説明

撮像装置および撮像方法

【課題】撮像の倍率を変更しながらも被写体に速やかにピントを合わせる。
【解決手段】変倍レンズ1Bを含む撮像レンズ部を介して被写体の光学像を画像信号として出力するCMOS3と、画像信号として出力される被写体の光学像の倍率変更を指示する変更命令に基づいて、CMOS3と変倍レンズ1Bの少なくとも一方を、両者の相対的位置を変化させるように撮像レンズ部の光軸に沿って移動させるズーム制御部と、を備え、所定の撮像形態で撮像処理を実行する撮像装置であって、前述の変更命令を受付けると撮像形態をパンフォーカス状態に設定し、パンフォーカス状態を保持しながら倍率変更に基づいてズーム制御部により相対的位置に変化せしめる状態保持部、をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は撮像装置および撮像方法に関し、特に、光学レンズを用いたズーム機能とフォーカス機能を用いる撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学レンズを用いたズーム機能とフォーカス機能を有するカメラとして、たとえば特許文献1のビデオカメラが提案されている。特許文献1のビデオカメラは、ズーム動作中に焦点ボケを起こすことのないようにフォーカシング用のレンズを駆動制御する機構を備える。具体的には、被写体の距離別にズームトレースカーブを予め得て記憶させておく。そして、ズーム動作を実行する際には、検出した被写体の距離に対応したトレースカーブに沿って結像レンズを微少振動させながら移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−169423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被写体が1つである場合には被写体までの距離は一意に決まることから適用するべきトレースカーブも1つに特定できる。この場合には特許文献1の方法は有効であるけれども、複数個の被写体を撮像する場合には、被写体までの距離を一意に特定することができず、適用するべきトレースカーブも特定できない。この場合には、特許文献1の方法では、ズーム動作中の焦点ボケを回避することが困難である。
【0005】
また、撮像素子に対して被写体の姿勢が斜めに位置する場合には、被写体が1つでありながら、当該被写体の各部分で合焦するための距離が異なり、被写体までの距離を一意に特定することができない。したがって、適用するべきトレースカーブも特定できない為、特許文献1の方法では、ズーム動作中の焦点ボケを回避することが困難である。
【0006】
それゆえにこの発明の目的は、撮像の倍率を変更しながらも被写体に速やかにピントを合わせることを容易にする撮像装置および撮像方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に従うと撮像装置は、ズームレンズを含む撮像レンズ部を介して被写体の光学像を画像信号として出力する撮像素子と、画像信号として出力される被写体の光学像の倍率変更を指示する変更命令に基づいて、撮像素子と前記ズームレンズの少なくとも一方を、両者の相対的位置を変化させるように撮像レンズ部の光軸に沿って移動させるズーム制御部と、を備え、所定の撮像形態で撮像処理を実行する撮像装置であって、変更命令を受付けると撮像形態をパンフォーカス状態に設定し、パンフォーカス状態を保持しながら倍率変更に基づいてズーム制御部により相対的位置に変化せしめる状態保持部、をさらに備える。
【0008】
好ましくは、撮像レンズ部は、さらにフォーカスレンズを含み、フォーカスレンズを光軸に沿って移動させるフォーカス制御部と、開口部を含み、該開口部を介して被写体の光学像を撮像素子に通過させる絞りと、開口部の開口サイズを可変に制御する絞り制御部とを、さらに備え、状態保持部は、パンフォーカス状態を保持するように、前記相対的位置の変化に従って前記フォーカス制御部により前記フォーカスレンズの位置と、前記絞り制御部により前記開口サイズとを変更する。
【0009】
好ましくは、状態保持部は、パンフォーカス状態の被写界深度を取得する被写界深度取得手段と、被写界深度取得手段によって取得された被写界深度を保持するように、変化後の相対的位置に対応した位置にフォーカス制御部によってフォーカスレンズを移動させるとともに、変化後の相対的位置と移動後のフォーカスレンズの位置とに従って絞り制御部によって開口サイズを変更する手段と、を含む。
【0010】
好ましくは、絞り制御部によって変更された開口サイズと、画像の所定明るさを得るための開口サイズとの差分に基づき、画像信号に従う画像の明るさを可変に制御する明るさ制御部を、さらに備える。
【0011】
好ましくは、明るさ制御部は、差分に基づき画像信号の振幅の大きさを可変に制御する。
【0012】
好ましくは、明るさ制御部は、差分に基づき撮像素子の露光時間を可変に制御する。
この発明の他の局面に従う撮像方法は、ズームレンズを含む撮像レンズ部を介して被写体の光学像を画像信号として出力する撮像素子と、画像信号として出力される被写体の光学像の倍率変更を指示する変更命令に基づいて、撮像素子と前記ズームレンズの少なくとも一方を、両者の相対的位置を変化させるように撮像レンズ部の光軸に沿って移動させるズーム制御部と、を備え、所定の撮像形態で撮像処理を実行する撮像装置における撮像方法であって、変更命令を受付けると撮像形態をパンフォーカス状態に設定するステップと、パンフォーカス状態を保持しながら倍率変更に基づいてズーム制御部により相対的位置に変化せしめるステップ、を備える。
