説明

放射線検出器、放射線検出器の製造方法、及び放射線画像撮影装置

【課題】光電変換素子の静電破壊を防止することができると共に、画像がぼけやすくなるのを防ぐことができる。
【解決手段】放射線検出器10Aは、基板1上に形成されたTFTスイッチ4と、基板1上に形成され、照射された光に応じた電荷を発生する光電変換素子としての半導体層6と、半導体層6上に形成され、一部に帯電防止性を有する遮光部材32が形成された平坦化層34と、平坦化層34上に形成され、照射された放射線に応じた光を発生するシンチレータ70と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器、放射線検出器の製造方法、及び放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線画像の撮影を行うための放射線画像撮影装置として、放射線照射装置から照射され、被写体を透過した放射線を放射線検出器により検出する放射線画像撮影装置が知られている。このような放射線画像撮影装置の放射線検出器として、照射された放射線を光に変換する蛍光体等のシンチレータと、シンチレータにより変換された光が照射されることにより電荷を発生する光電変換素子及び当該光電変換素子で発生した電荷を読み出すスイッチング素子を各々備えた画素により構成される光電変換基板と、を備えたものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、放射線撮像装置に用いられる光電変換装置において、光バリア性能を確保しながら平坦化を図るために、複数の画素間の領域に、受光面を露出させて光バリア層が形成された技術が記載されている。この技術では、光バリア層は、光バリア層と光電変換素子の受光面とが平坦化されるように、光電変換素子と基板とで形成される段差に配置されている。
【0004】
また、特許文献2には、一対の光電変換素子とスイッチ素子とが複数配置されたセンサー基板上に、入射した放射線を光電変換素子が検知可能な光に変換するシンチレーター層を設けてなる放射線検出装置において、シンチレーター層と接する面が平坦面である平坦化層を、センサー基板とシンチレーター層との間に設けた放射線検出装置が記載されている。
【0005】
このような放射線検出器は、光電変換基板上にシンチレータが設けられるため、光電変換基板とシンチレータとの密着性を向上させるための技術が知られている。
【0006】
例えば、光電変換基板の表面に、密着性を向上させるためのプラズマ処理等の表面処理を行うことが一般的に行われている。例えば、特許文献3には、光電変換素子を備えたセンサパネル上に配された蛍光体下地層の表面を大気圧プラズマ処理し、当該蛍光体下地層表面上に蛍光体操を形成することにより、蛍光体層の密着不良による剥がれを防止する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−3752号公報
【特許文献2】特開2000−131444号公報
【特許文献3】特開2004−325442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、光電変換基板の表面に上述のように表面処理を行う際に、光電変換基板の表面が帯電することにより、光電変換素子の静電破壊が引き起こされる場合がある。例えば、表面処理として、大気圧中でプラズマ処理を行う場合は、空気が存在するため帯電しづらく、静電破壊を引き起す恐れが少ないが、真空中でプラズマ処理を行う場合、帯電による静電破壊を引き起こす恐れが大きい。
【0009】
また、表面処理を行う際だけではなく、光電変換基板の表面が帯電してしまうと、同様に静電破壊が引き起こされる場合がある。
【0010】
このような静電破壊を防止するために、シンチレータと光電変換基板との間に導電層を設けることも考えられるが、この場合、装置の厚みが増して、光電変換素子までの距離が遠くなり、画像がぼけやすくなる。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、光電変換素子の静電破壊を防止することができると共に、画像がぼけやすくなるのを防ぐことができる放射線検出器、放射線検出器の製造方法、及び放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の放射線検出器は、基板上に形成されたスイッチング素子、及び、前記基板上に形成され、照射された光に応じた電荷を発生する光電変換素子を含むセンサ部、を各々備えた複数の画素と、前記複数の画素上に形成され、一部に帯電防止性を有する遮光部材が形成された平坦化層と、前記平坦化層上に形成され、照射された放射線に応じた光を発生する発光層と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、複数の画素上に、一部に帯電防止性を有する遮光部材が形成された平坦化層を形成した構成としているため、平坦化層上に発光層を形成する際に密着性を高めるための表面処理を施した場合でも、電荷が帯電防止性を有する遮光部材により帯電されないため、光電変換素子の静電破壊を防止することができる。また、隣接する画素からの斜入光がカットされるため、画像がぼけやすくなるのを防ぐことができる。
【0014】
なお、請求項2に記載したように、前記遮光部材が、前記複数の画素間に形成された構成とすることが好ましい。
【0015】
また、請求項3に記載したように、前記発光層は、照射された放射線に応じた光を発生する結晶が前記平坦化層上に直接蒸着されてなる構成とすることが好ましい。
