説明

撮像装置

【課題】解像度を低下させることなく、撮像面上の光量を制御可能にする。
【解決手段】撮影光学系と撮像面の間に配置され、撮影光学系を通過して撮像面へ向かう光束を偏向方向によって分割する光束分割手段103と、光束分割手段で分割された光束を基に焦点状態信号を出力する焦点検出手段112と、撮影光学糸と撮像面の間に配置され、所定の偏向成分を除去する減光手段116とを有し、減光手段が、光束分割手段に対して相対的に回転可能であり、その回転位置により撮像面上の光量を調節可能にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の撮像装置、特に、撮影光学系を通して取り込んだ光束を撮像面と焦点検出手段に分割する光束分割手段を有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年カメラの小型化が進んでおり、それに伴って撮影光学系の小型化も進んでいる。そのため、従来カメラの光量調整に多く用いられてきた絞りを用いると回折によって解像度が低下し、品位を損なった画像になるといった欠点が出てきた。この欠点を改善するために、特許文献1に示されるように、複数の偏光板を用いる技術が提案されている。特許文献1に示される技術によると、2つの偏光板を相対的に回転させることで解像度の低下を防いで連続的に光量を調整することを可能にしている。
【0003】
従来カメラに用いられる焦点検出方式には、レンズシャッタカメラに用いられている三角測距方式、ビデオカメラ等に用いられているコントラスト検出方式、一眼レフカメラに用いられている瞳分割方式等がある。このうち瞳分割方式の焦点検出方式は、特許文献2に開示されており、撮影レンズの異なる瞳領域を透過した光束により生成された2つの像の相関をとることにより、撮影レンズの焦点状態を検出するものである。
【0004】
特許文献3には、絞りの一部を偏光板によって構成し、絞りと撮像素子の間に光束の一部をAF(オートフォーカス)用に光路外に導くビームスプリッタと、このビームスプリッタと撮像素子の間に偏光板とを備えた光学装置が開示されている。この光学装置では、絞り羽根がクローズ状態においても偏光板によって構成された部分から透過した光束がAFセンサに達してAFを行える。さらに、ビームスプリッタと撮像素子の間に設けられた偏光板によって光束は遮断されるために撮像面ではクローズ状態が維持される。この特許文献3には他の実施例として、光束の全体を偏光ビームスプリッタで覆い、偏光板とビームスプリッタを同一部品で構成する例が開示されており、この構成においても同様の効果が得られる。
【0005】
また、特許文献4には、撮影光学系で形成された1次物体像をCMOS受光センサなどの2次元受光センサ上に結像し、光学像を光電変換して物体に関する画像出力を得るカメラが開示されている。光学機器の一つであるデジタル一眼レフカメラには、可視波長域の光量を減少させることなく通し、赤外域近くの波長域の光を分割するビームスプリッタが組み込まれている。ビームスプリッタで分割された赤外域近くの波長域の光束は焦点検出に用いられ、直進した光は撮像に供される。ビームスプリッタの光分割作用面を焦点検出光束の通る範囲に限定することによって、ビームスプリッタを薄くしている。そして、撮影光学系とファインダ光学系へ光路を偏向するミラーとの間の僅かな空間に、カメラを大型化することなくビームスプリッタを配置することが可能となっている。また、ビームスプリッタの分光透過率特性を可視波長域ではほぼ100%に設定することで、物体像の撮像に必要な可視波長域の光量を減ずることなく明るく高画質の画像を得ることを可能にしている。
【特許文献1】特開平05−207384号公報
【特許文献2】特開昭63−18313号公報
【特許文献3】特開平06−175010号公報
【特許文献4】特開2003−140246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された光学装置の概略の構成を、図20に示す。同図において、901および902は偏光板であって相対的に回転可能となっている。偏光板901および902で構成される絞りユニット903は、図示しない撮影光学系と撮像面の間に配置される。そして、偏光板901と902を相対的に回転させることによって撮像面での光量を連続的に調節可能となっている。
【0007】
図21に、光量調節の様子を模式的に示している。領域911では、撮影光学系を透過した全ての光束が通過しており、領域912では、撮影光学系を透過した光束のうち、偏光板901を透過した略50%の光束が通過する。領域913では、偏光板901と902の相対角度によって撮影光学系を透過した光束のうち、略0%から略50%の間の光束が通過する。領域913を通過して撮像面914に到達する光量は、偏光板901と902の相対角度によって略0%から略50%の間で連続的に制御可能となる。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の技術では撮像面での光量を制御可能であるが、偏光板901で常に50%の光量が吸収されている。
【0009】
次に、上記特許文献2に開示された焦点検出手段の原理を、図22に示す。焦点検出される撮影レンズ921と光軸を同じくしてフィールドレンズ922が配置される。その後方であって光軸に対して対称な位置に2つの二次結像レンズ924aと924bが配置される。二次結像レンズ924a,924bはしばしば一体として形成されており、一般的にメガネレンズと呼ばれる。二次結像レンズ924a,924bのさらに後方にはセンサ列925a,925bが配置される。二次結像レンズ924a,924bの近傍には絞り923a,923bが設けられる。
【0010】
上記フィールドレンズ922は撮影レンズ921の射出瞳を2つの二次結像レンズ924a,924bの瞳面にほぼ結像する。その結果、二次結像レンズ924a,924bにそれぞれ入射する光束を、撮影レンズ921の射出瞳面上において各二次結像レンズ924a,924bに対応する互いに重なり合うことのない等面積の領域から射出された光束とすることが出来る。フィールドレンズ922の近傍に形成された像は、二次結像レンズ924a,924bによってセンサ列925a,925b上に再結像される。これによって、フィールドレンズ922の近傍に形成された像の光軸方向の変位に基づいて、センサ列925a,925b上のそれぞれの像が変位する。したがって、センサ列925a,925bにおけるそれぞれの像の相対的な位置を検出することで、撮影レンズ921のピント状態を知ることが可能となる。
【0011】
上記センサ列925a,925bより出力される信号から撮影レンズ921のピント状態を得る方法は既に種々提案されている。具体例を以下に示す。図23はセンサ列925a,925bから得られる信号を示す模式図である。図23の横軸はセンサ列を成す画素を表し、縦軸はその点でのセンサに入力される光量とする。センサ列925a,925bはN列の画素で構成されており、センサ列925a,925bのそれぞれi番目( i=0,1,…N−1 )からの信号をA(i),B(i)とする。このとき