【0013】
この発明のさらに他の局面に従う撮像装置は、被写体からの反射光が入射する1つ以上の光学部と、1つ以上の光学部を、所定の撮像形態で撮像動作を実行させる動作制御部と、を備える。1つ以上の光学部のそれぞれは、ズームレンズを有する撮像レンズ部を介して被写体の光学像を画像信号として出力する撮像素子と、画像信号として出力される被写体の光学像の倍率変更を指示する変更命令に基づいて、撮像素子と前記ズームレンズの少なくとも一方を、両者の相対的位置を変化させるように撮像レンズ部の光軸に沿って移動させるズーム制御部と、を含み、動作制御部は、変更命令を受付けると撮像形態をパンフォーカス状態に設定し、パンフォーカス状態を保持しながら倍率変更に基づいてズーム制御部により相対的位置に変化せしめる状態保持部を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、望遠側へのズーム操作時にはパンフォーカス状態を保持しながらズーム操作が行われることにより、奥行きのある被写体(至近の被写体から無限遠の被写体まで)に対して、ピントが合った鮮明な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの内部構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの光学系の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る被写体距離テーブルの内容を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る合焦点位置テーブルの内容を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る倍率変更時の光学系制御の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照し説明する。なお、各図中の同一符号は、同一または相当部分を指す。
【0017】
本明細書では、撮像は、被写体像を撮影することを指す。被写体距離は、撮像素子(より特定的には撮像面)から被写体までの距離を指す。合焦状態とは、撮像素子上に被写体像が結像した状態を指し、この状態における結像レンズと撮像素子(より特定的には撮像面)の距離を焦点距離という。
【0018】
本明細書では、被写体を表す光学像を撮像素子の撮像面に結像させることを被写体にピントを合わせると称する。被写体を表す光学像が結像する点(焦点と呼ぶこともできる)が撮像素子の撮像面上の点と一致している状態(上述の合焦状態に相当)をピントが合っていると称する。ただし、一致していない状態であっても、被写体が鮮明に撮影される範囲にある場合(換言すると、撮像素子の撮像面が焦点深度内に位置する場合)は、ピントが合っていると称する。逆に、ピントが合っていない場合をピントがぼけていると言う。
【0019】
図1には、本実施の形態に係る撮像装置を搭載する監視カメラ向けのデジタルカメラの構成例が示される。ここでは、撮像装置は監視カメラ向けデジタルカメラに搭載するとしているが、監視カメラの用途に限定されない。
【0020】
図1を参照して、デジタルカメラは、撮像レンズと絞り2を含む光学系、撮像素子であるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)3、CMOS3からの出力信号を処理する撮像信号処理系、SDRAM(Synchronous DRAM(Dynamic Random Access Memory))7、画像処理部8、画像圧縮・伸張処理部9、D/A(Digital/Analog)変換器11、ビデオエンコーダ12、表示器13、カード制御部14、CPU(Central Processing Unit)201およびメモリ202を含むコントローラ20、操作部21、モータ駆動部22、およびCMOS駆動部23を備える。ここでは、CMOS3にCMOSを用いるが、CCD(Charge Coupled Device)を用いてもよい。デジタルカメラは、さらに、光学系に関連して、モータ24,25および26、ポテンショメータ27、ならびにエンコーダ28および29を備える。モータ24〜26は、モータ駆動部22に接続されるステッピングモータであり、モータ駆動部22から送信される駆動パルスにより回転角度(回転方向と角度を含む)動作が制御される。撮像信号処理系は、CDS/AGC回路4、A/D変換器5および信号処理部6を含む。
【0021】
なお、CMOS3とCDS/AGC回路4とA/D変換器5とを含めてCMOSイメージセンサと称されている。また、表示器13は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)であって、LCDドライバを備え、SDRAM7に書込まれた画像データをLCDドライバを介してLCDに表示されてもよい。
【0022】
撮像レンズは主レンズ1A、倍率を変更するための変倍レンズ1B、および結像レンズ1Cを含む。撮像レンズの各レンズは、その中央部を外部からの入射光(被写体からの反射光)の光軸が通過するように配置される。ここでは、撮像レンズは、主レンズ1A、変倍レンズ1Bおよび結像レンズ1Cを含むことにとどめたが、レンズによる収差軽減のために他にも複数のレンズが含まれている。
【0023】
撮像レンズの背後には、絞り2が配置される。絞り2の位置は、撮像レンズの背後に限定されず、撮像レンズ2の前であってもよい。絞り2はサイズが可変に制御される略円形状の開口を有し、光軸が円形の中心を通過するように絞り2が配置される。絞り2は、開口のサイズ、より特定的には開口の径を変更することにより撮像レンズを通過してCMOS3に入射する光量を調整する。