【0016】
また、請求項4に記載したように、前記発光層は、照射された放射線に応じた光を発生する非柱状結晶が前記平坦化層上に直接蒸着され、前記非柱状結晶上に柱状結晶が形成されてなる構成とすることが好ましい。
【0017】
また、請求項5に記載したように、前記光電変換素子の端部がテーパー状に形成されると共に、前記スイッチング素子が、前記光電変換素子の端部側に形成された構成としてもよい。
【0018】
また、請求項6に記載したように、前記遮光部材は、前記発光層が発光する光の長波長成分の一部を吸収するようにしてもよい。
【0019】
また、請求項7に記載したように、前記遮光部材は、有機着色剤を含んで構成してもよい。
【0020】
また、請求項8に記載したように、前記光電変換素子は、キナクリドンを含んで構成してもよい。
【0021】
また、請求項9に記載したように、前記発光層は、CsIを含んで構成してもよい。
【0022】
また、請求項10に記載したように、前記基板側から放射線を照射して放射線画像を取得する表面読取方式に用いられることができる。
【0023】
請求項11記載の発明の放射線検出器の製造方法は、基板上に、スイッチング素子、及び、照射された光に応じた電荷を発生する光電変換素子を含むセンサ部、を各々備えた複数の画素を形成するステップと、前記複数の画素上に、一部に帯電防止性を有する遮光部材が形成された平坦化層を形成するステップと、前記平坦化層上に、照射された放射線に応じた光を発生する発光層を形成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項12記載の放射線画像撮影装置は、前記請求項1〜10の何れか1項に記載の放射線検出器と、前記放射線検出器の前記複数の画素から出力された電荷の電荷量に基づいて放射線画像を取得する画像取得手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の放射線画像撮影装置は、光電変換素子の静電破壊を防止することができると共に、画像がぼけやすくなるのを防ぐことができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】放射線検出器の構成図である。
【図2】放射線検出器の回路図である。
【図3】放射線検出器の構成を示す平面図である。
【図4】放射線検出器の断面図である。
【図5】放射線検出器の断面図である。
【図6】放射線検出器の平面図である。
【図7】放射線検出器の断面図である。
【図8】CsI:Tlの発光特性及びキナクリドンの吸収波長範囲を示すグラフである。
【図9】放射線検出器の製造工程を示す図である。
【図10】放射線検出器の製造工程を示す図である。
【図11】放射線検出器の製造工程を示す図である。
【図12】放射線検出器のシンチレータ部分の結晶構成を模式的に示す概略図である。
【図13】変形例に係る放射線検出器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1及び図2には、第1の実施の形態に係る放射線検出器10Aを用いた放射線画像撮影装置100の全体構成が示されている。なお、図2では、シンチレータ70が省略されている。
【0029】
本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100は、間接変換方式の放射線検出器10Aを備えている。
【0030】
放射線検出器10Aは、発光層としてのシンチレータ70及び光電変換基板としてのフォトセンサ付きTFTアレイ基板72を備えている。
【0031】
まず、シンチレータ70について説明する。シンチレータ70は、照射された放射線を光に変換して、光を出射する。また、図1においてシンチレータ70の下部には、光を反射させるための部材である反射体が設けられている。
【0032】
次に、フォトセンサ付きTFTアレイ基板72について説明する。
【0033】
フォトセンサ付きTFTアレイ基板72には、後述する上部電極と半導体層と下部電極とを備え、照射された放射線をシンチレータ70で変換した光を受けて電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのTFTスイッチ4と、を含んで構成される画素が2次元状に多数設けられている。
【0034】
また、フォトセンサ付きTFTアレイ基板72には、上記TFTスイッチ4をON/OFFするための複数の走査配線101と、上記センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。
【0035】
各信号配線3には、当該信号配線3に接続された何れかのTFTスイッチ4がONされることによりセンサ部103に蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されており、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をON/OFFするためのスキャン信号を出力するスキャン信号制御装置104が接続されている。
【0036】
信号検出回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路により増幅して検出することにより、放射線画像を構成する各画素の情報として、各センサ部103に蓄積された電荷量を検出する。
【0037】
