説明

改良された燃焼性を有するエポキシ樹脂および複合材料

減少されたレベルの二酸化イオウを発生し、および予想外の減少された自己消火時間を有するエポキシ樹脂および複合材料。エポキシ樹脂はエポキシ樹脂成分50〜70重量パーセントから構成されている。エポキシ樹脂組成物はまた、ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドから構成されている熱可塑性配合物20〜35重量パーセントを含有する。エポキシ樹脂組成物はさらにまた、硬化剤5〜25重量パーセントを含有する。当該複合材料は航空機およびその他の荷重支持構造体における基本構造体用に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
1.発明の分野
本発明は一般に、複合材料およびこれらが燃焼した場合のこのような複合材料の性質に関する。さらに特に、本発明は高性能エポキシ樹脂を燃焼した場合に発生されるイオウ含有化合物の量を減少させることによって、およびまた一度燃焼を始めた場合、当該エポキシ樹脂が自己消火するのに要する時間を減少させることによって当該高性能エポキシ樹脂を含有する組成物の燃焼性を改良することを含む。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
繊維状材料、例えばガラス繊維または炭素繊維などにより強化されるエポキシ樹脂は高度の構造強度および低重量が要求される広く種々の状況で使用される。高性能エポキシ樹脂マトリックスを用いる複合材料は特に、重量および構造強度がエンジニアリングおよびデザイン上で重要であると考えられる航空宇宙産業において特に汎用される。高性能エポキシ樹脂は典型的に、エポキシ樹脂に「強化性」を付与する1種または2種以上の熱可塑性材料を含有する。このような高性能エポキシ樹脂複合材料は、これらが比較的高い強度対重量比を有することから望ましい材料であるが、これらには可燃性、毒物発生およびその他の引火性に関していくつかの特別な問題が存在する。
【0003】
航空宇宙産業で使用されるタイプの高性能エポキシ樹脂は一般に、約177℃の温度で硬化される。これらの高性能エポキシ樹脂は典型的に、熱可塑性強化剤およびイオウを含有する硬化剤を含有する。この種のエポキシ樹脂は、これらが燃焼した場合、有毒なイオウ含有ガスを発生する傾向がある。この有毒ガスの発生はエポキシ樹脂複合部品が航空機またはその他の航空宇宙ビークルの内部に位置している場合に特に関係する。このような高性能エポキシ樹脂用の組成物の開発における主要目標は、硬化済み複合部品の構造強度を減少させることなく、同時に燃焼に際して生じるイオウ発生量を制限することにある。イオウの発生を減少させようとする試みはいずれも、粘着性および粘度などの未硬化エポキシ樹脂の性質に有害に作用しないことが重要である。未硬化樹脂の粘着性および粘度は、当該エポキシ樹脂が航空宇宙用部品の建造に使用される一般的中間物質であるプリプレグの製造に使用される場合に特に重要である。
【0004】
表面引火に対する耐性はまた、高性能エポキシ樹脂に関連する重要な分野である。火災に際して、熱および/または炎の原因が一度除去されたならば、エポキシ樹脂組成物複合部品は自己消火することができることが重要である。仕上げられた複合部品の構造強度を航空宇宙用途に要求されるレベルに維持しながら同時に、できるだけ短時間で自己消火するエポキシ樹脂を開発することはまた、エポキシ樹脂製造者の重大な目標である。未硬化エポキシ樹脂の粘着性および粘度が有害な影響を受けないという同一要件が短い自己消火時間を有するエポキシ樹脂を組成する試みに関しても適用される。
【0005】
原則的に二酸化イオウ(SO)の形態であるイオウは、高性能エポキシ樹脂が燃焼した場合に発生される有毒化合物である。ナショナル ビューロー オブ スタンダード スモーク デンシティ チャンバー(National Bureau of Standers (NBS) Smoke Density Chamber)はSO発生、ならびに一酸化炭素(CO)、シアン化水素(HCN)および窒素酸化物(NOx)の発生レベルの測定に使用される標準的燃焼試験システムである。SO発生レベルは、NBSスモーク デンシティ チャンバーにおける特定の熱露呈条件下における燃焼中に試料によって放出されるSOの量を部/百万(ppm)で測定することによって決定される。
【0006】
高性能エポキシ樹脂複合材料のSO発生レベルの測定に使用される燃焼率パラメーターはボーイング スペシフィケーション サポート スタンダード(BOEING Specification Support standard)BSS−7238(改訂版B)およびBSS−7239(改訂版A)に記載されており、この方法は標準試験方法として航空宇宙産業で認められている。ポリエーテルスルホン(PES)またはその他のイオウ含有熱可塑性強化剤を含有する典型的高性能エポキシ樹脂のSO発生レベルは100ppmを超える。典型的PES−強化高性能エポキシ樹脂はヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552であり、これはHexcel Corporation(Dublin、CA)から入手することができる。SOレベルが100ppmまたはそれ未満であるエポキシ樹脂組成物の提供が望まれている。
【0007】
ユナイテッド ステーツ フェデラル アビエーション アドミニストレーション(United States Federal Aviation Administration)は航空機内装部品および材料の火災耐性にかかわる確立した規制および要件を有する。これらの要件はFAR Section25.853に記載されている。要件の一つは、火焔源が除去されたならば、材料は自己消火することができることにある。エポキシ樹脂にかかわる自己消火時間測定用の試験方法はFAAエアクラフト マテリアルス ファイア テスト ハンドブック(Aircraft Materials Fire Test Handbook)(FAA25.853付録F パート1)およびボーイング サポート スタンダードBSS−7230(改訂版H)に記載されており、この方法は標準試験方法として航空宇宙産業で認められている。BSS−7230(改訂版H)の方法Fの修正方法は、硬化した生の樹脂の垂直延伸試料を点火源に10秒間曝すことによって点火し、次いで試料が自己消火するまでに要する時間を測定することを包含する。自己消火時間ができるだけ短い高性能エポキシ樹脂組成物を提供することが望まれている。
【0008】
さらに、航空機の基本的(荷重支持性)構造体として使用することができる複合部品を製造するために上記の望ましい燃焼物性を有する樹脂の使用は有益である。航空機基本構造体として機能するための複合材料の適合性の測定に使用される常習的試験は、開口圧縮(open hole compression(OHC))試験である。この試験は複合材料に孔を正確に掘削すること及び圧縮力に対する当該材料の応答を測定することを包含する。この試験は複合構造体の破損に対する複合材料の応答を制御模擬するものであり、また締結具孔の強度の試験方法としても二重に役立つ。ASTM D6484およびBSS−7260はOHCの測定に使用される標準的試験方法である。複合材料は航空機基本構造体に使用された場合、できるだけ高いOHCを有することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP113431B1
【特許文献2】米国特許出願第11/476,965号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明に従い、熱可塑性強化剤の特定の配合物を含有する高性能強化エポキシ樹脂組成物を硬化させ、現存する高性能強化エポキシ樹脂系に比較して有意に減少されたSO発生および予想外に短い自己消火時間を有するエポキシ樹脂を提供することができることが見出された。
本発明によるエポキシ樹脂組成物は1種または2種以上のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂成分50〜70重量パーセントから構成されている。さらに、本発明によるエポキシ樹脂組成物は、ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドを含有する熱可塑性配合物15〜35重量パーセントを含有する。硬化剤をまた、5〜25重量パーセントの範囲の量で含有する。
【0011】
本発明のエポキシ成分および熱可塑性配合物は有意の量のイオウを含有していない。硬化剤はイオウ含有化合物を含有することができる。硬化性化合物の量は100ppm以下のSO発生レベルを有する硬化済みエポキシ樹脂が得られるように制限する。本発明によるこれらの低イオウ含有エポキシ樹脂は低SO発生性であるばかりでなくまた、予想外に短い自己消火時間を有することが見出された。