【0024】
モータ24には変倍レンズ1Bが接続される。変倍レンズ1Bは、モータ24の回転に連動して光軸に沿って移動する。モータ25には結像レンズ1Cが接続される。結像レンズ1Cは、モータ25の回転に連動して光軸に沿って移動する。エンコーダ28はモータ24の回転角度に基づき変倍レンズ1Bの光軸上の位置を検出し、検出した位置を指す信号30を出力する。エンコーダ29はモータ25の回転角度に基づき結像レンズ1Cの光軸上の位置を検出し、検出した位置を指す信号31を出力する。
【0025】
モータ26には絞り2が接続される。絞り2は、モータ26の回転に連動しての開口の径を同心円状にサイズを変化させる。モータ26には、ポテンショメータ27が接続される。ポテンショメータ27は、モータ26の回転角度を検出し、検出した回転角度に基づき絞り2の開口径のサイズを示す信号32を出力する。
【0026】
絞り2の背後には、CMOS3が配置されている。CMOS3に関連してCPU20によって制御されるタイミングジェネレータ(図示せず)が備えられる。CMOS駆動部23は、タイミングジェネレータから入力されるタイミング信号に基づいて、CMOS3の各セルからの電気信号(受光量に応じたレベルの電圧または電流の信号)を読出すタイミングを制御する。CMOS3の各セルからは、CMOS駆動部23からの駆動信号に従って電気信号が導出される。
【0027】
図1では、被写界の光学像(被写体像)は、撮像レンズおよび絞り2を通してCMOS3の受光面つまり撮像面に照射される。CMOS3の各セルには、光電変換によって、撮像面に結像した被写界の光学像の明暗に対応する電荷が蓄えられて、蓄えられた電荷量に応じたレベルの電気信号(つまり画像信号)が、CMOS駆動部23からの駆動信号に従ったタイミングで各セルから出力される。
【0028】
CMOS3から出力された画像信号は、CDS回路とAGC回路とを備えたCDS/ADC回路4に送られる。CDS/ADC回路4に入力したCMOS3の出力信号は、CDS回路で相関二重サンプリング処理された後、AGC回路でCPU20から与えられるゲイン信号に基づき最適な振幅にゲイン調整される。CDS/AGC回路4の出力信号は、A/D変換器5によってデジタル信号に変換される。A/D変換器5によって得られたデジタル信号は信号処理部6に送られ、所定の信号処理(ホワイトバランス調整、色分離、YUV変換など)が施されることにより、画像データに変換される。信号処理部6によって生成された画像データは、SDRAM7に格納される。
【0029】
デジタルカメラの各部は、CPU20によって制御される。CPU20には、ユーザの操作を受付ける操作部21が接続されている。操作部21には、電源ボタン、シャッタボタン、倍率を広角(ワイド)側、望遠(テレ)側に変倍するズームボタン211、合焦状態を調整するためのフォーカスボタン212、表示器13にメニュー画面を表示させるためのメニューボタンなどが設けられている。
【0030】
CPU20には、上述したモータ駆動部22、CMOS駆動部23、信号処理部6およびSDRAM7の他、画像処理部8、画像圧縮・伸張処理部9、D/A変換器11およびカード制御部14が接続されている。D/A変換器11には、ビデオエンコーダ12を介して表示器13が接続されている。カード制御部14には、外部メモリカード15が接続されている。ここでは、画像データは、SDRAM7に格納されるとしているが、カード制御部14を介して外部メモリカード15に格納されてもよい。
【0031】
次に、上記構成を有するデジタルカメラの基本的な動作について説明する。まず、デジタルカメラで被写体の撮像を行なう場合には、電源ボタンを操作してデジタルカメラの電源を投入する。なお、撮像は、静止画あるいは動画のいずれでも可能であり、操作部21の操作により選択することができる。
【0032】
撮像では、一定間隔(たとえば1/60秒)で撮影された画像データがSDRAM7に書込まれた後、D/A変換器11によってアナログ映像信号に変換される。アナログ映像信号はビデオエンコーダ12によりNTSC(National Television Standards Committee)信号に変換されて表示器13に表示される。SDRAM7に書込まれた画像データは、読出されて画像圧縮・伸張処理部9によってJPEG(Joint Photographic Experts Group)またはMPEG(Moving Picture Experts Group)形式にエンコードされた後、カード制御部14によって外部メモリカード15に保存される。
【0033】
(光学系を制御するための機能)
図2を参照して、CPU201の下に制御される光学系に関連した機能として、操作部21から入力する操作信号に基づき与えられる命令を検出する命令検出部101、距離検出部102、変倍レンズ1Bのズーム方向(広角側または望遠側)を判別するズーム方向判別部103、絞り2の開口径のサイズを可変に制御するための絞り制御部104、結像レンズ1Cの位置を制御するためのフォーカス制御部105、変倍レンズ1Bの位置を制御するためのズーム制御部106、および画像の明るさを制御するための明るさ制御部107を備える。距離検出部102は、被写体距離を検出するための被写体距離検出部121および焦点距離を検出するための焦点距離検出部122を含む。
【0034】