を定義して、X(k)が極小値となるkを得る方法がある。ここで,max{a,b}なる演算子はa,bのうち大なるものを抽出すること示す。あるいは

を定義して、Y(k)が極大値となるkを得る方法がある。ここで、min{a,b}なる演算子はa,bのうち小なるものを抽出することを示す。
【0012】
上述の方法によって目的とする撮影レンズのピント状態を検出することが可能であるが、言うまでもなく適切な光線を焦点検出用のセンサ列に導く必要がある。光線を焦点検出用のセンサ列に導く方法も多く提案されているが、その一例が以下の特許文献3である。
【0013】
上記特許文献3に開示された光学装置の概略の構成を、図24に示す。同図において、941は撮影光学系、942は写真フィルムやCCDセンサなどであって、可視光に対してのみ感度を有する受光部、943はビームスプリッタである。受光部942で撮像された画像は、フィルムカメラであれば現像されて写真原版となり、デジタルカラーカメラであれば電子ビューファインダー(EVF)に表示されたり、メモリに記録されたり、あるいはプリンタに出力されたりする。上記ビームスプリッタ943の光分割機能面943aには誘電体多層膜が形成され、撮影光学系941から射出された物体光の可視光成分のうち、略50%が反射され、残りの略50%が透過する。光分割機能面943aで反射された光は、ビームスプリッタ943の面943bで全反射し、面943cを通ってビームスプリッタ943の外部に射出される。この光学装置では、焦点検出に必要な光束のみをAFセンサに導く構成のため、ビームスプリッタの小型化が可能である。
【0014】
しかしながら、上記特許文献3では、光分割機能面943aの大きさを撮像光束全体をカバーする大きさにしないと直進光を用いて撮像した画像に輝度ムラが発生し、品位を著しく損ねることになる。また、ビームスプリッタ943を撮影光学系の瞳面近傍に配置すれば輝度ムラは起き難いが、瞳の中央部を通過する光量が削られるために、画像のコントラストが低下することになって好ましくない。
【0015】
また、光分割機能面943aを通過した可視光は前述のように1/2に減衰している。したがって、仮に、撮像の対象物が均一輝度面であったとすると、受光部942によって撮像された画像は、図25に示すように、中央の暗い領域951を挟んで上下に明るい領域952と953が形成された画像950のようになってしまう。こういった現象は、特に青空や建物の白壁などを撮影した場合に均一輝度であるはずの部分に不自然な輝度差が目立ち、たいへん品位を損なった画像となって好ましくないものであった。
【0016】
また、特許文献3に開示された光学装置の他の実施例では、光束の全体を偏光ビームスプリッタで覆うために、偏光ビームスプリッタが大型化し、結果として光学レンズ群と撮像素子の間の寸法を大きくとらなければならず、装置の小型化を図ることが困難である。
【0017】
次に、特許文献4に開示された技術について説明する。一般に、撮影光学系を通して取り込んだ光束の光路を複数に分割して受光部へ導く光学的な構造にあっては、複数に分割された光束の波長特性が実質的に同一であることが多くの場合利点を生むことになる。
【0018】
しかしながら、特許文献4のカメラでは、ビームスプリッタで分割した赤外域近くの波長域の光束を焦点検出に用いるので、焦点検出を正しく機能させるために撮影光学系の収差補正がこの波長域でも行われていることを必要とする。収差補正が不十分である場合には、赤外域近くの光を利用して可視波長域のピントを厳密に合わせることは不可能である。一方、可視波長域に加えて赤外域近くまで収差補正を行おうとすると、特殊なガラスを用いるとか、撮影光学系のレンズ構成枚数を増やす、といった処置が必要となる。よって、コストアップや大型化を引き起こし、好ましくない。特に、一眼レフカメラのように撮影光学系が交換可能で、大規模な交換レンズシステムを備えている場合には、交換レンズシステム全体をこのような焦点検出システムに対応させる必要があり、実現は極めて困難といえる。
【0019】
また、ビームスプリッタで分割した光束を用いて物体輝度の測定を行い、撮像露光量を決定する場合についても、焦点検出と類似の現象を生じる。すなわち、輝度測定のための波長域が撮像の波長域からずれていると、輝度測定のための波長域に含まれる光エネルギー量から露光のための波長域に含まれる光エネルギーを推定することが厳密にはできない。これに起因し、物体輝度の測定に基づいて露光量を決定し撮像を行っても、露出アンダーや露出オーバーの撮像結果が起こり得る。
【0020】
(発明の目的)
本発明の目的は、解像度を低下させることなく、撮像面上の光量を制御することのできる撮像装置を提供しようとするものである。
【0021】
さらに、分割された十分な光束により焦点検出を行うことのできる撮像装置を提供しようとするものである。
【0022】
さらに、光束分割手段の小型化を図ることのできる撮像装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、撮影光学系と撮像面の間に配置され、前記撮影光学系を通過して撮像面へ向かう光束を偏向方向によって分割する光束分割手段と、前記光束分割手段で分割された光束を基に焦点状態信号を出力する焦点検出手段と、前記撮影光学糸と前記撮像面の間に配置され、所定の偏向成分を除去する減光手段とを有し、前記減光手段が、前記光束分割手段に対して相対的に回転可能であり、その回転位置により前記撮像面上の光量を調節可能である撮像装置とするものである。
【0024】
また、請求項2に記載の発明は、前記減光手段が、前記光束分割手段によって前記焦点検出手段へ導かれる光束の偏向成分と同一の偏向成分を吸収する第1の位置と、前記光束分割手段を透過する光束の偏向成分と同一の偏向成分を吸収する第2の位置との間で回転可能である請求項1に記載の撮像装置とするものである。
【0025】
また、請求項3に記載の発明は、前記光束分割手段と前記撮影光学系の間と前記光束分割手段と前記減光手段の間のいずれか一方または両方に、前記光束分割手段によって前記焦点検出手段へ導かれる光束の偏光成分と同一の偏光成分を吸収する第2の減光手段を有する請求項1または2に記載の撮像装置とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、解像度を低下させることなく、撮像面上の光量を制御することができる撮像装置を提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1ないし実施例3に示す通りである。
【実施例1】
【0028】
図1〜図9を用いて、本発明の実施例1に係わる撮像装置であるところのデジタルカメラについて説明する。図1はデジタルカメラの断面図であって、焦点調節を行ってEVF(Electronic View Finder)用画像を取り込む状態を示している。同図において、101はデジタルカメラ本体、102は物体像を形成するための撮影光学系、104は撮影光学系102の光軸、105は撮影光学系102を収納するレンズ鏡筒である。撮影光学系102は不図示のエネルギー源と不図示の駆動機構により結像位置を光軸104の方向に調節可能である。フォーカシングレンズを柔軟性のある透明弾性部材や液体レンズで構成し、界面形状を変化させて屈折力を変えることで、物体にピントを合わせることもできる。撮影光学系102は単焦点レンズ、ズームレンズ、あるいはシフトレンズ等であっても良い。また、種々の特性(Fナンバーや焦点距離など)をもった撮影光学系に交換可能であっても良い。
