以上の操作部材20を設けることができる。同様に、ジャーナル25を操作部材20の一方の側にのみ配置してもよい。図示した例では、2つの操作部材20が設けられ、この操作部材の両側にそれぞれ1個のジャーナル25が配置されている。このジャーナルはそれぞれ軸受26を介して保持部材13に軸受されている。従って、ここでは押圧力が4個所で有利にかつそれに伴いきわめて均一にブレーキパッド5に加えられる。その際、両操作部材20の強制同期運動を達成するために、連結部材28を介して両操作部材20のレバー部分22を連結して平行四辺形を形成することができる。その際、操作手段14は一方のレバー部分22にのみ作用しなければならない。操作部材20が複数の場合、局部的に異なる押圧力と運動を生じるために、個々の操作部材20に関して異なる寸法形状、偏心E(量および角度)および/またはレバー部分22の長さを用いることができる。
【0036】
ジャーナル25は、例えば溶接によってあるいはジャーナル25と共に操作部材20を一体製作することによって、操作部材20に動かぬように固定することが可能である。その代わりに、操作部材20の軸部材23は中空軸として形成してもよい。この場合、軸方向の貫通切欠き29、ここでは(図3において破線で示した)円形穴は、軸部分23を通って操作部材20の回転軸線24に対して偏心して形成されている。この穴29内には貫通するジャーナル25を差し込むことができる。それによって、ジャーナルは操作部材20の回転軸線24に対してまた偏心して配置されている。
【0037】
図3には、本発明に係る摩擦ブレーキの他の有利な実施形態が示してある。この例では、操作部材20内に、ジャーナル25を差し込む、偏心配置された貫通する穴29が設けられておらず、操作部材20を貫通する切欠き30が設けられている。この切欠きは例えばジャーナル25を差し込む長穴の形をした非円形横断面を有する。この場合、ジャーナル25は切欠き30内に可動に配置されている。切欠き30の横断面は例えば楕円形または湾曲した長穴のような他の形をしていてもよい。その際、偏心Eは、長穴の例に基づいて次に説明するように、切欠き30の横断面形状と、非円形横断面を有する切欠き30の端部の間のジャーナル25の可動性とによって生じる。
【0038】
押圧装置10によってブレーキパッド5を押圧することにより、ジャーナル25は切欠き30(ここでは長穴)内で、操作部材20の位置に応じて、ストッパのように作用する長穴30の端部に押し付けられる。それによって、操作部材20の回転軸線24とジャーナル25の発生する回転軸線27との間に偏心Eが生じる。それに伴い、軸受21の回転軸線24回りに押圧力の作用点が生じる。この作用点はジャーナル25と軸受26を介して保持部材13、ひいてはブレーキパッド5に加えられる。逆の走行方向のために、図3において点線で示すように操作部材20が折り返すことができる。それによって、ジャーナル25は切欠き30の他端に押し付けられる。その際、ブレーキングのための押圧力は図2に関連して上述したように発生する。大きな力がこの実施によって切欠き30の領域とジャーナル25に制限されたままであるので、レバー部分22の端部を上記のように駆動のために使用可能である。それによって、場合によっては発生する自己倍力を利用して、両走行方向のために同じように作用するブレーキを得ることができる。
【0039】
もちろん、上述の軸受21、26は、例えば従来のボールベアリングを使用する場合のように、操作部材20またはジャーナル25の円周全体を取り囲まないで、押圧運動のために必要な円周だけを取り囲むように形成することができる。操作部材20の軸部分23またはジャーナル25は円形の横断面ではなく、例えば円欠の横断面を有していてもよい。
【0040】
ブレーキパッド5は保持部材13に固定連結する必要はなく、保持部材13に接触しているだけで十分である。しかし、このような構造の場合には、自己倍力作用は生じない。なぜなら、ブレーキパッド5に作用する連行力を別の方法で、例えば摩耗調整ストッパ12によって受け止めなければならないからである。
【0041】
