説明

改良型のトンネル換気装置

出口流(8)を加速する先細ノズル(7)の導入によって、トンネル内に設置されるファン(2)の長手方向スラストを高める換気装置。ある角度をなす連絡管(6)が、特定の角度(36)で流れを変えることができる。複数ファンが、共通入出口プリナムに接続され、1個以上の先細ノズルを供給することができる。双方向流が、ファンの両側に先細ノズルを取り付けることによって達成されることができ、バイパスダンパがファンと2個のノズルとの間に任意選択で設置される。ノズル後縁が複数ローブ、シェブロンまたはトングで形状化されることができ、および、ファン中央体が複数ローブで形状化されることができる。水ミストのような火災抑制作用物が、ファンとノズル後縁との間の配管に供給されることができる。音響消音が、ノズルおよびファン中央体上の吸収材料を使用して達成されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良型のトンネル換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルは、種々の理由のために換気を必要とする場合がある−例えば適切な空気品質を確実にするか、火災の場合には煙の広がりを制御するかまたは温度を許容範囲に低下させるため。換気の機能は、当該のトンネルの種類に関連がある−車両用トンネル(道路、鉄道および地下鉄)は、一般に通常動作中に高い空気品質、および火災の場合には煙制御を必要とし、一方ケーブルトンネルは冷却、煙制御および一定量の空気交換を必要とする。鉱山トンネルおよびステーショントンネルも、生理的、冷却および煙制御要件に対する適切な換気を必要とする。複数の代替換気システムが、これらの要件を達成するために設計者に利用できる。(関連した国家ガイダンスに従い、一方向の通行のトンネルに対して長さで最高ほぼ3kmの)短いおよび中程度長道路トンネルに対して、長手方向換気システムが通常最も費用効率が高い解決策を提供すると見いだされる。いくつかの鉄道トンネル内に使われる長手方向換気システムで最も単純な種類において、中間トンネル換気シャフトが空気を供給するかまたは引き抜くのに用いられ、それが、空気の長手方向流がトンネルに沿って生成されるようにする。より一般的に、長手方向換気システムは所望の方向にトンネル気流を押すためにジェットファンまたはインパルスノズルを備える。
【0003】
インパルスノズルは約30m/sの高速度で、エアージェットをトンネル内にもたらす。このエアージェットは、その運動量の大部分をトンネル空気に与えて、それゆえに、所望の方向にトンネル空気を駆動するのを助ける。エアージェットの運動量の一部分が、トンネル表面上の摩擦抗力に起因して、および、ジェットが影響を与える任意のブラッフボディ上の形状抗力に起因して失われる。Marco Saccardoは、(特許文献1)の特許を受けた。この元々の特許は、鉄道トンネルを換気するエアージェットの使用を記述した。
【0004】
従来のインパルスノズルは、ファンチャンバ内でファンによって生成される空気を用いてトンネル内に空気を供給する。このファンチャンバは、従来は、トンネル入口またはシャフトより上に構成され、ここで、空気が外側からくみ出されて、次いでトンネル長手方向軸線に対して浅い角度で(典型的に、30度以下の角度で)トンネル内に供給される。トンネル軸線とジェットを位置合わせして、それゆえに、生成されることができる潜在的スラストを最大にするために、高速度ジェットが、トンネルユーザに迷惑をかけるかまたは危険にさらすのを回避し、かつ、トンネルの床面に沿って流れるジェットに起因する摩擦損失を最小限に抑えるように浅い角度が通常選ばれる。
【0005】
インパルスノズルからトンネル空気に流れるエアージェットによって与えられるスラストは、以下の運動量交換式で記述されることができる:
T=mVηcos(θ) (式1)
ここで
T=エアージェットからトンネル空気に与えられるスラスト[ニュートン]
m=エアージェットの質量流量[キログラム毎秒]
=エアージェットの速度[メートル毎秒]
η=設置効率[無次元]
θ=ジェットとトンネル軸線との間の角度[ラジアン]
上記の式において、設置効率ηは、複数の空力パラメータの関数に従い、スラストを減少させる(η<、1)かまたは増大させる(η>1)ことができる。トンネル下面または床面に沿ったジェットの摩擦のような非可逆過程によって、典型的に1を下回る値への、設置効率の低下が生じる。しかしながら、それは(非特許文献1)の中で、不均一トンネル速度プロファイルが1より上の設置効率の値(上述した論文内に『運動量交換係数』と呼ばれた)に至ることができることが報告された。
【0006】
ジェットファンと比較して、インパルスノズルはトンネル内で換気装置のために何のスペースも必要でない利点を有し、換気システムに関するメンテナンスを行うのにトンネルに対する何のアクセスも必要でないので、必要なメンテナンス措置がより単純であり、トンネル内の火災の場合にはファン損傷の危険性がかなり低く、トンネル内の雑音レベルが減少し、および概ね、ジェットファンオプションと比較して必要なファンの数は減少する。しかしながら、インパルス換気オプションは各入口でのファンチャンバの構築を必要とし、ノズルのすぐ近傍で高い気流速度を発生させ、およびより複雑な制御システム、例えばインバータ駆動を備えた可変速度ファンを必要とすることになる。
【0007】
ジェットファンは概ね通行許容範囲の外側で、トンネル内で高レベルに設置される。ジェットファン設置の典型的な位置は、ジェットファンの収容のために特に造られるトンネルくぼみ内の、およびトンネル壁と下端との間のコーナ内のトンネル下端である。高レベルでのジェットファンの設置は下の車両および歩行者の移動のための物理的なクリアランスを与えて、更にジェットファンからの高速度エアージェット(一般的に30ないし40m/s)を、それらが占有ゾーンに入る前に、受け入れられるレベル(約10m/s)に減衰することを可能にする。
【0008】
最大の潜在的スラストを発生させるために、ジェットファンから出る空気のジェットは、入口または別のジェットファンに遭遇する前に下流に多大な距離減衰することができなければならず−一般的に、約10水力トンネル直径のスペーシングが、推奨される。大部分のジェットファン設置が換気システムの双方向動作を必要とするので、ジェットファンは通常トンネル入口の近傍に設置されない。その代わりに、それらはトンネル内に深く設置され、それはケーブル布線のコストを上昇させる。
【0009】
ジェットファンからトンネル空気へ出る空気によって生成されるスラストは、以下の運動量交換式を通して記述されることができる:
T=m(V−V)ηcos(θ) (式2)
ここで
T=ジェットからトンネル空気に与えられるスラスト[ニュートン]
m=エアージェットの質量流量[キログラム毎秒]
=エアージェットの速度[メートル毎秒]
=トンネル空気の速度[メートル毎秒]
η=設置効率[無次元]
θ=ジェットとトンネル軸線との間の角度[ラジアン]
【0010】
ジェットとトンネル長手方向軸線との間の最も適切な角度を選ぶ際に、複数の問題が考慮されなければならない。ジェットファンと(壁および下端を含む)トンネル表面との間の距離に従い、約3度を下回る浅い角度が、ジェットとトンネル表面との間に低圧ゾーンを作り出すことができ、およびそれによって、ジェットにその表面に接着させる−『コアンダ効果』と呼ばれる現象。
【0011】
(非特許文献2)が、先細ノズルから出るフリージェットに対して25°ないし27°の展開角の範囲および円筒管から出るフリージェットに対して29°を報告した。中心線風速の減衰はBaturinによって提案された相関から見積られることができ、それは実験データの検討に基づく。しかしながら、表面に付着するジェット(コアンダ効果)に対して、(非特許文献3)が、付着噴流への空気の制限された巻込みに起因して、付着噴流に対する中心線速度がフリージェットのそれより最高40%高くなることができることを見いだした。
【0012】
コアンダ効果によって、追加的摩擦抗力およびそれゆえに、ジェットによって生成される実効スラストの減少が生じる。トンネルの中心線の方へ角度をつけられるエアージェットは境界となるトンネル表面から分離されることができ、および、それゆえに、より大きいスラストが生成されることができる。しかしながら、占有ゾーンで生成されることができる並びに歩行者および(重い貨物自動車のような)高い側面を持った車両にとって危険な状態に至るかもしれないより大きい風速に対向して、この利点はバランスをとられなければならない。
【0013】
ジェットが、自由なままであるかまたはトンネル軸線に対して異なる角度でトンネル表面に付着するどうかは、表面の方へジェットを押すように働く圧力に対する、表面に垂直の方向のジェットの運動量力の比率に依存する。トンネル軸線と平行して出るジェットに対して、近くの表面(下端、壁または両方とも)に対する付着がジェット放出平面の2、3メートル内で起こりやすい。
【0014】
計算流体力学(CFD)計算は、トンネル中心線の方への7°以上のような比較的大きい角度によって、ジェットがトンネル床面に付着して、下流に若干の距離高速で流れることができることを示唆する。しかしながら、ジェットより上の気流速度が煙制御の臨界速度より下であってもよい。この状況下で、火災からの煙が火源から若干の距離上流に実際に移動する場合があり、『逆層化』と呼ばれる現象である。煙のこの種の逆層化は、火源の上流にいる人への危険性を表すことができる。
【0015】
過去の(特許文献2)が、ジェットファンからの気流を3度と25度の間の角度の範囲に向ける一方法を記述し、それがこの種のジェットファンによって生成されるスラストを改善すると主張されている。しかしながら、提案された大きいジェット角度は、トンネル床面へのジェットの付着およびトンネル内の煙の起こりうる逆層化の観点から上で概説された欠点に至るかもしれない。
【0016】
別の(特許文献3)が、サイドノズルを通して空気のジェットを供給する、垂直軸に取り付けられるファンを使用することを提案した。しかしながら、この方法は90度以上の角度を通して換気装置内で気流を向けることが必要であり、望ましくない圧力損失が結果として生じる。この種の圧力損失は駐車場用途に対しては許容できるかもしれないが、かなり高い気流が必要なことに起因して、トンネルに対してはそうではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】英国特許第2026号、「トンネルを換気するための改善された方法と装置」、1898年
【特許文献2】欧州特許第EP 1050684号
【特許文献3】欧州特許第EP 1598604号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】M.Tabarra他、「Saccardoエジェクタの復活−歴史、基本原則および応用」(車両トンネルの空気力学および換気に関する第10回国際シンポジウム、ボストン、米国、2000年11月1−3日)
【非特許文献2】V.V.Baturin、「工場換気の基本原則」(1972、Pergamon、オックスフォード、イギリス連邦)
【非特許文献3】I.M.C.Farquharson、「換気エアージェット」(1952、JIHVE、19、449−69)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
出願人は、トンネル換気システムの改善に対する有効範囲が残っていると信じる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、トンネル内に換気を供給するトンネル内の設置のための装置であって、
換気流を発生させるためのファンまたは複数ファンと、
ノズルの貫通孔の長手方向軸線がファンまたは複数ファンの回転軸線に概ね平行であるように、ファンまたは複数ファンに連結される貫通孔を有するノズルと、を備えるファンアセンブリであって、
このファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべきトンネルに入るためにアセンブリを出る前にノズルの貫通孔を貫通するように、配置されるか配置可能なアセンブリを備え、そして、
換気流の速度を、ファンまたは複数ファンによってファンまたは複数ファンでの流れに与えられる第1の速度から、トンネルへのノズル放出での第2のより高い速度に増大するために、それがトンネルへの放出の前にファンロータからノズルを通して通過するにつれて、ノズルが、使用中にファンまたは複数ファンからの換気流を加速するように働くように、ノズルの貫通孔の断面積がファンまたは複数ファンから離れる方向に減少する、ことを特徴とする装置が提供される。
【0021】
本発明のトンネル換気装置は、とりわけ、トンネル内に設置されることができる換気流を生成するためのファンを備える。これは、上で議論したように、トンネルを換気するための「ジェットファン」の周知の使用に類似している。
【0022】
しかしながら、本発明の装置は流れがファンアセンブリを出る(およびしたがって、使用中にトンネルに入る)前に、ファンからの換気流がそれを通して向けられるノズルを更に備える。
【0023】
ノズルの貫通孔およびファンの回転軸線が、概ね平行であるように(すなわちファンからの流れおよび使用中にノズルを通しての流れが概ね平行であるように)配置される。これは、ファンからの流れがノズルを貫通するために多大な角度(例えば90°)で向きを変えなければならない(それは、多大な圧力損失に結びつくことがありえる)のを防ぐ。
【0024】
さらに、その断面積がファンから離れる方向に狭くなるように、ノズルが形状化される。これによる効果は、ファンが使用中に生成することができる換気流の方向に、ノズルの貫通孔が狭くなるということである。
【0025】
換言すれば、本発明のファンアセンブリでは、ファンによって生成される換気流は、それがアセンブリを出る(かつトンネルに入る)前に、先細ノズル中を通過する。
【0026】
これによる効果は、ファンによって生成される換気流がノズルによって加速され、およびそれでトンネル空気(または他のガス、例えば煙または水蒸気)に追加的なスラストを与えるということである。
【0027】
特に、上で議論したように、ノズルの効果は、ノズルの出口で、それがファンまたは複数ファンを出るにつれて、流れ(ファンまたは複数ファンそれ自体によって与えられる速度)と比較して、加速された(より高い速度を有する)換気流を与えるためであるはずである。
【0028】
したがって、本発明の換気装置はトンネル内に高められた長手方向スラストを与えることができる。これは、先細ノズルを用いてファンからの出口流を加速することで達成される。
【0029】
これは、例えば、より少ないファンアセンブリが所定のトンネル換気必要度に対して必要とされ、それによってコストならびに調達および設置に対する他の要件を減少させるはずであることを意味する。
【0030】
特に、上の式1および2を参照して、ジェットファンによって生成されるスラストが、ジェットファンの放出速度に比例し、および、それゆえに、空気の同じ質量流量を前提として、ジェット速度の増大が、スラストの比例した増大を生成することができる。出願人は、したがって、ファンの下流の配管内に付着される先細ノズルが気流を加速し、それゆえに、トンネル空気に追加的なスラストを与えることができると認識した。
【0031】
亜音速ノズルを横切る圧力降下は、
ΔP=1/2・ρV (式3)
でおよそ与えられ、ここで、
ΔP=ノズルを横切る圧力降下[パスカル]
ρ=空気の密度[mあたりキログラム]
=ノズル放出でのエアージェットの速度[メートル毎秒]
式3の主要な近似化はノズルの内表面上の表面摩擦抗力の軽視を関連づけ、それは通常比較的小さな量の表面摩擦に起因する合理的な仮説である。
【0032】
先細ノズルの存在に起因するジェット速度の増大がより大きい空力圧力降下に至るであろうことが、式3から得られる。単なる例示として、30m/sから50m/sへのジェット速度の増大は、1.2kg/mの空気密度を仮定して、540Paから1500Paへのノズル圧力降下の増大を意味するであろう。ファンを通しての質量流量が変化しないと仮定して、ジェット速度の増大によって、この種のノズルによって供給されるスラストが67%増大するであろう。
【0033】
上記から明らかなように、本発明の装置内の先細ノズルを横切る追加的な圧力降下がある。消費される電力が圧力降下と体積流速の積に比例するので、これはファンによる消費電力の増大に至るかもしれない。
【0034】
しかしながら、出願人は、本発明によって、実質的に、トンネル内に現在使用されている大きい数のより低電力のファンよりむしろ、より少ない数のより高電力のファンが使われることができるはずなので、これが本発明の許容できる特徴であることを認識した。
【0035】
トンネル中心線の方へファンからの排気流を向けるように先細ノズルを用いて、トンネル表面に沿った摩擦で無駄になることではなく、トンネル空気に与えられる空力スラストの割合の顕著な改善が、得られることができる。この物理的な現象を表す別の方法は、本発明が、従来のジェットファン設計と比較して、より少ない電力がスラストの単位あたり必要であるように配置されることができると述べることである。
【0036】
したがって、選ばれる本発明の特定の態様に従い、本発明を備えた全体的な消費電力要件が、実際、従来のジェットファン設計のそれに同様であるかまたはより少ないものであってもよい。さらに、本発明を使用するときに必要であるはずのより少ない数のファンが、ジェットファンくぼみの構築のためのファン調達、設置、ケーブル布線および/または土木工事コストの低減に関する多大な利点を可能にする。
【0037】
本発明はさらに、トンネルを換気する本発明の装置の使用に、および、本発明の装置を含むトンネル換気システムに及ぶ。
【0038】
したがって、本発明の第2の態様によれば、トンネルを換気する一方法であって、
トンネル内に設置されるファンまたは複数ファンを使用してトンネルの全長に沿って換気流を生成するステップと、
換気流がトンネルに入る前に、ファンまたは複数ファンに連結されて、ファンまたは複数ファンと概ね平行して取り付けられるノズルの貫通孔を通してファンまたは複数ファンからの換気流を通すステップであって、その断面積がファンまたは複数ファンから離れる方向に減少するように、ノズルの貫通孔が形状化され、それによって、ノズルはそれがトンネルに入る前に、ファンまたは複数ファンによってファンまたは複数ファンでの流れに与えられる第1の速度からトンネルへのノズル放出での第2のより高い速度に、換気流の速度を増大するためにファンまたは複数ファンからの換気流を加速するステップと、を含む方法が提供される。
【0039】
本発明の第3の態様によれば、トンネル換気システムであって、
トンネル内に設置されて、かつ使用中にトンネルに沿って換気流を生成することが可能なよう配置される1台以上のファンアセンブリであって、
そして、トンネルに取り付けられるこのファンアセンブリの少なくとも1台が、
換気流を生成するためのファンまたは複数ファンと、
ノズルの貫通孔の長手方向の軸線がファンまたは複数ファンの回転軸線に概ね平行であるように、ファンまたは複数ファンに連結される貫通孔を有するノズルと、を備え、
このファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべきトンネルに入るためにアセンブリを出る前にノズルの貫通孔を貫通するように、配置されるか配置可能な、ファンアセンブリを備え、そして、
換気流の速度を、ファンまたは複数ファンによってファンまたは複数ファンでの流れに与えられる第1の速度から、トンネルへのノズル放出での第2のより高い速度に、増大するために、それがトンネルへの放出の前にファンロータからノズルを通して通過するにつれて、ノズルが、使用中にファンまたは複数ファンからの換気流を加速するように働くように、ノズルの貫通孔の断面積がファンまたは複数ファンから離れる方向に減少する、ことを特徴とするトンネル換気システムが提供される。
【0040】
本発明の装置、方法およびシステムで使われるファンは、任意の適切なこの種のファン、すなわちトンネルに沿って換気流を生成するのに適しているファンであることができる。
【0041】
換気流は、周知のように典型的に、および、好ましくは気流を備える。しかしながら、本発明は他の形態のガス状の換気流、例えば空気、煙、水蒸気および蒸気の混合物が生成されることになっている所で、適用可能である。
【0042】
換気されるべきトンネルの寸法および性質に従いファンの寸法および出力は、例えば、変化することができる、しかし、典型的なトンネル(道路、鉄道、地下鉄、坑道)に対して、適切なファンパラメータは0.5mから2mまでの内径および5m/sから100m/sのファンを通しての体積流量であろう。サイレンサ、整流器および連絡管を含む、ファンアセンブリの全長はファン直径の倍数として測定されることができる。ファンアセンブリの典型的な長さは、ファン直径の1倍から10倍の範囲であることができる。
【0043】
ファンは、周知のように典型的に長手方向に延伸する駆動軸またはファン中央体に取り付けられるファンロータを備え、例えば、ファンロータおよび中央体を取り囲んで取り付ける適切なハウジングを有する。
【0044】
ファンは、例えば必要換気流に従い、要望どおり、単一のファンロータまたは(同じ駆動軸またはファン中央体上で)直列に取り付けられる複数のファンロータを備えることができる。
【0045】
ファンアセンブリが、例えば共通のノズルに換気流を供給するように直列に配置されるか、または(例えば、複数のファンが、例えばノズルを供給する共通出口プレナム経由で、共通の先細ノズルに連結されるように)単一のノズルに換気流を供給するように並列に配置される複数のファンを備えることもまた可能であろう。増大された換気流が要求される所で、または、ファン具備にある程度の冗長性が必要な所で、これは望ましいであろう。
【0046】
例えば必要に応じて、例えば各々直列にまたは並列に(または両方とも)それら自体のノズルを備えた、複数のファンアセンブリを設けることもまた可能であろう。
【0047】
好ましい一実施態様において、各ファンは、例えば、および、好ましくは、ノズルと共に動作させる時に必要なスラストの供給を含む必要空力目標を達成するために、選択されたファン(複数ファン)をノズルと適合させるように、ノズル(複数ノズル)の存在に適合させるかまたはそれを考慮するために構成される。
【0048】
例えば、先細ノズルの存在に起因した追加的な圧力降下によって、ファンの動作点が、より高い圧力でより少ない質量流量を供給するように変わることができる。好ましい一実施態様において、ファンが、または、複数ファンが、(この傾向を克服しようとするために)これを考慮するように、すなわち、使用中に供給される質量流量を増大するように、構成される。例えば、ファンロータブレードの外形、ブレードピッチ角、ファン速度および/または直列のファンロータの数が、好ましくは、使用中に供給される質量流量を増大するように選ばれ、および/または変更される。
【0049】
本発明の装置内のファン(または複数ファン)に連結されるノズルは、上で議論したように、ファン(または複数ファン)から離れる方向にノズルを通して換気流を「収束させ」、かつそれによって、ファン(複数ファン)からのガス流動を加速するために、その断面積がファン(または複数ファン)から離れる方向に減少する貫通孔を有しなければならない。この要件が満たされる限り、ノズルは所望のように構成されることができる。
【0050】