【0029】
103はビームスプリッタ、111はシャッタレリーズ釦、107はディスプレイ装置である。108は画像データを格納するメモリ、109は光学ファインダの接眼レンズ、110はプリンタ等とのデータ通信を行う通信装置である。106は2次元型CMOS受光センサ、112は焦点検出用センサ、113は光学ローパスフィルタである。
【0030】
上記ビームスプリッタ103と光学ローパスフィルタ113の間には、減光手段116が設けられている。減光手段116は不図示の機械的駆動手段に係合し、不図示の測光センサまたは撮像素子106からの信号を元にビームスプリッタ103に対して相対的に回転し、適当な位置に制御される。EVF用画像の取り込み時には、ビームスプリッタ103を透過した光束が、CMOS受光センサ106上に投影されるようになっている。
【0031】
ディスプレイ装置107はカメラの背面に取り付けられており、CMOS受光センサ106で捉えられた物体像が該ディスプレイ装置107上に表示される。使用者はEVFとして直接これを観察することができる。
【0032】
CMOS受光センサ106は、増幅型固体撮像素子の1つであるCMOSプロセスコンパチブルのセンサである。CMOS受光センサ106は、エリアセンサ部のMOSトランジスタと撮像素子駆動回路、AD変換回路、画像処理回路といった周辺回路を同一工程で形成できる。このため、マスク枚数、プロセス工程がCCDと比較して大幅に削減できるという利点を有する。また、任意の画素へのランダムアクセスが可能という特長も有し、画素を間引いた読み出しを行うと高い表示レートで画像のリアルタイム表示を行える。CMOS受光センサ106は、この特長を利用し、間引き読み出しによるEVF用画像出力動作と全ての画素を読み出す高精彩画像出力動作を行う。
【0033】
図2は上記デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。まず、物体像の撮像、記録に関する部分から説明する。
【0034】
デジタルカメラは、撮像系、画像処理系、記録再生系、制御系を有する。撮像系は、撮影光学系102、CMOS受光センサ106を含み、画像処理系は、A/D変換器130、RGB画像処理回路131およびYC処理回路132を含む。また、記録再生系は、記録処理回路133および再生処理回路134を含む。制御系は、カメラシステム制御回路135、操作検出回路136およびCMOS受光センサ駆動回路137を含む。138は外部のコンピュータ等に接続して、データの送受信をするための規格化された接続端子である。これらの電気回路は不図示の小型燃料電池によって駆動される。
【0035】
撮像系は、物体からの光を、撮影光学系102を介してCMOS受光センサ106の撮像面に結像する光学処理系であり、ビームスプリッタ103と減光手段116の相対角度を調節し、適切な光量の物体光をCMOS受光センサ106に露光する。この動作は後に詳述する。CMOS受光センサ106は、正方画素が長辺方向に3700個、短辺方向に2800個並べられ、合計約1000万個の画素数を有する受光素子が適用される。そして、各画素にR(赤色)G(緑色)B(青色)のカラーフィルターを交互に配して4画素が一組となる所謂ベイヤー配列を形成している。
【0036】
RGB画像処理回路131は、A/D変換器130を介してCMOS受光センサ106 から受けた受光センサの画素数の画像信号を処理するものであり、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、補間演算による高解像度化を行う補間演算回路を有する。YC処理回路132は、輝度信号Yおよび色差信号R−Y,B−Yを生成する信号処理回路である。そして、高域輝度信号YHを生成する回路、低域輝度信号YLを生成する回路、および、色差信号R−Y,B−Yを生成する回路で構成されている。輝度信号Yは高域輝度信号YHと低域輝度信号YLを合成することによって形成される。
【0037】
記録再生系は、メモリへの画像信号の出力とディスプレイ装置107への画像信号の出力とを行う処理系であり、記録処理回路133はメモリへの画像信号の書き込み処理および読み出し処理を行う。また、再生処理回路134はメモリから読み出した画像信号を再生して、ディスプレイ装置107に出力する。
【0038】
上記記録処理回路133は、静止画像および動画像を表わすYC信号を所定の圧縮形式にて圧縮し、また、圧縮データを読み出した際に伸張する圧縮伸張回路を内部に有する。この圧縮伸張回路は、信号処理のためのフレームメモリなどを含み、このフレームメモリに画像処理系からのYC信号を1画像毎に蓄積して、それぞれ複数のブロック毎に読み出して圧縮符号化する。圧縮符号化は、例えば、ブロック毎の画像信号を2次元直交変換、正規化およびハフマン符号化することにより行われる。
【0039】
再生処理回路134は、輝度信号Yおよび色差信号R−Y,B−Yをマトリックス変換して、例えばRGB信号に変換する回路である。再生処理回路134によって変換された信号はディスプレイ装置107に出力され、可視画像が表示再生される。再生処理回路134とディスプレイ装置107の間、あるいはプリンタとの間はBluetoothなどの無線通信手段を介して接続されてもよい。このように構成すれば、このデジタルカメラで撮像する画像を離れたところからモニターすることや、撮影した画像をパーソナルコンピュータを介さずに印刷することが可能となる。
【0040】
制御系は、シャッタレリーズ釦111等の操作を検出する操作検出回路136と、その検出信号に応動して各部を制御し、撮像の際のタイミング信号などを生成して出力するカメラシステム制御回路135を含む。また、該カメラシステム制御回路135の制御の下にCMOS受光センサ106を駆動する駆動信号を生成するCMOS受光センサ駆動回路137をも含む。更には、光学ファインダ内の情報表示装置やカメラの外面にある情報表示装置を制御する情報表示回路142をも含む。
【0041】
上記制御系は、外部操作に応動して撮像系、画像処理系、記録再生系をそれぞれ制御する。例えば、シャッタレリーズ釦111の押下を検出して、CMOS受光センサ106の駆動、RGB画像処理回路131の動作、記録処理回路133の圧縮処理などを制御する。さらには、情報表示回路142によって光学ファインダ等に情報表示を行う情報表示装置の各セグメントの状態も制御する。
【0042】
カメラシステム制御回路135には、さらにAF制御回路140とレンズシステム制御回路141が接続されている。これらはカメラシステム制御回路135を中心にして各々の処理に必要とするデータを相互に通信している。
【0043】
