説明

改善したパワー特性を有するバッテリセル及びその製造方法

アノードとカソードの間の増大した表面積を生じさせる新規なセル構造を実現することによって、多くのエネルギー含有量を有しながら、高い放電率で、容量効率を優れて改善させた筒形又はプリズム形のアルカリ電池などのバッテリセルと、代表的な筒形又はプリズム形のアルカリ電池について他の優れた利点とを開示する。本発明のセル構造の1つの特有な特徴は、内部表面を有する内部領域と、第1の端子と、第2の端子とを規定するセルハウジングを備える電気化学系バッテリセルを備えていることである。セルは、セパレータによって内包され、ハウジングの内部領域内に設けられた内側電極を更に備える。内側電極は、折り曲げ構造内に略平坦な材料を備え、内側電極の外部領域がセルハウジングの内部表面によって規定される形状にほぼ倣うように形成される。内側電極は、ハウジングの第2の端子との電気的伝達部である。外側電極は、内側電極とのイオン伝達のために、及び、セルハウジングの第1の端子との電気的伝達部であるように、ハウジングの内部領域内に設けられる。他の実施例及び製造方法を含め、本発明の他の態様も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電気化学系のバッテリセルに関する。特に、アルカリ電池などの電極部間の境界表面積の増大による改善したパワー及びエネルギー供給能力を有する電気化学系のバッテリセルに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化マンガンカソードと亜鉛アノードに基づくアルカリ電池は、消費者向け携帯用電子機器に広く使用されている。AAA、AA、C及びDサイズなどの標準的な筒形構造において、1次アルカリ電池には大きな市場がある。これらの製品は、多数の利点を有している。亜鉛と二酸化マンガンは、安価であり、安全で環境面にも優しく、システムは良好なエネルギー密度を供給する。消費者のために、これらの標準的なアルカリ電池製品は、長い間、多くの電子製品に簡便な普遍的利用をもたらしている。
【0003】
しかしながら、近年、携帯情報端末、MP3レコーダー及びプレーヤー、DVDプレーヤー、デジタルカメラ、又は同様な機器を含む新たな携帯用電子機器が増大している。また、携帯用電子機器には、オンボード・バッテリサイズを制限するように、より小さく、より軽くする傾向がある。例えばトランジスタ・ラジオなどの従来の機器と比べて、これらの新たな装置の多くの電力消費量として、連続的又はパルス的な電流がより大きく要求されうる。 従来の、即ち、プレミアム・アルカリ電池の構造は、より高い消費率(drain rate)では、アルカリ電池の蓄積エネルギーを効率的に供給することができない。
【0004】
図1 (区分A)は、様々な消費者向け電子機器の負荷(アメリカ国際標準規格の試験基準ANSI C18.1M, パート1-2001 (American National Standards Institute, Reference ANSI C18.1M, Part1-2001)に基づいている)について、シミュレートすることを意図する5つの放電条件の下で、プレミアム商業的アルカリ性のAA型セルによって供給できる供給容量を示す。低い消費率(drain rate)(43オームに対する比率で放電)では、アルカリ性のAA型”ボビン”セルは、その理論上の容量(約3 アンペア時(Ah)) のほぼ全てを供給させる。中間負荷(250mAに対する比率で電子ゲーム機の放電、3.9オームに対する比率で動力型おもちゃの放電)では理論上の約2/3を、適度に高い高消費率(drain rate)(パルス電流1Aに対する比率でフォト・フラッシュ放電、連続電流1Aに対する比率で放電)では理論上の容量の1/4〜1/2だけの容量分を供給させることができる。
【0005】
高放電率でのこれらの非効率性は、従来のアルカリ性のボビンセル構造の内部抵抗と電気化学系の制限に関連している。電極の内部パッキングとイオン伝導率を最適化することによって、従来のアルカリ性のボビンセルに関するエネルギー含有量を改良するために多くの努力がなされたが、基本的なデザイン自体はほとんど変更されていない。
【0006】
図2に示すように、代表的なアルカリ性の二酸化マンガン‐亜鉛型のボビンセル10は、次の主部品を備える。ボビンセル10は、スチール缶の内部に導電コーティングで任意にコーティングされ、筒形の内部領域を規定するスチール缶12と、缶の内部に複数の空洞的な筒形ペレット16によって構成された二酸化マンガンカソード14と、アノードゲルで形成され、カソード14の空洞的な内側部に構成された亜鉛アノード18と、カソード14とアノード18を分離する筒形のセパレータ20とを備える。アノードとカソードの間のイオン伝達は、所定量でセルに加えられた水酸化カリウム(KOH)電解質によって生じる。
【0007】
缶12は、缶底で閉じられており、正側端子として機能する中央円形部22を備える。薄い金属シートによって構成された負側キャップ24と、負側キャップ24に設けられ、アノードと電気的な接続を生じるようにアノードゲルへと深く埋設する電流コレクタ爪部26と、缶12から負側キャップ24を電気的に絶縁し、それぞれのカソード及びアノード構造の上に形成されるガス領域を分離させるプラスチック頂部28とを備えるセル密閉型アセンブリによって、缶12の上端部を密封することができる。セパレータ20の材料には、ラミネート又は合成材料、或いはそれらの組み合わせを含むことができる。通常、セパレータの材料は、電解質によって浸透可能な吸収性繊維質のシート材料を含んでおり、絶縁材料は、小粒子に対して不浸透性であるが、イオン浸透性を有している。
【0008】
ボビンセル構造は、高速、且つ、安価な製造を可能とする簡単な構造であるが、従来のボビンセルにおいてアノードとカソードとの間の表面積は、アノードとカソードとの間の筒形セパレータの幾何学的形態の表面積に制限される。従って、ボビンセルに対して、真直ぐに挿入された筒形セパレータによって構成されたカソード−アノード間の境界表面積(Si)は、缶の筒形の壁によって構成された外部表面積(Se)の部分が、 [(Si)/(Se)<1] となることを余儀なくされる。
【0009】
バッテリの分野では、電気化学系のセルの電極の表面積−電極間の表面積−が、重要な構造要素となることは知られている。その表面積は、アノードとカソードとの間のイオンの大量流動(電子移動又は化学反応より、通常遅い)が、比率制限、即ち、電流制限させる性質があるためである。アノード及びカソードとの間のイオン伝導性と表面積だけが重要ではなく、電極内側の微細孔性及び表面積も重要となる。
【0010】
筒形セル内に、より大きな電極と境界領域を構成させることもできる。ボビンセルの代わりに最も広く用いられる筒形セル構造は、らせん形巻付け型構造又はゼリーロール形構造であり、バッテリのハンドブック[第3版、エディタ D.リンデン(D. Linden)及びT.B.レディ(T.B. Reddy)、セクション3.2.11、マグロウヒル(McGraw-Hill)、2002]に十分に記載されている。この構造では、アノードとカソードとの間のセパレータで、アノードとカソードの薄いストリップは、一緒にきつく巻き付けられる。電極は、1ミリメートルの数10分の1と同程度の薄さとすることができ、らせん形巻付けの筒形セルに関して、カソード-アノード間の境界表面積は、缶の筒形の壁によって構成される外部表面積の数倍とすることができる[(Si)/(Se)>>1]。カソード-アノード間の境界表面積をより大きくすると、付加的な複雑性と製造コストの犠牲を伴う。らせん形の巻付けは、“ボビン”構造のセルよりも低い生産性と高い資本設備コストで、アノード、カソード、及びセパレータの精密な位置決めが必要とされる。らせん形の巻付け構造は、通常、材料の経済的利点を損ないうるアルカリ性MnO2/Znセルには用いられないが、充電可能なニッケルカドミウム(NiCd)バッテリやニッケル金属水素化物(NiMH)バッテリを備えるプレミアム電気化学系システム、及び、リチウムイオン・二硫化物(LiFeS2)バッテリなどの非充電式システムに用いられる。
【0011】
らせん形巻付け構造の別のトレードオフとしては、セパレータ及び電流コレクタのより大きい量が要求されることであり、その存在量は、活性剤に利用できる量を取り上げてしまう。標準的なサイズの筒形セルは、固定の量を有するので、エネルギー含有量を最大化するために最大限の活性剤と電解質によって最も効率的となるように構成されている。ボビンセルにおいては、セパレータの低含有量と厚い電極に加え、筒形容器の壁部での接触による真鍮爪部のアノード電流コレクタとカソード電流コレクタ部には、十分な内部スペースを取ることができない。
【0012】
従って、ボビン構造をらせん形の巻付け構造に変えることは、内側電極の表面積とパワー容量を増大させるが、セルのエネルギー含有量をも低減させる。らせん形の巻付け構造は、20C程度の放電率に対して効率的にほとんどのエネルギーを供給させることができる(Cは、1時間当たりのアンペア時におけるセルの定格容量に相当する電流に対応する)。そのような高い比率の放電容量は、電動工具などの機器に特有なものとすることができるが、通常の消費者向け電子機器には必要でない。デジタルカメラなどの装置でさえ、通常、1/3〜1C程度で、より適度の放電率で動作する。
【0013】
多くの携帯用機器のために、より高価な、らせん形の巻付け型バッテリを構成させることもできる。しかしながら、広範囲の消費者向け製品の普遍的利用としての競争力ある様々な利点を維持するために、亜鉛アノード及び水酸化カリウム電解質を有するアルカリ性の二酸化マンガンセルにとっては、より高い消費率(drain rate)での、より良いラン時間が必要である。アルカリ電池に関する最近の特許文献の多くは、この問題を扱うことに向けられている。
【0014】
パワー容量を改良するために材料及び電極構造の方策に加えて、従来のボビンセルの変更によってアノード−カソード間の境界表面積を増大させるために、多くの方策があった。 例えば、アーリ(Urry)による米国特許第5,948,561号明細書には、V型折り曲げ管状セパレータ(V-folded tubular separator)を区分するため、カソード活性剤でコーティングした、2分割導電板の使用について説明されている。また、ルオ(Luo)他による米国特許第6,261,717号明細書及びトレガー(Treger)他による米国特許第6,514,637号明細書には、これらの場合にはカソードペレットに成形されたある複数のアノード空洞部を設けることについて説明されている。ゲッツ(Getz)による米国特許第6,326,102号明細書には、カソードペレットを内包したセパレータの内側及び外側の形状と接触する2つに分離した亜鉛アノード構造での、比較的に複雑なアセンブリについて説明されている。ジュルカ(Jurca)による米国特許第6,074,781号明細書とシェルキン(Shelekhin)他による米国特許第6,482,543号明細書には、カソードペレットの階段状内側又は内部表面形状について説明されている。シェルキン(Shelekhin)他による米国特許第6,482,543号明細書、リー(Lee)他による米国特許第6,472,099明細書、ルオ(Luo)他による米国特許第6,410,187号明細書には、枝状又は突出部のある電極構造について説明されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これらの構造による方策の全てが、表面積の有効な増大の可能性に限界を有し、従来のボビンセルの実用的なデザインが損なわれるという付加的な複雑性をもたらす。それらの幾つかは、より大きな表面積を達成できるが、セルバランス変更することを犠牲にして、エネルギー含有量を低減させる。複数の空洞部、即ち複数の電極構造は、より複雑な電流コレクタ部とエンド側密封部の必要性をもたらす。より複雑な幾何学的構造は、より複雑なツールの配置要求とアセンブリのための設備の必要性を生じさせうる。複雑な幾何学的構造は、特に高速生産においては、均一及び安定なセパレータの形成を困難にさせ、内部に形成する絶縁保護コーティングなどの型破りのアプローチが必要とされうる。