図2ではCPU201の機能に関連してモータ駆動部22の機能が示される。モータ駆動部22は、絞り制御部104に接続される絞り駆動部108、フォーカス制御部105に接続される結像レンズ駆動部109、およびズーム制御部106に接続される変倍レンズ駆動部110を含む。
【0035】
絞り駆動部108は、絞り制御部104から入力する制御信号に基づき、モータ26の回転角度を決定し、決定した回転角度だけ回転させるための駆動パルス信号をモータ26に出力する。結像レンズ駆動部109は、フォーカス制御部105から入力する制御信号に基づき、モータ25の回転角度を決定し、決定した回転角度だけ回転させるための駆動パルス信号をモータ25に出力する。変倍レンズ駆動部110は、ズーム制御部106から入力する制御信号に基づき、モータ24の回転角度を決定し、決定した回転角度だけ回転させるための駆動パルス信号をモータ24に出力する。
【0036】
メモリ202には、CPU201の各部によって参照される後述の被写体距離テーブル203および合焦点位置テーブル204が予め格納される。
【0037】
図3を参照して被写体距離テーブル203について説明する。図3には、縦軸に結像レンズ1Cの光軸上の位置、横軸に変倍レンズ1Bの光軸上の位置が取られて、両方の位置によって一意に被写体距離(被写体とCMOS3との距離)F(i)(ただしi=1、2、3、…)が特定されることが示される。被写体距離テーブル203には、結像レンズ1Cと変倍レンズ1Bの位置のデータと、当該位置のデータに対応付けて被写体距離L(i)のカーブを指すデータとが予め実験などによって検出されて格納される。
【0038】
図4を参照して合焦点位置テーブル204を説明する。図4には、横軸に変倍レンズ1Bの光軸上の位置が取られ、縦軸に結像レンズ1Cの光軸上の位置が取られている。図4においては、被写体距離(至近、距離A、距離Bおよび無限遠など)毎に、結像レンズ1Cの合焦点の位置は、変倍レンズ1Bの位置もよって一意に特定されることが示される。合焦点位置テーブル204には、カーブで規定される被写体距離のデータと、被写体距離の各データに対応付けて、変倍レンズ1Bの位置及び結像レンズ1Cの位置のデータとが予め実験などによって検出されて格納される。
【0039】
(光学系の動作)
モータ駆動部22から出力される駆動パルス信号に基づく回転角度に従ったモータ24〜26の回転動作に連動して、撮像レンズの位置、ならびに、絞り2の開口径が可変に制御される。このような制御により、所定の範囲でCMOS3の受光面で結像する画像の倍率(以下、ズーム倍率という)を変更したり、受光面での合焦を調整したり、受光面に入射される光量を制限することができる。
【0040】
撮像時にユーザが操作部21のズームボタン211を望遠側または広角側に操作すると、それぞれ、その旨の操作信号がコントローラ20に送信される。CPU201のズーム制御部106は、受信する操作信号に従うプログラム(命令コード)を実行することによって、望遠側または広角側にズームする旨の操作信号に従って、ズーム倍率を徐々に上げる(望遠側)または下げる(広角側)ための制御信号を、変倍レンズ駆動部110に送信する。
【0041】
モータ駆動部22は、ズーム制御部106からズーム倍率を徐々に上げるための制御信号が送信されてきた場合は、変倍レンズ1Bを徐々に望遠側に移動させるための駆動パルス信号をモータ24に送信し、ズーム倍率を徐々に下げるための制御信号が送信されてきた場合は、変倍レンズ1Bを徐々に広角側にさせるための駆動パルス信号をモータ24に送信する。モータ24は、駆動パルス信号に応じて回転する。この回転に連動して、変倍レンズ1Bの位置は光軸に沿って徐々に望遠側または広角側に移動する。
【0042】
このような変倍レンズ1Bの移動により、焦点距離を変化させることができ、この焦点距離の変化によって得られる同一被写体に対するCMOS3の受光面で結像される画像のズーム倍率(拡大率もしくは縮小率)を変化させることができる。
【0043】
結像レンズ1Cは、結像レンズ駆動部109からの駆動パルス信号に従ったモータ24の回転動作に連動して、被写体像がCMOS3の受光面の位置で結像するように、言い換えると被写体像に合焦する(ピントが合っているとも言う)ように光軸に沿って移動する。これにより、焦点位置が調整される(フォーカス動作ともいう)。
【0044】
(パンフォーカス状態)
一般的に、ピントが合っている状態とは、光学系を通過してきた光がCMOS3の受光面(撮像面)上に収束している状態のことを表すが、実際には、受光面に対して「被写界深度」分前後した位置で収束していたとしても、ピントが合っていると見なされる。つまり、被写体にピントを合わせると、被写体の前後に位置する対象物にもおおよそピントの合った範囲(「被写界深度」と言う)が存在するからである。
【0045】
一般に被写界深度は、撮像面から被写体までの距離(以下、被写体距離という)が長い(被写体が遠い)ほど深くなる。被写界深度が深いとき、ピントが合っていると見なされる範囲が広い(より奥から手前までピントが合っている)状態となる。
【0046】
無限遠を被写界深度に収めた状態が、ピントが合っていると見なされる範囲が最も広くなる。この状態を「パンフォーカス」状態といい、パンフォーカス状態のとき実際にピントが合っている被写体距離を「過焦点距離」という。パンフォーカス状態のときピントが合っていると見なされる範囲(合焦範囲)は、無限遠の位置から、過焦点距離の半分の位置までの範囲となる。このようにパンフォーカス状態では、至近距離から遠距離(無限遠)までピントが合っている状態で撮像することができる。
【0047】