小さなストロークでかつ少ない操作エネルギーで大きな押圧力を発生するための押圧装置10を備えた摩擦ブレーキ1の他の有利な実施形態が図4に示してある。図4では、良好な理解のために、操作部材20と、ブレーキパッド5を備えた保持部材13だけが示してある。この場合、操作部材20は1個だけ示してある。もちろん、上記と同様に、均一な押圧を達成するために、複数の操作部材20を設けることができる。操作部材20は軸受21を介して、例えばブレーキキャリパ4または摩耗調整装置7のような摩擦ブレーキ1の可動部分に回転可能に支承されて配置され、そして上述したようにレバー部分22を介して揺動可能である。操作部材20には、ここでは保持部材13に接触するカム31が成形または配置されている。均一な押圧を達成するために、複数のカム31を操作部材20に設けることができる。操作部材20がブレーキングのために揺動させられると、保持部材13がカム31の隆起カーブに従ってブレーキディスク2の方へ移動させられる。この場合、隆起カーブの形状によって押圧力の変化を設定することができる。自己倍力作用の前提条件である、ブレーキパッド5とブレーキディスク3との間の摩擦に基づいて発生する連行力を押圧装置10によって受け止めることができるようにするために、保持部材13にはストッパが設けられている。このストッパは、発生する連行力によるブレーキパッド5の連行を防止するために、カム31と協働する。このストッパは例えば保持部材13の凹部33として形成可能である。この凹部にカム31が係合する。同様に、保持部材13に設けた隆起部でもよい。この隆起部は一緒の回転を防止するためにカム31と協働する。
【0042】
ブレーキングの後でブレーキディスク2から保持部材13をブレーキパッド5と共に離すために、ばね32の一端を保持部材13に配置することができる。ばね32の他端は例えばブレーキキャリパ4または摩耗調整装置7のような摩擦ブレーキ1の可動部分あるいは例えば車輪軸受部分2のような摩擦ブレーキ1の固定部分に配置することができる。それによって、保持部材13は操作部材20が揺動して戻るときにばね32によって再び出発位置に引っ張られて戻る。カム表面と保持部材13との間の摩擦を小さくするために、カム31の表面を保持部材13に対して小さな摩擦で例えば適当なころがり軸受で支承することができる。この場合、軸受は、保持部材13が例えば軸受保持器を介してカム31に固定連結されるように形成可能である。それによって、操作部材20が揺動して戻るときに、保持部材13は引っ張られて戻り、ばね32は不要となる。
【0043】
もちろん、摩耗調整装置7および/または摩耗調整ストッパ12を異なるように形成するかあるいは摩擦ブレーキ1を摩耗調整装置7なしに形成することができる。後者の場合、例えば図示した実施形態ではブレーキキャリパ4のような可動ブレーキ部分に、押圧装置10を直接配置することができる。しかし、例えば固定キャリパのような固定ブレーキ部分に押圧装置10を配置することができる。同様に、ブレーキキャリパ4をフローティングキャリパとして形成しないで、ブレーキディスク3の片側にブレーキパッド5を1個だけ設けてもよい。摩耗調整装置7はブレーキディスク3の他方の側(すなわちここでは車両外側)あるいはブレーキディスク3の両側に配置することができる。同様に、ブレーキディスク3の両側にそれぞれ、ブレーキパッド5を備えた押圧装置10を配置することができる(図6に示唆するように)。その際、押圧運動は小さくなる。というのは、押圧装置が一方のパッドだけを押圧すればよいからである。これは良好な応答時間をもたらすかまたは押圧力の伝達比の最適化を許容する。それによって特に、フローティングキャリパとして形成されたブレーキキャリパ4を有する本発明に係る摩擦ブレーキ1のきわめて有利な実施形態が生じる。ブレーキディスク3の一方の側においてこのブレーキキャリパには摩耗調整装置7が配置され、この摩耗調整装置にはブレーキパッド5aを有する第1押圧装置10が配置され、ブレーキディスク3の他方の側においてブレーキパッド5bを有する第2押圧装置10がブレーキキャリパ4に配置されている(図6)。
【0044】
必要な大きな押圧力を、非常に小さなストロークでおよび少ない操作エネルギーで達成できるようにするために、非常に大きな力伝達比が必要である。この力伝達比は、偏心Eを非常に小さくするかまたはカム31の隆起カーブをそれに対応するように形成することによって達成可能である。本発明に係るディスクブレーキ1の場合、偏心Eまたはカム31の隆起は乗用車のときに約0.1〜1mmの範囲内にある。それによって、ディスクブレーキ1が十分にコンパクトであると共に、約1:20〜1:500(乗用車においてレバー部分22の長さが約20〜50mmの場合)の力伝達比が実現可能である。偏心Eまたはカム31の隆起の下限は、克服しなければならない構造部材の弾性変形から生じる。レバー部分22の長さは、供される小さな組み込み寸法に基づいて小さい方が望ましい。その際、操作駆動装置15が同じである場合(あるいは操作エネルギーが同じである場合)押圧力は当然レバー部分22の長さに比例して低下する。軽量の乗用車の場合には小さな偏心Eまたはカム31の小さな隆起で十分であり、大型の乗物(トラック、鉄道)の場合には、偏心Eまたはカム31の隆起は、弾性および押圧力に相応して大きくする必要がある。
【0045】