【0012】
本発明は未硬化エポキシ樹脂組成物ならびに未硬化または部分的硬化済みエポキシ樹脂組成物を含有するプリプレグを含む。さらに、本発明は硬化済みエポキシ樹脂組成物および当該樹脂マトリックスが本発明による硬化済みエポキシ樹脂である繊維強化複合部品を含む。この複合部品は高い開口圧縮(OHC)値を有することが見出された。この数値はこれらの複合部品を航空機およびその他の高強度が要求される荷重支持用途の基本構造体として使用するのに適するものとする。
【0013】
本発明はまた、未硬化エポキシ樹脂組成物および当該エポキシ樹脂組成物を含有する製品を製造する方法を含む。
【0014】
荷重支持性航空宇宙基本構造体に加え、本発明による硬化済みエポキシ樹脂組成物を含有する複合部品は高い構造強度、低重量、短い自己消火時間および低いSO発生レベルの組み合わせが特に望まれる航空宇宙ビークル、例えば航空機の内装における使用に良好に適する。
【0015】
本発明の当該特徴および多くのその他の特徴ならびに付随利点は添付図面と組み合わせて、下記詳細な説明によりさらに良く理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
(図面の簡単な説明)
【図1】図1は航空機の透視図であり、本発明による複合材料を使用して製造することができる例示的航空機基本構造体を示す。
【0017】
【図2】図2はヘリコプター回転翼の部分的図面であり、本発明による複合材料を使用して製造することができる例示的航空機基本構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、熱可塑性−強化エポキシ樹脂が望まれる広く種々の状況で使用することができる。当該エポキシ樹脂組成物は単独で使用することができるが、この組成物は一般に、複合材料を形成するための繊維状支持体と組み合わされる。当該複合材料はあらゆる意図する目的に使用することができるが、これらは航空宇宙ビークルの内装用に航空宇宙用途で好ましく使用され、商業的航空機に使用すると特に好ましい。一例として、当該複合材料は航空機調理室および化粧室に、および窓枠、床パネル、頭上荷物入れ、壁部仕切り、衣装入れ、管類、天井パネルおよび内装側壁として使用することができる。さらに、複合部品は航空機基本構造体の製造に使用することができる。航空機基本構造体または部品は飛行中に有意のストレスを受ける固定翼または回転翼の構成品であり、制御飛行を維持するために航空機にとって必須である。複合部品はまた、一般的「荷重支持」部品および構造体の製造に使用することができる。
【0019】
図1は、本発明による複合材料を使用することができる多くの航空機基本構造体および部品を包含する固定翼式航空機を示している。基本的部品または構造体の具体例は、翼12、胴体14および尾翼部品16を包含する。翼12は基本的航空機部品、例えば補助翼18、翼前縁20、翼スラット22、スポイラー24、尾翼縁部26および尾翼縁スラップ28を包含する。尾翼部品16はまた、多くの例示的基本的部品、例えば方航舵30、フィン32、水平安定版34、昇航舵36および尾部38を包含する。図2はヘリコプター回転翼40の外側末端部分を示しており、航空機基本構造体として翼桁42および外面44を包含する。その他の例示的航空機基本構造体は、翼桁、および基本的部品を一緒に連結して基本構造体を形成する種々のフランジ、クリップおよびコネクターを包含する。
【0020】
エポキシ樹脂組成物それ自体は、1種または2種以上のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂成分50〜70重量パーセントを含有する。エポキシ樹脂は高性能宇宙航空用エポキシに用いられるあらゆるエポキシ樹脂から選択され得る。二官能性、三官能性および四官能性エポキシ樹脂を使用することができる。好ましくは、エポキシ樹脂成分は三官能性エポキシ化合物と四官能性エポキシ化合物との組み合わせである。三官能性エポキシ化合物と四官能性エポキシ化合物との相対量は変えることができる。しかしながら、三官能性エポキシの量が四官能性エポキシの量よりも多いか、または四官能性エポキシの量に等しいと好ましい。
【0021】
三官能性エポキシ樹脂は当該化合物の骨格中のフェニル環のパラまたはメタ配向で直接または間接的に置換されている3個のエポキシ基を有するものと理解する。四官能性エポキシ樹脂は当該化合物の骨格中に4個のエポキシ基を有するものと理解する。適当な置換基は、例として、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、アラルキルオキシル、アラルキル、ハロ、ニトロ、またはシアノ基を含む。適当な非エポキシ置換基はパラまたはオルト位置でフェニル環に結合することができ、またはエポキシ基によって占拠されていないメタ位置に結合することができる。
【0022】
適当な三官能性エポキシ樹脂は、例として、フェノールおよびクレゾールエポキシノボラック;フェノール−アルデヒド付加化合物のグリシジルエーテル;芳香族エポキシ樹脂;二脂肪族トリグリシジルエーテル;脂肪族ポリグリシジルエーテル;エポキシ化オレフィン;臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミンおよびグリシジルエーテル;ヘテロ環状グリシジルイミジンおよびアミド;グリシジルエーテル;フッ素化エポキシ樹脂またはそのいずれかの組み合わせに基づくエポキシ樹脂を含む。好適な三官能性エポキシはパラアミノフェノールのトリグリシジルエーテルであり、これはHuntsman Advance Materials(Monthey、スイス)からアラルダイト(Araldite)MY0500またはMY0510として市販されている。
【0023】
適当な四官能性エポキシ樹脂は、例として、フェノールおよびクレゾールエポキシノボラック;フェノール−アルデヒド付加化合物のグリシジルエーテル;芳香族エポキシ樹脂;二脂肪族トリグリシジルエーテル;脂肪族ポリグリシジルエーテル;エポキシ化オレフィン;臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミンおよびグリシジルエーテル;ヘテロ環状グリシジルイミジンおよびアミド;グリシジルエーテル;フッ素化エポキシ樹脂またはそのいずれかの組み合わせに基づくエポキシ樹脂を含む。好適な四官能性エポキシはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンであり、これはHuntsman Advance Materials(Monthey、スイス)からアラルダイト(Araldite)MY0720またはMY0721として市販されている。
【0024】
所望により、エポキシ樹脂成分はまた、例えばビスフェノール−A(Bis−A)エポキシ樹脂またはビスフェノール−F(Bis−F)エポキシ樹脂などの二官能性エポキシを含有することができる。Bis−Aエポキシ樹脂の例はアラルダイト(Araldite)GY6010(Huntsman Advance Materials)として、またはDow Chemical Company(Midland、MI)から入手できるDER331として市販されている。代表的Bis−Fエポキシ樹脂はアラルダイト(Araldite)GY281およびGY285(Huntsman Advance Materials)として市販されている。エポキシ樹脂成分中に存在するBis−AまたはBis−Fの量は変えることができる。二官能性エポキシ樹脂は総エポキシ樹脂組成物の20重量パーセントより多くない量であると好ましい。
【0025】
エポキシ樹脂組成物はまた、ポリエーテルイミド(PEI)およびポリアミドイミド(PAI)から構成されている熱可塑性配合物を15〜35重量パーセントの量で含有する。これら2種の熱可塑性化合物はイオウを含有していない。イオウを含有する熱可塑性化合物、例えばポリエーテルスルホン(PES)は熱可塑性成分として使用するのには適していない。本発明に従う熱可塑性配合物はエポキシ樹脂成分に可溶性である1種の熱可塑性化合物(すなわち、PEI)およびエポキシ樹脂成分に不溶性である別種(すなわち、PAI)を含有する。PEAとPEIとの相対量は5:1〜1:5(PEI:PAI)内で変えることができる。好ましくは、この重量比(PEI:PAI)は3:1〜1:3で変えることができる。
【0026】
ポリエーテルイミドはウルテム(ULTEM)1000PとしてSabic(Dubai)から市販されている。ポリアミドイミドはトルロン(TORLON)4000Tまたはトルロン4000TFとしてSolvay Advanced Polymers(Alpharetta、GA)から市販されている。PEI熱可塑性化合物は代表的に、PEI粒子が約30〜300ミクロンのサイズ範囲にある粉末として供給されている。PEI粉末はエポキシ樹脂組成物の製造中にエポキシ成分に溶解することから、PEI粒子の粒子サイズは特に重要ではない。市販PAI粉末は代表的に、50μmの平均粒子サイズを有する。