ここで過焦点距離Hは、(式1)に従って、レンズ焦点距離f、絞り値Nおよび撮像素子の種類によって決まることが知られている。ここで、絞り値Nは、絞り2の開口径のサイズによって決まる(換算される)値を指す。なお、(式1)の変数Cは撮像素子による固有値であって、予め検出されてメモリ202に格納されていると想定する。
【0048】
H=f/(N・C)・・・(式1)
(式1)によれば、撮像レンズが移動して焦点距離fの値が変化するのに追従して絞り値Nを変化させる、すなわち絞り2の開口径を変化させることによって、一定の過焦点距離H(被写界深度)を保つことができる。
【0049】
(明るさ制御)
上述の(式1)に従って、焦点距離Hを保持するために絞り値N(すなわち絞り2の開口径)が変化して撮像面に対する入射光量が制限されると、画像信号の輝度レベル(振幅レベル)は減少する。そのため、表示器13に表示される画像などは暗くなる。
【0050】
このような画像の明るさを補償するために、明るさ制御部107は明るさ制御を実行する。つまり、明るさ制御部107は信号32を入力し、信号32が指す絞り2の開口径のサイズに基づき所定換算式に従って絞り値Nを算出する。算出した絞り値Nと所定絞り値Nとの差分に従ったレベルを有するゲイン信号33を生成し、CDS/AGS回路4に出力する。または、CMOS3から出力される画像信号を入力し、入力した画像信号の振幅レベルと所定閾値とを比較し、比較結果の差分に基づくレベルを有したゲイン信号33を生成して、CDS/AGC回路4に与えるようにしてもよい。
【0051】
なお、所定絞り値Nは通常の画像明るさを得るための光量を撮像面に入射させるための絞り値Nを指し、所定閾値は通常の画像明るさを指す画像信号の振幅値を指す。所定絞り値Nと所定閾値は、予めメモリ202に格納されている。
【0052】
CDS/AGS回路4は、入力するゲイン信号33に従って、CMOS3から入力する画像信号の振幅を増幅または減衰処理する。これにより、画像信号の輝度レベルが、絞り値Nの変動量に従って可変に制御されて、一定明るさの画像を得ることができる。
【0053】
なお、画像信号の明るさ調整は、上述のゲイン信号33を用いるものに限定されない。たとえば、信号処理部6において、デジタルの画像データについて、階調値を絞り値Nに従って可変に制御してもよい。
【0054】
または、CMOS3のシャッタ速度、すなわちCMOS3の各セルに電荷を蓄える露光時間を、絞り値Nに基づきCMOS駆動部23によって可変に制御してもよい。
【0055】
(処理フローチャート)
図5のフローチャートを参照して、ズーム操作時の光学系の制御について説明する。なお、このフローチャートに従うプログラムは予めメモリ202に格納されており、CPU201がメモリ202からプログラムの命令コードを読出し実行することで、当該制御が実現される。
【0056】
ここでは、図1のデジタルカメラは監視カメラとして利用される状態を想定する。したがって、デジタルカメラは常時、撮像する状態にあり、ユーザが操作部21の電源ボタンをOFF操作したときに、図5の処理は終了すると想定する。
【0057】
まず、命令検出部101は、操作部21から操作信号を入力するまで待機する(ステップS1)。操作信号を入力すると、入力した操作信号を解析し、ユーザのズームボタン211の操作によるズーム開始命令を指示するか否かを判定する(ステップS3)。ここでは、ズームボタン211が押下開始されると命令検出部101によりズーム開始命令が検出される。その後、ユーザが、ズームボタン211を押下し続ける期間は、命令検出部101は、単位ズームステップだけズーム動作させるためのズーム命令を繰返し出力する。ユーザがズームボタン211の押下を停止したとき、命令検出部101は、ズーム停止命令を出力する。
【0058】
命令検出部101がズーム開始命令ではないと判定すると(ステップS3でNO)、処理はステップS1に戻り待機状態となる。ズーム開始命令であると判定されると(ステップS3でYES)、被写体距離検出部121は現在の被写体距離Lを検出する(ステップS5)。ステップS5において被写体距離Lを検出するとき、通常の露光状態であり、且つパンフォーカス状態ではないがピントが合っている状態であり絞り2の開口径は通常のサイズであると想定する。
【0059】
ステップS5では、距離検出部102は、エンコーダ28と29から信号30と31を入力し、入力した信号30と31が指す変倍レンズ1Bの位置および結像レンズ1Cの位置に基づき、メモリ202の被写体距離テーブル203を検索する。検索結果に基づき、被写体距離テーブル203から対応する被写体距離L(i)のカーブを読出す。たとえば、図3を参照して、変倍レンズ1Bの位置がZP1を指し、結像レンズ1Cの位置がFP1を指すとき、対応の被写体距離Lは距離L(3)のカーブとして一意に特定される。被写体距離Lを検出したときの変倍レンズ1Bの位置(たとえば、ZP1)および結像レンズ1Cの位置(たとえば、FP1)は、メモリ202に格納される。
【0060】
ズーム方向判別部103は、ズーム開始命令が指示するズーム方向を判別する(ステップS7)。ズーム方向を“望遠側”と判別すると(ステップS7でYES)、後述のステップS9の処理に移行するが、“広角側”と判別すると、ステップS5で検出した被写体距離Lの被写界深度を保つように、変倍レンズ1Bと結像レンズ1Cを移動させる処理(ステップS21)に移行する。
【0061】
ステップS21では、ズーム制御部106は、命令検出部101が出力するズーム命令を入力する毎に、変倍レンズ駆動部110に、変倍レンズ1Bを“広角側”に単位ズームステップだけ移動させるための制御信号を出力する。
【0062】
