説明

撮像装置

【課題】表示開始時のライブビュー画像の明るさを適切に制御すること。
【解決手段】撮像装置1,2は、被写体像を撮像し、画像データを出力する撮像素子20と、撮像素子20上に被写体像を結像させる撮像光学系LSと、被写体像を観察するための観察光学系8と、撮像光学系LSを通過した被写体光を観察光学系8へ導く第1光路および被写体光を撮像素子20へ導く第2光路を切替える光路切替手段4と、第2光路に切替えられた状態で撮像素子20が繰り返し撮像して出力する画像データに基づく再生画像を表示装置23に逐次表示させる表示制御手段と、第1光路を通過する光を受光する受光素子11と、観察光学系8の光路中に設けられ、該光路における光の通過/遮光を切替える光路開閉手段24と、観察光学系8の光路が遮光され、かつ第1光路に切替えられている状態において受光素子11で受光される信号を用いて、逐次表示のための繰り返し撮像の開始時に必要な露出演算を行う演算手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ファインダーを備え、モニタ表示を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファインダー光学系を介して被写体像を観察させるファインダー観察モードと、撮像素子で撮像されている画像信号に基づいて表示装置に再生表示するライブビューモードとを切替可能な撮像装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−41150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファインダー観察モードからライブビューモードへ切替える場合、できるだけ早くライブビュー画像の表示を開始させるのが好ましい。このため、ファインダー光学系側に配設されている測光素子によって取得されたライブビューモードへの切替え直前の測光情報に基づいて、ライブビューモードへの切替え直後の撮像素子の露出条件が決定される。この場合に接眼レンズからファインダー光学系へ外光が侵入すると、表示開始時のライブビュー画像の明るさが適正時より暗くなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による撮像装置は、被写体像を撮像し、画像データを出力する撮像素子と、撮像素子上に被写体像を結像させる撮像光学系と、被写体像を観察するための観察光学系と、撮像光学系を通過した被写体光を観察光学系へ導く第1光路および被写体光を撮像素子へ導く第2光路を切替える光路切替手段と、第2光路に切替えられた状態で撮像素子が繰り返し撮像して出力する画像データに基づく再生画像を表示装置に逐次表示させる表示制御手段と、第1光路を通過する光を受光する受光素子と、観察光学系の光路中に設けられ、該光路における光の通過/遮光を切替える光路開閉手段と、観察光学系の光路が遮光され、かつ第1光路に切替えられている状態において受光素子で受光される信号を用いて、逐次表示のための繰り返し撮像の開始時に必要な露出演算を行う演算手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による撮像装置では、表示開始時のライブビュー画像の明るさを適切に制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1〜図3は、本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラシステムの構成を説明する図である。図1において、カメラ本体1のレンズマウント(不図示)に対し、着脱可能に構成される撮影レンズの鏡筒2が装着されている。
【0008】
被写体からの光Lは、鏡筒2のレンズ光学系LSおよび絞り3を介してカメラ本体1へ入射される。カメラ本体1に入射した被写体光Lは、レリーズ操作前はクイックリターンミラー(以下メインミラーと呼ぶ)4によって上方のファインダー部へ導かれてフォーカシングスクリーン5に結像する。また、カメラ本体1に入射した被写体光Lの一部はサブミラー15で下方へ反射され、焦点検出用センサ16へ導かれる。焦点検出用センサ16による検出信号は、後述するAF制御部110(図4)によって焦点検出演算に用いられる。
【0009】
レンズ駆動装置17は、モータ、連結ギヤおよびカップリングなどで構成され、焦点調節時にレンズ光学系LSに含まれるフォーカスレンズを合焦位置へ移動させるための駆動力を発生し、鏡筒2側へ伝達する。合焦位置へフォーカスレンズを移動させる場合の移動方向および移動量は、AF制御部110(図4)が行う焦点検出演算に基づいて決定される。