【0027】
エポキシ樹脂組成物はPEI粒子およびPAI粒子をエポキシ樹脂成分と混合すること、及び生成する混合物を120℃付近の温度でPEI粒子が完全に溶解するのに充分な時間にわたり加熱すること、によって製造する。PAI粒子は溶解しない。PEI粒子の溶解に要する時間は、PEI粒子のサイズに応じて10分間〜1時間、またはそれ以上の時間で変化する。所望により、PEI粒子を先ず溶解させ、次いでPAI粒子を添加する。
【0028】
PEI粒子が溶解した後、混合物を90℃またはそれ以下に冷却させて、及び硬化剤成分(および予め添加されていない場合にはPAI粒子)を添加して、容易に硬化するエポキシ樹脂組成物を生成する。PAIの粒子サイズおよび量は、エポキシ樹脂組成物の粘度がプリプレグ製造に適する範囲内であるように選択される。PAI粒子の好適な平均粒子サイズは8ミクロン〜20ミクロンである。従って、市販PAI粉末は所望の粒子サイズを有する粉末が得られるように、粉砕するか、または別様に処理すると好ましい。樹脂の粘度は、準−等方性チョップドプリプレグ(quasi−isotropic chopped prepreg)を含むプリプレグ製造に現在使用されている現存の高性能強化樹脂の粘度と同一であると好ましい。
【0029】
エポキシ樹脂成分および熱可塑性配合物の冷却された混合物に添加される硬化剤成分の量はエポキシ樹脂組成物の総重量の5〜25重量パーセントである。本発明に従う硬化剤の例は、ジシアンジアミド、メチレンジアニリン(MDA)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)(これはイオウを含有していない)および3,3’−ジアミノジフエニルスルホン(3,3’−DDS)および4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDS)(これはイオウを含有していない)を含む。
【0030】
3,3’−DDSおよび4,4’−DDSは好適な硬化剤である。これら2種のイオウ含有硬化剤の混合物を使用すると特に好ましい。3,3’−DDSと4,4’−DDSとの相対量は、硬化剤の総添加量が5〜25重量パーセントの範囲内にあり、および硬化剤のSO発生レベルが100ppmであるかぎり変えることができる。ジシアンジアミドはまた、好適な硬化剤であり、単独で、または3,3’−DDSおよび4,4’−DDSなどのイオウ含有硬化剤とともに、またはこれらの代わりに含有させることができる。
【0031】
硬化済み樹脂の自己消火時間が有害な影響を受けず、またSO発生レベルが100ppm以下に留まるかぎり、1種または2種以上の硬化促進剤を含有させることができる。さらに、使用される促進剤の量は未硬化樹脂の性質、例えば粘度および粘着性に有害な影響を及ぼさず、またプリプレグの形成における使用を困難にしない樹脂を生成するものでなければならない。適当な促進剤は市販されているあらゆるウロン化合物である。単独で、または組み合わせて使用することができる促進剤の特別の例は、N,N−ジメチル,N’−3,4−ジクロルフエニル尿素(ジウロン(Diuron))、N’−3−クロロフェニル尿素(モヌロン(Monuron))および好ましくは、N,N−(4−メチル−m−フェニレン)ビス[N’,N’−ジメチル尿素](例えば、Degussaから入手することができるダイハード(Dyhard)UR500)を含む。いずれにしても、エポキシ樹脂組成物中に存在する促進剤の量は総組成物の2重量パーセント以下に維持されるべきである。触媒の使用は好ましくない。
【0032】
エポキシ樹脂組成物はまた、これらをプリプレグの形成に不適当なものにする未硬化樹脂の粘度および粘着性に有害に作用しないかぎり、追加の成分、例えば性能強化剤および/または改質剤を含有することができる。さらに、上記したように、SO発生レベルは100ppm以下に留まらなければならない。これらの性能強化剤または改質剤は、例えば柔軟剤、粒状充填剤、ナノ粒子、コア/シェルゴム粒子、難燃剤、湿潤剤、顔料/染料、導電性粒子、および粘度改質剤から選択され得る。樹脂組成物は追加の成分を含有していない方が好ましい。樹脂組成物はエポキシ成分、熱可塑性成分および硬化剤成分に限定されていると好ましい。
【0033】
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、高性能強化エポキシ樹脂用の標準的樹脂製造方法に従い製造される。種々の三官能性エポキシ樹脂と四官能性エポキシ樹脂とを一緒に、室温で混合してエポキシ樹脂成分を形成してここに熱可塑性成分であるPEIおよびPAI部分を添加する。前記したように、次いで、その混合物をPEIが溶解する温度に加熱する。次いで、その混合物を90℃またはそれ以下にまで冷却させて、ならびに硬化剤および使用する場合その他の添加剤を、当該樹脂に混合して最終エポキシ樹脂組成物を形成する。生成されたエポキシ樹脂組成物は繊維状強化材中に含浸させる。所望により、PAIはPEIをエポキシ樹脂成分中に溶解させた後に添加することができる。
【0034】
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、あらゆる公知プリプレグ製造技術に従い繊維状強化材に適用することができる。繊維状強化材にエポキシ樹脂組成物を充分に含浸させることができる。プリプレグを典型的に、保護性薄膜とともに両面に被覆して、及び充分に室温以下の温度に維持されている温度で貯蔵および出荷用に巻き上げて、早まった硬化を回避する。所望により、別様のあらゆるプリプレグ製造方法を使用することができる。
【0035】
プリプレグの繊維状強化材は合成繊維または天然繊維、またはその組み合わせを含むハイブリッドまたは混合繊維から選択され得る。繊維状強化材は繊維ガラス、炭素繊維またはアラミド(芳香族ポリアミド)繊維などのあらゆる適当な材料から好ましく選択され得る。繊維状強化材は好ましくは、炭素繊維である。
【0036】
繊維状強化材は分解した(すなわち、引き伸ばして分解した)繊維または不連続繊維または連続繊維を含むことができる。繊維状強化材は織物形態、非けん縮形態、不織形態、一方向または多軸紡績構造形態であることができ、例えば一方向繊維の準等方性チョップド片であることができる。織物形態は多くの平織、サテン、または綾織様式から選択され得る。非けん縮および多軸形態は多くのパイルおよび繊維配向を有することができる。このような様式および形態は複合強化材分野で周知であり、Hexcel Reinforcements(Villeurbanne、フランス)を含め多くの会社から市販されている。
【0037】
プリプレグは連続テープ、トウプレグ、ウェブまたはチョップドレングスの形態であることができる(チョッピングおよびスリッティング操作は含浸後のあらゆる時点で行うことができる)。プリプレグは接着性薄膜または表面薄膜であることができ、また両方の織物、編物および不織布の種々の形態で埋め込まれたキャリヤーをさらに有することができる。プリプレグには完全に含浸させることができ、または例えば硬化における空気の除去を促進するために部分的に含浸させることができる。プリプレグ中の樹脂の量(樹脂含有量)は総プリプレグ重量の20重量パーセントから60重量パーセントまで量を変えることができる。30〜45重量パーセントの程度の樹脂含有量が好適である。
【0038】
プリプレグは複合部品の形成に使用されるあらゆる標準的技術を使用して成形することができる。代表的に、1層または2層以上のプリプレグ層を適当な鋳型に入れておよび硬化させて最終複合部品を形成することができる。本発明によるプリプレグは当技術で公知のあらゆる適当な温度、圧力、および時間条件を用いて完全に、または部分的に硬化させることができる。代表的に、プリプレグはオートクレーブ中で160℃〜200℃の温度で硬化させる。約175℃〜185℃の硬化温度が好適である。準等方性チョップドプリプレグまたは成形材料の圧縮成形は好ましい方法である。準等方性チョップドプリプレグは、この準等方性チョップドプリプレグが本発明に従い製造されたものであることを除いて、Hexcel Corporation(Dublin、CA)から入手できるヘックスエムシー(HexMC)(登録商標)圧縮成形用材料と同一である。このような準等方性材料はEP113431 B1および米国特許出願第11/476,965号に記載されている。一方向プリプレグは単独で、またはプリプレグ織物または準等方性チョップドプリプレグと組み合わせて荷重支持部品の製造に好適な材料である。一方向繊維テープは種々の市販源から入手することができる。一例として、IM7G一方向繊維テープはHexcel Corporation(Dublin、CA)から入手することができる
【0039】