【0016】
例えば、枝状又は突出部構造は、突出部をより薄く形成させない場合、表面積を増大させる能力には限界があり、セパレータを形成すること、及び、ゲル化したアノードで均一性を満たすことは、より困難となる。突出部又は枝状が、それほど薄くなく、及びそれほど長くないのであれば、表面はそれほど大きくない程度の増大でしかなく、アノード及びカソードの構造の相対的な断面領域の変化のために、それほど効果のない範囲でのセルバランスの変更を可能とする。突出部構造においては、カソードペレットの位置決めとペレットの損傷が、製造を難しくさせている。
【0017】
代表的なボビン及びらせん形の巻付け電極構造に関連する前述の問題は、筒形セル構造に制限するものではない。また、より薄い製品形態とバッテリ装置のより効率的な利用は、薄いプリズム形(長方形の)セル構造と自由形式セル構造の利用に向かう傾向に追い立てている。また、ボビン及びらせん形に巻付けセル構造へのアナログは、例えばバッテリのハンドブック[第3版、エディタ D.リンデン(D. Linden)及びT.B.レディ(T.B. Reddy)、セクション3.2.11、マグロウヒル(McGraw-Hill)、2002]に記載あるセルなどでは、プリズム形セルのために存在している。プリズム形セルの最も簡単な構造では、対抗する一対のアノードとカソードの集合部では、挿入されたセパレータの境界を横切ってイオンを変換させる。例として、米国特許出願第2003/0157403号明細書(シェルキン(Shelekin)他による)には、アノード−カソード間の境界領域の全てが、セルの投影横断面積の面積以下である一対の対抗する電極集合部と共に、薄いプリズム形のIEC 7/5 F6サイズのアルカリ電池について説明されている。従って、そのような構造であれば、前述したパワー特性の問題は扱われない。
【0018】
プリズム形セル構造でパワーを増大させるためには、2つの代替構造例がある。セル容器で設ける前に内包されるフラット型マンドレル上に、電極片を巻付けすることによって、巻付けセル構造を適合させることができる。或いはまた、セル内で並列に接続された電極などで、アノード/カソードで積層された電極板に代えてアセンブリすることによって、プリズム形セル内の表面積を増大させることができる。しかしながら、これらの方法の双方は、簡単なボビンセルより複雑であって、生産するには高価である。
【0019】
プリズム形セルの場合において、構造について付加的に考慮すべきことは、内部圧力に関する。アルカリ電池製品は、使用上の全ての予期される状態と充電の全ての状態の下で、最大許容寸法内で維持されなければならない。これらの製品は、安全弁を取り入れるが、広範囲な通常の使用条件の下では、事実上、それらは制限される。従って、アルカリ電池容器の壁は、ガス発生によって、又は、セルの電気化学的な関連する膨張によって生じる如何なる内部圧力をも含むように、十分に構成されていなければならない。膨張に対する収容構造としては、低ガス化亜鉛製剤と自由な内部容積を有することであり、容器の機械的強度は、構造のバランスをとることに頼ることになる。
【0020】
筒形容器は、ラジアル方向の負担を抑えるために動作する、一様分布応力を有する有効的な圧力容器であり、筒形のアルカリ電池の壁圧は、0.008インチ程度に小さいものとできる。しかしながら、プリズム形構造は、内部圧力を調節するには有効でなく、長尺方向の壁長の中点で最大となるたわみ量により、不均一な湾曲が生じうる。容器の壁厚を増大させることは、容器の湾曲を妨げることができるが、実際の電極容積に有効な内部容積を低減させる。
【0021】
先行技術の多くの問題について説明したが、本発明では、先行技術における他の問題と同様に、特に、これらの問題を扱うことを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0022】
アノード及びカソードの間の増大した表面積を生じさせるセル構造を実現することにより、筒形、又は、プリズム形アルカリ電池などのバッテリセルは、多くのエネルギー含有量を維持しながら、高い放電率で改善した容量性としての利用と、代表的な筒形又はプリズム形のアルカリ電池の他の特徴的利点を十分に発揮する。以下に記載の事項及び実施例として本発明の本質によれば、本発明の1つの特有の特徴は、内部表面、第1の端子、及び第2の端子を有する内部領域を規定するセルハウジングを備える電子化化学系のバッテリセルと備えていることである。更に、セルは、セパレータによって内包され、ハウジングの内部領域内に設けられた内側電極を備える。内側電極は、折り曲げ構造であり、内側電極の外部領域がセルハウジングの内部表面によって規定される形状にほぼ倣うように構成される。内側電極は、ハウジングの第2の端子との電気的伝達部として設けられる。外側電極は、例えば、内側電極とのイオン伝達部として、及びセルハウジングの第1の端子での電気的伝達部として、ハウジングの内部領域内に設けられる。
【0023】
本発明の別の態様によれば、内側電極は、アコーディオン型折り曲げ構造又はW型構造である。ハウジングの内部表面は、第1の端子との電気的伝達のためであり、外側電極と第1の端子との間の電気的伝達は、ハウジングの外側電極と内部表面との間の接触によって確立されている。内側電極はアノードであり、外側電極はカソードである。そして、第1の端子は正極性であり、第2の端子は、負極性を有している。
【0024】
別の態様によれば、内側及び外側の電極は、電極間の表面積(Si)を規定するように互いに連接しており、更に、セルハウジングは、外部表面積(Se)を規定する外部表面を有している。バッテリセルのハウジングにおける外部表面積に対する電極間の表面積の比(Si/Se)は、約2〜約8の範囲にある。
【0025】
別の態様によれば、電気化学系バッテリセルは、内部領域、第1の端子、及び、第2の端子を規定するセルハウジングと、ハウジングの内部領域に設けられた電極アセンブリとを備える。電極アセンブリは、セパレータによって内包され、折り曲げ構造を有する内側電極と、内側電極の折り曲げ構造と連接する折り曲げ構造を有する外側電極とを備える。電極アセンブリは、電極アセンブリの外部領域がセルハウジングの内部表面によって規定される形状にほぼ倣うように構成される。内側電極は、ハウジングの第2の端子との電気的伝達部であり、外側電極はハウジングの第1の端子との電気的伝達部である。
【0026】
更に別の態様によれば、電気化学系バッテリセルは、内部領域を規定する筒形状のセルハウジングと、第1及び第2の端子とを備える。更にセルは、ハウジングの内部領域内に設けられた電極アセンブリを備える。電極アセンブリは、セパレータによって内包され、外側電極の間に設けられた1組の外側電極及び内側電極を備える。電極アセンブリは、各電極が互いに連接して組み合わさるような折り曲げ構造を有する。電極アセンブリは、電極アセンブリの外部領域が筒形状セルハウジングにほぼ倣うように構成される。内側電極は、ハウジングの第2の端子との電気的伝達部であり、外側電極はハウジングの第1の端子との電気的伝達部である。
【0027】
更に別の態様によれば、電気化学系バッテリセルは、内部領域と、第1の端子と、第2の端子とを規定するセルハウジングを備える。更に、セルは、内側電極の外部表面積より実質的に小さい断面積を有し、ハウジングの内部領域内に設けられる線形幾何学的構造を有する内側電極を備える。内側電極は、セパレータによって内包され、ハウジングの第2の端子との電気的な伝達部である。更に、セルは、ハウジングの内部領域内に内側電極を埋め込むように配置及び構成される外側電極部分材を備える。外側電極は、内側電極とのイオン伝達部であり、セルハウジングの第1の端子との電気的な伝達部である。
【0028】
更に別の態様によれば、電気化学系バッテリセルは、内部領域と、第1の端子と、第2の端子とを規定するセルハウジングを備える。更にセルは、ハウジングの内部領域内には設けられた電極アセンブリを備える。電極アセンブリは、セパレータによって内包された内側電極と、外側電極とを備える。それら電極は、互いに境界を構成させるように組み合わされ、電極アセンブリがセルハウジングの内部表面によって規定される形状にほぼ倣うように圧縮される。内側電極は、ハウジングの第2の端子との電気的伝達部であり、外側電極はハウジングの第1の端子との電気的伝達部である。
【0029】
また、本発明の本質によって、電気化学系バッテリセルを製造する方法を説明する。本発明の特有の態様によれば、電気化学系バッテリセルを製造する方法は、内部領域と、第1の端子と、第2の端子とを備えるバッテリセルハウジングを生成するステップと、ほぼ平坦な構造を有し、セパレータによって内包される内側電極を生成するステップと、ほぼ平坦な構造を有する外側電極を生成するステップと、内側電極に隣接して外側電極を設けるステップと、内側及び外側の電極を折り曲げ構造で折り曲げるステップと、電極の外部領域が、セルハウジングの内部領域によって規定される形状にほぼ倣うように内側電極を構成させるステップと、外側電極がセルハウジングの第1の端子と電気的伝達部となり、内側電極がセルハウジングの第2の端子と電気的伝達部となるように、ハウジングの内部領域内で電極を設けるステップとを有することにより構成される。
【0030】
また、本発明の本質による他の方法を説明する。
【0031】
前述した本発明の本質による電気化学系バッテリセルを製造する方法は、自動化した高速生産に容易に転換できる。前述の方法の1つ以上のステップは、従来のボビンセル製造において、同等な直行率を維持しながら、従来のボビンセル製造の製法と同様の製法となる他の方法と共に、ある単位の操作を置き換えるように構成させることができる。本発明のこれら及び他の態様は、後述する明細書、図面、及び特許請求の範囲の記載によって明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、図面に示すように、多くの異なった態様での実施例を可能とし、以下、本明細書による開示が、本発明の一例であるべきとする理解の上で、1つ以上の実施例を詳細に説明する。本発明は、これら特有の実施例に制限されない。
【0033】
本発明は、ボビン構造とらせん形巻付け構造との間の中間でバランスのとれたエネルギー及びパワー特性で、筒形セルなどのバッテリセルについて簡単で効果的な構造を提供するものであり、双方の構造の利点を有し、即ち、低コスト、より高いパワーを有する簡単な製造、及び、エネルギー効率として高い内部容積の利用率を有する。実施例では、これは重要なことであるが、より薄く、高いイオン伝導率、電極構造に関連して、アノード−カソード間の境界表面積のバランスのとれた増大を図ることによって達成される。また、本発明は、よりバランスのとれたアルカリ性の”変更型”ボビン構造を提供するものであり、より高い容量性が、好適なエネルギー蓄積特性が保有しながら、より高い消費率(drain rate)を可能とすることから、”変更型”ボビン構造について、AAA、AA、C、D、及び他のサイズを含む、様々なセルサイズに適用できる。
【0034】
本発明における、より高い容量性の利点の例を図1に示す。図1では、商業的に高い率で利用されるアルカリ性のボビンセルと比べたときに、本発明が、より高い消費率(drain rate)で有効となる増大した容量によるAAサイズ筒形セルを提供し、よりバランスのとれた利用態様を提供することを示している。図1の例では、動力おもちゃ(3.9ohm)に対する容量のように、適度の比率で少なくとも同等の放電容量に達するまでの間、1.5 Ah、即ち理論上の容量の約50%が、ANSIデジタルカメラテスト(図1のセクションAに示すように、通常の従来のボビンセルに対して対25%)において供給されている。従来のアルカリ性のボビンセルの理論上又は通常の低消費率(drain rate)容量に対して、まだ少なくとも70〜80%であるにも関わらず、極めて低い放電率で、明白な放電容量のうち、ある程度認識できる損失があるのみである。従って、C/10の放電率で理論上の容量の70%以上に達するまで、C/2〜C/3の放電率で、理論上の容量の約50%以上を得ることができる。