また、ステップS21では、フォーカス制御部105は、単位ズームステップだけ移動した後の変倍レンズ1Bの位置を、信号30に基づき検出し、検出した変倍レンズ1Bの位置に基づき被写体距離テーブル203を検索する。検索結果に基づき結像レンズ1Cの位置を被写体距離テーブル203から読出す。
【0063】
たとえば、単位ズームステップの移動により、変倍レンズ1Bの位置がZP1からZP2に移動した場合には(図3参照)、被写体距離L(3)を保つような結像レンズ1Cの位置FP2が検索されて被写体距離テーブル203から読出される。このように、変倍レンズ1Bの位置と結像レンズ1Cの位置との相対的関係を示す図3の被写体距離L(3)のカーブに従ってトレースすることにより、変倍レンズ1Bの位置に対応した結像レンズ1Cの位置を検出することができる。
【0064】
フォーカス制御部105は、被写体距離テーブル203から読出した位置に結像レンズ1Cを移動させるような制御信号を結像レンズ駆動部109を制御する。これにより、結像レンズ1Cは位置FP1からFP2に移動する。
【0065】
その後は、命令検出部101は、操作部21からの操作信号に基づきズーム停止命令が与えられるか否を判定する(ステップS23)。ズーム停止命令が与えられないと判定される間は(ステップS23でNO)、ステップS21のレンズ移動処理が単位ズームステップ毎に繰返される。
【0066】
ズーム停止命令が与えられたと判定されると(ステップS23でYES)、ズーム制御部106は、変倍レンズ1Bの移動を停止させるための制御信号を出力し、応じてモータ24は停止する(ステップS25)。これにより、変倍レンズ1Bの移動は停止する。変倍レンズ1Bが停止することにより結像レンズ1Cの移動も停止する。ステップS25の処理後は、ステップS1の処理に戻り、再度、待機状態となる。
【0067】
このように、ピントが合っている状態で検出された被写体距離Lを保った状態で、すなわち被写体にピントを合わせた状態で広角側にズーム処理することが可能となる。
【0068】
ステップS7で“望遠側”と判定されると(ステップS7でYES)、ステップS9の処理において、(式1)に従って絞り値Nを検出し、同時に、過焦点距離に対応した位置に結像レンズ1Cを移動させる。
【0069】
具体的には、絞り制御部104は過焦点距離Hが、ステップS5で検出された被写体距離Lの2倍(2L)を指示するような絞り値Nを、(式1)に従って算出する。なお、このときの(式1)の焦点距離fは、焦点距離検出部122が入力する信号30と31が指す撮像レンズの位置に基づき所定換算式に従って算出することにより検出されて、絞り制御部104に与えられている。絞り制御部104は、算出された絞り値Nに基づく制御信号を生成して絞り駆動部108に出力する。絞り駆動部108は制御信号に従うパルス駆動信号を生成してモータ26に出力する。これにより、モータ26はパルス駆動信号に基づく角度だけ回転することにより、回転に連動して絞り2の開口径は変化(拡大または縮小)する。
【0070】
同時に、フォーカス制御部105は、過焦点距離H(=2L)に対応する位置に結像レンズ1Cを移動させる。具体的には、フォーカス制御部105は、図4の合焦点位置テーブル204を検索して、過焦点距離H(=2L)に対応する被写体距離を特定する。たとえば、図4の距離Yが過焦点距離Hに対応する場合は、フォーカス制御部105は、入力する信号30が指す変倍レンズ1Bの位置と距離Yとに基づき合焦点位置テーブル204を検索して、対応する結像レンズ1Cの位置を読出す。読出した結像レンズ1Cの位置に基づく制御信号を生成して結像レンズ駆動部109に出力する。結像レンズ駆動部109は、入力した制御信号に基づく駆動パルス信号を生成しモータ25に出力する。これにより、モータ25は駆動パルス信号に従って回転し、回転に連動して結像レンズ1Cは、変倍レンズ1Bの位置に応じた過焦点距離H(=2L)に対応する位置にまで移動させられる。なお、過焦点距離Hは2Lに限定されず、2Lよりも短ければよい。
【0071】
その後、ステップS11の処理に移行する。ステップS11の処理は、ズーム停止命令が検出されるまで(ステップS13でYES)繰返し実行される。
【0072】
ステップS11では、変倍レンズ1Bを“望遠側”に単位ズームステップだけ移動させ、この移動に連動して結像レンズ1Cの位置と、絞り2の開口径とが可変に制御される。具体的には、被写体距離Lがパンフォーカス状態の合焦範囲の最も至近側となるように、すなわち過焦点距離Hが2Lとなるように、変倍レンズ1Bの単位ズームステップ毎の移動に合わせて結像レンズ1Cの位置および絞り2の開口径を変化させる。
【0073】
つまり、図4の合焦点位置テーブル204を検索して、過焦点距離H(=2L)に対応する被写体距離を特定する。たとえば、図4の距離Yが過焦点距離Hに対応する場合は、ズーム制御部106は、ズーム命令に応答して単位ズームステップだけ変倍レンズ1Bを移動させた後に信号30が指す変倍レンズ1Bの位置ZP2と、距離Yとに基づき、合焦点位置テーブル204を検索して、対応する結像レンズ1Cの位置FP2を読出す。読出した位置FP2は、単位ズームステップだけ変倍レンズ1Bを移動させた後の変倍レンズ1Bの位置に対応した結像レンズ1Cの位置を指す。変倍レンズ1Bがさらに単位ズームステップだけ移動して位置ZP3に位置すると、合焦点位置テーブル204を同様に検索することによって、対応する結像レンズ1Cの位置を位置FP3と検出することができる。このように、変倍レンズ1Bの位置と結像レンズ1Cの位置との相対的関係を示す図4の距離Yのカーブに従ってトレースすることにより、変倍レンズ1Bの位置に対応した結像レンズ1Cの位置を検出することができる。
