説明

撮像素子及びその製造方法

【課題】集光効率を高めて、光の減衰や混色を抑制させることができるようにする。
【解決手段】イメージセンサには、入射面に入射された光を光電変換するフォトダイオードを有する半導体基板が設けられている。フォトダイオードの入射面がレンズ形状に形成されている。本技術は、撮像素子に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮像素子及びその製造方法に関し、特に、集光効率を高めて、光の減衰や混色を抑制させることができる、撮像素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子においては、光の入射面の上部に搭載されたオンチップレンズにより集光が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−279380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画素サイズの微細化に伴って、曲率の大きなオンチップレンズの形成が困難になる。これは製造工程での加工の難易度が高くなるためである。また、オンチップレンズの材料の屈折率は、約1.4乃至2.0と低い。したがって、このようなオンチップレンズを搭載した、従来の撮像素子では、レンズ効果が十分に現れずに十分な集光効率が実現できない場合がある。
【0005】
さらに、オンチップレンズは、その製造工程において、下地を露出させないための十分な厚みを有するように加工されている。その結果、撮像素子に入射する光は、オンチップレンズを透過する間に減衰してしまい、感度の低下や混色が発生する場合がある。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、集光効率を高めて、光の減衰や混色を抑制させることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の撮像素子は、入射面に入射された光を光電変換するフォトダイオードを有する半導体基板を備え、前記フォトダイオードの前記入射面がレンズ形状に形成されている。
【0008】
前記半導体基板の上方に形成されるオンチップレンズをさらに設けることができる。
【0009】
前記半導体基板の直上に成膜される酸化膜または有機膜をさらに設けることができる。
【0010】
前記酸化膜または前記有機膜の屈折率は、前記半導体基板の屈折率よりも低くすることができる。
【0011】
前記半導体基板の素材はシリコンを含有することができる。
【0012】
前記撮像素子は、遮光膜を設けることができる。
【0013】
前記撮像素子は、CMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサとすることができる。
【0014】
前記撮像素子は、裏面照射型CMOSイメージセンサとすることができる。
【0015】
前記撮像素子は、前記半導体基板に埋め込まれた遮光膜を設けることができる。
【0016】
前記撮像素子は、表面照射型CMOSイメージセンサとすることができる。
【0017】
本技術の第2の側面の撮像素子の製造方法は、半導体基板にフォトダイオードを形成し、前記フォトダイオードの光の入射面をレンズ形状に形成するステップを含む。
【0018】
本技術の第1の側面の撮像素子においては、入射面に入射された光を光電変換するフォトダイオードを有する半導体基板が備えられ、前記フォトダイオードの前記入射面がレンズ形状に形成されている。
【0019】
本技術の第2の側面の撮像素子の製造方法においては、半導体基板にフォトダイオードが形成され、前記フォトダイオードの光の入射面がレンズ形状に形成される。
【発明の効果】
【0020】
以上のごとく、本技術によれば、集光効率を高めて、光の減衰や混色を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一般的な構成のイメージセンサの断面図である。
【図2】本技術の手法が適用されたイメージセンサの断面図である。
【図3】イメージセンサの製造装置の機能的構成例を示すブロック図である。
【図4】イメージセンサの製造処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】イメージセンサの製造処理の流れを示す図である。
【図6】ステップS2,S3におけるイメージセンサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本技術の実施の形態について説明する。
【0023】
[一般的な構成のイメージセンサ]