【0010】
フォーカシングスクリーン5に結像した被写体光Lはさらに、PN液晶6を介してペンタプリズム7へ入射される。PN液晶6はポリマーネットワーク液晶によって構成され、通電されると光を透過し、非通電にされると光を拡散する。カメラ本体1は、上記焦点検出を行う領域(フォーカスポイントと呼ぶ)を示す表示をPN液晶6によって行う。PN液晶6による表示内容は、ファインダー部による光学的な観察像に重ねて、接眼窓26から接眼レンズ群8を通して観察される。
【0011】
アイピースシャッター24は、開放時(図1)に被写体光を通過させて観察像を観察可能にする。一方、閉鎖時(図2、図3)は接眼窓26から接眼レンズ群8側へ侵入する外光を遮断する。なお、アイピースシャッター24の閉鎖時は被写体光も遮光されるので、ファインダー部による観察像を観察することができない。
【0012】
不図示のアイピースシャッター駆動機構は、後述するMPU106(図4)からの閉鎖指示に応じてアイピースシャッター24を閉駆動する。また、MPU106(図4)からの開放指示に応じてアイピースシャッター24を開駆動する。アイセンサ25は、接眼窓26へ物体(カメラ使用者の顔)が近接しているか否かを検出するためのセンサであり、物体の検出状況は、MPU106(図4)へ出力される。本実施の形態においては、使用者が接眼窓26を覗いているか否かの判定に用いている。アイセンサ25は、物体の近接を検出可能であればどのようなものでもよい。本実施の形態においては、アイセンサ25は、投光素子と、該投光素子が投光した光が近接した物体に反射した反射光を受光する受光素子とからなり、投光素子からの光の反射光の受光量が所定値以上の場合は、使用者が接眼窓26を覗いていると判定する。
【0013】
ペンタプリズム7は入射された被写体光Lを接眼レンズ群8へ導く一方、その一部をプリズム9へも導く。プリズム9へ入射された光は、結像レンズ10を介して測光用センサ11へ入射される。測光用センサ11は、ファインダー部による観察像と略等しい範囲の被写体像を撮像する。測光用センサ11は、被写体像の明るさに応じた光電変換信号を出力する。
【0014】
レリーズ操作後はメインミラー4が上方へ回動し(ミラーアップ)、被写体光Lはシャッター18を介して撮像素子20へ導かれ、その撮像面上に被写体像を結像する。撮像素子20は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCCDイメージセンサなどによって構成される。撮像素子20は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた光電変換信号を出力する。
【0015】
ファインダー内液晶13は、撮影に関する露出制御値などの情報を表示する。プリズム12がファインダー内液晶13の前(図1〜図3において左方)に配設されることにより、ファインダー内液晶13による表示内容が、接眼レンズ群8を通してファインダー部による光学像と別に観察される。ファインダー内バックライト14は、ファインダー内液晶13を照明する。
【0016】
デジタル基板22には、図4に示すMPU106、タイミング回路101、A/D変換回路102およびASIC103などの回路が実装される。液晶表示部23はカメラ本体1の背面側(図1〜図3において右側)に配設される。液晶表示部23は、撮影画像や操作メニュー画面などを表示する。
【0017】
図4は、上述した一眼レフ電子カメラシステムの回路構成を例示するブロック図である。カメラ本体1には、タイミング回路(TG)101と、A/D変換回路102と、撮像素子20と、ASIC103と、RAM104と、液晶表示部23と、MPU106と、シャッター駆動機構107と、ミラー駆動機構108と、操作部材109と、AF制御部110と、AE制御部111とが設けられ、着脱可能な記録媒体105が実装されている。
【0018】
<カメラ本体>
タイミング回路(TG)101は所定のタイミング信号を発生し、A/D変換回路102、ASIC103および撮像素子20のそれぞれにタイミング信号を供給する。A/D変換回路102は、撮像素子20からの光電変換信号(アナログ画像信号)をディジタル信号に変換する。ASIC103は、ディジタル変換後の画像信号に所定の画像処理を施し、さらに必要に応じて圧縮処理を施す。
【0019】