この信号検出回路105及びスキャン信号制御装置104には、信号検出回路105において検出された電気信号に所定の処理を施すとともに、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、スキャン信号制御装置104に対してスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する信号処理装置106が接続されている。
【0038】
次に、図3〜5を参照して、本実施形態に係るフォトセンサ付きTFTアレイ基板72についてより詳細に説明する。なお、図3には、本実施形態に係るフォトセンサ付きTFTアレイ基板72上の1画素単位の構造を示す平面図が示されており、図4には、図3のA−A線断面図が示されており、図5には、図3のB−B線断面図が示されている。なお、図4、5では、図1とは上下逆向きに記載している。
【0039】
図4及び図5に示すように、本実施の形態の放射線検出器10Aは、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図3参照。)。走査配線101及びゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう。)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
【0040】
この走査配線101及びゲート電極2上には、走査配線101及びゲート電極2を覆い一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiN等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
【0041】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0042】
これらの上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、信号配線3、及び当該信号配線3と並行に共通電極配線25が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている。信号配線3、ソース電極9、及び共通電極配線25が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう。)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜が用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
このソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間にはコンタクト層(不図示)が形成されている。このコンタクト層は、不純物添加アモルファスシリコン等の不純物添加半導体からなる。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。
【0044】
そして、これら半導体活性層8、ソース電極9、ドレイン電極13、信号配線3、及び共通電極配線25を覆い、基板1上の画素が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFT保護膜層11が形成されている。このTFT保護膜層11は、例えば、SiN等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
【0045】
このTFT保護膜層11上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率ε=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料など)により1〜4μmの膜厚で形成されている。本実施の形態に係る放射線検出器10Aでは、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。これにより、上層に配置される半導体層6の形状が平坦化されるため、半導体層6の凹凸による吸収効率の低下や、リーク電流の増加を抑制することができる。この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層11には、ドレイン電極13と対向する位置、及び走査配線101が形成された領域の照射面側の位置に各々コンタクトホール16、及びコンタクトホール22Aが形成されている。
【0046】
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール16を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極14が形成されており、この下部電極14は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。この下部電極14は、後述する半導体層6が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料、ITO(酸化スズインジウム)など導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。
【0047】
一方、半導体層6の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層6で光が吸収が十分でないため、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、もしくは積層膜とすることが好ましい。