本発明者は、まず、一般的なイメージセンサを用いて、集光効率について検討を行った。ここで、イメージセンサの受光面を上面とし、当該受光面の反対側の面を下面として、当該受光面の法線と平行な方向を上下方向、受光面と平行な方向を横方向として、以下説明する。
【0024】
図1は、一般的な構成のイメージセンサの断面図である。
【0025】
イメージセンサ10においては、半導体基板に形成された赤用フォトダイオード21−1,緑用フォトダイオード21−2,青用フォトダイオード21−3が隣接して配置されている。
【0026】
赤用フォトダイオード21−1の上には、酸化膜22、有機膜23、赤用カラーフィルタ24−1、及びオンチップレンズ25−1が下方からその順番で積層されている。また、緑用フォトダイオード21−2の上には、酸化膜22、有機膜23、緑用カラーフィルタ24−2、及びオンチップレンズ25−2が下方からその順番で積層されている。さらに、青用フォトダイオード21−3の上には、酸化膜22、有機膜23、青用カラーフィルタ24−3、及びオンチップレンズ25−3が下方からその順番で積層されている。
【0027】
また、赤用フォトダイオード21−1,緑用フォトダイオード21−2,青用フォトダイオード21−3の各々の境界の上方には、酸化膜22を介して、遮光膜26がそれぞれ配置されている。
【0028】
オンチップレンズ25−1に入射された光は、赤用カラーフィルタ24−1、有機膜23、及び酸化膜22を透過して、赤用フォトダイオード21−1に入射する。より正確には、赤用カラーフィルタ24−1において、オンチップレンズ25−1から射出された光のうち、赤色光の波長帯域の光だけが透過し、さらに有機膜23、及び酸化膜22を透過して、赤用フォトダイオード21−1に入射する。赤用フォトダイオード21−1は、入射した光の量、すなわち受光量に応じたレベルの電荷を生成して出力する。
【0029】
オンチップレンズ25−2,25−3に入射された光は、同様の経路により、それぞれ緑用フォトダイオード21−2,青用フォトダイオード21−3に入射する。ただし、この場合、緑用カラーフィルタ24−2,青用カラーフィルタ24−3において、オンチップレンズ25−2,25−3から射出された光のうち、それぞれ緑色光の波長帯域,青色光の波長帯域の光だけが透過する点が異なる。
【0030】
上述したように、イメージセンサ10においては、曲率の大きなオンチップレンズを形成するのが困難な場合がある。また、オンチップレンズの材料の屈折率は、約1.4乃至2.0と低い。したがって、従来の構成のイメージセンサ10では、十分なレンズ効果が現れずに十分な集光効率が実現できない場合がある。
【0031】
例えば、図1に示されるように、オンチップレンズ25−2の中心軸方向から入射された光は、オンチップレンズ25−2、緑用カラーフィルタ24−2、有機膜23、及び酸化膜22を透過して、緑用フォトダイオード21−2に垂直に入射する。
【0032】
これに対して、オンチップレンズ25−2の斜め方向から光が入射された場合、オンチップレンズ25−2から射出された光のうち、緑用カラーフィルタ24−2を透過した光の一部は、遮光膜26を超えて、隣接する赤用フォトダイオード21−1へ漏れ込む。このようにして赤用フォトダイオード21−1において、漏れ込んだ光が混色成分となって、混色が発生する場合がある。
【0033】
さらに、上述したように、オンチップレンズ25−1乃至25−3は、その製造工程において、下地を露出させないための十分な厚みd1を有するように加工されている。したがって、従来の構成のイメージセンサ10に入射する光は、厚みd1を有するオンチップレンズ25−1乃至25−3を透過する間に減衰して、感度が低下する場合がある。
【0034】
そこで、本発明者は、半導体基板に形成されたフォトダイオードの光の入射面を直接凸型にエッチングすることによって、凸レンズの機能を有するフォトダイオードを形成させる、という手法を開発した。このような手法(以下、本技術の手法と称する)を適用することで、集光効率を高めて、光の減衰や混色を抑制させることができる。
【0035】
なお、以下の説明においては、半導体基板をシリコン基板として説明するが、半導体基板の素材については特に限定されず、例えばゲルマニウム等を採用することができる。
【0036】
[本技術の手法が適用されたイメージセンサ]
図2は、本技術の手法が適用されたイメージセンサの断面図である。
【0037】
イメージセンサ50においては、シリコン基板に形成された赤用フォトダイオード61−1,緑用フォトダイオード61−2,青用フォトダイオード61−3が隣接して配置されている。
【0038】