偏心Eまたはカム31の隆起カーブは量だけでなく、例えばレバー部分22の対称軸線のような基準軸線に対する角度でも選定することができる。ブレーキングの際にブレーキパッド5がブレーキパッド5による摩擦に基づいて連行されるときに、連行力は押圧力に逆らうようにあるいは押圧力を補助するように作用し得る。それによって、「マイナスの」自己倍力作用(すなわち「自己弱まり」)が起こり得る。偏心Eの位置の選択によってあるいはカム31の隆起カーブの適切な形成(場合によっては保持部材13のストッパの形成)によって、図7に基づいて偏心Eを例にして説明するような、自己弱まりと自己倍力の組み合わせが生じ得る。カム31の隆起カーブをもちろん適切に形成することができる。図7aには、上述のようにジャーナル25を偏心配置した操作部材20の起こり得る出発位置が示してある。押圧装置10が操作されると、すなわち操作部材20が回転軸線24回りに揺動させられると、ジャーナル25の回転軸線27(ひいてはそれに固定された保持部材13)が回転軸線24の左側(自己弱まりの領域)の出発点(図7a)から、頂点(自己倍力なし)を経て、回転軸線24の右側(自己倍力の領域)の終点(図7b)まで移動する。その際、自己弱まりまたは自己倍力は、働く力(連行力、押圧力)の作用点から生じる。すなわち、操作部材20が回転させられる揺動角度は、回転軸線24、27の中心間隔M(レバー部分22に対する偏心Eの角度に一致する)および偏心Eと共に、摩擦ブレーキ1の操作力の変化を決定する。その際、自己倍力は図示のように、大きな自己倍力の領域から、自己倍力しない領域を経て、自己倍力と異なり大きな操作力を必要とする、反対方向に作用する力の領域まで選択可能である。それによって生じる自己倍力は常に、押圧装置10によって加えられる押圧力の補助としてのみ見ることができる。もちろんそれによって、自己弱まりだけまたは自己倍力だけを行うこともできる。ブレーキ操作の広い範囲にわたって(弱いブレーキングからフルブレーキングまで)、操作力を有利に変化させることができる。例えば小さなブレーキトルクと押圧力の範囲では「マイナスの」自己倍力が選択され、ブレーキトルクと押圧力が増大すると、自己倍力のない領域を通過し、そしてブレーキトルクと押圧力が最大の場合、自己倍力が操作力を減少させることができる。その結果、所望なブレーキトルクと押圧力にわたって、操作力をある程度同じように変化させることができる。調節運動の組み合わせによって(摩耗調整装置7によってパッドを当てることと押圧装置10によってブレーキパッドを押し付けること)、摩擦ブレーキ1の構造的な変更をしないで、自己倍力の程度、ひいては操作力の変化を調節することができる。摩擦ブレーキ1の弾性的な反応が(例えばブレーキパッド5の摩耗によって)変化すると、同様に上記の両運動の組み合わせを利用することができ、それによってその都度のブレーキングのために、データ(弾性的な反応)が変化したにもかかわらず、操作力の有利な変化を実現させることができる。
【0046】
ブレーキングの後で、好ましくは空隙を再び形成すべきである。それによって、ブレーキをかけない普通の場合に、ブレーキパッド5とブレーキディスク3との間の利用されない摩擦が小さくなる。ブレーキディスク2の両側にブレーキパッド5a、5bを配置した(ディスクブレーキまたは多板ブレーキの場合)、フローティングキャリパとして形成されたブレーキキャリパ4の場合には、ブレーキングの後で空隙は両側で自動的に再び生ずるのではなく、再び形成しなければならない。その理由は、ブレーキングの終了後、摩耗調整装置7が再びブレーキパッド5の小さな空隙を形成するが、この空隙が差し当たり摩耗調整装置7の側だけに生じることにある。フローティングキャリパのガイドに対するフローティングキャリパの摩擦付着に打ち勝って初めて、第2の側にも空隙が生じる。車輪の回転摩擦を非常に小さくする目的でブレーキングの後でブレーキの両側に空隙を形成するために、好ましくは、図5と図6を参照して次に説明するような空隙再形成装置40が付加的に設けられている。
【0047】
空隙再形成装置40はピン43を備えている。このピンは、例えば摩耗調整部材11のような摩耗調整装置7の可動部分の凹部41内に配置され、例えば車輪軸受部分2のようなディスクブレーキ1の定置された部分に対してばね42によって付勢されている。その際、ピン43は凹部41内でストッパ44、45の間に遊びを有し、それによってピン43は凹部41内においてストッパ44、45の間で移動することができる。制動された状態(図5)において、摩耗調整装置7は空隙をなくすように調節され、押圧装置10を操作する。それによって、ブレーキパッド5a、5bがブレーキディスク3に押し付けられる。その際、ピン43はブレーキパッド5a、5bが摩耗し摩耗調整がゆっくりと持続している間にさらに右側へ移動させられる。なぜなら、ピンがストッパ44によって右側へ連行されるからである。