【0048】
下部電極14上には、フォトダイオードとして機能する半導体層6が形成されている。本実施の形態では、半導体層6として、PIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn層、i層、p層を順に積層して形成する。なお、本実施の形態では、下部電極14を半導体層6よりも大きくしている。なお、半導体層6の膜厚が薄い場合(例えば、0.5μm以下の場合)には、TFTスイッチ4への光入射を防ぐ目的で、遮光性金属を配置してTFTスイッチ4を覆うことが好ましい。
【0049】
好ましくは、デバイス内部の光の乱反射によるTFTスイッチ4への光進入を抑制するため、TFTスイッチ4のチャネル部から遮光性金属からなる下部電極14の端部への間隔を5μm以上確保している。
【0050】
層間絶縁膜12及び半導体層6上には、各半導体層6部分で開口を持つように保護絶縁膜17が形成されている。そして、半導体層6及び保護絶縁膜17上には、少なくとも保護絶縁膜17の開口部を覆うように上部電極7が形成されている。この上部電極7には、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いている。上部電極7は、下層に配置された、上部電極7にバイアス電圧を供給するための共通電極配線25と接続する導電部材も兼ねている。図4に示すように、共通電極配線25は、層間絶縁膜12に設けられたコンタクトホール22Aを介して下部電極14の層に形成されたコンタクトパッド24と接続され、さらに保護絶縁膜17に設けられたコンタクトホール22B上を上部電極7で覆うことで、上部電極7と共通電極配線25とが電気的に接続されている。
【0051】
ここで、上部電極7と、共通電極配線25に接続する導電部材とは別層の金属で形成してもかまわない。
【0052】
半導体層6上には、絶縁層30及び帯電防止性を有する材料からなる遮光部材32を含んで形成された平坦化層34が形成されている。絶縁層30は、例えば層間絶縁膜12と同様の材料により形成されるが、これに限られるものではない。
【0053】
なお、帯電防止性の材料とは、電気は通しにくいが、少なくとも帯電を防止することが可能な固有抵抗値を有する材料をいう。一般に、絶縁性材料、帯電防止材料、導電性材料の順に固有抵抗値が低くなる。導電性材料は、帯電防止材料よりも固有抵抗値が低く、電気を通しやすい性質の材料であり、帯電防止性も有するといえる。従って、遮光部材32は、導電性材料で形成してもよい。
【0054】
放射線検出器10Aは、基板1上に上記の各層を形成していくことにより作製される。このため、図1、図4に示すように、絶縁層30は、半導体層6から層間絶縁膜12にかけて、すなわち画素間に段差部36が生じる。
【0055】
本実施形態では、この段差部36に、帯電防止性の遮光部材32が形成されている。すなわち、図6に示すように、遮光部材32は、センサ部103の間(画素間)に形成されている。なお、遮光部材32は、例えば銅(Cu)により形成される。
【0056】
このように、画素間に遮光部材32が形成されていることにより、隣接画素からの斜入光が入射されるのを防ぐことができ、画像がぼけるのを防ぐことができる。また、遮光部材32は帯電防止性を有するので、平坦化層34上にシンチレータ70を形成する前に、前述したような密着性を向上させるための表面処理を行った場合でも、電荷が帯電防止性の遮光部材32により帯電されないので、フォトダイオードが静電破壊されるのを防ぐことができる。また、段差部36に帯電防止性の遮光部材32を設けた場合、帯電防止層を平坦化層34上に独立して設ける場合と比較して、厚みを小さくすることができるため、シンチレータ70からの光がフォトダイオードに届くまでの距離を短くすることができ、画像がぼけるのを抑制することができる。
【0057】
また、遮光部材32は、可視光全域の波長の光を遮光するものでなくてもよく、シンチレータ70の発光する光の波長のうち長波長成分の一部を吸収するものでもよい。
【0058】
長波長成分の光は、短波長成分の光と比較して屈折し難い。このため、図7に示すように、隣接する画素から入射した斜入光38のうち短波長成分の光38Aは、屈折するためフォトダイオードで受光されにくい。これに対し、長波長成分の光は屈折し難いため、図8に示すように、隣接する画素から入射した斜入光38のうち長波長成分の光38Bは、フォトダイオードで受光されやすく、画像がぼけやすくなる。
【0059】
従って、遮光部材32が、シンチレータ70の発光波長のうち長波長成分の光を吸収するものであれば、画像がぼけやすくなるのを防ぐことができる。
【0060】
例えば、シンチレータ70をCsI:Tlで構成し、フォトダイオードをキナクリドンで構成した場合について考える。図8に示すように、CsI:Tlは、発光ピーク波長が565nmであるが、発光した光に幅広い波長域(400nm〜700nm)の光が含まれる。一方、キナクリドンは、430nm〜620nmの波長域の光に対して感度を有する。この場合、遮光部材32を、620nm以上の長波長成分の光を吸収する材料で構成することにより、斜入光をカットして画像ぼけを防ぐことができる。また、フォトダイオードをキナクリドンで構成した場合、仮に620nm以上の波長の斜入光の一部が遮光部材32を透過してしまった場合でも、キナクリドンにおいては、その波長の光の感度は低いため、画像ぼけになり難い。
【0061】