AF制御回路140は、撮影画面上の所定位置に対応して設定された焦点検出用センサ112の焦点検出視野の信号出力を得て焦点検出信号を生成し、撮影光学系102の結像状態を検出する。デフォーカス量が検出されると、これを撮影光学系102の一部の要素であるフォーカシングレンズの駆動量に変換し、カメラシステム制御回路135を中継してレンズシステム制御回路141に送信する。また、移動する物体に対しては、シャッタレリーズ釦111が押下されてから実際の撮像制御が開始されるまでのタイムラグを勘案し、適切なレンズ位置を予測してフォーカシングレンズ駆動量を指示する。物体の輝度が低く、十分な焦点検出精度が得られないと判定したときには、不図示の閃光発光装置、あるいは不図示の白色LEDや蛍光管によって物体を照明し、不足していた輝度を補う。レンズシステム制御回路141は、フォーカシングレンズの駆動量を受信すると、不図示の駆動機構によって撮影光学系102内のフォーカシングレンズを光軸104方向に移動させて、物体にピントを合わせる。
【0044】
一連のピント調節動作の結果、AF制御回路140によって物体にピントが合ったことが検出されると、この情報はカメラシステム制御回路135に伝えられる。このとき、シャッタレリーズ釦111が2段目まで押下されれば、前述のごとく撮像系、画像処理系、記録再生系による撮像制御が成される。
【0045】
図3はデジタルカメラ101のレンズ鏡筒105部分の断面図である。図4は、ビームスプリッタ103、減光手段116、コンデンサレンズ114、メガネレンズ117および焦点検出用センサ112で構成される機能ユニット118の模式図である。これらの図を用いて機能ユニット118とその周辺部分について詳述する。
【0046】
ビームスプリッタ103は、撮影光学系102を構成するレンズ102aと102b(不図示)の間に位置する。レンズ102aはフォーカシングレンズであって、例えば光軸104方向に移動することで、ピント調節を行う。CMOS受光センサ106は撮影光学系102の予定結像面に配設され、このCMOS受光センサ106のカバーガラス106aが封止部材115を介して固定されている。こういった構成を採ることで、CMOS受光センサ106のカバーガラス106aに塵が付着する可能性はなく、塵の付着する可能性があるとすれば、レンズ102bの入射面となる。CMOS受光センサ106の受光面から塵の位置までは十分長いので、不図示のレンズ102bの入射面に付着した塵が画面に写り込むことはほとんどない。
【0047】
概略の撮像シーケンスは、例えば図5に示す例のように行われる。すなわち、デジタルカメラは、電源投入によってシャッタレリーズ釦111が操作されるのを待機し、レリーズ釦の1段目押下によって不図示のスイッチSW1がON(#101)すると、オートフォーカス動作を行う(#102〜#105)。そして、シャッタレリーズ釦111の2段目押下によって不図示のスイッチSW2がON(#106)すると、撮像およびメモリ108に対する情報の保存を行う(#108,#109)。その後は再度スイッチSW1がONされるのを待機する状態に復帰する。
【0048】
次に、光束分割について説明を行う。ビームスプリッタ103は、図4に示すように、偏光方向によって光束を分割可能な光分割機能面103aをもつ。図4に示す機能ユニット118の模式図では、光分割機能面103aが誘電体多層膜などで形成された偏光ビームスプリッタとして形成された例を示している。ビームスプリッタ103の光入射面は面103bで構成され、直進光の射出面は面103dで構成されている。面103bと面103dは略平行である。また、ビームスプリッタ103はCMOS受光センサ106へ向かう光束を全て覆うように設けられている。このようにすることで、ビームスプリッタ103は直進する光に対し平行平板として機能する。また、CMOS受光センサ106へ向かう光束を全て覆うために画像の一部が暗くなるなどの輝度分布が発生せず、高品位な像を得ることが出来る。
【0049】
光分割機能面103aの望ましい光学特性は、例えば図6に示す通りであって、P偏光に対しては可視光領域で透過率が高く、S偏光に対しては反射率が高い。このように構成することで、ビームスプリッタ103に入射した光束のうち、S偏光成分は光分割機能面103aで反射され、面103cから図中下方へ射出される。面103cに対向する位置には、焦点検出に使用する光束を集める働きをするコンデンサレンズ114が配置される。そして、このコンデンサレンズ114を透過した光がメガネレンズ117を介して焦点検出用センサ112に入射し、これによって瞳分割方式による焦点検出機能が動作する。すなわち、焦点検出用センサ112に入射した光束から、撮影光学系102のピント状態を把握することが可能となる。
【0050】
光分割機能面103aの光学特性は上記した通りであり、ビームスプリッタ103で分割された光束の分光特性を直進光と実質的に同一とし、この光束によって焦点検出機能を動作させる。焦点検出用センサ112に入射する分光特性は光分割機面103aでのS偏光の反射率の分光特性が支配的となる。しかし、図6に示したように、波長によらず高い反射率を持つような光分割機能面103aを用いることで、十分な光量でかつ撮像面に入射する光束と実質的に同一な光束により高精度な焦点検出が可能である。
【0051】
上記ビームスプリッタ103とCMOS受光センサ106の間には、いわゆる偏光フィルタである減光手段116が配置されている。この減光手段116は、図示しない駆動手段によって、ビームスプリッタ103におけるS偏光を吸収(遮断)する第1の位置と、ビームスプリッタ103におけるP偏光を吸収(遮断)する第2の位置、の間を移動可能に構成されている。
【0052】
偏光フィルタからなる減光手段116の好適な分光透過率特性を、図7に示す。LCDなどに用いられる偏光フィルタの好適な特性はいわゆるクロスニコルの状態での消光比が重要である。そのため、透過率は、消光比が所望の値の取れる範囲で高いものを選択するのが一般的である。しかし、本実施例においては、消光比は50:1程度で十分である。一方で、CMOS受光センサ106上での像の色や明るさを劣化させないために、分光特性と透過率がより重要な特性となる。
【0053】
次に、本実施例における要部構成である機能ユニット118について、図8および図9を用いて説明する。図8は、機能ユニット118での光束の分割と光量を説明する図である。図9は、減光手段116とビームスプリッタ103の相対位置に対するCMOSセンサ106での光量の関係を説明する図である。
【0054】
図8において、150は撮影光学系102を通過した光束を示す。151は光分割機能面103aで分割されて焦点検出用センサ112へ導かれる光束を示す。152は光分割機能面103aを透過して減光手段116へ向かう光束を示す。153は減光手段116を透過してCMOS受光センサ106へ向かう光束を示す。
【0055】
図9では、光束は中心光束のみ線で示している。図9において、116aは減光手段116の偏光方位角を示す。図9(a)は、光分割機能面103aによって焦点検出用センサ112に導かれた偏光成分と同一の偏光成分を吸収する減光手段116の第1の位置を示している。図9(c)は、光分割機能面103aを透過した偏光成分と同一の偏光成分を吸収する減光手段116の第2の位置を示している。図9(b)は、減光手段116が上記第1の位置と第2の位置の間にある状態を示している。