RAM104は、ASIC103による処理時に画像データを一時保存する作業用メモリである。記録媒体105は、ASIC103による処理後の画像データを画像ファイルとして保存する不揮発性メモリなどで構成される。液晶表示部23は、ASIC103による処理後の画像データによる再生画像を表示する。
【0020】
MPU106はマイクロプロセッサであり、各ブロックから出力される信号を入力して所定の演算を行い、演算結果に基づく制御信号を各ブロックへ出力する。MPU106およびASIC103は、シリアル通信にてお互いの制御信号を送受する。
【0021】
シャッター駆動機構107は、MPU106から送出される指示に応じてフォーカルプレーンシャッター18(図1〜図3)のチャージおよび駆動制御を行う。ミラー駆動機構108は、MPU106から送出される指示に応じて、メインミラー4のミラーアップ駆動、およびミラーダウン駆動を制御する。
【0022】
操作部材109は、各種設定および選択操作に応じた設定・切換え信号をMPU106へ出力する。操作部材109には、露出演算モード(Pモード、Sモード、Aモード、Mモード)を設定するための露出モード設定ダイヤル、撮像感度(ISO感度)を設定するための感度設定ダイヤル、ライブビュースイッチ、AFスイッチ、半押しスイッチおよび全押しスイッチなどが含まれる。
【0023】
Pモードは、所定のプログラム線図にしたがってシャッター速度および絞り値を自動制御するモードである。Sモードは、設定されているシャッター速度に応じて絞り値を自動制御するモードである。Aモードは、設定されている絞り値に応じてシャッター速度を自動制御するモードである。Mモードは、設定されているシャッター速度および絞り値を用いて適正露出との偏差を演算するマニュアルモードである。
【0024】
ライブビュースイッチは、後述するライブビュー表示動作を手動で開始/終了させるためのスイッチである。なお、アイセンサ25の出力信号変化に基づいてライブビュー表示動作を自動で開始/終了させることも可能に構成されている。AFスイッチは、自動焦点調節(AF)動作を開始させるためのスイッチである。
【0025】
半押しスイッチおよび全押しスイッチは、レリーズボタン(不図示)の押下操作に連動して、それぞれがオン信号をMPU106へ出力する。半押しスイッチからの半押しオン信号は、レリーズボタンが通常ストロークの半分程度まで押し下げ操作されると出力され、半ストロークの押し下げ操作解除で出力が解除される。全押しスイッチからの全押しオン信号は、レリーズボタンが通常ストロークまで押し下げ操作されると出力され、通常ストロークの押し下げ操作が解除されると出力が解除される。
【0026】
AF制御部110は焦点検出用センサ16(図1〜図3)を含む。AF制御部110は、焦点検出用センサ16による検出信号を用いて公知の位相差方式の焦点検出演算を行う。この演算によって鏡筒2による焦点調節状態(デフォーカス量)を求め、デフォーカス量に応じてレンズ光学系LSを構成するフォーカスレンズ(不図示)の移動量を算出する。フォーカスレンズの移動量を示す信号は、MPU106を介して鏡筒2側へ送信される。
【0027】
AE制御部111は測光用センサ11(図1〜図3)を含む。AE制御部111は、測光用センサ11による検出信号を用いて被写体輝度を算出する。AE制御部111はさらに、上記感度設定ダイヤルで設定されている撮像感度、MPU106で取得されるレンズ情報、および算出した被写体輝度を用いて、上記露出モード設定ダイヤルで設定されている露出演算モードによる演算を行い、絞り値AVおよびシャッター速度TVを決定する。
【0028】
MPU106は、カメラ本体1に装着されている鏡筒2側のレンズCPU501との間で通信を行う。カメラ本体1および鏡筒2間の通信により、絞り値やレンズデータなどのレンズ情報が鏡筒2からカメラ本体1へ送信される一方、上記フォーカスレンズの移動量や駆動指示などのレンズ制御情報がカメラ本体1から鏡筒2側へ送信される。
【0029】
<鏡筒>
鏡筒2には、レンズCPU501と、フォーカス駆動機構502と、絞り駆動機構503とが設けられている。レンズCPU501は、カメラ本体1側のMPU106との間で通信を行う。レンズCPU501は、絞り値やレンズデータなどのレンズ情報をカメラ本体1側へ送信する一方、上記フォーカスレンズの移動量や駆動指示などのレンズ制御情報をカメラ本体1から取得する。
【0030】
フォーカス駆動機構502は、レンズCPU501から送出される指示に応じて、カメラ本体1側から伝達された駆動力でフォーカスレンズを所定方向へ所定量移動させる。絞り駆動機構503は、レンズCPU501から送出される指示に応じた絞り値にするように絞り3(図1〜図3)を所定段数駆動する。