遮光部材32が、620nm以上の長波長成分の光を吸収するように構成するには、例えば導電性材料に、赤光、すなわち620nm〜750nmの光を吸収するシアン系の着色剤を混ぜればよい。例えば、遮光部材32に導電性ポリマーを用いた場合、着色剤を容易に混ぜることができる。シアン系の着色剤、例えば、無機青色顔料としては、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)等が挙げられ、有機青色顔料としては、フタロシアニン、アントラキノン、インジゴイド、カルボニウム等が挙げられる。なお、顔料は樹脂中に粒子として存在するが、顔料に限らず樹脂に溶ける染料を用いてもよい。
【0062】
また、フォトセンサ付きTFTアレイ基板72側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の表面側に設けられたフォトセンサ付きTFTアレイ基板72により放射線画像を読み取る、いわゆる表面読取方式(所謂ISS(Irradiation Side Sampling)方式)の場合、無機着色剤は、有機着色剤に対してX線を吸収しやすいため(原子番号が大きいため)、有機着色剤の方が、シンチレータ70により多くのX線が到達するので好ましい。
【0063】
また、赤光は、少しでも吸収することが好ましいが、画素サイズが小さい場合(例えば、100μ以下)、隣接する画素に斜入光が入ってしまう可能性が高くなるため、赤光の吸収量が多くなるように、着色剤の量を多くすることが好ましい。
【0064】
次に、図9〜11を参照して、本実施形態に係る放射線検出器10Aの製造工程の一例を説明する。
【0065】
まず、基板1上に、第1信号配線層として、ゲート電極2、走査配線101を形成する(図9(A))。この第1信号配線層は、Al、Al合金等の低抵抗金属、もしくは高融点金属からなるバリアメタル層との積層膜からなり、膜厚が100−300nm前後でスパッタリング法にて基板1上に堆積される。その後、フォトリソグラフィー技術にてレジスト膜のパターンニングを行う。その後、Al用のエッチャントによるウェットエッチ法か、ドライエッチ法にて金属膜をパターンニングする。その後、レジストを除去することにより第1信号配線層が完成する。
【0066】
次に、第1信号配線層上に、絶縁膜15、半導体活性層8、コンタクト層(不図示)を順次堆積する(図9(B))。絶縁膜15はSiNxからなり膜厚は200−600nm、半導体活性層8はアモルファスシリコンからなり膜厚20−200nm前後、コンタクト層は不純物添加アモルファスシリコンからなり膜厚10−100nm前後で、P−CVD(Plasma-Chemical Vapor Deposition)法にて堆積する。その後、第1信号配線層と同様に、フォトリソグラフィー技術によりレジストのパターンニングを行う。その後、半導体活性層8と不純物添加半導体によるコンタクト層を絶縁膜15に対し選択的にドライエッチングすることにより半導体活性領域を形成する。
【0067】
次に、絶縁膜15、及び半導体活性層8の上層に、第2信号配線層として、信号配線3、ソース電極9、ドレイン電極13、共通電極配線25を形成する(図9(C))。この第2信号配線層は、第1信号配線層と同様に、Al、Al合金等の低抵抗金属、もしくは高融点金属からなるバリアメタル層との積層膜、又はMo等の高融点金属膜単層からなり、膜厚が100−300nm前後である。第1信号配線層と同様に、フォトリソグラフィー技術にてパターンニングを行い、Al用のエッチャントによるウェットエッチ法か、ドライエッチ法にて金属膜をパターンニングする。その際、選択的にエッチング法を採用することにより絶縁膜15は除去されない。ドライエッチ法にて、コンタクト層と半導体活性層8の一部を除去しチャネル領域を形成する。
【0068】
次に、上記のように形成された層の上層に、TFT保護膜層11及び層間絶縁膜12を順次形成する(図9(D))。TFT保護膜層11及び層間絶縁膜12は無機材料単体の場合や、無機材料からなる保護絶縁膜と有機系材料からなる層間絶縁膜の積層により形成する場合や、有機系からなる層間絶縁膜単層により形成する場合がある。本実施形態では、下層の共通電極配線25と下部電極14間との静電容量を抑制する一方で、TFTスイッチ4の特性を安定させるため感光性の層間絶縁膜12と無機材料からなるTFT保護膜層11の積層構造としており、例えば、CVD成膜によりTFT保護膜層11を形成し、塗布系材料である感光性の層間絶縁膜12材料を塗布、プリベーク後、露光、現像のステップを通過後、焼成を行なって各層を形成する。
【0069】
次に、フォトリソグラフィー技術によりTFT保護膜層11をパターンニングする(図9(E))。なお、TFT保護膜層11を配置しない場合には、このステップは必要ない。
【0070】
次に、上記の層の上層にAl系材料もしくはITO等の金属材料をスパッタリング法により堆積する。膜厚は20−200nm前後である。フォトリソグラフィー技術にてパターンニングを行い、メタル用のエッチャント等によるウェットエッチ法か、ドライエッチ法にてパターンニングして下部電極14を形成する(図9(F))。
【0071】
次に、CVD法で下層より順にn、i、pの各層を堆積して半導体層6を形成する(図10(G))。膜厚は、それぞれn層50−500nm、i層0.2〜2μm、p層50−500nmである。半導体層6は各層を順に積層してフォトリソグラフィー技術により、半導体層6をパターンニングし、ドライエッチ、もしくはウェットエッチによる下層の層間絶縁膜12との選択エッチすることにより完成する。