【0048】
ブレーキングの後でブレーキ1が再び空隙を有するようにすべきときには、摩耗調整装置7が押圧装置10(この押圧装置は例えば上述のように形成可能である)を予定通りに先ず最初にブレーキディスク3から後退させ、ブレーキパッド5aをブレーキディスク3から離す。この時点で、押圧装置10は好ましくは既に作動を停止している。その際、ばねで付勢されたピン43はストッパ44からストッパ45に移動する。フローティングキャリパのガイドの摩擦付着に基づいて、フローティングキャリパはこの瞬間まで移動しない。すなわち、ブレーキパッド5bはブレーキディスク3に接触し続ける。摩耗調整装置7によるさらなる意図的な離隔運動によって(図6)、ストッパ45がばねで付勢されたピン43に支持され、離隔運動に抗してフローティングキャリパ全体を(図6において右側へ)摺動させる。これは、ばねで付勢されたピン43と車輪軸受部分2との間の摩擦がガイド内でのフローティングキャリパの摩擦付着よりも大きいときに常に行われる。これは材料またはばね42の適当な選択によって簡単に調節可能である。従って、両ブレーキパッド5a、5bにおいて空隙を調節することができる。摩耗調整装置7による普通の摩耗調整運動により、ピン43は凹部42内でストッパ44によって連行される。さらに、図6に示す摩擦ブレーキ1の構造の場合には、両ブレーキパッド5a、5bに押圧装置10が1個ずつ作用する。
【0049】
上記の代わりに、空隙再形成装置40として、摩擦ブレーキ1の可動部分を、ブレーキパッド5の空隙発生位置に摺動させるための固有の駆動装置を設けることができる。
【0050】
ブレーキングの際にブレーキ部品(例えばブレーキパッド5またはブレーキディスク3)が加熱され、それによってある程度の熱膨張を生じる。従って、ブレーキ過程終了後、押圧装置10が押圧運動分だけ戻るが、熱膨張した部品によって、押圧装置が戻るときにブレーキパッド5がブレーキディスク3から離れないで押圧力が残ることがあり得る。その結果さらに、摩耗調整装置7が空隙のための運動を生じることができないほど大きな力が摩耗調整装置に残ることになる。というのは、摩耗調整モータ8の供される操作エネルギーが時として上記運動のために十分ではないからである。それによって、ブレーキは大きな摩擦を生じ、これは状況をさらに悪化させ、ブレーキを動かなくすることになる。これを回避するために、押圧装置10は付加的に供される離隔ストロークの形をした予備のストロークを有する。基本位置からブレーキングを開始する際には、この予備のストロークは必要とされない。ブレーキングの終了時にこの小さな予備ストロークは、基本位置を越えて押圧装置10を後退させ、それによって保持部材13を供される予備ストロークだけ付加的に離隔方向に離隔し、それによって熱膨張にもかかわらずブレーキパッド5の離隔を補助するために利用される。予備ストロークは例えば偏心E(位置および/または角度)の適切な選択によってあるいはカム31の隆起カーブの形成によって実現可能である。他の例では、熱膨張による残留力が残っているにもかかわらず、摩耗調整装置7を弛めたり、ブレーキパッド5に空隙を再び形成することできるようにするために、摩耗調整装置7、好ましくは摩耗調整モータ8内に予備の出力が準備される。上記の両方法は個々にまたは一緒に利用することができる。
【0051】
例えば電動機のような電気的なアクチュエータの場合、電流(電圧)から、機械的な力、トルクおよび出力を良好に推定することができる。従って、このブレーキの場合には、電動機電流、電圧、出力の測定によって並びに付加的なセンサ(力、変位、トルク、加速度)および時間測定によって、ブレーキの調節状態(力、ブレーキ部品の位置、トルク、加速度)を推定することができる。そのために、制御ユニット50を設けることができる(図5)。この制御ユニットは摩擦ブレーキに配置されたいろいろなセンサ51、52の測定値を受け取ることができるかあるいは受け取った測定値から他の値を算出し(例えば電動機電流からトルクまたは力)、この測定値または他の値を制御信号に加工し、それによって摩耗調整装置7および/または押圧装置10を制御する。そのために、制御ユニット50は配線53を介してセンサ51、52に接続され、他の配線54を介して摩耗調整装置7および/または押圧装置10に接続されている。制御ユニット50は摩耗調整装置7および/または押圧装置10から、例えば電動機電流、電圧、出力のような測定値を受け取ることができ、そしてこの測定値から他の値を算出することができる。制御ユニット50は例えばデータを乗物制御ユニットまたはエンジン制御ユニット(ECU)と交換するために、インターフェース55を備えることができる。制御ユニット50はECUに統合することができる。