基本構造体の形成に使用される本発明による複合材料は、次のレイアップ方程式を使用し、少なくとも45ksiの室温OHC値(ASTM D6484またはBSS7260によって測定して)を有すると好ましい:[+45/0/−45/90]2s。室温における少なくとも46ksiのOHC値は特に好ましい。OHCはまた、高められた温度(104℃)で、湿潤条件下に測定することもできる。本発明による複合材料は高められた温度/湿潤条件下に少なくとも34ksiのOHC値を有すると好ましく、少なくとも35ksiのOHC値を有するとさらに好ましい。
【0040】
本発明に従い、エポキシ樹脂組成物は下記成分を含有する:1種または2種以上の二官能性、三官能性および/または四官能性エポキシ樹脂から構成されているエポキシ成分50〜70重量パーセント;ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドを含有し、ポリアミドイミド対ポリエーテルイミドの重量比が5:1〜1:5である熱可塑性配合物;および硬化剤5〜25重量パーセント。さらに、本発明に従い、エポキシ樹脂を用いて製造された生成ラミネートはボーイング スペシフィケーション サポート スタンダードBSS−7238(改訂版B)およびBSS−7239(改訂版A)により測定して100ppm以下のSO発生レベルを有する。ここで、当該エポキシ樹脂組成物のSO発生レベルに係わる比較がなされている場合はいつでも、この比較対象が当該樹脂を用いて製造されたラミネートのボーイング スペシフィケーション サポート スタンダードボーイング スペシフィケーション サポート スタンダードBSS−7238(改訂版B)およびBSS−7239(改訂版A)により測定したSO発生レベルを意味するものと理解されることに留意されるべきである。
【0041】
上記要件に加え、本発明によるエポキシ樹脂組成物はプリプレグの製造に使用される樹脂に要求される粘度および接着性を有する。エポキシ樹脂組成物の粘度は現存する高性能強化エポキシ樹脂、例えば現時点でプレグレグの製造に使用されているヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552に類似するものでなければならない。粘着性は輸送および貯蔵においてプリプレグの取り扱いを可能にするのに充分に低いと同時に、多層状プリプレグを公知プリプレグ成形/硬化方法に従う鋳型とともに適用でき、使用できるように充分の高さを有するべきである。成形化合物用の樹脂マトリックス、例えば準等方性チョップドプリプレグとして使用する場合、樹脂は現存するマトリックス樹脂、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552に類似する粘度および粘着性を有するべきである。
【0042】
好ましいエポキシ樹脂組成物は下記組成を有する:三官能性エポキシ35〜39重量パーセントおよび四官能性エポキシ17〜21重量パーセントから構成されているエポキシ成分;ポリエーテルイミド14〜18重量パーセントおよびポリアミドイミド4〜8重量パーセントから構成されている熱可塑性成分;および3,3’−ジアミノジフェニルスルホン2〜6重量パーセントおよび4,4’−ジアミノジフェニルスルホン15〜19重量パーセント。これらの好ましいエポキシ樹脂組成物は前記の要求されるSO発生レベルおよび自己消火時間に適合するとともに、本発明による望ましいプリプレグ取り扱い物性を依然として保有する。
【0043】
別種の好ましいエポキシ樹脂組成物は下記組成を有するものである:三官能性エポキシ32〜34重量パーセントおよび四官能性エポキシ32〜34重量パーセントから構成されているエポキシ成分;ポリエーテルイミド9〜11重量パーセントおよびポリアミドイミド9〜11重量パーセントから構成されている熱可塑性成分;3,3’−ジアミノジフェニルスルホンおよび/または4,4’−ジアミノジフェニルスルホン5〜15重量パーセントおよび2重量パーセントまでの量のジシアンジアミド。これらの好ましいはエポキシ樹脂組成物は前記の要求されるSO発生レベルおよび自己消火時間に適合するとともに、本発明による望ましいプリプレグ取り扱い物性を依然として保有する。
【0044】
樹脂を航空機基本部品または構造体を形成する複合部品の製造に使用すべき場合、熱可塑性成分は樹脂の少なくとも20重量パーセントであり、またポリエーテルイミド対ポリアミドイミドの比は3:1〜1:3であると好ましい。熱可塑性成分が約25重量パーセントであり、およびポリエーテルイミド対ポリアミドイミド比が2:1〜1:2である樹脂は、室温で特に高いOHC値をもたらす。約1.9:1〜1.5:1のポリエーテルイミド対ポリアミドイミド比は室温で高いOHC値を提供することから特に好ましい。3:1付近のポリエーテルイミド対ポリアミドイミド比は高められた温度および湿潤状態で高いOHC値をもたらす。室温におけるOHC値と高められた温度におけるOHC値とのバランスを得るためには、このポリエーテルイミド対ポリアミドイミド比は2.5:1〜2.9:3であり、および熱可塑性成分の総量は22〜24重量パーセントであると好ましい。特に好ましい樹脂組成物はポリエーテルイミド対ポリアミドイミド比が約2.7:1である熱可塑性成分を22〜23重量パーセントの量で含有する。10〜23重量パーセントのポリエーテルイミドおよび2〜15重量パーセントを含有する樹脂組成物は好ましい。
【0045】
所望により、REIまたはPAIと組み合わせて、少量の別種の熱可塑性成分を使用することができる。一例として、航空機基本構造体が航空機の内部に位置していない場合、ポリエーテルスルホン(PES)およびその他のイオウ含有熱可塑性物質を補助材料に添加することができ、および/または熱可塑性配合物中のPEIの代わりに使用することができる。PESまたはその他のイオウ含有熱可塑性成分の量は熱可塑性配合物の「PEI」部分の25重量パーセント以上を構成すべきではない。ポリアミド(PA)およびその他の類似する熱可塑性成分を補助材料に添加することができ、および/または熱可塑性配合物中のPAIの代わりに使用することができる。PAまたはその他のイオウ含有熱可塑性成分の量は熱可塑性配合物の「PAI」部分の25重量パーセント以上を構成すべきではない。
【実施例】
【0046】
例は下記のとおりである:
【0047】
(実施例1)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 37.38重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 18.69重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 16.36重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 6.07重量パーセント
3,3’−DDS 4.44重量パーセント
4,4’−DDS 17.06重量パーセント
【0048】
2種のエポキシ樹脂およびPEIおよびPAI粒子を一緒に室温で混合して、及び120℃で20分間にわたり加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。実施例の全部に係わり、トルロン(TORLON)TF粉末は粉砕しておよび篩い分けして15μmの平均粒子サイズを有するPAI粉末を得た。この混合物を90℃に冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。厚さ0.32cmの樹脂の層を形成した。この樹脂の層をオートクレーブ中で177℃において120分かけて硬化させてエポキシ樹脂組成物の完全に硬化した層を形成した。この硬化した層を、7.6cmx15.2cmx0.32cmの硬化済み樹脂試験試料に切断した。
【0049】
硬化済みラミネート試験試料をボーイング スペシフィケーション サポート スタンダードBSS−7238(改訂版B)およびBSS−7239(改訂版A)に従いSO発生について試験した。この試験試料は100ppmよりも充分に低いSO発生レベルを有していた。硬化済み樹脂試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この硬化済み樹脂試験試料は11秒の自己消火時間を有していた。この材料のKIC値は1440psi−in1/2で測定した。
【0050】
(実施例2)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 37.38重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 18.69重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 16.36重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 6.07重量パーセント