【0035】
図3は、本発明の本質によるセルに対して同一の放電条件の下で、電圧曲線で比較された従来のアルカリ電池の電圧曲線の比較図を示す。図3から分かるように、本発明の本質によるセルは、3.9オーム抵抗上で放電が連続する場合にほぼ同等の蓄積容量で、1アンペア放電から1.0Vカットオフまでについて、従来のアルカリ電池の約2倍の容量を供給する。
【0036】
パワー対エネルギーのバランスの良い比率を供給する本発明の能力を特徴付ける効果的な手法は、アセンブリされたセルのあるテストを実行することである。その特有のテストでは、全容量供給能力を評価するために、より低い放電率の後の高い放電率での実行を評価する一連の放電ステップの量を利用した。AAサイズセルのテストの詳細は、以下の通りである。(1) 1.0Vの電圧カットオフまで1.0Aの連続放電。(2) 30秒のオープン回路テスト。 (3) 0.8Vの電圧カットオフまで1.0Aの連続放電。(4) 30秒のオープン回路テスト。(5) 0.7Vの電圧カットオフまで3.9オームの連続放電。このテストは、本発明の譲受人により、DCC4STP2として識別されている。他のサイズのセルについて同様にテストできるが、セルサイズの容量を反映する増加又は減少する電流レベルと共に行ってもよい。
【0037】
本発明を利用するセル、及び、従来のボビン型アルカリ電池において、この種類のテストを実行することによって、性能における明らかな違いを確立することができる。1.0Aで1.0Vまで供給された容量(C1V)を、このテストで供給された全容量(CT)に割算することによって、容量供給比(CR) を算出できる。本発明は、有効な線形幾何学的構造と、薄い内側電極(薄いとは、内側電極の外部表面より実質的に小さい断面積を有することを意味している)を用いているので、容量比(CR)は、従来のボビン型アルカリ電池で達する容量比より、十分に高くなる。
【0038】
従来のセルに対して性能上の優位性の幾つかを示したので、本発明の本質によるセルの装置について以下に説明する。 図面を参照すると、様々な図を通して同様の要素には同一の参照番号を付しており、図4A及び4Bは、本発明の1実施例である埋め込み型内側電極構造を示している。
【0039】
図4A及び4Bを参照して、バッテリセル30は、バッテリセル30の内部領域31bを規定するセルハウジング31aを備えている。セルハウジング3laは、セル30の電気的接続を容易にする第1の端子T1と、第2の端子T2と、セル30の他の要素との電気的伝達部とを備えている。更に、セル30は、アノードなどの内側電極32を備え、複数の線形要素32Bを利用するアスタリスク状形態の線形幾何学的構造の薄い断面部32Aを有している。また、他の線形幾何学構造を実現できる。例えば、同様の平面型セルハウジングの断面部と対比される比較的薄い断面部(線形要素の厚さ寸法など)を有する線形要素又は同様な要素を含む十字形状又は他の如何なる幾何学的形状とすることもできる。好適な実施例では、内部電極は、その厚さ寸法と平行に取ってセルハウジングの横断面の最大となる径間についての直径伸長寸法より、略小さい厚さ寸法を有している。好適な実施例では、内側電極は、活性剤、導電材料、及び添加物で形成されている多孔質固体の成形用合成物(porous solid extruded composite)を備えている。内部に構成された電流コレクタ33を備えることもできる。内側電極32は、ハウジング30の内部領域31b内に設けられる。内側電極32は、セパレータ34によって内包されており、ハウジング30の第2の端子T2との電気的伝達部である。カソード材料などの外側電極材料35は、内側電極32が、ハウジングの内部領域31b内に埋め込まれ、外側電極36を形成するように、ハウジングの内部領域31b内に構成される。外側電極36は、内側電極32とのイオン伝達部であり、セルハウジング30の第1の端子T1との電気的伝達部である。内側電極を外側電極に埋め込むことによって、電極境界面が規定され、更に内側電極表面積によっても規定できる。図4A及び4Bに示すように、十分に、且つ、バランスのとれたアノード−カソード間の境界表面積の増大は、電極の幾何学的形態によって達成される。更に、より薄く、高いイオン伝導率で、電極構造は内側電極の薄い断面部によって達成される。電極の幾何学的形態を変更することによって、セルの性能特性を変更することができ、電極の幾何学的形態は、電極間の境界表面積に影響する。
【0040】
内側電極32が、多孔質固体構造であるので、要素32Bは、技術の構造の突出部又は枝状より、より薄く、より長くすることができる。例えば、AA型セルでは、厚さ0.040〜0.080インチ程度の薄い要素32Bを有する形状に内側電極32を押出成形することができるが、従来のAAアルカリ電池の中の同等のアノード径は、約0.30インチとできる。この場合、厚さ寸法の2分の1と等しい最大実効拡散長の厚さで、要素32Bの各側面から内側電極32を接近させることができる。固体の内側電極を用いることによって、より薄い幾何学的要素を構造できるだけでなく、従来の構造のようにゲルで狭い領域を満たすのが必要ではなくなることにより、従来構造の複雑な幾何学的構造の外側電極の内部表面にセパレータを適用することを試みることよりはむしろ、等角形被膜のセパレータ34を内側電極32の外部表面37に適用することができる。外側電極36は、内側電極32を内包するセパレータの周囲に適用することができ、セルハウジング31の外部又は後に、セルハウジング31内に内側電極を設けることができる。外側電極がハウジング30内に適用される実施例では、アノードの形状内に線形幾何学構造を有しながら、内側電極32をハウジング31に挿入することができ、ハウジング31を、カソード紛で満たし、埋め込み型内側電極32を構成するようにプレスすることができる。
【0041】
セルハウジング内に外部及び内側電極の埋め込みを実現する別の手法は、幾何学的形態の電極を形成させるためにハウジングに対して一緒に外部的に曲げるか、又は折り曲げ、ハウジングを形成する輪郭部、即ち形状へと電極を成形し、ハウジングに対して各電極部を一緒に挿入することである。図5A〜5Dを参照して、簡単な電極の幾何学的形態の内側電極で、本発明の好適な実装を始めて、セパレータで包み込み、外側電極材料で取り囲み、セル容器に合った幾何学的形態の電極を形成することにより達成できる。図5A〜5Cに示すように、電気化学系バッテリセル40は、内部領域41bを規定するセルハウジング41aを備える。セルハウジング41aは、セル40の電気的接続と、セル40の他の要素と電気的伝達を容易にする第1の端子T1と、第2の端子T2とを備える。図5Aを参照して、セルは、ハウジング4laの内部領域4lbに設けられた電極アセンブリ42を更に備える。電極アセンブリ42は、セパレータ44によって内包された内側電極43と、外側電極45とを備える。内側電極と外側電極は、薄い断面部を有し、図5に示す”W”型折り曲げ構造、或いは、アコーディオン型折り曲げのような他の折り曲げ構造など、互いに共に重ね合うような、折り曲げ構造となっている。図5Cを参照して、電極アセンブリ42は、電極アセンブリ42の外側の範囲46がセルハウジング40の内部表面48によって規定される形状47にほぼ倣うように形成される。内側電極43は、ハウジング4laの第2の端子T2との電気的伝達部であり、外側電極45は、ハウジング4laの第1の端子T1との電気伝達部である。内部表面48は、好適には、外側電極45と第1の端子T1との間の電気伝達が、外側電極45とハウジング41aの内部表面48との間の接触で確立できるように第1の端子T1との電気的伝達部となる。
【0042】
図5Dに示すように、内側電極43は、セパレータ44で包み込み又はセパレータ44に倣うようにコーティングされ、外側電極45で挟み込み、又は混合させて、電極アセンブリ42を形成する。図5Cに示すように、最終的な電極アセンブリは、ハウジング41aに合うように様々な幾何学的形状とすることができる。従って、従来の構造では、内側及び外側の電極間の境界部は、均一な筒形とはならないが、内包された内側電極の表面を覆うセパレータが従来のボビンセルの表面積より大きく、従来のらせん形巻付けセルの表面積より小さい外部表面積を有するように、複雑な形状とできる。内包された内側電極は、従来のボビンセルより薄くできるが、らせん形巻付けセルの程の薄さにはならない。より少ないセパレータと電流コレクタが、活性剤とエネルギー含有量に有効な容積を増大させ、従来のらせん形巻付け構造よりも内包された電極セルに用いられるので、内包された内側電極の構造について、よりバランスのとれた表面積とすることができる。
【0043】
図6に示す別の実施例では、内側電極43とセパレータ44は、外側電極部分材に埋め込むことができる。そのような実施例では、外側電極部分材は、内側電極43が、ハウジング41a内に設けられた後で、ハウジング41a内に適用でき、カソード部材内に埋め込み型内側電極43を形成させるようにプレスされる。或いはまた、内側電極43とセパレータ44は、”W”型構造などの折り曲げ構造へと折り曲げることができ、セルハウジング41aの形状にほぼ倣う幾何学的な形状として構成させることができる。この内側電極43は、セルハウジング41aの形状にほぼ倣うような幾何学形状へと形成されるカソード電極45へと埋め込むことができる。電極アセンブリ内に構成されたその形成されたカソード部材/埋め込み型アノードは、セルハウジング41a内に設けることができる。
【0044】
高い放電率の特性を著しく高めるために、セル容器又はハウジングの外部表面積(Se)に対する内側電極表面積(Si)の比、即ち、(Si)/(Se)は、AAA又はAAサイズのセル(或いは、C又はDなどの大径セルに対して可能な限り大きいサイズ)では、2〜8の範囲とできるので、本発明は、アノード‐カソード間の境界表面積の増大を容易にする。増大した境界領域は、同等の材料で構成したボビンセルの境界領域の部分である内部抵抗でのセル構造を生じさせる。以下に詳説する実施例では、1KHzで測定したインピーダンスは、従来のボビンセルのインピーダンスの70%以下であった。本発明は、より高い利用率が増大する間、適度な比率で、従来のボビンのエネルギー含有量の70〜80%より大きい量を保有するので、パワーとエネルギーの含有量は、よりバランスがとれている。
【0045】
本発明の特有の実施例は、従来のボビンセルの同等の内側電極よりも、平均的挿入厚み度の薄い内側電極を生じさせる。内側電極の挿入厚み度を薄くすることによって、アノード-カソード間でほぼ同一のセルバランスを維持できるので、その断面径を長くすることにより表面積を大きく増大させることができる。内側電極の挿入厚み径の低減は、より短い拡散長を生じさせ、拡散長は、セルのパワー容量を更に向上させる。従来のアルカリ性のAAサイズボビンセルは、約0.1〜0.15インチの厚さのカソード・リング壁を有し、約0.2〜0.3インチの厚さのアノードコアを有するが、本発明の本質によるアルカリ性AA型セルは、約0.035〜0.070インチの厚さのカソード、及び、0.02〜0.06インチ程度の厚さのアノードとすることができる。
【0046】
本発明の別の利点は、高い放電率での内側電極の利用度を増大させることである。従来のボビンセルは、筒形の幾何学的形態の内部構造である故に、高い放電率での低い利用度を有する。アノードの放電は、セパレータの内部表面からラジアル方向に進むので、アノード-カソード間境界表面積は、定常的に減少する。このことは、事実上、放電する内側電極表面で電流密度を増大させ、伝達制限の故に放電反応のシャットダウンに繋がる。放電は、内側電極材料の利用度の増大に繋がるが、表面積を増大することと内側電極を薄くすることは、より均一な電流密度を維持させる。