換言すれば、貫通孔の断面積が収束する、すなわちより大きい断面積からより小さい(および好ましくは最小の)断面積までそれに沿って減少する、ノズルの貫通孔の少なくとも1セクションまたは部分が、なければならない。ノズルの貫通孔のこの収束セクションのより大きい部分が、ファンまたは複数ファンにより近く、すなわち、ファンまたは複数ファンにより近い点でより大きい断面積を有するノズルの貫通孔に沿ったセクションがあり、かつ貫通孔の断面積がより小さい断面積(および好ましくはノズルの貫通孔の最小の断面積)(およびファンロータ(複数ロータ)で配管の(合計)断面積より小さい断面積)を有するノズルの貫通孔内の点までファンまたは複数ファンから離れる方向に(ファン(または複数ファン)からの換気流の方向に)それに沿って減少する、ように取り付けられなければならない。
【0051】
上で議論したように、ファンまたは複数ファンからの流れを加速するためにノズルの効果がなければならない。ノズルはしたがって、ファンロータまたは複数ロータでファン配管の総断面積未満である断面積に収束しなければならない。ノズルは、それでファンまたは複数ファンからの流れを加速する効果を有する。複数のファンが単一のノズルに連結されるところで、ノズルはしたがって、ノズルに連結される全てのファンのファンロータで、配管の断面積の合計未満である断面積に収束しなければならない。
【0052】
理解されるであろうことは、本発明がそれに応じてまた、この形状のノズルおよびファン配置の使用および具備に及ぶということである。
【0053】
したがって、本発明の更なる態様によれば、トンネル内に換気を与えるトンネル内の設置のための装置であって、
換気流を生成するための、かつファン配管に取り囲まれるファンまたは複数ファンと、
ノズルの貫通孔の長手方向の軸線がファンまたは複数ファンの回転軸線に概ね平行であるように、ファンまたは複数ファンに連結される貫通孔を有するノズルと、を備えるファンアセンブリであって、
このファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべきトンネルに入るためにアセンブリを出る前にノズルの貫通孔を貫通するように、配置されるか配置可能なアセンブリを備え、そして、
ノズルの貫通孔の断面積がファンまたは複数ファンから離れる方向に、ファンのロータの、または複数のファンがあるところで、複数ファンの複数ロータの位置で、配管の断面積未満である断面積まで減少することを特徴とする装置が提供される。
【0054】
理解されるであろうことは、この配置がまた、本願明細書に記載されている本発明の他の態様において使われることができることである。したがって、更なる態様によれば、本発明はトンネルを換気する方法、トンネル換気システム、その他を提供し、そこにおいて、ノズルの貫通孔がファンまたは複数ファンから離れる方向に、ファンのロータの、または複数のファンがファンまたは複数ファンに連結されるところで複数ファンの複数ロータの位置で配管の断面積未満である断面積まで、減少する。
【0055】
ノズル中の孔の断面積は、好ましくは円滑で単調な方法で、(例えば、および、好ましくは、ノズルの接続点の位置からファン配管まで)、好ましくは貫通孔の最小の断面積の位置まで次第に減少する。ノズルの貫通孔の最小の断面積は、その『幾何学的スロート』を意味することができる。
【0056】
1つの好ましい実施態様において、ノズルの最小の断面積の位置はその出口平面である。この場合、ノズルの貫通孔はその出口におけるよりその入口でより大きな断面積を有し、および、ファン(または複数ファン)に最も近いノズルの貫通孔の端は、ファン(または複数ファン)から最も遠いノズルの貫通孔の端より大きな断面積を有する。
【0057】
しかしながら、最小の断面積を有する貫通孔内の点(平面)がノズルの出口に位置することは必要でなく、および、ノズルの貫通孔がファンから離れる方向に、例えば一定の貫通孔断面積で、最小の断面積の位置から延出されることができ、または実際に、最小の断面積の点を越えて再びより大きくなることができる。後者の場合には、ノズルは、なおファン(複数ファン)からの流れを加速する役目をし、排気ジェットは任意の急な拡大の位置でノズル貫通孔の内表面から離れてノズルの貫通孔まで分離しそうである。
【0058】
幾何学的スロートを延伸するか否かの選択は、(さらに下で論じられるように)例えば、騒音コントロール、吸音処理および火災抑制を含む、本発明の複数の特徴の選択に依存することができる。
【0059】
例えば、さらに下で論じられるように、ノズルの出口でベルマウス移行部を設ける(すなわちノズルの貫通孔を拡大する)ことが有益かもしれない。したがって、特に好ましい一実施態様において、ノズルの貫通孔はファンから離れる方向に貫通孔が最小の断面積を有する点まで収束し、次いでその点を越えて拡がる。
【0060】
また、ここで注意しなければならないのは、本発明が、および本発明の形の「ノズル」または「複数ノズル」に対する参照が、使用中にファンから外側の環境(トンネル)への流れに対する密封経路を形成する(または形成することができる)貫通孔を有し、および、貫通孔が貫通孔に沿った方向に断面積の減少する収束部分をこの貫通孔が有する、任意の形状の構造を包含することを意図する、ということである。したがって、例えば、本発明は、騒音減衰(消音)(例えば収束サイレンサ)を実行するおよび/または特定の方向に流れを向けるように配置されるような種類の貫通孔を有する装置のような、他の機能(それらの主要機能としてまたは二次機能としてのいずれか)を同様に実行するような種類の配置を包含する。
【0061】
ノズルの貫通孔がその最小の断面積を有する点に対するファン断面積の比率として規定される絞り比(ファン断面積は、ファンロータ(複数ロータ)の位置の配管の(合計)断面積である)は、好ましくはファンアセンブリが最適長手方向スラストを供給するように選ばれ、その一方で、占有トンネルゾーン内の風速が許容範囲内にとどまることを確実にする。
【0062】
本発明のトンネル換気アセンブリに対する絞り比が1.05から5.0の範囲内にあることが好ましい。絞り比の下界(1.05)は、商用の実行可能性考慮から生じ、適度なだけの追加的なスラストがノズルを設置するコストから得られる。絞り比の上界(5.0)は、出願人の経験で通常、ファンに対する失速ラインにまたはそれより上に位置し、それゆえに、この種の用途に対する最大の可能な動作点を表す値に対応する。
【0063】
好ましい一実施態様において、ノズルの絞り比が1.1から3.0の範囲内にある。1.25の絞り比が、少なくともいくつかのファン形状に対して特に好ましいと見いだされた。
【0064】
ノズルの貫通孔の断面形状は、好ましくは表面摩擦、再循環および淀んでいる流れのような影響に起因する空力損失を最小限に抑えるように設計されている。単一のファン(または同軸的に直列に配置される一組のファン)を含むアセンブリに対して、ファン配管の円形断面に適合させるために、円形断面を備えたノズル貫通孔が選ばれることが、好ましい。共通矩形プリナムに放出する複数のファンを含む組立によって、ノズルは好ましくは矩形断面を有する貫通孔によって設計される。
【0065】
ノズルの後縁(出口)の断面は、騒音抑制を含む複数の目的のために、選ばれ、および/または、変えられることができる。
【0066】
好ましい一実施態様において、ノズルの貫通孔の(すなわちその内表面の)幾何学形状はノズルの入口点(入口)および出口(出口)平面で流れの向きと実質的に平行である。
【0067】
好ましい一実施態様において、ノズルの貫通孔はその中心線に対して対称である。
【0068】
1つの好ましい実施態様において、ノズルの出口(排気口)の中心線はノズルの入口の中心線と一致する。
【0069】
別の好ましい実施態様において、ノズルの出口(排気口)の中心線はノズルの入口の中心線と一致しない。これは例えば、ファンおよびノズルアセンブリがトンネルの天井のくぼみ内に設置されるべき所で、望ましいであろう。
【0070】
一実施態様において、ノズルの出口の中心長手方向軸線がノズルの入口の中心長手方向軸線に平行であること、および別の実施態様において、ノズルの出口の中心長手方向軸線がノズルの入口の中心長手方向軸線に平行でなく、しかし、それに対して最高15度の角度で位置すること、が同様に好ましい。この後者の配置は、例えば、ノズルからの流れを、トンネルの長手方向軸線と平行によりむしろ、トンネルの中心線の方へ向けることを要求される所で、望ましいであろう。
【0071】
ノズルは、それが任意の所望で適切な形態で関連しているファン(または複数ファン)に連結されることができる。それは、例えば、ファンのハウジングが一体的に形成されていてもよく、または、それは、例えば、ファンまたは複数ファン(のハウジング)に取り付けられることができる別個の構成要素であってもよい。
【0072】
上で議論したように、ノズルは、ノズルの貫通孔(ノズル中の流れ)がファンまたは複数ファンからの(ファンの回転軸線への)換気流の方向と概ね平行であるように、ファンまたは複数ファンに連結される。好ましい一実施態様において、ノズルの出口(放出)(ノズルを出る流れの方向)でのファンの回転軸線とノズルの貫通孔の長手方向軸線との間の角度は、0°から15°の範囲内である。1つの好ましい実施態様において、ノズルは、ノズルの貫通孔(ノズル中の流れ)がファンまたは複数ファンからの(ファンの回転軸線への)換気流の方向と実質的に平行であるように、ファンまたは複数ファンに連結される。
【0073】
ノズルはまた、ファンまたは複数ファンと、(ファンの回転軸線に対して、またはファンの少なくとも1本の回転軸線に対して)同軸でなければならず、および好ましくは概ね同軸である、とはいえ、再び、ファンの回転軸線とノズルの貫通孔の長手方向軸線との間にある角度があってもよい。ノズルの軸線がファンの軸線からオフセットされることもまた可能であろうが、その場合には、オフセットがノズルの軸線をファンの断面領域の外側に持っていくべきではない。本発明の1つの好ましい実施態様において、ノズルの一縁部がファン配管の縁部と同軸である(すなわち、ノズルの軸線と半径方向のファンのオフセットが、ファンを含む配管の直径とノズル出口の幅(または直径)との間の差の半分であるように設定される)。別の好ましい実施態様において、ノズルの貫通孔の長手方向軸線が、ファンの回転軸線または複数のファンがある所で複数ファンの1本の回転軸線と実質的に同軸であるように、ノズルがファンまたは複数ファンに連結される。
【0074】
ノズルおよび/またはその貫通孔は、好ましくはジェット気流への周囲の空気の巻込みの率を高めるためにおよび/またはノズルから出るジェットの実効長を短縮するために形状化される。これは、トンネル内の空気(または他のガス)上のファンまたは複数ファンの有効スラストを高めて、高い風速にさらされるかもしれないトンネルの全長を減少させるのを助ける。それは、また、トンネル内の高速空気の放出によって生成されるノイズを減少させるのを助けることができる。
【0075】
好ましい一実施態様において、ノズルの出口部分(例えば幾何学的スロート)が、さらに、または、その代わりに、使用中に空力ノイズを減少させるためにノズル放出で渦構造体(ノズルの放出で減らされる渦の形状および寸法)を制御するために構成され、および/または形状化される。
【0076】
例えば、ノズルはスカラップ状後縁を有するために、および/またはその後縁周辺で2個以上のローブを含むために形状化されることができる。例えば、好ましくはトンネル気流内に突き出るために湾曲されるかまたは曲げられる、2個以上のシェブロンまたはトングが、さらに、またはその代わりに、この目的のために、ノズルの後縁(出口または遠位縁)周辺に設けられる。
【0077】
特に好ましい一実施態様では、ファン(または複数ファン)の中央体がノズルに達して、および最も好ましくはノズルの出口平面に、および、好ましくはそれを越えて延伸する。これは、ファン環状路からノズルへの任意の急な膨張と関連するノイズを回避するのを助ける。