【0031】
<ライブビュー>
ライブビュー表示は、撮影指示前に撮像素子20によって所定の時間間隔(たとえば30フレーム/毎秒)で繰り返し撮像される画像を液晶表示部23に逐次再生表示させるモニタ用画像の表示のことをいう。メインミラー4がアップ時(図3)は被写体光束がファインダ部へ導かれないため、撮影者は接眼レンズ群8を介して被写体像を確認できない。そこで、カメラ本体1の液晶表示部23にモニタ用画像を表示させ、被写体像を液晶表示部23で観察できるようにする。
【0032】
MPU106は、ライブビュー表示時にアイピースシャッター24を閉鎖させる。これにより、接眼窓26からカメラ本体1内へ侵入した逆入光が測光用センサ11へ回り込んだり、撮像素子20の撮像面へ回り込んだりすることに起因する悪影響を防ぐ。
【0033】
MPU106はさらに、ライブビュー表示時に通常撮影用(ファインダー観察用)の駆動信号からライブビュー用の駆動信号への切替えをASIC103へ指示する。すると、タイミング回路(TG)101がライブビュー用の駆動信号を撮像素子20、A/D変換回路102およびASIC103へ供給する。RAM104は、ASIC103が画像処理する前、画像処理した後、および画像処理途中の画像データを一時的に格納するように制御される。これにより、前フレームの撮像画像のデータに対する処理の終了を待たずに次フレームの撮像が可能にされる。処理が終了したフレームの画像から順に表示データが生成され、液晶表示部23に逐次表示される(ライブビュー表示)。
【0034】
<ライブビュー時のAE(自動露出)演算>
メインミラー4がアップ時は被写体光Lが測光用センサ11(図3)へ導かれないため、測光用センサ11を用いた露出演算を行うことができない。そこで、ライブビュー表示時に撮像素子20で取得される画像信号に基づいて露出演算を行う。MPU106は、たとえば、画像を所定数(たとえば縦6×横8=48)の領域に分割し、各分割領域に含まれる信号値の平均値を算出する。MPU106は、算出した平均値が所定の判定閾値を超える領域を上記所定数の領域から抽出し、抽出領域における平均値をさらに平均して得た値を被写体輝度情報とする。
【0035】
MPU106は被写体輝度情報をAE制御部111へ送る。AE制御部111は、設定されている撮像感度、MPU106で取得されるレンズ情報、およびMPU106から取得した被写体輝度を用いて露出演算を行い、絞り値AVおよびシャッター速度TVを決定する。
【0036】
本実施形態は、上記一眼レフカメラシステムにおけるライブビューモードへの切替/解除時の動作に特徴を有するので、以下、このための制御を中心に説明する。
【0037】
<自動切替え>
本実施形態のカメラ本体1は、アイセンサ25からの出力信号の変化に基づいてライブビューモードへの切替(ライブビュー表示の開始)/解除(ライブビュー表示の終了)を自動的に行う自動切替えモードを備える。アイセンサ25による検出信号は、撮影者の眼(顔)が接眼窓26に近接した場合に減少して所定値未満になり、撮影者の眼(顔)が接眼窓26から離れた場合に増加して所定値以上になる。
【0038】
自動切替えモードでは、撮影者の眼(顔)が接眼窓26に近接している場合にライブビューモードを解除(すなわち、ファインダー観察モードへの切替え)し、撮影者の眼(顔)が接眼窓26から離れた場合にライブビューモードへの切替えを行う。
【0039】
図5は、MPU106が自動切替えモード時に実行する処理の流れを説明するフローチャートである。MPU106は、操作メニュー設定において「自動切替えモード」がオン設定された場合に、図5による処理を行うプログラムを起動する。
【0040】
図5のステップS10において、MPU106は、アイセンサ25からの出力信号の変化に基づいて「顔なし」か否かを判定する。MPU106は、アイセンサ25の出力信号が所定値以上の場合にステップS10を肯定判定してステップS20へ進む。MPU106は、アイセンサ25の出力信号が所定値未満の場合にステップS10を否定判定してステップS170へ進む。
【0041】
ステップS20において、MPU106はアイピースシャッター駆動機構(不図示)へ指示を送り、アイピースシャッター24を閉駆動させてステップS30へ進む。ステップS30において、MPU106はAE制御部111へ指示を送り、測光用センサ11による検出信号を用いて測光を行わせる。AE制御部111は、前記検出信号に基づいて算出した被写体輝度、およびMPU106で取得されるレンズ情報を用いて所定の演算を行い、ライブビュー開始時に必要な撮像素子20の露光条件(ライブビュー画像用の蓄積時間、撮像感度など)を決定する。