【0074】
ステップS11で変倍レンズ1Bと結像レンズ1Cとが移動することによって、移動に連動して焦点距離fは変化する。焦点距離検出部122は、レンズ移動に伴い変化する焦点距離fを検出する。つまり、焦点距離検出部122は、信号30および31を入力し、入力信号30と31が指す変倍レンズ1Bの位置と結像レンズ1Cの位置を用いて所定換算式に従って焦点距離fを算出する。算出した焦点距離fは絞り制御部104に出力される。
【0075】
絞り制御部104は、焦点距離検出部122から入力する焦点距離fに基づき、過焦点距離Hを保持するような絞り値Nを、(式1)に従って算出する。絞り制御部104は、算出した絞り値Nに基づいて絞り2の開口径を変化させるための制御信号を生成し、生成した制御信号を絞り駆動部108に出力する。絞り駆動部108は、制御信号を入力し、入力した制御信号に基づき駆動パルス信号を生成し、モータ26に出力する。これにより、モータ26は、駆動パルス信号に従った回転角度だけ回転するので、絞り2の開口径を回転角度だけ変化(拡大・縮小)させることができる。これにより、一定の過焦点距離H(被写界深度)を保持するような絞り2の開口径に制御することができる。
【0076】
このとき、過焦点距離Hを保持するような絞り2の開口径が制御されると、撮像面への入射光量は制限されるが、明るさ制御部107によって上述した明るさ制御が実行されることにより、画像の明るさを一定に維持することができる。
【0077】
その後、ズーム停止命令を入力すると(ステップS13でYES)、ステップS11の繰返し処理は終了し、ステップS15の処理に移行する。
【0078】
ステップS15では、ズーム制御部106は、ズーム停止命令に応じてモータ24を停止するように制御して、変倍レンズ1Bの移動を停止させる。これに連動して結像レンズ1Cおよび絞り2の駆動も停止する。
【0079】
その後、ステップS17では、結像レンズ1Cを、当初の被写体距離Lの位置に移動させ、絞り2の開口径を通常の値に戻す。これにより、パンフォーカス状態は解除されて、ステップS5のピントが合っている状態となる。
【0080】
ステップS17では、被写体距離Lを検出したときの結像レンズ1Cの位置は、メモリ202から読出すことで取得できる。フォーカス制御部105は、先のステップS5において検出された結像レンズ1Cの位置に、結像レンズ1Cを戻すような制御信号を生成し結像レンズ駆動部109に出力する。結像レンズ駆動部109は、制御信号に基づく駆動パルス信号を生成しモータ25に出力する。モータ25は駆動パルス信号に従って回転する。結像レンズ1Cは、モータ25の回転に連動して移動し、被写体距離Lに対応した位置に戻される。また、絞り制御部104は信号32が指す開口径のサイズと通常の開口径のサイズとの差分に応じて開口径を変化させるための制御信号を生成して絞り駆動部108に出力する。これにより、絞り駆動部108からは、制御信号に基づく駆動パルス信号が生成されモータ26に出力される。モータ26は駆動パルス信号に従って回転し、回転に連動して絞り2の開口径のサイズは通常サイズに変化する。
【0081】
ステップS17の処理後は、ステップS1の処理に戻り、再度、待機状態となる。
本実施の形態によれば、望遠側のズーム操作時には、ピントが合っている状態の被写界深度を保つことが可能である。また、望遠側へのズーム操作時にはパンフォーカス状態の被写界深度すなわち過焦点距離Hを一定に保ちながらズーム操作が行われることにより、奥行きのある被写体(至近の被写体から無限遠の被写体まで)に対しても、ピントが合わせた鮮明な画像を得ることができる。したがって、監視カメラの用途のように、所望の被写体にズームインするケースが頻繁であったとしても、本実施の形態によれば、パンフォーカス状態を保ちながらズーム操作が行われることにより、ピントがボケることなく当該被写体に速やかにピントを合わせることができる。
【0082】
さらに、被写界深度を保持する際には画像の明るさ制御が並行して実行されることによって、明るさが保持された鮮明な画像を得ることができる。
【0083】
(変形例)
上述の実施の形態では、CMOS3を位置固定で変倍レンズ1Bを移動させることによりズーム倍率であるCMOS3と変倍レンズ1Bの相対的位置を変化させてズーム(広角側または望遠側への倍率変更)制御をしたが、変倍レンズ1Bを位置固定にしてCMOS3を光軸に沿って移動させることによって当該相対的位置を変化させ、それによりズーム(倍率変更)制御するようにしてもよい。または、両者の位置を変化させて当該相対的位置を変化させてもよい。
【0084】
この場合には、図3と図4のおよび結像レンズ1Cと変倍レンズ1Bの位置関係は、結像レンズ1CとCMOS3の位置関係に代替し、当該相対的位置を変更させるためにCOMS3に関連して、ズーム制御部106、変倍レンズ駆動部110およびモータ24に相当した位置制御部を追加して備えればよい。
【0085】
また、明るさ制御は、ゲイン調整、またはCMOS3のシャッタ速度調整のいずれかを行うとしたが、いずれを適用するかはユーザが操作部21から選択的に指定するようにしてよい。また、両方を併用するようにしてもよい。
【0086】
また、ここではデジタルカメラを監視カメラとして例示したが、オートフォーカス機能を有するものであれば他の装置、たとえば携帯型端末に搭載されるデジタルカメラであってもよい。
【0087】