赤用フォトダイオード61−1の上には、酸化膜62、有機膜63、赤用カラーフィルタ64−1、及びオンチップレンズ65−1が下方からその順番で積層されている。また、緑用フォトダイオード61−2の上には、酸化膜62、有機膜63、緑用カラーフィルタ64−2、及びオンチップレンズ65−2が下方からその順番で積層されている。さらに、青用フォトダイオード61−3の上には、酸化膜62、有機膜63、青用カラーフィルタ64−3、及びオンチップレンズ65−3が下方からその順番で積層されている。
【0039】
なお、図2においては、酸化膜62と有機膜63が形成されている空間は、酸化膜62のみで形成されてもよいし、あるいはまた有機膜63のみで形成されてもよい。
【0040】
また、赤用フォトダイオード61−1,緑用フォトダイオード61−2,青用フォトダイオード61−3の各々の境界の上方には、酸化膜62を介して、遮光膜66がそれぞれ配置されている。
【0041】
オンチップレンズ65−1に入射された光は、赤用カラーフィルタ64−1、有機膜63、及び酸化膜62を透過して、赤用フォトダイオード61−1に入射する。より正確には、赤用カラーフィルタ64−1において、オンチップレンズ65−1から射出された光のうち、赤色光の波長帯域の光だけが透過し、さらに有機膜63、及び酸化膜62を透過して、赤用フォトダイオード61−1に入射する。赤用フォトダイオード61−1は、入射した光の量、すなわち受光量に応じたレベルの電荷を生成する光電変換を行い、生成した電荷を出力する。
【0042】
オンチップレンズ65−2,65−3に入射された光は、同様の経路により、それぞれ緑用フォトダイオード61−2,青用フォトダイオード61−3に入射する。ただし、この場合、緑用カラーフィルタ64−2,青用カラーフィルタ64−3において、オンチップレンズ65−2,65−3から射出された光のうち、それぞれ緑色光の波長帯域,青色光の波長帯域の光だけが透過する点が異なる。
【0043】
以下、赤用フォトダイオード61−1,緑用フォトダイオード61−2,青用フォトダイオード61−3を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめてフォトダイオード61と称する。また、赤用カラーフィルタ64−1,緑用カラーフィルタ64−2,青用カラーフィルタ64−3を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめてカラーフィルタ64と称する。また、オンチップレンズ65−1乃至65−3を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめてオンチップレンズ65と称する。
【0044】
なお、ここでは説明の都合上、イメージセンサ50に配置されるカラーフィルタ64を、それぞれ赤色光、緑色光、及び青色光の波長帯域の光を透過するとしたが、カラーフィルタ64の色は特に限定されず、任意の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ64であれば足りる。この場合、フォトダイオード61は、入射した任意の波長帯域の光の量に応じたレベルの電荷を生成する光電変換を行う。
【0045】
詳細については後述するが、イメージセンサ50においては、シリコン基板に形成されたフォトダイオード61の光の入射面が凸型にエッチングされることによって、凸レンズの機能を有するフォトダイオード61が形成される。これにより、フォトダイオード61において、凸レンズの機能により光が集光されるので、集光効率を高めることができる。
【0046】
さらに、イメージセンサ50においては、凸型に形成されたフォトダイオード61の上面に、シリコン基板よりも屈折率の低い酸化膜または有機膜が埋め込まれる。これにより、フォトダイオード61の上面で大きな屈折率差が発生するので、集光効率を高めることができる。
【0047】
例えば、図2に示されるように、オンチップレンズ65−2の中心軸方向から入射された光は、オンチップレンズ65−2、緑用カラーフィルタ64−2、有機膜63、及び酸化膜62を透過して、緑用フォトダイオード61−2に垂直に入射する。このとき、緑用フォトダイオード61−2に入射する光は、凸レンズの機能により集光されるので、集光効率を高めることができる。
【0048】
また、オンチップレンズ65−2に斜め方向から入射された光は、オンチップレンズ65−2、緑用カラーフィルタ64−2を透過し、屈折率の低い有機膜63及び酸化膜62(例えば波長λ=550における屈折率n=1.45)を透過する。この光は、屈折率の高いシリコン基板(例えば波長λ=550における屈折率n=4.08)に形成された凸型の緑用フォトダイオード61−2の上面61−2bで屈折して、緑用フォトダイオード61−2に入射する。
【0049】