【0056】
図8に模式的に示したように、焦点検出用センサ112へ導かれる光束は焦点検出動作に必要な光束のみでよい。そこで、本実施例では、撮影光学系102を通過した光束150を全て覆うように光分割機能面103aが存在するが、そのうちの一部は、焦点検出用センサ112へ届かず、透過する。
【0057】
減光手段116が図9(a)に示す第1の位置にあるとき、撮影光学系102を通過した光束150の光束量を100とし、光分割機能面103aの特性が図7に示すものとする。この場合、焦点検出用センサ112へ導かれる光束151の光束量は45以上、減光手段116へ向かう光束152の光束量は45以上、CMOS受光センサ106へ向かう光束153の光束量は40.5以上となる。
【0058】
また、減光手段116が図9(c)に示す第2の位置にあるときは、焦点検出用センサ112へ導かれる光束151の光束量は45以上、減光手段116へ向かう光束152の光束量は45以上、CMOS受光センサ106へ向かう光束153の光束量は2程度となる。また、図9(b)に示す位置にあるときは、減光手段116の偏光方位角116aによって光量を連続的に変化させることが可能となる。
【0059】
つまり、CMOS受光センサ106での光量は、減光手段116の偏光方位角116aによって制御可能であり、特許文献1に示されているように、撮影装置の絞りとして使用可能である。また、従来のメカニカルな絞りと違い、装置を小型化した際にも回折現象による解像度の低下といった問題を引き起こさない。
【0060】
本実施例1によれば、以下のような効果を有する。
(1)光束分割手段であるビームスプリッタ103に対して減光手段116を相対的に回転可能にしている。つまり、図9に示すように、減光手段116を第1の位置(図9(a)の位置)と第2の位置((図9(c)の位置)の間で回転可能にして、偏光方位角116aを可変にしている。よって、回折現象による解像度の低下を引き起こすことなく、CMOS受光センサ106上の光量を連続的に変化させることが出来る。
(2)ビームスプリッタ103がCMOS受光センサ106へ向かう光束を全て覆うように設けられている。そのため、図25のように、CMOS受光センサ106上の画像の一部が暗くなるなどの輝度分布が発生しない。よって、CMOS受光センサ106上にビームスプリッタ103の像が写らず、高品位な画像を得ることが出来る。
(3)ビームスプリッタ103に入射した光束のうち、光分割機能面103aによってP偏光成分は透過され、S偏光成分は反射される。よって、CMOS受光センサ106に導かれる光束と実質同一の光束で焦点検出を行うことが出来る。
【0061】
以上のように、簡易な構成で多くの効果を得ることができ、CMOS受光センサ106へ向かう光束全体を覆うビームスプリッタ103とその偏光を利用した減光手段116を用いる効果はきわめて大きいといえる。
【実施例2】
【0062】
次に、図10〜図15を用いて、本発明の実施例2に係わる撮像装置であるところのデジタルカメラについて説明する。
【0063】
図10及び図11はデジタルカメラの断面図であり、同図において、201はデジタルカメラ本体、202は物体像を形成するための撮影光学系である。204は撮影光学系202の光軸、205は撮影光学系202を収納するレンズ鏡筒である。203はビームスプリッタ、211はシャッタレリーズ釦、207はディスプレイ装置、208は画像データを格納するメモリである。209は光学ファインダの接眼レンズ、210はプリンタ等とのデータ通信を行う無線通信装置である。206は2次元型CMOS受光センサ、212は焦点検出用センサ、213は光学ローパスフィルタ、214はコンデンサレンズ、216は減光手段、217はメガネレンズである。それぞれの機能などは上記実施例1と同一のため、その説明を省略する。また、電気的な回路構成は図2に示す構成と同様であるものとする。
【0064】
219は減光手段216を透過した直線偏光を円偏光にする1/4波長板である。1/4波長板219は上記の機能を持たせるために減光手段216に対して位置決めされ、一体として動作を行う。220aは第2の減光手段である。218は機能ユニットであり、ビームスプリッタ203、減光手段216、コンデンサレンズ214、メガネレンズ217、焦点検出用センサ212、1/4波長板219および第2の減光手段220aで構成される。
【0065】
機能ユニット218は、図11に示すように、図示しない駆動手段によって、撮影光学系202からCMOS受光センサ206へ向かう光路から退避することができる。この退避動作は、機能ユニット218よる光量の減少が問題となると判定された場合などに行われる。
【0066】
本実施例2における機能ユニット218の詳細例を、図12(a)ないし図12(c)に示す。
【0067】
図12(a)〜(c)において、ビームスプリッタ203の入射面は2つの一致した面203b,203cによって構成され、射出面は2つの一致した面203e,203fによって構成される。このようにすることにより、ビームスプリッタ203は直進する光に対し平行平板として機能する。また、光分割機能面203aは撮影光学系202を通過した光束のうち、焦点検出に必要なエリアのみを覆うように配置されている。この光分割機能面203aで分割され、焦点検出用センサ212へ向かう光束は、面203dから射出される。面203dに対向する位置には、焦点検出に使用する光束を集める働きをするコンデンサレンズ214が配置される。このコンデンサレンズ214を透過した光がメガネレンズ217を介して焦点検出用センサ212に入射し、これによって瞳分割方式による焦点検出機能が動作する。すなわち、焦点検出用センサ212に入射した光束から、撮影光学系202のピント状態を把握することが可能となる。
【0068】
図12から明らかなように、焦点検出に必要なエリアのみに光分割機能面203aを設けることで、上記実施例1に比べて、ビームスプリッタ203を光軸方向に薄型化することが可能となる。
【0069】
図12(a)は、第2の減光手段220aを撮影光学系202とビームスプリッタ203の間に配置した例である。
【0070】
上下に配置される第2の減光手段220aは、第1の減光手段216と同様に偏光フィルタによって構成され、その特性は図7に示したような特性とする。このとき、第2の減光手段220aはビームスプリッタ203の光分割機能面203aにおけるP偏光を吸収(遮断)する方向に設けられる。また、第2の減光手段220aには開口部220cが設けられており、この開口部220cは物体側から光軸に沿って見たときにビームスプリッタ203の光分割機能面203aの部分が開口しているように設けられる。上記位置に配置される第2の減光手段220aは、ビームスプリッタ203に対して位置決めされ、固定される。
【0071】
上記の条件で開口部220cを設けることで、撮影光学系202がテレセントリック光学系に近い場合には、撮影光学系202を通して機能ユニット209に入射した光束は、第2の減光手段220a、光分割機能面203aのいずれか一方のみを通過して第1の減光手段216へ向かう。