監視カメラとして用いる場合には、図1の光学系とCMOS3およびこれらの関連部分を含む1つ以上の光学部を各監視ポイントに設置し、各光学部とは分離して設けられたコントローラ20により各光学部を遠隔から図5の手順に従ってコントロールするようにしてもよい。
【0088】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1A 主レンズ、1B 変倍レンズ、1C 結像レンズ、3 CMOS、20 コントローラ、21 操作部、22 モータ駆動部、23 CMOS駆動部,24〜26 モータ、33 ゲイン信号、101 命令検出部、102 距離検出部、103 ズーム方向判別部、104 絞り制御部、105 フォーカス制御部、106 ズーム制御部、107 明るさ制御部、108 絞り駆動部、109 結像レンズ駆動部、110 変倍レンズ駆動部、121 被写体距離検出部、122 焦点距離検出部、203 被写体距離テーブル、204 合焦点位置テーブル、211 ズームボタン、212 フォーカスボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームレンズを含む撮像レンズ部を介して被写体の光学像を画像信号として出力する撮像素子と、
前記画像信号として出力される前記被写体の光学像の倍率変更を指示する変更命令に基づいて、前記撮像素子と前記ズームレンズの少なくとも一方を、両者の相対的位置を変化させるように前記撮像レンズ部の光軸に沿って移動させるズーム制御部と、を備え、所定の撮像形態で撮像処理を実行する撮像装置であって、
前記変更命令を受付けると前記撮像形態をパンフォーカス状態に設定し、前記パンフォーカス状態を保持しながら前記倍率変更に基づいて前記ズーム制御部により前記相対的位置に変化せしめる状態保持部、をさらに備える、撮像装置。
【請求項2】
前記撮像レンズ部は、さらにフォーカスレンズを含み、
前記フォーカスレンズを前記光軸に沿って移動させるフォーカス制御部と、
開口部を含み、該開口部を介して前記被写体の光学像を前記撮像素子に通過させる絞りと、
前記開口部の開口サイズを可変に制御する絞り制御部とを、さらに備え、
前記状態保持部は、
前記パンフォーカス状態を保持するように、前記相対的位置の変化に従って前記フォーカス制御部により前記フォーカスレンズの位置と、前記絞り制御部により前記開口サイズとを変更する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記状態保持部は、
前記パンフォーカス状態の被写界深度を取得する被写界深度取得手段と、
前記被写界深度取得手段によって取得された前記被写界深度を保持するように、変化後の前記相対的位置に対応した位置に前記フォーカス制御部によって前記フォーカスレンズを移動させるとともに、変化後の前記相対的位置と移動後の前記フォーカスレンズの位置とに従って前記絞り制御部によって前記開口サイズを変更する手段と、を含む、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記絞り制御部によって変更された開口サイズと、画像の所定明るさを得るための開口サイズとの差分に基づき、前記画像信号に従う画像の明るさを可変に制御する明るさ制御部を、さらに備える、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記明るさ制御部は、前記差分に基づき前記画像信号の振幅の大きさを可変に制御する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記明るさ制御部は、前記差分に基づき前記撮像素子の露光時間を可変に制御する、請求項4または5に記載の撮像装置。
【請求項7】
ズームレンズを含む撮像レンズ部を介して被写体の光学像を画像信号として出力する撮像素子と、
前記画像信号として出力される前記被写体の光学像の倍率変更を指示する変更命令に基づいて、前記撮像素子と前記ズームレンズの少なくとも一方を、両者の相対的位置を変化させるように前記撮像レンズ部の光軸に沿って移動させるズーム制御部と、を備え、所定の撮像形態で撮像処理を実行する撮像装置における撮像方法であって、
前記変更命令を受付けると前記撮像形態をパンフォーカス状態に設定するステップと、
前記パンフォーカス状態を保持しながら前記倍率変更に基づいて前記ズーム制御部により前記相対的位置に変化せしめるステップ、を備える、撮像方法。
【請求項8】
被写体からの反射光が入射する1つ以上の光学部と、
前記1つ以上の光学部を、所定の撮像形態で撮像動作を実行させる動作制御部と、を備え、
前記1つ以上の光学部のそれぞれは、
ズームレンズを有する撮像レンズ部を介して被写体の光学像を画像信号として出力する撮像素子と、
前記画像信号として出力される前記被写体の光学像の倍率変更を指示する変更命令に基づいて、前記撮像素子と前記ズームレンズの少なくとも一方を、両者の相対的位置を変化させるように前記撮像レンズ部の光軸に沿って移動させるズーム制御部と、を含み、
前記動作制御部は、
前記変更命令を受付けると前記撮像形態をパンフォーカス状態に設定し、前記パンフォーカス状態を保持しながら前記倍率変更に基づいて前記ズーム制御部により前記相対的位置に変化せしめる状態保持部を含む、撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−2921(P2012−2921A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136102(P2010−136102)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】