【0047】
好適な実施例では、内側及び外側電極の長径は、密封部に要求される高さをマイナスした容器の完全な内部高さとほぼ等しく、電極構造が容器の完全な長さを占めるので、その長径は、通常、内部高さの少なくとも70%となり、エネルギー含有量を増大させる。外側電極は、好適には、ハウジングの内部表面と直接接触となるように構成され、この外側電極からの電流コレクタは、主に金属ハウジングとの接触を経由、又はメタルハウジングを介している。内側電極は、セパレータに内包され、次に、外側電極のマトリクス状部材に埋め込まれ、又は、挟み込み、又は内側電極内に形成される。そこでは、外側電極がハウジングの内部表面を接触するように、絶縁線が、配線されて、ハウジング内に挿入される。
【0048】
アルカリ性のMnO2/亜鉛型セルの場合、多くの実施例において、正極性接触部として、亜鉛アノードは、内側電極であり、MnO2は、ハウジングの内部表面との接触を形成させる外側電極である。多くの実施例では、特にアルカリ電池を考慮しているが、本発明の本質によれば、他の電気化学系及び他の形式のセルにも適用できることは明らかである。
【0049】
本発明の特有の実施例によれば、アルカリ性の二酸化マンガン-亜鉛セルは、二酸化マンガンカソードと、亜鉛アノードと、アノードとカソードとの間のセパレータと、アルカリ性水溶液の水酸化カリウム電解質(aqueous alkaline potassium hydroxide electrolyte)を含むように構成される。活性剤の容量が、断面部の内側とセルハウジングの直径の2倍以上となる累積的な断面的境界線の長さの至る所に分布されているので、アノードは、従来のボビン型アノード構造と比較して短い拡散長での非円形の断面部を有する。アノードは、セパレータで包み込まれ、アノードとハウジングの内部表面との間のスペースを一様に満たすマトリクス状のカソードに埋め込まれる。セルは、パワー対エネルギーのバランスの良い比率を有し、高い放電率で良い容量利用度を得る。このことは、AAサイズのセルの場合、1アンペア-1ボルトの放電テストにおいて、1.2Ahより大きくなることから分かる。
【0050】
好適な実施例では、本発明は、亜鉛アノードを内包された略平面且つ略平坦なセパレータと、アコーディオン型折り曲げ形状部に形成される1つ以上の平面カソードとを備え、全カソード/アノードアセンブリが、容器を満たすように構成されているセルを提供する。
【0051】
また、カソード構造は、高速生産でのハンドリングを可能とするように、及び、折り曲げ部からセル容器の壁部までのより良い電子伝達特性を生じるように、物理的な保全と電子伝達率を必要とするので定性化されている。このことは、導電フィルタ、強化材、バインダ、又はキャリアウェブでの複合カソードを定性化することによって達成できる。必要な機械的及び電子的性質を得る特有の手段としては、金属構造部には、ハウジングの内部表面に電子的接触部と折り曲げ部の内部に連続的な電気的接続部を設けるように、カソードの外部面に金属ホイル又は金属メッシュを適用することができる。
【0052】
また、本発明の本質による電気化学系のバッテリセルを製造する方法が、後述によって明らかとなるように説明する。本発明の特有の態様によれば、電気化学系バッテリセルの製造方法は、以下のステップを含む。(A)内部領域と、第1の端子と、第2の端子とを備えるバッテリセルのハウジングを生成するステップ。 (B) 薄く、略平坦な構造を有し、セパレータによって内包された内側電極を生成するステップ。 (C) 薄く、略平坦な構造を有する外側電極を生成するステップ。(D) 内側電極と隣接して外側電極を設けるステップ。(E) 折り曲げ構造部に内側及び外側電極を共に折り曲げるステップ。(F) 内側の電極を形成する(電極の外部領域が、セルハウジングの内部領域によって規定される形状にほぼ倣うように内側電極を形成するステップ。(G)外側電極が、セルハウジングの第1の端子との電気的伝達部になり、内側電極が、セルハウジングの第2の端子との電気的伝達部になるようにハウジングの内部領域内に電極を設けるステップ。
【0053】
本発明の別の特有の態様によれば、ハウジング内に外側電極を形成する場合において、電気化学系バッテリセルを製造する方法についても説明する。その方法は、次のステップを含む。(A) 内部領域と、第1の端子と、第2の端子とを備えるバッテリセルのハウジングを生成するステップ。 (B)線形な幾何学的構造部内に、薄い断面部を有し、セパレータによって内包された内側電極を生成するステップ。(C)セルハウジングの第2の端子部との電気的伝達部内となるように、ハウジングの内部領域内に内側電極を設けるステップ。(D)内側電極が、ハウジングの内部領域内に埋め込まれ、ハウジングの第1の端子との電気的伝達部内となるように、ハウジングの内部領域内に内側電極を設けるステップ。(E) セルハウジングの内部領域内に外側電極部材を設けるプレスするステップ。
【0054】
本発明に関する説明の後であれば、他の方法及びこれらの様々な特有の方法が、本発明の特許請求の範囲内で実現又は想定できることは当業者に明らかである。
【0055】
図7は、一連の処理ステップによって、簡単な幾何学的構造と低い配置要求を有する部分から製造できる好適な実施例としての制御方法を示す。図7(ステップI)では、平面カソード/セパレータで包み込まれたアノード/カソード・スタックは、スタックから上張りする各カソードの金属基体で、成形ダイスに置かれる。図7(ステップII)と(ステップIII)では、形成ブレードは、スタックの折り曲げ及び形成を生じさせることにより、ダイス空洞部へと押し込まれる。図7(ステップIV)は、ハウジング又は缶への挿入の前に筒形へとスタックを圧縮し、成形するために最終的な形成操作を示している。
【0056】
本発明の本質による特有の実施例において、好適な実施例を達成する簡単な製造の方法を説明する。特有の実施例によれば、2つのカソードは、金属基体を穴あけしたダイス上に形成され、アノード構造部を内包し、中央に設けられるセパレータに隣接して、置かれる。このようにして置かれ、電極は、複合形態化され、電極の長軸に垂直な状態で適用されるダイス形成することにより、形成される。最終的なダイスは、筒形のようなセルハウジングの形状になるように、又はその形状に倣うように、電極の外部領域を構成する貝殻状の同心形状となる。形成した後に、筒形に形成された積層電極を、成形ダイスに隣接して配置されたセルハウジングへと押し込むことを可能とするために、ダイスは、若干開口している。電極アセンブリがハウジング内に設けられた後で、KOH電解質を電極部内に吸収させるために、連続して次の操作に移るときに、付加的なKOH電解質をハウジング開口部の頂部に加えることができる。このステージで部分的に組み立てられたセルは、ハウジングの頂部から突出する絶縁アノードのリード線を、略中央に設ける。このリード線は、プラスチックの底部密封部の中央に通り抜けて、底カバーの内部表面に溶接される。次に、底カバーは、密封部の上に適切な配置へと適応させる。セルの最終及び仕上げの操作は、従来のボビンセルの製造工程と同等である。
【0057】
本発明による改善されたセル構造を形成するステップは、容易に自動化された高速生産に応用できる。従来のボビンセル製造プラントにおける、ある単位の操作と置き換えると、従来のボビン製造のステップと同様となる1つ以上のステップで、この構造シーケンスを想定することができる。例えば、カソードとゲル化した亜鉛アノードを混合する工程は、従来のボビンセル製造と合理的に同様なものとできることが予想される。ある変更されたボビンセルのアセンブリ工程の操作では、同等の直行率で、現在使用されている基本プロセス装置の別形式で運用することさえできる。
【0058】
本発明の本質を示し、及び例示するために、様々な実施例を以下、説明する。以下の実施例は、デジタルカメラ製品において優れた製造時間を提供できる汎用のMnO2/Zn型AAサイズのセルに適用される。即ち、従来のMnO2/Zn 型AAサイズのセルと比べて、1アンペア-1ボルト放電においてより多くの容量性をもたらす。更に、適度な容量であれば、適度の放電率(3.9オーム)のときでも有効であるので、セルのエネルギー含有量が過度に妥協されることはない。セルの例として、セル電位が1ボルトに達するときの容量を記録して、0.8ボルトまで1アンペア放電するテストした。これにより、ANSIデジタルカメラテストをシミュレートする。30分間のテストの後には、3.9オームで、0.7ボルトまでの付加的放電ステップがある。以下の表に示す、1アンペア-1ボルトの容量(C1V)、全供給容量 (CT)、容量比(CR)は、高い容量利用効率と低い容量利用効率を示している。表1のデータは、特有の本実施例に関するものであり、本発明によれば、デジタルカメラテストにおいて、低い容量利用効率のテストに影響を与えない限り、容量利用効率を増大させることを示し、従来よりも本発明の利点を示している。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例は、標準寸法であるNi被膜スチール缶のAAサイズセルに関する。カソード構造は、EMD(γ-MnO2)と、導電パウダと、バインダ及び電解質などの他の添加物である残留部とを含んでいるが、如何なる種類のものでもよい。電界質は、通常、4N〜12Nの水酸化カリウムのアルカリ性水溶液である。電解質は、負電極内で活性亜鉛のガス化を抑制するために、溶解性酸化亜鉛(ZnO)と、表面活性剤と、他の添加物とを含むことができる。
【0061】
実施例1〜6で使用されるMnO2カソード混合型構造は、比重として、カーマギー・ハイ・ドレインEMD(Kerr-McGee High Drain EMD)を69.4%、アセチレン・ブラック(Acetylene Black)を5.2%、KS-15グラハイト(Graphite)を2.6%、PTFE-30サスペンション(Suspension)0.4%、及び、9 N KOHを22.4%の混合を含む実施例1〜4において用いられる。混合については、リードコ(Readco)ミキサ、ボールミル、又は他の好適なミキサで行われた。カソード混合部は、パスティング特性を改善するため、及びニッケル基体へ付設させるために、1gのPTFE-30サスペンションに対して10gの9 N KOHを混合させた物を100gの比率で更に混合した。標準とする基体は、アニール処理したエキスパンデッドメタル(Dexmet 3 Ni5-077)とした。7グラムのカソード構造は、カソードアセンブリの厚さを0.047インチとするために、カーバー・プレス(Carver press)で基体上にプレスした。プレスにより、電解質のある程度の損失があった (約0.5〜1.0 g)。
【0062】
(実施例1)
実施例1は、図5A〜5Dに示すように、”埋め込み型コルゲート形折り曲げ”構造の例である。この実施例では、多孔質固体の電気鋳造用亜鉛は、アノードとして利用される。全ての例について一般化した図8〜11を参照して、電鋳用亜鉛が、約1.5インチ幅 x1.625インチ高さのアノードサブアセンブリ51として利用されている。電鋳用亜鉛アノードサブアセンブリ51が、銀または銅の薄い金属基体64に、付属絶縁されたリード62と共に酸化亜鉛/バインダ・スラリー63を貼付し、アルカリ性バス部に電気鋳造することにより形成した。アノードサブアセンブリ51は、アノードアセンブリ55を形成するために、洗浄し、乾燥させ、シマット(Scimat)式700/70のセパレータ52のポーチ部で熱密封した。用いられているアノードは、乾燥状態で約4.7gであり、基体及びリード線を含む乾燥時長さ0.045インチであった。乾燥アノードアセンブリ55は、略コルゲート形の”W”形53に折り曲げられる前に、少なくとも1時間9 N KOHに浸透させた。穴あき金属基体54上にコーティングされた2つの平面型MnO2カソードと、9 N KOHの上部で浸透されたKC16アブソーバとは、アノードの各側面上にあり、”W’s” 56を組み合わせて倣うように、折り曲げられるようにプレスされた。それにより、電極アセンブリは、コルゲート形のスタック57の形状で形成される。コルゲート形のスタック57は、セルハウジング又は缶59内に、挿入する前に0.500インチから0.515インチの穴径での圧縮ダイス内に筒形形状部58にプレスされ、成形される。電極スタック57の厚さは、缶59への挿入のときに、有孔性と電解質の損失を抑制するために、形成後に缶を満たす際に、それほど薄くなく、又は、それほど厚くならないように調整された。缶59への挿入後、密閉用ビーズ60は、缶59の上部に形成される。アノード・リード62は、リッド63に付設され、缶は、完全なセル64を形成して密封された。