【0072】
さらに第1の減光手段216は、第2の減光手段220aおよびビームスプリッタ203に対して光軸を中心として、図示しない駆動手段によって、光分割機能面203aにおけるS偏光を吸収断する第1の位置と、光分割機能面203aにおけるP偏光を吸収する第2の位置、の間を移動可能である。第1の減光手段216を適切に移動させることで、特許文献1に開示されているように、撮像面で所望の光量を得ることが出来る。
【0073】
図13(a)に、図12(a)に示した例の光量を説明する模式図を示している。図13(a)において、250a,250b,250cは撮影光学系202を通過した光束を示す。251a,251cは第2の減光手段220aを透過して減光手段216へ向かう光束を示す。251bは第2の減光手段220aに設けられた開口220cを通過して光分割機能面203aへ向かう光束を示す。251dは光分割機能面203aを透過して減光手段216へ向かう光束を示す。252a,252b,252cは第1の減光手段216を透過してCMOS受光センサ206へ向かう光束を示す。253は光分割機能面203aで分割され、焦点検出用センサ212へ導かれる光束を示す。
【0074】
図13(a)において、撮影光学系202を通過した光束250a,250b,250cの光束量を100とし、光分割機能面203aの特性は図6に示したもの、第1の減光手段216および第2の減光手段220aの特性は図7に示したものとする。この場合、焦点検出用センサ212へ導かれる光束253の光束量は45以上、第2の減光手段220aまたは光分割機能面203aを通過して第1の減光手段216へ向かう光束251a,251c,251dはいずれも45以上となる。また、第1の減光手段216を透過した光束252a,252b,252cはいずれも同一であり、第1の減光手段216と光分割機能面203aの相対的な角度によって略0から略40で可変である。すなわち、全面均一で光量可変となる。
【0075】
機能ユニット218には、第1の減光手段216と図12(a)では図示していない光学ローパスフィルタ213(図10参照)の間に、1/4波長板219が具備されており、第1の減光手段216を透過した直線偏光を円偏光に変換する。複屈折を利用した光学ローパスフィルタ213を用いている場合は、直線偏光が入射すると、該光学ローパスフィルタ213が適切に作用せずに偽色を発生する可能性がある。1/4波長板219を第1の減光手段216と光学ローパスフィルタ213の間に配置することで、前記問題が無くなる。1/4波長板219は第1の減光手段216と一体とされた、いわゆる円偏光フィルタとして配置されても良い。
【0076】
図12(b)は、第2の減光手段220a、第2の減光手段220bを、撮影光学系202とビームスプリッタ203の間、および、ビームスプリッタ203と第1の減光手段216の双方に配置した例である。
【0077】
第2の減光手段220a,220bは、第1の減光手段216と同様に偏光フィルタによって構成され、その特性は図7に示したような特性とする。また、第1の減光手段216は1/4波長板を一体に備えた円偏光フィルタで構成する。このとき、第2の減光手段220aはビームスプリッタ203の光分割機能面203aにおけるP偏光を吸収(遮断)する方向に設けられる。また、第2の減光手段220aは光軸方向から見た際に光分割機能面203aが存在しない一方の部分を覆うように設けられており、第2の減光手段220bはその他方を覆うように設けられている。上記位置に配置される第2の減光手段220a,220bは、ビームスプリッタ203に対して位置決めされ、固定される。
【0078】
上記の条件で分割して減光手段を設けることで、撮影光学系202を通して機能ユニット218に入射した光束は、第2の減光手段220a,220b、光分割機能面203aのいずれか一つのみを通過して第1の減光手段216へ向かう。
【0079】
図13(a)に示した例に比べて、撮影光学系202を通過してCMOS受光センサ206へ向かう光束が、光軸に対して大きな角度を持つ場合であっても、CMOS受光センサ上で均一な輝度を得ることが可能となる。
【0080】
さらに第1の減光手段216は、第2の減光手段220aおよびビームスプリッタ203に対して光軸を中心として駆動される。詳しくは、図示しない駆動手段によって、光分割機能面203aにおけるS偏光を吸収する第1の位置と、光分割機能面203aにおけるP偏光を吸収する第2の位置、の間を移動可能である。この第1の減光手段216を適切に移動させることで、特許文献1に開示されているように、撮像面で所望の光量を得ることが出来る。
【0081】
図12(c)は、第2の減光手段220aをビームスプリッタ203と第1の減光手段216の間に配置した例である。
【0082】
第2の減光手段220aは、撮影光学系202を通過してCMOS受光センサ206へ向かうすべての光束を覆うように配置される。第2の減光手段220aは第1の減光手段216と同様に偏光フィルタによって構成され、その特性は図7に示したような特性とする。また、第1の減光手段216は1/4波長板を一体に備えた円偏光フィルタで構成される。このとき、第2の減光手段220aは、ビームスプリッタ203の光分割機能面203aにおけるP偏光を吸収(遮断)する方向に設けられる。前記位置に配置される第2の減光手段220aは、ビームスプリッタ203に対して位置決めされ、固定される。
【0083】
さらに第1の減光手段216は、第2の減光手段220aおよびビームスプリッタ203に対して光軸を中心として駆動される。詳しくは、図示しない駆動手段によって、光分割機能面203aにおけるS偏光を吸収する第1の位置と、光分割機能面203aにおけるP偏光を吸収する第2の位置の間を移動可能である。この第1の減光手段216を適切に移動させることで、特開平05−207384号公報に開示されているように撮像面で所望の光量を得ることが出来る。
【0084】
図13(b)に、図12(c)に示した例の光量を説明する模式図を示している。図13(b)において、260a,260b,260cは撮影光学系202を通過した光束を示す。261aは光分割機能面203aを透過して第2の減光手段220aへ向かう光束を示す。262a,262b,262cは第2の減光手段220aを透過して第1の減光手段216へ向かう光束を示す。263a,263b,263cは第1の減光手段216を透過してCMOS受光センサ206へ向かう光束を示す。264は光分割機能面203aで分割され、焦点検出用センサ212へ導かれる光束を示す。このとき、光分割機能面203aの望ましい特性は、例えば図14に示すようになる。P偏光の透過率が高く、S偏光に関しては第2の減光手段220aで吸収されるため、厳しくは規制されない。
【0085】