【0078】
ファンの中央体がノズル放出(出口平面)にまたはそれを越えて延伸するところで、ノズルの内側表面とファンの中央体の外部表面との間の一定のラジアル距離がノズルの出口平面内のファンの中央体の円周のまわりで維持されるように、その点でのファンの中央体の外側(周囲の)表面が、好ましくはノズルの放出(出口)でノズルの内部表面に合致するかまたは対応するために形状化される。これは、さらに雑音レベルを減少させる。
【0079】
好ましい一実施態様において、音響吸収材料がノズルの貫通孔の内部表面の一部または全てにおよび/またはファンの中央体の外表面の一部または全てに施着される。これは、装置の使用中にノイズを減少させるのを助ける。任意の適切な音響吸収材料が、例えば消耗耐性外装品を備えた音響等級無機質ファイバのような、この目的のために使われることができ、かつ穿孔された鋼板によって保護されて収容されることができる。この配置において、ノズルは、実質的に、収束「サイレンサ」とみなされることができる。
【0080】
本発明の装置(ファンおよびノズルアセンブリ)は、トンネル内に設置されるのに適している。それは、好ましくは天井または壁に、例えば換気されるべきトンネルの天井または壁のくぼみ内に、設置されるのに適している。好ましい一実施態様において、この装置が、ファンおよびノズルを支持しておよび/または取り付け、かつ、それがトンネル内の装置の使用のためにトンネル内に(トンネルの天井または壁に)固定されるかまたは設置されることができる、支持体および/またはハウジングを含む。
【0081】
使用中のトンネル内のノズルの流出角は、好ましくは、トンネルの占有ゾーン内の風速を制御するために選ばれて配置される。
【0082】
1つの好ましい実施態様において、トンネルの長手方向軸線と実質的に平行である方向に、ノズルから出るジェット気流が吹くように、ファンおよびノズルアセンブリがトンネル内に設置されるかまたは設置されることが可能である。
【0083】
これは、(天井実装されたファンアセンブリの)トンネル天井のコアンダ効果を促して、したがって、トンネルの主本体部(例えばトンネルの占有ゾーン)内の高い風速の危険性を低下させる。コアンダ効果に起因する追加的摩擦効果は、本発明で生成される増大された空気ジェット速度によってなお有意に克服されることができる。
【0084】
別の好ましい実施態様において、ファンおよびノズルアセンブリがノズルからの流れをトンネルの長手方向中心線の方へ向けるために配置される。例えば、トンネルの占有ゾーン内に過多な風速の何の危険性もない所で、換気流がトンネルの中心線の方へ向けられることができ、かつ好ましくは向けられる。
【0085】
この場合、流れはなおトンネルの全長に実質的に沿ったものでなければならないが、流れはトンネルの長手方向軸線と平行して向けられることよりむしろ、トンネルの中心線の方へ斜めに向けられることができる。
【0086】
1つの好ましいこの種の配置において、ノズルからの流れが、トンネルの長手方向軸線に対して最高15度の角度でトンネルの中心線の方へ向けられる。
【0087】
これらの配置では、流れは任意の適切かつ所望の方法でトンネルの中心線の方へ向けられることができる。例えば、ファンおよびノズルアセンブリは適切な方向に傾けられることができる。
【0088】
しかしながら、好ましい一実施態様において、ファン(または複数ファン)がトンネルの長手方向軸線と実質的に平行の方向に吹くように配置され、および、ノズルがファンからの流れを所望の方向に向けるように配置される。
【0089】
これは、例えば、それがノズルを通して移動するにつれて、流れを向け直すために形状化されるノズルの貫通孔によって達成されることができる。
【0090】
代わりとして、ファンに対して斜めにノズルを取り付けるために、例えばノズルとファンとの間にある角度の連絡管を含むことによって、ノズルの貫通孔の長手方向の軸線がファンの軸線に対して適切な角度で位置するように、ノズルがファン(または複数ファン)に連結されることができる。
【0091】
これらの配置において、ノズルの出口(遠位端)平面でのノズルの貫通孔の長手方向軸線は、好ましくはファンの回転(長手方向)軸線に対して最高15°の角度である(ここで、0°の角度は、ノズルの軸線とファンの軸線が平行であることを意味する)。
【0092】
したがって、1つの好ましい実施態様において、ノズルを通しての(空気)流の方向は、ファン(または複数ファン)を通して流れる(空気)流と実質的に平行であり、および、別の好ましい実施態様において、ファンおよびノズルは、好ましくはファン(または複数ファン)によって生成される(空気)流の方向に対して最高15°で、ノズルを出る(空気)流が向きを変えられるように配置される。
【0093】
特に好ましい一実施態様では、本発明のファンアセンブリは水ミストのような、火災抑制作用物のファンの下流の換気流(およびノズルの後縁(出口)の上流)への(すなわちファンとノズルの後縁との間の)注入を可能にするための手段を含む。出願人が認識したことは、本発明の装置が、装置によって生成されるジェット気流が作用物を効果的にトンネルに運んで供給するように働くので、使用中に火災抑制作用物を効果的に供給するのに用いられることができる、ということである。
【0094】
特に好ましいこの種の配置において、火災抑制作用物が最小の断面積の点の近傍(例えばそれが最小の断面積を有するノズルの後縁(ノズルの出口)で)(好ましくはそのすぐ上流)でまたはその中に(ノズルの貫通孔に)注入される。これは流速が高い流れに作用物を注入するが、対応する静圧は低く、それによってジェット気流に火災抑制作用物のより効果的供給を与える。好ましくは、火災抑制作用物はノズルの幾何学的スロート内に注入される。ノズルの幾何学的スロートは、必要に応じて、火災抑制作用物の放出に対するスペースを可能にするように広げられることができる。
【0095】
水ミストのような、任意の適切な火災抑制作用物が使われることができる。水ミストが選ばれる場合、散水ノズルが換気装置にミストを供給するのに用いられることができる。好ましくは、散水ノズルは、最小の空力圧力降下を誘導するために、気流とおよそ平行な角度で、水ミストを放出するように配置される。
【0096】
火災抑制作用物を供給するための手段は、任意の所望のおよび適切なこの種の手段であることができる。例えば、複数の開口が、作用物が使用中に(空気)流にそれを経由して注入されることができるノズルの幾何学的スロート(の周囲)のまわりに配置されることができる。同様に、ノズルの外側は、それが火災抑制作用物の適切な供給源に接続されることができるように、供給管および適切な取付け部品およびカップリング、その他を備えていることができる。
【0097】
トンネルを換気するよう要望どおり、本発明のファンおよびノズル装置が使われることができる。
【0098】
例えば、(各トンネル入口の近傍内の)換気されるべきトンネルの各先端に、1台のファンおよびノズルアセンブリを設置することが十分でもよい。したがって、1つの好ましい実施態様において、本発明の換気システムが本発明の装置の形の(トンネルの各入口に1台が設置される)2台のファン配置を備える。
【0099】
トンネル入口の近傍内の先細ノズルを備えたファンの設置は、トンネルの各入口での従来のインパルスノズルの使用に類似しているが、入口より上に何のファンチャンバも造られる必要がないという追加的利点を伴う。トンネルの全長、必要冷却または換気回数および想定された火災シナリオに依存して、本発明に従う入口ベースの換気装置を備えた設備は適切なトンネル換気能力を提供することができる。入口へのそれらの近接に起因して、ファンへのケーブル布線のコストは最小限に抑えられることができる。
【0100】
入口ベースのファンおよびノズルアセンブリによってもっぱら与えられることができるそれを越えた空力スラストが必要であるところで、例えば換気されるべきトンネルの全長のため、その時、追加的なファン配置が使用中に追加的な空力スラストを与えるためにトンネル内に設置されることができる。
【0101】
この場合さえ、必要なファンの数およびケーブル布線のコストは、先細ノズルのない等価ファンオプションと比較してかなり低下されることができる。
【0102】
この場合、トンネル内に設けられるべき任意の追加的なファンアセンブリが、「入口」ベースの装置だけが本発明の装置の形式である場合でさえ、なお利点があるので、従来のジェットファン配置で(すなわち本発明の装置のノズルなしで)、あってもよい。しかしながら、特に好ましい一実施態様では、トンネル内に設置される任意のファンアセンブリが、本発明の装置の形式である。
【0103】
したがって、好ましい一実施態様において、本発明のトンネル換気システムはトンネルに沿って離間した間隔で配置される(かつ共に動作のために構成される)本発明の複数のノズルおよびファンアセンブリを備える。
【0104】
入口ベースの換気装置よりすぐ下の火災シナリオの場合には、これらの換気装置が火災の影響に起因して損傷を受けるかもしれない可能性がある。しかしながら、トンネル内に設置される任意のジェットファンの助けを借りて、遠い入口で換気装置を使用してトンネルから煙を吹き飛ばすことが可能なはずである。トンネルからの人々の避難および救急隊による救助努力は、事故のない入口経由で遂行されることができる。入口ベースの換気装置が損傷を受ける可能性がある任意の火災が、関連した入口に非常に近い傾向があり、それで、避難距離は、少なくとも火災の初期段階では、きわめて短い。
【0105】
理解されるであろうことは、本発明の装置がトンネル内に(およびトンネルの入口から離れて)設置されることになっているところで、その時、ファンアセンブリが、双方向流が可能であることが好まれることができる、ということである。したがって、好ましい一実施態様において、本発明の装置のファンまたは複数ファンは、双方向に吹くことが可能である。これは、任意の所望で適切な方法で達成されることができる。
【0106】
ファンアセンブリのファン(または複数ファン)が双方向に吹くことが可能であるところで、その時、本発明のアセンブリはなお単一のノズルだけを有することができ、その場合に一方向のファン吹込みに対して、ファンからの流れがノズルを貫通するが、もう一方の方向に対して、ファンからの流れはノズルを貫通しない。
【0107】
しかしながら、ファン(または複数ファン)が2つの(対向する)方向に吹くことができる特に好ましい一実施態様において、アセンブリは、各先端に本発明の形式のノズルを含み、かつ、本発明の方法で、すなわち、ファン吹込みのどちらかの方向に対してファン(または複数ファン)からの流れがトンネルに入る前に適切に配置された先細ノズルを貫通するように配置される。
【0108】
したがって、特に好ましい一実施態様では、本発明のファンアセンブリが、換気流を生成するためのファンまたは複数ファンであって、双方向に吹くことが可能なファンまたは複数ファンと、
ノズルの貫通孔の長手方向軸線がファンまたは複数ファンの回転軸線に概ね平行であるように、ファンまたは複数ファンの片側で連結される貫通孔を有する第1のノズルと、
ノズルの貫通孔の長手方向軸線がファンまたは複数ファンの回転軸線に概ね平行であるように、ファンまたは複数ファンの反対側で連結される貫通孔を有する第2のノズルと、を備え、
このアセンブリが
1つの方向のファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべきトンネルに入るためにこのアセンブリを出る前に第1のノズルの貫通孔を貫通するように、かつ、
反対方向のファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべきトンネルに入るためにアセンブリを出る前に第2のノズルの貫通孔を貫通するように、配置されるかまたは配置可能であり、