【0063】
(実施例2)
実施例2は、図5A〜5Dに示すように、”埋め込み型コルゲート形折り曲げ”構造の例であり、特に、アノードサブアセンブリを形成するためにペースト状亜鉛を利用している。このアノードは、アノードシートを形成するために押出成形又はペースト処理を用いて、亜鉛パウダから製造される。アノードサブアセンブリは、パウダ状金属亜鉛又は亜鉛合金と、クラトン(Kraton)バインダとシェルソン(Shellsol)溶媒と共に酸化亜鉛との混合によって形成した。混合物は、付設リードを有する厚さ0.002インチの穴あき銅箔基体にペーストされ、溶媒の気化を可能とした。 次に、サブアセンブリは、アノードアセンブリを形成するためにSM700/70セパレータで包み込まれた。乾燥アノードアセンブリは、ゆるい形状の”W”形に折り曲げられる前に、少なくとも1時間、9 N KOHに浸透された。穴あき金属基体上にコーティングされた2つの平面型MnO2カソードと、9 N KOHの上部で浸透されたKC16アブソーバとは、アノードの各側面上にあり、組み合わせ”W’s” 形状に倣うように折り曲げるため、プレスされた。コルゲート形スタックは、ハウジング又は缶への挿入の前に、0.500インチ〜0.515インチの直径穴を有する圧縮ダイスの筒形形状にプレスされ、成形された。電極スタックの厚さは、缶への挿入のときに、有孔性と電解質の損失を抑制するために、形成後に缶を満たす際に、それほど薄くなく、又は、それほど厚くならないように調整された。缶への挿入後、密閉用ビーズは、缶の上部に形成される。アノード・リードは、リッドに付設され、缶は、完全なセルを形成して密封された。
【0064】
(実施例3)
実施例3は、図5A〜5Dに示すように、”埋め込み型コルゲート形折り曲げ”構造の例であり、アノードサブアセンブリを形成するために亜鉛ゲルを利用している。亜鉛ゲルは、パウダ状金属亜鉛又は亜鉛合金と、カルボキメチル(carboxymethyl)・セルロース、ポリアクリル酸、スターチ、及びそれらの派生物などの好適なゲル化剤に伴う酸化亜鉛とを含有させた。付設リードを有するアノード電流コレクタは、シマット(Scimat)式 SM 700/79のセパレータ外に設けられたポーチ部に置かれ、7gのゲルが、そのポーチ部に加えられ、ポーチ部は、アノードアセンブリを形成するために底部で熱密封した。穴あき金属基体上にコーティングされた2つの平面型MnO2カソードと、9 N KOHの上部で浸透されたKC16アブソーバとは、アノードの各側面上にあり、組み合わせ”W’s” 形状に倣うように折り曲げるため、プレスされた。コルゲート形スタックは、ハウジング又は缶への挿入の前に、0.500インチ〜0.515インチの直径穴を有する圧縮ダイスの筒形形状にプレスされ、成形された。電極スタックの厚さは、缶への挿入のときに、有孔性と電解質の損失を抑制するために、形成後に缶を満たす際に、それほど薄くなく、又は、それほど厚くならないように調整された。缶への挿入後、密閉用ビーズは、缶の上部に形成される。アノード・リードは、リッドに付設され、缶は、完全なセルを形成して密封された。
【0065】
(実施例4)
実施例4は、図5A〜5Dに示すように、”埋め込み型コルゲート形折り曲げ”構造の例であり、アノードサブアセンブリを形成するために亜鉛ファイバを加えた亜鉛ゲルを利用している。亜鉛ゲルは、パウダ状金属亜鉛又は亜鉛合金と、5%のアルトリスタ(Alltrista)1/8インチ亜鉛ファイバ、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、カルボキメチル(carboxymethyl)・セルロース、ポリアクリル酸、スターチ、及びそれらの派生物などの好適なゲル化剤に伴う酸化亜鉛とを含有させた。付設リードを有するアノード電流コレクタは、シマット(Scimat)式 SM 700/79のセパレータ外に設けられたポーチ部に置かれ、7gのゲル/ファイバが、そのポーチ部に加えられ、ポーチ部は、アノードアセンブリを形成するために底部で熱密封した。穴あき金属基体上にコーティングされた2つの平面型MnO2カソードと、9 N KOHの上部で浸透されたKC16アブソーバとは、アノードの各側面上にあり、組み合わせ”W’s” 形状に倣うように折り曲げるため、プレスされた。コルゲート形スタックは、ハウジング又は缶への挿入の前に、0.500インチ〜0.515インチの直径穴を有する圧縮ダイスの筒形形状にプレスされ、成形された。電極スタックの厚さは、缶への挿入のときに、有孔性と電解質の損失を抑制するために、形成後に缶を満たす際に、それほど薄くなく、又は、それほど厚くならないように調整された。缶への挿入後、密閉用ビーズは、缶の上部に形成される。アノード・リードは、リッドに付設され、缶は、完全なセルを形成して密封された。
【0066】
本発明による”埋め込み型コルゲート形折り曲げ”構造の他の実現例を説明する。例えば、アノード重量、アノード浸透時間、圧縮の程度、カソード形式、カソード基体、カソード-缶電流コレクタ部などのアセンブリ及びプロセス変更については、埋め込み型”W”構造の電気的性能を最大化するため、”最適化”することができる。ほとんど全てのセルは、0.515インチ直径圧縮ダイスは、従来の標準0.5インチ直径ダイスを超えて、アセンブリ中に電解質が全く圧縮されない明確な観測に主に基づいて適合させられている。性能を容易に得るために、セル内に十分な電解質を保有することが重要である。
【0067】
より最適の表面積を提供し、容器を満たすためには、実施例で説明したW型折り曲げ構造よりも、電極の長さ又は折り曲げ部の長さ及び数を変更することもできる。2つの外側電極アセンブリを用いることよりはむしろ、単一の長さのカソードについては、アノードを内包したセパレータ周囲に包み込むこともでき、コルゲート形構造内に折り曲げることもできる。表面積を増大させる別手段は、カソード及びアノードの複合層を、スタックにおいて、コルゲート形にするように用いることである。例えば、カソード/アノード/カソード/アノード/カソードとする。
【0068】
(プリズム形セルの実施例)
上述に基づいて、本発明の本質によれば、如何なる種類のセル構造にも実現できることは当業者に明らかであり、プリズム形又は自由な形式のセル構造を含む。しかしながら、更なる例示目的のために、様々なプリズム形構造の実施例を詳説する。
【0069】
図12A及び12Bを参照すると、略平坦な内側電極100(図12A)と略平坦な外側電極102(図12B)が示されている。図12Aに示す内側電極100は、アノードとしての利用のために構成されており、アノードは、亜鉛ゲル層106によって囲まれ、セパレータ108によって内包されたアノード電流コレクタ部104を備えている。アノードに付設される絶縁された電気導線110は、セパレータ108を介して、バッテリセル内に内側電極の電気的接続を容易にさせる。図12Bに示す外側電極は、アノードとして構成され、カソードは、カソード材料層112と電流コレクタ114とを備える。外側電極102は、バッテリセル内で外側電極の電気的接続を容易にするために、絶縁された電気導線116を備えている。 図12A及び12Bに示すように、内側電極は、好適にアノードとして構成されており、外側電極は、好適にカソードとして構成されている。内側及び外側の電極の双方を、カソード又はアノードとして構成させることができることは当業者に明らかである。
【0070】
特有の用途に依存して多くの種々の形状で、外側電極100と内側電極102を構成させることができる。好適には、外側電極100と内側電極102は、線形周辺部を有する略平坦な構造で構成される。電極100及び102は共に、プリズム形セルハウジングなどの特有のセルハウジング内に適合するように、又は、特有のセルハウジングに倣うように形成させることができる。
【0071】
図13A〜13Cを参照して、電極100及び102は、プリズム形又は直線状のセルハウジングに倣うように、折り曲げられ、形成されている。特に図13Aを参照すると、電極100及び102は、電極間の密接な接触を構成するために、一緒に好適に折り曲げられる。それにより、電極アセンブリ120が形成される。この特有の実施例において、図13Aに示すように、電極100及び102は、W型構造で折り曲げられている。しかしながら、説明した他の実施例から表されているように、電極100及び102は、電極100と102との間の適切な表面積を生じさせる如何なる種類の構造であっても、一緒に折り曲げることができる。
【0072】
図13B及び13Cを参照すると、外側電極102の外部領域122が、セルハウジング128の内部表面126によって規定される形状124にほぼ倣うように、電極アセンブリ120の電極100及び102が形成される。この特有の実施例において、外側電極102の外部領域122は、線形形状にほぼ倣うように、外側電極102をプレスすることによって形成される。 図13Bに示すように、この形成は、セルハウジングの内部領域についての実質的な利用をもたらし、また、セルハウジングの内部表面126と外側電極102との間のより良い表面接触をもたらす。そのことは、内部表面126がバッテリセルの電気的伝達部である実施例において、バッテリセルの端子への外側電極の電気的接続を容易にさせる。好適な実施例において、図13Bに示すように、外側電極102の外部領域122は、セルハウジングの内部表面126によって規定される形状124に実質的に倣うように、及び、実質的に無空間接触を構成するように、形成される。
【0073】
FIGS.14A〜14Bを参照すると、電極100と102との間の異なる折り曲げ構造での別の実施例を示す。図13Aに示すような、W型構造の電極100及び102を折り曲げるというよりはむしろ、図14Aに示す電極100及び102は、電極アセンブリ130を形成するために、3つ折り型構造で折り曲げられる。図14Bに示すように、電極アセンブリ130は、外側電極102の外部領域132が、セルハウジング138の内部表面136によって規定される形状134にほぼ倣うように形成される。図14Bに示すように、この形成は、セルハウジングの内部領域についての実質的な利用をもたらし、また、セルハウジングの内部表面136と外側電極102と間の実質的に無空間表面接触をもたらす。
【0074】
図15A〜15Dを参照すると、更に別の実施例では、外側電極140及び142の第1の組が第1の電極アセンブリ144を構成するように一緒に折り曲げられ、電極140及び142の第2の組が第2の電極アセンブリ150を構成するように一緒に折り曲げられている。図15B及び15Cで示されるところでは、この2つのアセンブリ構造は、1つ以上の内部構造部材152を含むセルハウジング151での利用を容易にさせる。これらの構造部材152は、セルハウジングの壁厚を増大する必要なくして、膨張及び内部圧力によるセルハウジングの隆起及び膨張を低減するように用いられる。構造部材152は、好適にはNiメッキ鋼である。これらの内部構造部材152は、電極アセンブリの導入の前又は後に、事実上、支持部の間のビーム長を低減させることで、ハウジングの内部表面にスポット溶接することもできる。この様に、膨張及び内部圧力によるセルハウジングの隆起及び膨張を低減するように、張力をかける。内部の構造部152を、カソード集合部から電気的に絶縁する必要はなく、どのような場合でも、ハウジングの内部表面に接触状態にある。このタイプの構造は、エネルギー含有量の対応する増大について、より薄い壁状のハウジングに利用できる1つの方法である。