【0042】
ステップS40において、MPU106はミラー駆動機構108へ指示を送り、メインミラー4のアップ駆動を開始させてステップS50へ進む。ステップS50において、MPU106は上述したライブビュー表示を開始させてステップS60へ進む。ステップS60において、MPU106は、ライブビュー表示時に取得される画像信号に基づいて測光を行う。MPU106は、前記画像信号に基づいて上記ライブビュー時のAE(自動露出)演算を行うことによって被写体輝度情報を算出し、ステップS70へ進む。
【0043】
ステップS70において、MPU106はAE制御部111へ被写体輝度情報および該被写体輝度情報を用いて露出演算するように指示を送り、絞り値AVおよびシャッター速度TVを決定させてステップS80へ進む。
【0044】
ステップS80において、MPU106は、レリーズスイッチがON操作されたか否かを判定する。MPU106は、操作部材109を構成する全押しスイッチから全押しオン信号が入力された場合にステップS80を肯定判定してステップS90へ進む。MPU106は、全押しスイッチから全押しオン信号が入力されない場合には、ステップS80を否定判定してステップS100へ進む。
【0045】
ステップS90において、MPU106は撮影処理を行ってステップS100へ進む。撮影処理の詳細については後述する。ステップS100において、MPU106は、アイセンサ25からの出力信号の変化に基づいて「顔なし」か否かを判定する。MPU106は、アイセンサ25の出力信号が所定値以上の場合にステップS100を肯定判定してステップS110へ進む。MPU106は、アイセンサ25の出力信号が所定値未満の場合にはステップS100を否定判定し、ステップS150へ進む。
【0046】
ステップS110において、MPU106は終了操作されたか否かを判定する。MPU106は、操作メニュー設定において「自動切替えモード」がオフ設定された場合にステップS110を肯定判定してステップS120へ進む。MPU106は、「自動切替えモード」がオフ設定されない場合にはステップS110を否定判定してステップS60へ戻る。ステップS60へ戻る場合はライブビュー表示を継続する。
【0047】
ステップS120において、MPU106はライブビュー表示を終了させてステップS130へ進む。ステップS130において、MPU106はアイピースシャッター駆動機構(不図示)へ指示を送り、アイピースシャッター24を開駆動させてステップS140へ進む。ステップS140において、MPU106はミラー駆動機構108へ指示を送り、メインミラー4のダウン駆動を開始させて図5による処理を終了する。
【0048】
ステップS100を否定判定して進むステップS150において、MPU106はライブビュー表示を終了させてステップS160へ進む。ステップS160において、MPU106はアイピースシャッター駆動機構(不図示)へ指示を送り、アイピースシャッター24を開駆動させてステップS170へ進む。ステップS170において、MPU106はミラー駆動機構108へ指示を送り、メインミラー4のダウン駆動を開始させてステップS180へ進む。
【0049】
ステップS180において、MPU106はAE制御部111へ指示を送り、測光用センサ11による検出信号を用いて測光を行わせてステップS190へ進む。AE制御部111は、前記検出信号に基づいてAE(自動露出)演算を行うことにより、被写体輝度情報を算出する。
【0050】
ステップS190において、MPU106はAE制御部111へ指示を送り、絞り値AVおよびシャッター速度TVを決定させてステップS200へ進む。
【0051】
ステップS200において、MPU106は、レリーズスイッチがON操作されたか否かを判定する。MPU106は、操作部材109を構成する全押しスイッチから全押しオン信号が入力された場合にステップS200を肯定判定してステップS210へ進む。MPU106は、全押しスイッチから全押しオン信号が入力されない場合には、ステップS200を否定判定してステップS10へ戻る。
【0052】