換気流の速度を、ファンまたは複数ファンによってファンまたは複数ファンでの流れに与えられる第1の速度から、トンネルへのノズル放出での第2のより高い速度に増大するために、それがトンネルへの放出の前にファンロータからノズルを通して通過するにつれて、ノズルが、使用中にファンまたは複数ファンからの換気流を加速するように働くように各ノズルの貫通孔の断面積が、ファンまたは複数ファンから離れる方向に減少し、および/または
各ノズルの貫通孔の断面積が、ファンのロータの、または、複数のファンがあるところで複数ファンの複数ロータの、位置で、配管の断面積未満の断面積までファンまたは複数ファンから離れる方向に減少することを特徴とする。
【0109】
理解されるであろうことは、ファン(または複数ファン)が双方向に吹くことが可能な所で、ファンまたは複数ファンへの入口流が、原則として、ファンまたは複数ファンに入る前にノズルを(または、原則として、アセンブリが、各流れの向きに対して1個ずつ、すなわち2個のノズルを有するところで)貫通する必要があるかもしれない、ことである。これは、入口流をファンまたは複数ファンに制限することになる。
【0110】
したがって、双方向ファン(複数ファン)が使われる、1つの特に好ましい実施態様において、ファンまたは複数ファンおよびノズル(または複数のノズルがある所で複数ノズル)が、ガス(空気)が使用中に(ファンまたは複数ファンのその側に連結されるノズルを貫通しなければならないことなく)ノズルを最初に貫通することなくファンまたは複数ファンに(外側から)流れ込むことができてもよいように、配置される、すなわち、ファン(または複数ファン)およびノズル(複数ノズル)が、ファン(または複数ファン)へのガス(空気)流がファン(または複数ファン)のその(入口)側に連結される任意のノズルを迂回することができるように、配置される。
【0111】
これは要望どおり達成されることができる、しかし、好ましいこの種の一実施態様において、ダンパのようなバイパス手段が、このためにノズルを迂回するファン(または複数ファン)への入口流を可能にするように動かされることができるノズルとファン(または複数ファン)との間に(または各ノズルとファンとの間に)取り付けられる。従って、好ましい一実施態様において、ファンアセンブリは好ましくは、ファンまたは複数ファンとノズルとの間に(またはファンもしくは複数ファンと各ノズルとの間に)ダンパのような、バイパス手段を含む。
【0112】
ここで理解されるであろうことは、ノズルが迂回されることができるこれらの配置において、ノズルを通して来る若干の入口流がまだあってもよく、および、実際に、ノズルを完全に迂回する必要はない、ということである。むしろ、バイパス配置はノズルの貫通孔を通しての流路に加えて、ファン入口(複数入口)への流路を設けることを目的とする。好ましくは、ノズルを通しての吸気のための正味面積の、および、(オープン)バイパス配置の合計が、ファンロータ(複数ロータ)の位置での配管の(合計)断面積以上であるよう配置される。
【0113】
空気がノズルを誤って迂回する危険性を減少させるために、バイパス手段の上流組だけが開けられ、一方下流バイパス手段が常に閉じられるように、バイパス手段、例えばダンパの間に機械または電子インターロックが設けられることが好ましい。この文脈において、用語『上流』および『下流』はファンまたは換気アセンブリ内のガス流動の方向を指す。
【0114】
しかしながら、出願人がまた認識したことは、この種のバイパス手段の具備は、常に必要ではないかもしれず、および、例えば多くの状況において、それは、「入口」側(使用中の)のノズルが充分な吸気を供給し、いかなる形の「バイパス」配置も設けるかまたは使用する何の必要もない場合であるかもしれない、ということである。これは、例えば、それがバイパス配置と関連した追加コスト、メンテナンス、故障の危険性、その他を回避することができるので有利であることができる。
【0115】
したがって、双方向ファン(複数ファン)が使われる、1つの特に好ましい実施態様において、ファンまたは複数ファンおよびノズル(または複数のノズルがある所で複数ノズル)が、(外側からの)ファンまたは複数ファンへの(唯一の)ガス(空気)入口が、ファンまたは複数ファンのその側のノズルを通して(経由で)ある、すなわち、ノズルを迂回することができるファン(または複数ファン)へのガス(空気)流を可能にする何のバイパス手段もない、ように配置される。
【0116】
唯一の吸気がファンまたは複数ファンの入口側でノズルを通してあるこれらの配置において、その時、それが唯一の給気口として働くときに、これがノズル内の流れの剥離を回避するように助けなければならないのでノズル貫通孔内表面の各々がノズル軸線に対して15度以下の角度で位置することが好ましい。ノズルがファン(複数ファン)の入口として働くときに、吸気平面で流れの剥離を回避するようにこれが再び助けなければならないので、使用中にファン(複数ファン)に対してノズルの遠位端であるもので(すなわちノズルの貫通孔に対して最小の断面積のその点の後で再び拡がる)ベルマウス移行部を設けることもまた好ましい。
【0117】
本発明がファンおよびノズルアセンブリの特定の形状または複数形状の具備に対して特定の参照を上記したとはいえ、出願人が認識したことは、本発明の形状のファンアセンブリにジェットファンアセンブリを変換するために、本発明の方法で既存のジェットファンに構想される形状の先細ノズルを取り付けることによって、本発明の原理が、適切なジェットファン配置を使用するすでに既存のトンネル換気システムに関して等しく適用されて活用されることができる、ということである。
【0118】
本発明は、したがって、既存のトンネル換気ファンアセンブリへの先細ノズルまたは複数ノズルのこの種の取付けに及ぶ。
【0119】
したがって、本発明の第4の態様によれば、トンネル内に換気流を供給するように配置されるファンまたは複数ファンを備えたファンアセンブリを変更する一方法が提供され、この方法が、
その断面積が貫通孔に沿った一方向へ減少する貫通孔を有するノズルを、その方向のノズルを通しての流れがノズルによって加速されるように、ファンまたは複数ファンに連結し、
ノズルの貫通孔の長手方向の軸線が、ファンまたは複数ファンの回転軸線と概ね平行であり、
ファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべきトンネルに入るためにアセンブリを出る前にノズルの貫通孔を貫通するように、この連結されたファンおよびノズルアセンブリが配置されるか配置可能であるようにし、かつ、
換気流の速度を、ファンまたは複数ファンによってファンまたは複数ファンでの流れに与えられる第1の速度から、トンネルへのノズル放出での第2のより高い速度に増大するために、それがトンネルへの放出の前にファンロータからノズルを通して通過するにつれて、ノズルが、使用中にファンまたは複数ファンからの換気流を加速するように働くようにノズルの貫通孔の断面積がファンまたは複数ファンから離れる方向に減少するようにする、ステップを含む。
【0120】
したがって、本発明の第5の態様によれば、トンネル内に換気流を供給するように配置されるファンまたは複数ファンを備えたファンアセンブリを変更する一方法が提供され、この方法が、
ファンまたは複数ファンに、その方向のノズルを通しての流れがノズルによって加速されるように、ファンのロータのまたは複数のファンがあるところで複数ファンの複数ロータの位置で、その断面積がファン配管の断面積未満である断面積まで、貫通孔に沿って一方向へ減少する貫通孔を有する、ノズルを連結し、
ノズルの貫通孔の長手方向軸線が、ファンまたは複数ファンの回転軸線と概ね平行であり、
ファンまたは複数ファンによって生成される換気流が換気されるべきトンネルに入るためにアセンブリを出る前にノズルの貫通孔を貫通するように、この連結されたファンおよびノズルアセンブリが配置されるか配置可能であるようにし、かつ
ノズルの貫通孔の断面積がファンまたは複数ファンから離れる方向に減少するようにする、ステップを含む。
【0121】
当業者に認識されるように、本発明の本態様は本願明細書に記載されている本発明の好ましくて任意選択の特徴の任意の一つ以上または全てを含むことができ、かつ好ましくは実際に含む。したがって、例えば、ノズルはファンまたは複数ファンの両側に取り付けられることができる。同様に、ノズル(複数ノズル)は好ましくは、スカラップ状など、後縁、火災抑制作用物の注入を可能にするための手段、ダンパのようなバイパス手段、などを有するような、本願明細書に記載されている好ましいノズル特徴を含む。
【0122】
本発明は同様に、このためにファンアセンブリに取り付けるために設けられることができるノズルに、それに応じてまた及ぶ。
【0123】
したがって、本発明の第5の態様によれば、トンネル内に換気流を供給するためのファンに取り付けるための一ノズルが提供され、このノズルが、
その断面積が、その方向のノズルを通しての流れがノズルによって加速されるように貫通孔に沿って一方向に減少する貫通孔、を備える。
【0124】
当業者に認識されるように、本発明の本態様は本願明細書に記載されている本発明の好ましくて任意選択の特徴の任意の一つ以上または全てを含むことができ、好ましくは実際に含む。したがって例えば、ノズルは好ましくは、スカラップ状など、後縁、および/または火災抑制作用物、などの注入を可能にするための手段、を有することのような、本願明細書に記載されている好ましいノズル特徴の一つ以上を含む。
【0125】
同様に、それが双方向配置の唯一の給気口として働く場合、これがノズルによる流れの剥離を回避するように助けなければならないので、ノズル貫通孔内表面の各々がノズル軸線に対して15度以下の角度で位置することが好ましい。ノズルが双方向配置のファン(複数ファン)の入口として働くときに、吸気平面で流れの剥離を回避するようにこれが再び助けなければならないので、ノズルの貫通孔がその最小の断面積に収束し、そして次に、最小の断面積のその点の後で再び拡がることもまた好ましい。
【0126】
例えば、ノズルの貫通孔がその最小の断面積に収束した点の後に、ベルマウス移行部が好ましくは設けられる。
【0127】
本発明は、トンネルの任意の所望で適切な形態の換気を与えるのに用いられることができる。本発明が、道路、鉄道または地下鉄トンネルのような車両用トンネルの特定の用途を有することが、構想される。それがまた、他のトンネル、例えば鉱山、ステーショントンネルまたはケーブルトンネルにおいて使われることができる。また、ここで理解されなければならないことは、「トンネル」に対する参照が、本願明細書において、本発明が適用されることができる、完全にまたは部分的に密封されるかどうかにかかわらず、全ての形式の「トンネル」構造体を包含することを目的とする、ということである。したがって、例えば、トンネルに対する参照は本願明細書においてまた、例えば、および、文脈が別の方法で要求しない限り、シャフト、横坑、坑道および交差通路を包含する(および必要に応じて、本発明が、この種の構造体に等しく使われて適用される)。好ましい実施態様では、本発明が車両用トンネル内に使われる。
【0128】
本発明のファンアセンブリは、任意の所望で適切な方法で使用中に動作させられることができる(および、使用中に、このために適切な制御手段を含むかまたはそれに連結されるべきである)。例えば、周知のように、ファンはトンネル内の空気品質またはトンネル内の火災の場合には煙制御を改善するように動作させられることができて、要望どおり、トンネルに沿って1つのまたは他の方向に吹くように制御されることができる。
【0129】
通常トンネルに必要な双方向気流を供給するために、入口の近傍内のファンアセンブリが、トンネルの中央の方へ向けられるよう配置されることができ、および例えば、ファン制御ロジックが上流入口のファンだけを動作させるように配置されることができ、その一方で、下流入口のファンは非活性化されるであろう。中間のトンネルファンが、適切な方向に吹くように配置されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