【0052】
(このブレーキを制御するためのような)電気回路は、油圧または空気圧と比べて比較的に容易に2チャンネルにまたは冗長的に形成可能であり、電気的測定により、例えば制御ユニット50によって比較的に容易に機能を監視することができるという利点がある。従って、このブレーキの場合には、運転信頼性を高めるために、冗長的配線、センサ装置、アクチュエータ(例えば摩耗調整電動機8または操作駆動装置15)、電気ユニットおよび/または電子ユニットを簡単に設けることができ、および/または制御ユニット50によって(例えば電流の測定、記憶値との測定値の比較によって)ブレーキの使用能力を監視することができ、場合によっては対策を講じることができ、および/またはエラーを表示することができる。エラーの場合、摩耗調整装置7単独であるいは押圧装置10単独で、ブレーキ作用を達成することを、制御ユニット50によって例えば試みることができる。さらに、個々の車輪ブレーキを冗長的に使用することができる。すなわち、個々の車輪ブレーキの故障の場合(あるいは修正不可能なエラーの場合)、制御ユニット50は残りのブレーキを適切に制御することができ、そしてこのブレーキは予定の役目を受け持つ。しかし、制御ユニット50自体を冗長的に設けることもできる。
【0053】
さらに、本発明に係る摩擦ブレーキ1によって、駐車ブレーキ機能あるいは発進補助(転がって動きだす、「ヒルホルダー」)を容易に実現することができる。このような機能はブレーキ部品を適切に制御する制御ユニット50内で簡単に達成することができる。そのために例えば、摩耗調整装置7あるいは押圧装置10あるいは摩耗調整装置7と押圧装置10の組み合わせを使用すると特に有利である。この摩耗調整装置はねじスピンドル9を介してセルフロックし、傾斜状態を維持するためにその駆動装置に持続的にエネルギーを加える必要がない。押圧装置10はエネルギーを加えない状態でパッド押圧力の側から後退させることができない。
【0054】
機械的なブレーキ操作は公知のごとく、いわゆる「ヒステリシス」、すなわち発生する摩擦付着に基づく操作時および負荷解除時の不均等な挙動を有する。例えばブレーキ作用を少し小さくすべきときに、可動部品は最後にブレーキ作用を急激に低下させるまで、摩擦付着に基づいて動かない。この好ましくない挙動をなくすために、本発明に係る摩擦ブレーキ1では、可動のブレーキ部品が小さな摩擦で軸受され、および/または操作過程および作動過程で力の設定の代わりに変位の設定によって動作が行われ、および/または制御ユニット50のブレーキヒステリシスが知られており、そして制御ユニット内で摩耗調整装置7および/または押圧装置10への制御信号の発生時に考慮および補償される。制御ユニット50による変位設定の場合には、閉じた制御回路内で制御される可動のブレーキ部分は動かなければならないが、力設定の場合には摩擦付着に打ち勝ったときに初めて動く。これは例えば制御ユニット50によって補償可能である。例えば少し低下するブレーキ作用が要求されるときには、変位設定方法によって押圧装置10を適当に後退させ、それによってヒステリシスを避けることができる。それとは逆に、ブレーキ作用を大幅に高める必要がある場合には、押圧力と、知られている摩擦係数を介してブレーキ力を知るために、力設定によって(例えば電気測定を介して)作動させることができる。
【0055】
摩擦ブレーキ1を多板ブレーキとして形成する場合、公知のごとく、多板セットが回転する部品に設けられ、他の多板セットが停止している部品に設けられ、多板セットの締め付けは例えば外側のケーシングを介して行われるかあるいは軸線周りの中空軸によって例えば両内側シューが押し広げられる(ライニング押圧力)。摩耗調整装置はディスクブレーキの場合に類似して、押圧機構の前に取付けられている。フローティングキャリパに類似して、ブレーキライニングはセルフセンタリングのために自由に動くことができる。すなわち、摩耗調整装置と押圧装置は両ブレーキライニングに作用し、ライニングのセルフセンタリングのために固定部品に抗して摺動可能である。シューブレーキの多数の実施変形例が存在するので、そのすべてについて詳しく述べることはできない。ブレーキライニングを押し広げること(内側シューブレーキ)または圧縮すること(外側シューブレーキ)が共通している。
【0056】