このようにして、オンチップレンズ65−2に斜め方向から光が入射された場合であっても、酸化膜62及び有機膜63とシリコン基板との屈折率の差によって光の屈折する角度が大きくなる。さらに、緑用フォトダイオード61−2において、凸レンズの機能により光が集光されるので、集光効率を高めることができる。その結果、隣接する赤用フォトダイオード21−1へ漏れ込む光量は減少して、混色は抑制される。
【0050】
このように、イメージセンサ50においては、凸レンズの機能を有するフォトダイオード61が形成されることにより、オンチップレンズ65の曲率を大きくしなくても、集光効率を高めることができる。
【0051】
このことは、本技術の手法が適用されたイメージセンサ50においては、オンチップレンズ65の曲率を、図1の場合より大きくしなくてもいいことを意味し、オンチップレンズ65は厚みd2を有するように加工される。図1と図2を比較すると明らかなように、オンチップレンズ65においては、その厚みが厚みd2(d2<d1)に抑えられる。また、オンチップレンズ65においては、加工マージン用のオンチップレンズ65の厚みも抑えることができる。その結果、オンチップレンズ65とシリコン基板に形成されたフォトダイオード61との距離を短縮することができる。これにより、オンチップレンズ65を透過する光の減衰による感度の低下、及び混色の発生を抑制することができる。
【0052】
さらに、本技術の手法が適用されたイメージセンサ50においては、フォトダイオード61の光の入射面が凸型にエッチングされることのみで集光効率が高められる。その結果、イメージセンサ50の構造を単純化することができるので、上層の設計の自由度が増す。
【0053】
なお、当然のことながら、凸型に形成されたフォトダイオード61は、フォトダイオードの機能、すなわち受光量に応じたレベルの電荷を生成する光電変換の機能を有する。
【0054】
[イメージセンサの製造処理]
次に、イメージセンサ50の製造処理について図3乃至図5を用いて説明する。
【0055】
図3は、イメージセンサ50を製造する製造装置80の機能的構成例を示すブロック
図である。
【0056】
製造装置80は、形成部91、露光部92、リフロー部93、エッチング部94、成膜部95、及び上層形成部96を有している。
【0057】
形成部91は、シリコン基板にフォトダイオード61を形成する。露光部92は、シリコン基板上のレジストにパターニングする。リフロー部93は、パターニングが施されたレジストにリフローを行う。エッチング部94は、レジストに異方性ドライエッチングを行う。成膜部95は、酸化膜62,有機膜63、及び遮光膜66を成膜する。上層形成部96は、カラーフィルタ64及びオンチップレンズ65を形成する。
【0058】
図4は、イメージセンサ50の製造処理の流れを説明するフローチャートである。また、図5は、イメージセンサ50の製造処理の流れを示す図である。イメージセンサ50の製造処理においては、適宜人手が介在したり、複数の装置により分担されてイメージセンサ50が製造されることがあるが、本実施形態では説明を簡略化するために、1台の製造装置80が、イメージセンサ50を製造するまでの一連の処理を全て実行するものとする。
【0059】
ステップS1において、形成部91は、シリコン基板にフォトダイオード61を形成する。このとき、形成部91は、シリコン基板に不純物イオン注入等を行い、pn接合を有し受光量に応じたレベルの電荷を生成するフォトダイオード61をアレー状に形成する。
【0060】
ステップS2において、露光部92は、フォトダイオード61が形成されたシリコン基板上にレジスト111を形成し、所定の形状にパターニングする。すなわち、露光部92は、レジスト111を、溝112で仕切られた1つ1つが凸レンズ形状の基となるようにパターニングする。この状態が、状態S1,S2として図5に示されている。
【0061】
ステップS3において、リフロー部93は、パターニングが施されたレジスト111にリフローを行い、レジスト111をレンズ形状にする。すなわち、リフロー部93は、リフローを行うことによりレジスト111を融解させ、レジスト111のエッジを丸めて凸レンズ形状にする。この状態が、状態S3として図5に示されている。
【0062】
図6は、ステップS2,S3におけるイメージセンサ50の上面図である。
【0063】
図6の左側に示されるように、ステップS2において、露光部92は、レジスト111を凸レンズ形状の基となる正方形の形状にパターニングする。その後、図6の右側に示されるように、ステップS3において、リフロー部93は、レジスト111にリフローを行うことにより、レジスト111のエッジを丸めて凸レンズ形状、すなわち球面の形状にする。
【0064】
ステップS4において、エッチング部94は、凸レンズ形状にされたレジスト111に異方性ドライエッチングを行い、フォトダイオード61が形成されたシリコン基板に凸レンズ形状を形成する。この状態が、状態S4として図5に示されている。これにより、凸レンズの機能を有するフォトダイオード61が形成される。