3,3’−DDS 17.06重量パーセント
4,4’−DDS 4.44重量パーセント
【0051】
2種のエポキシ樹脂およびPEIおよびPAI粒子を一緒に室温で混合して、及び120℃で20分間にわたり加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。厚さ0.32cmの樹脂の層を形成した。この樹脂の層をオートクレーブ中で177℃において120分かけて硬化させてエポキシ樹脂組成物の完全に硬化した層を形成した。この硬化した層を、7.6cmx15.2cmx0.32cmの硬化済み樹脂試験試料に切断した。
【0052】
硬化済みラミネート試験試料をボーイング スペシフィケーション サポート スタンダードBSS−7238(改訂版B)およびBSS−7239(改訂版A)に従いSO発生について試験した。この試験試料は100ppmよりも充分に低いSO発生レベルを有していた。硬化済み樹脂試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この硬化済み樹脂試験試料は14秒の自己消火時間を有していた。この材料のKIC値は1390psi−in1/2で測定した。
【0053】
(実施例3)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 37.38重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 18.69重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 11.68重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 10.75重量パーセント
3,3’−DDS 4.44重量パーセント
4,4’−DDS 17.06重量パーセント
【0054】
2種のエポキシ樹脂およびPEIおよびPAI粒子を一緒に室温で混合して、及び120℃で20分間にわたり加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。厚さ0.32cmの樹脂の層を形成した。この樹脂の層をオートクレーブ中で177℃において120分かけて硬化させてエポキシ樹脂組成物の完全に硬化した層を形成した。この硬化した層を、7.6cmx15.2cmx0.32cmの試験試料に切断した。
【0055】
この試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この試験試料は13秒の自己消火時間を有していた。
【0056】
(実施例4)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 38.00重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 19.00重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 11.40重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 11.40重量パーセント
3,3’−DDS 4.52重量パーセント
4,4’−DDS 14.85重量パーセント
ジシアンジアミド 0.83重量パーセント
【0057】
2種のエポキシ樹脂およびPEIおよびPAI粒子を一緒に室温で混合して、及び120℃で20分間にわたり加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。厚さ0.32cmの樹脂の層を形成した。この樹脂の層をオートクレーブ中で177℃において120分かけて硬化させてエポキシ樹脂組成物の完全に硬化した層を形成した。この硬化した層を、7.6cmx15.2cmx0.32cmの試験試料に切断した。
【0058】
この試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この試験試料は17秒の自己消火時間を有していた。
【0059】
(実施例5)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 38.28重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 19.14重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 11.96重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 11.00重量パーセント
3,3’−DDS 4.55重量パーセント
4,4’−DDS 13.87重量パーセント
ジシアンジアミド 1.20重量パーセント
【0060】
2種のエポキシ樹脂およびPEIおよびPAI粒子を一緒に室温で混合して、及び120℃で20分間にわたり加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。厚さ0.32cmの樹脂の層を形成した。この樹脂の層をオートクレーブ中で177℃において120分かけて硬化させてエポキシ樹脂組成物の完全に硬化した層を形成した。この硬化した層を、7.6cmx15.2cmx0.32cmの試験試料に切断した。
【0061】
この試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この試験試料は24秒の自己消火時間を有していた。
【0062】
(実施例6)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 38.28重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 19.14重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 16.75重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 6.21重量パーセント
3,3’−DDS 4.55重量パーセント
4,4’−DDS 14.85重量パーセント
ジシアンジアミド 1.20重量パーセント
【0063】
2種のエポキシ樹脂およびPEIおよびPAI粒子を一緒に室温で混合して、及び120℃で20分間にわたり加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。厚さ0.32cmの樹脂の層を形成した。この樹脂の層をオートクレーブ中で177℃において120分かけて硬化させてエポキシ樹脂組成物の完全に硬化した層を形成した。この硬化した層を、7.6cmx15.2cmx0.32cmの試験試料に切断した。
【0064】
この試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この試験試料は38秒の自己消火時間を有していた。
【0065】
(実施例7)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 32.93重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 32.88重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 9.98重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 9.97重量パーセント
3,3’−DDS 0.00重量パーセント
4,4’−DDS 12.58重量パーセント
ジシアンジアミド 1.66重量パーセント
【0066】
2種のエポキシ樹脂およびPEIおよびPAI粒子を一緒に室温で混合して、及び120℃で20分間にわたり加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。厚さ0.32cmの樹脂の層を形成した。この樹脂の層をオートクレーブ中で177℃において120分かけて硬化させてエポキシ樹脂組成物の完全に硬化した層を形成した。この硬化した層を、7.6cmx15.2cmx0.32cmの試験試料に切断した。
【0067】
この試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この試験試料は51秒の自己消火時間を有していた。
【0068】
(比較例1)
下記組成を有する模範的比較エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 37.38重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 18.69重量パーセント