【0072】
ここでは、n、i、pの順で積層したが、p、i、nの順で積層し、PINダイオードとしてもかまわない。
【0073】
次に、CVD法等で、半導体層6を覆うようにSiNx膜からなる保護絶縁膜17を堆積する。膜厚は100〜300nm前後である。フォトリソグラフィー技術にてパターンニングを行い、ドライエッチ法にてパターンニングし、開口部を形成する。(図10(H))。ここでは、一例としてCVD成膜のSiNxを記載したが、絶縁材料であれば適用でき、SiNxに限定するものではない。
【0074】
次に、上部電極7及び共通電極配線25との接続部位を形成する(図10(I))。上部電極7及び共通電極配線25との接続部位は上記のようにして形成された層の上層に、ITO等の透明電極材料をスパッタリング法により堆積する。膜厚は20−200nm前後である。フォトリソグラフィー技術にてパターンニングを行い、ITrO用のエッチャント等によるウェットエッチ法か、ドライエッチ法にて上部電極7をパターンニングする。その際、選択的にエッチングを採用することにより、下層の保護絶縁膜17はダメージを受けない。
【0075】
次に、保護絶縁膜17及び上部電極7を覆うように、絶縁層30を形成する(図10(J))。このとき、半導体層6と層間絶縁膜12との段差により、画素間に段差部36が生じる。
【0076】
次に、段差部36に遮光部材32を形成する(図11(K))。これにより、平坦化層34が形成される。
【0077】
次に、平坦化層34上に、非柱状結晶70Aを直接蒸着する(図11(L))。この非柱状結晶は、例えばCsI:Tl等のアルカリハライド系の非柱状結晶を用いることができる。
【0078】
次に、非柱状結晶70A上に、柱状結晶70Bを結晶成長させる(図11(M))。柱状結晶70Bも、非柱状結晶70Aと同様に、CsI:Tl等のアルカリハライド系の非柱状結晶を用いることができる。
【0079】
図12は、シンチレータ70内の結晶領域を示す模式図である。図12に示すように、非柱状結晶70Aは、結晶同士が不規則に結合したり重なり合ったりして結晶間の明確な間隙は殆ど認めらない。一方、柱状結晶70Bは、結晶の成長方向に対しほぼ均一な断面径を示し、且つ、柱状部分が周辺部に間隙を有しており、互いに独立して存在する。この領域が発光効率の高い領域となるとともに柱状結晶の間隙が光の拡散を抑制する光ガイドとなる。
【0080】
このような非柱状結晶70Aと柱状結晶70Bとが連続的に形成されてなるシンチレータ70は、平坦化層34上に、例えば気相堆積法を用いて形成することができる。以下、シンチレータ70としてCsI:Tlを用いた場合について説明する。
【0081】
気相堆積法は常法により行うことができる。即ち、真空度0.01〜10Paの環境下、CsI:Tlを抵抗加熱式のるつぼに通電するなどの手段で加熱して気化させ、平坦化層34の温度を室温(20℃)〜300℃としてCsI:Tlを平坦化層34上に堆積させればよい。
【0082】
気相堆積法により平坦化層34上にCsI:Tlの結晶相を形成する際、当初は不定形或いは略球状結晶の直径の比較的小さな結晶の集合体が形成される。気相堆積法の実施に際しては、真空度及び支持体温度の少なくとも一方の条件を変更することで、非柱状結晶領域の形成後に連続して気相堆積法により柱状結晶を成長させることができる。
【0083】
即ち、所定の厚みとなるように非柱状結晶領域を形成した後、真空度を上げる、平坦化層34の温度を高くする等の手段のうち少なくとも一方を行うことで、効率よく均一な柱状結晶を成長させることができる。
【0084】
このようにして、平坦化層34上にシンチレータ70を直接蒸着により形成することにより、放射線検出器10Aが得られる。
【0085】
なお、平坦化層34上にシンチレータ70を形成する前に、前述したような、密着性を向上させるためのプラズマ処理等の表面処理を行うようにしてもよい。このような場合でも、平坦化層34には、帯電防止性の遮光部材32が形成されているので、フォトダイオードが静電破壊されてしまうのを防ぐことができる。
【0086】
また、平坦化層34の一部に帯電防止性の遮光部材32が形成された構成としているため、平坦化層34とシンチレータ70との間に独立した帯電防止層を設ける場合と比較して、放射線検出器の厚みを小さくすることができると共に、シンチレータ70からフォトダイオードまでの距離を短くすることができるため、画像がぼけるのを防ぐことができる。
【0087】
次に、上記構造の放射線検出器10Aの動作原理について説明する。
【0088】
図1の上方からX線が照射されると、照射されたX線は、シンチレータ70に吸収され、可視光に変換される。なお、図1の下方からX線が照射されてもよく、この場合においても照射されたX線は、シンチレータ70に吸収され、可視光に変換される。シンチレータ70から発生する光量は、通常の医療診断用のX線撮影では0.5〜2μW/cmである。この発生した光は、絶縁層30を通過して、フォトセンサ付きTFTアレイ基板72上にアレイ状に配置されたセンサ部103の半導体層6に照射される。
【0089】