【0065】
なお、異方性ドライエッチングが行われた後、Wet処理、電荷蓄積層の形成等によりシリコン基板へのダメージを和らげる処理が行われると好適である。
【0066】
ステップS5において、成膜部95は、平坦化のために凸レンズ形状のフォトダイオード61の直上に酸化膜62を成膜する。この状態が、状態S5として図5に示されている。なお、ステップS5において、酸化膜62の代わりに有機膜63が成膜されてもよい。
【0067】
ステップS6において、成膜部95は、酸化膜62の上に、遮光膜66を成膜する。
【0068】
ステップS7において、成膜部95は、遮光膜66が成膜された酸化膜62の上に、平坦化のために有機膜63を成膜する。なお、ステップS7において、有機膜63の代わりに酸化膜62が成膜されてもよい。
【0069】
なお、酸化膜62または有機膜63が成膜された後に、CMP(chemical Mechanical Polishing)研磨が行われることにより、酸化膜62または有機膜63の上面が平坦化されてもよい。
【0070】
ステップS8において、上層形成部96は、カラーフィルタ64を形成する。
【0071】
ステップS9において、上層形成部96は、オンチップレンズ65を形成する。この状態が、状態S6乃至S9として図5に示されている。
【0072】
これにより、イメージセンサの製造処理は終了する。
【0073】
なお、イメージセンサ50は、裏面照射型CMOSイメージセンサに限らず、表面照射型CMOSイメージセンサに適用することもできる。
【0074】
また、イメージセンサ50は、CMOSイメージセンサまたはCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサに適用することができる。
【0075】
このように、本技術の手法が適用されたイメージセンサ50においては、シリコン基板に、凸レンズの機能を有するフォトダイオード61が形成される。これにより、上述したように、フォトダイオード61において、凸レンズの機能により光が集光されるので、集光効率を高めることができる。
【0076】
また、酸化膜62及び有機膜63とシリコン基板との大きな屈折率差の発生により、オンチップレンズ65の曲率を大きくしなくても集光効率を高めることができ、混色が抑制される。
【0077】
また、オンチップレンズ65の厚み及び加工マージン用のオンチップレンズ65の厚みが抑えられるので、オンチップレンズ65を透過する光の減衰による感度の低下、及び混色の発生を抑制することができる。
【0078】
さらに、フォトダイオード61は、断面が矩形であるデジタルレンズの形状とは異なり、凸型、すなわち球面状にエッチングされるので、広角で光を入射することができる。したがって、凸型に形成されたフォトダイオード61は、光の散乱を発生させにくくすることができる。
【0079】
さらに、イメージセンサ50においては、フォトダイオード61の上面が凸型、すなわち球面状であるので、遮光膜66とフォトダイオード61との間に隙間が存在する。これにより、遮光膜66の直下に入射する光もフォトダイオード61に入射させることができるので、感度を向上させることができる。なお、裏面照射型CMOSイメージセンサにおいては、感度の向上よりも混色を抑制させたい場合には、シリコン基板に埋め込んだ遮光膜と組み合わせて用いられるようにしてもよい。
【0080】
裏面照射型CMOSイメージセンサは、光の入射側の面に配線層がない。したがって、構造が単純化されたイメージセンサ50においては、上層の設計の自由度が増す。
【0081】
表面照射型CMOSイメージセンサにおいては、凸型に形成されたフォトダイオード61の上層に配線層が形成される。したがって、凸型に形成されたフォトダイオード61をインナーレンズとして利用することができる。
【0082】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0083】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)
入射面に入射された光を光電変換するフォトダイオードを有する半導体基板を備え、
前記フォトダイオードの前記入射面がレンズ形状に形成されている
撮像素子。
(2)
前記半導体基板の上方に形成されるオンチップレンズをさらに備える
前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
前記半導体基板の直上に成膜される酸化膜または有機膜をさらに備える
前記(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記酸化膜または前記有機膜の屈折率は、前記半導体基板の屈折率よりも低い