特に押圧装置10と摩耗調整装置7に関する基本的な構造について、摩擦ブレーキと摩擦クラッチには違いがないので、上述の摩擦ブレーキは、次に図8、図9に基づいて説明するように、摩擦クラッチ60として見ることまたは使用することができる。摩擦クラッチ60の場合、一般的にディスクである摩擦パッド5は、第1クラッチディスク62または第1クラッチディスク62の一部であり、摩擦面またはブレーキディスク3は第2クラッチディスク63である。この第1クラッチディスク62と第2クラッチディスク63は押圧装置10によって互いに押し付けられる。第1クラッチディスク62は摩擦パットが取付けられたディスクであってもよい。押圧装置10は摩擦ブレーキ1の場合のように、摩耗調整装置7に配置可能である。従って、押圧装置10によって非常に大きな押圧力を発生することができる。それによって、このような摩擦クラッチ60によって大きなトルクを伝達することができる。
【0057】
摩擦パッド5が押圧装置10の保持部材13に接触するように配置されている実施形態では、押圧装置10と、場合によっては摩耗調整装置7は図8に示すように定置されて配置されている。そのために、押圧装置10と場合によっては摩耗調整装置は、定置された一方のクラッチ部品64にあるいは定置された他方の部品に上述のように配置されている。すなわち、第1クラッチディスク62は場合によっては摩擦パッドを備え、第2クラッチディスク63(ブレーキディスク)と相対的に回転し、そして押圧装置10によって第2クラッチディスク63に押し付けられる。もちろん、摩擦クラッチ60の場合にも、第2クラッチディスクに作用する第2押圧装置10を設けることができる。
【0058】
摩擦パッド5が保持部材13に固定連結されているかまたはカム31が保持部材13の凹部33に係合する実施形態の場合、摩擦クラッチ60では押圧装置10と、押圧装置10を固定する部品、例えばキャリパが、クラッチディスクに一緒に回転するように配置されている。そのために、第1クラッチディスク62に収容部材61を一緒に回転するように配置することができる。この収容部材には、押圧装置10(および設けられている場合には摩耗調整装置7)が配置されている。それによって生じるアンバランスを補償するために、直径方向に対向する好ましくは2個の押圧装置10と場合によっては摩耗調整装置7が設けられている。もちろん、摩擦ブレーキ1の場合のように、クラッチディスクの両側に、1個または複数の押圧装置10を設けることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ部分、好ましくはブレーキキャリパ(4)を備え、このブレーキ部分に、摩擦パッド(5)を摩擦面、好ましくはブレーキディスク(3)に押し付けるための押圧装置(10)が配置されている、摩擦ブレーキにおいて、
前記摩擦パッド(5)が接触する保持部材(13)と、操作部材(20)とが前記押圧装置(10)に設けられていることと、前記操作部材(20)が前記ブレーキ部分に回転可能に支承されて配置され、前記操作部材(20)を揺動させるための操作手段(14)が前記操作部材(20)に作用することと、前記保持部材(13)内にジャーナル(25)が回転可能に支承されて配置され、このジャーナル(25)が前記操作部材(20)上に配置され、前記ジャーナル(25)の回転軸線(27)が操作部材(20)の回転軸線(24)に対して偏心して配置されていることを特徴とする摩擦ブレーキ。
【請求項2】
前記操作部材(20)として軸部材(23)が設けられ、この軸部材の軸方向端部に前記ジャーナル(25)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項3】
前記操作部材(20)として中空軸が設けられ、貫通する軸方向切欠き(29)が前記中空軸の回転軸線(24)に対して偏心して配置され、前記ジャーナル(25)が前記切欠き(29)に差し込まれていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項4】
前記操作部材(20)として中空軸が設けられ、非円形横断面を有する貫通する軸方向切欠き(30)が形成され、前記ジャーナル(25)が前記切欠き(30)に差し込まれていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項5】
前記摩擦パッド(5)が前記保持部材(13)に動かぬように固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項6】
前記ジャーナル(25)の前記回転軸線(27)が出発位置に配置されていることによって生じる、前記操作部材(20)の前記回転軸線(24)に対する間隔と角度の偏心(E)によって、前記ブレーキパッドの押圧運動の開始時に自己弱まりが生じるおよび/または押圧運動の終了時に自己倍力が生じるように、前記ジャーナル(25)の前記回転軸線(27)が出発位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項7】