放射線検出器10Aには、半導体層6が各画素単位に分離して備えられている。半導体層6は、共通電極配線25を介して上部電極7から所定のバイアス電圧が印加されており、光が照射されると内部に電荷が発生する。例えば、半導体層6が下層からn−i−p(nアモルファスシリコン、アモルファスシリコン、pアモルファスシリコン)の順に積層したPIN構造の場合は、上部電極7に負のバイアス電圧が印加されるものとされており、I層の膜厚が1μm程度の場合、印加されるバイアス電圧が−5〜−10V程度である。半導体層6には、このような状態で光が未照射の場合、数〜数+pA/mm以下の電流しか流れない。一方、半導体層6には、このような状態で光が照射(100μW/cm)されると、0.3μA/mm程度の明電流が発生する。この発生した電荷は下部電極14により収集される。下部電極14は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されており、TFTスイッチ4のソース電極9は、信号配線3に接続されている。画像検出時には、TFTスイッチ4のゲート電極2に負バイアスが印加されてオフ状態に保持されており、下部電極14に収集された電荷が蓄積される。
【0090】
画像読出時には、TFTスイッチ4のゲート電極2に走査配線101を介して順次ON信号(+10〜20V)が印加される。これにより、TFTスイッチ4が順次ONされることにより下部電極14に蓄積された電荷量に応じた電気信号が信号配線3に流れ出す。信号検出回路105は、信号配線3に流れ出した電気信号に基づいて各センサ部103に蓄積された電荷量を、画像を構成する各画素の情報として検出する。これにより、放射線検出器10Aに照射されたX線により示される画像を示す画像情報を得ることができる。
【0091】
以上のように、本実施形態に係る放射線検出器10Aによれば、平坦化層34の一部に帯電防止性の遮光部材32が形成されているため、平坦化層34上にシンチレータ70を形成する前に、密着性を向上させるためのプラズマ処理等の表面処理を行った場合でも、フォトダイオードが静電破壊されてしまうのを防ぐことができる。
【0092】
また、平坦化層34の一部に帯電防止性の遮光部材32が形成された構成としているため、平坦化層34とシンチレータ70との間に独立した帯電防止層を設ける場合と比較して、放射線検出器の厚みを小さくすることができると共に、シンチレータ70からフォトダイオードまでの距離を短くすることができるため、画像がぼけるのを防ぐことができる。
【0093】
なお、図13に示したように、半導体層6、すなわちフォトダイオードの端部6Aを、テーパー状に形成した構成としてもよい。この場合、端部6Aのテーパー形状に応じて絶縁層30が形成されるため、遮光部材32もTFTスイッチ4の真上まで形成されることとなる。従って、シンチレータ70からの光40が遮光部材32で吸収され、アモルファスシリコン等で構成されたTFTスイッチ4に光が照射されることにより発生するスイッチングノイズが発生するのを抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態では、シンチレータ70をCsI:Tlで構成した場合について説明したが、この他には、GOS(GdS:Tb)、NaI:Tl(タリウム賦活ヨウ化ナトリウム)、CsI:Na(ナトリウム賦活ヨウ化セシウム)からなる結晶等を用いることができるが、シンチレータ70は、これらの材料からなるものに限られるものではない。
【0095】
また、本実施形態では、平坦化層34上にシンチレータ70を直接蒸着により形成する場合について説明したが、これに限らず、別途作製されたシンチレータ70を、粘着層(接着層)を介して平坦化層34に貼り合わせるようにしてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、フォトセンサ付きTFTアレイ基板72側から放射線を照射して、シンチレータ70で変換し反射された光をフォトセンサ付きTFTアレイ基板72のフォトダイオードで検出して放射線画像を読み取る、表面読取方式(所謂ISS(Irradiation Side Sampling)方式)を用いた場合について説明したが、これに限らず、シンチレータ70側から放射線を照射して、シンチレータ70で変換された光をフォトセンサ付きTFTアレイ基板72のフォトダイオードで検出して放射線画像を読み取る裏面読取方式(所謂PSS(Penetration Side Sampling)方式)を用いてもよく、ISS方式の場合と同様の効果がある。
【0097】
また、放射線検出器10Aのセンサ部103として、有機光電変換材料を含む材料で構成した有機CMOSセンサを用いてもよく、放射線検出器10Aのフォトセンサ付きTFTアレイ基板72として、薄膜トランジスタとしての有機材料を含む有機トランジスタを、可撓性を有するシート上にアレイ状に配列した有機TFTアレイ・シートを用いてもよい。上記の有機CMOSセンサは、例えば、特開2009−212377号公報に開示されている。また、上記の有機TFTアレイ・シートは、例えば「日本経済新聞、“東京大学、「ウルトラフレキシブル」な有機トランジスタを開発”、[online]、[平成23年5月8日検索]、インターネット<URL:http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A9C93819499E2EAE2E0E48DE2EAE3E3E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E7E2E6E0E2E3E2E2E0E2E0>」に開示されている。
【0098】
放射線検出器10Aのセンサ部103としてCMOSセンサを用いる場合、高速に光電変換を行うことができる利点や、基板を薄くすることができる結果、ISS方式を採用した場合に放射線の吸収を抑制することができると共に、マンモグラフィによる撮影にも好適に適用することができる利点がある。