本発明の複数の好適な実施態様が次に、例としてのみ、かつ添付図面を参照して記載され、そこにおいて、
【0131】
【図1】本発明に従うトンネル入口の近傍内に設置される換気装置の第1の実施態様を示す。
【図2】本発明の第2の実施態様における動作中の2台のファンを備えた、ひとそろいの3台のインパルスファンの平面図配置を示す。
【図3】本発明の第3の実施態様における、双方向換気装置を示す。
【図4】楕円曲線を使用する対称ノズル設計を有する本発明の一実施態様を示す。
【図5】楕円曲線を使用する非対称ノズル設計を有する本発明の一実施態様を示す。
【図6】非対称先細ノズルを備えた、入口の近傍のトンネルのくぼみ内に設置される換気装置の一実施態様を示す。
【図7】本発明の実施態様における、長方形断面トンネルに対する可能なファンアセンブリ配置を示す。
【図8】本発明の実施態様における、丸天井トンネルに対する可能な空気取入口配置を示す。
【図9】中央体のないローブ種類先細ノズルを示す。
【図10】形状化された中央体を備えたローブ種類先細ノズル端を示す。
【図11】後縁シェブロンを備えた先細ノズルを示す。
【図12】ノズルの幾何学的スロートに火災抑制作用物の供給源を備えた先細ノズルを示す。
【図13】ファンアセンブリの動作条件を例示するグラフである。
【図14】入口の近傍内に設置される2台のファンアセンブリによる、トンネルを換気する一方法を示す。
【図15】ファンの前のバイパス装置のない、軸流双方向換気装置を示す。および、
【図16】ファンの前のバイパス装置のない、かつ、定められたノズル角を備えた、双方向換気装置を示す。
【図17】入口案内翼を備えた、一方向性換気装置を示す。
【図18】通行許容範囲に対するクリアランスを維持すると共に、出口流れ角を最適化するように設計されている双方向換気装置を示す。
【図19】先細ノズルを含む換気装置の端面図を示す。
【図20】双方向換気装置の三次元表示を示す。
【図21】双方向換気装置に対する、ノズル面積比率の関数としての設置されたスラストの典型的な変化を示す。
【0132】
同様な参照番号が、図の全体にわたって同様な構成要素に対して使われる。
【発明を実施するための形態】
【0133】
図1を参照して、これは、本発明の第1の実施態様の側面図を示す。
【0134】
本実施態様において、ファン(2)を備えたファンアセンブリが、トンネル入口(9)の近傍内に設置される。気流(8)は、ベルマウス移行部(1)を通してファン(2)に入って、中央体(20)で支えられるファンロータ(4)のサイレンサ上流(3)および下流(5)を貫通する。気流は、トンネル(12)の中心線の方へ特定の角度(36)で向けられることができる先細ノズル(7)(すなわち、この場合にその入口からその出口に、その貫通孔が断面積の減少するノズル)の貫通孔(31)を通して、かつ、ある角度をなす連絡管(6)の設置によってトンネル下端(10)から離れるように向けられる。流れ角は、トンネル床面(11)へのジェットの付着を回避するように配置される。
【0135】
上で示されて論じられたように、ノズルは、ファンロータの位置でファンロータを取り囲む配管の面積未満である断面積に収束する。これは、ノズルが流れを、それがファンから「離れる」時のその速度から、それがノズルを出る時のより高い速度に加速するように働くことを意味する。
【0136】
図2は、ファンアセンブリがひとそろいのファンを含む、本発明の第2の実施態様の平面図を示す。このアセンブリは、トンネル内の入口の近傍内に再び設置されることができる。気流(8)は共通入口プリナム(13a)を通してファンに入り、それがファンアセンブリ(換気装置)への全体的な入口圧力降下を減少させる役目をする。複数のファンが、メンテナンスに起因して使用可能でないかまたはバックアップ装置としてだけ機能し、閉じたダンパ(15)を使用して気流経路から遮断されることができる。使用可能なファンが、共通排気プレナム(13b)内へ開いたダンパ(14)を通して流れを駆動する。流れは次いで、ある角度をなす連絡管(6)を通して、および、先細ノズル(7)に向けられる。ファンからの流れを複数の先細ノズルに向けることもまた、可能である。
【0137】
再び、ノズルの最小の断面積が各ファンロータで配管の合わせた断面積未満であり、その結果、ノズルがファンからの流れを加速するように働く、ことがここで強調されなければならない。
【0138】
図3は、トンネル内に再び設置されることができる双方向換気装置を提供する本発明の第3の実施態様の側面図を示す。図3によって提供される例は左から右に流れる気流(8)を示す、しかし、反対側の気流方向が右から左にまた、同じファンアセンブリを通して可能である。可逆ファンロータ(4)が、ノズル(7)を通して、更に、ノズル(7)を迂回する入口流を可能にする開いたダンパ(14)を通して空気を吸い込む。ノズルおよび開いたダンパを通しての吸気の正味面積の合計は、好ましくは、ファンロータでの配管の断面積以上であるように配置される。ファンからの放出で、閉じたダンパ(15)はもう一つの先細ノズルに流れを向け、それがトンネル内に空気を放出する。
【0139】
開いたダンパ(14)内のブレードが、好ましくはそれらを横切る空力圧力降下を最小限に抑えるために、特定の角度で開くように配置される。この種の開き角は、トンネルからファンアセンブリへの流れ流線の円滑な流れを確実にする。
【0140】
図4は、楕円曲線を用いて本発明のファンアセンブリ(換気装置)に用いられる先細ノズル(7)を設計する好ましい一方法を示す。ノズルへの入口で、楕円(17a)がノズルの入口平面と位置合わせされるその軸線の1本とともに描かれる。これは、楕円(17a)への接線がノズル(7)の中心線(24)に平行で、それゆえに、流れの剥離の危険性および以降の空力圧力降下およびノイズ問題を減少させることを確実にする。第2の楕円(17b)が、ノズルの出口平面と位置合わせされるその軸線の1本とともに描かれる。これは楕円(17b)への接線がノズル(7)の中心線(24)と平行で、および、ノズルはしたがって、その排気口で等流分布を生成しそうであることを確実にする。楕円曲線(17a)と(17b)との間の合流点で、2つの楕円形状曲線が接し、および、それゆえに、それらの勾配は同一である。これは、2つの楕円形状曲線間の合流点でいかなる潜在的流れの剥離をも回避するために、重要な考慮すべき事柄である。この対称のノズル例において、ノズルの残りの半分は最初の半分と同一であるように設計され、その中心線(24)について反映される。円曲線を使用して楕円を近似することもまた可能である。但し、ここで記載されている同じ空力の考慮すべき事柄があてはまる。
【0141】
図5は、本発明のファンアセンブリ(換気装置)に用いられる非対称先細ノズル(7)を設計する好ましい一方法を示す。非対称先細ノズルでは、ノズル排気口の中心線(24)はノズル入口の中心線(25)と一致しない。換気装置が局部的なトンネル拡張またはくぼみ(図6を参照)内に設置されるべき、または、コアンダ効果の低減が必要である場合に、この種の非対称ノズルは最も有益である。対称ノズルの好ましい設計と同様に、楕円曲線(17a、17b)がノズルの最上部を構成するように図5内に提示され、その一方で、異なる組の2つの楕円曲線がノズルの下部を構成するように使われる。ノズルに対する入口および出口位置で、楕円曲線は前記入口および出口位置に位置合わせされるそれらの軸線の1本とともに描かれる。楕円曲線(17a)と(17b)との間の合流点で、2つの楕円形状曲線が接し、および、それゆえに、それらの勾配は同一である。円曲線を使用して楕円を近似することも再びまた、可能である。
【0142】
図6は、トンネル天井くぼみ内に図5に示すようなノズル(7)を備えたファンアセンブリの設置を示す。
【0143】
図7は、長方形断面道路トンネル内のファンアセンブリの好ましい一実施態様を示唆する。この図が示すのは、本発明のために必要なスペースが、従来のジェットファンのために必要なそれ以下であるが、本発明から手に入る、より高い空力スラストの多大な利点を伴う、ということである。
【0144】
図8は、丸天井道路トンネル入口の近傍内の空気取入口(18)に利用できるスペースを例示する。空気取入口は、トンネルの通行許容範囲(19)より上に構成される。この大きい空気取入口は、図2に示すひとそろいの換気装置に空気を供給することができる。1つの換気装置に対するメンテナンスまたは損傷の場合には、この配置は設計されたトンネル換気解決策内にある程度の冗長性を設けることができる。スペースが利用可能な場合、同じ空気取入口配置が長方形断面トンネルに適用されることができる。
【0145】
図9はその後縁上に複数のローブ(16)を備えた先細ノズル(7)を表し、ノイズの生成を減少させて、先細ノズルの下流のエアージェットの実効長を短縮するように設計されている。図9は5個のローブを備えた好ましい解決策を示す。但し、2個以上のローブを備えたノズルもまた、改善された音響およびジェット巻込み特性を有する。
【0146】
図10は複数のローブを備えた先細ノズルの後縁の端面図を示し、それは、ノズルによって生成されるノイズを減少させ、かつ、ジェットへの巻込みの率を増大する、効果を有する。図10によって提供される例は8個のローブを備えたノズル後縁(21)を示し、それが同じ数のローブを備えた形状化されたファン中央体(20)内に再現される。本実施態様において、ノズル後縁およびファン中央体上のローブは、ファン中央体とノズル(21)の内側表面との間の広く一定のラジアル距離Lがノズル出口の円周周辺で維持されるように、互いに面するように配置される。
【0147】
図11はノズルの後縁の翼形中心線(23)周辺に位置するトングまたはシェブロン(27)によってノズル後縁が形状化されるファン中央体(20)を備えた先細ノズル(7)を示す。トングまたはシェブロンはV字形またはU字型を含む、種々の形状を有することができ、かつ、トンネル気流に突き出るような方法で湾曲されるかまたは曲げられることができる。これらの突起は、トンネル気流とノズル気流の混合を補助して、それゆえに、ノズルの音響および空力性能を改善する役目をする。
【0148】
トンネル換気の主要な目的は火災からの煙の広がりを制御することであり、および、本発明はいずれの種類のトンネル火災の発生をも能動的に抑制する手段を提供することができる。
【0149】
図12は、これを達成することができる本発明の実施態様の説明図を提供する。
【0150】
本実施態様において、ノズル(7)は気流に火災抑制作用物を注入するための手段を含み、使用中にノズルに火災抑制作用物を放出するために、先細ノズル(7)内に設置される供給管(28)によって供給される1個以上の散水ノズル(29)を備える。
【0151】
本実施態様において、火災警報が確認された場合、火災抑制作用物(例えば水ミスト)がノズル後縁のすぐ上流のノズルの幾何学的スロート(30)内で、ファンの下流に放出され、ノズル後縁で、配管内の風速が高く、および、対応する静圧が低い。火災抑制作用物が、ノズル内の高い風速によって運ばれて、先細ノズル(7)の下流の迅速に膨張するジェットを通してトンネルに沿って広げられる。トンネルの完全なカバレージが、したがって、限定された数の換気装置から与えられることができる。
【0152】
さまざまな水性およびガス状の火災抑制作用物が、利用可能であり、考慮に適しているであろう。例えば、微細な水ミスト粒子は、重力の作用に起因してトンネル床面に落ちるかまたはより大きい水粒子に合体する前に、トンネルの下流の相当な距離を運ばれる可能性がある。
【0153】