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の撮像素子。
(5)
前記半導体基板の素材はシリコンを含有する
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の撮像素子。
(6)
前記撮像素子は、遮光膜を備える
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の撮像素子。
(7)
前記撮像素子は、CMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサである
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の撮像素子。
(8)
前記撮像素子は、裏面照射型CMOSイメージセンサである
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の撮像素子。
(9)
前記撮像素子は、前記半導体基板に埋め込まれた遮光膜を備える
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像素子。
(10)
前記撮像素子は、表面照射型CMOSイメージセンサである
前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の撮像素子。
(11)
半導体基板にフォトダイオードを形成し、
前記フォトダイオードの光の入射面をレンズ形状に形成する
ステップを含む撮像素子の製造方法。
【0084】
本技術は、撮像素子に適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
50 イメージセンサ, 61 フォトダイオード, 62 酸化膜, 63 有機膜, 64 カラーフィルタ, 65 オンチップレンズ, 66 遮光膜, 80 製造装置, 91 形成部, 92 露光部, 93 リフロー部, 94 エッチング部, 95 成膜部, 96 上層形成部, 111 レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射面に入射された光を光電変換するフォトダイオードを有する半導体基板を備え、
前記フォトダイオードの前記入射面がレンズ形状に形成されている
撮像素子。
【請求項2】
前記半導体基板の上方に形成されるオンチップレンズをさらに備える
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記半導体基板の直上に成膜される酸化膜または有機膜をさらに備える
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記酸化膜または前記有機膜の屈折率は、前記半導体基板の屈折率よりも低い
請求項3に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記半導体基板の素材はシリコンを含有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記撮像素子は、遮光膜を備える
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記撮像素子は、CMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサである
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記撮像素子は、裏面照射型CMOSイメージセンサである
請求項7に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記撮像素子は、前記半導体基板に埋め込まれた遮光膜を備える
請求項8に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記撮像素子は、表面照射型CMOSイメージセンサである
請求項7に記載の撮像素子。
【請求項11】
半導体基板にフォトダイオードを形成し、
前記フォトダイオードの光の入射面をレンズ形状に形成する
ステップを含む撮像素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−84714(P2013−84714A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222744(P2011−222744)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】