【0099】
また、フォトセンサ付きTFTアレイ基板72を、フレキシブル基板で構成してもよい。この場合、適用するフレキシブル基板として、近年開発されたフロート法による超薄板ガラスを基材として用いたものを適用することが、放射線の透過率を向上させるうえで好ましい。なお、この際に適用できる超薄板ガラスについては、例えば、「旭硝子株式会社、"フロート法による世界最薄0.1ミリ厚の超薄板ガラスの開発に成功"、[online]、[平成23年8月20日検索]、インターネット<URL:http://www.agc.com/news/2011/0516.pdf>」に開示されている。
【0100】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0101】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0102】
また、本実施形態に係る放射線検出器は、可搬型の放射線画像撮影装置である電子カセッテだけでなく、据置型の放射線画像撮影装置に適用してもよい。
【0103】
また、上記実施の形態では、放射線としてX線を検出することにより放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検出対象とする放射線は、X線の他や可視光、紫外線、赤外線、ガンマ線、粒子線等いずれであってもよい。
【0104】
その他、上記実施の形態で説明した放射線検出器10Aの構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0105】
10A 放射線検出器
12 層間絶縁膜
30 絶縁層
32 遮光部材
34 平坦化層
36 段差部
70 シンチレータ
70A 非柱状結晶
70B 柱状結晶
72 フォトセンサ付きTFTアレイ基板
100 放射線画像撮影装置
101 走査配線
103 センサ部
104 スキャン信号制御装置
105 信号検出回路
106 信号処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたスイッチング素子、及び、前記基板上に形成され、照射された光に応じた電荷を発生する光電変換素子を含むセンサ部、を各々備えた複数の画素と、
前記複数の画素上に形成され、一部に帯電防止性を有する遮光部材が形成された平坦化層と、
前記平坦化層上に形成され、照射された放射線に応じた光を発生する発光層と、
を備えた放射線検出器。
【請求項2】
前記遮光部材が、前記複数の画素間に形成された
請求項1記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記発光層は、照射された放射線に応じた光を発生する結晶が前記平坦化層上に直接蒸着されてなる
請求項1又は請求項2記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記発光層は、照射された放射線に応じた光を発生する非柱状結晶が前記平坦化層上に直接蒸着され、前記非柱状結晶上に柱状結晶が形成されてなる
請求項3記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記光電変換素子の端部がテーパー状に形成されると共に、前記スイッチング素子が、前記光電変換素子の端部側に形成された
請求項1〜4の何れか1項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記遮光部材は、前記発光層が発光する光の長波長成分の一部を吸収する
請求項1〜5の何れか1項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記遮光部材は、有機着色剤を含んで構成された
請求項6記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記光電変換素子は、キナクリドンを含んで構成された
請求項6又は請求項7記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記発光層は、CsIを含んで構成された
請求項1〜8の何れか1項記載の放射線検出器。
【請求項10】
前記基板側から放射線を照射して放射線画像を取得する表面読取方式に用いられる
請求項1〜9の何れか1項記載の放射線検出器。
【請求項11】
基板上に、スイッチング素子、及び、照射された光に応じた電荷を発生する光電変換素子を含むセンサ部、を各々備えた複数の画素を形成するステップと、
前記複数の画素上に、一部に帯電防止性を有する遮光部材が形成された平坦化層を形成するステップと、
前記平坦化層上に、照射された放射線に応じた光を発生する発光層を形成するステップと、
を含む放射線検出器の製造方法。
【請求項12】
前記請求項1〜10の何れか1項に記載の放射線検出器と、
前記放射線検出器の前記複数の画素から出力された電荷の電荷量に基づいて放射線画像を取得する画像取得手段と、
を備えた放射線画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−44723(P2013−44723A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185061(P2011−185061)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】