好ましい一実施態様において、音響消音がノズルの内部表面内の吸収材料の具備を通して与えられる。吸収材料は、好ましくは消耗耐性外装を備えた音響等級無機質ファイバとして指定されて、穿孔された鋼板で保護されて収容される。任意の別個のファンサイレンサ(5)が長さを減少されるかまたは省略されさえすることができるので、これは換気装置の全長の低減に導くことができる。
【0154】
延長したファン中央体(20)が使われる場合、追加的な消音が中央体の外表面上の吸収材料の設置を通して可能である。
【0155】
上で議論したように、本発明は、ファンの一方または両方の側面上に先細ノズルを後から取付けることによって、トンネル内にすでに設置されているファンから得られるスラストを高めるのに用いられることができる。
【0156】
図13は例示的なファン特性曲線(P対V、ここでPが圧力であり、および、Vが体積流速である)を示すグラフであって、ノズルがファンに取り付けられているときに、動作点の変化を例示する。図は、ノズルがファンに取り付けられているときに、体積流速がVからVに落ちることを示唆する。しかしながら、VはなおV’より大きい。ここで、V’はVからの定出力ライン上に位置する。それゆえに、新規な動作点がファンの失速ラインの下にある限り、先細ノズルの設置がファンによって生成される増大されたスラストに至る傾向にある。この理由は、変更された動作点が元の動作点と比較されるとき、所定の速度およびブレード形状に対する体積流速対風圧特性が圧力と体積流速の間の定出力関係より概ね急勾配であるということである。ファン出力要求は下流の先細ノズルの設置によって上昇しそうであり、および、この出力の大部分が気流へ伝えられ、増大された空力スラストに至る。
【0157】
ノズルのないジェットファンによって生成されるスラストと比較して、その時達成するためにファンまたは複数ファンの排気側で、本発明の方法でノズルを使用するときに換気装置のスラストの増大、ファンアセンブリのファン特性(ファンアセンブリのP対V曲線)は、好ましくは
−∂P/∂V>2ρV/V (式4)
を満たすのに十分に『急勾配』であるように構成され、ここで、
V=換気装置を通しての空気の体積流量[m毎秒]
P=ファン静圧[パスカル]
=エアージェットの速度[メートル毎秒]
ρ=空気(当該の流体)の密度[mあたりキログラム]
以下を含む複数の単純化仮定が、上の式4の導出においてなされた:
・ノズルを通しての圧力降下は、全体的な風圧低下を支配すると仮定される。
・ジェット速度Vは、トンネル風速VTより非常に大きいと仮定される。
・ファン特性(P−V曲線)は、関連した範囲内で線形と仮定される。
・ノズル内の表面摩擦は、小さいと仮定される。
【0158】
図14は、必要長手方向スラストを生成するために、どのように複数のファンアセンブリが入口の近傍内に配置されることができるかについて例示する。2台のファンアセンブリが図14内に表される。但し、特定のトンネルの幾何学的限界まで、任意の数のファンアセンブリが使われることができる。ファンアセンブリは、遠い入口の方へ気流を駆動するように構成される。トンネル気流で生成される長手方向スラストは、各ファンアセンブリによって供給される個々のスラスト値の合計である。反対方向に気流を駆動する機能を与えるために、遠い入口の近傍内に別の組のファンアセンブリが必要であろう。
【0159】
図14内に例示される方法において、所望の方向に空力スラストを生成するために、特定の入口の1台以上のファンアセンブリが、任意の瞬間に使用可能でもよい。トンネルの正の加圧が必要なところで、煙の侵入を近傍のトンネル、シャフトまたは交差通路から妨げるために、両方の組の入口のファンアセンブリが、同時に動作させられることができる。2つの入口の等しくない数のファンアセンブリの切換えによって、トンネルに正に加圧し、その一方で、正味長手方向スラストをなお達成することが可能である。
【0160】
トンネルファンアセンブリのためのケーブル布線要件は、本発明によって以下の方法で最小限に抑えられる:
・ノズルの取付けに起因する空力スラストの増大は、より少ないファンアセンブリが設置される必要があることを意味する。
・第1の組のファンアセンブリが通常2つの入口にあり、それは通常電源への最も近い点である。
・本発明はファンアセンブリからの放出でエアージェットがトンネル中心線の方へ下に向けられることを可能にし、および、高速空気が下流ファンアセンブリに採り入れられることはしたがって、ありそうもない。ジェットファン間の10トンネル水力直径を与えるデザインルールは、したがって、本発明によって緩和され、より短いケーブルランに至ることができる。
・ファンアセンブリ間の長手方向スペーシングに対する標準的なデザインルールが緩和されることができるので、火災に起因する複数のファンアセンブリへの潜在的損傷の問題がより重要になる。しかしながら、高温で動作させる(例えば2時間の間400°C)ように定格されるファンを指定することによって、1台のファンアセンブリでの火災によって下流ファンアセンブリの誤動作が生じないことを確実にするファンアセンブリ間の最小距離が、減少させられることができる。
【0161】
図15および16は、ファンの前面にいかなるバイパスダンパも必要なしで、双方向換気装置を構成する方法を示す。図15および16に与えられた例は左から右に流れる気流(8)を示すが、反対側の気流方向が右から左にまた、同じファンアセンブリを通して可能である。図15および16内に与えられる例は、ファンアセンブリの吸気側上のノズル内の流れの剥離を回避するために、ファン軸線に対して15度以下であるよう配置されるノズル表面角(32)の各々を備えた、まっすぐなノズル表面を示す。ベルマウス移行部(1)の導入は、吸込みノズル入口に何の流れの剥離もないことを確実にするのを助ける。図15はファン軸線と平行である流れの向きを備えた換気装置を示唆し、および、図16は、コアンダ効果を減少させて、それゆえに、トンネル内に生成される空力スラストを高めるために、最高15度のノズル角(26)を形成するある角度をなす連絡管(6)を示す。
【0162】
付加可動部の欠如に起因して、バイパスダンパを使用しないことに多大な利点があってもよい。この種の可動部は、必要なときに機能しない少しの危険性を示すかもしれず、換気装置の寿命内でメンテナンスまたは交換を必要とすることになる。
【0163】
入口および放出ノズル断面積が等しいとするなら、これらの配置での吸込みノズル内の流れに起因する付加的圧力降下ΔPが以下のように見積られることができる:
ΔP=−1/2KinρV (式5)
ここで
in=入口損失流量係数(≒0.2から0.3)
吸込みノズルを通しての圧力降下は、したがって、放出ノズルを通して予想される値(式3)の約半分であると推定される。
【0164】
吸気側上のこの付加的圧力降下を考慮して、ノズルのないジェットファンによって生成されるスラストと比較して両側にノズルを備えた(かつ、いかなるバイパスダンパもなしの)双方向換気装置のスラストの増大を達成するために、この場合のファン特性は、好ましくは、
−∂P/∂V>2(1+Kin)ρV/V (式6)
を満たすのに十分に『急勾配』であるように構成される。
以下を含む複数の単純化仮定が、上の式6の導出においてなされた:
・吸気および排気ノズルを通しての圧力降下が、全体的な風圧低下を支配するとみなされる。
・ジェット速度Vは、トンネル風速Vより非常に大きいと仮定される。
・ファン特性(P−V曲線)は、関連した範囲内で線形と仮定される。
・ノズル内の表面摩擦は、小さいと仮定される。
【0165】
図17は、左から右に流れる流体とともに、一方向性換気装置のスラストを高める一方法を示す。ロータブレードに入口気流を位置合わせするために、入口案内翼(35)がファンロータの上流に設置される。これはファン特性(P−V曲線)の吐出圧力および勾配を増大する効果を有し、その両方が換気装置からのスラストを高める役目をする。計算が、ノズルのない同等の場合と比較して、最高20%のスラストの向上がこの配置によって達成可能なことを示唆する。
【0166】
排気速度の増大に起因するスラスト増大に加えて、使用中に換気装置からの更なるスラスト増大が、設置効率ηの向上を通して達成される。ジェットファンがトンネル壁に隣接して設置される場合はη=0.85、および、矩形断面トンネルのコーナのジェットファンに対してはη=0.73であることが公知である。トンネル中心線の方へノズルを傾けることによって、ほぼ1の設置効率の値が達成されることができる(η〜1)。設置効率の向上に起因するスラストの増大は、トンネル壁に隣接して設置されるジェットファンに対して最高18%、および、矩形トンネルのコーナ内に設置されるジェットファンに対して最高37%である。
【0167】
排気速度向上に起因するスラストの増大および設置効率を向上することに起因するそれらは、倍数的に増加する。例えば、速度向上に起因するスラストの20%増大を仮定して、かつ矩形トンネルのコーナ内に設置されるジェットファンに対して、全体的なスラスト増大は、最高(1.20x1.37=1.644)、すなわち64%スラスト増大であろう。
【0168】
図17内の換気装置によって与えられるスラストの向上は、換気装置の下部が水平に保たれるので、トンネル内の通行スペースに影響を与えるノズルなしで得られる。下方向の流体流れの偏向は、ノズル収束角(33)を流れ角(36)のおよそ2倍に配置することによって達成される。
【0169】
図18は、通行許容範囲に対するクリアランスを維持すると共に出口流れ角を最適化するように設計された本発明の一実施態様を示す。これは、いかなるバイパス装置(例えばダンパ)も設置なしで、かつ従来の可逆ロータブレードを使用して双方向換気装置の設置効率の多大な向上を可能にする。設置効率の向上単独(すなわち放出ノズルを通しての流れの加速度の考慮なしで)に基づいて、トンネル壁に隣接して設置されるジェットファンに対して最高18%の、および、矩形トンネルのコーナ内に設置されるジェットファンに対して最高37%のスラスト増大が得られる。
【0170】
本発明の主要な利点は、ファン取付けの実際的な考慮(例えば、耐震マウントを使用する)およびファンとトンネルの固体面との間の距離を限定するメンテナンスアクセスだけによって、設置効率の向上がトンネル下端および壁に非常にぴったりと設置される換気装置によって得られることができるということである。1つの応用例に関して、200mmからの50mmへの物理的なクリアランスの低減が得られ、トンネル内の300mmの全幅低減に至り、それは、次にトンネル建設費の多大な低減を提供した。
【0171】
本発明は、トンネル中心線の方へ流れを向けるために、サイレンサの出口末端に案内羽根を設置する手法と比較して、いくつかの利点を有する。1つの利点は、先細ノズルに伴う圧力降下が出口案内翼両端に生じるそれよりかなり少ないよう配置されることができるということである。別の主要な利点は、本発明が双方向モードで使われることができる一方、リバースモードで案内羽根を使用する際に、すなわち、この種の流れ配置と関連する高い圧力降下に起因して、案内羽根が換気装置の入口側にあるときに、相当な困難があるということである。トンネル中心線の方へ向けられる先細ノズルを使用する手法は、出口案内翼の使用に伴う問題を克服する。
【0172】
図19は、コアンダ効果を最小限に抑えて、それゆえに、設置されたスラストを最大にするために、下向きに、すなわちトンネル下端から離れるように向く、提案された先細ノズルを備えた換気装置の端面図を示す。
【0173】
図20は、双方向トンネル換気装置の三次元投影図を示す。本発明のこの特定の実施態様では、ノズルは軸方向方法で配置され、すなわち、トンネル中心線の方へ向けられない。しかしながら一般には、ノズルがトンネル中心線の方へ向けられるように配置する際に多大な空力利点がある。
【0174】
図21は、スラストの典型的な変化を図18および図19内に示唆される双方向装置に対するノズル面積比率の関数として示す。この場合のファンは、1120mmのファン直径、正しく可逆、4極、50Hz、1440回転数/分であり、36°のブレード角を伴う。これは、向上された設置効率およびより高い放出風速に起因して、17%の設置されたスラストのピーク増大が1020mmのノズル放出エリアによって可能であることを示す。