ポリエーテルスルホン(5003P) 16.36重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 0.00重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 6.07重量パーセント
3,3’−DDS 17.06重量パーセント
4,4’−DDS 4.44重量パーセント
【0069】
ポリエーテルイミドを熱可塑性配合物から除きポリエーテルスルホンを添加した以外は、実施例1、2および3と同一方法で比較エポキシ樹脂組成物を調製し及び硬化させた。硬化済み比較樹脂の0.32cm厚さの層を実施例1、2および3に記載のとおりに試験試料に切断した。樹脂中のポリエーテルスルホン16重量パーセントの存在が100ppmよりも充分に高いSO発生レベルをもたらすことが知られていることから、SO発生レベルは試験しなかった。
【0070】
硬化済み比較樹脂の試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この試験試料は60秒の自己消火時間を有していた。これは本発明に従いポリエーテルスルホンの代わりにポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドの配合物を含有する実施例1、2および3の硬化済み樹脂に係わる予想外に低い自己消火時間(それぞれ、11秒、14秒および13秒)よりもかなり高い。
【0071】
(比較例2)
下記組成を有する模範的比較エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 38.00重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 19.00重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 22.80重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 0.00重量パーセント
3,3’−DDS 4.52重量パーセント
4,4’−DDS 14.85重量パーセント
ジシアンジアミド 0.83重量パーセント
【0072】
ポリアミドイミドを熱可塑性配合物から除いた以外は、実施例4と同一方法で比較エポキシ樹脂組成物を調製し及び硬化させた。硬化済み比較樹脂の0.32cm厚さの層を実施例4に記載のとおりに試験試料に切断した。
【0073】
この硬化済み比較樹脂の試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この試験試料は30秒の自己消火時間を有していた。これは本発明に従いポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドの配合物を含有する実施例4の硬化済み樹脂に係わる予想外に低い自己消火時間(17秒)よりもかなり高い。
【0074】
(比較例3)
下記組成を有する模範的比較エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 38.27重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 19.14重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 22.96重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 0.00重量パーセント
3,3’−DDS 4.55重量パーセント
4,4’−DDS 13.88重量パーセント
ジシアンジアミド 1.20重量パーセント
【0075】
ポリアミドイミドを熱可塑性配合物から除いた以外は、実施例5および6と同一方法で比較エポキシ樹脂組成物を調製し及び硬化させた。硬化済み比較樹脂の0.32cm厚さの層を実施例5および6に記載のとおりに試験試料に切断した。
【0076】
硬化済み比較樹脂試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この試験試料は100秒を超える自己消火時間を有していた。これは本発明に従いポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドの配合物を含有する実施例5および6の硬化済み樹脂に係わる予想外に低い自己消火時間(それぞれ、24秒および38秒)よりもかなり高い。
【0077】
(比較例4)
下記組成を有する模範的比較エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 32.93重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 32.88重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 19.95重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 0.00重量パーセント
3,3’−DDS 0.00重量パーセント
4,4’−DDS 12.58重量パーセント
ジシアンジアミド 1.66重量パーセント
【0078】
ポリエーテルイミドを熱可塑性配合物から除いた以外は、実施例7と同一方法で比較エポキシ樹脂組成物を調製し及び硬化させた。硬化済み比較樹脂の0.32cm厚さの層を実施例7に記載のとおりに試験試料に切断した。
【0079】
硬化済み比較樹脂試験試料を10秒間の垂直燃焼試験に付し、BSS−7230の修正方法F(改訂版H)に従い自己消火時間を測定した。この試験試料は100秒を超える自己消火時間を有していた。これは本発明に従いポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドの配合物を含有する実施例7の硬化済み樹脂に係わる予想外に低い自己消火時間(51秒)よりもかなり高い。
【0080】
上記実施例および比較例は、本発明がSO発生の大きい減少を提供するばかりでなく、また予想外に短い自己消火時間をもたらすことを示している。追加の利点として、これらの改善された燃焼物性は未硬化エポキシ樹脂組成物を含有する未硬化樹脂またはプリプレグの取り扱い上の特性に有害な影響を与えることなく達成される。本発明による硬化済みエポキシ樹脂組成物を配合した複合部品の強度およびその他の構造特性はまた、有害な影響を受けない。
【0081】
下記例は本発明によるマトリックス樹脂を用いて製造された複合材料が予想外に高いOHC値を示すことを証明しており、これはこれらの材料を航空機における基本部品および構造体で使用するのに良好に適するものとしている。
【0082】
(実施例8)
複合材料試料を製造し、BSS−7260に従いOHCについて試験した。実施例2に従い製造された樹脂36.6重量パーセントを含有するプリプレグから複合材料試料を製造した。このプリプレグに使用された繊維状支持体はIM7G一方向炭素繊維テープであった。IM7G繊維テープの面積重量は190gsmであった。プレプラグから16枚ラミネートを製造して、及びオートクレーブ中で177℃で120分間かけて硬化させて、完全に硬化した複合材料試験試料を形成することにより、例示的複合材料を形成した。プリプレグにかかわるレイアップは[+45/0/−45/90]2sである。この複合材料を30.5cmx3.8cmx0.3cmである試験試料に切断した。室温において、試験試料は0°方向(一方向繊維と比較して)で46.6ksiのOHCを有していた。この試料は90°方向で50.5ksiのOHCを有していた。71℃で2週間にわたり水に浸した後、この試験試料の104℃におけるOHCは0°方向で35.2ksiであり、および90°方向で38.0ksiであることが証明された。
【0083】
前記試験試料と同一の方法で第二の試験試料を製造した。この16枚ラミネートは室温において、0°方向で47.2ksiのOHCを有していた。71℃において2週間にわたり水に浸した後、試験試料の104℃におけるOHCは0°方向で35.1ksiであることが測定された。
【0084】
(実施例9)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 36.14重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 18.07重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 15.82重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 9.18重量パーセント
3,3’−DDS 16.49重量パーセント
4,4’−DDS 4.29重量パーセント
【0085】