ステップS210において、MPU106は撮影処理を行ってステップS220へ進む。撮影処理の詳細については後述する。ステップS220において、MPU106は終了操作されたか否かを判定する。MPU106は、操作メニュー設定において「自動切替えモード」がオフ設定された場合にステップS220を肯定判定して図5による処理を終了する。MPU106は、「自動切替えモード」がオフ設定されない場合にはステップS220を否定判定してステップS10へ戻る。
【0053】
<ライブビューモードでの撮影処理>
ライブビューモードにおける撮影処理の流れについて、図6に例示するフローチャートを参照して説明する。図6のステップS91において、MPU106は、撮像素子20を初期化(電荷排出など)させてステップS92へ進む。ステップS92において、MPU106は撮像素子20に撮影用の電荷蓄積および蓄積電荷の掃き出しをさせてステップS93へ進む。
【0054】
ステップS93において、MPU106はASIC103へ指示を送り、撮像画像に対して所定の画像処理を行わせてステップS94へ進む。
【0055】
ステップS94において、MPU106はASIC103へ指示を送り、画像ファイルを記録媒体105に記録させて図6による処理を終了する。
【0056】
<ファインダー観察モードでの撮影処理>
ファインダー観察モードにおける撮影処理の流れについて、図7に例示するフローチャートを参照して説明する。図7のステップS211において、MPU106はミラー駆動機構108へ指示を送り、メインミラー4のアップ駆動を開始させてステップS212へ進む。
【0057】
ステップS212において、MPU106は、撮像素子20を初期化(電荷排出など)させてステップS213へ進む。ステップS213において、MPU106は撮像素子20に撮影用の電荷蓄積および蓄積電荷の掃き出しをさせてステップS214へ進む。
【0058】
ステップS214において、MPU106はミラー駆動機構108へ指示を送り、メインミラー4のダウン駆動を開始させてステップS215へ進む。ステップS215において、MPU106はASIC103へ指示を送り、撮像画像に対して所定の画像処理を行わせてステップS216へ進む。
【0059】
ステップS216において、MPU106はASIC103へ指示を送り、画像ファイルを記録媒体105に記録させて図7による処理を終了する。
【0060】
<手動切替え>
操作メニュー設定において「自動切替えモード」がオフ設定された場合のMPU106は、操作部材109を構成するライブビュースイッチ(不図示)から操作信号が入力された場合にライブビューモードへ切替える。MPU106は、ライブビュースイッチ(不図示)から再び操作信号が入力された場合にはライブビューモードを解除(すなわち、ファインダー観察モードへの切替え)する。
【0061】
図8は、MPU106が手動切替え時に実行する処理の流れを説明するフローチャートである。MPU106は、操作メニュー設定において「自動切替えモード」がオフ設定された場合に図8による処理を行うプログラムを起動する。
【0062】
図8による処理と図5による処理とは、ステップS10BおよびステップS100Bの処理において相違するので、これら相違点を中心に説明する。
【0063】
ステップS10Bにおいて、MPU106はライブビュースイッチがオンされているか否かを判定する。MPU106は、操作部材109を構成するライブビュースイッチ(不図示)からオン操作信号が入力された場合にステップS10Bを肯定判定してステップS20へ進む。MPU106は、操作部材109を構成するライブビュースイッチ(不図示)からオン操作信号が入力されていない場合にはステップS10Bを否定判定し、ステップS180へ進む。
【0064】
ステップS100Bにおいて、MPU106はライブビュースイッチがオンされているか否かを判定する。MPU106は、操作部材109を構成するライブビュースイッチ(不図示)からオン操作信号が入力されている場合にステップS100Bを肯定判定してステップS110へ進む。MPU106は、操作部材109を構成するライブビュースイッチ(不図示)からオン操作信号が入力されていない場合にはステップS100Bを否定判定し、ステップS150へ進む。