【0075】
本発明によるプリズム形構造の様々な実施例について説明する。そのようなセル構造の性能特性のいくつかについて説明する。 その実施例としては、IEC 7/5 F6のプリズム形サイズ(6mm x 17mm x 67mm、0.33mmの壁厚、約15.74mm x 63.80mm x 4.95mmの内径)である、0.5〜2アンペアの高い放電容量をもたらす汎用MnO2セルに適用される。更に、適度の容量であれば、安価であり、まだ適度の放電率として有効であるので、セルのエネルギー含有量は過度に妥協されることはない。セルがテストされた例では、そのデータは、本発明が、低い放電率テストのときには実質的に利用度に影響していないが、より高い放電率では利用度を増大させることを示している。図16は、各実施例の放電曲線を示している。実施例は、適正なセル形式での標準寸法のNiコーティング・スチール缶にパッケージできるセルに関する。カソード形式として、EMD(r-Mn02) 、導電パウダ、バインダ及び電解質などの他の添加物である残留物を含む1次アルカリ電池の代表例を示しているが、如何なる種類のセルであってもよい。電解質は、通常4N〜12Nの水酸化カリウムのアルカリ水溶液である。電解質は、負電極内で活性化亜鉛のガス化を抑制するために、溶解性の酸化亜鉛(ZnO)、表面活性剤、及び他の添加物を含むことができる。
【0076】
MnO2カソード構造は、比重として、カーマギー・ハイ・ドレインEMD(Kerr-McGee High Drain EMD)を72.6%、KS-15グラハイト(Graphite)を8.2%、PTFE-30サスペンション0.4%、及び、9 N KOHを18.8%の混合を含む実施例において用いられる。カソード構造は、高速生産でのハンドリングを可能とするように、及び、折り曲げ部からセル容器の壁部までのより良い電子伝達特性を生じるように、物理的な保全と電子伝導率を必要とするので定性化されている。このことは、導電フィルタ、強化材、バインダ、又はキャリアウェブでの複合カソードを定性化することによって達成できる。必要な機械的及び電子的性質を得る特有の手段としては、金属構造部には、容器壁に電子的接触部と折り曲げ部の内部に連続的な電気的接続部とを設けるように、カソードの外部面に金属ホイル又は金属メッシュを適用することができる。混合については、Ni基体への付設にとって好適なペースト特性を生じさせるため、リードコ(Readco)ミキサ、ボールミル、又は他の好適なミキサで行われた。標準とした基体は、非アニール処理のエクスバンデッド・メタル(Dexmet3Ni5-077)とした。
【0077】
以下の実施例では、亜鉛ゲルが、セルのアノードアセンブリを形成するのに利用された。
【0078】
全ての実施例では、内側及び外側電極の長径は、密封部に要求される高さをマイナスした容器の完全な内部高さとほぼ等しく、電極構造が容器の完全な長さを占めるので、その長径は、通常、内部高さの少なくとも70%となり、エネルギー含有量を増大させる。プリズム形セルに関しては、カソード重量は約11g、厚さは約0.041インチであった。プレスした際に、電解質のいくらかの損失 ( 0.5〜1.0g) があった。
【0079】
(実施例5)
本発明の電極アセンブリを利用するテスト・セルを製造し、テストした。亜鉛ゲルは、パウダ状金属亜鉛又は亜鉛合金と、カルボキメチル(carboxymethyl)・セルロース、ポリアクリル酸、スターチ、及びそれらの派生物などの好適なゲル化剤に伴う酸化亜鉛とを含有させた。スズ被膜スチール基体を有するシマット(Scimat)式SM700/79型セパレータ外に設けられた約28mm x 62mmのセパレータのポーチ部は、アノードアセンブリを形成するために、65%亜鉛パウダ、34.5%のKOH、0.5%のカルボポールを含む亜鉛ゲル構造の約5gで満たされる。60mm x62mmのエキスパンデッドメタル基体にコーティングされた平面状MnO2カソードは、図17A及び17Bに示した折り曲げ構造(アノード160、カソード162、ハウジング又はケース164)を用いることで、アノード周囲を包み込ませた。カソードアセンブリの重量は11.11gであった。それぞれの基体に溶接されたアノード及びカソード・リードは、ケースの対抗端から引き出された。500mAの定電流で0.8ボルトまで放出されると、このセルは1.22Ahの容量をもたらした。
【0080】
(実施例6)
本発明の電極アセンブリを利用する第2のテスト・セルを製造し、テストした。亜鉛ゲルは、パウダ状金属亜鉛又は亜鉛合金と、カルボキメチル(carboxymethyl)・セルロース、ポリアクリル酸、スターチ、及びそれらの派生物などの好適なゲル化剤に伴う酸化亜鉛とを含有させた。スズ被膜スチール基体を有するシマット(Scimat)式SM700/79型セパレータ外に設けられた約28mm x 62mmのセパレータのポーチ部は、アノードアセンブリを形成するために、65%亜鉛パウダ、34.5%のKOH、0.5%のカルボポールを含む亜鉛ゲル構造の約5gで満たされる。60mm x 62mmのエキスパンデッドメタル基体にコーティングされた平面状MnO2カソードは、図17A及び17Bに示した折り曲げ構造を用いることで、アノード周囲を包み込ませた。カソードアセンブリの重量は10.82gであった。それぞれの基体に溶接されたアノード及びカソード・リードは、ケースの対抗端から引き出された。500mAの定電流で0.8ボルトまで放出されると、このセルは1.25Ahの容量をもたらした。
【0081】
(実施例7)
本発明の電極アセンブリを利用する第3のテスト・セルを製造し、テストした。亜鉛ゲルは、パウダ状金属亜鉛又は亜鉛合金と、カルボキメチル(carboxymethyl)・セルロース、ポリアクリル酸、スターチ、及びそれらの派生物などの好適なゲル化剤に伴う酸化亜鉛とを含有させた。スズ被膜スチール基体を有するシマット(Scimat)式SM700/79型セパレータ外に設けられた約28mm x 62mmのセパレータのポーチ部は、アノードアセンブリを形成するために、65%亜鉛パウダ、34.5%のKOH、0.5%のカルボポールを含む亜鉛ゲル構造の約4.5gで満たされる。60mm x 62mmのエキスパンデッドメタル基体にコーティングされた平面状MnO2カソードは、図17A及び17Bに示した折り曲げ構造を用いることで、アノード周囲を包み込ませた。カソードアセンブリの重量は10.14gであった。それぞれの基体に溶接されたアノード及びカソード・リードは、ケースの対抗端から引き出された。500mAの定電流で0.8ボルトまで放出されると、このセルは1.33Ahの容量をもたらした。
【0082】
(実施例8)
本発明の電極アセンブリを利用する第4のテスト・セルを製造し、テストした。亜鉛ゲルは、パウダ状金属亜鉛又は亜鉛合金と、カルボキメチル(carboxymethyl)・セルロース、ポリアクリル酸、スターチ、及びそれらの派生物などの好適なゲル化剤に伴う酸化亜鉛とを含有させた。スズ被膜スチール基体を有するシマット(Scimat)式SM700/79型セパレータ外に設けられた約28mm x 62mmのセパレータのポーチ部は、アノードアセンブリを形成するために、65%亜鉛パウダ、34.5%のKOH、0.5%のカルボポールを含む亜鉛ゲル構造の約4.5gで満たされる。60mm x 62mmのエキスパンデッドメタル基体にコーティングされた平面状MnO2カソードは、図17A及び17Bに示した折り曲げ構造を用いることで、アノード周囲を包み込ませた。カソードアセンブリの重量は11.57gであった。それぞれの基体に溶接されたアノード及びカソード・リードは、ケースの対抗端から引き出された。500mAの定電流で0.8ボルトまで放出されると、このセルは1.37Ahの容量をもたらした。
【0083】
上述した4つの実施例のセルについて放電電圧曲線を図16に示す。上述した全ての実施例において、0.8Vカットオフまでの容量供給は、7/5 F6形式の標準構造のアルカリ電池から予期されるものよりも大きい。比較として、近年報告されているところで、このサイズのアルカリ電池の容量は、500mA‐0.8Vでの放電時で、1.08Ahであった。本発明に従って構成されたセルは、15〜30%のより良い容量をもたらした。
【0084】
本発明による構造の他の実現例を説明する。例えば、アノード重量、アノード浸透時間、圧縮の程度、カソード構造、カソード基体、カソード-缶電流コレクタ部などのアセンブリ及びプロセス変更については、埋め込み型”U”構造の電気的性能を最大化するため、”最適化”することができる。より最適の表面積を提供し、容器を満たすためには、実施例で説明したW型折り曲げ構造よりも、電極の長さ又は折り曲げ部の長さ及び数を変更することもできる。
【0085】
(他の実施例と製造方法)
上記の説明から、当業者に明らかなように、本発明の本質によれば、製造及びアセンブリの多くの異なる方法によって、多くの異なる実施例に適用できる。本発明の広い範囲及び本質を更に例示するために、これら他の方法へと繋がるセルの実施例及びその製造方法につい説明する。
【0086】
前述したように、本発明のセルのうち、特有の一実施例は、コルゲート形構造(又は、他の折り曲げ構造)内に折り曲げられ、セル容器又はハウジングに合うように構造又は成形される平面電極スタックを利用する。このタイプの実施例は、アノード−カソード間の境界表面積の増大を示し、技術的に知られている単一ボビンセルと比較して、増大したパワーを生じさせた。このタイプのセルを製造する方法については前述したが、製造に係るコスト効率及び応用力に優れている、このタイプの構造を有する実施例は、他の方法によっても十分に構成させることができる。
【0087】
定性化したカソード材料などの外側電極材料である粒状形態を利用する方法は、製造に係るコスト効率及び応用力に優れていることは示した。粒状形態の外側電極材料については、前述したが、そのような実施例の更なる例示のために、この形態を利用する実施例の様々な製造方法を詳細に説明する。
【0088】
カソード構造などの外側電極材料は、粒状形態において容易に混合され、セル容器への外側又は内側に成形リング又はペレットをプレスするなどの次の処理を行う前に、簡単にそのような状態を保持できる。外側電極材料の粒状形態を利用することによって、如何なるペレット破壊又は他の材料損失があっても、リワークのために混合又は粒状化状態に戻すことは容易であるから、それにより、更に製造コストが低減する。これは、外側電極のシート状又は基体状の形態を利用するよりも優れた1つの利点である。シート状又は基体状の形態では、従来の外側電極の基体構造に関連して、増大する次元的及び機械的な保全が規制されるために、スクラップ発生率が高くなりうる。
【0089】
図18Aを参照して、外側電極の材料の挿入成形を組み込む方法を説明する。この実施例では、外側電極材料は、カソードとして機能する。図18Aに図式化して示すように、セパレータを内包したアノード160は、前述したように、成形ダイス162に設けられる。スラリー又はペースト形態の粒状又は粉状のカソード材料は、1つ以上の注入部165を介してダイス162に注入されアノード160を強制的に取り囲む。ダイス162は、従来の注入成形、圧縮成形、キャスティング、又は押し込み技法によって好適に形成され、ピストン又はラムタイプのプレス、或いは、ダイス162のカソード材料164の適切な充填、パッキング、及び分配のための十分な圧力を生成するように、関連技術で知られている他の如何なるメカニズムでもよいが、成形プレスによって生成した圧力によって、カソード材料164はダイスに注入される。ダイスが、カソード材料164の適切な量で適切に満たされた後に、利用される特有の成形技法に基づいて、適切な密度と寸法を有する電極アセンブリを形成するために更にダイスを圧縮させることができる。例えば、電解質の添加などの如何なる数及び種類の添加物でも、プロセス中の如何なるポイントにおいて導入することができる。好適な実施例では、ペースト状アノード素子は前述したように用いられ、特に、乾燥時である。従って、そのようなペースト状アノード素子の使用により、構造部の適応化にとって、電解質の添加と、特殊ウェット状カソード材料の使用とを相殺できる。また、如何なるタイプの成形プロセスでも、ダイス162を実現できることは明らかである。例えば、注入、圧縮成形、押し込み、キャスティング、又は同様のもの、或いはそれらの如何なる組み合わせなどでも実現できる。 好適実施例では、成形プロセスの間に挿入された内側電極を有する電極アセンブリを形成するのに、ダイス162は、押込み成形プロセスにおいて用いられる。最終的な電極アセンブリは、完全なバッテリセルの製造において用いられる。