【符号の説明】
【0175】
符号キー
1 ベルマウス移行部
2 ファン
3 入口サイレンサ
4 ファンロータ
5 サイレンサ
6 ある角度をなす連絡管
7 先細ノズル
8 気流の方向
9 トンネル入口
10 トンネル下端
11 トンネル床面
12 トンネル中心線
13a、13b プリナム
14 開いたダンパ
15 閉じたダンパ
16 ローブ
17a、17b 楕円曲線
18 空気取入口プリナム
19 通行許容範囲
20 ファン中央体
21 ノズル後縁
22 空気経路
23 ノズル後縁の翼形中心線
24 ノズル排気口の中心線
25 ファンの中心線
26 ノズル角
27 トング/シェブロン
28 供給管
29 水ミストノズル
30 幾何学的スロート
31 ノズル貫通孔
32 ノズル表面角
33 ノズル収束角
34 支持ブラケット
35 入口案内翼
36 流れ角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内の換気を与えるトンネル内の設置のためのファンアセンブリであって、前記ファンアセンブリが、
換気流を発生させるためのファンまたは複数ファンと、
ノズルの貫通孔の長手方向の軸線が前記ファンまたは複数ファンの回転軸線に概ね平行であるように、前記ファンまたは複数ファンに連結される前記貫通孔を有する前記ノズルと、を備え、
前記アセンブリが前記ファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべきトンネルに入るために前記アセンブリを出る前に前記ノズルの貫通孔を貫通するように、配置されるか配置可能であり、そして、
前記換気流の速度を、前記ファンまたは複数ファンによって前記ファンまたは複数ファンでの前記流れに与えられる第1の速度から、前記トンネルへの前記ノズル放出での第2のより高い速度に、増大するために、それが前記トンネルへの放出の前に前記ファンロータから前記ノズルを通して通過するにつれて、前記ノズルが、使用中に前記ファンまたは複数ファンからの換気流を加速するように働くように、前記ノズルの貫通孔の断面積が前記ファンまたは複数ファンから離れる方向に減少する、ことを特徴とするファンアセンブリ。
【請求項2】
前記ノズルの出口の中心線が、前記ノズルの入口の中心線と一致しない、ことを特徴とする請求項1のファンアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1つのファンアセンブリであって、前記ファンまたは複数ファンが双方向に吹くことが可能であり、および、前記ファンアセンブリが、
そのノズルの貫通孔の前記長手方向の軸線が前記ファンまたは複数ファンの前記回転軸線に概ね平行であるように、前記ファンまたは複数ファンの反対側で連結される貫通孔を有する第2のノズル、を更に備え、
換気流の速度を、前記ファンまたは複数ファンによって前記ファンまたは複数ファンでの前記流れに与えられる第1の速度から、前記トンネルへの前記ノズル放出での第2のより高い速度に増大するために、それが前記トンネルへの放出の前に前記ファンロータから前記ノズルを通して通過するにつれて、前記ノズルが、使用中に前記ファンまたは複数ファンからの前記換気流を加速するように働くように前記第2のノズルの貫通孔の断面積が、前記ファンまたは複数ファンから離れる方向に減少し、および
前記アセンブリが、
1つの方向の前記ファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべきトンネルに入るために前記アセンブリを出る前に前記第1のノズルの貫通孔を貫通するように、かつ、
反対方向の前記ファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべきトンネルに入るために前記アセンブリを出る前に前記第2のノズルの貫通孔を貫通するように、配置されるかまたは配置可能である、ことを特徴とするファンアセンブリ。
【請求項4】
バイパス手段が、前記ノズルを迂回する前記ファンまたは複数ファンへの入口流を可能にするように各ノズルと前記ファンまたは複数ファンとの間に取り付けられる、ことを特徴とする請求項3のファンアセンブリ。
【請求項5】
前記ファンアセンブリが、前記ファンまたは複数ファンの下流の前記換気流への火災抑制作用物の注入を可能にするための手段を含む、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つのファンアセンブリ。
【請求項6】
トンネル換気システムであって、
トンネル内に設置されて、かつ使用中に前記トンネルに沿って換気流を生成することが可能なよう配置される1台以上のファンアセンブリを備え、
そして、前記トンネル内に設置される前記ファンアセンブリの少なくとも1台が、請求項1〜5のいずれか1つに記載のファンアセンブリを備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1台のファンアセンブリが、前記ノズルからの前記流れが、前記トンネルの前記長手方向の軸線に対して最高15度の角度で前記トンネルの前記中心線の方へ向けられるように前記トンネル内に設置される、ことを特徴とする請求項6のトンネル換気システム。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の2台のファンアセンブリを更に備え、前記ファンアセンブリの1台が前記トンネルの各入口に設置される、請求項6または7のトンネル換気システム。
【請求項9】
トンネルを換気する一方法であって、
前記トンネル内に設置されるファンまたは複数ファンを使用して前記トンネルの全長に沿って換気流を生成するステップと、
前記換気流が前記トンネルに入る前に、前記ファンまたは複数ファンに連結されて、かつ前記ファンまたは複数ファンと概ね同軸的に取り付けられるノズルの貫通孔を通して前記ファンまたは複数ファンからの前記換気流を通すステップであって、前記換気流の速度を、前記ファンまたは複数ファンによって前記ファンまたは複数ファンでの前記流れに与えられる第1の速度から、前記トンネルへの前記ノズル放出での第2のより高い速度に、増大するために、それが前記トンネルへの放出の前に前記ファンロータから前記ノズルを通して通過するにつれて、前記ノズルが、使用中に前記ファンまたは複数ファンからの前記換気流を加速するように働くように前記ノズルの貫通孔の断面積が前記ファンまたは複数ファンから離れる方向に減少するように、前記ノズルの貫通孔が形状化されるステップと、を含む方法。
【請求項10】
前記ファンまたは複数ファンの下流の前記換気流内に前記ノズル経由で火災抑制作用物を注入するステップを含む請求項9の方法。
【請求項11】
前記ファンまたは複数ファンおよびノズルを、前記ノズルからの前記流れが、前記トンネルの前記長手方向の軸線に対して最高15度の角度で前記トンネルの前記中心線の方へ向けられるように前記トンネル内に配置する、ステップを含む請求項9または10の方法。
【請求項12】
トンネル内に換気流を供給するために配置されるファンまたは複数ファンを備えたファンアセンブリを変更する一方法であって、前記方法が、
その断面積が貫通孔に沿った一方向へ減少する前記貫通孔を有するノズルを、その方向の前記ノズルを通しての前記ファンロータからの流れが前記ノズルによって加速されるように、前記ファンまたは複数ファンに連結し、
前記ノズルの貫通孔の長手方向の軸線が、前記ファンまたは複数ファンの回転軸と概ね平行であり、
前記ファンまたは複数ファンによって生成される換気流が、換気されるべき前記トンネルに入るために前記アセンブリを出る前に前記ノズルの貫通孔を貫通するように、前記連結されたファンおよびノズルアセンブリが配置されるかまたは配置可能である、ようにし、かつ、
前記換気流の速度を、前記ファンまたは複数ファンによって前記ファンまたは複数ファンでの前記流れに与えられる第1の速度から、前記トンネルへの前記ノズル放出での第2のより高い速度に増大するために、それがトンネルへの放出の前に前記ファンロータから前記ノズルを通して通過するにつれて、前記ノズルが、使用中に前記ファンまたは複数ファンからの前記換気流を加速するように働くように前記ノズルの貫通孔の断面積が前記ファンまたは複数ファンから離れる方向に減少する、ようにするステップ、を含む方法。
【請求項13】
前記ノズルが、前記ファンまたは複数ファンの下流の前記換気流への火災抑制作用物の注入を可能にするための手段を含む、ことを特徴とする請求項12の方法。
【請求項14】
その断面積がその他端の断面積より大きい第1端部を有する貫通孔を有する第2のノズルを前記ファンまたは複数ファンの反対側に連結するステップ、を更に含む請求項12または13の方法。
【請求項15】
前記ノズルを迂回する前記ファンまたは複数ファンへの入口流を可能にするように各ノズルと前記ファンまたは複数ファンとの間にバイパス手段を取り付ける、ステップを含む請求項14の方法。
【請求項16】
トンネル内に換気流を供給するためのファンまたは複数ファンに取り付けるための一ノズルであって、前記ノズルが、その方向の前記ノズルを通しての前記ファンロータからの流れが前記ノズルによって加速されるように、貫通孔の断面積が収束部分の一端からもう一方に減少する前記収束部分を有する前記貫通孔を備える、ノズル。
【請求項17】
前記ノズルの収束部分の前記貫通孔の最小の断面積に対する前記ノズル貫通孔の収束部分の最大の断面積の比率が、1.05ないし5.0の範囲である、ことを特徴とする請求項16のノズル。
【請求項18】
前記ノズルの出口の中心線が、前記ノズルの入口の中心線と一致しない、ことを特徴とする請求項16または17のノズル。
【請求項19】
前記ノズルの貫通孔内への火災抑制作用物の注入を可能にするための手段を更に備える請求項16ないし18のいずれか1つのノズル。
【請求項20】
前記ノズルの貫通孔の前記断面積が、前記ノズルの貫通孔の前記収束部分の前記最小の断面積点の後で再び増大する、ことを特徴とする請求項16ないし19のいずれか1つのノズル。
【請求項21】
実質的に付随する図のいずれか1つを参照して本願明細書に記載されるトンネル内の換気を与える前記トンネル内の設置のためのファンアセンブリ。
【請求項22】
実質的に付随する図のいずれか1つを参照して本願明細書に記載されるトンネル換気システム。
【請求項23】
実質的に付随する図のいずれか1つを参照して本願明細書に記載されるトンネルを換気する一方法。
【請求項24】
実質的に付随する図のいずれか1つを参照して本願明細書に記載されるトンネル内に換気流を供給するために配置されるファンを備えたファンアセンブリを変更する一方法。
【請求項25】
実質的に付随する図のいずれか1つを参照して本願明細書に記載されるトンネル内に換気流を供給するためにファンに取り付けるための一ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図13】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−506514(P2012−506514A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532716(P2011−532716)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002544
【国際公開番号】WO2010/046668
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(511083961)モセン エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】