2種のエポキシ樹脂を一緒に室温で混合し及び120℃に加熱した。70℃において、PEI粒子を添加して、及び2種のエポキシドとともに2時間にわたり120℃に加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させ、及び実施例8と同一の平均粒子サイズを有するPAI粉末を添加し、及び混合した。この混合物を85℃にさらに冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。この樹脂を197gsmの面積重量を有するIM7G一方向炭素繊維と組み合わせて30.8重量パーセントの樹脂含有量を有するプリプレグ層を形成した。このプリプレグを使用して実施例8に記載の方法と同一の方法で例示的16枚未硬化複合材料を形成した。この複合材料をオートクレーブ中で177℃において120分間かけて硬化させて完全に硬化した複合材料を形成し、実施例8の方法と同一の方法で試験試料に切断した。この試料を実施例8と同一の方法で試験し、室温において0°方向で48.2ksiのOHCを有していた。71℃において2週間にわたり水に浸した後、試験試料の104℃におけるOHCは0°方向で34.0ksiであることが測定された。
【0086】
(実施例10)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 36.14重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 18.07重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 12.82重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 12.18重量パーセント
3,3’−DDS 16.49重量パーセント
4,4’−DDS 4.29重量パーセント
【0087】
2種のエポキシ樹脂を一緒に室温で混合し、及び120℃に加熱した。70℃において、PEI粒子を添加して、及び2種のエポキシドとともに2時間にわたり120℃に加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させ、及び実施例8と同一の平均粒子サイズを有するPAI粉末を添加し、及び混合した。この混合物を85℃にさらに冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。この樹脂を197gsmの面積重量を有するIM7G一方向炭素繊維と組み合わせて30.8重量パーセントの樹脂含有量を有するプリプレグ層を形成した。このプリプレグを使用して実施例8に記載の方法と同一の方法で例示的16枚未硬化複合材料を形成した。この複合材料をオートクレーブ中で177℃において120分間かけて硬化させて完全に硬化した複合材料を形成し、実施例8の方法と同一の方法で試験試料に切断した。この試料を実施例8と同一の方法で試験し、室温において0°方向で47.2ksiのOHCを有していた。
【0088】
(実施例11)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 36.14重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 18.07重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 9.82重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 15.18重量パーセント
3,3’−DDS 16.49重量パーセント
4,4’−DDS 4.29重量パーセント
【0089】
2種のエポキシ樹脂を一緒に室温で混合し、及び120℃に加熱した。70℃において、PEI粒子を添加して、及び2種のエポキシドとともに2時間にわたり120℃に加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させ、及び実施例8と同一の平均粒子サイズを有するPAI粉末を添加し、及び混合した。この混合物を85℃にさらに冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。この樹脂を197gsmの面積重量を有するIM7G一方向炭素繊維と組み合わせて、30.8重量パーセントの樹脂含有量を有するプリプレグ層を形成した。このプリプレグを使用して実施例8に記載の方法と同一の方法で例示的16枚未硬化複合材料を形成した。この複合材料をオートクレーブ中で177℃において120分間かけて硬化させて完全に硬化した複合材料を形成し、実施例8の方法と同一の方法で試験試料に切断した。この試料を実施例8と同一の方法で試験し、室温において0°方向で46.3ksiのOHCを有していた。
【0090】
(実施例12)
下記組成を有する模範的エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 36.07重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 18.03重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 19.30重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 5.86重量パーセント
3,3’−DDS 16.46重量パーセント
4,4’−DDS 4.28重量パーセント
【0091】
2種のエポキシ樹脂を一緒に室温で混合し、及び120℃に加熱した。70℃において、PEI粒子を添加して、及び2種のエポキシドとともに2時間にわたり120℃に加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させ、及び実施例8と同一の平均粒子サイズを有するPAI粉末を添加し、及び混合した。この混合物を85℃にさらに冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。この樹脂を197gsmの面積重量を有するIM7G一方向炭素繊維と組み合わせて30.8重量パーセントの樹脂含有量を有するプリプレグ層を形成した。このプリプレグを使用して実施例8に記載の方法と同一の方法で例示的16枚硬化済み複合材料を形成した。この複合材料をオートクレーブ中で177℃において120分間かけて硬化させて完全に硬化した複合材料の例を形成し、実施例8の方法と同一の方法で試験試料に切断した。この試料を実施例8と同一の方法で試験し、室温において0°方向で45.5ksiのOHCを有していた。71℃において2週間にわたり水に浸した後、試験試料の104℃におけるOHCは0°方向で36.9ksiであることが測定された。
【0092】
(比較例5)
下記組成を有する模範的比較エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 39.79重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 19.90重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 17.42重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 0.00重量パーセント
3,3’−DDS 18.16重量パーセント
4,4’−DDS 4.73重量パーセント
【0093】
2種のエポキシ樹脂を一緒に室温で混合し、及び120℃に加熱した。70℃において、PEI粒子を添加して、及び2種のエポキシドとともに2時間にわたり120℃に加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させ、及び実施例8と同一の平均粒子サイズを有するPAI粉末を添加し、及び混合した。この混合物を85℃にさらに冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。この樹脂を197gsmの面積重量を有するIM7G一方向炭素繊維と組み合わせて30.8重量パーセントの樹脂含有量を有するプリプレグ層を形成した。このプリプレグを使用して実施例8に記載の方法と同一の方法で比較用16枚未硬化複合材料を形成した。この複合材料をオートクレーブ中で177℃において120分間かけて硬化させて完全に硬化した複合材料を形成し、実施例8の方法と同一の方法で試験試料に切断した。この試料を実施例8と同一の方法で試験し、室温において0°方向で33.1ksiのOHCを有していた。71℃において2週間にわたり水に浸した後、試験試料の104℃におけるOHCは0°方向で33.1ksiであることが測定された。
【0094】
(比較例6)
下記組成を有する模範的比較エポキシ樹脂組成物を製造した:
三官能性エポキシ(MY0510) 39.92重量パーセント
四官能性エポキシ(MY0721) 19.96重量パーセント