図13(a)において、撮影光学系202を通過した光束250a,250b,250cの光束量を100とし、光分割機能面203aの特性は図14に示したもの、第1の減光手段216および第2の減光手段220aの特性は図7に示したものとする。この場合、焦点検出用センサ212へ導かれる光束253の光束量は42以上、第2の減光手段220aまたは光分割機能面203aを通過して第2の減光手段220aへ向かう光束261aは47以上となる。第2の減光手段220aを透過した光束262a,262cは45以上、光束262bは43以上となる。すなわち、光分割機能面203aでのP偏光の透過率を上げることで、光束262a,262b,262cはいずれも略同一の光束量とすることが出来る。その結果、第1の減光手段216を透過した光束263a,263b,263cはいずれも同一であり、第1の減光手段216と光分割機能面203aの相対的な角度によって略0から略40で可変である。すなわち、全面均一で光量可変となる。
【0086】
次に、図15を用いて、機能ユニット218の回転動作について説明する。図15は機能ユニット218を備えたカメラを正面から見た図である。説明のために、図15に示すようにX,Y軸を設定する。
【0087】
機能ユニット218は光路に挿入された位置において光軸周りに90度以上回転可能に配置されている。例として、図15(a)に示すように、焦点検出用センサ212がY方向にある場合を第1の位置、図15(b)に示すように、焦点検出用センサ212がX方向にある場合を第2の位置の位置とする。90度以上回転可能であれば必ずしも上記のように第1の位置と第2の位置を設定する必要はない。
【0088】
本実施例2において、第2の減光手段220aおよび光分割機能面203aは偏光方向によって選択的に減光および分割を行う。そのため、カメラにとっては機能ユニット218と一体として光軸周りに回転させることで、いわゆる偏光フィルタとして使用可能である。具体的には、図15(a)の位置においては、X軸方向が光分割機能面203aのS偏光となるために、X軸方向に電界ベクトルを持つ偏光はCMOS受光センサ206には届かず、Y軸方向に電界ベクトルを持つ偏光のみがCMOS受光センサ206に届く。図15(b)ではその反対となる。
【0089】
偏光フィルタの制御は、例えば特開2001−100285号公報に開示されている手段などによって適切に、または、ユーザーによって手動で行われる。偏光フィルタを活用することで、正反射光を除去したいガラスを通しての夜景撮影などのシーンにおいても所望の画像が得られる。
【0090】
なお、1/4波長板219は前述した実施例1に用いられても効果がある。
【0091】
本実施例2によれば、以下の効果を得ることが出来る。
(1)CMOS受光センサ206上にビームスプリッタ203の像が写らず、高品位な画像を得ることが出来る。
(2)CMOS受光センサ206に導かれる光束と実質同一の光束で焦点検出を行うことが出来る。
(3)解像度の低下を引き起こすことなく、CMOS受光センサ206上の光量を連続的に変化させることが出来る。
(4)ビームスプリッタ203の小型化、ひいては装置の小型化を図ることが出来る。
(5)低輝度の被写体に対しても適切に撮像を行うことが出来る。
(6)複屈折を利用した光学LPF(ローパスフィルタ)を持つ撮像系であっても、偽色を発生させることがない。
(7)内蔵された偏光フィルタを活用して撮影が可能である。
【0092】
以上のように、簡易な構成で多くの効果を得ることができ、CMOS受光センサ206へ向かう光束のうち、焦点検出に必要な範囲を覆う偏光ビームスプリッタ203と偏光を利用した減光手段(220a,220b,216)を設ける効果、機能ユニット218を光路外に退避可能に設ける効果、および機能ユニット218を回転可能に設ける効果、はきわめて大きいといえる。
【実施例3】
【0093】
次に、図16〜図19を用いて、本発明の実施例3に係わる撮像装置であるところのデジタルカメラについて説明する。
【0094】
図16及び図17はデジタルカメラの断面図である。同図において、301はデジタルカメラ本体、302は物体像を形成するための撮影光学系、304は撮影光学系302の光軸、305は撮影光学系302を収納するレンズ鏡筒である。303はビームスプリッタ、311はシャッタレリーズ釦、307はディスプレイ装置、308は画像データを格納するメモリである。309は光学ファインダの接眼レンズ、310はプリンタ等とのデータ通信を行う無線通信装置である。306は2次元型CMOS受光センサ、312は焦点検出用センサ、313は光学ローパスフィルタ、314はコンデンサレンズ、316は第1の減光手段、317はメガネレンズである。それぞれの機能などは上記の実施例1と同一のため説明を省略する。また、電気的構成は図2に示す構成であるものとする。
【0095】
330はフィルム状の第2の減光手段である。318は機能ユニットであり、ビームスプリッタ303、第1の減光手段316、コンデンサレンズ314、メガネレンズ317、焦点検出用センサ312および第2の減光手段330で構成される。
【0096】
機能ユニット318は、図17に示すように、図示しない駆動手段によって、撮影光学系302からCMOS受光センサ306へ向かう光路から退避することができる。この退避動作は、機能ユニット318よる光量の減少が問題となると判定された場合などに行われる。
【0097】
図18および図19を用いて、本実施例3における機能ユニット318について説明する。図18は機能ユニット318の詳細図であり、図19はビームスプリッタ303の作成方法の例を示す図である。
【0098】
図18において、フィルム状の第2の減光手段330は、特性の入射角において偏光方向によって光束の分割を行い、垂直入射の際に略半分の光線を透過させる機能を持つものである。例えば、光学プラスチックから入射した場合に偏光ビームスプリッタとして機能する誘電体多層膜をフィルム上に蒸着したものである。
【0099】
ビームスプリッタ303は、図19に示すようにして、第2の減光手段330と一体にされる。図19(a)にあるように、ビームスプリッタ303は2つのプリズム303a,303bからなる。プリズム303aとプリズム303bの間にフィルム状の第2の減光手段330を挿入した後、図19(b)にあるように、第2の減光手段330を挟み込むように2つのプリズム303aとプリズム303bが固定される。さらにフィルム状の減光手段330の端部を適切に処理をして、図19(c)に示すように、一体としたプリズム330として形成する。
【0100】
本実施例3によると、減光面が一体として形成されているために、減光面の不連続性が像に影響を与えることが無く、高品位な像が得られる。例えば、複数の減光手段の重複や間隙が像に影響を与えやすい。機能ユニット318がCMOS受光センサ306の近傍に配置された場合であっても、高品位な像を得ることが出来る。また、減光手段を一体として形成するために低コスト化を図ることが可能である。
【0101】
本実施例3によれば、上記の実施例1および実施例2の効果を損ねることなく、装置の低コスト化を図ることが出来る。
【0102】