ブレーキ部分、好ましくはブレーキキャリパ(4)を備え、このブレーキ部分に、摩擦パッド(5)を摩擦面、好ましくはブレーキディスク(3)に押し付けるための押圧装置(10)が配置されている、摩擦ブレーキにおいて、
前記摩擦パッド(5)を固定した保持部材(13)と、操作部材(20)とが前記押圧装置(10)に設けられていることと、前記操作部材(20)が前記ブレーキ部分に回転可能に支承されて配置され、前記操作部材(20)を揺動させるための操作手段(14)が前記操作部材(20)に作用することと、前記操作部材(20)にカム(31)が設けられ、前記保持部材(13)にストッパが設けられ、発生する連行力による前記保持部材(13)の連行を防止するために、前記ストッパが前記カム(31)と協働することを特徴とする摩擦ブレーキ。
【請求項8】
前記カム(31)の表面が前記保持部材(13)に対して小さな摩擦で支承されていることを特徴とする請求項7に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項9】
ばね(32)の一端が前記保持部材(13)に作用し、他端が可動のブレーキ部分または固定されたブレーキ部分に配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項10】
前記カム(31)が前記保持部材(13)に連結されていることを特徴とする請求項8に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項11】
前記カム(31)の隆起カーブによって生じる、前記操作部材(20)の前記回転軸線(24)に対する間隔と角度の偏心(E)により、前記摩擦パッド(5)の押圧運動の開始時に自己弱まりが生じるおよび/または押圧運動の終了時に自己倍力が生じるように、前記カムの隆起カーブが形成されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項12】
前記操作部材(20)にレバー部分(22)が配置され、このレバー部分に前記操作手段(14)が作用していることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項13】
前記ブレーキ部分に摩耗調整装置(7)が設けられ、前記押圧装置(10)が前記摩耗調整装置(7)に配置されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項14】
前記摩耗調整装置(7)に摩耗調整駆動装置(8)が配置され、この摩耗調整駆動装置がねじスピンドル(9)を駆動し、このねじスピンドル上にねじ付きスリーブ(17)が配置され、このねじ付きスリーブが摩耗調整部材(11)内に配置され、前記押圧装置(10)が前記摩耗調整部材(11)に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項15】
ブレーキング後に空隙を再形成する空隙再形成装置(40)が前記摩耗調整装置(7)に設けられていることを特徴とする請求項13に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項16】
前記摩耗調整装置(7)の可動部分、好ましくは摩耗調整部材(11)に、凹部(41)が設けられ、この凹部内にピン(43)が配置され、このピン(43)がばね(42)によって摩擦ブレーキ(1)の定置部分、好ましくは車輪軸受部分(2)に対して弾性的に付勢され、前記ピン(43)が側方の遊びをもって前記凹部(41)に入れられていることを特徴とする請求項15に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項17】
前記保持部材(13)を基本位置を越えて引き戻すために、前記押圧装置(10)に予備ストロークが設けられていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項18】
ブレーキングの後で残る押圧力に打ち勝つために、前記摩耗調整装置(7)が予備出力を有するように形成されていることを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項19】
制御ユニット(50)が設けられ、この制御ユニットが配線(53)を介して、前記摩擦ブレーキ(1)の部分に配置されたセンサ(51、52)に接続され、このセンサから測定値が得られ、この測定値が制御信号に加工され、前記制御ユニット(50)が配線(54)を介して前記摩耗調整装置(7)および/または前記押圧装置(10)に接続され、この両装置を制御することを特徴とする請求項13〜18のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項20】