【0065】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子カメラシステムは、被写体光Lをファインダー部へ導く第1光路(メインミラー4を反射して図1の上方へ進む光路)、および被写体光Lを撮像素子20へ導く第2光路(図3の右方へ進む光路)を切替えるメインミラー4を備え、メインミラー4によって第2光路に切替えられた状態でモニタ用画像を液晶表示部23にライブビュー表示させる。この場合に、ファインダー部の光路中に設けたアイピースシャッター24でファインダー部の光路を遮光し、かつ第1光路に切替えている状態において、第1光路を通過する光を受光する測光用センサ11で受光される信号を用いてライブビュー表示用の繰り返し撮像の開始時に必要な露出演算を行うようにした。これにより、接眼窓26からの逆入光がファインダー部の測光用センサ11へ回り込むことに起因する露出演算への悪影響を防止できる。つまり、ライブビュー表示開始時の画像の明るさが適正時に比べて暗くなることを防止できる。
【0066】
(2)第1光路を通過する光を受光する測光用センサ11を用いて取得したライブビューモードへの切替え直前の測光情報に基づいて、ライブビューモードへの切替え直後の撮像素子20の露出条件を決定するようにした。これにより、液晶表示部23へ表示させずに、被写体輝度情報を得る目的で撮像素子20に予備的な撮像をさせる場合に比べて早くライブビュー画像の表示を開始させることができる。
【0067】
(3)アイピースシャッター24がファインダー部の光路を遮光してから第2光路へ切り替えるようにアイピースシャッター24およびメインミラー4をそれぞれ駆動制御するようにしたので、第1光路に切替えられているうちに接眼窓26からの逆入光を確実に阻止できる。
【0068】
(4)ファインダー部の光路を遮光した後であって、第2光路へ切替える前の測光用センサ11による受光信号を用いて露出演算を行うようにしたので、上記逆入光を排除した受光信号を用いて露出演算できるから、ライブビュー表示開始時のライブビュー画像を適切な明るさにできる。
【0069】
(変形例1)
上述した実施形態では、測光用センサ11による検出信号を用いて測光を行わせ(ステップS30)、該測光結果に基づく被写体輝度およびレンズ情報を用いた演算によってライブビュー開始時に必要な撮像素子20の露光条件(ライブビュー画像用の蓄積時間、撮像感度など)を決定するようにした。決定した露光条件は、ライブビュー表示の少なくとも1回目の撮像に用いる。なお、1回目の撮像に限らず、2回の撮像に対して用いるようにしても構わない。ステップS50においてライブビュー表示を開始した後は、撮像素子20からの撮像信号を用いた測光を行い(ステップS60)、この測光結果に基づく被写体輝度情報を用いた演算によって以降のライブビュー表示に必要な撮像素子20の露光条件(ライブビュー画像用の蓄積時間、撮像感度など)を決定する。
【0070】
(変形例2)
アイピースシャッター24を閉鎖する指示を送って所定時間が経過してから、第1光路を第2光路へ切り替えるようにメインミラー4を駆動制御してもよい。この場合の所定時間は、アイピースシャッター24の閉鎖に要する時間に対応させる。変形例2の場合にも、第1光路に切替えられているうちに接眼窓26からの逆入光を確実に阻止できる。
【0071】
変形例2によれば、上記所定時間が経過した後であって、第2光路へ切替える前の測光用センサ11による受光信号を用いて露出演算を行うので、上記逆入光を排除した受光信号を用いて露出演算できる。この結果、ライブビュー表示開始時のライブビュー画像を適切な明るさにできる。
【0072】
(変形例3)
アイピースシャッター24がファインダー部の光路を遮光後に測光用センサ11による受光信号が減少してから、第1光路を第2光路へ切り替えるようにメインミラー4を駆動制御してもよい。測光用センサ11の受光光に逆入光が含まれている場合にはアイピースシャッター24が閉鎖すると測光用センサ11による受光信号が減少する。受光信号の減少を待ってから第2光路へ切替え制御することで、第1光路に切替えられているうちに接眼窓26からの逆入光を確実に阻止できる。
【0073】
変形例3によれば、測光用センサ11による受光信号が減少した後であって、第2光路へ切替える前の測光用センサ11による受光信号を用いて露出演算を行うので、ライブビュー表示開始時のライブビュー画像を適切な明るさにできる。
【0074】
(変形例4)
以上の説明では、ファインダー部の光路における光の通過/遮光をアイピースシャッター24によって切替えるようにした。遮光時に接眼窓26からの逆入光を阻止するものであれば、アイピースシャッター24の代わりに液晶素子(たとえばPN液晶)や、電圧の印加により可逆的に透過率を変動させることができる調光ミラー等によって構成しても構わない。なお、本発明においては測光用センサ11に入射される逆入光レベルが悪影響を及ぼさないレベルまで抑制されていればよい。したがって、完全遮光でなくても逆入光を所定光量以下に減衰させる減光部材によって構成してもよい。