上記の実施例1ないし実施例3によれば、光束分割手段をいわゆる偏光方向によって光束を分割することが可能なビームスプリッタ(103,203,303)より構成しており、該ビームスプリッタと撮像面であるCMOS受光センサ(106,206,306)の間に、減光手段(116,216,220a,220b,316,330)を備えている。そして、この減光手段は、ビームスプリッタによって焦点検出用センサ112に向かう方向に導かれた偏光成分と同一の偏光成分を吸収する第1の位置と、ビームスプリッタを透過した偏光成分と同一の偏光成分を吸収する第2の位置、に移動可能である。そして、この第1の位置と第2の位置の間を連続的に、または、断続的に不図示の駆動手段により回転可能に構成している。
【0103】
前記減光手段は、光束分割手段であるビームスプリッタに対して、光軸を中心として相対的に回転可能である。
【0104】
また、減光手段と光束分割手段であるビームスプリッタは一体的に構成され、光路に挿入された位置と、光路から退避した位置、の間を移動可能である。そして、これらを光路内への挿入および光路外への退避動作を行う駆動源を用いて、上記減光手段とビームスプリッタ光束分割手段との相対回転を行うことで、装置が大型化を防ぐことができる。
【0105】
また、第2の減光手段を備えた例によると、ビームスプリッタを含めた装置の小型化を図ることが可能となり、結果として装置全体の小型化に寄与する。
【0106】
さらに、ビームスプリッタと撮像面の間に1/4波長板219を備えることにより、複屈折を利用した光学LPFを備えるカメラにおいても、偽色が発生することなく撮影を行うことが可能となる。更には、ビームスプリッタと撮影光学系の間に1/4波長板219を備えることにより、特定偏光を多く含む被写体に対しても適切な測距と撮影を行うことが可能となる。
【0107】
以上の各実施例によれば、
(1)撮影光学系からの光束をビームスプリッタで分割する際に、分割された光束の分光特性を実質的に直進光と同一として、AF(更にはAE)機能を動作させること
(2)分割された十分な光量の光によって、上記機能を動作させること
(3)光分割構造によってカメラを大型化しないこと
(4)ビームスプリッタを直進した光に基づいた高品位な画像を得ること
(5)光の利用効率を高め、光量調整と同時にAF光束を分離すること
を同時に実現することである。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施例1に係わるデジタルカメラを示す断面図である。
【図2】図1のデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1のデジタルカメラのレンズ鏡筒を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例1において機能ユニットを示す模式図である。
【図5】図1のデジタルカメラの撮像シーケンスを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例1において光分割機能面の望ましい分光特性を示すである。
【図7】本発明の実施例1において減光手段の望ましい分光特性を示す図である。
【図8】本発明の実施例1における機能ユニットでの光束を示す図である。
【図9】本発明の実施例1において減光手段とビームスプリッタの相対位置と光量の関係を示す図である。
【図10】本発明の実施例2に係わるデジタルカメラを示す断面図である。
【図11】図10のデジタルカメラの機能ユニットが光路外に退避した状態を示す断面図である。
【図12】図10のデジタルカメラの機能ユニットの構成例を示す図である。
【図13】図10のデジタルカメラの機能ユニットでの光束を示す図である。
【図14】本発明の実施例2において光分割機能面の望ましい分光特性を示す図である。
【図15】本発明の実施例2における機能ユニットの回転動作を説明する図である。
【図16】本発明の実施例3に係わるデジタルカメラを示す断面図である。
【図17】図16ノデジタルカメラの機能ユニットが光路外に退避した状態を示す断面図である。
【図18】本発明の実施例3における機能ユニットの構成例を示す図である。
【図19】本発明の実施例3におけるビームスプリッタの作成方法を示す図である。
【図20】従来の偏光板を用いた光量調整装置を示す模式図である。
【図21】従来の偏光板を用いた光量調整装置の機能説明図である。
【図22】一般的な瞳分割による焦点検出動作の説明図である。
【図23】一般的な瞳分割による焦点検出動作の信号例を示す図である。
【図24】従来のビームスプリッタを用いた焦点検出装置を示す模式図である。
【図25】従来のビームスプリッタを用いた焦点検出装置での輝度ムラを示す模式図である。
【符号の説明】
【0109】
101 デジタルカメラ本体
102 撮影光学系
102a フォーカシングレンズ
103 ビームスプリッタ
103a 光分割機能面
104 光軸
106 CMOS受光センサ
112 焦点検出用センサ
113 光学ローパスフィルタ
116 減光手段
116a 減光手段の偏光方位角
118 機能ユニット
203a 光分割機能面
216 第1の減光手段
218 機能ユニット
203 ビームスプリッタ
219 1/4波長板
220a 第2の減光手段
220b 第2の減光手段
220c 第2の減光手段に設けられた開口
303 ビームスプリッタ
303a ビームスプリッタを形成するプリズム
303b ビームスプリッタを形成するプリズム
316 第1の減光手段
318 機能ユニット
330 フィルム状の第2の減光手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と撮像面の間に配置され、前記撮影光学系を通過して撮像面へ向かう光束を偏向方向によって分割する光束分割手段と、
前記光束分割手段で分割された光束を基に焦点状態信号を出力する焦点検出手段と、
前記撮影光学糸と前記撮像面の間に配置され、所定の偏向成分を除去する減光手段と、
を有し、
前記減光手段は、前記光束分割手段に対して相対的に回転可能であり、その回転位置により前記撮像面上の光量を調節可能であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記減光手段は、前記光束分割手段によって前記焦点検出手段へ導かれる光束の偏向成分と同一の偏向成分を吸収する第1の位置と、前記光束分割手段を透過する光束の偏向成分と同一の偏向成分を吸収する第2の位置との間で回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光束分割手段と前記撮影光学系の間と前記光束分割手段と前記減光手段の間のいずれか一方または両方に、前記光束分割手段によって前記焦点検出手段へ導かれる光束の偏光成分と同一の偏光成分を吸収する第2の減光手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記減光手段と前記撮像面の間に、1/4波長板を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−65555(P2007−65555A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254625(P2005−254625)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】