測定された測定値から前記制御ユニット(50)内で他の値が算出可能であり、かつ制御信号に加工可能であることを特徴とする請求項19に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項21】
前記制御ユニット(50)内で前記摩擦ブレーキ(1)の使用可能性が電気量の測定によってあるいは測定値の比較によってあるいは記憶された値との測定値の比較によって監視可能であることを特徴とする請求項19または20に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項22】
エラーの場合に前記制御ユニット(50)がブレーキングのために前記摩耗調整装置(7)だけをあるいは前記押圧装置(10)だけを制御することを特徴とする請求項21に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項23】
摩擦ブレーキ(1)の配線(53、54)、センサ(51、52)、アクチュエータ、制御ユニット(50)、電気ユニットおよび/または電子ユニットが冗長的に設けられていることを特徴とする請求項19〜22のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項24】
前記制御ユニット(50)が駐車ブレーキ機能または発進補助を実現するために前記摩耗調整装置(7)および/または押圧装置(10)を制御することを特徴とする請求項19〜23のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項25】
前記制御ユニット(50)が所望な操作過程または押圧過程のために前記摩耗調整装置(7)および/または前記押圧装置(10)に対する変位設定値を算出し、この変位設定値の制御信号を前記摩耗調整装置(7)および/または前記押圧装置(10)に送信することを特徴とする請求項1〜24のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項26】
前記摩擦ブレーキ(1)のためにブレーキヒステリシスが前記制御ユニット(50)に記憶され、前記摩耗調整装置(7)および/または前記押圧装置(10)への制御信号の発生時に、前記制御ユニット(50)が前記ブレーキヒステリシスを補償することを特徴とする請求項1〜24のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項27】
前記摩擦面の両側に摩擦パッド(5a、5b)が配置され、両側に押圧装置(10)が設けられていることを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項28】
前記両押圧装置(10)の一方が摩耗調整装置(7)上に配置されていることを特徴とする請求項27に記載の摩擦ブレーキ。
【請求項29】
前記摩擦パッド(5)が第1クラッチディスク(62)であるかまたは第1クラッチディスク(62)の一部であり、前記摩擦面が第2クラッチディスク(63)であり、前記押圧装置(10)が第1クラッチディスク(62)を第2クラッチディスク(63)に対して押圧する、請求項1〜28のいずれか一項に記載の摩擦ブレーキの、摩擦クラッチとしての使用。
【請求項30】
前記押圧装置(10)が摩耗調整装置(7)上に配置されていることを特徴とする請求項29に記載の摩擦クラッチ。
【請求項31】
前記押圧装置(10)と場合によっては前記摩耗調整装置(7)が定置されて配置されていることを特徴とする請求項29または30に記載の摩擦クラッチ。
【請求項32】
前記押圧装置(10)と場合によっては前記摩耗調整装置(7)が前記第1クラッチディスク(62)と一緒に回転するように配置されていることを特徴とする請求項29または30に記載の摩擦クラッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−527582(P2012−527582A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511231(P2012−511231)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056327
【国際公開番号】WO2010/133463
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(510086268)ヴィーイー・ヴィエナ・エンジニアリング・フォルシュングス−ウント・エントヴィックルングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】