【0075】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラシステムの構成を説明する図である。
【図2】本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラシステムの構成を説明する図である。
【図3】本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラシステムの構成を説明する図である。
【図4】一眼レフ電子カメラシステムの回路構成を例示するブロック図である。
【図5】MPUが自動切替えモード時に実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】撮影処理の流れについて説明するフローチャートである。
【図7】撮影処理の流れについて説明するフローチャートである。
【図8】MPUが手動切替え時に実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1…カメラ本体
2…鏡筒
8…接眼レンズ群
11…測光用センサ
20…撮像素子
23…液晶表示部
26…接眼窓
106…MPU
108…ミラー駆動機構
109…操作部材
111…AE制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像し、画像データを出力する撮像素子と、
前記撮像素子上に被写体像を結像させる撮像光学系と、
被写体像を観察するための観察光学系と、
前記撮像光学系を通過した被写体光を前記観察光学系へ導く第1光路および前記被写体光を前記撮像素子へ導く第2光路を切替える光路切替手段と、
前記第2光路に切替えられた状態で前記撮像素子が繰り返し撮像して出力する画像データに基づく再生画像を表示装置に逐次表示させる表示制御手段と、
前記第1光路を通過する光を受光する受光素子と、
前記観察光学系の光路中に設けられ、該光路における光の通過/遮光を切替える光路開閉手段と、
前記観察光学系の光路が遮光され、かつ前記第1光路に切替えられている状態において前記受光素子で受光される信号を用いて、前記逐次表示のための繰り返し撮像の開始時に必要な露出演算を行う演算手段とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記演算手段は、前記繰り返し撮像の少なくとも1回目に対する露出演算を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記光路開閉手段に前記観察光学系の光路を遮光させてから前記第2光路へ切り替えるように前記光路開閉手段および前記光路切替手段をそれぞれ制御する制御手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記演算手段は、前記遮光後で前記第2光路へ切替え前の受光信号を用いて前記露出演算を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記光路開閉手段へ前記観察光学系の光路を遮光する指示を送ってから所定時間経過後に前記第2光路へ切り替えるように前記光路開閉手段および前記光路切替手段をそれぞれ制御する制御手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記演算手段は、前記所定時間経過後で前記第2光路へ切替え前の受光信号を用いて前記露出演算を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記光路開閉手段へ前記観察光学系の光路を遮光する指示を送った後に前記受光素子で受光される信号が減少後に前記第2光路へ切り替えるように前記光路開閉手段および前記光路切替手段をそれぞれ制御する制御手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記演算手段は、前記減少後で前記第2光路へ切替え前の受光信号を用いて前記露出演算を行うことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−74743(P2010−74743A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242721(P2008−242721)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】