ポリエーテルイミド(ULTEM1000P) 10.68重量パーセント
ポリアミドイミド(TORLON4000TF) 6.48重量パーセント
3,3’−DDS 18.22重量パーセント
4,4’−DDS 4.74重量パーセント
【0095】
2種のエポキシ樹脂を一緒に室温で混合し、及び120℃に加熱した。70℃において、PEI粒子を添加して、及び2種のエポキシドとともに2時間にわたり120℃に加熱して、PEI粒子を完全に溶解させた。この混合物を90℃に冷却させ、及び実施例8と同一の平均粒子サイズを有するPAI粉末を添加し、及び混合した。この混合物を85℃にさらに冷却させて、及び硬化剤を添加し充分に混合して、エポキシ樹脂組成物を形成した。この樹脂は、例えばヘックスプライ(HexPly)(登録商標)樹脂8552のような現存する高性能強化樹脂に類似する粘度および粘着性を有していた。この樹脂を197gsmの面積重量を有するIM7G一方向炭素繊維と組み合わせて30.8重量パーセントの樹脂含有量を有するプリプレグ層を形成した。このプリプレグを使用して実施例8に記載の方法と同一の方法で比較用16枚未硬化複合材料を形成した。この複合材料をオートクレーブ中で177℃において120分間かけて硬化させて完全に硬化した複合部材を形成し、実施例8の方法と同一の方法で試験試料に切断した。この試料を実施例8と同一の方法で試験し、室温において0°方向で44.2ksiのOHCを有していた。71℃において2週間にわたり水に浸した後、試験試料の104℃におけるOHCは0°方向で35.4ksiであることが測定された。
【0096】
本発明の具体的態様について記載したが、当該記載は例示するのみのものであって、種々の代用、適応、および修正を本発明の範囲内で行うことができることは当業者が留意すべきことである。従って、本発明は上記態様によって制限されるものではなく、下記特許請求の範囲によってのみ制限される。
【符号の説明】
【0097】
12 翼
14 胴体
16 尾翼部品
18 補助翼
20 翼前縁
22 翼スラット
24 スポイラー
26 尾翼縁部
28 尾翼縁スラップ
30 方航舵
32 フィン
34 水平安定版
36 昇航舵
38 尾部
40 ヘリコプター回転翼
42 翼桁
44 外面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂組成物を含有する組成物であって、
当該エポキシ樹脂組成物は、
a.1種または2種以上のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂成分50〜70重量パーセント;
b.ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドを含有し、ポリエーテルイミド対ポリアミドイミドの重量比が5:1〜1:5である熱可塑性配合物15〜35重量パーセント;および
c.硬化剤成分5〜25重量パーセント、
を含有し、当該エポキシ樹脂組成物が100ppm以下の二酸化イオウ発生レベルを有する、
組成物。
【請求項2】
当該エポキシ樹脂成分が三官能性エポキシ樹脂および四官能性エポキシ樹脂を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリエーテルイミド対ポリアミドイミドの重量比が3:1〜1:3である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
当該硬化剤は3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンおよびジシアンジアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
繊維状強化材をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
当該組成物が硬化され硬化済み生成物を形成している、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
100ppm以下の二酸化イオウ発生レベルを有するエポキシ樹脂組成物を製造する方法であって、当該方法はエポキシ樹脂を形成する工程を包含し、当該エポキシ樹脂は、
a.1種または2種以上のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂成分50〜70重量パーセント;
b.ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドを含有し、ポリエーテルイミド対ポリアミドイミドの重量比が5:1〜1:5である熱可塑性配合物15〜35重量パーセント;および
c.硬化剤成分5〜25重量パーセント;
を含有する、方法。
【請求項8】
当該エポキシ樹脂組成物を繊維状支持体と組み合わせてプリプレグを形成する追加の工程を包含する、請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物を製造する方法。
【請求項9】
当該プリプレグを硬化させる追加の工程を包含する、請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物を製造する方法。
【請求項10】
未硬化複合部品であって、樹脂マトリックスおよび繊維状強化材を含有し、
当該樹脂マトリックスは、
1種または2種以上のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂成分50〜70重量パーセント;
ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドを含有し、ポリエーテルイミド対ポリアミドイミドの重量比が3:1〜1:3である熱可塑性配合物20〜35重量パーセント;
硬化剤成分5〜25重量パーセント;
を含有する樹脂マトリックス、および、
繊維状強化材;
を含有する、
未硬化複合部品。
【請求項11】
ポリエーテルイミド対ポリアミドイミドの重量比が2:1〜1:2である、請求項10に記載の未硬化複合部品。
【請求項12】
ポリエーテルイミド対ポリアミドイミドの重量比が2.5:1〜2.9:1である、請求項10に記載の未硬化複合部品。
【請求項13】
熱可塑性成分の量が当該樹脂マトリックスの22重量パーセント〜24重量パーセントである、請求項12に記載の未硬化複合部品。
【請求項14】
当該繊維状強化材が一方向繊維を含有する、請求項10に記載の未硬化複合部品。
【請求項15】
当該エポキシ樹脂マトリックスが硬化されている、請求項10に記載の未硬化複合部品を含有する複合部品。
【請求項16】
当該複合部品が航空機の基本構造体の少なくとも一部分を形成している、請求項15に記載の複合部品。
【請求項17】
室温において当該複合部品が少なくとも45キログラム/平方インチの開口圧縮値を有する、請求項15に記載の複合部品。
【請求項18】
プリプレグを製造する方法であって、
a.1種または2種以上のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂成分50〜70重量パーセント;
b.ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドを含有し、ポリエーテルイミド対ポリアミドイミドの重量比が3:1〜1:3である熱可塑性配合物20〜35重量パーセント;
c.硬化剤成分5〜25重量パーセント;
を含有するマトリックス樹脂を供給する工程、および、
当該マトリックス樹脂を繊維状強化材と組み合わせてプリプレグを得る工程、
を包含する、方法。
【請求項19】
当該マトリックス樹脂を硬化させて硬化済み複合部品を形成する追加の工程を包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
当該硬化済み複合部品が航空機の基本構造体の少なくとも一部分を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
室温において当該複合部品が少なくとも45キログラム/平方インチの開口圧縮値を有する、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−505267(P2012−505267A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530197(P2011−530197)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/059088
【国際公開番号】WO2010/042369
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(503308494)ヘクセル コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】