【0090】
図18Bは、この方法で形成された3つのセルの放電曲線を示す。これらのセルに用いられるMnO2カソード構造は、比重として、カーマギー・ハイ・ドレインEMD(Kerr-McGee High Drain EMD)を72.6%、KS-15グラハイト(Graphite)を8.2%、PTFE-30サスペンション0.4%、及び、9 N KOHを18.8%の混合を含む。スズ被膜スチール基体を有するシマット(Scimat)式SM700/79型セパレータ外に設けられたセパレータのポーチ部には、アノードアセンブリを形成するために、65%亜鉛パウダ、34.5%のKOH、0.5%のカルボポールを含む亜鉛ゲル構造の約6.0gが満たされる。20mm x 40mmのポーチ部が、設けられ、V型形状に折り曲げられ、10.8gのカソードが、V型形状アノードの周囲に押し込まれた。このセルは、1アンペア-0.8ボルトの定電流で放電されて、0.39Ahの容量をもたらし、更に3.9オーム抵抗状で0.7ボルトまでの放電は、1.12Ahの累積容量をもたらした。11.2gのカソードが押し込まれた簡単に構成されたセルの場合、1アンペア-0.8ボルトの定電流で放電されたとき、セルは0.05Ahの容量をもたらし、更に3.9オーム抵抗上で0.7ボルトまでの放電は、1.12Ahの累積容量をもたらした。40mm x 40mmのポーチ部が、設けられ、W型形状に折り曲げられたセルの場合、約12gのカソードが、W型形状アノードの周囲に押し込まれた。そして、1アンペア-0.8ボルトの定電流で放電したときのセルは、0.05Ahの容量をもたらし、更に3.9オーム抵抗上で0.7ボルトまでの放電は、1.74Ahの累積容量をもたらした。
【0091】
図19Aを参照すると、電極構造の更に別の方法が図式的に示されている。この実施例では、外側電極の材料は、カソードとして機能する。この方法では、粒状又は粉状のカソード材料は、一連のステップ又は折り曲げられる前の工程で、プレスされ、セパレータを内包したアノードの周囲に積み重ねられる。図19Aに示すように、第1のステージで、カソード材料170の第1の部分が、ダイス172に配置されて、次に、略平坦な構造にプレスされる。セパレータを内包したアノード174は、プレスされたカソード材料170の第1の部分の頂部に設けられる。図19に示すように、カソード材料の残部分176は、アノード172の頂部に設けられ、”サンドウィッチ”形状にサブアセンブリ178を形成させるように略平坦な構造にプレスされる。この”サンドウィッチ”型アセンブリ178は、完全なバッテリセルの製造中にセル容器に挿入されるコルゲート形構造に折り曲げられ、圧縮される。好適な実施例では、アノード172をコルゲート形構造又は他の折り曲げ構造に予め折り曲げすることができ、再平坦化させ、最終形成化をより簡単にさせる。好適な実施例では、形成ステージを容易にするために輪転機を利用できる。
【0092】
図19Aに示す方法の別の態様において、フレキシブルで、非金属性の基体は、最終的なスタックの外部に設けられるように非ウィーブ系高分子膜(non-woven polymer membrane)をあるステージでダイスに挿入できるので、外側電極への付加的な機械的保全を提供させる。電気的導電性の伝達のために、非ウィーブ基体を導電性のカーボン・インクでコーティングすることができる。
【0093】
図19Bは、この方法で形成されたセルの放電曲線を示す。用いられるMnO2カソード混合構造は、比重として、カーマギー・ハイ・ドレインEMD(Kerr-McGee High Drain EMD)を56.5%、スペリオル・グラハイト(Superior Graphite)ABG1010グラハイトを5.2%、PTFE-30サスペンション0.3%、及び、9 N KOHを38%の混合を含む。スズ被膜スチール基体を有するシマット(Scimat)式SM700/79型セパレータ外に設けられた40mm x 40mmのセパレータのポーチ部は、アノードアセンブリを形成するために、65%亜鉛パウダ、34.5%のKOH、0.5%のカルボポールを含む亜鉛ゲル構造の約6.5gが満たされる。アノードはWの形に予め折り曲げされ、次に、カソード材料は、それぞれ折り曲げられたアノードのV字形の溝に押し込まれながら、各々3.4gの3つの略等価部分に分割された。約2g総重量のカソードの小さい追加部は、電極アセンブリがAAサイズ缶への挿入の前に、圧縮のため設けられた0.520インチの圧縮ダイスの上側及び内部にコーティングされる。このセルは、1アンペア-1ボルトの定電流で放電したとき、1.0Ahの容量をもたらし、更に3.9オーム抵抗上で0.7ボルトまでの放電は、1.9Ahの累積容量をもたらした。
【0094】
図19Cは、図19Aに関して、前述と同様の方法で形成されたセルの放電曲線を示す。このセルにおいて、カーボン・コーティングされたアブソーバは、エキスパンデッドメタル基体よりむしろ、カソード材料との接続に用いられる。比重として、カーマギー・ハイ・ドレインEMD(Kerr-McGee High Drain EMD)を71.4%、スペリオル・グラハイト(Superior Graphite)ABG1010グラハイトを6.6%、PTFE-30サスペンション0.4%、及び、9 N KOHを21.6%の混合を含むカソード構造は、使用され、プレスするダイスにおいて平坦に横たわるカーボン・コーティングされたアブソーバの上に設けられた。総重量13.5gのカソード材料は、2つの等価部分に分割して用いられた。カソード/アノード/カソード型サンドイッチ構造は、W形状に折り曲げられ、0.52インチの圧縮ダイスに圧縮された。このセルは、1アンペア-1ボルトの定電流で放電したとき、1.12Ahの容量をもたらし、更に3.9オーム抵抗上で0.7ボルトまでの放電は、1.76Ahの累積容量をもたらした。
【0095】
図20Aは、更に別の方法及び関連する実施例を示す。この実施例において、外側電極材料は、カソードとして利用される。この実施例において、カソード材料の第1の部分は、セルハウジング185の壁部184の周囲にリング182を形成するように成形される。カソード・リング182は、従来のアルカリ性のボビンセルの周知の製法によって形成される。例えば、カソード・リング182は、外部的にセルハウジングに形成でき、或いは、ハウジングへと直接形成させることができる。また、カソード・リング182は、より接触を確かなものとするために、ハウジング壁184に対してコンパクト化することができる。この方法では、例えば、20〜60%の全カソード材料のような、全カソード材料の部分は、リング182を構成するように利用される。リング182は、ハウジング壁部184との接触を効果的に確立し、ハウジング内にリングの内部領域を生成させる。また、セパレータを内包したアノードのような、リングの内部領域は、折り曲げた内側電極188との接触のために、内部表面186を規定している。カソード材量の残部分190は、折り曲げた内側電極の周囲に分布しており、リング182の形状に従う電極サブアセンブリ192を形成するときに一緒に圧縮される。バッテリセルの製造中に、セルハウジング内でリング182へとサブアセンブリを挿入することができる。
【0096】
図20B及び20Cは、電極サブアセンブリ192がセルハウジング内に形成される図20Aに示した方法の別の構造を示す。図20Bを参照して、ステージ1で、カソード・リング182は、カソード材料の第1の部分からセルハウジング182内に形成される。カソード材料182は、当技術分野において知られた方法によって、ハウジング内に形成させることができる。また、カソード・リング182は、より良い接触を確実にするために、ハウジング壁182に対して内部に収めることもできる。ステージ2で、アノード182を内包している予め形成されたセパレータは、リング182によって規定されている内部領域内にハウジング185へと挿入することができる。ステージ3で、セルハウジング内の残部領域は、カソード材料の残部分190で満たされている。図20Cのステップ1は、ダイスDによるなど、アノード188を内包している予め定めたセパレータを示しており、セルハウジング185内のリング182の内部領域内の挿入部を示している。図20Cのステップ2は、アノード188の折り曲げ部間のセルハウジング185内のカソード材料の挿入器194の挿入部を示している。 ステップ3は、挿入器194がハウジング185を外に出すときに、カソード材料でハウジング185を満たす様子を示している。従って、この実施例では、形成ステップの大部分は、電極アセンブリを含ませるためにハウジングを利用することによって、行われる。
【0097】
図20Dは、図20A〜20Cに関して説明した方法によって形成された2つセルの放電曲線を示す。MnO2カソード混合構造は、比重として、カーマギー・ハイ・ドレインEMD(Kerr-McGee High Drain EMD)を89%、スペリオル・グラハイト(Superior Graphite)ABG1010グラハイトを6%、及び、9 N KOHを5%の混合を含む同心型リングを形成するように用いられる。4つのリングの各々は、高さ0.394インチと0.4インチの内径での材料から設けられた。40mm x 40mmのセパレータのポーチ部は、スズ被膜スチール基体を有するシマット(Scimat)式SM700/79型セパレータ外に設けられ、アノードアセンブリを形成するために、65%亜鉛パウダ、34.5%のKOH、0.5%のカルボポールを含む亜鉛ゲル構造の約6.5gで満たされた。アノードはWの形に予め折り曲げされた。第2のカソード構造は、比重として、カーマギー・ハイ・ドレインEMD(Kerr-McGee High Drain EMD)を56.5%、スペリオル・グラハイト(Superior Graphite)ABG1010グラハイトを5.2%、PTFE-30サスペンション(Suspension)を0.3%、及び、9 N KOHを38%の混合を含み、内側カソード部分を形成するように用いられた。この後者のカソード材料は、2.3gの略等価な部分で分割され、各々は、折り曲げ型アノードのV字型形状にプレスされ、全電極アセンブリが、AAサイズ缶に挿入される前に、圧縮のために、0.52インチの圧縮ダイスへとプレスされた。2つのセルは同様に設けられ、1アンペア-1ボルトの定電流で放電したとき、0.7〜1.05Ahの容量をもたらし、更に3.9オーム抵抗上で0.7ボルトまでの放電は、2.05〜2.2Ahの累積容量をもたらした。
【0098】
図20Eは、図20A〜図20Cに関して説明したものと同様の方法で形成されたセルの放電曲線を示す。このセルは、カソード・リングを形成する方法とアノードのポーチ部について、図20A〜図20Cに関して記載されていたものと同様に形成された。カソード構造は、比重として、カーマギー・ハイ・ドレインEMD(Kerr-McGee High Drain EMD)を71.4%、スペリオル・グラハイト(Superior Graphite)ABG1010グラハイトを6.6%、PTFE-30サスペンション(Suspension)を0.4%、及び、9 N KOHを21.6%の混合を含み、内側カソード部分を形成するように用いられた。このカソードの材料は、平坦なダイスであり、37.000psiで約3mmの厚さまでプレスされ、次に、幅6mm x長さ41.4mmのバーへと切り取られた。バーは、による折り曲げ型アノードのV字形の溝に設けられ、全電極アセンブリは、AAサイズ缶に挿入する前に、圧縮のための0.40インチ型圧縮ダイスに設けられた。このセルは、1アンペア-1ボルトの定電流で放電したとき、1.08Ahの容量をもたらし、更に3.9オーム抵抗上で0.7ボルトまでの放電は、2.23Ahの累積容量をもたらした。
【0099】
粒状カソード材料が利用されている前述の全ての実施例において、ペースト状アノード素子が、電解質の添加と外部湿性カソード(extra-wet cathode)材料の使用とを相殺するように、好適に利用される(特に乾燥時)ことは理解されるべきである。電解質によって生じる内側アノード素子の如何なる膨張効果も、特に、電極アセンブリに関連する許容範囲を更にタイトにさせ、内側アノード電極と外側電極材料との良い接触を確実なものとされうる。そのことは、セルの性能特性を向上させる。
【0100】
特有の実施例について図示し、説明したが、本発明の趣旨から大きく逸脱することなく、種々の変更を想定することができ、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】現在の商業的プレミアム(従来技術)及び本発明によるAAセルの実施例における様々なANSI型式テストのアンペア時(Ah)について、大まかな放電容量を示す図である。
【図2】ボビンタイプ構造を有する代表的な筒形セルの横断立面図である。
【図3】従来技術の商業的セルと比べた、本発明による実施例の1アンペア放電の放電容量に対するセル電位を示す図である。
【図4A】線形幾何学形の内側電極を取り込んだ本発明による実施例の横断立面図である。
【図4B】線形幾何学形の内側電極を取り込んだ本発明による実施例の平面図である。
【図5A】本発明によるコルゲート形折り曲げ型電極アセンブリを取り込んだ好適な実施例の横断平面図である。
【図5B】図5Aの実施例についての部分的な横断立面図である。
【図5C】図5Aの実施例についての組み付け図である。
【図5D】本発明の本質による、ハウジング内に合うように構成させる前の電極アセンブリの斜視図である。
【図6】カソード材料に埋め込まれたコルゲート形折り曲げ型電極アセンブリを有する、本発明の本質による実施例の横断平面図である。
【図7】本発明の本質による組み付けシーケンスの様々なステージを示す図である。
【図8】本発明の本質によるアセンブリを示す図である。
【図9】本発明の本質によるアセンブリを示す図である。
【図10】本発明の本質による、ハウジング内に合うように構成させる前の電極アセンブリの斜視図である。
【図11】本発明の本質による実施例の組み付け図である。
【図12A】本発明の本質による内側電極アセンブリの組み付け図である。
【図12B】本発明の本質による外側電極アセンブリの組み付け図である。
【図13A】本発明の本質による折り曲げ型電極アセンブリの実施例についての横断平面図である。
【図13B】本発明の本質によるプリズム形セルハウジング内に設けられた、図13Aに示す電極アセンブリについて、折り曲げて形成させた場合の横断平面図である。
【図13C】図13Bに示す実施例の部分的な斜視図である。
【図14A】本発明の本質による折り曲げ型電極の追加実施例の横断平面図である。
【図14B】本発明の本質によるプリズム形セルハウジング内に設けられた、図14Aに示す電極アセンブリについて、折り曲げて形成させた場合の横断平面図である。
【図15A】本発明の本質による1組の折り曲げ型電極アセンブリの横断平面図である。
【図15B】本発明の本質によるプリズム形セルハウジング内に設けられた、図1 5Aに示す電極アセンブリについて、折り曲げて形成させた場合の横断平面図である。
【図15C】本発明の本質による図15Bのプリズム形セルの組み付け図である。
【図15D】図15Cの組み付けられたプリズム形セルの斜視図である。
【図16】実施例5、6、7、及び8のプリズム形セルのセル放電曲線を示す図である。
【図17A】本発明の本質による、実施例5、6、7、及び8に利用される折り曲げ型電極アセンブリの横断平面図である。
【図17B】本発明の本質によるプリズム形セルハウジング内に設けられた、図17Aに示す電極アセンブリについて、折り曲げて形成させた場合の横断平面図である。
【図18A】本発明の本質による製造方法の態様を示す図である。
【図18B】図18Aの方法に従って製造されたセルの性能特性を示す図である。
【図19A】本発明の本質による製造方法の態様を示す図である。
【図19B】図19Aの方法に従って製造されたセルの性能特性を示す図である。
【図19C】図19Aと同様な方法に従って製造されたセルの性能特性を示す図である。
【図20A】本発明の本質による製造方法及び関連する実施例の態様を示す図である。
【図20B】本発明の本質による製造方法に従って製造されたバッテリセルの様々なステージを示す図である。
【図20C】図20Bに示すセルの製造に関連する様々なステップを示す図である。
【図20D】図20A〜20Cの方法に従って製造されたセルの性能特性を示す図である。
【図20E】図20A〜20Cと同様な方法に従って製造されたセルの性能特性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部表面を有する内部領域と、第1の端子と、第2の端子とを規定するセルハウジングと、
外側電極部分の内部領域を規定するために、前記セルハウジングの前記内部領域内に大まかに設けられる前記第1の外側電極部分と、
前記第1の外側電極部分の前記内部領域内に設けられる電極サブアセンブリと
を備える電気化学系のバッテリセルであって、
前記電極サブアセンブリが、
セパレータによって内包され、折り曲げ構造に略平坦な材料を備える内側電極と、
前記電極サブアセンブリの外部領域が、前記外側電極部分の前記内部領域によって規定される形状にほぼ倣うように、前記内側電極について形成されている第2の外側電極部分とを備え、
前記第1及び第2の外側電極部分が、前記内側電極とのイオン伝達部となり、且つ、前記セルハウジングの前記第1の端子との電気的伝達部となり、前記内側電極が、前記セルハウジングの前記第2の端子との電気的伝達部となる電気化学系のバッテリセル。
【請求項2】
前記内部表面と前記第1の外側電極部分との間の接触が、前記第1及び第2の外側電極部分と前記第1の端子との間の電気的伝達部を確立するように、前記セルハウジングの前記内部表面が、前記第1の端子との伝達部となる、請求項1に記載の電気化学系のバッテリセル。
【請求項3】
前記内側電極がアノードを形成し、前記第1及び第2の外側電極部分がカソードを形成し、前記第1の端子が正極性を有し、前記第2の端子が負極性を有する、請求項1に記載の電気化学系のバッテリセル。
【請求項4】
前記アノードが亜鉛を含む、請求項3に記載の電気化学系のバッテリセル。
【請求項5】
前記第1及び第2の外側電極部分のカソードが二酸化マンガンを含む、請求項3に記載の電気化学系のバッテリセル。
【請求項6】
電気化学系のバッテリセルを製造する方法であって、
内部領域を有するバッテリセルのセルハウジングと、第1の端子と、第2の端子とを生成するステップと、
略平坦な構造を有し、セパレータによって内包された内側電極を生成するステップと、
折り曲げ構造へと前記内側電極を折り曲げるステップと、
外側電極材料を生成するステップと、
電極アセンブリの外部領域が、前記セルハウジングの前記内部領域によって規定される形状にほぼ倣うように、前記電極アセンブリを生成するために、前記内側電極部と共に前記外側電極材料を成形するステップと、
前記電極アセンブリの前記外側電極が、前記セルハウジングの前記第1の端子との電気的伝達部となり、前記電極アセンブリの前記内側電極が、前記セルハウジングの前記第2の端子との電気的伝達部となるように、前記ハウジングの前記内部領域内に前記電極アセンブリを設けるステップとを含む方法。
【請求項7】
電気化学系のバッテリセルを製造する方法であって、
内部領域を有するバッテリセルのセルハウジングと、第1の端子と、第2の端子とを生成するステップと、
外側電極材料の第1の部分を生成するステップと、
略平坦な構造へと前記外側電極材料の前記第1の部分を形成するステップと、
略平坦な構造を有し、セパレータによって内包された内側電極を生成するステップと、
前記外側電極材料の前記第1の部分に前記内側電極を設けるステップと、
前記内側電極に外側電極材料の第2の部分を設けるステップと、
電極スタックを生成するために、略平坦な構造へと前記外側電極材料の第2の部分を形成するステップと、
電極アセンブリの外部領域が、前記セルハウジングの前記内部領域によって規定される形状にほぼ倣うように、前記電極スタックを形成することにより前記電極アセンブリを生成するステップと、
前記電極アセンブリの前記外側電極が、前記セルハウジングの前記第1の端子との電気的伝達部となり、前記電極アセンブリの前記内側電極が、前記セルハウジングの前記第2の端子との電気的伝達部となるように、前記セルハウジングの前記内部領域内に前記電極アセンブリを設けるステップとを含む方法。
【請求項8】
電気化学系のバッテリセルを製造する方法であって、
内部領域を有するバッテリセルのセルハウジングと、第1の端子と、第2の端子とを生成するステップと、
第1の外側電極部分を生成するステップと、
前記第1の外側電極部分の内部領域を規定して、前記セルハウジングの前記内部領域内に大まかに設けられるように、前記第1の外側電極部分を形成するステップと、
略平坦な構造を有し、セパレータによって内包された内側電極を生成するステップと、
折り曲げ構造へと前記内側電極を折り曲げるステップと、
第2の外側電極部分を生成するステップと、
電極アセンブリの外部領域が、前記第1の外側電極部分の前記内部領域によって規定される形状にほぼ倣うように、前記電極アセンブリを生成するために、前記内側電極と共に前記第2の外側電極部分を成形するステップと、
前記電極アセンブリの前記外側電極が、前記セルハウジングの前記第1の端子との電気的伝達部となり、前記電極アセンブリの前記内側電極が、前記セルハウジングの前記第2の端子との電気的伝達部となるように、前記第1の外側電極部分の前記内部領域内に前記電極アセンブリを設けるステップとを含む方法。
【請求項9】
電気化学系のバッテリセルを製造する方法であって、
内部領域を有するバッテリセルのセルハウジングと、第1の端子と、第2の端子とを生成するステップと、
第1の外側電極部分を生成するステップと、
前記第1の外側電極部分の内部領域を規定して、前記セルハウジングの前記内部領域内に大まかに設けられるように、前記第1の外側電極部分を形成するステップと、
略平坦な構造を有し、セパレータによって内包された内側電極を生成するステップと、
折り曲げ構造へと前記内側電極を折り曲げるステップと、
前記第1の外側電極部分の前記内部領域内に、前記折り曲げられた内側電極を挿入するステップと、
前記第1の外側電極部分の前記内部領域内に第2の外側電極部分を設けるステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【公表番号】特表2007−504629(P2007−504629A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526173(P2006−526173)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/028539
【国際公開番号】WO2005/022676
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(500033759)リチャージャブル バッテリー コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】